IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ピアッジオ エ チ.ソシエタ ペル アチオニの特許一覧

特許7440502二つの前側操舵輪と、二つのサスペンションを含む四節リンクを備えた車両
<>
  • 特許-二つの前側操舵輪と、二つのサスペンションを含む四節リンクを備えた車両 図1
  • 特許-二つの前側操舵輪と、二つのサスペンションを含む四節リンクを備えた車両 図2
  • 特許-二つの前側操舵輪と、二つのサスペンションを含む四節リンクを備えた車両 図3
  • 特許-二つの前側操舵輪と、二つのサスペンションを含む四節リンクを備えた車両 図4
  • 特許-二つの前側操舵輪と、二つのサスペンションを含む四節リンクを備えた車両 図5
  • 特許-二つの前側操舵輪と、二つのサスペンションを含む四節リンクを備えた車両 図6
  • 特許-二つの前側操舵輪と、二つのサスペンションを含む四節リンクを備えた車両 図7
  • 特許-二つの前側操舵輪と、二つのサスペンションを含む四節リンクを備えた車両 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】二つの前側操舵輪と、二つのサスペンションを含む四節リンクを備えた車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 5/08 20060101AFI20240220BHJP
   B62K 5/10 20130101ALI20240220BHJP
   B62K 5/027 20130101ALI20240220BHJP
   B62K 25/08 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B62K5/08
B62K5/10
B62K5/027
B62K25/08 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021522044
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 IB2019058822
(87)【国際公開番号】W WO2020084402
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-08-15
(31)【優先権主張番号】102018000009693
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515217546
【氏名又は名称】ピアッジオ エ チ.ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ラッファエッリ,アンドレーア
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0115284(KR,A)
【文献】特開2011-195100(JP,A)
【文献】特開2002-337779(JP,A)
【文献】特表2007-514594(JP,A)
【文献】国際公開第2018/060869(WO,A1)
【文献】特開2018-144698(JP,A)
【文献】中国実用新案第201151444(CN,Y)
【文献】国際公開第2012/007819(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 5/00- 5/10,25/00-25/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・前輪部フレーム(11)と、
・前輪部フレーム(11)に拘束される操舵管(13)と、
・前輪部フレーム(11)に接続され、第一支持部材(35')を用いて第一前輪(5')を支持し、第二支持部材(35'')を用いて第二前輪(5'')を支持する四節リンク(23)であって、相互に平行で、かつ、前輪部フレーム(11)の各中心点にヒンジ結合された第一クロスバー(25)及び第二クロスバー(27)と、第一クロスバー(25)及び第二クロスバー(27)を相互に連結する第一直立部(29')及び第二直立部(29'')とを備えた四節リンク(23)と、
前輪部フレーム(11)に対して回転するように操舵管(13)に回転可能に収容され、操舵動作を第一前輪(5')及び第二前輪(5'')に伝達するように操舵リンク(19)に接続され、第一前輪(5')に四節リンク(23)に対して第一の操舵軸線(21')周りの操舵動作を与え、第二前輪(5'')に四節リンク(23)に対して第二の操舵軸線(21'')周りの操舵動作を与えるようにした操舵柱(15)と、
・第一前輪(5')用の第一サスペンション組立体(43';71')と、
・第二前輪(5'')用の第二サスペンション組立体(43'';71'')と
を備えた二つの前側操舵輪(5'、5'')を有する車両であって、
四節リンク(23)の第一直立部(29')が、第一直立部(29')の長手方向軸線(21')に沿って延びる第一キャビティ(41)を備え、その内部に、第一サスペンション組立体(43',71')を少なくとも部分的に収容し、
四節リンク(23)の第二直立部(29'')が、第二直立部(29'')の長手方向軸線(21'')に沿って延びる第二キャビティ(41)を備え、その内部に、第二サスペンション組立体(43'',71'')を少なくとも部分的に収容し、
前記四節リンク(23)が、第一前輪(5')及び第二前輪(5'')の上方に配置され、
前記第一支持部材(35')及び第二支持部材(35'')が、四節リンク(23)の下方で、かつ、各第一及び第二サスペンション組立体(43',71';43'',71'')の下方で、下向きに、かつ、第一前輪(5')及び第二前輪(5'')の回転軸線に向けて延びる
ことを特徴とする車両。
【請求項2】
第一サスペンション組立体(43',73')が、第一直立部(29')の第一キャビティ(41)に回転可能に収容された第一スリーブ(43')を備え、第一スリーブ(43')の内部に、第一サスペンション組立体(43',73')の第一サスペンション(73')が少なくとも部分的に収容され、
第二サスペンション組立体(43'',73'')が、第二直立部(29'')の第二キャビティ(41)に回転可能に収容された第二スリーブ(43'')を備え、第二スリーブ(43'')の内部に、第二サスペンション組立体(43'',73'')の第二サスペンション(73'')が少なくとも部分的に収容されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項3】
第一スリーブ(43')及び第二スリーブ(43'')が、操舵リンク(19)に相互接続され、
操舵柱(15)の回転により、第一直立部(29')及び第二直立部(29'')の軸線と平行な各操舵軸線(21'、21'')周りの、第一スリーブ(43')及び第二スリーブ(43'')の同時回転を制御するようにした
ことを特徴とする請求項2に記載の車両。
【請求項4】
第一サスペンション(71')及び第二サスペンション(71'')が、各キャビティ(41';41'')の端部閉鎖部材(83',83'')に接続されている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の車両。
【請求項5】
前記各第一スリーブ(43')及び第二スリーブ(43'')が、ラジアル軸受(45,46)を用いて、第一キャビティ(41')及び第二キャビティ(41'')内に支持されている
ことを特徴とする請求項2~4の何れか一項に記載の車両。
【請求項6】
第一サスペンション(71')及び第二サスペンション(71'')が、第一連結部(81')及び第二連結部(81'')を用いて、四節リンクの第一直立部(29')及び第二直立部(29'')に各々拘束され、
第一連結部(81')によって、第一サスペンション(71')及び第一直立部(29')間のピボット動作が可能になり、
第二連結部(81'')によって、第二サスペンション(71'')及び第二直立部(29'')間のピボット動作が可能になる
ことを特徴とする請求項2~5の何れか一項に記載の車両。
【請求項7】
第一連結部(81')及び第二連結部(81'')がボール式連結部である
ことを特徴とする請求項6に記載の車両。
【請求項8】
第一スリーブ(43')が、第一直立部(29')の長手方向軸線(21')に対して片持ち状に延びる第一アーム(61')に堅固に接続され、
第二スリーブ(43'')が、第二直立部(29'')の長手方向軸線(21'')に対して片持ち状に延びる第二アーム(61'')に堅固に接続され、
少なくとも一つの操舵ロッド(49)の第一端部と、前記少なくとも一つ操舵ロッド(49)の第二端部とが、各々第一アーム(61')及び第二アーム(61'')に接続され、
前記少なくとも一つの操舵ロッドが、操舵柱の制御下で操舵動作を実行するように操舵柱(15)に接続されている
ことを特徴とする請求項2~7の何れか一項に記載の車両。
【請求項9】
前記第一スリーブ(43')及び第二スリーブ(43'')の各々が、車両が垂直中立位置にある時、即ち、操舵位置にない時に各第一前輪(5')及び第二前輪(5'')の回転軸線に平行な第一軸線周りで、第一スリーブ及び第二スリーブの各第一アーム(61')及び第二アーム(61'')に回動可能に連結された少なくとも一つの第一連結ロッド(67')及び第二連結ロッド(67')を用いて第一支持部材(35')及び第二支持部材(35'')に接続されている
ことを特徴とする請求項8に記載の車両。
【請求項10】
前記第一連結ロッド(67')及び第二連結ロッド(67'')の各々が、各第一支持部材(35')及び第二支持部材(35'')にも連結され、第一スリーブ(43')及び第二スリーブ(43'')の回転運動を、第一支持部材(35')及び第二支持部材(35'')に伝達するように構成されている
ことを特徴とする請求項9に記載の車両。
【請求項11】
前記各第一連結ロッド(67')及び第二連結ロッド(67'')が、第一の別の連結ロッド(68')及び第二の別の連結ロッド(68'')にも連結され、
第一の別の連結ロッド(68')及び第二の別の連結ロッド(68'')の各々が、前記第一軸線と平行な第二軸線周りで、各前輪(5'、5'')の各第一支持部材(35')及び第二支持部材(35'')に回動可能に連結され、第一スリーブ(43')及び第二スリーブ(43'')の回転運動を、第一支持部材(35')及び第二支持部材(35'')に伝達するように構成されている
ことを特徴とする請求項9に記載の車両。
【請求項12】
前記少なくとも一つの操舵ロッド(49)が、相互に直交し、かつ、前記少なくとも一つの操舵ロッド(49)の長手方向軸線に直交する二つの回転軸線周りで、二方向の自由度を可能にする各連結部(53',53'')を用いて、各前記第一アーム(61')及び第二アーム(61'')に連結されている
ことを特徴とする請求項8~11の何れか一項に記載の車両。
【請求項13】
前記各第一サスペンション組立体(43',71')及び第二サスペンション組立体(43'',71'')が、各直立部(29',29'')のキャビティ(41',41'')と同軸であり、かつ、サスペンションのハウジングを画定する包囲体(77)を備え、
前記包囲体が、対応する前輪の各支持部材に堅固に拘束され、各直立部(29',29'')のキャビティ(41',41'')に少なくとも部分的に収容される
ことを特徴とする請求項1~12の何れか一項に記載の車両。
【請求項14】
前記各第一サスペンション組立体(43',71')及び第二サスペンション組立体(43'',71'')が、相互に入れ子式に連結され、かつ、内部にサスペンションのショックアブソーバ(73)及び弾性部材(75)が収容されるハウジングを画定する、内側筒状部材(77B)及び外側筒状部材(77A)を備えた包囲体(77)を有し、
前記外側筒状部材(77A)及び内側筒状部材(77B)の一方が、各直立部(29',29'')に拘束され、
前記外側筒状部材(77A)及び内側筒状部材(77B)の他方が、対応する前輪(5',5'')の各支持部材(35',35'')に堅固に拘束され、
各包囲体(77)が、各直立部(29',29'')の各キャビティ(41',41'')に少なくとも部分的に収容される
ことを特徴とする請求項1~12の何れか一項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜式車両、即ち、車両に沿って長手方向に延びる中心面の周りで傾斜動作をする車両に関する。傾斜式車両は、典型的には、二つの前側操舵輪及び一つの後側駆動輪を備えた三輪オートバイである。傾斜運動により、動作中、例えば、カーブを走行する時に、車両を傾斜させることができる。
【背景技術】
【0002】
車両の分野では、オートバイの操縦性と四輪車両の安定性を兼ね備えた車両の提案が増大している。これらのモデルとしては、例えば、二つの前側操舵輪及び一つの後側駆動輪を備えた三輪車両及び典型的にはクワッドバイク(バギー)と呼ばれる四輪車両がある。
【0003】
より詳細には、上述した三輪車両には、二つの前側操舵輪、即ち、ハンドルバーを用いてドライバによってコントロールされる、車両を操舵するように適合された車輪が設けられ、傾斜動作、即ち、傾いた動き、言い換えれば、実質的に進行方向に向けられた軸線を中心としたピボット動作で、横方向に傾けることができる。また、三輪車両は、固定軸の後側駆動輪を備え、この駆動輪は、エンジンに機械的に連結され、かつ、トルクを提供し、従って、駆動することを可能にするものであるのに対して、連結された前輪は、車両の方向性を決める役割を担っている。
【0004】
連結された前輪は、操舵することに加えて、傾けることもできる。この解決手段によって、二つの車輪しか持たない車両に対して、前輪部に連結された二つの車輪を備えた車両は、自動車によってもたらされる安定性と同じように、地面に接地する二つの前輪によってより高い安定性を保証している。
【0005】
これらの前輪は、例えば、前輪を前輪部フレームに連結する四節リンクを介在させることにより、これらの車輪が実質的に同期して傾斜したり操舵されたりすることを保証する運動機構を介して、相互に運動的に連結される。さらに、これらの車両は、各前側駆動輪に一つずつ、二つの独立したサスペンションを備えている。各サスペンションには、弾性要素(スプリング)及び粘性要素(ダンパ)が設けられている。
【0006】
従って、三輪傾斜式車両は、二輪オートバイの扱い易さと、四輪車両の安定性及び安全性とを同時に保証することを目的としている。
【0007】
国際特許公開WO-A-2012007819号は、二つの前側操舵輪を備えた傾斜式車両を開示しており、この車両は、二つの前輪を互いに連結し、操舵動作及び傾斜動作を行うことができるようにする四節リンクを備えている。四節リンクは、前輪部フレームにヒンジ結合され、二つの直立部によって相互に横方向に接続された二本のクロスバーを有する。四節リンクは、前側操舵輪に対してより高い位置に配置されている。各前側操舵輪は、連結部材によって四節リンクの各直立部に連結されている。四節リンクの構造及びサスペンションの構造は、やや煩雑であり、改善することができる。
【発明の概要】
【0008】
一態様によれば、前輪部フレームと、前輪部フレームに拘束された操舵管とを備えた、二つの前側操舵輪を有する車両が提供される。第一前輪及び第二前輪を支持する四節リンクが、前輪部フレームに接続されている。四節リンクは、実際には関節接合された平行四辺形で構成され、第一クロスバー及び第二クロスバーを備えている。前記クロスバーは、互いに平行で、横方向に、即ち、車両のフレームに対して右から左へ延びている。各クロスバーは、それぞれの中心点で前輪部フレームにヒンジ結合されている。四節リンクは、さらに、第一クロスバー及び第二クロスバーを互いに連結する第一直立部及び第二直立部を備えている。二つの直立部は、車両の中央面の対向する側部(右及び左)に配置されている。車両は、さらに、操舵柱を備え、この操舵柱は、操舵管内に回転可能に収容され、かつ、操舵リンクに接続され、第一前輪及び第二前輪に操舵動作を伝達する。各サスペンション組立体が、二つの車輪と二つの直立部に関連付けられている。第一前輪用の第一サスペンション組立体は第一直立部に関連付けられ、第二前輪用の第二サスペンション組立体は第二直立部に関連付けられる。本明細書に開示されている実施形態によれば、第一直立部は、第一直立部の長手方向軸線に沿って延びる第一キャビティを備え、その内部に第一サスペンション組立体が少なくとも部分的に収容されている。同様に、第二直立部は、第二直立部の長手方向軸線に沿って延びる第二キャビティを有し、その内部に第二サスペンション組立体が少なくとも部分的に収容されている。四節リンクは、第一前輪及び第二前輪の上方に配置されている。第一支持部材及び第二支持部材は、四節リンクの下で、かつ、各々の第一サスペンション組立体及び第二サスペンション組立体の下で、下向きに、各々第一前輪及び第二前輪の回転軸線に向かって延びている。
【0009】
車両の部品、要素又は構成要素の位置を定義する「上方」「下方」「上側」「下側」「頂部」「底部」「下向き」「上向き」等の用語は、車両がその動作位置にあるときの車両を参照している。
【0010】
このようにして,サスペンションが少なくとも部分的に直立部に収容されていることに起因して、前輪のサスペンション及び操舵システム全体のコンパクトな構造が得られる。
【0011】
有利には、各サスペンション組立体は、弾性部材、例えば、圧縮コイルばね及びショックアブソーバを備える。有利には、各弾性部材は、ショックアブソーバと実質的に同軸であり得、かつ、その周りに部分的に配置され得る。各ショックアブソーバは、シリンダと、シリンダの中を移動する、シリンダから突出するロッドを備えたピストンとを備え得る。各ショックアブソーバのシリンダは、対応する直立部のキャビティ又はシートに完全に収容され得る。弾性部材が挿入される伸縮可能な包囲体は、ショックアブソーバのシリンダが収容されたキャビティの底部から突出し得、かつ、各前輪の支持部材、又はハーフフォークに接続され得る。
【0012】
本明細書に開示される実施形態では、四節リンクは、第一前輪及び第二前輪の上方に配置され、第一支持部材及び第二支持部材は、四節リンクの下で、かつ、それぞれの第一サスペンション組立体及び第二サスペンション組立体の下で、第一前輪及び第二前輪の回転軸線に向かって下方に延びている。
【0013】
各サスペンション組立体は、各弾性部材(スプリング)及びショックアブソーバに加えて、サスペンション組立体を収容する四節リンクの対応する直立部のキャビティに回転可能に収容されるスリーブを有し得る。各スリーブ、即ち、中空シャフトは、有利には、スリーブが収容される四節リンクの直立部の長手方向軸線と一致する各操舵軸線を中心に回転可能である。スリーブは、実際のサスペンション、即ちショックアブソーバ及び弾性部材と好適に同軸線であり、これらは少なくとも部分的にスリーブ内に収容され得る。
【0014】
二つのスリーブは、操舵リンクに相互に接続され得、操舵柱の回転により、二つのスリーブの各操舵軸線周りの同時回転が制御されるようにされ得る。
【0015】
スリーブは、二つの前輪の支持部材に接続され、それらの長手方向軸線を中心としたスリーブの回転動作を前記支持部材に(従って、各車輪に)伝達するように適合された機械的連結部を有する。例えば、この目的のために、各スリーブに、それぞれのトグルリンクが設けられ得る。前記トグルリンクは、互いにヒンジ結合された二つの連結ロッドを備え、一方の連結ロッドは、各スリーブに堅固に接続された点にヒンジ結合され、他の連結ロッドは、各車輪支持部材に堅固に接続された点にヒンジ結合されている。各サスペンションの二つの連結ロッドがヒンジ結合されるヒンジの軸線は、相互に平行であり、かつ、車両が中立位置、即ち操舵されていない位置にある時、各前輪の回転軸線に平行である。
【0016】
他の実施形態では、各スリーブと、対応する車輪の各支持部材との間の接続は、スリーブと堅固に一体化された点と、支持部材と堅固に一体化された点とにヒンジ結合された単一の連結ロッドによって得ることができる。また、この場合、各連結ロッドのヒンジ軸線は、互いに平行であり、かつ、各車輪の回転軸線に平行である。この場合、スリーブと同軸線にある実際のサスペンションは、スリーブ及びその内部に対して揺動するキャパシティを有し得、例えば、サスペンションの軸線が、操舵軸線に対して、従って、各直立部及び及び各スリーブの軸線に対して、小さな揺動運動をすることを可能にするジョイントによって、各直立部に接続され得る。
【0017】
この構成には、実施形態の例を参照して以下に詳細に説明するようなかなりの利点がある。
【0018】
本発明の車両のさらなる特徴及び実施形態は、以下に説明され、本明細書の不可分の一部を形成する添付の特許請求の範囲において定義される。 本発明は、本発明の例示的かつ非限定的な実施形態を示す説明及び添付図面に従うことによって、よりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第一実施形態による車両の前方から見た斜視図である。
図2図3及び図4のII-II線に従って視た車両の平面図である。
図3図2及び図4のIII-III線視正面図である。
図4図2及び図3のIV-IV線視側面図である。
図5】サスペンション軸線及び操舵軸線を含む平面上に沿った前側サスペンションの一方の断面図である。
図6】サスペンションの構成要素の特定の配置によって得られるプロダイブ効果を説明する図である。
図7】第二実施形態における車両の斜視図である。
図8】関連するサスペンション組立体を内蔵した四節リンクの直立部の一つの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1図4は、実施可能な実施形態における、本発明による車両の全体図である。車両の一部の部品、特に後部の部品は、本説明の目的に関係しないため、図面を簡単化するために省略されている。
【0021】
車両1は、三輪車として構成されており、より具体的には、図示しないエンジンに連結された後側駆動輪3と、二つの前側操舵輪とを有している。前側操舵輪は、符号5'(左輪)及び符号5''(右輪)で示されている。
【0022】
以下の説明では、車両1の中心線平面Mに対して対称の構成要素、組立品、又は要素には、同じ参照番号の後に、中心線平面Mの一方の側の要素、例えば左側の要素には一つのアポストロフィ「'」を付し、中心線平面Mの他方の側の要素、例えば右側の要素には二つのアポストロフィ「''」を付す。
【0023】
車両1は、後部フレーム9と前輪部フレーム11とを含むフレーム7を備えている。前輪部フレーム11には、操舵柱15が回転自在に収容される操舵管13が固定されている。操舵柱15の上端は、ハンドルバー17に堅固に拘束されており、符号15Aで示される操舵柱15の下端は、以下に詳細に説明する、それによってハンドルバー17の動きを前輪5',5''に伝達する操舵リンク19に結合されている。
【0024】
第一前輪5'及び第二前輪5''は、各操舵軸線の周りで回転できるように、かつ、傾斜することができるように、即ち、例えば、車両が高速でカーブを走行する際に、路面に直交する平面の外側に移動することができるように、前輪部フレーム11に連結されている。図3では、傾斜動作が符号fで示されている。図3及び図4では、車輪5'に対しては符号21'で、車輪5''に対しては符号21''で操舵軸線が示されている。
【0025】
操舵及び傾斜動作を可能にするために、二つの車輪5'及び5''は、全体が符号23で示された四節リンク機構によって前輪部フレーム11に連結されている。四節リンク23は、前輪部フレーム11にヒンジ止めされた二つのクロスバーと、二本の直立部とを有する。クロスバーと直立部は、互いに平行で、かつクロスバーの前輪部フレーム11への関節接続軸線に平行な軸線を有する四つヒンジによって、互いにヒンジ結合されている。より具体的には、四節リンク23は、前輪部フレーム11にヒンジ25Aによってヒンジ結合された第一クロスバー又は上側クロスバー25と、前輪部フレーム11にヒンジ27Aによってヒンジ結合された第二クロスバー又は下側クロスバー27とを備えている。
【0026】
第一及び第二クロスバー25,27は、車両1の右側及び左側で、各々、第一直立部29'及び第二直立部29''によって互いに接合されている。符号31'、33'及び31''、33''(特に図1参照)は、直立部29'、29''がクロスバー25、27にヒンジ結合されているヒンジを示している。各直立部29',29''の軸線は、車輪5'の操舵軸線21'と、第二車輪5''の操舵軸線21''とに一致する。
【0027】
第一前輪5'は、以下、ハーフフォーク35'とも称される第一支持部材35'と、第一直立部29'に少なくとも部分的に収容された、以下に詳述する第一サスペンションとによって、第一直立部29'に連結されている。対称的に、第二前輪5''は、以下にハーフフォーク35''とも称される第二支持部材35''と、第二直立部29''に少なくとも部分的に収容された第二サスペンションとによって、第二直立部29''に接続されている。サスペンションは、車両のピッチ運動と、車輪5',5''の上下運動を可能にする。
【0028】
各サスペンションと、それが少なくとも部分的に収容されている関連する直立部との構造は、特に図5の断面に示されている。二つの直立部29',29''と各サスペンションの断面は、車両1の右側と左側の二つの側部に関して同じであるため、図5では、様々な構成要素にアポストロフィなしの符号が付されている。従って、以下の説明は、第一直立部と第二直立部の両方に適用され、各直立部は、前記第一及び第二直立部及び関連するサスペンションについて以下に説明するものと同じ構成要素を含んでいる。
【0029】
各直立部29は、好ましくは実質的に円筒形であり、操舵軸線21と一致する軸線を有する内部キャビティ41を備える。各キャビティ41内には、好ましくは、円筒形でキャビティ41と同軸線のスリーブ又は中空シャフト43が回転可能に収容されている。スリーブ又は中空シャフト43は、ベアリング、例えば転動体ベアリングによって、キャビティ41内に支持され得る。以下に述べる理由により、ベアリング43は、主に径方向の耐荷重を有し得、軸線方向の耐荷重を必要とせず、このことは、これらの構成要素のコストの観点から特に有利である。図示の実施形態では、スリーブ43は、二つのラジアル軸受45及び46、例えば二つのボールベアリングによって支持されている。従って、スリーブ43は、軸線21周りを回転し得る。
【0030】
各スリーブ43の各操舵軸線2,21''周りの回転は、ハンドルバー17、操舵柱15及び操舵リンク19によって与えられる。図示した例示的な実施形態では、操舵リンク19は、操舵柱の下端部15Aに軸線47A(図1)を中心にヒンジ結合された連結ロッド47を有する。連結ロッド47は、車両のフレームに対して横方向、即ち、右から左に延びるステアリングバー49に中央でヒンジ結合されている。ステアリングバー49は、一つの本体で構成され得、また、車両1の中央面からそれぞれ右及び左に延びる二つの部分、即ちハーフバーに分割することもできる。二つのハーフバーは、ステアリングバー49の長手方向軸線、即ち、ステアリングバーと同じ方向に延びる軸線を中心に、車両1の中央面に対して横方向に互いに連結することができる。
【0031】
ステアリングバー49を連結ロッド47に結合するヒンジの軸線は、符号51で示されている(特に図1参照)。従って、操舵柱の軸線周りでのハンドルバー17の回転は、ステアリングバーの二重矢印f49に従った並進を引き起こす(図2)。連結ロッド47は、実際には、連結ロッド自体の長手方向軸線を中心に回転する二つの部分に分割されており、連結ロッドの長さを可変にしている。この長手方向軸線を中心とした回転により、ステアリングバー及び四節リンクの傾斜動作が可能になる。
【0032】
ステアリングバー49は、その端部で、第一直立部29'及び第二直立部29''にそれぞれ収容された二つのスリーブ43に接続されている。この接続は、第一連結部53'及び第二連結部53''によって得られる。二つの連結部53'及び53''は、符号55'、57'及び符号55''、57''で示される、互いに実質的に直交する二つの軸線の周りの回転運動を可能にする(図4参照)。軸線55'、57'及び軸線55''、57''は、ステアリングバー49の長手方向にほぼ直交している。図示実施形態では、例えば図2に見られるように、軸線55'、57'及び軸線55''、57''は、交差しないが、それらの間にオフセットを有する。第一連結部53'及び第二連結部53''は、ステアリングバー49の二つの対向する端部を、第一スリーブ43'に堅固に接続された第一アーム61'、及び、第二スリーブ43''に堅固に接続された第二アーム61''にそれぞれ接続する。このようにして、操舵管13内での操舵柱15の回転は、二つのスリーブ43',43''に各ステアリング軸線21',21''の周りの同時回転を与える。それ自体既知の方法では、車両が走行するカーブの内側にある車輪が、カーブの外側にある車輪よりも大きく操舵することができるので、二つの車輪がわずかに異なる曲率半径を有する軌道をたどるように、回転は二つの車輪に対して異なるものとすることができる。
【0033】
各アーム61',61''は、ヒンジ65',65''を形成する付属部品63',63''を有しており、この付属部品65',65''には、連結ロッド67',67''の第一端部がヒンジ結合されている。図示された実施形態では、各連結ロッド67',67''は実際には二重であり、連結ロッド67A',67B'及び67A'',67B''の二つの構成要素によって形成されている。各連結ロッド67',67''の第二端部は、ヒンジ69',69''で、車輪5',5''が接続されている各支持部材又はハーフフォーク35',35''にヒンジ結合されている。ヒンジ65'、65''は、アーム61'、61''及び各付属部品63'、63''に対する連結ロッド67'、67''のピボット軸線を規定し、当該軸線は、車両が垂直方向の中立位置、即ち操縦されていない位置にある時に、各前輪5'、5''の回転軸線と平行である。同様に、ヒンジ69'、69''は、ヒンジ65'、65''の軸線に平行な軸線を規定し、従って、車両1が垂直方向の中立位置にあるとき、各前輪5'、5''の回転軸線に平行な軸線を規定する。
【0034】
スリーブ43',43''と、車輪5'に対して符号71'で示され、車輪5''に対して符号71''で示される実際のサスペンションとを備えたサスペンション組立体が、各車輪5',5''に関連付けられている。
【0035】
より詳細には、各支持部材、即ち、ハーフフォーク35',35''は、各サスペンション71',71''の第一部分に堅固に拘束されている。各サスペンション組立体の構造は、図5に詳細に示されており、図5では、サスペンションは符号71で示され、スリーブは符号43で示されている。図5のサスペンション組立体は、左のサスペンション組立体43'、71'又は右のサスペンション組立体43''、71''を区別なく表し得る。サスペンション71は、伸縮自在の包囲体77に収容されたショックアブソーバ73及び弾性部材75を備えている。包囲体77は、入れ子式に伸縮自在な包囲体を形成するために、同軸線上に配置され、部分的に互いに内部に挿入された外側管状部材77Aと内側管状部材77Bとを有し得る。ブッシュ又はベアリング79は、外側管状部材77Aと内側管状部材77Bとの間に介在され、相互のスライドを容易にし、ガイドする。
【0036】
入れ子式に伸縮自在な包囲体77は、一方では各直立部29'又は29''に拘束され、他方では車輪5'、5''の各支持部材35'、35''に拘束されている。図示の実施形態では、内側管状部材77Bは、特に図5で見えるように、支持部材、即ちハーフフォーク35',35''に堅固に接続され、外側管状部材77Aは、ショックアブソーバ73の一部に堅固に接続されており、このショックアブソーバ73は、後述する方法で直立部29に接続されている。
【0037】
図示実施形態では、サスペンション71'、71''は、図5にのみ詳細に示されているボール連結部81によって、各直立部29'、29''に接続されている。より一般的には、サスペンション71'、71''と直立部29'、29''との間の接続は、図5に示すように、サスペンションが、四節リンクに対して、特にそれが少なくとも部分的に収容されている直立部に対して、二つの軸線の周りに小さな回転でピボットすることができるように、互いに入射する、例えば互いに直交する二つのピボット軸線周りに二重の自由度を有することができるようにする任意の機構によって形成され得る。
【0038】
図示実施形態では、ボール連結部81は、各直立部29'、29''の内部キャビティ41の頂部を閉鎖する閉鎖要素83'、83''に取り付けられている。
【0039】
サスペンション71の弾性及び減衰構成要素を収容する包囲体77の外径は、スリーブ43の内径よりも小さく、これにより、スリーブ43に対して、従って関連する直立部29'、29''に対して、サスペンション71の小さなピボット動作、例えば1~3°のオーダーのピボット動作を可能にする。実際には、各サスペンション71は、ボール連結部81及び連結ロッド67によって直立部29',29''に拘束されている。サスペンションが、サスペンションの圧縮を引き起こすバネ動作、即ち沈み込み動作を行うと、サスペンションは連結部81を中心としたピボット動作を行い、その一方で、各支持部材35、即ち各前輪5',5''を支持するハーフフォークは、四節リンク23に向かって移動し得る。
【0040】
従って、実質的には、各サスペンション71',71''は、収縮及び拡張の動きのみを提供する入れ子式ガイドを提供するものではなく、ボール連結部81及び連結ロッド67によって提供される連結によってガイドされる対応する直立部29',29''に対するピボット運動を実行することができ、これにより、車両が沈み込み(ピッチ)運動する場合、又は車輪が上下運動する場合に、サスペンション71の下側部分(内側管状部材77B)及び前輪5',5''の支持部材35',35''に、連結部81を中心としたピボット動作を与える。ステアリングは、サスペンション71'、71''の沈み込み(収縮)の影響を受けず、また、連結部81によって得られるサスペンションのピボット動作により、キャンバー角の変動はなく、キャスター角の変動のみが確保される。
【0041】
この構造により、様々な利点を得ることができる。サスペンション71'、71''に加わる軸線方向の荷重は,ボール連結部81を介して各直立部29'、29''に直接伝達される。その結果、これらの荷重は、スリーブ43と直立部29'、29''との間の軸受45、46にはかからず、その結果、軸受45、46は実質的に軸線方向の耐荷重を持たなくてよく、従って、コストが低く抑えられる。
【0042】
ブッシュ又は軸受79の負荷が低減され、それにより、サスペンションの沈み込み動作に対抗する摩擦力が低減され、結果として、サスペンションの流動性の点で利点がある。
【0043】
閉鎖要素83'、83''は、直立部29'、29''の軸線方向のキャビティ41を閉鎖し、外観を改善し、かつ、汚れが入るのを防ぐ。
【0044】
上述した構成は、また、図6を参照すると明らかなように、このように構成されたサスペンションのプロダイブ動作に由来する、運転の快適性の面でも利点がある。図6は、符号5で示された二つの前輪のうちの一つ、並びに、直立部29に部分的に収容された各支持部材35及びサスペンション71の簡略化された側面図を示している。沈み込み動作中、即ちサスペンション71の圧縮中、例えばブレーキをかけている間、サスペンションは、回転並進運動で動作する。図6は、サスペンションが完全に伸びた状態(点C1)と、サスペンションが圧縮された状態(点C2)での、サスペンションの二つの瞬間的な回転中心を示している。二つの点Cl及びC2は、図6に構成線で示すように、シャールの定理(Chasles' theorem)を適用して得られたものである。瞬間的な回転中心の位置は、サスペンションの下部を四節リンクの直立部29に連結する連結ロッド67の位置の関数である。
【0045】
ブレーキをかけている間、車輪5と地面Tとの接触点Pにおいて、車輪5に制動力Fが加えられる。この力は、点Pと瞬間回転中心とを結ぶ結合線に平行な成分と、前記結合線に直交する成分との二つの成分に分解され得る。この二つの成分は、瞬間回転点の位置、従って、瞬間回転点と車輪5及び地面Tの接触点とを結ぶ線の向きに応じて、異なる大きさを持つ。図6では、力Fの二つの成分は、サスペンション71が伸びている時に符号F1及びF2で示され、サスペンション71が圧縮されている時に符号F1'及びF2'で示されている。成分F2,F2'は、サスペンションの圧縮に寄与するが(プロダイブ効果)、この効果は、サスペンションが圧縮されるにつれて減少し、これは、前記瞬間的回転中心点から離れる方向に動き、その結果、成分F2,F2'の強度が減少するためであり、これは、サスペンションの進行をシミュレートすることで得られる。
【0046】
図7及び図8は、第二実施形態の車両を示している。図7は車両全体の斜視図であり、図8は、直立部の長手方向軸線を含む平面に沿った四節リンクの一方の断面図である。二つの直立部は実質的に同じであるため、図8の断面図は、右の直立部又は左の直立部を区別なく示している。従って、図8で使用されている符号には、右の構成要素と左の構成要素を区別するアポストロフィは付していない。
【0047】
図7及び図8において、同じ符号は、図1及び図6の部材と同じ又は対応する部材を示しており、これらについては再度説明しない。図7及び図8の実施形態と図1図6の実施形態との間の主な相違点は、実質的に、各サスペンション組立体43',71'及び73'',73''のサスペンション73',73''が、関連するスリーブ43',43 ''に対するピボット動作を備えていない点にある。サスペンション組立体の構造は、図8の断面に詳細に示されている。この実施形態では、サスペンション71、より正確にはそのショックアブソーバ73は、直立部29の閉鎖要素に堅固に固定されており、それに対してピボットすることができない。
【0048】
サスペンション71は、スリーブ43の内部に同軸上に収容されており、直立部29の軸線方向のキャビティ41内に軸線21周りで回転可能に収容されたサスペンション71とスリーブ43との間に介在する軸受又はブッシング79周りで、スリーブ43に対して移動し得る。図示の実施形態では、サスペンション71はスリーブ77を備え、スリーブ77は、スリーブ43に対して軸線方向に摺動し、ショックアブソーバ73のシリンダと組み合わせて伸縮可能な要素を形成している。包囲体77は、支持部材35にねじり可能に結合されており、従って、それと一体の軸線21周りを回転する。
【0049】
ステアリングバー49(図7)は、連結部53'、53''によって、スリーブ43'、43''と一体のアーム61'、61''に拘束されている。図1図6の実施形態と同様に、アーム61'、61''は、各スリーブ43',43''からステアリング軸線21'、21''に対して横方向にそれぞれ片持ち状に突出している。
【0050】
各アーム61'、61''は、アーム61'、61''及び別の連結ロッド68'、68''にヒンジ結合された連結ロッド67'、67''を備えたトグルリンクによって、各支持部材35'、35''に連結されている。連結ロッド68'、68''は、前輪5'、5''の各支持部材35'、35''に連結されている。車両が垂直方向の中立位置、即ち、操舵されていない位置にあるとき、トグルリンク67'、68'及び67''、68''の関節軸線は、実質的に水平位置にあり、前輪5'、5''の回転軸線と実質的に平行である。
【0051】
スリーブ43は、軸受45、46を用いて、各直立部29の軸線方向キャビティ41内に回転可能に収容されている。本実施形態では、軸受45、46は、好ましくはアンギュラ接触軸受、又は軸線方向耐荷重を有する軸受である。いくつかの実施形態では、アンギュラ接触軸受は、ラジアル及びアキシアル軸受の組み合わせで置き換えることができる。
【0052】
図7及び図8の実施形態は、図1から図6の実施形態と同様に、サスペンションを少なくとも部分的に直立部の軸線方向キャビティ内に収容するという利点を有する。
【0053】
本発明を様々な具体的な実施形態の観点から説明してきたが、特許請求の範囲の精神と範囲から逸脱することなく、様々な修正、変更、省略が可能であることは、当業者には明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8