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特許7440501気管内チューブを導入するデバイス及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】気管内チューブを導入するデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/04 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A61M16/04 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021521739
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 US2019038986
(87)【国際公開番号】W WO2020005940
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】62/691,983
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521003173
【氏名又は名称】ルンネルズ,シーン
(73)【特許権者】
【識別番号】521003184
【氏名又は名称】ロベージ,ウィル
(73)【特許権者】
【識別番号】521003195
【氏名又は名称】フォグ,ベンジャミン
(73)【特許権者】
【識別番号】521003209
【氏名又は名称】スルー ザ コードス, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】THROUGH THE CORDS,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ルンネルズ,シーン
(72)【発明者】
【氏名】ロベージ,ウィル
(72)【発明者】
【氏名】フォグ,ベンジャミン
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0110950(US,A1)
【文献】特開平10-033680(JP,A)
【文献】特表2007-528273(JP,A)
【文献】米国特許第05058577(US,A)
【文献】国際公開第2018/094015(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気管内チューブを装着するための導入器であって、前記導入器は、
シャフトと、
ハンドルと
を備え、前記シャフトは、
近位シャフト部分と、
遠位シャフト部分と
を備え、前記遠位シャフト部分は、前記遠位シャフト部分から延在する遠位先端部分を備え、前記シャフトは、複数の深度評価バンドを含み、前記各深度評価バンドは、隣接する深度評価バンドとは視覚的に別個の色又はパターンを有し、前記遠位先端部分は、丸形状及び閉鎖端部を有し、
前記ハンドルは、前記近位シャフト部分に取り外し可能に、前記ハンドルと前記近位シャフト部分との係止による接続機構により接続され、
前記ハンドルは、前記導入器の先端を屈曲させる制御機構を備え、前記制御機構は、トリガを備え、前記トリガは、前記遠位シャフト部分に篏合する展開機構に接続され、
前記トリガを作動させると、前記展開機構が枢動して、前記遠位シャフト部分を前記近位シャフト部分から遠ざけるように移動させることにより、前記導入器の先端が屈曲する、導入器。
【請求項2】
前記導入器の前記先端は、前記シャフトの長手方向軸から離れて屈曲するか又は前記長手方向軸に向かって屈曲する、請求項1に記載の導入器。
【請求項3】
気管内チューブと組み合わせられ、前記気管内チューブは、前記ハンドルを取り外した状態で、前記導入器上に置き、前記導入器に沿って前進させることができる、請求項1に記載の導入器。
【請求項4】
前記導入器の前記先端は、前記気管内チューブの遠位端から延在する、請求項3に記載の導入器。
【請求項5】
前記導入器は、第2の直径を有する前記遠位先端部分を備え、前記第2の直径は、前記シャフトの前記遠位先端部分を除く部分の直径である第1の直径よりも小さく、前記第2の直径は、前記第1の直径から漸減する、請求項1に記載の導入器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気管内チューブを導入するデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの外科手術は、典型的には、患者が全身麻酔下にある間に実施される。こうした手術の間、患者には意識消失及び筋肉麻痺を生じさせる薬剤の組合せが与えられる。意識消失及び筋肉麻痺を生じさせる薬剤は、患者の呼吸能力にも干渉する。したがって、患者は、こうした手術の間、患者を外部人工呼吸器又は呼吸回路に接続し得るように気管挿管を受けることが多い。患者は、酸素供給の強化を必要とする非外科的条件で挿管されることもある。気管挿管は、他の状況で使用されることもある。
【0003】
気管挿管の間、気管内チューブは患者の気道内に置かれる。概して、気管内チューブは、患者の鼻又は口を通じて患者の気管内に前進させる。次に、気管内チューブは、外部人工呼吸器又は呼吸回路に接続される。次に、人工呼吸器は、患者に代わって呼吸し、患者の肺に酸素を送出することができる。
【0004】
患者の声帯及び声帯の間の空間は、気管への入口を形成しており、こうした構造は、声門としても公知である。声門は、咽頭から見え、咽頭を通じて接近することができる。咽頭は、患者の口の背後及び患者の鼻腔の下に位置する上気道部分である。口及び鼻腔は咽頭内で合流する。更に、食道及び声門には、咽頭を通じて接近することができる。挿管工程の間、気管内チューブは、患者の咽頭を通じて慎重に前進させ、声帯を通して気管内に置かなければならない。更に、気管内チューブは、気管内にある際、適切な深度で置かれていることが重要である。気管内チューブは、気管内に浅く置かれていると、抜け出ることがある。気管内チューブは、あまりに深く置かれていると、片方の肺のみが換気され、血液への酸素送出が不十分になる、又は換気された肺が過換気になり、換気されていない肺が低換気になる可能性がある。これらは全て、患者に損傷又は死亡をもたらすことがある。
【0005】
挿管工程は、患者の呼吸能力に干渉するため、酸素が単独で体内に送出される。患者に対し2又は3分を超えて酸素がない場合、組織損傷が生じるおそれがあり、これにより、死亡又は永続的な脳障害をもたらすことがある。したがって、挿管工程は、迅速、正確に実施しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般論的に、本開示は、気管挿管システムと共に使用する導入器(イントロデューサ)を対象とする。1つの可能な構成では、非限定的な例によって、気管挿管システムは、医療従事者が、正常又は困難な気道内に気管内チューブを適切、迅速、正確、安全に配置することを可能にする。別の構成では、非限定的な例によって、気管挿管システムは、医療従事者が、気管内チューブ交換手順を適切、迅速、正確、安全に実施することを可能にする。一態様は、気管内チューブを装着する導入器であり、導入器は、シャフトと、ハンドルとを備え、シャフトは、近位シャフト部分と、遠位シャフト部分とを備え、遠位シャフト部分は、遠位シャフト部分から延在する遠位先端部分を備え、シャフトは、複数の深度評価バンドを含み、各深度評価バンドは、隣接する深度評価バンドとは視覚的に別個の色又はパターンを有し、遠位先端部分は、丸形状及び閉鎖端部を有し、ハンドルは、近位シャフト部分に取り外し可能に接続される。
【0008】
別の態様は、患者の体内に気管内チューブを挿入する方法であり、方法は、患者の口内に喉頭鏡のブレードを挿入することと、喉頭鏡で患者の気管を見ることと、患者の気管内にハンドルを備える導入器を挿入することと、導入器からハンドルを取り外すことと、気管内チューブを導入器上に挿入し、患者の気管に入れることと、気管内チューブを患者の体内に留める一方で、導入器を気管内チューブから取り外すこととを含む。
【0009】
更なる態様は、気管内チューブを装着する導入器であり、導入器は、シャフトと、制御ワイヤとを備え、シャフトは、近位シャフト部分と、遠位シャフト部分とを備え、遠位シャフト部分は、シャフト部分から延在する遠位先端部分を備え、シャフトは、複数の定性深度評価バンドを備え、各深度評価バンドは、隣接する深度評価バンドとは視覚的に別個の色又はパターンを有し、先端は、丸形状及び閉鎖端部を有し、制御ワイヤは、遠位シャフト部分及び近位シャフト部分の両方に少なくとも部分的に配設され、近位シャフト部分の先端部分が湾曲構成を維持するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】患者の挿管に使用される、喉頭鏡を含む例示的気管挿管システムの図である。
図2】例示的喉頭鏡の斜視図である。
図3】例示的導入器の斜視図である。
図4】例示的気管内チューブの斜視図である。
図5】喉頭鏡を含む例示的気管挿管システムを使用して患者の体内に気管内チューブを置く例示的工程のフローチャートである。
図6】喉頭鏡を含む例示的気管挿管システムを使用する挿管手順の間、声門を見るために喉頭鏡を配置した後の患者の断面図である。
図7】喉頭鏡を含む例示的気管挿管システムを使用する挿管手順の間、導入器の先端を喉頭鏡の視野に前進させた後の患者の断面図である。
図8】喉頭鏡を含む例示的気管挿管システムを使用する挿管手順の間、導入器の先端を気管内で第2の深度評価バンドまで前進させた後の患者の断面図である。
図9】喉頭鏡を含む例示的気管挿管システムを使用する挿管手順の間、喉頭鏡の視野内で、導入器上に気管内チューブを前進させた後の患者の断面図である。
図10】喉頭鏡を含む例示的気管挿管システムを使用する挿管手順の間、導入器上で、気管の最終位置内に気管内チューブを前進させた後の患者の断面図である。
図11a】静止構成における押しボタン式導入器の透視図である。
図11b】まっすぐな構成における押しボタン式導入器の透視図である。
図12】ハンドルを有する導入器の図である。
図13】ハンドルを有する導入器の斜視図である。
図14】ハンドルの図である。
図15】ハンドルの内側部分の図である。
図16】ハンドルの内側部分の別の図である。
図17a】ハンドルの断面図である。
図17b】ハンドルの断面図である。
図18a】ハンドルの内側部分の上面図である。
図18b】ハンドルの内側部分の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照しながら様々な実施形態を詳細に説明する。同様の参照数字は、いくつかの図を通じて同様の部品及び組立体を表す。様々な実施形態への言及は、本明細書に添付の特許請求の範囲を限定するものではない。更に、本明細書に示すあらゆる例は、限定する意図ではなく、添付の特許請求の範囲のために多くの可能な実施形態の一部を示すにすぎない。
【0012】
本開示は、一般に、気管挿管システムと共に使用可能である導入器に関する。導入器は、気管内チューブを案内配置するために使用される細長いプローブである。導入器は、スタイレット又はカテーテルと呼ばれることもある。本開示は、気管挿管手順及び気管内チューブ交換手順を実施する方法にも関する。
【0013】
導入器は、気管内チューブを患者の体内の適切な位置に案内するのを助けるために使用される。異常な気道を有する患者、肥満患者、外傷を受けている患者、関節炎を有する患者、頸部固定術を受けている患者、又は攻撃的な患者の体内に気管内チューブを置くことは困難である場合がある。導入器は、気管内チューブを単独で置く際、それ以外の方法では置くことが可能ではない気管内チューブを患者の体内に置くのを助ける。
【0014】
図1は、患者Pに挿管するために使用される喉頭鏡を含む例示的気管挿管システム100の図である。例示的挿管システム100は、喉頭鏡102と、導入器104と、気管内チューブ106とを含む。また、患者Pの口M及び鼻Nが図示される。この例では、喉頭鏡102は、患者Pの口Mに挿入され、導入器104は、患者Pの鼻Nに挿入され、気管内チューブ106は、導入器104上に装着される。代替的に、導入器104は、患者Pの口Mに挿入される。
【0015】
患者Pは、挿管されるヒト又は動物である。挿管システム100は、困難な気道を有する患者に挿管するのに特に有用であるが、挿管システム100は、正常な気道を有する患者に対し使用してもよい。患者Pの例は、成人、小児、幼児、高齢者、肥満の人、腫瘍が頭部又は首に影響を与えている人、及び頸椎が不安定な人を含む。いくつかの実施形態では、挿管システム100は、正常又は困難な気道を有する動物に挿管するために使用することができる。挿管システム100は、他のヒト又は動物に挿管するために使用することもできる。
【0016】
喉頭鏡102は、医療従事者が、とりわけ、患者Pの声門を直接又は間接的に見ることが可能であるように構成した医療機器である。いくつかの実施形態では、喉頭鏡102は、光捕捉デバイスと光源とが統合されたブレードを含む。いくつかの実施形態では、ブレードは、患者Pの口Mを通じて挿入されるように構成され、声門が光捕捉デバイスの視野内にあるように配置される。喉頭鏡102が捕捉した画像は、患者Pの外部にある位置から見える。いくつかの実施形態では、喉頭鏡102が捕捉した画像は、画面等の外部表示デバイス上で見える。喉頭鏡102は、図2により詳細に示し、図2を参照しながら説明する。
【0017】
導入器104は、患者Pの気道に挿入されるデバイスである。この例では、導入器104は、気管内チューブ106の配置を案内するために使用される。導入器104は、患者Pの気道に誘導され、前進させることができる薄い可撓性の管を含む。導入器104は、挿管手順の間、喉頭鏡102で見るように構成することができる。導入器104は、図12図33を含め、本明細書全体を通じてより詳細に示し、図12図33を参照しながら説明する。
【0018】
いくつかの実施形態では、気管内チューブ106は、患者Pの気道内に置かれるように構成した中空管である。患者Pに挿管する際、気管内チューブ106の一端を患者Pの気管内部に配置し、もう一端を外部人工呼吸器又は呼吸回路に接続する。気管内チューブ106は、患者Pの気道を閉塞するように構成される。したがって、ガス(例えば、室内の空気、酸素吸入ガス、麻酔ガス、呼気等)は、気管内チューブ106を通じて患者Pの気管に流入、気管から流出させることができる。いくつかの実施形態では、気管内チューブ106は、例えば機械を動力とする人工呼吸器又は手動人工呼吸器を含む呼吸回路に接続することができる。他の実施形態では、患者Pは、気管内チューブ106を通じて自発的に呼吸することができる。気管内チューブ106は、図4により詳細に示し、図4を参照しながら説明する。
【0019】
気管内チューブ106は、導入器104の先端上で、シャフトに沿って摺動させることによって導入器104上に装着されるように構成される。医療従事者が患者Pの気管内に導入器104の先端を配置した後、気管内チューブ106を導入器104のシャフト上で前進させ、患者Pの気管に入れる。このようにして、導入器104は、気管内チューブ106を患者Pの気管内の適切な位置に案内する。気管内チューブ106を配置する工程は、図5図11に詳細に示され、図5図11を参照しながら説明する。
【0020】
図2は、喉頭鏡102の一例の斜視図である。いくつかの実施形態では、喉頭鏡102は、ブレード110と、ハンドル112と、表示デバイス114とを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、ブレード110は、湾曲し、第1の端部116と第2の端部118とを有する。第1の端部116は、ハンドル112に結合される。第2の端部118は、図7に示され、図7を参照しながら説明するように、患者の口を通じて患者の咽頭に挿入されるように構成される。いくつかの実施形態では、ブレード110はまっすぐである。いくつかの実施形態では、ブレード110の断面は、樋状である一方で、他の実施形態では、ブレード110の断面は管状である。ブレード110のまた他の実施形態が可能である。
【0022】
いくつかの実施形態では、ブレード110は、光捕捉デバイス120と光源122とを含む。いくつかの実施形態では、光捕捉デバイス120及び光源122は、ブレード110の第2の端部118付近に配設される。したがって、ブレード110を患者の咽頭に挿入すると、光源122は、患者の声門を照らし、光捕捉デバイス120は、患者の声門の画像、ビデオ又は光波等の光学的表現を捕捉する。いくつかの実施形態では、ブレード110は、複数の光捕捉デバイス120と光源122とを含む。
【0023】
光捕捉デバイス120は、画像捕捉デバイスである。いくつかの実施形態では、光捕捉デバイス120は、電荷結合デバイス又は相補型金属酸化物半導体等のカメラ又は画像捕捉センサである。いくつかの実施形態では、光捕捉デバイス120は、デジタル・ビデオ・カメラである。他の実施形態では、光捕捉デバイス120は、光ファイバである。また他の実施形態では、光捕捉デバイス120は、鏡である。光捕捉デバイス120のまた他の実施形態も可能である。
【0024】
光源122は、声門に向けて光を伝達する又は誘導するように構成したデバイスである。いくつかの実施形態では、光源122は、光を生成するように構成される。他の実施形態では、光源122は、光を反射するように構成される。光源122の例は、発光ダイオード、白熱電球、光ファイバ及び鏡を含む。他の実施形態は、他の光源を含む。
【0025】
ハンドル112は、ブレード110の第1の端部116に結合され、ユーザの手で保持されるように構成される。ユーザは、自律ロボット、半自律ロボット、医療従事者が遠隔制御するロボット、又は医療従事者とすることができる。本明細書全体を通して、限定する意図なく、あらゆるユーザを医療従事者と呼ぶ。ハンドル112は、医療従事者からの入力を受信し、ブレード110の位置及び向きを調節する、したがって、収容されている光捕捉デバイス120がブレードの第2の端部118を狙うように動作する。
【0026】
いくつかの実施形態では、ハンドル112は、円筒形状を有する。いくつかの実施形態では、ハンドル112の断面は、長方形である。他の実施形態では、ハンドル112の断面は、丸い角を有する長方形である。いくつかの実施形態では、ハンドル112は、成形した1つ又は複数の指把持部を含む。他の実施形態は、ハンドル112の他の構成を有する。
【0027】
表示デバイス114は、とりわけ、光捕捉デバイス120が捕捉したビデオ、画像又は光波を表示するように構成される。いくつかの実施形態では、表示デバイス114は、画面126を含む。いくつかの実施形態では、表示デバイス114は、ケーブル124でハンドル112に結合される。他の実施形態では、表示デバイス114は、ハンドル112と一体に形成される。いくつかの実施形態では、表示デバイス114は、鏡である。いくつかの実施形態では、単一の鏡は、表示デバイス114及び光捕捉デバイス120の両方として動作する。表示デバイス114のまた他の実施形態が可能である。
【0028】
いくつかの実施形態では、ケーブル124は、ハンドル112、ブレード110、又はこれら両方の一部又は全部の内側に配設される。いくつかの実施形態では、ケーブル124は、光捕捉デバイス120及び光源122に電力を運び、光捕捉デバイス120が生成したビデオ又は画像を表現する電気信号を表示デバイス114に運ぶように構成される。他の実施形態では、ケーブル124は、ファイバ・ケーブルであり、光捕捉デバイス120が捕捉した光波を表示デバイス114に光学的に伝達するように動作する。他の実施形態は、ケーブル124を含まない。例えば、いくつかの実施形態では、光捕捉デバイス120が捕捉したビデオ又は画像は、表示デバイス114にワイヤレスに伝達される。また他の実施形態では、光捕捉デバイス120が捕捉した画像は、1つ又は複数の鏡で伝達される。
【0029】
いくつかの実施形態では、画面126は、液晶表示器である。他の実施形態では、画面126は、発光ダイオード表示器又は陰極線管である。いくつかの実施形態では、画面126は、鏡面である。画面126のまた他の実施形態も可能である。画面126は、画像を表現する信号を受信し、この画像を表示するように動作する。
【0030】
喉頭鏡102の例は、ワシントン州ボセルのVerathon社製、GLIDESCOPE(登録商標)ビデオ喉頭鏡、カリフォルニア州パロアルトのVivid Medical社製、VIVIDTRAC VT-A100(登録商標)ビデオ挿管デバイス、及びドイツ、トゥットリンゲンのKarl Storz GmbH&Co.KG製、C-MAC(登録商標)ビデオ喉頭鏡を含む。喉頭鏡102の他の例は、他のビデオ喉頭鏡、光ファイバ気管支鏡、光ファイバ・スタイレット、鏡型喉頭鏡及びプリズム型喉頭鏡を含む。喉頭鏡102の多数の他の例もある。
【0031】
図3は、気管内チューブを患者の気管内に案内するように構成した例示的導入器104の斜視図である。導入器104は、ハンドル(図示せず)と、シャフト134と、先端138とを含む。シャフト134は、外面136と先端138とを含む。シャフト134は、患者の鼻又は口に挿入し、患者の声門を通して誘導され、患者の気管に入るように構成される。
【0032】
シャフト134は、先端138の反対端部でハンドル(図示せず)に結合することができる。いくつかの実施形態では、シャフト134は、2から3フィートの長さであり、3/16インチの直径を有する。他の実施形態では、シャフト134、特に小児患者を対象とするものは、より小さな直径を有する。より小さな若しくはより大きな長さ又はより小さな若しくはより大きな直径を有する他の実施形態も可能である。
【0033】
いくつかの実施形態では、シャフト134は、管形状を有し、患者の気道の形状に適合するように構成した可撓性材料から形成される。いくつかの実施形態では、シャフト134の断面は、楕円形である。他の形状を有するシャフト134の他の実施形態が可能である。
【0034】
いくつかの実施形態では、外面136は、単一の連続する一様な材料を含む。いくつかの実施形態では、外面136は、くっつかない特性を有する。例えば、いくつかの実施形態では、外面136は、ポリテトラフルオロエチレンから形成される。他の実施形態では、外面136は、潤滑剤を受けるように構成される。外面136の他の実施形態も可能である。外面136が連続する材料から形成されるため、外面136は、継ぎ目を一切有さない。したがって、外面136は、迅速に、安価に掃除することができる。例えば、外面136は、高価で時間のかかる殺菌機器(例えばオートクレーブ)を使用せずに殺菌することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、先端138は、先端138が鼻又は口を通じて上気道に移動し、患者の気管内に前進する際、外傷を最小化するように構成される。いくつかの実施形態では、先端138は、外面136内に収容される。いくつかの実施形態では、先端138は、とがっていない丸い形状を有する。いくつかの実施形態では、先端138は、患者を傷つける可能性がある縁部、角又は間隙を有さない。先端138のまた他の実施形態が可能である。
【0036】
いくつかの実施形態では、シャフト134及び先端138は、カメラ、光源、又は患者を照らすか若しくは患者の画像を捕捉する他の機構を収容せず、これらを伴わない。したがって、いくつかの実施形態では、シャフト134及び先端138の外面136の設計は、外傷を減らし、殺菌を単純化するように設計される。シャフト134及び先端138の外面136の設計は、レンズ、曇りを取る加熱要素、視野を明瞭にするように水を誘導するか若しくは水を吸い込む管腔等の、カメラ、光源又は光ファイバの要件によって制約されない。
【0037】
方位マーク140は、外面136上にある又は外面136を通じて見える指標であり、導入器104を喉頭鏡102で見た際に見えるように構成される。方位マーク140は、導入器104の径方向方位についての定性的情報を伝えるように構成される。いくつかの実施形態では、定量的情報も伝えることができる。いくつかの実施形態では、方位マーク140は、直線であり、先端138の端部又は端部付近で開始され、シャフト134の長さ部に沿って長手方向に連続する。いくつかの実施形態では、方位マーク140は、シャフト134の長さ部全体を通じて存在する。他の実施形態では、方位マーク140は、シャフト134の一部分に沿ってのみ存在する。いくつかの実施形態では、方位マーク140は、方向D1と径方向に位置合わせされ、方向D1内を先端138が移動するように構成される。このようにして、医療従事者は、喉頭鏡102の表示デバイス上で方位マーク140を見て、先端138が枢動した際に先端138を移動させる方向を決定することができる。したがって、医療従事者は、遅延又は患者に外傷をもたらし得る先端138の誤った枢動を伴わずに、導入器104を患者の気管内に迅速に誘導することができる。他の実施形態では、方位マーク140がない。
【0038】
いくつかの実施形態では、方位マーク140は、破線又は一連の点である。いくつかの実施形態では、方位マーク140は、方向D1と径方向に位置合わせされていないが、依然として、医療従事者が導入器104を誘導するのに必要な方位情報を伝える。いくつかの実施形態では、複数の方位マークが含まれる。また他の実施形態も可能である。
【0039】
いくつかの実施形態では、導入器104は、1つ又は複数の深度評価バンド142を含む。図3に示す実施形態では、導入器104は、第1の深度評価バンド142aと、第2の深度評価バンド142bと、第3の深度評価バンド142cとを含む。深度評価バンド142は、外面136上にある又は外面136を通じて見える視覚的な指標であり、導入器104を喉頭鏡102で見た際に見えるように構成される。深度評価バンド142は、喉頭鏡102を通じても見ることができる、患者の声帯等の解剖学的目印に対する、導入器104の配置についての定性的情報を伝えるように構成される。いくつかの実施形態では、定量的情報も伝えることができる。深度評価バンド142は、先端138の端部までの長手方向距離についての定性的情報及び/又は定量的情報の両方を伝えるようにも構成される。
【0040】
隣接し合う深度評価バンド142は、互いに視覚的に異なり、深度評価バンド142の1つの一部を喉頭鏡から見る医療従事者は、どの深度評価バンド142が視野内にあるかを具体的に識別することができる。医療従事者が深度評価バンド142の1つを喉頭鏡102の視野内に至らせるために導入器104を前進又は後退させることは、患者への外傷の危険性又は患者の気道からの導入器104の意図しない取り外しをもたらすことがあるが、深度評価バンド142は連続領域であるため、医療従事者がこうした導入器104の前進又は後退を行う必要がない。医療従事者は、深度評価バンド142が視野を通過する際に、深度評価バンド142を覚える又は数える必要もない。このようにして、深度評価バンド142は、患者への外傷を最小化し、医療従事者が、深度評価バンド142を数える代わりに、導入器104の使用に集中することを可能にする。更に、深度評価バンド142をこのように使用すると、気管挿管手順を完了させる時間を低減することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、深度評価バンド142は、シャフト134の長さ部の一部分に沿って延在する色の連続領域である。例えば、第1の深度評価バンド142aは、第1の色であり、第2の深度評価バンド142bは、第2の色であり、第3の深度評価バンド142cは、第3の色である。他の実施形態では、深度評価バンド142は、色ではなく、視覚的に異なるパターンの連続領域である。いくつかの実施形態では、深度評価バンド142は、視覚的に異なるパターン及び色の両方を含む。また他の実施形態も可能である。
【0042】
いくつかの実施形態では、深度評価バンド142の長さは、導入器104が意図される挿管手順、及び医療従事者が先端138を挿入したい患者の気管内の距離に必要な臨床的精度に基づき選択される。例えば、医療従事者は、先端138を成人患者の気管内に2から4センチメートル挿入したい場合がある。成人患者のいくつかの実施形態では、深度評価バンド142のそれぞれの長さは、2センチメートルである。このようにして、医療従事者は、第2の深度評価バンド142bの任意の部分が成人患者の気管の入口(即ち患者の声帯)と位置合わせされている場合、先端138が患者の気管に適切に挿入されていることがわかる。別の例では、医療従事者は、数字的又は定量的な形態での成人患者の気管内への安全な挿入距離を知らなくてよい、又は呼び出すことができる。いくつかの実施形態では、この安全深度は、深度評価バンドの視覚的に異なる色又はパターンの設計内に埋め込まれる。このことにより、医療従事者が、1つ又は複数の異なって見える深度評価バンドと、解剖学的マーカ(即ち、患者の声帯)とを位置合わせすることによる定性的方法を使用して安全な配置深度を達成することが可能である。
【0043】
同様に、小児患者のいくつかの実施形態では、深度評価バンド142の長さは、小児患者のより短い気管に適合される。例えば、医療従事者は、先端138を小児患者の気管内に1から2センチメートル挿入したい場合がある。小児患者のいくつかの実施形態では、深度評価バンド142のそれぞれの長さは、1センチメートルである。このようにして、医療従事者は、第2の深度評価バンド142bの任意の部分が小児患者の気管の入口(即ち患者の声帯)と位置合わせされている場合、先端138が患者の気管に適切に挿入されていることがわかる。別の例では、医療従事者は、数字的又は定量的な形態での小児患者の気管内への安全な挿入距離を知らなくてよい、又は呼び出すことができる。いくつかの実施形態では、この安全深度は、深度評価バンドの視覚的に異なる色又はパターンの設計内に埋め込まれる。このことにより、医療従事者が、1つ又は複数の異なって見える深度評価バンドと、解剖学的マーカ(即ち、患者の声帯)とを位置合わせすることによる定性的方法を使用して安全な配置深度を達成することが可能である。
【0044】
いくつかの実施形態では、深度評価バンド142の色は、先端138が適切に配置されているかどうかについての情報を伝える。いくつかの例示的実施形態では、第1の深度評価バンド142aは、黄色であり、第2の深度評価バンド142bは、緑色であり、第3の深度評価バンド142cは、赤色である。第1の深度評価バンド142aの黄色は、先端138がまだ適切に配置されていないため、先端138を前進させる際に用心することを医療従事者に伝えることができる。第2の深度評価バンド142bの緑色は、先端138が適切に配置されているように見えるため、医療従事者に成功を伝えることができる。第3の深度評価バンド142cの赤色は、先端138が患者の気管内にあまりにも深く配置されているおそれがあり、外傷を生じさせる可能性があるため、医療従事者に警告を伝えることができる。
【0045】
図3に示す実施形態は3つの深度評価バンド142を含むが、より少ない又はより多い深度評価バンド142を含む他の実施形態も可能である。いくつかの実施形態では、深度評価バンド142は、長さが均等である。他の実施形態では、深度評価バンド142の1つ又は複数は、他の深度評価バンド142とは異なる長さを有する。例えば、高い精度が求められる用途では、深度評価バンド142の1つは、他の深度評価バンド142よりも長さが短い。したがって、深度評価バンド142の1つが患者の気管の入口(即ち声帯)と位置合わせされると、医療従事者は、先端138の深度をより高い精度で決定することができる。
【0046】
図3に示す深度評価バンド142の実施形態は導入器104に関するものであるが、深度評価バンド142は、他の導入器、スタイレット、交換カテーテル及び/又は気管内チューブと共に使用することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、深度評価バンド142は、展性ではない導入器と共に使用される。これらの実施形態では、導入器は、先端が屈曲し、先端を制御する構成要素が含まれることを除いて、本明細書で説明する導入器104と同様である。これらの実施形態では、導入器は、依然として深度評価バンド142を含み、深度評価バンド142は、喉頭鏡102で見て、様々な解剖学的目印に対して導入器の非屈曲先端の位置を決定することができる。
【0047】
本明細書で説明する実施形態は、気管内チューブの配置に関するものであるが、定量的及び/又は定性的深度情報を伝える深度評価バンドは、気道デバイス内での使用に限定されない。いくつかの実施形態では、深度評価バンド142は、他の医療デバイス上に含まれ、こうした医療デバイスの適切な配置を案内するようにもする。例えば、いくつかの実施形態では、深度評価バンド142は、中心静脈カテーテル、内視鏡デバイス、消化管内に置かれるデバイス、心臓血管系の内部に置かれるデバイス、泌尿器系の内部に置かれるデバイス、耳内に置かれるデバイス、眼内に置かれるデバイス、中枢神経系内に置かれるデバイス、腹内に置かれるデバイス、胸内に置かれるデバイス、又は筋骨格系の内部に置かれるデバイス内に含まれる。これらの実施形態では、深度評価バンド142は、様々な組織構造と比較するように構成される。これらの実施形態では、深度評価バンド142は、体内又は更には体外の他の臓器系と比較した、様々な解剖学的目印に対するデバイスの配置についての定量的及び/又は定性的情報を伝えるように構成される。更に、いくつかの実施形態では、深度評価バンド142は、深度制御が望ましい非医療デバイス上に含まれる。例えば、深度評価バンド142は、機械又は物理的構造体の検査のためのデバイス、及び締結器又は他の工業部品又は物理的部品の適切な配置のためのデバイス等、工業デバイス内に含めることができる。
【0048】
図4は、例示的気管内チューブ106の斜視図である。気管内チューブ106は、導管170と、カフ172と、膨張管腔174とを含む。いくつかの実施形態では、気管内チューブ106は、カフ172又は膨張管腔174を含まない。
【0049】
いくつかの実施形態では、導管170は、中空であり、第1の端部178と、第2の端部180と、外面182とを含む。いくつかの実施形態では、導管170は、可撓性材料から形成され、患者の解剖学的構造に適合するように動作する。例えば、いくつかの実施形態では、導管170は、ポリ塩化ビニルから形成される。他の実施形態では、導管170は、シリコーン・ゴム又はラテックス・ゴムから形成される。いくつかの実施形態では、導管170は、ステンレス鋼等の硬質又は半硬質材料から形成される。
【0050】
導管170は、患者の気管に出入りするガスの通路として動作する。導管170は、胃の内容物から患者の肺を保護するようにも動作する。更に、いくつかの実施形態では、導管170は、患者の気管及び肺を吸引する通路として動作する。第1の端部178は、患者の気管内に前進するように構成される。第2の端部180は、人工呼吸器又は呼吸回路に接続するように構成される。
【0051】
いくつかの実施形態では、カフ172は、導管170の外面182上で第1の端部178付近に配設される。カフ172は、導管170の外面182と患者の気管との間に封止部を形成するように構成される。このようにして、カフ172は、ガス及び液体が、導管170を通過せずに患者の気管に入らない又は気管から出ないようにする。更に、カフ172は、気管内チューブ106の位置を患者の気管内に確保する。いくつかの実施形態では、カフ172は、膨張可能な室である。例えば、いくつかの実施形態では、カフ172は、バルーンである。カフ172のまた他の実施形態も可能である。
【0052】
膨張管腔174は、膨張ポート176を含む。膨張管腔174は、カフ172に接続され、流体がカフ172に入る流路として動作する。膨張ポート176は、流体を受けるように構成される。いくつかの実施形態では、膨張ポート176は、注射器を受けるように構成され、注射器は、膨張管腔174を通じて流体を排出し、カフ172に入れるように動作する。このようにして、カフ172は、患者の気管を封止するように膨張させることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、気管内チューブ106は、透明材料又は半透明材料から形成され、導入器104が透明材料又は半透明材料を通じて見えることを可能にする。いくつかの実施形態では、気管内チューブ106は、1つ又は複数の深度評価バンド184a~c(集合的に、深度評価バンド184)を含む。図6に示す実施形態では、例示的気管内チューブ106は、第1の深度評価バンド184aと、第2の深度評価バンド184bと、第3の深度評価バンド184cとを含む。深度評価バンド184は、外面182上にある又は外面182を通じて見える指標であり、導入器104を喉頭鏡102で見た際に見えるように構成される。深度評価バンド184は、喉頭鏡102を通じても見ることができる患者の声帯等の解剖学的目印に対する、気管内チューブ106の配置についての情報を伝えるように構成される。深度評価バンド184は、第1の端部178の端部までの長手方向距離についての情報を伝えるようにも構成される。
【0054】
隣接し合う深度評価バンド184は、互いに視覚的に異なり、深度評価バンド184の1つの一部を喉頭鏡102から見る医療従事者は、どの特定の深度評価バンド184が視野内にあるかを具体的に識別することができる。医療従事者が深度評価バンド184を喉頭鏡102の視野内に至らせるために気管内チューブ106を前進又は後退させることは、患者への外傷の危険性又は患者の気道からの気管内チューブ106の意図しない取り外しをもたらすことがあるが、深度評価バンド184は連続領域であるため、医療従事者がこうした気管内チューブ106の前進又は後退を行う必要がない。深度評価バンド184は、医療従事者は、深度評価バンド184が視野を通過する際に、深度評価バンド184を覚える又は数える必要もない。このようにして、深度評価バンド184は、患者への外傷を最小化し、医療従事者が、深度評価バンド184を数える代わりに、気管内チューブ106の前進に集中することを可能にする。更に、深度評価バンド184をこのように使用すると、気管挿管手順を完了する時間を低減することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、深度評価バンド184は、導管170の長さ部の一部分に沿って延在する色の連続領域である。例えば、第1の深度評価バンド184aは、第1の色であり、第2の深度評価バンド184bは、第2の色であり、第3の深度評価バンド184cは、第3の色である。他の実施形態では、深度評価バンド184は、色ではなく、視覚的に異なるパターンの連続領域である。いくつかの実施形態では、深度評価バンド184は、視覚的に異なるパターン及び色の両方を含む。更に、いくつかの実施形態では、1つ又は複数の深度評価バンド184は、カフ172の一部又は全部を含むことができる。深度評価バンド184のまた他の実施形態も可能である。
【0056】
いくつかの実施形態では、深度評価バンド184の長さは、気管内チューブ106が意図される挿管手順、及び医療従事者が第1の端部178を挿入したい患者の気管内の距離に必要な臨床的精度に基づき選択される。例えば、医療従事者は、第1の端部178を成人患者の気管内に2から4センチメートル挿入したい場合がある。成人患者のいくつかの実施形態では、深度評価バンド184のそれぞれの長さは、2センチメートルである。このようにして、医療従事者は、第2の深度評価バンド184bの任意の部分が成人患者の気管の入口(即ち患者の声帯)と位置合わせされている場合、第1の端部178が患者の気管に適切に挿入されていることがわかる。別の例では、医療従事者は、数字的又は定量的な形態での成人患者の気管内への安全な挿入距離を知らなくてよい、又は呼び出すことができる。いくつかの実施形態では、この安全深度は、深度評価バンドの視覚的に異なる色又はパターンの設計内に埋め込まれる。このことにより、医療従事者が、1つ又は複数の異なって見える深度評価バンドと、解剖学的マーカ(即ち、患者の声帯)とを位置合わせすることによって、定性的方法を使用して安全な配置深度を達成することが可能である。
【0057】
同様に、小児患者のいくつかの実施形態では、深度評価バンド184の長さは、小児患者のより短い気管に適合される。例えば、医療従事者は、第1の端部178を小児患者の気管内に1から2センチメートル挿入したい場合がある。小児患者のいくつかの実施形態では、深度評価バンド184のそれぞれの長さは、1センチメートルである。このようにして、医療従事者は、第2の深度評価バンド184bの任意の部分が小児患者の気管の入口(即ち患者の声帯)と位置合わせされている場合、第1の端部178が患者の気管に適切に挿入されていることがわかる。別の例では、医療従事者は、数字的又は定量的な形態での小児患者の気管内への安全な挿入距離を知らなくてよい、又は呼び出すことができる。いくつかの実施形態では、この安全深度は、深度評価バンドの視覚的に異なる色又はパターンの設計内に埋め込まれる。このことにより、医療従事者が、1つ又は複数の異なって見える深度評価バンドと、解剖学的マーカ(即ち、患者の声帯)とを位置合わせすることによって、定性的方法を使用して安全な配置深度を達成することが可能である。
【0058】
いくつかの実施形態では、深度評価バンド184の色は、第1の端部178が適切に配置されているかどうかについての情報を伝える。いくつかの例示的実施形態では、第1の深度評価バンド184aは、黄色であり、第2の深度評価バンド184bは、緑色であり、第3の深度評価バンド184cは、赤色である。第1の深度評価バンド184aの黄色は、第1の端部178がまだ適切に配置されていないため、第1の端部178を前進させる際に用心することを医療従事者に伝えることができる。第2の深度評価バンド184bの緑色は、第1の端部178が適切に配置されているように見えるため、医療従事者に成功を伝えることができる。第3の深度評価バンド184cの赤色は、第1の端部178が患者の気管内にあまりにも深く配置されているおそれがあり、外傷を生じさせる可能性があるため、医療従事者に警告を伝えることができる。
【0059】
図6に示す実施形態は3つの深度評価バンド184を含むが、より少ない又はより多い深度評価バンド184を含む他の実施形態も可能である。いくつかの実施形態では、深度評価バンド184は、長さが均等である。他の実施形態では、深度評価バンド184の1つ又は複数は、他の深度評価バンド184とは異なる長さを有する。例えば、高い精度が求められる用途では、深度評価バンド184の1つは、他の深度評価バンド184よりも長さが短い。したがって、深度評価バンド184の1つが患者の気管の入口(即ち声帯)と位置合わせされると、医療従事者は、第1の端部178の深度をより高い精度で決定することができる。
【0060】
図5は、喉頭鏡と導入器とを含む例示的気管挿管システムを使用して患者の体内に気管内チューブを全体に配置する例示的方法500のフローチャートである。
【0061】
最初に、ステップ502において、患者の声門が見えるように喉頭鏡を配置する。いくつかの実施形態では、喉頭鏡は、患者の口を通じて挿入される。他の実施形態では、喉頭鏡は、患者の鼻を通じて挿入される。医療従事者、通常は医師又は医師の助手は、喉頭鏡のハンドルを把持し、ハンドルを操作し、喉頭鏡の光捕捉デバイスが患者の声門をはっきりと見せるようにブレードを配置する。いくつかの実施形態では、医療従事者は、喉頭鏡の表示デバイスの画面を確認することによって、喉頭鏡が適切に配置されていることを検証する。
【0062】
動作504において、導入器が喉頭鏡で見えるまで、導入器を患者の咽頭に前進させる。導入器は、導入器が気管内に配置されるまで前進させる。例示的実施形態では、導入器は、患者の体内に単独で前進させる。代替実施形態では、気管内チューブは、患者の体内に前進させる前に導入器上に装着される。気管内チューブは、導入器の先端上に気管内チューブの第2の端部を置き、該チューブを導入器のシャフトに沿って摺動させることによって装着される。この動作は、医師、医師の助手、又は機器を事前に準備する者によって実施することができる。代替的に、気管内チューブは、導入器を気管内に置いた後に装着することができる。
【0063】
導入器の先端は、患者の咽頭内に配置され、該先端が喉頭鏡の画面上で見えるまで前進させる。いくつかの実施形態では、導入器の先端は、患者の鼻を通じて挿入される。他の実施形態では、導入器の先端は、患者の解剖学的構造に応じて、患者の口を通じて挿入される。
【0064】
導入器の先端は、患者の気管への入口に向けて角度を付けることができる。即ち、先端は、導入器を前進させる際、先端が患者の声帯の間を通過し、患者の気管に入るように角度を付けられる。いくつかの実施形態では、医療従事者、通常は医師又は医師の助手は、患者の体内に前進させる前に導入器の先端の角度を付ける。医療従事者は、喉頭鏡の画面上で先端を見ながら導入器の先端の角度を付ける。先端が患者の気管の入口に向かって角度を付けられている導入器の例示的実施形態は、図7に示される。
【0065】
いくつかの実施形態では、導入器は、1つ又は複数の深度評価バンドを含む。医療従事者は、喉頭鏡の画面上で導入器のシャフトを見て、どの深度評価バンドが患者の声帯に隣接するかを決定する。どの深度評価バンドが声帯に隣接するかに応じて、医療従事者は、導入器の前進を継続するか、又は導入器の前進を停止することができる。
【0066】
例えば、導入器が3つの深度評価バンドを含み、第2の深度評価バンドが標的挿入深度を表す一実施形態では、医療従事者は、第2の深度評価バンドが患者の声帯に隣接するまで導入器の前進を継続する。したがって、喉頭鏡の画面が第1の深度評価バンドが声帯に隣接することを示す場合、医療従事者は、導入器の前進を継続することができる。同様に、喉頭鏡の画面が、第2の深度評価バンドが患者の声帯に隣接することを示す場合、医療従事者は、導入器の先端が適切に配置されていることを定性的に決定することができ、それに応じて、導入器の前進を停止する。最後に、喉頭鏡の画面が、第3の深度評価バンドが患者の声帯に隣接することを示す場合、医療従事者は、導入器の先端があまりにも遠く配置されていることを決定することができ、導入器の前進を停止し、場合によっては、導入器を後退させる。3つの深度評価バンドを患者の気管内に前進させる導入器の例示的実施形態は、図7図10に示される。
【0067】
動作506において、気管内チューブを導入器のシャフト上に前進させる。いくつかの実施形態では、医療従事者、通常は医師又は医師の助手は、気管内チューブを把持し、気管内チューブの第1の端部が患者の気管に入るまで、導入器に沿って摺動させる。気管内チューブを導入器のシャフト上に前進させる例示的実施形態は、図9及び図10に示される。
【0068】
動作508において、気管内チューブのカフを膨張させる。いくつかの実施形態では、医療従事者、通常は医師又は医師の助手は、気管内チューブの膨張ポートに流体を挿入する。このことにより、膨張カフが拡張し、気管内チューブを患者の気管内に確保する。更に、膨張カフは、患者の気管を封止し、ガスが気管内チューブの周囲に流れないようにする。更に、膨張カフは、患者の気管を封止し、患者の胃の内容物等の液体が患者の気管及び肺に入らないようにする。膨張カフを有する気管内チューブの例示的実施形態は、図10に示される。気管内チューブがカフを含まない実施形態では、この動作508を実施しない。
【0069】
動作510において、導入器及び喉頭鏡を取り出す。導入器のシャフトは、気管内チューブから引き出され、気管内チューブを所定の位置に残す。更に、喉頭鏡も患者から取り出す。喉頭鏡は、ハンドルを把持し、患者の咽頭からブレードを引き出すことによって取り出される。
【0070】
動作512において、気管内チューブを人工呼吸器又は呼吸回路に接続し、患者に換気をもたらす。いくつかの実施形態では、気管内チューブは、喉頭鏡を取り出す前に人工呼吸器又は呼吸回路に接続される。
【0071】
図6は、喉頭鏡を含む例示的気管挿管システムを使用する挿管手順の間の、患者Pの断面図である。
【0072】
患者Pの口M及び鼻Nが示される。喉頭鏡102のブレード110は、患者Pの咽頭内に配設される。ブレード110は、ブレード110上の光捕捉デバイスの視野50が患者Pの声帯V及び気管Tを含むように向けられる。画面126は、喉頭鏡102内の光捕捉デバイスの視野50の内容を示す。
【0073】
画面126は、気管Tの画像を表示する。気管Tの入口は、声帯V1及びV2(集合的に、声帯V)によって画定される。声帯Vは、披裂軟骨Aで合流する。食道Eは、気管Tの下にあり、気管Tに平行である。喉頭鏡102のブレード110は、曲型スタイレットが気管T内に誘導されているために画面126が気管Tの入口の画像をはっきりと示すように向けられることが重要である。
【0074】
図7は、喉頭鏡を含む例示的気管挿管システムを使用する挿管手順の間の、患者Pの断面図である。導入器104の先端138は、角度を上に付けられている。画面126は、先端138が今や気管Tの入口に誘導されていることを示す。
【0075】
図8は、喉頭鏡を含む例示的気管挿管システムを使用する挿管手順の間の、患者Pの断面図である。導入器104の先端138は、図7と比較して患者Pの気管T内に更に前進している。画面126は、第2の深度評価バンド142bが今や声帯Vに隣接していることを示す。したがって、医療従事者は、先端138が適切に配置され、気管T内で更に前進させる必要がないことを決定し得る。
【0076】
図9は、喉頭鏡を含む例示的気管挿管システムを使用する挿管手順の間の、患者Pの断面図である。導入器104の先端138は、患者Pの気管T内に適切に配置されている。気管内チューブ106は、導入器104のシャフト134上に前進させてある。気管内チューブ106は、患者Pの鼻Nを通じて導入器104によって案内され、患者Pの咽頭に至る。気管内チューブ106の第1の端部178及び第1の深度評価バンド184aは、画面126上で見える。
【0077】
導入器104の先端138は、第2の深度評価バンド184bが声帯Vに隣接する際、患者Pの気管T内に適切に配置されている。気管内チューブ106は、導入器104によって患者Pの気管T内に案内される。画面126は、気管内チューブ106の第1の端部178が声帯Vにまだ到達していないことを表示する。第1の深度評価バンド184a及び第2の深度評価バンド184bの両方が画面125上に見える。しかし、第1の深度評価バンド184aも、第2の深度評価バンド184bも、声帯Vにまだ隣接していない。したがって、医療従事者は、気管内チューブ106の第1の端部178を更に前進させ、患者Pの気管Tに入れる必要があることを決定し得る。
【0078】
図10は、喉頭鏡を含む例示的気管挿管システムを使用する挿管手順の間の、患者Pの断面図である。気管内チューブ106は、図9と比較して導入器104のシャフト134に沿って更に前進している。画面126は、気管内チューブ106が気管Tに入っていることを表示する。更に、画面126は、第2の深度評価バンド184bが声帯Vに隣接することを表示する。したがって、看護師は、気管内チューブ106が患者Pの気管T内に案内され、気管T内に適切に配置されていることを決定し得る。そうではなく、第1の深度評価バンド184aが声帯Vに隣接する場合、医療従事者は、気管内チューブ106を患者Pの気管T内で更に前進させる必要があることを決定し得る。そうではなく、逆に、第3の深度評価バンド184cが声帯Vに隣接する場合、医療従事者は、気管内チューブ106を患者Pの気管T内であまりにも遠く前進させたことを決定し得る。気管内チューブ106を適切に配置した後、カフ172を膨張させ、気管Tを封止し、気管内チューブ106を所定の位置に確保する。
【0079】
図11Aは、静止構成における押しボタン式導入器1200の透視図である。この例では、押しボタン式導入器1200は、シャフト1202と先端部分1204とを含む。シャフト1202は、管腔を含む。管腔は、押出成形プラスチック構造体において、全体的に丸い凹部として形成することができる。管腔は、補強ワイヤ1210及び押し棒1212の移動を抑制するように構成される。補強ワイヤ1210及び押し棒1212は、同じ管腔を通じて延在しても、補強ワイヤ1210が第1の管腔を通じて延在し、押し棒1212が第2の管腔を通じて延在してもよい。静止構成において、先端部分1204は、中線から離れて湾曲している。図11Bに示すように、押し棒1212をシャフト1202を通じて押すと、先端部分1204がまっすぐになる、又は中線に向かって移動する。
【0080】
図11A図11Bの例に示すように、補強ワイヤ1210は、先端部分1204の角に接続される。いくつかの実施形態では、シャフト1202及び先端部分1204は、一体に形成される。代替的に、シャフト1202及び先端部分1204は、個別に形成され、(例えば、突き合わせ溶接等の溶接、接着剤、又は結合デバイスで)一緒に接合される。
【0081】
別の実施形態では、押しボタン式導入器1200は、補強ワイヤ1210を含まない。この実施形態では、シャフト1202は、先端部分1204よりも硬質である。言い換えれば、先端部分1204は、シャフト1202よりも可撓性である。例えば、シャフト1202は、プラスチック等、より高いデュロメータ硬度を有するより硬質の材料から形成することができ、先端部分1204は、プラスチック等、より低いデュロメータ硬度を有するより可撓性の材料から形成される。
【0082】
図12は、ハンドル1300を有する導入器104の一実施形態を示す。導入器104は、同時係属中の米国特許出願第62/616,426号に記載されている導入器とすることができ、当該出願の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。導入器104は、屈曲先端を含むことができる。例えば、導入器104は、外面136を有するシャフト134と、先端138とを含む。シャフト134は、患者の鼻又は口に挿入し、患者の声門を通して誘導され、患者の気管に入るように構成される。いくつかの実施形態では、シャフト134は、2から3フィートの長さであり、3/16インチの直径を有する。他の実施形態では、シャフト134は、特に小児患者を対象とするものは、より小さな直径を有する。より小さな若しくはより大きな長さ又はより小さな若しくはより大きな直径を有する他の実施形態も可能である。
【0083】
シャフト134は、ハンドル1300に結合することができる。ハンドル1300は、シャフト134の中間点、又は先端138から十分に遠い位置に位置することができ、導入器104が十分な深度で患者の体内に置くことができるようにする。ハンドル1300は、シャフト134に永続的に固着することができるか、又は代替的に、シャフト134は、導入器104から取り外し可能であってよい。ハンドル1300は、ハンドル1300をシャフト134に接続可能にする接続機構1304を含む。接続機構1304は、導入器104からハンドル1300を容易に、迅速に取り外すことを可能にする。使用に際し、ハンドル1300を導入器104から取り外した後、気管内チューブを導入器104上に通過させることができる。ハンドル1300は、患者の体内に配置した後、導入器104の先端138を屈曲するように構成される。
【0084】
一実施形態では、ハンドル1300は、トリガ(trigger)1302を含み、トリガ1302は、作動させると、先端138が屈曲する。他の屈曲機構は、ハサミ型ハンドル、歯止め機構、張力ばね、又は他の同様の屈曲機構を含むことができる。
【0085】
図13は、ハンドル1300の接続機構1304の内部の例示的実施形態を示す。接続機構1304は、先端138を屈曲させるように構成される。接続機構1304は、摩擦嵌め、スナップ嵌め、又は他の同様の種類の係止機構とすることができる。
【0086】
ハンドル1300を有する導入器104を使用する例示的方法は、以下を含む。最初に、導入器104をハンドル1300上に装填する。次に、喉頭鏡を患者の口内に置き、声門の視野が得られるまで前進させる。導入器を患者の口内に置き、声帯を通して案内する。色深度区域の緑色区域が声門に隣接するまで、導入器を前進させる。導入器を適切な位置にした後、導入器は所定の位置に保持されており、ハンドルを使用して導入器の先端を屈曲させる。先端は、ハンドルによって前方向で屈曲し、声帯を通過して気管に入る。
【0087】
導入器を適切な位置にした後、ハンドルは導入器から取り外され、導入器は、依然として気管内に適切に置かれている。次に、気管内チューブを導入器の近位端上に置き、導入器上で前進させ、気管に入れる。新たな気管内チューブの遠位端が声門に到達すると、医療従事者は、気管内チューブの先端を観察し、導入器上で、声門を通じて気管内チューブを滑らかに通過させることができる。気管内チューブを前進させる間中、医療従事者は、導入器の緑色区域を声門で継続的に保つ。
【0088】
導入器の緑色区域は、気管内チューブを前進させる間、声門に隣接して留まるはずである。導入器の黄色区域が声門に隣接する場合、医療従事者は、緑色区域が声門に再度隣接するまで、患者の気管内に導入器を更に前進させる。導入器の赤色区域が声門に隣接する場合、医療従事者は、緑色区域が声門に再度隣接するまで、患者の気管から導入器を後退させる。
【0089】
気管内チューブの遠位端が気管内に適切に置かれた後、導入器を気管内チューブから取り外す一方で、気管内チューブは、適切に配置された状態で気管内に留まる。次に、気管内チューブを膨張させ、人工呼吸器に接続する。最後に、喉頭鏡を患者から取り外すことができる。
【0090】
一代替方法では、気管内チューブを導入器上に通すためにハンドルを導入器から取り外す必要がない。気管内チューブは、導入器からハンドルを取り外すことを除いて、上記したように患者の体内を前進する。
【0091】
図14は、ハンドル1300及び導入器104の一実施形態を示す。図示の例では、ハンドル1300は、導入器104から取り外し可能である。ハンドル1300は、ハンドル1300を導入器104に接続可能にする接続機構(図示せず)を収容するドア1402を含む。ドア1402は、ヒンジ1404と押しボタン1406とを含む。ヒンジ1404は、ばねヒンジ、枢動ヒンジ、ピアノ・ヒンジ、バレル・ヒンジ又は他の同様の種類のヒンジ等、様々なヒンジから選択することができる。一実施形態では、ヒンジ1404は、ドア1402を導入器104の長さ部に沿って長手方向に摺動可能にし、導入器104の軸回りに枢動可能にもする。ヒンジ1404は、長手方向摺動運動と回転運動との両方を可能にする。押しボタン1406は、ドア1402開放機構として機能する。
【0092】
一例では、ユーザは、押しボタン1406を遠位方向で押し、これにより、ドア1402は長手方向でヒンジ1404に沿って移動する。ユーザは、押しボタン1406を枢動させ、これにより、ヒンジ1404でドア1402を枢動させることができ、こうしてハンドル1300の内部機構を露出させる。有利には、ユーザは、ハンドル1300を片手で保持することができ、同じ手でドア1402を開放させることができる。
【0093】
ハンドル1300は、ドア1402をハンドル1300に係止する係止機構1408も含む。一実施形態では、係止機構1408は、摩擦嵌め機構である。ドア1402を閉鎖したままにする他の種類の係止機構を使用してもよい。
【0094】
一実施形態では、ハンドル1300は、トリガ1302を含み、トリガ1302は、作動させると、先端138が屈曲する。他の屈曲機構は、ハサミ型ハンドル、歯止め機構、張力ばね、又は他の同様の屈曲機構を含むことができる。
【0095】
図15は、ドア1402が開放されているハンドル1300の例示的実施形態を示す。接続機構1506は、ハンドル1300を導入器104に動作可能に接続する。図示のように、トリガ1302は押下されておらず、先端138は弛緩状態にある。接続機構1506は、近位凹部分1508bが位置する細穴を含む。この細穴は、近位凹部分1508bの幅よりもわずかに小さい。
【0096】
導入器104は、遠位凹部分1508aと、近位凹部分1508bと、棒1502とを備える。棒1502は、遠位凹部分1508a及び近位凹部分1508bに摺動可能に接続される。例えば、棒1502は、図11a及び図11bに示すように、導入器104内に位置する。例示的棒1502は、図11の押し棒1212とすることができる。
【0097】
近位凹部分1508bは、接続機構1506に動作可能に接続され、ハンドル1300への導入器104の取り付けを保つように機能する。一実施形態では、接続機構1506は、摩擦嵌め機構である。別の実施形態では、接続機構1506は、スナップ嵌め機構、又は他の同様の種類の係止機構である。また別の実施形態では、接続機構1506は、近位凹部分1508bが嵌合する細穴を含む。
【0098】
トリガ1302は、展開機構1504に動作可能に接続される。展開機構1504は、遠位凹部分1508aが嵌合する細穴を含む。トリガ1302を押下すると、展開機構1504は、(図16に示すように)遠位方向で枢動する一方で、接続機構1506は静止したままである。このことにより、遠位凹部分1508aを近位凹部分1508bから遠ざけ、これにより、先端138が屈曲する。
【0099】
別の実施形態では、接続機構1506は静止しておらず、近位方向で移動する。ハンドルを押下すると、展開機構1504及び接続機構1506は反対方向で移動する。また別の実施形態では、接続機構1506及び展開機構1504は、反対位置で位置し、トリガ1302を押下すると、展開機構は近位方向で移動し、接続機構は静止したままである。
【0100】
図16は、ドア1402が開放されているハンドル1300の例示的実施形態を示す。図示のように、トリガ1302は押下されているため、先端138は拡張状態にある。別の実施形態では、先端138は、拡張状態にある際にまっすぐであってもよい。導入器104は、遠位凹部分1508aと、近位凹部分1508bと、棒1502とを備える。遠位凹部分1508aは、棒1502により近位凹部分1508bに接続される。
【0101】
トリガ1302は、押下されたものとして示される。このことにより、展開機構1504は、遠位方向で枢動する一方で、接続機構1506は、静止したままである。遠位凹部分1508aは、近位凹部分1508bから遠ざかり、これにより、先端138が屈曲する。図示のように、遠位凹部分1508aは、近位凹部分1508bから拡張され、棒1502が露出される。
【0102】
図17a及び図17bは、ハンドル1300の断面図を示す。図17aは、トリガ1302が押下されておらず、展開機構1504が導入器(図示せず)を拡張させていないことを示す。展開機構1504が作動していない場合、遠位凹部分1508aは、近位凹部分1508bに隣接して位置する。接続機構1506は、近位凹部分1508bを静止したままにする。
【0103】
図17bは、トリガ1302が押下状態にあるのを示す。展開機構1504は、枢動点1702回りを回転し、導入器(図示せず)を拡張させる。展開機構1504が作動すると、遠位凹部分1508aは、近位凹部分1508bから離れ、棒1502が露出される。接続機構1506は、近位凹部分1508bを静止したままにする。
【0104】
図18a及び図18bは、ドア1402が開放されているハンドル1300の上面図を示す。図18aは、展開機構1504が機能していない状態を示す。遠位凹部分1508a及び近位凹部分1508bは、互いに比較的近くに位置する。
【0105】
図18bは、トリガ(図示せず)が押下されている際の展開機構1504の状態を示す。遠位凹部分1508aは、近位凹部分1508bから離れ、棒1502が露出される。
【0106】
上記で説明した様々な実施形態は、例として与えられるにすぎず、本明細書に添付の特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきではない。当業者は、本明細書で例示し、記載した例示的実施形態及び適用例に従わずに、以下の特許請求の範囲の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく行い得る様々な修正形態及び変更を容易に認めるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図12
図13
図14
図15
図16
図17a
図17b
図18a
図18b