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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】燃料集合体
(51)【国際特許分類】
   G21C 3/30 20060101AFI20240220BHJP
   G21C 3/33 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
G21C3/30 100
G21C3/33 200
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020158176
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052027
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤本 清志
(72)【発明者】
【氏名】三輪 順一
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-171020(JP,A)
【文献】特開昭57-135393(JP,A)
【文献】特開昭56-044892(JP,A)
【文献】米国特許第04364901(US,A)
【文献】特開平06-051080(JP,A)
【文献】実開昭55-097597(JP,U)
【文献】特開2009-068900(JP,A)
【文献】特開2018-066690(JP,A)
【文献】特開昭57-194390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 3/00-3/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上部が上部格子板で支持され、四角筒状のチャンネルボックスと、前記チャンネルボックスに設置される燃料棒と、前記燃料棒を支持するスペーサと、前記スペーサを固定するタイロッドと、前記タイロッドの上部を固定する上部タイプレートと、を有し、
前記チャンネルボックスの内側で、前記燃料棒よりも上方で、前記上部タイプレートよりも下方で、前記タイロッドに固定され、その浮き上がりを抑制する浮き上がり防止部材を有することを特徴とする燃料集合体。
【請求項2】
請求項1に記載する燃料集合体であって、
前記燃料集合体は、低減速スペクトル沸騰水型原子炉に装荷されることを特徴とする燃料集合体。
【請求項3】
請求項1に記載する燃料集合体であって、
前記浮き上がり防止部材は、前記チャンネルボックスの内側に設置され、前記タイロッドに固定される防止部材本体と、前記上部格子板の下端部に接する位置まで、水平方向に伸長する伸縮材と、前記伸縮材を防止部材本体に固定する固定部材と、を有することを特徴とする燃料集合体。
【請求項4】
請求項3に記載する燃料集合体であって、
前記伸縮材は、前記チャンネルボックスよりも、冷却水の温度変化に対して、熱伸びすることを特徴とする燃料集合体。
【請求項5】
請求項3に記載する燃料集合体であって、
前記伸縮材の上部は、前記上部格子板の下端部よりも、下方の位置に伸長することを特徴とする燃料集合体。
【請求項6】
請求項5に記載する燃料集合体であって、
前記伸縮材の上部と前記上部格子板の下端部との距離を、嵌め込み長さよりも小さくすることを特徴とする燃料集合体。
【請求項7】
請求項6に記載する燃料集合体であって、
伸縮材が伸長する限界長さは、前記上部格子板の厚さの半分以下とすることを特徴とする燃料集合体。
【請求項8】
請求項7に記載する燃料集合体であって、
前記伸縮材は、前記チャンネルボックスと前記上部格子板とが接する面に、複数個が設置されることを特徴とする燃料集合体。
【請求項9】
請求項6に記載する燃料集合体であって、
前記伸縮材の先端部には、平坦部を有することを特徴とする燃料集合体。
【請求項10】
その上部が上部格子板で支持され、四角筒状のチャンネルボックスと、前記チャンネルボックスに設置される燃料棒と、前記燃料棒を支持するスペーサと、前記スペーサを固定するタイロッドと、前記タイロッドの上部を固定する上部タイプレートと、を有し、
前記上部タイプレートが、前記上部タイプレートと一体に、その浮き上がりを抑制し、前記上部格子板の下端部に接する位置まで水平方向に伸長する伸縮材を有する浮き上がり防止部材が形成される浮き上がり防止部材兼用上部タイプレートであることを特徴とする燃料集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料集合体は、燃料交換の作業性を損なうことなく、上方向の変位を抑制する機構を備える必要がある。こうした技術分野における背景技術として、特開2007-171020号公報(特許文献1)や特開平5-150076号公報(特許文献2)がある。
【0003】
特許文献1には、地震時の燃料集合体の上下方向の変位を抑制するため、四角筒状のチャンネルボックスに複数の燃料棒を備え、燃料棒の上部に取っ手付きの上部タイプレートを備え、上部を上部格子板によって水平方向に支持する燃料集合体において、上部タイプレートに固定される直動ガイドと、直動ガイドによってガイドされ、水平方向に移動する係止スライダと、係止スライダを上部格子板に設置する係止孔に対して抜き差しするスライダ移動機構と、を備える燃料集合体が記載されている(要約参照)。
【0004】
また、特許文献2には、地震などによる炉心構成要素の浮き上がりを抑制するため、炉心構成要素のエントランスノズルに押込機構を設置すると共に、その位置に対応する連結管の内壁に、溝を形成する。そして、高温流体により、押込機構のバイメタルを伸縮させ、回転筒を回転させ、スライド軸の先端を溝に押し付ける炉心構成要素が記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-171020号公報
【文献】特開平5-150076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、地震時の燃料集合体の上下方向の変位を抑制するため、上部タイプレートに浮き上がり防止部材を設置する燃料集合体が記載され、また、特許文献2には、地震などによる炉心構成要素(燃料集合体)の浮き上がりを抑制するため、エントランスノズルに押込機構(浮き上がり防止部材)を設置する燃料集合体が記載されている。
【0007】
しかし、特許文献1や特許文献2には、通常運転時において、例えば、低減速スペクトル沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体の浮き上がりを抑制する、つまり、燃料集合体の上方向の変位を抑制する燃料集合体は記載されていない。
【0008】
そこで、本発明は、通常運転時において、例えば、低減速スペクトル沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体の浮き上がりを抑制する機構を有する、つまり、燃料集合体の上方向の変位を抑制する機構を有する燃料集合体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するため、本発明の燃料集合体は、その上部が上部格子板で支持され、四角筒状のチャンネルボックスと、チャンネルボックスに設置される燃料棒と、燃料棒を支持するスペーサと、スペーサを固定するタイロッドと、タイロッドの上部を固定する上部タイプレートと、を有し、チャンネルボックスの内側で、燃料棒よりも上方で、上部タイプレートよりも下方で、タイロッドに固定され、その浮き上がりを抑制する浮き上がり防止部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通常運転時において、例えば、低減速スペクトル沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体の浮き上がりを抑制する機構を有する、つまり、燃料集合体の上方向の変位を抑制する機構を有する燃料集合体を提供することができる。
【0011】
なお、上記した以外の課題、構成及び効果については、下記する実施例の説明により、明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1に記載する沸騰水型原子炉100の概略構成を説明する説明図である。
図2】実施例1に記載する燃料集合体120の概略構成を説明する説明図(縦断面図)である。
図3】実施例1に記載する燃料集合体120の概略構成を説明する説明図(平面図)である。
図4】実施例1に記載する下部タイプレート123と燃料支持金具126との関係を説明する説明図である。
図5】実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を有する燃料集合体120を説明する説明図である。
図6】実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を説明する説明図(図5のA-A矢視図)である。
図7】実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を説明する説明図(図5のB-B矢視図)である。
図8】実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を拡大して説明する説明図(図5のC部分の拡大図)である。
図9】実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を有する燃料集合体120を説明する説明図(円柱状の伸縮材2が上部格子板129の下端部に接する位置まで伸長した場合)である。
図10】実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を説明する説明図(図9のD-D矢視図)(円柱状の伸縮材2が上部格子板129の下端部に接する位置まで伸長した場合)である。
図11】実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を拡大して説明する説明図(図9のE部分の拡大図)(円柱状の伸縮材2が上部格子板129の下端部に接する位置まで伸長した場合)である。
図12】実施例2に記載する円柱状の伸縮材2の先端部を説明する説明図(鳥瞰図)である。
図13】実施例2に記載する浮き上がり防止部材1を拡大して説明する説明図(円柱状の伸縮材2が上部格子板129の下端部に接する位置まで伸長した場合)である。
図14】実施例3に記載する浮き上がり防止部材1を有する燃料集合体120を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を、図面を使用して説明する。なお、実質的に同一又は類似の構成には、同一の符号を付し、説明が重複する場合には、その説明を省略する場合がある。
【実施例1】
【0014】
先ず、実施例1に記載する沸騰水型原子炉100の概略構成を説明する。
【0015】
図1は、実施例1に記載する沸騰水型原子炉100の概略構成を説明する説明図である。
【0016】
実施例1において、沸騰水型原子炉には、冷却材として冷却水を使用し、再循環ポンプで冷却水を、原子炉圧力容器外へ流出させ、再び、原子炉圧力容器内へ流入させることによって、冷却水を循環させる沸騰水型原子炉(Boiling Water Reactor:BWR)、インターナルポンプを有し、冷却水を原子炉圧力容器の内部で循環させる改良型沸騰水型原子炉(Advanced Boiling Water Reactor:ABWR)、ABWRにおけるインターナルポンプを使用しない、高経済性単純化沸騰水型原子炉(Economic Simplified Boiling Water Reactor:ESBWR)などを含む。
【0017】
特に、実施例1に記載する沸騰水型原子炉100は、特に、有効長が長尺燃料の半分である燃料棒が設置される燃料集合体を炉心に装荷する低減速スペクトル沸騰水型原子炉である。であり、
沸騰水型原子炉100は、炉心に装荷される燃料集合体の燃料棒を、四角筒状(水平断面が正方形状の筒状)のチャンネルボックスに、三角格子状(水平断面が正三角形の格子状)に、稠密に設置し、通常運転中に、四角筒状のチャンネルボックスでボイドを発生させることにより、中性子スペクトルを硬化させ、水対燃料体積比を低減し、核分裂プルトニウム転換比を向上させる。なお、燃料棒を、四角筒状のチャンネルボックスに、正方形状に稠密に設置する燃料集合体も含む。
【0018】
沸騰水型原子炉100は、以下の構成を有する。
・円筒状の原子炉圧力容器101、
・原子炉圧力容器101の内部に設置される円筒状の炉心シュラウド102、
・炉心シュラウド102の内部に設置され、複数の燃料集合体を正方格子状に装荷する炉心103、
・原子炉圧力容器101の内部に設置され、炉心103を覆うシュラウドヘッド104、
・シュラウドヘッド104の上部に設置され、上方へと延伸する気水分離器105、
・気水分離器105の上方に設置される蒸気乾燥器106、
・炉心シュラウド102の内部に設置され、シュラウドヘッド104の下方で、炉心シュラウド102に取り付けられ、炉心103の上端部に位置する上部格子板129、
・炉心シュラウド102の内部に設置され、シュラウドヘッド104の下方で、炉心シュラウド102に取り付けられ、炉心103の下端部に位置する炉心支持板131、
・炉心支持板108に設置される複数の燃料支持金具126、
・原子炉圧力容器101の内部に設置され、燃料集合体の核反応を制御するため、炉心103に水平断面が十字状の制御棒(十字型制御棒)を挿入可能とする複数の制御棒案内管110、
・原子炉圧力容器101の底部よりも下方に設置される制御棒駆動機構ハウジング(図示せず)の内部に設置され、制御棒と連結する制御棒駆動機構111、
・原子炉圧力容器101の底部で、その下方から原子炉圧力容器101の内部へ貫通するように設置される複数のインターナルポンプ113。
【0019】
そして、複数のインターナルポンプ113は、複数の制御棒案内管110の最外周よりも外側で、環状に相互に所定の間隔を形成して、設置され、インターナルポンプ113のインペラ117は、円筒状の炉心シュラウド102の外面と円筒状の原子炉圧力容器101の内面との間に形成される環状のダウンカマ114に向けられて、設置される。
【0020】
なお、原子炉圧力容器101の内部の冷却水118は、インターナルポンプ113のインペラ117により、原子炉圧力容器101の底部側から、炉心103の内部に流入する。
【0021】
炉心103の内部に流入する冷却水118は、燃料集合体の核反応により加熱され、気液二相流となり、気水分離器105に流入する。気水分離器105に流入する気液二相流は、湿分を含む蒸気(気相)と水(液相)とに分離される。
【0022】
水(液相)は、再び、冷却水118としてダウンカマ114に降下する。一方、蒸気(気相)は、蒸気乾燥器106に流入し、湿分が除去され、主蒸気配管115を介して、タービン(図示せず)に供給される。タービンに供給される蒸気は、復水器(図示せず)で水に戻され、この水は、給水配管116を介して、原子炉圧力容器101の内部に流入する。原子炉圧力容器101の内部に流入する水は、冷却水118としてダウンカマ114に
降下する。
【0023】
このように、インターナルポンプ113は、燃料集合体の核反応により発生する熱を、効率良く冷却するため、冷却水118を、原子炉圧力容器101の底部側から、炉心103の内部に強制的に供給し、冷却水118を原子炉圧力容器101の内部で循環する。
【0024】
つまり、冷却水118は、原子炉圧力容器101の底部側から、つまり、燃料集合体の下部から上部に向かって、炉心103の内部に、流入する。
【0025】
次に、実施例1に記載する燃料集合体120の概略構成を説明する。
【0026】
図2は、実施例1に記載する燃料集合体120の概略構成を説明する説明図(縦断面図)である。
【0027】
図3は、実施例1に記載する燃料集合体120の概略構成を説明する説明図(平面図)である。
【0028】
燃料集合体120は、炉心103に、複数体が装荷され、正方格子状に装荷される。
【0029】
燃料集合体120は、四角筒状のチャンネルボックス125、チャンネルボックス125に三角格子状に稠密に設置される燃料棒121、縦方向に複数個が設置され、燃料棒121を支持するスペーサ122、スペーサ122を固定するタイロッド134、タイロッド134の上部を固定し、ハンドル130が設置される上部タイプレート124、燃料棒121の下部及びタイロッド134の下部を固定する下部タイプレート123、を有する。
【0030】
なお、燃料棒121は、スペーサ122によって、水平方向に一定間隔で設置される。スペーサ122は、燃料集合体120の4つの角周辺に設置されるタイロッド134に垂直方向に所定の間隔で固定される。
【0031】
そして、燃料集合体120は、その上部が上部格子板129で支持され、その下部が燃料支持金具126で支持される。
【0032】
また、上部格子板129の1つの格子には、4つの燃料集合体120が設置される。4つの燃料集合体120のそれぞれの間には、十字型制御棒132が上下方向に移動するための移動空間が形成され、この移動空間は、チャンネルボックス125に設置されるチャンネルスペーサ133によって、形成される。
【0033】
なお、上部格子板129は、燃料集合体120を炉心103に装荷する際の、案内と位置決めの役割を有すると共に、沸騰水型原子炉100の通常運転時には、燃料集合体120の上部を横方向から支持する。
【0034】
また、燃料支持金具126には、下部タイプレート123の下部(燃料集合体120の下部)を嵌め込む上部開口部127が形成され、4つの上部開口部127のそれぞれの間には、十字型制御棒132が上下方向に移動するための制御棒移動用開口部128が形成される。
【0035】
次に、実施例1に記載する下部タイプレート123と燃料支持金具126との関係を説明する。
【0036】
図4は、実施例1に記載する下部タイプレート123と燃料支持金具126との関係を説明する説明図である。
【0037】
下部タイプレート123の下部は、燃料支持金具126に形成される上部開口部127に、嵌め込まれ、下部タイプレート123の下部は、燃料支持金具126に支持される。この際、下部タイプレート123の下部が燃料支持金具126に嵌め込まれる長さ(嵌め込み長さ)は「H」である。
【0038】
沸騰水型原子炉100は、燃料集合体120に設置される燃料棒121の本数を増加させるため、燃料棒121が、四角筒状のチャンネルボックス125に、三角格子状に、稠密に設置される。
【0039】
また、沸騰水型原子炉100は、燃料集合体120に設置される燃料棒121の本数を増加させるため、燃料棒121の径を細くし、燃料棒121を稠密に設置してもよい。
【0040】
また、燃料棒121の長さは、図2に示すように、短い(タイロッド134の半分、つまり、有効長が長尺燃料の半分である)。このため、燃料集合体120の重さ(重量)が軽くなる。
【0041】
沸騰水型原子炉100の通常運転時には、燃料集合体120には、下部から上部に向かって冷却水118が流入する。沸騰水型原子炉100は、燃料棒121が稠密に設置されるため、燃料棒121と燃料棒121との隙間が小さくなり、圧力損失が大きくなる。
【0042】
このため、沸騰水型原子炉100は、冷却水118の流れによって発生し、圧力損失に基づく、燃料集合体120の流体力が大きくなる恐れがある。つまり、沸騰水型原子炉100は、流体力、浮力、重さに基づく、燃料集合体120の浮き上がり力が大きくなる恐れがある。
【0043】
そして、この浮き上がり力が大きくなることによって、下部タイプレート123の下部が、燃料支持金具126から外れる恐れがある。つまり、嵌め込み長さHよりも、燃料集合体120の浮き上がり長さが大きくなる恐れがある。
【0044】
このため、沸騰水型原子炉100の通常運転時において、下部タイプレート123の下部の燃料支持金具126に対する支持状態を保持し、燃料集合体120の浮き上がりを抑制する必要がある。
【0045】
次に、実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を有する燃料集合体120を説明する。
【0046】
図5は、実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を有する燃料集合体120を説明する説明図である。
【0047】
実施例1に記載する燃料集合体120は、浮き上がり防止部材1を有する。そして、燃料集合体120は、チャンネルボックス125、燃料棒121、スペーサ122、タイロッド134、ハンドル130、上部タイプレート124、を有する。また、燃料集合体120は、その上部が上部格子板129で支持される。更に、チャンネルボックス125には、チャンネルスペーサ133が設置される。
【0048】
また、タイロッド134は、上部タイプレート124に、ナット135によって、固定される。つまり、タイロッド134は、浮き上がり防止部材1に形成されるタイロッド挿入用の貫通孔、及び、上部タイプレート124に形成されるタイロッド挿入用の貫通孔に、挿入され、上部タイプレート124の上面から、ナット135によって、固定される。
【0049】
浮き上がり防止部材1は、チャンネルボックス125の内側であって、その長さがタイロッド134の半分である燃料棒121よりも上方であって、上部タイプレート124よりも下方であって、タイロッド134に設置される。
【0050】
そして、浮き上がり防止部材1は、チャンネルボックス125の内側に設置され、タイロッド134に固定される浮き上がり防止部材本体(以下、防止部材本体)1A、水平方向に伸長(熱伸び)する円柱状(多角柱であってもよい)の伸縮材2、伸縮材2を防止部材本体1Aに固定する固定部材3(以下、固定治具3と称する)を有する。
【0051】
なお、燃料棒121が長い場合には、浮き上がり防止部材1は、燃料棒121と干渉しない位置に設置する。
【0052】
なお、円柱状の伸縮材2の上部(円柱状の伸縮材2の外周部分であって、最も上方に位置する部分:円柱状の伸縮材2の先端部の最も上方の高さ位置)は、上部格子板129の下端部(円柱状の伸縮材2の先端部の上方向への動きを抑制する上部格子板129の下面の高さ位置)よりも、下方の位置に伸長するように、設置される。
【0053】
そして、円柱状の伸縮材2は、チャンネルボックス125よりも、冷却水118の温度変化(温度上昇)に対して、上部格子板129の下端部に接する位置まで、熱伸びする。
【0054】
また、防止部材本体1Aは、燃料集合体120の上下方向中心軸に対して、垂直に設置され、円柱状の伸縮材2は、燃料集合体120の上下方向中心軸に対して、垂直方向に伸長する。
【0055】
次に、実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を説明する。
【0056】
図6は、実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を説明する説明図(図5のA-A矢視図)である。
【0057】
図7は、実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を説明する説明図(図5のB-B矢視図)である。
【0058】
浮き上がり防止部材1は、チャンネルボックス125の内側に設置され、防止部材本体1A、円柱状の伸縮材2、固定治具3を有する。
【0059】
防止部材本体1Aは、チャンネルボックス125の内側面に沿うように、正方形状(四角筒状)に形成され、その4つの角周辺には、タイロッド134が貫通する貫通孔が形成される。なお、防止部材本体1Aは、溶接によってタイロッド134に固定される。
【0060】
なお、実施例1では、タイロッド134を燃料集合体120の4つの角周辺に設置し、このタイロッド134の設置位置に対応する、防止部材本体1Aの4つの角周辺に、タイロッド134が貫通する貫通孔を形成し、タイロッド134に防止部材本体1Aを設置する。
【0061】
つまり、燃料集合体120の4つの角周辺以外であっても、タイロッド134の設置位置に対応して、防止部材本体1Aに、タイロッド134が貫通する貫通孔を形成し、タイロッド134に防止部材本体1Aを設置すればよい。なお、タイロッド134は、燃料棒121の機能を兼ね備えてもよい。
【0062】
なお、上部格子板129は、チャンネルボックス125の2面(図6では、下側と右側)に設置される。上部格子板129の1つの格子に、4つの燃料集合体120が設置されるため、1つの燃料集合体120に対応する1つチャンネルボックス125は、2面で、上部格子板129と接することになる。
【0063】
また、チャンネルボックス125と上部格子板129とが接する面において、チャンネルボックス125と上部格子板129との間には、隙間がなく、チャンネルボックス125と上部格子板129とは密着して形成される。
【0064】
これは、十字型制御棒132の移動空間を確保するため、チャンネルボックス125の上部の1つの角部に設置するスプリング(図示せず)によって、チャンネルボックス125を、上部格子板129と接する方向(図6では、下側と右側)へ、押し付けて支持するためである。
【0065】
また、防止部材本体1Aには、円柱状の伸縮材2が設置される浮き上がり防止部材貫通孔(以下、防止部材貫通孔)4が形成され、チャンネルボックス125には、円柱状の伸縮材2が設置されるチャンネルボックス貫通孔5が形成される。
【0066】
円柱状の伸縮材2は、防止部材本体1Aに形成される防止部材貫通孔4及びチャンネルボックス125に形成されるチャンネルボックス貫通孔5に設置され、伸縮材2の一端は、固定治具3を介して、防止部材本体1Aに固定され、伸縮材2の他端は、チャンネルボックス125の外側に向かって、伸長する。
【0067】
そして、円柱状の伸縮材2及び固定治具3は、チャンネルボックス125と上部格子板129とが接する2面の防止部材本体1Aに設置される。つまり、円柱状の伸縮材2及び固定治具3は、上部格子板129に接するチャンネルボックス125の面の防止部材本体1Aに設置される。
【0068】
また、円柱状の伸縮材2及び固定治具3は、チャンネルボックス125と上部格子板129とが接する2面の防止部材本体1Aに設置されるため、図3においては、円柱状の伸縮材2及び固定治具3は、左上の燃料集合体120では、上側と左側に、右上の燃料集合体120では、上側と右側に、左下の燃料集合体120では、下側と左側に、右下の燃料集合体120では、下側と右側に、設置される。
【0069】
つまり、円柱状の伸縮材2及び固定治具3は、上部格子板129に接するチャンネルボックス125の面の防止部材本体1Aに設置される。
【0070】
また、円柱状の伸縮材2及び固定治具3は、チャンネルボックス125と上部格子板129とが接する1面に、1個又は複数個が設置されることが好ましい。なお、実施例1では、円柱状の伸縮材2及び固定治具3は、1面に6個が設置される。これにより、強度を向上させ、安定して、燃料集合体120の浮き上がりを抑制することができる。
【0071】
なお、実施例1では、1面に複数個の円柱状の伸縮材2及び固定治具3が設置されるが、1面に1個の横長の円柱状の伸縮材2及び固定治具3を設置してもよい。この場合、横長の防止部材貫通孔4やチャンネルボックス貫通孔5を形成する必要がある。
【0072】
また、実施例1では、複数個の円柱状の伸縮材2及び固定治具3に対応して、同数個の防止部材貫通孔4やチャンネルボックス貫通孔5を形成するが、複数個の円柱状の伸縮材2及び固定治具3に対応する、1個の横長の防止部材貫通孔4やチャンネルボックス貫通孔5を形成してもよい。
【0073】
また、沸騰水型原子炉100の通常運転時における冷却水118の温度に対して、円柱状の伸縮材2の材質は、チャンネルボックス125の材質よりも、熱伸びする。
【0074】
次に、実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を拡大して説明する。
【0075】
図8は、実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を拡大して説明する説明図(図5のC部分の拡大図)である。
【0076】
沸騰水型原子炉100の通常運転前は、円柱状の伸縮材2の先端は、チャンネルボックス125の外面と同じ位置に設置される。円柱状の伸縮材2の先端は、この外面よりも若干内側の位置に設置されてもよい。
【0077】
また、円柱状の伸縮材2が、チャンネルボックス125の外側に向かって、伸長する際に、邪魔にならないように、防止部材貫通孔4の径(断面の大きさ)やチャンネルボックス貫通孔5の径(断面の大きさ)は、円柱状の伸縮材2の径(断面の大きさ)よりも大きくする。
【0078】
また、チャンネルボックス125と上部格子板129とが接する面において、チャンネルボックス125と上部格子板129との間には、隙間がない。
【0079】
また、円形状(多角形状であってもよい)の固定治具3は、溶接により防止部材本体1Aに固定される。また、伸縮材2の一端は、溶接により固定治具3に固定され、伸縮材2の他端は、チャンネルボックス125の外側に向かって、伸長する。
【0080】
なお、円柱状の伸縮材2の上部(円柱状の伸縮材2の伸長方向に対して、垂直方向の最上部)は、上部格子板129の下端部よりも、下方の位置に伸長するように、設置される。そして、円柱状の伸縮材2の上部と上部格子板129の下端部との距離を、嵌め込み長さHよりも小さくする。
【0081】
下部タイプレート123の下部は、嵌め込み長さHで、燃料支持金具126に嵌め込まれているため、円柱状の伸縮材2の上部と上部格子板129の下端部との距離を、嵌め込み長さHよりも小さくすることにより、下部タイプレート123の下部が、燃料支持金具126から外れることはなく、下部タイプレート123の下部の燃料支持金具126に対する支持状態を保持することができる。
【0082】
また、沸騰水型原子炉100の通常運転時における冷却水118の温度に対して、円柱状の伸縮材2の材質は、チャンネルボックス125の材質よりも長く、上部格子板129に向かって、熱伸びする。
【0083】
つまり、円柱状の伸縮材2とチャンネルボックス125とは、いずれも上部格子板129に向かって、同方向に熱伸びするが、円柱状の伸縮材2は、チャンネルボックス125よりも長く、上部格子板129に向かって、熱伸びする。
【0084】
例えば、50~60mmの長さであって、その材質が、ステンレス合金鋼(例えば、SUS304)やマグネシウム合金鋼などの円柱状の伸縮材2を使用し、3mm程度の厚さであって、その材質が、ジルカロイ-2(ジルコニウム合金、例えば、ジルコニウムと、錫、鉄、ニッケル、クロムなどと、からなる合金)のチャンネルボックス125を使用する。
【0085】
この場合、沸騰水型原子炉100の通常運転時における冷却水118の温度(約290℃)に対して、円柱状の伸縮材2は、チャンネルボックス125よりも、約2倍、0.2~0.4mm程度長く、上部格子板129に向かって、熱伸びする。
【0086】
なお、沸騰水型原子炉100の通常運転時において、円柱状の伸縮材2が伸長する限界長さは、上部格子板129の厚さの半分以下とする。例えば、15mmの厚さの上部格子板129を使用する場合には、この限界長さを、6~7mmとする。これにより、上部格子板129を介して隣接する燃料集合体120間で干渉することがない。
【0087】
このように、実施例1に記載する燃料集合体120は、低減速スペクトル沸騰水型原子炉に装荷され、その上部が上部格子板129で支持され、四角筒状のチャンネルボックス125と、チャンネルボックス125に設置される燃料棒121と、燃料棒121を支持するスペーサ122と、スペーサ122を固定するタイロッド134と、タイロッド134の上部を固定する上部タイプレート124と、チャンネルボックス125の内側で、燃料棒121よりも上方で、上部タイプレート124よりも下方で、タイロッド134に固定され、燃料集合体120の浮き上がりを抑制する浮き上がり防止部材1を有する。
【0088】
そして、浮き上がり防止部材1は、チャンネルボックス125の内側に設置され、タイロッド134に固定される防止部材本体1Aと、上部格子板129の下端部に接する位置まで、水平方向に伸長する円柱状の伸縮材2と、伸縮材2を防止部材本体1Aに固定する固定治具3と、を有する。
【0089】
なお、円柱状の伸縮材2の上部は、上部格子板129の下端部よりも、下方の位置に伸長するように、設置され、円柱状の伸縮材2は、チャンネルボックス125よりも、冷却水118の温度変化に対して、熱伸びする。また、円柱状の伸縮材2の上部と上部格子板129の下端部との距離を、嵌め込み長さHよりも小さくする。また、円柱状の伸縮材2が伸長する限界長さは、上部格子板129の厚さの半分以下とする。
【0090】
実施例1によれば、燃料集合体120の内部に浮き上がり防止部材1を設置し、円柱状の伸縮材2が、冷却水118の温度変化に対して、上部格子板129の下端部に接する位置まで熱伸びすることにより、伸縮材2と一体である燃料集合体120の上方向の変位を抑制することができ、沸騰水型原子炉100の通常運転時における、燃料集合体120の浮き上がりを抑制することができる。これにより、沸騰水型原子炉100の通常運転時において、下部タイプレート123の下部の燃料支持金具126に対する支持状態を保持することができ、燃料棒121の除熱性能が低下することもない。
【0091】
また、浮き上がり防止部材1が、チャンネルボックス125の内側に設置されるため、燃料交換の作業性を損なうこともない。
【0092】
また、実施例1に記載の技術は、燃料支持金具126の取り外し作業や取り付け作業、上部タイプレート124や上部格子板129への加工も必要なく、燃料集合体120の構造を変更するだけで、燃料集合体120の浮き上がりを抑制することができる。このため、既に設置されている沸騰水型原子炉(現行炉)にも、使用することができる。更に、現行炉に対しては、燃料交換に使用される燃料交換機(把持部を含む)を使用して、燃料交換の作業をすることができる。
【0093】
また、実施例1によれば、浮き上がり防止部材1を、燃料集合体120に設置した状態であっても、燃料交換機を使用することができ、燃料交換の作業性を損なうことがない。
【0094】
次に、円柱状の伸縮材2が上部格子板129の下端部に接する位置まで伸長した場合の、実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を有する燃料集合体120、及び、浮き上がり防止部材1を説明する。
【0095】
図9は、実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を有する燃料集合体120を説明する説明図(円柱状の伸縮材2が上部格子板129の下端部に接する位置まで伸長した場合)である。
【0096】
図10は、実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を説明する説明図(図9のD-D矢視図)(円柱状の伸縮材2が上部格子板129の下端部に接する位置まで伸長した場合)である。
【0097】
図11は、実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を拡大して説明する説明図(図9のE部分の拡大図)(円柱状の伸縮材2が上部格子板129の下端部に接する位置まで伸長した場合)である。
【0098】
沸騰水型原子炉100の通常運転前には、冷却水118が循環すると共に、複数の燃料棒121によって、出力調整をしながら、冷却水118の温度が常温から高温(290℃~300℃)へ上昇する。冷却水118の温度が上昇すると、円柱状の伸縮材2も、冷却水118の温度変化に対して、上部格子板129の下端部に接する位置まで熱伸びする。
【0099】
燃料集合体120の上方(下流)と下方(上流)とでは、常に、上方の冷却水118の温度が、下方の冷却水118の温度よりも、高くなる。また、常に、上方の冷却水118の温度が上昇するタイミングが、下方の冷却水118の温度が上昇するタイミングよりも、早くなる。このため、浮き上がり防止部材1を、燃料棒121よりも上方に設置する。
【0100】
つまり、浮き上がり防止部材1を、燃料棒121よりも上方に設置することにより、燃料集合体120の浮き上がりを早いタイミングで抑制することができる。また、浮き上がり防止部材1を、燃料棒121よりも上方に設置することにより、円柱状の伸縮材2の熱伸び量も、大きくすることができる。
【0101】
なお、冷却水118が単相状態で流れる場合(飽和温度で流量最大時)には、その冷却水118の流れによって発生する燃料集合体120の流体力は、圧力損失が小さいため、小さく、燃料集合体120は浮き上がらない。
【0102】
沸騰水型原子炉100の通常運転時には、燃料集合体120の下方に設置される複数の燃料棒121によって、出力調整をしながら、冷却水118を沸騰させる。このため、燃料集合体120では、冷却水118は、蒸気と水との気液二相の上昇流れ(気液二相流状態)となる。
【0103】
冷却水118が気液二相流状態で流れる場合には、その冷却水118の流れによって発生する燃料集合体120の流体力は、圧力損失が大きくなるため、大きくなり、燃料集合体120は浮き上がり、下部タイプレート123の下部が、燃料支持金具126から外れる恐れがある。
【0104】
そこで、円柱状の伸縮材2を上部格子板129の下端部に接する位置まで伸長させることにより、燃料集合体120の浮き上がりを抑制することができる。
【0105】
なお、沸騰水型原子炉100の通常運転時において、冷却水118の温度変化に対して、円柱状の伸縮材2が伸長する限界長さを、上部格子板129の厚さの半分以下とする、つまり、上部格子板129を介して隣接する燃料集合体120と接しない長さとする。これにより、上部格子板129を介して隣接する燃料集合体120間で干渉することがない。
【実施例2】
【0106】
次に、実施例2に記載する円柱状の伸縮材2の先端部を説明する。
【0107】
図12は、実施例2に記載する円柱状の伸縮材2の先端部を説明する説明図(鳥瞰図)である。
【0108】
実施例2に記載する円柱状の伸縮材2の先端部は、実施例1に記載する円柱状の伸縮材2の先端部と比較して、先端部の形状が相違する。なお、他の部分は、実施例1と同様である。
【0109】
つまり、実施例2に記載する円柱状の伸縮材2の先端部には、平坦部2Aを有する。平坦部2Aは、円柱状の伸縮材2の先端部が上部格子板129の下端部に接する側に、鉛直上向きに、形成される。
【0110】
そして、円柱状の伸縮材2の上部が、平坦部2Aとなり、平坦部2Aが、上部格子板129の下端部よりも、下方の位置に伸長するように、設置される。
【0111】
なお、複数個の円柱状の伸縮材2及び固定治具3が設置される場合には、全て同じ形状に形成する。
【0112】
次に、円柱状の伸縮材2が上部格子板129の下端部に接する位置まで伸長した場合の、実施例2に記載する浮き上がり防止部材1を拡大して説明する。
【0113】
図13は、実施例2に記載する浮き上がり防止部材1を拡大して説明する説明図(円柱状の伸縮材2が上部格子板129の下端部に接する位置まで伸長した場合)である。
【0114】
円柱状の伸縮材2の先端部に平坦部2Aを形成することにより、円柱状の伸縮材2の先端部と上部格子板129の下端部とが接する面積が増加し、安定して、燃料集合体120の浮き上がりを抑制することができる。
【実施例3】
【0115】
次に、実施例3に記載する浮き上がり防止部材1を有する燃料集合体120を説明する。
【0116】
図14は、実施例3に記載する浮き上がり防止部材1を有する燃料集合体120を説明する説明図である。
【0117】
実施例3に記載する浮き上がり防止部材1を有する燃料集合体120は、実施例1に記載する浮き上がり防止部材1を有する燃料集合体120と比較して、浮き上がり防止部材1の設置位置が相違する。なお、他の部分は、実施例1と同様である。
【0118】
つまり、実施例3に記載する浮き上がり防止部材1は、上部タイプレート124と一体に形成される。実施例3に記載する燃料集合体120には、浮き上がり防止部材兼用上部タイプレート1Bが設置される。
【0119】
なお、浮き上がり防止部材兼用上部タイプレート1Bの設置場所や浮き上がり防止部材兼用上部タイプレート1Bの伸縮材2の動作原理は、実施例1と同様である。
【0120】
実施例1では、燃料棒121を水平方向に一定間隔で設置するスペーサ122の設置高さの位置決めをするタイロッド134を、上部タイプレート124にナット135を使用して、固定する。
【0121】
実施例3でも、実施例1と同様に、浮き上がり防止部材兼用上部タイプレート1Bの4つの角周辺に、タイロッド134が貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔にタイロッド134を挿入し、タイロッド134を、浮き上がり防止部材兼用上部タイプレート1Bにナット135を使用して、固定する。
【0122】
また、実施例3では、上部タイプレート124と浮き上がり防止部材1とを一体化させるため、浮き上がり防止部材兼用上部タイプレート1Bの設置位置が、実施例1における上部タイプレート124の設置位置よりも、低くなる。このため、浮き上がり防止部材兼用上部タイプレート1Bに設置されるハンドル130Aの長さを長くする必要がある。
【0123】
これにより、ハンドル130Aの上部の高さ位置を、実施例1におけるハンドル130の上部の高さ位置と同様にすることができ、現行炉に対しては、燃料交換に使用される燃料交換機を使用して、燃料交換の作業をすることができる。
【0124】
このように、実施例3によれば、浮き上がり防止部材兼用上部タイプレート1Bを使用することにより、物量を増加させることなく、燃料集合体120の浮き上がりを抑制することができる。
【0125】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために、具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を有するものに限定されるものではない。
【0126】
また、ある実施例の構成の一部を、他の実施例の構成の一部に置換することもできる。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を追加することもできる。また、各実施例の構成の一部について、それを削除し、他の構成の一部を追加し、他の構成の一部と置換することもできる。
【符号の説明】
【0127】
1…浮き上がり防止部材、1A…防止部材本体、1B…浮き上がり防止部材兼用上部タイプレート、2…伸縮材、2A…平坦部、3…固定治具、4…防止部材貫通孔、5…チャンネル、ボックス貫通孔、100…沸騰水型原子炉、101…原子炉圧力容器、102…炉心シュラウド、103…炉心、104…シュラウドヘッド、105…気水分離器、106…蒸気乾燥器、110…制御棒案内管、111…制御棒駆動機構、113…インターナルポンプ、114…ダウンカマ、115…主蒸気配管、116…給水配管、117…インペラ、118…冷却水、120…燃料集合体、121…燃料棒、122…スペーサ、123…下部タイプレート、124…上部タイプレート、125…チャンネルボックス、126…燃料支持金具、127…上部開口部、128…制御棒移動用開口部、129…上部格子板、130、130A…ハンドル、131…炉心支持板、132…十字型制御棒、133…チャンネルスペーサ、134…タイロッド、135…ナット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14