(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】反転血栓除去装置および使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A61B17/22
(21)【出願番号】P 2021512841
(86)(22)【出願日】2019-09-10
(86)【国際出願番号】 US2019050467
(87)【国際公開番号】W WO2020055908
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-12
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518102414
【氏名又は名称】ストライカー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Stryker Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ウォレス,マイケル,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン,クリフォード
(72)【発明者】
【氏名】レグイドレグイド,ロイ
(72)【発明者】
【氏名】グリーンハルグ,イー.,スコット
(72)【発明者】
【氏名】タン,ウィニー
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0189535(US,A1)
【文献】特表2007-522881(JP,A)
【文献】特表2016-515464(JP,A)
【文献】国際公開第2017/189535(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血栓除去システムであって、
細長い可撓性のカテーテル本体と、カテーテルルーメンと、前記カテーテル本体の遠位端に配置された拡張可能なファネルとを有する反転支持カテーテルであって、
前記ファネルが、前記カテーテル本体の遠位端から延びる複数の長手方向のストラットを含み、各長手方向のストラットが遠位端を有しており、前記複数の長手方向のストラットを放射状に接続するように前記複数の長手方向のストラットの遠位端またはその近傍に取り付けられたフィラメントを備え、前記ファネルの遠位端が、前記ファネルの内部および前記カテーテルルーメンとそれぞれ連通する遠位開口部を規定する、反転支持カテーテルと、
前記ファネルの内部
に配置される第1の領域と、前記ファネルの外部
に延在する第2の領域とを有するように、前記ファネルの遠位端で反転する可撓性チューブとを備え、
前記可撓性チューブが、前記第1の領域を近位方向に引っ張ることにより、前記カテーテルルーメン内に近位方向に引き込まれるように構成され、前記可撓性チューブが前記カテーテルルーメン内に引き込まれる際に、前記第2の領域が前記ファネルの遠位端で回り込むようになっていることを特徴とする血栓除去システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記可撓性チューブの第2の領
域が、前記ファネルよりも近位側の前記カテーテル本体の外面上
に延在しており、前記カテーテル本体の外面上に延在する前記第2の領域
の内径が、前記ファネルが拡張した形態にあるときの前記ファネルの最大外径よりも小さいことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステムにおいて、
前記カテーテル本体の遠位端に隣接する前記ファネルの基部領域が、流体を通過させるように構成された開口部を含むことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1または2に記載のシステムにおいて、
前記ファネルが、前記カテーテル本体の遠位端に隣接する前記ファネルの基部に周方向の多孔質領域を含み、前記多孔質領域が流体を通過させるように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記ファネルが、前記ファネルよりも近位側の前記カテーテル本体の外径の0.3倍未満の最大外径を有する折り畳まれた形態を有することを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記ファネルが、前記ファネルよりも近位側の前記カテーテル本体の外径の2倍より大きい最小外径を有する拡張した形態を有することを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、
前記ファネルが、前記拡張した形態において、2~26mmの外径を有することを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記可撓性チューブが、編まれたチューブを含むことを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムにおいて、
前記編まれたチューブが、
複数のループを規定する編組材料または織られた材料を含み、前記編まれたチューブの長さ方向に沿って、前記編まれたチューブの横断面あたり10を超えるループを有することを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記ファネルが、前記長手方向のストラットの上に配置された編組材料または織られた材料を含み、前記編組材料または織られた材料が、前記可撓性チューブの第1の領域が近位方向に引っ張られて、前記ファネルの遠位端に軸方向の圧縮力が作用すると、
圧縮された形態をとるように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記
圧縮された形態において、前記ファネルは、前記
圧縮された形態ではないときよりも
高い剛性を有することを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記
圧縮された形態において、前記ファネルは、潰れることなく、1200gを超える圧縮力に耐えるように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記長手方向のストラットが、前記ファネルよりも近位側の前記カテーテル本体と連続す
ることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムにおいて、
前記ファネルが、前記ファネルの遠位端でそれ自体の上に反転するメッシュをさらに含み、前記メッシュの第1の部分が
前記ファネルの内部に配置されて内側ファネル表面を形成し、前記メッシュの第2の部分が
前記ファネルの外部に配置されて外側ファネル表面を形成し、前記複数の長手方向の
ストラットが、前記内側ファネル表面と前記外側ファネル表面との間に配置されていることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記ファネルの少なくとも一部分の上に配置された潤滑性スリーブをさらに含むことを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか一項に記載のシステムにおいて、
中間カテーテルをさらに含み、前記反転支持カテーテルが、前記中間カテーテルのルーメン内に少なくとも部分的にスライド可能に配置されていることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記カテーテルルーメン内に配置されたプラーをさらに含み、前記可撓性チューブの第1の領域が前記プラーの遠位端領域に結合されていることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の装置および方法は、体内からの対象物の機械的除去に関する。特に、本明細書には、機械的な血栓除去装置および方法が記載されている。
【0002】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2018年9月10日に出願された米国仮特許出願第62/729,276号「INVERTING THROMBECTOMY APPARATUSES FOR REMOVAL OF LARGE CLOTS」の優先権を主張するものであり、その全体が引用により本明細書に援用されるものとする。
【0003】
引用による援用
本明細書に記載のすべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願が引用により援用されることが具体的かつ個別に示されている場合と同様に、その全体が引用により本明細書に援用されるものとする。
【背景技術】
【0004】
多くの血管に係る問題は、血管を通る不十分な血流に起因する。不十分または不規則な血流の原因の1つは、血栓または塞栓と呼ばれる血管内の閉塞である。血栓は多くの理由により生じ、それには外科手術のような外傷の後や他の原因によるものが含まれる。例えば、米国における120万を超える心臓発作の大部分は、冠状動脈内に形成される血栓(塞栓)によって引き起こされる。多くの場合、他の組織に損傷を与えないように、できるだけ低侵襲的な方法で身体から組織を除去することが望ましい。例えば、患者の血管系からの血栓などの組織の除去は、患者の疾病および生活の質を改善し得る。
【0005】
機械的な血栓除去装置は特に有利となり得る。血栓除去デバイス、特に末梢および中枢血管系のしばしば曲がりくねった解剖学的構造を介して容易かつ正確に送達された後、確実に展開されて血栓物質を除去することができる機械的な血栓除去デバイスが明らかに必要とされている。さらに、操作が容易で直感的なデバイスが求められている。
【0006】
最後に、低プロファイルであるが、比較的大径の血管内に挿入することができる機械的な血栓除去装置に対する明確な必要性がある。本明細書には、上述した必要性や問題に対処することができる装置(デバイス、システムおよびキット)およびそれらを使用する方法が記載されている。
【発明の概要】
【0007】
本明細書には、機械的な血栓除去装置(デバイス、システムなど)と、それらを使用および製造する方法が記載されている。それらの装置は、反転する機械的な血栓除去装置および/または反転チューブ血栓除去装置と呼ばれることもある。特に、本明細書には、1または複数の大きな血栓を効率的に取り込むために、非常に大きな血管内でも展開することができる反転チューブ血栓除去装置が記載されている。例えば、本明細書に記載の装置は、可撓性チューブ(例えば、トラクタチューブ)を使用して、小さいまたは遥かに小さい直径(例えば、5mm、4mm、3mm、2mmなど)のカテーテル内に、例えば、10mmを超える長さおよび/または5mmを超える直径の長くて大径の血栓をも取り込んで除去するために、高い引き込み効率を提供するように構成することができる。いくつかの態様では、可撓性チューブを、血栓の長さの5倍よりも長くすることができる(例えば、代替的には、6倍、7倍、8倍よりも長いトラクタチューブを必要とする)。
【0008】
特に、本明細書には、可撓性チューブ(例えば、トラクタチューブまたは単にトラクタ)が回り込んで反転する反転支持カテーテルの端部に拡張可能なファネルを含むことができる装置が記載されている。可撓性チューブは、編まれた材料または織られた材料であってもよい。可撓性チューブは、一般に、プラー(細長いワイヤ、チューブ、カニューレなど)の遠位端領域に結合された第1の端部を有することができ、可撓性チューブは、ファネルのある反転支持カテーテルの遠位端で反転し、可撓性チューブの外側部分が反転支持カテーテル上で近位方向に延びるように構成されており、可撓性チューブの内側の(反転した)部分がファネル内に引き込まれる際に、可撓性チューブにより保持された(例えば、掴まれた)血栓を圧縮して血栓から流体を除去するものであり、血栓全体が捕捉され、圧縮され、外側カテーテル内に引き込まれるまで、反転支持カテーテル内に反転した可撓性チューブを引き込むようになっている。本明細書に記載の装置の構成は、遠位端に拡張可能なファネルを含む反転支持カテーテルを使用することにより、血栓、特に大径の血栓を掴んで除去するのに特に適している。折り畳み可能/拡張可能なファネルは、可撓性チューブが反転支持カテーテル内に反転して血栓を捕捉するように、反転支持カテーテル内に可撓性チューブを引っ張ることにより加えられる圧縮力で作動するように構成することができる。折り畳み可能/拡張可能なファネルは、可撓性チューブがファネルの遠位端面に横方向の圧縮力を加えたときに、完全に拡張されたロックされた(例えば、「詰まった」)形態をとるように構成することができる。さらに、ファネルは、血栓が反転支持カテーテルのより細い直径のルーメン内に移動して血栓を圧縮する際に、血栓から絞り出された流体がファネルから横方向に流出することができる開口部(本明細書では、多孔質構造を有すると記載されている)を含むことができる。例えば、血栓が圧縮されるときに流体がファネル壁から横方向に流出することを可能にする、折り畳み可能/拡張可能なファネル(本明細書では単に拡張可能なファネルと呼ぶことがある)を貫通する開口部は、血栓の目詰まりまたは詰りを防止することもできる。
【0009】
一般に、本明細書に記載のこれら装置(例えば、システム)は何れも、細長い可撓性本体を有する反転支持カテーテルを含むことができ、この反転支持カテーテルは、細長い可撓性本体の遠位端に拡張可能なファネルを有し、例えば細長い可撓性本体に隣接する、拡張可能なファネルの近位端における拡張可能なファネルの少なくとも一部が、ファネル壁から横方向に血栓からの流体を通過させるための開口部を含む(例えば、ファネルは、多孔質であっても、部分的に多孔質であってもよい)。本装置は、可撓性チューブ(例えば、「トラクタ」)も含むことができる。トラクタは、織られたものまたは編まれたものであってもよい。いくつかの態様では、本装置が、反転支持カテーテルのルーメン内にプラーを含み、遠位端またはその近傍にあるプラーの第1の領域が、可撓性チューブに取り付けられる。可撓性チューブの第2の領域は、細長い可撓性本体の外面上に延在させることができる。システムは、可撓性チューブを反転支持カテーテル内に近位方向に引っ張ることにより(例えば、プラーを引っ張ることにより、または可撓性チューブの第1の端部を引っ張ることにより)、可撓性チューブが拡張可能なファネルの遠位端で反転する際に、ファネルは、ロックされた(詰まった)形態まで完全に拡張することができ、それにより、可撓性チューブが、拡張可能なファネルの開放された遠位端(例えば、遠位エッジ)で回り込んで(ローリングして)反転するように構成されている。可撓性チューブのこのローリング運動は、可撓性チューブの構造(例えば、織られた構造、編まれた構造など)と同様に、血栓を捕捉し、反転支持カテーテルのルーメン内に引き込み、ルーメン内に引き込む際に、血栓を圧縮して、血栓から流体を除去することができる。可撓性チューブの第1の領域は、可撓性チューブの端部領域であってもよい。可撓性チューブの第2の端部領域は、端部領域であってもよい。
【0010】
これら装置の何れにおいても、反転支持カテーテルおよび可撓性チューブアセンブリを、除去する1または複数の血栓を含む血管系の領域に展開するのを助けるために、送達カテーテル(本明細書では中間カテーテルとも称する)を使用することができる。例えば、システムは、中間カテーテルと、中間カテーテル内の反転支持カテーテルであって、反転支持カテーテルが細長い可撓性本体を有し、反転支持カテーテルが細長い可撓性本体の遠位端に拡張可能なファネルを有し、拡張可能なファネルが、細長い可撓性本体に隣接する拡張可能なファネルの近位端に多孔質領域を有する、反転支持カテーテルと、反転支持カテーテルのルーメン内のプラーと、織られた可撓性チューブであって、反転支持カテーテル内でプラーに取り付けられた第1の領域と、細長い可撓性本体の外面上に延びる第2の領域とを有する可撓性チューブとを含むことができ、可撓性チューブは、拡張可能なファネルの遠位端で反転し、さらに、可撓性チューブは、プラーを近位方向に引っ張ることにより反転支持カテーテル内に近位方向に引き込まれ、反転支持カテーテル内に引き込まれる際に、第2の領域が拡張可能なファネルの遠位端で回り込んで反転するように構成されている。
【0011】
これらのシステムの何れかは、細長い可撓性本体の外径上に延びる可撓性チューブの第2の領域の内径を、拡張した形態の拡張可能なファネルの最大外径よりも大きくすることができる。これら請求項の何れかのシステムは、細長い可撓性本体の遠位端に隣接する拡張可能なファネルの基部領域が多孔質であってもよい。例えば、拡張可能なファネルは、細長い可撓性本体の遠位端に隣接する拡張可能なファネルの基部に周方向の多孔質領域を含むことができる。
【0012】
これらのシステムの何れかにおいて、折り畳まれた形態は、細長い可撓性本体の外径の約0.3倍未満の最大外径、および/または約8mm未満の最大外径を有することができる。
【0013】
拡張した形態は、細長い可撓性本体の外径の約2倍よりも大きい最小外径を有することができる。例えば、拡張した形態は、約2mm~約26mmの外径を有することができる。
【0014】
本明細書に記載のシステムの何れかにおいては、可撓性チューブが、編まれたチューブを含むことができる。いくつかの態様では、可撓性チューブを、織られた材料または材料のシート(例えば、レーザカットされたもの)で形成することができる。チューブは、ストランドまたはフィラメント(例えば、モノフィラメントまたはマルチフィラメント)から形成することができる。例えば、可撓性チューブは、編まれたチューブの長軸に沿って、編まれたチューブの横断面あたり10よりも多いループを有する編まれたチューブを含むことができる。
【0015】
一般に、拡張可能なファネルは、シート状の材料、織られた材料、編組材料および/または編まれた材料で形成することができ、1または複数の支持体(アーム、ストラットなど)を含むことができる。例えば、拡張可能なファネルは、拡張可能なファネルの遠位端でそれ自体の上に反転するメッシュであってもよい。
【0016】
いくつかの態様では、拡張可能なファネルが、細長い可撓性本体と連続する複数の長手方向のタインを含む。拡張可能なファネルは、自己拡張するものであってもよく(例えば、少なくとも部分的に開くようにバイアスがかかっており)、代替的または追加的には、拡張可能なファネルは、可撓性チューブの第1の領域が近位方向に引っ張られたときに拡張するように構成されるものであってもよい。いくつかの態様では、拡張可能なファネルは、自己拡張するように構成され、拘束されていない形態において、自己拡張した形態を達成するように構成されるものであってもよい。
【0017】
一般に、拡張可能なファネルは、反転支持カテーテルの残りの部分に一体化されており、それらが部分を形成する。このため、拡張可能なファネルの内部は、典型的には、カテーテルの残りの部分のルーメンと流体的に連通しており、カテーテルのルーメンは、ファネルの内部を含むことができる。同様に、カテーテル本体の外面は、文脈が別段の指定をしない限り、拡張可能なファネルの外面を含み、かつ包含する。
【0018】
これらの装置の何れかは、拡張可能なファネルの少なくとも一部を覆う潤滑性スリーブを含むことができる。例えば、潤滑性スリーブは、拡張可能なファネルの内部の遠位端領域を覆うことができる。いくつかの態様では、潤滑性スリーブが、ファネルの遠位端の上に延びる。いくつかの態様では、潤滑性スリーブが1または複数の開口部を含み、それら開口部が、近位部分(例えば、拡張可能なファネルの基部の近く)にある。
【0019】
一般に、拡張可能なファネルは、拡張した形態において、任意の適切なサイズであってもよく、例えば、2~26mmの最大外径を有する。例えば、拡張した形態では、16mmよりも大きい(例えば、約2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、12mm、14mm、16mm、18mm、20mmなどよりも大きい)最大外径を有することができる。ユーザは、一般に、デバイスが使用される血管の内径(例えば、代替的または追加的には、除去される血栓の外径)の約60%(例えば、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%など)またはそれ以上の範囲内にある最大サイズを有する反転支持カテーテルを選択することができる。
【0020】
本明細書に記載の装置(例えば、システム)の何れかは、少なくとも部分的に反転支持カテーテルを取り囲む中間カテーテル、および/または反転支持カテーテルのルーメン内のプラーを含むことができる。例えば、可撓性チューブの第2の端部は、プラーの遠位端領域に結合される。第1の領域は、プラーの遠位端領域よりも近位側に結合される。
【0021】
一般に、本明細書に記載の拡張可能なファネルは、可撓性チューブを反転させて回り込ませ、ファネル内に血栓を(非常に大きな直径の血栓であっても)引き込み、血栓を圧縮し(例えば、血栓の流体の多くを除去し)、圧縮した血栓を反転支持カテーテル本体内に引き込むのに十分な引張力に耐えるように構成することができる。例えば、拡張可能なファネルは、圧縮力が軸方向(例えば、近位方向)に向けられたときに潰れることなく、約500gより大きい(例えば、約600gより大きい、約700gより大きい、約750gより大きい、約800gより大きい、約900gより大きい、約1000gより大きい、約1100gより大きい、約1200gより大きい、約1300gより大きい、約1400gより大きい、約1500g等より大きい)圧縮力に耐えるように構成することができる。例えば、拡張可能なファネルは、1200gを超える圧縮力にも潰れることなく耐えるように構成することができる。いくつかの態様では、圧縮力によって、ファネルが織られた材料、編まれた材料または編組材料で作られている場合には特に、ファネルを一緒にロックするか、または積み重ねることができる。例えば、織られたファネルの場合、圧縮力がファネル材料の織り目を軸方向に詰まらせ、遠位(より広い)領域の編組角度を増加させ、ファネルのカラム強度を増加させることができる。
【0022】
例えば、血栓除去システムは、細長い可撓性のカテーテル本体と、カテーテルルーメンと、カテーテル本体の遠位端に配置された拡張可能なファネルとを有する反転支持カテーテルであって、ファネルの遠位端が、ファネルの内部およびカテーテルルーメンとそれぞれ連通する遠位開口部を規定する、反転支持カテーテルと、ファネルの内部に少なくとも部分的に配置される第1の領域と、ファネルの外部に少なくとも部分的に延在する第2の領域とを有するように、ファネルの遠位端で反転する可撓性チューブとを備えることができ、可撓性チューブが、第1の領域を近位方向に引っ張ることにより、カテーテルルーメン内に近位方向に引き込まれるように構成され、可撓性チューブがカテーテルルーメン内に引き込まれる際に、第2の領域がファネルの遠位端で回り込むようになっている。
【0023】
いくつかの態様では、血栓除去システムは、細長い可撓性のカテーテル本体と、カテーテルルーメンと、カテーテル本体の遠位端に配置された拡張可能なファネルとを有する反転支持カテーテルであって、ファネルの遠位端が、ファネルの内部およびカテーテルルーメンとそれぞれ連通する遠位開口部を規定し、カテーテル本体に隣接するファネルの少なくとも近位部分が、流体を通過させるように構成された開口部を含む、反転支持カテーテルと、カテーテルルーメン内に配置されたプラーと、編まれた材料または織られた材料で形成された可撓性チューブであって、ファネルの遠位端で反転し、かつプラーに連結された第1の領域と、ファネルの外面上に少なくとも部分的に延在する第2の領域とを有する可撓性チューブとを備えることができ、可撓性チューブは、プラーを近位方向に引っ張ることによって、カテーテルルーメン内に近位方向に引き込まれ、それにより可撓性チューブの第2の領域がファネルの内部を通過してカテーテルルーメン内に入るように構成されている。
【0024】
血栓除去システムは、細長い可撓性のカテーテル本体と、カテーテルルーメンと、カテーテル本体の遠位端に配置された拡張可能なファネルとを有する反転支持カテーテルであって、ファネルの遠位端が、ファネルの内部およびカテーテルルーメンとそれぞれ連通する遠位開口部を規定し、カテーテル本体に隣接するファネルの少なくとも近位部分が、流体を通過させるように構成された開口部を含む、反転支持カテーテルと、編まれた可撓性チューブであって、ファネルの遠位端で反転し、かつファネルの内部に少なくとも部分的に配置される第1の領域と、ファネルの外面上に少なくとも部分的に延在する第2の領域とを有する可撓性チューブとを備えることができ、可撓性チューブが、可撓性チューブの第1の領域を近位方向に引っ張ることにより、カテーテルルーメン内に近位方向に引き込まれるように構成され、可撓性チューブがファネルの内部およびカテーテルルーメン内にそれぞれ引き込まれる際に、可撓性チューブの第2の領域がファネルの遠位端で回り込むようになっており、ファネルは、可撓性チューブの第1の領域を近位方向に引っ張ることによって、ファネルを拡張して詰まった形態に拡張させる軸方向の荷重をファネルに加えるように構成されている。
【0025】
また、本明細書には、本明細書に記載の装置の何れかを使用して血管から血栓を除去する方法も記載されている。例えば、血管から血栓を除去する方法は、反転チューブ装置の遠位端が血栓に近接するまで、反転チューブ装置を血管を通して前進させるステップであって、反転チューブ装置は、細長い可撓性本体の遠位端に配置された拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルと、反転支持カテーテル内の第1の領域および反転支持カテーテルの外面上に延在する第2の領域を有する可撓性チューブとを備える、ステップと、血管内で、拡張可能なファネルを折り畳まれた形態から拡張した形態に拡張させるステップと、可撓性チューブの第1の領域を近位方向に引っ張って、反転支持カテーテルの拡張可能なファネルの遠位端で可撓性チューブを回し込み、それにより可撓性チューブが拡張可能なファネルの遠位端で反転して、血栓を捕捉し、血栓を反転支持カテーテル内に近位方向に引き込むステップとを備えることができ、血栓を反転支持カテーテル内に近位方向に引き込むことは、血栓を圧縮して、血栓から流体を反転支持カテーテルの外に横方向に排出することを含む。
【0026】
例えば、血管から血栓を除去する方法は、反転チューブ装置の遠位端部が血栓に近接して位置するまで、反転チューブ装置を血管を通して前進させるステップであって、反転チューブ装置は、細長い可撓性のカテーテル本体と、内部のカテーテルルーメンと、カテーテル本体の遠位端に配置された拡張可能なファネルとを有する反転支持カテーテルであって、ファネルの遠位端が、ファネルの内部およびカテーテルルーメンとそれぞれ連通する開口部を規定する、反転支持カテーテルを備え、反転チューブ装置は、拡張可能なファネルの遠位端で反転し、かつファネルの内部に少なくとも部分的に配置される第1の領域と、ファネルの外面上に少なくとも部分的に延在する第2の領域とを有する可撓性チューブをさらに備える、ステップと、血栓に近接する血管内で、ファネルを折り畳まれた送達形態から拡張した形態へと拡張させるステップと、可撓性チューブの第1の領域を近位方向に引っ張って、ファネルの遠位端で可撓性チューブの第2の領域を回し込み、それにより可撓性チューブが血栓を捕捉し、血栓をファネルの内部およびカテーテルルーメン内に近位方向に引き込むステップとを備えることができる。
【0027】
本明細書に記載の血管から血栓を除去する方法の何れかは、それら装置の何れかを使用することを含むことができる。例えば、血管から血栓を除去する方法は、反転チューブ装置の遠位端が血栓に近接するまで、反転チューブ装置を血管を通して前進させるステップであって、反転チューブ装置は、細長い可撓性本体の遠位端に配置された拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルと、反転支持カテーテル内の第1の領域および反転支持カテーテルの外面上に延在する第2の領域を有する可撓性チューブとを備える、ステップと、血管内で、拡張可能なファネルを折り畳まれた送達形態から拡張形態へと拡張させるステップと、可撓性チューブの第1の領域を近位方向に引っ張って、反転支持カテーテルの拡張可能なファネルの遠位端で可撓性チューブをローリングさせ、それにより可撓性チューブが拡張可能なファネルの遠位端で反転して、血栓を捕捉し、血栓を反転支持カテーテル内に近位方向に引き込むステップとを備えることができ、血栓を反転支持カテーテル内に近位方向に引き込むことは、血栓を圧縮して、血栓から流体を反転支持カテーテルの外に横方向に排出することを含む。
【0028】
これらの方法の何れかは、上述したように、血管のサイズに基づいて反転チューブ装置のサイズを選択するステップを含むことができる。したがって、ユーザは、血管および/または血栓のサイズに基づいて、中間カテーテルおよび/または可撓性チューブの様々な異なるサイズのなかから選択することができる。
【0029】
これらの方法の何れかにおいて、拡張させることは、拡張可能なファネルを、血栓の外径の少なくとも1/3よりも大きい外径(例えば、血栓のODおよび/または血管のIDの33%よりも大きい、40%よりも大きい、50%よりも大きい、60%よりも大きい、70%よりも大きい、80%よりも大きい、90%よりも大きい外径など)に拡張させることを含むことができる。例えば、拡張させることは、拡張可能なファネルを、血栓の外径の少なくとも50%よりも大きい外径に拡張させることを含むことができる。
【0030】
いくつかの態様は、血栓を近位方向に引っ張ることは、500g~3000gの力を加えることを含むことができる。
【0031】
いくつかの態様では、拡張可能なファネルを拡張させることは、拡張可能なファネルを血管内で自己拡張可能とすることを含み、かつ/または拡張可能なファネルを拡張させることは、可撓性チューブの第1の領域を近位方向に引っ張ることによって、拡張可能なファネルに軸方向の圧縮力を加えることを含むことができる。自己拡張可能なファネルは、可撓性チューブを近位方向に引っ張って拡張可能なファネルに軸方向の圧縮力を加えることにより、さらに拡張させることができる。例えば、いくつかの態様では、拡張可能なファネルが、拘束されていないとき、例えば第2のカテーテル(例えば、ガイドカテーテル、中間カテーテルなどの)内の拘束された形態から解放されたときに、自己拡張した形態に自己拡張するように構成されるものであってもよい。
【0032】
これらの方法の何れかは、可撓性チューブを反転支持カテーテル内から除去するステップと、新しい可撓性チューブを反転支持カテーテル内に再装填するステップとを含むことができる。
【0033】
例えば、本明細書に記載のシステムは、血栓除去システムを含む。これらのシステムの何れかは、細長い可撓性本体を有する反転支持カテーテルであって、細長い可撓性本体の遠位端に拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルと、反転支持カテーテル内の第1の領域および細長い可撓性本体の外面上に延在する第2の領域を有する可撓性チューブとを含むことができ、可撓性チューブが拡張可能なファネルの遠位端で反転し、さらに、可撓性チューブが、第1の領域を近位方向に引っ張ることによって、反転支持カテーテル内に近位方向に引き込まれ、反転支持カテーテル内に引き込まれる際に、第2の領域が拡張可能なファネルの遠位端で回り込んで反転するように構成されている。
【0034】
これらのシステムの何れかは、細長い可撓性本体を有するとともに、この細長い可撓性本体の遠位端に拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルであって、細長い可撓性本体に隣接する拡張可能なファネルの少なくとも近位端が、流体を通過させるように構成された開口部を含む、反転支持カテーテルと、反転支持カテーテルのルーメン内に配置されたプラーと、編まれた材料または織られた材料で形成された可撓性チューブであって、反転支持カテーテル内でプラーに連結された第1の領域と、細長い可撓性本体の外面上に延在する第2の領域とを有する可撓性チューブとを含むことができ、可撓性チューブが拡張可能なファネルの遠位端で反転し、さらに、可撓性チューブが、プラーを近位方向に引っ張ることによって、反転支持カテーテル内に近位方向に引き込まれ、反転支持カテーテル内に引き込まれる際に、可撓性チューブが拡張可能なファネルの遠位端で回り込んで反転するように構成されている。
【0035】
例えば、システムは、細長い可撓性本体を有するとともに、この細長い可撓性本体の遠位端に拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルであって、細長い可撓性本体に隣接する拡張可能なファネルの少なくとも近位端が、流体を通過させるように構成された開口部を含む、反転支持カテーテルと、反転支持カテーテルのルーメン内にあるプラーと、編まれた可撓性チューブであって、反転支持カテーテル内でプラーに連結された第1の領域と、細長い可撓性本体の外面上に延在する第2の領域とを有する可撓性チューブとを含むことができ、可撓性チューブが拡張可能なファネルの遠位端で反転し、さらに、可撓性チューブが、プラーを近位方向に引っ張ることによって、反転支持カテーテル内に近位方向に引き込まれ、反転支持カテーテル内に引き込まれる際に、可撓性チューブが拡張可能なファネルの遠位端で回り込んで反転し、それによりファネルに軸方向の荷重を加えてファネルを拡張形態に拡張させるように構成されている。
【0036】
これらのシステムの何れかにおいて、細長い可撓性本体の外径上に延びる可撓性チューブの第2の領域の内径は、拡張形態における拡張可能なファネルの最大外径よりも小さくてもよい。このため、可撓性チューブは、反転支持カテーテルのより近位側の本体上のより細い弛緩した直径から反転支持カテーテルのファネル部分の上に引っ張られるときに、拡張されるようにしてもよい。本明細書に記載の装置の何れかにおいて、可撓性チューブは、反転部分(反転支持カテーテル内にあるとき)が自己拡張するように(または拡張するように形状設定されるように)、例えば、反転支持カテーテルの細長い本体の内径よりも40%以上大きい(例えば、50%以上、60%以上、70%以上、75%以上、または80%以上大きい)外径を有するように、バイアスがかけられるものであってもよい。
【0037】
上述したように、細長い可撓性本体の遠位端に隣接する拡張可能なファネルの基部領域は、流体を通過させるように構成された開口部を含むことができる(例えば、多孔質と称する場合もある)。いくつかの態様では、開口部または孔が、織られたファネル本体を形成する1または複数のストランド間の開口部によって形成されるものであってもよい。例えば、拡張可能なファネルは、細長い可撓性本体の遠位端に隣接する拡張可能なファネルの基部に周方向の多孔質領域を含むことができる。
【0038】
拡張可能なファネルの折り畳まれた形態は、細長い可撓性本体の外径の0.3倍(例えば、30%)未満の最大外径を有することができる。いくつかの型では、折り畳まれた形態は、拡張可能なファネルの遠位端を、反転支持カテーテルの細長い可撓性本体の外径(例えば、平均外径、またはファネルよりも近位側の反転支持カテーテルの領域)の30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、75%以下、80%以下等に折り畳むように構成されるものであってもよい。いくつかの態様では、折り畳まれた形態は、8mm未満の最大外径を有する。
【0039】
いくつかの態様では、拡張した形態が、細長い可撓性本体の外径の2倍を超える(例えば、2.5倍を超える、3倍を超える、3.5倍を超えるなど)最小外径を有することができる。最大外径は、通常はファネルの遠位面の直径であり、この遠位面は、遠位開口部または遠位エッジと呼ぶ場合もある。例えば、拡張した形態は、2~26mmの外径を有することができる。
【0040】
上述したように、一般に、可撓性チューブは、編まれたチューブを含むことができ、例えば、可撓性チューブは、編まれたチューブの長軸に沿って、編まれたチューブの横断面あたり10を超えるループを有する編まれたチューブとして構成するようにしてもよい。
【0041】
後でさらに詳細に述べるように、拡張可能なファネルは、細長い可撓性本体と連続する複数の長手方向のタイン(例えば、ストラット)を含むことができる。それらのタインは、遠位方向(例えば、長手方向)に延びることができ、例えば、ファネルの口内の内側表面およびファネルの外側の外側表面を形成するためにそれ自体の上に折り畳まれたメッシュ材料(例えば、いくつかの態様では、織られた材料または編まれた材料)によって覆われるようにしてもよい。タインは、内側表面と外側表面との間に挿入することができ、内側表面と外側表面に対して長手方向に相対的に移動することができる。例えば、拡張可能なファネルは、拡張可能なファネルの遠位端でそれ自体の上に反転したメッシュを含むことができる。
【0042】
一般に、拡張可能なファネルは、少なくとも部分的に自己拡張するようにバイアスがかけられるようにしてもよい。いくつかの態様では、拡張可能なファネルが、可撓性チューブの第1の領域が近位方向に引っ張られたときに完全に拡張するように構成されている。
【0043】
本明細書に記載の装置の何れかにおいて、潤滑性スリーブは、拡張可能なファネルの少なくとも一部を覆うことができ、例えば、内側表面および/または外側表面を覆い、かつ/または反転する遠位端領域を覆うことができる。
【0044】
ファネルは、任意の適切な直径に開くように構成することができる。例えば、いくつかの態様では、拡張可能なファネルは、16mmを超える最大外径を有することができる。
【0045】
本明細書に記載の装置の何れかは、反転支持カテーテルのルーメン内にプラー(ロッド、カテーテル、ワイヤなど)を含むことができ、可撓性チューブの第2の端部はプラーの遠位端領域に結合され、いくつかの態様では、可撓性チューブの第1の領域が、プラーの遠位端よりも近位側に取り付けられる。
【0046】
いくつかの態様では、血栓除去装置は、可撓性の細長い本体の遠位端に拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルを含むことができ、拡張可能なファネルは、それ自体の上に反転して内側ファネル表面および外側ファネル表面を形成する編まれた材料または織られた材料からなる第1のチューブにより形成されるファネル表面と、内側ファネル表面と外側ファネル表面との間で遠位方向に延在する複数の支持タインであって、ファネル表面が、複数の支持タインに対して軸方向に相対的にスライドするように構成されている、複数の支持タインと、カテーテル本体の外面に沿って遠位方向に延び、拡張可能なファネルでファネルの内部および反転支持カテーテルのルーメン内へと反転する編まれた材料または織られた材料からなる第2の可撓性チューブとを含み、拡張可能なファネルは、第2の可撓性チューブが反転支持カテーテル内に近位方向に引き込まれるときに、詰まった形態に拡張するように構成されている。上述したように、ファネル表面は、織られた材料を含むことができる。ある態様では、ファネル表面が、詰まった形態において、90度を超える編組角度を有する。
【0047】
すなわち、本明細書に記載の拡張可能なファネルのいくつかの態様において、拡張可能なファネルは、例えばトラクタ(例えば、可撓性チューブ)を近位方向に引っ張ってトラクタがファネル上で反転支持カテーテルの外側から反転支持カテーテルのルーメン内に回り込んで反転することにより、軸方向に圧縮力が加えられたときに、詰まった形態をとるように構成することができる。詰まった形態は、拡張可能なファネルが詰まっていない形態よりも剛性の高い圧縮された形態をもたらすことができる。また、詰まった形態は、より大きなカラム強度も有する。拡張可能なファネルの壁が織られた材料から形成されている態様では、詰まった形態は、詰まった角度とも呼ばれる最大編組角度を有する織り目によってもたらされる。
【0048】
上述したように、複数のタインは、可撓性の細長い本体から形成(例えば、レーザカットなどのように切断)されるものであってもよい。また、拡張可能なファネルは、ファネル表面の周りに放射状に延び、拡張可能なファネルの外径を拘束する1または複数の周方向支持体を含むことができる。1または複数の周方向支持体は、フィラメント、例えば、織り糸、ワイヤ、縫合糸および糸のうちの1または複数を含むことができる。例えば、1または複数の周方向支持体は、縫合材料を含むことができる。1または複数の周方向支持体は、内側ファネル表面と外側ファネル表面とを接続することができる。1または複数の周方向支持体は、1本のフィラメントとして、または場合によっては複数本のフィラメントとして、拡張可能なファネルの周りに螺旋状に延びるものであってもよい。
【0049】
いくつかの態様では、タインがそれ自体の上に折り返されて、一緒に圧着されるようにしてもよい。いくつかの態様では、各タインが、例えば、遠位端領域で、フィラメントによって連結される。このフィラメントは、タインフィラメントと称する場合もあり、異なるタインの間で力を分散することができる。複数の異なるタインフィラメントを使用することができる。いくつかの態様では、タインフィラメントが、タインの遠位を向く端部からタインの遠位端近傍(例えば、1mm、2mm、3mm等の範囲内)でタインに固定されるようにしてもよい。いくつかの態様では、1または複数のタインフィラメントが、タインの折り返された部分によって形成される空洞内に固定される。
【0050】
本明細書に記載の拡張可能なファネルの何れかにおいて、ファネルが詰まって拡張した形態にあるとき、ファネル表面は、タインの遠位端から相対的に短い距離、延出するようにしてもよい。例えば、外側表面および内側表面を形成するメッシュは、互いに固定されていてもよいが、タインには固定されておらず、メッシュは、拡張可能なファネルが詰まった形態に拡張されるときに、複数のタインの遠位端から5mm以下(例えば、4mm以下、3mm以下、2mm以下、1mm以下など)を超えるように拡張した形態のタインから遠位方向に延出するようにしてもよい。例えば、拡張可能なファネルが詰まった形態に拡張されたときに、ファネル表面は、複数のタインの遠位端から1mm以下、延出するようにしてもよい。
【0051】
上述したように、第2の可撓性チューブは、編まれた材料で形成することができる。さらに、本明細書に記載の装置の何れかは、反転支持カテーテルを通って延び、遠位端で第2の可撓性チューブの第1の端部に結合されたプラーを含むことができる。ファネルの表面は、内側表面と外側表面との間に複数のタインのための空間を形成するために、内側表面が外側表面の内径よりも小さい外径を有するように形状設定することができる。
【0052】
例えば、本明細書に記載の血栓除去装置は、可撓性の細長い本体の遠位端に拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルを含み、拡張可能なファネルは、それ自体の上に反転して内側ファネル表面および外側ファネル表面を形成する織られた材料からなる第1のチューブにより形成されるファネル表面と、内側ファネル表面と外側ファネル表面との間で遠位方向に延在する複数の支持タインであって、ファネル表面が、複数の支持タインに対して軸方向に相対的にスライドするように構成されている、複数の支持タインと、ファネル表面の周りに放射状に延びて、拡張可能なファネルの最大外径を拘束する1または複数の周方向支持体と、反転支持カテーテルの外面に沿って遠位方向に延び、第2の可撓性チューブの第1の端部が反転支持カテーテル内に近位方向に引き込まれるときに、拡張可能なファネルでファネルの内部および反転支持カテーテルのルーメン内へと反転する編まれた材料または織られた材料からなる第2の可撓性チューブとを含む。
【0053】
血栓除去装置は、可撓性の細長い本体の遠位端に拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルを含むことができ、拡張可能なファネルは、それ自体の上に反転して内側ファネル表面および外側ファネル表面を形成する織られた材料からなる第1のチューブにより形成されるファネル表面と、内側ファネル表面と外側ファネル表面との間で遠位方向に延在する複数の支持タインであって、ファネル表面が、複数の支持タインに対して軸方向に相対的にスライドするように構成されている、複数の支持タインと、ファネル表面の周りに放射状に延びて、拡張可能なファネルの最大外径を拘束し、内側ファネル表面と外側ファネル表面とを連結する1または複数の周方向支持体と、反転支持カテーテルの外面に沿って遠位方向に延び、第2の可撓性チューブの第1の端部が反転支持カテーテル内に近位方向に引き込まれるときに、拡張可能なファネルでファネルの内部および反転支持カテーテルのルーメン内へと反転する編まれた材料または織られた材料からなる第2の可撓性チューブとを含む。
【0054】
いくつかの態様では、血栓除去装置が、可撓性の細長いカテーテル本体の遠位端に拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルを含むことができ、ファネルは、それ自体の上に反転して内側ファネル表面および外側ファネル表面を形成する編まれた材料または織られた材料からなる第1の可撓性チューブであって、内側ファネル表面が、カテーテル本体を貫通するカテーテルのルーメンと連通するファネルの内部を規定する、第1の可撓性チューブと、内側ファネル表面と外側ファネル表面との間でカテーテル本体の遠位端から遠位方向に延びる複数の支持タインであって、内側ファネル表面および外側ファネル表面が、支持タインに対して軸方向に相対的にスライドするようにそれぞれ構成されている、複数の支持タインと、カテーテル本体の外面の少なくとも一部および外側ファネル表面に沿ってそれぞれ遠位方向に延び、ファネルの遠位端でファネルの内部およびカテーテルルーメン内へと反転する編まれた材料または織られた材料からなる第2の可撓性チューブとを備え、ファネルは、第2の可撓性チューブがカテーテルルーメン内に近位方向に引っ張られたときに、詰まった形態に拡張するように構成されている。
【0055】
本明細書に記載の装置は、血栓除去術を実行するためのキットまたはシステムとして構成することができ、構成部品を予め装填することを含めて一緒にパッケージ化することができ、あるいは別個に販売することができる。例えば、本明細書に記載の血栓除去システムは、細長い可撓性本体、および細長い可撓性本体の遠位端にある拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルと、反転支持カテーテルの外面に沿って遠位方向に延び、拡張可能なファネルでファネルの内部および反転支持カテーテルのルーメン内へと反転して拡張可能なファネルを拡張させるように構成された編まれた材料または織られた材料からなる可撓性チューブと、可撓性チューブおよび反転支持カテーテルの上に延びる引き裂きスリーブであって、反転支持カテーテルおよび可撓性チューブが送達カテーテル内に装填される際に、引き裂きスリーブの長さ方向に沿って引き裂くことによって、可撓性チューブの上から取り外されるように構成された引き裂きスリーブとを含むことができる。
【0056】
血栓除去システムは、細長い可撓性本体、および細長い可撓性本体の遠位端にある拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルと、反転支持カテーテルの外面に沿って遠位方向に延び、拡張可能なファネルでファネルの内部および反転支持カテーテルのルーメン内へと反転して拡張可能なファネルを拡張させるように構成された編まれた材料または織られた材料からなる可撓性チューブと、装填スリーブとを含むことができ、ファネルが折り畳まれた形態で拘束されるように、反転支持カテーテルの遠位端が装填スリーブ内に装填され、さらに、装填スリーブが、反転支持カテーテルから装填スリーブを取り外すために装填スリーブを分解するように構成された引き裂き線を備えている。
【0057】
いくつかの態様では、血栓除去システムが、細長い可撓性本体、および細長い可撓性本体の遠位端にある拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルと、反転支持カテーテルの外面に沿って遠位方向に延び、拡張可能なファネルでファネルの内部および反転支持カテーテルのルーメン内へと反転して拡張可能なファネルを拡張させるように構成された編まれた材料からなる可撓性チューブと、装填スリーブであって、拡張可能なファネルが折り畳まれた形態で拘束されるように、反転支持カテーテルの遠位端が装填スリーブ内に装填され、さらに、装填スリーブが、反転支持カテーテルから装填スリーブを取り外すために装填スリーブを分解するように構成された引き裂き線を備える、装填スリーブと、可撓性チューブおよび反転支持カテーテルの上に延びる引き裂きスリーブであって、反転支持カテーテルおよび可撓性チューブが送達カテーテル内に装填される際に、引き裂きスリーブの長さ方向に沿って引き裂くことによって、可撓性チューブの上から取り外されるように構成された引き裂きスリーブとを含むことができる。
【0058】
このように、本明細書に記載されたシステムの何れかは、装填スリーブを含むことができ、反転支持カテーテルの遠位端は、拡張可能なファネルが折り畳まれた形態で拘束されるように装填スリーブ内に装填される。
【0059】
これらのシステムの何れかは、送達カテーテルを含むことができ、装填スリーブは、反転支持カテーテルおよび編まれた材料または織られた材料からなる可撓性チューブが送達カテーテル内で遠位方向に駆動されるように、送達カテーテルの近位端に挿入されるように構成される。
【0060】
さらに、これらのシステムの何れかは、反転支持カテーテル内に挿入されるように構成された編まれた材料または織られた材料からなる第2の可撓性チューブを含むことができる。このため、システムは、例えば、医師、看護師、医療技師などによって、(例えば、装填スリーブを用いて)反転支持カテーテル内に少なくとも部分的に挿入するように構成された第2の可撓性チューブの展開を可能にするように構成されるものであってもよい。
【0061】
本明細書に記載された反転支持カテーテルの何れかは、反転支持カテーテルの近位端領域に設けられたストッパを含むことができ、このストッパは、編まれた材料または織られた材料からなる可撓性チューブが、ストッパを近位方向に超えて反転支持カテーテルの外面上に延びることを防止するように構成されている。これは、可撓性チューブが(例えば、ユーザによって)反転支持カテーテル上に装着されて、送達カテーテル内に挿入される場合に特に有用となる場合があり、反転支持カテーテルおよび可撓性チューブが送達カテーテル内に遠位方向に押し込まれる際に可撓性チューブ(例えば、編まれたチューブ)が近位方向に押されるのを防ぐ引き裂きスリーブを備えるようにしてもよい。
【0062】
いくつかの態様では、可撓性チューブが、編まれた材料または織られた材料からなる可撓性チューブの近位端に弾性カフを含み、この弾性カフが、反転支持カテーテルのストッパと相互作用して(例えば、係合して)、ストッパを越えて延びるのを防止するようにしてもよい。
【0063】
既に述べたように、システムは、反転支持カテーテル内にプラーを含むことができ、このプラーに、編まれた材料または織られた材料からなる可撓性チューブの遠位端が結合される。
【0064】
いくつかの態様では、システムが、反転支持カテーテルを送達カテーテルに固定するように構成されたロックを含むことができる。ロックは、送達カテーテルおよび反転支持カテーテルの両方と係合することができ、それにより両者を一緒に、例えば片手で移動させることができる。
【0065】
血栓除去システムは、細長い可撓性のカテーテル本体と、カテーテルルーメンと、カテーテル本体の遠位端に配置された拡張可能なファネルとを有する反転支持カテーテルであって、ファネルの遠位端が、ファネルの内部およびカテーテルルーメンとそれぞれ連通する開口部を規定する、反転支持カテーテルと、カテーテル本体の外面の少なくとも一部およびファネルの外面に沿って遠位方向に延びる、編まれた材料または織られた材料からなる第1の可撓性チューブであって、第1の可撓性チューブの少なくとも一部が、ファネルの遠位端でファネルの内部およびカテーテルルーメン内へと反転する、第1の可撓性チューブと、第1の可撓性チューブおよび反転支持カテーテルの少なくとも遠位部分の上に延びる引き裂きスリーブであって、反転支持カテーテルおよび第1の可撓性チューブが送達カテーテル内に装填される際に、引き裂きスリーブの長さ方向に沿って引き裂くことによって、第1の可撓性チューブの上から取り外されるように構成された引き裂きスリーブとを含むことができる。
【0066】
例えば、血栓除去システムは、細長い可撓性のカテーテル本体と、カテーテルルーメンと、カテーテル本体の遠位端に配置された拡張可能なファネルとを有する反転支持カテーテルであって、ファネルの遠位端が、ファネルの内部およびカテーテルルーメンとそれぞれ連通する開口部を規定する、反転支持カテーテルと、カテーテル本体の外面の少なくとも一部およびファネルの外面に沿って遠位方向に延びる、編まれた材料または織られた材料からなる第1の可撓性チューブであって、第1の可撓性チューブの少なくとも一部が、ファネルの遠位端でファネルの内部およびカテーテルルーメン内へと反転する、第1の可撓性チューブと、装填スリーブであって、ファネルが折り畳まれた形態で拘束された状態で、反転支持カテーテルの遠位部分が装填スリーブ内に装填され、装填スリーブが、装填スリーブを分解して反転支持カテーテル上から取り外すように構成された引き裂き線を含む、装填スリーブとを含むことができる。
【0067】
本明細書に記載されるような拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルは、血栓除去術(またはいくつかの態様ではアテローム除去術)を実行するための装置の一部として含むことができるが、これらの反転支持カテーテルの何れかは、システムの他の構成要素(例えば、可撓性チューブ)無しで、それ自体で使用を見出すことができる。例えば、本明細書には、可撓性の細長い本体の遠位端に拡張可能なファネルを有する支持カテーテルが記載され、拡張可能なファネルが、それ自体の上に反転して内側ファネル表面および外側ファネル表面を形成する編まれた材料または織られた材料からなる第1のチューブにより形成されたファネル表面と、内側ファネル表面と外側ファネル表面との間で遠位方向に延びる複数の支持タインとを備え、ファネル表面が、複数の支持タインに対して軸方向に相対的にスライドするように構成されている。
【0068】
また、上述したように、本明細書には、本明細書に記載されているような装置の何れかを使用してアテローム除去術を実施して、アテロームを除去する方法も記載されている。一般に、反転チューブ装置は、アテロームのコアを切断するために使用されるリングストリッパまたは二重リングカッタ(例えば、MollRingカッタ)などの1または複数のリングカッタを含むか、またはそれらと組み合わせて使用することができ、その後、ステントを挿入することができる。
【0069】
例えば、本明細書に記載されているアテローム除去方法は、反転チューブ装置の遠位端がアテロームに近接するまで血管を介して反転チューブ装置を前進させるステップであって、反転チューブ装置が、細長い可撓性本体の遠位端に拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルであって、拡張可能なファネルが、折り畳まれた形態および拡張した形態を有する、反転支持カテーテルと、反転支持カテーテル内の第1の領域および反転支持カテーテルの外面上に延在する第2の領域を有する可撓性チューブとを備える、ステップと、アテロームに近接する血管内で、拡張可能なファネルを折り畳まれた形態から拡張した形態に拡張させるステップと、反転チューブ装置を遠位方向に進めながら、可撓性チューブの第1の領域を近位方向に引っ張って、反転支持カテーテルの拡張可能なファネルの遠位端で可撓性チューブを回し込み、それにより可撓性チューブを拡張可能なファネルの遠位端で反転させるステップと、移動する可撓性チューブから壁に軸方向の剪断力を適用して、血管からアテロームを切り取るステップとを含む。
【0070】
軸方向の剪断力を加えることは、可撓性チューブから延びる複数の突起でアテロームを切除することをさらに含むことができる。
【0071】
これらの方法の何れかは、反転チューブ装置がアテロームと係合した後に、反転チューブ装置の上でリングカッタ(またはデュアルリングカッタ/ストリッパ)をアテローム内へと前進させるステップをさらに含むことができる。この方法は、第2のリングカッタを近位方向に後退させることにより、第2のリングカッタでアテロームを、血管の長軸を横切る方向に切断するステップをさらに含むことができる。
【0072】
例えば、本明細書に記載の装置(例えば、システム、デバイスなど)および方法は、アテローム除去術を実行することを含む、アテローム物質の除去にも適合させることができる。アテローム除去デバイスとして構成された本明細書に記載されるような装置は、細長い可撓性本体を有するとともに、この細長い可撓性本体の遠位端に(折り畳まれた形態と拡張した形態とを有する)拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルと、反転支持カテーテル内の第1の領域と、細長い可撓性本体の外面上に延びる第2の領域とを有する可撓性チューブとを含むことができ、可撓性チューブが、拡張可能なファネルの遠位端で反転し、さらに、可撓性チューブが、第1の領域を近位方向に引っ張ることによって、反転支持カテーテル内に近位方向に引き込まれ、反転支持カテーテル内に引き込まれる際に、第2の領域が拡張可能なファネルの遠位端で回り込んで反転するように構成されている。可撓性チューブは、可撓性チューブがファネルでファネル内に回り込む際に、可撓性チューブから延出するアテローム捕捉または切断突起を含むことができる。例えば、可撓性チューブがファネルの外側の傾斜状の側面に沿って移動するときに、突起が、アテロームと係合するように可撓性チューブから延出することができる。いくつかの態様では、可撓性チューブが、拡張可能なファネルの内外に往復運動して、アテロームを切断および/または除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
本発明の新規な特徴は、特許請求の範囲に具体的に記載されている。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載した以下の詳細な説明と、添付の図面を参照することによって得られるであろう。
【
図1】
図1A~
図1Cは、小さく曲がりくねった血管の解剖学的構造での使用に特によく適合する機械的反転チューブ装置の一例を示している。
図1Aでは、組み立てられた装置が側面図で示され、反転支持カテーテルおよび可撓性の外側チューブが示されている。
図1Bは、血栓近傍にある血管内の
図1Aの反転チューブ装置を示している。
図1Cは、
図1Aの装置を使用して、反転支持カテーテルの外側にある可撓性チューブを近位方向に引っ張ることにより、可撓性チューブが反転支持カテーテルの遠位端で回り込んで、反転支持カテーテルの中に入り、可撓性チューブで血栓を引き込むことで、血管から血栓を除去する様子を示している。この装置は遠位方向に前進させることができる。
【
図2】
図2は、大きな血管内の
図1Aに示したものと同様の反転チューブ装置の一例であり、この血管には、反転支持カテーテルの内径の2倍を超える直径を有する血栓がある。より細い直径の反転支持カテーテルを有する反転チューブ装置によって、血栓を取り込んで除去することができるが、反転の効率は低く、例えば、血栓全体を捕捉するためには、血栓チューブの長さの約12倍の可撓性チューブを必要とする。
【
図3】
図3Aおよび
図3Bは、血栓が取り込まれるときに血栓から脱水(例えば、液体を除去)して、反転の効率を向上させるように構成された反転チューブ装置の一例を示している。
図3Aでは、反転チューブ装置が、中間(例えば、送達)カテーテル内において展開されていない状態で示されており、反転支持カテーテルは、可撓性チューブが反転する遠位端に拡張可能なファネルを含む。可撓性チューブは、プラーが遠位方向に延在するようにプラーの遠位端領域に取り付けられる。
図3Bでは、
図3Aの反転チューブ装置が、少なくとも遠位端が中間カテーテルから延びている展開形態で示されており、反転支持カテーテルの遠位端における拡張可能なファネルが、拡張した形態となっている。
【
図4】
図4Aおよび
図4Bは、拡張可能なファネルを含む反転チューブ装置の別の例を示しており、可撓性チューブ(例えば、編まれたチューブ)がプラーの遠位端に取り付けられている。
図4Bは、展開された形態の
図4Aの反転チューブ装置を示しており、中間(例えば、送達)カテーテルが近位方向に引き込まれ、それにより、反転支持カテーテルの遠位端にある拡張可能なファネルが拡張することができ、かつ可撓性チューブが拡張することができる。
図4Cは、
図4A~
図4Cに示すものと同様の反転チューブ装置のプロトタイプの画像である。
【
図5】
図5Aおよび
図5Bは、編んだ可撓性チューブが回り込んで反転する反転支持カテーテルの遠位端にファネルを含む反転チューブ装置の遠位端の一例を示している。
図5Aは上面斜視図であり、
図5Bは側面図である。
【
図6】
図6A~
図6Dは、遠位端に拡張可能なファネルを含むプロトタイプの反転支持カテーテルの一例を示しており、これは反転チューブ装置と一緒に使用することができる。
図6Aは、折り畳まれた形態の拡張可能なファネルを示している。
図6Bは、拡張可能なファネルが(例えば、図示省略の中間カテーテルまたは送達カテーテルから)展開された状態を示している。
図6Cは、反転支持チューブの長軸に沿って圧縮力を加えることにより、拡張可能なファネルが完全に展開された状態を示している。
図6Dは、
図6A~
図6Cに示すような拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルを含む反転チューブ装置の一例を示している。
【
図7】
図7Aは、血栓を取り込む際に血栓を脱水するように構成された反転チューブ装置の一例を示している。
図7Aでは、血栓を取り込む前の反転チューブ装置が4mmの血栓の横に示されている。
図7Bは、血栓を取り込んだ後の反転チューブ装置を示しており、拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルから可撓性チューブが取り外されている。
【
図8】
図8Aは、反転チューブ装置が血栓を取り込む前の、可撓性チューブの内径が血栓の外径と一致するように選択された反転チューブ装置の一例を示している。
図8Bは、反転チューブ装置の可撓性チューブによって血栓が捕捉された(取り込まれた)後の血栓を示している。
【
図9】
図9A~
図9Cは、血栓効率(例えば、血栓を吸い込んで除去するのに必要な可撓性チューブの長さ)の関係を示しており、外径の大きい可撓性チューブほど血栓効率が向上することを示している。
図9Aは、血管内の血栓を吸い込む反転チューブ装置の一例を示している。
図9Bは、15mmの外径(OD)を有する5cmの血栓を、内径(ID)が8F(例えば、2.67mm未満)の反転支持カテーテル内に取り込むのに必要な可撓性チューブ(編まれた可撓性チューブ)の長さを示すグラフである。
図9Cは、異なる可撓性チューブODを有する様々な反転チューブ装置の例を示している。
【
図10】
図10A~10Dは、遠位端に拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルの例を示している。
【
図11】
図11A~
図11Dは、拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルの一例を示している。
図11Aは、細長い反転支持カテーテルの遠位端領域から形成された支持フレームを含むファネルを有する反転支持カテーテルの概略図である。
図11Bは、
図11Aに概略的に示す支持体を形成するために切断された反転支持カテーテルの一例を示している。
図11Cは、
図11Bに示すフレームなどのフレームに取り付けられた編組材料によって形成された反転支持カテーテルの遠位ファネルの一例を示している。
図11Dは、
図11Cに示すファネルの端面図である。
【
図12】
図12は、500gを超える(例えば、1kgを超える、1.2kgを超える、1.5kgを超える)軸方向の圧縮力が印加されたときに潰れに抵抗するのに十分な軸方向の圧縮強度を有するように構成された反転支持カテーテルのファネルの一例である。この例では、可撓性チューブが近位方向に引き寄せられて(例えば、引っ張られて)ファネルの遠位端で回り込むことにより加えられる軸方向の圧縮力が、ファネルを開いて展開させることもできる。
【
図13】
図13A~
図13Dは、潤滑性のある(例えば、テフロン)スリーブで裏打ちされた拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルの一例を示している。
図13Aは、細長い反転支持カテーテルの遠位端領域から形成された支持フレームと潤滑性スリーブとを含むファネルを含む反転支持カテーテルの概略図である。
図13Bは、潤滑性スリーブを含む、
図13Aに概略的に示すような反転支持カテーテルの一例を示している。
図13Cは、
図13Bに概略的に示すような反転支持カテーテルの遠位ファネルの一例であり、拡張した構成で示されている。
図13Dは、
図13Cに示すファネルの端面図である。
【
図14】
図14A~
図14Cは、引張力を減少させるためにファネルの口の中に潤滑性スリーブを含むことができる、反転支持カテーテルの拡張可能なファネルの例を示している。
【
図15】
図15Aは、反転支持カテーテルの遠位端にファネルを形成するために切断されたフレームの一例であり、
図15Aでは、カテーテルの遠位端を切断することによって形成されたフィンガが、ファネルの口の中でPTFE膜で覆われている。
図15Bは、反転支持カテーテルの遠位端にファネルを形成するために切断されたフレームの一例であり、ファネル領域を形成する湾曲したストラット(フィンガ)を有する。
【
図16】
図16A~
図16Dは、血管および/または血栓のサイズに基づいてユーザが選択し得る異なるサイズを有する血栓除去デバイスの例を示している。
【
図17】
図17A~
図17Cは、アテロームの除去(例えば、アテローム除去術)に使用される反転チューブ装置の例を示している。
【
図18】
図18A~
図18Cは、反転チューブ装置および一対の切断リングを使用してアテロームを除去する方法の一例を示している。
【
図19】
図19は、複数のタインを含む反転支持カテーテルの遠位端の一部分の一例を示している。
【
図20】
図20Aは、隣接するタインを接続するフィラメントを含む拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルの複数のタインの一例を示している。
図20Bは、
図20Aのタイン(フィラメントを示す)の遠位端の拡大図である。
【
図21】
図21Aは、反転支持カテーテルの拡張可能なファネルのファネル表面を形成し得る織られた材料からなる可撓性チューブの一例であり、織られた材料は、それ自体の上に折り返されて、外側ファネル表面と内側ファネル表面との間にタインがフィットする空間が存在するように形状設定(例えば、ヒートセット)されている。
図21Bは、
図21Aの可撓性チューブの拡大図を示している。
【
図22】
図22Aは、弛緩した状態の反転支持カテーテルの拡張可能なファネルの一例である。
図22Bは、圧縮応力が加えられた、完全に拡張した形態の
図22Aの拡張可能なファネルを示している。
図22Cは、装填スリーブ内で折り畳まれて拘束された状態の
図22Cの拡張可能なファネルを示している。
【
図23】
図23は、反転支持カテーテルの拡張可能なファネルの別の例である。
【
図24】
図24Aは、反転支持カテーテルの外面に沿って遠位方向に延在して反転支持カテーテル内へと反転する、編まれた材料の可撓性チューブを有する反転支持カテーテルの拡張可能なファネルの一例を示している。
図24Bは、張力が加えられて編まれた材料または織られた材料のチューブを反転支持カテーテル内に引き込んで、図示のように、拡張した形態にファネル本体を完全に拡張して詰めた、
図24Aのシステムを示している。
【
図25】
図25は、細長い可撓性本体および拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルと、反転支持カテーテルの外面に沿って遠位方向に延びる編まれた材料の可撓性チューブと、可撓性チューブおよび反転支持カテーテルの上に延びる装填スリーブおよび引き裂きスリーブと、反転支持カテーテルを送達カテーテル(図示省略)に固定するように構成された一対のロックと、反転支持カテーテル内に挿入されるように構成された編まれた材料または織られた材料からなる第2の可撓性チューブとを含むシステムの一例である。
【
図26】
図26は、反転支持カテーテルの近位端に設けられたストッパと、編まれた材料または織られた材料の可撓性チューブの近位端に設けられた弾性カフの一例を示している。
【
図27】
図27Aは、反転支持カテーテルを送達カテーテルに固定するように構成されたロックの一例である。
図27Bは、反転支持カテーテルと送達カテーテルの両方に取り付けられた
図27Aのロックを示している。
【発明を実施するための形態】
【0074】
全体として、本明細書には、より大きな直径の血栓および/またはアテロームの除去に特に適した反転チューブ装置(例えば、デバイスおよびシステム)が記載されている。反転チューブ装置は何れも、本体の遠位端に拡張可能なファネルを有する細長い可撓性本体を有する反転支持カテーテルと、可撓性チューブが反転支持カテーテル内に近位方向に引き込まれたときに、拡張可能なファネルを含む反転支持カテーテルで回り込んで反転する可撓性チューブとを含むことができる。反転支持カテーテルは、可撓性チューブの有無にかかわらず使用することができる。
【0075】
以前述べた機械的反転チューブ装置(「機械的血栓除去装置」とも呼ばれる)は、
図1A~
図1Cに示すように、血栓を効果的に除去するように構成されていた。本明細書に記載の装置およびこれを使用する方法は、(例えば、血栓が引き込まれる反転支持カテーテルの最大内径に対して)相対的に大きな外径の血栓での使用を含む、末梢血管系での使用に特に効果的であり得る。
【0076】
例えば、
図1Aは、反転トラクタ機械式血栓除去装置100の一例を示している(この装置は、例えば、米国特許出願第15/496,570号および米国特許出願第15/043,996号に記載されているようなものであり、それら出願の各々は、その全体が引用により本明細書に援用されるものとする)。
【0077】
図1Bでは、反転トラクタ機械的血栓除去装置100が、血管内の血栓109の近くに配置されていることが示されている。展開された形態では、プラー101(ここではプラーマイクロカテーテルとして示されているが、代替的にはプラーはワイヤであってもよい)は、細長い反転支持カテーテル107内に保持され、その結果、可撓性トラクタチューブ103は、プラー101の端部から延び、細長い反転支持カテーテル107の内側半径に向かって拡張し、細長い反転支持カテーテルの遠位端開口111で、トラクタチューブはそれ自体裏返しになって、反転形態で細長い反転支持カテーテルの遠位端上を近位方向に延びる。
図1Cに示すように、プラーを近位方向に引っ張ることにより、トラクタチューブは、細長い反転支持カテーテルの遠位端開口でローリングして(113、113’)表裏反転し、図示のように、隣接する血栓を細長い反転支持カテーテル内に引き込むことができる。
【0078】
図1Aの細長い反転支持カテーテルは、反転支持カテーテルの近位長さ部分と同じサイズの内径を持つ遠位端を有する細長いチューブである。反転支持カテーテル107は、トラクタチューブ(例えば、可撓性チューブ103)とプラー101との間に配置された状態で示されており、プラーを引っ張ってトラクタチューブを反転させるように細長い反転支持カテーテル内に回り込ませる(ローリングさせる)ことにより、トラクタチューブを近位方向に引っ張ることができる。細長い反転支持カテーテルの遠位端で反転されるトラクタチューブの部分は、細長い反転支持カテーテルの外径よりも大きい外径を有する。トラクタは、細長い反転支持カテーテルの外径(OD)よりも大きい直径を有する弛緩した拡張形態を有するようにバイアスをかけるようにしてもよい。加えて、トラクタチューブを裏返しにして遠位端開口で細長い反転支持カテーテル内に回し込んだときに、細長い反転支持カテーテル内のトラクタチューブの外径が、細長い反転支持カテーテルの内径の約y倍の(例えば、yは、細長い反転支持カテーテルの内径、IDの0.1倍、0.5倍、0.6倍、0.7倍、0.75倍、0.8倍、0.9倍、1倍などよりも大きい)外径を有するように、(例えば、ヒートセットなどにより)トラクタチューブが構成されるようにしてもよい。こうした細長い反転支持カテーテルのODの直径よりも大きいトラクタチューブの非反転直径と、細長い反転支持カテーテルのIDの例えば0.7倍よりも大きいトラクタチューブの反転直径との組合せは、装置の展開時と、トラクタを細長い反転支持カテーテルの遠位端開口でローリングさせて血栓を捕らえる時の両方において、装置の引っ掛かりを防止するのに驚くほど有用である。トラクタは、拡張可能であり、図示のようにプラーに連結されるものであってもよい。いくつかの態様では、可撓性トラクタとプラーは同じ材料を含むことができるが、トラクタはより可撓性および/または拡張性があり、あるいは細長いプラー(例えば、プッシュ/プルワイヤまたはカテーテル)に接続されるものであってもよい。
【0079】
図1Cにおいて、血栓は、矢印113、113’で示すように、トラクタを近位方向に細長い反転支持カテーテルの遠位端内へと引っ張ることによって、細長い反転支持カテーテル内へと引き込まれ、これは、可撓性トラクタの内側部分を引っ張ることにより、カテーテルの端部開口でトラクタがカテーテルの遠位端内へと折り返されて拡張可能な遠位端領域が反転し、矢印で示すように、カテーテル内に引き込まれる様子を示している。カテーテルの外側のトラクタの端部は、カテーテルの外壁から「解放された」ものであってもよい。
【0080】
図2は、
図1Aに示したものと同様の反転チューブ装置201の一例を示している。この例では、反転チューブ装置は、反転支持カテーテルの内径の2倍よりも大きい直径の血栓を有する大きな血管内にある。より細い直径の反転支持カテーテルを有する反転チューブ装置201によって血栓を取り込んで除去することができるが、反転の効率が低く、例えば、血栓全体を捕捉するために血栓チューブの約12倍の長さを有する可撓性チューブを必要とする場合がある。この図は、本明細書に記載の装置によって対処される問題、具体的には、長くて大径(例えば、10mmより大きい)の血栓を、相対的に小径の反転チューブ装置内に効率的に取り込む方法を例示している。この例では、10mm以上の直径の血栓を、反転チューブ装置の直径3mm(例えば、8フレンチ)の反転支持カテーテル内に引き込むことができるが、血栓の全長を捕捉するために使用する必要がある可撓性チューブの長さが非常に長くなるため、効率が低くなる。具体的には、直径10mmで長さ1cmの血栓を、3mmのカテーテル内に反転させて引き込む場合に、12cmの可撓性チューブが必要となり、よって長さが5cmの血栓には、60cmの可撓性チューブが必要になる。本明細書に記載の反転チューブ装置は、いくつかの方法でこの効率性に対処し、改善することができる。
【0081】
特に、本明細書に記載の方法および反転チューブ装置は、血栓が反転チューブ装置内に引き込まれる際に、血栓を脱水することができる。血栓は、硬くて部分的に石灰化したものであっても、本明細書に記載の反転チューブ装置によって圧縮されて除去される多量の流体を含む場合がある。例えば、可撓性チューブは、典型的には多孔質であり、例えば、編まれた材料であってもよい。さらに、いくつかの態様では、反転支持チューブの遠位端領域は、特に遠位端領域(例えば、遠位5mm、遠位4mm、遠位3mm、遠位2mm、遠位1mm、遠位0.9mm、遠位0.8mm、遠位0.75mm、遠位0.7mm、遠位0.6mm、遠位0.5mm、遠位0.4mmなど)は、血栓が細長い反転支持カテーテル内に引き込まれる際に、血栓から反転支持カテーテルの外に流体が横方向に逃げることを可能にすべく多孔質であってもよく、それにより、血栓を伸長させ又は引き延ばすのではなく、より効率的に圧縮することができる。特に、本明細書には、反転支持カテーテルに漏斗状の遠位端を含む装置および方法が記載されており、漏斗状の遠位端は(特に、ファネルの基部近傍の領域において)多孔質であり、可撓性チューブ(例えば、トラクタ)の回り込みにより血栓が反転支持カテーテル内に近位方向に引き込まれる際に、血栓物質を圧縮することが可能であるとともに、反転支持カテーテルの側部から外に横方向に血栓からの流体を排出/除去することが可能である。ファネルは、拡張可能(本明細書では折り畳み可能ともいう)であってもよく、反転支持カテーテルの遠位端と一体的であるか、または、反転支持カテーテルの遠位端に取り付けられるものであってもよい。ファネルは、折り畳まれて、シース/ガイドカテーテル(例えば、中間カテーテル)を介して導入されるようにしてもよく、折り畳まれた状態で、6フレンチ、8フレンチ、10フレンチ、12フレンチ、14フレンチ、16フレンチ、28フレンチ、20フレンチ、および/または24フレンチのシースに適合することができる。拡張可能なファネルは、自己拡張することができる。代替的または追加的には、反転支持カテーテルの遠位端の拡張可能なファネルは、可撓性チューブの作動によって拡張されるものであってもよく、例えば、可撓性チューブを反転支持カテーテル内に近位方向に引っ張って、可能性チューブを反転支持カテーテルの遠位端で回し込むことにより、近位方向に向けられた圧縮力を適用し、それにより拡張可能なファネルを引っ張って拡張させることができる。ファネルは、折り畳まれた形態の最大外径の2倍より大きい(例えば、2.5倍より大きい、3倍より大きい、3.5倍より大きい、4倍より大きい、4.5倍より大きい、5倍より大きい)最大外径を有することができ、折り畳まれた形態のファネルの最大外径は、反転支持カテーテルの本体領域の最大外径とほぼ同じか、またはそれより僅かに大きい(例えば、反転支持カテーテルの近位部分の外径の1倍、1.01倍、1.1倍、1.2倍などである)。いくつかの態様では、ファネルが2~26mmの外径を有する。
【0082】
これら態様の何れにおいても、大径の血栓をより良好に取り込んで圧縮するように可撓性チューブを適合させることができる。例えば、反転支持カテーテルの外側(例えば、血管内)にあるときの非反転形態の可撓性チューブは、ファネルの拡張形態の最大外径とほぼ同じか、またはそれよりも大きくなるように選択された外径を有することができる。
【0083】
拡張可能なファネルは、可撓性チューブ(例えば、織られたトラクタ)が、血栓の中心部よりもむしろ断面のエッジで血栓を捕えることを可能にすることができ、それによってより効率的な血栓の取り込みを可能することができる。
【0084】
本明細書に記載の可撓性チューブの態様(例えば、トラクタの態様)において、可撓性チューブの拡張された非反転外径(例えば、カテーテル内に引き込まれて反転される前の反転支持カテーテルの外側にある可撓性チューブの部分)を、拡張したファネルの最大外径よりも大きな直径(OD)に、好ましくは血栓のODに対して可能な限り大きな直径(OD)にヒートセットすることが有益である可能性がある。より大きなODの可撓性チューブは、血栓を捕えて圧縮するのに高い効率を有することができる。これは、反転支持カテーテルの遠位端にファネルがあるかどうかに依存しない可能性がある。例えば、織られた材料で形成された可撓性チューブ(例えば、トラクタ)の場合、反転していない可撓性チューブのODは、血栓のOD(または血管ID)の少なくともl/3であるように選択することができ、例えば、反転していない拡張した可撓性チューブは、血栓のOD(または血管ID)の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%または約110%以上であるODを有することができる。
【0085】
上述したように、反転支持カテーテルの遠位端、特に遠位端の拡張可能なファネルは、多孔質であってもよい。圧縮された血栓からの流体がファネル内径の側壁の外(例えば、遠位端および近位端だけからではなく、反転支持カテーテルの壁に対して横方向)から出ることを可能にする能力は、血栓から除去された流体が行く場所を提供することができるとともに、装置の効率を改善することができ、それにより、同等の長さの血栓を除去するために遙かに短い可撓性チューブを使用することができる。血栓が横方向に逃げることができない場合(例えば、非多孔質のファネルを使用する場合)、除去された流体はファネルの基部に溜まり、血栓の効率を低下させる可能性がある。このため、いくつかの態様では、ファネルは、多孔質であるか、または、例えば、血栓の圧縮比が最も高くなるファネルの基部付近では、少なくとも部分的に多孔質である。
【0086】
本明細書に記載の何れの態様においても、反転支持カテーテルは、比較的大きいものであってもよく、その場合、血栓をそれほど圧縮する必要はない。末梢血管系では、例えば、反転支持カテーテルは、1mmより大きい外径、例えば、1mm、1.2mm、1.4mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mmよりも大きい外径を有することができる。
【0087】
一般に、本明細書に記載の装置は何れも、血栓を除去するために必要な力を減少させることにより、血栓を除去するための装置の効率も向上させることができる。例えば、本明細書に記載の方法および装置は、反転支持カテーテルの遠位端(例えば、ファネル)上に潤滑性材料を含むことができる。例えば、これらの装置の何れかにおいて、ファネルを滑り易い材料(例えば、PTFEライナ)で裏打ちすることができ、それにより取り込み力が低くなり、かつ/または取り込み効率が低くなる可能性がある。滑り易いファネルは、血栓物質をカテーテル内に引っ張るのではなく、ファネルの口に取り込むことを可能にすることができる。
【0088】
いくつかの態様では、ファネルは、血栓を圧縮および/または脱水する効率を高めるのに役立ち、かつ必要とされる力の大きさを低減するのに役立つ特定の形状(例えば、テーパ)を有するように構成することができる。例えば、いくつかの態様では、より長いファネルは、同じ最大OD/最小IDのより短いファネルと比較して、より低い取り込み力を有し、より良好な血栓取り込み効率を有することができる。例示的なファネルは、例えば、3mm、5mm、6mm、8mm、10mm、12mm、15mm、20mm、25mmなどの最大ODを有することができる。例示的なファネルの長さは、例えば、5cm、10cm、15cm、20cm、25cm、30cm、40cm、50cm、100cmなどであってもよい。細長い可撓性反転カテーテルの本体部分は、例えば、3フレンチ(F)、4F、5F、6F、7F、8F、9F、10F、11F、12F、14F、16F、18F、20F、25Fなどのカテーテルであってもよい。
【0089】
可撓性チューブが織られた材料からなる態様では、織り目が粗いほど効率が高くなる可能性がある。例えば、チューブの横断方向における(織物外周あたりの)織物「フィンガ」(例えば、ループ)の数が多いほど、血栓の取り込み効率が高くなる。例えば、捕えるフィンガの数は、管状の織物外周あたり少なくとも10、20、20、40、50、60、100等とすることができる。
【0090】
通常、本明細書に記載の反転チューブ装置は、作動前および作動中の両方において、可撓性が非常に高いものであってもよい。例えば、可撓性チューブ(例えば、トラクタ)は、操作性に影響を及ぼさないように、細長い反転支持体のカテーテル、特にカテーテルの遠位端領域の剛性/柔軟性を大幅に大きくしないようにしてもよい。本明細書には、カテーテルの最後のycm(例えば、最も遠位の20cm、18cm、15cm、12cm、10cm、9cm、8cm、7cm、6cm、5cm、4cm、3cm、2cm、1cmなど)の剛性の増加が所定のパーセンテージ未満(例えば、10%、12%、15%、18%、20%、25%、30%未満など)である可撓性トラクタチューブ部分が記載されている。例えば、本明細書には、カテーテルを通ってカテーテルの遠位端で二重に折り返される可撓性トラクタチューブ部分が記載されているが、そのカテーテルの遠位側5cmの剛性の増加は、カテーテルを通ってカテーテルの遠位端で二重に折り返される可撓性チューブがない場合のカテーテルの遠位側5cmの剛性の15%未満である。
【0091】
可撓性チューブ(例えば、トラクタ)は、織られた材料、編まれた材料、および/または編組材料であってもよい。反転チューブを形成するために織られた複数の繊維または編組された複数の繊維を含むことができる織られた材料および編組材料については、それらの構造を調整して、引っ掛かりを防止し、かつ/またはトラクタを引いてカテーテル先端で反転させるのに必要な力を低減することができる。例えば、機械式アテローム除去装置は、編組構造の1または複数を調整すること、編組角度を最小化すること、カテーテルの外径部(OD)または編組(例えば、トラクタ)の内径部(ID)の遠位側面に親水性コーティングを含むこと、カテーテルにアール壁を含むこと、および/または隣接する近位領域に対する遠位先端領域の剛性を増加させることによって、曲がりくねった解剖学的構造であっても、血栓を捕らえるときに、カテーテルの先端の周りで自由に折り返すことができる編まれたまたは織られた可撓性チューブを含むことができる。 代替的には、1、3、5、10または15cmの遠位IDまたはカテーテルID全体に親水性コーティングを施すことが有利である場合もある。
【0092】
前述したように、可撓性チューブ(例えば、トラクタ)は、編組、織ったもの、編んだもの等とすることができ、カテーテルの内径部(ID)内になるべく小さく折り畳まれるように構成することができる。例えば、トラクタがカテーテル内径(ID)/カテーテル先端のODの90%、85%、75%、70%、65%、60%または50%以上または未満のIDに折り畳むことができる。何故なら、このIDが反転支持カテーテルの細長い本体領域に基づくものである場合、トラクタがカテーテル先端の周りに引っ張られると、トラクタ(例えば、編組、編まれたものなど)に軸方向の張力が生じ、トラクタが不用意にかつ望ましくないことにカテーテル先端で引っ掛かる可能性があるからである。トラクタがカテーテル先端の周りに引っ張られると、トラクタがカテーテルIDを通って引っ張られる際に、トラクタが軸方向に引っ張られて、トラクタ構造体に軸方向の張力を生じさせる。カテーテルID(またはいくつかの態様では、OD)の90%、85%、75%、70%、65%、60%または50%以上のIDでトラクタ要素を詰め込むことにより、軸方向に張力が加えられるときに、トラクタがカテーテル先端を捕らえ/同期する可能性が低くなり、ユーザにより加えられる小さい軸方向の力で、編組がカテーテル先端の周りで折り返すのを補助することができる。ユーザがトラクタ構造体を先端の周りで引っ張るのに必要な軸方向の力がより小さい場合、カテーテル先端が、トラクタを引き込む際に座屈したり撓んだりする可能性が低くなる。カテーテル先端が座屈する可能性を最小限に抑えることが有利となる場合がある。トラクタは、特定の数の編組端部を選択すること、編組端部のサイズ/直径を選択すること、編組材料(例えば、マルチフィラメントまたはモノフィラメント)を選択すること、編組上でバイアス(例えば、編組の直径)をヒートセットすること、編組パターン、例えば1×2、1×1または他の任意のパターンを選択すること、のうちの何れかの変数を任意の組合せで制御することによって、特定のIDで「詰め込む」ように調整することができる。
【0093】
編組角度は、カテーテルの端部開口部でのトラクタのローリングのロックアップを防止するために最小化される。典型的には、編組角度が低いほど(例えば、45度以下、40度以下、35度以下、30度以下、25度以下、20度以下など)、編組の交差部分がカテーテル先端に引っ掛かる可能性が低くなる。
【0094】
本明細書に記載の態様の何れかにおいては、カテーテルの遠位端領域でのローリングを促進するために、カテーテルおよび/またはトラクタの表面をコーティングすることができる。トラクタがカテーテルの内部を通って引っ張られるときにカテーテルの遠位端でカテーテルの先端の周りをより容易にスライドできるように、カテーテルODまたはトラクタIDの遠位側面に親水性コーティングを有することが有用となることがある。
【0095】
細長い反転支持カテーテルの遠位部の剛性は、トラクタが引っ張られるときに、潰れるのを防止するのに十分な剛性であり、(例えば、コーティングまたは材料の特性によって)カテーテルの遠位部を滑らかなものとすることもできる。細長い反転支持カテーテル先端の最も遠位の部分(例えば、最後の5mm)は、編組構造体がカテーテル先端の周りでローリングしているときに、カテーテルの遠位先端が潰れたり内向きに座屈したりしないように、十分に剛性が有りかつ滑らかな材料で製造することができる。このため、遠位先端は、カテーテルの遠位端におけるより近位側の領域よりも大きい剛性を有するようにしてもよい。
【0096】
図3Aおよび
図3B、および
図4Aおよび
図4Bは、それぞれが反転支持カテーテルの遠位端にファネル領域を含む反転チューブ装置の例を示している。例えば、
図3Aは、遠位端に拡張可能なファネル308を有する細長い可撓性の反転支持カテーテル307を含む反転チューブ装置300の第1の態様を示しており、拡張可能なファネルは、中間(例えば、送達)カテーテル309内で、
図3Aの折り畳まれた形態となり、中間カテーテルから解放された後、
図3Bの拡張した形態となることが示されている。ファネルは、織られた材料で形成することができ、かつ多孔質とすることができ、特に、ファネルが反転支持カテーテルの細長い本体から延びる基部領域313では多孔質とすることができる。可撓性チューブ305は、反転支持カテーテルの遠位端(ファネルを含む)を越えて延び、ファネルの遠位開口部で反転する。可撓性チューブは、例えば、編まれた材料であってもよく、拡張した形態においてファネル308のODよりも大きい外径(OD)に拡張するようにバイアスがかけられるようにしてもよい。可撓性チューブは、プラー303の遠位端領域に取り付けられている。
図3Aおよび
図3Bに示す例では、図示のように、プラーが、ファネルの遠位端よりも遠位方向315に延在している。可撓性チューブ(例えば、トラクタ)は、プラーの遠位端領域に取り付けられているが、この例では、可撓性チューブの端部が、デバイスの遠位端よりも近位側に取り付けられている。
【0097】
図4Aおよび
図4Bに示す反転チューブ装置400の例では、可撓性チューブ405が、プラーの遠位端近傍のプラー403の遠位端領域に、またはプラーの遠位端に取り付けられている。
図3Aは、中間カテーテル(例えば、送達カテーテル)409内の反転チューブ装置400を示しており、中間カテーテル内の反転支持カテーテル407の遠位端にファネル408が、折り畳まれた形態で取り付けられている。ファネルは、基部413の領域に1または複数の(例えば、周方向に配列された複数の)開口部または孔を含むことができ、それにより、回り込む可撓性チューブ405(例えば、トラクタ領域)によって血栓が反転支持カテーテル内に引き込まれる際に、血栓からの流体が反転支持カテーテルから流出することが可能となっている。
図4Bは、装置が中間カテーテル409の外に少なくとも部分的に展開され、拡張可能なファネル408が拡張された状態を示している。
【0098】
図4Cは、プロトタイプの装置400’の写真であり、この装置は、反転支持カテーテル407’が拡張可能なファネル408’(拡張した状態で示されている)を含み、血栓除去デバイスとして使用される場合に、ファネルで可撓性チューブ405’が回り込んで反転し、血栓物質を捕捉することができる。
図4Cでは、可撓性チューブは編まれたチューブとして示されており、装置の遠位方向を向く端部に、血栓物質を捕捉するのを補助する複数の(例えば、15本より多い)ループまたはフィンガを形成している。これは、
図5Aおよび
図5Bにさらに詳細に示されている。
【0099】
図5Aおよび
図5Bには、反転支持カテーテル507の遠位端を形成する多孔質ファネル508が示され、可撓性チューブがファネル内へと近位方向に引っ張られたときに、編んだ可撓性チューブ505がファネルで反転してファネル内に入ることが示されている。
【0100】
いくつかの態様では、拡張可能なファネルを、
図6A~
図6Dに示すように、織られた材料および/または編組材料で形成することができる。例えば、
図6Aでは、ファネルは、血栓をデバイス内に引き込む際に、大径の血栓を圧縮および/または脱水するのに必要とされる相対的に大きな圧縮荷重を処理するように構成されている。
図6Aでは、ファネル608は折り畳まれた形態で示されているが、ファネルは、図示のように、例えば漏斗形状を細長くすることによって、より小さなODに折り畳んで、小さなIDのシースを介して導入することができる。ファネルは、
図6Bに示すように、例えば、血管内で送達カテーテルから解放されたときに、完全にまたは部分的に拡張した形態に、自己拡張するようにしてもよい。いくつかの態様では、ファネルは、
図6Cに示すように、血栓に押し込まれるか、または体609に押し付けられたときに、さらに(より完全に)拡張することができ、その結果、後述する
図12でより詳細に示すように、圧縮力611がファネルに近位方向に加えられて、より高い強度の形態に詰めることができる。
図6Dは、反転支持カテーテルのファネル端部の遠位斜視図であり、編まれたトラクタ(編まれた可撓性チューブ)603がファネル内に反転している様子を示している。この例では、ファネルが、拡張した形態において、5mmのIDから8mmのIDへと外向きに広がっている。
【0101】
図7Aおよび
図7Bは、可撓性チューブ(例えば、編まれたトラクタチューブ703)と、血栓711を取り込む拡張可能なファネル708を含む反転支持チューブ705とを有する反転チューブ装置の一例を示している。
図7Aは、取り込む前の血栓および装置を示している。
図7Bは、可撓性チューブが反転支持カテーテル内から取り外された後の、反転支持カテーテルに取り込んだ可撓性チューブ内の血栓を示している(編まれた可撓性チューブが、プラー709に取り付けられていることが示されている)。同様に、
図8Aおよび
図8Bは、反転チューブ装置800の別の例を示しており、ここでは、織られた可撓性チューブ(トラクタチューブ)が血栓811のODとほぼ等しい外径を有するように先端にファネルの無い反転支持カテーテル807がヒートセットされ、その結果、装置から除去された後の捕捉された血栓811’を示している
図8Bに示すように、相対的に高い血栓効率がもたらされている。
【0102】
図9A~
図8Cに示すように、一般に、血栓除去効率は、可撓性チューブの外径の大きさとともに増加し得る。
図9Aは、反転支持カテーテル907および織られた可撓性チューブ905を含む反転チューブ装置(血栓除去装置)900の一例を示している。
図9Bは、外径15mmで長さ5cmの血栓を完全に捕捉するために必要な装置の編まれた可撓性チューブ(トラクタチューブ)の長さ(cm単位)を示すグラフである。図示のように、例えば反転支持カテーテルの外側にある、反転されていない拡張形態の可撓性チューブの外径が大きいほど、編まれた可撓性チューブの必要な長さは小さくなる。
図9Cは、様々な反転チューブ装置と、その例示的な寸法を示している。
【0103】
任意の適切な拡張可能な漏斗状の遠位端を使用することができる。例えば、
図10A~
図10Cは、漏斗状の遠位端の様々な態様を示している。
図3Aには、ファネル1013が示されており、中実であるか、または流体の通過を可能にする開口部を含むことができ(例えば、多孔質であり)、その表面全体が多孔質であってもよい。
図10Bは、拡張可能なファネルの一部のみが多孔質である一例を示している。
図10Bでは、基部領域1023が多孔質であり、ファネル1013の基部領域の外周に周方向に配置された複数の開口部を含む。
【0104】
図10Cに示す拡張可能なファネル1013の態様は、その全長にわたって多孔質であり、漏斗形状を形成するためにそれ自体の上に二重に折り返された織られた材料(例えば、金属またはポリマー繊維)で形成されていることが示されている。
図10Dは、
図10Cの態様の断面図であり、細長い可撓性の反転支持カテーテル1007の本体領域の外側に対する、ファネルを形成するチューブ状織物の取付部1021と、ファネルの口内にあるファネル部分の第2の端部1025とを示している。これらの態様は何れも、潤滑性スリーブ(例えば、テフロンスリーブ)を含むことができる。
【0105】
図11A~
図11Dは、ファネルを含む反転支持カテーテルの遠位端の一例を示している。この例では、ファネルが、反転支持カテーテルの本体と一体的に形成されている。
図11Aの概略図で示すように、ファネルの形状は、反転支持カテーテル1107の本体の遠位端を切断(例えば、レーザカット)することによって形成された複数のフィンガまたはストラット1111によって形成されたフレームワークを含む。
図11Aでは、編組または織られたファネル本体1118がストラットに取り付けられており、織られた本体は、一端が反転支持カテーテルの本体に取り付けられ(1105)、他端1109がストラット上の定位置に固定されている。
図11Bは、複数のストラットまたはフィンガに切断された細長い支持カテーテルの本体の一例を示しており、その上には、
図11Cに示すように、ファネル本体が支持される。ファネル1131の遠位端は、開放されており、ストラットを越えて延びることができ、かつ詰まっていて、下側のストラットまたはフィンガが存在しない場合でも、高い圧縮強度を有する固定された開放形態を形成することができる。
図11Dは、装置のファネルの開放された遠位端の一例を示している。
【0106】
図12は、
図11Cに示すファネルの遠位端の拡大版であり、軸方向の圧縮力の適用により、装置の遠位端を「詰まらせて」、詰まっていないより近位の端部と比較して、より大きな編組角度
を遠位端に形成することを示している。この圧縮力は、拡張可能なファネルを開く(かつ開くのを保持する)のに役立つ可能性がある。
【0107】
図13A~
図13Dは、潤滑性スリーブ(例えば、テフロンスリーブ)を含む、反転支持カテーテルのファネル部分の別の態様を示している。
図13Aは、ファネルが複数のアーム1303から形成され、編組されたファネル本体1305が、反転支持カテーテル1307の本体から形成されたアーム(
図11A~
図11Dに示す態様と同様のアーム)の上に結合される様子を概略的に示している。編組された本体は、カテーテル本体1316に結合するようにしてもよい。さらに、テフロンスリーブ1309が、図示のように、編組された本体領域のODに沿った1または複数の位置で取り付けられるようにしてもよい。
図13Aでは、基部領域がテフロンスリーブに覆われておらず、流体がファネルの基部付近で横方向にファネルから出ることが可能となっている。
【0108】
図13Bは、折り畳まれた(拡張してない)形態で側面斜視図により示す、
図13Aの反転支持カテーテルのプロトタイプの側面図である。
図13Cは、拡張した形態のファネルを示している。テフロンスリーブ1309は、拡張したファネルの外側に、ファネルの長さ方向に沿って部分的に取り付けられている。
図13Dは、
図13Bおよび
図13Cの反転支持カテーテルのファネルの遠位端の端面図を示している。
【0109】
図14A~
図14Cは、図示の装置の何れかが含むことができる潤滑性スリーブの異なる例を示している。
図14Aでは、テフロンスリーブ(PTFEチューブ)がファネルの口の中に取り付けられ、マットが遠位端に取り付けられているが、近位端では浮かせることが可能となっている。代替的には、
図14Bでは、潤滑性スリーブ(PTFEスリーブ)が、漏斗形状を形成する織られた本体の下に取り付けられ、近位端で結合されるか、または浮かせることが可能となっている。
図14Cでは、潤滑性スリーブが、外側に取り付けられて漏斗形状の遠位端で反転しており、近位方向に浮かせることが可能となっている(または近位方向に取り付けることが可能となっている)。
【0110】
図15Aおよび
図15Bは、ファネルを含む反転支持カテーテルの他の態様を示している。
図15Aでは、ファネルが、レーザカットされたフィンガのセットから形成されて、漏斗形状とされ、ファネル本体材料が、上述したように、漏斗形状の内側および/またはそれら形状の上に取り付けられる。
図15Bでは、カテーテル本体の端部が、漏斗形状を形成する複数の湾曲したアームにレーザカットされている。
【0111】
前述したように、様々な異なる形態およびサイズを使用することができ、ユーザは、装置が使用される血管の寸法に基づいて、それらの中から選択することができる。例えば、
図16A~
図16Dは、使用され得る反転チューブ装置の4つのバリエーションを示している。
図16Aでは、反転支持カテーテルの遠位端にファネルを含まない5フレンチ装置が示されている。
図16Bは、拡張可能なファネルを有する反転支持カテーテルを含む一例(6Fシステム用のサイズ)を示している。
図16Cおよび
図16Dは、8Fおよび10Fの装置をそれぞれ示している。
【0112】
図17A~
図17Cは、可撓性チューブが拡張された(例えば、圧縮されていない)形態を有するように構成された態様を示しており、それが、狭く(
図17A)、例えば、拡張したファネルの最大ODよりも小さいか、または広く(
図17Bおよび
図17C)、例えば、拡張したファネルの最大ODよりも大きい。
図17Cでは、可撓性チューブの第1の端部を反転支持カテーテル内で近位方向に引っ張ることにより、反転支持カテーテルの遠位端のファネルで可撓性チューブを回し込む際に、可撓性チューブを遠位方向に駆動するために(例えば、張力を防ぐために)送達カテーテル1705を使用することができる。
【0113】
また、本明細書には、アテローム切除術用に構成された反転チューブ装置も記載されている。いくつかの態様では、反転チューブ装置は、可撓性チューブおよび反転支持カテーテル(例えば、遠位端に拡張可能なファネルを有するもの)を含み、さらに、血管内のアテロームの中および/または周囲を切断するための1または複数のリングカッタを含むことができる。例えば、
図18Aは、アテロームを横方向に切断するために使用される一対のリングカッタ(例えば、MollRingカッタ)を含む反転チューブ装置の一例を示している。リングカッタは、反転支持カテーテルの外側を通過することができる。いくつかの態様における回り込む反転可撓性チューブは、石灰化した物質および/または組織と係合して切断することができる鋭いエッジを有するように、垂直に対してある角度をつけて切断されるレーザカット材料(例えば、金属、ポリマーなど)のシートなどの鋭い材料または切断材料で形成することができる。切断リングは、高密度のプラーク物質の中に、プラーク物質を通って切断することをさらに可能にするようにしてもよい。
【0114】
遠位端に拡張可能/折り畳み可能なファネルを含む本明細書に記載の反転支持カテーテルは何れも、可撓性チューブ(例えば、トラクタ)がファネルの周囲に予め装填される場合を含めて、カテーテルおよび/またはシース内への挿入を容易にするために小径に折り畳まれるように構成することができる。使用時には、イントロデューサシースのようなツールを使用して、可撓性チューブが取り付けられているか否かにかかわらず、反転支持カテーテルの遠位端(例えば、ファネル)を折り畳んだ形態で保持することができ、それにより、体内に既に配置されている送達カテーテル、または挿入される反転支持カテーテルおよび可撓性チューブアセンブリとともに体内に装着される送達カテーテルのルーメン内に容易に挿入することができる。遠位端のファネルをより小さい直径に折り畳むことは、「装填された」反転支持カテーテルを送達カテーテル内に、ひいては体内に通すのに役立つ場合がある。イントロデューサシースのようなツールが使用される場合、それは、装填中または装填後に取り外すことができ、イントロデューサシースは、長さ方向に沿って延びるスリット、穿孔または引き裂き領域を有するポリマー(例えば、プラスチック)製の先細りチューブであってもよい。ファネルは、折り畳んで、イントロデューサシースのより広い端部内に挿入することができ、反転支持カテーテルは、イントロデューサシース内で狭くなった端部に向けて遠位方向にスライドするように押し込むことができる。その後、狭い方の端部は、送達カテーテル内に装填することができ、反転支持カテーテルは、イントロデューサシースから送達カテーテル内に遠位方向に押し込むことができ、その後、イントロデューサシースは、反転支持カテーテルの周囲から除去するために、その長さ部分を(例えば、予め形成された引き裂き線に沿って)取り壊すことができる。イントロデューサシースの一例が
図25に示されており、後でより詳細に説明する。
【0115】
反転支持カテーテルのファネル部分は、少なくとも遠位端領域を、反転支持カテーテルの残りの部分、例えばファネルよりも近位側の領域の直径よりも小さくなるまで折り畳むように構成されるようにしてもよい。例えば、ファネルは、3F、4F、5F、6F、7F、8F、9F、10F、12F、14F、16F、18F、20F、24F、30Fなどのシースまたはガイドカテーテル(本明細書では送達カテーテルとも呼ばれる)に適合するように折り畳まれるように構成することができる。
【0116】
反転支持カテーテルのファネル部分は、ファネル部分を形成する構成要素の特徴部に限定されるものではないが、それを含む様々な方法で、この目的に適合させることができる。例えば、いくつかの態様では、ファネル部分の外側表面および内側表面を、編組のようなメッシュ材料で形成することができる。特定のメッシュまたは編組構造は、編組を形成するフィラメントの数(例えば、端部の数)、フィラメントのサイズ(例えば、端部のサイズ)、編組角度など、ファネルを折り畳むことができる量に寄与することができる。ファネルが、メッシュまたは他の材料によって形成された内側表面と外側表面との間に複数の長手方向のタインを含むいくつかの態様では、ファネル部分を折り畳む能力が、(例えば、ファネルの壁を形成するメッシュまたは織られた材料の)内側表面および外側表面内で移動するタインの能力によって部分的に決定される。例えば、ファネルの壁を形成する編組チューブは、導入のためにファネルが小径に折り畳まれることを可能にするために、タインに対して相対的にスライドすることができる。
【0117】
図19は、遠位端にファネルを有する反転支持カテーテルの一例の一部を示している。ファネルは、反転支持カテーテルの遠位端から延びる複数のタイン1905によって部分的に形成することができる。例えば、反転支持カテーテルの遠位端領域は、例えば、レーザカットによって横方向に切断されてタインを形成する金属製のハイポチューブで形成することができる。
図19には、6本のタインが示されている。タインは、例えば(
図20Aに示すように)マンドレル上で、互いに外向きに広がるようにしてもよい。いくつかの態様では、
図19に示すように、タインは、遠位端1909が尖らないようにまたは丸みを帯びるように、切断されたアームをそれ自体の上に折り返すことによって形成されるものであってもよい。この例では、図示のように、タイン1907の折り返された部分が、内側に折り畳まれて、一緒に圧着されている。いくつかの態様では、複数のタインのうちの各タインを放射状に接続するために、フィラメントを含むことができる。これは、
図20Aおよび
図20Bに示されている。この例では、フィラメント2007は、タイン2005の遠位端(それ自体に折り返される部分)に通された縫合糸である。典型的には、フィラメントは、タインの遠位端またはその近傍(例えば、遠位端から1mm、2mm、3mm、4mm等の範囲内)に取り付けられている。図示される各タイン2005は、フィラメント2007によって放射状に隣接するタインに接続されている。タイン(それらの遠位端を含む)をそれらの長さ方向に沿って互いに接続することは、タインを倒してかつ/または曲げて反転支持カテーテルの機能を損なう可能性がある力を分散させるのに役立つ可能性がある。
【0118】
図21Aおよび
図21Bは、ファネルの外側表面および内側表面(例えば、壁)を形成するために使用されるメッシュ材料の一例を示している。
図21Aには、メッシュ(例えば、織られた)材料のチューブ2100が示されており、これは、図示のようにそれ自体の上に折り返して、内側表面2103および外側表面2104を形成している。ファネルを形成するために、それら内側表面と外側表面の間にタインが挿入され、外側端部が反転支持カテーテルの近位領域の外側に取り付けられる。壁を形成する材料(例えば、編組)は、この二重層に形状設定(例えば、ヒートセット)される。具体的には、詰まった形態において、内側の層が外側の層の内径(ID)よりも小さい外径(OD)を有するように材料を形状設定することができ、それによりタインがスライドするための空間を形成することができる。
【0119】
図21Bは、
図21Aの編組壁材料の一部の拡大図である。
図21Bでは、編組材料が、フラットワイヤの編組として示され、編組材料を形成するために、円形および/またはフラット断面のワイヤが使用される。上述したように、編組角度は、ファネルの圧縮を可能にするとともに、ファネルが最も拡張されるときの詰まった形態を設定するように選択することができる。
【0120】
図22A~
図22Cは、
図19の例に示すような反転支持カテーテルの遠位端のタインに、
図21Aに示すような編組壁材料を適用することによって形成されたファネル2200を示している。
図22Aでは、ファネルを形成する織られた材料の内壁および外壁は、ファネルの周りに放射状に配置された縫合糸であって、上述したように、さらに拡大することを拘束する縫合糸2221によって一緒に縫合されている。タインは、内壁および外壁に対して軸方向に相対的にスライドすることができる。本明細書に記載されたファネルの何れにおいても、内壁および外壁を形成するメッシュ材料が、タインの遠位端よりもさらに遠位方向に延在するようにしてもよい。
図22Aに示すような弛緩した形態では、タイン2214の遠位端よりも遠位側の編組の長さは、距離X
1mmとして示されている。
図22Bは、トラクタ(例えば、可撓性チューブ)がファネルの上に搭載されて、反転支持カテーテル内に近位方向に引っ張られた場合のように、編組が詰まったファネル2213を示している。この形態では、タインの先端を越えて延びる編組壁の軸方向長さがX
2mmとなる。
図22Cは、折り畳まれた(かつイントロデューサシース2217内に装填された)状態を示し、この場合、タインの先端を越えて延びる編組壁の軸方向長さがX
3mmとなる。
【0121】
いくつかの態様では、完全に拡張された(例えば、詰まった)形態において、タインの先端を超えて延びる編組壁の軸方向長さを制限することが有益である場合がある。これにより、不安定性、特に横方向の不安定性を防ぐことができる。例えば、完全に展開された(例えば、詰まった)形態において、タインの先端を越えて延びる編組壁の軸方向長さを10mm以下(例えば、8mm以下、7mm以下、6mm以下、5mm以下、4mm以下、3mm以下、2mm以下、例えば、1mm~10mm、1mm~8mm、1mm~7mm、1mm~6mm、1mm~5mm、1mm~4mmなど)に制限することが有益である場合がある。特に、5mm以下に限定することが有益である場合がある。
【0122】
図23は、上述したようなファネルを含む反転カテーテルの別の例を示している。この例では、ファネル2300は、内側および外側の編組材料壁の間でタイン2318のスライドを可能にしながら、内側および外側の編組層の相対的なスライドを防止するために、ファネルの内側と外側の層(例えば、壁)の間に一体化された縫合糸2413(例えば、拘束フィラメント)を含み、編組が先端で詰まっている。縫合糸は、図示のように、拡張した形態におけるファネルの直径2305、2307を制限する。
【0123】
いくつかの態様では、ファネルの長さに沿った様々な位置におけるファネルの外径を、縫合糸、ワイヤなどの拘束フィラメントの使用によって制限または設定することができる。拘束フィラメントは、本明細書では、ファネルの表面の周りに放射状に延び、拡張可能なファネルの最大外径を拘束する周方向支持体と称することもある。拘束フィラメントは、ファネル壁を形成するメッシュ(例えば、織られた)材料に縫合することによって定位置に保持されるようにしてもよい。すなわち、フィラメントは、所望の直径/プロファイルにファネルのODを拘束することができる。
【0124】
上述したように、それらファネルの各々は、流体がファネルの側面を通って滲み出ることを可能にすることにより、ファネルの基部を通って引き込まれたときに、血栓または組織を部分的に脱水することを可能にする多孔質構造を含む。本明細書に記載のファネルは、ファネルIDからカテーテルIDへの滑らかな遷移部を有することができる。これは、図示のように、カテーテルの遠位部でタインをレーザカットすることによって達成することができる。多孔質構造および/または滑らかな遷移部は、壁を形成する多孔質金属メッシュ(例えば、編組)構造によって、それらの例においても提供することができる。
【0125】
本明細書に記載および図示した反転支持カテーテルは、血栓物質の有無にかかわらず、可撓性チューブによって力が加えられた場合でも、潰れるのを防止するように適合させることができる。これらの態様の何れにおいても、ファネルは、可撓性チューブ(例えば、トラクタ)がファネルの先端の周りを回り込んで反転支持カテーテル内に入ることを可能にしながら、例えば、血栓を取り込む抵抗があるときに、潰れることなく、例えば、1、2、3、4、5、10、15および/または20kgを超える軸方向荷重(例えば、カテーテルシャフトの長さ方向の軸に沿って加えられる荷重)を処理できるようにする必要がある。軸方向の剛性は、少なくとも部分的に、ファネルの編組壁が上述したように先端に詰まった形態を有するように構成することによって、達成することができる。また、軸方向の剛性は、詰まった形態において、タインの遠位先端を超えて延びる編組壁の長さを制限することによって(例えば、5mm以下に制限することによって)改善され得る。いくつかの形態では、軸方向の剛性は、上述したように、タインの間に周方向の支持体(例えば、フィラメント)を含むことによって改善することもでき、この支持体は、トラクタからファネル先端にかかる荷重を分散させて、ファネル先端が丸い状態を維持し、フィンガが1本も孤立して倒れることがないようにすることができる。
【0126】
一般に、これらの同じ要因により、半径方向の剛性も向上する可能性がある。また、好ましくは、ファネルの端部は、トラクタが先端の周りを回り込むときにファネルが半径方向に潰れないように十分な剛性を有することができる。ファネルの半径方向の剛性は、少なくとも部分的に、ファネルの編組壁が上述したように先端に詰まった形態を有するように構成することにより、達成することができる。また、半径方向の剛性は、詰まった形態のタインの遠位先端を超えて延びる編組壁の長さを(例えば、5mm以下に)制限することによって改善することもできる。いくつかの形態では、半径方向の剛性は、上述したように、タインの間に周方向の支持体(例えば、フィラメント)を含むことによって改善することもでき、この支持体は、トラクタからファネル先端にかかる荷重を分散させて、ファネル先端が丸い状態を維持し、フィンガが1本も孤立して倒れることがないようにすることができる。
【0127】
本明細書に記載のファネルの何れかにおいて、ファネルは、軸方向荷重が加えられたとき、例えば、可撓性チューブ(例えば、トラクタ)を近位方向に引っ張って反転支持カテーテル内に回り込ませるときにのみ、完全に拡張するように構成されるようにしてもよい。これにより、ファネルが作動する前に、より小さな血管内でファネルを前進させることができる。
【0128】
例えば、
図24Aは、上述したようにファネルを有する反転支持カテーテルを含むアセンブリの一例を示しており、図示のように、ファネルの内部に反転する前に、可撓性チューブ(トラクタ)が反転支持カテーテルの外側に沿ってファネルの上に延びるように、可撓性チューブが反転支持カテーテルの上および中に装填されている。
図24Aでは、ファネル2405は完全に拡張されておらず、編まれた可撓性チューブ2403は反転支持カテーテル内に引き込まれていない。
図24Bでは、可撓性チューブ2403は、カテーテル内に回り込むように反転支持カテーテル内に引き込まれ、その際に、可撓性チューブ/トラクタは、軸方向の荷重を加えるとともに、ファネル2405を完全に拡張させて、詰まった形態にする。
図24Aに示す弛緩した形態においてタインを越えて延びるファネル壁の部分2407は、
図24Bに示す詰まった形態においてタインを越えて延びるファネル壁の長さ2409よりも大きい。
【0129】
上述したように、本明細書に記載の装置は何れも、例えば血栓を除去するためのキットを形成するために、パッケージ化されるか、または他の方法で一緒に含まれるようにしてもよい。例えば、
図25は、一緒にパッケージ化された、血栓除去術を実行するためのシステムの一例を示している。
図25において、システム2500は、トラクタ(可撓性チューブ)が予め装填された反転支持カテーテル2512のような予め装填されたコンポーネントを含み、可撓性チューブおよび反転支持カテーテルのアセンブリは、送達カテーテル(図示省略)に装填するための装填シース2503(予備の装填シース2522も示されている)に封入されている。また、可撓性チューブおよび反転支持カテーテルのアセンブリは、引き裂きスリーブ2511にも近位方向に覆われており、この引き裂きスリーブは、可撓性チューブおよび反転支持カテーテルの上に延びるとともに、反転支持カテーテルおよび可撓性チューブが送達カテーテルに装填される際に引き裂きスリーブの長さ方向に沿って引き裂くことによって、可撓性チューブの上から取り外されるように構成されている。また、一対のロック2514も、
図25においてキットの一部として示されている。
図25では、プラーに接続された一対の追加のトラクタ2520(可撓性チューブ)も含まれている。これらの追加の可撓性チューブは、事前に装填されたトラクタを完全に除去した後に、反転支持カテーテルに装填することができる。
【0130】
例えば、追加の可撓性チューブは、例えば血栓を除去するときに、反転支持カテーテルのルーメンを介して元の反転支持カテーテルを引き抜いた後、反転支持カテーテルに装填することができる。いくつかの態様では、追加の可撓性チューブがプラーに取り付けられ、プラーおよび追加の可撓性チューブの一部(例えば、第1の部分)が、反転支持カテーテルの遠位端(ファネル端部)を介して引っ張られる一方、第2の部分が、反転支持カテーテルの外側に引っ張られる。
【0131】
本明細書に記載の反転支持カテーテル2601は何れも、
図26に示すように、ストッパ2607を含むことができる。ストッパは、例えば、上述したように、可撓性チューブおよび反転支持カテーテルのアセンブリを送達カテーテル内に装填するとき、および/または可撓性チューブを反転支持カテーテルに装填するときに、トラクタ(可撓性チューブ)の近位端2603がストッパを越えて近位方向に押し出されるのを防止することができる。例えば、ストッパは、トラクタの端部に設けられたカフ(例えば、弾性カフ)2609と係合することができる。引き裂きスリーブは、これを低減または防止するのにも役立つ場合がある。
【0132】
図27Aおよび
図27Bは、反転支持カテーテル2711を送達カテーテル2713に固定して両者を一緒に移動させるために使用することができるロック2701の一例を示している。
図27Aに示すように、ロックは、反転支持カテーテルの外側に接続するための環状クランプ2703と、送達カテーテルの端部に結合するためのL字形またはJ字形のロック2705とを含むことができる。環状クランプを緩めたり締めたりすることにより、反転支持カテーテルを、別個にスライドさせたり、送達カテーテルと結合させたりすることができる。
【0133】
本明細書に記載の方法(ユーザインターフェースに関連するものを含む)は何れも、ソフトウェア、ハードウェアまたはファームウェアとして実装することができ、プロセッサ(例えば、コンピュータ、タブレット、スマートフォンなどのプロセッサ)によって実行可能な命令のセットを格納する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体として記載することができ、これは、プロセッサにより実行されると、表示、ユーザとの遣り取り、分析、パラメータ(タイミング、頻度、強度などを含む)の変更、決定、警告などに限定されるものではないが、これらを含む何れかのステップの実行をプロセッサに制御させる。
【0134】
ある構成または要素が別の構成または要素の「上に(on)」あると言及される場合、それは他の構成または要素上に直接存在してもよいし、介在する構成および/または要素が存在してもよい。対照的に、ある構成または要素が別の構成または要素の「上に直接ある」と言及された場合、介在する構成または要素は存在しない。ある構成または要素が他の構成または要素に「接続された」、「取り付けられた」または「結合された」と言及される場合、それは他の構成または要素に直接的に接続、取り付けまたは結合されてもよいし、介在する構成または要素が存在してもよい。対照的に、ある構成または要素が別の構成または要素に「直接的に接続された」、「直接的に取り付けられた」または「直接的に結合された」と言及される場合、介在する構成または要素は存在しない。一実施形態に関して説明または図示されていても、それら説明または図示された構成および要素は、他の実施形態にも適用することができる。当業者であれば、別の構成に「隣接して」配置された構造または構成への言及は、隣接する構成に重なったり下にある部分を有してもよいことも理解されよう。
【0135】
本明細書で使用する用語は、特定の実施例のみを説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。例えば、本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明示しない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用される「備える(comprises)」および/または「備えている(comprising)」という用語は、記載された構成、ステップ、動作、要素および/または構成要素の存在を特定するが、他の構成、ステップ、動作、要素、構成要素および/またはそれらのグループのうちの1または複数の存在や追加を除外するものではない。本明細書で使用される「および/または」という用語は、関連する列挙された項目の1または複数の任意のおよびすべての組合せを含み、「/」と省略することができる。
【0136】
本明細書では、「下方(under)」、「下(below)」、「より下(lower)」、「上(over)」、「より上(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、図示するように、1つの要素や構成の他の要素や構成との関係の説明を容易にするために用いられる。これらの空間的に相対的な用語は、図面に示されている向きに加えて、使用または動作における装置の様々な向きを包含することが意図されていることが理解されよう。例えば、図面内の装置が反転されている場合、他の要素または構成の「下方(under)」や「下(beneath)」と記載された要素は、他の要素または構成の「上に」位置づけられる。したがって、例示的な用語「下方(under)」は、上方および下方の向きの両方を含むことができる。装置は他の方向に向いていてもよく(90度または他の向きに回転されてもよい)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。同様に、特に断りのない限り、「上向き」、「下向き」、「垂直」、「水平」などの用語は説明の目的でのみ使用される。
【0137】
「第1の」および「第2の」という用語は、様々な構成/要素(ステップを含む)を説明するために本明細書で使用されるが、文脈上別段の記載がない限り、これらの構成/要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある構成/要素を別の構成/要素と区別するために使用される。したがって、後述する第1の構成/要素は第2の構成/要素とも呼ぶことができ、同様に、後述する第2の構成/要素は本発明の教示から逸脱することなく第1の構成/要素と名付けることができる。
【0138】
本明細書および特許請求の範囲を通じて、文脈上他の意味を要求しない限り、「備える(comprise)」という語および「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」などの変形は、様々な構成要素が、方法および物品(デバイスや方法を含む要素および装置)においてともに使用され得ることを意味する。例えば、「備えている(comprising)」という用語は、すべての記載された要素またはステップを含むことを意味するが、他の要素またはステップの除外を意味するものではないと理解される。
【0139】
一般に、本明細書に記載の装置および方法は何れも包括的であると理解すべきであるが、構成要素および/またはステップのすべてまたはサブセットが代わりに排他的であってもよく、代替的には、様々な構成要素、ステップ、サブコンポーネントまたはサブステップから「なる」または「本質的になる」と表現されるものであってもよい。
【0140】
本明細書および特許請求の範囲で使用されているように、実施例で使用されているものを含み、そうでないと明記していなければ、特に明記しなくても、すべての数字は、「約」または「およそ」が前にあるものとして解釈される。記載された値および/または位置が、合理的な予想される範囲内の値および/または位置であることを示すために、大きさおよび/または位置を記述するときに、「約」または「およそ」という語句を使用することがある。例えば、ある数値は、記載された値(または値の範囲)の+/-0.1%、記載された値(または値の範囲)の+/-1%、記載された値(または値の範囲)の+/-2%、記載された値(または値の範囲)の+/-5%、記載された値(または値の範囲)の+/-10%などの値を有しうる。本明細書に記載の様々な値も、文脈が他の意味を示さない限り、約またはおよその値を含むと理解されるべきである。例えば、「10」という値が開示されている場合、「約10」も開示されている。本明細書に列挙された任意の数値範囲は、その中に包含されるすべての部分的な範囲を含むことが意図される。ある値が開示された場合、当業者によって適切に理解されるように、当該値「以下」、「以上」、および可能性のある値の範囲もまた開示されているものとする。例えば、「X」という値が開示された場合、「X以下」および「X以上」(例えば、Xは数値である)も開示される。また、出願全体を通して、データはいくつかの異なるフォーマットで提供され、このデータはエンドポイントとスタートポイント、およびデータポイントの任意の組合せの範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント「15」が開示されている場合、10と15、それを超える、それ以上、それ未満、それ以下と同様に、10~15の間も開示されていると考えられる。また、2つの特定の単位間の各単位も開示されると理解される。例えば、10と15が開示されている場合、11、12、13、14もまた開示されている。
【0141】
様々な例示的な実施形態を記載してきたが、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態に対して任意の数の変更が可能である。例えば、代替的な実施形態では、記載の種々の方法のステップを実行する順序がしばしば変更されることがあり、他の代替的な実施形態では、1または複数の方法のステップが完全にスキップされることもある。様々な装置およびシステムの実施形態の任意の構成は、いくつかの実施形態に含まれてもよく、他の実施形態に含まれなくてもよい。したがって、上記の説明は、主に例示的な目的のために提供され、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0142】
本明細書に含まれる実施例および図面は、本発明を実施することができる特定の実施例を説明するものであり、限定するものではない。上述したように、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な置換および変更を行うことができるように、他の実施形態を利用してそこから誘導することができる。本発明の主題のそのような実施形態は、実際に複数開示されている場合に、本出願の範囲を任意の単一の発明または発明の概念に自発的に限定しようとするものではなく、単に「発明」という用語によって個々にまたは集合的に言及されてもよい。したがって、特定の実施形態を本明細書で図示および説明したが、同じ目的を達成するために計算された任意の構成を、示された特定の実施形態に置き換えることができる。本開示は、様々な実施形態のありとあらゆる適応または変形を網羅することを意図している。上記実施形態、および本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態の組合せは、上述した説明を検討することにより、当業者に明らかとなるであろう。