(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】チアジアジン誘導体
(51)【国際特許分類】
A61K 31/549 20060101AFI20240220BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240220BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20240220BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240220BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20240220BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240220BHJP
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A61P 15/10 20060101ALI20240220BHJP
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A61P 29/00 20060101ALI20240220BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240220BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240220BHJP
C07D 285/16 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61K31/549
A61K45/00
A61P1/14
A61P3/10
A61P9/04
A61P9/12
A61P11/00
A61P11/06
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A61P15/00
A61P15/10
A61P17/06
A61P19/02
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/08
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/28
A61P25/32
A61P25/34
A61P25/36
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P37/08
A61P43/00 111
C07D285/16 CSP
(21)【出願番号】P 2021500540
(86)(22)【出願日】2019-07-12
(86)【国際出願番号】 IB2019055949
(87)【国際公開番号】W WO2020012423
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-07-11
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HU
(73)【特許権者】
【識別番号】310008859
【氏名又は名称】リヒター ゲデオン ニュイルヴァーノシャン ミューコェデー レースヴェーニュタールシャシャーグ
【氏名又は名称原語表記】Richter Gedeon Nyrt.
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】レドネツキ、イシュトバーン
(72)【発明者】
【氏名】エーレシュ、ヤーノシュ
(72)【発明者】
【氏名】タポルツァーニ、パール
(72)【発明者】
【氏名】ジャブロンカイ、エルセーベト
(72)【発明者】
【氏名】ガーボル、エステル
(72)【発明者】
【氏名】ビシェグラーディ、アンドラーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ネーメシー、ジョルト
(72)【発明者】
【氏名】レーバイ ジェルジ、イシュトバーン
(72)【発明者】
【氏名】ペトロ、ヨージェフ レベンテ
(72)【発明者】
【氏名】セレーニ、ジェルジ
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-511436(JP,A)
【文献】DATABASE REGISTRY on STN,RN 1015883-88-1 REGISTRY Entered STN: 20 Apr 2008 他6化合物
【文献】DATABASE REGISTRY on STN,RN 902878-05-1 REGISTRY Entered STN: 21 Aug 2006
【文献】DATABASE REGISTRY on STN,RN 902878-27-7 REGISTRY Entered STN: 21 Aug 2006
【文献】DATABASE REGISTRY on STN,RN 902878-29-9 REGISTRY Entered STN: 21 Aug 2006
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/549
A61K 45/00
A61P 1/14
A61P 3/10
A61P 9/04
A61P 9/12
A61P 11/00
A61P 11/06
A61P 11/10
A61P 15/00
A61P 15/10
A61P 17/06
A61P 19/02
A61P 25/00
A61P 25/04
A61P 25/08
A61P 25/14
A61P 25/16
A61P 25/22
A61P 25/24
A61P 25/28
A61P 25/32
A61P 25/34
A61P 25/36
A61P 29/00
A61P 37/08
A61P 43/00
C07D 285/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物:
【化1】
[式中
Aは、場合により、1つまたは複数のハロゲン原子、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシまたはハロC
1~6アルキルで置換されていてもよい、飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリル、または、飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルであり;
Bは、場合により、1つまたは複数のハロゲン原子、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、ハロC
1~6アルキル、CN、C(O)C
1~6アルキルまたはハロC
1~6アルコキシで置換されていてもよい、飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリル、または、飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルであり;
R
1は、C
1~6アルキル、C
1~6アルケニル、ハロC
1~6アルキル、C
3~8シクロアルキルC
1~6アルキル、C
1~6アルコキシC
1~6アルキルまたはC
4~6ヘテロシクリルである]、
またはその薬学的に許容される塩、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、もしくは水和物
を含んでなる、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防における使用のための医薬組成物。
【請求項2】
前記式(I)中、
Aは、場合により置換されていてもよい、飽和、不飽和もしくは芳香族の、4~9員環の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリル、または場合により置換されていてもよい、窒素および酸素の群から選択される1~3個のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、4~9員環の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルであり;
Bは、場合により置換されていてもよい、飽和、不飽和もしくは芳香族の、4~9員環の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリル、または場合により置換されていてもよい、窒素および酸素の群から選択される1~3個のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、4~9員環の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルであり;
R
1は、C
1~6アルキル、C
1~6アルケニル、ハロC
1~6アルキル、C
3~8シクロアルキルC
1~6アルキル、C
1~6アルコキシC
1~6アルキルまたはC
4~6ヘテロシクリルである、
請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項3】
前記式(I)中、
Aは、場合により置換されていてもよい、シクロペンテニル、シクロヘキシル、フェニル、シクロヘプチル、ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、またはインダゾリルであり;
Bは、場合により置換されていてもよい、フェニル、ピリジル、ピラジル、ピラジニル、ピリミジニル、ベンゾジオキソリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリニル、またはピラゾロ[1,5-a]ピリジニルであり;
R
1は、CH
3、C
2H
5、nPr、iPr、nBu、secBu、アリル、-CH
2-CF
3、-CH
2-cBu、-CH
2-cPr、-C
2H
5-O-CH
3、またはテトラヒドロフリルである、
請求項1または2のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項4】
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-2-メチル-N-(3-メチルフェニル)-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(1,3-ジメチル-1H-インダゾール-5-イル)-2-メチル-N-(3-メチルフェニル)-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-2-エチル-N-(3-メチルフェニル)-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-2-エチル-1,1-ジオキソ-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
2-エチル-5-[4-メトキシ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-N-(3-メトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
2-エチル-5-[4-メトキシ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-N-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
2-エチル-1,1-ジオキソ-5-[(1r,4r)-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
N-(6-シアノピリジン-2-イル)-2-エチル-1,1-ジオキソ-5-[(1r,4r)-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2-(プロパン-2-イル)-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2-プロピル-N-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2-プロピル-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-[4-メトキシ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジオキソ-2-プロピル-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,1-ジオキソ-2-プロピル-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2-プロピル-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
2-(シクロプロピルメチル)-1,1-ジオキソ-5-[(1r,4r)-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2-(プロパ-2-エン-1-イル)-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-N-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2-プロピル-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-N-(3-メチルフェニル)-1,1-ジオキソ-2-プロピル-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-[4-メトキシ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジオキソ-2-プロピル-N-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-N-(6-フルオロピリジン-2-イル)-1,1-ジオキソ-2-(プロパン-2-イル)-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
N-(6-フルオロピリジン-2-イル)-1,1-ジオキソ-2-(プロパン-2-イル)-5-[(1r,4r)-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
2-(シクロプロピルメチル)-N-(6-フルオロピラジン-2-イル)-1,1-ジオキソ-5-[(1r,4r)-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
2-[(2R)-ブタン-2-イル]-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
2-エチル-5-[4-メトキシ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジオキソ-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
1,1-ジオキソ-2-(プロパン-2-イル)-5-[(1r,4r)-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]-N-[6-(トリフルオロメチル)ピラジン-2-イル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
2-(シクロプロピルメチル)-5-(4,4-ジフルオロシクロヘキシル)-1,1-ジオキソ-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
2-(シクロプロピルメチル)-1,1-ジオキソ-5-[(1r,4r)-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]-N-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
から選択され
る化合物、またはその薬学的に許容される塩、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、もしくは水和物。
【請求項5】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防における使用のための、請求
項4に記載の化合物を含んでなる、医薬組成物。
【請求項6】
前記疾患が、精神病性障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、一般的な医学的疾患に起因する精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、または特定不能の精神病性障害、認識機能障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、卒中の結果としての認識機能障害、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、HIV関連認知症、前頭側頭認知症、レヴィー小体認知症、血管性認知症、脳血管障害、または他の認知症状態および他の変性疾患に関連する認知症、例えば、下記に限定されるわけではないが、筋委縮性側索硬化症、認知機能低下を引き起こし得る他の急性または亜急性の状態、例えば、下記に限定されるわけではないが、譫妄、外傷性脳損傷、老人性痴呆、軽度認識機能障害、ダウン症候群、鬱病および他の疾患に関連する認知障害および運動障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、パーキンソン病、神経抑制薬誘発性パーキンソン症候群、または遅発性ジスキネジア、欝病および気分障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、鬱病性障害およびエピソード、双極性障害、気分循環性障害、および特定不能の双極性障害、他の気分障害、物質誘発性気分障害、および特定不能の気分障害、不安障害、パニック障害および不安発作、強迫性障害、心的外傷後ストレス症候群、急性ストレス障害、全般性不安障害、一般的な医学的疾患に起因する不安障害、物質誘発性不安障害、恐怖症、および特定不能の不安障害、物質関連障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、物質使用または物質誘発性障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、アルコール関連障害、ニコチン関連障害、アンフェタミン関連障害、フェンサイクリジン関連障害、オピオイド関連障害、大麻関連障害、コカイン関連障害、カフェイン関連障害、幻覚発現物質関連障害、吸入剤関連障害、鎮静剤関連障害、催眠関連障害、抗不安薬関連障害、多剤関連障害、または他の物質関連障害、睡眠障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、睡眠発作、睡眠異常、原発性過眠症、呼吸関連睡眠障害、概日リズム睡眠障害、および特定不能の睡眠異常、睡眠時随伴症、睡眠時驚愕症障害、夢遊病、および特定不能の睡眠時随伴症、別の精神病に関連する睡眠障害、一般的な医学的疾患に起因する睡眠障害、および物質誘発性睡眠障害、代謝障害および摂食障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、神経性無食欲症、神経性大食症、肥満、強迫摂食障害、過食性障害、および特定不能の摂食障害、糖尿病、潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸管症候群、自閉症スペクトラム症、例えば、下記に限定されるわけではないが、自閉症障害、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害、および特定不能の広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害、破壊的行動障害、反抗的行為障害、および特定不能の破壊的行動障害、チック障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、トゥレット病、人格障害、性機能不全、例えば、性欲障害、性的刺激障害、オルガスム障害、性的疼痛障害、特定不能の性機能不全、性欲倒錯、性同一性障害、不育症、月経前症候群、および特定不能な性的障害、呼吸系の障害、例えば、咳、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎症、心臓系の障害、例えば、心不全、心臓性不整脈、高血圧、炎症、起炎性疼痛および神経因性疼痛、関節リウマチ、変形性関節症、アレルギー、サルコイドージス、乾癬、失調症、ジストニア、全身性エリテマトーデス、躁病、下肢静止不能症候群、進行性核上麻痺、てんかん、ミオクローヌス、片頭痛、健忘症、慢性疲労症候群、脱力発作、脳虚血、多発性硬化症、脳脊髄炎、ジェット機病、脳アミロイド血管症、および敗血症からなる群から選択される、請求項
1~3、5
のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記疾患が、認識機能障害、統合失調症、および自閉症の群から選択される、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防のための医薬品の製造のための、請求
項4に記載の化合物の使用。
【請求項9】
前記疾患が、精神病性障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、一般的な医学的疾患に起因する精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、または特定不能の精神病性障害、認識機能障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、卒中の結果としての認識機能障害、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、HIV関連認知症、前頭側頭認知症、レヴィー小体認知症、血管性認知症、脳血管障害、または他の認知症状態および他の変性疾患に関連する認知症、例えば、下記に限定されるわけではないが、筋委縮性側索硬化症、認知機能低下を引き起こし得る他の急性または亜急性の状態、例えば、下記に限定されるわけではないが、譫妄、外傷性脳損傷、老人性痴呆、軽度認識機能障害、ダウン症候群、鬱病および他の疾患に関連する認知障害および運動障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、パーキンソン病、神経抑制薬誘発性パーキンソン症候群、または遅発性ジスキネジア、欝病および気分障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、鬱病性障害およびエピソード、双極性障害、気分循環性障害、および特定不能の双極性障害、他の気分障害、物質誘発性気分障害、および特定不能の気分障害、不安障害、パニック障害および不安発作、強迫性障害、心的外傷後ストレス症候群、急性ストレス障害、全般性不安障害、一般的な医学的疾患に起因する不安障害、物質誘発性不安障害、恐怖症、および特定不能の不安障害、物質関連障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、物質使用または物質誘発性障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、アルコール関連障害、ニコチン関連障害、アンフェタミン関連障害、フェンサイクリジン関連障害、オピオイド関連障害、大麻関連障害、コカイン関連障害、カフェイン関連障害、幻覚発現物質関連障害、吸入剤関連障害、鎮静剤関連障害、催眠関連障害、抗不安薬関連障害、多剤関連障害、または他の物質関連障害、睡眠障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、睡眠発作、睡眠異常、原発性過眠症、呼吸関連睡眠障害、概日リズム睡眠障害、および特定不能の睡眠異常、睡眠時随伴症、睡眠時驚愕症障害、夢遊病、および特定不能の睡眠時随伴症、別の精神病に関連する睡眠障害、一般的な医学的疾患に起因する睡眠障害、および物質誘発性睡眠障害、代謝障害および摂食障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、神経性無食欲症、神経性大食症、肥満、強迫摂食障害、過食性障害、および特定不能の摂食障害、糖尿病、潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸管症候群、自閉症スペクトラム症、例えば、下記に限定されるわけではないが、自閉症障害、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害、および特定不能の広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害、破壊的行動障害、反抗的行為障害、および特定不能の破壊的行動障害、チック障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、トゥレット病、人格障害、性機能不全、例えば、性欲障害、性的刺激障害、オルガスム障害、性的疼痛障害、特定不能の性機能不全、性欲倒錯、性同一性障害、不育症、月経前症候群、および特定不能な性的障害、呼吸系の障害、例えば、咳、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎症、心臓系の障害、例えば、心不全、心臓性不整脈、高血圧、炎症、起炎性疼痛および神経因性疼痛、関節リウマチ、変形性関節症、アレルギー、サルコイドージス、乾癬、失調症、ジストニア、全身性エリテマトーデス、躁病、下肢静止不能症候群、進行性核上麻痺、てんかん、ミオクローヌス、片頭痛、健忘症、慢性疲労症候群、脱力発作、脳虚血、多発性硬化症、脳脊髄炎、ジェット機病、脳アミロイド血管症、および敗血症からなる群から選択される、請求項8に記載の化合物の使用。
【請求項10】
前記疾患が、認識機能障害、統合失調症、および自閉症の群から選択される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
少なくとも1種の他の有効成分をさらに含む、請求項
1~3、5~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記他の有効成分が、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体アンタゴニスト、β-セクレターゼ阻害剤、抗精神病薬、GABA
A受容体α5サブユニットNAMまたはPAM、ヒスタミンH
3受容体アンタゴニスト、5-HT
6受容体アンタゴニスト、M1またはM4mAChRアゴニストまたはPAM、mGluR2アンタゴニストまたはNAMまたはPAM、およびレボドパの群から選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患
の治療または予防における使用のための、請求
項4に記載の化合物と少なくとも1種の他の有効成分との組み合わせ物。
【請求項14】
前記他の有効成分が、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体アンタゴニスト、β-セクレターゼ阻害剤、抗精神病薬、GABA
A受容体α5サブユニットNAMまたはPAM、ヒスタミンH
3受容体アンタゴニスト、5-HT
6受容体アンタゴニスト、M1またはM4mAChRアゴニストまたはPAM、mGluR2アンタゴニストまたはNAMまたはPAM、およびレボドパの群から選択される、請求項13に記載の組み合わせ物。
【請求項15】
請求項
1~3、5~7のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、少なくとも1種の他の有効成分とともに投与される、医薬組成物。
【請求項16】
前記他の有効成分が、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体アンタゴニスト、β-セクレターゼ阻害剤、抗精神病薬、GABA
A受容体α5サブユニットNAMまたはPAM、ヒスタミンH
3受容体アンタゴニスト、5-HT
6受容体アンタゴニスト、M1またはM4mAChRアゴニストまたはPAM、mGluR2アンタゴニストまたはNAMまたはPAM、およびレボドパの群から選択される、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
請求項1に記載の式(I)の化合物を製造するための方法であって、
下記式(IIA)または式(IIb):
【化2】
[式中、Aの意味は、飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリルであるか、または飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルである]
を、メチルリチウムと反応させるか、あるいは
下記式(IIc)の化合物:
【化3】
[式中、Aの意味は、1つまたは複数のC
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、ハロC
1~6アルキルで置換されていてもよい、芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリル、または芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルである]
を、トリブチル(1-エトキシビニル)スズと反応させるか、あるいは
下記式(IId)の化合物:
【化4】
[式中、Aの意味は、場合により、1つまたは複数のC
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、ハロC
1~6アルキル、ハロゲンで置換されていてもよい、芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリルまたは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルである]
を、塩化アセチルと反応させ、
下記式(III)のケトン誘導体:
【化5】
[式中、Aの意味は、式(I)に関し既に説明されているとおりである]
を得て、
それを、シュウ酸ジエチルと反応させ、下記式(IV)の2,4-ジオキソエステル誘導体:
【化6】
[式中、Aの意味は、式(I)に関し既に説明されているとおりである]
を得て、
それを、スルファミドと反応させ、得られた式(V)の1,1-ジオキソ-1,3-チアジアジンカルボン酸エステル誘導体:
【化7】
[式中、Aの意味は、式(I)に関し既に説明されているとおりである]
を、下記の異なる方法:
経路A)
式(V)の化合物を、アルキル化して、式(VI)のN-アルキルチアジアジン誘導体:
【化8】
[式中、AおよびR
1の意味は、式(I)に関し既に説明されているとおりである通りである]
を得て、
それを加水分解して、式(VII)のカルボン酸誘導体:
【化9】
[式中、AおよびR
1の意味は、式(I)に関し既に説明されているとおりである通りである]
を得て、
それを、適切なアミン(B-NH
2)[式中、Bの意味は、式(I)に関し既に説明されているとおりである通りである]とカップリングさせ、式(I)の所望のアミドを得る、経路;
または
経路B)
式(V)のエステル誘導体を、加水分解し、式(VIII)のカルボン酸誘導体:
【化10】
[式中、Aの意味は、前記式(I)に関し既に説明されているとおりである通りである]
を得て、
次いで、それを、一つの工程において、N,O-ジアルキル化し、対応する式(X)のエステル化合物:
【化11】
[式中、AおよびR
1の意味は、前記式(I)に関し既に説明されているとおりである通りである]
を得て、
・ それを、加水分解して、式(VII)の誘導体:
【化12】
[式中、AおよびR
1の意味は、式(I)に関し既に説明されているとおりである通りである]
を得て、
次いで、適切なアミン(B-NH
2)と反応させて、式(I)の標的アミド誘導体:
【化13】
を得るか、または
・ 式(X)の化合物:
【化14】
[式中、AおよびR
1の意味は、前記式(I)に関し既に説明されているとおりである通りである]
を、適切なアミン(B-NH
2)と反応させ、式(I)のアミド誘導体に直接的に変換させる、経路;
により、式(I)の所望の最終生成物に変換させることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬理学的に活性なチアジアジン化合物、またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物、さらにそれらを含有する医薬組成物、さらに哺乳動物対象におけるα7ニコチン性アセチルコリン受容体活性の調節薬としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アセチルコリン(ACh)は、コリン作用性受容体に結合することによって、哺乳動物の中枢神経系(CNS)において神経伝達物質としてその機能を発揮する。哺乳動物のCNSは、ムスカリンおよびニコチンのアゴニスト活性に基づいて、それぞれ、2つの支配的なタイプのACh受容体:ムスカリン性受容体(mAChR)およびニコチン性受容体(nAChR)、を含む。ニコチン性アセチルコリン受容体は、5つのサブユニットで構成されたリガンド-ゲート型イオンチャンネルである(Purves et al. Neuroscience 4th ed. (2008) 122-126)。ニコチン性受容体のサブユニットは、多重遺伝子ファミリーに属し、そのアミノ酸配列に基づいて、2つのグループ、すなわち、αサブユニットを含有するグループと、βサブユニットを含有する別のグループとに分けられる。異なるサブユニットの組み合わせによる五量体アセンブリは、様々な薬理特性を有する多くの受容体サブタイプを生じる。最も広く発現するサブタイプのアセンブリとしては、筋肉タイプ((α1)2β1δε)、神経球タイプ((α3)2(β4)3)、およびCNSタイプ(α4)2(β2)3または(α7)5)nAChRサブタイプが挙げられる(Le Novere N et al. Journal of Molecular Evolution 40 (1995) 155-172)。α7サブユニットは、単独で発現した場合、機能的受容体を形成することが分かっており、したがって、ホモオリゴマー性五量体受容体を形成すると推定される。
【0003】
nAChRイオンチャンネルの活性化は、主に、従来のアゴニスト結合性部位におけるリガンドの結合によって制御されるが、ネガティブアロステリック調節因子またはポジティブアロステリック調節因子(NAMおよびPAM)のいずれかによっても調整される。当該nAChRのアロステリック転移状態モデルは、少なくとも、静止状態(resting state)、活性化状態、そして受容体をアゴニストに対して無反応にするプロセスである、「脱感作された」閉じたチャンネル状態を伴う。異なるnAChRリガンドは、それらが優先的に結合する受容体の立体配置的状態を安定化することができる。例えば、アゴニストAChおよび(-)-ニコチンは、それぞれ、活性化状態および脱感作状態を安定化する。ニコチン性受容体の活性の変化は、多くの疾患に関係している。ニコチン性受容体の減少は、アルツハイマー病および統合失調症などの疾患に見られる認知障害を媒介すると考えられてきた。タバコからのニコチンの影響も、ニコチン性受容体によって媒介され、そして、ニコチンの影響は、脱感作状態の受容体を安定化することであるため、ニコチン性受容体の活性の増加は、喫煙欲を減少させ得る。
【0004】
しかしながら、同じ部位においてAChとして作用するニコチン性受容体アゴニストによる治療は問題が多く、というのも、AChは、受容体を活性化するたけではなく、脱感作および非競合的遮断を含むプロセスによって受容体活性を阻害するためである。その上、長期の活性化は、長期間持続する不活性化を引き起こすように思われる。したがって、AChのアゴニストは、慢性投与において有効性を失うと予想することができる。
【0005】
α7nAChRは、他のサブタイプと比較してその速い活性化速度およびCa2+に対する高い透過性によって特徴づけられ(Delbono et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. 280 (1997) 428-438)、その一方で、オルソステリック部位でのアゴニストに対する曝露後に急速な脱感作も示す(Castro et al. Neurosci. Lett. 164 (1993) 137-140; Couturier et al. Neuron 5 (1990) 847-856)。近年、様々なα7選択的アゴニストおよび部分的アゴニストの開発が行われてきたにもかかわらず、それらの臨床的有効性は、アゴニスト活性化の後に生じるそれらの受容体遮断(脱感作)に起因して、最適以下であることが分かった。この問題は、PAMによる治療によって克服され得、これは、内因性アゴニストによって媒介されるα7nAChR活性化を高める。α7nAChRのポジティブ調節は、様々な前臨床モデルにおいて認知機能に対する効果を有することが示されている (Thomsen et al. Curr Pharm Des 16 (2010) 323-343; Lendvai et al. Brain Res Bull 93 (2013) 86-96)。
【0006】
本発明の化合物は、α7nAChRのポジティブアロステリック調節によって媒介されるかまたはそれに関連する疾患および状態、例えば、下記に限定されるわけではないが、精神病性障害、例えば、統合失調症(Deutsch SI et al. Schizophr Res 148 (2013) 138-144)、統合失調症様障害(Rowe AR et al. J Psychopharmacol 29 (2015) 197-211)、統合失調性感情障害(Martin LF et al. Am J Med Genet B Neuropsychiatr Genet 144B (2007) 611-614)、妄想性障害(Carson R et al. Neuromolecular Med 10 (2008) 377-384)、短期精神病性障害、一般的な医学的疾患に起因する精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、または特定不能の精神病性障害など、認識機能障害、例えば、認識機能の減失、ならびに、卒中、アルツハイマー病(Lewis AS et al. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry 75 (2017) 45-53)、ハンチントン病(Foucault-FruchardL et al. Neural Regen Res 13 (2018) 737-741)、ピック病(Feher A et al. Dement Geriatr Cogn Disord 28 (2009) 56-62)、HIV関連認知症(Capo-Velez CM et al. Sci Rep 8 (2018) 1829)、前頭側頭認知症(Minami SS et al. Biochem Pharmacol 97 (2015) 454-462)、レヴィー小体認知症(Perry EK et al. Neuroscience 64 (1995) 385-395)、血管性認知症(Putignano S et al. Clin Interv Aging 7 (2012) 113-118)、脳血管障害(Si ML and Lee TJF Circ Res 91 (2002) 62-69) 、または他の認知症状態の結果としての認識機能障害、ならびに、他の変性障害に関連する認知症(筋萎縮性側索硬化症(Kawamata et al. Ther Adv Chronic Dis 2 (2011) 197-208)など)、認知機能低下を引き起こし得る他の急性または亜急性の状態、例えば、譫妄(Sfera A et al. Front Med 2 (2015) 56)、外傷性脳損傷(Shin SS et al. Neural Regen Res 10 (2015) 1552-1554),、老人性痴呆(Whitehouse PJ et et al. Science 215 (1982) 1237-1239)、軽度認識機能障害(Ikonomovic MD et al. Arch Neurol 66 (2009) 646-651)、ダウン症候群(Deutsch SI et al. Clin Neuropharmacol 26 (2003) 277-283)、鬱病および他の疾患に関連する認知障害および運動障害(Parameswaran N et al. Soc Neurosci Abstr (2007))、例えば、パーキンソン病(Quik M et al. Biochem Pharmacol 97 (2015) 399-407)など、ならびに神経抑制薬誘発性パーキンソン症候群、または晩発性運動異常(Terry AV and Gearhart DA Eur J Pharmacol 571 (2007) 29-32)など、欝病および気分障害、例えば、鬱病性障害およびエピソード(Philip NS et al. Psychopharmacology 212 (2010) 1-12)、双極性障害(Leonard S and Freedman R. Biol Psychiatry 60 (2006) 115-122)、気分循環性障害(Ancin I et al. J Affect Disord 133 (2011) 340-345)、および特定不能の双極性障害、他の気分障害(Shytle RD et al. Depression and Anxiety 16 (2002) 89-92)、物質誘発性気分障害、および特定不能の気分障害、不安障害(Picciotto MR et al. Neuropharmacology 96 (2015) 235-243)、パニック障害および不安発作(Zvolensky MJ et al. Clin Psychol Rev 25 (2005) 761-789)、強迫性障害(Tizabi Y et al. Biol Psychiatry 51 (2002) 164-171)、心的外傷後ストレス症候群(Sun R et al. Neuroscience 344 (2017) 243-254),急性ストレス障害(Mineur YS et al. Neuropsychopharmacology 41 (2015) 1579-1587)、全般性不安障害(Cocores JA Prim Care Companion J Clin Psychiatry 10 (2008) 253-254)、一般的な医学的疾患に起因する不安障害、物質誘発性不安障害、恐怖症、および特定不能の不安障害など、物質関連障害、例えば、物質使用または物質誘発性障害、例えば、アルコール関連障害(de Fiebre NC and de Fiebre CM Alcohol 31 (2003) 149-153; Diaper AM et al. Br J Clin Pharmacol 77 (2014) 302-314) 、ニコチン関連障害(Leslie FM et al. Mol Pharmacol 83 (2013) 753-758)、アンフェタミン関連障害(Pubill D et al. Pharmaceuticals 4 (2011) 822-847)、フェンサイクリジン関連障害(Thomsen MS et al. Neuropharmacology 56 (2009) 1001-1009)、オピオイド関連障害(Zhang W, Int J Clin Exp Med 8 (2015) 1871-1879)、大麻関連障害(Solinas M et al. J Neurosci 27 (2007) 5615-5620)、コカイン関連障害(Francis MM et al. Mol Pharmacol 60 (2001) 71-79)、カフェイン関連障害、幻覚発現物質関連障害、吸入剤関連障害、鎮静剤関連障害、催眠関連障害、抗不安薬関連障害、多剤関連障害、または他の物質関連障害など、睡眠障害(McNamara JP et al. Psychol Health Med 19 (2014) 410-419)、例えば、睡眠発作(Krahn et al J Clin Sleep Med 5 (2009) 390)、睡眠異常、原発性過眠症、呼吸関連睡眠障害、概日リズム睡眠障害、および特定不能の睡眠異常、錯睡眠、睡眠時驚愕症障害、夢遊病、および特定不能の睡眠時随伴症など、別の精神病に関連する睡眠障害、(別の精神病に関連する不眠症および別の精神病に関連する過剰睡眠を含む)、一般的な医学的疾患に起因する睡眠障害、および物質誘発性睡眠障害など、代謝障害および摂食障害(Somm E Arch Immunol Ther Exp 62 (2014) 62: 87-101)、例えば、神経性無食欲症(Cuesto G et al. J Neurogenet 31 (2017)266-287)、神経性大食症、肥満(Lakhan SE and Kirchgessner A J Transl Med 9 (2011) 129-139)、強迫摂食障害、過食性障害、および特定不能の摂食障害、糖尿病(Marrero MB et al. J Pharmacol Exp Ther 332 (2010) 173-180)、潰瘍性大腸炎(Salaga et al. JPET 356 (2016) 157-169)、クローン病(Bencherif M et al. Cell Mol Life Sci 68 (2011) 931-949)、過敏性腸管症候群(Keszthelyi D et al. Neurogastroenterol Motil 21 (2009) 1239-1249)など、自閉症スペクトラム症(Deutsch et al. Clin Neuropharmacol 33 (2010) 114-120)、例えば、自閉症障害、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害、および特定不能の広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害(Wilens TE and Decker MW Biochem Pharmacol 74 (2007) 1212-1223)、破壊的行動障害、反抗的行為障害、および特定不能の破壊的行動障害など、ならびにチック障害、例えば、トゥレット病(Gotti C and Clementi F Prog Neurobiol 74 (2004) 363-396)、人格障害(Kamens HM et al. Behav Genet 46 (2016) 693-704)など、性機能不全、例えば、性欲障害、性的刺激障害、オルガスム障害、性的疼痛障害、特定不能の性機能不全、性欲倒錯、性同一性障害、不育症(Bray C et al. Biol Reprod 73 (2005) 807-814)、月経前症候群(Gundisch D and Eibl C Expert Opin Ther Pat 21 (2011) 1867-1896)、および特定不能な性的障害など、呼吸器系の障害、例えば、咳(Canning BJ Am J Respir Crit Care Med 195 (2017) A4498)、喘息(Santana FPR et al. Eur Respir J 48 (2016) PA5066)、慢性閉塞性肺疾患(Maouche K et al. Proc Natl Acad Sci USA 110 (2013) 4099-4104)、肺炎症(Enioutina EY et al. PLoS One 10 (2015) e0121128)など、心臓系の障害、例えば、心不全(Mai XK et al. J Immunol 200 (2018) 108.11)、心臓性不整脈(Mazloom R et al. PLoS One 8 (2013) e82251)、および高血圧(Chen JK et al. BMC Cardiovasc Disord 12 (2012) 38)など、の治療にとって有用であり得る。
【0007】
本発明の化合物は、炎症、炎症痛および神経因性疼痛(Alsharari SD et al. Biochem Pharmacol 86 (2013) 1201-1207)、関節リウマチ(van Maanen MA et al. Arthritis & Rheumatism 60 (2009) 1272-1281)、変形性関節症(Lee SE Neurosci Lett 548 (2013) 291-295)、アレルギー(Yamamoto T et al. PLoS One 9 (2014) e85888)、サルコイドージス(Nicotine Treatment for Pulmonary Sarcoidosis: A Clinical Trial Pilot Study Elliott Crouser MD, Principal Investigator, Ohio State University ClinicalTrials.gov Identifier: NCT02265874)、乾癬(Westman M et al. Scand J Immunol 70 (2009) 136-140)、失調症(Taslim N et al. Behav Brain Res 217 (2011) 282-292)、ジストニア(Zimmerman CN et al. Front Syst Neurosci 11 (2017) 43)、全身性エリテマトーデス(Fairley AS and Mathis KW Physiol Rep 5 (2017) e13213)、躁病(Janowsky DS et al. Lancet 2 (1972) 632-635)、下肢静止不能症候群(Buchfuhrer MJ Neurotherapeutics 9 (2012) 776-790),、進行性核上麻痺(Warren NM et al. Brain 128 (2005) 239-245)、てんかん(Bertrand D Epilepsy Curr 2 (2002) 191-193)、ミオクローヌス(Leppik IE Epilepsia 44 (2003) 2-6)、片頭痛(Liu Q et al. J Pain Res 11 (2018) 1129-1140)、健忘症(Bali Zs K et al. Front Cell Neurosci 11 (2017) 271),、慢性疲労症候群(Shan ZY et al. J Magn Reson Imaging 44 (2016) 1301-1311),、脱力発作(Ebben MR and Krieger AC J Clin Sleep Med 8 (2012) 195-196),、脳虚血(Han Z et al. J Neurochem 131 (2014) 498-508)、多発性硬化症(Di Bari M et al. Cent Nerv Syst Agents Med Chem 17 (2017) 109-115)、脳脊髄炎(Hao J et al. Exp Neurol 227 (2011): 110-119)、時差症候群(Shi M et al. eLife 3 (2014) e01473)、脳アミロイド血管症(Clifford PM et al. Brain Res 1234 (2008) 158-171)、敗血症(Ren C et al. Int J Biol Sci 14 (2018) 748-759)、の治療にとって、ならびに、概して、α7nAChRのポジティブアロステリック調節に関係する全てのタイプの疾患および障害の治療において、有用である。
【0008】
その上、これらの化合物は、他の治療薬、例えば、下記に限定されるわけではないが、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ガランタミン、リバスチグミン、ドネペジル、タクリン、フェンセリン、ラドスチギル、およびABT-089など);NMDA受容体アゴニストまたはアンタゴニスト(例えば、メマンチン、ネラメキサン、EVT101、およびAZD4282など);抗アミロイド抗体、例えば、抗アミロイドヒト化モノクローナル抗体(例えば、バピネオズマブ、ACCOOl、CAD106、AZD3102、H12A11V1など);β-セクレターゼ阻害剤(例えば、ベルべセスタット、AZD3293など)またはγ-セクレターゼ阻害剤(例えば、LY450139およびTAK070など)、または調節剤;タウリン酸化阻害剤;ApoE4立体配置調節剤;p25/CDK5阻害剤;NK1/NK3受容体アンタゴニスト;COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、406381、および644784など);LRRK2阻害剤;HMG-CoA-レダクターゼ阻害剤;NSAID(例えば、イブプロフェンなど);ビタミンE;グリシン輸送阻害剤;グリシン部位アンタゴニスト(例えば、ラコサミドなど);LXRβアゴニスト;アンドロゲン受容体調節薬;Αβオリゴマー形成の遮断薬;NR2Bアンタゴニスト、抗炎症性化合物(例えば、(R)-フルルビプロフェン、ニトロフルルビプロフェン、ND-1251、VP-025、HT-0712、およびEHT-202など);PPARγアゴニスト(例えば、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンなど);CB1受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニスト(例えば、AVE1625など);CB-2アゴニスト(例えば、842166およびSAB378など);VR-1アンタゴニスト(例えば、AMG517、705498、782443、PAC20030、VI14380、およびA425619など);ブラジキニンBl受容体アンタゴニスト(例えば、SSR240612およびNVPSAA164など);ナトリウムチャネル遮断薬およびアンタゴニスト(例えば、VX409およびSPI860など);NOS阻害剤(例えば、SD6010および274150など);抗生物質;成長ホルモン分泌促進因子(例えば、イブタモレン、イブタモレンメシラート、およびカプロモレリンなど);カリウムチャンネル開口薬;AMPAアゴニストまたはAMPA調節薬(例えば、CX-717、LY451395、LY404187、およびS-18986など);GSK3阻止剤(例えば、AZD1080、SAR502250、およびCEP16805など);ニューロン性ニコチンアンタゴニスト;MARKリガンド;M1またはM4mAChRアゴニストまたはPAM;mGluR2アンタゴニストまたはNAMまたはPAM;mGluR5アンタゴニスト(例えば、AZD9272など);α-アドレナリン作用性アゴニスト;ADAM-10リガンド;鎮静剤、催眠剤、抗不安薬、抗精神病薬、シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、穏和精神安定薬、メラトニンアゴニストおよびアンタゴニスト、メラトニン作用性薬;オレキシンアンタゴニストおよびアゴニスト;プロキネチシンアゴニストおよびアンタゴニスト;Tタイプカルシウムチャンネルアンタゴニスト;トリアゾロピリジンベンゾジアゼピン、バルビツレート;5-HT1Aアンタゴニスト(例えば、レコゾタンなど);5-HT2アンタゴニスト;5-HT4アゴニスト(例えば、PRX-03140など);5-HT6アンタゴニスト(例えば、GSK742467、SGS-518、FK-962、SL-65.0155、SRA333、およびキサリプロデンなど);ヒスタミンH3受容体アンタゴニストおよびインバースアゴニスト(例えば、S38093、ABT-834、ABT829、GSK189254、およびCEP16795など);PDE4阻害剤(例えば、HT0712など);PDE9阻害剤(例えば、BI40936など);PDE10阻害剤;HDAC阻害剤;KCNQアンタゴニスト;GABAAインバースアゴニスト;GABAシグナル伝達増強剤;GABAアゴニスト、GABAA受容体α5サブユニットNAMまたはPAM、抗精神病薬;MAO-B阻害剤;ドーパミン輸送阻害剤;ノルアドレナリン輸送阻害剤;D2アゴニストおよび部分的アゴニスト;抗コリン薬(例えば、ビペリデンなど);COMT阻害剤(例えば、エンタカポンなど);A2aアデノシン受容体アンタゴニスト;コリン作用性アゴニスト;フェノチアジン由来の化合物、チオキサンテン(例えば、クロルプロチキセンおよびチオチキセンなど)、複素環式ジベンザゼピン(例えば、クロザピンなど)、ブチロフェノン(例えば、ハロペリドールなど)、ジフェニルブチルピペリジン(例えば、ピモジドなど)および神経遮断薬のインドロン(例えば、モリンドロンなど)クラス;ロクサピン、スルピリド、およびリスペリドン;レボドパ;カルシウムチャンネル遮断薬(例えば、ジコノチドおよびNMED160など);MMP阻害剤;血栓溶解剤;オピオイド鎮痛薬(例えば、コデイン、フェンタニール、ヒドロモルフォン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、モルフィン、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、プロポキシフェンなど);プラミペキソール;ロピニロール;好中球抑制因子;SSRIまたはSSNRI;三環式抗鬱剤;ノルエピネフリン調節薬;リチウム;バルプロエート;ガバペンチン;プレガバリン;リザトリプタン;ゾルミトリプタン;ナラトリプタン、およびスマトリプタン、あるいは本発明の化合物の有効性、安全性、便利さを高めるか、あるいは望ましくない副作用または毒性を低減する、受容体または酵素に影響を及ぼす他の薬物などと組み合わせることもできる。
【0009】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体の既知のポジティブアロステリック調節薬としては、2-アニリン-4-アリールチアゾール誘導体(国際公開第2007/031440(A2)号、JANSSEN PHARMACEUTICA NV)、アミド誘導体(国際公開第2009/100294(A2)号、ABBOT LAB.)、三置換1,2,4-トリアゾール(国際公開第2009/115547(A1)号、JANSSEN PHARMACEUTICA NV)、インドール誘導体(国際公開第2009/127678(A1)号、GLAXO GROUP LTD.および国際公開第2009/127679(A1)号、GLAXO GROUP LTD.)、テトラゾール置換アリールアミド誘導体(国際公開第2009/043780(A1)号、HOFFMANN LA ROCHE)、シクロプロピルアリールアミド誘導体(国際公開第2009/043784(A1)号、HOFFMANN LA ROCHE)、三置換ピラゾール(国際公開第2009/135944(A1)号、JANSSEN PHARMACEUTICA NV)、ピロール誘導体(国際公開第2014/141091(A1)号、LUPIN LTD)、シクロプロピルベンゼン誘導体(国際公開第2017/165256(A1)号、MERCK SHARP&DOHME CORP.)、および置換された二環式ヘテロアリール誘導体(国際公開第2018/085171(A1)号、MERCK SHARP&DOHME CORP.)が挙げられる。
【0010】
本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体のポジティブアロステリック調節を示す化合物の新規のクラスに関する。
【0011】
添付の図面において、一例として本発明の例示的実施形態が例示され、当該図面において、同一の参照番号は、同じまたは同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1の化合物の場所認識試験の結果を示す。新規のアーム[N]対馴染んだアーム[O]において過ごした探索時間が表される)。Scop:スコポラミン(1mg/kg、腹腔内投与)。
+はp<0.05を表し;
++はp<0.01を表し;
+++はp<0.001を表す。
【
図2】実施例21の化合物の場所認識試験の結果を示す。新規のアーム[N]対馴染んだアーム[O]において過ごした探索時間が表される)。Scop:スコポラミン(1mg/kg、腹腔内投与)。
+はp<0.05を表し;
++はp<0.01を表し;
+++はp<0.001を表す。
【
図3】実施例29の化合物の場所認識試験の結果を示す。新規のアーム[N]対馴染んだアーム[O]において過ごした探索時間が表される)。Scop:スコポラミン(1mg/kg、腹腔内投与)。
+はp<0.05を表し;
++はp<0.01を表し;
+++はp<0.001を表す。
【
図4】実施例33の化合物の場所認識試験の結果を示す。新規のアーム[N]対馴染んだアーム[O]において過ごした探索時間が表される)。Scop:スコポラミン(1mg/kg、腹腔内投与)。
+はp<0.05を表し;
++はp<0.01を表し;
+++はp<0.001を表す。
【
図5】実施例37の化合物の場所認識試験の結果を示す。新規のアーム[N]対馴染んだアーム[O]において過ごした探索時間が表される)。Scop:スコポラミン(1mg/kg、腹腔内投与)。
+はp<0.05を表し;
++はp<0.01を表し;
+++はp<0.001を表す。
【
図6】実施例86の化合物の場所認識試験の結果を示す。新規のアーム[N]対馴染んだアーム[O]において過ごした探索時間が表される)。Scop:スコポラミン(1mg/kg、腹腔内投与)。
+はp<0.05を表し;
++はp<0.01を表し;
+++はp<0.001を表す。
【
図7】実施例89の化合物の場所認識試験の結果を示す。新規のアーム[N]対馴染んだアーム[O]において過ごした探索時間が表される)。Scop:スコポラミン(1mg/kg、腹腔内投与)。
+はp<0.05を表し;
++はp<0.01を表し;
+++はp<0.001を表す。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、下記の式(I)の化合物:
【化1】
[式中、
Aは、場合により、1つまたは複数のハロゲン原子、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシまたはハロC
1~6アルキルで置換されていてもよい、飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリル、または飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルであり;
Bは、場合により、1つまたは複数のハロゲン原子、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、ハロC
1~6アルキル、CN、C(O)C
1~6アルキル、またはハロC
1~6アルコキシで置換されていてもよい、飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリル、または飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルであり;
R
1は、C
1~6アルキル、C
1~6アルケニル、ハロC
1~6アルキル、C
3~8シクロアルキルC
1~6アルキル、C
1~6アルコキシC
1~6アルキルまたはC
4~6ヘテロシクリルである]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、もしくは水和物
に関する。
【0014】
さらなる態様において、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防における使用のための、上記において定義される式(I)の化合物を提供する。
【0015】
さらなる態様において、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防のための医薬品の製造のための、上記において定義される式(I)の化合物の使用を提供する。
【0016】
さらなる態様において、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防のための方法であって、そのような治療または予防を必要とする哺乳動物に、有効量の、上記において定義される式(I)の少なくとも一種の化合物を投与する工程を含む方法を提供する。
【0017】
さらなる態様において、上記において定義される式(I)の化合物は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防のために使用される他の化合物と組み合わせて投与することができる。
【0018】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物の製造のための方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、下記の式(I)の化合物:
【化2】
[式中
Aは、場合により、1つまたは複数のハロゲン原子、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシまたはハロC
1~6アルキルで置換されていてもよい、飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリル、または飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルであり;
Bは、場合により、1つまたは複数のハロゲン原子、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、ハロC
1~6アルキル、CN、C(O)C
1~6アルキル、またはハロC
1~6アルコキシで置換されていてもよい、飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリル、または飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルであり;
R
1は、C
1~6アルキル、C
1~6アルケニル、ハロC
1~6アルキル、C
3~8シクロアルキルC
1~6アルキル、C
1~6アルコキシC
1~6アルキルまたはC
4~6ヘテロシクリルである]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、もしくは水和物
に関する。
【0020】
用語「飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリル」は、単独の、または他の基との組み合わせにおける、3個から10個の炭素環原子を含む、一価の単環式もしくは二環式の、縮合もしくは橋掛けされた、飽和、一不飽和、もしくは二不飽和、または芳香族環系を意味する。飽和炭素環は、3個から10個の炭素環原子を含む、一価の単環式もしくは二環式の、縮合もしくは橋掛けされた、飽和炭素環基を包含する。例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、またはアダマンタニルなどが挙げられる。不飽和炭素環は、4個から10個の炭素環原子を含む、一価の単環式もしくは二環式の、縮合もしくは橋掛けされた、一不飽和もしくは二不飽和の炭素環基を包含する。例としては、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニルなどが挙げられる。芳香族炭素環は、6個から10個の炭素環原子を含む、一価、単環式、もしくは二環式の芳香族炭素環基を包含する。例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0021】
用語「飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリル」は、単独の、または他の基との組み合わせにおける、3個から12個の環原子を含み、窒素、酸素、または硫黄、好ましくは窒素および酸素から選択される、1つ、2つ、または3つ、または4つの環ヘテロ原子を含む少なくとも1つの環を有する、一価の単環式もしくは二環式の、縮合もしくは橋掛けされた、飽和、一不飽和、もしくは二不飽和、または芳香族環系を意味する。飽和複素環は、3個から12個の環原子を含み、窒素、酸素、または硫黄、好ましくは窒素および酸素、から選択される、1つ、2つ、または3つ、または4つの環ヘテロ原子を含む少なくとも1つの環を有する、一価の単環式もしくは二環式の、縮合もしくは橋掛けされた、飽和複素環基を包含する。例としては、アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル(pirazolidinyl)、イソオキサソリジニル(isoxasolidinyl)、テトラヒドロフリル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、アザアダマンタニルが挙げられる。不飽和複素環は、5個から12個の環原子を含み、窒素、酸素、または硫黄、好ましくは窒素および酸素、から選択される、1つ、2つ、または3つ、または4つの環ヘテロ原子を含む少なくとも1つの環を有する、一価の単環式もしくは二環式の、縮合もしくは橋掛けされた、一不飽和もしくは二不飽和の複素環基を包含する。例としては、ピロリニル、ピラゾリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、ベンゾジオキソリル、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリニルが挙げられる。芳香族複素環は、5個から12個の環原子を含み、窒素、酸素、または硫黄、好ましくは窒素および酸素、から選択される、1つ、2つ、または3つ、または4つの環ヘテロ原子を含む少なくとも1つの環を有する、一価の単環式もしくは二環式の芳香族複素環基を包含する。例としては、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フリル、チオフェニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリダジル、ピリミジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニルが挙げられる。
【0022】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、そのようなものとしてまたは別の基の一部として本明細書において使用される場合、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味する。
【0023】
用語「C1~6アルキル」は、そのようなものとしてまたは別の基の一部として本明細書において使用される場合、1個、2個、3個、4個、5個、または6個の炭素原子を有する、分岐鎖状または直鎖状の飽和炭化水素基を意味し、例として、下記に限定されるわけではないが、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチルが挙げられる。
【0024】
用語「ハロC1~6アルキル」は、本明細書において使用される場合、上記において定義される「C1~6アルキル」を介して親分子部分に結合した、上記において定義される少なくとも一個のハロゲンを意味する。いくつかのハロゲンが存在する場合、当該ハロゲンは、同一または異なり得、ならびに当該ハロゲンは、異なる炭素原子に結合し得、またはいくつかのハロゲンは、同一の炭素原子に結合し得る。ハロC1~6アルキル基としては、下記に限定されるわけではないが、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、および2-クロロエチルが挙げられる。
【0025】
用語「C1~6アルコキシ」は、本明細書において使用される場合、酸素原子を介して親分子部分に結合した、上記において定義されるC1~6アルキルを意味し、例としては、下記に限定されるわけではないが、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、およびtert-ブトキシが挙げられる。
【0026】
用語「ハロC1~6アルコキシ」は、本明細書において使用される場合、上記において定義される「C1~6アルコキシ」基を介して親分子部分に結合した、上記において定義される少なくとも1個のハロゲンを意味する。複数のハロゲンが存在する場合、当該ハロゲンは、同一であってもまたは異なっていてもよく、ならびに当該ハロゲンは、異なる炭素原子に結合してもよく、または複数のハロゲンが、同一の炭素原子に結合してもよい。ハロC1~6アルコキシ基としては、下記に限定されるわけではないが、トリフルオロメトキシル、ジフルオロメトキシル、トリフルオロエトキシルが挙げられる。
【0027】
用語「C1~6アルケニル」は、本明細書において使用される場合、飽和の少なくとも1つの部位、すなわち、炭素-炭素結合、sp二重結合を有する、直鎖状または分岐鎖状の一価の、2個から6個の炭素原子の炭化水素基を意味し、この場合、当該アルケニル基は、「cis」および「trans」配置、あるいは「E」および「Z」配置を有する基を包含する。例としては、下記に限定されるわけではないが、エチルエニル、またはビニル(-CH=CH2)、アリル(-CH2CH=CH2)などが挙げられる。
【0028】
用語「C3~8シクロアルキル」は、それ自体としてまたは別の基の一部として本明細書において使用される場合、シクロプロピル、シクロブチルまたはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルを意味する。
【0029】
用語「C3~8シクロアルキルC1~6アルキル」は、本明細書において使用される場合、上記において定義される「C1~6アルキル」基を介して親分子部分に結合した、上記において定義されるC3~8シクロアルキル基を意味し、例としては、下記に限定されるわけではないが、シクロプロピルメチルおよびシクロブチルメチルが挙げられる。
【0030】
用語「C1~6アルコキシC1~6アルキル」は、本明細書において使用される場合、上記において定義される「C1~6アルキル」を介して親分子部分に結合した、上記において定義されるC1~6アルコキシ基を意味し、例としては、下記に限定されるわけではないが、-C2H5-O-CH3、-CH3-O-C2H5、-CH3-O-CH3、-C2H5-O-C2H5、-C3H7-O-CH3、-CH3-O-C3H7、-C3H7-O-C2H5、-C2H5-O-C3H7が挙げられる。
【0031】
用語「C4~6ヘテロシクリル」は、本明細書において使用される場合、1つから2つの環を形成する4~6個の原子からなり、窒素、酸素、または硫黄から選択される1つ、2つ、または3つ、または4つのヘテロ原子が組み入れられた、場合に置換されていてもよい部分を意味する。ヘテロシクリル部分の例としては、下記に限定されるわけではないが、場合により置換されていてもよい、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼピニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、チアジアゾリリジニル(thiadiazolylidinyl)、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、チアモルホリニルが挙げられる。
【0032】
用語「薬学的に許容される」は、医薬組成物の調製において有用な成分が、概して、安全で、無毒で、生物学的またはそれ以外において望ましくなくはないことを説明するものであり、ならびに、家畜への使用およびヒトへの製薬学的使用に対して許容可能であるものを包含する。
【0033】
用語「水和」は、水と溶質との間の非共有結合を意味する。
【0034】
用語「溶媒和」は、溶媒と溶質との間の非共有結合を意味する。溶媒としては、下記に限定されるわけではないが、エタノール、2-プロパノール、アセトニトリル、およびテトラヒドロフランが挙げられる。
【0035】
「場合による(optional)」または「場合により(optionally)」は、続いて説明される事象または状況が生じ得るが、必ずしも生じるわけではないこと、ならびに当該説明が、当該事象または状況が生じる例または生じない例を包含することを意味する。
【0036】
「場合により置換されていてもよい(optionally substituted)」は、無置換であるかあるいは本明細書において説明される1つまたは複数の置換基で置換されていることを意味する。ここで、「1つまたは複数」は、1から可能な最大数までの置換基を意味し、すなわち、1つの水素の置換から全ての水素の置換までを意味する。所定の原子上の1つ、2つ、または3つの置換基が好ましい。
【0037】
疾患状態の「治療すること」または「治療」は、
a)疾患状態を予防すること、すなわち、当該疾患状態に晒され得るかまたは当該疾患状態となりやすい傾向があり得るがまだ当該疾患状態の症状を経験していないかまたは示していない対象において、当該疾患状態の臨床的症状を発症させないこと、
b)当該疾患状態を阻害すること、すなわち、当該疾患状態またはその臨床的症状の発症を阻むこと、または
c)当該疾患状態を軽減すること、すなわち、当該疾患状態またはその臨床的症状の一時的または永久的寛解を生じさせること
を包含する。
【0038】
用語「薬学的に許容される塩」は、式(I)の化合物の生物学的有効性および特性を維持し、好適な無毒の有機酸もしくは無機酸または有機塩基もしくは無機塩基によって形成することができる、従来の酸付加塩または塩基付加塩を意味する。酸付加塩の例としては、無機酸、例えば、下記に限定されるわけではないが、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸、および過塩素酸など、に由来する塩、ならびに様々な有機酸、例えば、下記に限定されるわけではないが、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、グリコール酸、フェニル酢酸、サリチル酸、マロン酸、マレイン酸、オレイン酸、パモン酸、パルミチン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルタミン酸、フマル酸など、に由来する塩が挙げられる。塩基付加塩の実施例は、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、および第四級水酸化アンモニウム、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウムなど、に由来する塩である。
【0039】
用語「プロドラッグ」は、それ自体は治療効果を有さないが、インビボでの化学的または代謝的分解(生体内変換)の後に、治療効果を担う「生物学的に活性な代謝産物」となるような基を有する、本発明による式(I)の化合物の誘導体を意味する。本発明の式(I)の化合物に関連するそのような分解性基、特にプロドラッグにとって好適な基は、当技術分野において既知であり、ならびに本発明の化合物にも適用され得る(Rautio et al., Nature Reviews - Drug Discovery 2008, 7:255-270)。
【0040】
一実施形態において、本発明は、下記の式(I)の化合物:
[式中、
Aは、場合により、1つまたは複数のハロゲン原子、C1-3アルキル、C1~3アルコキシまたはハロC1~3アルキルで置換されていてもよい、飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリル、または、窒素、酸素、および硫黄の群から選択される1~3個のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルであり;
Bは、場合により、1つまたは複数のハロゲン原子、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、ハロC1~3アルキル、CN、C(O)C1~3アルキルまたはハロC1~3アルコキシで置換されていてもよい、飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリル、または、窒素、酸素、および硫黄の群から選択される1~3個のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルであり;
R1は、C1~4アルキル、C1~3アルケニル、ハロC1-3アルキル、C3~5シクロアルキルC1~3アルキル、C1~3アルコキシC1-3アルキルまたはC4~6ヘテロシクリルである]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物
に関する。
【0041】
一実施形態において、本発明は、下記の式(I)の化合物:
[式中、
Aは、場合により、1つまたは複数のハロゲン原子、C1~6アルキル、C1~6アルコキシまたはハロC1~6アルキルで置換されていてもよい、飽和、不飽和もしくは芳香族の、4~9員環の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリル、または、窒素および酸素の群から選択される1~3個のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、4~9員環の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルであり;
Bは、場合により、1つまたは複数のハロゲン原子、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルキル、CN、C(O)C1~6アルキルまたはハロC1~6アルコキシで置換されていてもよい、飽和、不飽和もしくは芳香族の、4~9員環の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリル、または、窒素および酸素の群から選択される1~3個のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、4~9員環の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルであり;
R1は、C1~6アルキル、C1~6アルケニル、ハロC1~6アルキル、C3~8シクロアルキルC1~6アルキル、C1~6アルコキシC1~6アルキルまたはC4~6ヘテロシクリルである]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物
に関する。
【0042】
一実施形態において、本発明は、下記の式(I)の化合物:
[式中
Aは、場合により、1つまたは複数のハロゲン原子、C1-3アルキル、C1~3アルコキシまたはハロC1~3アルキルで置換されていてもよい、飽和、不飽和もしくは芳香族の、4~9員環の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリル、または、窒素および酸素の群から選択される1~3個のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、4~9員環の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルであり;
Bは、場合により、1つまたは複数のハロゲン原子、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、ハロC1~3アルキル、CN、C(O)C1~3アルキルまたはハロC1~3アルコキシで置換されていてもよい、飽和、不飽和もしくは芳香族の、4~9員環の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリル、または、窒素および酸素の群から選択される1~3個のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、4~9員環の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルであり;
R1は、C1~4アルキル、C1~3アルケニル、ハロC1-3アルキル、C3~5シクロアルキルC1~3アルキル、C1~3アルコキシC1-3アルキルまたはC4~6ヘテロシクリルである]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物
に関する。
【0043】
一実施形態において、本発明は、下記の式(I)の化合物:
[Aは、場合により、1つまたは複数のハロゲン原子、C1-3アルキル、C1~3アルコキシまたはハロC1~3アルキルで置換されていてもよい、シクロペンテニル、シクロヘキシル、フェニル、シクロヘプチル、ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、またはインダゾリルであり;
Bは、ハロゲン原子、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、ハロC1~3アルキル、CN、C(O)C1~3アルキルまたはハロC1~3アルコキシで置換されていてもよい、フェニル、ピリジル、ピラジル、ピラジニル、ピリミジニル、ベンゾジオキソリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリニル、またはピラゾロ[1,5-a]ピリジニルであり;
R1は、CH3、C2H5、nPr、iPr、nBu、secBu、アリル、-CH2-CF3、-CH2-cBu、-CH2-cPr、-C2H5-O-CH3、またはテトラヒドロフリルである]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物
に関する。
【0044】
一実施形態において、本発明は、
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-2-メチル-N-(3-メチルフェニル)-1,1-ジオキソ-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(1,3-ジメチル-1H-インダゾール-5-イル)-2-メチル-N-(3-メチルフェニル)-1,1-ジオキソ-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-2-エチル-N-(3-メチルフェニル)-1,1-ジオキソ-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-2-エチル-1,1-ジオキソ-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
2-エチル-5-[4-メトキシ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-N-(3-メトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
2-エチル-5-[4-メトキシ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-N-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
2-エチル-1,1-ジオキソ-5-[(1r,4r)-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
N-(6-シアノピリジン-2-イル)-2-エチル-1,1-ジオキソ-5-[(1r,4r)-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2-(プロパン-2-イル)-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2-プロピル-N-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2-プロピル-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-[4-メトキシ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジオキソ-2-プロピル-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,1-ジオキソ-2-プロピル-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2-プロピル-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
2-(シクロプロピルメチル)-1,1-ジオキソ-5-[(1r,4r)-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2-(プロパ-2-エン-1-イル)-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-N-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2-プロピル-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-N-(3-メチルフェニル)-1,1-ジオキソ-2-プロピル-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-[4-メトキシ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジオキソ-2-プロピル-N-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-N-(6-フルオロピリジン-2-イル)-1,1-ジオキソ-2-(プロパン-2-イル)-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
N-(6-フルオロピリジン-2-イル)-1,1-ジオキソ-2-(プロパン-2-イル)-5-[(1r,4r)-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
2-(シクロプロピルメチル)-N-(6-フルオロピラジン-2-イル)-1,1-ジオキソ-5-[(1r,4r)-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
2-[(2R)-ブタン-2-イル]-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
2-エチル-5-[4-メトキシ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジオキソ-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
1,1-ジオキソ-2-(プロパン-2-イル)-5-[(1r,4r)-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]-N-[6-(トリフルオロメチル)ピラジン-2-イル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
2-(シクロプロピルメチル)-5-(4,4-ジフルオロシクロヘキシル)-1,1-ジオキソ-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
2-(シクロプロピルメチル)-1,1-ジオキソ-5-[(1r,4r)-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]-N-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]-2H-1λ6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド;
の群から選択される式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0045】
さらなる態様において、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防における使用のための、上記において定義される式(I)の化合物を提供する。
【0046】
さらなる態様において、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防のための医薬品の製造のための、上記において定義される式(I)の化合物の使用を提供する。
【0047】
さらなる態様において、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防のための方法であって、そのような治療または予防を必要とする哺乳動物に、有効量の、上記において定義される式(I)の少なくとも1種の化合物を投与する工程を含む方法を提供する。
【0048】
一実施形態において、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する上記疾患は、精神病性障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、一般的な医学的疾患に起因する精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、または特定不能の精神病性障害など;認識機能障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、卒中の結果としての認識機能障害、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、HIV関連認知症、前頭側頭認知症、レヴィー小体認知症、血管性認知症、脳血管障害、または他の認知症状態、および他の変性疾患に関連する認知症、例えば、下記に限定されるわけではないが、筋委縮性側索硬化症など、認知機能低下を引き起こし得る他の急性または亜急性の状態、例えば、下記に限定されるわけではないが、譫妄、外傷性脳損傷、老人性痴呆、軽度認識機能障害、ダウン症候群、鬱病および他の疾患に関連する認知障害など、ならびに運動障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、パーキンソン病、神経抑制薬誘発性パーキンソン症候群、または遅発性ジスキネジアなど、欝病および気分障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、鬱病性障害およびエピソード、双極性障害、気分循環性障害、および特定不能の双極性障害、他の気分障害、物質誘発性気分障害、および特定不能の気分障害、不安障害、パニック障害および不安発作、強迫性障害、心的外傷後ストレス症候群、急性ストレス障害、全般性不安障害、一般的な医学的疾患に起因する不安障害、物質誘発性不安障害、恐怖症、および特定不能の不安障害など;物質関連障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、物質使用または物質誘発性障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、アルコール関連障害、ニコチン関連障害、アンフェタミン関連障害、フェンサイクリジン関連障害、オピオイド関連障害、大麻関連障害、コカイン関連障害、カフェイン関連障害、幻覚発現物質関連障害、吸入剤関連障害、鎮静剤関連障害、催眠関連障害、抗不安薬関連障害、多剤関連障害、または他の物質関連障害など;睡眠障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、睡眠発作、睡眠異常、原発性過眠症、呼吸関連睡眠障害、概日リズム睡眠障害、および特定不能の睡眠異常;睡眠時随伴症、睡眠時驚愕症障害、夢遊病、および特定不能の睡眠時随伴症など、別の精神病に関連する睡眠障害、;一般的な医学的疾患に起因する睡眠障害、および物質誘発性睡眠障害など;代謝障害および摂食障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、神経性無食欲症、神経性大食症、肥満、強迫摂食障害、過食性障害、および特定不能の摂食障害;糖尿病、潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸管症候群など;自閉症スペクトラム症、例えば、下記に限定されるわけではないが、自閉症障害、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害、および特定不能の広汎性発達障害;注意欠陥多動性障害、破壊的行動障害、反抗的行為障害、および特定不能の破壊的行動障害;ならびに、チック障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、トゥレット病;人格障害など;性機能不全、例えば、性欲障害、性的刺激障害、オルガスム障害、性的疼痛障害、特定不能の性機能不全、性欲倒錯、性同一性障害、不育症、月経前症候群、および特定不能な性的障害など;呼吸器系の障害、例えば、咳、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎症など、心臓系の障害、例えば、心不全、心臓性不整脈、高血圧など;炎症、起炎性疼痛および神経因性疼痛、関節リウマチ、変形性関節症、アレルギー、サルコイドージス、乾癬、失調症、ジストニア、全身性エリテマトーデス、躁病、下肢静止不能症候群、進行性核上麻痺、てんかん、ミオクローヌス、片頭痛、健忘症、慢性疲労症候群、脱力発作、脳虚血、多発性硬化症、脳脊髄炎、ジェット機病、脳アミロイド血管症、および敗血症からなる群より選択される。
【0049】
一実施形態において、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患は、認識機能障害、統合失調症、および自閉症からなる群より選択される。
【0050】
本発明はさらに、前に示した1つまたは複数の状態を治療するために、本発明の化合物または本発明の化合物を含む医薬組成物もしくは製剤が別の治療薬と共に投与される併用療法に関する。そのような治療薬は、以下:アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、抗アミロイドヒト化モノクローナル抗体などの抗アミロイド抗体、β-またはγ-セクレターゼ阻害剤または調節薬、タウリン酸化阻害剤、ApoE4立体配置調節剤、p25/CDK5阻害剤、NK1/NK3受容体アンタゴニスト、COX-2阻害剤、LRRK2阻害剤、HMG-CoA-レダクターゼ阻害剤、NSAID、ビタミンE、グリシン輸送阻害剤、グリシン部位アンタゴニスト、LXRβアゴニスト、アンドロゲン受容体調節薬、Αβオリゴマー形成の遮断薬、NR2Bアンタゴニスト、抗炎症性化合物、PPARγアゴニスト、CB1受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニスト、CB-2アゴニスト、VR-1アンタゴニスト、ブラジキニンBl受容体アンタゴニスト、ナトリウムチャネル遮断薬およびアンタゴニスト、NOS阻害剤、抗生物質、成長ホルモン分泌促進因子、カリウムチャンネル開口薬、AMPAアゴニストまたはAMPA調節薬、GSK3阻止剤、ニューロン性ニコチンアンタゴニスト、MARKリガンド、M1またはM4mAChRアゴニストまたはPAM、mGluR2アンタゴニストまたはNAMまたはPAM、mGluR5アンタゴニスト、α-アドレナリン作用性アゴニスト、ADAM-10リガンド、鎮静剤、催眠剤、抗不安薬、抗精神病薬;シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、穏和精神安定薬、メラトニンアゴニストおよびアンタゴニスト、メラトニン作動性薬、オレキシンアンタゴニストおよびアゴニスト、プロキネチシンアゴニストおよびアンタゴニスト、Tタイプカルシウムチャンネルアンタゴニスト、トリアゾロピリジンベンゾジアゼピン、バルビツレート、5-HT1Aアンタゴニスト、5-HT2アンタゴニスト、5-HT4アゴニスト、5-HT6受容体アンタゴニスト、ヒスタミンH3受容体アンタゴニストおよびインバースアゴニスト、PDE4阻害剤、PDE9阻害剤、PDE10阻害剤、HDAC阻害剤、KCNQアンタゴニスト、GABAAインバースアゴニスト、GABAシグナル伝達増強剤、GABAアゴニスト、GABAA受容体α5サブユニットNAMまたはPAM、抗精神病薬、MAO-B阻害剤、ドーパミン輸送阻害剤、ノルアドレナリン輸送阻害剤、D2アゴニストおよび部分的アゴニスト、抗コリン薬、COMT阻害剤、A2aアデノシン受容体アンタゴニスト、コリン作用性アゴニスト、神経遮断薬、ロクサピン、スルピリドおよびリスペリドン、レボドパ、カルシウムチャンネル遮断薬、MMP阻害剤、血栓溶解剤、オピオイド鎮痛薬、プラミペキソール、ロピニロール、好中球抑制因子、SSRIまたはSSNRI、三環式抗鬱剤、ノルエピネフリン調節薬、リチウム、バルプロエート、ガバペンチン、プレガバリン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、ナラトリプタン、およびスマトリプタンから選択され得る。
【0051】
一実施形態において、当該治療薬は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体アンタゴニスト、β-セクレターゼ阻害剤、抗精神病薬、GABAA受容体α5サブユニットNAMまたはPAM、ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト、5-HT6受容体アンタゴニスト、M1またはM4mAChRアゴニストまたはPAM、mGluR2アンタゴニストまたはNAMまたはPAM、およびレボドパの群から選択される。
【0052】
さらなる態様において、本発明は、以下の反応経路による式(I)の化合物の製造のための方法を提供する。
【0053】
本明細書全体において、一般式は、ローマ数字(I)、(II)、(III)などによって指定される。
【化3】
【0054】
【0055】
【0056】
式(IIa)のカルボン酸または式(IIb)のカルボン酸誘導体[式中、Aの意味は、式(I)の化合物に関し既に説明されているとおりである]を、メチルリチウムと反応させることにより、あるいは、式(IIc)の化合物[式中、Aの意味は、場合により、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、またはハロC
1~6アルキルのうちの1つまたは複数で置換されていてもよい、芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリル、または飽和、不飽和もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルである]を、トリブチル(1-エトキシビニル)スズと反応させることにより、あるいは、式(IId)の化合物:[式中、Aの意味は、場合により、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、ハロC
1~6アルキル、またはハロゲンのうちの1つまたは複数で置換されていてもよい、芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋カルボシクリル、または飽和、不飽和、もしくは芳香族の、単環式もしくは二環式の、縮合もしくは架橋ヘテロシクリルである]を、塩化アセチルと反応させることにより、式(III)のケトン誘導体:
【化6】
[式中、Aの意味は、式(I)に関し既に説明されているとおりである]を得て、そして
式(III)の化合物を、シュウ酸ジエチルと反応させることによって、式(IV)の2,4-ジオキソエステル誘導体:
【化7】
[式中、Aの意味は、式(I)に関し既に説明されているとおりである]を得て、それを、スルファミドと反応させ、得られた式(V)の1,1-ジオキソ-1,3-チアジアジンカルボン酸エステル誘導体:
【化8】
[式中、Aの意味は、式(I)に関し既に説明されているとおりである]を、下記の異なる方法:
経路A)
式(V)の化合物をアルキル化することにより、式(VI)のN-アルキルチアジアジン誘導体:
【化9】
[式中、AおよびR
1の意味は、式(I)に関し既に説明されているとおりである]を得て、それを加水分解することにより、式(VII)のカルボン酸誘導体:
【化10】
[式中、AおよびR
1の意味は、式(I)に関し既に説明されているとおりである]を得て、それを、適切なアミン(B-NH
2)[式中、Bの意味は、式(I)に関し既に説明されているとおりである]とカップリングさせることにより、式(I)の所望のアミドを得る、経路;
または、
経路B)
式(V)のエステル誘導体を、加水分解することにより、式(VIII)のカルボン酸誘導体:
【化11】
[式中、Aの意味は、式(I)に関し既に説明されているとおりである]を得て、次いで、それを、一つの工程において、N,O-ジアルキル化し、その結果、対応する式(X)のエステル化合物:
【化12】
[式中、AおよびR
1の意味は、式(I)に関し既に説明されているとおりである]を得て、次いで、
・ それを、加水分解して、式(VII)の誘導体:
【化13】
[式中、AおよびR
1の意味は、式(I)に関し既に説明されているとおりである]とし、次いで、適切なアミン(B-NH
2)と反応させて、式(I)の標的のアミド誘導体を得るか、または
・ 式(X)の化合物を、適切なアミン(B-NH
2)との反応させることにより、式(I)のアミド誘導体に直接的に変換させる、経路;
により、式(I)の所望の最終生成物に変換することができる。
【0057】
式(III)のケトン誘導体は、購入するか、または下記の方法において合成することができる:
i.式(IIa)のカルボン酸誘導体とメチルリチウムとの反応を、好ましくは、好適な溶媒、例えば、ジエチルエーテル中において実施する。当該反応を、好ましくは、-15℃において実施する。必要な反応時間は、2~4時間である。当該反応の後、薄層クロマトグラフィを行う。当該反応混合物を、好ましくは、飽和塩化アンモニウム溶液の添加によってクエンチする。当該生成物を、好適な有機溶媒、例えば、ジエチルエーテルによる抽出によって単離する。
ii.式(IIb)のワインレブアミドとメチルリチウムとの反応を、好ましくは、好適な溶媒、例えば、ジエチルエーテル中において実施する。当該反応を、好ましくは、-78℃において実施する。必要な反応時間は、2~4時間である。当該反応の後、薄層クロマトグラフィを行う。当該反応混合物を、好ましくは、塩酸の添加によってクエンチする。当該生成物を、好適な有機溶媒、例えば、ジエチルエーテルによる抽出によって単離する。
iii.好適な溶媒、例えば、トルエンまたはN-メチル-2-ピロリドン中における、好適なパラジウム触媒、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、および塩基、好ましくはリン酸三カリウム、の存在下での、対応する式(IIc)のハロゲニドとトリブチル(1-エトキシビニル)スズとの反応。当該反応を、好ましくは、80~90℃において実施する。必要な反応時間は、6~7時間である。当該反応の後、薄層クロマトグラフィを行う。当該反応混合物を水で希釈し、適切な有機溶媒、例えば、酢酸エチルで抽出する。当該有機相を、30分間室温で激しく撹拌することよって、1M塩酸溶液で処理する。当該混合物のpHを、25%のアンモニア水溶液の添加によって7~8に調節し、好適な有機溶媒、例えば、酢酸エチルで抽出し、カラムクロマトグラフィによって精製する。
iv.好適な溶媒、好ましくはジクロロメタン中における、好適な塩基、好ましくは、塩化アルミニウムの存在下での、対応する式(IId)の芳香族化合物と塩化アセチルとのフリーデル-クラフツ反応を、40℃において実施する。必要な反応時間は、2時間である。当該反応混合物を、3MのHCl溶液に注ぎ入れ、ジエチルエーテルで抽出する。収集した有機層を、飽和NaHCO3溶液および塩水で洗浄し、乾燥させ、乾固するまでエバポレートする。
【0058】
式(I)の化合物の合成を、以下においてより詳細に説明する。
【0059】
工程1
式(IV)のジオキソエステル誘導体への、式(III)のアセチル誘導体とシュウ酸ジエチルとによるクライゼン縮合反応を、好ましくは、強塩基、好ましくはナトリウムエチラートの存在下で、好適な溶媒、例えば、エタノール中において実施する。当該反応を、好ましくは、室温において実施する。必要な反応時間は、6~15時間である。当該反応の後、薄層クロマトグラフィを行う。当該反応混合物を、希塩酸(pH=1~3)に注ぎ入れることによってクエンチし、生成物を、ろ過によって、または好適な有機溶媒、例えば、酢酸エチルによる抽出によって単離する。
【0060】
工程2
式(V)の1,1-ジオキソ-1,3-チアジアジンカルボン酸エステル誘導体を提供する、式(IV)のジオキソエステルとスルファミドとによる環化を、溶媒として、エタノール中において塩化水素で飽和させた無水エタノールの存在下で実施する。当該反応を、好ましくは、60~80℃において実施する。必要な反応時間は、2~15時間である。当該反応の後、薄層クロマトグラフィを行う。生成物を、ろ過または抽出によって単離する。
【0061】
式(V)の1,1-ジオキソ-1,3-チアジアジンカルボン酸エステル誘導体は、下記の異なる方法において、式(I)の所望の最終生成物へと変換することができる。
【0062】
経路A)
式(V)の1,1-ジオキソ-1,3-チアジアジンカルボン酸エステル誘導体のN-アルキル化は、以下の異なる方法で実施される。
【0063】
工程3
式(V)のチアジアジン誘導体を、好適な溶媒、好ましくは、アセトン、アセトニトリル、またはN,N-ジメチルホルムアミド中において、好適なアミン、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンの存在下で、65~80℃において、好適なアルキルハロゲニドと反応させる。必要な反応時間は、2~24時間である。当該反応混合物を水で希釈し、塩酸で酸性化する。生成物を、好適な有機溶媒、好ましくは酢酸エチルによる抽出によって単離し、生成物の異性体をカラムクロマトグラフィによって分離する。当該生成物の構造を、NMR分光法および質量分析法によって特定する。
【0064】
式(V)のチアジアジン誘導体を、トリフェニルホスフィンおよびアゾジカルボン酸ジイソプロピルの存在下において、好適な溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン中で、25~67℃において第二級アルコールと反応させる。必要な反応時間は、20~72時間である。溶媒を真空下においてエバポレートし、生成物をカラムクロマトグラフィによって単離する。
【0065】
工程4
式(VI)のN-アルキル化エステルの加水分解を、塩基、例えば、1~5MのNaOHまたはLiOH溶液を用いて、好適な溶媒、例えば、テトラヒドロフランまたは好ましくはエタノール中において、室温で実施する。必要な反応時間は、1~3時間である。当該反応混合物を、塩酸で中和する。有機溶媒を真空下においてエバポレートし、水性残留物をpH=1~2へと酸性化し、生成物を、ろ過、または好適な有機溶媒、好ましくは酢酸エチルによる抽出によって単離する。
【0066】
工程5
式(VII)のカルボン酸を、好適なカップリング剤、例えば、HATU(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート)またはEDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)などを使用して、好適な塩基、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンの存在下で、好適な溶媒、好ましくは、N,N-ジメチルホルムアミド中において、対応するアミンとカップリングさせる。当該反応を、好ましくは、室温において実施する。必要な反応時間は、6~48時間である。当該反応混合物を、溶媒のエバポレーションによって、または塩酸に注ぎ入れることによって後処理し、好適な溶媒、好ましくは酢酸エチルで抽出する。生成物を、カラムクロマトグラフィによって単離する。当該生成物の構造を、NMRおよび質量分析法によって特定する。
【0067】
式(VII)のカルボン酸のアミド化は、好適なカルボン酸塩化物によって、下記のように実施することができる。
【0068】
式(VII)のカルボン酸を、触媒量のN,N-ジメチルホルムアミドを使用して、好適な有機溶媒、好ましくは、ジクロロメタン中において、塩化オキサリルで処理する。揮発成分のエバポレートション後、塩化アシルを、好適な塩基、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、またはリン酸三カリウムの存在下で、好適な溶媒、例えば、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、またはテトラヒドロフラン中において、対応するアミンと反応させる。当該反応を、25~80℃において実施する。必要な反応時間は、3~16時間である。当該反応混合物を、溶媒のエバポレーションによって、または塩酸に注ぎ入れることによって後処理し、好適な有機溶媒、例えば、酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出する。生成物を、カラムクロマトグラフィによって単離する。当該生成物の構造を、NMRおよび質量分析法によって特定する。
【0069】
工程6
式(VI)のN-アルキル化エステルと、対応するアミンとの反応を、強塩基、好ましくは、トリエチルアルミニウムの存在下において、好適な溶媒、例えば、1,2-ジクロロエタンまたはトルエン中で、50~110℃において実施する。必要な反応時間は、6~48時間である。当該反応混合物を、塩酸と共に、25~40℃で激しく撹拌する。生成物を、好適な有機溶媒、例えば、酢酸エチルまたはジクロロメタンによる抽出と、その後のカラムクロマトグラフィとによって単離する。当該生成物の構造を、NMRおよび質量分析法によって特定する。
【0070】
経路B)
工程7
式(V)の1,1-ジオキソ-1,3-チアジアジンカルボン酸エステル誘導体の加水分解を、塩基、例えば、5MのNaOH水溶液を用いて、好適な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、好ましくはエタノール中において、室温で実施する。必要な反応時間は、1~3時間である。生成物を、以下の2つの異なる方法で単離する:
i)反応混合物を、塩酸で中和し、真空下において乾固するまでエバポレートし、この方法で得られた塩化ナトリウムを含有する生成物を、さらなる精製を行わずに次の工程に使用した。
ii)反応混合物を、塩酸で中和する。真空下において有機溶媒をエバポレートし、水性残留物をpH=1~2へと酸性化し、生成物をろ過によって単離する。
【0071】
工程8
式(VIII)の1,1-ジオキソ-1,3-チアジアジンカルボン酸誘導体と、好適な第一級アルキルハロゲニドまたは擬ハロゲニド、例えば、臭化プロピル、臭化ブチル、または2-ブロモエチルメチルエーテルなどとのN,O-ジアルキル化を、好適な溶媒、好ましくは、アセトニトリルまたはN,N-ジメチルホルムアミド中において、好適なアミン、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、または水素化ナトリウムの存在下において、65~80℃で実施する。必要な反応時間は、2~24時間である。当該反応混合物を水で希釈し、塩酸で酸性化する。生成物を、好適な有機溶媒、好ましくは酢酸エチルによる抽出によって単離し、生成物の異性体をカラムクロマトグラフィによって分離する。当該生成物の構造を、NMR分光法および質量分析法によって特定する。
【0072】
工程9
式(X)のN-アルキル化エステルの加水分解を、塩基、例えば、1~2MのNaOHまたはLiOH溶液を用いて、好適な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン中、または好ましくはエタノール中において、室温で実施する。必要な反応時間は、1~3時間である。当該反応混合物を、塩酸で中和する。有機溶媒を真空下においてエバポレートし、水性残留物をpH=1~2へと酸性化し、生成物を、ろ過、または好適な有機溶媒、好ましくは酢酸エチルによる抽出によって単離する。
【0073】
式(I)のアミドを得るために、式(VII)のN-アルキル化カルボン酸のアミド化を、上記の工程5において説明されるように実施する。
【0074】
式(X)のN-アルキル化エステルと、対応するアミンとの反応を、上記の工程6において説明されるように実施する。
【0075】
本開示は、その範囲内に、当該化合物における可能性のある全ての同位体標識された形態を含む。
【0076】
本発明の化合物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、関節間、鞘内、腹腔内、直接的心室内、脳室内、髄内注射、槽内注入もしくは注入、皮下注射もしくはインプラント)、経眼、経鼻、経膣、経直腸、舌下、および局所投与経路によって投与することができ、ならびに各投与経路にとって好適な薬学的に許容される賦形剤を含む、好適な投薬単位の製剤において、単独でまたは一緒に、製剤化され得る。
【0077】
あるいは、全身的方式ではなく、局所的方式において、例えば、多くの場合、放出制御製剤(modified release formulation)において、腎臓または心臓領域への直接的な当該化合物の注射によって、当該化合物を投与してもよい。その上、当該薬物を、標的の薬物送達システム、例えば、組織特異的抗体でコーティングされたリポソーム、において投与してもよい。当該リポソームは、標的の器官によって選択的に取り込まれる。
【0078】
本発明の医薬組成物は、通常、単一投薬単位において0.01~500mgの当該有効成分を含有する。しかしながら、いくつかの組成物中の有効成分の量は、上記において定義された上限または下限を超えることも可能である。
【0079】
この化合物は、1~4回/日、好ましくは1回又は2回/日の投与計画にて投与してもよい。
【0080】
この投薬レベルおよび投与計画は、最適な治療応答を得るために調節することができる。しかしながら、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルおよび投薬頻度は、変更してもよく、ならびに、使われた特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用の長さ、年齢、体重、健康全般、性別、食事、投与の様式および時間、排せつ速度、複合製剤、特定の状態の重篤度、および療法を受けているホストなどの様々な因子に依存するであろうことは理解されるであろう。
【0081】
本発明のさらなる態様として、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物を含有する医薬の医薬品製造を提供する。
【0082】
本発明の医薬組成物は、様々な製薬投与剤形、例えば、下記に限定されるわけではないが、固体経口剤形、例えば、錠剤(例えば、バッカル錠、舌下錠、発泡錠、チュアブル錠、口腔内崩壊錠、凍結乾燥錠)、カプセル剤、トローチ剤、サブロー錠剤、丸薬、口内分散性フィルム、粒剤、粉末剤など;液体経口剤形、例えば、下記に限定されるわけではないが、溶液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、経口滴剤など;注射剤形、例えば、下記に限定されるわけではないが、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射など;他の投与剤形、例えば、下記に限定されるわけではないが、点眼剤、半固体眼用製剤、点鼻液または鼻腔噴霧液、経皮投与剤形、坐剤、直腸用カプセル剤、直腸用溶液剤、乳剤、および懸濁剤など、として製剤化され得る。
【0083】
本発明の医薬組成物は、例えば、混合、溶解、乳化、懸濁化、包括固定、凍結乾燥、押出加工、ラミネーション、流延成形、粒状化、粉砕、カプセル化、糖衣形成(dragee-making)、または錠剤化プロセスによる、任意の従来法において製造することができる。
【0084】
したがって、本発明による使用のための医薬組成物は、1種または複数種の生理学的に許容される賦形剤を使用して、任意の従来方式において製剤化することができる。任意の周知の技術および賦形剤は、好適なように、および当技術分野において理解されるように、使用され得る。
【0085】
投与剤形の調製のための好適な賦形剤は、以下のカテゴリ、例えば、下記に限定されるわけではないが、錠剤およびカプセル剤フィラー、錠剤およびカプセル剤バインダー、放出調節剤、崩壊剤、滑沢剤、潤滑剤、甘味剤、矯味剤、矯臭剤、被覆剤、界面活性物質、酸化防止剤、緩衝薬、錯化剤、乳化剤、凍結乾燥助剤、マイクロカプセル化剤、軟膏基剤、透過増強剤、可溶化剤、溶媒、坐剤基剤、および懸濁化剤から選択され得る。
【0086】
一実施形態において、本発明は、溶解度、溶解、透過、吸収、および/または有効成分のバイオアベイラビリティを向上させることができる特定の賦形剤、例えば、下記に限定されるわけではないが、親水性ポリマー、ホットメルト押出成形用賦形剤、界面活性物質、緩衝薬、錯化剤、乳化剤、凍結乾燥助剤、超崩壊剤、マイクロカプセル化剤、透過増強剤、可溶化剤、助溶媒、および懸濁化剤などの使用に関する。
【0087】
製造の上記において説明した成分および様々な経路は、単に代表的なものである。他の材料ならびに当技術分野において周知の加工技術および同様のものも使用することができる。
【実施例】
【0088】
本発明は、さらに、以下の実施例において定義される。当該実施例が単に例示として与えられることは、理解されるべきである。上記の説明および実施例から、当業者は、本発明の本質的特性を確認することができ、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明を様々な用途および条件に適合させるために、様々な変更および修正を為すことができる。結果として、本発明は、本明細書の下記において詳細に説明される例示的実施例によって限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0089】
概して、式(I)の化合物は、当業者の一般知識に従って、および/または、実施例および/または下記の中間体のセクションにおいて詳細に説明される方法を用いて、調製することができる。溶媒、温度、圧力、および他の反応条件は、当業者によって容易に選択することができる。出発材料は、市販されているか、および/または当業者によって容易に調製される。
【0090】
本発明は、以下の実施例によって例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
以下の実施例において、「室温」は、20℃から25℃の範囲の温度を意味する。
【0092】
特定の実施例において使用される略語は、以下の意味を有する。
AlEt3 トリエチルアルミニウム
conc. 濃縮された
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC (1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)
ESI エレクトロスプレーイオン化
HATU (1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート)
HEPES (4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)
LC-MS 質量分析に連結された液体クロマトグラフィ
THF テトラヒドロフラン
【0093】
工程1
中間体1
【化14】
エチル4-(3,4-ジメトキシフェニル)-2,4-ジオキソブタノエート
不活性雰囲気下において、シュウ酸ジエチル(20ml、0.15mol)を、ナトリウム(3.5g、0.15mol)とエタノール(300mL)とから新たに調製したナトリウムエチラート溶液に加えた。ジエチルエーテル(150mL)中における1-(3,4-ジメトキシフェニル)エタノン(9.20g、0.05mol)の溶液を滴加し、当該混合物を室温で2時間撹拌した。
【0094】
当該反応混合物を、氷水(500mL)に注ぎ入れ、氷で冷却しながら6MのHCl溶液を加えることによってpH=1~2へと酸性化した。黄色沈殿物を、ろ過によって収集し、水で洗浄し、室温で真空下において乾燥させた。収量:13.5g(94%)の黄色固体、m/z(M+H)+:281.2。
【0095】
第1表の中間体を、中間体1に対して説明した手順に従って合成した。全ての必要な出発材料は、様々な販売業者から購入した。
【0096】
【0097】
中間体12
【化15】
エチル4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-2,4-ジオキソブタノエート
表題の化合物を、中間体1に対して説明した方法に従って、1-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)エタノンから調製した。
【0098】
1-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)エタノンを、下記の方法により合成した。
【化16】
【0099】
不活性雰囲気下において、ジクロロメタン(40mL)中における2-メチルアニソール(7.92g、64.8mmol)の溶液に、塩化アルミニウム(9.45g、70.9mmol)を加えた。得られた混合物(5.1mL、71.5mmol)に、塩化アセチルを滴加し、当該混合物を還流下において2時間加熱した。
【0100】
当該反応混合物を、3MのHCl溶液にゆっくりと注ぎ入れ、ジエチルエーテルで抽出した。収集した有機層を、飽和NaHCO3溶液および塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、乾固するまでエバポレートした。収量:10.33g(97%)の薄黄色オイル。
【0101】
中間体13
【化17】
エチル4-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)-2,4-ジオキソブタノエート
表題の化合物を、中間体1に対して説明した方法に従って、1-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)エタノンから調製した。
【0102】
1-(3-メトキシ-4-メチルフェニル)エタノンを、下記の方法により合成した。
【化18】
【0103】
不活性雰囲気下において、テトラヒドロフラン(50mL)中における3-メトキシ-4-メチルベンゾニトリル(2.00g、13.6mmol)の溶液に、0~2℃において氷で冷却しながら、メチルマグネシウムクロリド溶液(5mL、テトラヒドロフラン中3M)を滴加し、当該混合物を40℃で12時間撹拌した。
【0104】
当該反応混合物を、6MのHCl溶液(3.4mL)の滴加によってクエンチし、40℃でさらに1時間撹拌した。当該混合物を酢酸エチルで抽出し、収集した有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、エバポレートし、粗残留物を、溶離液としてジクロロメタンおよびシクロヘキサンの混合物を使用した勾配溶離によるシリカゲルのカラムクロマトグラフィで精製した。収量:356mg(16%)。
【0105】
中間体14
【化19】
エチル4-[3-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2,4-ジオキソブタノエート
表題の化合物を、中間体1に対して説明した方法に従って、1-(3-メトキシ-4-トリフルオロメチルフェニル)エタノンから調製した。
【0106】
1-[3-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]エタノンを、下記の方法により合成した。
【化20】
【0107】
不活性雰囲気下において、ジエチルエーテル(100mL)中における3-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(4.11g、20.4mmol)の溶液に、0~2℃において氷で冷却しながら、メチルマグネシウムクロリド溶液(7.5mL、テトラヒドロフラン中3M)を滴加し、当該混合物を室温でさらに2時間撹拌した。
【0108】
当該反応混合物を、6MのHCl溶液(100mL)の滴加によってクエンチし、室温でさらに1時間撹拌した。当該混合物を酢酸エチルで抽出し、収集した有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、エバポレートし、粗残留物を、溶離液として酢酸エチルおよびシクロヘキサンの1:9混合物を使用した、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィで精製した。収量(収率):600mg(13%)の黄色固体。
【0109】
中間体15
【化21】
エチル4-(1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)-2,4-ジオキソブタノエート
表題の化合物を、中間体1に対して説明した方法に従って、1-(1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)エタノンから調製した。
【0110】
1-(1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)エタノンを、下記の方法により合成した。
【化22】
【0111】
N-メチル-2-ピロリドン(55mL)中における5-ブロモ-1-メチル-1H-インダゾール(2.91g、13.8mmol)の溶液を、アルゴンガスで15分間パージ処理した。リン酸三カリウム(5.85g、27.6mmol)、トリブチル(1-エトキシビニル)スズ(4.7mL、13.9mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.80g、0.69mmol)を加え、当該混合物を、アルゴン雰囲気下において、80~90℃で6時間撹拌した。当該反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を、室温で30分間激しく撹拌することによって、1Mの塩酸で処理した。当該混合物のpHを、25w/w%のアンモニア水溶液の添加によって7~8に調節し、酢酸エチルで抽出した。当該有機相を、水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、乾固するまでエバポレートした。残留物を、溶離液として酢酸エチルおよびシクロヘキサン(3:1)の混合物を使用した、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィによって精製した。収量:1.64g(68%)。
【0112】
中間体16
【化23】
エチル4-(1,3-ジメチル-1H-インダゾール-5-イル)-2,4-ジオキソブタノエート
表題の化合物を、中間体1に対して説明した方法に従って、1-(1,3-ジメチル-1H-インダゾール-5-イル)エタノンから調製した。
【0113】
1-(1,3-ジメチル-1H-インダゾール-5-イル)エタノンを、中間体15に対して説明した方法に従って、5-ブロモ-1,3-ジメチル-1H-インダゾールから調製した。
【0114】
5-ブロモ-1,3-ジメチル-1H-インダゾールを、下記の方法により合成した。
【化24】
【0115】
N,N-ジメチルホルムアミド(70mL)中における水素化ナトリウム(0.98g、24.5mmol、鉱油中60%)の懸濁液に、不活性雰囲気下において、室温で、5-ブロモ-3-メチル-1H-インダゾール(4.30g、20.4mmol)を少量ずつ加え、得られた懸濁液を、さらに、15分間撹拌した。ヨードメタン(1.7ml、27.5mmol)を加え、当該混合物を、さらに、室温で3時間撹拌した。水を加え、当該混合物を酢酸エチルで抽出した。当該有機相を、2MのNa2S2O3溶液および水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、乾固するまでエバポレートした。当該位置異性体の生成物を、溶離液として酢酸エチルおよびシクロヘキサン(2:1)の混合物を使用した、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィによって精製した。収量:所望の生成物5-ブロモ-1,3-ジメチル-1H-インダゾールに対して3.16g(69%)、および5-ブロモ-2,3-ジメチル-1H-インダゾールにおいて1.26g(27%)。
【0116】
中間体17
【化25】
エチル2,4-ジオキソ-4-[(1r,4r)-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]ブタノエート
表題の化合物を、中間体1に対して説明した方法に従って、1-[trans-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]エタノンから調製した。
【0117】
1-[trans-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]エタノンを、下記の方法により合成した。
【化26】
【0118】
アルゴン雰囲気下において、乾燥ジエチルエーテル(75mL)中におけるtrans-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキサンカルボン酸(3.14g、16mmol)の溶液に、ジエチルエーテル中におけるメチルリチウム溶液(1.6M、25mL、40mmol)を、-20℃から15℃において、45~60分間かけて滴加し、当該混合物を、さらに、-15℃で1時間撹拌した。当該反応混合物を、0℃において、飽和NH4Cl溶液(25mL)(pH約8)および水(25mL)の添加によってクエンチし、ジエチルエーテルで抽出した。収集した有機層を、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮した(室温において、350~400mbarで)。収量:3.075g(99%)の無色のオイル。
【0119】
中間体18
【化27】
エチル4-(シクロペンタ-3-エン-1-イル)-2,4-ジオキソブタノエート
表題の化合物を、中間体1に対して説明した方法に従って、1-(シクロペンタ-3-エン-1-イル)エタノンから調製した。
【0120】
1-(シクロペンタ-3-エン-1-イル)エタノンを、下記の方法により合成した。
【化28】
【0121】
乾燥ジクロロメタン(30mL)中におけるシクロペンタ-3-エン-1-カルボン酸(1.346g、12mmol)と数滴のN,N-ジメチルホルムアミドとによる溶液に、アルゴン雰囲気下で、25℃において、ジクロロメタン(5mL)中における塩化オキサリル(2.03mL、24mmol)を滴加した。当該反応混合物を30分間撹拌し、揮発成分を真空下において除去した。得られたシクロペンタ-3-エン-1-カルボニルクロリドをジクロロメタン(25mL)に溶解させ、当該溶液を、25℃において、乾燥ジクロロメタン(25mL)中におけるN,O-ジメチルヒドロキシルアミンヒドロクロリド(1.117g、12mmol)とトリエチルアミン(3.68mL、26.41mmol)とによる混合物に滴加した。当該反応混合物を真空下において濃縮し、酢酸エチル(30mL)に再懸濁させた。当該懸濁液をろ過し、ろ液を真空下において濃縮した。当該残留物を、シリカゲルにおいてシクロヘキサンおよび酢酸エチル(7:3)の混合物によって溶離させることによりクロマトグラフィ分離して、1.043g(78%)のワインレブアミドを得た。
【0122】
ジエチルエーテル(50mL)中におけるワインレブアミド(1.043g、6.1mmol)の溶液に、-65℃から-78℃において、ジエチルエーテル中におけるメチルリチウム溶液(1.6M、4.54mL、7.26mmol)を滴加し、当該混合物を、さらに、-78℃で2時間撹拌した。当該反応混合物を0℃まで温め、氷で冷却しながら、1MのHCl溶液(10mL)および水(10mL)の添加によってクエンチした。当該反応混合物を、ジエチルエーテルで抽出し、収集した有機層をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、真空下(室温において350~400Mbar)において濃縮した。オイル状の表題の化合物を得た(0.663g、99%)。
【0123】
工程2
中間体19
【化29】
エチル5-(3,4-ジメトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキシレート
エタノール(280mL)中における中間体1(エチル4-(3,4-ジメトキシフェニル)-2,4-ジオキソブタノエート、13.5g、48,2mmol)の懸濁液に、スルファミド(9.4g、98mmol)と塩化水素で飽和させたエタノール(30%、35mL)とを加え、当該混合物と60℃(内部)で一晩撹拌した。得られた懸濁液を氷水浴において冷却し、黄色沈殿物をろ過により収集し、冷エタノールで洗浄し、真空下において40℃で乾燥させた。収量:15,79g(96%)の黄色固体、m/z(M+H)
+:341.1。
【0124】
下記の第2表の中間体を、中間体19に対して説明した手順に従って、対応する中間体(1~18)から合成した。
【0125】
【0126】
工程3
中間体37
【化30】
エチル5-(3,4-ジメトキシフェニル)-2-メチル-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキシレート
アセトン(430mL)中における、中間体19(8.26g、24.27mmol)、トリエチルアミン(3.7mL、26.7mmol)、およびヨードメタン(17mL、273mmol)の混合物を、56℃で4.5時間撹拌した。
【0127】
減圧下において溶媒を除去し、残留物に5%のHCl溶液(120mL)を加え、当該混合物をジクロロメタンで抽出した。有機相を、水、5%のNa2S2O3溶液、そして再び水で洗浄した。収集した有機層を、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮し、当該残留物を、溶離液としてシクロヘキサンおよびジイソプロピルエーテルの混合物の段階的勾配(40:1から10:1)を使用した、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィによって精製することにより、黄色結晶として5.60g(65%)の生成物を得た。
【0128】
下記の第3表の中間体を、中間体37に対して説明した手順に従って、対応する中間体(工程2におけるそれらを参照されたい)から合成した。
【0129】
【0130】
中間体58
【化31】
エチル2-[(2S)-ブタン-2-イル]-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキシレート
テトラヒドロフラン(50mL)とN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)とによる混合物中における、中間体19(エチル5-(3,4-ジメトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキシレート、3.74g、11mmol)、トリフェニルホスフィン(2.88g、11mmol)、およびR-(-)-ブタン-2-オール(0.92mL、10mmol)の懸濁液に、不活性雰囲気下において、氷で冷却しながら、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(2.2mL、11mmol)を滴加した。得られた溶液を、還流下において7時間加熱し、乾固するまでエバポレートし、残留物を、二段階においてシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製した。最初に、溶離液としてジクロロメタンを使用し、第二段階では、酢酸エチルとジクロロメタンとによる混合物の緩やかな勾配を適用した。収量:460mg(12%)の黄色のオイル。
【0131】
この段階では光学純度を特定せず、当該生成物を、エナンチオマーの分離を行わずに、次の段階に使用した。
【0132】
下記の第4表の中間体を、中間体58に対して説明した手順に従って、中間体19から、Mitsunobu反応において合成した。
【0133】
【0134】
工程4
中間体62
【化32】
5-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-2-メチル-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボン酸
エタノール(35mL)中における中間体40(エチル5-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-2-メチル-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキシレート、520mg、1.54mmol)の懸濁液に、1MのNaOH水溶液(3mL)を加え、当該混合物を、室温で1時間撹拌した。氷で冷却しながら、1%のHCl溶液の添加によって当該混合物のpHを4~5に調節した。減圧下においてエタノールを除去し、水を加え、当該混合物を、さらに、10%のHClの添加によってpH=1~2に酸性化した。当該混合物を酢酸エチルで抽出し、収集した有機層を塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、乾固するまでエバポレートすることより、定量的収率において生成物を得た。
【0135】
下記の第5表の中間体を、中間体62に対して説明した手順に従って、対応するエステル中間体の加水分解によって合成した。
【0136】
【0137】
【0138】
工程5
実施例1
【化33】
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-2-メチル-N-(3-メチルフェニル)-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド
不活性雰囲気下において、N,N-ジメ、チルホルムアミド(20mL)中における中間体65(5-(3,4-ジメトキシフェニル)-2-メチル-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボン酸、700mg、2.15mmol)および1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU、1.06g、2.79mmol)の懸濁液に、氷で冷却しながら、m-トルイジン(0.46mL、4.3mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.48mL、8.50mmol)を加え、得られた溶液を、室温で2日間撹拌した。10%のHCl溶液(100mL)を加え、当該混合物を酢酸エチルで抽出し、収集した有機層を水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、乾固するまでエバポレートした。残留物を、溶離液として0~2.5%V/Vの酢酸エチル-ジクロロメタン混合物による勾配溶離を適用したシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィと、その後のジクロロメタンとジエチルエーテルとによる混合物からの結晶化によって精製した。収量:460mg(52%)、黄色結晶、m/z(M+H)
+:416.1。
【0139】
以下の第6表の実施例を、実施例1に対して説明した手順(HATUカップリングを介する)に従って合成した。
【0140】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【0141】
実施例53
【化34】
2-エチル-1,1-ジオキソ-5-[(1r,4r)-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド
不活性雰囲気下において、ジクロロメタン(20mL)中における中間体75(2-エチル-1,1-ジオキソ-5-[(1r,4r)-4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボン酸;500mg、1.41mmol)とN,N-ジメチルホルムアミド(3滴)とによる溶液に、室温において、ジクロロメタン(10mL)中における塩化オキサリル(0.24mL、2.82mmol)の溶液を滴加した。室温で15分間撹拌した後、当該反応混合物を乾固するまでエバポレートし、ジクロロメタン(20mL)を加え、それを、再び乾固するまでエバポレートした。当該残留物(塩化カルボニル)を、不活性雰囲気下において、テトラヒドロフランに溶解させ、0℃に冷却し、リン酸三カリウム(375mg、1.76mmol)および2-アミノ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン(229mg、1.41mmol)を加え、当該混合物を室温で3時間撹拌した。
【0142】
当該無機塩をろ別し、ろ液を濃縮し、残留物を、 溶離液としてシクロヘキサンと酢酸エチルとジイソプロピルエーテル(40:10:1)による三成分混合物を用いた、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィによって精製した。収量:440mg(63%)、m/z(M+H)+:499.1。
【0143】
下記の第7表の実施例を、実施例53に対して説明した手順(酸塩化物カップリングを介する)に従って合成した。
【0144】
【0145】
実施例85
【化35】
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-2-メチル-1,1-ジオキソ-N-(1-プロピル-1H-ピラゾール-3-イル)-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド
不活性雰囲気下において、N,N-ジメチルホルムアミド(9mL)中における中間体65(5-(3,4-ジメトキシフェニル)-2-メチル-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボン酸;210mg、0.64mmol)とN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミドヒドロクロリド(EDC、248mg、1.29mmol)とによる混合物に、1-プロピル-1H-ピラゾール-3-アミン(99mg、0.79mmol)および4-(ジメチルアミノ)ピリジン(209mg、1.71mmol)を加え、当該混合物を室温で4日間撹拌した。別の一部としてのN,N-ジメチルホルムアミド(2mL)中における1-プロピル-1H-ピラゾール-3-アミン(85mg、0.68mmol)を加え、当該混合物をさらに2日間撹拌した。10%のHCl溶液を加え、当該混合物を酢酸エチルで抽出した。収集した有機層を水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、乾固するまでエバポレートした。残留物を、溶離液として酢酸エチルおよびシクロヘキサン(3:1)の混合物を用いた、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィによって精製した。収量:5mg(2%)の黄色結晶、m/z(M+H)
+:434.1。
【0146】
実施例86
【化36】
N-(1-ブチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-2-メチル-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド(購入したライブラリ化合物、Chemdiv(カタログ番号:E135-0831))
【0147】
工程6
実施例87
【化37】
2-エチル-5-[4-メトキシ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジオキソ-N-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド
1,2-ジクロロエタン(3mL)中における2-アミノ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン(389mg、2.4mmol)の溶液に、アルゴン雰囲気下において、わずかに冷却しながら、20~25℃において、トルエン中におけるトリエチルアルミニウム(1.9M、1.25mL)の溶液を滴加し、当該溶液を、室温でさらに1時間撹拌した。1,2-ジクロロエタン(3mL)中における中間体46(エチル2-エチル-5-[4-メトキシ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキシレート、203mg、0.5mmol)を加え、当該混合物を65℃で一晩加熱した。
【0148】
室温まで冷却した後、1MのHCl溶液(10mL)を滴加し、当該混合物を35~40℃で1時間撹拌した。相を分離し、水相をジクロロメタンで抽出した。収集した有機層を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧下において濃縮し、残留物を、ジイソプロピルエーテルおよびジクロロメタンの混合物の勾配を用いた、シリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製した。収量:2.6mg(79%)、m/z(M+H)+:523.1。
【0149】
実施例88は、実施例82に対して説明した手順に従って、中間体50から合成した。
【0150】
実施例88
【化38】
2-エチル-N-(2-メチルピリジン-4-イル)-1,1-ジオキソ-5-[(1r,4r)-4-メチルシクロヘキシル]-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキサミド、m/z(M+H)
+:499.1。
【0151】
工程7
中間体87
【化39】
5-(3,4-ジメトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボン酸
エタノール(400mL)中における中間体19(エチル5-(3,4-ジメトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキシレート、8.00g、23.5mmol)の懸濁液に、5MのNaOH水溶液(19mL)を加え、当該混合物を室温で2.5時間撹拌した。当該混合物のpHを、氷で冷却しながら、3MのHCl溶液の添加によって、5~6に調節した。溶媒を真空下において除去し、質量が変化しなくなるまで、乾燥オーブンにおいて40℃で乾燥させた。得られた生成物(かなりの量のNaClを含有する)を、さらなる精製を行わずに次の工程に使用した(m/z(M+H)
+:313.1)。
【0152】
第8表の中間体を、中間体87に対して説明した手順に従って合成した。
【0153】
【0154】
工程8
中間体94
【化40】
プロピル5-(3,4-ジメトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2-プロピル-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボキシレート
N,N-ジメチルホルムアミド(80mL)中における中間体87(5-(3,4-ジメトキシフェニル)-1,1-ジオキソ-2H-1λ
6,2,6-チアジアジン-3-カルボン酸;11.8mmol)の懸濁液に、不活性雰囲気下において、水素化ナトリウム(1.88g、47.0mmol、鉱油中60%)を加えた。1-ブロモプロパン(21.3mL、235mmol)を加え、当該混合物を80℃で一晩撹拌した。当該反応混合物を室温まで冷却し、水(20mL)および10%のHCl溶液(20mL)を加え、それを酢酸エチルで抽出した。収集した有機層を、水、1MのNa
2S
2O
3溶液、および塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、乾固するまでエバポレートした。残留物を、溶離液としてジクロロメタンおよびジイソプロピルエーテル(60:1)の混合物を使用して、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィによって精製した。収量:3.14g(67%)の黄色結晶。
【0155】
下記の第9表の中間体を、中間体94に対して説明した手順に従って合成した。
【0156】
【0157】
工程9
下記の第10表の中間体を、1.2~1.5mol当量の1~2MのNaOHまたはLiOH溶液を使用したことを除いて、中間体62に対して説明した手順に従って合成した。
【0158】
【0159】
工程5
下記の第11表の実施例を、実施例87に対して説明した手順(AlEt3の存在下でのエステルアミド化を介する)に従って合成した。
【0160】
【0161】
下記の第12表の実施例を、実施例1に対して説明した手順に従って合成した(HATU試薬によるアミドカップリング)。
【0162】
【0163】
下記の第13表の実施例を、実施例53に対して説明した手順に従って合成した(酸塩化物誘導体を介したアミド形成)。
【0164】
【0165】
医薬組成物の調製
以下の製剤実施例は、本発明の代表的な医薬組成物を示している。しかしながら、本発明は、下記の医薬組成物に限定されるものではない。
【0166】
A)固体経口剤形
I.錠剤
有効成分 0.01~90%
フィラー 1~99.9%
バインダー 0~20%
崩壊剤 0~20%
潤滑剤 0~10%
他の特定の賦形剤 0~50%
II.口内分散性フィルム
有効成分 0.01~90%
フィルム形成剤 1~99.9%
可塑剤 0~40%
他の特定の賦形剤 0~50%
【0167】
B)液体経口財形
III.経口懸濁剤
有効成分 0.01~50%
液体ビヒクル 10~99.9%
湿潤剤 0~50%
増粘剤 0~50%
緩衝薬 適量
浸透圧剤 0~50%
防腐剤 適量
IV.シロップ剤
有効成分 0.01~50%
溶媒 10~99.9%
糖成分 1~20%
風味剤 0~10%
【0168】
C)注射剤形
V.静脈内注射
有効成分 0.01~50%
溶媒 10~99.9%
助溶媒 0~99.9%
浸透圧剤 0~50%
緩衝薬 適量
【0169】
D)他の投与剤形
VI.坐剤
有効成分 0.01~50%
坐剤基剤 1~99.9%
表面活性剤 0~20%
潤滑剤 0~20%
防腐剤 適量
VII.点鼻液または鼻腔噴霧液
有効成分 0.01~50%
水 0~99.9%
溶媒 0~99.9%
助溶媒 0~99.9%
浸透圧剤 0~20%
増粘剤 0~20%
緩衝薬 適量
防腐剤 適量
【0170】
生物活性
ヒトα7ニコチンアセチルコリン受容体[Ca2+]iアッセイ
細胞:ヒトα7nAchRおよびヒトRIC-3(α7細胞、ヒトにおいて発生)を発現するFlp-In 293細胞
材料:PDL(Falcon)でコーティングした96ウェルプレート、培養培地、アッセイ緩衝液、DMSO、FLIPRカルシウム5キット(Molecular Devices)、プロベネシド、アゴニスト、およびPAM試験化合物
【0171】
【0172】
方法の簡単な説明(Ca
2+
蛍光分析)
α7細胞安定発現ヒトα7nAchRを、上記において詳細に説明した培地において培養し、1週間で2回分割した。細胞質Ca2+イオン濃度([Ca2+])の蛍光分析測定のため、細胞を、60000細胞/ウェルの密度において96ウェルμプレートに播種し、95%空気/5%CO2の雰囲気下で、37℃の組織培養インキュベータにおいて一晩維持した。プレート培養培地は、培養培地と同一であった。50μlの増殖培地をセルウォッシャー(BioTek Elx405UCVWS)によって吸引した。次いで、アッセイ緩衝液において2倍に希釈した50μl/ウェルのカルシウム5キットを、8チャンネルピペットを使用して手作業において加えた。インキュベーション期間(20分間、37℃)の後、ビヒクル(DMSO、4%を加えた)を含有する50μl/ウェルのアッセイ緩衝液またはレファレンスのα7PAM(4倍の最終濃度)を手作業で加え、当該細胞を37℃でさらに10分間インキュベートした。ベースラインおよびアゴニスト誘発[Ca2+]i変化を、統合された8チャンネル流体添加機能を有するプレートリーダー蛍光計であるFlexStation II(Molecular Devices、サニーベル、CA)でモニターした。37℃において蛍光測定を行った。染料を485nmにおいて励起し、発光を、1.4秒間隔で525nmにおいてサンプリングした。ベースラインを20秒間記録した後、アゴニスト刺激を行った。50μlの4倍に濃縮したアゴニスト溶液を、FlexStation IIのピペッターを使用して当該細胞に加え、蛍光をさらに40秒間モニターした。最終DMSO濃度は、全ての処理に対して1%であった。これを達成するために、一連のDMSOストック溶液を、全ての試験化合物から調製した。これらのストックを、0℃未満において貯蔵し、測定の直前に、所望の最終濃度を得るために、アッセイ緩衝液でさらに希釈した。それぞれ、飽和濃度のPAM(主に、PNU-120596、5μM)およびアゴニスト(主に、PNU-282987、1μM)の存在下において、アゴニストおよびPAM濃度-応答研究を実施した。結果は、SoftMax Proソフトウェア(Molecular Devices)を使用してΔF/F値として表現され、この場合、Fは、アゴニスト適用前の静止蛍光(resting fluorescence)であり、ΔFは、所定の時間における蛍光の増分である(ΔF=刺激後の最大蛍光強度値-刺激前の平均蛍光強度値)。全ての実験において、全ての処理を複数のウェルにおいて並行して測定し、平均ΔF/F値を分析に使用した。
【0173】
第14表は、[Ca2+]iアッセイでのPAM EC50値を示している。
【0174】
【0175】
インビボ薬理(場所認知試験)
動物:雄NMRIマウス(Toxicoop、ハンガリー)
物質:スコポラミンを塩水に溶解させ、1mg/kgの用量において腹腔内投与した。試験化合物を、習得トライアル(T1)の30分前に投与し、習得トライアルの後にスコポラミンを0.1ml/10gの量において投与した。
手順:透明なプレキシガラスによるY字迷路試験(各アームは、40cmの長さ、11cmの内側の幅、および30cmの高さを有する)においてタスクを実施した。複数の視覚的手がかりをアームの周りに配置し、実験の間、一定に維持した。当該試験は、間に30分間のインターバルを挟んだ2回のトライアル(T1およびT2)で構成された。各トライアルの開始時に、マウスを迷路の出発アームに位置した。T1において、迷路における左右対称のアームの一方を閉じ(それは、T2において新規アームとなる)、動物に迷路を5分間探索させた(習得フェーズ)。T2において、2分間、マウスに3つ全てのアームに自由にアクセスさせた。T2の間に新規のアームおよび馴染んだアームにおいて探索に費やした時間を測定した。各群において、迷路における馴染んだアームで過ごした探索時間と新規のアームにおいて過ごした探索時間の間の差を、MANOVAによって評価し、続いて、Duncan post hoc試験を行った。
【0176】
第15表は、マウスの場所認知アッセイにおけるスコポラミン誘発健忘の逆転を示している。
【0177】
【0178】
迷路における新規のアームでの探索時間と馴染んだアームでの探索時間の間において、有意差(+p<0.05;++p<0.01;+++p<0.001)が観察された。