(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】フェイスカバー及びフェイスカバーの製造方法
(51)【国際特許分類】
A42B 1/04 20210101AFI20240220BHJP
A42B 1/0192 20210101ALI20240220BHJP
A42C 1/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A42B1/04 E
A42B1/0192
A42C1/00
(21)【出願番号】P 2020171619
(22)【出願日】2020-10-12
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】507163552
【氏名又は名称】白川製紙株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520395581
【氏名又は名称】株式会社中村両栄舎印刷所
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【氏名又は名称】松島 理
(72)【発明者】
【氏名】合田 達也
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平2-99915(JP,U)
【文献】特開平8-205930(JP,A)
【文献】実開平2-48005(JP,U)
【文献】特開2001-187661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B1/00、1/04、1/012、1/0192
A41D13/00-13/12
A42C1/00-99/00
A45D8/40、44/12
B65H37/00-37/06、45/00-45/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形状の紙製シート状物である第一シート状物と、
略矩形状の紙製シート状物であり、一辺が前記第一シート状物の一辺と略平行となるよう重合される第二シート状物と、
前記第一シート状物と前記第二シート状物とが重合する範囲である重合範囲を形成する四辺のうちの一辺である第一辺の近傍に配され、該第一辺と略平行な実線状又は破線状で前記第一シート状物と前記第二シート状物とを貼着する第一貼着部と、
前記重合範囲を形成する四辺のうち、前記第一辺と隣接する辺である第二辺の近傍に配され、前記第一辺と略平行な実線状又は破線状で前記第一シート状物と前記第二シート状物とを貼着する第二貼着部と、
を備えるフェイスカバー。
【請求項2】
請求項1に記載のフェイスカバーであって、さらに、
前記重合範囲を形成する四辺のうち、前記第一辺と対向する辺である第三辺の近傍に配され、前記第一辺と略平行な実線状又は破線状で前記第一シート状物と前記第二シート状物とを貼着する第三貼着部を備えるフェイスカバー。
【請求項3】
一方向に長い略矩形状のシート状物をロール状に巻き取ってなる原反ロールを該シート状物に巻き戻しながら、該シート状物を長手方向に搬送する2つの搬送装置と、
前記シート状物の搬送経路上に固設されるノズルを有し、該ノズルから接着剤を吐出する量を制御して接着剤を塗布する接着剤塗布装置と、
シート状物又はシート状物の積層体を裁断する裁断装置と、
を複合的に備える装置、又は、
前記2つの搬送装置及び接着剤塗布装置並びに裁断装置の一部若しくは全部が独立した装置群を用い、
一方の前記搬送装置によって搬送される紙製シート状物である第三シート状物と、
他方の前記搬送装置によって搬送される紙製シート状物である第四シート状物とから連続的にフェイスカバーを製造するフェイスカバーの製造方法であって、
前記第三シート状物又は前記第四シート状物の少なくとも一方の長手方向の辺のうち一方の辺である第一辺の近傍に該第一辺と略平行な実線状又は破線状に接着剤を塗布する第一接着剤塗布工程と、
前記第三シート状物又は前記第四シート状物の少なくとも一方の前記第一辺と該第一辺と対向する辺である第二辺との間に該第一辺と略平行な実線状又は破線状に接着剤を塗布する第二接着剤塗布工程と、
前記第三シート状物と前記第四シート状物とを、前記第一接着剤塗布工程で塗布された接着剤と前記第二接着剤塗布工程で塗布された接着剤とで貼着する貼着工程と、
前記貼着工程で貼着された前記第三シート状物及び前記第四シート状物を長手方向と直交する方向に裁断する裁断工程と、
を含むフェイスカバーの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のフェイスカバーの製造方法であって、さらに、
前記第三シート状物の前記第二辺の近傍に該第一辺と略平行な実線状又は破線状に接着剤を塗布する第三接着剤塗布工程を含むフェイスカバーの製造方法。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のフェイスカバーの製造方法であって、さらに、
前記裁断工程前に、前記貼着工程で貼着された前記第三シート状物及び前記第四シート状物の長手方向と直交する山折りの折線である第一折線と、前記貼着工程で貼着された前記第三シート状物及び前記第四シート状物の長手方向と直交する谷折りの折線である第二折線とを交互に形成して蛇腹折りにし、積層体を形成する積層体形成工程を含み、
前記裁断工程は、前記積層体形成工程で形成された前記積層体において、前記第一折線が積層されてなる端部である第一端部、又は、前記第二折線が積層されてなる端部である第二端部のいずれか一方を裁断することを特徴とするフェイスカバーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば衣料品店等における試着時に、試着する者の顔と衣服が接触することを防ぐフェイスカバー及びフェイスカバーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣料品店等の衣服を販売する店の多くでは試着ができるようになっており、顧客は商品を購入する前に衣服のサイズが合っているか等を確認することができる。また、試着によって顧客の購買意欲が刺激され、衣料品店等の売上げは向上する。このように試着は、顧客と販売者との双方にとってメリットがある一方、衣服を着脱する際に、整髪料や化粧品が衣服に付着し、商品である衣服が汚れてしまうという問題があった。
【0003】
この問題に対し、例えば特許文献1に開示されるような、衣服の着脱の際に顔面を含む頭部を覆うようにした袋状物であるフェイスカバーが提案されている。このようなフェイスカバーを頭部に被った状態で衣服を着脱することで、整髪料や化粧品が衣服に付着することを防ぐことができる。また、現在市場に流通しているフェイスカバーの多くは、原料にプラスチックを含む略長方形状の不織布を長辺方向に折曲げ、折片と隣接する辺をヒートシール(熱溶着)して袋状にしたものであり、容易に製造可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、世界的にプラスチック製品の使用を抑える、いわゆる「脱プラ」の動きが進んでおり、今後、プラスチックを含む不織布からなるフェイスカバーが影響を受けることは容易に想像できる。しかしながら、前述のとおり、現在主流のフェイスカバーはヒートシールを用いて製造されているため、単に材料をプラスチックから別の材料へ置き換えて対応することはできない。
【0006】
本発明は、従来のこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一は、容易に製造可能な紙製のフェイスカバー及びフェイスカバーの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の第1の側面に係るフェイスカバーは、略矩形状の紙製シート状物である第一シート状物と、略矩形状の紙製シート状物であり、一辺が前記第一シート状物の一辺と略平行となるよう重合される第二シート状物と、前記第一シート状物と前記第二シート状物とが重合する範囲である重合範囲を形成する四辺のうちの一辺である第一辺の近傍に配され、該第一辺と略平行な実線状又は破線状で前記第一シート状物と前記第二シート状物とを貼着する第一貼着部と、前記重合範囲を形成する四辺のうち、前記第一辺と隣接する辺である第二辺の近傍に配され、前記第一辺と略平行な実線状又は破線状で前記第一シート状物と前記第二シート状物とを貼着する第二貼着部とを備えることができる。
【0008】
また、本発明の第2の側面に係るフェイスカバーは、前記重合範囲を形成する四辺のうち、前記第一辺と対向する辺である第三辺の近傍に配され、前記第一辺と略平行な実線状又は破線状で前記第一シート状物と前記第二シート状物とを貼着する第三貼着部とを備えることができる。
【0009】
前記構成によれば、第一シート状物の一辺、第二シート状物の一辺、第一貼着部及び第二貼着部が略平行となるよう配されるので、一方向に長い略矩形状のシート状物をロール状に巻き取ってなる原反ロールを該シート状物に巻き戻しつつ、該シート状物を長手方向に搬送しながら製造することができる。これにより、例えば、既存のフォーム印刷機を用いることで容易に製造することができる。
【0010】
さらにまた、本発明の第3の側面に係るフェイスカバーの製造方法は、一方向に長い略矩形状のシート状物をロール状に巻き取ってなる原反ロールを該シート状物に巻き戻しながら、該シート状物を長手方向に搬送する2つの搬送装置と、前記シート状物の搬送経路上に固設されるノズルを有し、該ノズルから接着剤を吐出する量を制御して接着剤を塗布する接着剤塗布装置と、シート状物又はシート状物の積層体を裁断する裁断装置と、
を複合的に備える装置、又は、前記2つの搬送装置及び接着剤塗布装置並びに裁断装置の一部若しくは全部が独立した装置群を用い、一方の前記搬送装置によって搬送される紙製シート状物である第三シート状物と、他方の前記搬送装置によって搬送される紙製シート状物である第四シート状物とから連続的にフェイスカバーを製造するフェイスカバーの製造方法であって、前記第三シート状物又は前記第四シート状物の少なくとも一方の長手方向の辺のうち一方の辺である第一辺の近傍に該第一辺と略平行な実線状又は破線状に接着剤を塗布する第一接着剤塗布工程と、前記第三シート状物又は前記第四シート状物の少なくとも一方の前記第一辺と該第一辺と対向する辺である第二辺との間に該第一辺と略平行な実線状又は破線状に接着剤を塗布する第二接着剤塗布工程と、前記第三シート状物と前記第四シート状物とを、前記第一接着剤塗布工程で塗布された接着剤と前記第二接着剤塗布工程で塗布された接着剤とで貼着する貼着工程と、前記貼着工程で貼着された前記第三シート状物及び前記第四シート状物を長手方向と直交する方向に裁断する裁断工程と、を含むよう構成できる。
【0011】
さらにまた、本発明の第4の側面に係るフェイスカバーの製造方法は、さらに、前記第三シート状物の前記第二辺の近傍に該第一辺と略平行な実線状又は破線状に接着剤を塗布する第三接着剤塗布工程を含むよう構成できる。
【0012】
前記構成によれば、一方向に長い略矩形状のシート状物をロール状に巻き取ってなる原反ロールを該シート状物に巻き戻しつつ、該シート状物を長手方向に搬送しながら製造することができる。これにより、例えば、既存のフォーム印刷機を用いることで容易に製造することができる。
【0013】
さらにまた、本発明の第5の側面に係るフェイスカバーの製造方法は、前記裁断工程前に、前記貼着工程で貼着された前記第三シート状物及び前記第四シート状物の長手方向と直交する山折りの折線である第一折線と、前記貼着工程で貼着された前記第三シート状物及び前記第四シート状物の長手方向と直交する谷折りの折線である第二折線とを交互に形成して蛇腹折りにし、積層体を形成する積層体形成工程を含み、前記裁断工程は、前記積層体形成工程で形成された前記積層体において、前記第一折線が積層されてなる端部である第一端部、又は、前記第二折線が積層されてなる端部である第二端部のいずれか一方を裁断することができる。
【0014】
前記構成によれば、積層体を形成した後に、該積層体を裁断する工程を含むので、質量の軽いフェイスカバーが風や静電気等の影響で散乱することを防ぐことができる。また、半分に折り畳まれた状態のフェイスカバーが複数積層された状態で製造できるので、梱包作業も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明を適用したフェイスカバーの模式図である。
【
図2】本発明を適用したフェイスカバーの模式図である。
【
図3】本発明を適用したフェイスカバーの模式図である。
【
図4】本発明を適用したフェイスカバーの模式図である。
【
図5】フェイスカバーの製造方法を説明するフローチャートである。
【
図7】フェイスカバーの製造方法を説明する模式図である。
【
図8】フェイスカバーの製造方法を説明する模式図である。
【
図9】フェイスカバーの製造方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明はそれらを以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(フェイスカバー1)
【0017】
本発明の一実施の形態に係るフェイスカバー1は
図1に示すように、第一紙材11(特許請求の範囲における「第一シート状物」の一例に対応する。)及び第二紙材12(特許請求の範囲における「第二シート状物」の一例に対応する。)を、貼着部13で貼着して袋状に形成したものであり、
図1に示すように、口を開き、頭部に被って使用される。これにより、衣服を着脱する際に、フェイスカバー1の使用者の頭部と衣服とが直接接触することを防ぎ、整髪料や化粧品が衣服に付着することを防ぐことができる。以下、各部材について説明する。
(第一紙材11及び第二紙材12)
【0018】
第一紙材11及び第二紙材12は、
図1に示すように、略ずれなく重ね合わされ、後述する貼着部13で貼着されることでフェイスカバー1を形成する部材である。
【0019】
第一紙材11は、一辺約400mmの略正方形状の薄用紙であって、
図1に示すように、フェイスカバー1を頭部に被った際に顔側に配される部材である。また、第一紙材11は針葉樹を原料とした坪量14g/m
2の紙であって、透光性と撥水性を有する。
【0020】
一方、第二紙材12は、一辺約400mmの略正方形状の薄用紙であって、
図1に示すように、フェイスカバー1を頭部に被った際に後頭部側に配される部材である。また、第二紙材12は針葉樹及び広葉樹を混合して原料とした坪量30g/m
2の紙であって、撥水性を有する。
【0021】
このように第一紙材11は、第二紙材12よりも薄い紙であり、透光性を有しているので、フェイスカバー1を頭部に被った際にも視界は暗くならない。また、針葉樹を原料とした紙を用いることで、薄くても強度を保つことができる。また、第一紙材11及び第二紙材12は撥水性を有するので、使用者の汗等によって紙が濡れ、強度が下がることもない。
【0022】
なお、第一紙材11及び第二紙材12は前述の態様に限定されず、大きさや坪量、原料は適宜変更可能である。例えば、原料を古紙とすることで、より環境に配慮したフェイスカバー1を製造することも可能である。また、第一紙材11及び第二紙材12の特性はそのままフェイスカバー1の特性となるため、例えば、抗菌性を有する紙から第一紙材11及び第二紙材12を形成し、抗菌性を有するフェイスカバー1を製造することも可能である。また、第一紙材11及び第二紙材12は略ずれなく重ね合わされる態様に限定されず、例えば、
図2に示すように第二紙材12の第一辺E1(詳細は後述する。)と対向する辺が重合する第二紙材11からはみでるような態様としてもよい。この態様であれば、はみでた部分を掴むことで容易に口を開くことができる。
(貼着部13)
【0023】
貼着部13は、
図1に示すように、略ずれなく重ね合わされた第一紙材11及び第二紙材12を接着剤GLで貼着した部分であり、第一貼着部131と4つの第二貼着部132とからなる。第一貼着部131は、長さ約250mmの破線形状であり、第一紙材11及び第二紙材12の四辺のうちの一辺である第一辺E1の近傍に、第一辺E1と略平行に設けられる。一方、第二貼着部132は、長さ約15mmの破線形状であり、第一辺E1と隣接する辺である第二辺E2の一方の近傍に、第一貼着部131と略平行に設けられる。これにより、第一貼着部131及び第二貼着部132は四辺のうち隣接する二辺が貼着された状態となり、フェイスカバー1は頭部に被ることができる。また、従来のフェイスカバーは、フェイスカバーの対向する1組の辺と頭部の挿入方向とが平行となるように着用して使用するのに対し、
図1に示す態様のフェイスカバー1は、フェイスカバー1の一対角線と、頭部の挿入方向とが平行となるように着用して使用する。すなわち、従来のフェイスカバーに対して、より頭部の形状に沿った態様での着用が可能である。
【0024】
なお、貼着部13の態様は前述のものに限定されず、第一貼着部131及び第二貼着部の形状(破線の長さ、破線の切れ目の間隔等)や位置、数等は適宜変更してもよい。特に破線の切れ目の間隔を変えることで塗布される接着剤GLの量が変わるので、第一紙材11及び第二紙材12の紙質に応じて適宜調整することが好ましい。具体的には、破線の切れ目の間隔を広げる(切れ目の長さを伸ばす)と塗布される接着剤GLの量が減るので、第一紙材11又は第二紙材12に薄い紙を用いる場合に、接着剤GLが紙からしみ出すことを防ぐことができる。一方、破線の切れ目の間隔を狭める(切れ目の長さを縮める)と塗布される接着剤GLの量が増えるので、貼着部13の強度を高めることができる。
【0025】
また、貼着部13は、
図1に示すような態様に限定されない。例えば貼着部13は、
図3に示すように、長さ約400mmの第一貼着部131と、2つの第二辺E2の近傍にそれぞれ3つずつ設けられる第二貼着部132とで構成してもよいし、
図4に示すように、第一貼着部131と、3つの第2貼着部132と、第一辺E1と対向する辺である第三辺E3の近傍に、第一貼着部131と略平行に設けられる第三貼着部133とで構成してもよい。このように貼着部13を構成する各貼着部は、第一辺E1と略平行に設けられる態様であれば、その位置や数は適宜変更可能である。
(フェイスカバー1の製造方法)
【0026】
フェイスカバー1の製造方法について、
図5のフローチャート及び
図6の製造装置の模式図に基づいて説明する。
【0027】
まず、ステップST101で、第一紙材11の材料となる第三紙材111(特許請求の範囲における「第三シート状物」の一例に対応する。)と、第二紙材12の材料となる第四紙材121(特許請求の範囲における「第四シート状物」の一例に対応する。)とを用意する。第三紙材111及び第二紙材12は、一方向に長い略矩形状の紙であり、短辺は第一紙材11及び第四紙材121の一辺の長さと同じ約400mmであり、巻き取ってロール状にされたものである。
【0028】
次に、ステップST102で、ロール状の第三紙材111及び第四紙材121をそれぞれ搬送装置91に取り付ける。これにより、第三紙材111及び第四紙材121は、搬送装置91によってロール状からシート状に巻き戻されながら搬送される。
【0029】
次に、ステップST103(特許請求の範囲における「第一接着剤塗布工程」及び「第二接着剤塗布工程」の一例に対応する。)で、第四紙材121に接着剤塗布装置92を用いて接着剤GLを塗布する。接着剤塗布装置92は、第四紙材121の搬送経路上に固設され、接着剤GLを吐出するノズル921備えており、接着剤GLを吐出するタイミングを制御することで、任意の位置に接着剤GLを塗布する。また、ノズル921の位置は適宜調整可能であり、例えば、
図7に示すようにノズル921を固定し、接着剤GLを塗布すれば
図1に示す態様のフェイスカバー1が製造でき、
図8に示すようにノズル921を固定し、接着剤GLを塗布すれば
図3に示す態様のフェイスカバー1が製造でき、
図9に示すようにノズル921を固定し、接着剤GLを塗布すれば
図4に示す態様のフェイスカバー1が製造できる。このように接着剤塗布装置92は、第三紙材111及び第四紙材121の搬送方向(長手方向)と平行に接着剤GLを塗布するため、フェイスカバー1が、貼着部13を構成する各貼着部を第一辺E1と略平行に有する態様は、フェイスカバー1の製造を容易にする点において非常に重要である。
【0030】
次に、ステップST104(特許請求の範囲における「貼着工程」の一例に対応する。)で、第三紙材111と第四紙材121とを貼着する。具体的には、第三紙材111及び第四紙材121は搬送装置91によって重なり合うように搬送され、高周波乾燥機93によって接着剤GLを乾燥させることにより貼着する。
【0031】
次に、ステップST105(特許請求の範囲における「積層体形成工程」の一例に対応する。)で、ミシン目カッター94を用いて、
図7(又は
図8或いは
図9)に示すように貼着された第三紙材111及び第四紙材121の長手方向と直交する方向に山折り用のミシン目MPと谷折り用のミシン目VPとを交互に形成する。
【0032】
次に、ステップST106(特許請求の範囲における「積層体形成工程」の一例に対応する。)で、振子装置95を用いて、貼着された第三紙材111及び第四紙材121の山折り用のミシン目MPで山折りし、谷折り用のミシン目VPで谷折りして、貼着された第三紙材111及び第四紙材から蛇腹形状の積層体を形成する。なお、振子装置95は、貼着された第三紙材111及び第四紙材を揺らすことで山折り用のミシン目MP及び谷折り用のミシン目VPで折り曲げる装置である。
【0033】
最後に、ステップST107(特許請求の範囲における「裁断工程」の一例に対応する。)で、裁断装置96で積層体の山折り用のミシン目MPが積層されてなる端部を裁断する。これにより、半分に折り畳まれた状態のフェイスカバー1が複数積層された状態で製造できる。これにより、複数積層された状態のフェイスカバー1をそのまま包装用箱に封入することで、商品として販売できる状態にできるので、梱包作業が容易である。また、使用する際には、包装用箱に複数積層された状態で封入されたフェイスカバー1を上から順に1枚ずつ取り出すことができる。
【0034】
このように、フェイスカバー1は2つの原反ロール(ロール状の第三紙材111及び第四紙材121)から容易に製造することができる。また、搬送装置91、接着剤塗布装置92、高周波乾燥機93、ミシン目カッター94、振子装置95及び裁断装置96は、伝票等の製造に用いられるフォーム印刷機が備えるため、既存のフォーム印刷機を用いてフェイスカバー1を製造することも可能である。なお、フェイスカバー1の製造方法は前述の方法に限定されない。例えば、ステップST103~ステップST105の間に第三紙材111や第四紙材121に文字や図形等を印刷する工程含めることができる。これにより、例えば、フェイスカバー1を購入する衣料品店等のロゴを印刷したり、フェイスカバー1の使用方法を印刷したりできる。また、ステップST105及びステップST106を、省く、又は、ステップST107の後に行うようにしてもよい。ただし、フェイスカバー1は質量が軽く、風や静電気等の影響で散乱することがあるため、ステップST105及びステップST106で先に積層体を形成してから積層体を裁断する方が好ましい。また、ステップST103において、接着剤GLの塗布は第四紙材121に限定されず、第三紙材111に塗布するようにしてもよい。
【0035】
以上説明したように、本発明に係るフェイスカバー1は、貼着部13を構成する各貼着部を第一辺E1と略平行に有することにより、フォーム印刷機等を用いて容易に製造可能である。また、フェイスカバー1の構成や形状、材料(紙の種類)等を適宜変更することで、様々な態様のフェイスカバーを製造できる。
【符号の説明】
【0036】
1…フェイスカバー
11…第一紙材;111…第三紙材
12…第二紙材;121…第四紙材
13…貼着部;131…第一貼着部;132…第二貼着部;133…第三貼着部
91…搬送装置
92…接着剤塗布装置;921…ノズル
93…高周波乾燥機
94…ミシン目カッター
95…振子装置
96…裁断装置
E1…第一辺;E2…第二辺;E3…第三辺
GL…接着剤
MP…山折り用のミシン目;VP…谷折り用のミシン目