(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】最適性能のための清澄剤ブレンド
(51)【国際特許分類】
C08L 23/00 20060101AFI20240220BHJP
C08K 5/20 20060101ALI20240220BHJP
C08L 23/10 20060101ALI20240220BHJP
C08K 5/1575 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C08L23/00
C08K5/20
C08L23/10
C08K5/1575
(21)【出願番号】P 2021514080
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(86)【国際出願番号】 US2019050668
(87)【国際公開番号】W WO2020056034
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-07-12
(32)【優先日】2018-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391024559
【氏名又は名称】フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロペス,マルガリート
(72)【発明者】
【氏名】マクレオド,マイケル・アレン
(72)【発明者】
【氏名】ティペット,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】バーマスター,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】アシュボー,ジョン
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-505309(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106750909(CN,A)
【文献】特開平07-278374(JP,A)
【文献】特表2004-515592(JP,A)
【文献】特開2010-121120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)熱可塑性ポリオレフィン;ならびに
(b)トリスアミド清澄剤及びソルビトール清澄剤を
1:5ないし1:20w/wのトリスアミド清澄剤対ソルビトール清澄剤の比で含む清澄剤ブレンド
を含む熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項2】
清澄剤ブレンド
が約1:10
w/wのトリスアミド清澄剤対ソルビトール清澄剤比を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
清澄剤ブレンドが熱可塑性ポリオレフィン組成物の約0.1ないし0.5重量
%である請求項1ないし2のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項4】
トリスアミド清澄剤がトリスアミドベンゼン化合物である請求項1ないし2のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項5】
トリスアミドベンゼン化合物がN,N’,N”-ベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(2,2-ジメチルプロパンアミド)である請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
ソルビトール清澄剤が1,2,3,4-ジベンジリデンソルビトール、1,2,3,4-ジ-パラ-メチルベンジリデンソルビトール、1,2,3,4-ジ-メタ,パラ-メチルベンジリデンソルビトール又は1,2,3-トリデオキシ-4,5:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトー
ルである請求項1ないし2のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項7】
熱可塑性ポリオレフィンがポリプロピレンである請求項1ないし2のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項8】
トリスアミド清澄剤がN,N’,N”-ベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(2,2-ジメチルプロパンアミド)であり、
ソルビトール清澄剤が1,2,3,4-ジベンジリデンソルビトール、1,2,3,4-ジ-パラ-メチルベンジリデンソルビトール、1,2,3,4-ジ-メタ,パラ-メチルベンジリデンソルビトール又は1,2,3-トリデオキシ-4,5:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトールであり、そして
熱可塑性ポリオレフィンがポリプロピレンである
請求項1ないし2のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項9】
ソルビトール清澄剤が1,2,3-トリデオキシ-4,5:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトールである請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
組成物がペレットの形態にある請求項1ないし2のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項11】
組成物が成形された又は押し出された製品の形態にある請求項1ないし2のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項12】
組成物が20ないし80ミルの厚さにおいて2ないし40%の曇り度%を有する請求項1ないし2のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項13】
光安定剤、静電防止剤、レオロジー改変剤、滑沢剤、酸化防止剤又はそれらの組み合わせから選ばれる少なくとも1種の添加剤をさらに含む請求項1ないし2のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項14】
0.01重量%ないし1重量
%の光安定剤;
0.01重量%ないし1重量
%の静電防止剤;
0.01重量%ないし1重量
%のレオロジー改変剤;
0.01重量%ないし1重量
%の滑沢剤;及
び
0.01重量%ないし1重量
%の酸化防止剤
を含む請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
光安定剤がヒンダードアミン光安定剤であり;
静電防止剤がグリセロールモノステアレートであり;
レオロジー改変剤が有機過酸化物であり;
滑沢剤が金属ステアレートであり;及
び
酸化防止剤がホスファイトに基づく酸化防止剤である
請求項13ないし14のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項16】
少なくとも90重量
%の熱可塑性ポリオレフィン又は熱可塑性ポリオレフィンのブレンドを含む請求項1ないし2のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項17】
請求項1ないし2のいずれかに記載の熱可塑性ポリオレフィン組成物を含む製品。
【請求項18】
熱可塑性ポリオレフィン組成物が20ないし80ミルの厚さにおいて2ないし40%の曇り度%を有する請求項17に記載の製品。
【請求項19】
有効量の清澄剤ブレンドを熱可塑性ポリオレフィン組成物に合わせることを含み、清澄剤ブレンドがトリスアミド清澄剤及びソルビトール清澄剤を
1:5ないし1:20w/wの間の比で含む熱可塑性ポリオレフィン組成物を清澄化する方法。
【請求項20】
清澄剤ブレンドが熱可塑性ポリオレフィン組成物の約0.1ないし0.5重量
%である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
熱可塑性ポリオレフィン組成物が熱可塑性ポリプロピレン組成物であり、
トリスアミド清澄剤がトリスアミドベンゼン化合
物であり、そしてソルビトール清澄剤が1,2,3,4-ジベンジリデンソルビトール、1,2,3,4-ジ-パラ-メチルベンジリデンソルビトール、1,2,3,4-ジ-メタ,パラ-メチルベンジリデンソルビトール又は1,2,3-トリデオキシ-4,5:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトー
ルである
請求項19ないし20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
トリスアミド清澄剤がN,N’,N”-ベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(2,2-ジメチルプロパンアミド)であり、
そして
ソルビトール清澄剤が1,2,3-トリデオキシ-4,5:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトール
である請求項21に記載の方法。
【請求項23】
熱可塑性ポリオレフィン組成物が請求項1ないし2のいずれか1つに記載の組成物である請求項19ないし20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
(a)トリスアミド清澄剤及びソルビトール清澄剤を
1:5ないし1:20w/wの間の比で含む清澄剤ブレンドの有効量を熱可塑性ポリオレフィン組成物に合わせ;そして
(b)熱可塑性ポリオレフィン組成物を押し出すか又は成形し、ここで熱可塑性ポリオレフィン組成物は20ないし80ミルの厚さにおいて2ないし40%の曇り度%を有する
熱可塑性ポリオレフィン組成物において曇り度を低下させるための方法。
【請求項25】
清澄剤ブレンドが熱可塑性ポリオレフィン組成物の約0.1ないし0.5重量
%である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
熱可塑性ポリオレフィン組成物が熱可塑性ポリプロピレン組成物であり、
トリスアミド清澄剤がトリスアミドベンゼン化合
物であり、そしてソルビトール清澄剤が1,2,3,4-ジベンジリデンソルビトール、1,2,3,4-ジ-パラ-メチルベンジリデンソルビトール、1,2,3,4-ジ-メタ,パラ-メチルベンジリデンソルビトール又は1,2,3-トリデオキシ-4,5:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトー
ルである
請求項24ないし25のいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
トリスアミド清澄剤がN,N’,N”-ベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(2,2-ジメチルプロパンアミド)であり、
そして
ソルビトール清澄剤が1,2,3-トリデオキシ-4,5:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトール
である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
熱可塑性ポリオレフィン組成物が請求項1ないし2のいずれか1つに記載の組成物である請求項24ないし25のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は2018年9月12日に出願された米国仮特許出願第62/730,205号明細書の利益を主張する。言及される出願の記載事項は引用することにより本出願の内容となる。
【0002】
発明の背景
A.発明の分野
本発明は一般に熱可塑性ポリオレフィン組成物のための添加剤として用いられ得る清澄剤ブレンド(clarifying blends)に関する。そのようなブレンドはこれらのポリマー組成物の清澄度(clarity)の向上を助けることができる。特にトリスアミドに基づく清澄剤とソルビトールに基づく清澄剤のブレンドを本発明の組成物と一緒に用いることができる。
【背景技術】
【0003】
B.関連技術の説明
清澄剤は熱可塑性ポリマー(例えばポリプロピレン)核形成剤のサブクラスであり、それはポリマー組成物に核形成と向上した清澄度の両方を与える。向上した清澄度は清澄剤の使用で形成される非常に微細な結晶寸法に起因する。ポリマー結晶の寸法はポリマー組成物を介する光透過率の向上を可能にするのに十分に小さい。一般に互いに非相溶性であると考えられてきた2種類の清澄剤、ソルビトール誘導体とトリスアミドが工業において通常用いられる。
【0004】
ソルビトール誘導体にはMillad 3905(1,2,3,4-ジベンジリデンソルビトール、CAS#:32647-67-9)、Millad 3940(1,2,3,4-ジ-パラ-メチルベンジリデンソルビトール、CAS#:54686-97-4)、Millad 3988(1,2,3,4-ジ-メタ,パラ-メチルベンジリデンソルビトール、CAS#:135861-56-2)及びMillad NX8000(1,2,3-トリデオキシ-4,5:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトール、CAS Reg.No.882073-43-0)が含まれる。これらの誘導体は有効であるが、有意な限界を有する。特にすべてのソルビトール誘導体は高い加工温度にされる時に熱分解に敏感である。高温は清澄剤を分解し、それらを無効にし且つ臭いと沈着の問題を引き起こす。Millad 3905はアーモンド様の臭いを有することが知られており、それはいくつかの用途においては攻撃的である。Millad
3940も残留アルデヒドの故に攻撃的な臭いを生じ易い。さらに、分散はこれらの清澄剤のいくつかの場合に問題であり、白い斑点として観察される可視の欠陥を引き起こす。
【0005】
トリスアミド清澄剤はソルビトール誘導体を超えるいくつかの利点を有するが、それら自身の欠点を有する。決定的な欠点は、それらが比較的厚いポリマー組成物中で有意に効果が低い傾向があることである。多くの成形法は多様な厚さを有する部品を製造する。製品品目全体(total produce line)のある割合でのみ機能する製品を持つことは無効であり、多くの場合にそのような製品の商品化のために乗り越えられない障壁である。
【0006】
清澄剤に伴う課題の解決に当たっての1つの試みはブレンドを作ることであった。しかしながら、添加剤ブレンドの方法は多くの場合に拮抗的相互作用の故に成功しないことが
知られている。例えば種々のソルビトール誘導体のブレンド(例えばMillad 3988とNX8000のブレンド)は多くの場合に強い拮抗的相互作用を有し得、それは得られるポリマー組成物の曇り度を有意に上昇させ、光沢度を低下させる。そのような相互作用は製品の質を損ない、異なる清澄剤を用いる製品の間で変更をする場合により多くの等級外製品の除外(offgrade purge)を生ずるので、それらは成形者にとってやっかいである。
【発明の概要】
【0007】
発明の概略
熱可塑性ポリオレフィン組成物のための清澄剤の使用において遭遇する前記の問題の少なくともいくつかに対する解決案を与える発見がなされた。特に解決案はトリスアミドに基づく清澄剤とソルビトールに基づく清澄剤の清澄剤ブレンドの使用を前提とする。トリスアミド清澄剤対ソルビトール清澄剤の2つの組み合わせ(すなわち清澄剤ブレンド)の合計重量に基づく重量比は1:2ないし1:40 w/w、あるいはまた1:5ないし1:20 w/w、あるいはまた約1:10 w/wであることができる。理論に縛られることは望まないが、前記の重量比におけるこれらの化合物のブレンドは予想される拮抗的相互作用を有していない安定なブレンドを生ずると思われる。注目すべきことに、熱可塑性ポリオレフィン組成物中におけるこれらのブレンドの使用は、得られるポリマー組成物における曇り度の低下により、向上した清澄度を与える。さらに、組成物の様々な厚さに及んで(through)向上した清澄度を実現し、それにより現在利用できる清澄剤及び上記で議論したもののような清澄剤ブレンドを超える技術的成果を与えることができる。
【0008】
本発明の1つの態様において、熱可塑性ポリオレフィン組成物を開示する。組成物は:(a)熱可塑性ポリオレフィン;ならびに(b)トリスアミド清澄剤及びソルビトール清澄剤を含む清澄剤ブレンドを含むことができる。ある態様において、清澄剤ブレンドは、間のすべての比及び比の範囲を含んで1:2、1:5、1:10、1:15、1:20ないし1:25、1:30、1:35、1:40 w/wの間のトリスアミド清澄剤対ソルビトール清澄剤の比を含むことができる。特定の態様において、清澄剤ブレンドは1:5ないし1:20の間、あるいはまた約1:10のトリスアミド清澄剤対ソルビトール清澄剤比を有することができる。ある態様において、清澄剤ブレンド(トリスアミド清澄剤及びソルビトール清澄剤)は熱可塑性ポリオレフィン組成物の約0.1ないし0.5重量%、あるいはまた0.2重量%ないし0.25重量%である。トリスアミド清澄剤はトリスアミドベンゼン化合物であることができる。ある態様において、トリスアミドベンゼン化合物は、N,N’,N”-ベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(2,2-ジメチルプロパンアミド)又はRIKaclear(登録商標) PCl(N,N’,N”-トリス(2-メチルシクロヘキシル)-1,2,3-プロパントリカルボキシアミド、CAS Number:160535-46-6)である。いくつかの場合、ソルビトール清澄剤はMillad 3905(1,2,3,4-ジベンジリデンソルビトール、CAS#:32647-67-9)、Millad 3940(1,2,3,4-ジ-パラ-メチルベンジリデンソルビトール、CAS#:54686-97-4)、Millad 3998(1,2,3,4-ジ-メタ,パラ-メチルベンジリデンソルビトール、CAS#:135861-56-2)又はNX8000(1,2,3-トリデオキシ-4,5:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトール、CAS#882073-43-0)であることができる。特定の態様において、ソルビトール清澄剤はNX8000である。
【0009】
ある態様において、熱可塑性ポリオレフィン組成物はペレットの形態にある。さらなる態様において、組成物は成形された又は押し出された製品の形態にある。熱可塑性ポリオレフィン組成物は5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、
60、65、70、75、80、85,90、95、100又はそれ以上の厚さにおいて、2、5、10、15ないし20、25、30、35、40%の間の曇り度%を有することができる。特定の態様において、厚さは20ないし80ミルの厚さである。
【0010】
熱可塑性ポリオレフィン組成物はさらに少なくとも1種の添加剤を含むことができる。添加剤は光安定剤、静電防止剤、レオロジー改変剤、滑沢剤又は酸化防止剤あるいはそれらの組み合わせから選ばれることができる。熱可塑性ポリオレフィン組成物は組成物の0.01重量%ないし1重量%、あるいはまた0.01重量%ないし0.1重量%において光安定剤を含むことができる。ある態様において、光安定剤はヒンダードアミン光安定剤である。熱可塑性ポリオレフィン組成物は組成物の0.01重量%ないし1重量%、あるいはまた0.01重量%ないし0.1重量%において静電防止剤を含むことができる。ある態様において、静電防止剤はグリセロールモノステアレートである。熱可塑性ポリオレフィン組成物は組成物の0.01重量%ないし1重量%、あるいはまた0.01重量%ないし0.1重量%においてレオロジー改変剤を含むことができる。ある態様において、レオロジー改変剤は有機過酸化物である。熱可塑性ポリオレフィン組成物は組成物の0.01重量%ないし1重量%、あるいはまた0.01重量%ないし0.1重量%において滑沢剤を含むことができる。ある態様において、滑沢剤は金属ステアレートである。熱可塑性ポリオレフィン組成物は組成物の0.01重量%ないし1重量%、あるいはまた0.01重量%ないし0.1重量%において酸化防止剤を含むことができる。ある態様において、酸化防止剤はホスファイトに基づく酸化防止剤である。熱可塑性ポリオレフィン組成物は少なくとも90重量%、あるいはまた少なくとも95重量%、あるいはまた少なくとも99重量%の熱可塑性ポリオレフィン又は熱可塑性ポリオレフィンのブレンドを含むことができる。ある態様において、熱可塑性ポリオレフィン又は熱可塑性ポリオレフィンブレンドはポリプロピレン又はポリプロピレンブレンドであることができる。
【0011】
本発明の他の実施態様は、熱可塑性ポリオレフィン組成物の清澄化方法を目的とする。前記方法は、有効量の清澄剤ブレンドを熱可塑性ポリオレフィン組成物と合わせることを含むことができる。ある態様において、清澄剤ブレンドはトリスアミド清澄剤及びソルビトール清澄剤を含む。トリスアミド清澄剤及びソルビトール清澄剤は1:2ないし1:40の間の重量比で存在することができる。清澄剤ブレンドは熱可塑性ポリオレフィン組成物の約0.1ないし0.5重量%、あるいはまた0.2重量%ないし0.25重量%であることができる。熱可塑性ポリオレフィン組成物は少なくとも90重量%、あるいはまた少なくとも95重量%、あるいはまた少なくとも99重量%の熱可塑性ポリオレフィン又は熱可塑性ポリオレフィンのブレンドを含むことができる。ある態様において、熱可塑性ポリオレフィン又は熱可塑性ポリオレフィンブレンドはポリプロピレン又はポリプロピレンブレンドであることができる。ある態様において、熱可塑性ポリオレフィン組成物は熱可塑性ポリプロピレン組成物であり、トリスアミド清澄剤はトリスアミドベンゼン化合物、あるいはまたN,N’,N”-ベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(2,2-ジメチルプロパンアミド)であり、ソルビトール清澄剤はMillad 3905(1,2,3,4-ジベンジリデンソルビトール、CAS#:32647-67-9)、Millad 3940(1,2,3,4-ジ-パラ-メチルベンジリデンソルビトール、CAS#:54686-97-4)、Millad 3998(1,2,3,4-ジ-メタ,パラ-メチルベンジリデンソルビトール、CAS#:135861-56-2)又はNX8000(1,2,3-トリデオキシ-4,5:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトール、CAS#882073-43-0)であることができる。特定の態様において、ソルビトール清澄剤はNX8000である。熱可塑性ポリオレフィン組成物は本明細書に記載される組成物のいずれであることもできる。
【0012】
本発明のさらなる実施態様は、熱可塑性ポリオレフィン組成物における曇り度を低下させる方法を目的とする。前記方法は:(a)1:2ないし1:40の重量比でトリスアミ
ド清澄剤及びソルビトール清澄剤を含む清澄剤ブレンドを得;(b)有効量の清澄剤ブレンドを熱可塑性ポリオレフィン組成物に合わせ;そして(c)熱可塑性ポリオレフィン組成物を押し出すか又は成形することを含むことができ、ここで熱可塑性ポリオレフィン組成物は20ないし80ミルの厚さにおいて40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満又は40%ないし2%の曇り度%を有する。清澄剤ブレンドは熱可塑性ポリオレフィン組成物の約0.1ないし0.5重量%、あるいはまた0.2重量%ないし0.25重量%であることができる。熱可塑性ポリオレフィン組成物は熱可塑性ポリプロピレン組成物、トリスアミドベンゼン化合物あるいはまたN,N’,N”-ベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(2,2-ジメチルプロパンアミド)であることができるトリスアミド清澄剤及びMillad 3905(1,2,3,4-ジベンジリデンソルビトール、CAS#:32647-67-9)、Millad 3940(1,2,3,4-ジ-パラ-メチルベンジリデンソルビトール、CAS#:54686-97-4)、Millad 3998(1,2,3,4-ジ-メタ,パラ-メチルベンジリデンソルビトール、CAS#:135861-56-2)又はNX8000(1,2,3-トリデオキシ-4,5:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトール、CAS#882073-43-0)であることができるソルビトール清澄剤を含むことができる。特定の態様において、ソルビトール清澄剤はNX8000である。
【0013】
本発明の状況において態様1-24も開示する。態様1は:(a)熱可塑性ポリオレフィン;ならびに(b)1:2ないし1:40 w/wのトリスアミド清澄剤対ソルビトール清澄剤の比でトリスアミド清澄剤及びソルビトール清澄剤を含む清澄剤ブレンドを含む熱可塑性ポリプロピレン組成物である。態様2は、清澄剤ブレンドが1:5ないし1:20、あるいはまた約1:10のトリスアミド清澄剤対ソルビトール清澄剤比を有する態様1の組成物である。態様3は、清澄剤ブレンドが熱可塑性ポリオレフィン組成物の約0.1ないし0.5重量%、あるいはまた0.2重量%ないし0.25重量%である態様1ないし2のいずれか1つの組成物である。態様4は、トリスアミド清澄剤がトリスアミドベンゼン化合物である態様1ないし3のいずれか1つの組成物である。態様5は、トリスアミドベンゼン化合物がN,N’,N”-ベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(2,2-ジメチルプロパンアミド)である態様4の組成物である。態様6は、ソルビトール清澄剤が1,2,3,4-ジベンジリデンソルビトール、1,2,3,4-ジ-パラ-メチルベンジリデンソルビトール、1,2,3,4-ジ-メタ,パラ-メチルベンジリデンソルビトール又は1,2,3-トリデオキシ-4,5:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトール、あるいはまた1,2,3-トリデオキシ-4,5:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトールである態様1ないし5のいずれか1つの組成物である。態様7は、熱可塑性ポリオレフィンがポリプロピレンである態様1ないし6のいずれか1つの組成物である。態様8は、組成物がペレットの形態にある態様1ないし7のいずれか1つの組成物である。態様9は、組成物が成形された又は押し出された製品の形態にある態様1ないし8のいずれか1つの組成物である。態様10は、組成物が20ないし80ミルの厚さにおいて2ないし40%の曇り度%を有する態様1ないし9のいずれか1つの組成物である。態様11は、光安定剤、静電防止剤、レオロジー改変剤、滑沢剤、酸化防止剤又はそれらの組み合わせから選ばれる少なくとも1種の添加剤をさらに含む態様1ないし10のいずれか1つの組成物である。態様12は:0.01重量%ないし1重量%、あるいはまた0.01重量%ないし0.1重量%の光安定剤;0.01重量%ないし1重量%、あるいはまた0.01重量%ないし0.1重量%の静電防止剤;0.01重量%ないし1重量%、あるいはまた0.01重量%ないし0.1重量%のレオロジー改変剤;0.01重量%ないし1重量%、あるいはまた0.01重量%ないし0.1重量%の滑沢剤;及び/又は0.01重量%ないし1重量%、あるいはまた0.01重量%ないし0.1重量%の酸化防止剤を含む態様11の組成物である。態様13は、光安定剤がヒンダードアミン光防止剤であり;静電防止剤がグリセロールモノステアレートであり;レオロジー改変剤が有機過酸化物であり;滑沢剤が金属ステア
レートであり;及び/又は酸化防止剤がホスファイトに基づく酸化防止剤である態様11ないし12のいずれか1つの組成物である。態様14は、少なくとも90重量%、あるいはまた少なくとも95重量%、あるいはまた少なくとも99重量%の熱可塑性ポリオレフィン又は熱可塑性ポリオレフィンのブレンドを含む態様1ないし13のいずれか1つの組成物である。
【0014】
態様15は、態様1ないし14のいずれかの熱可塑性ポリオレフィン組成物を含む製品である。態様16は、熱可塑性ポリオレフィン組成物が20ないし80ミルの厚さにおいて2ないし40%の曇り度%を有する態様15の製品である。
【0015】
態様17は熱可塑性ポリオレフィン組成物の清澄化方法であり、前記方法は有効量の清澄剤ブレンドを熱可塑性ポリオレフィン組成物に合わせることを含み、清澄剤ブレンドは1:2ないし1:40の間の比でトリスアミド清澄剤及びソルビトール清澄剤を含む。態様18は、清澄剤ブレンドが熱可塑性ポリオレフィン組成物の約0.1ないし0.5重量%、あるいはまた0.2重量%ないし0.25重量%である態様17の方法である。態様19は、熱可塑性ポリオレフィン組成物が熱可塑性ポリプロピレン組成物であり、トリスアミド清澄剤がトリスアミドベンゼン化合物、あるいはまたN,N’,N”-ベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(2,2-ジメチルプロパンアミド)であり、ソルビトール清澄剤が1,2,3,4-ジベンジリデンソルビトール、1,2,3,4-ジ-パラ-メチルベンジリデンソルビトール、1,2,3,4-ジ-メタ,パラ-メチルベンジリデンソルビトール又は1,2,3-トリデオキシ-4,5:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトール、あるいはまた1,2,3-トリデオキシ-4,5:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトールである態様17ないし18のいずれか1つの方法である。態様20は熱可塑性ポリオレフィン組成物が態様1ないし14のいずれか1つの組成物である態様17ないし19のいずれか1つの方法である。態様21は熱可塑性ポリオレフィン組成物における曇り度を低下させる方法であり、前記方法は:(a)1:2ないし1:40の間の比でトリスアミド清澄剤及びソルビトール清澄剤を含む清澄剤ブレンドの有効量を熱可塑性ポリオレフィン組成物に合わせ;そして(b)熱可塑性ポリオレフィン組成物を押し出すか又は成形することを含み、ここで熱可塑性ポリオレフィン組成物は20ないし80ミルの厚さにおいて2ないし40%の曇り度%を有する。態様22は、清澄剤ブレンドが熱可塑性ポリオレフィン組成物の約0.1ないし0.5重量%、あるいはまた0.2重量%ないし0.25重量%である態様21の方法である。態様23は、熱可塑性ポリオレフィン組成物が熱可塑性ポリプロピレン組成物であり、トリスアミド清澄剤がトリスアミドベンゼン化合物、あるいはまたN,N’,N”-ベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(2,2-ジメチルプロパンアミド)であり、ソルビトール清澄剤が1,2,3,4-ジベンジリデンソルビトール、1,2,3,4-ジ-パラ-メチルベンジリデンソルビトール、1,2,3,4-ジ-メタ,パラ-メチルベンジリデンソルビトール又は1,2,3-トリデオキシ-4,5:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトール、あるいはまた1,2,3-トリデオキシ-4,5:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトールである態様20ないし22のいずれか1つの方法である。態様24は熱可塑性ポリオレフィン組成物が態様1ないし14のいずれか1つの組成物である態様21ないし23のいずれか1つの方法である。
【0016】
本発明の他の実施態様は本出願全体に及んで議論される。本発明の1つの態様に関して議論されるいずれの実施態様も本発明の他の態様に同様に適用され、逆もしかりである。本明細書に記載されるそれぞれの実施態様は本発明のすべての態様に適用可能な本発明の実施態様であると理解される。本明細書で議論されるいずれの実施態様も、本発明のいずれの方法又は組成物に関しても実行され得、逆もしかりであることが意図されている。さらに、本発明の方法の達成のために本発明の組成物及びキットを用いることができる。
【0017】
“a”又は“an”という用語の使用は、請求項及び/又は明細書中で「含む」という用語と一緒に用いられる場合、「1つ」を意味する場合があるが、それは「1つ以上(one or more)」、「少なくとも1つ」及び「1つ以上(one or more than one)」の意味とも一致する。
【0018】
「約(about)」又は「約(approximately)」という用語は、当業者が理解する通りに近いと定義される。1つの制限ではない実施態様において、前記用語は10%以内、あるいはまた5%以内、あるいはまた1%以内そしてまた0.5%以内であると定義される。
【0019】
「実質的に」という用語及びその変形は10%以内、5%以内、1%以内又は0.5%以内の範囲を含むと定義される。
【0020】
「阻止する」又は「低下させる」又は「妨げる」という用語あるいはこれらの用語の変形は、所望の結果を達成するための測定可能な低下又は完全な阻止(例えば曇り度%における低下)を含む。
【0021】
「有効な」という用語は、その用語が明細書及び/又は請求項中で用いられる場合、所望の、期待される又は意図される結果を達成するために適切であることを意味する。
【0022】
「重量%」、「容積%」又は「モル%」という用語は、成分を含む材料の合計重量、合計容積又は合計モル数に基づく成分のそれぞれ重量、容積又はモルパーセンテージを指す。制限ではない例において、100モルの材料中の10モルの成分は10モル%の成分である。
【0023】
請求項における「又は」という用語の使用は、選択肢(alternatives)のみを指すと明らかに示されていなければ、或いは選択肢が互いに排他的でなければ、「及び/又は」を意味するために用いられるが、開示は選択肢のみならびに「及び/又は」を指す定義を支持する。
【0024】
本明細書及び請求項中で用いられる場合、「含む(comprising)」(並びに「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」のような含む(comprising)のいずれかの形態)、「有する(having)」(並びに「有する(have)」及び「有する(has)」のような有する(having)のいずれかの形態)、「含む(including)」(並びに「含む(includes)」及び「含む(include)」のような含む(including)のいずれかの形態)又は「含む(containing)」(並びに「含む(contains)」及び含む(contain))のような含む(containing)のいずれかの形態)という用語は包括的又は非制限的であり、追加の挙げられていない要素又は方法段階を排除しない。
【0025】
本発明の組成物ならびにその製造方法及び使用方法は、本明細書全体に及んで議論される特定の成分(ingredients)、成分(components)、ブレンド、方法段階などを「含む」、「本質的にそれらからなる」又は「それらからなる」ことができる。1つの制限ではない態様において、「本質的にからなる」転移相(transitional phase)に関し、本発明の清澄剤ブレンドの基本的且つ新規な特徴は、熱可塑性ポリオレフィン組成物に向上した光学的性質(例えば向上した清澄度)を与えるそれらの能力である。
【0026】
本発明の他の目的、特徴及び利点は以下の詳細な記述から明らかになるであろう。しか
しながら詳細な記述及び特定の実施例は、本発明の特定の実施態様を示しているが、例としてのみ示されると理解されるべきであり、それは本発明の精神及び範囲内の種々の変更及び修正がこの詳細な記述から当業者に明らかになるからである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面の簡単な記述
以下の図面は本明細書の一部をなし、本発明のある態様をさらに示すために含まれる。これらの図面の1つ以上を本明細書に提示される明細書実施態様の詳細な記述と組み合わせて参照することにより、本発明はより良く理解される場合がある。
【
図1】調製物2、3、5、6及び8に関し、400
oFの成形温度において厚さの関数として決定される得られる曇り度パーセントを示す。
【
図2】調製物2、3、5、6及び8に関し、585
oFの成形温度において厚さの関数として決定される得られる曇り度パーセントを示す。
【
図3】調製物8、2、3、5及び6に関し、400
oF及び585
oFの成形温度において45度での光沢度を示す。
【
図4】調製物1、2、3、5及び6に関し、400
oFの成形温度において厚さの関数として決定される得られる曇り度パーセントを示す。
【
図5】調製物1、2、3、5及び6に関し、400
oFの成形温度において45度での光沢度を示す。
【
図6】調製物4、2、3、5、6及び7に関し、585
oFの成形温度において厚さの関数として決定される得られる曇り度パーセントを示す。
【
図7】調製物4、7、2、3、5及び6に関し、585
oFの成形温度において45度での光沢度を示す。
【0028】
発明の詳細な記述
本発明の熱可塑性ポリオレフィン組成物の向上した光学的性質を、トリスアミドに基づく清澄剤とソルビトールに基づく清澄剤の清澄剤ブレンドが含まれることに帰することができる。実施例の節に制限ではないやり方で示す通り、このトリスアミドに基づく清澄剤とソルビトールに基づく清澄剤の組み合わせは、予期に反して化合物の分解又は他の拮抗的な相互作用を経ることなく共存することができる。理論に縛られることは望まないが、このブレンドの安定性は組成物全体に及んで及び様々な厚さのレベル全体に及んで存在することができる。これは製品の寸法及び形にかかわらず、ならびに製品が様々な程度の厚さを有するか否かにかかわらず一貫性のある光学的な質を維持することができる製品を生ずることができる。
【0029】
本発明のこれらの及び他の制限ではない態様を以下の節において図を参照しながらさらに詳細に議論する。
【0030】
A.熱可塑性ポリオレフィン
「熱可塑性ポリオレフィン」という用語は、少なくとも1種のオレフィン性モノマー(エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン又はオクテンのような)から製造されるプラスチックを指し、それは融解後に押し出されるか又は成形される場合がある。代表的な熱可塑性ポリオレフィンにはポリエチレン及びポリプロピレンならびにそれらのブレンドが含まれる場合がある。ポリプロピレンにはプロピレンのホモポリマー、プロピレンと他のオレフィンのコポリマーならびにプロピレン、エチレン及びジエンのターポリマーが含まれる。ポリエチレンにはエチレンのホモポリマー又はエチレンとブテン、ヘキセン及びオクテンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルファオレフィンのコポリマーが含まれる。ポリオレフィンは商業的に使用されている重合法のいずれかにより(いわゆる「高圧」法;スラリ法;溶液法(solution process)及び/又は気相法のような)、且つ既知の触媒(いわゆるチーグラーナッタ触媒;クロム又はフィリップス触媒;
シングルサイト触媒;ならびにメタロセン触媒を含む)のいずれかを使用して製造される場合がある。本発明の組成物は、組成物の合計重量に関して少なくとも90、92、94、96、98ないし99重量%の熱可塑性ポリオレフィン又は熱可塑性ポリオレフィンのブレンドを含むことができる。
【0031】
B.清澄剤ブレンド
本発明のポリオレフィン組成物は熱可塑性ポリオレフィン及び清澄剤ブレンドを含むことができる。清澄剤ブレンドはトリスアミドに基づく清澄剤及びソルビトールに基づく清澄剤を含むことができる。トリスアミド清澄剤にはベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸のアミド誘導体、1,3,5-ベンゼントリアミンのアミド誘導体、N-(3,5-ビス-ホルミルアミノ-フェニル)-ホルムアミドの誘導体、2-カルバモイル-マロンアミドの誘導体及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限られない。ある態様において、トリスアミド清澄剤はN,N’,N”-ベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(2,2-ジメチルプロパンアミド)である。ソルビトール清澄剤にはMillad 3905(1,2,3,4-ジベンジリデンソルビトール、CAS#:32647-67-9、Milliken Chemical,Spartanburg,South Carolina)、Millad 3940(1,2,3,4-ジ-パラ-メチルベンジリデンソルビトール、CAS#:54686-97-4、Milliken Chemical,Spartanburg,South Carolina)、Millad 3998(1,2,3,4-ジ-メタ,パラ-メチルベンジリデンソルビトール、CAS#:135861-56-2、Milliken Chemical,Spartanburg,South Carolina)又はNX8000(1,2,3-トリデオキシ-4,5:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトール、CAS#882073-43-0、Milliken Chemical,Spartanburg,South Carolina)が含まれるがこれらに限られない。
【0032】
ある態様において、トリスアミド清澄剤及びソルビトール清澄剤は1:2ないし1:40 w/wの間のトリスアミド清澄剤対ソルビトール清澄剤の比で存在する。この重量比はブレンド中の各清澄剤の量に対するブレンドの合計重量に基づく。例えば1:2の比は清澄剤ブレンドの合計重量に基づいて33.33部のトリスアミド清澄剤と66.66部のソルビトール清澄剤を含む。かくして10gの合計重量を有する清澄剤ブレンドは3.33グラムのトリスアミド清澄剤及び6.66グラムのソルビトール清澄剤を有する。ある態様において、清澄剤ブレンドは1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25、1:26、1:27、1:28、1:29、1:30、1:31、1:32、1:33、1:34、1:35、1:36、1:37、1:38、1:39、1:40又はそれらの中のいずれかの範囲のトリスアミド清澄剤対ソルビトール清澄剤比を有する。ある場合には、比は1:5ないし1:20の間あるいはまた約1:10である。
【0033】
清澄剤ブレンドを所望の結果を達成するためのいずれかの量で熱可塑性ポリオレフィン組成物に加えることができる。例えば本発明の熱可塑性ポリオレフィン組成物は0.001重量%ないし5重量%、あるいはまた0.01重量%ないし1重量%の清澄剤ブレンドを有することができる。いくつかの場合、熱可塑性ポリオレフィン組成物は0.005、0.010、0.015、0.20、0.025、0.030、0.035、0.040、0.045、0.050、0.055、0.060、0.065、0.070、0.075、0.080、0.085、0.090、0.095、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0又は4.5から5重量%まであるいはその中のいずれかの範囲の清澄剤ブレンドを有することができる。ある場合に、熱可塑性ポリオレフィン組成物は0.
1ないし0.5重量%あるいはまた0.2重量%ないし0.25重量%の清澄剤ブレンドを有する。前記の量未満の量及びそれより多い量も本発明の状況において意図されている。
【0034】
C.添加剤
本発明の熱可塑性ポリオレフィン組成物はさらに少なくとも1種の添加剤を含むことができる。添加剤には光安定剤、静電防止剤、レオロジー改変剤、滑沢剤、酸化防止剤又はこれらの組み合わせが含まれるがこれらに限られない。
【0035】
光安定剤。ある態様において、組成物の0.01重量%ないし1重量%、あるいはまた0.01重量%ないし0.1重量%は光安定剤である。ある態様において、光安定剤はChimassorb 944TM(ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]-1,6-ヘキサンジイル[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]],CAS Number:71878-19-8);Tinuvin 622TM(ブタン二酸,ジメチルエステル,4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールとのポリマー,CAS Number:65447-77-0);Uvinul 5050HTM(アルケン,C20-24
α-,無水マレイン酸とのポリマー,2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミンとの反応生成物,CAS Number:152261-33-1)又はChimasssorb 119TM(1,5,8,12-テトラキス[4,6-ビス(N-ブチル-N-1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-1,5,8,12-テトラアザドデカン,CAS Number:106990-43-6)である。他の態様において、光安定剤はヒンダードアミン光安定剤であることができる。「ヒンダードアミン光安定剤」という用語は、ある種の光安定化性を有する種類のアミン化合物を指す。ヒンダードアミン光安定剤(HALS)には(1)1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-オクタデシルアミノピペリジン、(2)ビス(2,2,6,6-テトラメチルピぺリジン-4-イル)セバケート、(3)ビス(1-アセトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピぺリジン-4-イル)セバケート、(4)ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート、(5)ビス(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート、(6)ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート、(7)ビス(1-アシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート、(8)ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)n-ブチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロネート、(9)2,4-ビス[(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ブチルアミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミノ-s-トリアジン、(10)ビス(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アジペート、(11)2,4-ビス[(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-ピペリジン-4-イル)ブチルアミノ]-6-クロロ-s-トリアジン、(12)1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、(13)1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、(14)1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-4-オクタデカノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、(15)ビス(1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート、(16)ビス(1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アジペート、(17)2,4-ビス{N-[1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル]-N-ブチルアミノ}-6-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-s-
トリアジン、(18)4-ベンゾイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、(19)ジ-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)p-メトキシベンジリデンマロネート、(20)2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルオクタデカノエート、(21)ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)スクシネート、(22)1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-アミノピペリジン、(23)2-ウンデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソ-スピロ[4,5]デカン、(24)トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ニトリロトリアセテート、(25)トリス(2-ヒドロキシ-3-(アミノ-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)プロピル)ニトリロトリアセテート、(26)テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタン-テトラカルボキシレート、(27)テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタン-テトラカルボキシレート、(28)1,1’-(1,2-エタンジイル)-ビス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)、(29)3-n-オクチル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4,5]デカン-2,4-ジオン、(30)8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4,5]デカン-2,4-ジオン、(31)3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ピロリジン-2,5-ジオン、(32)3-ドデシル-1-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ピロリジン-2,5-ジオン、(33)N,N’-ビス-ホルミル-N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、(34)2,4-ビス[(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-ピペリジン-4-イル)ブチルアミノ]-6-クロロ-s-トリアジンとN,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミンの反応生成物、(35)1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸の縮合生成物、(36)N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-ヘキサメチレンジアミンと4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合生成物、(37)N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-ヘキサメチレンジアミンと4-シクロヘキシルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合生成物、(38)N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合生成物、(39))N,N’-ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合生成物、(40)2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンの縮合生成物、(41)2-クロロ-4,6-ジ-(4-n-ブチルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-1,3,5,-トリアジンと1,2-ビス-(3-アミノプロピルアミノ)エタンの縮合生成物、(42)7,7,9,9-テトラメチル-2-シクロウンデシル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソスピロ[4,5]デカンとエピクロロヒドリンの反応生成物、(43)ポリ[メチル,(3-オキシ-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)プロピル)]シロキサン、CAS#182635-99-0、(44)無水マレイン酸-C18-C22-α-オレフィン-コポリマーと2,2,6,6-テトラメチル-4-アミノピペリジンの反応生成物、(45)2-クロロ-4,6-ビス(ジブチルアミノ)-s-トリアジンでエンドキャッピングされた4,4’-ヘキサメチレンビス(アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン)と2,4-ジクロロ-6-[(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ブチルアミノ]-s-トリアジンのオリゴマー性縮合生成物、(46)2-クロロ-4,6-ビス(ジブチルアミノ)-s-トリアジンでエンドキャッピングされた4,4’-ヘキサメチレンビス(アミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン)と2,4-ジクロロ-6-[(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン
-4-イル)ブチルアミノ]-s-トリアジンのオリゴマー性縮合生成物、(47)2-クロロ-4,6-ビス(ジブチルアミノ)-s-トリアジンでエンドキャッピングされた4,4’-ヘキサメチレンビス(アミノ-1-プロポキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン)と2,4-ジクロロ-6-[(1-プロポキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ブチルアミノ]-s-トリアジンのオリゴマー性縮合生成物、(48)2-クロロ-4,6-ビス(ジブチルアミノ)-s-トリアジンでエンドキャッピングされた4,4’-ヘキサメチレンビス(アミノ-1-アシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン)と2,4-ジクロロ-6-[(1-アシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ブチルアミノ]-s-トリアジンのオリゴマー性縮合生成物及び(49)(a)と(b)を反応させることにより得られる生成物であって、ここで(a)は1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンとシアヌル酸クロリドを反応させることにより得られる生成物であり、(b)は(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ブチルアミンである生成物が含まれるがこれらに限られない。上記で挙げた化合物のいずれかの立体的に妨げられたN-H、N-メチル、N-メトキシ、N-ヒドロキシ、N-プロポキシ、N-オクチルオキシ、N-シクロヘキシルオキシ、N-アシルオキシ及びN-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)類似物も含まれる。
【0036】
静電防止剤。プラスチック製品上におけるほこりの堆積を減少させる1つの方法は、静電防止剤の使用である。静電防止剤はプラスチック組成物の電気伝導率を向上させ、かくして製造及び使用の間に現れる(develop)表面電荷を消散させる。かくして引き付けられるほこりの粒子はより少なくなり、結局ほこりの堆積は減少する。本発明のある態様において、静電防止剤はグリセロールモノステアレート(GMS)、エトキシル化脂肪酸アミン、ジエタノールアミド又はエトキシル化ソルビタンエステルである。本発明の組成物は0.01重量%ないし1重量%、あるいはまた0.01重量%ないし0.1重量%の静電防止剤を含むことができる。
【0037】
レオロジー改変剤。レオロジー改変剤は材料の流動性に影響を与える添加剤である。レオロジー改変剤には有機過酸化物が含まれる。本発明の状況で用いられ得る2種類の有機過酸化物-ジアルキル型及びペルオキシケタール型過酸化物がある。商業的に入手可能な過酸化ジアルキル(dialkyl peroxide)の例は2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサンであり、Atofina Chemicals,IncからLUPERSOL(登録商標) 101として入手可能である。2種類の商業的に入手可能なペルオキシケタール過酸化物はLUPERSOL(登録商標) 233及び533であり、それらはそれぞれt-ブチル型及びt-アミル型過酸化物の例であり、やはりAtofina Chemicals,Incから入手可能である。有機過酸化物の選択は特定の用途及び押し出し機の温度に依存して変わる場合がある。ある態様において、有機過酸化物はTrigonox 301TM(イソパラフィン系炭化水素と一緒の溶液における(3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキソナン、CAS Number:24748-23-0)である。本発明の組成物は0.01重量%ないし1重量%、あるいはまた0.01重量%ないし0.1重量%のレオロジー改変剤を含むことができる。
【0038】
滑沢剤。熱可塑性ポリマーに滑沢剤を加えて金型製作特性(mold-making characteristics)を向上させることができる。滑沢剤は通常脂肪酸、脂肪酸エステル、ワックスエステル、脂肪アルコールエステル、アミドワックス、金属カルボキシレート、モンタン酸、モンタン酸エステルの群からの低分子量化合物或いはパラフィン又はポリエチレンワックスのような高分子量化合物である。本発明のある態様において、滑沢剤はステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カリウム及び/又はステアリン酸マグネシウムのような、しかしこれらに限られな
い金属ステアレートである。ある態様において、本発明の組成物は0.01重量%ないし1重量%、あるいはまた0.01重量%ないし0.1重量%の滑沢剤を含む。
【0039】
酸化防止剤。酸化防止剤は加工の間のポリマー分解に対する保護を与えることができる。ホスファイトはポリマー及び他の有機材料のための既知の熱酸化安定剤(thermal
oxidative stabilizing agents)である。酸化防止剤はホスファイトに基づく酸化防止剤である。ある態様において、ホスファイト酸化防止剤にはトリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tertブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスファイト、Doverphos(登録商標) S-9228(ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト,CAS Number:154862-43-8)、Doverphos(登録商標) LGP-11(亜リン酸,トリフェニルエステル,α-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ[オキシ(メチル-1,2-エタンジイル)],C10-16アルキルエステルとのポリマー,CAS Number:1227937-46-3)及びIrganox(登録商標) HP-136(5,7-ビス(1,1-ジメチルエチル)-3-[2,3(又は3,4)-ジメチルフェニル]-2(3H)-ベンゾフラノン,CAS Number 201815-03-4)が含まれるがこれらに限られない。ある態様において、本発明の組成物は0.01重量%ないし1重量%、あるいはまた0.01重量%ないし0.1重量%の酸化防止剤を含む。
【0040】
D.熱可塑性ポリオレフィン組成物の調製
ポリオレフィン組成物への清澄剤及び任意的に添加剤の添加を通常の混合機において行うことができ、そこでポリマーを融解させ、清澄剤及び任意的な添加剤と混合する。適した機械は当業者に既知である。それらは主にミキサー、混練機及び押し出し機である。ある態様において、加工の間に添加剤を導入することにより押し出し機において方法を行う。加工機には一軸スクリュー押し出し機、逆回転及び共回転二軸スクリュー押し出し機、遊星歯車押し出し機、環状押し出し機(ring extruders)又は共混練機(co-kneaders)が含まれる。真空を適用することができる少なくとも1つの気体除去区画が供えられた加工機を用いることもできる。
【0041】
成分を予備混合することができるか又は個別に加えることができる。例えば本発明の清澄剤ブレンドをポリオレフィン組成物に加える前にブレンドが形成されるように、それを予備混合することができる。あるいはまた、トリスアミドに基づく清澄剤及びソルビトールに基づく清澄剤をそれぞれ個別にポリオレフィン組成物に加えることができる。清澄剤を個別に加える場合、それらを組成物に同時に又は異なる順序で(例えばトリスアミド清澄剤を最初に加え、続いてソルビトール清澄剤を加えるか又はその逆)加えることができる。添加剤の導入の間の十分な時間、ポリオレフィンを高められた温度に供することができる。温度は一般にポリマーの軟化点より高い。ある態様において、約160℃ないし280℃の温度で方法を行うことができる。そのような「融解混合」又は「融解配合(melt compounding)」はポリオレフィン中の本添加剤の均一な分散を生ずる。例えばプロセス技術(process technology)における通常の方法を用いて上記の成分を混合することにより、ポリオレフィン樹脂中への添加剤の導入を行うことができる。
【0042】
ポリオレフィン組成物は通常ペレットとして集められ、それはしばらく貯蔵されるか又
はすぐに成形法において用いられる場合がある。成形法には射出成形、押し出しブロー成形(extrusion blow molding)、射出ストレッチブロー成型(injection stretch blow molding)、熱成形、圧縮成形又はシート押し出しが含まれる。最終的な成形製品は例えば成形部品、シート、フィルム又は繊維である。例えば蓋、びん、容器、自動車部品、冷蔵庫部品、トレー、コンピューター部品など。
【0043】
ポリオレフィン性製品は低下した曇り度を示すことができる。光透過率、清澄度及び曇り度をASTM D1003に従って測定する。本製品は、ASTM D1003に従って40未満の曇り度の値を示す。本発明の組成物は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85,90、95、100又はそれ以上の厚さにおいて、間のすべての値及び範囲を含んで2、5、10、15、20、25、30、35ないし40%の間の曇り度%を有することができる。ある態様において、厚さは20ないし80ミルの間であることができる。
【0044】
以下の実施例ならびに図は本発明のある実施態様を示すために含まれる。実施例又は図に開示される方法は、本発明者らが本発明の実施において十分に機能すると見出した方法を示し、かくして本発明の実施のための好ましい様式を構成するとみなされ得ることが当業者により認識されねばならない。しかしながら、当業者は本開示を見て、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示されている特定の実施態様において多くの変更をなし得、且つそれでも同様又は類似の結果を得ることができることを認識するべきである。
【0045】
実施例
【実施例1】
【0046】
清澄剤ブレンド
清澄剤ブレンドは、より低い曇り度及び向上した光沢度により数値化される(quantified)通り、NX8000とMillad 3988のブレンドより優れていると記載される。清澄剤ブレンドは(i)正味の(neat)XT386のような正味のトリスアミド誘導体と比較して向上した厚壁成形清澄度(thick wall molded clarity);(ii)正味のXT386のような正味のトリスアミド誘導体と比較して向上した光沢度;ならびに(iii)Millad 3988及びNX8000のような正味のソルビトール誘導体と比較して向上した高温成形曇り度(high temperature molded haze)]及び光沢度を与える。
【0047】
研究において用いられる種々の清澄剤調製物を表1に挙げる。添加剤のバランスは本研究において一定に保たれた。曇り度パーセント及び45度における光沢度を、トリスアミド清澄剤XT386(N-[3,5-ビス-(2,2-ジメチル-プロピオニルアミノ)-フェニル]-2,2-ジメチルプロピオンアミド)がソルビトール清澄剤Millad
3988及びNX8000と調製される種々の調製物に関して決定した。
【表1】
【0048】
種々の調製物を400
oF(204℃)及び585
oF(307℃)において20、40、60及び80ミルの厚さで成形し、その後曇り度%を決定した。400
oF(
図1)及び585
oF(
図2)の成形温度において厚さの関数として調製物2、3、5、6及び8に関して曇り度を決定した。
図3は、調製物8、2、3、5及び6に関し、400
oF及び585
oFの成形温度において45度での光沢度を示す。
図4は、調製物1、2、3、5及び6に関し、400
oFの成形温度において厚さの関数として決定される得られる曇り度パーセントを示す。
図5は、調製物1、2、3、5及び6に関し、400
oFの成形温度において45度での光沢度を示す。
図6は、調製物4、2、3、5、6及び7に関し、585
oFの成形温度において厚さの関数として決定される得られる曇り度パーセントを示す。
図7は、調製物4、7、2、3、5及び6に関し、585
oFの成形温度において45度での光沢度を示す。