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特許7440422点滴および灌注施用で使用するためのケトエノールクラスの殺虫剤を含む高負荷製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】点滴および灌注施用で使用するためのケトエノールクラスの殺虫剤を含む高負荷製剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/90 20060101AFI20240220BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20240220BHJP
   A01N 43/80 20060101ALI20240220BHJP
   A01M 1/20 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A01N43/90 102
A01P7/04
A01N43/80 102
A01M1/20 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020555781
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2019059479
(87)【国際公開番号】W WO2019197637
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-04-11
(31)【優先権主張番号】18167285.8
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591063187
【氏名又は名称】バイエル アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ゴルカ・ペリス
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・フィリップ・ハース
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ヘアマン
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-505753(JP,A)
【文献】特表2011-515352(JP,A)
【文献】特表2008-531486(JP,A)
【文献】特表2011-514330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 43/
A01P 7/
A01M 1/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.少なくとも1つのケトエノール殺虫剤と、
b.少なくとも1つの分散剤と、
c.少なくとも1つのpH緩衝剤と、
d.レオロジー調整剤としてのキサンタンと、
e.少なくとも1つの不凍剤と、
f.少なくとも1つの殺生物剤と、
g.少なくとも1つの消泡剤と、
h.場合により、aのケトエノール殺虫剤ではない、さらなる殺虫剤有効成分およびアジュバントと、
i.水と
を含む組成物であって、
成分a)が式(I-2)の化合物
【化1】
であり、
成分a~gが以下の通り存在することを特徴とする、組成物:
a)200~400g/L、
b)40~90g/L、
c)0.9~2.0g/L、
d)3~5g/L、
e)100~150g/L、
f)0.05~1.5g/L、
g)0.05~1.5g/L
【請求項2】
成分b)がトリスチリルフェノールポリエチレングリコールエーテルに基づく非イオン性分散剤であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分c)がクエン酸塩またはリン酸塩ベースのpH緩衝剤であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
成分e)が、尿素、ジオールおよびポリオールからなる群から選択される不凍剤であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
成分f)がイソチアゾリノンの群から選択される殺生物剤であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
成分g)がシリコーンベースの消泡剤であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
a.以下の構造を有する式(I-2)を有する化合物
【化2】

b.トリスチリルフェノールアルコキシレートおよび脂肪酸ポリグリコールエーテルエステルからなる群から選択される少なくとも1つの非イオン性分散剤と、
c.クエン酸塩およびリン酸塩ベースのpH緩衝剤からなる群から選択される少なくとも1つのpH緩衝剤と、
d.レオロジー調整剤としてのキサンタンと、
e.尿素、ジオールおよびポリオールからなる群から選択される少なくとも1つの不凍剤と、
f.イソチアゾリノンの群の少なくとも1つの殺生物剤と、
g.シリコーンまたはシランベースの消泡剤の群の少なくとも1つの消泡剤と、
h.場合により、aの化合物ではない、さらなる殺虫剤有効成分およびアジュバントと
を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
a.以下の構造を有する式(I-2)を有する化合物:
【化3】
と、
b.トリスチリルフェノールアルコキシレートを含む群から選択される少なくとも1つの非イオン性分散剤と、
c.クエン酸塩およびリン酸塩ベースのpH緩衝剤からなる群から選択される少なくとも1つのpH緩衝剤と、
d.キサンタンを含む群から選択される少なくとも1つのレオロジー調整剤と、
e.エチレングリコールおよびプロピレングリコール、グリセロールからなる群から選択される少なくとも1つの不凍剤と、
f.ベンズイソチアゾリノンを含む群の少なくとも1つの殺生物剤と、
g.シリコーンベースの消泡剤の群の少なくとも1つの消泡剤と、
h.場合により、aの化合物ではない、さらなる殺虫剤有効成分およびアジュバントと
を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物の内容物によって特徴付けられる製品。
【請求項10】
昆虫を防除するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い有効成分濃度、優れた生物学的有効性および優れたレオロジー安定性を有する無溶媒水性フロアブル剤、およびその製造方法に関する。本発明の製剤は、植物保護の分野に適している。
【背景技術】
【0002】
有効成分は、原則として多くの異なる方法で製剤化することができ、有効成分の特性および製剤の性質が、製剤の生産性、安定性、使いやすさおよび有効性の点で問題を提示する可能性がある。さらに、特定の製剤は、経済的および環境的理由で他の製剤よりも有利である。
【0003】
水系製剤は、一般に、たとえあるとしても、少量の有機溶媒を必要とするという利点を有し、有機溶媒を省くことにより、環境上の利益を提供することができる。
【0004】
他方、より高い濃度には多くの利点があるため、一般に、有効成分の高濃度製剤が必要とされる。例えば、高濃度製剤では、低濃度の製剤よりも包装の必要性が少なくなる。対応して、製造、輸送(量と頻度)および貯蔵にかかる費用が減少する。さらに、例えば、分配および混合操作において、例えば、取り扱われなければならない作物保護組成物が少量であることにより、例えば、農業で使用されるスプレー液の調製が単純化される。さらに、水濃縮製剤は通常、有機溶媒含有製剤よりも高濃度であるだけでなく、溶媒を含まないため環境的にも望ましい。さらに、高濃度製剤は、製剤の不活性材料または担体材料のより経済的な取り扱いを提供する。
【0005】
同時に、AI(有効成分)の負荷が高くなることによって、製剤の技術的安定性が低下してはならない。
【0006】
したがって、高濃度フロアブル剤(SC)が、経済的および環境的観点から好ましい。
【0007】
しかしながら、一部の物質、例えば除草剤毒性緩和剤は、その低く広い融点範囲およびその非晶質構造のために、水に直接添加することができないので、最初に有機溶媒に溶解/配合しなければならない。その場合、これらは、例えば、溶解または乳化された形態の低融点有効成分を含む、有機分散液、水性エマルジョン、サスポエマルジョン(suspoemulsion)、カプセル懸濁液として、またはエマルジョン濃縮物として配合される。ここでの欠点は、有機溶媒の添加を通して、水性分散液を得ることができないことである。代わりに、形成されるのは水性エマルジョンまたはサスポエマルジョンであり、これらは貯蔵においてはるかに安定性が低く、通常、純粋な水性分散液よりも低濃度となる。水分散性顆粒を得るための技術的濃縮物の処理では、溶媒として慣用的に使用される鉱油(例えば、ExxonMobil製のSolvesso(登録商標)200ND)の場合、最終製品に最大20重量%が残る。
【0008】
さらに、農薬製剤の使用は、地上の植物部分の作物保護製品への曝露を回避することが有利である場合、または単にAIのドリフトならびに意図しない領域およびそこに住む動物相および植物相の曝露を回避することが有利である場合、土壌施用に有利となり得る。この理由は、製剤の不十分な植物適合性、または他の農薬製品との不適合性にある可能性がある。
【0009】
点滴または灌注による土壌施用は、AIを吸収する根から遠く離れた植物の部分にもその効果が現れるため、特に全身活性AIの場合に有利である。
【0010】
国際公開第2006/089633号パンフレットは、有機溶媒に基づき、葉を食べる昆虫/または葉を吸う昆虫に対抗するためにハイドロカルチャーに使用することができる、特定のケトエノール殺虫剤の液体製剤を開示している。しかしながら、国際公開第2006/089633号パンフレットに記載されるジメチルホルムアミド溶媒は、毒物学的懸念事項として分類されており、潜在的な生殖毒素または催奇形性物質である。
【0011】
さらに、国際公開第2009/115262号パンフレットは、葉に生息する昆虫を防除するためのケトエノール殺虫剤の水系分散液を開示している。記載される製剤は、最大負荷50g/L(5%)を有するが、経済的な観点からはより高い負荷が望ましいだろう。しかしながら、国際公開第2009/115262号パンフレットから知られている製剤は、より高い負荷には適していない。
【0012】
国際公開第2007/068428号パンフレットは、アンモニウム塩および/またはホスホニウム塩の添加を通した、あるいはアンモニアまたはホスホニウム塩、および浸透剤の添加を通した、脂肪酸生合成阻害剤(例えば、フェニル置換環状ケトエノール)を含む作物保護組成物の効果の増強、対応する組成物、その製造方法、および作物保護におけるその使用を記載している。
【0013】
先行技術から知られている製剤の欠点は(フロアブル剤または水分散性顆粒の形態であるかどうかにかかわらず)、環境の観点で、および使用者にとって望ましくない大量の有機溶媒を毒性緩和剤の溶解に使用しなければならないのと同時に、AIの負荷および生物学的作用も不十分であることである。
【0014】
よって、土壌中または土壌上への施用において、優れた環境適合性(ゼロまたは最小の有機溶媒)および優れた生物学的作用、およびまた有効成分の優れた生物学的利用能と相まって、高い有効成分負荷を有する水性分散液(SC)の形態の新たな製剤が依然として必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】国際公開第2006/089633号パンフレット
【文献】国際公開第2009/115262号パンフレット
【文献】国際公開第2007/068428号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
よって、高い有効成分負荷、優れた環境適合性および優れた生物学的作用を有する特定のケトエノール殺虫剤の、好ましくは有機溶媒を本質的に含まない、水性分散液を提供することが本発明の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
よって、本発明は、上記の特性を有する水性有効成分分散液(SC)、および水性無溶媒製剤(分散液)を製造する方法、および殺虫剤としてのその使用を提供する。
【0018】
驚くべきことに、本発明の水性分散液の生物学的活性が、pHの上昇と共に改善され得ることも見出された。
【0019】
したがって、本発明は、
a.少なくとも1つのケトエノール殺虫剤と、
b.好ましくは非イオン性分散剤およびその塩の群から選択される少なくとも1つの分散剤と、
c.少なくとも1つのpH緩衝剤と、
d.少なくとも1つのレオロジー調整剤と、
e.少なくとも1つの不凍剤と、
f.少なくとも1つの殺生物剤と、
g.少なくとも1つの消泡剤と、
h.場合によりさらなる有効成分およびアジュバントと、
i.水と
を含む高濃度水性フロアブル剤の形態の殺虫組成物を提供する。
【0020】
本発明では、式、例えば式(I)において、特に明言しない限り、場合により置換された基は、一置換または多置換されていてもよく、多置換の場合の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0021】
さらに、本発明で上記の好ましさの範囲において、さまざまなレベルの好ましさは、順列で互いに組み合わせることができるように理解されるべきであるが、いずれの場合でも、同レベルの好ましさ、特に最も好ましい実施形態/好ましさのレベルがいずれの場合も互いに組み合わされるべきであり、実際にこのような組み合わせとして開示される。
【0022】
必須の成分(任意の成分ではない)のみからなる、上記の組成物も、同様に開示されていると見なされるべきである。
【0023】
パーセンテージ-特に明言しない限り-重量パーセンテージと見なされるべきであり、組成物の重量%は合計が100になる。
【0024】
別に定義されない限り、本発明の文脈における「塩基性」は、pH7超の水溶液中のpHを意味する。
【0025】
a)有効成分
好ましい実施形態では、本発明の組成物中の成分a)が、テトラミン酸に基づくケトエノール、好ましくは式(I)の化合物
【化1】
(式中、
WおよびYは独立に、水素、C1~C4-アルキル、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素であり、
Xは、C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、塩素、臭素またはヨウ素であり、
A、Bおよびこれらが結合している炭素原子は、それが結合している炭素原子と一緒になって5員または6員ケタールを形成する、場合によりC1~C4-アルキル-またはC1~C4-アルコキシ-C1~C2-アルキル置換されたアルキレンジオキシ基によって置換されたC3~C6-シクロアルキルであり、
Gは水素(a)である、または基
【化2】
(式中、
Eは金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、
Mは酸素または硫黄であり、
R1は直鎖または分岐C1~C6-アルキルであり、
R2は直鎖または分岐C1~C6-アルキルである)
のうちの1つである)
である。
【0026】
基が以下の通り定義される:
Wがより好ましくはメチルであり、
Xがより好ましくは塩素またはメチル(より好ましくはメチル)であり、
Yがより好ましくは塩素、臭素またはメチルであり、
A、Bおよびこれらが結合している炭素原子が、より好ましくは、それが結合している炭素原子と一緒になって5員または6員ケタールを形成するアルキレンジオキシ基によって置換された飽和C6-シクロアルキルであり、
Gがより好ましくは水素(a)である、または基
【化3】
(式中、
Mは酸素であり、
Eは、1つの金属イオン等価物またはアンモニウムイオン(具体的にはナトリウムまたはカリウム)であり、
R1はより好ましくは、直鎖または分岐C1~C4-アルキルであり、
R2はより好ましくは、直鎖または分岐C1~C4-アルキルである)
のうちの1つである、
上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が特に好ましく使用可能である。
【0027】
G=水素(a)である上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が具体的に使用可能である。
【0028】
G=E(d)である上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が、同様に最も好ましく使用可能である。
【0029】
基が以下の通り定義される上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が特に好ましく使用可能である:
【化4】
【0030】
【表1】
【0031】
特に好ましい実施形態では、成分a)が、式
【化5】
の化合物である。
【0032】
化合物I-2は、好ましくはその最も熱力学的に安定な多形構造の形態で使用される。この結晶構造およびさらなる物理データは以下の通り決定した:
【0033】
試料調製:
化合物I-2(C19H22ClNO4/MW=363.84g/mol)をメタノールから結晶化させ、室温で乾燥させて、変態Aを得た。
【0034】
I-2の変態Aは、25℃でCu-Kα1放射線(1.5406Å)を使用して記録された対応する回折図に基づくX線粉末回折法によって特徴付けることができる(図1)。
【0035】
本発明による変態Aは、表2aに示されるように、少なくとも3個、好ましくは少なくとも5個、さらに好ましくは少なくとも7個、なおさらに好ましくは少なくとも10個、最も好ましくは全ての反射を示す。
【0036】
本発明による変態Aは、図1に示されるX線回折図をさらに特徴とする。
【0037】
変態Aの単結晶の結晶学的研究は、結晶構造が単斜晶系であることを示した。単位胞はP21/c空間群を有する。
【0038】
【表2】
【0039】
a、b、c=単位胞の辺の長さ
α、β、γ=単位胞の角度
Z=単位胞内の分子数
【0040】
【表3】
【0041】
I-1の変態Aの多形形態は、4cm-1の分解能でダイアモンドATR装置を使用して25℃で記録された対応するスペクトルから、IR分光法によって決定することができる(図2)。本発明の多形Aは、図2に見られ、表2cに記載されるように、少なくとも3個、好ましくは少なくとも5個、さらに好ましくは少なくとも7個、特に好ましくは全てのバンドを示す。
【0042】
【表4】
【0043】
代替実施形態では、成分a)が、式(II)のテトラミン酸
【化6】
(式中、
WおよびYは独立に、水素、C1~C4-アルキル、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素であり、
Xは、C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、塩素、臭素またはヨウ素であり、
V1は、水素、ハロゲン、C1~C6-アルキル、C1~C6-アルコキシ、C1~C6-アルキルチオ、C1~C6-アルキルスルフィニル、C1~C6-アルキルスルホニル、C1~C4-ハロアルキル、C1~C4-ハロアルコキシ、ニトロまたはシアノであり、
V2は、水素、ハロゲン、C1~C6-アルキルまたはC1~C6-アルコキシであり、
V3は水素またはハロゲンであり、
A、Bおよびこれらが結合している炭素原子は、1つの環員が酸素によって置き換えられており、C1~C8-アルキル、C1~C8-アルコキシまたはC1~C6-アルキルオキシ-C1~C6-アルキルによって場合により一置換されている飽和C5~C6-シクロアルキルであり、
Gは水素(a)である、または基
【化7】
(式中、
Eは金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、
Lは酸素または硫黄であり、
Mは酸素または硫黄であり、
R1は直鎖または分岐C1~C6-アルキルであり、
R2は直鎖または分岐C1~C6-アルキルである)
のうちの1つである)
を含む。
【0044】
基が以下の通り定義される:
Wがより好ましくは水素またはメチルであり、
Xがより好ましくは塩素またはメチルであり、
Yがより好ましくは水素であり、
V1がより好ましくはフッ素または塩素(具体的には4位のフッ素または塩素)であり、
V2がより好ましくは水素またはフッ素(具体的には3位のフッ素)であり、
V3がより好ましくは水素またはフッ素(具体的には5位のフッ素)であり、
A、Bおよびこれらが結合している炭素原子が、より好ましくは、1つの環員が酸素によって置き換えられている飽和C6-シクロアルキルであり、
Gがより好ましくは水素(a)である、または基
【化8】
(式中、
Eは、より好ましくは、1つの金属イオン等価物またはアンモニウムイオン(具体的にはナトリウムまたはカリウム)であり、
R1はより好ましくは、直鎖または分岐C1~C4-アルキルであり、
R2はより好ましくは、直鎖または分岐C1~C4-アルキルである)
のうちの1つである、
上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が特に好ましく使用可能である。
【0045】
G=水素(a)である上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が具体的に使用可能である。
【0046】
G=E(d)である上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が、同様に最も好ましく使用可能である。
【0047】
基が以下の通り定義される上記の式(II)のテトラミン酸誘導体が特に好ましく使用可能である:
【0048】
【表5】
【0049】
特に好ましい代替実施形態では、a)が
【化9】
である。
【0050】
b)分散剤
乳化剤、界面活性剤、湿潤剤および分散剤などの適切なアニオン性分散剤b1)は、例えば、スルホン酸、硫酸、リン酸、カルボン酸およびこれらの混合物のアルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウム塩、例えばアルキルスルホン酸塩またはアルキルリン酸塩およびアルキルアリールスルホン酸塩またはアルキルアリールリン酸塩、ジフェニルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、リグノスルホン酸塩、脂肪酸および油のスルホン酸塩、エトキシル化アルキルフェノールのスルホン酸塩、アルコキシル化アリールフェノールのスルホン酸塩、縮合ナフタレンのスルホン酸塩、ドデシル-およびトリデシルベンゼンのスルホン酸塩、ナフタレンおよびアルキルナフタレンのスルホン酸塩、スルホコハク酸塩またはスルホサクシナメート(sulfosuccinamate)である。サルフェートの例は、脂肪酸および油、エトキシル化アルキルフェノール、アルコール、エトキシル化アルコールまたは脂肪酸エステルのサルフェートである。ホスフェートの例はリン酸エステルである。カルボキシレートの例は、アルキルカルボキシレートおよびカルボキシル化アルコールエトキシレートまたはアルキルフェノールエトキシレートである。ポリスチレンスルホン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウム塩、ポリビニルスルホン酸の塩、アルキルナフタレンスルホン酸の塩、アルキルナフタレンスルホン酸-ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸およびホルムアルデヒドの縮合生成物の塩のアニオン性乳化剤の群も同様に適切である。例としては、Rhodocal(登録商標)70/B(Solvay)、Phenylsulfonat CA100(Clariant)などのドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、またはAtlox(登録商標)3300B(Croda)などのドデシルベンゼンスルホン酸イソプロピルアンモニウムがある。
【0051】
さらに典型的な代表例としては、Phenylsulfonat CA(ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム)、Soprophor(登録商標)製品(トリスチリルフェノールエトキシレートの場合によりエステル化された誘導体)、Emulsogen(登録商標)3510(アルキル化EO/POコポリマー)、Emulsogen(登録商標)EL400(エトキシル化ヒマシ油)、Tween(登録商標)製品(脂肪アシル化ソルビタンエトキシレート)、Calsogen(登録商標)AR100(ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム)が挙げられる。フェニルスルホン酸カルシウムおよび/またはCalsogen(登録商標)AR100などのアルキル化芳香族スルホン酸の塩と、Emulsogen(登録商標)3510などのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのアルキル化コポリマーの組み合わせが好ましい。Calsogen(登録商標)AR100などのドデシルベンゼンスルホン酸の塩と、Emulsogen(登録商標)3510などのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのアルキル化コポリマーの組み合わせが特に好ましい。
【0052】
ナフタレンスルホン酸塩の群のさらなるアニオン性分散剤b1)の例は、Galoryl(登録商標)MT800(ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム)、Morwet(登録商標)IP(ジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム)およびNekal(登録商標)BX(アルキルナフタレンスルホン酸塩)である。ナフタレンスルホン酸塩とホルムアルデヒドの縮合物の群のアニオン性界面活性剤の例は、Galoryl(登録商標)DT201(ホルムアルデヒドおよびメチルフェノールナトリウム塩を含むナフタレンスルホン酸ヒドロキシポリマー)、Galoryl(登録商標)DT250(フェノールおよびナフタレンスルホン酸塩の縮合物)、Reserve(登録商標)C(フェノールおよびナフタレンスルホン酸塩の縮合物)またはMorwet(登録商標)D-425、Tersperse(登録商標)2020である。1,2-ジブチル-または-ジイソブチル-置換ナフタレンスルホネート、例えば、Galoryl(登録商標)MT800(CFPI-Nufarm)およびNekal(登録商標)BX(BASF)などの製品が好ましい。さらに典型的な界面活性剤は、Soprophor(登録商標)3D33、Soprophor(登録商標)4D384、Soprophor(登録商標)BSU、Soprophor(登録商標)CY/8(Solvay)およびHoe(登録商標)S3474、およびSapogenat(登録商標)T製品(Clariant)の形、例えばSapogenat(登録商標)T100である。
【0053】
乳化剤、湿潤剤、界面活性剤および分散剤などの有用な非イオン性分散剤b2)には、農薬活性化合物の製剤中に存在する標準的な界面活性物質が含まれる。例としては、エトキシル化ノニルフェノール、直鎖または分岐アルコールとエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの反応生成物、エチレンオキシド-プロピレンオキシドブロックコポリマー、末端基キャップおよび非末端基キャップアルコキシル化直鎖および分岐、飽和および不飽和アルコール(例えば、ブトキシポリエチレンプロピレングリコール)、アルキルフェノールとエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの反応生成物、エチレンオキシド-プロピレンオキシドブロックコポリマー、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、ならびに脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリコールエーテルエステル、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、アリールサルフェート、エトキシル化アリールアルキルフェノール、例えば、1分子当たり平均16個のエチレンオキシド単位を有するトリスチリルフェノールエトキシレート、ならびにエトキシル化およびプロポキシル化アリールアルキルフェノール、ならびにまた、硫酸化またはリン酸化アリールアルキルフェノールエトキシレートまたはエトキシ-およびプロポキシレートが挙げられる。トリスチリルフェノールアルコキシレートおよび脂肪酸ポリグリコールエーテルエステルが特に好ましい。それぞれ個別にまたは混合物の、トリスチリルフェノールエトキシレート、トリスチリルフェノールエトキシプロポキシレート、およびヒマシ油ポリグリコールエーテルエステルが、極めて特に好ましい。生物学的有効性の改善に寄与する界面活性剤または脂肪酸のエステルなどの添加剤がさらに有用であり得る。適切な非イオン性乳化剤b2)は、例えば、Soprophor(登録商標)796/P、Lucramul(登録商標)CO30、Lucramul(登録商標)HOT、Lucramul(登録書うひょ)PSI100、Lucramul PS 29またはSynperonic(登録商標)T304である。
【0054】
適切な非イオン性分散剤b2)は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール、PVPとジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー、ブチル化PVP、塩化ビニルと酢酸ビニルのコポリマー、および部分的に加水分解された酢酸ビニル、フェノール樹脂、変性セルロース型、例えば、Luviskol(登録商標)(ポリビニルピロリドン)、Mowiol(登録商標)(ポリビニルアルコール)または変性セルロースを含む群からも同様に選択され得る。ポリビニルピロリドン型が好ましく、Luviskol(登録商標)K30またはSokalan(登録商標)K30などの低分子量型が特に好ましい。
【0055】
アルキレンオキシドのジブロックおよびトリブロックコポリマーの群の有用なさらなる非イオン性乳化剤b2)は、例えば、ポリエトキシル化ブロックの質量割合が10~80%で変化する、平均モル質量200~10000、好ましくは1000~4000g/molを有するエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドに基づく化合物、例えば、Synperonic(登録商標)PEシリーズ(Uniqema)、Pluronic(登録商標)PEシリーズ(BASF)、VOP(登録商標)32またはGenapol(登録商標)PFシリーズ(Clariant)である。
【0056】
非イオン性分散剤、より好ましくはトリスチリルフェノールポリエチレングリコールエーテルに基づく非イオン性分散剤、例えばLucramul PS 29、およびポリエチレン修飾ポリ(メチルメタクリレート)メタクリル酸、例えばAtlox(登録商標)4913を使用することが特に好ましい。
【0057】
c)pH緩衝剤
有用なpH緩衝剤には、標準的な市販のpH緩衝剤、例えば、クエン酸塩、リン酸塩および酢酸塩が含まれる。pH<=7のpH緩衝剤(水素電極により水溶液で測定)を使用することが好ましい。
【0058】
クエン酸塩およびリン酸塩ベースのpH緩衝剤を使用することが好ましい。
【0059】
d)レオロジー調整剤
有用なレオロジー調整剤c)には、有機増粘剤および無機増粘剤が含まれる。有用な有機増粘剤には、有機天然増粘剤、または生物工学的に改変された増粘剤、または有機合成増粘剤が含まれる。典型的な合成増粘剤は、Rheostrux(登録商標)(Croda)またはThixin(登録商標)もしくはThixatrol(登録商標)シリーズ(Elementis)である。これらは典型的には、アクリレートに基づく。典型的な有機増粘剤は、キサンタンもしくはセルロース(例えば、ヒドロキシエチルもしくはカルボキシメチルセルロース)またはこれらの組み合わせに基づく、あるいは主鎖中に繰り返し塩基単位として4つの糖分子(グルコース、グルクロン酸、グルコース、ラムノース)を含むアニオン性多糖のクラスに由来する。さらなる典型的な代表例は、セルロースまたはリグニンに基づく。キサンタンに基づく天然変性増粘剤を使用することが好ましい。典型的な代表例は、例えば、Rhodopol(登録商標)(Solvay)およびKelzan(登録商標)(Kelco Corp.)、およびまたSatiaxane(登録商標)(Cargill)である。シリカおよびアタパルジャイトが同様に好ましい。
【0060】
キサンタンをレオロジー調整剤として使用することが特に好ましい。
【0061】
e)不凍剤
適切な不凍剤は、尿素、ジオールおよびポリオールの群のもの、例えばエチレングリコールおよびプロピレングリコール、グリセロール、好ましくはプロピレングリコールまたはグリセロール、より好ましくはグリセロールである。
【0062】
f)殺生物剤
使用される殺生物剤は、好ましくはイソチアゾリノンに基づく殺生物剤であり、好ましくはベンズイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノンおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0063】
1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンおよびクロロメチルイソチアゾリノンに基づく殺生物剤が特に好ましい。
【0064】
適切な殺生物剤は、例えば、Acticide(登録商標)MBS(Biozid、Thor Chemie)、CIT、MITまたはBIT、例えば、Proxel(登録商標)GXL(BIT)、Acticide(登録商標)SPX(MIT、CIT)、Kathon CGIなどの製品である。
【0065】
g)消泡剤
適切な消泡剤は、Tegopren(登録商標)製品(Goldschmidt)、SE(登録商標)製品(Wacker)、およびBevaloid(登録商標)(Kemira)、Rhodorsil(登録商標)(Solvay)、およびSilcolapse(登録商標)製品(Blustar Silicones)などの表面活性シリコーンまたはシランベースの化合物であり、SE(登録商標)(Wacker)、Rhodorsil(登録商標)およびSilcolapse(登録商標)製品が好ましくは、例えば、シリコーンベースの消泡剤、例えばSilcolapse(登録商標)5020などの製品が特に好ましい。
【0066】
h)場合によりさらなる有効成分およびアジュバント
本発明の組成物は、場合によりさらなる製剤助剤(h)、例えば、場合により、抗酸化剤、色素および/または不活性充填剤材料、浸透剤、ならびにさらに、好ましくは殺虫性有効成分の群の物質を含む。
【0067】
有用な抗酸化剤は、農薬組成物においてこの目的のために典型的に使用可能な全ての物質である。ブチルヒドロキシトルエンが好ましい。
【0068】
有用な色素は、農薬組成物においてこの目的のために典型的に使用可能な全ての物質である。例としては、二酸化チタン、黒色顔料、酸化亜鉛および青色顔料、およびPermanent Red FGRも挙げられる。
【0069】
本文脈における有用な浸透剤は、例えば、ポリアルコキシトリグリセリドである。ポリアルコキシトリグリセリドは、トリグリセリドをアルコキシル化することによって調製することができる。トリグリセリドのアルコキシル化は、側鎖の1~3個がアルコキシル化されている物質混合物をもたらす。アルコキシル化は、エトキシル化、プロポキシル化、ブトキシル化またはこれらの操作の混合に分けることができる。修飾されていない側鎖のそれぞれの長さは、同じ分子内の他の側鎖とは無関係に、9~24個、好ましくは12~22個、極めて好ましくは14~20個の炭素原子の間で変化し得る。これらの脂肪族側鎖は、直鎖であっても分岐であってもよい。
【0070】
さらなる有効殺虫成分(f)は、好ましくはイミダクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリド、チアクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジン、シアントラニリプロール、クロラントラニリプロール、フルベンジアミド、テトラニリプロール、シクラニリプロール;スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト、アバメクチン、アクリナトリン、クロルフェナピル、エマメクチン、エチプロール、フィプロニル、フロニカミド、フルピラジフロン、インドキサカルブ、メタフルミゾン、メトキシフェノジド、ミルベマイシン、ピリダベン、ピリダリル、シラフルオフェン、スピノサド、スルホキサフロル、トリフルムロンからなる群から;より好ましくはエチプロールおよびフルピラジフロンからなる群から選択される。
【0071】
本発明の組成物中の有効成分(成分a/式I/I-2/あるいはII/II-7の化合物)の割合は、
好ましくは75~600g/L、
さらに好ましくは100~500g/L、
なおさらに好ましくは150~450g/L、
特に好ましくは200~450g/L
である。
【0072】
本発明の組成物中の分散剤(成分b)の割合は、
好ましくは10~150g/L、
さらに好ましくは30~100g/L、
特に好ましくは40~90g/L
である。
【0073】
本発明の組成物中のpH緩衝剤(成分c)の割合は、
好ましくは0.5~10g/L、
さらに好ましくは0.7~5g/L、
特に好ましくは0.9~2g/L
である。
【0074】
本発明の組成物中のレオロジー調整剤(成分d)の割合は、
好ましくは1~10g/L、
さらに好ましくは2~8g/L、
特に好ましくは3~5g/L
である。
【0075】
組成物中の不凍剤(成分e)の割合は、
好ましくは0~200g/L、
さらに好ましくは50~200g/L、
特に好ましくは100~150g/L
である。
【0076】
組成物中の殺生物剤(成分f)の割合は、
好ましくは0~2g/L、
さらに好ましくは0.01~2g/L、
特に好ましくは0.05~1.5g/L
である。
【0077】
組成物中の消泡剤(成分g)の割合は、
好ましくは0~2g/L、
さらに好ましくは0.01~2g/L、
特に好ましくは0.05~1.5g/L
である。
【0078】
本発明の組成物中の、存在する場合の、さらなる有効成分およびアジュバント(成分f)の割合は、
好ましくは0~10g/L、
さらに好ましくは0~8g/L、
特に好ましくは0.01~5g/L
である。
【0079】
上記およびまたさらに下記のように本発明の製剤に水を添加して、各場合で製剤を最大1Lにする。
【0080】
本発明の水性組成物のpHは、好ましくは3~9、さらに好ましくは4~8、特に好ましくは5~7である。
【0081】
本発明の好ましい実施形態は、成分
a)75~600g/Lと、
b)10~150g/Lと、
c)0.5~10g/Lと、
d)1~10g/Lと
を含む組成物である。
【0082】
本発明のさらに好ましい実施形態は、成分
a)100~500g/Lと、
b)30~100g/Lと、
c)0.7~5g/Lと、
d)2~8g/Lと
を含む組成物である。
【0083】
本発明のなおさらに好ましい実施形態は、成分
a)150~400g/Lと、
b)40~90g/Lと、
c)0.9~2.0g/Lと、
d)3~5g/Lと
を含む組成物である。
【0084】
本発明の好ましい代替の実施形態は、成分
a)150~400g/Lと、
b)40~90g/Lと、
c)0.9~2.0g/Lと、
d)3~5g/Lと、
e)100~150g/Lと、
f)0.05~1.5g/Lと、
g)0.05~1.5g/Lと
を含む組成物である。
【0085】
本発明のなおさらに好ましい実施形態は、成分
a)200~400g/Lと、
b)40~90g/Lと、
c)0.9~2.0g/Lと、
d)3~5g/Lと
を含む組成物である。
【0086】
本発明の好ましい代替の実施形態は、成分
a)200~400g/Lと、
b)40~90g/Lと、
c)0.9~2.0g/Lと、
d)3~5g/Lと、
e)100~150g/Lと、
f)0.05~1.5g/Lと、
g)0.05~1.5g/Lと
を含む組成物である。
【0087】
上記の実施形態および本出願で特定される本発明の全ての組成物において、水性フロアブル剤のpHが、好ましくは3~9、さらに好ましくは4~8、特に好ましくは5~7である。
【0088】
好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む殺虫組成物を提供する:a.式(I)の化合物
【化10】
(式(I)の化合物は以下の定義を有する:
Wはメチルであり、
Xは塩素またはメチルであり、
Yは塩素、臭素またはメチルであり、
A、Bおよびこれらが結合している炭素原子は、それが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員ケタールを形成するアルキレンジオキシ基によって置換された飽和C6シクロアルキルを表し、
Gは水素(a)である、または基
【化11】
(式中、
Mは酸素であり、
Eは、1つの金属イオン等価物またはアンモニウムイオンであり、
R1は直鎖または分岐C1~C4-アルキルであり、
R2は直鎖または分岐C1~C4-アルキルである)
のうちの1つである)、
【0089】
b.トリスチリルフェノールアルコキシレートおよび脂肪酸ポリグリコールエーテルエステルからなる群から選択される少なくとも1つの非イオン性分散剤、
c.クエン酸塩およびリン酸塩ベースのpH緩衝剤からなる群から選択される少なくとも1つのpH緩衝剤、
d.キサンタンもしくはセルロースまたはこれらの組み合わせに基づく有機増粘剤からなる群から選択される少なくとも1つのレオロジー調整剤、
e.場合により尿素、ジオールおよびポリオールからなる群から選択される少なくとも1つの不凍剤、
f.場合によりイソチアゾリノンの群の少なくとも1つの殺生物剤、
g.場合によりシリコーンまたはシランベースの消泡剤の群の少なくとも1つの消泡剤、
h.場合によりさらなる有効成分およびアジュバント。
【0090】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む殺虫組成物を提供する:
a.以下の化合物から選択される式(I)の化合物:
【化12】
【0091】
【表6】
【0092】
b.トリスチリルフェノールアルコキシレートの群から選択される少なくとも1つの非イオン性分散剤、
c.クエン酸塩およびリン酸塩ベースのpH緩衝剤からなる群から選択される少なくとも1つのpH緩衝剤、
d.キサンタンに基づく有機増粘剤からなる群から選択される少なくとも1つのレオロジー調整剤、
e.場合によりジオールおよびポリオールからなる群から選択される少なくとも1つの不凍剤、
f.場合によりベンズイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノンおよびメチルイソチアゾリノンからなる群の少なくとも1つの殺生物剤、
g.場合によりシリコーンベースの消泡剤の群の少なくとも1つの消泡剤、
h.場合によりさらなる有効成分およびアジュバント。
【0093】
特に好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む殺虫組成物を提供する:
a.以下の構造を有する式(I-2)を有する化合物:
【化13】
b.トリスチリルフェノールアルコキシレートを含む群から選択される少なくとも1つの非イオン性分散剤、
c.クエン酸塩およびリン酸塩ベースのpH緩衝剤からなる群から選択される少なくとも1つのpH緩衝剤、
d.キサンタンからなる群から選択される少なくとも1つのレオロジー調整剤、
e.場合によりエチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセロール、好ましくはプロピレングリコールおよびグリセロール、より好ましくはグリセロールからなる群から選択される少なくとも1つの不凍剤、
f.場合によりベンズイソチアゾリノンからなる群の少なくとも1つの殺生物剤、
g.場合によりシリコーンベースの消泡剤の群の少なくとも1つの消泡剤、
h.場合によりさらなる有効成分およびアジュバント。
【0094】
本発明の製剤の施用量は、比較的広範囲内で変えることができる。これは、それぞれの有効成分および組成物中のそれらの含有量によって導かれる。
【0095】
本発明の組成物の助けにより、殺虫有効成分混合物を、植物および/またはそれらの生息地に特に有利な方法で配置することができる。
【0096】
本発明の組成物を使用して、全ての植物および植物の部分を処理することができる。本文脈における植物は、所望のおよび望まれない野生植物または作物植物(天然に存在する作物植物を含む)などの全ての植物および植物集団を含むと理解される。作物植物は、従来の育種および最適化方法によって、またはトランスジェニック植物を含むならびに植物育種家の権利によって保護可能または保護不可能な植物栽培品種を含むバイオテクノロジーおよび遺伝子工学方法またはこれらの方法の組み合わせによって得ることができる植物であり得る。植物の部分は、例として、葉、針葉、柄、茎、花、子実体、果実および種子、ならびに塊茎、根および根茎も挙げられる、苗条、葉、花および根などの地上および地下の植物の全ての部分および器官を意味すると理解されるべきである。植物部分はまた、収穫された材料ならびに栄養性および生殖性の繁殖材料、例えば、挿し穂、塊茎、根茎、シュートおよび種子を含む。
【0097】
好ましくは、式(IまたはII)の化合物は、灌注、浸漬または点滴施用に従って、以下の有害生物科の動物有害生物に対して使用される:
【0098】
ワタムシ(ペムフィギダエ(Pemphigidae))科から:例えば、柑橘類、仁果類、核果類、葉野菜、根菜および塊茎野菜ならびに観賞植物などの作物の、エリオソマ属種(Eriosoma spp.)、ペムフィグス属種(Pemphigus spp)が好ましい。
【0099】
ブドウシラミ(ブドウネアブラムシ(Phylloxeridae))科から:ブドウ、堅果類、柑橘類のフィロキセラ属(Phylloxera)種が好ましい。
【0100】
キジラミ(キジラミ(Psyllidae))科から:例えば、仁果類、核果類、柑橘類、野菜、ジャガイモなどの作物、熱帯作物のサイラ属種(Psylla spp.)、パラトリオザ属種(Paratrioza spp.)、テナラファラ属種(Tenalaphara spp.)、ジアフォリナ属種(Diaphorina spp.)、トリオザ属種(Trioza spp.)が好ましい。
【0101】
カタカイガラムシ(カタカイガラムシ(Coccidae))科から:例えば、柑橘類、仁果類、核果類、オリーブ、ブドウ、コーヒー、茶、熱帯作物、観賞植物、野菜などの多年生作物のセロプラステス属種(Ceroplastes spp.)、ドロシカ属種(Drosicha spp.)、プルビナリア属種(Pulvinaria spp.)、プロトプルミナリア属種(Protopulminaria spp.)、サイセチア属種(Saissetia spp.)、コッカス属種(Coccus spp.)が好ましい。
【0102】
マルカイガラムシ(マルカイガラムシ(Diaspididae))科から:例えば、柑橘類、仁果類、核果類、アーモンド、ピスタチオ、堅果類、オリーブ、茶、観賞植物、ブドウ、熱帯作物などの作物のクアドラスピジオツス属種(Quadraspidiotus spp.)、アオニジエラ属種(Aonidiella spp.)、レピドサフェス属種(Lepidosaphes spp.)、アスピジオツス属種(Aspidiotus spp.)、アスピス属種(Aspis spp.)、ジアスピス属種(Diaspis spp.)、パルラトリア属種(Parlatoria spp.)、プセウダウラカスピス属種(Pseudaulacaspis spp.)、ウナスピス属種(Unaspis spp.)、ピナスピス属種(Pinnaspis spp.)、セレナスピダス属種(Selenaspidus spp.)が好ましい。
【0103】
ハカマカイガラムシ(ハカマカイガラムシ(Ortheziidae))科から:柑橘類、仁果類、核果類のオルテジア属種(Orthezia spp.)が好ましい。
【0104】
コナカイガラムシ(コナカイガラムシ(Pseudococcidae))科から:例えば柑橘類、核果類および仁果類、茶、ブドウ、野菜、観賞植物および熱帯作物などの作物のペリセルガ(Pericerga)、シュードコッカス属種(Pseudococcus spp)、プラノコッカス属種(Planococcus spp.)、ジスミコッカス属種(Dysmicoccus spp.)が好ましい。
【0105】
コナジラミ(コナジラミ(Aleyrodidae))科から:例えば野菜、ジャガイモ、メロン、ジャガイモ、タバコ、柔らかい果実、柑橘類、観賞植物、綿、大豆および熱帯作物などの作物のタバココナジラミ(Bemisia tabaci)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、ミカンワタコナジラミ(Aleurothrixus floccosus)、アレウロデス属種(Aleurodes spp.)、ジアレウロデス属種(Dialeurodes spp.)、ヤマモモコナジラミ(Parabemisia myricae)がさらに好ましい。
【0106】
さらに、アブラムシ(アブラムシ(Aphidae))科から:
タバコ、核果類、柔らかい果実、果菜類、葉菜類、塊茎および根菜類、メロン、ジャガイモ、観賞植物、香辛料のミズス属種(Myzus spp.)、
野菜のエンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon onobrychis)、
タバコ、柑橘類、仁果類、核果類、メロン、イチゴ、柔らかい果実、果菜類、葉菜類、塊茎、茎および根菜類、鑑賞植物、ジャガイモ、カボチャ、香辛料のアフィス属種(Aphis spp.)、
イチゴのバラミドリアブラムシ(Rhodobium porosum)、
葉菜類のレタスヒゲナガアブラムシ(Nasonovia ribisnigri)、
観賞植物、ジャガイモ、葉菜類および果菜類、イチゴのマクロシフム属種(Macrosiphum spp.)、
ホップのホロドン・フムリ(Phorodon humuli)、
葉菜類のダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、
柑橘類、核果類、アーモンド、堅果類、香辛料のトキソプテラ属種(Toxoptera spp.)、
柑橘類、ジャガイモ、果菜類および葉菜類のアウラコルツム属種(Aulacorthum spp.)、
野菜のアヌラフィス・カルドゥイ(Anuraphis cardui)、
ヒマワリのブラキカウズス・ヘリクリシイ(Brachycaudus helycrisii)、
野菜のエンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon onobrychis)
が好ましい。
【0107】
同様に、アザミウマ(アザミウマ(Thripidae))科から:例えば、果実、綿、ブドウ、茶、堅果類、熱帯作物、観賞植物、針葉樹、タバコ、香辛料、野菜、柔らかい果実、メロン、柑橘類およびジャガイモなどの作物のアナホスリップス属種(Anaphothrips spp.)、バリオスリップス属種(Baliothrips spp.)、カリオスリップス属種(Caliothrips spp.)、フランクリニエラ属種(Frankliniella spp.)、ヘリオスリップス属種(Heliothrips spp.)、ヘルシノスリップス属種(Hercinothrips spp.)、リピホロスリップス属種(Rhipiphorothrips spp.)、シルトスリップス属種(Scirtothrips spp.)、カコスリップス属種(Kakothrips spp.)、セレノスリップス属種(Selenothrips spp.)およびスリップス属種(Thrips spp.)が好ましい。
【0108】
さらに、リーフマイナーフライ(ハモグリバエ(Agromyzidae))およびルートマゴットフライ(ハナバエ(Anthomyiidae))科から:例えば、野菜、メロン、ジャガイモ、堅果類、観賞植物などの作物のアグロミザ属種(Agromyza spp.)、アマウロミザ属種(Amauromyza spp.)、クキイエバエ属種(Atherigona spp.)、クロロプス属種(Chlorops spp.)、リリオミザ属種(Liriomyza spp.)、オシネラ属種(Oscinella spp.)、ペゴミイア属種(Pegomyia spp.)が好ましい。
【0109】
ヨコバイ(ヨコバイ(Cicadellidae))およびウンカ(ウンカ(Delphacidae))科から:例えば、柑橘類、果実、ブドウ、ジャガイモ、野菜、鑑賞植物、針葉樹、メロン、柔らかい果実、茶、堅果類、イネおよび熱帯作物などの作物のキルクリフェラ属種(Circulifer spp.)、ダルブス属種(Dalbus spp.)、エムポアスカ属種(Empoasca spp.)、エリトロネウラ属種(Erythroneura spp.)、ホマロディスカ属種(Homalodisca spp.)、イオディオスコパス属種(Iodioscopus spp.)、ラオデルファクス属種(Laodelphax spp.)、ツマグロヨコバイ属種(Nephotettix spp.)、トビイロウンカ属種(Nilaparvata spp.)、オンコメトピア属種(Oncometopia spp.)、ソガテラ属種(Sogatella spp.)が好ましい。
【0110】
リーフマイナーモス(ホソガ(Gracillariidae))科から:
仁果類、核果類、ブドウ、堅果類、柑橘類、針葉樹、ジャガイモ、コーヒーなどの作物のカロプティリア属種(Caloptilia spp.)、グラシラリア属種(Gracillaria spp.)、リトコレチス属種(Lithocolletis spp.)、ロイコプテラ属種(Leucoptera spp.)、フトリマエア属種(Phtorimaea spp.)、フィロクニスチス属種(Phyllocnistis spp.)が好ましい。
【0111】
タマバエ(タマバエ(Cecidomyiidae))科から:
柑橘類、仁果類、核果類、野菜、ジャガイモ、香辛料、柔らかい果実、針葉樹、ホップなどの作物のコンタリニア属種(Contarinia spp.)、ダシネウラ属種(Dasineura spp.)、ディプロシス属種(Diplosis spp.)、プロディプロシス属種(Prodiplosis spp.)、テコディプロシス属種(Thecodiplosis spp.)、シトディプロシス属種(Sitodiplosis spp.)、ハプロディプロシス属種(Haplodiplosis spp.)が好ましい。
【0112】
同様に、ミバエ(ミバエ(Tephritidae))科から:
野菜、柔らかい果実、メロン、仁果類および核果類、鑑賞植物、ジャガイモ、ブドウ、熱帯作物、柑橘類、オリーブなどの作物のアナストレファ属種(Anastrepha spp.)、ケラチチス属種(Ceratitis spp.)、ダクス属種(Dacus spp.)、ラゴレチス属種(Rhagoletis spp.)が好ましい。
【0113】
さらに、ハダニ(ハダニ(Tetranychidae))およびフシダニ(フシダニ(Eriophydae))科から:
野菜、ジャガイモ、観賞植物、柑橘類、ブドウ、針葉樹などの作物のナミハダニ属種(Tetranychus spp.)、マルハダニ属種(Panonychus spp.)、アクロプス属種(Aculops spp.)が好ましい。
【0114】
本発明の組成物による植物および植物の部分の本発明による処理は、慣用的な処理方法、例えば灌注、浸漬、噴霧、蒸発、霧化、散布、塗布により、播種材料の場合、特に種子の場合には、1種または複数のコートを塗布することによって、直接または組成物が周囲、環境もしくは貯蔵空間に作用することを可能にすることによって行われる。
【0115】
有効成分は、好ましくは土壌に灌水することによって施用される。あるいは、有効成分は、点滴または浸漬施用によって施用される。
【0116】
好ましくは、処理される植物は、綿、大豆、タバコ、野菜、香辛料、鑑賞植物、針葉樹、柑橘類植物、果実、熱帯作物、堅果類およびブドウからなる群から選択される。
【0117】
好ましくは、本発明の組成物は、ワタムシ、ブドウシラミ、キジラミ、カタカイガラムシ、マルカイガラムシ、ハカマカイガラムシ、コナカイガラムシ、コナジラミ、アブラムシ、アザミウマ、ヨコバイ、ウンカ、リーフマイナーフライ、タマバエ、ミバエ、リーフマイナーモス、ハダニ、フシダニの科の有害生物に対して作用する。
【0118】
本発明のフロアブル剤は、成分を所望の特定の比率で互いに混合することによって製造される。構成成分が互いに組み合わされる順序は、所望により得る。固体成分は細かく粉砕した状態で使用するのが適切である。しかしながら、構成成分を組み合わせた後に形成された懸濁液を、最初に粗い粉砕ステップ、次いで、微細な粉砕ステップに供して、平均粒径が20μm未満になるようにすることも可能である。固体粒子が平均粒径1~10μm(分散液が適切な濁度になるまで、試料をpH4緩衝液に希釈することにより、レーザー回折によって、例えばMalvern Mastersizer 2000または3000で測定)を有するフロアブル剤が好ましい。フラウンホーファー回折またはミー理論を使用してデータを処理する。
【0119】
本発明の方法の実施の過程で、温度を特定の範囲内で変化させることができる。一般に、作業温度は10℃~60℃、好ましくは15℃~40℃である。
【0120】
本発明の方法を実施するために有用な装置は、農薬製剤を調製するために使用される寛容的な混合および粉砕装置である。
【0121】
本発明の方法では、水が、好ましくは、0℃~40℃、好ましくは5℃~20℃の間の温度を有する。
【0122】
本発明の方法のさらに好ましい実施形態(II)では、
【0123】
本発明はまた、本発明の方法によって得られる水分散性フロアブル剤(SC)を提供する。
【0124】
粉砕は、先行技術で知られている方法によって、例えば、ボールミル(例えば、不連続ボールミル、もしくは連続ボールミル)、またはコロイドミル(例えば、歯付きコロイドミル)での成分の湿式粉砕によって行うことができる。
【0125】
本発明のSCによって、同じ施用量で土壌施用におけるより優れた生物学的有効性および生物学的利用能を達成することができる。有利なことに、本発明のSCは、植物毒性損傷を引き起こす傾向の減少など、優れた植物適合性を示す。
【0126】
本発明によるSCは、驚くべきことに、改善された生物学的活性と相まって、液体、好ましくは水でさらに希釈した後、優れた分散特性および安定化特性を示す。
【0127】
さらに、SCは、長期貯蔵安定性および非の打ちどころのない施用性を有する、レオロジー特性が改善された製剤を生み出す。
【0128】
本発明を、実施例によって限定されることなく、実施例によって詳細に説明する。
【0129】
実施例:
使用される供給原料:
以下の実施例で使用される用語は、以下の意味を有する:
クエン酸 多塩基性有機酸
Rhodopol(登録商標)23 キサンタン誘導体(Solvay)
Silfoam(登録商標)SRE シリコーン消泡剤(Wacker)
SAG 1572 シリコーン消泡剤(Momentive)
グリセロール 不凍剤
Proxel(登録商標)GXL 保存剤(殺生物剤、Proxel)
Kathon CG/ICP 保存剤(殺生物剤、Rohm and Haas)
Lucramul PS29 トリスチリルフェノールエトキシレート(分散剤、Levaco)
Lucramul PS54 トリスチリルフェノールエトキシレート(分散剤、Levaco)
Atlox 4913 エトキシレートポリメタクリレートグラフト(分散剤、Croda)
【0130】
調製実施例
フロアブル剤を調製するために、最初に全ての液体成分を互いに混合する。次のステップで、固体を添加し、均質な懸濁液が得られるまで攪拌する。均質な懸濁液を、最初に粗い、次いで細かい粉砕操作に供して、固体粒子の90%が5μm未満の粒径を有する懸濁液を得る。その後、室温で撹拌しながら、予備的な増粘剤溶液、不凍剤および水を添加する。均質なフロアブル剤が得られる。
【0131】
以下の実施例は、本発明を決して限定することなく説明する。全ての数値はg/Lである。
【0132】
【表7】
【0133】
【表8A】
【0134】
【表8B】
【0135】
表5が示すように、本発明の製剤は、沈降および凝集の傾向がより低く、改善されたレオロジー特性を有する。これは、本発明の製剤のより大きな弾性率とより小さな位相角の両方から明らかである。
【0136】
したがって、本発明の製剤は、先行技術から知られている製剤よりも高い降伏応力およびより高い降伏点での動粘度を有する。
【0137】
技術的特性と貯蔵安定性
分散液は、RT/30℃/54℃で2Wにわたる貯蔵でレオロジー特性を喪失しない(表2)。
【0138】
【表10】
【0139】
さらに、代表的な製剤実施例2~8は、貯蔵後にその技術的特性(AI濃度、粒径、シネレシス(syneresis))を喪失しない(表7)。
【0140】
【表11】
【0141】
特に定義しない限り、本発明の文脈において、Wは週を意味し、Dは日を意味する。
【0142】
点滴施用後の生物学的活性
温室試験での点滴施用:綿植物を、1Lの砂壌土(58.5%の砂、12.9%の粘土、28.5%のローム、1.6%の腐植土、pH6.8)を含む植木鉢に植える。7日後、60mL水中の指定された製剤中の1mg有効成分を、15分間にわたって土壌スパイクを使用して、植物の茎から約1cmの鉢中の土壌に滴下する。植物を適切な照明下、25℃の温室に維持する。さらに7日後、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)の混合個体群による感染が続く(必要に応じて、水が鉢を超えないように植物に水をやる)。感染7日後、死亡率(完全に有効な標準および未処理対照と比較した死亡動物)を評価する。
【0143】
温室試験での灌注施用:綿植物を、1Lの砂壌土(58.5%の砂、12.9%の粘土、28.5%のローム、1.6%の腐植土、pH6.8)を含む植木鉢に植える。7日後、60mL中の指定された製剤中の2mgの有効成分を、茎の周りの鉢中の土壌に一度に注ぎ入れる。植物を適切な照明下、25℃の温室に維持する。さらに7日後、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)の混合個体群による感染が続く(必要に応じて、水が鉢を超えないように植物に水をやる)。感染7日後、死亡率(完全に有効な標準および未処理対照と比較した死亡動物)を評価する。
【0144】
【表12】
【0145】
試験および貯蔵方法:
全ての試験を、作物保護で慣用的なCIPAC法(CIPAC=国際農薬分析法協議会(Collaborative International Pesticides Analytical Council);www.cipac.org)によって行った。長期貯蔵は、CIPAC MT 46.3に従って、室温/54℃で2週間の貯蔵時間にわたって行った。以下で使用される用語は以下の意味を有する:特に明記しない限り、試験を23℃で、1%水溶液(CIPAC D、水の硬度342ppm)で行う。
【0146】
-0T=ゼロ日間の貯蔵後の試験結果;
-2W RT/54=製剤製品の長期安定性を試験するための加速貯蔵試験(室温/54℃で2週間)の試験結果;
-D90/50=有効成分の粒径(レーザー散乱、全体積粒子の90%/50%);
-D90/50 2WRT/54=貯蔵試験(室温/54℃で2週間)後の有効成分の粒径;値の増加は結晶成長を示し、通常は2倍の増加でも許容され;4倍超は許容されない;
-沈降物=10%超の値は、有意な沈降物形成を示す。