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特許7440506内視鏡用挿入管の製造方法、及び挿入管を備えた内視鏡
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】内視鏡用挿入管の製造方法、及び挿入管を備えた内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/005 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A61B1/005 511
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021523730
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 IB2019001086
(87)【国際公開番号】W WO2020089684
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】102018127227.8
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ,アン ミン
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-119601(JP,A)
【文献】特開2001-161631(JP,A)
【文献】特開平09-024019(JP,A)
【文献】特表2012-527917(JP,A)
【文献】国際公開第2013/190910(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/213491(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の、近位側受動的可撓性部分(C) 及び遠位側の偏向部分(A) を有する挿入管(2) を管状要素から製造する方法であって、
前記近位側受動的可撓性部分(C) を曲げることを可能にすべく、前記近位側受動的可撓性部分(C) に切込部分(98; 99; 990, 991)を、隣り合う切込部分(98; 99; 990, 991)間の距離が同一ではないように設け
前記近位側受動的可撓性部分(C)と、前記偏向部分(A)との間の移行領域(B)に、前記管状要素の壁面を遠位側に開口部を向けたC字型に切り抜いて切抜部分(70)を形成し、
前記切抜部分(70)を折り曲げて、前記管状要素の軸芯に垂直なタブ中央部(75)と、前記タブ中央部(75)に垂直で前記タブ中央部(75)から遠位側に延びる上耳部(74)と、前記タブ中央部(75)を挟んで前記上耳部(74)に対向する下耳部(73)とを形成することを特徴とする
内視鏡用挿入管の製造方法。
【請求項2】
前記近位側受動的可撓性部分(C) の長手方向距離(H) が互いに同一の主切込部分(98; 990) を前記近位側受動的可撓性部分(C) に設け、
前記主切込部分(98; 990) に隣り合って前記近位側受動的可撓性部分(C) に副切込部分(99; 991) を、前記近位側受動的可撓性部分(C) の長手方向に前記副切込部分(99; 991) の他側の隣り合う主切込部分(98; 990) より前記副切込部分(99; 991) の一方の側の隣り合う主切込部分(98; 990) に近いように設けることを特徴とする
請求項1に記載の内視鏡用挿入管の製造方法。
【請求項3】
前記主切込部分(98; 990) を互いに平行に切り込むことを特徴とする
請求項2に記載の内視鏡用挿入管の製造方法。
【請求項4】
切り込まれていないブリッジ(97; 992) が、周線に位置付けられた主切込部分(98A, 98B, 990A, 990B, 990C)間に残るように、前記主切込部分(98; 990) を前記近位側受動的可撓性部分(C) の周部に沿って途中まで切り込むことを特徴とする
請求項2又は3に記載の内視鏡用挿入管の製造方法。
【請求項5】
前記副切込部分(99; 991) を、周線に位置付けられた主切込部分(98A, 98B; 990A, 990B, 990C)間にブリッジ(97; 992) に隣り合って切り込むことを特徴とする
請求項4に記載の内視鏡用挿入管の製造方法。
【請求項6】
前記近位側受動的可撓性部分(C) の長手方向に前記ブリッジ(97; 992) の一方の側に前記ブリッジ(97; 992) に隣り合って1つの副切込部分(99; 991) を夫々切り込むことを特徴とする
請求項5に記載の内視鏡用挿入管の製造方法。
【請求項7】
前記ブリッジ(97; 992) の前記近位側受動的可撓性部分(C) の長手方向における両側に、前記ブリッジ(97; 992) に隣り合って2つの副切込部分(99; 991) を夫々切り込むことを特徴とする
請求項5に記載の内視鏡用挿入管の製造方法。
【請求項8】
前記主切込部分(98; 990) を、前記副切込部分(99; 991) より幅広く切り込むことを特徴とする
請求項2~7のいずれか1つに記載の内視鏡用挿入管の製造方法。
【請求項9】
制御体(3) に前記近位側受動的可撓性部分(C) を連結する連結領域(D) 、前記近位側受動的可撓性部分(C) 、前記近位側受動的可撓性部分(C) と前記偏向部分(A) との間の移行領域(B) 及び前記偏向部分(A) を含む前記挿入管(2) 全体を、1つの管状要素から製造することを特徴とする
請求項1~8のいずれか1つに記載の内視鏡用挿入管の製造方法。
【請求項10】
前記切込部分(98; 99; 990, 991)は、レーザカッタにより設けられることを特徴とする
請求項1~9のいずれか1つに記載の内視鏡用挿入管の製造方法。
【請求項11】
挿入管を備えた内視鏡であって、
前記挿入管(2) は、近位側受動的可撓性部分(C) 及び遠位側の偏向部分(A) を有しており、
前記近位側受動的可撓性部分(C) を曲げることを可能にすべく、前記近位側受動的可撓性部分(C) に切込部分(98; 99; 990, 991)が設けられており、
前記近位側受動的可撓性部分(C) の隣り合う切込部分(98; 99; 990, 991)間の距離が同一ではなく、
前記近位側受動的可撓性部分(C)と、前記偏向部分(A)との間の移行領域(B)に、
前記近位側受動的可撓性部分(C)の壁面から前記挿入管(2)の軸芯に垂直に延びるタブ中央部(75)と
前記タブ中央部(75)に垂直で前記タブ中央部(75)から遠位側に延びる上耳部(74)と、
前記タブ中央部(75)を挟んで前記上耳部(74)に対向する下耳部(73)と
を備えることを特徴とする
内視鏡。
【請求項12】
前記近位側受動的可撓性部分(C) は、前記近位側受動的可撓性部分(C) の長手方向距離(H) が互いに同一の主切込部分(98; 990) を有しており、
前記近位側受動的可撓性部分(C) は、前記主切込部分(98; 990) に隣り合って副切込部分(99; 991) を、前記近位側受動的可撓性部分(C) の長手方向に前記副切込部分(99; 991) の他側の隣り合う主切込部分(98; 990) より前記副切込部分(99; 991) の一方の側の隣り合う主切込部分(98; 990) に近いように有していることを特徴とする
請求項11に記載の内視鏡。
【請求項13】
前記主切込部分(98; 990) は互いに平行であることを特徴とする
請求項12に記載の内視鏡。
【請求項14】
切り込まれていないブリッジ(97; 992) が周線に位置付けられた主切込部分(98A, 98B; 990A, 990B, 990C)間に残るように、前記主切込部分(98; 990) は前記近位側受動的可撓性部分(C) の周部に沿って途中まで延びていることを特徴とする
請求項12又は13に記載の内視鏡。
【請求項15】
前記副切込部分(99; 991) は、周線に位置付けられた主切込部分(98A, 98B; 990A, 990B, 990C)間にブリッジ(97; 992) に隣り合って夫々配置されていることを特徴とする
請求項14に記載の内視鏡。
【請求項16】
前記近位側受動的可撓性部分(C) の長手方向に前記ブリッジ(97; 992) の一方の側に前記ブリッジ(97; 992) に隣り合って1つの副切込部分(99; 991) が夫々配置されていることを特徴とする
請求項15に記載の内視鏡。
【請求項17】
前記近位側受動的可撓性部分(C) の長手方向に前記ブリッジ(97; 992) の両側に前記ブリッジ(97; 992) に隣り合って2つの副切込部分(99; 991) が夫々配置されていることを特徴とする
請求項15に記載の内視鏡。
【請求項18】
前記主切込部分(98; 990) は、前記副切込部分(99; 991) より幅広いことを特徴とする
請求項12~17のいずれか1つに記載の内視鏡。
【請求項19】
制御体(3) に前記近位側受動的可撓性部分(C) を連結する連結領域(D) 、前記近位側受動的可撓性部分(C) 、前記近位側受動的可撓性部分(C) と前記偏向部分(A) との間の移行領域(B) 及び前記偏向部分(A) を含む前記挿入管(2) 全体が、1つの管状要素から製造されていることを特徴とする
請求項11~18のいずれか1つに記載の内視鏡。
【請求項20】
前記切込部分(98; 99; 990, 991)は、レーザカッタにより設けられていることを特徴とする
請求項11~19のいずれか1つに記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用挿入管の製造方法、及び挿入管を備えた内視鏡に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
内視鏡は、生物の内部だけでなく技術的な空洞も検査することができる装置である。内視鏡の重要な部分は、可撓性の挿入管である。挿入管に課される要件は高く、多様である。一方で、挿入管が人体に挿入され得るように、挿入管は可撓性を有する必要がある。他方で、挿入管は一定の剛性を示す必要がある。検査中、医師は、操作部を使用して挿入管を押したり回転させたりできる必要がある。従って、挿入管は、よじれたりねじれたりしないように硬い必要がある。そのため、従来の挿入管は、前述の要件を満たすために非常に複雑な構造及び高い製造コストを必要とする。
【0003】
全ての要件を満たすために、挿入管は様々な特性を有する必要がある。挿入管の最も重要な特性の内の3つは、可撓性、ねじれ抵抗及び寸法安定性である。挿入管が検査対象の(例えばヒトの)身体に挿入され得るように、挿入管は、一方で湾曲自在である必要がある。他方で、挿入管は、操作部を回転させることによりユーザによって生成されるトルクを遠位側端部まで伝達するために高いねじれ抵抗を有する必要がある。更に、挿入管は、曲げられたり回転したりするときに変形すべきではない。
【0004】
挿入管が前述の特性を同時的に有する必要があるという要件は、それ自体に技術的な矛盾がある。要素が高いねじれ抵抗を有するとき、要素は通常硬く、寸法安定性を有する。しかしながら、要素が高い可撓性を有するとき、要素は高いねじれ抵抗及び寸法安定性を有さない。
【0005】
前述の要件を満たすために、開発者は、挿入管の基部領域を複数の部品で設計しようと長い間、試みている。図25には、挿入管の基部領域を構成する既知の方法が示されている。
【0006】
図25の既知の解決法では、3つの異なる部品を連結して、挿入管1000の基部領域に関連する特性、つまり高い可撓性、高いねじれ抵抗及び高い寸法安定性を得る。
【0007】
内面の材料が部分的に溶けてメタルメッシュ1003の間隙に入り込むまで、プラスチック被覆体1004を加熱する。この組み合わせにより、挿入管1000の基部領域に高いねじれ抵抗及び高い可撓性がもたらされる。しかしながら、寸法安定性は未だ損なわれている。従って、反対方向に巻かれた2つのメタルリーフスパイラル1001, 1002が使用されている。前記メタルリーフスパイラル1001, 1002は、挿入管が寸法安定性を有することを保証する。このため、記載された組み合わせにより、挿入管1000に必要な上記の3つの特性、すなわち高い可撓性、高いねじれ抵抗及び高い寸法安定性がもたらされる。
【0008】
この複雑な構造の欠点は経済的側面にある。3つの部品は、費用のかかる製造工程で連結される。材料及び製造工程の両方で製造コストが高くなる。
【0009】
本発明の目的は、より単純でコスト削減に役立つ、内視鏡の挿入管を製造する方法、及び挿入管を備えた内視鏡を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
方法に関して、この目的は、請求項1の特徴を有する方法によって達成される。挿入管を備えた内視鏡は、請求項11に記載されている。有利な展開例が従属請求項に記載されている。
【0011】
本発明は、内視鏡の挿入管を管状要素から製造する方法を対象とする。挿入管は、近位側受動的可撓性部分及び遠位側の偏向部分を有する。近位側受動的可撓性部分を曲げることを可能にすべく、近位側受動的可撓性部分に切込部分を設ける。隣り合う切込部分間の距離が互いに同一ではないように、これらの切込部分を近位側受動的可撓性部分に構成する。
【0012】
本発明に係る挿入管に、距離が同一ではない切込部分を製造する。従って、挿入管に製造される切込部分間の距離は互いに異なる。挿入管の軸芯と垂直に切込部分を製造してもよい。
【0013】
一例では、挿入管の長手方向に見ると、隣り合う第1及び第2の切込部分間の距離が所定の距離であり、隣り合う第2及び第3の切込部分間の距離が所定の距離より小さい又は大きいように、隣り合う複数の切込部分を製造することができる。
【0014】
別の例では、挿入管の長手方向に見ると、隣り合う第1及び第2の切込部分間の距離が所定の距離であり、隣り合う第2及び第3の切込部分間の距離が所定の距離と等しいが、隣り合う第3及び第4の切込部分間の距離が所定の距離より小さい又は大きいように、隣り合う複数の切込部分を製造することができる。
【0015】
切込部分間の異なる距離により、切込部分間の距離が大きい領域及び切込部分間の距離が小さい領域が挿入管の長手方向に形成される。切込部分間の距離が大きい領域により、高い曲げ安定性及び高いねじれ抵抗が保証される。切込部分間の距離が小さい領域により、高い曲げ性及び高い可撓性が保証される。必要に応じて、距離の正確な大きさを選択することができる。
【0016】
近位側受動的可撓性部分の長手方向に距離が互いに同一の主切込部分を近位側受動的可撓性部分に設けてもよく、主切込部分に隣り合って近位側受動的可撓性部分に副切込部分を、近位側受動的可撓性部分の長手方向に副切込部分の他側の隣り合う主切込部分より副切込部分の一方の側の隣り合う主切込部分に近いように設けてもよい。
【0017】
主切込部分を互いに平行に切り込むことができる。
【0018】
切り込まれていないブリッジが周線に位置付けられた主切込部分間に残るように、主切込部分を近位側受動的可撓性部分の周部に沿って途中まで切り込むことができる。
【0019】
副切込部分を、周線に位置付けられた主切込部分間に夫々のブリッジに隣り合って切り込むことができる。
【0020】
近位側受動的可撓性部分の長手方向にブリッジの一方の側にブリッジに隣り合って1つの副切込部分を夫々切り込むことができる。
【0021】
或いは、近位側受動的可撓性部分の長手方向にブリッジの両側にブリッジに隣り合って2つの副切込部分を夫々切り込むことができる。
【0022】
主切込部分を、副切込部分より幅広く切り込むことができる。
【0023】
操作部での近位側受動的可撓性部分の連結領域、近位側受動的可撓性部分、近位側受動的可撓性部分と偏向部分との間の移行領域及び偏向部分を有する挿入管全体を、1つの管状要素から製造することができる。
【0024】
挿入管全体をレーザによって切断することができる。
【0025】
この方法の一例では、1つの管状要素のみを準備する必要がある。近位側受動的可撓性部分及び遠位側の偏向部分間の連結作業を省く。製造コストは、挿入管を製造する従来の方法の製造コストより低い。
【0026】
この方法では、偏向部分を有する挿入管全体を1つの管状要素からレーザによって切断することができる。レーザ加工により、挿入管全体の高精度設計が可能になる。
【0027】
この方法では、個々の切込部分を管状要素に形成することができる。このため、製造が容易且つ安価になる。
【0028】
この方法では、遠位側の偏向部分は、引張ケーブルが支持される内側に曲がった案内突部を有し、内側に曲がった案内突部を、遠位側の偏向部分の周壁から切り抜き、その後、内側に曲げる。従って、引張ケーブルのためのガイドを偏向部分の内周側に簡単に製造する。
【0029】
この方法では、挿入管は、近位側受動的可撓性部分及び遠位側の偏向部分の移行部分に、ガイドばねが支持される内側に曲がったタブを有しており、内側に曲がったタブを挿入管の周壁から切り抜き、その後、内側に曲げる。ガイドばねが支持される内側に曲がったタブの数は、ガイドばねの数、ひいては引張ケーブルの数に対応する。このように、ガイドばねのためのガイドを挿入管の内周側に簡単に製造する。
【0030】
この方法では、遠位側の偏向部分の周壁に複数の接合部を切断により製造することができる。個別の本体を形成して互いに確実に連結される個々の接合部を簡単且つ安価に製造する。
【0031】
この方法では、切断によって製造される夫々の接合部は、接合部の互いに対する軸方向の移動を阻止するが径方向の移動を阻止しないように、切断によって製造される隣り合う接合部に結合される結合部分と、接合部の互いに対する軸方向の移動を可能にするように、切断によって製造される隣り合う接合部に係合する案内部分とを有する。結合部分は、隣り合う接合部の互いに対する結合を容易にし、案内部分は、隣り合う接合部を互いに対して軸方向に移動可能にする。
【0032】
この方法では、管状要素の長手延長部分と垂直に形成された夫々の横方向の切り目によって、近位側受動的可撓性部分を製造する。従って、近位側受動的可撓性部分を迅速且つ簡単に製造することができる。
【0033】
この方法では、近位側受動的可撓性部分は、管状要素の長手延長部分に互いに異なる距離で夫々の横方向の切り目(切込部分)を有する少なくとも2つの副部分を管状要素の長手延長部分に有する。従って、互いに異なる可撓性及び曲げ性を有する複数の別個の副部分を近位側受動的可撓性部分に形成することができる。
【0034】
この方法では、管状要素をステンレス鋼から製造してもよい。切込部分を簡単に製造することができる。材料費が低い。
【0035】
この方法では、管状要素をプラスチック材料から製造することができる。十分な強度を有するあらゆる適切なプラスチック材料を使用してもよい。プラスチック材料は、完成した挿入管の曲げ性を単に可能にする必要があるだけである。
【0036】
この方法では、管状要素の内周側で近位側受動的可撓性部分の近位側に配置された操作部から引張ケーブルを配置することができ、引張ケーブルを、遠位側の偏向部分の最も遠位側に位置付けられた接合部で管状要素の壁の第1のスリットを通して管状要素の外周部に案内し、管状要素の外周部の周りで、第1のスリットと180 度で対向する、管状要素の壁の第2のスリットを通して管状要素の内周部に案内し、管状要素の内周側で操作部に戻す。このようにして、偏向部分の遠位側での引張ケーブルの特に安価な固定を実現することができる。
【0037】
本発明に係る内視鏡は挿入管を備えている。挿入管は、近位側受動的可撓性部分及び遠位側の偏向部分を有している。近位側受動的可撓性部分の曲げを可能にすべく、近位側受動的可撓性部分に切込部分が設けられている。近位側受動的可撓性部分での隣り合う切込部分間の距離は同一ではない。
【0038】
この内視鏡では、近位側受動的可撓性部分は、近位側受動的可撓性部分の長手方向に距離が互いに同一の主切込部分を有することができ、近位側受動的可撓性部分は、主切込部分に隣り合って副切込部分を、近位側受動的可撓性部分の長手方向に副切込部分の他側の隣り合う主切込部分より副切込部分の一方の側の隣り合う主切込部分に近いように有することができる。
【0039】
この内視鏡では、主切込部分は互いに平行であってもよい。
【0040】
この内視鏡では、切り込まれていないブリッジが周線に位置付けられた主切込部分間に残るように、主切込部分は近位側受動的可撓性部分の周部に沿って途中まで延びてもよい。
【0041】
この内視鏡では、副切込部分が、周線に位置付けられた主切込部分間に夫々のブリッジに隣り合って配置されてもよい。
【0042】
この内視鏡では、副切込部分が、近位側受動的可撓性部分の長手方向にブリッジの一方の側にブリッジに隣り合って夫々配置されてもよい。
【0043】
この内視鏡では、或いは2つの副切込部分が、近位側受動的可撓性部分の長手方向にブリッジの両側にブリッジに夫々隣り合って配置されてもよい。
【0044】
この内視鏡では、主切込部分は副切込部分より幅広くてもよい。
【0045】
この内視鏡では、操作部での近位側受動的可撓性部分の連結領域、近位側受動的可撓性部分、近位側受動的可撓性部分と偏向部分との間の移行領域及び偏向部分を有する挿入管全体が、1つの管状要素から製造され得る。
【0046】
この内視鏡では、挿入管全体がレーザによって切断されてもよい。
【0047】
更に、近位側受動的可撓性部分及び偏向部分を有する挿入管全体が、1つの管状要素から形成されてもよい。
【0048】
遠位側の偏向部分は、引張ケーブルが支持される内側に曲がった案内突部を有してもよい。
【0049】
挿入管は、近位側受動的可撓性部分及び遠位側の偏向部分の移行部分に、ガイドばねが支持される内側に曲がったタブを有してもよい。
【0050】
複数の接合部が、遠位側の偏向部分の周壁に形成されてもよい。
【0051】
各接合部は、接合部の互いに対する軸方向の移動を阻止するが径方向の移動を阻止しないように、隣り合う接合部に結合される結合部分と、接合部の互いに対する軸方向の移動を可能にするように、隣り合う接合部に係合する案内部分とを有してもよい。
【0052】
管状要素は、ステンレス鋼又はプラスチック材料から製造されてもよい。
【0053】
引張ケーブルが、近位側受動的可撓性部分の近位側に配置された操作部から管状要素の内周側に配置されることができ、この引張ケーブルは、遠位側の偏向部分の最も遠位側に位置付けられた接合部で管状要素の壁の第1のスリットを通して管状要素の外周部に案内され、管状要素の外周部の周りで、第1のスリットと180 度で対向する、管状要素の壁の第2のスリットを通して管状要素の内周部に案内され、管状要素の内周側で操作部に戻される。
【0054】
本発明の上述した態様は適切に組み合わせられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】本発明が適用され得る内視鏡を示す側面略図である。
図2】本発明に係る挿入管を示す部分略図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る挿入管の近位側受動的可撓性部分の一部を示す部分側面略図である。
図4図3の近位側受動的可撓性部分の一部を示す部分斜視図である。
図5】曲げ抵抗を示すために図3の近位側受動的可撓性部分の詳細を示す図である。
図6】曲げ抵抗に対する曲げ中の変形及び挿入管の切込部分間の距離の関係を示す図表である。
図7】曲げ抵抗を更に示すために図3の近位側受動的可撓性部分の詳細を示す図である。
図8】ねじれ抵抗に対する曲げ中の変形及び挿入管の切込部分間の距離の関係を示す図表である。
図9】ねじれ抵抗を示すために図3の近位側受動的可撓性部分の詳細を示す図である。
図10】ねじり応力下の図3の第1実施形態の近位側受動的可撓性部分の一部を示す部分斜視図である。
図11】ガイドばね固定部分を示す、本発明に係る挿入管の遠位側の偏向部分及び近位側受動的可撓性部分間の移行領域を示す部分略図である。
図12】別の側からの図11のガイドばね固定部分を示す部分斜視図である。
図13】本発明に係る挿入管の偏向部分の一部を示す部分略図である。
図14図13の矢印Iの方向から、本発明に係る挿入管の偏向部分の一部を示す部分略図である。
図15】ケーブルガイドを示す、本発明に係る挿入管の偏向部分の一部を示す部分略図である。
図16図15のケーブルガイドを示す部分斜視図である。
図17】本発明に係る挿入管の偏向部分を示す部分側面略図である。
図18図17の偏向部分を示す部分平面略図である。
図19】偏向部分の遠位側端部を示す部分斜視図である。
図20】偏向部分の遠位側端部を示す部分斜視図である。
図21】偏向部分の遠位側端部を示す部分斜視図である。
図22】偏向部分の遠位側端部での引張ケーブルの固定を示す部分斜視図である。
図23】別の側からの図22に対応する図である。
図24】第2実施形態の近位側受動的可撓性部分を示す部分略図である。
図25】従来技術の挿入管を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明を、図面を参照して実施形態によって以下に詳細に説明する。
【0057】
第1実施形態
以下、図1図23を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
【0058】
まず、図1は、本発明が適用可能な内視鏡1 を示す側面略図である。図1から分かるように、このような内視鏡1 は、操作部3 の遠位側に配置された挿入管2 を備えている。操作部3 は、内視鏡1 の操作ユニットとして機能する。
【0059】
挿入管2 は、円筒管状又はホース状の構造である。
【0060】
以下、挿入管2 が患者に挿入される方向で挿入管2 を更に詳細に説明する。挿入管2 は、遠位側端部が先に挿入される。
【0061】
遠位側では、挿入管2 は遠位側の偏向部分Aを有している。偏向部分Aは、挿入管2 の近位側部分に対して一又は複数の制御ワイヤ(一又は複数の制御ケーブル)によって横方向に偏向可能である。制御ワイヤ又は制御ケーブル(以下、制御ワイヤと単に称する)は、挿入管2 の内側で挿入管2 の内周面に支持されており、挿入管2 の延長方向に案内される。
【0062】
制御ワイヤの遠位側端部は、偏向部分Aの遠位側に固定されている。制御ワイヤの近位側端部は、操作部3 に配置された制御要素に連結されている。前記制御要素は制御ワイヤに張力をかけて、偏向部分Aに所望の偏向を生じさせる。
【0063】
挿入管2 は、偏向部分Aの近位側では、近位側受動的可撓性部分20を形成する可撓性ホース部材として構成されている。挿入管2 の挿入中、可撓性部分20は偏向部分Aに追随する。
【0064】
図1には、可撓性部分20が、長手方向に沿って可撓性が異なるゾーンに構成されていることが示されている。例えば、可撓性部分20は、近位方向に見ると、第1ゾーンB、第2ゾーンC及び第3ゾーンDを有している。第1ゾーンBは遠位側領域を形成し、第2ゾーンCは中央領域を形成し、第3ゾーンDは近位側領域を形成している。
【0065】
図2の部分図では、第3ゾーンDは示されていない。
【0066】
偏向部分A及び第1ゾーンB間のよじれを避けるために、第1ゾーンBは、可撓性部分20のゾーンの内、最大の可撓性を有することが好ましい。第1ゾーンBは非常に高い可撓性を有するため、可撓性が偏向部分A及び第1ゾーンB間で急に変化しない。
【0067】
第2ゾーンCは、第1ゾーンBの可撓性より低い可撓性を有し、第3ゾーンDは、同様に第2ゾーンCの可撓性より低い可撓性を有する。
【0068】
本発明に係る挿入管2 は一体に形成されている。つまり、偏向部分Aから可撓性部分20への移行部分に連結された2つの要素が存在しない。従って、遠位側の偏向部分A及び近位側受動的可撓性部分20は、1つの管又はホースの3つのゾーンB,C,Dで形成されている。
【0069】
近位側では、挿入管2 は操作部3 の遠位側端部に固定されている。挿入管2 は、例えば固定環、密閉環によって又は直接、操作部3 に固定され得る。挿入管2 は操作部3 に、例えば接着又は螺着されてもよい。操作部3 は、制御ワイヤ又は制御ケーブルを制御するための第1の制御要素としての第1の制御ホイールFと、制御ワイヤ又は制御ケーブルを制御するための第2の制御要素としての第2の制御ホイールGとを有している。第1の制御ホイールFは、制御ワイヤ又は制御ケーブルを(例えば図1では観察者に向かう方向及び観察者から離れる方向に)引っ張ることにより第1の面で偏向部分Aを偏向させることができる。第2の制御ホイールGは、制御ワイヤ又は制御ケーブルを(例えば図1では上方及び下方に)引っ張ることにより第1の面と垂直な第2の面で偏向部分Aを偏向させることができる。
【0070】
偏向部分Aは、例えば約200 ~270 度、偏向することができる。これは、ほとんどの用途で十分である。特別な形態では、偏向部分Aは約300 度も偏向することができる。
【0071】
以下に、本発明に係る挿入管2 及びその製造について更に詳細に説明する。
【0072】
挿入管2 全体を、1つの管状要素又はホース部材(以下、管状要素と単に称する)から形成する。管状要素は、好ましくは相対的に硬い材料から形成された管である。ステンレス製の管が特に好ましい。しかしながら、硬質プラスチック製の管も適用され得る。原則として、医療目的に適用可能なあらゆる材料を使用することができる。
【0073】
管状要素には、以下に更に詳細に説明されるようにレーザカッタによって切込部分を設ける。切込部分を設けた後、管状要素の特定の部分を、以下に更に詳細に説明されるように曲げる。挿入管2 全体の基部本体の製造には、切込部分を設けて曲げる以外に更なる処理工程が必要ではない。その後、挿入管2 の基部本体に制御ワイヤを設けて、挿入管2 の基部本体をジャケット要素に収容することができる。
【0074】
挿入管2 の個々の部分を以下に詳細に説明する。
【0075】
可撓性部分20
可撓性部分20は、本発明に係る挿入管2 の近位側部分を形成している。可撓性部分20は3つのゾーンB,C,Dを有しており、これら3つのゾーンは異なる可撓性を夫々有している。
【0076】
明瞭化のために、図1は、3つのゾーンB,C,Dが挿入管2 の長手方向に沿って互いに等しい長さであるように近位側受動的可撓性部分20を示すが、これは、言うまでもなく事実とは異なる。中央領域Cは、移行領域B及び連結領域Dより長い。3つのゾーンB,C,Dの内、近位側受動的可撓性部分20の中央ゾーンCは最も長いゾーンである。言い換えれば、実際の近位側受動的可撓性部分20は、中央領域Cの構造によって形成されている。近位側受動的可撓性部分20の曲げ特性、弾性及びねじれ抵抗は、中央領域Cの構造によって実現されている。
【0077】
以下に、中央領域Cの構造、ひいては実際の近位側受動的可撓性部分20の構造を図3図10を参照して詳細に説明する。
【0078】
図3は、本発明の第1実施形態に係る挿入管の近位側受動的可撓性部分の一部を示す部分側面略図である。
【0079】
図4は、図3の近位側受動的可撓性部分の一部を示す部分斜視図である。
【0080】
本発明の第1実施形態に係る切込部分の構成は図3及び図4から明らかである。
【0081】
前記切込部分を形成する際に、管2 を原材料として使用する。管2 は軸芯及び長手延長部分を有する。管2 は十分硬い材料から構成されている。例えば、ステンレス鋼を使用することができる。プラスチック材料又はニッケル-チタン合金、例えばニチノールを同様に使用することができる。管2 は、本発明に係る挿入管を後で構成する。
【0082】
管2 は、最初は可撓性を有さない形状を有する。管2 は、高いねじれ抵抗及び高い寸法安定性を有する。
【0083】
この管2 には、複数の主切込部分98が、好ましくはレーザによって周部に周方向に所定の距離Hで製造される。周方向とは、管2 の軸芯に対して直角に延びている方向を意味する。管2 に沿って、夫々の距離Hは等しい。
【0084】
主切込部分98は、管2 のジャケットの厚さを貫通する。主切込部分98は、管2 の周方向に周長の約半分に亘って延びている。従って、周線毎に、周方向に連続する2つの主切込部分98A, 98Bが形成されている。管2 の材料が切り込まれていないブリッジ97が、夫々の主切込部分98A, 98B間に設けられている。管2 の長手方向に見ると、夫々の主切込部分98の前後(近位側及び遠位側)の領域は、ブリッジ97を介して連結されている。従って、主切込部分98の周線毎に2つのブリッジ97が設けられている。2つのブリッジ97は、主切込部分98の周線毎に直径方向に対向して配置されている。周方向に見ると、ブリッジ97の長さを加えた主切込部分98A, 98Bの長さは正確に180 °である。主切込部分98A の長さ及び主切込部分98B の長さは互いに等しい。
【0085】
図3及び図4から明らかなように、ブリッジは、管2 の長手方向に主切込部分98から次の主切込部分98まで約90°互いに偏移している。
【0086】
副切込部分99が、管2 の長手方向に各ブリッジ97の近位側及び遠位側に形成されている。副切込部分99は、主切込部分98A, 98Bと平行に延びている。副切込部分99の周方向の長さは、ブリッジ97の周方向の長さより長い。夫々の副切込部分99の長さは互いに等しい。
【0087】
管2 の長手方向に、各副切込部分99から隣り合う主切込部分98A, 98Bへの距離Nは主切込部分98間の距離Hより小さい。従って、近位側の副切込部分99及び遠位側の副切込部分99は、2つの主切込部分98A, 98Bから構成されている各主切込部分98に関連付けられている。
【0088】
管2 の長手方向に、各副切込部分99から隣り合う主切込部分98A, 98Bへの距離Nは、各副切込部分99から次の主切込部分98に関連付けられた隣り合う副切込部分99への距離Mより同様に小さい。図9参照。
【0089】
管2 の特性は主切込部分98及び副切込部分99によって変わる。管2 は可撓性を有するようになる。管2 の可撓性及び他の特性は、特に切込部分98, 99の構成に著しく左右される。より正確に言えば、管の切込部分の切込幅、切込長さ及び切込部分間の距離は、特に(材料を除いて)管2 の特性に影響を与える重要な要因である。
【0090】
領域Xには、管2 の高い可撓性をもたらす構成の切込部分が設けられている。
【0091】
以下に、曲げ中の変形及び管の切込部分間の距離の関係について説明する。
【0092】
いかなる切込部分も無い元の形状では、管は特定の曲げ抵抗を有する。前記管を切り込むと即座に、管に設けられた切込部分の形状及び数に応じて曲げ抵抗が減少する。図6に示されているグラフは、管を曲げたときの変形及び管の切込部分間の距離の関係を示す。
【0093】
図6は、切込部分を有する管の曲げシミュレーションの結果を示す。曲げ動作中の切込部分を有する管の変形が示されている。
【0094】
2点鎖線は、切込部分から隣り合う切込部分への距離を示す。
【0095】
実線は、曲げ中の管の変形を示す。
【0096】
縦座標及び横座標は長さの単位(例えばmm)を夫々示す。
【0097】
図6から以下が分かる。管の切込部分間の距離が大きいほど、曲げ抵抗が大きくなる(変形が小さくなる)。管の切込部分間の距離が無限になると、管2 は最初の最大の曲げ抵抗に達する。
【0098】
内視鏡の挿入管には小さい曲げ抵抗(ひいては、高い可撓性)が必要であるため、従って、管の切込部分間の距離を可能な限り小さくする必要がある。
【0099】
本発明によれば、領域Xは、切込部分98, 99が互いに近く(小さな距離Nを有し)、4つのばね型部分F1, F2, F3, F4が形成されるように構成されている。切り込まれた管2 を曲げると、ばね型部分F1, F2, F3, F4が伸びて、ひいては、ばねタイプの反力が生じる。曲げの後に管2 を解放すると、反力が管2 に作用し、管2 が線形形状を取り戻す。領域Xのこの構成は、管2 の長手方向に沿って、つまり管2 の近位側受動的可撓性部分Cの全長に沿って90度ずつ繰り返し偏移している。このようにして、管2 はあらゆる方向に均一に可撓性を有する。
【0100】
図7は、領域Xを拡大詳細図として示す。領域Xにおける第1の主切込部分98A 及び第2の主切込部分98B で構成された主切込部分98並びに関連する副切込部分99の構成では、主切込部分98A, 98Bと関連する副切込部分99との間の距離Nは、高い可撓性をもたらすために可能な限り小さいように設定されている。
【0101】
以下に、管を用いてねじれ抵抗を説明する。
【0102】
図8は、ねじれ抵抗に対する曲げ中の変形及び管の切込部分間の距離の関係を示す。言い換えれば、図8に示されているグラフは、管をねじった場合の変形及び管の切込部分間の距離の関係を示す。
【0103】
図8は、切込部分を有する管のねじれシミュレーションの結果を示す。ねじり動作中の切込部分を有する管の変形が示されている。
【0104】
破線は、切込部分から隣り合う切込部分への距離を示す。
【0105】
実線は、ねじり中の管の変形を示す。
【0106】
縦座標及び横座標は長さの単位(例えばmm)を夫々示す。
【0107】
図8から以下が分かる。切込部分無しの元の形状の管は、特定のねじれ抵抗を有する。前記管を切り込むと即座に、切込部分の形状及び数に応じてねじれ抵抗が減少する。管の切込部分間の距離が大きいほど、ねじれ抵抗が大きくなる(回転中に変形が小さくなる)。管の切込部分間の距離が無限になると、管は最初の最大のねじれ抵抗に達する。
【0108】
内視鏡の挿入管には高いねじれ抵抗が必要であるため、従って、管の切込部分間の距離は可能な限り大きく設定されている。
【0109】
図9は、領域Yにおける各副切込部分99から次の主切込部分98に関連付けられた隣り合う副切込部分99への距離Mを拡大詳細図として示す。
【0110】
領域Yにおける構成は、隣り合う副切込部分99間の距離Mが高いねじれ抵抗をもたらすために可能な限り大きく設定されていることを示す。隣り合う副切込部分99間の正確な距離Mは、個々の必要性に応じて決定され得る。
【0111】
以下に、管2 の寸法安定性の実現について説明する。
【0112】
硬い管は必然的に寸法安定性を有する。領域Yは、管2 に複数の切込部分98, 99が設けられた後に管2 が寸法安定性を維持するように構成されている。
【0113】
複数の副切込部分99は、領域Yが管2 の長手方向に相対的に長いように本実施形態では大きな距離で配置されている。言い換えれば、切込部分が無い幅広の環状領域が領域Yに形成されている。
【0114】
領域Yは、短い管とみなされ得るため、高い寸法安定性を有する。管2 全体を曲げると、領域Yは固有の安定性を有するため、ばね型部分F1, F2, F3, F4は撓む(潰れる)。
【0115】
従って、管2 は可撓性を有し、加えて寸法安定性を有する。
【0116】
以下に、領域X及び領域Yの相互作用について説明する。
【0117】
近位側受動的可撓性部分Cの全体構成は、領域X及び領域Yの組み合わせである。
【0118】
前述した領域X及び領域Yは、管2 に特定の特性を夫々与える。
【0119】
領域Xでは、主切込部分98及び副切込部分99は、高い可撓性を達成するために互いに近くに配置されている。
【0120】
しかしながら、領域Yでは、副切込部分99は、高いねじれ抵抗を達成するために互いにより大きな距離を有する。
【0121】
このため、領域Xと領域Yとの間に以下の相互作用がもたらされる。
【0122】
領域Yでは、副切込部分99は互いに大きな距離を有する。従って、この領域Yは、曲げ中及びねじり中の両方で安定している。曲げ中、領域Yはほとんど変わらないままである。他方、領域Xは撓み、管2 全体の可撓性を定める。管2 の可撓性に対する領域Yの影響は僅かである。
【0123】
領域Xでは、主切込部分98及び副切込部分99は、互いに非常に近くに配置されている。
【0124】
本実施形態では、主切込部分98及び副切込部分99は、互いに異なる切込幅を有する。切込幅とは、管の長手方向における夫々の切込部分の幅を意味する。主切込部分98及び副切込部分99をレーザによって製造する場合、放射するレーザビームの直径を選択することにより、切込幅を調節する。
【0125】
副切込部分99の切込幅は、可能な限り小さく維持するように設定される。レーザによって、例えば20μmより遥かに小さい切込幅が可能である。例えば、副切込部分99は、20μmの切込幅を有するように製造され得る。主切込部分98は、例えば0.2 mmの切込幅を有するように製造され得る。切込幅のこれらの値は単なる例である。適切な切込幅がテストによって設定され得る。
【0126】
主切込部分98の切込幅は副切込部分99の切込幅より大きいことが好ましい。例えば、主切込部分98の切込幅は、副切込部分99の切込幅の10倍であってもよい。この値も単なる例である。必要に応じて、適切な係数を調節してもよい。本発明はこれらの値に限定されない。
【0127】
ねじり応力下で、管2 の長手軸芯を中心にして作用するねじりモーメントMtが管2 に与えられる。ねじりモーメントの影響により、図10に示されているように、長手軸芯と平行に延びている管2 の仮想の長手線Lが螺旋状に変形する。主切込部分98及び副切込部分99間の距離Nは領域Xで非常に小さいため、領域Xの変形は領域Yの変形と僅かに異なるだけである。領域Yのねじれ抵抗は、管2 全体のねじれ抵抗を定める。管2 のねじれ抵抗に対する領域Xの影響は僅かである。
【0128】
前述したように距離が互いに異なる切込部分を管2 の近位側受動的可撓性部分Cに形成することにより、高い可撓性及び高いねじれ抵抗の両方を実現することができる。
【0129】
従って、本発明に係る内視鏡の管2 は、高い可撓性及び管2 の長手軸芯に対して横方向の高いねじれ抵抗を有して可撓性部分20の近位側受動的可撓性部分Cで湾曲自在である。
【0130】
可撓性部分20の個々のゾーンB,C,Dでは切込部分98間の長手方向の距離Hが異なるため、切込部分98の密度は異なって設定される。
【0131】
ゾーンBでは、切込部分98間の距離Hは最小である。従って、ゾーンBでは切込部分98の密度は最大である。
【0132】
ゾーンCでは、切込部分98間の距離HはゾーンBにおける切込部分98間の距離Hより大きい。ゾーンDでは、切込部分98間の距離HはゾーンCにおける切込部分98間の距離Hより大きい。
【0133】
従って、可撓性及び曲げ性は、ゾーンCよりゾーンBでより高い。更に、可撓性及び曲げ性は、ゾーンDよりゾーンCでより高い。言い換えれば、夫々のゾーンの可撓性及び曲げ性は、可撓性部分20で近位方向に減少する。
【0134】
ゾーンDは、切込部分無しの領域を近位側に有する。この領域は、操作部3への移行部分を形成する。
【0135】
偏向部分Aから可撓性部分20への移行
偏向部分Aから可撓性部分20への移行領域が、図2に領域Kとして示されている。偏向部分Aは前記領域Kで終了する。言い換えれば、偏向部分Aの最も近位側に位置付けられた第1の部材が領域Kの遠位側に位置付けられている。
【0136】
図2図11及び図12に示されているように、前記領域Kでは、管状要素の壁面が、Cの逆文字の形状で切抜部分70によって切り抜かれている。言い換えれば、切抜部分70は、不完全な円の形状で管状要素に切り抜かれている。図11から分かるように、切抜部分70の円は遠位側で切り抜かれていない。切り抜かれていない切抜部分70の遠位側は、タブ72のためのヒンジ71を形成している。タブ72は、下耳部73、上耳部74及びタブ中央部75を有している。下耳部73はタブ中央部75の上側に接する。上耳部74はタブ中央部75の下側に接する。
【0137】
タブ72は、以下のように製造される。切抜部分70の位置を設定する。切抜部分70の中央に孔77を形成する。図2に示されているように、切抜部分70をレーザによって形成する。タブ中央部75を背面側、つまり管状要素の内側からパンチによって支持する。下耳部73を、タブ中央部75に対して90度、内側に曲げる。タブ中央部75に対する下耳部73の曲げ線が、管状要素の軸芯と平行に(図2及び図4では左右を指す方向に)延びている。上耳部74を、タブ中央部75に対して90度、内側に同様に曲げる。タブ中央部75に対する上耳部74の曲げ線も、管状要素の軸芯と平行に延びている。その後、タブ中央部75を90度、内側に曲げる。管状要素に対するタブ中央部75の曲げ線が、管状要素の軸芯に垂直な切断面に(図2及び図11では上下を指す方向に)延びている。言い換えれば、タブ中央部75をヒンジ71で90度、内側に曲げる。特に下耳部73の遠位側の側縁部及び上耳部74の遠位側の側縁部が管状要素の内周部に接するまで、タブ中央部75を内側に曲げる(図12参照)。
【0138】
タブ72は、ガイドばね8 の支持体として機能する。特に、タブ中央部75の近位側表面は、ガイドばね8 の遠位側端部のための停止面を形成する。2つの下耳部73及び上耳部74はタブ中央部75を支持して、ガイドばね8 から作用する圧縮力を吸収して管状要素の内周面に伝える。
【0139】
タブ中央部75は中心の孔77を有している。孔77の直径は、制御ワイヤの直径より大きく、ガイドばね8 の直径より小さい。制御ワイヤは、ガイドばね8 内で可撓性部分20に案内され、孔77を通過して偏向部分A内に更に延びている。
【0140】
移行領域Kには、使用される制御ワイヤの数(本実施形態では4つ)のタブ72が設けられている。タブ72は、管状要素の周方向に均一に分散している。
【0141】
偏向部分A
偏向部分Aの正確な構造が図13~18に示されている。
【0142】
偏向部分Aは、偏向部分Aの長手方向に配置された個々の接合部材6 を有している。個々の接合部材6 は互いに対して回動する。図13及び図14には、連続的に配置された3つの接合部材6 、つまり、接合部61、接合部61の近位側の接合部62及び接合部62の近位側の接合部63が示されている。
【0143】
接合部材6 は、最も遠位側に位置付けられた接合部材6 及び最も近位側に位置付けられた接合部材6 を除き、同様に構成されている。
【0144】
接合部材62を用いて夫々の接合部材6 の構造を以下に説明する。
【0145】
接合部材62は、前記管状要素の管状部分としてレーザ切断により形成されている。接合部材62は、管状要素の周部に遠位側境界線601, 602, 603, 604, 605 及び近位側境界線606, 607, 608, 609を有している。
【0146】
個々の遠位側境界線は、1本の円形状のヘッドライン601 、2本のネックライン602 、2本のショルダーライン603 、2本のアームライン604 及び1本のアームエンドライン605 で構成されている。より正確に言えば、接合部材62の遠位側は以下のように形成されている。円形状のヘッドライン601 は、夫々の側部の近位側でネックライン602 に統合する不完全な円を形成している。管状要素の軸芯と略垂直に延びているショルダーライン603 は、2本のネックライン602 の各々に連結されている。管状要素の軸芯と略平行に遠位方向に延びているアームライン604 は、2本のショルダーライン603 の各々に連結されている。アームライン604 の2つの遠位側端部は、管状要素の軸芯と垂直に延びているアームエンドライン605 によって連結されている。
【0147】
従って、接合部材62は本体621 を有しており、第1のヘッド部622 、第1のアーム部623 、第2のヘッド部622 及び第2のアーム部623 の各々が、接合部材62の軸芯と垂直に延びている仮想周線に沿って本体621 から約90度遠位側に突出している。従って、ヘッド部622, 622は第1の仮想平面に延びている。アーム部623, 623は、第1の仮想平面に対して90度偏移した第2の仮想平面に延びている。接合部材62の2つのヘッド部622, 622は、この接合部材62の遠位側に位置付けられた接合部材62のための回動軸芯を形成している。
【0148】
各ヘッド部622 は、ヘッドライン601 によって遠位側に形成されている。ヘッド部622 と本体621 との間にネックライン602 によって、くびれが形成されている。夫々のヘッド部622 は、夫々のアーム部623 より遠位方向に更に突出している。
【0149】
個々の近位側境界線は、1本のカーブフットライン606 、2本のボトムライン607 、2本のストレートフットライン608 及び1本のウエストライン609 で構成されている。より正確には、接合部材62の近位側は以下のように形成されている。カーブフットライン606 は、近位側で開いている不完全な円を形成している。不完全な円の開いている端部では、カーブフットライン606 は、管状要素の軸芯と略垂直に延びているボトムライン607 の各々に統合している。
【0150】
管状要素の軸芯と略平行に遠位方向に延びているストレートフットライン608 は、2本のボトムライン607 の各々に連結されている。ストレートフットライン608 の2つの遠位側端部は、管状要素の軸芯と垂直に同様に延びているウエストライン609 によって連結されている。
【0151】
このように、接合部材62は、近位方向に延びている2つのフット部624 を本体621 の近位側に有している。各フット部624 は、ストレートフットライン608 に直線状の側部を、カーブフットライン606 に湾曲状の側部を延長方向に有している。
【0152】
2本のストレートフットライン608 間の領域には、近位側に位置付けられた接合部材63のアーム部が長手方向に移動可能に配置されている。2本のカーブフットライン606 間の領域には、近位側に位置付けられた接合部材63のヘッド部が長手方向に固定して保持されている。カーブフットラインの内周部と円形状のヘッドラインの外周部との間の遊びによる僅かな移動しか可能ではない。
【0153】
偏向部分Aが湾曲していない状態では、図14に示されているように、ウエストライン609 は、近位側に位置付けられた接合部材63のアームエンドライン605 から離れて間隔を空けて配置されている。アームエンドライン605 及び近位側に位置付けられた接合部材63のウエストライン609 は互いに平行である。
【0154】
偏向部分Aが湾曲していない状態では、図14に示されているように、ボトムライン607 は、近位側に位置付けられた接合部材63のショルダーライン603 から離れて間隔を空けて配置されている。ボトムライン607 及び近位側に位置付けられた接合部材63のショルダーライン603 は互いに平行であってもよく、又は互いに略平行であってもよく、又は図14に示されているように互いに対して僅かに角度をなしてもよい。ボトムライン607 と、近位側に位置付けられた接合部材63のショルダーライン603 との間に、単純な切断線が形成されるだけでなく、管状要素の材料が四角形部分として切り抜かれてもよい。
【0155】
夫々のヘッド部622 は、隣り合う接合部材6 に結合された結合部分を形成している。フット部624 は、接合部材6 の互いに対する軸方向の移動が可能であるように、隣り合う接合部材6 に係合する案内部分を構成している。
【0156】
図17は、複数の接合部材6 を備えた偏向部分Aの平面図を示す。平面図では、接合部材6 のヘッド部622 が見える。
【0157】
図18は、複数の接合部材6 を備えた偏向部分Aの側面図を示す。側面図では、接合部材6 のフット部624 が見える。
【0158】
最も遠位側に位置付けられた接合部材6 はヘッド部を有さず、図2及び図17~21に示されている。
【0159】
最も近位側に位置付けられた接合部材6 はフット部を有さず、図2図11及び図18に示されている。
【0160】
本実施形態では、偏向部分Aを2つの偏向方向、つまり図13及び図14(及び図17)では上方及び下方に偏向させることができ、接合部材6 の夫々のヘッド部622 は接合部材6 の曲げ軸芯を形成している。言い換えれば、図17における偏向部分Aは上方及び下方に回動可能である。図18では、偏向部分Aは、観察者に向かう方向及び観察者から離れる方向に回動可能である。
【0161】
図15及び図16に示されているように、ウエストライン609 はケーブルガイドタブ630 のためのヒンジ部分を形成している。ケーブルガイドタブ630 はウエストライン609 から延びている。ストレートフットライン608 に沿って近位側に位置付けられた接合部材63のアームエンドライン605 に延びている材料部分が、ケーブルガイドタブ630 のために使用されている。ケーブルガイドタブ630 はウエストライン609 に接続されており、内側に約90度、曲がっている。ケーブルガイドタブ630 は、中心の孔631 を有している。孔631 の直径は制御ワイヤの直径より大きい。
【0162】
特定の制御ワイヤのためのケーブルガイドタブ630 が偏向部分Aの長手方向に連続的に配置されるように、接合部材6 は、孔631 を有するケーブルガイドタブ630 を夫々有している。ケーブルガイドタブ630 は、制御ワイヤが支持される案内突部として機能する。従って、ケーブルガイドタブ630 は、関連する制御ワイヤを偏向部分Aに亘って案内する。
【0163】
図17に示されているように、接合部材6 は、ヘッド部が近位方向に向くように偏向部分Aに配置されてもよい。或いは、図13に示されているように、接合部材6 は、ヘッド部が遠位方向に向くように偏向部分Aに配置されてもよい。
【0164】
偏向部分Aの遠位側端部が図19~21に示されている。図19~21では、偏向部分Aの最も遠位側に位置付けられた接合部材69が見える。この最も遠位側に位置付けられた接合部材69には、制御ワイヤ9 の遠位側が固定されている。制御ワイヤ9 は、操作部3 から、偏向部分Aの最も遠位側に位置付けられた接合部材69に延びている。
【0165】
制御ワイヤの固定
制御ワイヤ9 の正確な固定が図22及び図23に示されている。
【0166】
制御ワイヤ9 は、操作部3 の制御ホイールGに固定されている。制御ホイールGを引張方向に回転させると、制御ワイヤ9 に張力がかかる。制御ホイールGを引張方向と反対の解放方向に回転させると、制御ワイヤ9 を解放する。
【0167】
制御ワイヤ9 は、挿入管2 内に延びている操作部3 から接合部材69に向かって延びており、第1部分91を形成している。制御ワイヤ9 の前記第1部分91は、挿入管2 の内周部に沿って延びている。制御ワイヤ9 の前記第1部分91は、図22の参照番号91で示されている。接合部材69の遠位側には、接合部材69の周壁を貫通するスリット691 が構成されており(図20参照)、接合部材69の長手方向に延びている。別の同様のスリット692 が接合部材69の遠位側に設けられており、スリット691 と直径方向に対向している。
【0168】
制御ワイヤ9 は、接合部材69の内周部に沿って遠位方向に延びており、スリット691 を外側に貫通し、接合部材69の外周部で接合部材69の周方向にスリット692 まで巻かれ、スリット692 を内側に貫通して、接合部材69の内周部に沿って近位方向に操作部3 の制御ホイールGに延びている。
【0169】
従って、制御ワイヤ9 は、操作部3 の制御ホイールGからスリット691 に延びている第1部分91と、スリット691 から接合部材69の外周部で接合部材69の周方向にスリット692 に延びている第2部分92と、スリット692 から操作部3 の制御ホイールGに延びている第3部分93とに分割されている。
【0170】
制御ホイールGを引張方向に回転させると、接合部材69に固定された第3部分93を近位方向に付勢するので、制御ワイヤ9 に張力がかかり、ひいては偏向部分Aが偏向する。従って、制御ワイヤ9 の第3部分93は、制御ワイヤ9 の遠位側の固定部分を構成している。
【0171】
製造方法
本発明に係る挿入管2 を、レーザによって切断される1つの管状要素によって製造することができる。管状要素を、相対的に硬い材料、例えばステンレス鋼、又は適切に硬いプラスチック材料から形成する。最初に硬い管状要素を、剛性を保持しながら、切込部分によって可撓性にする。
【0172】
切ることにより、近位側受動的可撓性部分20の夫々の横方向の切り目(軸芯と垂直に延びている切込部分)98, 99、孔77、移行領域Kの切抜部分70、孔631 、遠位側の偏向部分Aの夫々の接合部材6 及びスリット691, 692が形成される。この順序は限定を意味するものではない。例えば、スリット691, 692を接合部材6 の前に切ってもよい。更に、切る順序を反転してもよい。
【0173】
管状要素の可撓性及び剛性を、切込部分の形状、配置及びサイズによって制御することができる。
【0174】
夫々の切込部分の位置を予め計算して決定することができる。プログラム可能なレーザカッタでは、夫々の切込部分のための所定のデータを入力して、挿入管2 を自動的に製造することができる。
【0175】
個々の接合部材6 を完全に切断して、互いに物理的に分離して形状嵌合によって単に連結される本体を形成する。
【0176】
管状要素のレーザ切断後、タブ72及びケーブルガイドタブ630 を内側に曲げる。従って、挿入管2 の半完成品を仕上げる。
【0177】
その後、制御ワイヤ9 を、挿入管2 の前記半完成品に挿入して固定することができる。挿入管2 の半完成品を操作部3 に取り付けることができる。更に、挿入管2 の半完成品を覆う、好ましくは電気制御部をシールドする金属によるコーティングを行ない、そのコーティングの上に、プラスチック又はゴム製の弾性ジャケットを設けることができる。プラスチック又はゴム製の弾性ジャケットは、熱収縮性でもよい。
【0178】
第2実施形態
以下に、本発明の第2実施形態を図24を参照して説明する。
【0179】
図24は、第2実施形態に適用される近位側受動的可撓性部分を示す部分略図である。
【0180】
図24に示されている原理に従って構成された近位側受動的可撓性部分20は、第1実施形態の近位側受動的可撓性部分20と取り換えられ得る。言い換えれば、操作部3 及び偏向部分Aは、本第2実施形態の近位側受動的可撓性部分20と組み合わせられ得る。
【0181】
前述したように、遠位側の偏向部分A、及び3つのゾーンB,C,Dを有する近位側受動的可撓性部分20は1つの管又はホースで形成されている。図1参照。
【0182】
ゾーンBは、中央領域Cと偏向部分Aとの間の移行領域Bを構成している。ゾーンCは中央領域Cを構成している。ゾーンDは、近位側受動的可撓性部分20を操作部3 に連結する連結領域Dを構成している。言い換えれば、操作部3 に連結する連結領域D、中央領域C、中央領域Cと偏向部分Aとの間の移行領域B、及び偏向部分Aを有する挿入管全体が、1つの管状要素から製造されている。
【0183】
明瞭化のために、図1は、3つのゾーンB,C,Dが挿入管2 の長手方向に沿って互いに等しい長さであるように近位側受動的可撓性部分20を示すが、これは、言うまでもなく事実とは異なる。中央領域Cは、移行領域B及び連結領域Dより長い。中央領域Cは、近位側受動的可撓性部分20で最も長い。言い換えれば、実際の近位側受動的可撓性部分20は、中央領域Cの構造によって形成されている。近位側受動的可撓性部分20の曲げ特性、弾性及びねじれ抵抗は、中央領域Cの構造によって実現されている。
【0184】
以下に、近位側受動的可撓性部分20の中央領域Cの構造を図24を参照して詳細に説明する。
【0185】
近位側受動的可撓性部分20は、前述した管状要素から製造されている。中央領域Cには、複数の主切込部分990 がレーザにより管状要素の長手方向に切り込まれている。これらの主切込部分990 は互いに平行に延びている。主切込部分990 は、管状要素の軸芯と垂直に延びている。
【0186】
より正確には、切り込まれていないブリッジ992 が周線に位置付けられた主切込部分間に残るように、主切込部分990 は中央領域Cの周部に沿って途中まで延びている。本実施形態では、周方向に見ると4つの主切込部分が構成されている。
【0187】
図24は、前記主切込部分をより正確に示す。図24は、周方向に形成されて参照番号990A, 990B, 990Cで示されている第1シーケンスの主切込部分を示す。更に図24は、周方向に形成されて参照番号990A1, 990B1で示されている第2シーケンスの主切込部分を示す。参照番号990A, 990B, 990Cで示されている主切込部分の第1シーケンスは、参照番号990A1, 990B1で示されて周方向に形成されている主切込部分の第2シーケンスと長手方向に隣り合っている。主切込部分の周方向の長さは常に同一である。つまり、特定のシーケンスの主切込部分の周方向の長さが互いに等しいだけでなく、中央領域C全体の全てのシーケンスの主切込部分の周方向の長さが互いに等しい。
【0188】
図24に示されている第1シーケンスの主切込部分では、第1の主切込部分990A、第2の主切込部分990B及び第3の主切込部分990Cが示されている。示されていない第4の主切込部分が、投影面の後ろに観察者から離れた管状要素の側に位置付けられている。第1の主切込部分990A、第2の主切込部分990B、第3の主切込部分990C、及び示されていない第4の主切込部分は、管状要素の周方向に連続的に構成されている。従って、管状要素は、前記周線で同一の長さの部分に4回切り込まれている。夫々のブリッジ992 が、第1の主切込部分990Aの終点と第2の主切込部分990Bの始点との間、第2の主切込部分990Bの終点と第3の主切込部分990Cの始点との間、第3の主切込部分990Cの終点と第4の主切込部分(不図示)の始点との間、及び第4の主切込部分(不図示)の終点と第1の主切込部分990Aの始点との間に残っている。管状要素は、ブリッジ992 のこの領域では切り込まれない。
【0189】
図24に示されている第2シーケンスの主切込部分では、第1の主切込部分990A1 及び第2の主切込部分990B1 が示されている。第3の主切込部分(不図示)及び第4の主切込部分(不図示)が、投影面の後ろに観察者から離れた管状要素の側に位置付けられている。
【0190】
第2シーケンスの主切込部分は、第1シーケンスの主切込部分に対して偏移して配置されている。主切込部分990A, 990B, 990Cが夫々のブリッジ992 を残している第1シーケンスの領域は、管状要素の周方向に見ると、隣り合う第2シーケンスでは主切込部分990A1, 990B1の中心を形成する領域に対応する。従って、ブリッジは、管状要素の長手方向に主切込部分990 のシーケンス毎に45度偏移して位置決めされている。
【0191】
管状要素の全ての主切込部分990 の切込幅は等しい。管状要素の全てのシーケンスの主切込部分990 間の距離は互いに等しい。
【0192】
図24に示されているように、夫々の副切込部分991 が管状要素の長手方向に各ブリッジ992 に隣り合って設けられている。
【0193】
副切込部分991 は、管状要素の長手方向に両側にブリッジ992 に隣り合って構成されている。副切込部分991 は主切込部分990 より短い。副切込部分991 は、隣り合う主切込部分990 の端部と重なり合う。
【0194】
全ての副切込部分991 の長さは、管状要素の周方向に互いに同一である。全ての副切込部分991 は互いに平行であり、主切込部分990 と平行である。
【0195】
副切込部分991 の各シーケンスは、管状要素の長手方向に両側で隣り合う主切込部分990 のシーケンスに関連付けられている。言い換えれば、主切込部分990 の各シーケンスは、副切込部分991 の近位側シーケンス及び副切込部分991 の遠位側シーケンスを有している。
【0196】
従って、管状要素の長手方向に沿って見ると、主切込部分990 のシーケンスの後に副切込部分991 の遠位側のシーケンスが続き、副切込部分991 のこの遠位側のシーケンスの後に、主切込部分990 の次のシーケンスの副切込部分991 の近位側のシーケンスが同様に続く。管状要素の長手方向に沿って見ると、副切込部分991 のシーケンスが、副切込部分991 の隣り合う更なるシーケンスを一方の側に有し、主切込部分990 の隣り合うシーケンスを他側に有する。
【0197】
副切込部分991 は、管状要素の長手方向に次の副切込部分991 より次の主切込部分990 に近いように構成されている。
【0198】
言い換えれば、副切込部分991 は、隣り合う副切込部分991 より隣り合う主切込部分990 に近くに配置されるように、主切込部分990 に隣り合って設けられている。
【0199】
図示のために、図24は、第1シーケンスの主切込部分のための副切込部分991 を副切込部分991aとして示し、第2シーケンスの主切込部分のための副切込部分991 を副切込部分991bとして示している。第1シーケンスの主切込部分のための副切込部分991aは、隣り合う副切込部分991bより隣り合う主切込部分990A, 990B, 990Cに近いように配置されている。従って、管状要素の隣り合う切込部分間の距離は同一ではない。
【0200】
管状要素の全ての副切込部分991 の切込幅は等しい。副切込部分991 の切込幅は主切込部分990 の切込幅より狭い。
【0201】
第2実施形態の効果
第1実施形態と同様に、第2実施形態の構造により、非常に高い可撓性と、加えて高いねじれ抵抗とを有する挿入管2 が保証される。
【0202】
更なる代替例
第1実施形態及び第2実施形態では、可撓性部分20は、近位方向に見ると、異なる可撓性の第1ゾーンB、第2ゾーンC及び第3ゾーンDを有している。異なる可撓性のゾーン又は領域の数は限定されない。可撓性部分20は、異なる可撓性のより多く又はより少ないゾーンを有してもよい。本発明は、可撓性部分20が連続的に一定の可撓性を有する挿入管に更に適用可能である。
【0203】
第1実施形態及び第2実施形態では、挿入管2 の管状要素はステンレス鋼から形成されている。本発明はこれに限定されない。挿入管2 の材料は、硬質プラスチック材料のような、十分に剛性を有するあらゆる材料であってもよい。別の代替例では、ニチノール(ニッケル-チタン合金)を管材料として使用することができる。この材料は、特にいわゆる超弾性の特性を有し、つまり、塑性変形することなく、大きな領域で弾性的に変形することができる。
【0204】
第1実施形態及び第2実施形態では、切込部分はレーザカッタによって管状要素に設けられている。前記切込部分は非常に正確に設けられてもよい。そのため、レーザによる製造が好ましい。しかしながら、基本的に、前記切込部分を他の製造工程、例えば鋸引き、ワイヤ鋸引きなどによって製造することも考えられる。
【0205】
第1実施形態及び第2実施形態では、偏向部分Aを2つの偏向方向、つまり図6及び図7では上方及び下方に偏向させることができる。代替例では、個々の接合部材6 は、ヘッド部622 が接合部材6 毎に偏移して偏向部分Aの軸芯(接合部材6 の軸芯)を中心として約90度、回転するように構成されてもよい。この代替例では、偏向部分Aを4つの偏向方向に、つまり図6及び図7では上方及び下方に並びに観察者に向かう方向及び観察者から離れる方向に偏向させることができる。
【0206】
偏向部分Aを4つの偏向方向に偏向させることができる代替例では、挿入管2 内に延びて互いに90度偏移している2本の制御ワイヤ9 を使用することができる。そのため、接合部材69は、互いに90度ずつ均等に偏移する4つの遠位側のスリットを有する。
【0207】
本実施形態では、夫々の接合部材6 が記載された形態で構成されている。本発明は、接合部材6 のこの形態に限定されない。互いに結合されて偏向部分Aの偏向移動を可能にする接合部材が偏向部分Aで切断されることが十分である。
【0208】
図24に示されている原理に従って構成された近位側受動的可撓性部分Cは、第1実施形態又は第2実施形態に適用可能である。これは、図24に示されている近位側受動的可撓性部分Cが挿入管2 全体のための一体の管状要素の一部を形成していることを意味する。従って、近位側受動的可撓性部分Cを有する挿入管2 全体のための管状要素は、レーザ切断によって管状要素から製造されている。
【0209】
代替例として、第1実施形態又は第2実施形態では、近位側受動的可撓性部分Cは、残りの挿入管2 とは別に製造され得る。
【0210】
図24の実施形態では、2つの夫々の副切込部分が、管状要素の長手方向にブリッジの両側にブリッジに隣り合って配置されている。一代替例では、夫々の副切込部分が、管状要素の長手方向にブリッジの一方の側にブリッジに隣り合って配置されてもよい。
【0211】
第1実施形態では、2つのブリッジが管状要素の周部に沿って主切込部分間に残るように、主切込部分が設けられている。
【0212】
第2実施形態では、4つのブリッジが管状要素の周部に沿って主切込部分間に残るように、主切込部分が設けられている。
【0213】
本発明はこれに限定されない。好ましくは、主切込部分間の管状要素の周部に沿ったブリッジの数は少なくとも2以上であり、あらゆる数であってもよい。
【0214】
第1実施形態では、主切込部分98の切込幅は副切込部分99の切込幅より大きい。第2実施形態でも、主切込部分の切込幅は副切込部分の切込幅より大きくてもよい。しかしながら、本発明の原理は、主切込部分の切込幅が副切込部分の切込幅に等しい場合にも適用可能である。
【0215】
本発明は、十二指腸内視鏡、胃内視鏡、大腸内視鏡又は同様の内視鏡に適用可能であることが有利である。本発明の原理は、あらゆる他のタイプの内視鏡にも適用可能である。
【0216】
本発明の原理は、挿入管を使用する他の医療機器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0217】
1 内視鏡
2 挿入管、パイプ
3 操作部
6 接合部材
8 ガイドばね
9 制御ワイヤ
20 可撓性部分
61 接合部材
62 接合部材
63 接合部材
69 最も遠位側に位置付けられた接合部材
70 切抜部分
71 ヒンジ
72 タブ
73 下耳部
74 上耳部
75 タブ中央部
77 孔
91 制御ワイヤの第1部分
92 制御ワイヤの第2部分
93 制御ワイヤの第3部分
97 ブリッジ
98 主切込部分
99 副切込部分
201 最上部からの切込部分
202 底部からの切込部分
203 切り込まれていない隙間
204 側部からの切込部分
601 ヘッドライン
602 ネックライン
603 ショルダーライン
604 アームライン
605 アームエンドライン
606 カーブフットライン
607 ボトムライン
608 ストレートフットライン
609 ウエストライン
621 本体
622 ヘッド部
623 アーム部
624 フット部
630 ケーブルガイドタブ
631 中心の孔
691 スリット
692 スリット
801 最上部からの切込部分
802 底部からの切込部分
803 切り込まれていない隙間
805 ショートカットを含む環状部分
811 最上部からのショートカット
812 底部からのショートカット
880 ケーブルガイドタブ
990 主切込部分
991 副切込部分
992 ブリッジ
1000 挿入管
1001 メタルリーフスパイラル
1002 メタルリーフスパイラル
1003 メタルメッシュ
1004 プラスチック被覆体
A 偏向部分
A’ 偏向部分
B 第1ゾーン(遠位側領域)
C 第2ゾーン(中央領域)
D 第3ゾーン(近位側領域)
F 第1の制御ホイール(第1の制御要素)
G 第2の制御ホイール(第2の制御要素)
H 距離
J 操作部ハウジング
K 移行領域
L 挿入管2の長手線
M 距離
N 距離
X 挿入管2の高い可撓性をもたらすための領域
Y 挿入管2の高いねじれ抵抗をもたらすための領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25