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  • 特許-複合集電体及びその製造方法、電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】複合集電体及びその製造方法、電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/66 20060101AFI20240220BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20240220BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H01M4/66 A
B32B7/025
B32B15/08 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022148459
(22)【出願日】2022-09-16
(65)【公開番号】P2024016780
(43)【公開日】2024-02-07
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】202210886362.X
(32)【優先日】2022-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518134965
【氏名又は名称】常州欣盛半導體技術股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Aplus Semiconductor Technologies Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】No. 2288, Luheng Road, Economic Development Zone, Changzhou City, Jiangsu Province China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】蔡 水河
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-112323(JP,A)
【文献】特開2020-187932(JP,A)
【文献】特開2020-187929(JP,A)
【文献】特開2018-181823(JP,A)
【文献】特表2022-506970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/66
B32B 7/025
B32B 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合集電体であって、
基材層(10)と、
前記基材層(10)の少なくとも1つの表面に設けられる複合層(20)と、を備え、前記複合層(20)は、
前記基材層(10)の表面に付着される接合層(30)と、
前記接合層(30)の表面に位置する導電層(50)と、
前記接合層(30)と前記導電層(50)の間に設けられており、その一側の表面が前記接合層(30)に連結され、他側の表面が前記導電層(50)に連結され、前記接合層(30)と前記導電層(50)との反応を遮断するためのバリア層(40)とを備え、前記バリア層(40)の厚さは2~50nmであり、前記基材層(10)はPET、PP、PI、PC、PMMAのうちの1つであり、前記基材層(10)の厚さは2~15μmであり、前記接合層(30)は銅、アルミニウム、クロム、チタン、バナジウム、ニオブ、コバルト、タングステン、モリブデン、亜鉛、ニッケルの金属及びその合金のうちの少なくとも1つであり、前記接合層(30)の厚さは2~50nmであることを特徴とする複合集電体。
【請求項2】
前記バリア層(40)は銅、アルミニウム、クロム、スズ、コバルト、タングステン、亜鉛、ニッケルの金属及びその合金のうちの少なくとも1つであり、前記導電層(50)は銅、アルミニウム、リチウム、金、銀、チタン、モリブデン、亜鉛、ニッケルのうちの少なくとも1つであり、前記バリア層(40)の材料は前記導電層(50)の材料と異なっていることを特徴とする請求項1に記載の複合集電体。
【請求項3】
前記導電層(50)の外面には耐候層(60)がさらに設けられ、前記耐候層(60)は銅、アルミニウム、リチウム、金、銀、チタン、クロム、スズ、コバルト、タングステン、モリブデン、亜鉛、ニッケルの金属、その合金、その金属酸化物、及び有機酸化防止剤のうちの少なくとも1つであり、前記耐候層(60)の厚さは2~100nmであることを特徴とする請求項1に記載の複合集電体。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の複合集電体の製造方法であって、
基材層(10)に接合層(30)をスパッタリングするステップS1と、
接合層(1)にバリア層(40)をスパッタリングするステップS2と、
バリア層(40)にシード層(501)をスパッタリングして加工するステップS3と、
シード層(501)に金属層(502)を加工し、金属層(502)とシード層(501)とが導電層(50)を形成するステップS4と、
金属層(502)の表面に耐候層(60)を加工するステップS5と、を備え、ステップS4において、金属層(502)の加工方式はメッキ又は蒸着であり、ステップS5において、耐候層(60)の加工方式はメッキ、薬液化学反応、コーティングのうちの1つであり、前記金属層(502)の材料は前記シード層(501)の材料と同様であり、前記シード層(501)の厚さは2~200nmであり、前記金属層(502)の厚さは0.5~5μmであることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の複合集電体の製造方法。
【請求項5】
電池であって、請求項1~3の何れか1項に記載の複合集電体を備えることを特徴とする電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複合集電体の技術分野に属し、具体的に複合集電体及びその製造方法、電池に関している。
【背景技術】
【0002】
集電体は電流を集める構造又は部材であり、現在、リチウムイオン電池での集電体は一般的に銅箔又はアルミニウム箔から製造される。金属材料で集電体を製造する時、使用された原材料のコストが高く、製造された電池の重量が重い。現在、伝統の銅箔又はアルミニウム箔の代わりとして、従来技術はPET複合銅/アルミニウム箔を開発した。PET複合銅/アルミニウム箔はPETの表面に1層の接合層をスパッタリングしてから、接合層の表面に導電層を加工し、接合層の主な作用はPETと導電層とを接続することにある。ところが、充放電の際、電池の温度が高くなり、導電層と接合層との拡散反応を速めるため、接合層とPETとの接合力が低下し、結果として、導電層を剥離させ、電池の安全性及び信頼性が悪くなり、電池寿命が短くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は少なくとも従来技術に存在する技術問題の1つを解決するように意図される。
【0004】
そのため、本発明は、接合層と導電層との拡散反応を遮断し、電池の安全性及び使用寿命を向上させるという利点を有する複合集電体及びその製造方法、電池を提出する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例による複合集電体は基材層と、前記基材層の少なくとも1つの表面に設けられる複合層とを備え、前記複合層は、前記基材層の表面に付着される接合層と、前記接合層の表面に位置する導電層と、前記接合層と前記導電層の間に設けられており、その一側の表面が前記接合層に連結され、他側の表面が前記導電層に連結され、前記接合層と前記導電層との反応を遮断するためのバリア層と、を備える。
【0006】
本発明の1つの実施例によれば、前記バリア層は銅、アルミニウム、クロム、スズ、コバルト、タングステン、亜鉛、ニッケルの金属及びその合金のうちの少なくとも1つである。
【0007】
本発明の1つの実施例によれば、前記バリア層の厚さは2~50nmである。
【0008】
本発明の1つの実施例によれば、前記基材層はPET、PP、PI、PC、PMMAのうちの1つであり、前記基材層の厚さは2~15μmである。
【0009】
本発明の1つの実施例によれば、前記接合層は銅、アルミニウム、クロム、チタン、バナジウム、ニオブ、コバルト、タングステン、モリブデン、亜鉛、ニッケルの金属及びその合金のうちの少なくとも1つであり、前記接合層の厚さは2~50nmである。
【0010】
本発明の1つの実施例によれば、前記導電層は銅、アルミニウム、リチウム、金、銀、チタン、モリブデン、亜鉛、ニッケルのうちの少なくとも1つである。
【0011】
本発明の1つの実施例によれば、前記バリア層の材料は前記導電層の材料と異なっている。
【0012】
本発明の1つの実施例によれば、前記導電層の外面には耐候層がさらに設けられ、前記耐候層は銅、アルミニウム、リチウム、金、銀、チタン、クロム、スズ、コバルト、タングステン、モリブデン、亜鉛、ニッケルの金属、その合金、その金属酸化物、及び有機酸化防止剤のうちの少なくとも1つであり、前記耐候層の厚さは2~100nmである。
【0013】
本発明の1つの実施例によれば、前記複合集電体の製造方法であって、
基材層に接合層をスパッタリングするステップS1と、
接合層にバリア層をスパッタリングするステップS2と、
バリア層にシード層をスパッタリングして加工するステップS3と、
シード層に金属層を加工し、金属層とシード層とが導電層を形成するステップS4と、
金属層の表面に耐候層を加工するステップS5と、を含む。
【0014】
本発明の1つの実施例によれば、ステップS4において金属層の加工方式はメッキ又は蒸着であり、ステップS5において、耐候層の加工方式はメッキ、薬液化学反応又はコーティングである。
【0015】
本発明の1つの実施例によれば、前記金属層の材料は前記シード層の材料と同様であり、前記シード層の厚さは2~200nmであり、前記金属層の厚さは0.5~5μmである。
【0016】
本発明の1つの実施例によれば、電池であって、前記複合集電体を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明の有益な効果は以下の通りである。即ち、本発明において、接合層と導電層の間にバリア層を配置することで、接合層とバリア層との反応を遮断し、接合層と基材層の間の結合強度の低下を回避でき、接合層及び導電層の剥離を効果的に防止し、複合集電体の安全性及び使用寿命を向上させ、本発明においてスパッタリングするように、基材層で接合層及びバリア層を順に加工し、スパッタリングの加工方式によって各層の間の結合強度を高める。
【0018】
本発明の他の特徴及び利点について、以下の明細書において記載し、且つその一部は明細書において分かりやすくなり、又は本発明を実施することで了解される。本発明の目的及び他の利点について、明細書及び図で特に指摘された構造によって実現して取得する。
【0019】
本発明の上記目的、特徴及び利点を分かりやすくするために、以下、好適な実施例を挙げて、図を結合して、詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下、図を結合して、実施例に対する記載によって、本発明の上記及び/又は付加的な態様及び利点は明らか且つ分かりやすくなる。
図1】本発明の実施例による複合集電体の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を詳しく記載し、図において前記実施例の例示を示し、常に同様又は類似の符号で同様又は類似の素子、或いは同様又は類似の機能を有する素子を示す。以下、図を参照して記載された実施例は例示的なものであり、本発明に対する限定ではなく、ただ本発明を解釈するためのものである。
【0022】
本発明の記載において、用語である「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「天井」、「底」「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径向」、「周方向」などが指示した方位又は位置関係は図示による方位又は位置関係であり、指示した装置又は素子が特定の方位を具備し、特定の方位で構造され及び操作されなければなないと指示し又は暗示しておらず、ただ本発明を便利に記載し、及び記載を簡略化するため、本発明に対する限定ではない。また、「第1」、「第2」が限定された特徴は、1つ又は複数の当該特徴を明示的又は暗黙的に含む。本発明の記載において、別に説明がない限り、「複数」の意味は2つ又は2つ以上である。
【0023】
本発明の記載において、別の明示的な規定及び限定がない限り、用語である「装着」、「連結」、「接続」に対して広義的に理解すべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続、又は一体接続であってもよく、機械接続、電気接続であってもよく、直接的な連結、中間媒体による間接的な連結、2つの素子内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な場合に基づいて、上記用語の、本発明での具体的な意味を理解すればよい。
【0024】
以下、図を参照して、本発明の実施例による複合集電体を詳しく記載する。
【0025】
図1に示すように、本発明の実施例による複合集電体は基材層10と、基材層10の少なくとも1つの表面に設けられる複合層20とを備え、複合層20は、接合層30、導電層50及びバリア層40を備え、接合層30は基材層10の表面に付着され、導電層50は接合層30の表面に位置し、バリア層40は接合層30と導電層50の間に設けられており、その一側の表面が接合層30に連結され、他側の表面が導電層50に連結され、バリア層40は接合層30と導電層50との反応を遮断する。
【0026】
本発明の1つの実施例によれば、バリア層40は銅、アルミニウム、クロム、スズ、コバルト、タングステン、亜鉛、ニッケルの金属及びその合金のうちの少なくとも1つである。さらに、バリア層40の厚さは2~50nmである。つまり、バリア層40は銅、アルミニウム、クロム、スズ、コバルト、タングステン、亜鉛、ニッケル、銅合金、アルミニウム合金、クロム合金、スズ合金、コバルト合金、タングステン合金、亜鉛合金、ニッケル合金のうちの何れか1種又は多種であってもよい。好ましくは、バリア層40は合金材料であり、単純の金属に対して、合金は他の金属と反応しにくくて、遮断の効果がよりよい。
【0027】
本発明の1つの実施例によれば、基材層10はPET、PP、PI、PC、PMMAのうちの1つであり、基材層10の厚さは2~15μmである。つまり、伝統の銅箔又はアルミニウム箔に対して、基材層10を金属から非金属材料に置き換えることで、複合集電体全体の重量及び厚さを大幅に低減させる。
【0028】
本発明の1つの実施例によれば、接合層30は銅、アルミニウム、クロム、チタン、バナジウム、ニオブ、コバルト、タングステン、モリブデン、亜鉛、ニッケルの金属及びその合金のうちの少なくとも1つであり、接合層30の厚さは2~50nmである。基材層10は非金属材料であり、導電層50は金属材料であり、金属材料を非金属材料に固定するために、まず、接合層30を配置し、基材層10の表面を金属化することで、基材層10に他の金属層を加工できる。
【0029】
好ましくは、バリア層40の材料は導電層50の材料と異なっている。バリア層40は導電層50の材料と異なっている場合、バリア層40の遮断効果がよりよくなり、さらに、バリア層40は合金である場合、その遮断効果が最適である。
【0030】
本発明の1つの実施例によれば、導電層50は銅、アルミニウム、リチウム、金、銀、チタン、モリブデン、亜鉛、ニッケルのうちの少なくとも1つである。好ましくは、導電層50は単一金属であり、その導電効果がよい。異なる電池の好適な導電層50の材料は異なって、リチウム電池にとって、複合集電体を負極に適用する場合、導電層50は一般的に銅であり、複合集電体を正極に適用する場合、導電層50は一般的にアルミニウムである。
【0031】
本発明の1つの実施例によれば、導電層50の外面には耐候層60がさらに設けられ、耐候層60は銅、アルミニウム、金、銀、チタン、クロム、スズ、コバルト、タングステン、モリブデン、亜鉛、ニッケル的金属、及其合金、及其金属酸化物、及酸化防止剤のうちの少なくとも1つであり、耐候層60の厚さは2~100nmである。
【0032】
言い換えると、耐候層60は導電層50を腐食から保護することを主な作用とし、耐候層60は銅、アルミニウム、リチウム、金、銀、チタン、クロム、スズ、コバルト、タングステン、モリブデン、亜鉛、ニッケル、銅合金、アルミニウム合金、リチウム合金、金合金、銀合金、チタン合金、クロム合金、スズ合金、コバルト合金、タングステン合金、モリブデン合金、亜鉛合金、ニッケル合金、銅の金属酸化物、アルミニウムの金属酸化物、リチウムの金属酸化物、金の金属酸化物、銀の金属酸化物、チタンの金属酸化物、クロムの金属酸化物、スズの金属酸化物、コバルトの金属酸化物、タングステンの金属酸化物、モリブデンの金属酸化物、亜鉛の金属酸化物、ニッケルの金属酸化物、導電性を有する有機酸化防止剤のうちの少なくとも1つである。
【0033】
本発明は複合集電体の製造方法をさらに開示し、
基材層10に接合層30をスパッタリングするステップS1と、
接合層1にバリア層40をスパッタリングするステップS2と、
バリア層40にシード層501をスパッタリングして加工するステップS3と、
シード層501に金属層502を加工し、金属層502とシード層501とが導電層50を形成するステップS4と、
金属層502の表面に耐候層60を加工するステップS5と、を含む。さらに、ステップS4において、金属層502の加工方式はメッキ又は蒸着であり、ステップS5において、耐候層60の加工方式はメッキ、薬液化学反応又はコーティングである。さらに、金属層502の材料はシード層501の材料と同様であり、シード層501の厚さは2~200nmであり、金属層502の厚さは0.5~5μmである。つまり、導電層50はシード層501及び金属層502を備え、シード層501の作用は、バリア層40の表面の導電性を向上させ、メッキ効果を高めて、金属層502を迅速にメッキすることができることにある。
【0034】
本発明は、上記の複合集電体を備える電池をさらに開示する。上記の複合集電体を電池に適用すると、電池の重量を大幅に低減させ、電池の電気的特性を増やす。
【0035】
本発明において、接合層30と導電層50の間にバリア層40を配置することで、接合層30とバリア層40との反応を遮断し、接合層30と基材層10の間の結合強度の低下を回避、接合層30及び導電層50の剥離を効果的に防止し、複合集電体の安全性及び使用寿命を向上させ、本発明においてスパッタリングするように、基材層10に接合層30及びバリア層40を順に加工し、スパッタリングの加工方式によって各層の間の結合強度を高める。
【0036】
比較例1
基材層10は4.5μmの厚さを有するPETであり、導電層50は1μmの厚さを有する銅であり、導電層50は直接的に基材層10に設けられる。
【0037】
比較例2
基材層10は4.5μmの厚さを有するPETであり、接合層30は20nmの厚さを有するクロムであり、導電層50は1μmの厚さを有する銅であり、比較例1に比べると、比較例2は接合層30を追加する。
【0038】
実施例1
基材層10は4.5μmの厚さを有するPETであり、接合層30は20nmの厚さを有するクロムであり、バリア層40は15nmの厚さを有するNi80Cr20であり、導電層50は1μmの厚さを有する銅である。比較例2に比べると、実施例1はバリア層40を追加する。加工の際、スパッタリング装置のパラメータは以下の通りである。搬送速度は2m/minであり、接合層30のスパッタリング電力は4KWであり、バリア層40のスパッタリング電力は3KWであり、シード層501のスパッタリング電力は3KWであり、且つシード層501は6回のスパッタリングを行う。Ni80Cr20は抵抗電熱合金であり、このような合金の組織及び電気物理的特性が安定であり、高温機械的性質がよく、冷間変形可塑性及び溶接性が優れて、長期間使用しても、脆性破壊が生じることはない。
【0039】
比較例1、比較例2、実施例1における基材層10及び導電層50は同様であり、比較例2及び実施例1における接合層30は同様である。IPC―TM―650 2.4.8におけるテスト方法に基づいて、比較例1、比較例2及び実施例1に対して剥離強度テストを行って(ここで、本発明の複合集電体の厚さが薄いため、比較例1、比較例2及び実施例1において直接的にテストを行うことができないため、テストの前に、導電層50を所定の厚さに厚肉化した後、テストを行う必要がある)、比較例1の剥離強度は0.2~0.4kgf/cmであり、比較例2の剥離強度は0.4~0.7kgf/cmであり、実施例1の剥離強度は0.5~0.8kgf/cmである。比較例1、比較例2及び実施例1に対して電池の使用環境をシミュレートし、70°Cの温度で、500hの時間をかけた後、剥離強度をテストし、比較例1の剥離強度<0.2kgf/cmであり、比較例2の剥離強度は0.2~0.4kgf/cmであり、実施例1の剥離強度は0.4~0.7kgf/cmである。これから分かるように、テスト後、導電層50と接合層30との連結部分には拡散反応が生じたため、接合層30と基材層10との接続強度が低下し、バリア層40を追加した後、導電層50と接合層30との反応を効果的に回避する。本出願において接合層30と導電層50の間にバリア層40を配置することで、複合層20全体と基材層10との接続強度を効果的に向上させ、複合集電体の使用寿命を延長する。
【0040】
本明細書の記載において、参照用語である「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「模式的な実施例」、「例示」、「具体的な例示」、又は「いくつかの例示」などの記載は、当該実施例又は例示を結合して記載された具体的な特徴、構造、材料、又は特点が、本発明の少なくとも1つの実施例又は例示に含まれることを指す。本明細書において、上記用語に対する模式的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例示を指すわけではない。そして、記載された具体的な特徴、構造、材料又は特点は、何れか1つ又は複数の実施例又は例示において、適切な方式で結合されてもよい。
【0041】
本発明の実施例を示し及び記載したが、当業者であれば理解できるように、本発明の原理及び趣旨から逸脱しない場合、これらの実施例に対していろんな変更、補正、置換及び変形を行ってもよく、本発明の範囲は請求項及びその等価物によって限定される。
【符号の説明】
【0042】
10 基材層、
20 複合層、
30 接合層、
40 バリア層、
50 導電層、
60 耐候層、
501 シード層、
502 金属層
図1