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  • 特許-ロータリーバルブ内燃機関 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】ロータリーバルブ内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F01L 7/02 20060101AFI20240220BHJP
   F02B 25/20 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
F01L7/02 A
F02B25/20 D
F02B25/20 R
F01L7/02 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021509788
(86)(22)【出願日】2019-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2019073575
(87)【国際公開番号】W WO2020049040
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-08-16
(31)【優先権主張番号】1814488.1
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1814524.3
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514084657
【氏名又は名称】アールシーブイ エンジンズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】キース・ローズ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・メイソン
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-518739(JP,A)
【文献】特表2014-534371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 3/00- 7/18
F02B 25/00-25/2
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリーバルブ内燃機関であって、
クランクシャフトに接続され、燃焼端を有するシリンダ内を往復動するピストンと、
前記ピストン及び前記シリンダの燃焼端によって部分的に画定される燃焼室と、
前記シリンダの燃焼端の外側部分に固定され、且つボアを画定するバルブハウジングと、
前記バルブハウジングのボア内に隙間嵌めされてロータリーバルブ軸周りに回転可能な略円筒形状のロータリーバルブとを備え、
前記ロータリーバルブは、前記燃焼室の一部を形成する内部容積を有する凹状のバルブ本体を有し、
前記バルブ本体の内部容積は、燃焼行程全体を通して燃焼ガスに晒され、
前記バルブ本体は更に、その壁部において、前記ロータリーバルブの回転中に前記バルブハウジングの吸気ポート及び排気ポートを介して前記燃焼室との間で逐次的に流体流通をもたらすポートを有し、
前記バルブ本体の表面と、それに隣接する前記バルブハウジングのボアの表面との間でシール機能が実現され、
前記シール機能は、動作中の前記バルブ本体の軸方向長さに沿った温度勾配によって定められる前記バルブハウジングと前記バルブ本体との間の不均一プロファイルによって実現され、動作中の前記バルブ本体の変形により前記バルブ本体と前記バルブハウジングとの間で実質的に一定の隙間を前記バルブ本体の隣接する長さに亘って維持する、ロータリーバルブ内燃機関。
【請求項2】
請求項1に記載のロータリーバルブ内燃機関であって、
前記バルブ本体は、前記バルブ本体の軸方向に沿ってテーパ状であり、前記燃焼室側の開放端部での前記バルブ本体の直径は、室温において、前記燃焼室とは反対側の端部での直径よりも小さいことにより、動作中に前記バルブ本体のプロファイルの変化に対応する、ロータリーバルブ内燃機関。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロータリーバルブ内燃機関であって、
前記バルブ本体は、前記バルブ本体の長さの少なくとも一部において円錐台形状である、ロータリーバルブ内燃機関。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のロータリーバルブ内燃機関であって、
前記ロータリーバルブは、前記ロータリーバルブがアクティブシールバルブとして機能するための前記バルブハウジング内における径方向移動を許容するように前記バルブハウジング内に取り付けられた同軸の駆動シャフトを有する、ロータリーバルブ内燃機関。
【請求項5】
請求項4に記載のロータリーバルブ内燃機関であって、
前記バルブ本体に隣接する前記駆動シャフトの端部は、前記バルブハウジング内の前記ロータリーバルブの前記径方向移動を許容するように、より小さい直径を有する、ロータリーバルブ内燃機関。
【請求項6】
請求項1に記載のロータリーバルブ内燃機関であって、前記バルブ本体は軸方向の長さに沿って均一な径方向プロファイルを有し、前記バルブハウジングのボアは、前記バルブ本体の長さに沿って不均一な径方向プロファイルを有する、ロータリーバルブ内燃機関。
【請求項7】
請求項1に記載のロータリーバルブ内燃機関であって、前記バルブ本体は軸方向の長さに沿って不均一な径方向プロファイルを有し、前記バルブハウジングのボアは、前記バルブ本体の長さに沿って均一な径方向プロファイルを有する、ロータリーバルブ内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリーバルブにより燃焼ガスの吸排気の制御を行うロータリーバルブ内燃機関に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このようなロータリーバルブは、例えば、出願人の英国特許第2467947号によって公知となっている。ロータリーバルブエンジンでは、シールに関する問題があることが知られている。即ち、相対回転する物体間の隙間を最小にすることで効率を向上させようとすると、過熱及び焼付きの危険性を増大させるという矛盾がある。
【0003】
ロータリーバルブを用いた商業的に許容可能なエンジンを作製するための試みが長年なされてきており、特にアスピン(Aspin)によるものが挙げられるが、これらはほとんど成功していない。
【0004】
ドイツ特許公開第4217608号及びドイツ特許公開第4040936号等の従来技術では、上述の矛盾が認識されており、この問題を解決する試みとして、複雑な冷却機構を提案したり、或いは単に適切な材料を使用することで当該問題は解決されると述べたりしている。現実には、焼付きの危険性を低減するために、エンジン効率の低下や排出量増加という犠牲を払って、望ましいサイズよりも大きな隙間を設けているが、これでは現在の規制及び顧客の期待を満たすことは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロータリーバルブ本体が到達する温度がバルブハウジングと比較して高いことが一因となって生じるロータリーバルブ本体・バルブハウジング間の熱膨張差から、そもそも隙間を減少させることには特有の問題がある。その原因として、バルブ本体が燃焼室内における最高温度発生位置に配置されていること、及び、バルブ本体においては、外界に熱を伝導させるための熱経路に乏しいことが挙げられる。これとは対照的に、バルブハウジングは、フィンや水冷等の外部冷却手段を設けることにより、直接熱を放出することができるという利点を有する。
【0006】
本発明は、これら公知の問題を克服する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ロータリーバルブ内燃機関であって、クランクシャフトに接続され、燃焼端を有するシリンダ内を往復動するピストンと、上記ピストン及び上記シリンダの燃焼端によって部分的に画定される燃焼室と、上記シリンダの燃焼端の外側部分に固定され且つボアを画定するバルブハウジングと、上記バルブハウジングのボア内に隙間嵌めされてロータリーバルブ軸周りに回転可能な略円筒形状のロータリーバルブとを備え、上記ロータリーバルブは、上記燃焼室の一部を形成する内部容積を有する凹状のバルブ本体を有し、上記バルブ本体の内部容積は、燃焼行程全体を通して燃焼ガスに晒され、上記バルブ本体は更に、その壁部において、上記バルブの回転中に上記バルブハウジングの吸気ポート及び排気ポートを介して上記燃焼室との間で逐次的に流体流通をもたらすポートを有し、上記バルブ本体の表面と、それに隣接する上記バルブハウジングのボアの表面との間でシール機能が実現され、上記シール機能は、上記バルブ本体の表面と上記バルブハウジングの表面との間だけで実現され、上記バルブ本体は、上記バルブ本体の長さに沿った温度勾配によって生成される動作中の上記バルブ本体の変形に対応するように、上記バルブ本体の軸方向の長さに沿って及び/又は回転軸周りに不均一な径方向プロファイルを有することにより、上記バルブ本体と上記バルブハウジングとの間で実質的に一定の隙間を上記バルブ本体の隣接する長さに亘って維持する、ロータリーバルブ内燃機関が提供される。
【0008】
好ましい実施形態では、上記バルブ本体は、上記バルブ本体の軸方向に沿ってテーパ状であり、上記燃焼室側の開放端部での上記バルブ本体の直径は、室温において、上記燃焼室とは反対側の端部での直径よりも小さいことにより、動作中に上記バルブ本体のプロファイルの変化に対応する。
【0009】
上記バルブ本体は、上記バルブ本体の長さの少なくとも一部において円錐台形状であっても良い。
【0010】
好ましくは、別の実施形態において、上記バルブは、上記バルブハウジング内において、上記バルブハウジング内の上記バルブの僅かな径方向移動を許容するように取り付けられた同軸の駆動シャフトを有し、これにより上記バルブはアクティブシールバルブとして機能する。
【0011】
この実施形態では、上記バルブ本体に隣接する上記バルブ駆動シャフトの端部は、上記バルブハウジング内の上記バルブの僅かな径方向移動を許容するように、より小さい直径を有する。
【0012】
更なる実施形態では、ロータリーバルブ内燃機関であって、クランクシャフトに接続され、燃焼端を有するシリンダ内で往復動するピストンと、上記ピストン及び上記シリンダの燃焼端によって部分的に画定される燃焼室と、上記シリンダの燃焼端の外側部分に固定され且つボアを画定するバルブハウジングと、上記バルブハウジングのボア内に隙間嵌めされてロータリーバルブ軸周りに回転可能な略円筒形状のロータリーバルブとを備え、上記ロータリーバルブは、上記燃焼室の一部を形成する内部容積を有する凹状のバルブ本体を有し、上記バルブ本体の内部容積は、燃焼行程全体を通して燃焼ガスに晒され、上記バルブ本体は更に、その壁部において、上記バルブの回転中に上記バルブハウジングの吸気ポート及び排気ポートを介して上記燃焼室との間で逐次的に流体流通をもたらすポートを有し、上記バルブ本体の表面とそれに隣接する上記バルブハウジングのボアの表面との間でシール機能が実現され、上記シール機能は、上記バルブ本体の表面と上記バルブハウジングの表面との間だけで実現され、上記バルブ本体は、上記バルブハウジングに隣接する長さに沿って一定の直径を有し、上記バルブハウジングは、上記バルブ本体の長さに沿った温度勾配によって生成される動作中の上記バルブ本体の変形に対応するように、上記バルブハウジングの軸方向の長さに沿って及び/又は回転軸周りに不均一な径方向プロファイルを有することにより、上記バルブ本体と上記バルブハウジングとの間で実質的に一定の隙間を上記バルブ本体の隣接する長さに亘って維持する、ロータリーバルブ内燃機関が開示される。
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】単気筒空冷エンジンの断面図である。
図2】ロータリーバルブ本体の一実施形態の概略図である。
図3図1のエンジンの下側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、図1を参照すると、単気筒空冷エンジンが示されている。当該エンジンはシリンダハウジングを有し、そこにシリンダ2が収容される。ピストン1がクランクシャフト3に従来の態様で接続されており、このクランクシャフトは、ピストン1をシリンダ2内で往復動させるためにクランクケース14内で回転するように取り付けられる。シリンダ2の上部は、燃焼室ハウジング内の燃焼室4により閉じられる。燃焼室4に吸入される空気・燃料混合気及び燃焼室4からの排気ガスの流れは、ロータリーバルブ5により制御される。この実施形態では、バルブ5は、燃焼室ハウジング内のバルブハウジング8内において、シリンダ2の軸線と同軸の軸線5a周りに回転可能である。他の実施形態では、バルブ本体の回転軸は、シリンダ2の軸線5aからオフセットされる。
【0016】
ロータリーバルブ5は、燃焼室4とは反対側の端部において同軸の駆動軸6を有し、この駆動シャフトは、バルブハウジング8内にバルブ5を回転可能に支持する単一軌道輪式玉軸受7を担持する。バルブ駆動軸6は、同軸の従動歯車9に固定されており、この従動歯車は、駆動機構11の駆動歯車10と噛み合い、この駆動機構を通じて従動歯車9及びこれに伴いロータリーバルブ5はクランクシャフト3に接続される。駆動機構11は、シリンダハウジングにある導管即ちチューブ17内に配置されて、駆動歯車10に隣接する上側軸受18及びクランクシャフト3に隣接する下側軸受13に回転可能に取り付けられた駆動シャフト12を備える。駆動シャフト12は傘歯車15を担持しており、この傘歯車は、クランクシャフト3と共に回転するようにクランクシャフトに固定された対応する傘歯車16と噛み合う。これにより、クランクシャフト3の回転、及びこれに伴いピストンの移動がロータリーバルブ5の回転と連携して働くことにより、エンジンは従来の4ストロークサイクルで動作する。これを達成するために、従動歯車9の直径は駆動歯車10の直径の2倍としており、これによりロータリーバルブ5はエンジンスピードの半分で回転する。
【0017】
次に、図2をも参照すると、ロータリーバルブ5がより詳細に示されており、ロータリーバルブ5は、バルブハウジング8内のボアの中に隙間嵌めされてロータリーバルブ軸線5a周りで回転可能な略円筒形状のロータリーバルブ本体5を含む。ロータリーバルブ5は、燃焼室の一部を形成する内部容積を有する凹状のバルブ本体19を有する。当該バルブは、軸6よりも直径が僅かに大きいバルブ本体19を構成する略円筒形状の本体部分を有し、これにより、玉軸受7の内輪が配置される肩部14が形成される。バルブ本体19は燃焼室内へと延在しており、その内部に、燃焼室4の一部を形成して燃焼プロセスの全ての行程で燃焼ガスに晒される空間20を有する。バルブ本体19は、バルブハウジング8のボア内に隙間嵌めされて回転可能である。バルブ本体は、動作中のバルブ本体のプロファイルの変化に対応するように、その軸方向の長さに沿って及び/又はその回転軸周りに不均一なプロファイルを有する。この実施形態では、バルブ本体の直径は、円錐台形状のテーパであり、室温において、燃焼室に突出するバルブ本体の壁部23の外周下端22においてより小さな直径を有する。このテーパは、主に実際に発生するバルブ長に沿った温度勾配によって引き起こされる、使用中の軸方向の長さに沿ったバルブの異なる膨張を補償するように設計される。このように、通常の動作条件では、バルブ本体の外周と、バルブ本体が中で回転するボアとの間の隙間は、バルブ本体の長さ全体に亘って実質的に一定である。更に、バルブ本体の回転断面は、ポート21の外周端の領域で発生し得るような、バルブの直径に亘る温度のばらつきに対応するような不均一断面とすることができる。当該外周端は、そこで必然的に発生する熱集中を補償するように、直径寸法において僅かに小さいものとすることができる。これらの措置によって、例えばこの外周端で発生し得る局所的なホットスポットによるエンジンの焼付きの危険性が効果的に除去される。本体がテーパ状であると説明したが、テーパはバルブの長さ全体に亘って均一である必要はなく、通常の使用時に生じるバルブの軸方向の寸法に沿った実際の温度勾配によって決定される。
【0018】
なお、この実施形態は、ハウジング内のボアの直径を一定とし、形状の工夫をバルブ本体に対して行っているが、バルブ本体を円筒形状として、ハウジング内のボアのプロファイルに形状の工夫を行っても良い。ハウジングの熱放散特性はバルブ本体とは異なるため、ハウジングの形状の工夫は、バルブ本体に対して形状の工夫を行う場合に必要なものとは異なる。形状の工夫の目的は、バルブ本体・ハウジング間の隙間を確実にその全長に亘って可能な限り一定且つ可能な限り小さくすることで、エンジン効率を最大化して最大出力を実現すると同時に排出量を最小化することである。バルブ5及びバルブハウジング8は、アルミニウムで形成される。
【0019】
ロータリーバルブ5の軸6の部分の直径をバルブ本体19よりも僅かに小さくすることで肩部14を形成する。当該軸を中実とすることにより、バルブ本体19から外部に熱を伝導するための良好な経路が得られる。肩部14に隣接して、軸6は、バルブ本体の僅かな径方向の動きを可能にするための僅かな切込みを有しており、その結果、燃焼行程中に燃焼圧力が上昇した時、その燃焼圧力はバルブのポートをバルブハウジングの排気ポートへと付勢するように働き、こうしてバルブがアクティブシールとして機能してガス漏れを低減する。
【0020】
ロータリーバルブ本体19は、バルブの回転中に、バルブの内部容積、及びこれに伴い燃焼室との間でバルブハウジングの吸気ポート及び排気ポートを介して逐次的に流体連通を可能にするポート21を有する。この実施形態では、当該ポートは、燃焼室4に隣接してバルブ本体の壁部23の外周下端22に形成された凹部の形態を取り、当該凹部は、バルブの壁部のこの下端から上方に延在して、バルブ側部においてポート21を形成する。
【0021】
本実施形態では、バルブ本体のプロファイルを不均一とし、これをバルブハウジング内の均一な円筒形状のボア内で回転させる。別の構成では、バルブ本体のプロファイルを均一な一定直径の円筒形状とし、バルブハウジングのボアで不均一なプロファイルを形成しても良い。
【0022】
なお、本発明を単気筒エンジンとして説明したが、本発明は、インライン、V型、又は水平対向構成等の多気筒エンジンにも同様に適用可能である。更に、本発明を火花点火エンジンとして説明したが、本発明は、圧縮点火エンジンにも同様に適用可能である。
【0023】
なお、上述の例は、ロータリーバルブの回転軸がシリンダの軸線と同軸又は平行であるエンジンの場合であるが、バルブの回転軸は、シリンダの軸線から角度オフセットさせても良い。本発明は、バルブの回転軸がクランクシャフトの回転軸に平行であるか、又は任意の中間角度を有するロータリーバルブエンジンにも同様に適用可能である。
【0024】
更なる実施形態によると、4ストロークサイクルで動作するロータリーバルブ内燃機関であって、クランクケース内に配置されたクランクシャフトに接続され、燃焼端を有するシリンダ内で往復動するピストンと、上記ピストン及び上記シリンダの燃焼端によって部分的に画定された燃焼室と、上記シリンダの燃焼端の外側部分に固定されてボアを画定するバルブハウジングと、上記バルブハウジングのボア内のロータリーバルブ軸周りで回転可能なロータリーバルブと、を備え、上記ロータリーバルブは、上記燃焼室の一部を形成する内部容積を有する凹状のバルブ本体を有し、上記中空バルブ本体の内部容積は、燃焼行程全体を通して燃焼ガスに晒され、上記ロータリーバルブは更に、その壁部分において、上記バルブの回転中、上記バルブハウジングにある吸気ポート及び排気ポートを介して上記燃焼室との間で逐次的に連通をもたらすポートを有し、上記吸気ポートと上記クランクケースとの間に流体通路が形成される、ロータリーバルブ内燃機関が提供される。好ましくは、キャブレターが吸気管に接続されて空気・燃料混合物を上記吸気管に供給し、上記流体通路は、上記キャブレターの下流において上記吸気管に接続される。上記流体通路は、パイプを含み得る。
【0025】
次に、この更なる実施形態について、図1のエンジンの下側の斜視図を示す図3を参照して、例として説明する。
【0026】
図3を参照して、図1に従うエンジンの下側の斜視図が示され、クランクケース3及びキャブレター26が示されており、キャブレター26は、その下流において吸気管52に接続され、それに伴いエンジンの吸気ポート27に流体接続する。吸気管52とクランクケース3との間の流体接続はパイプ51によって形成され、このパイプは、駆動機構11の傘歯車15,16に隣接する接続部53によってクランクケース3に接続される。
【0027】
クランクケースと吸気管との間の流体接続により、燃焼中にピストンを通過する燃焼ガスの漏れによって生成されたクランクケース内のブローバイガスを吸気管内へ、及びこれに伴い吸気ポート27へと排出することができる。動作時には、上方へのピストンストローク中、クランクケースの容積の増加によってクランクケース内に負の圧力が発生し、これにより、少量の吸入ガスが吸気管からクランクケース内に引き込まれる。この吸入ガスはクランクケース内のガスと混合する。クランクケースの容積を減らす下方へのピストンストローク中、少量のクランクケース内のガスが吸気管内へ排出される。これにより、吸入混合気とクランクケース内の混合気との間の平衡がクランクケース内で高まり、クランクケースの潤滑性を確保する。
図1
図2
図3