IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイエル・ヘルスケア・エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】液注入器システム用シリンジ保持特徴部
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A61M5/145 510
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021538168
(86)(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 US2019050293
(87)【国際公開番号】W WO2020055785
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】62/729,642
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507021757
【氏名又は名称】バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・スポーン
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・コーワン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ベリー
(72)【発明者】
【氏名】キース・リップフォード
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・リード
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・キャンベル
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・カポーン
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-511356(JP,A)
【文献】特開2018-138230(JP,A)
【文献】国際公開第2018/053074(WO,A1)
【文献】特表2016-537059(JP,A)
【文献】国際公開第2015/058088(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用液を輸液する注入器システムであって、
少なくとも1つのシリンジを受け入れるように構成されており、プランジャ又は前記少なくとも1つのシリンジの端の壁に着脱可能に係合して往復駆動する少なくとも1つのピストンを備える注入器と、
1つ以上の保持要素を収容するブラケットを備えるシリンジ保持接続装置であって、前記1つ以上の保持要素は、前記少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部に係合して、前記少なくとも1つのピストンの先端方向への移動により前記医療用液がリザーバーから輸液される際の前記注入器に対する先端方向への前記少なくとも1つのシリンジの移動を制限するように構成されているシリンジ保持接続装置と
を備え
前記1つ以上の保持要素は、前記少なくとも1つのシリンジの長手方向軸に対して横方向に移動可能であるように構成されているスライド可能アームを備える、注入器システム。
【請求項2】
前記1つ以上の保持要素は、前記少なくとも1つのシリンジの前記先端部にあるフランジに係合するように構成されている、請求項1に記載の注入器システム。
【請求項3】
各保持要素は、前記フランジの先端側の面に係合するように構成されている第1の面と、前記フランジの基端側の面に係合するように構成されている第2の面とを備える、請求項2に記載の注入器システム。
【請求項4】
前記1つ以上の保持要素は、前記少なくとも1つのシリンジの前記先端部の円錐部の少なくとも一部に係合するように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の注入器システム。
【請求項5】
前記スライド可能アームは、前記スライド可能アームが前記少なくとも1つのシリンジの前記先端部の前記少なくとも一部から外れている第1の位置と、前記スライド可能アームが前記少なくとも1つのシリンジの前記先端部の前記少なくとも一部に係合して、前記注入器に対する前記先端方向への前記少なくとも1つのシリンジの移動を制限する第2の位置との間で前記少なくとも1つのシリンジの前記先端部に対して横に移動可能である、請求項に記載の注入器システム。
【請求項6】
前記スライド可能アームは、前記少なくとも1つのシリンジの外径を超える直径を持つ開口が前記スライド可能アームに形成される第1の位置と、前記注入器に対する前記先端方向への前記少なくとも1つのシリンジの移動が前記スライド可能アームによって制限されるように前記開口の前記直径が前記少なくとも1つのシリンジの外径未満である第2の位置との間で前記少なくとも1つのシリンジの前記先端部に対して横方向に移動可能である、請求項に記載の注入器システム。
【請求項7】
操作者が手動で前記1つ以上の保持要素を作動させるか、または前記1つ以上の保持要素の作動を操作するようにプログラムまたは構成された少なくとも1つのプロセッサを用いて自動的に前記1つ以上の保持要素を作動させる、請求項1からのいずれか一項に記載の注入器システム。
【請求項8】
前記シリンジ保持接続装置は、前記注入器に動作可能に接続されて前記注入器の長手方向軸まわりに回転可能である回転アームを備え、
前記回転アームは、前記少なくとも1つのシリンジの前記先端部の前記少なくとも一部に係合する前記1つ以上の保持要素を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の注入器システム。
【請求項9】
前記回転アームは、前記1つ以上の保持要素が前記少なくとも1つのシリンジの前記先端部の前記少なくとも一部から外れている第1の位置と、前記保持要素が前記少なくとも1つのシリンジの前記先端部の前記少なくとも一部に係合して、前記注入器に対する前記先端方向への前記少なくとも1つのシリンジの移動を制限する第2の位置との間で回転するように構成されている、請求項に記載の注入器システム。
【請求項10】
前記1つ以上の保持要素の各々は、キャップ保持アームとフランジ保持アームとの少なくとも一方を備え、
前記回転アームが前記少なくとも1つのシリンジの前記先端部の前記少なくとも一部に係合するように位置する場合、前記キャップ保持アームは前記少なくとも1つのシリンジのキャップに係合し、前記フランジ保持アームは前記少なくとも1つのシリンジの前記先端部の前記少なくとも一部にあるフランジに係合する、請求項又はに記載の注入器システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのシリンジは、前記端の壁を備える転動型ダイヤフラムシリンジであり、前記転動型ダイヤフラムシリンジは、前記注入器に設けられる耐圧ジャケットに入れられる、請求項1から10のいずれか一項に記載の注入器システム。
【請求項12】
医療用液を輸液する注入器システムであって、
なくとも1つのシリンジを受け入れるように構成されており、プランジャ又は前記少なくとも1つのシリンジの端の壁に着脱可能に係合して往復駆動する少なくとも1つのピストンを備える注入器と、
1つ以上の保持要素を収容するブラケットを備えるシリンジ保持接続装置であって、前記1つ以上の保持要素は、前記少なくとも1つのシリンジの先端円錐部の少なくとも一部に係合して、前記少なくとも1つのピストンの先端方向への移動により前記医療用液がリザーバーから輸液される際の前記注入器に対する前記先端方向への前記少なくとも1つのシリンジの前記移動を制限するように成形されている保持面を有するシリンジ保持接続装置と
を備え、
前記1つ以上の保持要素は、前記少なくとも1つのシリンジの長手方向軸に対して横方向に移動可能であるように構成されているスライド可能アームを備える、注入器システム。
【請求項13】
前記シリンジ保持接続装置は、回転して互いに離接するように構成されている少なくとも2つの保持アームを備え、
各保持アームは、各保持アームの先端に設けられる保持要素を備える、請求項12に記載の注入器システム。
【請求項14】
前記保持アームは第1の位置と第2の位置との間で回転可能であり、
前記保持アームが前記第1の位置から前記第2の位置に回転する際、前記保持要素は前記少なくとも1つのシリンジの前記先端円錐部の前記少なくとも一部に係合し、
前記保持アームが前記第2の位置から前記第1の位置に回転する際、前記保持要素は前記少なくとも1つのシリンジの前記先端円錐部の前記少なくとも一部から外れる、
請求項13に記載の注入器システム。
【請求項15】
前記シリンジ保持接続装置は、前記保持アームが前記第2の位置まで回転した後に前記保持アームに係合して前記保持アーム同士が分離することを防ぐロック機構をさらに備える、請求項14に記載の注入器システム。
【請求項16】
前記シリンジ保持接続装置は、各保持アームの前記先端に設けられる少なくとも1つのロック突起をさらに備え、
前記ロック機構には、少なくとも1つのロック突起を受け入れて、前記保持アーム同士が分離するのを防ぐように構成されている少なくとも1つのロック溝が形成される、請求項15に記載の注入器システム。
【請求項17】
前記シリンジ保持接続装置は少なくとも2つの保持要素を備え、前記少なくとも2つの保持要素は、前記注入器上で保持されるカムプレートに動作可能に接続される、請求項16に記載の注入器システム。
【請求項18】
前記カムプレートは第1の位置と第2の位置との間で回転可能であり、
前記カムプレートが前記第1の位置から前記第2の位置に回転する際、前記少なくとも2つの保持要素は前記少なくとも1つのシリンジの前記先端円錐部の前記少なくとも一部に係合し、
前記カムプレートが前記第2の位置から前記第1の位置に回転する際、前記少なくとも2つの保持要素は前記少なくとも1つのシリンジの前記先端円錐部の前記少なくとも一部から外れる、
請求項17に記載の注入器システム。
【請求項19】
前記シリンジ保持接続装置は、前記保持要素が前記少なくとも1つのシリンジの前記先端円錐部に係合した後に前記保持要素を適所にロックする、各保持要素に対応するロックスライド部をさらに備える、請求項17に記載の注入器システム。
【請求項20】
前記少なくとも2つの保持要素は、前記少なくとも1つのシリンジの前記先端円錐部にあるフランジの基端側で前記少なくとも1つのシリンジの前記先端円錐部に係合する、請求項17から19のいずれか一項に記載の注入器システム。
【請求項21】
前記保持要素の各々は、前記注入器に動作可能に接続される回転アームに動作可能に接続される、請求項16から20のいずれか一項に記載の注入器システム。
【請求項22】
前記回転アームは、前記回転アームが前記少なくとも1つのシリンジの前記先端円錐部から外れている第1の位置と、前記回転アームが前記少なくとも1つのシリンジの前記先端円錐部に係合して、前記少なくとも1つのシリンジが前記注入器に対して前記先端方向に動くことを防ぐ第2の位置との間で移動可能である、請求項21に記載の注入器システム。
【請求項23】
前記シリンジ保持接続装置は、前記保持要素が前記少なくとも1つのシリンジの前記先端円錐部に係合した後に前記保持要素を適所にロックする、各保持要素に対応する少なくとも1つのロック要素をさらに備える、請求項21に記載の注入器システム。
【請求項24】
操作者が手動で前記1つ以上の保持要素を作動させるか、または前記1つ以上の保持要素の作動を操作するようにプログラムまたは構成された少なくとも1つのプロセッサを用いて自動的に前記1つ以上の保持要素を作動させる、請求項16から23のいずれか一項に記載の注入器システム。
【請求項25】
前記少なくとも1つのシリンジは、前記端の壁を備える転動型ダイヤフラムシリンジであり、前記転動型ダイヤフラムシリンジは、前記注入器に設けられる耐圧ジャケットに受け入れられる、請求項16から24のいずれか一項に記載の注入器システム。
【請求項26】
注入器にある少なくとも1つのシリンジを保持する方法であって、
前記少なくとも1つのシリンジを備える前記注入器を用意するステップと、
前記注入器に1つ以上の保持要素を収容するブラケットを有するシリンジ接続装置を設けるステップと、
前記少なくとも1つのシリンジが前記注入器に挿入されるのを可能にする係合解放位置まで前記1つ以上の保持要素を動かすステップと、
前記少なくとも1つのシリンジを前記注入器に挿入するステップと、
前記少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部に係合する係合位置まで前記1つ以上の保持要素を動かして、前記少なくとも1つのシリンジのリザーバーで往復移動可能なプランジャの先端方向への移動により医療用液が前記少なくとも1つのシリンジの前記リザーバーから輸液される際の前記注入器に対する先端方向への前記少なくとも1つのシリンジの移動を制限するステップと
を備え、
前記1つ以上の保持要素は、前記少なくとも1つのシリンジの長手方向軸に対して横方向に移動可能であるように構成されているスライド可能アームを備えている、方法。
【請求項27】
前記1つ以上の保持要素は、前記係合解放位置と前記係合位置との間で動く場合に回転する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記1つ以上の保持要素は、前記係合解放位置と前記係合位置との間で動く場合に横方向にスライドする、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月11日に出願された米国特許仮出願第62/729,642号の利益を主張し、当該仮出願の開示の全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、概して、1つ以上のシリンジ保持特徴部を有する液注入器とともに用いるように構成されたキャップを有するシリンジであって、シリンジ保持特徴部がシリンジの先端に係合して、液注入手順中先端の方向のシリンジの移動を制限し、かつ加圧状態でシリンジの先端を支持する、シリンジに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの医療診断及び治療処置では、内科医などの医師が患者に1つ以上の医療用液を注入する。近年、造影剤液(単に「造影剤」とも称されることが多い)、生理的食塩水などのフラッシング剤やその他医療用液などの医療用液の加圧注入用のいくつかの注入器駆動式のシリンジや動力付き液注入器が、心血管血管造影法(CV)、コンピュータ断層撮影法(CT)、超音波法、磁気共鳴映像法(MRI)、陽電子放射断層撮影法(PET)やその他画像化法などの手法の用途向けに開発されてきている。一般的に、これらの液注入器は、既定の量の液を既定の圧力及び/又は流量で輸液するように設計されている。
【0004】
一般的に、液注入器は、たとえば、プランジャ、又はシリンジの基端の壁にある係合特徴部との接続によりシリンジに接続されるピストンなどの少なくとも1つの駆動部材を有する。シリンジは剛性の高いバレルを含む場合があり、バレル内にはシリンジプランジャがスライド可能に配置される。いくつかの例では、シリンジは、まくって重ねるように構成された柔軟な側壁を有する転動型ダイヤフラム(rolling diaphragm)バレル構成を含んでもよい。本構成では、シリンジ本体の基端の壁が少なくとも1つの駆動部材と着脱可能に係合して協働する。駆動部材によってプランジャ、又は転動型ダイヤフラム/基端の壁をバレルの長手方向軸に対して基端の方向及び/又は先端の方向に駆動してシリンジバレル内に液を吸引したりシリンジバレルから輸液したりする。
【0005】
液注入器とともに用いられるシリンジは、所定の最小壁厚を持つ様々な医療グレードのプラスチック材料製であってもよい。注入手順中に最大で1200psiの液圧が用いられる場合があるので、シリンジの厚さは重要な設計要因である。ある種の注入手順では、たとえば壁厚が十分には厚くない場合には、シリンジ単体では、上記のような圧力が加わっている中でシリンジ壁を径方向に過度に膨張させずに高圧に耐えることができないおそれがある。これにより、輸液量及び流量の意図しない変化が生じたり、構造上の不具合すら生じる可能性があったりするおそれがある。シリンジを取り囲んで、シリンジ内の液圧の上昇によるシリンジの径方向の膨張を防ぐ少なくとも1つの耐圧ジャケットを有する液注入器が開発されている。従来の耐圧ジャケットの設計には、耐圧ジャケットにシリンジ入れておくために剛性の高い先端のキャップに係合する剛性の高い円筒形の耐圧ジャケットが含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今日、充填手順又は注入液の輸液手順中の耐圧ジャケット内でのシリンジの移動を制限するのを補助するシリンジ保持接続装置が本技術に必要とされている。一例では、注入手順中の耐圧ジャケット及び/又は注入器ハウジングに対する先端の方向のシリンジの移動を制限するのを支援するシリンジ保持接続装置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記で認められた要求に鑑みて、医療用液の注入中に医療用注入器において少なくとも1つのシリンジを保持するシステム及び方法を提供する。本開示のいくつかの例では、医療用液を輸液する注入器システムは、少なくとも1つのシリンジを受け入れるように構成されており、プランジャ又は少なくとも1つのシリンジの端の壁に着脱可能に係合してこれを往復駆動する少なくとも1つのピストンを備える注入器と、少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部に係合して、少なくとも1つのピストンの先端向きの移動により医療用液がリザーバーから輸液される際の注入器に対する先端の方向の少なくとも1つのシリンジの移動を制限するように構成されている1つ以上の保持要素を備えるシリンジ保持接続装置とを含んでもよい。
【0008】
本開示の別の例では、1つ以上の保持要素は、少なくとも1つのシリンジの先端部にあるフランジに係合するように構成されてもよい。各保持要素は、フランジの先端側の面に係合するように構成されている第1の面と、フランジの基端側の面に係合するように構成されている第2の面とを含んでもよい。1つ以上の保持要素は、少なくとも1つのシリンジの先端部の円錐部の少なくとも一部に係合するように構成されてもよい。シリンジ保持接続装置は、保持要素を収容するブラケットを含んでもよく、1つ以上の保持要素は、少なくとも1つのシリンジの長手方向軸に対して横方向に移動可能であるように構成されているスライド可能アームを含んでもよい。スライド可能アームは、スライド可能アームが少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部から外れている第1の位置と、スライド可能アームが少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部に係合して、注入器に対する先端の方向の少なくとも1つのシリンジの移動を制限する第2の位置との間で少なくとも1つのシリンジの先端部に対して横に移動可能であってもよい。スライド可能アームは、少なくとも1つのシリンジの外径を超える直径を持つ開口がスライド可能アームに形成される第1の位置と、注入器に対する先端の方向の少なくとも1つのシリンジの移動がスライド可能アームによって制限されるように開口の直径が少なくとも1つのシリンジの外径未満である第2の位置との間で少なくとも1つのシリンジの先端部に対して横に移動可能であってもよい。操作者が手動で1つ以上の保持要素を作動させるか、1つ以上の保持要素の作動を操作するようにプログラムされるか構成されるかする少なくとも1つのプロセッサを用いて自動的に1つ以上の保持要素を作動させるかしてもよい。シリンジ保持接続装置は、注入器に動作可能に接続されて注入器の長手方向軸まわりに回転可能であってもよい回転アームを含んでもよく、回転アームは、少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部に係合する1つ以上の保持要素を含んでもよい。回転アームは、1つ以上の保持要素が少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部から外れている第1の位置と、保持要素が少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部に係合して、注入器に対する先端の方向の少なくとも1つのシリンジの移動を制限する第2の位置との間で回転するように構成されてもよい。1つ以上の保持要素の各々は、キャップ保持アームとフランジ保持アームとの少なくとも一方を含んでもよく、回転アームが少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部に係合するように位置するとき、キャップ保持アームは少なくとも1つのシリンジのキャップに係合してもよく、フランジ保持アームは少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部にあるフランジに係合する。少なくとも1つのシリンジは、端の壁を含む転動型ダイヤフラムシリンジであってもよく、転動型ダイヤフラムシリンジは、注入器に設けられる耐圧ジャケットに入れられてもよい。
【0009】
本開示の別の例では、医療用液を輸液する注入器システムは、少なくとも1つのシリンジを受け入れるように構成されており、プランジャ又は少なくとも1つのシリンジの端の壁に着脱可能に係合してこれを往復駆動する少なくとも1つのピストンを備える注入器と、少なくとも1つのシリンジの先端円錐部の少なくとも一部に係合して、少なくとも1つのピストンの先端向きの移動により医療用液がリザーバーから輸液される際の注入器に対する先端の方向の少なくとも1つのシリンジの移動を制限するように成形されている保持面を有する1つ以上の保持要素を備えるシリンジ保持接続装置とを含んでもよい。
【0010】
本開示の別の例では、シリンジ保持接続装置は、回転して互いに離接するように構成されている少なくとも2つの保持アームを備え、各保持アームは、各保持アームの先端に設けられる保持要素を備える。保持アームは第1の位置と第2の位置との間で回転可能であり、保持アームが第1の位置から第2の位置に回転する際、保持要素は少なくとも1つのシリンジの先端円錐部の少なくとも一部に係合し、保持アームが第2の位置から第1の位置に回転する際、保持要素は少なくとも1つのシリンジの先端円錐部の少なくとも一部から外れる。シリンジ保持接続装置は、保持アームが第2の位置まで回転した後に保持アームに係合して保持アーム同士が分離することを防ぐロック機構をさらに備える。シリンジ保持接続装置は、各保持アームの先端に設けられる少なくとも1つのロック突起をさらに備え、ロック機構には、少なくとも1つのロック突起を入れて、保持アーム同士が分離するのを防ぐように構成されている少なくとも1つのロック溝が形成される。シリンジ保持接続装置は少なくとも2つの保持要素を含んでもよく、少なくとも2つの保持要素は、注入器上で保持されるカムプレートに動作可能に接続される。カムプレートは第1の位置と第2の位置との間で回転可能であってもよく、カムプレートが第1の位置から第2の位置に回転する際、少なくとも2つの保持要素は少なくとも1つのシリンジの先端円錐部の少なくとも一部に係合してもよく、カムプレートが第2の位置から第1の位置に回転する際、少なくとも2つの保持要素は少なくとも1つのシリンジの先端円錐部の少なくとも一部から外れてもよい。シリンジ接続装置は、保持要素が少なくとも1つのシリンジの先端円錐部に係合した後に保持要素を適所にロックする、各保持要素に対応するロックスライド部をさらに含んでもよい。少なくとも2つの保持要素は、少なくとも1つのシリンジの先端円錐部にあるフランジの下で少なくとも1つのシリンジの先端円錐部に係合してもよい。保持要素の各々は、注入器に動作可能に接続される回転アームに機能が発揮されるように接続されてもよい。回転アームは、回転アームが少なくとも1つのシリンジの先端円錐部から外れている第1の位置と、回転アームが少なくとも1つのシリンジの先端円錐部に係合して、少なくとも1つのシリンジが注入器に対して先端の方向に動くことを防ぐ第2の位置との間で移動可能であってもよい。シリンジ接続装置は、保持要素が少なくとも1つのシリンジの先端円錐部に係合した後に保持要素を適所にロックする、各保持要素に対応する少なくとも1つのロック要素をさらに含んでもよい。操作者が手動で1つ以上の保持要素を作動させるか、1つ以上の保持要素の作動を操作するようにプログラムされるか構成されるかする少なくとも1つのプロセッサを用いて自動的に1つ以上の保持要素を作動させるかしてもよい。少なくとも1つのシリンジは、端の壁を含む転動型ダイヤフラムシリンジであってもよい。転動型ダイヤフラムシリンジは、注入器にある耐圧ジャケットに入れられてもよい。
【0011】
本開示の別の例では、注入器にある少なくとも1つのシリンジを保持する方法は、少なくとも1つのシリンジを備える注入器を用意するステップと、注入器に1つ以上の保持要素を有するシリンジ接続装置を設けるステップと、少なくとも1つのシリンジが注入器に挿入されるのを可能にする係合解放位置まで1つ以上の保持要素を動かすステップと、少なくとも1つのシリンジを注入器に挿入するステップと、少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部に係合する係合位置まで1つ以上の保持要素を動かして、少なくとも1つのシリンジのリザーバーで往復移動可能なプランジャの先端向きの移動により医療用液が少なくとも1つのシリンジのリザーバーから輸液される際の注入器に対する先端の方向の少なくとも1つのシリンジの移動を制限するステップとを含んでもよい。1つ以上の保持要素は係合解放位置と係合位置との間で動くときに回転してもよい。1つ以上の保持要素は係合解放位置と係合位置との間で動くときに横方向にスライドしてもよい。
【0012】
本発明の様々な他の態様を以下の項の1つ以上に記載する。
【0013】
第1項:医療用液を輸液する注入器システムであって、少なくとも1つのシリンジを受け入れるように構成されており、プランジャ又は少なくとも1つのシリンジの端の壁に着脱可能に係合してこれを往復駆動する少なくとも1つのピストンを備える注入器と、少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部に係合して、少なくとも1つのピストンの先端向きの移動により医療用液がリザーバーから輸液される際の注入器に対する先端の方向の少なくとも1つのシリンジの移動を制限するように構成されている1つ以上の保持要素を備えるシリンジ保持接続装置とを備える注入器システム。
【0014】
第2項:1つ以上の保持要素は、少なくとも1つのシリンジの先端部にあるフランジに係合するように構成されている、第1項に記載の注入器システム。
【0015】
第3項:各保持要素は、フランジの先端側の面に係合するように構成されている第1の面と、フランジの基端側の面に係合するように構成されている第2の面とを備える、第2項に記載の注入器システム。
【0016】
第4項:1つ以上の保持要素は、少なくとも1つのシリンジの先端部の円錐部の少なくとも一部に係合するように構成されている、第1項から第3項のいずれか一項に記載の注入器システム。
【0017】
第5項:シリンジ保持接続装置は、保持要素を収容するブラケットを備え、1つ以上の保持要素は、少なくとも1つのシリンジの長手方向軸に対して横方向に移動可能であるように構成されているスライド可能アームを備える、第1項から第4項のいずれか一項に記載の注入器システム。
【0018】
第6項:スライド可能アームは、スライド可能アームが少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部から外れている第1の位置と、スライド可能アームが少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部に係合して、注入器に対する先端の方向の少なくとも1つのシリンジの移動を制限する第2の位置との間で少なくとも1つのシリンジの先端部に対して横に移動可能である、第5項に記載の注入器システム。
【0019】
第7項:スライド可能アームは、少なくとも1つのシリンジの外径を超える直径を持つ開口がスライド可能アームに形成される第1の位置と、注入器に対する先端の方向の少なくとも1つのシリンジの移動がスライド可能アームによって制限されるように開口の直径が少なくとも1つのシリンジの外径未満である第2の位置との間で少なくとも1つのシリンジの先端部に対して横に移動可能である、第5項に記載の注入器システム。
【0020】
第8項:操作者が手動で1つ以上の保持要素を作動させるか、1つ以上の保持要素の作動を操作するようにプログラムされるか構成されるかする少なくとも1つのプロセッサを用いて自動的に1つ以上の保持要素を作動させるかする、第1項から第7項のいずれか一項に記載の注入器システム。
【0021】
第9項:シリンジ保持接続装置は、注入器に動作可能に接続されて注入器の長手方向軸まわりに回転可能である回転アームを備え、回転アームは、少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部に係合する1つ以上の保持要素を含む、第1項から第8項のいずれか一項に記載の注入器システム。
【0022】
第10項:回転アームは、1つ以上の保持要素が少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部から外れている第1の位置と、保持要素が少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部に係合して、注入器に対する先端の方向の少なくとも1つのシリンジの移動を制限する第2の位置との間で回転するように構成されている、第9項に記載の注入器システム。
【0023】
第11項:1つ以上の保持要素の各々は、キャップ保持アームとフランジ保持アームとの少なくとも一方を備え、回転アームが少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部に係合するように位置するとき、キャップ保持アームは少なくとも1つのシリンジのキャップに係合し、フランジ保持アームは少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部にあるフランジに係合する、第9項又は第10項に記載の注入器システム。
【0024】
第12項:少なくとも1つのシリンジは、端の壁を備える転動型ダイヤフラムシリンジであり、転動型ダイヤフラムシリンジは、注入器に設けられる耐圧ジャケットに入れられる、第1項から第11項のいずれか一項に記載の注入器システム。
【0025】
第13項:医療用液を輸液する注入器システムであって、少なくとも1つのシリンジを受け入れるように構成されており、プランジャ又は少なくとも1つのシリンジの端の壁に着脱可能に係合してこれを往復駆動する少なくとも1つのピストンを備える注入器と、少なくとも1つのシリンジの先端円錐部の少なくとも一部に係合して、少なくとも1つのピストンの先端向きの移動により医療用液がリザーバーから輸液される際の注入器に対する先端の方向の少なくとも1つのシリンジの移動を制限するように成形されている保持面を有する1つ以上の保持要素を備えるシリンジ保持接続装置とを備える注入器システム。
【0026】
第14項:シリンジ保持接続装置は、回転して互いに離接するように構成されている少なくとも2つの保持アームを備え、各保持アームは、各保持アームの先端に設けられる保持要素を備える、第13項に記載の注入器システム。
【0027】
第15項:保持アームは第1の位置と第2の位置との間で回転可能であり、保持アームが第1の位置から第2の位置に回転する際、保持要素は少なくとも1つのシリンジの先端円錐部の少なくとも一部に係合し、保持アームが第2の位置から第1の位置に回転する際、保持要素は少なくとも1つのシリンジの先端円錐部の少なくとも一部から外れる、第13項又は第14項に記載の注入器システム。
【0028】
第16項:シリンジ保持接続装置は、保持アームが第2の位置まで回転した後に保持アームに係合して保持アーム同士が分離することを防ぐロック機構をさらに備える、第13項から第15項のいずれか一項に記載の注入器システム。
【0029】
第17項:シリンジ保持接続装置は、各保持アームの先端に設けられる少なくとも1つのロック突起をさらに備え、ロック機構には、少なくとも1つのロック突起を入れて、保持アーム同士が分離するのを防ぐように構成されている少なくとも1つのロック溝が形成される、第16項に記載の注入器システム。
【0030】
第18項:シリンジ保持接続装置は少なくとも2つの保持要素を備え、少なくとも2つの保持要素は、注入器上で保持されるカムプレートに動作可能に接続される、第13項に記載の注入器システム。
【0031】
第19項:カムプレートは第1の位置と第2の位置との間で回転可能であり、カムプレートが第1の位置から第2の位置に回転する際、少なくとも2つの保持要素は少なくとも1つのシリンジの先端円錐部の少なくとも一部に係合し、カムプレートが第2の位置から第1の位置に回転する際、少なくとも2つの保持要素は少なくとも1つのシリンジの先端円錐部の少なくとも一部から外れる、第18項に記載の注入器システム。
【0032】
第20項:シリンジ接続装置は、保持要素が少なくとも1つのシリンジの先端円錐部に係合した後に保持要素を適所にロックする、各保持要素に対応するロックスライド部をさらに備える、第18項に記載の注入器システム。
【0033】
第21項:少なくとも2つの保持要素は、少なくとも1つのシリンジの先端円錐部にあるフランジの下で少なくとも1つのシリンジの先端円錐部に係合する、第17項から第20項のいずれか一項に記載の注入器システム。
【0034】
第22項:保持要素の各々は、注入器に動作可能に接続される回転アームに機能が発揮されるように接続される、第17項から第21項のいずれか一項に記載の注入器システム。
【0035】
第23項:回転アームは、回転アームが少なくとも1つのシリンジの先端円錐部から外れている第1の位置と、回転アームが少なくとも1つのシリンジの先端円錐部に係合して、少なくとも1つのシリンジが注入器に対して先端の方向に動くことを防ぐ第2の位置との間で移動可能である、第22項に記載の注入器システム。
【0036】
第24項:シリンジ接続装置は、保持要素が少なくとも1つのシリンジの先端円錐部に係合した後に保持要素を適所にロックする、各保持要素に対応する少なくとも1つのロック要素をさらに備える、第22項に記載の注入器システム。
【0037】
第25項:操作者が手動で1つ以上の保持要素を作動させるか、1つ以上の保持要素の作動を操作するようにプログラムされるか構成されるかする少なくとも1つのプロセッサを用いて自動的に1つ以上の保持要素を作動させるかする、第17項から第24項のいずれか一項に記載の注入器システム。
【0038】
第26項:少なくとも1つのシリンジは、端の壁を備える転動型ダイヤフラムシリンジであり、転動型ダイヤフラムシリンジは、注入器に設けられる耐圧ジャケットに入れられる、第17項から第25項のいずれか一項に記載の注入器システム。
【0039】
第27項:注入器にある少なくとも1つのシリンジを保持する方法であって、少なくとも1つのシリンジを備える注入器を用意するステップと、注入器に1つ以上の保持要素を有するシリンジ接続装置を設けるステップと、少なくとも1つのシリンジが注入器に挿入されるのを可能にする係合解放位置まで1つ以上の保持要素を動かすステップと、少なくとも1つのシリンジを注入器に挿入するステップと、少なくとも1つのシリンジの先端部の少なくとも一部に係合する係合位置まで1つ以上の保持要素を動かして、少なくとも1つのシリンジのリザーバーで往復移動可能なプランジャの先端向きの移動により医療用液が少なくとも1つのシリンジのリザーバーから輸液される際の注入器に対する先端の方向の少なくとも1つのシリンジの移動を制限するステップとを備える方法。
【0040】
第28項:1つ以上の保持要素は係合解放位置と係合位置との間で動くときに回転する、第27項に記載の方法。
【0041】
第29項:1つ以上の保持要素は係合解放位置と係合位置との間で動くときに横方向にスライドする、第27項に記載の方法。
【0042】
本出願で詳細に説明されている様々な例のさらに別の詳細及び効果が、添付の図面とあわせて様々な例の以下の詳細な説明を検討することで明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本開示の一例すなわち一態様に係る、複数液式輸液システムに用いるように構成されている液注入器の斜視図である。
図2図1の液注入器とともに用いられるシリンジの斜視図である。
図3A】本開示の一例すなわち一態様に係るシリンジ保持接続装置の平面図である。
図3B図3Aのシリンジ保持接続装置の側面図である。
図4A】係合位置にある様子が示されている図3Aのシリンジ保持接続装置の平面図である。
図4B】係合位置にある様子が示されている図3Aのシリンジ保持接続装置の側面図である。
図5】本開示の別の態様に係るシリンジ保持接続装置の斜視図である。
図6図5のシリンジ保持接続装置の正面図である。
図7図5のシリンジ保持接続装置の内部構成要素の斜視図である。
図8図5のシリンジ保持接続装置の斜視図である。
図9】第1の保持部材が開放位置にあり第2の保持部材が閉鎖位置にある本開示の一例すなわち一態様に係るシリンジ保持接続装置の斜視図である。
図10】本開示の別の態様に係るシリンジ保持接続装置の斜視図である。
図11図10のシリンジ保持接続装置の別の斜視図である。
図12】保持位置にある図10のシリンジ保持接続装置の別の斜視図である。
図13】ロック位置にある図10のシリンジ保持接続装置の別の斜視図である。
図14】ロック位置にある図10の保持アームの斜視図である。
図15】開放位置にある図10の保持アームの側面図である。
図16A】保持位置にある図10の保持アームの側面図である。
図16B】シリンジ保持接続装置のカムを用いる代替実施形態の側面図を示す。
図17】ロック位置にある図10の保持アームの側面図である。
図18】本開示の別の態様に係るシリンジ保持接続装置の斜視図である。
図19】シリンジを内部に配置した図18のシリンジ保持接続装置の斜視図である。
図20】保持位置にある図18のシリンジ保持接続装置の斜視図である。
図21】開放位置にある様子が示されている図18のシリンジ保持接続装置の保持要素の斜視図である。
図22】保持位置にある様子が示されている図21の保持要素の斜視図である。
図23】保持位置にある様子が示されている図21の保持要素の別の斜視図である。
図24】ロック位置にある様子が示されている図21の保持要素の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1図24では、別記されていない限り、同様の符号は、場合により、同じ構成要素及び要素を指す。
【0045】
本出願で用いられている「a」、「an」及び「the」の単数形は、文脈上明らかに別義を指すことがない限り、複数の指示対象を含む。
【0046】
「左」、「右」、「内」、「外」、「上」、「下」などの空間的用語すなわち方向的用語は、図に示されているように本発明に関係し、本発明において様々な異なる方向をとることができる場合には限定を課すものであるとみなされるべきではない。
【0047】
明細書及び請求項で用いられているすべての数は用語「約」によってすべての場合に修正されると解するものとする。用語「約」は、記載されている値のプラスマイナス25パーセントを含むことを意図しており、たとえば、記載されている値のプラスマイナス10パーセントを含むことを意図している。ただし、このことを、均等論に基づいて値についてなにかしら検討することを制限するものとみなすべきではない。
【0048】
別記されていない限り、本出願で開示されているすべての範囲又は比率は、始点値及び終点値、並びに当該範囲又は比率に含まれるすべての部分的範囲又は部分的比率を含むと解する。たとえば、記載範囲「1~10」又は記載比率「1:10」は、最小値1と最大値10との間(これらも含む)のあらゆる部分的範囲又は部分的比率、すなわち、最小値が1以上から始まり、最大値が10以下で終わるすべての部分的範囲又は部分的比率を含むと当然みなされる。本出願で開示されている範囲及び/又は比率は、指定された範囲及び/又は比率にわたる平均値を表わす。
【0049】
用語「第1」、「第2」などは、特定の順序や時系列を指すことを意図しておらず、異なる状態、特性や要素を指す。
【0050】
本明細書で引用されているすべての文献の全体が「参照により援用される」。
【0051】
用語「少なくとも」は「以上」と同義である。
【0052】
用語「超えない」は「以下」と同義である。
【0053】
本出願で用いられている「の少なくとも1つ」は「の1つ以上」と同義である。たとえば、語句「A、B及びCの少なくとも1つ」は、A、B若しくはCのいずれか1つ、又はA、B若しくCのいずれか2つ以上の任意の組合せを意味する。たとえば、「A、B及びCの少なくとも1つ」は、Aのみ、又はBのみ、又はCのみ、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA、B及びCのすべてを含む。
【0054】
用語「含む」は「備える」と同義である。
【0055】
シリンジ、たとえば転動型ダイヤフラムシリンジに関して用いられている場合、用語「基端」は、シリンジの端の壁に係合し、シリンジから輸液するためのピストン要素に最も近いシリンジの部分を指す。液経路に関して用いられている場合、用語「基端」は、液経路が注入器システムに接続されているときに注入器システムに最も近い液経路の部分を指す。シリンジに関して用いられている場合、用語「先端」は、輸液ノズルに最も近いシリンジの部分を指す。液経路に関して用いられている場合、用語「先端」は、液経路が注入器システムに接続されているときに患者に最も近い液経路の部分を指す。用語「径方向」は、基端と先端との間で延びるシリンジの長手方向軸に垂直な断面平面内の方向を指す。用語「周方向」は、シリンジの側壁の内面又は外面を周回する方向を指す。用語「軸方向」は、基端と先端との間で延びるシリンジの長手方向軸の方向を指す。
【0056】
ただし、否定する記載が存在する場合を除いて、本開示は代替変形例及びステップ列の形態をとり得るものと解する。また、添付の図面に示され、以下の記載で説明されている特定のデバイス及び工程は単に開示例の典型的な態様であると解する。したがって、本出願で開示されている例に関する特定の寸法及びその他物理的特徴は、限定を課すものとみなされない。
【0057】
いくつかの実施形態では、後述されている保持特徴部がシリンジ及び/又はシリンジキャップの1つ以上の表面に係合して、注入手順の間に、たとえば、シリンジに液を充填しかつ/又はシリンジから輸液する間にシリンジ及び内部キャップアセンブリが基端及び/又は先端の方にスライドすることを可能にしつつ、軸方向に関する定位置に外部キャップアセンブリをとどめておくことができる。このような外部キャップアセンブリ及び内部キャップアセンブリの例(この例によって限定は課されない)は、名称が「Sliding Syringe Cap For Separate Filling And Delivery」であり、出願日が2017年9月13日である米国仮出願第62/558,012号と、名称が「Syringe Cap And Syringe Retaining Mechanism」であり、出願日が2017年10月20日である米国仮出願第62/572,062号と、上記出願の優先権を主張し、名称が「Sliding Syringe Cap For Separate Filling And Delivery」であり、出願日が2018年9月12日である対応PCT国際出願とに詳細に説明されている。これらの出願の各々の開示が本参照により本明細書に援用される。
【0058】
同様の参照符号が同様の部分をそれのいくつかの図にわたって指す図面を参照して、本開示は、概して医療用注入器/注入システム100(以下、「液注入器システム100」)、たとえば、前装式シリンジ及び転動型ダイヤフラム型シリンジを含む1つ以上のシリンジを含む注入器システムを対象にする。ただし、本開示の様々な方法やプロトコールを、シリンジを基本とした他の注入器システムに利用したり当該システムに組み込んだりしてもよい。
【0059】
図1を参照して、液注入器システム100が複数の構成要素を含み、以下、これらを個別に説明する。概説すると、液注入器システム100は、注入プロトコール中に注入器の様々な構成要素を移動させるように構成され、少なくとも1つのプロセッサによって操作される動力付き注入器の管理部すなわち管理デバイスと、動力付き注入器に付属し、1つ以上の液を取り込んで加圧下で1つ以上のリザーバーから1つ以上の液を患者に輸液することを意図した輸液セットとを有する。一実施形態(この実施形態によって限定は課されない)に係る液注入器システム100の様々なデバイスと、構成要素及び特徴部と、液注入器システム100に付属する輸液セットも本出願で同様に詳細に説明する。一例では、液注入器システム100は、シリンジや転動型ダイヤフラム132などの少なくとも1つのリザーバーと、従来のシリンジのプランジャ又は転動型ダイヤフラムシリンジのピストン係合特徴部141に可逆的に接続可能である接続装置14を有する少なくとも1つのピストン16(図2を参照)と、液制御モジュール(図示せず)とを含んでもよい。少なくとも1つのシリンジ132がシリンジポート13や耐圧ジャケット134などのシステムの少なくとも1つの構成要素との接続にほぼ適合する。概説すると、液注入器システム100は、注入手順で少なくとも1種類の液Fを患者に輸液するように構成されている。液注入器システム100は、少なくとも1つのシリンジ132を着脱可能に収容するように構成されており、少なくとも1つのシリンジ132には、液導管23を通じて液供給源21によって供給される撮影用造影剤、生理的食塩水、乳酸リンゲル液や所望の任意の医療用液などの少なくとも1種類の液Fが充填される。システムはマルチシリンジ注入器であってもよく、このシステムでは、数個のシリンジの向きを横並びに揃えたり、別の空間的関係にして向きを設定したりしてもよく、数個のシリンジを注入器に付属する対応するピストンによって個別に作動させる。少なくとも1つのシリンジ132の向きを、直立、まっすぐや任意の角度での配置など、任意の仕方で設定してもよい。別の実施形態では、液注入器100を1つ以上の転動型ダイヤフラムシリンジに接続してもよい。
【0060】
図1を引き続き参照して、医療処置中に注入器システム100を用いて、少なくとも1つのピストン16(図2を参照)などの駆動部材により、少なくとも1つのシリンジ132のプランジャ14を駆動したり転動型ダイヤフラムシリンジの基端の壁143を駆動したりすることによって患者の血管系に少なくとも1種類の医療用液Fを注入してもよい。少なくとも1つのピストン16は、往復動作をして、プランジャ14や基端の壁143などの少なくとも1つのシリンジ132の少なくとも一部に作用可能であってもよい。係合すると、少なくとも1つのピストンは、少なくとも1つのシリンジ132の先端140の方にプランジャ14又は基端の壁143を移動させ、また、少なくとも1つのシリンジ132の基端の端142の方にプランジャ14又は基端の壁143を後退させることができる。シリンジ132は長手方向軸31に沿って延びている。液導管23を、各シリンジ132の流出口と連通する状態でこの流出口に接続して、シリンジ132の各々から、患者のバスキュラアクセス部位に挿入されたカテーテル(図示せず)に液Fを輸液するために、各シリンジ132をカテーテルと連通させてもよい。
【0061】
様々な例では、本開示のシリンジ保持特徴部は、米国特許第5,383,858号、米国特許第7,553,294号、米国特許第7,563,249号、米国特許第7,666,169号、米国特許第8,945,051号、米国特許第9,173,995号、米国特許第9,199,033号、米国特許第9,474,857号及び米国特許第10,124,110号、米国特許出願第15/305,285号、米国特許出願第15/541,573号及び米国特許出願第15/568,505号並びにPCT出願公開第WO2016/191485号及びPCT出願公開第WO2016/112163号に開示されているような、単装又は連装シリンジ型の前装式液注入器システムの用途に適する場合がある。上記の開示の全体が参照により本明細書に援用される。また、本開示のシリンジ保持特徴部は、単装又は連装転動型ダイヤフラムシリンジ型の前装式液注入器システムの用途に適する場合がある。当該システムの例は、国際出願第PCT/US2017/056747号、国際出願第WO2016/172467号及び国際出願第WO2015/164783号に開示されており、これらの国際出願の開示の全体が参照により本明細書に援用される。いくつかの例では、シリンジは転動型ダイヤフラムシリンジであってもよい。いくつかの例では、シリンジは、名称が「Bladder Syringe Fluid Delivery System」である米国特許出願第13/881,072号で説明されている嚢洗浄用シリンジ(bladder syringe)や、名称が「Bellows Syringe Fluid Delivery System」である米国特許出願第13/834,624号で説明されているシリンジであってもよい。これらの出願の開示の全体が参照により本明細書に援用される。
【0062】
図1を参照して、液注入器システム100(「注入器」とも称する)は、両側面104、先端すなわち上端106及び基端すなわち下端108を有する注入器ハウジング102を含む。ハウジング102は、様々な機械的駆動構成要素と、機械的駆動構成要素を駆動するのに必要な電気的構成要素及び電源構成要素と、本出願で説明されている液注入器システム100に付属する往復移動可能なピストン要素の動作(コントローラやプロセッサとの通信を含む)を制御するのに用いられる電子メモリ及び電子制御デバイス(以下、1個又は複数の電子制御デバイス)などの制御構成要素とを収納する。
【0063】
図1を参照して、液注入器システム100はグラフィカルユーザインタフェイス(GUI)ディスプレイウインドウなどの1つ以上のユーザインタフェイス124を含む。ユーザインタフェイス124は、現在の流量、液圧や、液注入器システム100に接続された液供給源21の残量など、液注入器システム100に関与する液注入手順に関する情報を表示してもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のユーザインタフェイス124は、操作者が液注入器システム100の動作のためのコマンド及び/又はデータを入力するのを可能にする少なくとも1つのタッチ画面GUIであってもよい。ユーザインタフェイス124が注入器ハウジング102上にある様子が示されているが、インタフェイス124は、液注入器システム100のハウジング102並びに制御要素及び機械的要素に有線接続されたり無線接続されたりする付属のリモートディスプレイとして形成されたり付属のリモートディスプレイを含んだりすることもしてもよい。いくつかの態様では、ユーザインタフェイス124は、ハウジング102に着脱可能に接続され、ハウジング102と有線接続で通信したり無線接続で通信したりするタブレットコンピュータであってもよい。液注入器システム100は、液注入器システム100と電子通信し、液注入器システム100の1つ以上の機能を制御するように構成されている1つ以上のプロセッサをさらに含んでもよい。これに加えて、液注入器システム100及び/又はユーザインタフェイス124は、本出願で説明されているシリンジ保持特徴部を係合させ外すためのボタンなど、液注入器システム100の補助操作者が感触のある操作を行なうための少なくとも1つの制御ボタン126を含んでもよい。いくつかの態様では、少なくとも1つの制御ボタン126は、操作者がコマンド及び/又はデータを入力するためのキーボードの一部であってもよい。少なくとも1つの制御ボタン126を、液注入器システム100に付属する1個又は複数の電子制御デバイスに配線で接続したり無線接続したりして、1個又は複数の電子制御デバイスに直接入力することを実現してもよい。また、少なくとも1つの制御ボタン126にグラフィックを用いて、少なくとも1つの制御ボタン126がタッチ画面などのユーザインタフェイス124の一部であってもよい。いずれの構成においても、少なくとも1つの制御ボタン126によって(1)液注入器システム100の充填/パージ、(2)患者及び/又は注入手順に関する情報及び/又はデータの入力、及び(3)注入処置の開始/停止など(これらに限定されない)のいくつかの独立した制御特徴を液注入器システム100の補助操作者に提示することが望ましい。液注入器システム100に付属するユーザインタフェイス124及び/又は任意の電子処理ユニットを、病院ネットワークシステムなどの、運用システム及び/又はデータ記憶システムに有線接続したり無線接続したりしてもよい。
【0064】
本出願で用いられている電子制御デバイスは、適切なカスタム設計ソフトウェアや従来のソフトウェアを実行して本開示の方法及びシステムの実施形態の処理ステップの実行及び実施を行なうことにより、専用の特殊なコンピュータシステムを形成したり形成するように動作可能であったりするプロセッサを含む。したがって、ここで開示されている方法及びシステムは、本開示に関連して後述されている方法、工程及び変換によるデータ操作を処理ユニットに実行させたり構成させたりその他実施させたりするコンピュータ可読プログラムコードすなわち指示を記憶することができるコンピュータ可読記憶媒体を有する1つ以上の電子制御デバイスや同様のコンピューティングデバイスを含んでもよい。さらにまた、電子制御デバイスは、コンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、ポータブルコンピュータ、ラップトップ、パームトップ、モバイルデバイス、携帯電話器、サーバや、データを適切に処理して、ここで開示されている、コンピュータで実施される方法及びシステムを効果的に実施するのに必要な処理ハードウェアを有するその他一切のタイプのコンピューティングデバイスとして形成されてもよい。一例では、電子制御デバイスをユーザインタフェイス124や対応するプロセッサに格納してもよい。
【0065】
図3A及び図3Bを参照して、シリンジ保持接続装置200の一例すなわち一態様が示されている。液注入器システム100にシリンジ保持接続装置200を設けて、シリンジ内部139でのプランジャ14の先端への移動及び/又は基端への移動によりシリンジ内部139から医療用液が輸液されかつ/又はシリンジ内部139に医療用液が吸引される際に、注入器ハウジング102に対して先端の方向及び/又は基端の方向にシリンジ132のうちの少なくとも1つが移動することを制限してもよい。シリンジ保持接続装置200は、注入器ハウジング102などの支持面に動作可能に接続されて少なくとも1つの回動点231まわりに回転可能である少なくとも1つの回転アーム202として形成されている少なくとも1つの保持要素を含んでもよい。一実施形態では、液注入器システム100の耐圧ジャケット134に入れられた状態に保たれた2つのシリンジ132の間に回転アーム202を配置してもよく、たとえば、この状態では、各シリンジ132を対応する耐圧ジャケット134に入れておく。回転アーム202の第1及び第2の端が第1及び第2のシリンジ132の先端の方にそれぞれ延びてもよい。回転アーム202は回動点231まわりに、注入器ハウジング102の長手方向軸Aまわりに回転可能であってもよい。回転アーム202の先端の各々は保持要素204を含んでもよい。これらの保持要素204は互いに反対方向に延び、かつ回転アーム202の長尺部に垂直に延びてもよい。
【0066】
保持要素204の各々は少なくとも1つのキャップ保持面206と、キャップ保持面206から離間している1つ以上のシリンジフランジ保持アーム208とを含んでもよい。シリンジフランジ保持アーム208には、係合位置にあるときに対応するシリンジ132の先端140の近傍にあるシリンジフランジ133の少なくとも一部を受け入れるように構成されているスロット210を形成してもよい。回転アーム202は、少なくとも2つの位置の間で回転するように構成されている。すなわち、保持要素204の各々が、対応するシリンジ132の先端140の近傍にあるシリンジフランジ133から外れている、図3A及び図3Bに示されている第1の位置と、保持要素204の各々が、対応するシリンジ132の先端140の近傍にあるシリンジフランジ133に係合して、耐圧ジャケット134に対する先端の方向及び基端の方向のシリンジ132の移動を制限する、図4A及び図4Bに示されている第2の位置との間で回転するように構成されている。ユーザが手動で回転アーム202を回転させてもよいし、液注入器システム100のユーザインタフェイス124を用いて回転アーム202を回転させてもよい。一実施形態では、シリンジ132が注入器ハウジング102に挿入された後に回転アーム202が自動的に回転する。たとえば、シリンジ132が注入器ハウジング102に適切に挿入されていることが完了しており、第1の位置から第2の位置への回転アーム202の回転を自動的に開始することになるかを判断するためのセンサを設けてもよい。第2の位置になった後、プロセッサは注入プロトコールを開始してもよい。
【0067】
図4A及び図4Bを参照して、シリンジ132の先端140の近傍にあるシリンジフランジ133に保持要素204が係合している第2の位置に回転アーム202がある様子が示されている。回転アーム202がその長手方向軸まわりに回転して第1の位置から第2の位置まで動いている。図4Bに示されているように、回転アーム202が第2の位置まで回転していると、シリンジフランジ保持アーム208が回転して、対応するシリンジ132の各々にあるシリンジフランジ133の少なくとも一部を受け入れて係合する。シリンジフランジ133をシリンジフランジ保持アーム208に形成されたスロット210に入れてもよい。シリンジフランジ保持アーム208のスロット210の先端側の面によって先端の方向のシリンジ132の移動が制限される。たとえば、輸液工程中に先端の方向にピストン16を移動させるときにこの移動が制限される。シリンジフランジ保持アーム208のスロット210の基端側の面によって基端の方向のシリンジ132の移動が制限される。たとえば、ピストン16を液充填工程中に基端の方向に後退させるときにこの移動が制限される。転動型ダイヤフラムシリンジを用いる実施形態については、まくられた転動型ダイヤフラムシリンジの側壁を戻してシリンジ132を充填するのに十分な基端向きの力が転動型ダイヤフラムの端の壁に加えられることを可能にするために、充填動作中のシリンジの基端向きの移動を制限しなければならない。さらに、いくつかの実施形態に係れば、キャップ保持アーム206が対応するシリンジ132の先端140に保持されるキャップ135の先端側の面に係合してもよい。キャップ保持アーム206は、注入器ハウジング102に対する先端の方向のシリンジ132の移動を制限するのも補助してもよい。
【0068】
様々な実施形態では、シリンジフランジ保持アーム208のスロット210内でのシリンジフランジ133の先端向きの移動及び基端向きの移動がシリンジの機能性キャップ135と協働して、注入器のピストン16が基端の向きに移動する際にシリンジの内部がバルク液容器と連通し、患者に至るチューブ経路とは連通しない液充填位置と、注入器のピストン16が先端の向きに移動する際にシリンジの内部が患者に至るチューブ経路と連通し、バルク液容器とは連通しない輸液位置との間で特定の液経路の開放及び/又は閉鎖を行なってもよい。いくつかの実施形態では、機能性シリンジキャップ135は、シリンジの内部がバルク液容器とチューブ経路とから隔離される第3の閉鎖位置を含んでもよい。ピストンの基端向きの移動と先端向きの移動とを利用して液充填位置と輸液位置との間でそれぞれ作動することが可能な機能性スライドシリンジキャップ135の様々な実施形態がPCT国際公開第WO2019/055497号で説明されている。本文献の開示が参照により本明細書に援用される。
【0069】
図5図8を参照して、本開示の別の例すなわち別の態様に係るシリンジ保持接続装置300が示されている。シリンジ保持接続装置300は、注入器ハウジング102に機能が発揮されるように接続したり注入器ハウジング102と一体的に形成したりすることができる本体の上部プレート302を含む。本体は少なくとも1つの耐圧ジャケット306の基端から少なくとも1つの耐圧ジャケット306の先端までは少なくとも延びる。上部プレート302には、注入器ハウジング102に入れておくことができるシリンジ132の個数に対応する個数の開口304を形成してもよい。たとえば、いくつかの実施形態に係れば、上部プレート302には、注入器ハウジング102の耐圧ジャケット306に入れておく2つのシリンジ132を入れるように構成されている2つの開口304を形成してもよい。耐圧ジャケット306を注入器ハウジング102に入れておいた状態で、シリンジ132を耐圧ジャケット306の先端に容易に挿入することができるように、開口304の直径がシリンジ132の外径を超えてもよい。少なくとも1つの耐圧ジャケット306は、たとえば、開口304を通じて挿入することにより注入器ハウジング102に着脱可能に挿入したりすることができる。すなわち、上部プレート302を取り外した後に挿入して、続いて上部プレート302を再び取り付けることにより注入器ハウジング102に着脱可能に挿入したり、注入器システム100の側面、前面又は背面に対して注入器ハウジング102と上部プレート302との間に耐圧ジャケット306をスライドさせることによって横方向に挿入することにより注入器ハウジング102に着脱可能に挿入したりすることができる。耐圧ジャケット306は、医療グレードのプラスチック、複合材料や金属製であってもよく、所定回数の注入手順にわたって再使用可能であってもよい。たとえば、毎月、二年に一回、毎年や、注入器システム100の使い方に応じて数年後に交換してもよい。耐圧ジャケット306は、注入手順中にシリンジ132の径方向の膨張を制限する十分な厚さ及び強度の耐圧ジャケットであってもよい。耐圧ジャケット306は、注入中に耐圧ジャケット306内でシリンジを保持するのを補助する1つ以上のシリンジ保持特徴部を含んでもよい。好適な耐圧ジャケットの例(この例によって限定は課されない)がPCT国際公開第WO2018/053074号で説明されている。本文献の開示が参照により本明細書に援用される。
【0070】
図8に示されているように、シリンジ保持接続装置300は、少なくとも1つのスライド可能アーム308として形成されている少なくとも1つの保持要素を含んでもよく、少なくとも1つの保持要素は、シリンジフランジ133及び/又は先端の円錐部145(図2を参照)など、少なくとも1つのシリンジ136の先端部の少なくとも一部に機能が発揮されるように係合して外れ、たとえばピストン16を先端の方向に移動させる際に、注入器ハウジング102に対する先端の方向のシリンジ132の移動を制限するように構成されている。さらに、保持要素の、少なくとも部分的に周回する先端側の面がシリンジフランジ133の基端側の面に当接してシリンジ132を支持し、液充填手順中にシリンジの基端向きの移動を制限してもよい。スライド可能アーム308を、第1の開放位置と第2の閉鎖位置との間で少なくとも1つの耐圧ジャケット306の長手方向軸に対して横方向外向き方向に移動するように構成してもよい。スライド可能アーム308の横移動は、いずれかの横方向の移動、たとえば、側方、注入器の前面の方及び注入器の背面の方への移動であってもよい。各スライド可能アーム308は、スライド可能アーム308が耐圧ジャケット306から引き離されて、シリンジ132の耐圧ジャケット306への挿入が可能になる第1の開放位置と、スライド可能アーム308がシリンジ132の先端部の方に移動して係合して、本体302の開口304の直径を狭める第2の閉鎖位置とから移動するように構成されている。第2の閉鎖位置では、たとえば、狭められた開口304の直径が先端の先やシリンジ132のキャップ135の外周を取り囲むのに必要な幅を持つことにより、注入器ハウジング102に対する先端の方向のシリンジ132の移動が制限される。いくつかの実施形態では、たとえば充填動作中にピストン16の基端向きの移動の際に、スライド可能アーム308が注入器ハウジング102に対する基端の方向のシリンジ132の移動を制限するのを補助することができることも考えられる。様々な実施形態に係れば、スライド可能アーム308は、シリンジフランジ133、シリンジ132の円錐部145、シリンジキャップ135又はシリンジ132の先端140に取り付けられた充填バルブ(図示せず)のうちの少なくとも1つの少なくとも一部に係合するように構成されている。いくつかの態様すなわちいくつかの例では、ユーザが手動でスライド可能アーム308を移動させてもよいし、液注入器システム100のユーザインタフェイス124にて1つ以上の操作を開始することによってスライド可能アーム308を移動させてもよい。いくつかの例すなわちいくつかの態様では、シリンジ132を注入器ハウジング102に挿入した後にスライド可能アーム308を第2の閉鎖位置に自動的に移動させる。たとえば、シリンジ132が注入器ハウジング102内の耐圧ジャケット306に適切に挿入されていることが完了しているかを判断し、液注入器システム100のプロセッサに信号を送って、第1の開放位置から第2の閉鎖位置へのスライド可能アーム308の移動を自動的に開始し、さらにシリンジ132の充填/プライミング手順を開始するためのセンサを設けてもよい。スライド可能アーム308の各々に、シリンジフランジ133又はシリンジキャップ135若しくは機能性充填バルブのフランジの少なくとも一部を入れて耐圧ジャケット306内でシリンジ132を保持するように構成されている少なくとも1つのスロット312を形成してもよいし、スライド可能アーム308の基端側の面が、シリンジ132の先端円錐部145に係合するように構成されている少なくとも1つの円錐面を有してもよい。スロット312の直径は、シリンジ132の先端向きの移動を止めたりシリンジ132の先端向きの移動を制限したりするようにシリンジ132の先端円錐部145の外径又は充填バルブ310の外径未満であってもよい。他の実施形態では、PCT国際公開第WO2017/040154号(参照により本明細書に援用される)で説明されている光による空気のチェックの工程を実行することができるように、上記の直径を用いることで、シリンジの先端円錐部145が保持要素を越えて延びるようにしてもよい。少なくとも1つのスロット312を含む上記の実施形態では、シリンジフランジ133の先端側の面が先端側のスロットアームの基端側の面に当接することによって、シリンジ132の先端向きの移動を制限してもよく、シリンジフランジ133の基端側の面が基端側のスロットアームの先端側の面に当接することによって、シリンジ132の基端向きの移動を制限してもよい。シリンジ132の先端円錐部145に係合するように構成されている少なくとも1つの円錐面を含む上記の実施形態では、先端円錐部145が少なくとも1つの円錐面の基端側の面に当接することによってシリンジ132の先端向きの移動を制限してもよい。
【0071】
図7に示されているように、様々な実施形態に係れば、スライド可能アーム308の一方が第1の開放位置と第2の閉鎖位置との間で移動することにより、同時に他方のスライド可能アーム308が第1の開放位置と第2の閉鎖位置との間で移動するような、歯車を用いた構成314を用いて、スライド可能アーム308を互いに動作可能に接続してもよい。歯車を用いた構成314を用いる場合、操作者が両方のスライド可能アーム308を移動させることができるし、プロセッサ上のボタンの押下に応じて1つのモータを操作して両方のアーム308を同時に移動させてもよい。第1の開放位置と第2の閉鎖位置との間で自動的にモータ駆動で動作させるために、スライド可能アーム308同士を歯車を介して接続することも行なってもよい。保持機構のプレート又は他の特徴部の位置を測定する1つ以上のセンサを組み込んでもよい。当業者には明らかであり、本開示の意図から逸脱しない範囲でスライド可能アーム308の動作のための様々な歯車構成が可能である。液注入器システム100の注入工程又は充填工程中に発生する軸方向の力に抗するために上部プレート302と注入器ハウジング102の先端側の面との間にテンションロッド316を配置することができるという一実施形態もある。テンションロッド316を用いれば、このような抗力には液注入器システム100の様々な特徴部の極僅かな直線的に増加する曲げによる撓みしかともなわないということが可能になる。
【0072】
図8を参照して、いくつかの実施形態に係れば、注入器ハウジング102の先端側の面と上部プレート302の基端側の面とに耐圧ジャケット取外しプレート318a,318bをそれぞれ配置してもよい。耐圧ジャケット取外しプレート318a,318bは注入器ハウジング102の受入れ開口320と上部プレート302にある開口304との周囲を周回するものであってもよい。いくつかの例すなわちいくつかの態様では、耐圧ジャケット取外しプレート318a,318b間での耐圧ジャケット306の横の動きを防ぐために耐圧ジャケット取外しプレート318a,318bの少なくとも一方にカムを用いてもよい。いくつかの例すなわちいくつかの態様では、耐圧ジャケット取外しプレート318a,318bの少なくとも一方は、たとえばカムプレートを回転させて耐圧ジャケット306を適所でロックするまで、耐圧ジャケット306を上部プレート302に押しつけて確実に当接させるために、耐圧ジャケット取外しプレート318a,318bまわりに周方向に離間する複数のボールばねディテント322を含んでもよい。いくつかの例すなわちいくつかの態様では、耐圧ジャケット取外しプレート318a,318bの少なくとも一方は、耐圧ジャケット取外しプレート318a,318bに対して回転して注入器ハウジング102内で耐圧ジャケット306を強固に保持する保持リップ324を含んでもよい。
【0073】
図9を参照して、シリンジ保持接続装置300’の一態様すなわち一実施形態が示されている。シリンジ保持接続装置300’の本態様すなわち本実施形態の構成及び動作はシリンジ保持接続装置300と同様であるが、注入器ハウジング102内でシリンジ132を保持するための異なる構成を含む。一例では、シリンジ保持接続装置300に含まれるスライド可能アーム308の代わりに、シリンジ保持接続装置300’は少なくとも一対の回転アーム308’,308’’を含む。回転アーム308’は、回転アーム308’,308’’が第1の開放位置(回転アーム308’を参照)と第2の閉鎖位置(回転アーム308’’を参照)との間で回転するように、回動点309まわりに回転するように構成してもよく、この場合、回転アーム308’,308’’は、第2の閉鎖位置にあるときに耐圧ジャケット306内でシリンジ132を保持して、注入器ハウジング102に対する先端の方向のシリンジ132の移動を制限する。
【0074】
図9を引き続き参照して、シリンジ保持接続装置300’の一態様すなわち一実施形態では、注入器ハウジング102内でシリンジ132を保持して、耐圧ジャケットと様々な注入器構成要素とに対するシリンジの割出しを行なうのを補助する保持フレーム311も設けてもよい。保持フレーム311は、保持フレーム311の両端に設けられた少なくとも1つの保持クリップ313a,313bを含んでもよい。シリンジ132の先端140に係合するように保持クリップ313a,313bを構成してもよい。一態様すなわち一実施形態では、保持クリップ313a,313bは、シリンジ132のキャップ135、シリンジフランジ133、及び/又はシリンジ132の先端部140に係合してもよい。保持フレーム311の少なくとも一部をシリンジ132に接続した後に注入器ハウジング102に動作可能に係合させてもよい。好適な保持フレーム311の例(この例によって限定は課されない)が、名称が「Syringe Collar and Frame」であり、出願日が2019年9月10日であり、米国仮特許出願第62/730,153号及び米国仮特許出願第62/831,004号の優先権を主張する、同日に出願されたPCT国際出願で説明されている。これらの3つの出願の開示は本参照により本明細書に援用される。
【0075】
図10図17を参照して、本開示の別の例すなわち別の態様に係るシリンジ保持接続装置400が示されている。シリンジ保持接続装置400は、液注入器システム100の注入器ハウジング102に機能が発揮されるように接続される基部402を含んでもよい。液注入器システム100は、取り付けられるシリンジ132の個数に応じてシリンジ保持接続装置400の1つ以上を含んでもよい。様々な実施形態に係れば、液注入器システム100は、2つ以上のシリンジ132を保持するように2つ以上のシリンジ保持接続装置400を含んでもよい。基部402は底部部材404と、底部部材404に垂直に延びて、シリンジ保持接続装置を閉鎖位置に付勢する1つ以上のばね432a,432b,432cを取り付けるための2つの側部部材406a,406bとを含んでもよい。基部402の構成要素の1つ以上を注入器ハウジング102に機能が発揮されるように接続してもよい。基部402は、シリンジ132を入れて保持するように構成されている耐圧ジャケット408を保持してもよい。
【0076】
シリンジ保持接続装置400は、基部402に動作可能に接続され、耐圧ジャケット408内のシリンジ132を保持するのに用いられる少なくとも二対の保持アーム410a,410bも含んでもよい。保持アーム410a,410bの各対は、基部402に枢支接続される少なくとも2つの延長部材412a,412b,412c,412dを含んでもよい。耐圧ジャケット408に対して離接自在に回転するように延長部材412a,412b,412c,412dを構成してもよい。各保持アーム410a,410bは、対応する延長部材412a,412b及び412c,412dの先端に機能が発揮されるように接続される保持要素414a,414bもそれぞれ含んでもよい。いくつかの例すなわちいくつかの態様では、保持要素414a,414bの少なくとも一部はプラスチックや、ステンレス鋼などの金属製であってもよい。各保持要素414a,414bは、対向する保持要素414a,414bとともに形成されるときにシリンジ132の先端140を包み込む完全な円を形成する半円を形成してもよい。保持要素414a,414bの基端側の円錐面を、シリンジ132の先端140の円錐形状に当接するように構成してもよい。保持要素414a,414bは、シリンジフランジ133の基端側の面に当接してシリンジ132の基端向きの移動を制限するように構成されている先端側の面451a,451bをさらに含んでもよい。
【0077】
図10に示されているように、各保持アーム410a,410bは、ロック溝424a,424bと協働することによって保持アーム410a,410bを保持位置にロックするのに用いられる一対のロック突起416a,416b,416c,416dも含んでもよい。これについては以降で説明される。各保持要素414a,414bは、保持要素414a,414b内に配置されて保持されるシリンジ円錐形支持体418a,418bも含んでもよい。シリンジ円錐形支持体418a,418bは、シリンジ132の先端部を支持し、かつシリンジ132の先端部の検査、たとえば、視覚的検査又はカメラ、センサ又はその他検出器一式を用いた検査を可能にするポリマー材料などの透明又は半透明の材料製であってもよい。たとえば、シリンジ132の先端部の検査により、PCT国際出願公開第WO2017/040152号及びPCT国際出願公開第WO2017/040154号で説明されているような、シリンジ132内の空気の検出や、シリンジ内の液の種類の検出を行なうことができる。これらの文献の開示は参照により本明細書に援用される。保持要素414a,414bによってシリンジ円錐形支持体418a,418bを囲んで強化し、シリンジ132の円錐形先端140に対する強度の高い当接面を実現してもよい。保持要素414a,414b及びシリンジ円錐形支持体418a,418bの形状はシリンジ132の先端140の円錐形に対応するように円錐形であってもよい。保持要素414a,414b及びシリンジ円錐形支持体418a,418bの形状が円錐形であるように示されているが、シリンジ支持体の形状はシリンジの先端の形状に適合するように成形された任意の形状であってもよい。
【0078】
図10図17に示されているように、シリンジ保持接続装置400は、注入器ハウジング102に動作可能に接続され、注入手順中に保持アーム410a,410bを第2の閉鎖保持位置にロックするように構成されているロック機構420も含んでもよい。ロック機構420は、保持アーム410a,410b及び耐圧ジャケット408を収容するようにほぼ正方形の断面を形成する、図12に示されている4つのプレート部材422a,422b,422c,422dなどの1つ以上のプレート部材422を含んでもよい。正方形の断面が示されているが、他の断面が本開示の範囲に含まれる。たとえば、注入器ハウジング102に機能が発揮されるように接続されたレール423でロック機構420をガイドすることによってロック機構420を保持アーム410a,410bに対して先端向き及び基端向きに移動させてもよい。第1の開放位置すなわちロック解放位置と第2の閉鎖位置すなわちロック位置との間で移動するように、ロック機構420を保持アーム410a,410bに対して基端の方向及び先端の方向にそれぞれ移動させてもよい。図14図17に示されているように、プレート部材422の少なくとも一部が少なくとも1つのロック溝424を含んでもよく、たとえば、保持アーム410a,410bを第2の閉鎖位置に押さえておくときにロック突起416a,416b,416c,416dを入れるロック溝424a,424bをプレート部材のうちの2つのプレート部材422b,422dの各々の内面に形成してもよい。さらに、図14図17に示されているように、保持アーム410a,410bを互いに離接させるのを補助するのに用いられる少なくとも2つのカム軌道426a,426b,426c,426dも2つのプレート部材422b,422dの各々に形成してもよい。カム軌道426a,426b,426c,426dには、対応する延長部材412a,412b,412c,412dに接続され、その延長部材から延びるピン428a,428b,428c,428dを入れてもよい。いくつかの実施形態に係れば、シリンジ保持接続装置400は、カム軌道426a,426b,426c,426dとピン428a,428b,428c,428dとによって延長部材412a,412b,412c,412dを第1の開放位置の方に動かすことができる一方で、延長部材412a,412b,412c,412dを第2の閉鎖位置の方に付勢する付勢されたばね432a,432bなどの1つ以上のばね432や、その他ポテンシャルエネルギー手段を含んでもよい。これらの実施形態に係れば、保持接続装置400を閉鎖するのに必要な外力がばね432a,432bによって抑えられることにより、挟まるおそれがある危険性を最小にすることができる。
【0079】
図10図17を参照して、シリンジ保持接続装置400の動作が示されている。保持アーム410a,410bは、保持アーム410a,410b同士及び対応する保持要素414a,414b同士が隔てられている第1の開放位置と、保持アーム410a,410bが互いに隣接して位置して注入器ハウジング102に対する先端の方向のシリンジ132の移動を制限する第2の位置との間で動くように構成されている。図10を参照して、シリンジ132が耐圧ジャケット408に挿入されるのを可能にするように、保持アーム410a,410b同士を隔ててもよい。一例では、保持アーム410a,410bに取り付けられたばね432a,432b(図17を参照)によって保持アーム410a,410bが第2の位置すなわち閉鎖位置の方に付勢される受動的に閉鎖される構成で保持アーム410a,410bが配置される。一例では、ばねは圧縮ばねであってもよい。したがって、保持要素414a,414bを開放して耐圧ジャケット408へのシリンジ132の挿入を可能にするには、保持アーム410a,410bに力を加えなければならない。シリンジ132を耐圧ジャケット408に挿入し終わった後(図11)、保持アーム410a,410bを第2の位置すなわち閉鎖位置まで動かして液注入器システム100の注入器手順中の先端の方向のシリンジ132の移動を制限する。さらに、本出願で説明されているように、組み合った保持要素414a,414bの先端側の周回面451a,451bがシリンジフランジ133の基端側の面に当接してシリンジ132を支持し、充填手順中のシリンジの基端向きの移動を制限してもよい。図12に示されているように、保持アーム410a,410bを第2の位置すなわち閉鎖ロック位置まで動かすと(図13を参照)、保持要素414a,414bが向き合って、保持要素414a,414b間に僅かしか隙間が形成されないか、隙間が形成されない位置になる。保持要素414a,414b同士が近接して位置するので、保持要素414a,414b間の距離が縮まり、これにより、注入器ハウジング102に対する先端の方向のシリンジ132の移動が制限される。
【0080】
ピン428a,428b,428c,428dに外向き径方向の力を加えることによって保持アーム410a,410b同士が離間して第1の開放位置まで動く(図14図17)。たとえば、モータ(図示せず)によってピン428a,428b,428c,428dに径方向外向きの力を加えて保持アーム410a,410b同士を離間させてもよい。たとえば、プレート422を基端の方向に移動させるのに応じて、ピン428a,428b,428c,428dが、対応するカム用の面434a,434b,434c,434dと協働してそのカム用の面に載りかかってカム用の面に沿い、ピン428a,428b,428c,428d同士及び対応する保持アーム410a,410b同士が離間する。第1の開放位置では、ピン428a,428b,428c,428dが上部430a,430bまで至ってその上部に載りかかり、保持接続装置400を第1の開放位置にロックすることができる。モータによって生じる径方向外向きの力が接続装置のばね432a,432bによって与えられるばね力に打ち勝つことにより、保持アーム410a,410b同士が離間することができる。シリンジ132を耐圧ジャケット408に挿入し終わった後(図11)、モータによって422a,422b,422c,422dを先端向きに移動させてピン428a,428b,428c,428dを上部430a,430bから後退させ、ピン428a,428b,428c,428dをカム用の面434a,434b,434c,434dに沿って第2の閉鎖位置まで駆動したり、単純に、圧縮ばね432a,432bによって保持アーム410a,410bを動かして第2の位置すなわち保持位置まで戻すことができるようにしたりしてもよい。保持アーム410a,410bのばね駆動式閉鎖手段を含むいくつかの例すなわちいくつかの態様では、保持要素414a,414bの閉鎖中に自身の指を保持要素414a,414b間に不用意に置いたままにする可能性があるユーザにとって、保持アーム410a,410bの閉鎖手段は挟む危険を生じる可能性が低い。さらに、当該機構により、保持要素414a,414b間に障害物がある場合にロック位置までモータによって動かされることも防止することができる。保持アーム410a,410bが第2の位置すなわち保持位置まで動くと、ロック突起416a,416b,416c,416dがそれぞれ隣接し合って配置される。図13に示されているように、ロック突起416a,416b,416c,416dがロック機構420の対応するロック溝424a,424bに入るように、先端の方向のロック機構420の移動をモータによってさらに進めてもよい。ロック溝424a,424bに入って配置されると、たとえばピストンによって加えられる先端向きの力を受けて、ロック突起416a,416b,416c,416dが径方向外向きに第1の開放位置の方に動くことが防止され、したがって、保持アーム410a,410bも径方向外向きに第1の開放位置の方に動くことが防止される。第1の開放位置にはならずに、保持アーム410a,410bは第2の位置すなわち閉鎖位置に保たれる。
【0081】
本開示の別の例では、シリンジ保持接続装置400に受動的制御構成を用いる代わりに、能動的制御構成を用いて、第1の開放位置と第2の位置すなわち閉鎖位置との間で保持アーム410a,410bを動かしてもよい。この能動的制御構成では、保持アーム410a,410b及び保持要素414a,414bの位置を常時モータによって完全に測定して制御する。特に、ロック機構420を注入器ハウジング102に対して基端の方向及び先端の方向に移動させて保持アーム410a,410b同士を離接させてもよい。図15に示されているように、ロック機構420が下の位置に位置するときには、延長部材412a,412cのピン428a,428bがロック機構420のカム面434a,434bの上部430a,430bに位置する。ピン428a,428bがいずれかの径方向に動くことが上部430a,430bによって抑制されることにより、保持アーム410a,410bが耐圧ジャケット408に対して意図せず外向きに動いたり内向きに動いたりすることが防止される。ピン428a,428bをカム軌道426a,426bの上部430a,430bまで移動させることにより、保持アーム410a,410bが第1の開放位置に保たれ、ユーザはシリンジ132を耐圧ジャケット408に挿入することができる。これの代わりに、圧縮ばね432a,432bを用いないシリンジ保持接続装置400’の別の実施形態が図16Bに示されている。ただし、シリンジ保持接続装置400’は同様の特徴部(第2の基端側のカム軌道426a,426bに関するものを除く)を別様に有する。シリンジ保持接続装置400’は、カム軌道434a’,434b’に沿った形状を持つ一方でピン428a’,428b’の基端側に当接する斜面を有する第2の基端側のカム軌道426a,426bを含む。これにより、ピン428a’,428b’が第2の基端側のカム軌道426a,426bの中間の傾斜部に沿って導かれ、保持アーム410a’,410b’が第1の開放位置から第2の閉鎖位置に動くように、モータによって保持アーム410a’,410b’同士が接近することを可能にすることができる。
【0082】
図12及び図16Aに示されているように、シリンジ132を耐圧ジャケット408に挿入し終わった後、ロック機構420を注入器ハウジング102に対して先端向きすなわち上向きの方向に移動させてもよい。ロック機構420を先端向きに移動させる際、圧縮ばね432a,432bは、ピン428a,428bがカム軌道426a,426bの中間の傾斜部434a,434bに沿って導かれるように保持アーム410a,410bを互いの方に押すように構成されている。中間の傾斜部434a,434bは保持アーム410a,410b同士を徐々に接近させて第2の位置すなわち閉鎖位置まで動かすのを補助する。保持アーム410a,410b同士が接近するのに応じて、ピン428a,428bがカム軌道426a,426bの中間の傾斜部434a,434bからほぼ垂直の部分436a,436bに移行することになる。図16Aに示されているように、中間の傾斜部434a,434bからほぼ垂直の部分436a,436bにピン428a,428bが移行する際、シリンジ132の先端向きの移動を制限するように保持要素414a,414bが位置するように、保持アーム410a,410bが第2の位置すなわち保持位置で係合状態になることになる。
【0083】
図13及び図17を参照して、その後、ピン428a,428bがほぼ垂直の部分436a,436bに沿ってさらに移動するようにロック機構420を先端向きすなわち上向きの方向にさらに移動させてもよい。ロック機構420が先端の方向に移動し続けると、ロック突起416a,416b,416c,416dがロック機構420のロック溝424a,424b内まで動かされる。本出願で説明されているように、ロック突起416a,416b,416c,416dがロック溝424a,424b内に配置されれば、保持アーム410a,410bが径方向に外向き方向に動くのも径方向に内向き方向に動くのも防止される。いくつかの例すなわちいくつかの態様では、ロック突起416a,416b,416c,416dの外に飛び出た角にテーパを施してロック突起416a,416b,416c,416d及び保持要素414a,414bを固着した緩みのないロック位置に強制的に入れてもよい。別の態様では、ロック突起416a,416b,416c,416dは、保持アーム410a,410bが第2の位置すなわち閉鎖位置にある場合にだけロック溝424a,424bに嵌入されるように設計されている。したがって、障害物が保持アーム410a,410b間に存在する場合、ロック突起416a,416b,416c,416dが2つのプレート部材422b,422dの部分に干渉して、ロック機構420によって保持アーム410a,410bが第2の位置すなわち閉鎖位置まで動かされることが防止される。
【0084】
図13に示されているいくつかの例すなわちいくつかの態様では、保持アーム410a,410bがロックされる前に、保持アーム410a,410bの現在の状態すなわち位置を測定する少なくとも1つのセンサ438をロック機構420に付加してもよい。いくつかの例すなわちいくつかの態様では、センサ438は、光学センサ、成否センサ(make or break sensor)、磁気スイッチセンサ、モータ電流若しくはエンコーダセンサ、近接センサ又はモーションセンサであってもよい。保持アーム410a,410bが第2の位置すなわち閉鎖位置まで動かされたことがいつ完了したかを検出して、ロック機構420が先端の方向に移動して保持アーム410a,410bをロックし、たとえばシリンジ充填工程を開始することによって液注入プロトコールを開始することが可能か否かを液注入器システム100に示すようにセンサ438を構成してもよい。障害物が保持要素414a,414b間に位置し、障害物によって保持アーム410a,410bが第2の位置すなわち閉鎖位置まで動くことが妨げられる場合、センサ438が作動しないか、あるいは、保持要素414a,414bが閉鎖されないため、障害物が取り除かれて、ロック機構420をロック位置まで移動させて保持アーム410a,410bを第2の位置すなわち閉鎖位置でロックすることができるまで、液注入器システム100によってロック機構420を先端の方向に移動させることが阻害されることを示す信号をセンサ438がプロセッサに送る。
【0085】
保持アーム410a,410bを第2の位置すなわち保持位置でロックした後、保持要素414a,414bによって注入手順中にシリンジ132に加えられる上向きすなわち先端向きの力に抗することにより耐圧ジャケット408内にシリンジ132を拘束する。さらに、保持要素414a,414bにより、シリンジ132の円錐形先端部140を支持し、保持要素414a,414bに当接しているシリンジ132の円錐形先端部140が注入手順中に及ぼされる圧力により広がる/ふくらむことを防ぐことによってシリンジのコンプライアンスを最小にする。ロック機構420によってシリンジ132の円錐形先端部140での一切の径方向の膨張力に抗しつつ、シリンジ132に及ぼされる先端向き軸方向の力を注入器ハウジング102の基部に下方に伝達するのを延長部材412a,412b,412c,412dによって補助してもよい。引張荷重を延長部材412a,412b,412c,412dから延長部材412a,412b,412c,412dの基端に設けられたピン401a,401b,401c,410dを通じて基部402に伝えることも延長部材412a,412b,412c,412dによって補助してもよい。いくつかの実施形態では、保持要素414a,414bは、第2の閉鎖位置で、ピストン/端の壁又はピストン/プランジャ後退工程中のシリンジ132の基端向きの移動を制限するときにシリンジフランジ133の少なくとも一部を入れるスロットを含んでもよい。これの代わりに、組み合わされた保持要素414a,414bの先端側の面451a,451bにシリンジフランジ133の基端側の面が当接することで、ピストン/端の壁又はピストン/プランジャ後退工程中のシリンジの基端向きの移動を制限する。
【0086】
図18図24を参照して、本開示に係るシリンジ保持接続装置500の別の例すなわち別の態様が示されている。シリンジ保持接続装置500を注入器ハウジング102の上部プレート302に設けて、液注入器システム100の注入手順中の先端の方向及び基端の方向のシリンジ132の移動を制限してもよい。シリンジ保持接続装置500は、上部本体502と、下部本体504と、上部本体502と下部本体504との間に動作可能に配置されたカムプレート506(図21に示されている)とを含んでもよい。上部本体502と下部本体504とは、たとえば少なくとも1つのねじ552によって互いに、機能が発揮されるように接続される中実のプレート部材であってもよい。カムプレート506に機能が発揮されるように接続されるノブ508によってカムプレート506を上部本体502及び下部本体504の枠内で手動により回転させてもよい。別の態様では、液注入器システム100に搭載されたコントローラによって操作されるモータを用いてカムプレート506を自動的に回転させてもよい。シリンジ132をシリンジ保持接続装置500に挿入するときに耐圧ジャケット512にシリンジ132を入れるように構成することができる開口510をシリンジ保持接続装置500に形成してもよい。本出願で開示されているように耐圧ジャケット512を注入器ハウジング102に機能が発揮されるように接続してもよい。
【0087】
シリンジ保持接続装置500は少なくとも2つの保持要素514a,514bも含んでもよく、これらは、注入手順中にシリンジ132を保持してシリンジ保持接続装置500内に入った状態を保つように構成することができるプラスチックや、ステンレスなどの金属製であってもよい。保持要素514a,514bはカムプレート506に動作可能に接続される。ハンドル508の回転すなわちカム機構の回転の際に互いに離接するように保持要素514a,514bを構成してもよい。シリンジ132の先端140の円錐形状に当接するように保持要素514a,514bの基端側の円錐面を構成してもよい。各保持要素514a,514bは、保持要素514a,514b内に配置されて保持されるシリンジ円錐形支持体516a,516bを含んでもよい。シリンジ円錐形支持体516a,516bの少なくとも一部は、本出願で説明されているように、シリンジ132の先端部を支持し、かつシリンジ132の先端部の検査を可能にするポリマー材料などの透明又は半透明の材料製であってもよい。保持要素514a,514bによってシリンジ円錐形支持体516a,516bを囲んで強化してもよい。保持要素514a,514b及びシリンジ円錐形支持体516a,516bの形状はシリンジ132の先端140の円錐形に対応するように円錐形であってもよい。
【0088】
図19に示されているように、保持要素514a,514bを通過させてシリンジ132をシリンジ保持接続装置500に挿入してもよい。保持要素514a,514b同士が隔てられて第1の開放位置にあり、これにより、開口510を通じてシリンジ132を耐圧ジャケット512に挿入することができる。様々な実施形態に係れば、ハンドル508を持ったりプロセッサによってモータを用いたりして、シリンジ保持接続装置500を第1の開放位置に維持して保持要素514a,514b同士を隔てておいてもよい。図19に示されているように、保持要素514a,514b間に形成される隙間を、開口を通じてシリンジ132を耐圧ジャケット512に挿入するのを可能にするのに十分に広くすることができる。
【0089】
図20を参照して、シリンジ132を耐圧ジャケット512に挿入した後、ハンドル508を回転させたりプロセッサによってシリンジ保持接続装置500を第2の閉鎖位置まで動かしたりして、保持要素514a,514bを互いの方に押しつけて互いの間の隙間を閉鎖してもよい。ハンドル508を手動で回転させたり液注入システム100のコントローラを用いて自動的に回転させたりしてもよいし、プロセッサによってモータを用いて動かして開口を閉鎖してもよい。保持要素514a,514bを押して触れ合わせて、シリンジ132の先端の先が突き出ることができる小さい直径の開口を残して保持要素514a,514b間の隙間を閉鎖してもよいし、2つの保持要素514a,514b間に無視し得る隙間を残すように、保持要素514a,514bを押し合わせてもよい。保持要素514a,514bを押してこのような第2の位置すなわち閉鎖位置にするときに、保持要素514a,514bがシリンジ132の先端部を覆って液注入器システム100の注入手順中の注入器ハウジング102又はシリンジ保持接続装置500に対する先端の方向のシリンジ132の移動を制限する。さらに、保持要素514a,514bの先端側の周回面がシリンジフランジ133の基端側の面に当接してシリンジ132を支持して充填手順中のシリンジの基端向きの移動を制限してもよい。したがって、保持要素514a,514bによってシリンジ132に対する軸方向及び径方向の支持が得られる。さらに、保持要素514a,514bは保持要素514a,514bから下部本体504に軸方向の荷重を伝えるのを補助する。図20をさらに参照して、保持要素514a,514bを第2の位置すなわち閉鎖位置まで移動させた後、それぞれの保持要素514a,514bに機能が発揮されるように接続されたガイド面518a,518bが開口510まで延びる。ガイド面518a,518bを開口510及び保持要素514a,514bの部分まで延ばすことによって、保持要素514a,514b同士を接近させることによって残される場合がある一切の隙間がガイド面518a,518bによって埋められ、これにより、なんらかの液やごみが開口510を通じてシリンジ保持接続装置500内に落下し、場合によっては注入器ハウジング102内に落下することが防止される。ハンドル508を第1の開放位置と第2の閉鎖位置との間で動かして保持要素514a,514bを離接させてもよい。いくつかの例すなわちいくつかの態様では、ハンドル508が不用意に動かされないように、第1の開放位置又は第2の閉鎖位置にあるときにハンドル508すなわちカムシステムをロックしてもよい。他の実施形態では、保持要素514a,514bの移動をプロセッサを通じてモータによって制御する。
【0090】
図21を参照して、シリンジ保持接続装置500の内部構成要素が示されている。カムプレート506をたとえばハンドル508を用いて回転し、これによって、以下で説明されているようにカム機構を利用して保持要素514a,514bを離接させてもよい。図21では、ハンドル508が第1の開放位置にあり、保持要素514a,514b同士が隔てられている様子が示されている。図22を参照して、ハンドル508が第2の位置にあり、保持要素514a,514b同士が接近して第2の位置すなわち閉鎖位置になっている。
【0091】
図23及び図24を参照して、シリンジ保持接続装置500と、特にカムプレート506との動作及びロック機構をさらに説明する。明確にするために図から保持要素514a,514bのガイド部材518a,518bが取り除かれている。カムプレート506には、保持要素514a,514b同士を離接させ、保持要素514a,514bを第2の閉鎖位置にあるときにロックするのに用いられる図23及び図24に示されている4つの独立した溝520a,520b,520c,520dなどの2つ以上の溝を形成してもよい。図23に示されているように、ガイドピン522aを各ガイド部材518a,518bに機能が発揮されるように接続してもよい。図23にはガイド部材518bに対応するガイドピンが示されていないが、ガイド部材518aに接続されたガイドピン522aと同様に、機能が発揮されるように接続されて動くことになる。ガイドピン522a,522bが、対応する溝520a,520cの径方向に最も外側にある端に位置するとき、ガイドピン522a,522bによって外向きの方向に保持要素514a,514bが引っ張られるので、保持要素514a,514b同士が隔てられて第1の開放位置にある。
【0092】
ハンドル508すなわちカムシステムを第2の閉鎖位置まで回転させるのに応じて、ガイドピン522a,522bが溝520a,520cの最も外側にある端から溝520a,520cの最も内側にある端まで動かされる。ガイドピン522a,522bが溝520a,520cの最も外側にある端から最も内側にある端まで動かされるのに応じて、ガイドピン522a,522bによって対応するガイド部材518a,518bが、対向するガイド部材の方に内向きに動かされる。
【0093】
図23及び図24を参照して、シリンジ保持接続装置500のさらに別のロック特徴部が示されている。シリンジ保持接続装置500は、カムプレート506に設けられた少なくとも2つのカム操作式ロック部材524a,524bも含んでもよい。保持要素514a,514bと同様に、カムプレート506の回転の際に離接するようにロック部材524a,524aを構成してもよい。各ロック部材524a,524bは、カムプレート506のカム溝520b,520dに入れられるガイドピン526a,526bを含んでもよい。ガイドピン526a,526bは、溝520b,520d内で移動してロック部材524a,524bをスライドさせて保持要素514a,514bにある保持キー529a,529bに対して離接させるように構成されている。ロック部材524a,524bは、第1の位置すなわちロック解放位置と第2の位置すなわちロック位置との間で移動するように構成されている。
【0094】
ハンドル508が第1の開放位置から第2の位置すなわち閉鎖位置まで回転する際、ガイドピン526a,526bが最初に溝520b,520dに沿って移動するが、ロック部材524a,524bを保持要素514a,514bの方に移動させない。ハンドル508を第2の位置すなわち閉鎖位置まで動かし終わって、保持要素514a,514bが保持位置に位置した後、ハンドル508をさらに回転させて、ガイドピン526a,526bを溝520b,520dに沿ってさらに移動させてもよい。本開示のいくつかの例すなわちいくつかの態様では、ハンドル508をさらに所定角度回転させて、ロック部材524a,524bをロックキー529a,529bとのロック位置まで移動させてもよい。溝520b,520dの端が傾いているので、ガイドピン526a,526bが保持要素514a,514bの方に内向きに動かされ、これにより、ロック部材524a,524bが保持要素514a,514bのロックキー529a,529bの方に動かされる。ハンドル508がさらに回転しても、保持要素514a,514bが保持要素514a,514bの方にもはや押されないように、保持要素514a,514bのガイドピン522a向けの溝520a,520cの径方向に最も外側にある端部は一定の半径を保ってもよい。溝520b,520dの各端は、反作用荷重(ロック用のプレロードによるもの)によって溝520b,520dに対するガイドピン526a,526bの「逆駆動(back-driving)」を防ぐ一定の半径も含んでもよい。図24を参照して、ロック部材524a,524bが保持要素514a,514bの方に動かされると、ロック部材524a,524bに形成されたロック溝528a,528bに各保持要素514a,514bの部分が入る。ロック溝528a,528bに保持要素514a,514bのロックキー529a,529bを入れることで、保持要素514a,514b同士が分離することが防止される。したがって、本開示の一例すなわち一態様では、保持要素514a,514bを分離する唯一の方法は、ハンドル508を回転させて第1の位置すなわち開放位置まで戻すことになる。本開示の一例すなわち一態様では、ロック溝528a,528bの内面には、締め代すなわちプレロードをロック部材524a,524bに施すことを可能にするくさび作用を生じさせるテーパを施してもよい。さらに、保持要素514a,514bのロックキー529a,529bを直接ロック溝528a,528bに入れることによって、ロック部材524a,524bのロックする力が中間の構成要素を介することを要さずに直接保持要素514a,514bに加えられる。したがって、ロック部材524a,524bを用いることで、径方向の荷重によって保持要素514a,514bが分離することが防止される。
【0095】
前述の説明に本発明の様々な例が示されているが、当業者は開示の範囲と精神とを逸脱しない範囲でこれらの例に修正及び変更を加えることができる。したがって、前述の説明は限定的ではなく例示的であることを意図している。上記で説明されている開示は添付の請求項によって定められており、請求項の均等の趣旨及び範囲に含まれる開示に対するすべての変更がその範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
13 シリンジポート
14 プランジャ
14 接続装置
16 ピストン
21 液供給源
23 液導管
31 長手方向軸
100 液注入器システム
102 注入器ハウジング
104 側面
106 上端
108 下端
124 ユーザインタフェイス
126 制御ボタン
132 シリンジ
133 シリンジフランジ
134 耐圧ジャケット
135 機能性スライドシリンジキャップ
136 シリンジ
139 シリンジ内部
140 円錐形先端部
140 先端
141 ピストン係合特徴部
142 基端の端
143 基端の壁
145 先端円錐部
200 シリンジ保持接続装置
202 回転アーム
204 保持要素
206 キャップ保持アーム
208 シリンジフランジ保持アーム
210 スロット
231 回動点
300 シリンジ保持接続装置
302 上部プレート
302 本体
304 開口
306 耐圧ジャケット
308 スライド可能アーム
309 回動点
310 充填バルブ
311 保持フレーム
312 スロット
313a,313b 保持クリップ
314 歯車を用いた構成
316 テンションロッド
318a,318b 耐圧ジャケット取外しプレート
320 受入れ開口
322 ボールばねディテント
324 保持リップ
400 シリンジ保持接続装置
401a,401b,401c ピン
402 基部
404 底部部材
406a,406b 側部部材
408 耐圧ジャケット
410a,410b 保持アーム
410d ピン
412a,412b,412c,412d 延長部材
414a,414b 保持要素
416a,416b,416c,416d ロック突起
418a,418b シリンジ円錐形支持体
420 ロック機構
422 プレート部材
423 レール
424 ロック溝
426a,426b,426c,426d カム軌道
428a,428b,428c,428d ピン
432 ばね
438 センサ
500 シリンジ保持接続装置
502 上部本体
504 下部本体
506 カムプレート
508 ノブ
508 ハンドル
510 開口
512 耐圧ジャケット
514a,514b 保持要素
516a,516b シリンジ円錐形支持体
518a,518b ガイド部材
522a,522b ガイドピン
ガイドピン
524a,524b カム操作式ロック部材
526a,526b ガイドピン
528a,528b ロック溝
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24