(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】シート材の折り畳み装置
(51)【国際特許分類】
B65H 45/20 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
B65H45/20
(21)【出願番号】P 2021534554
(86)(22)【出願日】2020-05-13
(86)【国際出願番号】 JP2020019125
(87)【国際公開番号】W WO2021014721
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2019135845
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000133157
【氏名又は名称】株式会社TANAX
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 一平
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-108213(JP,A)
【文献】特表2001-505858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 45/20
B65H 45/18
B65H 23/188
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺シート材を蛇腹状に折り畳むシート材の折り畳み装置であって、
横にした状態で所定の方向に送給されてくる前記長尺シート材を所定の間隔で
上下に交互に折り曲げる折曲手段と、
前記折り曲げられた箇所で前記長尺シート材を
下側から支持し、前記方向に搬送する複数の
ベルトコンベアから構成される搬送部と、
前記
搬送部を構成する前記複数のベルトコンベアのうち
、後方の
ベルトコンベアが前方の
ベルトコンベアよりも低速で前記長尺シート材を搬送するように前記
搬送部を制御する制御手段と
を備える、シート材の折り畳み装置。
【請求項2】
長尺シート材を蛇腹状に折り畳むシート材の折り畳み装置であって、
横にした状態で所定の方向に送給されてくる前記長尺シート材を所定の間隔で上下に交互に折り曲げる折曲手段と、
折り曲げられた前記長尺シート材の上側に位置する折り曲げ箇所で該シート材を懸垂支持する支持棒と、該支持棒を搬送する支持棒搬送機構とを含む、前記長尺シート材を前記方向に搬送する複数の搬送部と、
前記複数の搬送部のうち後方の搬送部が前方の搬送部よりも低速で前記長尺シート材を搬送するように前記複数の搬送部を制御する制御手段と
を備える、シート材の折り畳み装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシート材の折り畳み装置において、
前記長尺シート材が、紙製段ボールシート、プラスチック製段ボールシート、又は厚紙シートである、シート材の折り畳み装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面段ボールシート等の長尺なシート材を折り畳む装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被梱包物の形状及びサイズに応じて、該被梱包物を梱包するための段ボール箱の形状及びサイズを決定し、その段ボール箱の展開形状を段ボールシートから切り出し、罫入れや溝切り等の加工を行って段ボールブランクを製造した後、該段ボールブランクを組み立てて段ボール箱を製造するという、一連の工程を自動で行う段ボール箱製造装置が提供されている(非特許文献1)。このような段ボール箱製造装置に長尺な段ボールシートを供給することにより、様々な形状の段ボール箱を連続的に製造することができる。
【0003】
段ボールシートには、大きく分けて片面段ボールシートと両面段ボールシートがある。片面段ボールシートと異なり両面段ボールシートはロール状に巻回することができない。従って、上述した段ボール箱製造装置に長尺な両面段ボールシートを供給する場合は、両面段ボールシートを蛇腹状(ジグザグ状)に折り畳んで積み重ねたもの(シート積層体)が用いられる。
【0004】
長尺な両面段ボールシートを自動で蛇腹状に折り畳む装置として、特許文献1に記載された装置がある。この装置では、両面段ボールシートを水平方向に搬送する搬送路の終端部に配置された十字状のアームが回転することで、該アームの先端に取り付けられたロッドが、両面段ボールシートを所定の間隔毎に折り曲げる。両面段ボールシートは、折り曲げられる際に移動の方向が垂直方向に変更され、搬送路の終端部の下部に配置された収集箱に落下する。収集箱内に落下する際に両面段ボールシートは蛇腹状に折り畳まれ、積み重ねられる(縦積みされる)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】BOX ON DEMAND MACHINE, Panotec S.R.L,[2019年7月11日検索],インターネット<URL:http://www.boxondemand.technology/en/box-on-demand-machines/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した装置では、両面段ボールシートの折罫と折罫の間の部分(以下、「単位シート」)は、搬送路の終端部からシート積層体の上部に積み重なる間に、重力によって落下する。すなわち、搬送路の終端部からシート積層体の上部までの間の単位シートの駆動力は重力のみである。この間、単位シートは空気中を落下するため、空気抵抗を受ける。しかも、単位シートはその面に垂直な方向に落下するため、大きな空気抵抗を受ける。この空気抵抗は前記駆動力である重力に対する抵抗力として働き、単位シートの落下速度に応じて増大する。一方、重力は一定であるため、単位シートは重力と空気抵抗が等しくなる速度で落下することになる。つまり、単位シートはその面積と重量に応じた速度でしか自然落下することができない。そのため、特許文献1に記載されている折り畳み装置では、搬送路における搬送速度をいくら大きくしても、その終端における積み重ね速度がネックとなり、装置全体の処理速度を大きくすることができないという問題があった。
【0008】
なお、ここでは、両面段ボールシートを蛇腹状に折り畳んで積層する場合について説明したが、折り曲げ可能で、且つ、折り曲げた箇所に折り目が付くような素材(片面段ボール、厚紙等)から成る長尺なシート材を蛇腹状に折り畳んで積層する場合も同様の問題がある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、長尺なシート材を蛇腹状に折り畳んでシート材の積層体を製造する際の処理速度を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明は、長尺シート材を蛇腹状に折り畳むシート材の折り畳み装置であって、
所定の方向に送給されてくる前記長尺シート材を所定の間隔で交互に折り曲げる折曲手段と、
前記折り曲げられた箇所で前記長尺シート材を支持し、前記方向に搬送する複数の搬送部と、
前記複数の搬送部のうち後方の搬送部が前方の搬送部よりも低速で前記長尺シート材を搬送するように前記複数の搬送部を制御する制御手段とを備える。
【0011】
本発明に係るシート材の折り畳み装置は、長尺な両面段ボールシートを蛇腹状に折り畳むために好適に使用されるが、これに限らず、片面段ボールシート、厚紙シート、ガゼット袋に使用される長尺なプラスチック(例えばポリエチレン)製、紙製等のシート状チューブ等、様々な長尺シート材を蛇腹状に折り畳む場合にも使用することができる。また、両面及び片面段ボールシートには、紙製段ボールシートに限らず、プラスチック製段ボールシート(いわゆる「プラダン」)も含まれる。
【0012】
本発明のシート材の折り畳み装置では、所定の方向に送給されてくる長尺シート材は、折曲手段によって所定の間隔で交互に折り曲げられる。ここで、長尺シート材は横にした状態で送給されていても良く、立てた状態で送給されていても良い。また、所定の間隔は一定の間隔でも良く、不規則な間隔でも良い。さらに、送給されてくる長尺シート材は、予め折罫が付けられていても良く、折罫が付けられていなくても良い。さらにまた、本発明のシート材の折り畳み装置が、所定の間隔で折罫を付ける手段を備えていても良い。
【0013】
本発明において、交互に折り曲げられる、とは、連続する2回の折り曲げられた箇所の折り曲げ方向が互いに逆であることをいい、これにより、長尺シート材はジグザグ状に折れ曲がる。ジグザグ状に折れ曲がった長尺シート材は、複数の搬送部によって折り曲げられた箇所で支持され、前記方向に搬送される。この場合、折り曲げられた箇所の全てで支持されても良いが、1個おき、2個おき等、複数個おきに折り曲げ箇所が支持されていても良く、不規則な間隔で折り曲げ箇所が支持されていても良い。
【0014】
複数の搬送部は、後方(搬送方向(つまり、前記方向)の下流側)の搬送部が前方(搬送方向の上流側)の搬送部よりも低速で前記ジグザグ状に折れ曲がった長尺シート材を搬送するため、該長尺シート材は後方に向かうにつれて徐々に滞留し、また、前方から搬送されてくる長尺シート材に押されることによって横方向に蛇腹状に折り畳まれる。蛇腹状に折り畳まれた長尺シート材はスタッカー等で回収される。
【0015】
このように本発明のシート材の折り畳み装置では、長尺シート材を送給する方向と、該長尺シートを折り曲げて折り畳む方向、つまり搬送方向が同じであるため、該長尺シート材を送給してくる力を長尺シート材の折り畳みに利用することができる。
【0016】
本発明において、搬送部の数、各搬送部の長さ(ジグザグ状に折り曲げられた長尺シートを搬送する距離)は、長尺シート材を折り曲げる間隔、長尺シート材の単位面積あたりの重量(坪量)、搬送速度等、様々な要因に基づいて決めることができる。搬送部の数が多い方が、前方から後方に向けて搬送速度を少しずつ低速にすることができるため、長尺シート材を滑らかに搬送することができるが、搬送部の数が多くなるとその分、装置が複雑になるため、3~10個程度が好ましい。
【0017】
また、本発明に係る折り畳み装置は、前記長尺シート材が、横にした状態で所定の方向に送給されてくるものであって、
前記折曲手段が、前記長尺シート材を上下に交互に折り曲げるように構成されており、
前記搬送部が、ベルトコンベアを含むことが好ましい。
【0018】
上記構成では、長尺シート材は上下にジグザグ状に折り曲げられ、下側に位置する折り曲げ箇所でベルトコンベアに支持されて搬送される。
【0019】
また、本発明に係る折り畳み装置は、前記長尺シート材が、横にした状態で所定の方向に送給されてくるものであって、
前記折曲手段が、前記長尺シート材を上下に交互に折り曲げるように構成されており、
前記複数の搬送部が、折り曲げられた前記長尺シート材の上側に位置する折り曲げ箇所で該長尺シート材を懸垂支持する支持棒と、該支持棒を搬送する支持棒搬送機構とを含むことが好ましい。
【0020】
上記構成では、所定の方向に送給されてくる長尺シート材が、予め所定の間隔で複数の折罫が付与されている長尺シート材であるときは、前記支持棒は1個おきに折罫の箇所で長尺シート材を懸垂支持すると良い。これにより、長尺シート材は、搬送される際に、懸垂支持された折罫の箇所、及び懸垂支持されていない折罫の箇所で、それぞれで逆方向に折り曲げられる。従って、この構成では、支持棒及び支持棒搬送機構が折曲手段としても機能することになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のシート材の折り畳み装置では、複数の搬送部が長尺シート材を順に搬送する過程において該シート材が折り畳まれる。このとき、長尺シート材が送給されてくる方向と、該長尺シートを折り曲げて折り畳む方向、つまり搬送方向が同じであるため、該長尺シート材を送給してくる力を長尺シート材の折り畳みに利用することができる。したがって、長尺シート材を送給してくる力を重力以上に強くすることにより、折り曲げられた後の長尺シート材の搬送速度、つまり折り畳み速度を従来よりも大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る折り畳み装置を利用した、段ボールシートの積層体の製造工程の概略構成図。
【
図2】本発明の第1実施形態の折り畳み装置の概略構成図。
【
図3】両面段ボール素材がジグザグ状に折り曲げられていく様子を説明するための図。
【
図4】本発明の第2実施形態の折り畳み装置の概略構成図。
【
図5】本発明の第3実施形態の折り畳み装置の概略構成図。
【
図6】本発明の第4実施形態の折り畳み装置の概略構成図。
【
図7】本発明の第5実施形態の折り畳み装置の概略構成図。
【
図8】本発明の第6実施形態の折り畳み装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るシート材の折り畳み装置の具体的な実施形態について図面を参照して説明する。
まず、
図1により、両面段ボール素材の製造工程、及びそこで製造された両面段ボール素材が折り畳み装置100に供給されるまでの流れについて説明する。
図1には、所定の間隔で折罫が付与された両面段ボール素材の製造工程の一例が示されている。
【0024】
図1において、表ライナー紙61のロール12、中しん紙62のロール14、裏ライナー紙63のロール16からそれぞれ原紙61、62、63が引き出され、まず、シングルフェイサ20においてコルゲータ21により中しん紙62に波形の段が形成され、表ライナー紙61と接着されて片面段ボール17が製造される。次にダブルフェイサ30において、この片面段ボール17の波板側に裏ライナー紙63が接着され、両面段ボール素材60が製造される。両面段ボール素材60は、それぞれが長尺な表ライナー紙61、中しん紙62、裏ライナー紙63から構成されており、本発明の長尺シート材に相当する。なお、各原紙は接着剤による貼合前にヒータ22、31、32により加熱され、製造された両面段ボール素材60もヒータ33により加熱される。これにより、3枚の原紙61、62、63は強固に接着される。
【0025】
製造された両面段ボール素材60は、図示しない搬送装置によって波目と垂直な方向(流れ方向)に搬送され、折罫付与装置40まで移動することにより所定の長さ毎に折罫が形成される。折罫が付与された両面段ボール素材60は、本発明に係る折り畳み装置100に送給される。折り畳み装置100では、送給されてくる方向と同じ方向に両面段ボール素材60を搬送し、その過程において両面段ボール素材60を交互に折り曲げる。交互に折り曲げられた両面段ボール素材60は最終的に蛇腹状に折り畳まれ、スタッカー101に収容される。これにより蛇腹状に積み重ねられた両面段ボール素材60(以下、積層体60Aという)が形成される。スタッカー101が積層体60Aでいっぱいになると、該積層体60Aは両面段ボール素材60から切り離される。
【0026】
なお、スタッカー101には、横方向に積み重ねられた状態の積層体60Aが収容される場合と、縦方向に積み重ねられた積層体60Aが収容される場合がある(具体的には、
図1の右端に示されている2個の積層体60Aのうち左側は横方向に、右側は縦方向に積み重ねられている状態を示している)。以下、横方向に積み重ねることを「横積み」、縦方向に積み重ねることを「縦積み」とも言う。
【0027】
[第1実施形態]
図2は第1実施形態のシート材の折り畳み装置100の概略構成図である。折り畳み装置100は、上下に並んで配置された搬送ローラ110,111と、スタッカー101と、該搬送ローラ110,111とスタッカー101との間に配置された複数のベルトコンベア120とを備えている。複数のベルトコンベア120は、両面段ボール素材60を搬送ローラ110,111側(前方)からスタッカー101側(後方)に向けて搬送する。本実施形態では、スタッカー101は搬送ローラ110,111よりも下方に位置しており、このため、7個のベルトコンベア120のうち第1コンベアの上面は略水平であるが、それ以外は、いずれも搬送ローラ110,111側からスタッカー101側に向かって下方に傾斜している。
【0028】
なお、
図2は7個のベルトコンベア120が配置された例を示しているが、これに限定されない。また、以下の説明で7個のベルトコンベア120のいずれかを特定するときは、搬送ローラ110,111側からスタッカー101側に向かって順に第1、第2・・・第7コンベアと呼ぶこととする。本実施形態では、これら第1~第7コンベア(複数のベルトコンベア120)のそれぞれが搬送部に相当する。
【0029】
各ベルトコンベア120は、主動プーリ121及び従動プーリ122と、これらプーリ121,122の間に掛け渡された環状ベルト123と、主動プーリ121を回転させる駆動機構124とを備えている。なお、
図2では、1個の駆動機構124のみ描いているが、実際は、各ベルトコンベア120に駆動機構124が備えられており、各駆動機構124は制御装置150によって制御される。制御装置150は、第1コンベアから第7コンベアに向かって段階的に主動プーリ121の回転速度が低下するように、各駆動機構124を制御する。
【0030】
複数のベルトコンベア120のうち第1コンベア及び第2コンベアの間には、両面段ボール素材60を折罫の箇所で交互に折り曲げるための仮折り装置130が配置されている。仮折り装置130は、ピン131と該ピン131を上下動させる駆動機構132とを備えている。ピン131は、通常は第1及び第2コンベアの上面よりも下側に位置しており、駆動機構132が駆動することによりその上端が第1及び第2コンベアよりも上側に突出する。このとき、両面段ボール素材60に形成された折罫を先頭側から順に1番目、2番目・・・n番目の折罫とすると、駆動機構132は、例えば奇数番目の折罫が第1コンベアと第2コンベアの間を通過するときに突出量が最大となり、偶数番目の折罫が第1コンベアと第2コンベアの間を通過するときは第1及び第2コンベアの上面よりも下側に位置するようなタイミングでピン131を上下動させる。これにより、奇数番目の折罫が上に、偶数番目の折罫が下に位置する状態で両面段ボール素材60が交互に折り曲げられる。また、駆動機構132が、例えば偶数番目の折罫が第1コンベアと第2コンベアの間を通過するときに突出量が最大となり、奇数番目の折罫が第1コンベアと第2コンベアの間を通過するときは第1及び第2コンベアの上面よりも下側に位置するようなタイミングでピン131を上下動させる場合は、偶数番目の折罫が上に、奇数番目の折罫が下に位置する状態で両面段ボール素材60が交互に折り曲げられる。その結果、両面段ボール素材60は下に位置する折罫の箇所でベルトコンベア120に支持され、スタッカー101に向かって搬送される。
【0031】
第7コンベアの後端部の上部にはカッター140が配置されている。このカッター140は、スタッカー101に収容された積層体60Aを両面段ボール素材60から切り離すためのものであり、例えば、両面段ボール素材60の幅とほぼ同じ長さの切り刃を備えている。
【0032】
第7コンベアの後端部には、ストッパーシャッター145配置されている。ストッパーシャッター145は、第7コンベアの後端部に立設した状態(
図2に実線で示す状態)と第7コンベアよりも下に倒れた状態(
図2に破線で示す状態)に回動変位可能に構成されている。ストッパーシャッター145は、通常は倒れた状態にあり、スタッカー101に収容された積層体60Aをカッター140で両面段ボール素材60から切り離す際に立設した状態とされる。
【0033】
スタッカー101は、上面が傾斜面から成る製品受け部102と、製品仮受けシャッター103とを有している。製品仮受けシャッター103は、製品受け部102上に立設している。製品仮受けシャッター103は通常は製品受け部102の前方に位置しており、第7コンベアの後端から送られてくるジグザグ状に折り畳まれた両面段ボール素材60に押されて徐々に後方に移動する。製品仮受けシャッター103が製品受け部102の後端に位置するとき、該製品仮受けシャッター103は後方に倒れた状態に回動変位可能に構成されている。
【0034】
次に、折り畳み装置100の動作を
図2及び
図3を参照して説明する。
まず、制御装置150から複数のベルトコンベア120の駆動機構124に対してそれぞれ制御指令が送られる。その結果、各ベルトコンベア120の駆動機構124は、主動プーリ121を回転し、これにより、環状ベルト123が回転する。このとき、第1コンベアから第7コンベアに向かって環状ベルト123の回転速度(搬送速度)が段階的に遅くなるように、制御装置150は各駆動機構124を制御する。例えば、第1コンベアの環状ベルト123の回転速度をV1とすると、第1~第7コンベアの環状ベルト123の回転速度V2~V7は、V1に係数k(kは、0<k<1を満たす実数)を掛けた値とすることができる。
【0035】
複数のベルトコンベア120の環状ベルト123が回転している状態で搬送ローラ110,111の間から両面段ボール素材60が送給されてくると、その両面段ボール素材60は第1コンベアによって後方に向かって送給方向と同じ方向に搬送される。そして、例えば駆動機構132が、奇数番目の折罫が第1コンベアと第2コンベアの間を通過するときに突出量が最大となり、偶数番目の折罫が第1コンベアと第2コンベアの間を通過するときは第1及び第2コンベアの上面よりも下側に位置するようなタイミングでピン131を上下動させる場合は、次のようになる。
【0036】
まず、1番目の折罫が第1コンベアと第2コンベアの間を通過するタイミングでピン131が最大量突出するように、仮折り装置130の駆動機構132がピン131の上下動を開始する。これにより両面段ボール素材60は1番目の折罫の箇所で上側に折れ曲がり、この結果、該折罫よりも後方の両面段ボール素材60はその先端でベルトコンベア120に支持される。また、両面段ボール素材60は、1番目の折罫で上に折り曲げられることに伴い、2番目の折罫では下に折り曲げられ、該折罫でベルトコンベア120に支持される。そして、3番目の折罫が第1コンベアと第2コンベアの間を通過するタイミングで最大量突出するように再びピン131が上下動され、この結果、両面段ボール素材60は、3番目の折罫で上に、4番目の折罫で下に折り曲げられる。以下、同様にして両面段ボール素材60は、奇数番目の折罫で上に、偶数番目の折罫で下に折り曲げられる。
【0037】
一方、駆動機構132が、偶数番目の折罫が第1コンベアと第2コンベアの間を通過するときに突出量が最大となり、奇数番目の折罫が第1コンベアと第2コンベアの間を通過するときは第1及び第2コンベアの上面よりも下側に位置するようなタイミングでピン131を上下動させる場合は、両面段ボール素材60は、偶数番目の折罫で上に、奇数番目の折罫で下に折り曲げられる。
以上によりジグザグ状に折り曲げられた両面段ボール素材60は、ベルトコンベア120によって、下側にくる折罫の箇所で支持されながらスタッカー101に向けて搬送される。
【0038】
このとき、第1コンベアから第7コンベアに向かうにつれて両面段ボール素材60の搬送速度が小さくなっているため、
図3に示すように、ジグザグ状に折り曲げられた両面段ボール素材60は徐々にベルトコンベア120上に滞留する。そして、次々と搬送されてくるジグザグ状に折り曲げられた両面段ボール素材60に押されることによって滞留している両面段ボール素材60は蛇腹状に折り畳まれ、やがて、第7コンベアから押し出されてスタッカー101に横積みされた状態の積層体60Aとなって収容される。
【0039】
スタッカー101に収容された積層体60Aが所定量になり、製品仮受けシャッター103が製品受け部102の後端までくると、作業者はストッパーシャッター145を立設させて、それ以上の両面段ボール素材60がスタッカー101に進入しないようにする。そして、積層体60Aと両面段ボール素材60の間をカッター140で切断する。その後、スタッカー101の製品仮受けシャッター103を倒して該スタッカー101内の積層体60Aをパレット160に移す。
【0040】
以上の作業が完了すると、製品仮受けシャッター103を立設させて製品受け部102の前端まで移動させるとともにストッパーシャッター145を横に倒して、該ストッパーシャッター145の前に溜まっている両面段ボール素材60をスタッカー101に移す。そして、再び上述したようにして、両面段ボール素材60をジグザグ状に折り曲げて、蛇腹状に折り畳まれた積層体60Aを製造する。
【0041】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態の折り畳み装置100Aを示している。なお、以下では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と同一部分には同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0042】
第2実施形態の折り畳み装置100Aでは、複数の搬送部は7個のベルトコンベア120と、送りベルト機構200とから構成されている。ベルトコンベア120のうち第1コンベア及び第2コンベアは略水平に配置され、第3~第7コンベアは前方から後方に向かって上方に傾斜するように配置されている。本実施形態においても、ベルトコンベア120は主動プーリ121、従動プーリ122、環状ベルト123、駆動機構124を備えている。複数のベルトコンベア120の駆動機構124はそれぞれ制御装置150によって制御されており、第1コンベアから第7コンベアに向かって段階的に搬送速度が低下するように調整される。
【0043】
送りベルト機構200は、7個のベルトコンベア120のうち第3~第7コンベアの上に配置されている。送りベルト機構200は、4個の送りローラ201とこれら送りローラ201の間に掛け渡された環状ベルト202から成り、第4~第7コンベアとの間で両面段ボール素材60を支持する。
【0044】
第7コンベアよりも後方であって該第7コンベアの後端よりも下部には上面が水平面であるスタッカー210が配置されている。スタッカー210は、積層体60Aを受けるための位置(
図4に実線で示す位置(受け位置))と、退避位置(
図4に破線で示す位置)との間でスライド可能に構成されている。また、第7コンベアの後端には、ジグザグ状に折り曲げられた両面段ボール素材60を、受け位置にあるスタッカー210に案内するための断面円弧状の案内板220が取り付けられている。
【0045】
上記構成の折り畳み装置100Aでは、複数のベルトコンベア120の環状ベルト123が回転している状態で搬送ローラ110,111の間から送給されてくる両面段ボール素材60は、奇数番目又は偶数番目の折罫の箇所で上に、偶数番目又は奇数番目の折罫の箇所で下に折り曲げられながら複数のベルトコンベア120によってスタッカー210に向かって搬送される。このとき、第3コンベアを通過した両面段ボール素材60は、下側の折罫の箇所で第4コンベアから第7コンベアに支持され、上側の折罫の箇所で送りベルト機構200に支持された状態で第4~第7コンベアによって搬送される。このため、前方から後方に向かって傾斜配置された第4~第7コンベアによって搬送される際に両面段ボール素材60が前方に戻されることが防止される。また、第7コンベアの終端に到達した両面段ボール素材60は、案内板220に案内されてスタッカー210内に縦積みされる。スタッカー210内に縦積みされた積層体60Aが所定量になると、スタッカー201をスライドさせて該積層体60Aをパレット160に移す。すなわち、本実施形態では、スタッカー210に収容された積層体60Aをそのままの向き(縦向き)でパレット160に移すことができる。
【0046】
[第3実施形態]
図5は、第3実施形態の折り畳み装置100Bを示している。この折り畳み装置100Bは、略水平状態に配置された7個のベルトコンベア120(第1~第7コンベア)から搬送部が構成されている。第7コンベアの後方であって該第7コンベアの後端よりも下部にはスタッカー210が配置されており、第7コンベアの後端には、ジグザグ状に折り曲げられた両面段ボール素材60をスタッカー210に案内するための断面円弧状の案内板220が取り付けられている。その他の構成は第1実施形態とほぼ同じであるため、同一部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
上記構成の折り畳み装置100Bにおいても、第1実施形態又は第2実施形態と同様に、第1~第7コンベアによって搬送される過程において、両面段ボール素材60は交互に折り曲げられ、蛇腹状に折り畳まれた状態でスタッカー210に収容される。
【0048】
[第4実施形態]
図6は、第4実施形態の折り畳み装置100Cを示している。この折り畳み装置100Cは、複数の搬送部が3個のベルトコンベア120(第1~第3コンベア)から構成されており、第1コンベアのみ前方から後方に向かって上方に傾斜し、それ以外のコンベアは略水平に配置されている。また、第3コンベアの後方にはスタッカー101が配置されており、該スタッカー101の後方のやや下部には第2ストッパーシャッター310が配置されている。スタッカー101とストッパーシャッター310の間には積層体60Aを案内するための案内板220が取り付けられている。
【0049】
この折り畳み装置100Cでは、仮折り装置300は、ピン301と、該ピン301を上下動させるとともに前後に揺動させる駆動機構302とを備えている。この仮折り装置300は、第1実施形態と略同じタイミングでピン301を上下動させ、ピン301が最も突出するタイミングで該ピン301を前方に揺動させる。これにより、第1コンベアを搬送されてくる両面段ボール素材60は、折罫の箇所で折られるとともに後方に押し出される。つまり、仮折り装置300は折曲手段として機能するだけでなく、両面段ボール素材60を後方に移動させる手段としても機能する。
【0050】
また、この折り畳み装置100Cでは、スタッカー101に収容された積層体60Aが所定量になると、作業者はストッパーシャッター103を倒して、積層体60Aを後方に押し出す。すると、積層体60Aは案内板220に沿って第2ストッパーシャッター310の上に移される。この状態で積層体60Aは縦積み状態となる。その後、第2ストッパーシャッター310を退避位置に移動させることで、該第2ストッパーシャッター310上の積層体60Aはパレット160上に落とされる。
【0051】
[第5実施形態]
図7は、第5実施形態の折り畳み装置100Dを示している。この折り畳み装置100Dは、仮折り装置400の構成が第4実施形態と異なっている。この仮折り装置400は、回転体401と該回転体401に取り付けられたピン402と、該回転体401を回転させるとともにピン402を上下動させる駆動装置403とを備えている。回転体401は搬送部としても機能する。
【0052】
仮折り装置400は、両面段ボール素材60の奇数番目又は偶数番目の罫線が所定の位置にくるときにピン402がその下に位置するように回転体401を回転し、そのときピン402が最も突出するように該ピン402を駆動する。これにより、第1コンベアによって搬送されてくる両面段ボール素材60は、回転体401によって後方に搬送されるとともに奇数番目又は偶数番目の折罫の箇所で上に、偶数番目又は奇数番目の折罫の箇所で下に折られる。
【0053】
[第6実施形態]
図8は、第6実施形態の折り畳み装置100Eを示している。この折り畳み装置100Eは、第1搬送部500と、その後方の第2搬送部510と、その後方の第3搬送部520とによって両面段ボール素材60が搬送されるように構成されている。第1搬送部500は、1個のベルトコンベア120から構成されている。また、第3搬送部520は2個のベルトコンベア120から構成されている。
【0054】
これらのベルトコンベア120は、第1実施形態と同様、主動プーリ、従動プーリ、環状ベルト、駆動装置とを備えている。一方、第2搬送部510は、複数本の支持棒511と、これら支持棒511を搬送する支持棒搬送機構512とを備えている。
【0055】
支持棒搬送機構512は、外側搬送部513と内側搬送部517と、支持棒搬送機構512を駆動する駆動部(図示せず)とを有している。外側搬送部513は、第1搬送部500に連なる主部搬送部514と、該主部搬送部514の後端から下方に延びる後部搬送部515と、該後部搬送部515の下端から主部搬送部514の前端に向かって延びる2個のベルトコンベアから成る戻し部516とから成る。内側搬送部517は、外側搬送部513の主部搬送部514と対向する3個のレール(ローラレール、チェーンレール等のレール。以下同じ。)と、後部搬送部515と対向する1個のレールとから構成されている。駆動機構は、戻し部516を構成する2個のレール又はベルトコンベア、及び内側搬送部517を構成する4個のレールを駆動する。
【0056】
支持棒搬送機構512は、外側搬送部513の主部搬送部514及び後部搬送部515と内側搬送部517の間で支持棒511を支持した状態で該支持棒511を外側搬送部515の主部搬送部514の前端から後部搬送部515の後端まで搬送する。その後、支持棒511は、戻し部516によって主部搬送部514の前端まで戻される。このとき、支持棒511が、第1搬送部500から搬送されてくる両面段ボール素材60の奇数番目又は偶数番目の折罫の箇所で該両面段ボール素材60を支持するように、支持棒搬送機構512は駆動される。
【0057】
なお、本実施形態では、第1搬送部500を構成するベルトコンベア120、第2搬送部510の内側搬送部517のうち主部搬送部514と対向する3個のレール、第3搬送部520を構成する2個のベルトコンベア120は、前方から後方に向かって段階的に低速に両面段ボール素材60を搬送するように駆動される。
【0058】
上記構成の折り畳み装置100Eでは、第1搬送部500、第2搬送部510の内側搬送部517を構成する4個のレール、外側搬送部513の戻し部516を構成するレール又はベルトコンベア、第3搬送部520を構成する2個のベルトコンベア120が駆動された状態で、搬送ローラ110、111の間から両面段ボール素材60が送給されてくると、該両面段ボール素材60は第1~第3搬送部500、510、520によってスタッカー101に向けて搬送される。このとき、両面段ボール素材60の先端が第2搬送部510に達すると、該両面段ボール素材60は外側搬送部513と内側搬送部517の間に進入する。そして、両面段ボール素材60は奇数番目又は偶数番目の折罫の箇所で支持棒511に懸垂支持される。これにより、両面段ボール素材60は、奇数番目又は偶数番目の折罫の箇所で上に、偶数番目又は奇数番目の折罫の箇所で下に、ジグザグ状に折れ曲がる。
【0059】
第2搬送部510でジグザグ状に折り曲げられた両面段ボール素材60は、第3搬送部520によって引き続き搬送され、蛇腹状に折り畳まれた状態でスタッカー101に収容される。
【符号の説明】
【0060】
60…両面段ボール素材
60A…積層体
100、100A、100B、100C、100D、100E…折り畳み装置
120…ベルトコンベア(搬送部)
130、300、400…仮折り装置
150…制御装置
500…第1搬送部
510…第2搬送部
511…支持棒
512…支持棒搬送機構
520…第3搬送部