(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】触媒
(51)【国際特許分類】
C07F 19/00 20060101AFI20240220BHJP
C08F 4/6592 20060101ALI20240220BHJP
C08F 10/00 20060101ALI20240220BHJP
C07F 7/08 20060101ALN20240220BHJP
C07F 7/00 20060101ALN20240220BHJP
C07F 17/00 20060101ALN20240220BHJP
【FI】
C07F19/00 CSP
C08F4/6592
C08F10/00 510
C07F7/08
C07F7/00 Z
C07F17/00
(21)【出願番号】P 2020572847
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2019067435
(87)【国際公開番号】W WO2020002654
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-23
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511114678
【氏名又は名称】ボレアリス エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】アジェラル,ヌールディン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルックネン,ヴィレ
(72)【発明者】
【氏名】レスコーニ,ルイジ マリア クリストフォロ
(72)【発明者】
【氏名】イズマール,ヴャチェスラフ ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】コノノビッチ,ドミトリー エス.
(72)【発明者】
【氏名】ボスコボイニコフ,アレクサンダー ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジンボー
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツェンベルガー,シモン
(72)【発明者】
【氏名】トルシュ,ヴィルフリート ペーター
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-299029(JP,A)
【文献】特表2008-534705(JP,A)
【文献】特表2014-525950(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0342175(US,A1)
【文献】国際公開第2018/122134(WO,A1)
【文献】J. Am. Chem. Soc.,1987年,109,6544-6545
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C08F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)の錯体
【化1】
ここで、
Mは、Hfであり;
各Xはシグマリガンドであり;
Lは、式-(ER
8
2)
y-の架橋基であり;
yは1又は2であり;
EはC又はSiであり;
各R
8は独立して、C
1~C
20ヒドロカルビル、トリ(C
1~C
20アルキル)シリル、C
6~C
20アリール、C
7~C
20アリールアルキル又はC
7~C
20アルキルアリールであり、又はLは、アルキレン
基であり;
Ar及びAr’はそれぞれ独立して、1~3つのR
1又はR
1’基によってそれぞれ任意的に置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール基であり;
R
1及びR
1’はそれぞれ独立して、同じであり、又は異なっていてもよく、且つ直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基、C
7~20アリールアルキル、C
7~20アルキルアリール基、又はC
6~20アリール基であり、但し、合計で4つ以上のR
1及びR
1’基が存在する場合、R
1及びR
1’の1つ以上はtert-ブチル以外であり;
R
2及びR
2’は、同じであり又は異なり、且つCH
2-R
9基であり、ここで、R
9は、H、又は直鎖又は分岐のC
1~6アルキル基、C
3~8シクロアルキル基、C
6~10アリール基であり;
各R
3は、-CH
2-、-CHRx-又はC(Rx)
2-基であり、ここで、RxはC
1~4アルキルであり、且つmは2~6であり;
R
5は、直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基、C
7~20アリールアルキル、C
7~20アルキルアリール基、又はC
6~C
20アリール基であり;
R
6はC(R
10)
3基であり、ここで、R
10は、直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基であり;及び
R
7及びR
7’は、同じであり又は異なり、且つH、又は直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基である。
【請求項2】
下記の式(Ia)の、請求項1に記載の錯体
【化2】
ここで、
Mは、Hfであり;
各Xはシグマリガンドであり;
Lは、式-(ER
8
2)
y-の架橋基であり;
yは1又は2であり;
EはC又はSiであり;
各R
8は独立して、C
1~C
20ヒドロカルビル、トリ(C
1~C
20アルキル)シリル、C
6~C
20アリール、C
7~C
20アリールアルキル又はC
7~C
20アルキルアリールであり、又はLはアルキレン基であり;
各nは独立して、0、1、2又は3であり;
R
1及びR
1’はそれぞれ独立して、同じであり、又は異なっていてもよく、且つ直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基、C
7~20アリールアルキル、C
7~20アルキルアリール基、又はC
6~20アリール基であり、但し、合計で4つ以上のR
1及びR
1’基が存在する場合、R
1及びR
1’の1つ以上はtert-ブチル以外であり;
R
2及びR
2’は、同じであり又は異なり、且つCH
2-R
9基であり、ここで、R
9は、H、又は直鎖又は分岐のC
1~6アルキル基、C
3~8シクロアルキル基、C
6~10アリール基であり;
各R
3は、-CH
2-、-CHRx-又はC(Rx)
2-であり、ここで、Rxは、C
1~4アルキルであり、且つmは2~6であり;
R
5は、直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基、C
7~20アリールアルキル、C
7~20アルキルアリール基又はC
6~C
20アリール基であり;
R
6はC(R
10)
3基であり、ここで、R
10は、直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基であり;及び
R
7及びR
7’は、同じであり又は異なり、且つH、又は直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基である。
【請求項3】
Lは、式-SiR
8
2-の架橋基であり、ここで、各R
8は独立して、C
1~C
20ヒドロカルビル、トリ(C
1~C
20アルキル)シリル、C
6~C
20アリール、C
7~C
20アリールアルキル又はC
7~C
20アルキルアリールである、請求項2に記載の錯体。
【請求項4】
下記の式(Ib)の、請求項1に記載の錯体
【化3】
ここで、
Mは、Hfであり;
各Xはシグマリガンドであり;
Lは、アルキレン架橋基、又は式-SiR
8
2-の架橋基であり、ここで、各R
8は独立して、C
1~C
20ヒドロカルビル、トリ(C
1~C
20アルキル)シリル、C
6~C
20アリール、C
7~C
20アリールアルキル又はC
7~C
20アルキルアリールであり;
各nは独立して、0、1、2又は3であり;
R
1及びR
1’はそれぞれ独立して、同じであり、又は異なっていてもよく、且つ直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基、C
7~20アリールアルキル、C
7~20アルキルアリール基、又はC
6~20アリール基であり、但し、合計で4つ以上のR
1及びR
1’基が存在する場合、R
1及びR
1’の1つ以上はtert-ブチル以外であり;
R
2及びR
2’は、同じであり又は異なり、且つCH
2-R
9基であり、ここで、R
9は、H、又は直鎖又は分岐のC
1~6アルキル基、C
3~8シクロアルキル基、C
6~10アリール基であり;
R
5は、直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基、C
7~20アリールアルキル、C
7~20アルキルアリール基、又はC
6~C
20アリール基であり;
R
6は、C(R
10)
3基であり、ここで、R
10は、直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基であり;及び
R
7及びR
7’は、同じであり又は異なり、且つH、又は直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基である。
【請求項5】
各nは1又は2である、請求項4に記載の錯体。
【請求項6】
下記の式(II)の、請求項1~5のいずれか1項に記載の錯体
【化4】
ここで、
Mは、Hfであり;
Xはシグマリガンドであ
り;
Lは、アルキレン架橋基、又は式-SiR
8
2-の架橋基であり、ここで、各R
8は独立して、C
1~C
6アルキル、C
3~8シクロアルキル又はC
6アリール基であり;
各nは独立して、1又は2であり;
R
1及びR
1’はそれぞれ独立して、同じであり、又は異なっていてもよく、且つ直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基であり、但し、4つのR
1及びR
1’基が存在する場合、該4つの全てが同時にtert-ブチルではあり得ない;
R
2及びR
2’は、同じであり又は異なり、且つCH
2-R
9基であり、ここで、R
9は、H、又は直鎖又は分岐のC
1~
6アルキル基であり;
R
5は、直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基であり;及び
R
6はC(R
10)
3基であり、ここで、R
10は、直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基である。
【請求項7】
下記の式(III)の、請求項1~6のいずれか1項に記載の錯体
【化5】
ここで、
Mは、Hfであり;
各Xはシグマリガンドであ
り;
Lは-SiR
8
2-であり、ここで、各R
8は、C
1~6アルキル又はC
3~8シクロアルキルであり;
各nは独立して、1又は2であり;
R
1及びR
1’はそれぞれ独立して、同じであり、又は異なっていてもよく、且つ直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基であり、但し、4つのR
1及びR
1’基が存在する場合、該4つの全てが同時にtert-ブチルではあり得ない;
R
5は、直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基であり;及び
R
6はC(R
10)
3基であり、ここで、R
10は直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基である。
【請求項8】
下記の式(IV)の、請求項1~7のいずれか1項に記載の錯体
【化6】
ここで、
Mは、Hfであり;
各Xは、水素原子、ハロゲン原子、C
1~6アルコキシ基、C
1~6アルキル、フェニル又はベンジル基であり;
Lは-SiR
8
2-であり、ここで、各R
8は、C
1~4アルキル又はC
5~6シクロアルキルであり;
各nは独立して、1又は2であり;
R
1及びR
1’はそれぞれ独立して、同じであり、又は異なっていてもよく、且つ直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基であり、但し、4つのR
1及びR
1’基が存在する場合、該4つの全てが同時にtert-ブチルではあり得ない;
R
5は、直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基であり;及び
R
6はC(R
10)
3基であり、ここで、R
10は直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基である。
【請求項9】
下記の式(V)の、請求項1~8のいずれか1項に記載の錯体
【化7】
ここで、
Mは、Hfであり;
Xは、水素原子、ハロゲン原子、C
1~6アルコキシ基、C
1~6アルキル、フェニル又はベンジル基であり;
Lは、-SiMe
2であり;
各nは独立して、1又は2であり;
R
1及びR
1’はそれぞれ独立して、同じであり、又は異なっていてもよく、且つ直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基であり、但し、4つのR
1及びR
1’基が存在する場合、該4つの全てが同時にtert-ブチルではあり得ない;
R
5は、直鎖又は分岐のC
1~C
4アルキル基であり;及び
R
6はC(R
10)
3基であり、ここで、R
10は、直鎖又は分岐のC
1~C
4アルキル基である。
【請求項10】
下記の式(VI)の、請求項1~9のいずれか1項に記載の錯体
【化8】
ここで、
Mは、Hfであり;
Xは、水素原子、ハロゲン原子、C
1~6アルコキシ基、C
1~6アルキル、フェニル又はベンジル基であり;
Lは-SiMe
2であり;
各nは独立して、1又は2であり;
R
1及びR
1’はそれぞれ独立して、同じであり、又は異なっていてもよく、且つ直鎖又は分岐のC
1~C
6アルキル基であり、但し、4つのR
1及びR
1’基が存在する場合、該4つの全てが同時にtert-ブチルではあり得ない;
R
5は、直鎖のC
1~C
4アルキル
基であり;及び
R
6はtert-ブチルである。
【請求項11】
下記の式(VII)の、請求項1~10のいずれか1項に記載の錯体
【化9】
ここで、
Mは、Hfであり;
Xは、水素原子、ハロゲン原子、C
1~6アルコキシ基、C
1~6アルキル、フェニル又はベンジル
基であり;
Lは-SiMe
2であり;
各nは独立して、1又は2であり;
R
1及びR
1’はそれぞれ独立して、同じであり、又は異なっていてもよく、且つ直鎖又は分岐のC
1~C
4アルキル基であり、但し、4つのR
1及びR
1’基が存在する場合、該4つの全てが同時にtert-ブチルではあり得ない;
R
5はメチルであり;及び
R
6はtert-ブチルである。
【請求項12】
下記の式(VIII)の、請求項1~11のいずれか1項に記載の錯体
【化10】
ここで、
Mは、Hfであり;
XはClであり;
Lは-SiMe
2であり;
各nは独立して、1又は2であり;
R
1及びR
1’はそれぞれ独立して、メチル又はtert-ブチルであり、但し、4つのR
1及びR
1’基が存在する場合、該4つの全てが同時にtert-ブチルではあり得ない;
R
5はメチルであり;及び
R
6はtert-ブチルである。
【請求項13】
C(4)フェニル環又はC(4’)フェニル環の少なくとも1つが3,5-ジメチルフェニルである、請求項1~12のいずれか1項に記載の錯体。
【請求項14】
C(4)フェニル環又はC(4’)フェニル環の少なくとも1つが4-(tert-ブチル)-フェニルである、請求項1~13のいずれか1項に記載の錯体。
【請求項15】
R
1、R
1’及びnの各値は、C(4)フェニル環又はC(4’)フェニル環が3,5-ジメチルフェニル、3,5ジ-tert-ブチルフェニル及び/又は4-(tert-ブチル)-フェニルであるように選択される、請求項1~14のいずれか1項に記載の錯体。
【請求項16】
固形状態である触媒であって、
(i) 請求項1~15のいずれか一項に記載の錯体、
(ii) アルミニウム化合
物の助触媒、及び
(iii) ホウ素化合
物の助触媒
を含む、前記触媒。
【請求項17】
外部担体上に担持された状態である、又は外部担体を有さない固体粒状形態である、請求項16に記載の触媒。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の触媒系の製造の為の方法であって、前記触媒系は、請求項1~15のいずれか1項に記載の錯体(i)並びに助触媒(ii)及び助触媒(iii)を含み、
分散された滴の形態で溶媒中に分散された触媒成分(i) (ii)及び(iii)の溶液を含む液体/液体エマルジョン系を形成すること、及び前記分散された滴を固化して、前記触媒系の固体粒子を形成することを含む上記方法。
【請求項19】
請求項16又は17に記載の触媒の存在下
でプロピレンを重合することを含む、プロピレンポリマーを調製する為の方法。
【請求項20】
請求項16又は17に記載の触媒の存在下で、エチレン及び/又はC4~10アルファーオレフィンとともに、プロピレンを重合することを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なビスインデニルリガンド、それらの錯体及びそれらの錯体を含む触媒に関する。本発明はまた、高分子量、及びそれ故に低いMFRを有し、改善された活性を有し、且つ高融点を有するプロピレンポリマー、特に異相プロピレンコポリマー及びポリプロピレンホモポリマー、を製造する為の新規なビスインデニルメタロセン触媒の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
メタロセン触媒は、長年、ポリオレフィンを製造する為に使用されてきている。無数の学術発表及び特許公報が、オレフィン重合におけるこれらの触媒の使用を記載している。メタロセンは、工業的に使用され、及び、特にポリエチレン及びポリプロピレンはしばしば、種々の置換パターンを有する、シクロペンタジエニルに基づく触媒系を使用して製造される。
【0003】
本発明者等は、高融点のリプロピレンポリマー、特にプロピレンポリマー、を提供することが出来る新規なメタロセン触媒を求めた。加えて、所望の触媒はまた、良好な活性を有する高分子量プロピレンホモポリマーの製造において改善された性能を有するべきであり、且つポリマーマトリックスの高融点及びゴム相の高分子量を有するプロピレン異相コポリマーの製造を可能にする。様々な従来技術文献は、これらの特徴のうちの1以上を目的としている。
【0004】
C2-対称のメタロセンが例えば、国際公開第2007/116034号パンフレットにおいて開示されている。この文献は、なかんずく、メタロセン (rac)-Me2Si(2-Me-4-Ph-5-OMe-6-tBuInd)2ZrCl2の合成及び特徴付け、並びに溶液重合におけるプロピレンの単独重合及びプロピレンとエチレン及びそれより高級のアルファーオレフィンとの共重合の為のMAOで活性化後の重合触媒としてのその使用を報告している。
【0005】
国際公開第02/02576号パンフレットは、なかんずく、rac-Me2Si[2-Me-4-(3,5-tBu2Ph)Ind]2ZrCl2及びrac-Me2Si[2-Me-4-(3,5-tBu2Ph)Ind]2ZrCl2(国際公開第2014/096171号パンフレットをまた参照)、並びに高いMw且つ高融点のポリプロピレンの製造におけるその使用を記載する。
【0006】
国際公開第06/097497号パンフレットは、なかんずく、シリカ上に担持されたrac-Me2Si(2-Me-4-Ph-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル)2ZrCl2、及びプロピレンのエチレンとの単独重合及び共重合におけるその使用を記載する。
【0007】
国際公開第2006/100258号パンフレットは、異相エチレン/プロピレンコポリマーの製造におけるC1対称メタロセンの使用を記載する。
【0008】
国際公開第2011/076780号パンフレットは、プロピレン単独重合の為の、外部担体なしの固体粒子形態においてメチルアルモキサンで活性化されたrac-Me2Si(2-Me-4-Ph-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル)2ZrCl2の使用を記載する。
【0009】
米国特許第6,057,408号は、液体スラリー中で製造されたエチレン-プロピレンコポリマーの分子量に対する4-アリール置換基の影響を記載する。
【0010】
アイソタクチックポリプロピレンを製造することができる非対称のメタロセンが下記の文献に記載されている。国際公開第2013/007650号パンフレットは、複数の環のうちの1つの5位にアルコキシ基を含む或る不斉触媒(asymmetrical catalysts)、例えばジメチルシリレン(η5-6-tert-ブチル-5-メトキシ-2-メチル-4-フェニル-1H-インデン-1-イル)-(η5-6-tert-ブチル-2-メチル-4-フェニル-1H-インデン-1-イル)ジルコニウムジクロリド、を記載する。その良好な性能にもかかわらず、この参考文献に基づく触媒は、ポリプロピレンホモポリマーの融解温度、低MFRでの生産性の観点において制限されている。加えて、該触媒の全体的な生産性は依然として改善される必要がある。
【0011】
対応するジルコノセンよりもハフノセンを有する改善されたポリプロピレンTmが、Ewen等J.Am.Chem.Soc.1987,109,6544-6545において記載されている。活性化はMAOで行われるが、それでもなおTmは低い。
【0012】
さらに、高分子量アイソタクチックPPを生成する為に構造が最適化されているほとんどのメタロセンは、気相でエチレン-プロピレンコポリマーを生成するために使用される場合にそれらの分子量能力に制限を示す。所与のゴムコモノマー組成物に対する異相PP/EPRブレンドの引張及び衝撃特性は、ゴム相の分子量を増加させることによって改善されることができることが知られている。さらに、異相コポリマーのhPPマトリックスのTmが低い場合に、材料の剛性が、所望のほど高くない。
【0013】
該文献に記載されている改善があるとしても、改善された活性高融点ポリプロピレンを有し且つ高分子量、すなわち低MFR値、を有するプロピレンポリマーを提供することができるメタロセン触媒を提供し、並びにさらに、高融点のポリマーマトリックスを有し且つ高分子量のゴム相を有するプロピレン異相コポリマーを提供する必要性がある。
【0014】
本発明の触媒は、理想的には、慣用的な固体担持形態、例えばシリカ又はアルミナ担持体、における使用の為に適しているべきであり、又は固体形態で使用されることができるが、しかしながら、外部担持体又は担体は存在しない。
【0015】
本発明者等は、慣用的な無機担持体に対する代替物を以前に開発していた。国際公開第03/051934号パンフレットにおいて、本発明者等は、固体形態で提供されるが、慣用的な外部担持物質、例えばシリカ、を必要としない触媒の代替形態を提案した。該発明は、遷移金属の有機金属化合物を含む均一触媒系が、制御された方法で、最初に、分散相として均一系触媒系の溶液及び連続相として溶媒不混和性を含む液体/液体エマルジョン系を形成し、そして次に分散された滴を固化して、上記触媒を含む固体粒子を形成することによって、固体の均一触媒粒子に変換されることができるという知見に基づく。
【0016】
国際公開第03/051934号パンフレットに記載されている発明は、当技術分野において通常必要とされる、例えば外部多孔質担体粒子、例えばシリカ、を使用することなしに、上記有機遷移金属触媒の固体球状触媒粒子の形成を可能にした。すこの発明の触媒はこの方法を利用できなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明者等は、代替のC1対称メタロセン系の触媒を使用して現在達成可能であるよりも、改善された重合挙動、より高い触媒生産性、高分子量且つ高融点ポリプロピレンポリマー、特に上記されたプロピレンホモポリマー及びプロピレン異相コポリマーの製造における改善された性能を有する新しいメタロセン触媒を開発した。
【0018】
既知のメタロセン触媒は中庸の活性を示し、且つ中庸の融点のポリプロピレンを提供する。しかしながら、ポリマーのより高い分子量又は異相コポリマーのゴム相のより高い分子量を提供する触媒、及びさらにより高い融点のプロピレンホモポリマーを提供することが望ましいであろう。本発明はこの問題を解決する。
【0019】
本発明者等は、特定のC1対称メタロセンを含む特定の触媒が、プロピレン重合において、特にプロピレン単独重合において、及びプロピレン異相コポリマーの製造において、改善された性能を提供することを今見出した。
【0020】
特に、本発明の触媒は、
-高分子量プロピレンホモポリマーの製造における改善された性能;
-改善された、すなわちより高い融点の、プロピレンホモポリマー;
-改善された、すなわち高い融点の、異相プロピレンコポリマーのプロピレンホモポリマーマトリックス;
-改善された、すなわち異相プロピレンコポリマーのゴム相のより高い分子量。
-高Mwプロピレンポリマーの製造のための高い触媒活性
を可能にする。
【0021】
下記に定義される特定のメタロセンと、少なくとも2つの助触媒、すなわちアルミニウム系の助触媒及びホウ素系の助触媒、を含む本発明の触媒を使用することによって改善が達成可能であることが驚くべきことに見出された。
【課題を解決するための手段】
【0022】
一つの観点から見ると、本発明は、下記の式(I)の錯体を提供する。
【0023】
【0024】
Mは、Hfであり;
各Xはシグマリガンドであり;
Lは、式-(ER8
2)y-の架橋基であり;
yは1又は2であり;
EはC又はSiであり;
各R8は独立して、C1~C20ヒドロカルビル、トリ(C1~C20アルキル)シリル、C6~C20アリール、C7~C20アリールアルキル又はC7~C20アルキルアリールであり、又はLは、アルキレン基、例えばメチレン又はエチレン、であり;
Ar及びAr’はそれぞれ独立して、1~3つのR1又はR1’基によってそれぞれ任意的に置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール基であり;
R1及びR1’はそれぞれ独立して、同じであり、又は異なっていてもよく、且つ直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基、C7~20アリールアルキル、C7~20アルキルアリール基、又はC6~20アリール基であり、但し、合計で4つ以上のR1及びR1’基が存在する場合、R1及びR1’の1つ以上はtert-ブチル以外であり;
R2及びR2’は、同じであり又は異なり、且つCH2-R9基であり、ここで、R9は、H、又は直鎖又は分岐のC1~6アルキル基、C3~8シクロアルキル基、C6~10アリール基であり;
各R3は、-CH2-、-CHRx-又はC(Rx)2-基であり、ここで、Rxは、C1~4アルキルであり、且つmは2~6であり;
R5は、直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基、C7~20アリールアルキル、C7~20アルキルアリール基、又はC6~C20アリール基であり;
R6はC(R10)3基であり、ここで、R10は、直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基であり;及び
R7及びR7’は、同じであり又は異なり、且つH、又は直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基である。
【0025】
別の観点から見ると、本発明は、下記の式(Ia)の錯体を提供する。
【0026】
【0027】
Mは、Hfであり;
各Xはシグマリガンドであり;
Lは、式-(ER8
2)y-の架橋基であり;
yは1又は2であり;
EはC又はSiであり;
各R8は独立して、C1~C20ヒドロカルビル、トリ(C1~C20アルキル)シリル、C6~C20アリール、C7~C20アリールアルキル又はC7~C20アルキルアリールであり、又はLは、アルキレン基、例えばメチレン又はエチレン、であり;
各nは独立して、0、1、2又は3であり;
R1及びR1’はそれぞれ独立して、同じであり、又は異なっていてもよく、且つ直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基、C7~20アリールアルキル、C7~20アルキルアリール基、又はC6~20アリール基であり、但し、合計で4つ以上のR1及びR1’基が存在する場合、R1及びR1’の1つ以上はtert-ブチル以外であり;
R2及びR2’は、同じであり又は異なり、且つCH2-R9基であり、ここで、R9は、H、又は直鎖又は分岐のC1~6アルキル基、C3~8シクロアルキル基、C6~10アリール基であり;
各R3は、-CH2-、-CHRx-又はC(Rx)2-であり、ここで、RxはC1~4アルキルであり且つmは2~6であり;
R5は、直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基、C7~20アリールアルキル、C7~20アルキルアリール基、又はC6~C20アリール基であり;
R6はC(R10)3基であり、ここで、R10は直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基であり;及び
R7及びR7’は、同じであり又は異なり、且つH、又は直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基である。
【0028】
式(Ia)の好ましい実施態様において、Lは、式-SiR8
2-であり、ここで、各R8は独立して、C1~C20ヒドロカルビル、トリ(C1~C20アルキル)シリル、C6~C20アリール、C7~C20アリールアルキル又はC7~C20アルキルアリールである。
【0029】
別の観点から見ると、本発明は、式(Ib)の錯体を提供する。
【0030】
【0031】
ここで、
Mは、Hfであり;
各Xはシグマリガンドであり;
Lは、アルキレン架橋基(例えば、メチレン又はエチレン)又は式-SiR8
2-の架橋基であり、ここで、各R8は独立して、C1~C20ヒドロカルビル、トリ(C1~C20アルキル)シリル、C6~C20アリール、C7~C20アリールアルキル又はC7~C20アルキルアリールであり;
各nは独立して、0、1、2又は3であり;
R1及びR1’はそれぞれ独立して、同じであり、又は異なっていてもよく、且つ直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基、C7~20アリールアルキル、C7~20アルキルアリール基、又はC6~20アリール基であり、但し、合計で4つ以上のR1及びR1’基が存在する場合、R1及びR1’の1つ以上はtert-ブチル以外であり;
R2及びR2’は、同じであり又は異なり、且つCH2-R9基であり、ここで、R9は、H、又は直鎖又は分岐のC1~6アルキル基、C3~8シクロアルキル基、C6~10アリール基であり;
R5は、直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基、C7~20アリールアルキル、C7~20アルキルアリール基、又はC6~C20アリール基であり;
R6はC(R10)3基であり、ここで、R10は、直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基であり;及び
R7及びR7’は、同じであり又は異なり、且つH、又は直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基である。
【0032】
別の観点から見ると、本発明は、
(i) 本明細書で前述の式(I)の複合体、及び
(ii) アルミニウム系の化合物を含む助触媒、及び
(iii) ホウ素系の化合物を含む助触媒
を含む、固形形態における触媒を提供する。
【0033】
従って、本発明の触媒は、不均一触媒として使用されうる。
【0034】
本発明の触媒は、固体形態で、好ましくは固体粒状形態で、使用され、且つ外部担体物質、例えばシリカ又はアルミナ、上に担持されること、又は外部担体を有さないが、なお固体形態であること、のいずれかで使用されることができる。例えば、該固体触媒は、
(a) 液体/液体エマルジョン系が形成される、ここで、該液体/液体エマルジョン系は、分散された滴を形成するように溶媒中に分散された触媒成分(i)、(ii)及び(iii)の溶液を含む;及び
(b) 該分散された滴を固形化することにより固体粒子が形成される
ところの方法によって得られうる。
【0035】
別の観点から見ると、本発明は、式(I)の錯体及び上記で記載された少なくとも2つの助触媒を得ること;
溶媒中に分散された触媒成分(i)、(ii)及び(iii)の溶液を含む液体/液体エマルジョン系を形成すること、及び上記分散された滴を固化して固体粒子を形成することを含む、上記で定義された触媒の製造法を提供する。
【0036】
別の観点から見ると、本発明は、特にプロピレンポリマーの形成の為に、任意的にエチレン又はC4~C10アルファーオレフィン若しくはそれらの混合物、特にポリプロピレンホモポリマー、及びプロピレン異相コポリマーから選択されるコモノマーとともに、プロピレンポリマーを形成する為に、本明細書で前述の触媒のプロピレン重合における使用を提供する。
【0037】
別の態様から見ると、本発明は、プロピレンホモポリマー又はプロピレンコポリマーの形成の為に、例えば、エチレン、特にプロピレンホモポリマー、及びプロピレン異相コポリマーとともに、プロピレンホモポリマー又はプロピレンコポリマーを形成する為に、プロピレン及び任意的なコモノマーを本明細書で前述の触媒と反応させることを含む、プロピレンの重合のためのプロセスを提供する。
【0038】
定義
明細書を通じて、下記の定義が用いられる。
【0039】
「外部担体を有さない」とは、触媒が外部担持体、例えば無機担持体、例えばシリカ若しくはアルミナ、又は有機ポリマー担持物質を有さないことを意味する。
【0040】
語「C1~20ヒドロカルビル基」は、C1~20アルキル、C2~20アルケニル、C2~20アルキニル、C3~20シクロアルキル、C3~20シクロアルケニル、C6~20アリール基、C7~20アルキルアリール基若しくはC7~20アリールアルキル基、又はもちろんこれらの基の混合、例えばアルキルによって置換されたシクロアルキルを包含する。直鎖及び分岐のヒドロカルビル基は、環単位を含むことができない。脂肪族のヒドロカルビル基は、アリール環を含むことができない。
【0041】
特に明記されない限り、好ましいC1~20ヒドロカルビル基は、C1~20アルキル、C4~20シクロアルキル、C5~20シクロアルキルアルキル基、C7~20アルキルアリール基、C7~20アリールアルキル基又はC6~20アリール基、特にC1~10アルキル基、C6~10アリール基、又はC7~12アリールアルキル基、例えばC1~8アルキル基、である。最も特に好ましいヒドロカルビル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、イソブチル、C5~6シクロアルキル、シクロヘキシルメチル、フェニル又はベンジルである。
【0042】
語「ハロ」は、錯体の定義に関連する場合に、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基及びヨード基、特にクロロ基又はフルオロ基、を包含する。
【0043】
金属イオンの酸化状態は、係る金属イオンの性質及び各金属イオンの個々の酸化状態の安定性によって主に支配される。
【0044】
本発明の錯体において、Hfである金属イオンMは、金属イオンの原子価を満足し且つその利用できる配位場所を満たすようにリガンドXによって配位されることが理解されるであろう。これらのσ-リガンドの性質は大きく変わることができる。
【0045】
語「C4フェニル環」及び「C4’フェニル環」は、インデニル及びインダセニル環それぞれの4位及び4’位に結合された置換フェニル環に関する。これらの環の番号付けは、本明細書において示される構造から明らかであろう。
【0046】
触媒活性は、本明細書において、製造されるポリマーの量/触媒1g/時間であると定義される。触媒金属活性は、本明細書において、製造されるポリマーの量/金属1g/時間であると定義される。語 生産性はまた、触媒の単位重量当たりについて製造されるポリマーの量を意味するが、触媒活性を示すために使用される場合もある。
【0047】
語「分子量」は、本明細書において、特に明記されない限り、重量平均分子量Mwを言及するために用いられる。
【0048】
式(I)の錯体には、最大6つのR1基とR1’基を組み合わせることができる。4つ以上のR1基とR1’基がある場合には、少なくとも1つがtert-ブチルではないことが必要とされる。該錯体上に0、1つ、2つ又は3つのtert-ブチル基があるかもしれないが、それ以上はない。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明は、プロピレンの重合に理想的である、一連の新規な錯体及び従って触媒に関する。本発明の錯体は非対称である。非対称は単に、メタロセンを形成する2つのリガンドが異なることを意味し、すなわち、各リガンドが、化学的に異なる置換基の組を有する。
【0050】
本発明の錯体は好ましくは、キラルで、ラセミ体の、架橋されたビスインデニルC1-対称性のメタロセンである。本錯体は形式的にはC1-対称性であるけれども、それらはリガンド周囲でなく金属中心に近接してC2-対称を維持する故に、該錯体は疑似C2-対称性を理想的には保持する。それらの化学的性質により、アンチ及びシンの両方のエナンチオマー対(C1-対称性錯体の場合)が錯体の合成中に形成される。本発明の目的の為に、下記図に示されるように、ラセミ体のアンチ形は、2つのインデニルリガンドがシクロペンタジエニル-金属-シクロペンタジエニル平面に関して反対方向に位置していることを意味し、一方、ラセミ体のシン形は、2つのインデニルリガンドがシクロペンタジエニル-金属-シクロペンタジエニル平面に関して同じ方向に位置していることを意味する。
【0051】
【0052】
式(I)、及び任意の下位式は、シン及びアンチの配置の両方をカバーすることが意図される。好ましい錯体は、アンチ配置にある。該式(I)において、金属イオンは常にHfである。
【0053】
本発明のメタロセンがラセミ異性体又はラセミ-アンチ異性体として使用されるならば好ましい。それ故に、理想的には、メタロセンの少なくとも95モル%、例えば少なくとも98モル%、特に少なくとも99モル%、がラセミ異性体形又はラセミ-アンチ異性体形である。
【0054】
本発明の触媒において、下記の好適が適用される。本発明に従う触媒は、下記の式(I)のものである。
【0055】
【0056】
式(I)の触媒において、MはHfである。
【0057】
各Xは、シグマリガンドである。最も好ましくは、各Xは独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1~6アルコキシ基又はR基であり、ここで、Rは、C1~6アルキル、フェニル又はベンジル基である。最も好ましくは、Xは、塩素原子、ベンジル又はメチル基である。好ましくは、両方のX基はおなじである。最も好ましいオプションは、2つのメチル基又は2つのベンジル基、特に2つの塩素原子、である。
【0058】
Lは、-(ER8
2)y-である。EがSiであるのが好ましい。yが1であるのが好ましい。-(ER8
2)y-は好ましくは、メチレン又はエチレンのリンカーであり、又はLは、式-SiR8
2-の架橋基であり、ここで、各R8は独立して、C1~C20ヒドロカルビル、トリ(C1~C20アルキル)シリル、C6~C20アリール、C7~C20アリールアルキル又はC7~C20アルキルアリールである。それ故に、語 C1~20ヒドロカルビル基は、C1~20アルキル、C2~20アルケニル、C2~20アルキニル、C3~20シクロアルキル、C3~20シクロアルケニル、C6~20アリール基、C7~20アルキルアリール基若しくはC7~20アリールアルキル基又はもちろんこれらの基の混合したもの、例えばアルキルによって置換されたシクロアルキル基、を包含する。特に言及されない限り、好ましいC1~20ヒドロカルビル基は、C1~20アルキル、C4~20シクロアルキル、C5~20シクロアルキルアルキル基、C7~20アルキルアリール基、C7~20アリールアルキル基又はC6~20アリール基である。Lがアルキレンリンカー基である場合、エチレン及びメチレンが好ましい。
【0059】
好ましくは、R8基の両方は同じである。R8はC1~C10ヒドロカルビル又はC6~C10アリール基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、イソブチル、C5~6シクロアルキル、シクロヘキシルメチル、フェニル又はベンジルであり、より好ましくはR8基の両方はC1~C6アルキル、C3~8シクロアルキル又はC6アリール基、例えばC1~C4アルキル、C5~6シクロアルキル又はC6アリール基であり、及び最も好ましくは、R8基の両方はメチルであり、又は一方がメチルであり且つ他方がシクロヘキシルであるのが好ましい。アルキレンリンカーは好ましくは、メチレン又はエチレンである。Lは最も好ましくは、-Si(CH3)2-である。
【0060】
Ar及びAr’は好ましくは、フェニル環である。
【0061】
各置換基R1及びR1’は独立して、同じであり又は異なっており、及び好ましくは直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基又はC6~20アリール基、より好ましくは直鎖又は分岐のC1~C4アルキル基、である。好ましくは各R1及び各R1’は独立して、メチル、エチル、イソプロピル又は-CMe3、特にメチル又は-CMe3、である。好ましくは、各R1は同じであり、且つ各R1’は同じである。
【0062】
各nは独立して、0、1、2又は3、好ましくは1又は2、である。2つの「n」値の合計は理想的には、2、3又は4である。nが1の場合、環は好ましくは、パラ位(4又は4’位)でR1又はR1’基で置換されている。nが2の場合、環は好ましくは、オルト位(3及び5位、又は3’及び5’位)でR1又はR1基で置換されている。
【0063】
本発明の全ての実施態様において、C(4)及びC(4’)フェニル基の置換は、該錯体が、C(4)フェニル環及びC(4’)フェニル環の組み合わせ全体で0、1、2又は3つのCMe3基で、好ましくはC(4)フェニル環及びC(4’)フェニル環の組み合わせ全体で0、1又は2つのCMe3基で、置換されているという条件のもとで行われる。代替的に云えば、2つのn値の合計が4以上の場合に、少なくとも1つのR1又はR1’基がtert-ブチルを表すことはできない。
【0064】
理想的には、C(4)環又はC(4’)環は2つの分岐の置換基を有さない。C(4)環又はC(4’)環が2つの置換基(すなわち、nは2である)を含む場合に、R1又はR1’がC1~4直鎖アルキル、例えばメチル、であることが好ましい。
【0065】
C(4)環又はC(4’)環が1つの置換基(すなわち、nは1である)を含む場合に、R1又はR1’は分岐のC4~6アルキル、例えばtert-ブチル、であることが好ましい。
【0066】
特定の実施態様において、式I(又は、以下のいずれかの式)におけるAr及びAr’は独立して、3,5-又は4-位において、直鎖又は分岐のC1~C4アルキル基(すなわち、3,5又は4-位の置換基に対応する)で置換されたフェニル環から選択され、ここで、R1及びR1’はC1~C4アルキル基であり、且つnは1又は2である。特定の実施態様において、式IにおけるAr及びAr’は独立して、3,5-ジメチルフェニル、3,5-ジ-tert-ブチル及び4-(tert-ブチル)-フェニルから選択される。それ故に、特定の実施態様において、式Iの錯体において、Ar及びAr’の両方は3,5-ジメチルフェニルであり、Ar及びAr’の両方は4-(tert-ブチル)-フェニルであり、又はAr及びAr’のうちの一方が3,5-ジメチルフェニルであり、且つ他方が4-(tert-ブチル)-フェニルである。他の好ましい選択肢は、Ar又はAr’のうちの一方が3,5-ジ-tert-ブチルフェニルであり、他方が3,5-ジメチルフェニル又は4-tert-ブチルフェニルである。これらの特定の実施態様は、技術的に実行可能であれば、本明細書に記載のII~VIIIの構造の全てに適用されることができる。言い換えれば、特定の実施態様において、R1、R1’及びnのそれぞれ独立した値は、C(4)フェニル環又はC(4’)フェニル環が3,5-ジメチルフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル及び/又は4-(tert-ブチル)-フェニルであるように選択される。
【0067】
一つの実施態様において、C(4)フェニル環又はC(4’)フェニル環の少なくとも1つは、3,5-ジメチルフェニルである。
【0068】
一つの実施態様において、C(4)フェニル環又はC(4’)フェニル環の少なくとも1つは、4-(tert-ブチル)-フェニルである。
【0069】
R2及びR2’はそれぞれ、同じであり又は異なり、且つCH2-R9基であり、ここで、R9は、H、又は直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル及びtert-ブチル又はC3~8シクロアルキル(例えば、シクロヘキシル)又はC6~10アリール(好ましくは、フェニル)である。好ましくはR2及びR2’は同じであり且つCH2-R9基であり、ここで、R9は、H、又は直鎖又は分岐のC1~C4アルキル基であり、より好ましくは、R2及びR2’は同じであり且つCH2-R9基であり、ここで、R9は、H、又は直鎖又は分岐のC1~C3アルキル基である。最も好ましくは、R2及びR2’は、両方ともメチルである。
【0070】
R3は好ましくは、-CH2-である。下付き文字mは好ましくは、2~4、例えば3(すなわち、5員環を形成する)である。
【0071】
R5は、好ましくは直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基又はC6~20アリール基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル及びtert-ブチル、好ましくは直鎖のC1~C4アルキル基、より好ましくはC1~C2アルキル基、及び最も好ましくはメチル、である。
【0072】
R6はC(R10)3基であり、ここで、各R10は、同じであり又は異なり、且つ直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基である。好ましくは、各R10は同じであり又は異なり、ここで、R10は直鎖又は分岐のC1~C4アルキル基であり、より好ましくは、R10は、同じであり且つC1~C2アルキル基である。最も好ましくは、R6はtert-ブチル基であり、従って全てのR10基はメチルである。
【0073】
R7及びR7’はそれぞれ、同じであり又は異なり、且つH、又は直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基、好ましくはH、又は直鎖又は分岐のC1~C4アルキル基であり、及びより好ましくは、H、又はC1~C2アルキル基である。幾つかの実施態様において、R7又はR7’の一方はHであり且つ他方は直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基、好ましくは直鎖又は分岐のC1~C4アルキル基、及び好ましくは、C1~C2アルキル基、である。R7及びR7’が同じであることが特に好ましい。及びR7’の両方がHであることが最も好ましい。
【0074】
好ましい実施態様において、本発明は下記の式(II)の錯体を提供する。
【0075】
【0076】
ここで、
Mは、Hfであり;
Xはシグマリガンドであり、好ましくは、各Xは独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1~6アルコキシ基、C1~6アルキル、フェニル又はベンジル基であり;
Lは、アルキレン架橋基、又は式-SiR8
2-の架橋基であり、ここで、各R8は独立して、C1~C6アルキル、C3~8シクロアルキル又はC6アリール基であり;
各nは独立して、1又は2であり;
R1及びR1’はそれぞれ独立して、同じであり、又は異なっていてもよく、且つ直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基であり、但し、4つのR1及びR1’基が存在する場合、該4つの全てが同時にtert-ブチルではあり得ない;
R2及びR2’は、同じであり又は異なり、且つCH2-R9基であり、ここで、R9は、H、又は直鎖又は分岐のC1~6アルキル基であり;
R5は、直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基であり;及び
R6はC(R10)3基であり、ここで、R10は、直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基である。
【0077】
更なる好ましい実施態様において、本発明は下記の式(III)の錯体を提供する。
【0078】
【0079】
ここで、
Mは、Hfであり;
各Xはシグマリガンドであり、好ましくは、各Xは独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1~6アルコキシ基、C1~6アルキル、フェニル又はベンジル基であり;
Lは-SiR8
2-であり、ここで、各R8は、C1~6アルキル又はC3~8シクロアルキルであり;
各nは独立して、1又は2であり;
R1及びR1’はそれぞれ独立して、同じであり、又は異なっていてもよく、且つ直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基であり、但し、4つのR1及びR1’基が存在する場合、該4つの全てが同時にtert-ブチルではあり得ない;
R5は、直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基であり;及び
R6はC(R10)3基であり、ここで、R10は、直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基である。
【0080】
更なる好ましい実施態様において、本発明は下記の式(IV)の錯体を提供する。
【0081】
【0082】
ここで、
Mは、Hfであり;
各Xは、水素原子、ハロゲン原子、C1~6アルコキシ基、C1~6アルキル、フェニル又はベンジル基であり;
Lは-SiR8
2-であり、ここで、各R8は、C1~-4アルキル又はC5-6シクロアルキルであり;
各nは独立して、1又は2であり;
R1及びR1’はそれぞれ独立して、同じであり、又は異なっていてもよく、且つ直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基であり、但し、4つのR1及びR1’基が存在する場合、該4つの全てが同時にtert-ブチルではあり得ない;
R5は、直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基であり;及び
R6はC(R10)3基であり、ここで、R10は、直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基である。
【0083】
更なる好ましい実施態様において、本発明は下記の式(V)の錯体を提供する。
【0084】
【0085】
ここで、
Mは、Hfであり;
Xは、水素原子、ハロゲン原子、C1~6アルコキシ基、C1~6アルキル、フェニル又はベンジル基であり;
Lは-SiMe2であり;
各nは独立して、1又は2であり;
R1及びR1’はそれぞれ独立して、同じであり、又は異なっていてもよく、且つ直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基であり、但し、4つのR1及びR1’基が存在する場合、該4つの全てが同時にtert-ブチルではあり得ない;
R5は、直鎖又は分岐のC1~C4アルキル基であり;及び
R6はC(R10)3基であり、ここで、R10は、直鎖又は分岐のC1~C4アルキル基である。
【0086】
更なる好ましい実施態様において、本発明は下記の式(VI)の錯体を提供する。
【0087】
【0088】
ここで、
Mは、Hfであり;
Xは、水素原子、ハロゲン原子、C1~6アルコキシ基、C1~6アルキル、フェニル又はベンジル基であり;
Lは-SiMe2であり;
各nは独立して、1又は2であり;
R1及びR1’はそれぞれ独立して、同じであり、又は異なっていてもよく、且つ直鎖又は分岐のC1~C6アルキル基であり、但し、4つのR1及びR1’基が存在する場合、該4つの全てが同時にtert-ブチルではあり得ない;
R5は、直鎖のC1~C4アルキル基、例えばメチル、であり;及び
R6はtert-ブチルである。
【0089】
更なる好ましい実施態様において、本発明は下記の式(VII)の錯体を提供する。
【0090】
【0091】
ここで、
Mは、Hfであり;
Xは、水素原子、ハロゲン原子、C1~6アルコキシ基、C1~6アルキル、フェニル又はベンジル基、特に塩素原子、であり;
Lは-SiMe2であり;
各nは独立して、1又は2であり;
R1及びR1’はそれぞれ独立して、同じであり、又は異なっていてもよく、且つ直鎖又は分岐のC1~C4アルキル基であり、但し、4つのR1及びR1’基が存在する場合、該4つの全てが同時にtert-ブチルではあり得ない;
R5はメチルであり;及び
R6はtert-ブチルである。
【0092】
好ましい実施態様において、本発明は下記の式(VIII)の錯体を提供する。
【0093】
【0094】
ここで、
Mは、Hfであり;
XはClであり;
Lは-SiMe2であり;
各nは独立して、1又は2であり;
R1及びR1’はそれぞれ独立して、メチル又はtert-ブチルであり、但し、4つのR1及びR1’基が存在する場合、該4つの全てが同時にtert-ブチルではあり得ない;
R5はメチルであり;及び
R6はtert-ブチルである。
【0095】
式(I)~式(VIII)において、インデニル又はインダセニル環のいずれか上の4位置換基が3,5-ジメチルフェニル-又は4-tBu-フェニル基である場合が好ましい。
【0096】
式(I)~式(VIII)において、インデニル又はインダセニル環の一方上の4位置換基が3,5-ジ-tert-ブチルであり、且つ他方のインデニル又はインダセニル環が3,5-ジメチルフェニル基又は4-tBu-フェニル基を有する場合が好ましい。そのような構造において、ジ-tert-ブチルフェニルがインデニル環上に存在するのが好ましい。
【0097】
式(I)~式(VIII)において、n=2の場合に、両方のR1基は同じであることが好ましい。
【0098】
式(I)~式(VIII)において、n=2の場合に、両方のR1’基は同じであることが好ましい。
【0099】
式(I)~式(VIII)において、n=2の場合、R1基は3,5-位上にあることが好ましい。
【0100】
式(I)~式(VIII)において、n=2の場合、R1’基は3,5-位上にあることが好ましい。
【0101】
式(I)~式(VIII)において、n=1の場合、R1は4-位上にあることが好ましい。
【0102】
式(I)~式(VIII)において、n=1の場合、R1’は4-位上にあることが好ましい。
【0103】
本発明の特定の錯体は下記を含む:
ラセミ体-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5,6,7-トリヒドロ-s-インダセン-1-イル][2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデニルハフニウムジクロリド又はジメチル、
ラセミ体-アンチ-ジメチルシランジイル[2-イソブチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5,6,7-トリヒドロ-s-インダセン-1-イル][2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデニルハフニウムジクロリド又はジメチル、
ラセミ体-アンチ-ジメチルシランジイル[2-ネオペンチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5,6,7-トリヒドロ-s-インダセン-1-イル][2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデニルハフニウムジクロリド又はジメチル、
ラセミ体-アンチ-ジメチルシランジイル[2-ベンジル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5,6,7-トリヒドロ-s-インダセン-1-イル][2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデニルハフニウムジクロリド又はジメチル、
ラセミ体-アンチ-ジメチルシランジイル[2-シクロヘキシルメチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5,6,7-トリヒドロ-s-インダセン-1-イル][2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデニルハフニウムジクロリド又はジメチル、
ラセミ体-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5,6,7-トリヒドロ-s-インダセン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデニルハフニウムジクロリド又はジメチル、
ラセミ体-アンチ-ジメチルシランジイル[2-イソブチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5,6,7-トリヒドロ-s-インダセン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデニルハフニウムジクロリド又はジメチル、
ラセミ体-アンチ-ジメチルシランジイル[2-ネオペンチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5,6,7-トリヒドロ-s-インダセン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデニルハフニウムジクロリド又はジメチル、
ラセミ体-アンチ-ジメチルシランジイル[2-ベンジル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5,6,7-トリヒドロ-s-インダセン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデニルハフニウムジクロリド又はジメチル、
ラセミ体-アンチ-ジメチルシランジイル[2-シクロヘキシルメチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5,6,7-トリヒドロ-s-インダセン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデニルハフニウムジクロリド又はジメチル、
ラセミ体-アンチ-ジメチルシランジイル[2-シクロヘキシルメチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5,6,7-トリヒドロ-s-インダセン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデニルハフニウムジクロリド又はジメチル、
ラセミ体-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5,6,7-トリヒドロ-s-インダセン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデニルハフニウムジクロリド又はジメチル、
ラセミ体-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5,6,7-トリヒドロ-s-インダセン-1-イル][2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデニルハフニウムジクロリド又はジメチル、
ラセミ体-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5,6,7-トリヒドロ-s-インダセン-1-イル][2-メチル-4-(4-tertブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデニルハフニウムジクロリド又はジメチル、
ラセミ体-アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(4-tertブチルフェニル)-5,6,7-トリヒドロ-s-インダセン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデニルハフニウムジクロリド又はジメチル。
【0104】
特に好ましい錯体は下記の通りであり、MC-IE1及びMC-IE2としてマーク付されている。
【0105】
【0106】
疑いを避けるために、上記で提供される置換基の任意のより狭い定義は、任意の他の置換基の任意の他の広い又は狭くされた定義と組み合わせられることができる。
【0107】
上記記載の全体にわたって、置換基のより狭い定義が示されている場合には、より狭い定義が、本出願における他の置換基の全てのより広い及びより狭い定義と関連して開示されているとみなされる。
【0108】
合成
本発明のメタロセンを形成する為の必要なリガンドは、任意の方法によって合成されることができ、当業者は、必要なリガンド物質の製造の為の種々の合成プロトコルを考え出すことができるであろう。国際公開第2007/116034号パンフレットは、必要な化学反応を開示しており、参照により本明細書に組み込まれる。合成プロトコルはまた一般に、国際公開第2002/02576号パンフレット、国際公開第2011/135004号パンフレット、国際公開第2012/084961号パンフレット、国際公開第2012/001052号パンフレット、国際公開第2011/076780号パンフレット及び国際公開第2015/158790号パンフレットに見出すことができる。実施例の節はまた、当業者に十分な指示を与える。
【0109】
中間体
【0110】
本発明は主に、ハフニウム錯体及びその触媒に関する。本発明に従うと、該錯体は下記の式(I')のリガンドを有する。
【0111】
【0112】
好ましくは下記の(Ib')である。
【0113】
【0114】
ここで、置換基は上記で定義した通りであり、点線は、インデニル環の1位と2位との又は2位と3位とのいずれかの炭素の間及びインダセニル環の1’位と2’位との又は2’位と3’位とのいずれかの炭素の間に存在する二重結合を表す。それ故に、この分子は、二重結合異性体を含むことが理解されるであろう。二重結合異性体は、二重結合が、二環式の環の1位と2位との原子よりも2位と3位との原子の間に位置する化合物を意味する。1より多い二重結合異性体がサンプル中に存在することがありうる。好ましいリガンドは、HfX2配位が除去されており且つプロトンがインデニルに戻っているところの上記錯体(II)~(VIII)の類似体である。
【0115】
助触媒
【0116】
活性触媒種を形成する為に、当技術分野で周知である助触媒を使用する必要が通常ある。典型的に、助触媒は、第13族金属の化合物、例えば有機アルミニウム化合物、を含む。本発明に従うと、第13族金属の2つのタイプの化合物、すなわち有機アルミニウム化合物及びホウ素系の化合物、を含む助触媒が、本発明においてメタロセン触媒を活性化する為に使用される。
【0117】
本発明のオレフィン重合触媒系は、(i)本明細書で定義された錯体;及び(ii)アルミニウムアルキル化合物又はその反応生成物、並びに(iii)ホウ素系の助触媒を含む。好ましくは、アルミニウム含有助触媒は、アルモキサン、例えばMAO、又はMAO以外のアルモキサンであり、及びホウ素含有助触媒はボレートである。すなわち、該触媒は、助触媒としてAl及びBの両方を含有する化合物を含む。ホウ素を含む該助触媒は好ましくは、ボレートである。
【0118】
従って、ボレート助触媒は、Al含有助触媒と共に本発明の触媒において使用される。
【0119】
アルミノキサン助触媒は、下記の式(X)の一つであることができる:
【0120】
【0121】
ここで、nは通常6~20であり、且つRは下記の意味を有する。
【0122】
アルミノキサンは、有機アルミニウム化合物、例えば式AlR3、AlR2Y及びAl2R3Y3)の部分加水分解により形成され、ここで、Rは例えば、C1~C10アルキル、好ましくはC1~C5アルキル又はC3~10シクロアルキル、C7~C12アリールアルキル又はアルキルアリール及び/又はフェニル又はナフチルであることができ、且つYは、水素原子、ハロゲン原子、好ましくは塩素原子若しくは臭素原子、又はC1~C10アルコキシ、好ましくはメトキシ若しくはエトキシであることができる。結果として得られた酸素含有アルミノキサンは一般に、純粋な化合物でなく、式(X)のオリゴマーの混合物である。
【0123】
好ましいアルミノキサンは、メチルアルミノキサン(MAO)である。助触媒として、本発明に従って使用されるそのようなアルミノキサンは、それらの製造方法のために純粋な化合物ではないが、本明細書の下記においてアルミノキサン溶液のモル濃度は、それらのアルミニウム含量に基づく。
【0124】
しかしながら、不均一系触媒作用の文脈において、ホウ素系の助触媒がまたアルミニウム助触媒と一緒に助触媒として使用される場合に且つメタロセンにおける金属Mがハフニウムの場合に、特定の場合において、より高い活性、より高い溶融温度及びより高い分子量が達成されることが驚くべきことに見出された。
【0125】
本発明において使用されるホウ素系の助触媒は、好ましくはホウ酸アニオンを含むホウ素化合物、すなわちホウ酸化合物、を含む。これらの化合物は一般に、下記の式のアニオンを含む:
【0126】
(Z)4B- (XI)
ここで、Zは、任意的に置換されたフェニル誘導体であり、該置換基はハロ-C1~6アルキル又はハロ基である。好ましい選択肢は、フルオロ又はトリフルオロメチルである。最も好ましくは、フェニル基が過フッ素化されている。そのようなイオン性助触媒は好ましくは、非配位性アニオン、例えばテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、を含む。
【0127】
好適な対イオンは、プロトン化されたアミン又はアニリンの誘導体又はホスホニウムイオンである。これらは、下記の一般式(XII)又は一般式(XIII)を有しうる:
NQ4
+ (XI)又はPQ4
+ (XIII)
ここで、Qは独立して、H、C1~6アルキル、C3~8シクロアルキル、フェニルC1~6アルキル又は任意的に置換されたフェニルである。任意の置換基は、C1~6アルキル、ハロ又はニトロでありうる。これらは、1又は1超のそのような置換基でありうる。それ故に、好ましい置換されたフェニル基は、パラ置換されたフェニル、好ましくはトリル又はジメチルフェニル、を包含する。
【0128】
少なくとも1つのQ基がHである場合が好ましく、従って好ましい化合物は下記の式のものである:
NHQ3
+ (VI)又はPHQ3
+ (XIV)
【0129】
好ましいフェニル-C1~6アルキル基は、ベンジルを含む。
【0130】
それ故に、好適な対イオンは、メチルアンモニウム、アニリニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、N-メチルアニリニウム、ジフェニルアンモニウム、N,N-ジメチルアニリニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリ-n-ブチルアンモニウム、メチルジフェニルアンモニウム、p-ブロモ-N,N-ジメチルアニリニウム又はp-ニトロ-N,N-ジメチルアニリニウム、特にジメチルアンモニウム又はN,N-ジメチルアニリニウム、を含む。イオンとしてのピリジニウムの使用はさらなる選択肢である。
【0131】
関心のあるホスホニウムイオンは、トリフェニルホスホニウム、トリエチルホスホニウム、ジフェニルホスホニウム、トリ(メチルフェニル)ホスホニウム及びトリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムを含む。
【0132】
より好ましい対イオンはトリチル(CPh3
+)又はその類似体であり、ここで、Ph基は、1以上のアルキル基を有するように官能化されている。それ故に、本発明において使用される非常に好ましいボレートは、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオンを包含する。
【0133】
本発明に従い使用されることができる好ましいイオン性化合物は下記を含む:
トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリブチルアンモニウムテトラ(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、
トリブチルアンモニウムテトラ-(4-フルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルシクロヘキシルアンモニウムテトラキス-(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジ(プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジ(シクロヘキシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、又は
フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート。
【0134】
好ましくは、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、又は
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
が与えられる。
【0135】
あるホウ素助触媒が特に好ましいことが驚くべきことにわかった。それ故に、本発明における使用の好ましいボレートは、トリチルイオンを含む。すなわち、それ故に、N,N-ジメチルアンモニウム-テトラキスペンタフルオロフェニルボレート及びPh3CB(PhF5)4並びに類似体の使用が特に好ましい。
【0136】
助触媒の好適な量は、当業者に知られているだろう。
【0137】
メタロセンの金属イオンに対するホウ素のモル比は、0.5:1~10:1モル/モル、好ましくは1:1~10:1、特には1:1~5:1モル/モルの範囲、でありうる。
【0138】
メタロセンの金属イオンに対するアルミノキサン中のAlのモル比は、1:1~2000:1モル/モル、好ましくは10:1~1000:1、及びより好ましくは50:1~500:1モル/モル、の範囲でありうる。
【0139】
触媒の製造
【0140】
本発明のメタロセン錯体は、当技術分野で周知であるように、プロピレンの重合の為の触媒として上で定義された適切なAl及びB含有助触媒と組み合わられ使用される。好ましくは、プロピレンの重合が、凝縮相において又は気相で生じる。
【0141】
本発明の触媒は、外部担体又は担体材料に担持された状態で使用されることができる。使用される粒子担持物質は好ましくは、有機又は無機の物質、例えばシリカ、アルミナ又はジルコニア、又は混合酸化物、例えばシリカ-アルミナ、特にシリカ、アルミナ又はシリカ-アルミナ、である。シリカ担持体の使用が好ましい。当業者は、メタロセン触媒を担持する為に必要な手順を知っている。
【0142】
特に好ましくは、該担持体が、例えば国際公開第94/14856号パンフレット(Mobil)、国際公開第95/12622号パンフレット(Borealis)及び国際公開第2006/097497号パンフレットに記載された方法と類似の方法を使用して、該錯体が上記担持体の孔内に入られうるような多孔性物質である。粒子サイズは重要でないが、好ましくは5~200μm、より好ましくは20~80μm、の範囲である。これらの担持体の使用は、当分野においてルーチンである。
【0143】
一つの特に好ましい実施態様において、外部担体が使用されないが、触媒はなおも固体粒子形態で存在する。すなわち、外部担持物質、例えば不活性の有機又は無機の担体、例えば上述したシリカ、が使用されない。
【0144】
本発明の触媒を、外部担体を使用しないで固体形態で提供する為に、液体/液体エマルジョン系が使用されるのが好ましい。上記方法は、触媒成分(i)及び(ii)を溶媒に分散させること及び該分散された滴を固化して固体粒子を形成することを含む。
【0145】
特に、上記方法は、1以上の触媒成分の溶液を調製すること;上記溶液を溶媒中に分散させて1以上の触媒成分が分散相の滴に存在しているところのエマルジョンを形成すること;外部粒子多孔性担持体の不存在下で、分散された滴中の上記触媒成分を固定化して上記触媒を含む固体粒子を形成すること、及び任意的に、上記粒子を回収することを含む。
【0146】
この方法は、改善されたモルホロジー、例えば予め決定された球形状、表面特性及び粒子サイズ、を有する活性触媒粒子の製造を、追加の外部多孔性担持体物質、例えば無機酸化物、例えばシリカ、を使用することなく可能にする。語「1以上の触媒成分の溶液を調製する」は、触媒形成性化合物が、1つの溶液中で一緒にされ、それが非混和性溶媒に分散され得、又は触媒形成性化合物の各部分の為の少なくとも2つの別個の触媒溶液が調製され得、次いで上記溶媒に順次分散されることを意味する。
【0147】
触媒を形成する為の好ましい方法において、該触媒の各々又は一部の為の少なくとも2つの別個の溶液が調製され得、そして次に非混和性溶媒に順次分散されうる。
【0148】
より好ましくは、遷移金属化合物及び助触媒を含む錯体の溶液が、上記溶媒と一緒にされて、不活性溶媒が連続液相を形成し且つ触媒成分を含む溶液が分散相(不連続相)を分散された滴の形態で形成するところのエマルジョンを形成する。上記滴は次に固化されて固体触媒粒子を形成し、固体粒子は液体から分離され、そして任意的に、洗浄及び/又は乾燥される。連続相を形成する溶媒は、少なくとも、分散工程中に使用される条件(例えば、温度)で触媒溶液に不混和性でありうる。
【0149】
語「触媒溶液と不混和性」は、溶媒(連続相)が、分散相溶液と完全に不混和性又は部分的に不混和性である、すなわち完全には混和性でない、ことを意味する。
【0150】
好ましくは、上記溶媒が、製造されるべき触媒系の化合物に関して不活性である。必要な方法の完全な開示を、国際公開第03/051934号パンフレットにおいて見ることができ、該パンフレットは、参照によって本明細書内に組み込まれる。
【0151】
不活性溶媒は、少なくとも、分散工程の間に使用される条件(例えば、温度)で化学的に不活性でなければならない。好ましくは、上記連続相の溶媒が、その中に溶解されたかなりの量の触媒形成性化合物を何ら有さない。すなわち、触媒の固体粒子が、分散相に由来する化合物から滴中に形成される(すなわち、連続相内に分散された溶液におけるエマルジョンに提供される)。
【0152】
語「固定化」及び「固化」は、同じ目的の為に、すなわち、外部多孔性粒子担体、例えばシリカ、の不存在下で自由に流動する固体触媒粒子を形成する為に、本明細書において交換可能に使用される。従って、固化は、滴中で起こる。上記工程は、上記の国際公開第03/051934号パンフレットに開示されているように、種々の方法で行われることができる。好ましくは、固化が、エマルジョン系への外部刺激、例えば温度変化、によって引き起こされて固化を引き起こす。すなわち、上記工程において、1以上の触媒成分が、形成された固体粒子内に「固定化された」ままである。また、1以上の触媒成分が、固化/固定化反応に参加しうることが可能である。
【0153】
従って、予め決定された粒子サイズ範囲を有する固体の、組成的に均一な粒子が得られることができる。
【0154】
その上、本発明の触媒粒子の粒子サイズが、溶液中の滴の大きさによって制御されることができ、そして、均一な粒子サイズ分布を有する球状粒子が得られることができる。
【0155】
本発明はまた、工業的に有利である。なぜならば、それは、固体粒子の調製がワン・ポット手順で行われることを可能にするからである。連続の又は半連続の手順がまた、触媒を製造する為に可能である。
【0156】
分散相
【0157】
2相エマルジョン系を調製する為の原理は、化学分野において知られている。すなわち、2相液系を形成する為に、1以上の触媒成分の溶液及び連続液相として使用される溶媒は、少なくとも分散工程中に本質的に不混和性でなければならない。これは、公知の方法、例えば上記2つの液体及び/又は分散工程及び/又は固化工程の温度を相応に選択することによって、達成されることができる。
【0158】
溶媒は、1以上の該触媒成分の溶液を形成するために使用されうる。該溶媒は、それが1以上の触媒成分を溶解するように選択される。該溶媒は好ましくは、有機溶媒、例えば当該分野で使用されるもの、であることができ、任意的に置換されていてもよい炭化水素、例えば直鎖又は分岐の脂肪族、非環式又は芳香族炭化水素、例えば直鎖又は分岐のアルカン、芳香族炭化水素及び/又はハロゲン含有炭化水素を含む。
【0159】
芳香族炭化水素の例は、トルエン、ベンゼン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン及びキシレンである。トルエンが好ましい溶媒である。該溶液は、1以上の溶媒を含みうる。従って、そのような溶媒は、エマルジョン形成を容易にするために使用されることができ、通常は、固化された粒子の一部を形成せず、しかし例えば、固化工程の後に連続相と一緒に除去される。
【0160】
代替的に、溶媒が固化に参加しうる。例えば、高い融点、例えば40℃超、適切には70℃超、例えば80℃超又は90℃超の融点、を有する不活性炭化水素(ワックス)が分散相の溶媒として使用されて、形成された滴内に触媒化合物を固定化しうる。
【0161】
他の実施態様において、該溶媒が、部分的に又は完全に液体モノマー、例えば「予備重合」固定化工程において重合される為に設計された液体オレフィンモノマー、からなる。
【0162】
連続相
【0163】
連続液体相を形成する為に使用される溶媒は、単一の溶媒又は種々の溶媒の混合物であり、少なくとも、分散工程中に使用される条件(例えば、温度)で、触媒成分の溶液と不混和性でありうる。好ましくは、該溶媒が上記化合物に関して不活性である。
【0164】
本明細書において、語「化合物に関して不活性」は、連続相の溶媒が化学的に不活性である、すなわち、任意の触媒形成性成分との化学反応を受けないこと、を意味する。すなわち、触媒の固体粒子は、分散相由来の化合物から滴中に形成される、すなわち、連続相中に分散された溶液中のエマルジョンに提供される。
【0165】
固体触媒を形成する為に使用される触媒成分が、連続液相の溶媒中に溶解しないのが好ましい。好ましくは、該触媒成分が、該連続相を形成する溶媒に本質的に不溶である。
【0166】
固化は本質的に、滴が形成された後に生じる。すなわち、該固化は、例えば滴中に存在する化合物間に固化反応を引き起こすことにより、滴中で行われる。その上、何らかの固化剤が系に別個に添加されるとしても、それは滴相内で反応し、触媒形成性成分は連続相中に入らない。
【0167】
本明細書で使用される語「エマルジョン」は、2相系及び多相系の両方をカバーする。
【0168】
好ましい実施態様において、該連続相を形成する上記溶媒が、ハロゲン化有機溶媒又はその混合物を包含する不活性溶媒であり、好ましくはフッ素化有機溶媒、特に半フッ素化、高フッ素化、又は過フッ素化の有機溶媒、及びその官能性誘導体である。上記された溶媒の例は、半フッ素化炭化水素、高フッ素化炭化水素又は過フッ素化炭化水素、例えばアルカン、アルケン及びシクロアルカン、エーテル、例えば過フッ素化エーテル、及びアミン、特に第三級アミン及びその官能性誘導体である。好ましくは、半フッ素化炭化水素、高フッ素化炭化水素又は過フッ素化炭化水素、特に過フッ素化炭化水素、例えばC3~C30、例えばC4~C10、のパーフルオロ炭化水素である。好適なパーフルオロアルカン及びパーフルオロシクロアルカンの具体例は、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン及びパーフルオロ(メチルシクロヘキサン)を包含する。半フッ素化炭化水素は、特に半フッ素化n-アルカン、例えばパーフルオロアルキルアルカン、に関する。
【0169】
「半フッ素化」炭化水素はまた、-C-F及び-C-Hのブロックが交互にあるような炭化水素を包含する。「高フッ素化」は、-C-H単位のほとんどが、-C-F単位で置き換えられていることを意味する。「過フッ素化」は、全ての-C-H単位が-C-F単位で置き換えられていることを意味する。A.Enders and G.Maas in "Chemie in unserer Zeit",34.Jahrg.2000,Nr.6,及びPierandrea Lo Nostro in "Advances in Colloid and Interface Science”,56 (1995) 245-287,Elsevier Scienceの文献を参照。
【0170】
分散工程
【0171】
エマルジョンが、従来公知の手段、例えば上記溶液を激しく撹拌して、連続相を形成する上記溶媒にすることによって、又は混合ミルによって、又は超音波によって、又は先ず均一系を形成し、次いで上記系の温度を変えることにより、滴が形成されるように二相系に変えることによって、エマルジョンを形成するいわゆる相変化法によって、形成されることができる。
【0172】
上記2相の状態は、上記エマルジョン形成工程及び上記固化工程中に、例えば適宜撹拌することによって、維持される。
【0173】
さらに、乳化剤/エマルジョン安定剤が、好ましくは従来公知の方法で、エマルジョンの形成及び/又は安定化を促進するために使用されることができる。上記目的の為に、例えば界面活性剤、例えば炭化水素に基づく組(例えば10000までの分子量を有し、任意的に1以上のヘテロ原子によって割り込まれたポリマー状炭化水素を包含する)、好ましくはハロゲン化された炭化水素、例えば、例えば-OH、-SH、NH2、NR"2.-COOH、-COONH2、アルケンの酸化物、-CR"=CH2(R"は水素、又はC1~C20アルキル、C2~20アルケニル又はC2~20アルキニル基である)、オキソ基、環式エーテル及び/又はこれらの基の任意の反応性誘導体、例えばアルコキシ、又はカルボン酸アルキルエステル基から選択される官能基を任意的に有する半フッ素化若しくは高フッ素化された炭化水素、又は好ましくは官能化された末端を有する半フッ素化炭化水素、高フッ素化炭化水素若しくは過フッ素化炭化水素が使用されることができる。上記界面活性剤は、エマルジョンの分散相を形成する触媒溶液に添加されて、エマルジョンの形成を容易にし且つエマルジョンを安定化することができる。
【0174】
代替的に、乳化助剤及び/又はエマルジョン安定化助剤がまた、少なくとも1つの官能基を有する界面活性剤前駆体を、上記官能基と反応性でありそして触媒溶液中又は連続相を形成する溶媒中に存在する化合物と反応させることにより形成される。得られた反応生成物は、形成されたエマルジョン系における実際の乳化助剤及び/又は安定剤として作用する。
【0175】
上記反応生成物を形成する為に使用可能な界面活性剤前駆体の例は、例えば、例えば-OH、-SH、NH2、NR"2.-COOH、-COONH2、アルケンの酸化物、CR"=CH2(R"は水素原子、又はC1~C20アルキル、C2~20アルケニル又はC2~20アルキニル基である)、オキソ基、3~5の環原子を有する環式エーテル及び/又はこれらの基の任意の反応性誘導体、例えばアルコキシ又はカルボン酸アルキルエステル基から選択される少なくとも1の官能基を有する公知の界面活性剤、例えば上記官能基の1以上を有する半フッ素化炭化水素、高フッ素化炭化水素又は過フッ素化炭化水素を包含する。好ましくは、界面活性剤前駆体が、上記で定義された末端官能基を有する。
【0176】
そのような界面活性剤前駆体と反応する化合物は好ましくは触媒溶液中に含まれ、そして更なる添加剤又は1以上触媒形成性化合物でありうる。そのような化合物は例えば、第13族の化合物(例えば、MAO及び/又はアルミニウムアルキル化合物及び/又は遷移金属化合物)である。
【0177】
界面活性剤前駆体が使用されるならば、それは、好ましくはまず、遷移金属化合物の添加の前に触媒溶液の化合物と反応される。一つの実施態様において、例えば高フッ素化C1~n(適切には、C4~30又はC5~15)アルコール(例えば、高フッ素化ヘプタノール、オクタノール又はノナノール)、酸化物(例えば、プロペノキシド)又はアクリレートエステルが助触媒と反応されて、「実際の」界面活性剤を形成する。次に、追加量の助触媒及び遷移金属化合物が上記溶液に添加され、得られた溶液が、連続相を形成する溶媒に分散される。「実際の」界面活性剤溶液は、分散工程の前に又は分散された系中で作られる。上記溶液が分散工程の前に作られるならば、次に、調製された「実際の」界面活性剤溶液及び遷移金属溶液が非混和性溶媒に順次(例えば、界面活性剤溶液が最初に)分散され、又は分散工程の前に一緒に組み合わせられうる。
【0178】
固化
【0179】
分散された滴中での1以上の触媒成分の固化は、種々の方法で、例えば滴中に存在する化合物の反応生成物を形成する当該固体触媒の形成を引き起こす又は促進することにより、行われることができる。これは、使用される化合物及び/又は所望の固化速度に依存して、外部刺激、例えば系の温度変化、を伴って又は伴わないで、行われることができる。
【0180】
特に好ましい実施態様において、系を外部刺激、例えば温度変化、に付すことによってエマルジョン系が形成された後に固化が行われる。温度の差は、例えば5~100℃、例えば10~100℃、又は20~90℃、例えば50~90℃、である。
【0181】
エマルジョン系は、急激な温度変化に付されて、分散された系における速い固化を引き起こしうる。滴中での成分の即時の固化を達成する為に、分散された相が、例えば、即時の(ミリ秒~数秒内での)温度変化に付されうる。成分の所望の固化速度の為に必要な好適な温度変化、すなわちエマルジョン系の温度の増減は、特定の範囲に限定されないが、もちろん、エマルジョン系に、すなわち使用される化合物及びその濃度/割合に並びに使用される溶媒に依存し、それに従って選択される。十分な加熱又は冷却効果を分散された系に与えて所望の固化を引き起こすために任意の技術が使用されうることがまた明らかである。
【0182】
一つの実施態様において、加熱又は冷却効果が、或る温度を有するエマルジョン系を、例えば上述したように、かなり異なる温度を有する不活性の受け入れ媒体に持っていくことにより得られ、それによって、エマルジョン系の該温度変化は、滴の急速な固化を引き起こすのに十分である。上記受け入れ媒体は、気体状、例えば空気、又は液体、好ましくは溶媒、又は2以上の溶媒の混合物であることができ、ここで、1以上の該触媒成分は非混和性であり、1以上の該触媒成分に関して不活性である。例えば、上記受け入れ媒体は、最初のエマルジョン系形成工程において連続相として使用されるのと同じ非混和性溶媒を含む。
【0183】
上記溶媒は、単独で又は他の溶媒、例えば脂肪族又は芳香族炭化水素、例えばアルカン、との混合物として使用されることができる。好ましくは、上記受け入れ媒体としてのフッ素化溶媒が使用され、それは、エマルジョン形成における連続相、例えば過フッ素化炭化水素、と同じでありうる。
【0184】
代替的に、上記温度の差が、エマルジョン系の漸次の加熱、例えば10℃/分まで、好ましくは0.5~6℃/分、より好ましくは1~5℃/分により行われうる。
【0185】
例えば炭化水素溶媒の溶融物が、分散された相を形成するために使用される場合には、滴の固化が、上述した温度差を使用して系を冷却することにより行われうる。
【0186】
好ましくは、エマルジョンを形成する為に使用されることができる「1の相」変化がまた、再度、分散された系での温度変化を行うことによって、エマルジョン系の滴内の触媒的に活性な中身を固化するために使用されることができ、それによって、滴中に使用される溶媒は、連続相、好ましくは上記で定義されたフッ素化連続相、と混和性になり、その結果、該滴は、溶媒に乏しくなり、「滴」中に残っている固化成分が固化し始める。すなわち、非混和性が溶媒及び条件(温度)に関して調整されて、固化工程を制御することができる。
【0187】
例えば有機溶媒とフッ素化溶媒との混和性は、文献から見出すことができ、それに従って当業者により選択されることができる。また、相変化の為に必要な臨界温度は、文献から利用することができ、又は従来公知の方法、例えばHildebrand-Scatchard理論を使用して、決定されることができる。また、上記で引用されたA.Enders and G.の論文およびPierandrea Lo Nostroの論文が参照される。
【0188】
すなわち、本発明に従うと、上記滴の全部又は一部のみが、固体形状に転化されうる。「固化された」滴の大きさは、例えば予備重合の為に使用されるモノマーの量が比較的多いならば、元の滴の大きさよりも小さく又は大きくありうる。
【0189】
回収された固体触媒粒子が、プロピレンの重合方法において、任意的な洗浄工程の後に使用されることができる。代替的に、分離されそして任意的に洗浄された固体粒子が乾燥されて、重合工程での使用の前に粒子に存在する任意の溶媒を除去することができる。分離及び任意的な洗浄の工程は、公知の方法、例えば好適な溶媒を用いた固体のろ過および続く洗浄により、行われることができる。
【0190】
粒子の滴の形状は、実質的に維持されうる。形成された粒子は、1~500μm、例えば5~500μm、有利には5~200μm又は10~150μmの平均サイズ範囲を有しうる。5~60μmの平均サイズ範囲ですら可能である。上記サイズは、触媒が使用されるところの重合に依存して選択される。有利には、該粒子は本質的に球形であり、それらは低い多孔性及び低い表面積を有する。
【0191】
溶液の形成は、0~100℃、例えば20~80℃、の温度で行われることができる。分散工程は、-20℃~100℃、例えば約-10~70℃、例えば-5~30℃、例えば約0℃、で行われうる。
【0192】
滴の形成を改善/安定化する為に、得られた分散物に、上記で定義された乳化剤が添加されうる。該滴における触媒成分の固化は好ましくは、混合物の温度を例えば0℃~100℃まで、例えば60~90℃まで、徐々に、例えば1~180分で、例えば1~90分若しくは5~30分で上げることにより、又は急激な熱変化として、行われる。加熱時間は、反応器のサイズに依存する。
【0193】
固化工程中に(固定化工程は、好ましくは、約60~100℃、好ましくは約75~95℃(溶媒の沸点未満)で行われる)、溶媒が好ましくは除去され得、そして任意的に固体が洗浄溶液で洗浄される。該洗浄溶液は、任意の溶媒又は溶媒の混合物であることができ、例えば上記で定義されたもの及び/又は従来使用されているもの、好ましくは炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン又はヘプタン、適切にはヘプタン、であることができる。洗浄された触媒は、乾燥されることができ、又は油中へスラリー化されることができ、そして重合プロセスにおいて触媒-油スラリーとして使用されることができる。
【0194】
調製工程の全部又は一部が、連続的やり方で行われることができる。国際公開第2006/069733号パンフレットが参照され、それは、エマルジョン/固化法によって調製された固体触媒タイプのそのような連続的又は半連続的な製造法の原則を記載している。
【0195】
触媒オフライン予備重合
【0196】
外部担持体物質が使用されていない不均一触媒(「自己担持体型」触媒とも呼ばれる)の使用は、欠点として、重合媒体中である程度溶解する傾向があり得、すなわち、ある活性触媒成分がスラリー重合中に前記触媒粒子から浸出し得、それにより、該触媒の元々の良好なモルホロジーが失われる可能性がありうる。これらの浸出した触媒成分は非常に活性であり、重合中に問題を引き起こす可能性がある。それ故に、浸出される成分の量は最小にされるべきであり、すなわち全ての触媒成分は不均一な形態に保たれるべきである。
【0197】
その上、該自己担持体型触媒は、該触媒系における触媒的に活性な種の高い量の故に、重合の開始時に高温を生じ、それが生成物材料の融解を引き起こしうる。両方の効果、すなわち該触媒系の部分的溶解及び発熱は、ポリマー材料モルホロジーのファウリング、シーティング及び劣化を引き起こしうる。
【0198】
高い活性又は浸出に伴ってありうる問題を最小にする為に、それを重合方法において使用する前に触媒を「オフラインプレポリマー化」することが可能である。
【0199】
この点に関して、オフライン予備重合は、該触媒調製方法の一部であり、固体触媒が形成された後に行われる工程であることに留意しなければならない。該触媒オフライン予備重合工程は、予備重合工程を含む実際の重合方法の構成の一部ではない。該触媒オフライン予備重合工程の後、固体触媒が重合において使用されることができる。
【0200】
触媒「オフライン予備重合」は、該液-液エマルジョン方法の固化工程に従って行われる。予備重合は、当分野において記載された公知の方法、例えば国際公開第2010/052263号パンフレット、国際公開第2010/052260号パンフレット又は国際公開第2010/052264号パンフレットに記載されている方法、により行いうる。本発明のこの観点の好ましい実施態様が、本明細書内に記載されている。
【0201】
該触媒オフライン予備重合工程におけるモノマーとして、好ましくはアルファーオレフィンが使用される。好ましいC2~C10オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン1-デセン、スチレン及びビニールシクロヘキセン、が使用される。最も好ましいアルファー-オレフィンは、エチレン及びプロピレン、特にプロピレン、である。
【0202】
該触媒オフライン予備重合は、気相中又は不活性希釈剤、典型的には油又はフッ素化炭化水素、好ましくはフッ素化炭化水素中又はフッ素化炭化水素の混合物中、で行われうる。好ましくは、過フッ素化炭化水素が使用される。そのような(過)フッ素化炭化水素の融点は典型的には、0~140℃、好ましくは30~120℃、良くは50~110℃、の範囲である。
【0203】
該触媒オフライン予備重合がフッ素化炭化水素中で行われる場合、該予備重合工程の温度は70℃未満、例えば-30~70℃の範囲、好ましくは0~65℃の範囲、より好ましくは20~55℃の範囲、である。
【0204】
反応槽内の圧力は好ましくは、該触媒容器内への空気及び/又は湿気の浸出を最小限に抑えるために大気圧よりも高い。好ましくは、該圧力は、少なくとも1~15バール、好ましくは2~10バール、の範囲である。該反応槽は好ましくは、不活性雰囲気に、例えば窒素若しくはアルゴン又は同様の雰囲気下に、保たれている。
【0205】
オフライン予備重合は、予備重合工程前のポリマーマトリックスの重量/固体触媒の重量として定義される所望の予備重合度に達するまで続けられる。該程度は、25未満、好ましくは0.5~10.0、より好ましくは1.0~8.0、最も好ましくは2.0~6.0、である。
【0206】
オフライン触媒予備重合工程を使用することは、触媒成分の浸出が最小限に抑えられ、従って局所的に過熱するという利点を提供する。
【0207】
オフライン予備重合後、該触媒は単離され且つ貯蔵されることができる。
【0208】
重合
【0209】
本発明に従う触媒は特に、プロピレンホモポリマー及びプロピレンコポリマー、例えばエチレン若しくはC4~C10アルファーオレフィン又はそれらの混合物とのプロピレンコポリマー、例えばエチレンとのプロピレンランダムコポリマー、しかしながら、特にプロピレンホモポリマー及びプロピレン異相コポリマー、の形成に特に適している。
【0210】
本発明の方法における重合は、1以上の、例えば1、2又は3の重合反応器において、慣用的な重合技術、例えば気相、溶液相、スラリー若しくはバルク重合又はそれらの組み合わせ、例えばスラリーと少なくとも1つの気相反応器、を使用して行われうる。異相プロピレンポリマーは典型的には、スラリーと2つの気相反応器を備えている反応器構成において製造される。
【0211】
スラリー反応器の為のプロピレン重合の場合には、反応温度が一般に60~110℃(例えば、60~90℃)の範囲にあり、反応器圧が一般に、5~80バール(例えば、20~60バール)の範囲にあり、滞留時間が一般に0.1~5時間(例えば、0.3~2時間)である。モノマーは通常、反応媒体として使用される。
【0212】
気相反応器の場合には、使用される反応温度が一般に、60~115℃(例えば、70~110℃)の範囲にあり、反応器圧が一般に10~25バールの範囲であり、滞留時間が一般に0.5~8時間(例えば、0.5~4時間)である。使用される気体は、任意的に非反応性気体、例えば窒素又はプロパン、との混合物としてのモノマーである。実際の重合工程及び反応器に加えて、上記方法は、任意の追加の重合工程、例えば予備重合工程、及び当技術分野で既知の任意のさらなるポスト反応器(post-reactor)ハンドリング工程を含むことができる。
【0213】
一般に、使用される触媒の量は、触媒の性質、反応器の型及び条件並びにポリマー生成物の為の望ましい特性に依存するであろう。当技術分野で周知であるように、水素がポリマーの分子量を制御するために使用されることができる。
【0214】
本発明のメタロセン触媒は、低い溶融流量、及び良好な触媒活性を有する高い溶融温度によって示される通り、高分子量Mwのポリマーを提供することができる。
【0215】
本発明のメタロセンを用いて得られたポリマーは通常の粒子形態を有する。
【0216】
当技術分野で既知である通り、該触媒は、実際の重合工程に先立って予備重合に付されることができることが理解されるであろう。
【0217】
ポリマー
特許請求の範囲に請求された触媒が高分子量を有するポリマーの形成を可能にすることが本発明の特徴である。これらの特徴は工業的に関心のある重合温度、例えば60℃以上、で達成されることができる。本発明の好ましい特徴は、本発明の触媒が少なくとも60℃、好ましくは少なくとも65℃、例えば少なくとも70℃、の温度でプロピレンを重合するのに使用されることである。
【0218】
ポリプロピレンホモポリマー
本発明の触媒によって製造されるポリプロピレンホモポリマーは、Mw調整剤として使用される水素の使用及び量に依存して、40~2000kg/molの範囲の、好ましくは50~1500kg/molの範囲の、Mw(重量平均分子量)値で製造されることができる。本発明の触媒は、高融点を有するポリプロピレンホモポリマーの形成を可能にする。好ましい実施態様において、本発明の方法によって形成されるプロピレンホモポリマーは、157℃超、好ましくは158℃超、さらには159℃以上、の融点を有する。
【0219】
プロピレン-エチレンコポリマー
本発明のメタロセンによって製造されるプロピレン-エチレンコポリマーは、コモノマー含有量及び/又はMw調整剤として使用される水素の使用及び量に依存して、40~2,000kg/molの範囲の、好ましくは50~1,500kg/molの範囲の、Mw値で製造されることができる。
【0220】
所与のゴムコモノマー組成物に対する、異相PP/EPRリアクアーブレンドの引張及び衝撃特性は、ゴム相の分子量を増加させることによって改善されることができることが知られている。典型的に、メタロセン触媒は、hPPマトリックスの相対的に低いTm、通常は157℃未満、又は更に良くは154℃未満、でhPPを生成する。より高いTmが材料の剛性に有益であることが知られている。
【0221】
特許請求の範囲に定義されている本発明の遷移金属としてHfを有するメタロセン触媒は、より高分子量(iV(EPR)>2dL/gで測定される場合)を有する気相でEPRを生成し、且つ従来のメタロセンと比較して及びそれらのジルコニウム類似体と比較して、より高い融点、例えば(少なくとも157℃のTm)、を有する、ホモポリマーポリプロピレンマトリックスを生成する。
【0222】
これらの新規なメタロセンに基づく触媒は、非常に高い活性且つ長い寿命を有し、マルチリアクターブレンド組成物の製造を許す。ゴム相の非常に高い分子量は、水素の使用が気相活性を高めること且つブレンド特性を微調整することを許す。
【0223】
本発明の触媒によって製造されるポリマーは、あらゆる種類の最終製品、例えば、パイプ、フィルム(キャスト、ブロー(blown)又はBOPPフィルム、例えばコンデンサフィルムのBOPPなど)、繊維、成形品(例えば、射出成形、ブロー成形、回転成形品)、押出コーティングなど、に有用である。
【0224】
本発明は、下記の非制限的な実施例及び図を参照することによって説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0225】
【
図1】
図1は、比較例の触媒と本発明の触媒、CE1、CE2及びIE1;並びにCE4、CE5及びIE2、で製造されたサンプルのポリプロピレンホモポリマーの融解温度を示す。本発明の触媒は、比較例の触媒を使用して製造されたポリマーよりも少なくとも約4度高い溶融温度を有するプロピレンホモポリマーを提供する。
【
図2】
図2は、比較例の触媒と本発明の触媒、CE1、CE2及びIE1;並びにCE4、CE5及びIE2、で製造されたプロピレンホモポリマーサンプルについてのMFR
21の結果を示す。MFR値は、比較例の触媒で製造されたポリマーよりも本発明の触媒で製造されたポリマーについての明らかに低く、より高い分子量を示す。
【
図3】
図3は、比較例の触媒と本発明の触媒、CE1、CE2及びIE1;並びにCE4、CE5及びIE2、を用いて、プロピレンホモポリマーを製造する際の触媒の活性を示す。本発明の触媒では、活性は、関連する比較例よりも高い。
【0226】
分析試験
【0227】
測定法:
【0228】
Al、Zr及びHf決定(ICP法)
【0229】
触媒の元素分析が、質量Mの固体サンプルを取り、ドライアイス上で冷却することにより行われた。サンプルが、硝酸(HNO3,65%,Vの5%)及び新しい脱イオン(DI)水(Vの5%)に溶解することより、既知体積Vまで希釈された。溶液が次いで、フッ化水素酸(HF,40%,Vの3%)に添加され、DI水で最終体積Vまで希釈され、そして2時間安定化された。
【0230】
分析は、ブランク(DI水中の5%HNO3、3%HFの溶液)及びDI水中の5%HNO3、3%HFの溶液中の0.5ppm、1ppm、10ppm、50ppm、100ppm及び300ppmのAlと、0.5ppm、1ppm、5ppm、20ppm、50ppm及び100ppmのHf及びZrとの6個の標準を使用して較正されたThermo Elemental iCAP 6300 Inductively Coupled Plasma-Optical Emmision Spectrometer(ICP-OES)を使用して室温で行われた。
【0231】
分析の直前に、較正が、ブランク及び100ppmのAl、50ppmのHf、Zr標準を使用して「再傾斜され(resloped)」、品質管理サンプル(quality control sample)(DI水中の5%HNO3、3%HFの溶液中の20ppmのAl、5ppmのHf、Zr)が実行されて上記再傾斜を確認する。QCサンプルはまた、5番目のサンプルが終わる毎に及び計画された分析の組の最後に実行される。
【0232】
ハフニウムの含量が、282.022nm及び339.980nmラインを使用してモニターされ、ジルコニウムの含量が339.198nmラインを使用してモニターされた。アルミニウムの含量は、ICPサンプルにおけるAl濃度が0~10ppmである場合には(100ppmまでのみ較正された)、167.079nmラインによってモニターされ、10ppm超のAl濃度の場合には396.152nmラインによってモニターされた。
【0233】
報告された値は、同じサンプルから分取された3の連続するアリコートの平均であり、サンプルの元の質量及び希釈体積をソフトウエアに入力することにより元の触媒に関連させる。
【0234】
オフラインで予備重合された触媒の元素組成物を分析する場合、ポリマー部分は、元素が酸によって自由に溶解できるように灰化により消化される。総含有量は、該予備重合された触媒の重量%に対応するように計算される。下記に開示される例において、オフラインの予備重合ステップは使用されなかった。
【0235】
プロピレン単独重合の実施例の為のDSC分析
【0236】
融解温度Tmは、50ml分-1の窒素流速下、+23~+225℃の温度範囲で、10℃/分の走査速度で、熱/冷/熱のサイクルにおけるISO11357-3に従って、Mettler-Toledo 822e示差走査熱量計(DSC:differential scanning calorimeter)を用いて、約5mgのサンプルで測定された。融解温度は、2回目の加熱工程においてそれぞれ、吸熱ピークとしてとられた。機器の較正は、ISO 11357-1に従って、H20、鉛、錫、インジウムで実施された。
【0237】
異相プロピレン共重合体の実施例の為のDSC分析、主溶融温度(Tm)、溶融熱(Hm)及び結晶化温度(Tc)
【0238】
DSC分析は、5~7mgのサンプルにおいてMettler TA Instrument Q2000示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定された。DSCは、ISO 11357/パート3/メソッドC2に従って、-30~+225℃の温度範囲で、10℃/分のスキャン速度で、加熱/冷却/加熱サイクルで実行された。結晶化温度(Tc)は冷却ステップから決定され、一方、主溶融温度(Tm)及び溶融熱(Hm)は2番目の加熱ステップから決定される。
【0239】
メルトフローレート
メルトフローレート(MFR)がISO 1133に従って決定され、且つg/10分で示される。該MFRはポリマーの流動性を示し、従って加工性を示す。メルトフローレートが高いほど、ポリマーの粘度が低い。MFRは230℃で決定され、且つ種々の荷重、例えば2.16kg(MFR2)又は21.6kg(MFR21)、で決定されうる。
【0240】
固有粘度
固有粘度(iV:Intrinsic viscosity)は、DIN ISO 1628/1、1999年10月(135℃でのデカリン中)に従って測定された。
【0241】
キシレン冷可溶性画分
キシレン冷可溶性画分(XCS(xylene cold solubles),重量%)が、ISO 16152;2005に従って25℃で決定された。
【0242】
クリステックス(Crystex)解析
【0243】
結晶性画分及び可溶性画分法
【0244】
ポリプロピレン(PP)組成物の結晶性画分(CF:crystalline fraction)及び可溶性画分(SF:soluble fraction)、並びにそれぞれの画分のコモノマー含有量及び固有粘度が、CRYSTEX QC,Polymer Char(バレンシア,スペイン)によって解析された。
【0245】
該結晶性画分と非晶質画分とは、160℃での溶解、40℃での結晶化、そして160℃での1,2,4-トリクロロベンゼン(1,2,4-TCB)における再溶解の温度サイクルを介して分離される。SF及びCFの定量化並びにエチレン含有量(C2)の決定は、赤外検出器(IR4)及び固有粘度(IV:intrinsic viscosity)の決定の為に使用されるオンライン2毛細管粘度計の手段によって達成される。
【0246】
該IR4検出器は、濃度決定及びエチレン-プロピレンコポリマーにおけるエチレン含有量の決定の為に2つの異なる帯域(CH3及びCH2)でIR吸光度を検出する多重波長検出器である。該IR4検出器は、2重量%~69重量%(13C-NMRによって決定される)で、既知のエチレン含有量を有する一連の8個のEPコポリマーを用いて且つ較正の為に使用される各使用されたEPコポリマーについて2~13mg/mlの様々な濃度を用いて較正される。
【0247】
可溶性画分(SF)及び結晶性画分(CF)の量は、XS較正を介して、ISO16152による標準的な重量測定的方法に従って決定された「キシレン冷可溶性」(XCS:Xylene Cold Soluble)定量及びそれぞれキシレン冷不溶性(XCI:Xylene Cold Insoluble)画分と相関した。XS較正は、2~31重量%でXS含有量を用いて様々なEPコポリマーを試験することによって達成される。
【0248】
親EPコポリマー並びにそれの可溶性及び結晶性画分の固有粘度(IV:intrinsic viscosity)は、オンライン2毛細管粘度計(capillary viscometer)の使用で決定され、そしてISO 1628に従ってデカリン中で標準法によって決定される対応するIV’と相関する。較正は、IV=2~4dL/gを有する様々なEP PPコポリマーで達成される。
【0249】
分析されるべきPP組成物のサンプルは、10mg/ml~20mg/mlの濃度で秤量される。抗酸化剤として250mg/lの2,6-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を含む1,2,4-TCBを有するバイアルの自動充填後、該サンプルは、160℃で、完全な溶解が達成されるまで、通常60分間、800rpmの一定撹拌で溶解される。
【0250】
該サンプル溶液の定義体積は、不活性担持体で満たされているカラム内に注入され、ここで、該サンプルの結晶化及び結晶性部分から可溶性画分の分離が行われている。この方法は2回繰り返される。第1の注入中、全サンプルは高温で測定され、該PP組成物のIV[dl/g]及びC2[重量%]を決定する。第2の注入中、該結晶化サイクルを用いる可溶性画分(低温で)且つ結晶性画分(高温で)が決定される(重量%SF、重量%C2、IV)。(EPは、エチレンプロピレンコポリマーを意味する。PPは、ポリプロピレンを意味する。)
【0251】
クリステックス試験はさらに、国際公開第2019/002345号パンフレット詳しく説明されている。
図1a及び
図1bが相互参照される。
【0252】
曲げ弾性率
曲げ弾性率が、EN ISO 1873-2に記載されている通り、射出成形された試験片(80x10x4 mm)において、23℃でISO178に従って決定される。
【0253】
シャルピーノッチ衝撃(Charpy notched impact)
シャルピーノッチ衝撃強度(NIS:notched impact strength)が、EN ISO 1873-2に記載されている通り、射出成形された試験片(80x10x4 mm) において、ISO179/1eAに従って決定された。
【0254】
動的機械的熱分析(DMTA:Dynamic mechanical thermal analysis)
動的機械的熱分析(DMTA)は、ISO 6721-7に従って行われた。測定は、-130℃~+150℃の圧縮成形サンプル(40x10x1 mm3)で、2℃/分の加熱速度と1Hzの周波数でねじりモード(torsion mode)で行われる。23℃での貯蔵弾性率(G’)とEPR相(tg1)及びマトリックス(Tg2)のガラス遷移温度とが報告される。
【0255】
実施例
【0256】
メタロセン合成
【0257】
試薬
2,6-ジメチルアニリン(Acros)、1-ブロモ-3、5-ジメチルベンゼン(Acros)、1-ブロモ-3,5-ジ-tert-ブチルベンゼン(Acros)、ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロライド(Aldrich)、トリフェニルホスフィン(Acros)、NiCl2(DME)(Aldrich)、ジクロロジメチルシラン(Merck)、ZrCl4(Merck)、HfCl4、<1% Zr(Strem Chemicals)、トリメチルボレート(Acros)、Pd(OAc)2(Aldrich)、NaBH4(Acros)、ヘキサン中、2.5MのnBuLi(Chemetal)、CuCN(Merck)、削り屑状マグネシウム(Acros)、シリカゲル60,40~63μm(Merck)、臭素(Merck)、96%の硫酸(Reachim)、亜硝酸ナトリウム(Merck)、銅粉末(Alfa)、水酸化カリウム(Merck)、K2CO3(Merck)、12M HCl(Reachim)、TsOH(Aldrich)、MgSO4(Merck)、Na2CO3(Merck)、Na2SO4(Akzo Nobel)、メタノール(Merck)、ジエチルエーテル(Merck)、1,2-ジメトキシエタン(DME,Aldrich)、95%エタノール(Merck)、ジクロロメタン(Merck)、ヘキサン(Merck)、THF(Merck)、及びトルエン(Merck)が、受け取ったままで使用された。有機金属の合成の為のヘキサン、トルエン及びジクロロメタンが、モレキュラーシーブ4A(Merck)で乾燥された。有機金属の合成の為のジエチルエーテル、THF及び1,2-ジメトキシエタンが、ナトリウムベンゾフェノンケチルで蒸留された。CDCl3(Deutero GmbH)及びCD2Cl2(Deutero GmbH)が、モレキュラーシーブ4A上で乾燥された。4-ブロモ-6-tert-ブチル-5-メトキシ-2-メチルインダン-1-オンが国際公開第2013/007650号パンフレットに記載された通りで得られた。
【0258】
MC-CE1の合成(比較例)
4-(4-tert-ブチルフェニル)-1-メトキシ-2-メチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン
【0259】
【0260】
前駆体4-ブロモ-1-メトキシ-2-メチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンが、際公開第2015/158790A2号パンフレット(pp26~29)に記載された手順に従って製造された。
【0261】
1.5g(1.92mmol,0.6モル%)のNiCl2(PPh3)IPr及び89.5g(318.3mmol)の4-ブロモ-1-メトキシ-2-メチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンの混合物に、THF中の500ml(500mmol,1.57当量)の1.0M 4-tert-ブチルフェニルマグネシウムブロミドが添加された。結果として得られた溶液が3時間還流されて、次に室温に冷やされ、そして1000mlの0.5M HClが加えられた。さらに、この混合物は1000mlのジクロロメタンで抽出され、有機層が分離され、そして水層が250mlのジクロロメタンで抽出された。一緒にされた有機抽出物が蒸発乾固されて、緑がかった油を与えた。標記の生成物が、シリカゲル60上でフラッシュクロマトグラフィーによって分離された(40~63μm;溶離液:ヘキサン-ジクロロメタン=3:1容量、次に1:3容量)。この手順は、白色の固体物として、107g(約100%)の1-メトキシ-2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンを与えた。
【0262】
C24H30Oについての計算値:C,86.18;H,9.04。実測値:C,85.99;H,9.18。
【0263】
1H NMR(CDCl3),シン-異性体:δ7.42~7.37(m,2H),7.25~7.20(m,3H),4.48(d,J=5.5Hz,1H),3.44(s,3H),2.99~2.47(m,7H),2.09~1.94(m,2H),1.35(s,9H),1.07(d,J=6.9Hz,3H);アンチ-異性体:δ7.42~7.37(m,2H),7.25~7.19(m,3H),4.39(d,J=3.9Hz,1H),3.49(s,3H),3.09(dd,J=15.9Hz,J=7.5Hz,1H),2.94(t,J=7.3Hz,2H),2.78(tm,J=7.3Hz,2H),2.51~2.39(m,1H),2.29(dd,J=15.9Hz,J=5.0Hz,1H),2.01(quin,J=7.3Hz,2H),1.36(s,9H),1.11(d,J=7.1Hz,3H)。
13C{1H} NMR(CDCl3),シン-異性体:δ149.31,142.71,142.58,141.46,140.03,136.71,135.07,128.55,124.77,120.02,86.23,56.74,39.41,37.65,34.49,33.06,32.45,31.38,25.95,13.68;アンチ-異性体:δ149.34,143.21,142.90,140.86,139.31,136.69,135.11,128.49,124.82,119.98,91.53,56.50,40.12,37.76,34.50,33.04,32.40,31.38,25.97,19.35。
【0264】
4-(4-tert-ブチルフェニル)-6-メチル-1,2,3,5-テトラヒドロ-s-インダセン
【0265】
【0266】
700mlのトルエン中の107gの1-メトキシ-2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(上記で調製された)の溶液に、600mgのTsOHが添加され、そして結果として得られた溶液が、10分間、ディーン-スターク・ヘッド(Dean-Stark head)を用いて還流された。室温に冷やされた後、反応混合物は、200mlの10% NaHCO3で洗われた。有機層が分離され、そして水層が2x100mlのジクロロメタンでさらに抽出された。一緒にされた有機抽出物が蒸発乾固されて赤色の油を与えた。生成物が、シリカゲル60上でフラッシュクロマトグラフィーによってによって精製され(40~63μm;溶離液:ヘキサン、次にヘキサン-ジクロロメタン=5:1容量)、引き続き減圧蒸留された(b.p.210~216℃/5~6mmHg)。この手順は、黄色がかったガラス状物質として、77.1g(80%)の4-(4-tert-ブチルフェニル)-6-メチル-1,2,3,5-テトラヒドロ-s-インダセンを与えた。
【0267】
C23H26についての計算値:C,91.34;H,8.66。実測値:C,91.47;H,8.50。
【0268】
1H NMR(CDCl3):δ7.44~7.37(m,2H),7.33~7.26(m,2H),7.10(s,1H),6.45(br.s,1H),3.17(s,2H),2.95(t,J=7.3Hz,2H),2.78(t,J=7.3Hz,2H),2.07(s,3H),2.02(quin,J=7.3Hz,2H),1.37(s,9H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ149.37,145.54,144.79,142.91,139.92,138.05,137.15,134.06,128.36,127.02,124.96,114.84,42.11,34.53,33.25,32.16,31.41,25.96,16.77。
【0269】
2-メチル-[4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル](クロロ)ジメチルシラン
【0270】
【0271】
-50℃に冷やされた300mlのエーテル中の22.3g(73.73mmol)の4-(4-tert-ブチルフェニル)-6-メチル-1,2,3,5-テトラヒドロ-s-インダセンの溶液に、ヘキサン中の30.4ml(73.87mmol)の2.43M nBuLiが一度に添加された。結果として得られた混合物が、一晩、室温で撹拌され、次に、多くの沈殿物を有する結果として得られた懸濁物が、-78℃に冷やされ(ここで、該沈殿物実質的に溶解して橙色の溶液を形成した)、そして47.6g(369mmol,5当量)のジクロロジメチルシランが、一度に添加された。得られた溶液が、一晩、室温で撹拌され、そして次にガラスフリット(G4)を通じて濾過された。濾過物が蒸発乾固されて、無色のガラス状物質として、28.49g(98%)の2-メチル-[4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル](クロロ)ジメチルシランを与え、それは更なる精製無しに使用された。
【0272】
1H NMR(CDCl3):δ7-50-7.45(m,2H),7.36(s,1H),7.35~7.32(m,2H),6.60(s,1H),3.60(s,1H),3.10~2.82(m,4H),2.24(s,3H),2.08(quin,J=7.3Hz,2H),1.42(s,9H),0.48(s,3H),0.22(s,3H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ149.27,144.41,142.15,141.41,139.94,139.83,136.85,130.19,129.07,126.88,124.86,118.67,49.76,34.55,33.27,32.32,31.44,26.00,17.6。
【0273】
2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-インダン-1-オン
【0274】
【0275】
130mlの水及び380mlのDME中の、31.1g(100mmol)の2-メチル-4-ブロモ-5-メトキシ-6-tert-ブチル-インダン-1-オン、25.0g(140mmol)の4-tert-ブチルフェニルボロン酸、29.4g(280mmol)のNa2CO3、1.35g(6.00mmol,6モル%)のPd(OAc)2及び3.15g(12.0mmol,12モル%)のPPh3の混合物が、アルゴン環境において、6時間還流された。形成された混合物が、蒸発されて乾固された。残留物に、500mlのジクロロメタン及び500mlの水が添加された。有機層が分離され、水性層が100mlのジクロロメタンでさらに抽出された。一緒にされた有機抽出物がNa2SO4で乾燥され、蒸発乾固され、そして粗生成物がシリカゲル60上でフラッシュクロマトグラフィーを用いて分離された(40~63μm;溶離液:ヘキサン-ジクロロメタン=2:1容量)。この粗生成物はn-ヘキサンから再結晶されて、29.1g(81%)の白色固体を与えた。
【0276】
C25H32O2についての計算値:C,82.37;H,8.85。実測値:C,82.26;H,8.81。
【0277】
1H NMR(CDCl3):δ7.74(s,1H,7-H,インデニル中),7.48(d,J=8.0Hz,2H,2,6-HinC6H4
tBu),7.33(d,J=8.0Hz,2H,3,5-H,C6H4
tBu),3.27(s,3H,OMe),3.15(dd,J=17.3Hz,J=7.7Hz,1H,3-H,インダン-1-オン中),2.67~2.59(m,1H,2-H,インダン-1-オン中),2.48(dd,J=17.3Hz,J=3.7Hz,3’-H,インダン-1-オン中),1.42(s,9H,tBu,C6H4
tBu中),1.38(s,9H,6-tBu,インダン-1-オン中),1.25(d,J=7.3Hz,3H,2-Me,インダン-1-オン中)。
【0278】
2-メチル-5-tert-ブチル-6-メトキシ-7-(4-tert-ブチルフェニル)-1H-インデン
【0279】
【0280】
5℃に冷やされた400mlのTHF中の28.9g(79.2mmol)の2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-インダン-1-オンの溶液に、5.00g(132mmol)のNaBH4が添加された。さらに、100mlのメタノールが、7時間、5℃で激しく撹拌することによってこの混合物に滴下で加えられた。結果として得られた混合物が蒸発され、乾燥され、そして残留物が500mlのジクロロメタンと1000mlの0.5M HClとに分配された。有機層が分離され、水性層が100mlのジクロロメタンでさらに抽出された。一緒にされた有機抽出物が蒸発乾固されて、無色の油を与えた。500mlのトルエン中のこの油の溶液に、1.0gのTsOHが添加された。形成された混合物が、15分間、ディーン-スターク・ヘッド(Dean-Stark head)を用いて還流され、そして次に、水浴を用いて室温に冷やされた。結果として得られた赤みがかった溶液が10%の水性Na2CO3によって洗われ、有機層が分離され、水性層が2x100mlのジクロロメタンで抽出された。一緒にされた有機抽出物がK2CO3を介して乾燥され、そして次に、シリカゲル60(40~63μm)のショートパッドを通過された。シリカゲルパッドが50mlのジクロロメタンでさらに洗われた。一緒にされた有機溶出物が蒸発乾固され、黄色みがかった結晶塊を与えた。生成物が、150mlの温n-ヘキサンからこの塊の再結晶によって分離された。5℃で沈殿された結晶が集められ、真空において乾燥された。この手順は、23.8gの白色のマクロ結晶2-メチル-5-tert-ブチル-6-メトキシ-7-(4-tert-ブチルフェニル)-1H-インデンを与えた。母液が蒸発乾固され、そして残留物が同様の方法で20mlの温n-ヘキサンから再結晶された。この手順は、追加の2.28gの生成物を与えた。標記の生成物の総収量は26.1g(95%)であった。
【0281】
C25H32Oについての計算値:C,86.15;H,9.25。実測値:C,86.24;H,9.40。
【0282】
1H NMR(CDCl3):δ7.44(d,J=8.5Hz,2H,2,6-H、C6H4
tBu中),7.40(d,J=8.5Hz,2H,3,5-H,C6H4
tBu中),7.21(s,1H,4-H,インデニル中),6.43(m,1H,3-H,インデニル中),3.20(s,3H,OMe),3.15(s,2H,1-H,インデニル中),2.05(s,3H,2-Me,インデニル中),1.43(s,9H,5-tBu,インデニル中),1.37(s,9H,tBu,C6H4
tBu中)。
【0283】
[2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル][2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジメチルシラン
【0284】
【0285】
150mlのエーテル中の8.38g(24.04mmol)の2-メチル-5-tert-ブチル-7-(4-tert-ブチルフェニル)-6-メトキシ-1H-インデンの溶液に、ヘキサン中の9.9ml(24.06mmol)の2.43M nBuLiが-50℃で一度に添加された。この混合物は、一晩、室温で撹拌され、次に結果として得られた、黄色の沈殿物を有する黄色の溶液が-50℃に冷やされ、そして150mgのCuCNが添加された。得られた混合物は、0.5時間、-25℃で撹拌され、次に、150mlのエーテル中の9.5g(24.05mmol)の2-メチル-[4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル](クロロ)ジメチルシランの溶液が一度に添加された。この混合物は、一晩、室温で撹拌され、次に、シリカゲル60(40~63μm)のパッドを通じて濾過され、それは2x50mlのジクロロメタンでさらに洗われた。一緒にされた濾過物が減圧下で蒸発され、そして残留物が、真空中、高められた温度で乾燥された。この手順は、黄色がかったガラス状の固体として、17.2g(約100%)の[2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル][2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジメチルシラン(NMRスペクトル分析による約95%純度,およそ1:1の立体異性体の混合物)を与え、それは追加の精製無しに次の工程において使用された。
【0286】
1H NMR(CDCl3):δ7.50(s,0.5H),7.48-7.41(m,6H),7.37~7.33(m,2.5H),7.26(s,0.5H),7.22(s,0.5H),6.57及び6.50(2s,合計2H),3.71,3.69,3.67及び3.65(4s,合計2H),3.23及び3.22(2s,合計3H),3.03~2.80(m,4H),2.20,2.16及び2.14(3s,合計6H),2.08~1.99(m,2H),1.43及び1.41(2s,合計9H),1.39(s,18H),-0.19,-0.20,-0.21及び-0.23(4s,合計6H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ155.49,155.46,149.41,149.14,149.11,147.48,147.44,146.01,145.77,143.95,143.91,143.76,143.71,142.14,142.10,139.52,139.42,139.34,139.29,139.20,139.16,137.10,137.05,137.03,135.20,130.05,130.03,129.73,129.11,127.25,127.22,126.20,126.13,125.98,125.94,125.05,124.82,120.59,120.52,118.51,118.26,60.51,60.48,47.31,46.89,46.72,35.14,34.55,33.34,33.28,32.30,31.47,31.45,31.24,31.19,26.02,25.99,17.95,17.86。
【0287】
アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル][2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド
【0288】
【0289】
-50℃に冷やされた250mlのエーテル中の17.2g(約24.04mol)の[2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル][2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジメチルシラン(上記で調製された)の溶液に、ヘキサン中の19.8ml(48.11mmol)の2.43M nBuLiが一度に添加された。この混合物は、4時間、室温で撹拌され、次に、結果として得られたさくらんぼ色の溶液が-60℃に冷やされ、そして5.7g(24.46mmol)のZrCl4が添加された。反応混合物が24時間、室温で撹拌されて、橙色の沈殿物を有する赤色の溶液を与えた。この混合物は、蒸発乾固された。残留物が200mlのトルエンで加熱され、そして形成された懸濁物がガラスフリット(G4)を通じて濾過された。濾過物が、90mlに蒸発された。一晩、室温でこの溶液から沈殿された黄色の粉末が集められ、10mlの冷トルエンで洗われ、そして真空で乾燥された。この手順は、アンチ-及びシンのジルコノセンの4.6g(22%)の約4対1混合物を与えた。母液が約40mlに蒸発され、そして20mlのn-ヘキサンが加えられた。一晩、室温でこの溶液から沈殿された橙色の粉末が集められ、そして真空で乾燥された。この手順は、アンチ-及びシンのジルコノセンの6.2g(30%)の約1対1の混合物を与えた。すなわち、この合成において分離されたアンチ-及びシンのジルコノセンの総収量は、10.8g(52%)であった。純粋なアンチ-ジルコノセンが、アンチ-及びシンのジルコノセンの上記で述べられた4.6gのサンプルの約4対1の混合物の、20mlのトルエンからの再結晶から得られた。この手順は、1.2gの純粋なアンチ-ジルコノセンを与えた。
【0290】
アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル][2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド:
【0291】
C50H60Cl2OSiZrについての計算値:C,69.25;H,6.97。実測値:C,69.43;H,7.15。
【0292】
1H NMR(CDCl3):δ7.59~7.38(mのグループ,10H),6.74(s,1H),6.61(s,1H),3.37(s,3H),3.08-2.90(m,3H),2.86~2.78(m,1H),2.20(s,3H),2.19(s,3H),2.10~1.92(m,2H),1.38(s,9H),1.33(s,18H),1.30(s,3H),1.29(s,3H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ159.94,150.05,149.86,144.79,144.01,143.20,135.50,135.41,133.87,133.73,133.62,132.82,132.29,129.23,128.74,126.95,126.87,125.36,125.12,122.93,121.68,121.32,120.84,117.90,81.65,81.11,62.57,35.74,34.58,33.23,32.17,31.37,31.36,30.32,26.60,18.39,18.30,2.65,2.571。
1 1つの炭素原子に由来する共鳴は、他の幾つかの信号との重複の為に見つからなかった。
【0293】
MC-CE2の合成(比較例)
【0294】
4-ブロモ-2,6-ジメチルアニリン
【0295】
【0296】
159.8g(1.0mol)の臭素が、500mlのメタノール中の121.2g(1.0mol)の2,6-ジメチルアニリンの撹拌された溶液にゆっくりと(2時間かけて)添加された。結果として得られた暗赤色の溶液が一晩、室温で撹拌され、次に、1100mlの水中の140g(2.5mol)の水酸化カリウムの冷溶液内に注がれた。有機層が分離され、そして水性層が500mlのジエチルエーテルで抽出された。一緒にされた有機抽出物が1000mlの水で洗われ、K2CO3で乾燥され、そして真空で蒸発されて、暗赤色の油として202.1gの4-ブロモ-2,6-ジメチルアニリン(約90%純度)を与え、それは室温で放置すると結晶化する。この物質は、更なる精製無しにさらに使用された。
【0297】
1H NMR(CDCl3):δ7.04(s,2H),3.53(br.s,2H),2.13(s,6H)。
【0298】
1-ブロモ-3,5-ジメチルベンゼン
【0299】
【0300】
97ml(1.82mol)の96%硫酸が、-10℃に冷やされた1400mlの95%エタノール中の134.7g(約673mmol)の4-ブロモ-2,6-ジメチルアニリン(上記で調製された,約90%純度)の溶液に、反応温度を7℃未満に維持するような速度で滴下で加えられた。添加が完了した後、該溶液は、1時間、室温で撹拌された。次に、反応混合物が氷浴中で冷やされ、そして150mlの水中の72.5g(1.05mol)の亜硝酸ナトリウムの溶液が、約1時間かけて滴下で加えられた。形成された溶液が、30分間、同じ温度で撹拌された。次に、冷却浴が取り除かれ、18gの銅粉末が添加された。窒素の急速な発生が完了すると、ガス発生が完全に停止するまで、追加部分(各約5,合計約50g)の銅粉末が10分間隔で追加された。反応混合物は、一晩、室温で撹拌され、次に、ガラスフリット(G3)を通じて濾過され、2倍容量の水で希釈され、そして粗生成物が4x150mlのジクロロメタンで抽出された。一緒にされた抽出物が、K2CO3を介して乾燥され、蒸発乾固され、そして次に、真空で蒸留されて(b.p.60~63oC/5mmHg)、黄色がかった液体を与えた。この生成物は、シリカゲル60上でフラッシュクロマトグラフィーによってさらに精製され(40~63μm;溶離液:ヘキサン)、そして再び蒸留されて(b.p.51~52oC/3mmHg)、無色の液体として63.5g(51%)の1-ブロモ-3,5-ジメチルベンゼンを与えた。
【0301】
1H NMR(CDCl3):δ7.12(s,2H),6.89(s,1H),2.27(s,6H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ139.81,129.03,128.61,122.04,20.99。
【0302】
(3,5-ジメチルフェニル)ボロン酸
【0303】
【0304】
1000mlのTHF中の190.3g(1.03mol)の1-ブロモ-3,5-ジメチルベンゼン及び32g(1.32mol,28%過剰)の削り屑状マグネシウムの溶液から得られた3,5-ジメチルフェニルマグネシウムブロミドの溶液が-78℃に冷やされ、そして、104g(1.0mol)のトリメチルボレートが一度に添加された。結果として得られた異種混合物が、一晩、室温で撹拌された。ボロン酸エステルが、1200mlの2M HClを注意深く加えることによって加水分解された。500mlのジエチルエーテルが加えられ、有機層が分離され、そして水層が2x500mlのジエチルエーテルでさらに抽出された。一緒にされた有機抽出物がNa2SO4を介して乾燥され、そして次に、蒸発乾固され、白色の塊を与えた。後者は200mlのn-ヘキサンで粉砕され、ガラスフリット(G3)を通じて濾過され、そして沈殿物が真空で乾燥された。この手順は、114.6g(74%)の(3,5-ジメチルフェニル)ボロン酸を与えた。
【0305】
C8H11BO2についての計算値:C,64.06;H,7.39。実測値:C,64.38;H,7.72。
【0306】
1H NMR(DMSO-d6):δ7.38(s,2H),7.00(s,1H),3.44(非常にbr.s,2H),2.24(s,6H)。
【0307】
2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-インダン-1-オン
【0308】
【0309】
49.14g(157.9mmol)の2-メチル-4-ブロモ-5-メトキシ-6-tert-ブチルインダン-1-オン、29.6g(197.4mmol,1.25当量)の(3,5-ジメチルフェニル)ボロン酸、45.2g(427mmol)のNa2CO3、1.87g(8.3mmol,5モル%)のPd(OAc)2、4.36g(16.6mmol,10モル%)のPPh3、200mlの水及び500mlの1,2-ジメトキシエタンの混合物が6.5時間還流された。DMEがロータリーエバポレーターで蒸発され、600mlの水及び700mlのジクロロメタンが残留物に加えられた。有機層が分離され、そして水性層が200mlのジクロロメタンでさらに抽出された。一緒にされた抽出物が、K2CO3を介して乾燥され、そして次に、蒸発乾固され、黒色の油を与えた。粗生成物が、シリカゲル60上でフラッシュクロマトグラフィーによって精製されて(40~63μm,ヘキサン-ジクロロメタン=1:1容量、次に1:3容量)、茶色がかった油として、48.43g(91%)の2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインダン-1-オンを与えた。
【0310】
C23H28O2についての計算値:C,82.10;H,8.39。実測値:C,82.39;H,8.52。
【0311】
1H NMR(CDCl3):δ7.73(s,1H),7.02(s,3H),7.01(s,3H),3.32(s,3H),3.13(dd,J=17.5Hz,J=7.8Hz,1H),2.68~2.57(m,1H),2.44(dd,J=17.5Hz,J=3.9Hz),2.36(s,6H),1.42(s,9H),1.25(d,J=7.5Hz,3H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ208.90,163.50,152.90,143.32,138.08,136.26,132.68,130.84,129.08,127.18,121.30,60.52,42.17,35.37,34.34,30.52,21.38,16.40。
【0312】
2-メチル-5-tert-ブチル-6-メトキシ-7-(3,5-ジメチルフェニル)-1H-インデン
【0313】
【0314】
5℃に冷やされた300mlのTHF中の48.43g(143.9mmol)の2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインダン-1-オンの溶液に、8.2g(217mmol)のNaBH4が添加された。次に、150mlのメタノールが、約7時間、5℃で激しく撹拌することによってこの混合物に滴下で加えられた。結果として得られた混合物が蒸発乾固され、そして残留物が500mlのジクロロメタンと500mlの2M HClに分配された。有機層が分離され、水性層が100mlのジクロロメタンでさらに抽出された。一緒にされた有機抽出物が蒸発乾固されて、わずかに黄色がかった油を与えた。600mlのトルエン中のこの油の溶液に400mgのTsOHが添加され、この混合物は、10分間、ディーン-スターク・ヘッド(Dean-Stark head)で還流され、そして次に、水浴を用いて室温に冷やされた。形成された溶液は、10% Na2CO3によって洗われ、有機層が分離され、水性層が150mlのジクロロメタンで抽出された。一緒にされた有機抽出物がK2CO3を介して乾燥され、そして次に、シリカゲル60(40~63μm)のショートレイヤー(short layer)を通過された。シリカゲル層が100mlのジクロロメタンによってさらに洗われた。一緒にされた有機溶出物が蒸発乾固され、そして結果として得られた油が、高められた温度で、真空で乾燥された。この手順は、45.34g(98%)の2-メチル-5-tert-ブチル-6-メトキシ-7-(3,5-ジメチルフェニル)-1H-インデンを与え、それは更なる精製無しに使用された。
【0315】
C23H28Oについての計算値:C,86.20;H,8.81。実測値:C,86.29;H,9.07。
【0316】
1H NMR(CDCl3):δ7.20(s,1H),7.08(br.s,1H),6.98(br.s,1H),6.42(m,1H),3.25(s,3H),3.11(s,2H),2.36(s,6H),2.06(s,3H),1.43(s,9H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ154.20,145.22,141.78,140.82,140.64,138.30,137.64,131.80,128.44,127.18,126.85,116.98,60.65,42.80,35.12,31.01,21.41,16.65。
【0317】
[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル](クロロ)ジメチルシラン
【0318】
【0319】
-50℃に冷やされた150mlのエーテル中の9.0g(28.08mmol)の2-メチル-5-tert-ブチル-6-メトキシ-7-(3,5-ジメチルフェニル)-1H-インデンの溶液に、ヘキサン中の11.6ml(28.19mmol)の2.43M nBuLiが一度に添加された。結果として得られた混合物が、6時間、室温で撹拌され、次に、得られた黄色の懸濁物が-60℃に冷やされ、そして18.1g(140.3mmol,5当量)のジクロロジメチルシランが、一度に添加された。得られた溶液が、一晩、室温で撹拌され、そして次に、ガラスフリット(G3)を通じて濾過された。濾過物が蒸発乾固されて、わずかに黄色がかった油として、[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル](クロロ)ジメチルシランを与え、それは更なる精製無しに更に使用された。
【0320】
1H NMR(CDCl3):δ7.38(s,1H),7.08(s,2H),6.98(s,1H),6.43(s,1H),3.53(s,1H),3.25(s,3H),2.37(s,6H),2.19(s,3H),1.43(s,9H),0.43(s,3H),0.17(s,3H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ155.78,145.88,143.73,137.98,137.56,137.49,136.74,128.32,127.86,127.55,126.64,120.86,60.46,49.99,35.15,31.16,21.41,17.55,1.11,-0.58。
【0321】
1-メトキシ-2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン
【0322】
【0323】
2.0g(2.56mmol,1.8モル%)のNiCl2(PPh3)IPr及び40.0g(142.3mmol)の4-ブロモ-1-メトキシ-2-メチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンの混合物に、1.0M THF中の200ml(200mmol,1.4当量)の3,5-ジメチルフェニルマグネシウムブロミドが添加された。結果として得られた溶液が3時間還流され、次に室温に冷やされ、そして400mlの水、引き続き500mlの1.0M HCl溶液が加えられた。さらに、この混合物は、600mlのジクロロメタンで抽出され、有機層が分離され、そして水層が2x100mlのジクロロメタンで抽出された。一緒にされた有機抽出物が蒸発乾固されて、わずかに緑がかった油を与えた。生成物が、シリカゲル60上でフラッシュクロマトグラフィーによって分離された(40~63μm;溶離液:ヘキサン-ジクロロメタン=2:1容量、次に1:2容量)。この手順は、2つのジアステレオマーの混合物として、無色の濃い油として43.02g(99%)の1-メトキシ-2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンを与えた。
【0324】
C22H26Oについての計算値:C,86.23;H,8.55。実測値:C,86.07;H,8.82。
【0325】
1H NMR(CDCl3),シン-異性体:δ7.21(s,1H),6.94(br.s,1H),6.90(br.s,2H),4.48(d,J=5.5Hz,1H),3.43(s,3H),2.94(t,J=7.5Hz,2H),2.87-2.65(m,3H),2.63-2.48(m,2H),2.33(s,6H),2.02(quin,J=7.5Hz,2H),1.07(d,J=6.7Hz,3H);アンチ-異性体:δ7.22(s,1H),6.94(br.s,1H),6.89(br.s,2H),4.38(d,J=4.0Hz,1H),3.48(s,3H),3.06(dd,J=16.0Hz,J=7.5Hz,1H),2.93(t,J=7.3Hz,2H),2.75(td,J=7.3Hz,J=3.2Hz,2H),2.51-2.40(m,1H),2.34(s,6H),2.25(dd,J=16.0Hz,J=5.0Hz,1H),2.01(quin,J=7.3Hz,2H),1.11(d,J=7.1Hz,3H)。
13C{1H} NMR(CDCl3),シン-異性体:δ142.69,142.49,141.43,139.97,139.80,137.40,135.46,128.34,126.73,120.09,86.29,56.76,39.43,37.59,33.11,32.37,25.92,21.41,13.73;アンチ-異性体:δ143.11,142.72,140.76,139.72,139.16,137.37,135.43,128.29,126.60,119.98,91.53,56.45,40.06,37.65,33.03,32.24,25.88,21.36,19.36。
【0326】
4-(3,5-ジメチルフェニル)-6-メチル-1,2,3,5-テトラヒドロ-s-インダセン
【0327】
【0328】
600mlのトルエン中の43.02g(140.4mmol)1-メトキシ-2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンの溶液に200mgのTsOHg添加され、そして結果として得られた溶液が15分間、ディーン-スターク・ヘッド(Dean-Stark head)を用いて還流された。室温に冷やされた後、反応混合物は200mlの10% NaHCO3で洗われた。有機層が分離され、そして水層が300mlのジクロロメタンでさらに抽出された。一緒にされた有機抽出物が蒸発乾固されて、明るい橙色の油を与えた。生成物は、シリカゲル60上でフラッシュクロマトグラフィーで分離された(40~63μm;溶離液:ヘキサン、次に、ヘキサン-ジクロロメタン=10:1容量)。この手順は、わずかに黄色がかった油として35.66g(93%)の4-(3,5-ジメチルフェニル)-6-メチル-1,2,3,5-テトラヒドロ-s-インダセンを与え、それは自発的に固化して白色の塊を形成した。
【0329】
C21H22についての計算値:C,91.92;H,8.08。実測値:C,91.78;H,8.25。
【0330】
1H NMR(CDCl3):δ7.09(s,1H),6.98(br.s,2H),6.96(br.s,1H),6.44(m,1H),3.14(s,2H),2.95(t,J=7.3Hz,2H),2.76(t,J=7.3Hz,2H),2.35(s,6H),2.07(s,3H),2.02(quin,J=7.3Hz,2H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ145.46,144.71,142.81,140.17,139.80,137.81,137.50,134.33,128.35,127.03,126.48,114.83,42.00,33.23,32.00,25.87,21.38,16.74。
【0331】
[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジメチルシラン
【0332】
【0333】
150mlのエーテル及び20mlのTHFの混合物中の71g(28.1mmol)の4-(3,5-ジメチルフェニル)-6-メチル-1,2,3,5-テトラヒドロ-s-インダセンの溶液に、ヘキサン中の11.6ml(28.19mmol)の2.43M nBuLiが-50℃で一度に添加された。この混合物は、6時間、室温で撹拌され、次に、結果として得られた橙色の溶液が-50℃に冷やされ、そして150mgのCuCNが添加された。得られた混合物は、0.5時間、-25℃で撹拌され、次に、150mlのエーテル中の[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル](クロロ)ジメチルシラン(上記で調製された,約28.08mmol)の溶液が一度に添加された。この混合物は、一晩、室温で撹拌され、次に、シリカゲル60(40~63μm)のパッドを通じて濾過され、それは2x50mlのジクロロメタンによってさらに洗われた。一緒にされた濾過物が減圧下で蒸発されて、黄色の油を与えた。生成物が、シリカゲル60でフラッシュクロマトグラフィーによって分離された(40~63μm;溶離液:ヘキサン-ジクロロメタン=10:1容量、次に5:1容量)。この手順は、黄色がかったガラス状の固体として、11.95g(65%)の[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジメチルシラン(約1:1の立体異性体の混合物として)を与えた。
【0334】
C46H54OSiについての計算値:C,84.87;H,8.36。実測値:C,85.12;H,8.59。
【0335】
1H NMR(CDCl3):δ7.48及び7.33(2s,合計1H),7.26~7.18(m,1H),7.16~7.07(m,2H),7.04~6.95(m,4H),6.51及び6.45(2s,合計2H),3.69及び3.65(2s,合計2H),3.28及び3.26(2s,合計3H),3.01~2.74(m,4H),2.38及び2.37(2s,合計12H),2.20及び2.15(2s,合計6H),2.09~1.97(m,2H),1.43及び1.42(2s,合計9H),-0.17,-0.18,-0.19及び-0.24(4s,合計6H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ155.29,147.45,147.39,145.99,145.75,143.93,143.90,143.72,143.69,142.06,142.01,140.08,140.06,139.46,139.37,139.26,139.03,139.00,138.24,137.50,137.34,137.07,136.99,130.39,128.23,128.14,127.92,127.50,127.46,127.26,126.12,126.05,125.99,125.94,120.55,120.51,118.46,118.27,60.49,47.33,46.86,46.76,35.14,33.33,33.28,32.18,31.26,31.21,25.95,25.91,21.44,17.96,17.88,-5.27,-5.39,-5.50,-5.82。
【0336】
アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウム ジクロリド
【0337】
【0338】
-50℃に冷やされた200mlのエーテル中の11.95g(18.36mol)の[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジメチルシラン(上記で調製された)の溶液に、ヘキサン中の15.1ml(35.7mmol)の2.43M nBuLiが一度に添加された。この混合物は、3時間、室温で撹拌され、次に、結果として得られた赤色の溶液が-78℃に冷やされ、そして4.28g(18.37mmol)のZrCl4が添加された。反応混合物は24時間、室温で撹拌されて、橙色の沈殿物を有する明るい赤色の溶液を与えた。この混合物は、蒸発乾固された。残留物が250mlの温トルエンで処置され、形成された懸濁物がガラスフリット(G4)を通じて濾過された。濾過物が、40mlに蒸発された。一晩、室温でこの溶液から沈殿された赤色の粉末が集められ、10mlの冷トルエンで洗われ、そして真空で乾燥された。この手順は、0.6gのシン-ジルコノセンを与えた。母液が約35mlに蒸発され、そして15mlのn-ヘキサンが温溶液に加えられた。一晩、室温でこの溶液から沈殿された赤色の粉末が集められ、そして真空で乾燥された。この手順は、3.49gのシン-ジルコノセンを与えた。母液が約20mlに蒸発され、そして30mlのn-ヘキサンが温溶液に加えられた。一晩、室温でこの溶液から沈殿された黄色の粉末が集められ、そして真空で乾燥された。この手順は、約2%のシン-異性体で汚染されたトルエンとの溶媒和物(x0.6 トルエン)として4.76gのアンチ-ジルコノセンを与えた。すなわち、この合成においてシン及びアンチのジルコノセンの総収量は、8.85g(59%)であった。
【0339】
アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド:
【0340】
C46H52Cl2OsiZr x 0.6C7H8についての計算値:C,69.59;H,6.61。実測値:C,69.74;H,6.68。
【0341】
1H NMR(CDCl3):δ7.47(s,1H),7.40(s,1H),7.37~7.03(m,4H),6.95(s,2H),6.71(s,1H),6.55(s,1H),3.43(s,3H),3.03~2.96(m,2H),2.96~2.87(m,1H),2.87~2.76(m,1H),2.34及び2.33(2s,合計12H),2.19及び2.18(2s,合計6H),2.06~1.94(m,2H),1.38(s,9H),1.28(s,3H),1.27(s,3H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ159.73,144.59,143.99,143.00,138.26,137.84,137.59,136.80,135.35,133.85,133.63,132.95,132.52,128.90,128.80,127.40,126.95,126.87,126.65,122.89,121.61,121.53,120.82,117.98,81.77,81.31,62.62,35.73,33.20,32.12,30.37,26.49,21.47,21.38,18.40,18.26,2.64,2.54。
【0342】
シン-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド
【0343】
C46H52Cl2OSiZrについての計算値:C,68.11;H,6.46。実測値:C,68.37;H,6.65。
【0344】
1H NMR(CDCl3):δ7.51(s,1H),7.39(s,1H),7.36~6.99(m,4H),6.95(s,2H),6.60(s,1H),6.44(s,1H),3.27(s,3H),2.91~2.75(m,4H),2.38及び2.34(2s,合計18H),1.99~1.87(m,1H),1.87~1.74(m,1H),1.42(s,3H),1.36(s,9H),1.19(s,3H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ158.74,143.41,142.84,142.31,138.30,137.77,137.55,136.85,135.87,135.73,134.99,134.75,131.64,128.83,128.76,127.97,127.32,126.82,126.22,123.91,121.35,121.02,120.85,118.56,83.47,83.08,62.32,35.53,33.33,31.96,30.33,26.53,21.45(2つの共鳴),18.56,18.43,2.93,2.65。
【0345】
メタロセンMC-IE1(本発明)2-メチル-[4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]クロロジメチルシランの合成
【0346】
【0347】
-50℃に冷やされた300mlのエーテル中の22.3g(73.73mmol)の4-(4-tert-ブチルフェニル)-6-メチル-1,2,3,5-テトラヒドロ-s-インダセンの溶液に、ヘキサン中のnBuLi(2.43M,30.4ml,73.87mmol)が一度に添加された。結果として得られた混合物が一晩、室温で撹拌され、次に、このようにして得られた、大量の沈殿物を含む懸濁物が-78℃に冷やされ(ここで、該沈殿物は実質的に溶解して橙色の溶液を形成した)、そして47.6g(369ミリモル,5当量)のジクロロジジメチルシランが一度に加えられた。得られた溶液が一晩、室温で撹拌され、次に、ガラスフリット(G4)を通じて濾過された。濾過物が蒸発乾固されて、無色のガラスとして、28.49g(98%)の-メチル-[4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]クロロジメチルシランを与え、それは更なる精製無しに使用された。
【0348】
1H NMR(CDCl3):δ7.50~7.45(m,2H),7.36(s,1H),7.35~7.32(m,2H),6.60(s,1H),3.60(s,1H),3.10~2.82(m,4H),2.24(s,3H),2.08(quin,J=7.3Hz,2H),1.42(s,9H),0.48(s,3H),0.22(s,3H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ149.27,144.41,142.15,141.41,139.94,139.83,136.85,130.19,129.07,126.88,124.86,118.67,49.76,34.55,33.27,32.32,31.44,26.00,17.6。
【0349】
[2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル][2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジメチルシラン
【0350】
【0351】
-50℃に冷やされた150mlのエーテル中の8.12g(23.3mmol)の2-メチル-5-tert-ブチル-7-(4-tert-ブチルフェニル)-6-メトキシ-1H-インデンの溶液に、ヘキサン中のnBuLi(2.43M,9.6ml,23.33mmol)が一度に添加された。混合物が一晩、室温で撹拌され、次に、このようにして得られた黄色の懸濁物が-50℃に冷やされ、そして150mgのCuCNが加えられた。得られた混合物が、0.5時間、-25℃で撹拌され、次に、100mlのエーテルと50mlのTHFとの混合物中の9.2g(23.29mmol)の[2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]クロロジメチルシランの溶液が一度に添加された。この混合物が一晩、室温で撹拌され、次に、シリカゲル60(40~63μm)のパッドを通じて濾過された。沈殿物をさらに、2×50mlのジクロロメタンで洗われた。一緒にされた濾過物が減圧下で蒸発され、そして残渣が、真空下、高められた温度で乾燥された。この手順は、黄色がかったガラスとして、16.6g(約100%)の[2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル][2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジメチルシラン(NMRスペクトル分析による約95%純度,およそ1:1の立体異性体の混合物)を与え、それは追加の精製無しに次の工程において使用された。
【0352】
1H NMR(CDCl3):δ7.50(s,0.5H),7.48~7.41(m,6H),7.37~7.33(m,2.5H),7.26(s,0.5H),7.22(s,0.5H),6.57及び6.50(2s,合計2H),3.71,3.69,3.67及び3.65(4s,合計2H),3.23及び3.22(2s,合計3H),3.03~2.80(m,4H),2.20,2.16及び2.14(3s,合計6H),2.08~1.99(m,2H),1.43及び1.41(2s,合計9H),1.39(s,18H),-0.19,-0.20,-0.21及び-0.23(4s,合計6H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ155.49,155.46,149.41,149.14,149.11,147.48,147.44,146.01,145.77,143.95,143.91,143.76,143.71,142.14,142.10,139.52,139.42,139.34,139.29,139.20,139.16,137.10,137.05,137.03,135.20,130.05,130.03,129.73,129.11,127.25,127.22,126.20,126.13,125.98,125.94,125.05,124.82,120.59,120.52,118.51,118.26,60.51,60.48,47.31,46.89,46.72,35.14,34.55,33.34,33.28,32.30,31.47,31.45,31.24,31.19,26.02,25.99,17.95,17.86。
【0353】
アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル][2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ハフニウムジクロリド
【0354】
【0355】
-50℃に冷やされた250mlのエーテル中の16.6g(23.3mol)の[2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル][2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジメチルシラン(上記で調製された)の溶液に、ヘキサン中のnBuLi(2.43M,19.2ml,46.7mmol)が一度に添加された。この混合物が一晩、室温で撹拌され、次に、このようにして得られたチェリーレッドの溶液が-60℃に冷やされ、そして7.46g(23.29mmol)のHfCl4が加えられた。反応混合物が24時間、室温で撹拌されて、橙色の懸濁物を与えた。この懸濁物はガラスフリット(G4)を通じて濾過され、そして沈殿物が30mlのエーテルで洗われた。NMR分光法の証拠によると、この沈殿物は純粋なアンチ-ハフノセンジクロリド(及びLiCl)であり、一方濾過物は、他の幾つかの不純物で汚染された、シン-及びアンチ-ハフノセンジクロリドの混合物を77/23の比率(シン-に有利)で含んでいた。該沈殿物が、100mlの熱トルエン中に溶解され、形成された懸濁物がガラスフリット(G4)を通じてLiClから濾過された。該濾過物が蒸発されて約20mlにされ、そして40mlのn-ヘキサンが加えられた。室温で沈殿された黄色の固体が濾別され(G3)、15mlの冷n-ヘキサンで洗われ、そして次に、真空で乾燥された。この手順は、4.70g(21%)の純粋なアンチ錯体を与えた。母液を約15mlに蒸発され、そして40mlのn-ヘキサンが加えられた。形成された黄色の沈殿物が濾別され(G3)、そして次に、真空下で乾燥された。この手順は、3.60g(16%)の、(G3)シン-及びアンチ-ハフノセンの約4/1の混合物(シン-に有利)を与えた。従って、この合成で分離されたアンチ-及びシン-ハフノセンの総収量は8.3g(37%)であった。
【0356】
アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル][2-メチル-4-(4-tert-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ハフニウムジクロリド
【0357】
C50H60Cl2HfOSiについての計算値:C,62.92;H,6.34。実測値:C,63.11;H,6.58。
【0358】
1H NMR(CDCl3):δ7.59~7.36(m,10H),6.65(s,1H),6.52(s,1H),3.35(s,3H),3.15~2.91(m,3H),2.91~2.79(m,1H),2.27(s,6H),2.10~1.88(m,2H),1.38(s,9H),1.33(s,18H),1.28(2s,6H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ159.75,150.01,149.82,144.36,143.58,143.04,135.53,133.86,133.07,132.80,132.26,131.87,131.20,129.23,128.74,126.52,125.34,125.10,121.31,120.85,119.82,119.47,117.81,82.78,82.20,62.56,35.68,34.58,33.13,32.12,31.37,30.36,26.67,18.26,18.15,2.63,2.55。
【0359】
メタロセンMC-IE2の合成(本発明)
【0360】
[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル]クロロジメチルシラン
【0361】
【0362】
-50℃に冷やされた300mlのエーテル中の19.66g(61.35mmol)の2-メチル-5-tert-ブチル-6-メトキシ-7-(3,5-ジメチルフェニル)-1H-インデンの溶液に、ヘキサン中のnBuLi(2.43M,25.2ml,61.24mmol)が一度に添加された。結果として得られた混合物が4時間、室温で撹拌され、次に、得られた黄色の懸濁物が-60℃に冷やされ、そして40.0ml(42.8g,331.6mmol,5.4当量)のジクロロジメチルシランが一度に添加された。得られた溶液が一晩、室温で撹拌され、そして次に、ガラスフリット(G3)を通じて濾過された。濾過物が蒸発乾固されて、わずかに黄色がかった油として[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル]クロロジメチルシランを与え、それは更なる精製無しに使用された。
【0363】
1H NMR(CDCl3):δ7.38(s,1H),7.08(s,2H),6.98(s,1H),6.43(s,1H),3.53(s,1H),3.25(s,3H),2.37(s,6H),2.19(s,3H),1.43(s,9H),0.43(s,3H),0.17(s,3H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ155.78,145.88,143.73,137.98,137.56,137.49,136.74,128.32,127.86,127.55,126.64,120.86,60.46,49.99,35.15,31.16,21.41,17.55,1.11,-0.58。
【0364】
[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジメチルシラン
【0365】
【0366】
-50℃に冷やされた、300mlのエーテル及び40mlのTHFの混合物中の16.83g(61.33mmol)の4-(3,5-ジメチルフェニル)-6-メチル-1,2,3,5-テトラヒドロ-s-インダセンの溶液に、ヘキサン中のnBuLi(2.43M,25.2ml,61.24mmol)が一度に添加された。この混合物は、一晩、室温で撹拌され、次に、結果として得られた赤みがかった溶液が-50℃に冷やされ、そして150mgのCuCNが添加された。得られた混合物は、0.5時間、-25℃で撹拌され、次に、150mlのエーテル中の[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル]クロロジメチルシラン(上記で調製された,約61.24mmol)の溶液が一度に添加された。この混合物は、一晩、室温で撹拌され、次に、シリカゲル60(40~63μm)のパッドを通じて濾過され、それは2x50mlのジクロロメタンによってさらに洗われた。一緒にされた濾過物が減圧下で蒸発され、そして残渣が、高められた温度で真空下で感応された。この手順は、赤みがかったガラスとして、39.22g(98%)の[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジメチルシラン(約3:2の立体異性体の混合物)を与えた。
【0367】
1H NMR(CDCl3):δ7.48及び7.33(2s,合計1H),7.26~7.18(m,1H),7.16~7.07(m,2H),7.04~6.95(m,4H),6.51及び6.45(2s,合計2H),3.69及び3.65(2s,合計2H),3.28及び3.26(2s,合計3H),3.01~2.74(m,4H),2.38ad2.37(2s,合計12H),2.20及び2.15(2s,合計6H),2.09~1.97(m,2H),1.43及び1.42(2s,合計9H),-0.17,-0.18,-0.19及び-0.24(4s,合計6H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ155.29,147.45,147.39,145.99,145.75,143.93,143.90,143.72,143.69,142.06,142.01,140.08,140.06,139.46,139.37,139.26,139.03,139.00,138.24,137.50,137.34,137.07,136.99,130.39,128.23,128.14,127.92,127.50,127.46,127.26,126.12,126.05,125.99,125.94,120.55,120.51,118.46,118.27,60.49,47.33,46.86,46.76,35.14,33.33,33.28,32.18,31.26,31.21,25.95,25.91,21.44,17.96,17.88,-5.27,-5.39,-5.50,-5.82。
【0368】
アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ハフニウムジクロリド
【0369】
【0370】
-50℃に冷やされた400mlのエーテル中の39.22g(60.25mmol)の[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチル-1H-インデン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジメチルシラン(上記で調製された)の溶液に、ヘキサン中のnBuLi(2.43M,49.6ml,120.5mmol)が一度に添加された。この混合物は、一晩、室温で撹拌された。次に、結果として得られた赤色の溶液が-78℃に冷やされ、そして19.3g(60.26mmol)のHfCl4が添加された。反応混合物は24時間、室温で撹拌されて、橙色の沈殿物を与えた。該沈殿物は(G4)で濾別され、次に、30mlの冷エーテルで洗われた。NMR分光法の証拠によると、この沈殿物は純粋なシン-ハフノセンジクロリド(及びLiCl)であり、一方濾過物は、他の幾つかの不純物で汚染された、アンチ-及びシン-ハフノセンジクロリドの約4/1の混合物(アンチ-に有利)を含んでいた。この沈殿物は150mlの温トルエン中に溶解され、そして形成された懸濁物が濾過されて、ガラスフリット(G4)を通じてLiClを除去した。濾過物が、約45mlに蒸発された。一晩、室温で沈殿された橙色の固体物体が濾別され(G3)、そして次に、真空で乾燥された。この手順は、8.1g(15%)の純粋なシン-錯体を与えた。母液がほぼ乾固するまで蒸発され、そして残渣が20mlのn-ヘキサンで潰されて、橙色の粉末として、2.6g(4.8%)のシン-ハフノセンジクロリドを与えた。母液が約60mlに蒸発され、沈殿された黄色粉末が濾別され(G4)、20mlの冷エーテル(0℃)で洗われ、そして次に、真空下で乾燥された。この手順は、10.2g(19%)の純粋なアンチ-ハフノセンジクロリドを与えた。従って、この合成において分離されたアンチ-及びシン-ハフノセンジクロリドの総収率は、20.9g(39%)であった。
【0371】
アンチ-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ハフニウムジクロリド:
【0372】
C46H52Cl2OSiHfについての計算値:C,61.50;H,5.83。実測値:C,61.38;H,6.15。
【0373】
1H NMR(CDCl3):δ7.51(s,1H),7.43(s,1H),7.34~7.02(br.m,4H),6.94(s,2H),6.61(s,1H),6.46(s,1H),3.42(s,3H),3.11~2.79(m,4H),2.33(s,6H),2.32(s,6H),2.27(s,6H),2.07~1.92(m,2H),1.38(s,9H),1.27(s,3H),1.26(s,3H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ159.55,144.17,143.58,142.84,138.38,137.82,137.57,136.94,133.09,132.67,132.40,132.11,131.23,128.84,128.76,127.40,126.88,126.53,124.97,121.28,120.84,119.76,119.71,117.90,82.92,82.40,62.62,35.68,33.11,32.07,30.43,26.56,21.46,21.38,18.26,18.12,2.63,2.53。
【0374】
シン-ジメチルシランジイル[2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メトキシ-6-tert-ブチルインデン-1-イル][2-メチル-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ハフニウムジクロリド:
【0375】
C46H52Cl2OSiHfについての計算値:C,61.50;H,5.83。実測値:C,61.59;H,6.06。
【0376】
1H NMR(CDCl3):δ7.53(s,1H),7.41(s,1H),7.29~7.06(m,4H),6.94(s,2H),6.50(s,1H),6.35(s,1H),3.26(s,3H),2.95~2.77(m,4H),2.49(s,3H),2.46(s,3H),2.33(2s,合計12H),1.99~1.86(m,1H),1.86~1.73(m,1H),1.40(s,3H),1.37(s,9H),1.18(s,3H)。
13C{1H} NMR(CDCl3):δ158.61,143.03,142.46,142.16,138.42,137.73,137.52,136.98,135.33,134.60,133.69,132.53,131.19,128.79,128.71,127.34,126.85,126.00,125.76,121.95,121.45,119.12,118.91,118.55,84.66,84.26,62.31,35.48,33.25,31.94,30.40,26.60,21.44,18.44,18.31,2.93,2.61。
【0377】
本実施例において使用されているメタロセン例のまとめ
【0378】
【0379】
触媒の調製 実施例
【0380】
物質
【0381】
上記された、本発明のメタロセンMC-IE1及びMC-IE2、並びに上記された比較例のメタロセンMC-CE1及びMC-CE2が、触媒を調製する際に使用された。
【0382】
MAOが、トルエン中の30重量%溶液として用いられた。トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Boulder Chemicals)が購入したままで使用された。界面活性剤として、Cytonix corporationから購入され且つ活性化モレキュラーシーブを介して乾燥され(2回)、そして使用前にアルゴンバブリングにより脱気(S1)されたパーフルオロアルキルエチルアクリレートエステル(CAS番号 65605-70-1)、又はUnimatecから購入され且つ活性化モレキュラーシーブを介して乾燥され(2回)、そして使用前にアルゴンバブリングにより脱気(S2)された1H,1H-パーフルオロ(2-メチル-3-オキサヘキサン-1-オール)(CAS 26537-88-2)が使用された。ヘキサデカフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン(PFC)(CAS番号 335-27-3)が商業的供給元から入手され、活性化モレキュラーシーブを介して乾燥され(2回)、そして使用前にアルゴンバブリングにより脱気された。プロピレンがBorealisによって提供され且つ使用前に適切に精製された。トリエチルアルミニウムがCromptonから購入され、且つ純粋な形で使用された。水素がAGAによって提供され、使用前に精製された。
【0383】
全ての化学物質及び化学反応は、オーブンで乾燥させたガラス製品、注射器、針又はカニューレを使用して、シュレンク(Schlenk)及びグローブボックスの技術を使用して不活性ガス雰囲気下で処理された。
【0384】
触媒実施例CE1(比較例)
【0385】
グローブボックス内で、85.9mgの乾燥され且つ脱気された界面活性剤S2がセプタムボトル中で2mLのMAOと混合され、そして一晩反応させる為に放置された。次の日、43.9mgのMC-CE1(0,076mmol,1当量)が別のセプタムボトル中で4mLのMAO溶液で溶解され、そしてグローブボックス内で放置され、撹拌された。
【0386】
60分後、4mLのMAO-メタロセン溶液及び1mLの界面活性剤溶液が、-10℃で、40mLのPFCを含み且つオーバーヘッドスターラー(撹拌速度=600rpm)を備えられた50mLの乳化ガラス反応器内に連続的に加えられた。MAOの総量は、5mL(450当量)である。赤色のエマルジョンが直ちに形成され、そして15分間、0℃、600rpmで撹拌された。次に、該エマルジョンが、2/4テフロン(登録商標)チューブを介して100mLの90℃の温PFCに移され、該移しが完了するまで600rpmで撹拌され、次に、該速度が300rpmに下げられた。15分間撹拌後、油浴が取り除かれ、そして撹拌機の電源が切られた。触媒がPFCの上部に落ち着くまで放置され、そして45分後に、溶媒が吸い出された。残りの赤色の触媒が、2時間、50℃で、アルゴンの気流を介して乾燥された。0.62gの赤色の自由流動性粉末が得られた。
【0387】
触媒実施例CE2(比較例)
【0388】
グローブボックス内で、界面活性剤S2溶液(0.2mLのトルエン中の、乾燥され且つ脱ガスされた28.8mgのS2希釈物)が、5mLの30重量%のChemtura MAOに滴下された。該溶液は10分間撹拌したままであった。次に、98.7mgのメタロセンMC-CE1が、MAO/界面活性剤に添加された。60分間撹拌後、104.9mgのトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが添加された。
【0389】
60分の撹拌後、界面活性剤MAO-メタロセン-ボレート溶液が、-10℃で、40mLのPFCを含み且つオーバーヘッドスターラー(撹拌速度=600rpm)を備えられた50mLの乳化ガラス反応器内に加えられた。赤色のエマルジョンが直ちに形成され、そして15分間、-10℃/600rpmで撹拌された。次に、該エマルジョンが、2/4テフロン(登録商標)チューブを介して100mLの90℃の温PFCに移され、該移しが完了するまで600rpmで撹拌された。次に、該速度が300rpmに下げられた。15分間撹拌後、油浴が取り除かれ、そして撹拌機の電源が切られた。触媒がPFCの上部に落ち着くまで放置され、そして35分後に、溶媒が吸い出された。残りの触媒が、2時間、50℃で、アルゴンの気流を介して乾燥された。0.90gの赤色の自由流動性粉末が得られた。
【0390】
触媒実施例CE3(比較例,B-助触媒なし)
【0391】
グローブボックス内で、界面活性剤S2溶液(0.2mLのトルエン中の、乾燥され且つ脱ガスされた28.8mgのS2希釈物)が、5mLの30重量%のChemtura MAOに滴下された。該溶液は10分間撹拌したままであった。次に、48.3 mgのメタロセンMC-CE1が、MAO/界面活性剤に添加された。
【0392】
60分の撹拌後、界面活性剤MAO-メタロセン溶液が、-10℃で、40mLのPFCを含み且つオーバーヘッドスターラー(撹拌速度=600rpm)を備えられた50mLの乳化ガラス反応器内に加えられた。黄色のエマルジョンが直ちに形成され、そして15分間、-10℃/600rpmで撹拌された。次に、該エマルジョンが、2/4テフロン(登録商標)チューブを介して100mLの90℃の温PFCに移され、該移しが完了するまで600rpmで撹拌された。次に、該速度が300rpmに下げられた。15分間撹拌後、油浴が取り除かれ、そして撹拌機の電源が切られた。触媒がPFCの上部に落ち着くまで放置され、そして35分後に、溶媒が吸い出された。残りの触媒が、2時間、50℃で、アルゴンの気流を介して乾燥された。0.80gの黄色の自由流動性粉末が得られた。
【0393】
触媒実施例IE1(本発明)
【0394】
グローブボックス内で、界面活性剤S2溶液(0.2mLのトルエン中の、乾燥され且つ脱ガスされた28.8mgのS2希釈物)が、5mLの30重量%のChemtura MAOに滴下された。該溶液は10分間撹拌したままであった。次に、108.7mgのメタロセンMC-CE1が、MAO/界面活性剤に添加された。60分間撹拌後、106.0mgのトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが添加された。混合物が、該グローブボックス内で、室温で、60分間反応された。
【0395】
次に、界面活性剤-MAO-メタロセン-ボレート溶液が、-10℃で、40mLのPFCを含み且つオーバーヘッドスターラー(撹拌速度=600rpm)を備えられた50mLの乳化ガラス反応器に加えられた。黄色のエマルジョンが直ちに形成され、そして15分間、-10℃/600rpmで撹拌された。次に、該エマルジョンが、2/4テフロンチューブを介して100mLの90℃の温PFCに移され、該移しが完了するまで600rpmで攪拌された。次に、該速度が300rpmに下げられた。15分間撹拌後、油浴が取り除かれ、そして撹拌機の電源が切られた。触媒がPFCの上部に落ち着くまで放置され、そして35分後に、溶媒が吸い出された。残りの触媒が、2時間、50℃で、アルゴンの気流を介して乾燥された。0.75gの黄色の自由流動性粉末が得られた。
【0396】
触媒実施例CE4(比較例)
【0397】
グローブボックス内で、86.8mgの乾燥され且つ脱気されたS2がセプタムボトル中で2mLの30重量%のChemtura MAOと混合され、そして一晩反応させる為に放置された。次の日、41.1mgのメタロセンMC-CE2(0,051mmol,1当量)が別のセプタムボトル中で4mLの30重量%のChemtura MAO溶液で溶解され、そして該グローブボックス内で放置された。
【0398】
60分後、1mLの界面活性剤溶液及び4mLのMAO-メタロセン溶液が、-10℃で、40mLのPFCを含み且つオーバーヘッドスターラー(撹拌速度=600rpm)を備えられた50mLの乳化ガラス反応器に連続的に加えられた。MAOの総量は、5mL(300当量)である。赤色のエマルジョンが直ちに形成され、そして15分間、-10℃、600rpmで撹拌された。次に、該エマルジョンが、2/4テフロン(登録商標)チューブを介して100mLの90℃の温PFCに移され、そして該移しが完了するまで600rpmで撹拌され、そして次に、該速度が300rpmに下げられた。15分間撹拌後、油浴が取り除かれ、そして撹拌機の電源が切られた。触媒がPFCの上部に落ち着くまで放置され、そして35分後に、溶媒が吸い出された。残りの赤色の触媒が、2時間、50℃で、アルゴンの気流を介して乾燥された。0.54gの赤色の自由流動性粉末が得られた。
【0399】
触媒実施例CE5(比較例)
【0400】
グローブボックス内で、界面活性剤S2溶液(0.2mLのトルエン中の、乾燥され且つ脱ガスされた28.8mgのS2希釈物)が、5mLの30重量%のChemtura MAOに滴下された。該溶液は10分間撹拌したままであった。次に、92.3mgのメタロセンMC-CE2が、MAO/界面活性剤に添加された。60分間撹拌後、106mgのトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが添加された。
【0401】
60分後、界面活性剤MAO-メタロセン-ボレート溶液が、-10℃で、40mLのPFCを含み且つオーバーヘッドスターラー(撹拌速度=600rpm)を備えらえた50mLの乳化ガラス反応器に加えられた。赤色のエマルジョンが直ちに形成され、そして15分間、-10℃/600rpmで撹拌された。次に、該エマルジョンが、2/4テフロン(登録商標)チューブを介して100mLの90℃の温PFCに移され、そして該移しが完了するまで600rpmで撹拌された。次に、該速度が300rpmに下げられた。15分間撹拌後、油浴が取り除かれ、そして撹拌機の電源が切られた。触媒がPFCの上部に落ち着くまで放置され、そして35分後に、溶媒が吸い出された。残りの触媒が、2時間、50℃で、アルゴンの気流を介して乾燥された。0.6gの赤色の自由流動性粉末が得られた。
【0402】
触媒実施例IE2(本発明)
【0403】
グローブボックス内で、界面活性剤S2溶液(0.2mLのトルエン中の、乾燥され且つ脱ガスされた28.8mgのS2希釈物)が、5mLの30重量%のChemtura MAOに滴下された。該溶液は10分間撹拌したままであった。次に、102,23のメタロセンMC-IE2が、MAO/界面活性剤に添加された。60分間撹拌後、104.9のトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが添加された。混合物が、該グローブボックス内で、室温で、60分間反応された。
【0404】
次に、界面活性剤-MAO-メタロセン-ボレート溶液が、-10℃で、40mLのPFCを含み且つオーバーヘッドスターラー(撹拌速度=600rpm)を備えられた50mLの乳化ガラス反応器に加えられた。黄色のエマルジョンが直ちに形成され、そして15分間、-10℃/600rpmで撹拌された。次に、該エマルジョンが、2/4テフロンチューブを介して100mLの90℃の温PFCに移され、該移しが完了するまで600rpmで攪拌された。次に、該速度が300rpmに下げられた。15分間撹拌後、油浴が取り除かれ、そして撹拌機の電源が切られた。触媒がPFCの上部に落ち着くまで放置され、そして35分後に、溶媒が吸い出された。残りの触媒が、2時間、50℃で、アルゴンの気流を介して乾燥された。0.67gの黄色の自由流動性粉末が得られた。
【0405】
触媒の結果が、表1に開示されている。
【0406】
【0407】
実施例CE4、CE5及びIE2の触媒のオフライン予備重合(Off-line pre-polymerisation)
【0408】
実施例CE4、CE5及びIE2の触媒は、下記の手順に従って予備重合された:オフライン予備重合実験は、ガス供給ライン及びオーバーヘッドスターラーを備えられた125mLの圧力反応器内で行われた。乾燥され且つ脱ガスされたパーフルオロ-1.3-ジメチルシクロヘキサン(15cm3)及び予備重合されるべき所望の量の触媒がグローブボックス内の該反応器内にロードされ、そして反応器が密閉された。次に、該反応器がグローブボックスから取り出され、そして25℃で維持された水冷浴内に入れられた。該オーバーヘッドスターラー及び供給ラインが接続され、そして撹拌速度が450rpmに設定された。該実験は、該反応器内へのプロピレン供給を開くことによって開始された。該反応器内の全圧が約5バーgに上げられ、且つ目標の重合度が達成されるまでプロピレン供給が質量流量コントローラーを介して一定に保たれた。該反応は、揮発性成分をフラッシュすることによって停止された。グローブボックス内で、該反応器が開かれ、そして内容物がガラス容器内に注がれた。パーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサンは、一定の重量が得られるまで蒸発されて、オフラインで予備重合された触媒を得た。
【0409】
該オフラインで予備重合された触媒は、pCE4、pCE5及びpIE2としてマーク付され、そしてそれらの予備重合化度(DP:pre-polymerisation degrees)が表2において開示されている。
【0410】
予備重合化度(DP)は、オフライン予備重合ステップ前のポリマーマトリックスの重量/固体触媒の重量として定義される。
【0411】
該触媒の組成(オフライン予備重合前)は、ICPによって決定されることができる。該オフラインの予備重合触媒のメタロセン(MC)含有量は、ICPデータから下記の通りに計算されることができる。
【0412】
【0413】
【0414】
【0415】
【0416】
【0417】
重合実施例
【0418】
プロピレンの単独重合
【0419】
該重合は、5Lの反応器において実行された。200μlのトリエチルアルミニウム(TEA)が、5mLの乾燥され且つ脱気されたペンタンにおけるスカベンジャーとして供給された。次に、所望量の水素がロードされ(1mmol)、そして1100gの液体プロピレンが反応器内に供給された。温度が20℃に設定された。5mLのPFC中の所望の量の触媒(5~15mg)が窒素過圧で反応器にフラッシュされる。5分間の予備重合の後、温度が15分間にわたって70℃に上昇された。該重合が、ポリマーが集められる前に、反応器をベントし、そして窒素を流すことによって60分後に停止された。
【0420】
触媒活性が、下記の式に従って、60分間(プロピレンの単独重合)の期間に基づいて計算された。
【0421】
【0422】
重合結果が、表3に開示されている。重合の実施例が、P-Cen/P-Ienとしてマーク付されている。
【0423】
【0424】
単独重合の結果からわかる通り、本発明の触媒は、メタロセン錯体の類似の配位子構造を有し、しかし金属としてZrを有する又はHfを有し、しかしホウ素助触媒を使用することのない比較例と比較して、明らかにより高いTmを有する。さらに、活性は、本発明の例においてより高いレベルにある。
【0425】
プロピレンのエチレンとの共重合
【0426】
工程1:予備重合及びバルク単独重合
0.4バールgのプロピレンを含む21.2Lのステンレス鋼反応器が、3950gのプロピレンで満たされた。トリエチルアルミニウムが、追加の240gのプロピレンによって該反応器内に注入された。該溶液が、少なくとも20分間、20℃で、且つ250rpmで撹拌された。触媒が、下記に記載された通りに注入された。所望量の固体の、オフライン予備重合された触媒が、グルーブボックス内の5mlのステンレス鋼バイアル内にロードされ、4mlのn-ヘプタンを含み且つ10バールの窒素で加圧された5mlの第2のバイアルが第1のバイアル内の上部に追加された。この触媒供給システムは、オートクレーブの上部のポート上に取り付けられた。実験P-pCE5及びP-pIE2-2において、直後に2NLのH2がマスフローコントローラーを介して1分間で投与された。2つのバイアル間のバルブが開かれ、そして固体触媒が窒素圧下で、2秒間、n-ヘプタンと接触され、240gのプロピレンで該反応器内に流し込まれた。予備重合が10分間実行された。予備重合工程の終了時に、温度が80℃に上昇された。内部の反応器温度が71℃に達した場合に、1.5NL(手順1及び2)又は2.0NL(手順3)のH2がマスフローコントローラーを介して3分で追加された。反応器の温度が、重合を通じて80℃で一定に保たれた。重合時間が、内部の反応器温度が設定された重合温度よりも2℃低くなった場合に開始して測定された。
【0427】
工程2:気相単独重合
バルク工程が完了した後、撹拌速度が50rpmに低下され、そして圧力がモノマーをベントすることによって23バールgに低下された。その後、撹拌速度が180rpmに、且つ反応器温度が80℃に、且つ圧力が24バールgに設定された。2.0NLの水素がフローコントローラーを介して4分で加えられた。気相単独重合の間、圧力及び温度の両方が、40分間、マスフローコントローラー(プロピレン供給)及びサーモスタットを介して一定に保たれていた。
【0428】
工程3:気相エチレン-プロピレン共重合
気相単独重合工程(工程2)が完了した後、撹拌速度が50rpmに低下され、そして圧力がモノマーをベントすることによって0.3バールgに低下された。次に、トリエチルアルミニウム(ヘプタン中の0.80mlの0.62mol/l溶液)が、スチールバイアルを通じて、追加の250gのプロピレンによって該反応器内に注入された(但し、TEAがこの工程で追加されなかった実験P-pIE2-2を除く)。次に、圧力がモノマーをベントすることによって0.3バールgに低下された。撹拌速度が180rpmに設定され、そして反応器温度が70℃に設定された(実験P-pIE2-2において85℃)。次に、該反応器圧力が、C3/C2ガス混合物(C2/C3=2.22重量/重量)を供給することによって20バールgに上げられた。この工程の為の設定時間が終了するまで、温度がサーモスタットによって一定にされ、且つ圧力が、目標のポリマー組成物に対応する組成物のC3/C2ガス混合物をマスフローコントローラーを介して供給することによって一定に保たれた。
【0429】
次に、該反応器が約30℃に冷やされ、そして揮発性成分が排出された。N2そして1回の真空/N2のサイクルの3回で反応器をパージした後、生成物が取り出され、そしてドラフト内で一晩乾燥された。100gのポリマーが、0.5重量%のIrganox B225(アセトン中の溶液)で添加され(additivated)、そしてフード内で一晩乾燥され、引き続き、60℃の真空乾燥オーブンで1時間乾燥された。
【0430】
共重合条件が表4に示されており、且つ共重合結果が表5に示されている。
【0431】
【0432】
【0433】
表5は、触媒pIE2が、Zr類似体と比較して、より高いTmを有する異相コポリマーであって、より高分子量(iVEPR/dL/gによって示される)を有するゴム相を有する該異相コポリマーを生成することを示す。加えて、高いiV(EPR)がまた、85℃という高い重合温度で得られることができる。
【0434】
P-pIE2-1及びP-pCE5からの物質は、210℃の溶融温度且つ2kg/時間のスループットを用いて、TSE16においてそれぞれ1500ppmのB225及び500ppmのステアリン酸カルシウムと混ぜ合わされた。混ぜ合わされた後の製品は、IE1-prod(P-pIE2-1ベース用)及びCE2-prod(P-pCE5ベース用)と名付けられた。特性が表6にリストされている。
【0435】
見てわかるように、IE1は0℃と-20℃でより高い曲げ弾性率と衝撃強度とを与える。
【0436】