(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】警光灯検出方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240220BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
G06T7/00 350C
G08G1/16 C
G06T7/00 650B
(21)【出願番号】P 2020558428
(86)(22)【出願日】2019-05-08
(86)【国際出願番号】 DE2019200039
(87)【国際公開番号】W WO2019238177
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】102018209306.7
(32)【優先日】2018-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
【住所又は居所原語表記】Ringlerstrasse 17, 85057 Ingolstadt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】シュトリーゲル・エリアス
(72)【発明者】
【氏名】プフィッツァー・マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ハインリヒ・シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】クレーケル・ディーター
【審査官】大塚 俊範
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0078291(US,A1)
【文献】特開2017-041132(JP,A)
【文献】特開平05-266190(JP,A)
【文献】特開2002-319091(JP,A)
【文献】特開2018-206035(JP,A)
【文献】特開2017-182696(JP,A)
【文献】加藤 葵、他5名,バス停留所付近の停止車両検出に基づく危険予測システムの基礎検討,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2015年08月17日,第115巻,第187号,第17-22頁,ISSN 0913-5685
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車(5)周辺の警光灯(4)を検出する方法において:
-前記自車(5)のカメラシステム(6)を用いて、一連の周辺切り抜きカメラ画像(1)を撮影するステップ(S1)と;
-
一連のカメラ画像の記録された
各々の前記カメラ画像(1)における明るい光点を検出するステップ(S2)であって、明るい光点は少なくとも1つの特定の色チャネルにおける10~5
0の最も明るい領域
である、ステップ(S2)と;
-
一連のカメラ画像の各々の前記カメラ画像(1)における検出された前記明るい光点を有する領域(3)を切り抜くステップ(S3)と;
-
一つ以上の特定の色に基づいて、切り抜かれた前記領域(3)を分類するステップ(S4)と;
-分類された前記明るい光点が繰り返し検出されることによりカウンタの閾値が超過される場合、前記明るい光点を警光灯(4)として整理するステップ(S5)
であって、前記カウンタは分類された前記光点の各検出後にインクリメントし、検出が行われない場合にはデクリメントする、ステップ(S5)と、を備える方法。
【請求項2】
分類するためにニューラルネットワークが用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ニューラルネットワークは、光用、特に色光用の少なくとも1つの分類器を構成する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの分類器は、光の色が出力される、出力を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
さらなるステップにおいて、警光灯(4)に関する情報が運転者および/または運転支援システムに供給される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警光灯検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば信号機を認識でき、その際に信号灯がどの色を示しているかを決定することもできる方法が先行技術において知られている。また、他の交通参加者をその前照灯および/または尾灯により認識することが知られている。
【0003】
既知の方法における不利な点は、これにより例えば車両の存在のみを決定可能であり、車両についてさらに決定することはできない。したがって、特に緊急車両、例えば警察車両を認識できない。しかし、そのような緊急車両は特定の条件下において特別な運転者挙動を要求する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、緊急車両の認識を信頼性高く確保できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は独立請求項1の主題により解決される。さらなる構成が従属請求項の主題である。
【0006】
緊急車両の認識は動作中の警光灯により最も信頼性高く実現可能であることが最初の着想であった。つまり、例えば青色光は特に警察車両、消防車および救急車に特徴的なものである。動作中の警光灯が認識される場合、直接的に緊急車両であると推定できる。
【0007】
したがって、本発明によると、自車周辺の警光灯を検出する方法において:
-自車のカメラシステムを用いて、一連の周辺切り抜きカメラ画像を撮影するステップと;
-記録されたカメラ画像における明るい光点を検出するステップと;
-カメラ画像における検出された明るい光点を有する領域を切り抜くステップと;
-切り抜かれた領域を分類するステップと;
-分類された明るい光点が時間的に連続して複数回検出されることによりカウンタの閾値が超過される場合、明るい光点を警光灯として整理するステップとを備える、方法が提案される。
【0008】
ここで、警光灯の概念は、例えば、ドイツでは警察が使用するようないわゆる回転灯、または、例えば緊急自動二輪車もしくは救急車のラジエータグリルにおいても用いられるような前部警光灯も表す。
【0009】
カメラシステムとは、モノカメラ、ステレオカメラまたはサラウンドビューカメラシステムに関してよい。
【0010】
明るい光点とは、例えば特定の色チャネルにおける10~50の最も明るい領域と理解される。近傍の周囲1画素も明るい場合、これは領域と見なされ、分類器に1回だけ供給される結果、10~50の最も明るい領域に1回だけ算入される。このようにして、ランプの明るい領域のすべてが割り当てられることが防止される。
【0011】
ここで用いられるカウンタの閾値とは、警光灯を推定可能とするために存在すべき、分類された光点の特定の検出数に関する。ここでは1または複数の特定の色のみが関係するため、ここで重要なことは、分類された該当する光点のみが考慮されることである。これにより、例えば、インジケータが誤って警光灯として識別されることが防止される。
【0012】
特に好ましい実施形態において、分類するためにニューラルネットワークが用いられる。
【0013】
特に好ましくは、ニューラルネットワークは、光用、特に色光用の分類器を構成する。特に好ましくは、色光とは青色光に関する。この実施形態においては、特に、青色チャネルにおける青色光の最も明るい領域、つまり特定のチャネルにおける最大値が考慮される。他の色、例えば赤色については、赤色チャネルにおける赤色光が考慮されることになる。各色についてそれぞれの分類器が用いられてよい。この場合、異なる分類器が並行して用いられてもよく、例えば、特にアメリカ合衆国で用いられているような青色と赤色からなる組み合わせの警光灯を信頼性高く認識することができる。また、複数のクラスを用いて分類器を訓練することにより、個々の分類器を様々な色に用いることができることも考えられる。
【0014】
好ましくは、少なくとも1つの分類器は、光の色が出力される、出力を有する。これは、特に異なる色について複数の分類器を用いる場合に有利である。
【0015】
好ましくは、さらなるステップにおいて、警光灯に関する情報が運転者および/または運転支援システムに供給される。情報は、運転者に例えば視覚的にヘッドアップディスプレイを介して、またはダッシュボード上の表示器を介して供給されてよい。代替としてまたは追加として、さらに、聴覚的な警告が行われてよい。運転者に情報を供給することが有利であるのは、運転者が情報に基づいて、必要に応じて、対応する運転操作を実施することができ、かつ/または他の交通参加者による、起こりえる逸脱的な運転者挙動に対する注意が高められるからである。また、運転支援システムに供給することが有利であるのは、このようにして、自車が例えば自律的に緊急車両用の通り道を形成するための措置をとることができるからである。
【0016】
好ましい実施形態において、カウンタは分類された光点の各検出後にインクリメントし、検出が行われない場合にはデクリメントする。したがって、カウンタは特定の数の陽性検出が存在するまでの間インクリメントする。つまり、陽性検出とは、緊急車両の非常灯として分類された検出を表す。それに対して、例えば緊急車両の非常灯が1回だけ検出される場合、カウンタはまず増加するが、その後カウンタが閾値を超過しないと、カウンタは再びデクリメントする。初期値は例えば1であり、これはしたがって最初の検出から超過され、それによりまたインクリメントする。最大値は例えば3であってよい。したがって、カウンタは1から2回インクリメントして3になり、ここで4回目の検出は、検出を警光灯として整理するのに決定的となる。そのように構成される方法が特に有利なのは、このようにして偽陽性の問題を抑えることができるからである。
【0017】
さらなる有利な構成は図面の要素である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】
図2は、本方法の好ましい実施形態の概略的なプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、例示の交通状況の概略図を示す。この交通状況では、車道Fにおいて、自車5は車線FS2上に位置し、そして別車両2aは車線FS3上で自車5の隣に位置し、別車両2bは車線FS2上で自車5の後方に位置する。ここで、3車両は同一の移動方向R1に移動する。車道はさらに路肩FS1を含む。この場合、自車は、撮影領域Eと開口角αを有するカメラ6を備え、カメラ6は、例えばサラウンドビューカメラシステムの構成要素として後方に向けられている。別車両2bは警光灯4を備え、警光灯4は例えば回転灯として構成される。別車両2bは自車5のカメラ6を用いて撮影され、そのようにして記録された画像において明るい光点が検出され、警光灯4の存在を算出する。別車両2bの動作中の警光灯4が算出される場合、自車は例えば、緊急車両として分類された別車両2b用の通り道を形成するために、路肩FS1に寄せてよい。
【0020】
図2は、本方法の好ましい実施形態の概略的なプロセスを示す。ステップS1において、自車5のカメラシステム6を用いて、一連の周辺切り抜きカメラ画像1が撮影される。ステップS2において、記録されたカメラ画像1における明るい光点、つまり領域3が検出される。続くステップS3において、カメラ画像1における明るい光点を有する領域3が切り抜かれる。これらの切り抜かれた領域3は、続くステップS4において分類される。次にステップS5において、分類された明るい光点が時間的に連続して複数回検出されることにより閾値が超過される場合、明るい光点は警光灯4として整理される。警光灯4は、ここで図示される記録されたカメラ画像においては車両2bの前部に位置する。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下も含む。
1.
自車(5)周辺の警光灯(4)を検出する方法において:
-前記自車(5)のカメラシステム(6)を用いて、一連の周辺切り抜きカメラ画像(1)を撮影するステップ(S1)と;
-記録された前記カメラ画像(1)における明るい光点を検出するステップ(S2)と;
-前記カメラ画像(1)における検出された前記明るい光点を有する領域(3)を切り抜くステップ(S3)と;
-切り抜かれた前記領域(3)を分類するステップ(S4)と;
-分類された前記明るい光点が繰り返し検出されることによりカウンタの閾値が超過される場合、前記明るい光点を警光灯(4)として整理するステップ(S5)と、を備える方法。
2.
分類するためにニューラルネットワークが用いられる、上記1に記載の方法。
3.
前記ニューラルネットワークは、光用、特に色光用の少なくとも1つの分類器を構成する、上記2に記載の方法。
4.
前記少なくとも1つの分類器は、光の色が出力される、出力を有する、上記3に記載の方法。
5.
さらなるステップにおいて、警光灯(4)に関する情報が運転者および/または運転支援システムに供給される、上記1に記載の方法。
6.
前記カウンタは分類された前記光点の各検出後にインクリメントし、検出が行われない場合にはデクリメントする、上記1に記載の方法。
【符号の説明】
【0021】
1 カメラ画像
2a、2b 別車両
3 領域
4 警光灯
5 自車
6 カメラシステム
E 撮影領域
F 車道
FS1~FS3 車線
R1 自車移動方向
S1~S5 方法ステップ