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  • 特許-接着剤組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/08 20060101AFI20240220BHJP
   C09J 123/08 20060101ALI20240220BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20240220BHJP
   C09J 191/06 20060101ALI20240220BHJP
   C08L 91/06 20060101ALI20240220BHJP
   C08L 101/12 20060101ALI20240220BHJP
   C08L 57/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C08L23/08
C09J123/08
C09J11/08
C09J191/06
C08L91/06
C08L101/12
C08L57/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021561733
(86)(22)【出願日】2019-04-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-09
(86)【国際出願番号】 CN2019082617
(87)【国際公開番号】W WO2020210931
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】マクレナガン、アラン ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】ジン、イ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ダン、ジョゼフ ジェイ.アイ.
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、ライアン
(72)【発明者】
【氏名】マー、ワンフー
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-246375(JP,A)
【文献】特表2017-508022(JP,A)
【文献】特開2020-094144(JP,A)
【文献】特開2000-226561(JP,A)
【文献】特表2006-503966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08F 6/00-246/00
C09J 9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)20重量%~70重量%のエチレン/α-オレフィンコポリマーであって、(i)エチレンおよび(ii)20重量%~35重量%のC またはα-オレフィンコモノマーを含み、前記エチレン/α-オレフィンコポリマーが、
0.880g/cc~0.895g/ccの密度、
177℃で4,000mPa・s~20,000mPa・sの溶融粘度、
-55℃~-20℃のガラス転移温度、を有する、エチレン/α-オレフィンコポリマーと、
(B)20重量%~60重量%の粘着付与剤と、
(C)10重量%~40重量%のワックスと、を含む、組成物。
【請求項2】
前記エチレン/α-オレフィンコポリマーが、77℃~83℃の溶融温度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記α-オレフィンコモノマーがヘキセンである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記粘着付与剤が水素化炭化水素樹脂である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が3秒未満の硬化時間を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、-20℃~60℃の温度範囲で90%超の繊維引裂を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、177℃で500mPa・s~2000mPa・sの溶融粘度を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が60℃超の熱応力を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む、物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
接着剤産業では、包装用接着剤および他の用途に好適な接着特性を有するホットメルト接着剤(HMA)を製造するために、エチレン系ポリマーが粘着付与剤およびワックスと一緒に配合される。他の要因が等しい場合、エチレン系ポリマーのコモノマー含有量および構造(したがって、エチレン系ポリマーの特性)が、HMAの接着性能に影響を及ぼし得る。コモノマーの種類および含有量を変えると、それに応じてエチレン系ポリマーの溶融粘度および他の特性が変化し、それによって、例えば繊維引裂のような、HMAの性能に影響が及び得る。
【技術分野】
【0002】
当技術分野では、好適な接着性能を提供するHMA配合物に有用なエチレン系ポリマーの多様性を拡大する必要性が認識されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、組成物を提供する。この組成物は、(A)(i)エチレンおよび(ii)20重量%~35重量%のC~Cα-オレフィンコモノマーを含有するエチレン/α-オレフィンコポリマーであって、エチレン/α-オレフィンコポリマーが、0.880g/cc~0.895g/ccの密度、177℃で4,000mPa・s~20,000mPa・sの溶融粘度、および-55℃~-20℃のガラス転移温度を有する、エチレン/α-オレフィンコポリマーと、(B)粘着付与剤と、(C)ワックスと、を含有する。
【0004】
本開示は、物品も提供する。この物品は、(A)(i)エチレンおよび(ii)20重量%~35重量%のC~Cα-オレフィンコモノマーを含有するエチレン/α-オレフィンコポリマーであって、エチレン/α-オレフィンコポリマーが、0.880g/cc~0.895g/ccの密度、177℃で4,000mPa・s~20,000mPa・sの溶融粘度、および-55℃~-20℃のガラス転移温度を有する、エチレン/α-オレフィンコポリマーと、(B)粘着付与剤と、(C)ワックスと、を含有する組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含有する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本開示の一実施形態による熱応力試料ホルダの概略図である。
【0006】
定義
元素周期表へのいずれの参照も、CRC Press,Inc.によって1990~1991に発行されたときのものである。この表における元素の族への参照は、族の番号付けの新しい表記法による。
【0007】
米国特許慣行の目的のため、いかなる参照される特許、特許出願、または刊行物の内容も、特に定義の開示(本開示に具体的に提供されるいかなる定義とも矛盾しない程度まで)および当技術分野の一般知識に関して、それらの全体が参照によって組み込まれる(またはその同等の米国版が、参照によってそのように組み込まれる)。
【0008】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値および上限値を含む、下限値から上限値のすべての値を含む。明示的な値を含有する範囲(例えば、1、または2、または3~5、または6、または7の範囲)の場合、任意の2つの明示的な値の間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、上記の範囲1~7には、部分範囲1~2、2~6、5~7、3~7、5~6などを含む)。
【0009】
反対の記載がない限り、または当技術分野において慣習的にそうでないと述べられていない限り、文脈から示唆されない限り、すべての部およびパーセントは重量を基準としており、すべての試験方法は本開示の出願日現在のものである。
【0010】
「接着剤組成物」とは、熱および/または圧力の適用下で、対象となる基材を一緒に接合することが可能である成分の混合物である。好適な接着剤組成物の非限定的な例は、ホットメルト接着剤(HMA)組成物である。「ホットメルト接着剤(HMA)組成物」とは、熱の適用、またはより典型的には熱および圧力の適用下で、対象となる基材を一緒に接合することが可能である成分の混合物である。
【0011】
「ブロックコポリマー」または「セグメント化コポリマー」という用語は、線状に結合された2つ以上の化学的に固別の領域またはセグメント(「ブロック」と称される)を含むポリマー、すなわち、ペンダントまたはグラフトの様式ではなく、重合官能基に対して端と端で結合(共有結合)している化学的に区別された単位を含むポリマーを指す。一実施形態では、ブロックは、その中に組み込まれたコモノマーの量またはタイプ、密度、結晶化度の量、結晶化度のタイプ(例えば、ポリエチレン対ポリプロピレン)、そのような組成のポリマーに起因する結晶子サイズ、立体規則性のタイプまたは程度(アイソタクチックもしくはシンジオタクチック)、位置規則性または位置不規則性、長鎖分岐または超分岐を含む分岐の量、均一性、または任意の他の化学的もしくは物理的特性で異なる。
【0012】
「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を指す。
【0013】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、任意の追加の成分、ステップ、または手順が、本明細書で具体的に開示されているかに関わらず、それらの存在を除外するよう意図されない。疑義を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、反対の記載がない限り、ポリマーであろうとなかろうと、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる続く記述の範囲からあらゆる他の成分、ステップ、または手順を除く。「からなる」という用語は、具体的に描写または列挙されていないあらゆる成分、ステップ、または手順も除く。「または」という用語は、特に明記しない限り、列挙されたメンバーを個別に、ならびに任意の組み合わせで指す。単数形の使用には、複数形の使用が含まれ、逆の場合も同じである。
【0014】
「エチレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合エチレンモノマーを含有し、任意選択的に少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。エチレン系ポリマーは、エチレンホモポリマー、およびエチレンコポリマー(エチレンおよび1つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。「エチレン系ポリマー」および「ポリエチレン」という用語は、互換的に使用され得る。エチレン系ポリマー(ポリエチレン)の非限定的な例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)および線状ポリエチレンが挙げられる。線状ポリエチレンの非限定的な例としては、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ultra low density polyethylene)(ULDPE)、超低密度ポリエチレン(very low density polyethylene)(VLDPE)、多成分エチレン系コポリマー(EPE)、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー(オレフィンブロックコポリマー(OBC)としても知られている)、シングルサイト触媒線状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、実質的に線状または線状のプラストマー/エラストマー、および高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。一般に、ポリエチレンは、チーグラー・ナッタ触媒などの不均質触媒系、第4族遷移金属およびメタロセンなどのリガンド構造を含む均質触媒系、非メタロセン金属中心、ヘテロアリール、ヘテロバレントアリールオキシエーテル、ホスフィンイミン、およびその他などを使用して、気相、流動床反応器、液相スラリープロセス反応器、または液相溶液プロセス反応器で生成することができる。不均一触媒および/または均一触媒の組み合わせもまた、単一反応器または二重反応器構成のいずれかにおいても使用され得る。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、その中に重合した芳香族コモノマーを含有しない。
【0015】
「エチレンプラストマー/エラストマー」は、エチレンに由来する単位、および、少なくとも1つのC~C10α-オレフィンコモノマー、もしくは少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマー、もしくは少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマーに由来する単位を備える均質な短鎖分岐分布を含む、実質的に線状または線状のエチレン/α-オレフィンコモノマーである。エチレンプラストマー/エラストマーは、0.870g/ccまたは0.880g/ccまたは0.890g/cc~0.900g/ccまたは0.902g/ccまたは0.904g/ccまたは0.909g/ccまたは0.910g/ccまたは0.917g/ccの密度を有する。エチレンプラストマー/エラストマーの非限定的な例としては、AFFINITY(商標)プラストマーおよびエラストマー(The Dow Chemical Companyから入手可能)、EXACT(商標)プラストマー(ExxonMobil Chemicalから入手可能)、Tafmer(商標)(Mitsuiから入手可能)、Nexlene(商標)(SK Chemicals Co.から入手可能)、およびLucene(商標)(LG Chem Ltd.で入手可能)が挙げられる。
【0016】
「高密度ポリエチレン」(または「HDPE」)とは、エチレンホモポリマー、または少なくとも1つのC~C10α-オレフィンコモノマーもしくはC~Cα-オレフィンコモノマーを含むエチレン/α-オレフィンコポリマーであり、密度は、0.94g/cc、または0.945g/cc、または0.95g/cc、または0.955g/cc~0.96g/cc、または0.97g/cc、または0.98g/ccを上回る。HDPEは、単峰性コポリマーまたは多峰性コポリマーであり得る。「単峰性エチレンコポリマー」とは、分子量分布を示すゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)において1つの明確なピークを有するエチレン/C~C10α-オレフィンコポリマーのことである。「多峰性エチレンコポリマー」とは、分子量分布を示すGPCにおいて少なくとも2つの明確なピークを有するエチレン/C~C10α-オレフィンコポリマーのことである。多峰性としては、2つのピークを有するコポリマー(二峰性)、ならびに3つ以上のピークを有するコポリマーが挙げられる。HDPEの非限定的な例としては、それぞれThe Dow Chemical Companyから入手可能なDOW(商標)高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、ELITE(商標)強化ポリエチレン樹脂、およびCONTINUUM(商標)双峰性ポリエチレン樹脂、LyondellBasellから入手可能なLUPOLEN(商標)、ならびにBorealis、Ineos、およびExxonMobilからのHDPE製品が挙げられる。
【0017】
「インターポリマー」とは、少なくとも2つの異なるモノマーの重合によって調製されるポリマーである。この総称は、2つの異なるモノマーから調製されたポリマー、および3つ以上の異なるモノマーから調製されたポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマーなどを指すために通常用いられるコポリマーを含む。
【0018】
「低密度ポリエチレン」(または「LDPE」)は、エチレンホモポリマー、または0.915g/cc~0.940g/ccの密度を有し、かつ広いMWDを有する長鎖分岐を含有する、少なくとも1つのC~C10α-オレフィン、好ましくはC~Cを含む、エチレン/α-オレフィンコポリマーからなる。LDPEは、典型的には、高圧フリーラジカル重合(フリーラジカル開始剤を用いる管状反応器またはオートクレーブ)によって生成される。LDPEの非限定的な例としては、MarFlex(商標)(Chevron Phillips)、LUPOLEN(商標)(LyondellBasell)、ならびにBorealis、Ineos、ExxonMobilなどからのLDPE製品が挙げられる。
【0019】
「線状低密度ポリエチレン」(または「LLDPE」)とは、エチレンに由来する単位、および少なくとも1つのC~C10α-オレフィンコモノマーまたは少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマーまたは少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマーに由来する単位を含む、不均一短鎖分岐分布を含む線状エチレン/α-オレフィンコポリマーである。LLDPEは、従来のLDPEとは対照的に、長鎖分岐があるとしてもわずかであることを特徴とする。LLDPEは、0.910g/cc、または0.915g/cc、または0.920g/cc、または0.925g/cc~0.930g/cc、または0.935g/cc、または0.940g/ccの密度を有する。LLDPEの非限定的な例としては、それぞれthe Dow Chemical Companyから入手可能なTUFLIN(商標)線状低密度ポリエチレン樹脂およびDOWLEX(商標)ポリエチレン樹脂、ならびにMARLEX(商標)ポリエチレン(Chevron Phillipsから入手可能)が挙げられる。
【0020】
「多成分エチレン系コポリマー」(または「EPE」)は、エチレン由来の単位と、特許参考文献USP6,111,023、USP5,677,383、およびUSP6,984,695に記載されているような少なくとも1つのC~C10α-オレフィンコモノマーまたは少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマーまたは少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマーに由来する単位と、を含む。EPE樹脂は、0.905g/cc、または0.908g/cc、または0.912g/cc、または0.920g/cc~0.926g/cc、または0.929g/cc、または0.940g/cc、または0.962g/ccの密度を有する。EPE樹脂の非限定的な例としては、ELITE(商標)強化ポリエチレンおよびELITE AT(商標)先端技術樹脂(それぞれDow Chemical Companyから入手可能)、SURPASS(商標)ポリエチレン(PE)樹脂(Nova Chemicalsから入手可能)、およびSMART(商標)(SK Chemicals Co.から入手可能)が挙げられる。
【0021】
「オレフィン系ポリマー」または「ポリオレフィン」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合オレフィンモノマーを含有するポリマーであり、任意選択的に少なくとも1つのコモノマーを含有し得る。オレフィン系ポリマーの非限定的な例としては、エチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーが挙げられる。
【0022】
「ポリマー」は、同一の種類または異なる種類であるかにかかわらず、重合モノマーによって調製される化合物であり、重合形態で、ポリマーを成す複数ならびに/または反復「単位」もしくは「構造単位」を提供する。したがって、ポリマーという総称は、1つの種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指すために通常用いられるホモポリマーという用語、および少なくとも2つの種類のモノマーから調製されたポリマーを指すために通常用いられるコポリマーという用語を包含する。また、例えば、ランダム、ブロックなどのすべての形態のコポリマーも包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」および「プロピレン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれエチレンまたはプロピレンを重合させて調製した上述のコポリマーおよび1つ以上の追加の重合性α-オレフィンモノマーを示す。ポリマーは、多くの場合、特定のモノマーまたはモノマーの種類に「基づいて」、特定のモノマー含有量を「含有する」など、1つ以上の特定のモノマー「から作製される」ものと言及されるが、この文脈では、「モノマー」という用語は、特定のモノマーの重合残留物を指し、非重合種を指さないことが理解されることに留意されたい。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものを指す。
【0023】
「プロピレン系ポリマー」は、(重合可能モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合プロピレンモノマーを含有するポリマーであり、任意選択的に少なくとも1つのコモノマーを含有し得る。
【0024】
「ロジン」は、カルボン酸である樹脂酸の混合物である。好適なロジンの非限定的な例としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。好適な樹脂酸の非限定的な例としては、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、パルストリン酸、レボピマル酸、ピマル酸、イソピマル酸、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0025】
「シングルサイト触媒線状低密度ポリエチレン」(または「m-LLDPE」)は、エチレン由来の単位と、少なくとも1つのC~C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマー由来の単位とを含む、不均一短鎖分岐分布を含有する線状エチレン/α-オレフィンコポリマーである。m-LLDPEは、0.913g/cc、または0.918g/cc、または0.920g/cc~0.925g/cc、または0.940g/ccの密度を有する。m-LLDPEの非限定的な例としては、EXCEED(商標)メタロセンPE(ExxonMobil Chemicalから入手可能)、LUFLEXEN(商標)m-LLDPE(LyondellBasellから入手可能)、およびELTEX(商標)PF m-LLDPE(Ineos Olefins&Polymersから入手可能)が挙げられる。
【0026】
「超低密度ポリエチレン(Ultra low density polyethylene)」(または「ULDPE」)および「超低密度ポリエチレン(very low density polyethylene)」(または「VLDPE」)はそれぞれ、エチレン由来の単位と、少なくとも1つのC~C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマー由来の単位と、を含む、不均一短鎖分岐分布を含む線状のエチレン/α-オレフィンコポリマーである。ULDPEおよびVLDPEはそれぞれ、0.885g/cc、または0.90g/cc~0.915g/ccの密度を有する。ULDPEおよびVLDPEの非限定的な例としては、それぞれThe Dow Chemical Companyから入手可能なATTANE(商標)ULDPE樹脂およびFLEXOMER(商標)VLDPE樹脂が挙げられる。
【0027】
試験方法
酸価(acid value)(または酸価(acid number))は、ASTM D1386/7に従って測定する。酸価は、物質中に存在する未反応脂肪酸の量の尺度である。酸価とは、物質(例えば、ワックス)1グラム中に存在する遊離脂肪酸の中和に必要な水酸化カリウムのミリグラム数である。酸価の単位は、mg KOH/gである。
【0028】
密度は、ASTM D792、方法Bに従って測定され、結果は、1立方センチメートル当たりのグラム(g)(g/ccまたはg/cm)で記録される。
【0029】
滴点は、ASTM D3954に従って測定される。
【0030】
Inland段ボールを使用する組成物の繊維引裂(%)パーセント繊維引裂(FT)は、標準化された方法に従って決定する。試料組成物は170℃に加熱され、試料組成物のビーズ(1メートル当たり2.1グラムの重量で適用)が、へらまたはホットメルトアプリケータで試料組成物をボール紙クーポンの下に縦方向に引くことによって、ボール紙クーポン(25.4mm×76.2mm)上に適用され、第2のクーポンが、試料組成物の上にすばやく(1秒以内に)置かれ、2.5bar(250kPa)の圧力で10秒間にわたって接合部が所定の位置に保持される。試料は、室温および54%の相対湿度で24時間にわたって調整される。調整の直後に、試料(n=5)は、片方の角の下にへらの刃を挿入して角を折り曲げることによって引き剥がされる。次いで、試料は、折り曲げた角を有する側面を上に向けて、水平表面上に置かれる。試料は、試験温度に設定した加熱源または冷却源に可能な限り近づけて保持され、折り曲げた角が、各クーポンの縦方向軸線に対して約45~90°の角度で可能な限り迅速に手で引っ張られ、接着接合部が引き裂かれる。引き裂かれた繊維の割合(繊維引裂)を、25%の増分(すなわち、0%、25%、50%、75%、および100%)で評価し、平均を記録する。
【0031】
熱応力耐久性(熱応力)は、the Institute of Packaging Professions(IoPP)によって調製された「Suggested Test Method for Determining the Heat Stress Resistance of Hot Melt Adhesives」の方法T-3006に従って測定する。1つの試料を調製するために、2インチ(50.8mm)×3-3/16インチ(81mm)および2インチ(50.8mm)×5-1/2インチ(139.7mm)の寸法を有する2つのボール紙クーポン(長手方向に通る溝で切断)を、Inatec Bond Tester(適用温度177℃)を使用して、0.00014lb/インチの組成物(約0.12~0.13グラム)を適用することによって接合する。このテスターは、一定の圧力で、かつさらに熱を適用することなくクーポンを圧縮するために使用される。組成物は、短い方のクーポンの中心の縦溝に対して垂直に適用され、組成物が長い方のクーポンの一端から3/4インチ(19mm)となるようにクーポンが接合される。各組成物について5つの複製物が作製される。各クーポンは、24時間にわたって、22℃~23℃および50%の相対湿度で保管される。図1に示すように、次いで、試料(10)は、試料ホルダ(12)に充填され、図1に示すように、短いクーポンの端部が試料ホルダ(12)の縁部と揃えられる。試料(10)は、試料ホルダ(10)の幅広のプレート(14)で所定の位置に保持され、プレート(14)は、蝶ナット(16)によって試料ホルダ(12)に固定される。「200g」の重り(18)は、接合部から3.94インチ(100mm)の距離でクーポン(20)に取り付けられる。重りに取り付けたペグをより長いクーポンの端部に作製した孔内に置くことによって、重り(18)が固定される。次いで、クーポン(20)および取り付けた重り(18)を含有する試料ホルダ(12)が、対流式オーブン(図示せず)内に置かれ、設定温度で平衡化され、24時間にわたってオーブン内に放置される。24時間の最後に、接合部の少なくとも80%(すなわち、4つの接合部)が破壊されていない場合、次いで試料は試験温度での耐熱性試験に合格したものとみなされる。最大合格熱応力耐久性(温度)が決定されるまで、オーブンの温度が変化させられる。すべての新しい接合クーポン試料が各試験温度に使用される。結果は熱応力温度(℃)として報告される。
【0032】
溶融粘度は、Brookfield Viscometer(Model DV0III、バージョン3)およびSC-31ホットメルト粘度計スピンドルを、エチレン系コポリマーに対して177℃で、組成物に対して177℃で、エチレン系ポリマーワックスに対して135℃で、およびプロピレン系ポリマーワックスに対して170℃で使用して、ASTM D3236に従って測定する。試料は、アルミニウム製使い捨てチューブ型チャンバに注がれ、次に、Brookfield Thermoselに挿入され、所定の位置にロックされる。試料チャンバは、Brookfield Thermoselの底部に適合するノッチを底部上に有しており、スピンドルが挿入され、回転しているときに、チャンバが回転することを可能にしないことを確実にする。試料(約8~10グラム)は、溶融した試料が試料チャンバの上部よりも1インチ下になるまで、必要な温度まで加熱される。粘度計装置は下降させられ、スピンドルは試料チャンバの中央に沈められるが、スピンドルはチャンバの側面に触れない。粘度計上のブラケットがThermosel上に整列するまで、下降を続ける。粘度計の電源を入れて、粘度計のrpm出力に基づいて、合計トルク容量の40~60パーセントの範囲内のトルク読み取りをもたらす一定の剪断率で動作するように設定する。15分の間、毎分読み取り値を取得するか、または値が安定するまで読み取り値を取得し、その時点での最終読み取り値を記録する。
【0033】
環球式軟化点は、ASTM E28に従って、Mettler Toledo FP900 Thermosystemを使用して測定する。
【0034】
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲にわたる温度のポリマーの溶融、結晶化、およびガラス転移挙動を測定することができる。例えば、RCS(冷蔵冷却システム)およびオートサンプラーを備えるTA Instruments Q1000 DSCを使用して、この分析を実施する。試験中、50ml/分の窒素パージガス流量が使用された。各試料が約190℃で薄フィルムに溶融圧縮され、その後、溶融試料が室温(25℃)に空冷される。3~10mg、直径6mmの試験片が冷却されたポリマーから抽出され、秤量され、軽量アルミニウムパン(50mg)内に置かれ、圧着閉鎖される。次いで、その熱的特性を決定するために分析を実施する。
【0035】
試料の熱挙動は、試料温度を昇降して熱流量対温度プロファイルを作成することにより決定する。熱履歴を除去するために、最初に、試料が180℃に急速に加熱され、3分間等温保持される。次に、試料が10℃/分の冷却速度で-80℃に冷却され、-80℃で3分間等温保持される。その後、試料が10℃/分の加熱速度で180℃に加熱される(これは「第2の加熱」勾配である)。冷却曲線および第2の加熱曲線を記録する。決定した値は、外挿される溶融開始Tおよび外挿される結晶化開始Tである。
【0036】
まず、溶融転移の開始と終了との間にベースラインを引くことによって、DSC加熱曲線から融点(T)を決定する。次いで、溶融ピークの低温側のデータに接線を引く。この線が、ベースラインと交差する場所が、外挿された溶融開始(T)である。これは、Bernhard Wunderlich,The Basis of Thermal Analysis,Thermal Characterization of Polymeric Materials 92,277-278(Edith A.Turi ed.,2d ed.1997)に説明されている通りである。
【0037】
ガラス転移温度Tは、Bernhard Wunderlich,The Basis of Thermal Analysis,in Thermal Characterization of Polymeric Materials 92,278-279(Edith A.Turi ed.,2d ed.1997)に記載のように、試料の半分で液体熱容量が増加したDSC加熱曲線から決定する。ガラス転移領域の下および上からベースラインを引き、T領域を介して外挿する。試料の熱容量がこれらのベースラインの中間となる温度が、Tである。
【0038】
剥離接着破壊温度(PAFT)および剪断接着破壊温度(SAFT)
剥離接着破壊温度(PAFT)は、剥離モードで、Cheminstruments OSI-8プログラム可能オーブンを使用して、100グラムの重量でASTM D4498に従って試験する。試験は40℃で開始し、温度は0.5℃/分の平均速度で上昇する。
【0039】
剪断接着破壊温度(SAFT)は、剪断モードで、Cheminstruments OSI-8プログラム可能オーブンを使用して、500グラムの重量でASTM D4498に従って測定する。試験は40℃で開始し、オーブン温度は0.5℃/分の平均速度の傾きである。試験片が破壊される温度を記録する。
【0040】
PAFTおよびSAFT試験用の試料は、それぞれ6×12インチ(152×305mm)の寸法の60g/mのクラフト紙の2枚のシートを使用して調製される。底部シート上、縦方向に、かつ1インチ(25mm)の隙間だけ離して、1.75インチまたは2インチ(45mmまたは51mm)幅の2枚の条片の片面感圧テープ、例えばマスキングテープを平行に接着させる。試験すべき組成物試料は、177℃(350°F)に加熱され、テープ条片の間に形成された隙間の中央から均一な様式で垂らされる。次いで、組成物の粘度が過度に増加する前に、2本のガラスロッドをシートの長さ方向に滑らせる(一方のロッドがテープの上に直接乗り、隙間の各側で同じテープの条片によって水平にされ、その後、第2のロッドおよび(2本のロッド間に)第2の紙が続く)。これは、第1のロッドがテープ条片の間の隙間に組成物を均等に広げ、第2のロッドが隙間の上部およびテープ条片の上部にわたる第2のシートを均等に圧縮するような形で行われる。したがって、2枚のテープ条片の間に1インチ(25.4mm)幅の試料組成物の単一の条片が作製され、紙シートが接合される。そのように接合したシートは、横に切断されて幅1インチ(25.4mm)および長さ3インチ(76.2mm)の条片になり、各条片は、中央に1×1インチ(25×25mm)の接着剤試料の接合部を有する。試料は、室温(23℃)および54%の相対湿度で24時間にわたって調整される。次いで、これらの条片は、必要に応じてPAFTおよびSAFT試験で用いられる。各組成物試料からの2つの試験片が試験され、PAFTおよびSAFTについての平均破壊温度が記録される。
【0041】
開放時間および硬化時間
硬化時間および開放時間の特性は、試験接合部の形成および引裂に使用される機械的な試験装置であるINATEC Bond Testerを使用して決定する。INATEC Bond Testerは、173℃に加熱され、ハンドヘルド熱電対によって測定される。底部基材である2.5インチ(63.5mm)×2インチ(50.8mm)の段ボールは、0.26~0.29g/リニアメーターの範囲の接着剤のビーズを供給する接着剤ポットの下方のトラック上を移動する。一定のビーズサイズを維持するために、接着剤ポットの圧力は、増加または低下させられる。2.5インチ(63.5mm)×2インチ(50.8mm)の上部基材は、2.5bar(250kPa)の圧力で底部基材上に適用される。INATECは、硬化時間および開放時間を秒単位で測定することができる2つのタイマーを有する。
【0042】
開放時間測定-1つの基材に接着剤を適用してから50%の繊維引裂接合をもたらす第2の基材との接合までの最長時間である。試験について、圧縮時間(または硬化時間)は、100%の繊維引裂を達成するように硬化時間測定によって決定された時間に設定される。開放時間は、10秒に設定され、50%未満の繊維引裂が達成されるまで10秒間隔で増加する。開放時間は5秒だけ低下させられ、%の繊維引裂が決定される。最後に、開放時間は1秒間隔で変化させられ、50%以上の繊維引裂を達成するための最大許容可能時間が決定される。
【0043】
硬化時間測定-繊維引裂接合を達成するために必要な最小圧縮時間である。試験について、開放時間は2秒に設定される。接合部は、上部基材が底部基材に圧縮されると形成される。事前に設定した圧縮時間の後に、上部基材が底部基材から引き離されるときに引裂試験が実行される。次いで、視覚的評価が行われ、事前に設定した試験条件下で達成される繊維引裂のパーセンテージが決定される。硬化時間は1秒間隔で変化させられ、100%の繊維引裂および50%未満の繊維引裂を達成するための時間が決定される。硬化時間は、最も近い秒での最短時間として記録され、この時点で、最低50%の繊維引裂が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本開示は、組成物を提供する。この組成物は、(A)(i)エチレンおよび(ii)20重量%~35重量%のC~Cα-オレフィンコモノマーを含有するエチレン/α-オレフィンコポリマーであって、エチレン/α-オレフィンコポリマーが、0.880g/cc~0.895g/ccの密度、177℃で4,000mPa・s~20,000mPa・sの溶融粘度、および-55℃~-20℃のガラス転移温度、を有するエチレン/α-オレフィンコポリマーと、(B)粘着付与剤と、(C)ワックスと、を含有する。
【0045】
一実施形態では、組成物は、接着剤組成物である。
【0046】
A.エチレン/α-オレフィンコポリマー
接着剤組成物は、エチレン/α-オレフィンコポリマーを含有する。エチレン/α-オレフィンコポリマーは、(i)エチレンおよび(ii)20重量%~35重量%のC~Cα-オレフィンコモノマーを含有する。エチレン/α-オレフィンコポリマーは、0.880g/cc~0.895g/ccの密度、177℃で4,000mPa・s~20,000mPa・sの溶融粘度、および-55℃~-20℃のガラス転移温度を有する。
【0047】
好適なエチレン/α-オレフィンコポリマーの非限定的な例としては、LDPEおよび線状ポリエチレンが挙げられる。線状ポリエチレンの非限定的な例としては、LLDPE、ULDPE、VLDPE、EPE、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー(OBCとしても知られている)、m-LLDPE、実質的に線状または線状のプラストマー/エラストマー(POP)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、POPである。
【0048】
エチレン/α-オレフィンコポリマーは、(i)エチレンおよび(ii)C~Cα-オレフィンコモノマーを含有する、これらから本質的になる、またはこれらからなる。一実施形態では、α-オレフィンコモノマーは、ヘキセンおよびオクテンから選択される。さらなる実施形態では、α-オレフィンはヘキセンである。
【0049】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、エチレン/ヘキセンコポリマーである。
【0050】
エチレン/α-オレフィンコポリマーは、エチレン/α-オレフィンコポリマーの総重量に基づいて、(i)エチレンおよび(ii)20重量%~35重量%のC~Cα-オレフィンコモノマーを含有する。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、エチレン/α-オレフィンコポリマーの総重量に基づいて、(i)65重量%、または70重量%、または75重量%~80重量%のエチレン由来単位、および(ii)逆数量のC~Cα-オレフィンコモノマー由来単位または20重量%~25重量%、もしくは30重量%、もしくは35重量%のC~Cα-オレフィンコモノマー由来単位を含有する。
【0051】
エチレン/α-オレフィンコポリマーは、0.880g/cc~0.895g/ccの密度を有する。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、0.880g/cc、または0.885g/cc~0.890g/cc、または0.895g/ccの密度を有する。別の実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、0.880g/cc~0.890g/cc、または0.880g/cc~0.885g/cc、または0.885g/cc~0.890g/ccの密度を有する。
【0052】
エチレン/α-オレフィンコポリマーは、177℃で4,000mPa・s~20,000mPa・sの溶融粘度を有する。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、177℃で、4000mPa・s、または5000mPa・s、または10000mPa・s、または12000mPa・s、または12500mPa・s~13000mPa・s、または15000mPa・s、または18000mPa・s、または20000mPa・sの溶融粘度を有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、177℃で、5000mPa・s~15000mPa・s、または10000mPa・s~15000mPa・sの溶融粘度を有する。
【0053】
エチレン/α-オレフィンコポリマーは、-55℃~-20℃のガラス転移温度Tgを有する。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、-55℃、または-50℃、または-48℃~-45℃、または-40℃、または-35℃、または-30℃、または-25℃のガラス転移温度を有する。別の実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、-50℃~-30℃、または-50℃~-40℃、または-48℃~-45℃のガラス転移温度Tgを有する。
【0054】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、40℃、または50℃、または55℃、または60℃、または65℃、または70℃、または75℃、または77℃、または80℃~83℃、または85℃、または90℃、または100℃、または110℃、または120℃の溶融温度Tmを有する。別の実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、40℃~120℃、または70℃~100℃、または80℃~120℃、または80℃~100℃、または77℃~83℃の溶融温度Tmを有する。
【0055】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、50℃、または55℃、または60℃~64℃、または65℃、または70℃、または75℃、または80℃、または90℃の結晶化温度Tcを有する。別の実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、50℃~90℃、または55℃~80℃、または60℃~65℃の結晶化温度Tcを有する。
【0056】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、エチレン/ヘキセンコポリマーの総重量に基づいて、(i)65重量%~80重量%、または70重量%~80重量%、または75重量%~80重量%のエチレン、および(ii)20重量%~35重量%、または20重量%~30重量%、または20重量%~25重量%のヘキセン、からなるエチレン/ヘキセンコポリマーである。エチレン/ヘキセンコポリマーは、(i)0.880g/cc~0.895g/cc、または0.885g/cc~0.890g/ccの密度、(ii)177℃で、4,000mPa・s~20,000mPa・s、または5000mPa・s~15000mPa・s、または10000mPa・s~15000mPa・sの溶融粘度、および(iii)-55℃~-20℃、または-50℃~-30℃、または-50℃~-40℃、または-48℃~-45℃のガラス転移温度Tgを有する。一実施形態では、エチレン/ヘキセンコポリマーはまた、以下の特性のうちの一方または両方:(iv)40℃~120℃、もしくは70℃~110℃、もしくは80℃~120℃、もしくは80℃~90℃、もしくは77℃~83℃の溶融温度Tm、および/または(v)50℃~90℃、もしくは55℃~80℃、もしくは60℃~65℃の結晶化温度Tcを有する。
【0057】
エチレン/α-オレフィンコポリマーは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0058】
B.粘着付与剤
この組成物は、粘着付与剤を含む。粘着付与剤は、粘弾性特性(例えば、タンデルタ)、レオロジー特性(例えば、粘度)、粘着性(例えば、粘着能力)、感圧性、および湿潤特性のような組成物の特性を変性し得る。いくつかの実施形態では、粘着付与剤は、組成物の粘着性を改善するために使用される。特定の実施形態では、粘着付与剤は、接着性表面を湿潤させるために、および/または接着性表面への接着を改善するために使用される。
【0059】
本明細書に開示される組成物に好適な粘着付与剤は、室温で固体、半固体、または液体であり得る。好適な粘着付与剤の非限定的な例としては、(1)天然および変性ロジン(例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量体化ロジン、および重合ロジン)、(2)天然および変性ロジンのグリセロールおよびペンタエリトリトールエステル(例えば、淡色ウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル、およびロジンのフェノール変性ペンタエリトリトールエステル)、(3)天然テルペンのコポリマーおよびターポリマー(例えば、スチレン/テルペンおよびアルファメチルスチレン/テルペン)、(4)ポリテルペン樹脂および水素化ポリテルペン樹脂、(5)フェノール変性テルペン樹脂およびそれらの水素化誘導体(例えば、酸性培地中、二環式テルペンおよびフェノールの縮合から生じる樹脂生成物)、(6)脂肪族または脂環式炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体(例えば、主にオレフィンおよびジオレフィンからなるモノマーの重合から生じる樹脂)、(7)芳香族炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体、(8)芳香族変性脂肪族または脂環式炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体、ならびに(9)それらの組み合わせが挙げられる。
【0060】
一実施形態では、粘着付与剤は、脂肪族、脂環式、および芳香族炭化水素および変性炭化水素および水素化版、テルペンおよび変性テルペンおよび水素化版、ならびにロジンおよびロジン誘導体および水素化版、ならびにこれらの粘着付与剤のうちの2つ以上の混合物を含む。これらの粘着付与樹脂は、70℃または100℃~130℃または150℃の環球式軟化点を有する。これらはまた、異なるレベルの水素化または飽和(別の一般的に使用される用語である)で入手可能である。好適な粘着付与樹脂の非限定的な例としては、Kingsport,Tenn.のEastman Chemical Co.製のEastotac(商標)H-100、H-115、およびH-130が挙げられ、これらは、それぞれ100℃、115℃、および130℃の軟化点を有する部分的に水素化した脂環式石油炭化水素樹脂である。これらは、E等級、R等級、L等級、およびW等級で入手可能であり、これらの等級は異なるレベルの水素化を示し、Eが最も水素化されておらず、Wが最も水素化されているものである。E等級は15の臭素数を有し、R等級は5の臭素数を有し、L等級は3の臭素数を有し、W等級は1の臭素数を有する。Eastman Chemical Co.製のEastotac(商標)H-142Rは、140℃の軟化点を有する。好適な粘着付与樹脂の他の非限定的な例としては、部分的に水素化した脂肪族石油炭化水素樹脂であるEscorez(商標)5300、5400、および5637、ならびに部分的に水素化した芳香族変性石油炭化水素樹脂であるEscorez(商標)5600(いずれもHouston,Tex.のExxon Chemical Co.から入手可能);Akron,OhioのGoodyear Chemical Co.から入手可能な脂肪族、芳香族石油炭化水素樹脂であるWingtack(商標)Extra;Wilmington,Del.のHercules,Inc.から入手可能な部分的に水素化した脂環式石油炭化水素樹脂であるHercolite(商標)2100;Cray ValleyのNorsolene(商標)炭化水素樹脂;ならびにArakawa Europe GmbHから入手可能なArkon(商標)無色透明の水素化炭化水素樹脂が挙げられる。
【0061】
一実施形態では、粘着付与剤は、オレフィンおよびジオレフィンからなるモノマーの重合から生じる樹脂(例えば、Houston,Tex.のExxonMobil Chemical Company製のESCOREZ(商標)1310LC、ESCOREZ(商標)2596、またはKingsport,Tenn.のEastman Chemical Company製のPICCOTAC(商標)1095、PICCOTAC(商標)9095)などの脂肪族炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体、脂環式石油炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体(例えば、ExxonMobil Chemical Company製のESCOREZ(商標)5300および5400シリーズ、Eastman Chemical Company製のEASTOTAC(商標)樹脂)を含む。いくつかの実施形態では、粘着付与剤は、水素化環状炭化水素樹脂(例えば、Eastman Chemical Company製のREGALREZ(商標)樹脂およびREGALITE(商標)樹脂)を含む。
【0062】
一実施形態では、粘着付与剤は、水素化炭化水素樹脂である。さらなる実施形態では、粘着付与剤は、C~C24、またはC~C20、またはC~C18、またはC~C10、またはC水素化炭化水素樹脂である。好適なC水素化炭化水素樹脂の非限定的な例は、Eastman Chemical Companyから入手可能なREGALITE(商標)R1100である。
【0063】
一実施形態では、粘着付与剤は、95℃、または97℃、または100℃~105℃、または110℃、または115℃、または120℃、または130℃、または140℃、または150℃の環球式軟化点を有する。さらなる実施形態では、粘着付与剤は、95℃~150℃、または95℃~120℃、または95℃~110℃、または100℃~105℃の環球式軟化点を有する。
【0064】
一実施形態では、粘着付与剤は、C~C24、またはC~C20、またはC~C18、またはC~C10、またはC水素化炭化水素樹脂であり、粘着付与剤は、95℃~150℃、または95℃~120℃、または95℃~110℃、または100℃~105℃の環球式軟化点を有する。
【0065】
一実施形態では、粘着付与剤またはさらに組成物は、ロジンエステルを含まないか、または実質的に含まない。「ロジンエステル」とは、重合形態で、ロジンおよび任意選択的に1つ以上のジエンを含有するポリマーであり、次いで、このポリマー構造は、1つ以上のポリオールでエステル化され、次いで、エステル化されたポリマー構造は、任意選択的に水素化される。エステルとして、ロジンエステルは、酸素原子を有する少なくとも1つのエステル基を含有し、それにより、ロジンエステルは、水素および炭素の原子のみから構成される粘着付与剤を除外することを理解されよう。「ポリオール」とは、少なくとも2つのヒドロキシル基(-OH)を含有するアルコールである。
【0066】
粘着付与剤は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0067】
C.ワックス
この組成物は、ワックスを含む。ワックスは、組成物の溶融粘度を低下させ、組成物の開放時間および硬化時間を調整するために使用されてよい。好適なワックスの非限定的な例としては、エチレン系ポリマーワックス、プロピレン系ポリマーワックス、パラフィンワックス、微結晶ワックス、副生成ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、酸化フィッシャー・トロプシュワックス、官能化ワックス、例えばヒドロキシステアラミドワックスおよび脂肪酸アミドワックス、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0068】
エチレン系ポリマーワックス
一実施形態では、ワックスは、エチレン系ポリマーワックスである。
【0069】
「エチレン系ポリマーワックス」とは、135℃で、1,000mPa・s以下(≦)、または≦500mPa・s、または≦100mPa・s、または≦50mPa・s、または≦10mPa・sの溶融粘度を有するエチレン系ポリマーである。エチレン系ポリマーワックスは、過半量(すなわち、50重量%超)の重合エチレンモノマーおよび任意選択的なα-オレフィンコモノマーから構成される。
【0070】
一実施形態では、エチレン系ポリマーワックスは、高密度低分子量ポリエチレンワックス、副生成ポリエチレンワックス、エチレン系ポリマーを含有するフィッシャー・トロプシュワックス、エチレン系ポリマーを含有する酸化フィッシャー・トロプシュワックス、官能化ポリエチレンワックス、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0071】
一実施形態では、エチレン系ポリマーワックスは官能化されていない。
【0072】
一実施形態では、エチレン系ポリマーワックスは、エチレン系ポリマーを含有するフィッシャー・トロプシュワックスである。エチレン系ポリマーを含有するフィッシャー・トロプシュワックスの非限定的な例としては、Sasol Wax Companyから入手可能なSASOLWAX(商標)H1のようなSASOL(商標)ワックスが挙げられる。
【0073】
一実施形態では、エチレン系ポリマーワックスは、135℃で、1mPa・s、または2mPa・s、または3mPa・s、または4mPa・s、または5mPa・s、または6mPa・s、または7mPa・s、または8mPa・s~10mPa・s、または20mPa・s、または50mPa・s、または100mPa・s、または200mPa・s、または300mPa・s、または400mPa・s、または500mPa・s、または750mPa・s、または1,000mPa・s未満の溶融粘度を有する。別の実施形態では、エチレン系ポリマーワックスは、135℃で、1mPa・s~1,000mPa・s未満、または1mPa・s~100mPa・s、または1mPa・s~50mPa・s、または1mPa・s~10mPa・s、または5mPa・s~10mPa・sの溶融粘度を有する。
【0074】
一実施形態では、エチレン系ポリマーワックスは、0.880g/cc、または0.885g/cc、または0.890g/cc、または0.895g/cc、または0.900g/cc、または0.910g/cc~0.920g/cc、または0.930g/cc、または0.940g/cc、または0.950g/cc、または0.960g/cc、または0.970g/ccの密度を有する。別の実施形態では、エチレン系ポリマーワックスは、0.880g/cc~0.970g/cc、または0.890g/cc~0.940g/cc、または0.900g/cc~0.920g/cc、または0.895g/cc~0.905g/ccの密度を有する。
【0075】
一実施形態では、エチレン系ポリマーワックスは、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべて:(i)135℃で、1mPa・s~1,000mPa・s未満、もしくは1mPa・s~100mPa・s、もしくは1mPa・s~50mPa・s、もしくは1mPa・s~10mPa・s、もしくは5mPa・s~10mPa・sの溶融粘度、および/または(ii)0.880g/cc~0.970g/cc、もしくは0.890g/cc~0.940g/cc、もしくは0.900g/cc~0.920g/cc、もしくは0.895g/cc~0.905g/ccの密度、および/または(iii)80℃超もしくは90℃超の融点、および/または(iv)0mg KOH/g~0.1mg KOH/g、もしくは0.5mg KOH/g、もしくは1.0mg KOH/gの酸価、および/または(v)100℃~120℃、もしくは110℃~115℃の滴点、を有する。さらなる実施形態では、エチレン系ポリマーワックスは、フィッシャー・トロプシュワックスである。
【0076】
エチレン系ポリマーワックスは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0077】
プロピレン系ポリマーワックス
一実施形態では、ワックスは、プロピレン系ポリマーワックスである。
【0078】
「プロピレン系ポリマーワックス」とは、170℃で、1,000mPa・s以下(≦)、または≦500mPa・s、または≦100mPa・s、または≦50mPa・sの溶融粘度を有するプロピレン系ポリマーである。プロピレン系ポリマーワックスは、過半量(すなわち、50重量%超)の重合プロピレンモノマーおよび任意選択的なα-オレフィンコモノマーから構成される。プロピレン系ポリマーワックスは、チーグラー・ナッタ触媒重合またはメタロセン触媒重合によって製造され、それぞれチーグラー・ナッタ触媒プロピレン系ポリマーワックスまたはメタロセン触媒プロピレン系ポリマーワックスを得ることができる。
【0079】
一実施形態では、プロピレン系ポリマーワックスは、プロピレンホモポリマーである。
【0080】
一実施形態では、プロピレン系ポリマーワックスは、プロピレンホモポリマーであり、官能化ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、動物ワックス、植物ワックス、石油由来ワックス(パラフィンワックス、微結晶ワックス)、およびモンタンワックスを除外する。
【0081】
好適なプロピレン系ポリマーワックスの非限定的な例は、Clariantから入手可能な商標名LICOCENEで販売されているワックスである。
【0082】
一実施形態では、プロピレン系ポリマーワックスは、以下の特性のうちの一方または両方:(i)0.89g/cc、もしくは0.90g/cc~0.91g/ccの密度、および/または(ii)170℃で、40mPa・s、もしくは50mPa・s、もしくは60mPa・s~65mPa・s、もしくは70mPa・s、もしくは75mPa・s、もしくは80mPa・s、もしくは90mPa・s、もしくは100mPa・sの溶融粘度、を有する。
【0083】
プロピレン系ポリマーワックスは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0084】
ワックスは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0085】
D.任意選択的な添加剤
一実施形態では、組成物は、(A)エチレン/α-オレフィンコポリマーと、(B)粘着付与剤と、(C)ワックスと、(D)任意選択的な添加剤と、を含有する。
【0086】
好適な添加剤の非限定的な例としては、可塑剤、油、安定剤、酸化防止剤、顔料、染料、粘着防止添加剤、ポリマー添加剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、レオロジー変性剤、保湿剤、充填剤、溶剤、核剤、界面活性剤、キレート剤、ゲル化剤、加工助剤、架橋剤、中和剤、難燃剤、蛍光剤、相溶化剤、抗菌剤、水、接着促進剤(無水マレイン酸官能化ポリオレフィンなど)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0087】
一実施形態では、組成物は、酸化防止剤を含む。酸化防止剤は、熱、光、または粘着付与樹脂などの原材料からの残留触媒などのものによって誘発される酸素との反応によって引き起こされる劣化から組成物を保護する。好適な酸化防止剤としては、高分子量ヒンダードフェノール、ならびに硫黄、およびリン含有フェノールなどの多官能性フェノールが含まれる。代表的なヒンダードフェノールとしては、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-ベンゼン、ペンタエリトリチルテトラキス-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、n-オクタデシル-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、4,4’-メチレンビス(2,6-tert-ブチル-フェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-o-クレゾール)、2,6-ジ-tertブチルフェノール、6-(4-ヒドロキシフェノキシ)-2,4-ビス(n-オクチル-チオ)-1,3,5トリアジン、ジ-n-オクチルチオ)エチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンゾエート、およびソルビトールヘキサ[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオネート]が挙げられる。そのような酸化防止剤は、BASFから市販されており、ヒンダードフェノールであるIrganox(商標)565、1010、1076、および1726を含む。これらは、ラジカル捕捉剤として作用する主要な酸化防止剤であり、単独で使用する、またはBASFから入手可能なIrgafos(商標)168などの亜リン酸系酸化防止剤などの他の酸化防止剤と組み合わせて使用することができる。亜リン酸系酸化防止剤は、二次的な酸化防止剤とみなされ、一般に単独では使用されない。これらは、主として過酸化物分解剤として使用される。他の入手可能な酸化防止剤は、Solvayから入手可能なCyanox(商標)LTDP、およびSI Groupから入手可能なEthanox(商標)330である。多くのそのような酸化防止剤は、単独での使用で、または他のそのような酸化防止剤と組み合わせて、利用可能である。
【0088】
一実施形態では、組成物は、ヒンダードフェノール酸化防止剤である酸化防止剤を含む。さらなる実施形態では、ヒンダードフェノール酸化防止剤は、BASFからIRGANOX(商標)1010として市販されているペンタエリトリチルテトラキス-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネートである。
【0089】
任意選択的な添加剤は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0090】
F.組成物
本組成物は、(A)エチレン/α-オレフィンコポリマーと、(B)粘着付与剤と、(C)ワックスと、を含有する。一実施形態では、組成物は、(D)任意選択的な添加剤を含有する。
【0091】
一実施形態では、組成物は、接着剤組成物であり、さらにホットメルト接着剤(HMA)組成物である。
【0092】
一実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%~45重量%、または50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%のエチレン/α-オレフィンコポリマーを含有する。別の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、20重量%~70重量%、または25重量%~50重量%、または35重量%~45重量%、または40重量%のエチレン/α-オレフィンコポリマーを含有する。別の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、20重量%~50重量%未満、または45重量%未満のエチレン/α-オレフィンコポリマーを含有する。
【0093】
一実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%~40重量%、または45重量%、または50重量%、または55重量%、または60重量%の粘着付与剤を含有する。別の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、20重量%~60重量%、または25重量%~50重量%、または35重量%~45重量%、または35重量%~40重量%の粘着付与剤を含有する。別の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、20重量%~50重量%未満、または40重量%未満の粘着付与剤を含有する。
【0094】
一実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、10重量%、または15重量%、または20重量%~25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%のワックスを含有する。別の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、10重量%~40重量%、または15重量%~30重量%、または15重量%~25重量%、または15重量%~20重量%のワックスを含有する。
【0095】
一実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0重量%、または0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%~0.5重量%、または0.6重量%、または0.7重量%、または0.8重量%、または1.0重量%、または2.0重量%、または2.5重量%、または3.0重量%の1つ以上の任意選択的な添加剤を含有する。別の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0重量%~3重量%、または0.1重量%~1.0重量%の1つ以上の任意選択的な添加剤を含有する。
【0096】
一実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、(A)20重量%~70重量%、または25重量%~50重量%、または35重量%~45重量%、または40重量%のエチレン/α-オレフィンコポリマーと、(B)20重量%~60重量%、または25重量%~50重量%、または35重量%~45重量%、または35重量%~40重量%の粘着付与剤と、(C)10重量%~40重量%、または15重量%~30重量%、または15重量%~25重量%、または15重量%~20重量%のワックスと、(D)0重量%~3重量%、または0.1重量%~1.0重量%の1つ以上の任意選択的な添加剤を含有するか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる。
【0097】
一実施形態では、(A)エチレン/α-オレフィンコポリマー、(B)粘着付与剤、および(C)ワックスは、組成物中に存在する唯一のポリマー成分である。言い換えるなら、組成物は、(A)エチレン/α-オレフィンコポリマー、(B)粘着付与剤、および(C)ワックスとは組成的、構造的、および/または物理的に異なるポリマーを含まないか、または実質的に含まない。
【0098】
一実施形態では、組成物は、ロジンエステルを含まないか、または実質的に含まない。
【0099】
一実施形態では、組成物は、177℃で、500mPa・sまたは600mPa・sまたは700mPa・sまたは750mPa・sまたは800mPa・s~840mPa・sまたは850mPa・sまたは900mPa・sまたは1200mPa・sまたは1500mPa・sまたは2000mPa・sの溶融粘度を有する。別の実施形態では、組成物は、177℃で、500mPa・s~2000mPa・s、または500mPa・s~900mPa・s、または700mPa・s~900mPa・s、または800mPa・s~850mPa・s、または800mPa・s~840mPa・sの溶融粘度を有する。177℃で500mPa・s~2000mPa・sの溶融粘度は、これによって、組成物による基材の濡れが最適化され、組成物および組成物から形成される物品の加工性が改善されるため、HMAの用途において有利である。
【0100】
一実施形態では、組成物は3秒未満または2秒以下の硬化時間を有する。別の実施形態では、組成物は、0秒超~2秒、または3秒未満の硬化時間を有する。さらなる実施形態では、組成物は、0秒超~2秒の硬化時間を有する。短い硬化時間は、これによって、より速いライン速度が可能になるため、HMAの用途において有利である。
【0101】
一実施形態では、組成物は、10秒超または15秒超の開放時間を有する。
【0102】
一実施形態では、組成物は、50℃超、または55℃超、または60℃超、または65℃以上の熱応力を有する。高い熱応力は、これによって、組成物が改善された高温耐性を呈することが示され、組成物で形成された物品(パッケージなど)が高温環境で接着したままであることが可能になるため、HMAの用途において有利である。
【0103】
一実施形態では、組成物は、50℃超、または55℃超、または60℃超の剥離接着破壊温度(PAFT)を有する。別の実施形態では、組成物は、50℃~80℃、または55℃~80℃、または60℃~80℃、または62℃~80℃のPAFTを有する。高いPAFTは、これによって、組成物が改善された高温耐性を呈することが示され、組成物で形成された物品(パッケージなど)が高温環境で接着したままであることが可能になるため、HMAの用途において有利である。
【0104】
一実施形態では、組成物は、80℃超または90℃超の剪断接着破壊温度(SAFT)を有する。別の実施形態では、組成物は、80℃~100℃、または90℃~100℃、または94℃~100℃のSAFTを有する。高いSAFTは、これによって、組成物が改善された高温耐性を呈することが示され、組成物で形成された物品(パッケージなど)が高温環境で接着したままであることが可能になるため、HMAの用途において有利である。
【0105】
一実施形態では、組成物は、-20℃~60℃の温度範囲で、90%超、または91%超、または92%以上の繊維引裂を有する。別の実施形態では、組成物は、-20℃~60℃の温度範囲で、90%~100%、または91%~100%、または92%~100%の繊維引裂を有する。-20℃~60℃の温度範囲での高い繊維引裂は、これによって、組成物で形成された物品(パッケージなど)が広範囲の温度にわたって接着することを示すため、HMAの用途において有利である。
【0106】
一実施形態では、組成物は、-20℃~0℃の温度範囲で、90%超、または91%超、または92%以上の繊維引裂を有する。別の実施形態では、組成物は、-20℃~0℃の温度範囲で、90%~100%、または91%~100%、または92%~100%の繊維引裂を有する。
【0107】
一実施形態では、組成物は、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべて:(i)177℃で、500mPa・s~2000mPa・s、もしくは500mPa・s~900mPa・s、もしくは700mPa・s~900mPa・s、もしくは800mPa・s~850mPa・s、もしくは800mPa・s~840mPa・sの溶融粘度、および/または(ii)0秒超~2秒、もしくは3秒未満の硬化時間、および/または(iii)10秒超もしくは15秒超の開放時間、および/または(iv)50℃超、もしくは55℃超、もしくは60℃超、もしくは65℃以上の熱応力、および/または(v)50℃~80℃、もしくは55℃~80℃、もしくは60℃~80℃、もしくは62℃~80℃のPAFT、および/または(vi)80℃~100℃、もしくは90℃~100℃、もしくは94℃~100℃のSAFT、および/または(vii)-20℃~60℃の温度範囲で、90%~100%、もしくは91%~100%、もしくは92%~100%の繊維引裂を有する。
【0108】
一実施形態では、組成物は、(i)3秒未満の硬化時間、および(ii)-20℃~60℃の温度範囲で、90%超、または91%超、または92%以上の繊維引裂を有する。別の実施形態では、組成物は、(i)0秒超~2秒、または3秒未満の硬化時間、および(ii)-20℃~60℃の温度範囲で、90%~100%、または91%~100%、または92%~100%の繊維引裂を有する。
【0109】
一実施形態では、組成物は、(i)0秒超~2秒、または3秒未満の硬化時間、(ii)-20℃~60℃の温度範囲で、90%~100%、または91%~100%、または92%~100%の繊維引裂、および(iii)50℃超、または55℃超、または60℃超、または65℃以上の熱応力を有する。
【0110】
一実施形態では、組成物は、接着剤組成物、さらにはホットメルト接着剤(HMA)組成物であり、この組成物は、
(A)組成物の総重量に基づいて、35重量%~45重量%、または40重量%のエチレン/ヘキセンコポリマーであって、エチレン/ヘキセンコポリマーが、エチレン/ヘキセンコポリマーの総重量に基づいて、(i)75重量%~80重量%、または75重量%のエチレン、および(ii)20重量%~25重量%、または25重量%のヘキセンからなり、エチレン/ヘキセンコポリマーが、
(1)0.880g/cc~0.890g/cc、もしくは0.885g/ccの密度、
(2)177℃で、4,000mPa・s~20,000mPa・s、もしくは5000mPa・s~15000mPa・s、もしくは10000mPa・s~15000mPa・s、もしくは12500mPa・sの溶融粘度、
(3)-50℃~-40℃、もしくは-48℃のガラス転移温度Tg、を有し、
エチレン/ヘキセンコポリマーが、任意選択的に以下の特性のうちの一方または両方:
(4)70℃~90℃、もしくは80℃~90℃、もしくは77℃~83℃、もしくは80℃の溶融温度Tm、および/または
(5)60℃~65℃、もしくは64℃の結晶化温度Tc、を有する、エチレン/ヘキセンコポリマーと、
(B)組成物の総重量に基づいて、35重量%~40重量%、または39.5重量%の粘着付与剤であって、粘着付与剤が、C~C10またはC水素化炭化水素樹脂であり、かつ粘着付与剤が、100℃~105℃の環球式軟化点を有する、粘着付与剤と、
(C)組成物の総重量に基づいて、10重量%~40重量%、または15重量%~30重量%、または15重量%~25重量%、または15重量%~20重量%のワックスであって、ワックスが、エチレン系ポリマーワックス(フィッシャー・トロプシュワックスなど)であり、かつエチレン系ポリマーワックスが、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべて:
(1)135℃で、5mPa・s~10mPa・s、もしくは8mPa・sの溶融粘度、および/または
(2)0.895g/cc~0.905g/cc、もしくは0.900g/ccの密度、および/または
(3)80℃超または90℃超の融点、および/または
(4)0mg KOH/g~0.1mg KOH/gの酸価、および/または
(5)110℃~115℃、もしくは112℃の滴点、を有する、ワックスと、
(D)組成物の総重量に基づいて、0重量%~3重量%、または0.1重量%~1.0重量%の1つ以上の任意選択的な添加剤(酸化防止剤など)と、を含有するか、これらから本質的になるか、またはこれらからなり、
この組成物は、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべて:
(i)177℃で、800mPa・s~2000mPa・s、もしくは800mPa・s~840mPa・sの溶融粘度、および/または
(ii)0秒超~2秒、もしくは3秒未満の硬化時間、および/または
(iii)15秒超の開放時間、および/または
(iv)60℃超もしくは65℃以上の熱応力、および/または
(v)60℃~70℃、もしくは62.4℃のPAFT、および/または
(vi)94℃~100℃のSAFT、および/または
(vii)-20℃~60℃の温度範囲で92%~100%の繊維引裂、および/または
(viii)-20℃~0℃の温度範囲で92%~100%の繊維引裂、を有する。
【0111】
前述の組成物を含む、本明細書に開示される各成分および組成物中の成分の合計は、それぞれの成分または組成物の総重量に基づいて、100重量パーセント(重量%)になると理解される。
【0112】
特定の理論に縛られることを望むものではないが、(i)エチレン/α-オレフィンコポリマーの高い密度(すなわち、0.880~0.895g/cc)および/または(ii)エチレン/α-オレフィンコポリマーの低い粘度(すなわち、4,000~20,000mPa・s)によって、粘着付与剤およびワックスを含有する組成物は、短い硬化時間(すなわち、3秒未満)を呈することができると考えられている。しかしながら、エチレン系ポリマーにおける高い密度および低い粘度は、従来的には、-20℃~60℃の温度範囲、特に-20℃~0℃の温度で、不十分な繊維引裂(すなわち、90%未満)を有するHMA組成物をもたらす。驚くべきことに、(A)(i)エチレンおよび(ii)20重量%~35重量%のC~Cα-オレフィンコモノマーを含有するエチレン/α-オレフィンコポリマーであって、エチレン/α-オレフィンコポリマーが、0.880g/cc~0.895g/ccの密度、177℃で4,000mPa・s~20,000mPa・sの溶融粘度、および-55℃~-20℃のガラス転移温度を有する、エチレン/α-オレフィンコポリマーと、(B)粘着付与剤と、(C)ワックスと、を含むHMA組成物が、予想外にも、(1)短い硬化時間(すなわち、3秒未満)と(2)-20℃~60℃の温度範囲で高い繊維引裂(すなわち、90%以上)との組み合わせを呈することが見出された。低い硬化時間と-20℃~60℃の温度範囲での高い繊維引裂との組み合わせは、この組み合わせによって、より速いライン速度が可能になり、その一方で、組成物で形成された物品(パッケージなど)が広範囲の温度にわたって接着することも可能になるため、HMAの用途において有利である。
【0113】
組成物は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0114】
G.物品
本開示は、物品を提供する。物品は、本組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む。
【0115】
組成物は、上記で開示するように任意の組成物であり得る。一実施形態では、組成物は、HMA組成物である。
【0116】
好適な物品の非限定的な例としては、HMA接合ボール紙包装箱、多層物品、木材物品、および不織布物品が挙げられる。
【0117】
一実施形態では、物品は、基材を含む。組成物は、基材の少なくとも1つの表面上にある。好適な基材の非限定的な例としては、フィルム、シート、布地、ボール紙、および木材が挙げられる。一実施形態では、組成物は、基材の少なくとも1つの表面と別の基材の少なくとも1つの表面との間にシールを形成する。
【0118】
一例として、これに限定されないが、本開示のいくつかの実施形態について以下の実施例において以下に詳細に説明される。
【実施例
【0119】
A.ポリマーAの調製
ポリマーAは、以下のプロセスおよび表1の反応条件に従って調製されたエチレン/ヘキセンコポリマーである。
【0120】
すべての原材料(モノマーおよびコモノマー)およびプロセス溶媒(狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒、Isopar-EまたはPetrosol)を、反応環境に導入する前にモレキュラーシーブで精製する。水素は、高純度グレードとして加圧されて供給され、それ以上精製されない。反応器モノマー供給流は、機械的圧縮機を介して反応圧力以上に加圧される。溶媒およびコモノマーの供給物を、ポンプを介して反応圧力より高い圧力まで加圧する。個々の触媒成分を、精製された溶媒で事前に指定された成分濃度まで手動でバッチ希釈し、反応圧力より高い圧力まで加圧する。すべての反応供給流は、質量流量計を用いて測定し、コンピュータにより自動化された弁制御システムによって独立して制御される。
【0121】
連続溶液重合反応器は、熱除去を伴う連続撹拌槽反応器(CSTR)と同様の液体充填非断熱式等温循環ループ反応器からなる。すべての新鮮な溶媒、モノマー、コモノマー、水素、および触媒成分供給物の独立した制御が可能である。反応器への新鮮な供給流全体(溶媒、モノマー、コモノマー、および水素)が、供給流を熱交換器に通すことによって温度制御される。重合反応器への新鮮な供給物全体が、各注入箇所の間でほぼ等しい反応器容積を有する4つの箇所にある反応器に注入される。新鮮な供給物は、各注入器が新鮮な供給物全体の質量流量の四分の一を受け取るように制御される。触媒成分は、特別に設計された注入スティンガを通して重合反応器に注入される。重合反応器への触媒および助触媒供給物全体が、各注入箇所の間でほぼ等しい反応器容積を有する2つの箇所にある反応器に注入され、各箇所で、供給物全体の質量流量の半分が受け取られる。主な触媒成分供給物をコンピュータ制御し、反応器のモノマー変換を特定の目標値で維持する。助触媒成分は、主触媒成分に対する、計算された指定されたモル比に基づいて供給される。各反応器供給物の注入箇所の直後に、供給流が、循環重合反応器の内容物と、静的混合要素を用いて混合される。反応器の内容物は、反応熱の大部分を除去する役割を果たす熱交換器を通して、特定温度で等温反応環境を維持する役割を果たす冷却剤側の温度で連続的に循環させる。反応器ループの周りの循環は、ポンプによってもたらされる。
【0122】
最終反応器流出物は、好適な試薬(水)の添加およびそれとの反応により流出物が失活する区域に入る。この同じ反応器出口箇所に、ポリマーの安定化のために他の添加剤が添加される。
【0123】
触媒の不活性化および添加剤の添加に続いて、反応器流出液は、ポリマーが非ポリマー流から除去される脱揮発システムに入る。単離されたポリマー溶融物を、ペレット化して収集する。非ポリマー流は、システムから除去されるエチレンの大部分を分離する様々な機器を通過する。溶媒および未反応コモノマーの大部分は、精製システムを通過した後、反応器に再循環される。少量の溶媒およびコモノマーを、プロセスからパージする。
【表1】
【0124】
ポリマーAの特性を以下の表2に記載する。
【0125】
B.組成物
組成物、さらにホットメルト接着剤組成物を製造するために使用される材料を以下の表2に示す。表2の出発物質を、120gのバッチサイズでビーカーミキサに秤量する。混合は、180℃の温度で窒素ブランケット下で行われる。すべての成分が溶融した後に、30分にわたって混合が行われる。組成物およびそれらの用途性能データを以下の表3に記載する。
【表2】
【表3】
【0126】
表3に示すように、CS2は、(A)(i)エチレンおよび(ii)35重量%超のα-オレフィンコモノマー(36重量%のオクテン)を含有するエチレン/オクテンコポリマー(AFFINITY GA 1950)であって、エチレン/オクテンコポリマーが、(i)0.880g/cc未満(0.874g/cc)の密度、(ii)177℃で4,000mPa・s~20,000mPa・s(17,000mPa・s)の溶融粘度、および(iii)-55℃未満(-56.1℃)のガラス転移温度Tgを有する、エチレン/オクテンコポリマーと、(B)粘着付与剤と、(C)ワックスと、を含み、(1)3秒超(6秒)の硬化時間を呈する。したがって、CS2は、HMAの用途には好適ではない。
【0127】
CS3は、(A)(i)エチレンおよび(ii)20重量%未満のα-オレフィンコモノマー(19重量%のプロピレン)を含有するエチレン/プロピレンコポリマー(AFFINITY GP 1570)であって、エチレン/プロピレンコポリマーが、(i)0.880g/cc~0.895g/cc(0.890g/cc)の密度、(ii)177℃で4,000mPa・s~20,000mPa・s(12,500mPa・s)の溶融粘度、および(iii)-55℃未満(-56℃)のガラス転移温度Tgを有する、エチレン/プロピレンコポリマーと、(B)粘着付与剤と、(C)ワックスと、を含み、(1)3秒超(4.5秒)の硬化時間および(2)-20℃~60℃の温度範囲で90%未満の繊維引裂(-20℃で0%および0℃で44%)を呈する。したがって、CS3は、HMAの用途には好適ではない。
【0128】
対照的に、(i)エチレンおよび(ii)20重量%~35重量%のヘキセンコモノマー(25重量%のヘキセン)を含有するエチレン/ヘキセンコポリマー(ポリマーA)であって、エチレン/ヘキセンコポリマーが、(i)0.880g/cc~0.895g/cc(0.885g/cc)の密度、(ii)177℃で4,000mPa・s~20,000mPa・s(12,500mPa・s)の溶融粘度、および(ii)-55℃~-20℃(-48℃)のガラス転移温度を有する、エチレン/ヘキセンコポリマーと、(B)粘着付与剤と、(C)ワックスと、を含む組成物(実施例1)は、予想外にも、(1)3秒未満(2秒)の硬化時間と(2)-20℃~60℃の温度範囲で少なくとも90%の繊維引裂との組み合わせを呈する。したがって、実施例1は、HMAの用途に好適である。
【0129】
より低いガラス転移温度Tgを有するエチレン/α-オレフィンコポリマーを含めると、従来的には、-20℃~60℃の温度範囲で繊維引裂が改善される。しかしながら、表3に示すように、(i)エチレンおよび(ii)20重量%~35重量%のヘキセンコモノマーを含有するエチレン/ヘキセンコポリマー(ポリマーA)であって、エチレン/ヘキセンコポリマーが、0.880g/cc~0.895g/ccの密度、177℃で4,000mPa・s~20,000mPa・sの溶融粘度、および-55℃~-20℃のガラス転移温度を有する、エチレン/ヘキセンコポリマーと、(B)粘着付与剤と、(C)ワックスと、を含む組成物(実施例1)は、予想外にも、-20℃~60℃の温度範囲で高い繊維引裂(すなわち、90%以上)を呈する。
【0130】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されず、実施形態の一部分、および異なる実施形態の要素の組み合わせを含むこれらの実施形態の変更された形態を、次の特許請求の範囲内に該当するものとして含むことが、特に意図されている。
本発明は以下の態様を包含する。
[1]
(A)(i)エチレンおよび(ii)20重量%~35重量%のC ~C α-オレフィンコモノマーを含むエチレン/α-オレフィンコポリマーであって、前記エチレン/α-オレフィンコポリマーが、
0.880g/cc~0.895g/ccの密度、
177℃で4,000mPa・s~20,000mPa・sの溶融粘度、
-55℃~-20℃のガラス転移温度、を有する、エチレン/α-オレフィンコポリマーと、
(B)粘着付与剤と、
(C)ワックスと、を含む、組成物。
[2]
前記エチレン/α-オレフィンコポリマーが、77℃~83℃の溶融温度を有する、[1]に記載の組成物。
[3]
前記α-オレフィンコモノマーがヘキセンである、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]
前記粘着付与剤が水素化炭化水素樹脂である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の組成物。
[5]
(A)20重量%~70重量%の前記エチレン/α-オレフィンコポリマーと、
(B)20重量%~60重量%の粘着付与剤と、
(C)10重量%~40重量%のワックスと、を含む、[1]~[4]のいずれか一項に記載の組成物。
[6]
前記組成物が3秒未満の硬化時間を有する、[1]~[5]のいずれか一項に記載の組成物。
[7]
前記組成物が、-20℃~60℃の温度範囲で90%超の繊維引裂を有する、[1]~[6]のいずれか一項に記載の組成物。
[8]
前記組成物が、177℃で500mPa・s~2000mPa・sの溶融粘度を有する、[1]~[7]のいずれか一項に記載の組成物。
[9]
前記組成物が60℃超の熱応力を有する、[1]~[8]のいずれか一項に記載の組成物。
[10]
[1]~[9]のいずれか一項に記載の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む、物品。


図1