(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】特に自動車シート・カバーを取り付けるための自己接着締結具の雌部を形成するための、ループを備えたニット・デバイス
(51)【国際特許分類】
A44B 18/00 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A44B18/00
(21)【出願番号】P 2021555888
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(86)【国際出願番号】 EP2020059071
(87)【国際公開番号】W WO2020207856
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-03-08
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518366740
【氏名又は名称】アプリックス
【氏名又は名称原語表記】APLIX
(74)【代理人】
【識別番号】100091502
【氏名又は名称】井出 正威
(72)【発明者】
【氏名】デロージュ,ヴィルジニー,フランセット,ニコル
(72)【発明者】
【氏名】モワナード,ナタリー クリスティン,ミシェル,マリー
(72)【発明者】
【氏名】トーレイ,ローラン ジャン ミケル
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-183997(JP,A)
【文献】実開平06-029409(JP,U)
【文献】特表2017-512602(JP,A)
【文献】特開平09-173111(JP,A)
【文献】米国特許第05520021(US,A)
【文献】特開2009-285179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループが突出する第1のエリ
ア、および、
耳部を形成するように第1のエリアに隣接した少なくとも1つの第2のエリア
を備えたニット生地を含むニット・デバイスであって、
前記第2
のエリアが、ループを含まず、かつニット・デバイス
が成形
体を覆うように設計されたカバー
に取り付けることを可能とするように設計され、
前記第1のエリアが、成形体から突出するフックと協働するように設計され、
前記ニット生地が、ループ・ウェール糸または編目の列と、緯糸方向の接結糸とを織り込むことによって形成された裏地を含み、
前記裏地に編まれたループ
・ウェール糸の各ループは、第1のエリアにおいて、裏地に編まれた2つの脚部と、2つの脚部から延びる2本のストランドと、2本のストランドを接結する頂部とによって形成されたものにおいて、
前
記第2
のエリアを形成するニット・デバイスの糸のほつれを予防または抑制するための手段が設けられ
、
前記裏地の緯糸が前後移動しながら横方向に延び、機械方向でN個の編目の行列の周囲を迂回する、ブロックするおよび/または当該周囲にジグザグを形成し、Nが2~5の間であり、N-1個の編目の連続した末端の行列を除き、これが第2のエリアの裏地の横断方向の全範囲にわたって当てはまり、
前記ニット・デバイスが3本バー織機で生成されることを特徴とするニット・デバイス。
【請求項2】
前記ほつれを予防または抑制するための手段が、
前記第2のエリアをコーティン
グで覆うことを伴い、コーティングが硬化後に
前記第2のエリアに顕著な寸法安定性を付与し、それによって前記
第2のエリアのほつれを防止することを特徴とする、請求項1に記載のニット・デバイス。
【請求項3】
Nが3に等しいことを特徴とする、請求項
1または2に記載のニット・デバイス。
【請求項4】
ほつれ防止手段が、ニット生地を横方向(CD)で変形させるのに必要とされる力を、座標の原点(0,0)と(曲線の急激な下降によって認識されてもよい)破断点Rとの間の変形の関数として示す曲線をプロットした場合に、曲線が原点と点Rを結ぶ直線の下に常に留まるように使用されることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載のニット・デバイス。
【請求項5】
25%の変形での力の値が150N未
満であることを特徴とする、請求項
4に記載のニット・デバイス。
【請求項6】
50%の変形での力の値が350N未
満であることを特徴とする、請求項
4または
5に記載のニット・デバイス。
【請求項7】
前記第2のエリアは、前記第1
のエリア
の左右に配置
されることを特徴とする、請求項1~
6のいずれか一項に記載のニット・デバイス。
【請求項8】
ループ組織が10/12//の閉じ目組織であることを特徴とする、請求項1~
7のいずれか一項に記載のニット・デバイス。
【請求項9】
ループ組織が01/21//の開き目組織であることを特徴とする、請求項1~
7のいずれか一項に記載のニット・デバイス。
【請求項10】
成形
体であって、
成形
材から作製され、前記成形
体と同じ形状を有するブロック、および前記ブロックを覆うカバーを含み、
前記カバ-が
、前記成形体の外面から突出するフッ
クと、前記カバ
ーに取り付けられ
た、請求項1~
9のいずれか一項に記載のニット・デバイスとの間の協働により、ブロックに取り付けられた、成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フック要素に付随するフックと協働するように設計されたループを含む第1のエリア、特に中心エリア、および第1のループ・エリアに隣接し、ループを含まない少なくとも1つの第2の耳部エリア、特に第1の中心ループ・エリアの各側に配置した2つの第2の耳部エリアを含む、接着ループを備えたニット・デバイス、特にニット・メッシュに関する。本発明はまた、成形によって生成された発泡体、例えば自動車シートを覆うように設計されたカバーであって、成形体と接触するように設計された面に、前述した形式のループを備えたニット・デバイスが、特に前記少なくとも1つの第2の耳部エリアの領域で前記カバーに取り付けられた、特に縫着されたカバーに関する。本発明はまた、この形式のカバーで覆われた成形体、例えば自動車シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車シートを生成するために、第1に成形時に発泡材を生成されるべきシートの形態に成形し、カバーから突出するループによってカバーが物体の周囲に取り付け可能になるように、フックを成形体の外面に形成された空洞またはトレンチの底部から突出するようにオーバー成形する。
【0003】
これらのループは、概して編まれたループが突出する中心エリア、および編まれたループが突出せず、かつ成形体にオーバー成形されたフックによってカバーが成形体に取り付け可能になるように、その領域でループを備えたニット・デバイスが、特に縫着によって前記カバーに取り付けられる2つの耳部エリアを左右に含む、ループを備えたニット・デバイスによって生成される。
【0004】
カバーによって覆われたこの種類の成形体、特に自動車シートは、先行技術、例えば文書FR3003578A1で公知である。
【0005】
特に織物生地または革の形態のカバーによって覆われたそのような自動車シートは、可能な限り整った、正確な外観でなければならない。これを行うために、カバーは、それが覆う成形体の輪郭に完璧に適合すべきである。実際、カバーは成形体への取り付けが不良であり、特にそれらが覆うことを目的とする成形体、詳細には自動車シートの形状に沿って完璧な適合を形成しないか、または経時的な段階的プロセスの一環として、シートの形状にもはや完璧に適合しなくなるかのいずれかが観察される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の欠点を克服し、自動車シートであって、フックとループの自己接着システムにより前記シートに取り付けられるカバーによって覆われ、カバーが成形体の輪郭に完璧に適合し、長期間そのように適合し続ける自動車シートを達成することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、ニット・デバイス、特にニット・メッシュであって、ループが突出する第1のエリア、特に矩形エリア、および少なくとも1つの第2のエリア、特に隣接した矩形エリア、好ましくは第1のエリアの各側に配置された2つの隣接したエリアを含み、第2の隣接した耳部エリアが、ループを含まず、かつニット・デバイスを成形体、特に自動車シートを覆うように設計されたカバーに、例えば縫着によって取り付けることを可能とするように設計され、ループを備えた第1のエリアは成形体から突出するフックと協働するように設計され、ニット生地が、ループ・ウェール糸または編目の列と緯糸を織り込むことによって形成された裏地を含み、かつループ糸が裏地に編まれた第1のエリアにおいて、各ループが、裏地に編まれた2つの脚部と、2つの脚部から延びる2本のストランドと、2本のストランドを接結する頂部とによって形成され、ニット・デバイスには、前記少なくとも1つの第2の耳部エリアを形成するニット・デバイスの糸のほつれを予防または抑制するための手段が設けられることを特徴とする。
【0008】
特に、糸のほつれを予防または抑制するための手段は、1つ以上の第2の耳部エリアの全幅にわたって配置される。
【0009】
耳部を形成する糸のほつれに抑制するための手段をそのように設けることにより、カバーが、一方では特に縫着によってそれらが取り付けられる様態のために、他方ではループに取り付けられるフックのためにそれらが経験しうる負荷に起因する、かつ使用時にカバーが経験する負荷に起因する経時的な耳部の劣化によるずれを経験することなく成形体に完璧に取り付けられることを、特に長期的に保証することができる。接着ループは、ニット生地の裏地によって形成される面から突出するループ、および/またはニット生地の裏地とは異なる面に延びるループと理解される。
【0010】
本発明の特にロバストな有利な実施形態では、ほつれを予防または抑制するための手段は、耳部エリアをコーティング、例えば樹脂または糊で覆うことを伴い、コーティングは硬化後に耳部に顕著な寸法安定性を付与し、それによってほつれを防止する。
【0011】
特に覆われた最終シートを製造するためのプロセスを簡素化し、それにより製造に関連するコストを低減させる本発明の別の同等に有利な実施形態では、ニット・デバイスは、ニット生地であり、ニット生地は、ループ・ウェール糸または編目の列と緯糸を織り込むことによって形成された裏地を含み、かつ裏地にループ糸が編まれた第1の中心エリアにおいて、各ループは、裏地に編まれた2つの脚部と、2つの脚部から延びる2本のストランドと、2本のストランドを接結する頂部とによって形成され、裏地の緯糸は前後移動しながら横方向に延び、機械方向でN個の編目の行列の周囲をジグザグに進み、Nは2~5の間、特に3行であり、N-1個の編目の連続した末端の行列、特にN-1個の最後の行を除き、これは裏地の横断方向の全範囲にわたって当てはまる。
【0012】
2つの連続した緯糸間のCDの距離は、2つの連続した経糸間のCDの距離の75%~125%の間である。
【0013】
ジグザグに前後移動しながら延びる裏地の緯糸において、裏地の2つの隣接した緯糸は実質的に平行であり、特に裏地の2つの隣接した緯糸のジグザグ形状は、第1の緯糸のジグザグ形状の先端と第2の緯糸のジグザグ形状の先端が、CD方向に実質的に平行に延びるセグメントを形成するようなものである。
【0014】
ジグザグに前後移動しながら延びる裏地の緯糸において、同じ緯糸のMDの2つの隣接した末端間のMDの距離は0.5mm~5mmの間、特に0.8mm~3mmの間、より詳細には1.8mm程度の範囲である。
【0015】
ジグザグに前後移動しながら延びる裏地の緯糸において、同じ緯糸のCDの2つの隣接した末端間のCDの距離は0.6mm~25mmの間、特に2mm~10mmの間の範囲である。
【0016】
Nが2に等しい場合、ジグザグに前後移動しながら延びる裏地の緯糸において、同じ緯糸のCDの2つの隣接した末端間のCDの距離は0.6mm~10mmの間、特に2mm~4mmの間、より詳細には3mm程度の範囲である。
【0017】
Nが3に等しい場合、ジグザグに前後移動しながら延びる裏地の緯糸において、同じ緯糸のCDの2つの隣接した末端間のCDの距離は1mm~15mmの間、特に3mm~6mmの間、より詳細には4.5mm(または1/5インチ)程度の範囲である。
【0018】
Nが4に等しい場合、ジグザグに前後移動しながら延びる裏地の緯糸において、同じ緯糸のCDの2つの隣接した末端間のCDの距離は1.33mm~20mmの間、特に4mm~8mmの間、より詳細には6mm程度の範囲である。
【0019】
Nが5に等しい場合、ジグザグに前後移動しながら延びる裏地の緯糸において、同じ緯糸のCDの2つの隣接した末端間のCDの距離は1.67mm~25mmの間、特に5mm~10mmの間、より詳細には7.5mm程度の範囲である。
【0020】
好ましくは、ループの2つの脚部を接結するセグメントはMD方向およびCD方向に延び、したがってMD方向に関して好ましくは10°~80°の間、特に一部の場合では30°~75°の間の角度を形成する。一部の場合では、傾斜はCD方向でループごとに変化し、言い換えると角度は正と負を交互にとる。
【0021】
好ましくは、各ループは裏地の2つの編まれた脚部によって形成され、各脚部は異なる隣接した列に属し、ジグザグ形状はフロート・ループを伴うことなく、言い換えると編目を1行も逃すことなく、編目またはピックのN個の行列を経て達成される。
【0022】
例えば3行列の編目にかけて、かつ全幅にわたってジグザグに延びる緯糸をそのようにもたらすことにより、耳部エリアがほつれないことを保証することができる。それと同時に、第1の有利な実施形態と比較すると、それによって特にその後硬化する樹脂または糊などの高価なコーティング材の使用をより少なく済ますことができることにより、より低コストでほつれに対抗するだけでなく、より少ない段階を有する簡素化された製造プロセスが実現する。
【0023】
ほつれ防止手段は、好ましくはニット生地を横方向(CD)で変形させるのに必要とされる力を、座標の原点(0,0)と破断点R(曲線の急激な下降、例えば10%を超える、特に15%より大きい力の急激な変化によって認識されてもよい)の間の変形の関数として示す曲線をプロットする場合に、曲線が原点と点Rを結ぶ直線の下に常に留まるように使用される。
【0024】
好ましい実施形態では、25%の変形での力の値は150N未満、好ましくは125N未満、さらにより好ましくは100N未満、特に50N未満、またはさらには35Nである。
【0025】
好ましい実施形態では、50%の変形での力の値は350N未満、好ましくは335N未満、さらにより好ましくは300N未満、特に225N未満、またはさらには190Nである。
【0026】
好ましい実施形態では、ニット生地は、ループを備えた第1の中心エリア、および左右に2つの第2の隣接した耳部エリアを含む。
【0027】
ニット生地は、好ましくは3本バー織機、特に糸を分配するための3本のバーおよびジャッキ・バーを備えた織機で生成される。
【0028】
ニット生地は、好ましくは3本バー経糸織機、特に糸を分配するための3本のバーおよびジャッキ・バーを備えた織機で生成される。
【0029】
ニット生地は、好ましくは3本バー経糸織機であって、そのうち1つのバーがガイド・バーであり、他の2つのバーがチューブ・バーである3本バー経糸織機で生成される。
【0030】
ニット生地は、好ましくは経糸織機、特にクローシェ編み機(例えば、COMEZおよび/またはJakob Muller AG Frickにより、参照番号Comez610 ACO、またはより詳細にはComez 610 ACO-15で市販されるクローシェ編み機)で生成される。
【0031】
それ自体有利な実施形態では、ループ組織は10/12//の閉じ目組織である。
【0032】
別の同等にそれ自体有利な実施形態では、ループ組織は開き目組織、特に01/21//の組織である。
【0033】
本発明はまた、成形体、例えば自動車シートであって、物体、特に自動車シートと同じ形状を有する成形材、特に発泡材から作製されたブロック、およびブロックを覆うカバーであり、フック、特に成形体の外面から突出するフックの複数のエリアと、カバー、特にカバーの下側面に取り付けられた、特に縫着された本発明によるループが編まれた生地との間の協働によってブロックに取り付けられるカバーを含む成形体に関する。
【0034】
緯糸、ループ糸および経糸に使用される材料は互いに同一であっても異なってもよく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、アラミド、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)または同様のものおよび上記の配合物から選択されてもよい。弾性もしくはエラストマーおよび/または熱接着性材料も使用されてもよい。ヤーンはフラット、加工、ギンプおよび/または撚加工であってもよい。緯糸、ループ糸および経糸に使用される材料は、一成分もしくは二成分材料または複数の成分を含む材料から作製される、同一のまたは異なる種類であってもよい。
【0035】
例として、ここで図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】成形体を覆うカバーが成形体から離れて示される、前記物体の概略斜視図である。
【0037】
【
図2】
図1のデバイス、特に
図1のカバーに縫着されるニット生地に使用される、すべての糸の理論的な編組織を示す。
【0038】
【
図3】
図2のニット生地の経糸またはループ・ウェール糸のみを示す理論的な編組織を示す。
【0039】
【
図4】
図2のニット生地の緯糸のみを示す理論的な編組織を示す。
【0040】
【
図5】
図2のニット生地のループのみを示す理論的な組織を示す。
【0041】
【0042】
【0043】
【
図8】
図4の緯糸組織、
図3の編目の列および
図7のループを使用する実施形態による理論的な編組織を示す。
【0044】
【
図9】本発明のさらに別の実施形態によるニット生地を示す。
【0045】
【
図10】本発明によるニット生地、言い換えると
図4の緯糸、
図3のループ・ウェール糸および
図7のいわゆる開いた/閉じたループ糸を含むニット生地を変形させるのに必要とされる力を、特に原点(0,0)と破断点Rの間の変形の関数として示す曲線を示す。
【0046】
【
図11】本発明によるニット生地、言い換えると
図4の緯糸、
図3のループ・ウェール糸および
図5または
図6のループ糸を含むニット生地を変形させるのに必要とされる力を、特に原点(0,0)と破断点Rの間の変形の関数として示す曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、自動車シートの形態を有する発泡材、特にポリウレタンから作製され、かつオーバー成形されるフック14を備えた矩形ストリップ3が、特に成形前の挿入によってその底部に取り付けられた複数のトレンチ2を含む、ブロック1を含む自動車シートの形態の成形体を示す。成形体、すなわち自動車シートは、ブロック1の外面に完璧に適合するカバー4で覆われる。これを達成するために、カバー4は、編まれたループ9が突出する中心エリア6、ならびにそれぞれカバー4の下側面に縫着された2つの耳部エリア7および8を含むニット・デバイス5に縫着される。ループがフックと協働すると、カバー4は成形ブロックの周囲に取り付けられ、その形状に完璧に適合する。これによりその最終カバーで覆われた成形体、例えば自動車シートが得られる。
【0048】
図2~5は、3つのガイドおよびチューブ・バーによる動作を伴う経糸織機で生成された、ループが編まれた生地の組織を示す。第1のガイド・バーは、各行(図で縦方向)の針と協働するループ・ウェールまたは編目の列10を形成するために使用される。第2のチューブ・バーは、ループ・ウェール10を形成するための針と協働する緯糸接結11を形成するために使用される。第3のチューブ・バーは、ニット生地の中心部分(7~19行目)においてジャッキ・バーのすべての針で編目12(ループの脚部)を形成するために使用される。これにより、ループ糸はループの頂部13を形成する。
【0049】
緯糸接結(
図4)は、メッシュ状でない(緯糸)システム10によって示される。ループ・ウェールまたは編目の列は、開いていても交互であってもよい。
【0050】
図4に示されるように、各緯糸は00/33//の組織に従って延びる。したがって、各緯糸は機械方向(図で縦方向)にジグザグに延び、横方向で3つの連続した行の3つの針の周囲を通過する(
図4で左から右)。さらに、緯糸によって2回に1回ジグザグに迂回される/ブロックされる/含まれる最後の2列(24および25)を除き、それによりすべての針の行が緯糸によってジグザグに迂回される/ブロックされる/含まれ、ニット生地の裏地全体(1~23行目)を横断する。したがって、緯糸の数は編目の行列の数マイナス2に等しい。緯糸は1つの列によって相殺される。ジグザグが3行の周囲に形成されず、2行の周囲に形成される場合、緯糸の数は編目の行列の数マイナス1に等しい。概して、N個の針(ここでNは2~5の間である)の周囲に形成される緯糸のジグザグに関して、緯糸の数は編目の行列の数マイナスNプラス1に等しい。ジグザグはMD方向に延び、編目の各行で形成される。
【0051】
図には25列の針が示される。所望の製品の最終的な幅に応じて様々な数の列の針が設けられてもよい。
図2は、編目の列のバーがどのように動作するかを示す。これは従来的な操作であり、本明細書ではこれ以上記載されない。
図4に緯糸を示す。各緯糸は3つの針の周囲にジグザグに延び、各ジグザグの緯糸は先の緯糸の直後に延びる。したがって、2回に1回ジグザグに迂回される/ブロックされる/含まれる最後の2列を除き、編目の列または針の列と同じ数の緯糸が存在する。
【0052】
図5に示されるループ組織は、閉じ目組織10/12//である。
【0053】
図6に示される別の実施形態によると、ループ組織は開き目組織、特に01/21//の組織である。
【0054】
ループ組織の別の可能な実施形態によると、いわゆる開き目/閉じ目組織、特に10/01/21/12//の組織が生成される。
【0055】
本発明によると、緯糸が、緯糸を伴わない編目の列またはループ・ウェールによって離されることなく互いの直後に連続に延びることを保証することにより、すべての緯糸が3つの針の周囲にジグザグに延びることが実現される。
【0056】
さらに、ニット生地は、好ましくは3つの糸バーのみを使用して生成されている。しかし、ニット生地は、反対方向の緯糸、例えば
図4に示されるものと同一の緯糸、または代替的に、例えば2つのループ・ウェールのうちの1つ、またはさらには3つのループ・ウェールのうちの2つ、または4つのループ・ウェールのうちの3つが緯糸を有さないように、より少ない緯糸を含む組織を生成するための4つ目の糸分配バーを使用して同様に生成することができる。しかし、ニット生地は、好ましくは3つのバーのみを使用して生成される。
【0057】
さらに、3つの針の周囲にジグザグを形成する代わりに、ジグザグは2つの針、好ましくは2~5個の間の針の周囲に形成されてもよい。好ましくは25列の針、特に幅40mmのニット生地の場合25本の経糸が設けられる。
【0058】
本発明の別の実施形態を
図9に示す。ループを備えたニット生地5’は、中心エリア6’ならびに2つの耳部エリア7’および8’を含む。ニット生地5’は、緯糸および編目の列を含む糸を織り込むことによって形成される裏地からなり、中央部ではループ糸が編まれループを形成する。裏地は以前に記載された通りであってもよく、代替的に異なってもよい、すなわち、例えばジグザグに延びる緯糸は裏地の全幅を横断する(
図9に示されるように)、または5つより多い数の行を超える。また、例えば2行のうち1行または3行のうち1行に緯糸をかけずに残すことにより、ニット生地の全幅にわたって連続して延びない緯糸が設けられてもよい。一方、この緯糸構造のために生じやすいほつれに対抗するために、本発明によると、耳部エリアを硬化糊または樹脂によってコーティングすることができ、これにより硬化糊または樹脂は、ニット生地が、一方でループを備えたエリアにおけるフックの作用に関連する負荷、および使用者によってもたらされる負荷に供された場合に、前記生地をほつれから保護することが提供される。
【0059】
特に、機械的固着を可能にする樹脂、例えば高粘性ホットメルト接着剤(HMA)、例えばSBC(スチレン・ブロック・コポリマー)に基づくもの、ポリオレフィン(PO)に基づくもの、ポリウレタン(PU)に基づくものおよび/または化学的固着を可能にする樹脂を使用することができる。
図9の変形として、耳部をコーティングする樹脂の層15および16の代替としてまたはそれに加え、耳部エリアでカレンダー加工および/または超音波溶着により熱的段階を実施し、耳部エリアを強化して、この緯糸構造によって生じやすいほつれに対抗してもよい。
【0060】
図1~8の実施形態では、裏面の緯糸の既定の構造によりほつれ防止手段が形成される。
図9では、これらのほつれ防止手段はコーティング、特に耳部をコーティングする樹脂の層15および16によって形成される。したがって、コーティングはより高価であり、かつ適用がより複雑であるという知識に基づき、これら2つの方法から選択することが可能である。所望であれば、さらに良好なほつれ防止効果を達成するために、
図1~8のニット生地の耳部をコーティングすることにより、方法を組み合わせることもできる。
【0061】
図10および11は、本発明によるニット生地を横方向(CD)で変形させるのに必要とされる力を変形の関数として示す曲線を示す。この曲線は、動力計を使用し、特に規格NF EN1415に記載される方法を適用することにより、ニット生地試料を動力計(牽引速度100mm/分)の2つの顎部(顎部間の距離は20mmに等しい)の間に置くことを伴うCD方向の破断時伸び試験を使用して従来、得られる。
【0062】
図10および11に示されるように、座標の原点(0,0)と破断点R(曲線の急激な下降、例えば10%を超える、特に15%を超える力の値の低下によって認識されてもよい)の間で、曲線は依然として原点と点Rを結ぶ直線の下に留まる。
【0063】
本発明によると、25%の変形での力の値は150N未満、好ましくは125N未満、さらにより好ましくは100N未満、特に50N未満、またはさらには35Nである。
【0064】
本発明によると、50%の変形での力の値は350N未満、好ましくは335N未満、さらにより好ましくは300N未満、特に225N未満、またはさらには190Nである。
【0065】
図2の実施形態の変形として、例えば
図6または7に示されるループが使用されてもよい。
【0066】
図9の実施形態の変形として、
図9に示されるコーティングが使用されてもよく、ならびに/または熱的段階、例えばカレンダー加工および/もしくは超音波接合を耳部に実施し、ほつれにさらに高度に対抗してもよい。
【0067】
図2~8の実施形態の変形として、例えば
図5または6に示されるループが使用されてもよい。