(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】路面用または床面用の粘着剤組成物およびマーキングシート
(51)【国際特許分類】
C09J 133/04 20060101AFI20240220BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240220BHJP
C09J 7/28 20180101ALI20240220BHJP
C09J 7/29 20180101ALI20240220BHJP
E01F 9/512 20160101ALI20240220BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240220BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20240220BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C09J133/04
C09J7/38
C09J7/28
C09J7/29
E01F9/512
B32B27/00 M
B32B15/08 N
B32B27/30 A
(21)【出願番号】P 2021511159
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(86)【国際出願番号】 JP2020003750
(87)【国際公開番号】W WO2020202762
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2019068392
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000202350
【氏名又は名称】綜研化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊田 昂
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/010367(WO,A1)
【文献】特開2018-177919(JP,A)
【文献】特開2017-025270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 15/08- 15/12,27/00-27/42
E01F 9/506- 9/512
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル基の炭素数が4~12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)60~92質量%、
アルキル基の炭素数が1~3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)5~30質量%、および
酸性基を有するモノマー(a3)3~10質量%を含むモノマー成分(ただし、成分(a1)、(a2)および(a3)の合計を100質量%とする。)からなる共重合体である(メタ)アクリル系共重合体(A)と、
アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b1)90~99.5質量%、および
アミノ基を有するモノマー(b2)0.5~10質量%を含むモノマー成分(ただし、成分(b1)および(b2)の合計を100質量%とする。)からなる共重合体である(メタ)アクリル系共重合体(B)と、
架橋剤と、を含有する粘着剤組成物であり、
前記(メタ)アクリル系共重合体(A)における、GPC法により測定される重量平均分子量(Mw)が81万~150万であり、かつ、分子量分布(Mw/Mn)が1.2~2.7であり、
前記(メタ)アクリル系共重合体(B)におけるMwが1.3万~10万であり、
前記粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、前記(メタ)アクリル系共重合体(B)1~30質量部を含むことを特徴とする路面用または床面用粘着剤組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル系共重合体(B)のガラス転移温度が40℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の路面用または床面用粘着剤組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層と、基材とを含み、かつ、前記粘着剤層および前記基材が積層されていることを特徴とする路面用または床面用マーキングシート。
【請求項4】
前記基材が金属箔であることを特徴とする請求項3に記載の路面用または床面用マーキングシート。
【請求項5】
請求項1または2に記載の粘着剤組成物からなる第1の粘着剤層と、第1の基材と、第2の粘着剤層と、第2の基材とを含み、かつ、これらがこの順で積層されていることを特徴とする路面用または床面用マーキングシート。
【請求項6】
前記第1の基材が金属箔であることを特徴とする請求項5に記載の路面用または床面用マーキングシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面用または床面用の粘着剤組成物およびマーキングシートに関する。
【背景技術】
【0002】
路面用または床面用マーキングシートは、屋内外の道路・駐車場等の路面または床面に貼りつけて、宣伝、方向指示、交通標識または案内等の情報を表示する目的で、道路・駐車場等の路面または床面(以下、「路面等」という場合がある。)に用いられている。
【0003】
このような路面等に貼りつけて設置されるマーキングシートは、例えば、塩化ビニルシートを基材とし、基材の一方の面に路面等に貼り付けるための粘着剤層を設け、基材の他方の面に所望の情報に関する文字や模様等を施した装飾層等を形成して構成されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、第1の粘着剤層、金属層、第2の粘着剤層、基材および装飾層を備えたマーキングシート本体と、前記マーキングシート本体の路面側(第1の粘着剤層)とは反対側の表面に貼付された路面・床面マーキング用ラミネートシートとから構成される路面・床面マーキングシートが開示されている。
【0005】
ここで、路面用マーキングシートは、長期間における屋外の雨風や日射等を受けるとともに、度重なる車両の走行を受けるという環境下で使用される。また、床面用マーキングシートは、清掃作業や歩行者の靴などによる摩擦や衝撃等を受け続けるといった環境下で使用される。このように、路面用または床面用マーキングシートは、屋外の看板等を装飾するマーキングシート(例えば特許文献2参照)よりも、さらに過酷な環境下で使用されるため、マーキングシート自体が傷付く、あるいは剥がれてしまうという課題がより深刻であり、求められる特性も異なっている。
【0006】
路面用または床面用マーキングシートには、一般的に、アスファルトなどの凹凸のある粗面に対する追従性に加えて、粘着力、耐候性、耐熱性および耐湿熱性が必要となる。また、アスファルトなどへの追従性を出すために、アルミニウムなどの金属基材を用いることが検討されている。このような金属基材を使用する場合には、粘着剤層の成分として、金属との相互作用の強い酸性基を有するモノマーを共重合することが考えられる。
【0007】
しかしながら、単純に酸性基を有するモノマーを共重合しただけでは路面・床面用マーキングシートとしての粘着力や耐候性等が不十分であるだけでなく、前記のような、貼付後の過酷な環境や経時により、基材よりも被着体への密着性が良くなり、剥離する際に基材から粘着剤が被着体に転着するという課題があった。なお、特許文献1の発明は、路面・床面マーキングシートをハンマーで叩いて粘着剤層を路面に密着させるハンマー施工時におけるラミネートシートの基材フィルムの割れ等の課題を解決することを目的としており、粘着剤に関する詳細な検討はなされておらず、特に路面・床面マーキングシートを剥離する際に粘着剤層が被着体に転着するという課題については何ら記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2015-184488号公報
【文献】特開2011-231218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記課題に鑑み、アスファルトなどの粗面な路面等に対する追従性に加えて、粘着力、耐剥がれ性、耐熱性および耐湿熱性が従来よりも優れ、また基材と粘着剤層間の密着性に優れ、かつ剥離する際に基材から粘着剤が被着体に転着することを抑制できる粘着剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、下記構成例によれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の構成例は以下の通りである。
【0011】
[1] アルキル基の炭素数が4~12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)60~92質量%、アルキル基の炭素数が1~3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)5~30質量%、および酸性基を有するモノマー(a3)3~10質量%を含むモノマー成分(ただし、成分(a1)、(a2)および(a3)の合計を100質量%とする。)からなる共重合体である(メタ)アクリル系共重合体(A)と、アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b1)90~99.5質量%、およびアミノ基を有するモノマー(b2)0.5~10質量%を含むモノマー成分(ただし、成分(b1)および(b2)の合計を100質量%とする。)からなる共重合体である(メタ)アクリル系共重合体(B)と、を含有する粘着剤組成物であり、前記粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、前記(メタ)アクリル系共重合体(B)1~30質量部を含むことを特徴とする路面用または床面用粘着剤組成物。
[2] 前記(メタ)アクリル系共重合体(B)のガラス転移温度が40℃以上であることを特徴とする[1]に記載の路面用または床面用粘着剤組成物。
[3] [1]または[2]に記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層と、基材とを含み、かつ、前記粘着剤層および前記基材が積層されていることを特徴とする路面用または床面用マーキングシート。
[4] 前記基材が金属箔であることを特徴とする[3]に記載の路面用または床面用マーキングシート。
[5] [1]または[2]に記載の粘着剤組成物からなる第1の粘着剤層と、第1の基材と、第2の粘着剤層と、第2の基材とを含み、かつ、これらがこの順で積層されていることを特徴とする路面用または床面用マーキングシート。
[6]前記第1の基材が金属箔であることを特徴とする[5]に記載の路面用または床面用マーキングシート。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、アスファルトなど粗面に対する追従性に加えて、粘着力、耐剥がれ性、耐熱性および耐湿熱性を発揮するため、貼付後の環境や経時による影響を受けにくく、被着体への密着性を適当な強さに保ち、また基材と粘着剤層間の密着性に優れ、かつ剥離する際に基材から粘着剤が被着体に転着することを抑制できる路面用または床面用粘着剤組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明のマーキングシートにおける層構成の具体例を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
本発明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよびメタクリルを総称する意味で用いる。すなわち、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルを総称する意味で用いる。また、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートを総称する意味で用いる。
【0015】
[路面用または床面用粘着剤組成物]
本発明の路面用または床面用粘着剤組成物(以下、単に「粘着剤組成物」と記す場合がある。)は、アルキル基の炭素数が4~12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)60~92質量%、アルキル基の炭素数が1~3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)5~30質量%、および酸性基を有するモノマー(a3)3~10質量%を含むモノマー成分(ただし、成分(a1)、(a2)および(a3)の合計を100質量%とする。)からなる共重合体である(メタ)アクリル系共重合体(A)と、アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b1)90~99.5質量%、およびアミノ基を有するモノマー(b2)0.5~10質量%を含むモノマー成分(ただし、成分(b1)および(b2)の合計を100質量%とする。)からなる共重合体である(メタ)アクリル系共重合体(B)と、を含有する粘着剤組成物であり、前記粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、前記(メタ)アクリル系共重合体(B)1~30質量部を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する路面用または床面用マーキングシートは、アスファルト等の粗面および凹凸面への追従性が良好であり、かつ浮きや剥がれが生じにくく、さらに剥離する際に粘着剤が被着体に転着しにくいため好ましい。
【0017】
<(メタ)アクリル系共重合体(A)>
本発明の粘着剤組成物に用いられる(メタ)アクリル系共重合体(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)および酸性基を有するモノマー(a3)を含むモノマー成分からなる共重合体である。
【0018】
≪(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)≫
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)は、炭素数が4~12のアルキル基を有する。
【0019】
前記炭素数が4~12のアルキル基としては、例えば、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、neo-ペンチル基(2,2-ジメチルプロピル基)、iso-ペンチル基(3-メチルブチル基)、sec-ペンチル基(1-メチルブチル基)、tert-ペンチル基(1,1-ジメチルプロピル基)、n-ヘキシル基、iso-ヘキシル基(4-メチルペンチル基)、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基、iso-オクチル基、1-メチルヘプチル基、ノニル基、n-デシル基、iso-デシル基、およびラウリル基が挙げられる。
【0020】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)は、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)の具体例としては、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、neo-ペンチル(メタ)アクリレート、iso-ペンチル(メタ)アクリレート、sec-ペンチル(メタ)アクリレート、tert-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、iso-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、iso-オクチル(メタ)アクリレート、1-メチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、iso-デシル(メタ)アクリレートおよびラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの中では、n-ブチルアクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、およびラウリルアクリレートが好ましく、n-ブチルアクリレートがより好ましい。
【0021】
≪(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)≫
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)は、炭素数が1~3のアルキル基を有する。
前記炭素数が1~3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、およびiso-プロピル基が挙げられる。
【0022】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)は、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレートおよびiso-プロピル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種のモノマーが好ましく、メチルアクリレート、エチルアクリレートがより好ましく、メチルアクリレートがさらに好ましい。
【0023】
前記アルキル基の炭素数が1~3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)を用いることで、(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度を上げることができ、また、粘着剤組成物の極性が高くなるため、共重合体(A)を含む粘着剤組成物と金属基材との密着性を向上することができる。
【0024】
≪酸性基を有するモノマー(a3)≫
酸性基を有するモノマー(a3)は、分子内に酸性基を有するモノマーであり、一分子内に酸性基を1個有するモノマーでもよく、2個以上有するモノマーでもよい。
【0025】
(メタ)アクリル系共重合体(A)を得るために用いるモノマー成分として、酸性基を有するモノマー(a3)を用いることで、後述の(メタ)アクリル系共重合体(B)が有するアミノ基と相互作用することが可能であり、エージング性に優れた粘着シートを得ることができる。また、基材に用いられる金属箔との相互作用が高まり、金属密着性が向上するという効果を奏する。
【0026】
酸性基を有するモノマー(a3)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、5-カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー、リン酸基を有するモノマーおよびスルホン酸基を有するモノマーが挙げられる。
【0027】
酸性基を有するモノマー(a3)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。酸性基を有するモノマー(a3)としては、アクリル酸、メタクリル酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種のモノマーを用いることが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸から選択される少なくとも1種のモノマーを用いることがより好ましい。これらのモノマーは工業的に入手し易いため好ましい。
【0028】
<(メタ)アクリル系共重合体(A)のモノマー成分>
(メタ)アクリル系共重合体(A)を構成するモノマー成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)を60~92質量%、好ましくは63~89質量%、より好ましくは66~85質量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)を5~30質量%、好ましくは7~28質量%、より好ましくは10~26質量%、および酸性基を有するモノマー(a3)を3~10質量%、好ましくは4~9質量%、より好ましくは5~8質量%の量で含む。但し、成分(a1)~(a3)の合計を100質量%とする。
【0029】
(メタ)アクリル系共重合体(A)を構成するモノマー成分は、さらに、前記モノマー(a1)~(a3)以外の他のモノマー(a4)を含んでいてもよい。他のモノマー(a4)としては、例えば、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、4-メトキシブチル(メタ)アクリレート、4-エトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル基含有(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0030】
前記他のモノマー(a4)は、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)を構成するモノマー成分全体を100質量%とすると、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下の量で用いることができる。
【0031】
<(メタ)アクリル系共重合体(A)の製造条件>
本発明に用いられる(メタ)アクリル系共重合体(A)は、前記モノマー成分を共重合することにより得られる。
【0032】
共重合する方法としては、例えば、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法等の従来公知の重合法により製造することができ、これらの中でも溶液重合法が好ましい。
具体的には、反応容器内に重合溶媒、モノマー成分を仕込み、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で重合開始剤を添加し、反応開始温度を好ましくは40~100℃、より好ましくは50~90℃、さらに好ましくは60~85℃の温度に反応系を維持して、3~20時間反応させることにより(メタ)アクリル系共重合体(A)を得ることができる。
【0033】
重合開始剤としては、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2-フェニルアゾ-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’-アゾビス〔2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド〕、2,2’-アゾビス(イソブチルアミド)ジヒドレート、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)、2,2’-アゾビス(2-シアノプロパノール)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等のアゾ化合物が挙げられる。
【0034】
過酸化物系重合開始剤としては、例えば、t-ブチルパーオキサイド、クメンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、カプロイルパーオキサイド、ジ-i-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-アミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-オクチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-α-クミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-オクチルパーオキシシクロヘキシル)ブタンが挙げられる。
【0035】
重合開始剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。また、重合中に、重合開始剤を複数回添加することも制限されない。
重合開始剤は、(メタ)アクリル系共重合体(A)を構成するモノマー成分100質量部に対して、好ましくは0.001~5質量部、より好ましくは0.005~3質量部の範囲内の量で使用される。また、上記重合反応中に、重合開始剤、連鎖移動剤、重合性単量体、重合溶媒を適宜追加添加してもよい。
【0036】
溶液重合に用いる重合溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、フェニルエチルエーテル、ジフェニルエーテル等のエーテル類;クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類等が挙げられる。
重合溶媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0037】
<(メタ)アクリル系共重合体(A)の物性>
(メタ)アクリル系共重合体(A)における、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定される重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算値で、好ましくは40万以上、より好ましくは50万~150万、さらに好ましくは60万~120万、特に好ましくは70万~100万である。Mwが前記下限値以上であると、粘着剤組成物から形成された粘着剤層の耐久性および凝集力が優れる点で好ましい。Mwが前記上限値以下であると、粘着剤組成物の塗工性が良好である点で好ましい。
【0038】
(メタ)アクリル系共重合体(A)における、GPC法により測定される分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは1.0~10.0、より好ましくは1.2~9.0、さらに好ましくは1.5~8.0である。Mw/Mnが前記下限値以上であると、粘着シートにおける粘着剤層と基材との密着性発現や、粘着シートの被着体等への密着性発現の点で好ましい。Mw/Mnが前記上限値以下であると、耐熱性に優れ耐久性維持の点で好ましい。
【0039】
(メタ)アクリル系共重合体(A)における、Foxの式より求めたガラス転移温度(Tg)は、好ましくは-50℃以上、より好ましくは-50~0℃、さらに好ましくは、-45~-10℃である。(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度が前記範囲内であると、優れた接着強度を有する粘着剤を得ることができる。
【0040】
<(メタ)アクリル系共重合体(B)>
本発明の粘着剤組成物に用いられる(メタ)アクリル系共重合体(B)は、アルキル基の炭素数が1~20である(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b1)と、アミノ基を有するモノマー(b2)とを含むモノマー成分からなる共重合体である。
【0041】
≪(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b1)≫
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b1)は、炭素数が1~20のアルキル基を有する。前記炭素数は、工業的に入手し易いという観点から好ましくは1~12、より好ましくは1~8であることが望ましい。
【0042】
炭素数が1~20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基、iso-オクチル基、ノニル基、iso-ノニル基、n-デシル基、iso-デシル基、ウンデカ基、ラウリル基、ステアリル基、iso-ステアリル基が挙げられる。
【0043】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b1)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b1)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、iso-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、iso-オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、iso-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、iso-デシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、iso-ステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0044】
これらの中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b1)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種のモノマーが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種のモノマーがより好ましく、メチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレートから選択される少なくとも1種のモノマーがさらに好ましい。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、高温耐久性が得られるため好ましい。
【0045】
≪アミノ基を有するモノマー(b2)≫
アミノ基を有するモノマー(b2)は、分子内にアミノ基を有するモノマーであり、一分子内にアミノ基を1個有するモノマーでもよく、2個以上有するモノマーでもよい。
【0046】
アミノ基を有するモノマー(b2)としては、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートおよびN-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール等のN-ビニルモノマーを挙げることができる。これらの中ではN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートが好ましく、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートがより好ましい。
【0047】
アミノ基を有するモノマー(b2)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。アミノ基を有するモノマー(b2)が共重合された(メタ)アクリル系共重合体(B)は、(メタ)アクリル系共重合体(A)との相溶性に優れるため好ましい。
【0048】
<(メタ)アクリル系共重合体(B)のモノマー成分>
前記(メタ)アクリル系共重合体(B)を構成するモノマー成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b1)を90~99.5質量%、好ましくは92~98質量%、アミノ基を有するモノマー(b2)を0.5~10質量%、好ましくは2~8質量%含む。ただし成分(b1)および(b2)の合計を100質量%とする。
【0049】
前記(メタ)アクリル系共重合体(B)を構成するモノマー成分は、さらに、前記モノマー(b1)および(b2)以外の他のモノマー(b3)を含んでいてもよい。前記他のモノマー(b3)としては、例えば、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、4-メトキシブチル(メタ)アクリレート、4-エトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル基含有(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0050】
前記他のモノマー(b3)は、前記(メタ)アクリル系共重合体(B)を構成するモノマー成分全体を100質量%とすると、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下の量で用いることができる。
【0051】
<(メタ)アクリル系共重合体(B)の製造条件>
本発明に用いられる(メタ)アクリル系共重合体(B)は、前記モノマー成分を共重合することにより得られる。
【0052】
共重合する方法としては、例えば、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法等の従来公知の重合法により製造することができ、これらの中でも溶液重合法が好ましい。
【0053】
具体的には、反応容器内に重合溶媒、モノマー成分を仕込み、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で重合開始剤を添加し、反応開始温度を好ましくは40~100℃、より好ましくは50~90℃に設定し、さらに好ましくは60~90℃の温度に反応系を維持して、3~20時間反応させることにより(メタ)アクリル系共重合体(B)を得ることができる。
【0054】
重合開始剤としては、前記<(メタ)アクリル系共重合体(A)の製造条件>の項目で記載したものを適宜用いることができる。なお、(メタ)アクリル系共重合体(A)を製造する際に用いる重合開始剤と、(メタ)アクリル系共重合体(B)を製造する際に用いる重合開始剤は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0055】
重合開始剤は、(メタ)アクリル系共重合体(B)を形成するモノマー成分100質量部に対して、好ましくは0.001~5質量部、より好ましくは0.005~3質量部の範囲内の量で使用される。また、上記重合反応中に、重合開始剤、連鎖移動剤、重合性単量体、重合溶媒を適宜追加添加してもよい。
【0056】
溶液重合に用いる重合溶媒としては、前記<(メタ)アクリル系共重合体(A)の製造条件>の項目で記載したものを適宜用いることができる。なお、(メタ)アクリル系共重合体(A)を製造する際に用いる重合溶媒と、(メタ)アクリル系共重合体(B)を製造する際に用いる重合溶媒は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0057】
<(メタ)アクリル系共重合体(B)の物性>
(メタ)アクリル系共重合体(B)は、低分子量のポリマーであり、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定される重量平均分子量(Mw)が、ポリスチレン換算値で、好ましくは1000~100000、より好ましくは2000~80000、さらに好ましくは5000~40000である。(メタ)アクリル系共重合体(B)のMwが前記範囲内であると、低分子による被着体に対する粘着剤層の密着性や、凹凸面に対する追従性を高める機能を向上させ、粘着力と耐湿熱性が向上する。
【0058】
(メタ)アクリル系共重合体(B)は、GPC法により測定される分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が、好ましくは1.0~4.0、より好ましくは1.1~3.5、さらに好ましくは1.2~3.0、特に好ましくは1.4~2.5である。
【0059】
(メタ)アクリル系共重合体(B)における、Foxの式より求めたガラス転移温度(Tg)は、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、さらに好ましくは60~120℃、特に好ましくは80~110℃である。(メタ)アクリル系共重合体(B)のTgが前記範囲にあることで、耐熱性および耐湿熱性を有しつつ、粘着力に優れた粘着剤を得ることができる。
【0060】
本発明の粘着剤組成物における(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、1~30質量部、好ましくは2~20質量部、より好ましくは5~20質量部である。(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量が前記範囲にあることで、湿熱環境下に置いた後での浮きや剥がれが生じにくく、さらに路面等から剥離する際に基材から粘着剤が被着体に転着することを抑制できる路面用または床面用マーキングシートを得ることができる。
【0061】
<架橋剤>
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤を含有する。
架橋剤としては、特に限定は無いが、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、金属キレート化合物等を用いることができる。架橋剤としては1種単独で用いても、2種以上を用いてもよく、前記粘着剤組成物は、架橋剤が反応することにより、三次元架橋構造を形成することが可能であり、高い粘着力かつ凝集力を発現することが可能である。
【0062】
また、前記粘着剤組成物における架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.03~3質量部、さらに好ましくは0.05~2.5質量部である。
【0063】
エポキシ系架橋剤としては、(1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラグリジル-m-キシリレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルイソシアネート、m-N,N-ジグリシジルアミノフェニルグリシジルエーテル、N,N-ジグリシジルトルイジン、N,N-ジグリシジルアニリン、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0064】
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマーおよびこれらイソシアネートモノマーにトリメチロールプロパンなどと付加反応させたイソシアネート化合物、ビュレット型イソシアネート化合物、さらにはイソシアネートモノマーにポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなど付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネート等が挙げられる。
【0065】
金属キレート化合物としては、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属に、アルコキシド、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等が配位した化合物が挙げられる。具体的には、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムセカンダリーブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネートが挙げられる。
架橋剤としては、エポキシ系架橋剤が耐熱性に優れる観点から好ましい。
【0066】
<粘着剤組成物の組成>
本発明の粘着剤組成物は、前述した(メタ)アクリル系共重合体(A)、(メタ)アクリル系共重合体(B)および架橋剤以外に、さらに粘着付与樹脂、帯電防止剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、微粒子、色素等の各種添加剤を本発明の粘着剤組成物の物性を損なわない範囲で含んでいてもよい。本発明の粘着剤組成物が、前記各種添加剤を含む場合には、粘着剤組成物の固形分100質量%中、各種架橋剤を好ましくは0.03~30質量%、より好ましくは0.05~25質量%、さらに好ましくは0.08~20質量%含む。
【0067】
本発明の粘着剤組成物は、上記成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、有機溶媒を含有してもよい。
有機溶媒としては、例えば、(メタ)アクリル系共重合体(A)の製造方法の説明で記載した重合溶媒が挙げられる。本発明の粘着剤組成物は、例えば、(メタ)アクリル系共重合体(A)および重合溶媒を含むポリマー溶液と、(メタ)アクリル系共重合体(B)および重合溶媒を含むポリマー溶液と、架橋剤とを混合することにより調製することができる。本発明の粘着剤組成物における、有機溶媒の含有量は、好ましくは0~90質量%であり、より好ましくは10~80質量%である。
【0068】
<粘着剤組成物の製造方法>
本発明の粘着剤組成物は、粘着剤組成物に含まれる各成分(例えば前述の(メタ)アクリル系共重合体(A)、(メタ)アクリル系共重合体(B)および架橋剤)を、撹拌装置等を用いて公知の方法で混合することにより得られる。
【0069】
すなわち、本発明の粘着剤組成物は、各成分を一括または順次混合し、攪拌することにより得られる。攪拌時間は特に制限はないが、作業性および生産性の面から、室温にて10~120分程度であればよい。
【0070】
[路面用または床面用マーキングシート]
<積層体の構成>
本発明の路面用または床面用マーキングシート(以下、単に「本発明のマーキングシート」ともいう。)は、本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層と、基材とを含み、かつ、前記粘着剤層および前記基材が積層されていることを特徴とし、前記基材が金属箔であることが好ましい。
【0071】
本発明のマーキングシートの好ましい構成としては、例えば、第1の粘着剤層と、第1の基材と、第2の粘着剤層と、第2の基材とを含み、かつ、これらがこの順で積層されている態様が挙げられる。
【0072】
図1は、本発明のマーキングシートにおける層構成の具体例を模式的に示した図である。
図1に示すマーキングシートは、第1の粘着剤層(11)と、第1の基材(12)と、第2の粘着剤層(13)と、第2の基材(14)とが、被着体もしくは剥離ライナー(10)からマーキングシートの厚み方向に前記の順番に積層された構成を有する。また第2の基材上に、別途、装飾層または保護層などを設けてもよい。
【0073】
また、路面等に貼り付ける面には、一般的に、剥離ライナーが設けられている。本発明のマーキングシートを路面等に設置する際には、第1の粘着剤層から剥離ライナーを剥がして第1の粘着剤層を介して路面等の所定の位置に貼り合わせる。
以下、
図1を参照しながら、各層について説明する。
【0074】
<基材>
≪第1の基材≫
本発明のマーキングシートに用いられる第1の基材(12)は、アスファルトなどの路面への追従性の向上の観点から金属箔であることが好ましい。金属箔としては、特に限定されないが、価格や入手のし易さなどの観点から、アルミニウム箔、銅箔、鉄箔、ステンレススチール箔が用いられ、その中でもハンマー施工により変形しやすいアルミニウム箔を用いることが好ましい。
【0075】
金属箔の膜厚は、10~100μm程度であることが好ましく、20~90μm程度であることがより好ましい。金属箔の膜厚が上記範囲内であれば、路面に貼り付けるために行われるハンマー施工等の施工において、変形しやすく、アスファルトの凹凸に対して追従しやすくなる。
【0076】
≪第2の基材≫
第2の基材(14)は、後述する装飾層または保護層等のその他の層を形成するための基材である。
【0077】
前記第2の基材(14)の材質としては、特に限定は無いが、プラスチック、ガラス、織布、不織布、紙等が挙げられる。プラスチックとしては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、ポリアミド(ナイロン)等が挙げられる。その中でも、インクを塗布した際に、所望の色を発色した印刷表記がしやすくなり、かつ工業的に入手し易い観点からPVCが好ましい。
【0078】
第2の基材(14)の膜厚は、30~300μm程度であることが好ましく、50~250μm程度であることがより好ましい。第2の基材の膜厚が上記範囲内であれば、歩行者の歩行等に邪魔になる厚さではなく、かつ所望の強度を発揮することが可能となる。
なお、第2の基材(14)として、複数の基材を積層してもよく、その際に複数の基材は同一でも異なっていてもよい。
【0079】
<粘着剤層>
≪第1の粘着剤層≫
第1の粘着剤層(11)は、上述した本発明の粘着剤組成物を用いて形成される。例えば、上述の粘着剤組成物中の架橋反応を進めることにより、具体的には(メタ)アクリル系共重合体(A)を架橋剤で架橋することにより、前記粘着剤層が得られる。
【0080】
第1の粘着剤層(11)の形成条件は、例えば以下のとおりである。本発明の粘着剤組成物を基材もしくは剥離ライナーの剥離処理面上に塗布し、溶媒の種類によっても異なるが、好ましくは50~150℃、より好ましくは60~100℃で、好ましくは1~10分間、より好ましくは2~7分間乾燥して溶媒を除去し、塗膜を形成する。乾燥塗膜の膜厚は、好ましくは5~125μm、より好ましくは10~100μmである。
【0081】
第1の粘着剤層(11)は、以下の条件で形成することが好ましい。本発明の粘着剤組成物を基材もしくは剥離ライナーの剥離処理面上に塗布し、上記条件で形成された塗膜上に剥離ライナーを貼付した後、好ましくは23℃、50%RH条件下で7日以上、より好ましくは40℃ドライ条件下で3~5日間の環境下で養生する。上記のような熟成条件で架橋を行うと、効率よく架橋体が形成可能である。
【0082】
粘着剤組成物の塗布方法としては、公知の方法、例えばスピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法により、所定の厚さになるように塗布して乾燥する方法を用いることができる。
【0083】
≪第2の粘着剤層≫
第2の粘着剤層(13)はいずれも、本発明からなる同一または異なる粘着剤組成物を用いてもよく、他の粘着剤組成物を用いてもよい。なお、第2の基材(14)以降として複数の基材を積層する場合も、各基材を積層するための粘着剤層を形成するための粘着剤組成物は、同一でも異なっていてもよい。
【0084】
各粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、5~125μmであることが好ましく、10~100μmであることがより好ましい。
【0085】
≪その他の層≫
第2の基材(14)上に、必要に応じて他の層、例えば他の粘着剤層、装飾層、金属層、着色層、印刷層、保護層などが積層されていてもよい。
前記その他の層は、単層からなってもよいし、複数層からなってもよい。また、装飾層は、必ずしも第2の基材の全面に形成する必要はなく、第2の基材の所定のエリアのみに形成してもよい。
【0086】
前記その他の層の厚さは、特に限定されないが、30~300μm程度であることが好ましく、50~250μm程度であることがより好ましい。その他の層の膜厚が上記範囲内であれば、歩行者の歩行等に邪魔になる厚さではなく、かつ所望の強度を発揮することが可能となる。
【0087】
(装飾層)
装飾層は、所望の広告や案内表示等のマーキングを行うべく、路面用・床面用マーキングシートに所望の図形、色、文字等を付与するためのものである。
【0088】
装飾層の形成方法は装飾層の種類によって異なるが、例えば、装飾層をインク層(印刷層)で構成する場合には、フレキソ印刷等の凸版印刷、グラビア印刷等の凹版印刷、オフセット印刷等の平板印刷、シルクスクリーン等のスクリーン印刷、インクジェットプリンタ等の各種プリンタによる印刷などによって装飾層を形成することができる。また、装飾層を塗料層で構成する場合には、例えば、ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、スプレーガン等の塗工機によって装飾層を形成することができる。さらに、装飾層を転写シートからの転写で構成する場合には、転写シートの種類に応じて、基材の表面に積層した転写シートに圧力を印加することや、基材の表面に積層した転写シートを加熱すること等によって装飾層を形成することができる。さらに、装飾層を金属薄膜で構成する場合には、蒸着、スパッタリング等によって装飾層を形成することができる。
【0089】
(保護層)
保護層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂などの樹脂のフィルムを、装飾積層フィルムを構成する層の上に直接又は接合層を介して積層することによって、あるいは樹脂組成物をフィルム層表面に塗布して乾燥することによって形成することができる。
【0090】
<剥離ライナー>
本発明のマーキングシートに用いることができる剥離ライナー(10)は、粘着剤層が本発明のマーキングシートを貼り付ける所望の面以外の部分に貼り付いてしまうことを防ぐために、路面等に設置する前のマーキングシートの形態として、第1の粘着剤層(11)に設けられる。
【0091】
前記剥離ライナーとしては、特に限定されず公知の剥離ライナーを好適に用いることができ、例えば、紙またはポリエステルなどの樹脂フィルムに剥離剤をコーティングしたものが挙げられる。
【0092】
前記剥離剤としては、粘着剤層の材質とも関連するが、公知の剥離剤を用いることができ、シリコーン系剥離剤やフッ素系剥離剤が挙げられる。
【0093】
<路面用または床面用マーキングシートの用途>
本発明のマーキングシートは、アスファルトなど粗面に対する追従性に加えて、粘着力、耐候性、耐熱性および耐湿熱性に優れ、剥離する際に基材から粘着剤が被着体に転着することが起き難いため、これらの物性が求められる用途(乗用自動車、大型トラック等が使用する駐車場、道路および工事現場でのアスファルトに一時的な印をつけるためにマーキングシートを用いるようなとき、または屋内外の人通りの多い床面に一時的にマーキングシートを貼り付けておく必要があるとき等が想定される。)に好適に用いることが可能である。
【実施例】
【0094】
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
本明細書においては、以下の略称を使用することがある。
BA:ブチルアクリレート
LA:ラウリルアクリレート
MA:メチルアクリレート
EA:エチルアクリレート
AA:アクリル酸
MMA:メチルメタクリレート
iso-BMA:イソ-ブチルメタクリレート
DMA:N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート
下記製造例で得られた共重合体の物性を以下の方法で測定した。
【0095】
[重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)]
下記製造例で得られた共重合体の重量平均分子量および分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により、以下の条件で測定した。
・測定装置:HLC-8320GPC(東ソー製)
・GPCカラム構成:以下の4連カラム(すべて東ソー製)
(1)TSKgel HxL-H(ガードカラム)
(2)TSKgel GMHxL
(3)TSKgel GMHxL
(4)TSKgel G2500HxL
・流速:1.0mL/min
・カラム温度:40℃
・サンプル濃度:1.5%(w/v)(テトラヒドロフランで希釈)
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
・標準ポリスチレン換算
【0096】
[ガラス転移温度(Tg)]
共重合体のTgは、下記「Fox」の式により計算値で求めた。
1/Tg=〔(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+・・・+(Wn/Tgn)〕/100
(ここで、温度は絶対温度である。)
Wn:単量体nの質量%
Tgn:単量体nからなる単独重合体のガラス転移温度
【0097】
[製造例A-1]
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管および冷却管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、重合性単量体として、n-ブチルアクリレート(BA)80質量部と、メチルアクリレート(MA)15質量部と、アクリル酸(AA)5質量部とを投入し、溶媒として酢酸エチルを150質量部投入した。
【0098】
次いで、窒素ガス雰囲気下で撹拌を行いながら、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.1質量部投入し、70℃で、7時間反応を行った。反応終了後、反応液を酢酸エチルにて希釈し、共重合体A-1を含む、固形分濃度20質量%のポリマー溶液を調製した。
共重合体A-1のMwは89万、Mw/Mnは2.5、Tgは-37.9℃であった。
【0099】
[製造例A-2~A-9]
構成モノマー(a1)、(a2)および(a3)の量を下記表1に示すように変更したこと以外は製造例A-1と同様にして、共重合体A-2~A-9を含むポリマー溶液(固形分濃度20質量%)を調製した。なお、表1中の各成分の欄の数値は質量部を示す。
【0100】
【0101】
[製造例B-1]
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管および冷却管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、重合性単量体として、メチルメタクリレート(MMA)94質量部と、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMA)6質量部とを投入し、溶媒としてトルエンを100質量部投入した。
【0102】
次いで、窒素ガス雰囲気下で撹拌を行いながら、重合開始剤としてAIBNを3質量部投入し、80℃で、10時間反応を行い、共重合体B-1を含む、固形分濃度50質量%のポリマー溶液を調製した。
共重合体B-1のMwは1.4万、Mw/Mn、Tgは98.3℃であった。
【0103】
[製造例B-2~B-5]
構成モノマー(b1)および(b2)の量を下記表2に示すように変更したこと以外は製造例B-1と同様にして、共重合体B-2~B-5を含むポリマー溶液(固形分濃度50質量%)を調製した。なお、表2中の各成分の欄の数値は質量部を示す。
【0104】
【0105】
[実施例1]
製造例A-1で得られたポリマー溶液(固形分濃度20質量%)、製造例B-1で得られた溶液(固形分濃度50質量%)およびエポキシ系架橋剤E-5AX(綜研化学製:固形分濃度5質量%)を、固形分の量が、それぞれ100質量部、10質量部および0.075質量部となる量で混合して、粘着剤組成物を得た。
【0106】
[実施例2~9、比較例1~8]
粘着剤組成物の配合組成を表3または表4に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製した。なお、表3および表4中の各成分の欄の数値は質量部を示す。
実施例および比較例で得られた粘着剤組成物を以下の方法で評価した。
【0107】
[マーキングシートの製造]
得られた粘着剤組成物を、剥離処理された紙製の剥離ライナー上に、乾燥後の厚さが50μmになるように第1の粘着剤として塗工し、その上に第1の基材としてアルミニウム基材(50μm厚)を積層し、その上に乾燥後の厚さが50μmになるように第2の粘着剤として第1の粘着剤と同様の粘着剤組成物を塗工し、その上に第2の基材としてPVC基材50μm厚を積層することによりマーキングシートを得た。得られたマーキングシートを以下の方法で評価した。
【0108】
[評価方法]
(1)粘着力、(2)耐熱性、(3)耐湿熱性、(4)金属基材への密着性、(5)路面貼付試験に基づく耐剥がれ性の評価、および(6)路面貼付試験後の再剥離性の評価を行った。各評価方法を以下に示す。
【0109】
(1)粘着力の評価
研磨SUSにマーキングシート(幅25mm)を貼りつけ、23℃/50%RHの条件下で20分間静置後に、被着体の面から180度の角度で、300mm/分の速度で剥がした時の粘着力を、下記の基準に基づいて評価した。結果を表3および表4に示す。
(評価基準)
○:20N/25mm以上
△:15~20N/25mm
×:15N/25mm未満
【0110】
(2)耐熱性の評価
研磨SUSにマーキングシートを貼りつけ、80℃の条件下で7日間経過させ、その後23℃/50%RH条件下で30分間静置後に、被着体の面から180°の角度で、300mm/分の速度で剥がした時の剥離形態を目視で観察し、下記の基準に基づいて評価した。結果を表3および表4に示す。
(評価基準)
○:界面破壊
△:粘着剤の転着面積が1%~20%未満であった。
×:粘着剤の転着面積が20%以上であった。
【0111】
(3)耐湿熱性の評価
研磨SUSにマーキングシートを貼りつけ、60℃/95%RHの条件下で7日間経過させ、その後23℃/50%RH条件下で30分間静置後に、被着体の面から180°の角度で、300mm/分の速度で剥がした時の剥離形態を目視で観察し、下記の基準に基づいて評価した。結果を表3および表4に示す。
(評価基準)
○:界面破壊
△:粘着剤の転着面積が1%~20%未満であった。
×:粘着剤の転着面積が20%以上であった。
【0112】
(4)金属基材への密着性の評価
指で粘着剤層部分を擦り、目視で観察し、下記の基準に基づいて評価した。結果を表3および表4に示す。
(評価基準)
○:30回以上、指で擦っても剥がれ等の変化無し。
△:10~30回、指で擦って剥がれが生じた。
×:10回以内に、指の擦りで剥がれが生じた。
【0113】
(5)路面貼付試験に基づく耐剥がれ性の評価
アスファルトの路面を掃き掃除した後、その路面に手で10cm×15cmサイズのマーキングシートを貼付し、ゴムハンマーにて圧着した。そのマーキングシートの3ヶ月後の剥がれについて目視で観察し、下記の基準に基づいて評価した。結果を表3および表4に示す。
(評価基準)
○:まったく剥がれが無かった。
△:端部に浮きが見られた。
×:剥がれていた。
【0114】
(6)路面貼付試験後の再剥離性の評価
アスファルトの路面を掃き掃除した後、その路面に手で10cm×15cmサイズのマーキングシートを貼付し、ゴムハンマーにて圧着した。そのマーキングシートを3ヶ月後に手で剥がしたときのアスファルトに転着した粘着剤の量を目視で観察し、下記の基準に基づいて評価した。結果を表3および表4に示す。
(評価基準)
○:転着した粘着剤の量が1%未満であった。
△:転着した粘着剤の量が1~20%未満であった。
×:転着した粘着剤の量が20%以上であった。
【0115】
【0116】
【符号の説明】
【0117】
10:被着体もしくは剥離ライナー
11:第1の粘着剤層
12:第1の基材
13:第2の粘着剤層
14:第2の基材