(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】眼内レンズ、及び周縁部の安定化方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A61F2/16
(21)【出願番号】P 2020543261
(86)(22)【出願日】2018-10-30
(86)【国際出願番号】 US2018058108
(87)【国際公開番号】W WO2019089515
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-15
(32)【優先日】2017-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ グリーン
【審査官】黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-501972(JP,A)
【文献】国際公開第2017/079733(WO,A1)
【文献】特開昭52-146650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部流体チャンバを有する光学部と前記光学部流体チャンバと流体連通する少なくとも1つの周縁部流体チャンバを有する周縁部とを備える眼内レンズであって、
前記光学部の外周縁が周縁表面を有し、
該眼内レンズの前記周縁部の径方向内側部分が内側表面を有し、
前記周縁表面は陥凹部を備えており、
前記陥凹部は、前記周縁表面の一部が前記周縁表面の他の部分に対して半径方向内側に配置されるように画定され、
前記内側表面の少なくとも一部分は、前記陥凹部と接触することなく前記陥凹部内に配設され、
前記周縁表面は、前記内側表面から直接的に延在することはなく、且つ、
互いに100ミクロン以下で離れている前記周縁表面及び前記内側表面は
、両方ともに、
光軸に沿った方向における前記光学部に対する前記周縁部の軸方向の移動を防止することによって、互いに対して安定する様に構成される、
眼内レンズ。
【請求項2】
前記陥凹部内に配設される前記内側表面は、光軸に沿った方向において前記光学部の最前側箇所と前記光学部の最後側箇所との間に配設される、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項3】
前記内側表面は、該眼内レンズの平面視において、前記周縁部が前記光学部から延在する箇所から、前記光学部の前記外周縁から離間されて前記外周縁の回りにある、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項4】
前記内側表面は、前記周縁部が前記光学部から延在する箇所と、前記周縁部の自由閉鎖端部との間に配設される、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項5】
光軸に沿った方向において測定された前記周縁部の中心点は、前記光学部の前記陥凹部内に配設された前記内側表面の一部である、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項6】
前記陥凹部は、前記光学部の光軸に対して直交する軸線に関して対称である、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項7】
前記陥凹部内に配設された前記周縁部の前記内側表面は、前記光学部の光軸に対して直交する軸線に関して対称である、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項8】
前記陥凹部は光軸に沿った方向において、前記光学部の最前側箇所と前記光学部の最後側箇所との間に配設される、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項9】
前記陥凹部内に配設された前記内側表面は光軸に沿った方向において、前記周縁部の最大高さ寸法よりも小さい高さを有する、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項10】
前記周縁部は、ひとつ以上の結合箇所において前記光学部に結合され、前記周縁部は、前記光学部の前記外周縁の回りに延在する、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項11】
前記周縁部は、少なくとも第1の触覚部を備えており、
前記第1の触覚部は、結合箇所において前記光学部に結合されており、
前記第1の触覚部は、前記光学部の前記外周縁の回りに部分的に延在し、
前記第1の触覚部の自由端部は、前記光学部に対して直接的には取付けられず、
前記径方向内側部分は前記第1の触覚部の内側部分である、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項12】
前記周縁部は、第2の触覚部を備えており、
前記第2の触覚部は第2結合箇所において前記光学部に結合されており、
前記第2の触覚部は前記光学部の前記外周縁の回りに部分的に延在し、
前記第2の触覚部の第2自由端部は、前記光学部に対して直接的には取付けられない、
請求項11に記載の眼内レンズ。
【請求項13】
前記陥凹部は、前記光学部の前記外周縁の全周に延在する、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項14】
前記陥凹部は、前記周縁部が前記光学部から延在する箇所までは延在しない、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項15】
前記光学部は、該光学部の前記外周縁の回りに離間された複数の別個の陥凹部を含む、
請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項16】
前記内側表面は、該眼内レンズの静止構造形で、前記光学部の前記陥凹部内に配設される、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項17】
該眼内レンズは、該眼内レンズが眼球内に位置決めされた後で、前記周縁部の前記内側部分が前記光学部の前記陥凹部内に配設されるように構成される、請求項1に記載の眼内レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2017年11月1日に出願された米国仮出願第62/580,210号の優先権を主張するものであり、前記仮出願は言及したことにより本明細書中に援用される。
【0002】
本出願は、言及することにより、2017年5月11日に発行されたPCT公報WO2017/079733A1を本明細書中に援用する。
【背景技術】
【0003】
言及による援用
本明細書中で言及される全ての公報及び特許出願は、個々の公報もしくは特許出願が言及により援用されることが詳細に且つ個別的に示されたのと同一の範囲まで、言及したことにより本明細書中に援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】PCT公報WO2017/079733A1
【文献】米国公開特許第2008/0306588号
【文献】米国特許出願第12/685,531号
【文献】米国特許出願第13/033,474号
【文献】米国仮出願第62/173,877号
【文献】PCT/US2016/037055
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
眼内レンズは、光学部よりも更に径方向外側に配設されたひとつ以上の周縁部を含み得る。外科的な植設処置の間において、IOLの少なくとも一部分は、前後方向において面外力を受け得る。これは、外科的処置の少なくとも一部の間において、眼内レンズの平坦載置の達成をより困難にし得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示内容のひとつの様相は、眼内レンズ(“IOL”)であって、当該IOLの光学部の外周縁が周縁表面を有し、周縁の非光学部の径方向内側部分が内側表面を有し、周縁表面は、内側表面の直近にあり、周縁表面は、内側表面から直接的には延在せず(それに結合されず且つそれと一体的には形成されず)、且つ、周縁表面及び内側表面は両方ともに、該周縁表面が該内側表面に直接的に近接する箇所において、近位方向及び遠位方向の少なくとも一方、任意選択的にはその両方において、周縁部及び光学部が互いに安定化される様に構成される、眼内レンズ(“IOL”)である。
【0007】
光学部周縁表面は陥凹部を備え、内側表面の少なくとも一部分は陥凹部内に配設され得る。
【0008】
光学部周縁表面、及び周縁部の内側表面は、周縁部が光学部から延びる(たとえば、前記光学部に結合されるか又は前記光学部と一体的に形成される)箇所から離間され且つ光学部周縁の回りにある箇所にちょうど隣接し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】代表的な調節型眼内レンズを示す図である。
【
図1B】代表的な調節型眼内レンズを示す図である。
【
図1D】調節型眼内レンズの代表的な後側要素の平面図である。
【
図1E】調節型眼内レンズの代表的な光学部の断面的な組立て図である。
【
図1H】光学部と触覚部との間の代表的な結合様式を示す図である。
【
図3】調節型眼内レンズの代表的な寸法を示す図である。
【
図5A】代表的な力に応ずる代表的な触覚部の変形様式を示す図である。
【
図5B】代表的な力に応ずる代表的な触覚部の変形様式を示す図である。
【
図6】代表的な触覚部における代表的な流体用開口を示す図である。
【
図7】代表的な触覚部における代表的な流体用開口を示す図である。
【
図9】比較的に短寸の触覚部を備えた代表的な調節型眼内レンズの断面図である。
【
図10】周縁部に対して中心合わせされた光学部を備えた代表的な調節型眼内レンズの断面図である。
【
図20】周縁表面を含む代表的な光学部の断面図である。
【
図21】周縁表面を備える光学部と、少なくともひとつの径方向内側表面を備える周縁部とを含む代表的なAIOLの断面図である。
【
図22】代表的な光学部の周縁表面及び代表的な周縁部の内側表面の拡大断面図である。
【
図23】周縁表面を備える代表的な光学部を示す図である。
【
図24】周縁表面を備える代表的な光学部を示す図である。
【
図25】周縁表面を備える代表的な光学部を示す図である。
【
図26】周縁表面を備える代表的な光学部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
開示内容は、概ね眼内レンズに関するものである。幾つかの実施例において、本明細書中に記述される眼内レンズは、生来の水晶体が除去された生来の水晶体嚢内に位置決めされるように構成されている。これらの実施例において、周縁の非光学部(すなわち、特に光を網膜上に焦点合わせするようには作られていない部材)は、毛様体筋の弛緩及び収縮による水晶体嚢の形状変化に応答すべく構成される。この応答とは、周縁部と光学部との間で流体を移動させることで眼内レンズの(たとえば屈折力などの)光学的パラメータを変化させる周縁部の変形のことである。
【0011】
図1Aは、光学部12と、この実施例においては光学部12に結合されると共にそれから周縁方向に延在する第1及び第2の触覚部(haptic)14を含む周縁部とを含む調節型眼内レンズ(accommodating intraocular lens)10を示す平面図である。光学部12は、眼球に進入して網膜上に至る光を屈折させるべく形成される。触覚部14は、水晶体嚢に係合すべく構成されると共に、毛様体筋に関連する水晶体嚢の形状変化に応じて変形すべく形成される。
図1Bは、光学部12と、該光学部12に結合された触覚部14とを示す眼内レンズ10の斜視図である。
【0012】
触覚部は、光学部と流体連通する。各触覚部は、光学部内の光学部チャンバと流体連通する流体チャンバを有する。触覚部は、変形可能材料で形成されると共に、水晶体嚢に係合すべく形成され、且つ、毛様体筋に関する水晶体嚢の形状変化に応じて変形する。触覚部が変形したとき、触覚部流体チャンバの容積が変化し、これが、触覚部流体チャンバ及び光学部流体チャンバ内に配設された流体を、触覚部流体チャンバから光学部流体チャンバ内へ、又は光学部流体チャンバから触覚部流体チャンバ内へと移動させる。触覚部流体チャンバの容積が減少したとき、流体は光学部流体チャンバ内へと移動される。触覚部流体チャンバの容積が増大したとき、流体は光学部流体チャンバから触覚部流体チャンバ内へと移動される。光学部流体チャンバに対して流入及び流出する流体は、光学部の形状と眼内レンズの屈折力を変化させる。
【0013】
図1Cは、
図1Aに示された断面A-Aを通る側断面図である。光学部12は、変形可能な後側要素20に固定された変形可能な前側要素18を含む。各触覚部14は、光学部12内の光学部流体チャンバ24と流体連通する流体チャンバ22を含む。
図1Cの断面図においては、図面の左側における触覚部14と光学部12との間の結合のみが(不明瞭であるが)示される。図の左側における触覚部流体チャンバ22は、後側要素20に形成された2つの開孔26を介して光学部流体チャンバ24と流体連通して示される。
図1Cの右側の触覚部14は、図示された開孔からほぼ180°で後側要素に同様に形成された(不図示の)2つの追加の開孔を介して光学部チャンバ24と流体連通する。
【0014】
図1Dは、後側要素20の平面図である(前側要素18及び各触覚部14は示されない)。後側要素20は、内部にチャネル32が形成された複数の支持部分29を含む。チャネル32は、光学部12と触覚部14との間の流体連通を提供する。開孔26は、チャネル32の一端に配設される。故に、光学部流体チャンバ24は、2本の流体チャネルを介して単一の触覚部と流体連通する。支持部分29が、以下に記述される如く、触覚部14内に形成されて触覚部流体チャンバの一端を画成する開口内に配設されるべく構成されて寸法設定される。支持部分29の各々は、自身内に形成された2本のチャネルを含む。第1の支持部における第1のチャネルは、第2の支持部における第1のチャネルと整列している。第1の支持部における第2のチャネルは、第2の支持部における第2のチャネルと整列している。
【0015】
各支持部において1本ではなく2本のチャネルを配備することには、典型的な利点がある。1本ではなく2本のチャネルを備えた設計態様は、組立ての間における寸法的安定性を維持することを支援し、このことは、可撓性を有する薄い構成要素を組立てるときに重要であり得る。さらに、幾つかの1本チャネルの設計態様が調節の範囲の全体に亙る適切な光学的品質を提供しないことが、実験により観察された。特に、一部の1本チャネルの設計態様においては、特に、眼内レンズが調節されるときにレンズの非点収差が生じ得る。本明細書中に記述される2本チャネル式支持部の設計態様は、特にレンズが調節されるときに、非点収差、又は非点収差の可能性の減少を助力し得ることが観察された。これらの実施例において非点収差が減少されるのは、支持部の剛性が、2本のチャネル間のリブ部分により増大されるからである。付加的な剛性は、チャネルの圧力変化に起因するたわみの減少という結果になる。チャネルの圧力変化に起因するたわみが少ない結果、非点収差は減少する。幾つかの実施例において、チャネルは、直径が約0.4mm~約0.6mmである。幾つかの実施例において、チャネルは、直径が約0.5mmである。幾つかの実施例において、開孔間の距離は、約0.1mm~約1.0mmである。
【0016】
図1Eは、前側要素18及び後側要素20を含む光学部12の断面A-Aを通る組立て側面図である(明瞭化のために各触覚部は示されない)。後側要素20に流体チャネル32を含めることにより、後側要素20は、チャネル32が貫通形成され得るに十分な構造を有する必要がある。支持部分29は、チャネル32が形成され得る構造を提供する。その最周縁部分において、後側要素20は、前後方向において前側要素18よりも高い。代替実施例において、チャネルは、後側要素20ではなく前側要素18内に形成され得る。前側要素は、チャネルが自身内に形成され得る構造を提供するように、支持部分29又は他の同様の構造を含む。これらの代替実施例において、後側要素は、前側要素18と同様に形成され得る。
【0017】
図1Eに示された如く、後側要素20は、該後側要素20の周縁部を巡って延在すると共に平坦表面である周縁表面28において、前側要素18に固定される。要素18及び20は、公知の生体適合性の接着剤を用いて相互に固定され得る。前側要素18及び後側要素20は、2つの要素を相互に固定する必要性を排除するために、ひとつの材料から形成されてもよい。幾つかの実施例において、前側要素18及び後側要素20が互いに固定される領域の直径は、約5.4mm~約6mmの直径である。
【0018】
幾つかの実施例において、(前後方向において測定された)前側要素18の厚みは、周縁部におけるよりも光軸(
図1Cにおける“OA”)に沿う方が大きい。幾つかの実施例において、この厚みは、周縁部から、光軸に沿う最も厚い部分に向けて連続的に増大する。
【0019】
幾つかの実施例において、後側要素20の厚みは、光軸に沿う箇所から、
図1Cにおいて特定された中央領域“CR”の縁部に向けて減少する。
図1Cにおいて理解され得る如く、厚みは、中央領域CRから周縁部に向けて径方向外側へ再び増大する。幾つかの特定実施例において、中央領域CRは、直径が約3.75mmである。開孔は、斜端表面30に形成される。
【0020】
幾つかの実施例において、光軸に沿う後側要素20の厚みは、約0.45mm~約0.55mmであり、且つ、後側要素20の周縁部における厚みは、約1.0mm~約1.3mmである。
【0021】
幾つかの実施例において、光軸に沿う後側要素20の厚みは、約0.5mmであり、且つ、後側要素20の周縁部における厚みは、約1.14mmである。
【0022】
幾つかの実施例において、光軸に沿う前側要素18の厚みは、約0.45mm~約0.55mmであり、且つ、幾つかの実施例においては約0.50mm~約0.52mmである。幾つかの実施例において、前側要素18の厚みは、約0.15mm~約0.4mmであり、且つ、幾つかの実施例においては約0.19mm~約0.38mmである。
【0023】
ひとつの特定実施例において、光軸に沿う前側要素18の厚みは約0.52mmであり且つ前側要素18の周縁部の厚みは約0.38mmであると共に、光軸に沿う後側要素20の厚みは約0.5mmであり且つ後側要素20の周縁部における厚みは約1.14mmである。
【0024】
ひとつの特定実施例において、光軸に沿う前側要素18の厚みは約0.5mmであり且つ前側要素18の周縁部の厚みは約0.3mmであると共に、光軸に沿う後側要素20の厚みは約0.5mmであり且つ後側要素20の周縁部における厚みは約1.14mmである。
【0025】
ひとつの特定実施例において、光軸に沿う前側要素18の厚みは約0.51mmであり且つ前側要素18の周縁部の厚みは約0.24mmであると共に、光軸に沿う後側要素20の厚みは約0.5mmであり且つ後側要素20の周縁部における厚みは約1.14mmである。
【0026】
ひとつの特定実施例において、光軸に沿う前側要素18の厚みは約0.52mmであり且つ前側要素18の周縁部の厚みは約0.19mmであると共に、光軸に沿う後側要素20の厚みは約0.5mmであり且つ後側要素20の周縁部における厚みは約1.14mmである。
【0027】
光学部は、調節の全体に亙り光学的品質を維持すべく形成される。これにより、前記調節型眼内レンズが非調節形態と調節形態との間を移行するとき、光学部が光学的品質を維持することが、確実にされる。本明細書における調節型眼内レンズのこの好適な特徴に対しては、多数の要因が寄与する。これらの要因としては、前側要素18が後側要素20に固定される周縁領域、光学部の中央領域CRの内側における前側要素18及び後側要素20の形状変化特性(
図1Cを参照)、及び前側要素18及び後側要素20の厚み変化特性が挙げられる。これらの寄与要因は、前側要素及び後側要素の両方が、所定範囲の光学屈折力の全体に亙り光学的品質を維持するために必要な形状を維持するように撓曲することを確実にする。
【0028】
図1Fは、眼内レンズ10に由来するひとつの触覚部14を示している(明瞭化のために光学部12及び第2触覚部は示されない)。触覚部14は、毛様小帯の方向を向くべく形成された径方向外側部分13、及び(不図示の)光学部の周縁に臨む径方向内側部分11を含む。触覚部14は、光学部12に固定された第1端部領域17、及び閉じられた第2端部領域19を含む。触覚部14はまた、第1端部領域17において、該触覚部に対して流体連通を提供する開口15も含む。この実施例において開口15は、自身内に光学部12の支持部分29を受容すべく寸法設定されて形成される。
【0029】
図1Gは、自身内に支持部分29を受容すべく形成された触覚部14における開口15の拡大図である。開口15は、光学部支持部29上の湾曲表面と合致係合すべく形状化された湾曲表面33及び35を有する。開口15を表面31が囲繞すると共に、該表面は、光学部の対応表面が固定され得る表面を提供する。
【0030】
図1Hは、触覚部14における開口15内に配設された後側要素20からの支持部分29(仮想線)の拡大平面図である(明瞭化のために光学部の前側要素は示されない)。チャネル32は、仮想線で示される。触覚部14は、内側表面21により画成された流体チャンバ22を含む。流体は、触覚部14の変形時に、各チャネル32を通り、光学部流体チャンバと触覚部流体チャンバ22との間を移動する。
【0031】
図2Aは、
図1A乃至
図1Hに示されたひとつの触覚部14を示す平面図である。光学部及び第2触覚部は示されない。触覚部の全体に亙り、4つの断面A~Dが特定される。
図2Bは、開口15及び閉じ端部19を示す触覚部14の側面図を示している。
図2Cは、径方向外側部分13及び閉じ端部19を示す触覚部14の側面図を示している。
【0032】
図2Dは、
図2Aに示された断面A-Aを通る断面図である。
図2Aに示された4つの断面のうち、断面A-Aは、閉じ端部19に対して最も近い断面である。径方向内側部分11及び径方向外側部分13が特定される。表面21により画成された流体チャネル22も示される。この断面において、径方向内側部分40は、径方向外側部分42よりも(方向“T”において)径方向で厚くなっている。内側部分40は、嚢を前後方向において更に予測可能に形状変化させる、前後方向における触覚部の剛性を提供する。径方向内側部分40は、この断面における対称軸線に沿う最大の厚み寸法41を有する。触覚部14の外側表面は、前後方向(“A-P”)における最大の高さ寸法が、(“T”寸法における)最大の厚み寸法よりも大きい概ね楕円形の形状を有する。流体チャンバ22は、径方向内側壁部43が径方向外側壁部45よりも湾曲が少ない(が、完全に直線状ではない)概ねD形構造形を有する。径方向外側部分42は、水晶体嚢に対して毛様小帯が結合する箇所において前者に係合するが、より厚い径方向部分40は、光学部の近傍に配設される。
【0033】
図2Eは、
図2Aに示された断面B-Bを示している。断面B-Bは、実質的に断面A-Aと同一であると共に、
図2Eは両方の断面に対する代表的な寸法を提供する。径方向内側部分40は、(径方向“T”において)中線に沿い約0.75mmの最大厚みを有する。径方向外側部分42は、中線に沿い約0.24mmの厚みを有する。流体チャンバ22は、約0.88mmの厚みを有する。触覚部14は、中線に沿い約1.87mmの厚みを有する。前後寸法における触覚部の高さは、約2.97mmである。流体チャンバの高さは約2.60mmである。この実施例において、径方向内側部分40の厚みは、径方向外側部分42の厚みの約3倍である。幾つかの実施例において、径方向内側部分40の厚みは、径方向外側部分42の厚みの約2倍である。幾つかの実施例において、径方向内側部分40の厚みは、径方向外側部分42の厚みの約2倍~約3倍である。幾つかの実施例において、径方向内側部分40の厚みは、径方向外側部分42の厚みの約1倍~約2倍である。
【0034】
流体チャンバ22は、触覚部14の径方向外側部分に配設される。この断面においては、実質的に触覚部14の径方向内側領域全体が塊状材料である。流体チャンバ22は表面43及び45により画成されることから(
図2D参照)、流体チャンバ22の位置及びサイズは、径方向内側部分40及び径方向外側部分42の厚みに依存する。
【0035】
図2Fは、
図1Aに示された断面C-Cを示している。断面C-Cにおいて、径方向内側部分40は断面A-A及び断面B-Bにおける径方向内側部分40ほど厚くはないが、断面C-Cにおいて、径方向内側部分40は径方向外側部分42より僅かに厚い。この特定実施例において、径方向内側部分40は断面C-Cにおいて約0.32mmである。径方向外側部分42は、断面A-A及び断面B-Bにおける径方向外側厚みと略同一である、約0.24mmを有する。触覚部14の外側表面は、断面A-A及び断面B-Bにおける外側表面と同一の構造形は有しない。断面C-Cにおいて、触覚部の径方向内側の外側表面51は、断面A-A及び断面B-Bにおけるよりも直線状であることから、断面C-Cにおいて触覚部の外側表面に対して概ねD形状を与えている。断面C-Cにおいて、流体チャンバ22は、断面A-A及び断面B-Bにおけるのと同様に、概ねD形状を有する。前記触覚部は、断面C-Cにおいて、断面A-A及び断面B-Bにおける流体チャンバ構造形と実質的に同一の流体チャンバ構造形を有するが、該触覚部は、断面A-A及び断面B-Bにおける該触覚部14の外側表面の構造形とは異なる構造形を備えた外側表面を有する。
【0036】
より薄い径方向内側部分40は、断面C-Cにおいて、
図1Aに示されたアクセス通路23も生成する。光学部12と触覚部14との間におけるこの空間は、医師が、処置の間において該空間23内へとひとつ以上の潅流及び/又は吸引デバイスを挿入すると共に、吸引力を付与することで、眼球内への眼内レンズの投入において使用され得る粘弾性流体を除去することを許容する。通路23はまた、触覚部の丈に沿う任意の箇所でもあり得ると共に、ひとつより多い通路23が在り得る。本出願は、触覚部において複数の通路を含む米国公開特許第2008/0306588号に由来する
図23及び
図24における開示内容及びその本文説明を言及により援用する。
【0037】
図2Gは、
図2Aに由来する断面D-Dを通る概観を示している。本明細書中に記述された如く、触覚部14は自身内に、光学部から支持部を受容すべく形成された開口15を含む。この実施例において、開口15の高さは約0.92mmである。該開口の幅もしくは厚みは、約2.12mmである。
【0038】
図3は、(ひとつの触覚部のみが示される)2つの触覚部14を含む(不図示の)光学部12及び周縁部の相対直径を示している。この実施例において、光学部は約6.1cmの直径を有する一方、周縁部を含む調節型眼内レンズ全体は、約9.95cmの直径を有する。提供された寸法は、厳密に限定的であることは意図されない。
【0039】
図4は触覚部14の平面図であり、触覚部14は光学部の回りで約175°の角度(すなわち、実質的に180°)を範囲限定することを示している。明瞭化のために、光学部は示されない。故に、2つの触覚部は各々、光学部の回りに約180°の角度に限定している。触覚部14の第1領域61は、約118°の代表的な角度を範囲限定すべく示される。これは、触覚部14の径方向最外側部分であり、水晶体嚢に対して係合すべく形成され、且つ、嚢形状変化に対して最も応答的であるべく形成される。領域61は、触覚部14の内で最も応答的な部分と考えられ得る。
【0040】
触覚部の更に堅固である径方向内側部分の境界と見做される断面A-Aと断面B-Bとの間の角度は、約40°である。触覚部14の堅固な径方向内側部分は、光学部の周縁の直近に位置決めされる。提供された寸法及び角度は、厳密に限定的であることは意図されない。
【0041】
図5A及び
図5Bは、生来の水晶体が水晶体嚢(“CB”)から除去された後においてCB内に位置決めされた調節型眼内レンズ10の一部を示している。各図において、前方向は頂部であり、後方向は底部である。
図5Aは、
図5Bに示された高い屈折力の、又は調節された構造形に対して、低い屈折力の、又は調節されない構造形で、調節型眼内レンズを示している。
【0042】
弾性的である水晶体嚢“CB”は、毛様体筋“CM”に対して接続された毛様小帯“Z”に対して接続される。
図5Aに示された如く、毛様体筋が弛緩したとき、毛様小帯は伸張される。この伸張は、水晶体嚢と毛様小帯との間における概ね赤道的な接続箇所に依る径方向外側の力“R”により、水晶体嚢を概ね径方向外側に引っ張られる。毛様小帯の伸張は、水晶体嚢の全体的な伸張及び薄寸化を引き起こす。生来の水晶体が水晶体嚢内に依然として存在するとき、生来の水晶体は(前後方向において)更に平坦となり且つ径方向においては更に高寸となり、水晶体に対して更に小さな屈折力を与える。
図5Aに示された如く、毛様体筋の弛緩は、遠見視力を提供する。但し、眼球が近傍の物体に対する焦点合わせを試みるときに生ずる如く、毛様体筋が収縮するとき、該筋の径方向内側部分は径方向内方に移動して、毛様小帯を弛緩させる。これは、
図5Bに示される。毛様小帯における弛緩によれば、水晶体嚢は、前側表面が非調節構造形におけるよりも大きな曲率を有する概ねより湾曲された構造形へと動かされることから、更に高い屈折力を提供すると共に、眼球が近傍の物体に焦点合わせすることが許容される。このことは概略的に、“調節(accommodation)”と称されると共に、水晶体は“調節された”構造形に在ると称される。
【0043】
図5A及び
図5Bに示された触覚部14の(断面B-Bと同一である)断面A-Aにおいて、径方向内側部分40は、触覚部14に対して前後方向の剛性を提供する更に厚い塊状材料を含む。水晶体嚢の力が前後方向において触覚部に対して付与されたとき、内側部分40は、剛性により、更に再現可能で予測可能な様式で変形することで、レンズの基準状態を更に予測可能とする。さらに、触覚部は、その更に堅固である内側部分の故に、嚢を、再現可能な様式で前後方向に変形させる。さらに、触覚部は該触覚部の丈に沿い撓曲さが低いので、調節型眼内レンズの基準状態は更に予測可能である、と言うのも、触覚部の丈に沿う屈曲は、流体が光学部内へと移動される(レンズの屈折力を変化させる)ひとつの様式だからである。更に堅固である内側部分により実現される付加的な利点は、触覚部が、捻り及び拡開のような他の力に対し、内側部分における付加的な塊状材料に依り更に堅固なことである。
【0044】
径方向外側部分42は、毛様小帯に対して接続された水晶体嚢の部分に対して直接的に係合する触覚部の部分である。触覚部の外側部分42は、毛様小帯が弛緩及び伸張するときに概ね径方向に付与される嚢の形状変化力“R”に応答すべく形成される。これにより、毛様体筋の弛緩及び収縮に応じて流体が触覚部と光学部との間を流れる様に、触覚部は毛様体筋に関する力(すなわち、嚢の収縮及び弛緩)に応じて変形し得る。これは、
図5Bに示される。毛様体筋が収縮したとき(
図5B)、弾性的な水晶体嚢の周縁領域は形状変化し、触覚部14の径方向外側部分42に対して径方向内方の力“R”を付与する。径方向外側部分42は、この嚢の形状変化に応じて変形すべく形成される。該変形は流体チャネル22の容積を減少させ、流体を触覚部・チャンバ22から光学部チャンバ24内へと強制移動させる。これにより、光学部チャンバ42内の流体圧力が増大される。流体圧力における増大により、撓曲的な前側要素18及び撓曲的な後側要素20は変形し、曲率が増大することから、眼内レンズの屈折力を増大する。
【0045】
前記触覚部は、径方向におけるよりも、前後方向において更に堅固であるべく形成される。この実施例において、触覚部14の径方向外側部分42は、前後方向において更に堅固である内側部分40よりも、径方向において更に撓曲的である(すなわち、堅固さが少ない)。これは、外側部分42及び内側部分40の相対的な厚みに依るものである。故に、前記触覚部は、径方向における力に対するよりも、前後方向における力に対して更に少ない応答性で変形すべく形成される。これにより、径方向における力に応じて光学部内へと移動するより、前後方向における力に応じて光学部内へと移動する流体の量も少なくなる。触覚部はまた、その更に堅固である径方向内側部分の故に、更に予測可能かつ再現可能な様式でも変形する。
【0046】
故に、前記周縁部は、前後方向における水晶体嚢の形状変化に対するよりも、径方向における水晶体嚢の形状変化に対して更に感応的である。触覚部は、前後方向におけるよりも、径方向において更に大きな程度で変形すべく形成される。故に、本明細書における開示内容は、第1軸線に沿う嚢の力に対しては感応性が低いが、第2軸線に沿う力に対しては更に感応的である周縁部を包含する。前記の例において、周縁部は、前後方向軸線に沿い感応性が小さく、且つ、径方向軸線に沿い更に感応的である。
【0047】
上述された周縁部の代表的な利点は、それらが、再現可能な様式で水晶体嚢を変形させるが、依然として、調節の間において径方向力に対して高度の感応性を維持することである。上述された周縁部は、径方向におけるよりも前後方向において更に堅固である。
【0048】
前後方向における嚢の力の付加的な例は、調節型眼内レンズが水晶体嚢内に位置決めされた後、及び水晶体嚢が概ね治癒応答に委ねられた後における、周縁部に対する嚢の力である。治癒応答は概ね、
図5Aにおいて力“A”と特定された前後方向における、触覚部に対する収縮力を引き起こす。これらの、及び非調節に関するような、他の植設後の水晶体嚢の形状変化力は、2010年1月11日に提出された米国特許出願第12/685,531号に記述されており、該出願は言及したことにより本明細書中に援用される。たとえば、2010年1月11日に提出された米国特許出願第12/685,531号にも記述される如く、水晶体嚢の寸法には、患者毎に幾分かの変動が在る。眼内レンズが水晶体嚢内に位置決めされたとき、嚢と眼内レンズとの間における寸法差によれば、眼内レンズのひとつ以上の部分に対して前後方向において及ぼされる力を引き起こすことがある。
【0049】
前後方向における嚢の治癒力の例において、力は、一切の調節が生ずる前に、変形可能な触覚部を変形させ得る。この変形は、触覚部流体チャンバの容積を変化させることで、流体は光学部流体チャンバと触覚部流体チャンバとの間で流される。これは、幾つかの場合は不都合に、レンズの基準屈折力を変動させる。たとえば、流体は嚢の治癒時に光学部内へと強制移動されることで、調節型眼内レンズの屈折力を増大すると共に、調節型眼内レンズに対する永続的な近視的シフトを引き起こす。流体はまた、光学部から触覚部内へと強制移動されることで、調節型眼内レンズの屈折力も減少させる。
【0050】
本明細書中で用いられる如く、“径方向”とは、前後方向平面に対して厳密に直交することに限定されるのではなく、前後方向平面から45°である平面も包含する。
【0051】
代表的な流体は、2010年1月11日に提出された米国特許出願第12/685,531号、及び2011年2月23日に提出された米国特許出願第13/033,474号に記述されており、両出願は、言及したことにより本明細書中に援用される。たとえば、流体は、前側要素及び後側要素のポリマ材料と屈折率整合した、又は屈折率整合しない、シリコーン・オイルであり得る。光学部の塊状材料と屈折率整合された流体を使用すると、光学部全体が、当該レンズの外側曲率が光学部の流体圧力の増大及び減少により変化する単一のレンズとして作用する。
【0052】
前記の
図2A乃至
図2Gにおける実施例において、触覚部は、断面A-A、断面B-B及び断面C-Cにおいて実質的に均一の成分を有する変形可能なポリマ材料である。更に堅固である径方向内側本体部分40は、それの厚みに帰属する。代替実施例において、径方向内側本体部分は、外側本体部分と異なる成分を有し、その場合、径方向内側本体部分の材料は径方向外側本体部分の材料よりも堅固である。これらの代替実施例において、径方向内側部分及び径方向外側部分の厚みは、同一であり得る。
【0053】
図6は、
図2Bに示されたのと同一の触覚部構造形である触覚部50を示している。径方向外側部分54が特定される。触覚部は該触覚部の高さの中間を通る軸線“A”を有し、すなわち、代替的に述べると、軸線Aは、前後方向において触覚部の高さの中心点を通過する。軸線Aの後側には、光学部支持部が配設される開口52が在る。この実施例において、光学部は、触覚部の最前側部分よりも触覚部の最後側部分に僅かに接近して着座する。すなわち、この実施例において、光学部は、前後方向において、触覚部に対して中心合わせされない。
【0054】
図7は代替的な触覚部60を示しており(光学部は示されず)、径方向外側部分64が特定される。触覚部60は該触覚部の厚みの中間を通る軸線“A”を含み、すなわち、代替的に述べると、軸線Aは、前後方向において触覚部の高さの中心点を通過する。軸線Aに関して開口62は対称であると共に、開口62の中心点を通る軸線は軸線Aと整列される。さらに、軸線Aは、触覚部60に対する対称性の軸線である。軸線Aに沿う触覚部の対称性によれば、比較的に低い応力にて構成要素を型成形する能力が高められ得る。
図8は、
図7に示された触覚部である2つの触覚部60に対して光学部72が結合された眼内レンズ70の実施例を示している。光学部は、開口が触覚部の中線に沿わない実施例におけるよりも、更に前方向に着座する。この実施例において、光学部72は、前後方向において、触覚部に対して中心合わせされる。触覚部60の断面A-A、B-B及びC-Cは、前記に示された他の実施例において示されたのと同一であるが、触覚部は、任意の代替的な構造形も有し得る。
【0055】
図9は、光学部82と2つの触覚部84とを含む眼内レンズ80を示している。光学部は、本明細書中に記述された光学部と同一である。触覚部84は、前後方向における測定にて、触覚部60、触覚部50又は触覚部14ほど高寸ではない。好適実施例において、触覚部84は、約2.0mm~約3.5mmだけ高寸であり、幾つかの実施例において、それらは約2.8mmだけ高寸である。眼内レンズ80は、一定のスレッショルド寸法未満の水晶体嚢を備える患者に対する寸法が“小さい”調節型眼内レンズであると考えられ得る。後側要素86の後側表面は、触覚部84の最後側部分90よりも、僅かに、更に後方向に配設される。
【0056】
図10は、光学部本体100と、この実施例においては触覚部160及び180を含む周縁の非光学部本体とを含む調節型眼内レンズ98を示している。光学部本体100は、触覚部160及び180の一方もしくは両方と流体連通し得ると共に、毛様体筋の運動に応じた光学部と触覚部との間の流体移動は、眼内レンズの屈折力を変化させ得る。触覚部の変形に応じた流体推進式の調節のこの概略的プロセスは、本明細書中で見出され得る。光学部100は、後側要素140に固定された前側要素120を含み、これらは協働して、触覚部における触覚部流体チャンバ170及び190と連通する光学部流体チャンバを画成する。本開示内容における構成要素の“高さ”は、前後方向において測定される。光学部100は、光軸に沿い前後方向において測定された最大高さ“H1”を有する。触覚部160及び180は、光軸に対して平行である前後方向において測定された最大高さ“H2”を有する。光学部本体は、光軸に対して直交して測定されると共にH1の中心点を通る中心線Bを有する。触覚部もまた、光軸に対して直交して測定されると共にH2の中心点を通る中心線Bを有する。この実施例において、中心線は、一致すると共に、同一の中心線Bである。代替的に述べると、前側要素120の最前側の表面又は点は、触覚部の最前側の点又は表面から、触覚部の最後側の点又は表面からの後側要素140の最後側の表面又は点の距離と同一の距離だけ離間される。それらは幾つかの実施例において、それらが一致しないが、(たとえば、数ミリメートル離間して)互いに空間的に近傍であるならば、実質的に同一のラインであると見做され得る。触覚部に対して中心合わせされた光学部は、
図8においても示される。
【0057】
この実施例において、触覚部に対する光学部100の位置は、幾つかの利点を提供し得る。たとえば、折畳み及び/又は挿入の間において、前後方向における測定にて、中心合わせされた(又は実質的に中心合わせされた)光学部は、光学部本体が触覚部に対して実質的に中心合わせされていないときに生じ得る、ひとつ以上の触覚部が前側要素120又は後側要素140上に折り重なる可能性を阻止又は減少し得る。たとえば、レンズの後側に対して相当に接近した光学部は、変形、装填又は植設の間において、触覚部(たとえば、触覚部の自由端部)が該光学部の前側表面上に折り重なり得る可能性を高め得る。
【0058】
光学部本体100を周縁本体に対して中心合わせ又は実質的に中心合わせさせる付加的な利点は、眼球内に載置されるときに、光学部は更に容易に裂嚢部を通過することである。光学部がレンズの後側に対して更に近いとき、それが水晶体嚢内へと回転することは更に困難であり得る。
【0059】
付加的な利点は、更に後方である光学部と比較して、眼内レンズからの眩しさが減少されることである。光学部を前方向に移動する(一旦植設されたなら、それは虹彩に対して更に近くなる)ことにより、光学部の径方向外側周縁部(すなわち、触覚部の近傍の縁部表面)から反射する光は少なくなることから、縁部効果に起因する眩しさが減少され得る。
【0060】
図10における眼内レンズの幾つかの実施例において、前側要素120は、約0.28mmの如く、0.25mm~0.30mmの如く、0.2mm~0.35mmの高さを有し得ると共に、後側要素140は、約0.43mmの如く、0.40mm~0.45mmの如く、0.36mm~0.50mmの高さを有し得る。
【0061】
製造の間である如く、挿入に先立ち、
図10に示された眼内レンズは、流体が充填され得る。幾つかの実施例において、眼内レンズは、(光学部内におけるゼロの流体圧力にて;又はその内側に流体が無いときに)約13Dの如く15D未満の基準状態を有する。本明細書中で用いられる如く、約13Dとは、約10D~約15Dの基準状態を指している。約13Dの基準状態を有することにより、概略的に、流体圧力は、一方向、すなわち、高い方にのみ変化させることが可能となる。約20Dの如く、眼内レンズの基準状態が更に高いときは、所望の視力矯正と眼内レンズの意図された用法とに依存して、流体圧力を、高くするか低くするかのいずれかに変化させ得る。更に低い基準状態を配備すると、基準状態を一方向にのみ変化させることで、レンズの状態の変更が更に予測可能となる。
【0062】
本開示内容のひとつの様相は、任意選択的に流体充填され且つ流体推進され、製造の後であり且つ植設の前には非球面状の光学部表面を有する調節型眼内レンズである。すなわち、該眼内レンズは、非球面状の光学部表面を以て製造される。非球面状の光学部表面は、瞳が完全に拡張されたときに球面収差を回避し得る。眼内レンズ、特に、流体推進式の調節型眼内レンズを製造する際には、非球面状の光学部表面に伴う難題が在り得る。
【0063】
幾つかの実施例において、前記調節型眼内レンズは、非球面状の前側表面及び/又は非球面状の後側表面を以て製造される。流体充填された調節型眼内レンズが、組込式の非球面性を備えた前側又は後側の光学部表面を有し得るひとつの代表的な様式は、製造の間において、流体充填に先立ち球面状構造形を有する光学部表面を作成してから、充填プロセスの間において光学部表面に非球面性を生成することである。たとえば、製造の間において、前側表面及び後側表面の一方もしくは両方が、球面状である外側の光学部表面を有すべく製造され得る。その後、前側表面は後側表面に固定され得る。次に、光学部に対しては、ひとつ以上の触覚部が固定され得る。幾つかの実施例において、光学部は、充填に先立ち、(光学部内におけるゼロの流体圧力にて;又はその内側に流体が無いときに)約13Dの如く、15D未満の基準状態を有すべく製造される。本明細書中で用いられる如く、約13Dとは、約10D~約15Dの基準状態を指している。調節型眼内レンズ内へと(たとえば、隔膜を介して)流体が注入されるとき、流体充填段階は、光学部内の流体圧力を高めると共に、光学部の前側表面及び/又は後側表面に非球面状の構造形を配備し得る。故に、本開示内容のひとつの様相は、挿入に先立ち流体充填状態を備える光学部であって、前側光学部表面のようなひとつ以上の光学部表面に組込まれた非球面性を有する光学部を作成する段階を含む、調節型眼内レンズを製造する方法である。該製造方法は、前記光学部表面が流体充填に先立ち球面状である光学部を製造する段階を含み得る。
【0064】
非調節の全体に亙り、又は調節の全体に亙り、光学部が変形されるときに、その中央部分の少なくともひとつの表面において良好な光学的品質を維持することが好適であり得る。開示内容のひとつの様相は、全範囲の屈折力に亙り、当該光学部の中央領域において非常に制御され且つ幾分か安定的な量の非球面性を有する光学部である。これは本明細書において、光学部の中央領域における“有用な非球面性”と称され得る。有用な非球面性は、眼球の光学系における球面収差を補償して光学的品質の維持に寄与すべく構成されたレンズ表面を包含する。有用な非球面性は、調節及び非調節の間における屈折力の全ての又は実質的に全ての範囲に亙り、維持される。幾つかの場合、非球面性は、レンズ系全体の球面収差が、屈折力の全範囲に亙り低く(又はゼロに)留まり得る如く制御され得る。中央領域の外側における光学部領域は、更に大きくて更に制御されない量の非球面性を有し得る。
【0065】
幾つかの実施例において、光学部の中央領域、又は有用な非球面性の領域は、6.5mm未満、6.0mm未満、5.5mm未満、5.0mm未満、4.5mm未満、4.0mm未満、3.5mm未満、又は3.0mm未満でさえある直径を有する。幾つかの実施例において、前記中央領域は、3.5mm~5.5mmの直径を有する。幾つかの実施例において、有用な非球面性を有する光学部の中央領域は、光学部本体の直径の90%未満、85%未満、80%未満、又は75%未満の直径を有する。光学部の直径は、5mm~7mmの如く、4mm~8mmであり得る。幾つかの実施例において、中央領域は4mm~5mmであり、且つ、光学部の直径は5mm~7mmである。幾つかの実施例において、中央領域は4.25mm~4.75mmであり、且つ、光学部の直径は5.75mm~6.25mmである。
【0066】
前側要素及び後側要素の構造形は、調節又は非調節の全体に亙り、変形の全体に亙りそれらが取る形態に影響し得る。幾つかの実施例において、前側要素及び後側要素の一方もしくは両方は、光学部の中央領域が、制御されて眼球の系全体に対して有用である有用な非球面性を有する如く、輪郭形成もしくは構成される。この実施例において、前側要素120、及び更に少ない程度にて後側要素140は、前側要素120の前側表面及び後側要素140の後側表面が、調節の間において光学部の中央領域に制御された有用な非球面性を維持する様に構成される。この実施例において、中央部分に寄与して有用な非球面性を維持する構造形のひとつの様相は、前側要素120、及び任意選択的には後側要素140が、前側要素120の周縁におけるよりも(前側要素120の頂点における如く)中央における方が大きい(本明細書においては“高さ”とも称される)厚みを有することである。有用な非球面性に寄与する付加的な様相は、前側要素が、外側表面(前側表面)上よりも内側表面(後側表面)上にて更に平坦なことである。調節の間において、前側要素120の中央領域は中央において急峻となる(ことでAIOLの屈折力を増大する)が、光学部本体は、少なくとも部分的に、前側要素の中央領域の比較的に大きい厚みの故に、自身の有用な非球面性を維持する。それはまた、以下に記述される如く前側要素に非球面性が組込まれた好適実施例において、調節に先立ち非球面状であり得る。
【0067】
前側要素及び後側要素の厚み輪郭は、全ての屈折力に亙り光学部が有用な非球面性を維持することに寄与し得、その一例は、前側要素及び後側要素の厚みである。
【0068】
図11は、本明細書における調節型眼内レンズの任意のもの、又は本明細書中に記述されない他の適切なIOLの一部であり得る代表的な触覚部を示している。一方もしくは両方の触覚部が、
図11に示された如く構成され得る。
図11における触覚部は“160”と参照番号が付されるが、
図11における触覚部が、
図10に示された以外の眼内レンズの一部であり得ることは理解される。触覚部は、光学部本体の外縁部に固定された表面220を含む。表面220は、触覚部の径方向内側表面であり、且つ、該表面は、該表面220全体が光学部本体の単一もしくは複数の外縁部表面に対して接続される様に、光学部の外縁部と実質的に同一の湾曲である僅かな湾曲を(触覚部の丈に沿い)自身に備えて構成される。表面220は、該表面の延在範囲が光学部の光軸を通過しない様に、光学部に対する構造形を有する。表面220を光学部の単一もしくは複数の外縁部表面に固定すべく、接着剤が使用され得る。この実施例において、触覚部と光学部本体との間の結合は、
図1A乃至
図9に示された実施例における如く幾つかの触覚部/光学部の結合設計態様に対して使用され得るような、触覚部及び光学部の一方が、他方におけるチャネル、ボア又は開孔内に配設されることを包含しない。この形式の設計態様の幾つかの代表的な利点は、以下に記述される。
【0069】
図12は、明瞭化のために触覚部が除外された光学部100の斜視図を示している。(不図示の)触覚部の表面220は、光学部本体100の前側要素120及び後側要素140の両方に固定される。表面220の大部分は、後側部分140と接続されるが、表面220の一部は前側要素120に対して接続される。これは、光学部本体の外縁部は主として後側要素140により大きく形成されるからである。異なる光学部の構成によれば、表面220は、後側要素よりも前側要素に対して多く固定され得る。表面220の高さH3(
図11参照)は、光学部本体の外縁部の高さと実質的に同一であることも銘記されたい。
【0070】
触覚部160の表面220は、第2端部領域250より大きな表面を備えた構造形を有する第1端部領域230を有する(
図11参照)。
図13に示された如く、表面220の端部領域230は、表面220の端部領域250よりも大きな表面積を有すると共に、少なくとも部分的に斜端形成された表面Bを有する。端部領域230の幅W1は、端部領域250の幅W2よりも大きい。端部領域230の構造形は、代表的な利点を提供し得る。たとえば、眼内レンズを投入デバイス及び/又は患者の眼球内へと装填するプロセスの一部として、触覚部160及び180の一方もしくは両方は、光学部に対して“拡開”され得る。すなわち、一方もしくは両方の触覚部は、
図10乃至
図14に示された通常の静止構造形から、触覚部の自由端部170を光学部本体から離間移動することにより、再構成され得る。拡開の間において光学部から自由端部(及び触覚部の大寸部分)が離間移動される程度は、変更され得る。幾つかの装填方法において、両方の触覚部の一方は、該触覚部が光学部の背後又は前方に配向される如く、相当に拡開され得る。幾つかの場合、触覚部の自由端部(すなわち、光学部に対して直接的に結合されるのではない触覚部の端部)は、それが静止構造形において指し示すところから実質的に180°を“指し示す”。通常は、単一もしくは複数の触覚部を拡開させると、触覚部と光学部との間の結合接続面における応力が引き起こされる。光学部と触覚部との間の結合接続面は、触覚部が光学部から離脱しない様に、これらの力に耐え得るべきである。触覚部を拡開させるとき、接続面230の端部であって、自由端部に更に近い端部における光学部/触覚部の結合部には、高応力箇所が在り得る。故に、端部領域230は、触覚部/光学部の接続面が破損する可能性が高い箇所である。自身の大きな表面積と、先細状に斜端形成された構造形とを備えた端部領域230は、付与される応力(又は任意の時点にて触覚部が光学部に対して再配向される応力)を分散させるべく、且つ、触覚部が光学部から離脱することを阻止すべく作用する。
【0071】
表面220の構造形は、多くの様式で改変されることで、触覚部と光学部との間に所望の接合様式を提供し得る。故に、(一方の構成要素を他方内に嵌合させるのとは対照的に)この様に触覚部及び光学部を接合することは、設計態様に更なる融通性を提供するより多くのインタフェイス構造形を可能にする。
【0072】
図11における触覚部の実施例において、流体開孔240は触覚部の中線に沿い中心合わせされる。該中心線は、
図10に示されたのと同一様式で定義される。該中心線は、触覚部の側面視において(前後方向において測定された)触覚部高さの中心点を通過する。
【0073】
該触覚部の他の様相は、触覚部の一部に沿う更に厚い径方向内側壁部の厚み、自由端部に対する結合端部からの光学部の周縁の曲率に従う一方もしくは両方の触覚部、及び光学部の最前側箇所よりも更に前方に延在する触覚部の最前側箇所の如く、本明細書中に記述されたのと同一であり得る。
【0074】
後側要素140は、自身内に、触覚部流体チャンバ170及び190と流体連通する2本の流体チャネル210を有する。後側要素140の外縁部は、自身内に、流体チャネル210の端部を夫々画成する2つの開孔を含む。(接着剤接合部であり得る)触覚部/光学部の接続面は、後側要素140における2つの流体開孔を囲繞する。幾つかの代替例において、光学部は、2本の代わりに1本のみの流体チャネルを有する。
【0075】
図13は触覚部160の別の概観であり、光学部用の接続表面220、及びそこにおける流体開孔240の僅かな曲率を示している。
【0076】
図14は、後側から見た、
図10に由来する眼内レンズの斜視図である。後側要素140においては複数本の流体チャネル210が視認され得、それらの内の2本は、各触覚部に対して関連付けられる。触覚部と光学部との間の接続面も視認され得る。
図14は、
図10に示された断面A-Aを示している。
【0077】
図15は、
図10に由来する眼内レンズの付加的な概観を示し、光学部の外縁部と触覚部との間の間隔292、ならびに、光学部と触覚部との間の結合様式が視認され得る。
【0078】
光学部の回りにおける180°ではなく、個々の箇所において光学部本体に対してひとつ以上の触覚部が接着される幾つかの実施例において、触覚部を光学部本体に固定する接着剤を硬化させる硬化段階は、2つの構成要素が接着される箇所において材料の収縮を引き起こし得る。個々の箇所におけるこの収縮は、非点収差のような、レンズにおける歪曲を引き起こし得る。歪曲の程度を阻止もしくは減少することが有用もしくは必要であり得る。
図16は、代替的な調節型眼内レンズ300の分解斜視図を示している。
図17は、AIOL300の平面図を示している。
図18は、AIOL300の光学部301の斜視図を示している。
図19は、
図17に示された断面A-Aの概観である。
【0079】
図16乃至
図18は、代表的な光学部本体301(
図18参照)と触覚部310との間の代表的な接続面であって、光学部本体と触覚部とが固定される箇所における収縮による歪曲の緩和を助力し得る接続面を示している。
図10乃至
図15におけるような他の実施例と比較して、光学部本体301と触覚部310との間の接続面は、光学部本体301から、特に光学部表面から、径方向に離間して位置変更される。接続面を、故に、可能的な収縮の箇所を、光学部表面から離間移動することにより、硬化段階により光学部表面に対して引き起こされる歪曲の量は減少され得る。触覚部310の結合領域311は夫々、触覚部と当該突出部303との間の接続面が、光学部の光学部表面から径方向に離間される如く、光学部突出部303を含む。この形式の接続面は、非調節型又は調節型の眼内レンズと共に使用され得るが、この実施例において、レンズは調節型眼内レンズである。
【0080】
たとえば、調節型眼内レンズ300は、光学部本体301(
図18参照)及び触覚部310を備え得る。この実施例において、触覚部310は光学部310とは別体的に製造されてから、光学部310に固定される。触覚部310は各々、光学部310の径方向周縁表面306に固定された径方向内側平坦表面312を含む(
図16においてはひとつのみに参照番号が付されている)。この実施例において、表面312は、触覚部310の結合領域311の径方向内側表面である。たとえば、表面312を光学部310の径方向周縁表面306に固定するために、接着剤が使用され得る。触覚部を光学部に固定するプロセスは、前記で論じられた如く、光学部70の光学的性能に影響し得る。たとえば、接着剤の硬化プロセスは、2つの個々の箇所において光学部301の収縮を引き起こすことで可能的に、眼内レンズの歪曲、及び非点収差のような収差に帰着し得る。
【0081】
この実施例において、眼内レンズは、光学部301の後側要素304の周縁表面309から径方向外側に延在する2つの突出部303を備えて成る。突出部303は、外縁部表面309により画成される光学部の概略的に湾曲した周縁からの突出部と考えられ得る。触覚部310は各々、突出部303に固定された第1部分311、及び該第1部分311から離間して配設された自由な第2部分315を有し得、触覚部の各々の径方向内側表面は、光学部の径方向外周表面に追随する。突出部303はまた、本明細書において、本開示内容における“陸域”又は“陸部”とも称され得る。
【0082】
突出部303は、光学部の周縁表面309から径方向外側に、10ミクロン~1mm、任意選択的には10ミクロン~500ミクロンだけ延在する隆起領域であり得る。突出部303の径方向周縁表面306は、光学部の中心から、光学部の周縁表面309よりも、10ミクロン~1mm、任意選択的には10ミクロン~500ミクロンだけ径方向に更に離間され得る。たとえば、突出部303は、光学部の周縁表面309から径方向外側に100ミクロン~200ミクロンだけ延在する隆起領域であり得る。突出部303の径方向外周表面305は、光学部の中心から、光学部の周縁表面309よりも100ミクロン~200ミクロンだけ、径方向に更に離間され得る。前記範囲以外の値も可能である。突出部303は、固定表面又は結合表面を光学部から更に離間移動させることで、光学部と触覚部との間の接着剤を硬化させるときの収縮に起因する光学部の歪曲を阻止し得る。
【0083】
幾つかの実施例において、光学部は平面視にて円形状を有すると共に、光学部の径方向外側周縁部309は概略的に円形である。本明細書において突出部が光学部本体から径方向に離間して延在すると記述されるとき、突出部は、光学部の径方向外側周縁部の概略的な曲線から離間して延在し得る。
【0084】
幾つかの実施例において、眼内レンズの光学部及び突出部303は、単一の一体的物体であり得る。たとえば、突出部303は、光学部の一部として型成形され得る。幾つかの他の実施例において突出部303は、接着などにより、光学部に結合され得る。
【0085】
幾つかの実施例において、光学部301は、後側要素及び前側要素を備えて成ることで、前記の実施例における如く、それらの間に流体チャンバを任意選択的に画成する。たとえば、突出部303は後側要素の一部であり得る、と言うのも、後側要素は更に厚い周縁を有するからである。突出部はまた、前側要素の一部でもあり得る。更に別の例に対し、突出部は、光学部の後側要素及び前側要素の一部であり得る。
【0086】
突出部303の外側表面306及び触覚部310の内側表面312は、それらが当接接合にて接続される如く、全てが平坦であり得る。たとえば、突出部303の径方向外周表面306は、任意選択的には全体的に平坦な平坦表面を備え得る。触覚部310の径方向内側表面312もまた、任意選択的には全体的に平坦な平坦表面を備え得る。別の例に対し、突出部303の径方向外周表面306は、任意選択的には全体的に湾曲された、湾曲表面を備え得る。触覚部310の径方向内側表面312もまた、任意選択的には全体的に湾曲された、湾曲表面を備え得る。径方向外周表面306の曲率は、光学部本体の周縁表面309の曲率と同一であり得ると共に、幾つかの実施例においては、光学部本体の周縁表面309の曲率より大きく又は小さくされ得る。
【0087】
触覚部310は、本明細書中に記述された周縁部流体チャンバを備え得る。突出部303は、触覚部における周縁部流体チャンバと流体連通する少なくとも一本の流体チャネル308、任意選択的には少なくとも2本のチャネルを備え得る。隆起された突出部303は流体チャネルに対して更なる安定性を提供し得る、と言うのも、突出部の箇所には更なる光学材料が在るからである。
【0088】
概略的に、突出部は、同様に触覚部及び光学部を結合することにより製造される非調節型(固定された屈折力)の眼内レンズ上に配設され得る。たとえば、眼内レンズが、単一の屈折力を備えた流体非充填の(たとえば、PMMA材料などの)光学部本体、及び2本の触覚部である屈折力固定式の眼内レンズもまた、光学部本体の周縁表面から径方向外側に延在する突出部を備え得る。
【0089】
図16乃至
図19における実施例は、
図10に示された光学部100のような、本明細書における適切な光学部の内の任意のものに取入れられ得る代替的な触覚部の断面構造形(断面に対しては
図19を参照)も示している。触覚部310の(前後方向において測定された)高さHは、2mm~2.5mmであり得ると共に、2.1mm~2.4mmであり得る。これは、3mm超の高さのような、他の眼内レンズに対する他の触覚部高さよりも小であり得る。触覚部に対し、2~2.5mmの高さを配備することは、有用であり得るが、必須ではない。眼球の解剖学的構造のサイズには、患者毎に一定の変動性がある。たとえば、嚢のサイズ、又は嚢と虹彩の後側との間の距離には、変動性がある。幾つかの触覚部によれば、触覚部と虹彩の後側との間には一定の擦過が在り得る。また、在るとしても、何らの懸念を引き起こさないこともある。故に、単に十分に注意するものとして、斯かる擦過の可能性を最小限とする触覚部高さを配備することが有用であり得る。
【0090】
触覚部310はまた、流体チャンバ316の径方向内側に、該チャンバ316の径方向外側における触覚部壁部の厚み“t
o”よりも大きい厚み“t
i”を有する径方向内壁部分313も含む。幾つかの実施例において、“t
i”は、“t
o”の4~9倍である。径方向内壁部分313は、本明細書において、“スペーサ”と称され得る。
図16に示された如く、該スペーサは、触覚部の殆ど全長に沿い延在するが、光学部と触覚部との間に間隔が存在する箇所には存在しない。流体チャンバ316の径方向内側壁部は、示された如く、流体チャンバ316の径方向外側壁部よりも平坦である。触覚部310は、光学部の光軸を通過する平面内の断面であって、触覚部流体チャンバが触覚部の径方向外側部分内に配設され且つ触覚部の径方向内側部分が流体なしの断面を有する触覚部の例である。触覚部310は、光学部の光軸を通る平面の断面において、且つ、光学部の光軸に直交して触覚部の中心点を通る方向において、径方向外側の流体チャンバ壁厚の4~10倍である径方向内側の流体チャンバ壁厚を有する触覚部の例である。触覚部310は、当該触覚部が、光学部の光軸を通る平面の断面において、周縁部を通る任意の軸線であって光学部の光軸と平行な任意の軸線に関して対称でない外側表面を有し、且つ、当該触覚部が、触覚部の中心点を通る光学部の光軸に直交する方向において、径方向外側の流体チャンバ壁厚よりも大きい径方向内側の流体チャンバ壁厚を有する触覚部の例である。触覚部310は、当該触覚部が、光学部の光軸を通る平面の断面において前後方向にて測定された高さ寸法を有し、周縁部の径方向外側半体における該周縁部の最大高さが、周縁部の径方向内側半体における該周縁部の最大高さよりも大きい、触覚部の例である。
【0091】
幾つかの実施例において、光学部本体のひとつ以上の側面は、1.50~1.53の如く、約1.48~1.55である屈折率を有する。幾つかの実施例において、ひとつ以上の構成要素の屈折率は、約1.48、約1.49、約1.50、約1.51、約1.52、約1.53、約1.54、又は約1.55である。前側要素、流体、及び後側要素の間には、設計された屈折率の不整合があり得るが、幾つかの実施例においては、少なくとも2つの構成要素、任意選択的には全ての3つの構成要素の間において、設計された屈折率整合がある。光学部の全ての構成要素が、同一又は実質的に同一の屈折率を有すべく設計されたとき、それらは、屈折率整合されたと称される。2015年6月10日に提出された米国仮出願第62/173,877号に記述された眼内レンズの特性(たとえば、屈折率、流体、モノマ組成など)の任意のものは、本明細書における眼内レンズの設計態様の任意のものにおいて実現され得る。
【0092】
本明細書における流体を含むIOLの任意のものを作成すべく使用され得る代表的な材料は、言及したことにより全体的に本明細書中に援用されるPCT/US2016/037055に見出され得る。
【0093】
本明細書中に記述された任意の構造形を備えた周縁部は、本明細書中に記述された結合概念の任意のものを用いて光学部に結合され得る。たとえば、
図16及び
図19に示された構造形を備えた周縁部及び断面構造形は、光学部が、
図16に示された光学部突出部303のような突出部を含まないとしても、光学部に結合され得る。たとえば、
図16及び
図19に示された触覚部310は、
図11乃至
図15に示された結合概念及び幾何学形状を用いて光学部に結合され得る。斯かる状況展開において、光学部に結合されるべき触覚部310の端部は、触覚部の湾曲内側表面が光学部の湾曲外側表面に当接する如く、概ね
図13に示されたような湾曲内側表面を有する。
【0094】
眼内レンズは、公知の技術を用いて眼球内へ(任意選択的に水晶体嚢内へ)位置決めされ得る。外科的な植設処置の間において、IOLの少なくとも一部分は、前後方向において面外力を受け得る。外科的処置の少なくとも一部の間において、これらの力に抗することを助力すると共に眼内レンズの平坦な載置の達成を更に容易とするために、IOLは任意選択的に、前後方向において光学部に対する周縁部の安定化を助力するひとつ以上の付加的な特定構造を含み得る。
【0095】
幾つかの実施例において、光学部の少なくとも一部分は、周縁部の少なくとも一部分と相補的な構造形もしくは形状を有し得る。それは、周縁部の内側表面の少なくとも一部分と相補的である光学部周縁表面であり得る。
【0096】
任意選択的に、植設の間におけるIOLの平坦な載置の達成をより容易にするために(これに関連して、平坦とは、光学部の光軸に直交する平面を指している)、光学部は、任意選択的に、軸方向において周縁部の安定性を高めることで、光学部に対する周縁部の軸方向移動を阻止し、最小限とし、及び/又は減少させることが試みられるように構成され得る。
【0097】
図20は、光学部330を含む代表的な(任意選択的には調節型である)眼内レンズ320の光学部の断面図を示している。明瞭化のために、周縁部は示されない。光学部330は前側要素331及び後側要素332を含み、別のやり方で示されるのでなければ、眼内レンズは(必須ではないが)、
図1A乃至
図19における実施例の任意のものにおいて見出される特徴を有し得る。
図20に示された断面図は、
図17に示された断面A-Aに沿って得られたのと同一の断面図である。光学部330と、
図19における光学部との間のひとつの相違は、光学部330が、その周縁部の少なくとも一部分に沿う周縁表面333(この実施例においては陥凹部)を含むことである。これに関連して使用される“陥凹部”とは、概ね光学部の周縁の表面であって、光学部周縁の別の部分よりも径方向内側に更に延在する表面を指している。この例において、周縁表面333は、光学部領域334及び光学部領域336よりも更に径方向内側に配設された領域335を含む。この例において、光学部領域334は陥凹部領域335の前方であり、且つ、光学部領域336は陥凹部領域335の後方である。陥凹部の両側に隆起領域を配備することにより安定性が増進され得るが、幾つかの実施例においては、光学部が、陥凹部の前方及び後方の両方において陥凹部よりも径方向外側に延在する領域を含まないことが想起され得、その幾つかの例は以下に記述される。たとえば、(たとえば、後方ではなく前方、又は前方ではなく後方などの)一方向のみにおいて周縁部の移動を阻止することが望まれ得る。
【0098】
光学部周縁表面は、それが、少なくともひとつの方向において周縁部に対する軸方向安定性を提供する限りにおいて、種々の構造形を有し得る。周縁表面の構造形はまた、周縁部の構造形にも依存し得る。幾つかの実施例において、周縁表面は、略U形状、(
図20に示されたような)略C形状、扇形状などを有し得る。周縁表面の構造形は、湾曲及び/又は平坦表面を含み得る。幾つかの実施例において、光学部周縁表面は、ひとつ又はふたつの隆起稜線部を含み、前記隆起稜線部は、該隆起稜線部に対して径方向内側に配設された光学部周縁の領域よりも更に径方向外側に延在する。
【0099】
本明細書中に記述された周縁表面は、周縁部の少なくとも一部分を捕捉すると共に、前方向及び後方向の少なくとも一方における周縁部の少なくとも一部分の移動を減少もしくは最小限にすると考えられ得る。
【0100】
図21は、
図20に由来するのと同一の断面A-Aを示すが、この実施例においては、まさに
図19の実施例におけるような第1及び第2の触覚部を含む周縁部340を含んでいる。
図21における触覚部は、他の点においては、
図19における触覚部と同一もしくは同様であり得る。触覚部は、光学部の部分よりも更に径方向内側に延在する部分343を含む本体341を含む。この実施例において、触覚部部分343は、光学部領域334及び光学部領域335よりも更に径方向内側に延在し、領域334は、触覚部が該領域334よりも更に径方向内側に延在する箇所において触覚部の前方であり、且つ、領域336は、触覚部が該領域336よりも更に径方向内側に延在する箇所において触覚部の後方である。この実施例において、陥凹部内に延在する触覚部の部分は、触覚部の径方向内側部分である。
【0101】
図22は、眼内レンズの一部のみの拡大図を示し、仮想点線及び斜線により、光学部の区画334及び336よりも更に径方向内側に延在する触覚部の径方向内側区画337を示している。径方向において光学部周縁表面内にあると見做されるのは、触覚部のこの部分337である。
【0102】
図21におけるこの実施例においては、(前後方向において触覚部の高さに沿って測定された)触覚部の一部のみが、光学部陥凹部内に配設される。この実施例において、触覚部の中央領域は、陥凹部の近傍にてその中に配設されると共に、夫々、中央の触覚部領域の前方及び後方である触覚部の領域は、径方向において陥凹部内に配設されるとは見做されない。幾つかの実施例において、周縁部の(その高さに沿って測定された)75%以下が、陥凹部内にある。幾つかの実施例においては、周縁部の50%以下が陥凹部内であり、幾つかの実施例においては、周縁部の25%以下が陥凹部内にある。
【0103】
図21における実施例において、光学部陥凹部内にある周縁部の部分は、光学部から直接的には延在しない。このことは、周縁部のこの部分が、この断面において光学部に結合されず、又は一体的には形成されないことを意味する。すなわち、陥凹部内にある周縁部は、該周縁部が光学部から延在する(たとえば、それに結合され、もしくは一体的に形成された)箇所から離間される。このことは、陥凹部は、少なくともこの実施例において、周縁部と光学部との間の結合箇所におけるものでなく、該結合箇所から離間して配設されることの明確化を助力する。(
図19乃至
図21におけるのと同一の断面である)断面A-Aは、周縁部が光学部から直接的に延在する箇所から離間された箇所の例である。
【0104】
この実施例において、径方向において陥凹部内にある触覚部の部分は、直接的に光学部の近傍にあり(但し、その箇所において光学部から延在はせず)、且つ、幾つかの場合、光学部に係合し、もしくは光学部に対して殆ど係合し得る。幾つかの実施例において、光学部の近傍である周縁部の内側表面は、光学部表面から100ミクロン以下だけ離間され、且つ、50ミクロン以下だけ離間され得る。
【0105】
図21に示されたものの代替例において、陥凹部は、(前側要素がより厚ければ)前側要素内のみとされ得るか、それは、前側要素及び後側要素の両方に形成され得る。
【0106】
本明細書における調節型眼内レンズの任意のものにおいて、光学部は別個の前側要素を含まないこともあり得るので、本明細書における陥凹部は、前側要素もしくは後側要素(又は両方)の一部ではなく、寧ろ、光学部の構造に関わらず、概ね光学部の一部と見做される。
【0107】
前記に示された如く、陥凹部は、種々の構造形を有し得ると共に、該陥凹部は、光学部の光軸に直交する軸線に関して対称である必要はない。陥凹部は、周縁部の少なくとも一部分に対して一定の軸方向安定性を提供する限りにおいて、自身の目的に資する。故に、周縁部の構造形は、光学部の周縁の構造形にも影響し得る。
【0108】
図23乃至
図26は、ひとつ以上の陥凹部を含む周縁表面を備える光学部の代替的例の断面図を示している(それらは、
図17に示されたのと同一の断面A-Aであり得る)。
図23乃至
図26における光学部は、本明細書中で詳細に記述された以外の光学部は、ひとつ以上の陥凹部を含み得ること、及び光学部の特定の構造は重要でないことを示している。
図23乃至
図26における光学部は、単体的構造として示されることで、種々の光学部は本明細書中に記述された陥凹部を有し得ることを示している。さらに、(
図23乃至
図26におけるものを含め)本明細書における光学部の任意のものは、(本明細書における任意の触覚部を含む)本明細書における周縁部の任意のものと共に使用され得る。
図23乃至
図26は、明瞭化のために、周縁部を示していない。
【0109】
図23は、夫々、単一もしくは複数の周縁表面に形成された第1及び第2の陥凹部351及び352を有する光学部350を示している。この実施例において、陥凹部は、少なくともひとつの平坦表面を有する。
【0110】
図24は、陥凹部361及び362を有する周縁表面を備えた光学部360を示している。陥凹部361及び362は、複数の平坦表面を有すると共に、概ね谷部を画成する。
【0111】
図25は、陥凹部371及び372を含む周縁表面を含む光学部370を示している。この実施例において、陥凹部は、光学部の光軸に直交する軸線に関して対称でない。この実施例において、光学部の部分373は陥凹部内の触覚部に対して前方であるが、該光学部は、陥凹部内の触覚部の後方となる部分を有さない。これは、周縁部の前方移動のみが問題であるならば、使用され得る。同様に、光学部の配向は、部分373が、陥凹部内の触覚部の後側である如く、反転され得る。
【0112】
図26は、(前後方向において)当該光学部の全ての又は実質的に全ての周縁部に沿って延在する陥凹部381及び382を含む周縁表面を含む光学部380を含んでいる。
【0113】
(たとえば陥凹部などの)周縁表面は、(
図17におけるような平面視において)光学部の周縁の任意の部分、又は光学部の周縁の全周に延在し得る。実際、周縁表面は、周縁部が光学部に結合する領域の回りにも延在し得るが、通常は、それらはそうではない。
【0114】
幾つかの実施例において、且つ、
図17に関し、光学部は、少なくとも、周縁部の内側表面の一部が該光学部の直近にある箇所において(たとえば陥凹部などの)周縁表面を備えて成る。たとえば、
図17に関し、陥凹部は、結合箇所と、間隔292の領域とを除き、周縁部の回りの全ての箇所において光学部に存在し得る。この実施例において、これは、触覚部が光学部の直近であって、その位置が、光学部に対するそれの接近性の故に安定化され得る箇所である。当然乍ら、陥凹部はそれらの領域以外にも延在し得る。たとえば、陥凹部は、該陥凹部が触覚部の一部をその領域において直接的には安定化させないとしても、間隔292の近傍にて延在し得る。たとえば、陥凹部を、必要とされるよりも長寸に製造することが更に容易であり得る。
【0115】
故に、陥凹部が光学部の全周には延在しない実施例においては、陥凹部を含まない光学部の領域により分離されたひとつより多い陥凹部が在り得る。それらは、所望に応じて、任意数の別個の陥凹部であり得る。
【0116】
本明細書における周縁部よりも更に環状であると共に、実際に光学部を完全に囲繞し得る周縁部が在り得る。これらの実施例における陥凹部は、光学部の相当な部分の回りに延在し得る。
【0117】
本明細書における実施例の任意のものにおいて、周縁部は代替的に、径方向内側表面の任意のものを有し得ると共に、光学部の周縁表面は、その少なくとも一部分が周縁部の陥凹部に対して相補的である(たとえば、外向きの径方向延長部などの)形状を有し得る。開示内容の他の全ての様相は、これらの代替実施例に対して適用され得る。
【0118】
本明細書における陥凹部の任意のものは、ひとつ以上の部材の機械加工又は型成形の間における如く、眼内レンズのひとつ以上の構成要素の製造の間に作成され得る。
【0119】
少なくともひとつの陥凹部を取入れる種々の様式の任意のものは、本明細書における種々の実施例の任意のものに取入れられ得る。
【0120】
本明細書における幾つかの実施例において、前記表面は陥凹部と記述されるが、陥凹部とは、まさに、(光学部の一部であるならば)代表的な周縁表面であると共に、(周縁部の一部であるならば)代表的な径方向内側表面であり、限定的であることは意図されないことは理解される。
【0121】
図20乃至
図26の全てにおける実施例は、IOLの周縁部の径方向内側部分の少なくとも一部分に対して少なくとも部分的に相補的である周縁表面を有する光学部の外周縁の例であり、その場合、光学部表面は径方向内側部分の直近にあり、且つ、光学部表面は、径方向内側部分から、それらが直近にある箇所において直接的に延在(それに結合又は一体的に形成され)はしない。
【0122】
図20乃至
図26の全てにおける実施例は、光学部の外周縁は周縁表面を有しIOLの周縁部の径方向内側部分は径方向内側表面を有し、周縁表面は内側表面の直近にあり、周縁表面は内側表面から直接的に延在する(前記光学部に結合されるか又は前記光学部と一体的に形成される)ことはなく、且つ、周縁表面及び内側表面は、周縁部が、光学部に対して近位方向及び遠位方向の少なくとも一方、任意選択的にはその両方において安定化される様に構成される、眼内レンズの例である。