(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】ウルソデオキシコール酸の注射用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/575 20060101AFI20240220BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20240220BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240220BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61K31/575
A61K47/40
A61K9/08
A61P1/16
(21)【出願番号】P 2022527907
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 IB2020060883
(87)【国際公開番号】W WO2021099973
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-24
(31)【優先権主張番号】201941047716
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】522186952
【氏名又は名称】シルパ メディケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】シバクマール、プラディープ
(72)【発明者】
【氏名】ナラシヤッパ、プルショサマ
(72)【発明者】
【氏名】チェルクリ、キラン クマール
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-022616(JP,A)
【文献】特開2003-063965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
47/00-47/69
9/00-9/72
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) ウルソデオキシコール酸と、
(b) スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンと、
を含む注射用医薬組成物。
【請求項2】
組成物は、
10mg/mL~
50mg/mLのウルソデオキシコール酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物は、ウルソデオキシコール酸と化学量論的に等しい量で存在する多量の強塩基を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
組成物は、
25mg/mLのウルソデオキシコール酸を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
組成物は、
150mg/mL~
250mg/mLのスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
肝性胆汁うっ滞、原発性胆汁性肝硬変、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)のような肝臓の各種病的状態の治療に使用される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
組成物は、静脈内注射または点滴に適した水溶液の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
(a)
10mg/mL~
50mg/mLのウルソデオキシコール酸と、
(b)
150 mg/mL~
250 mg/mLのスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンと、
(c) 水と、
(d) 任意にpH調整剤と、
を含む注射用医薬組成物。
【請求項9】
(a)
10mg/mL~
50mg/mLのウルソデオキシコール酸と、
(b)
150mg/mL~
250mg/mLのスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンと、
(c) 水と、
からなり、
組成物のpHは、
2.0~
4.0である注射用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する分野
【0002】
本発明は、ウルソデオキシコール酸(UDCA)とスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンとを含む注射用医薬組成物およびその製造方法ならびに使用に関し、例えばウルソデオキシコール酸に治療的に反応する障害および疾患を治療するためのものである。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
【0004】
ウルソデオキシコール酸(UDCA)は、結石溶解療法(胆石の溶解と予防)や肝性胆汁うっ滞、原発性胆汁性肝硬変などの肝臓の様々な病的状態の治療に広く使用されている薬剤である。また、ウルソデオキシコール酸は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の治療薬としても報告されている。さらに、ウルソデオキシコール酸は、経口投与が不可能または困難な患者の肝臓の病的状態の治療にも特に有用であることが判明している。ウルソデオキシコール酸は、米国では「アクティガル(登録商標)」(300mg経口カプセル)として、8~10mg/kg/日を2~3回に分けて投与される胆石溶解剤として、600mg/日(2回に分けて投与)投与される胆石予防剤として販売されている。また、ウルソデオキシコール酸は、アラガン社からウルソ(登録商標)(経口錠250mgと500mg)の製品名で販売されており、原発性胆汁性肝硬変の治療における推奨用量は、13~15mg/kg/日を2~4回に分けて食事と一緒に投与することとされている。
【0005】
ウルソデオキシコールの物理化学的性質や高用量投与による調製に問題があるため、現在、ウルソデオキシコール酸を主成分とする注射用医薬製剤は市販されていない。
【0006】
ウルソデオキシコール酸は弱酸性で水にほとんど溶解しないが、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの強塩基の存在下で溶解度が大きく増加する。しかし、強塩基の量がわずかに変化するだけで、注射液のpHが変化し、静脈内投与に適さないことが多いため、ウルソデオキシコール酸と強塩基のみからなる水溶液は静脈内投与には適さない。
【0007】
また、ウルソデオキシコール酸は界面活性剤化合物であるため、静脈内灌流用の水溶液に添加すると発泡を起こす。
【0008】
米国特許第5,955,456号の発明者は、静脈内投与に適した安定でよく緩衝された静脈内投与液を開発するために、静脈内投与に適合する強塩基とトロメタモールを含むウルソデオキシコール酸の注射製剤を開発した。さらに米国特許第5,955,456号は、強塩基として好ましくは水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを使用し、そのような塩基は採用する酸(ウルソデオキシコール酸)に対して化学量論的に等量で使用し、より好ましくは約1%w/vの水酸化ナトリウムを使用することを開示している。米国特許第5,955,456号では、ウルソデオキシコール酸に対して化学量論的に等しい比率の多量の強塩基を使用しており、pHの変動をもたらす静脈内投与に適さないという欠点がある。
【0009】
欧州特許第EP1147779B1号には、ウルソデオキシコール酸を可溶性にする方法が開示されており、具体的には実施例-4には、ウルソデオキシコール酸とβ-シクロデキストリンを1:2の割合で水に溶解して2mg/mLのウルソデオキシコール酸の静脈注射液を調製した注射製剤が開示されている。2mg/mLのウルソデオキシコール酸を含有するβ-シクロデキストリン入り静脈内投与用注射液は、静脈内投与用の大容量液(胆石予防の場合は約300mL)を必要とする。
【0010】
上記の欠点を克服するために、pHの変動がなく静脈内投与に安定なウルソデオキシコール酸を含む、(より良い患者の安全性、子供、水分制限患者などのために)著しく体積が減少した静脈内投与のための注射用医薬組成物を開発する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0011】
発明の概要
【0012】
本発明は、静脈内投与のための体積を著しく減少させた、周囲環境および/または冷蔵条件下で安定であり、大量の強塩基を必要とせずに完全に溶解したウルソデオキシコール酸を提供できる、静脈内投与に適したウルソデオキシコール酸組成物に関するものである。本明細書に記載されるように、ウルソデオキシコール酸、およびヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンからなる群から選択されるシクロデキストリン誘導体を含む非経口投与に適した組成物である。
【0013】
本発明は、ウルソデオキシコール酸、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンからなる群から選択されるシクロデキストリン誘導体、および任意の緩衝剤を含む注射用医薬組成物に向けられるものである。
【0014】
本発明はさらに、約10mg/mL~約50mg/mLのウルソデオキシコール酸、約100mg/mL~約300mg/mLのヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンからなる群から選択されるシクロデキストリン誘導体、並びに任意の緩衝剤を含む注射用医薬組成物に向けられるものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
【0016】
本発明は、ウルソデオキシコール酸と、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンからなる群から選択されるシクロデキストリン誘導体とを含む注射用医薬組成物を提供するものである。最も好ましくは、本発明で用いられるシクロデキストリン誘導体は、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンである。
【0017】
好ましい実施形態において、本発明は、(a)ウルソデオキシコール酸および(b)スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンを含む、注射用医薬組成物を提供する。
【0018】
さらなる実施形態において、本発明は、(a)ウルソデオキシコール酸および(b)スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンを含む注射用医薬組成物を提供するが、かかる組成物は、ウルソデオキシコール酸に対して化学量論的に等量の量で存在する強塩基(好ましくは水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム)を多量には含有しない。
【0019】
一実施形態において、本発明は、ウルソデオキシコール酸、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン及びスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンからなる群より選択されるシクロデキストリン誘導体、及び任意の緩衝剤を含む静脈内投与用医薬組成物を提供する。
【0020】
別の実施形態では、本発明は、ウルソデオキシコール酸、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン及びスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンからなる群から選択されるシクロデキストリン誘導体、及び任意の緩衝剤を含む安定した注射用医薬組成物を提供する。
【0021】
別の実施形態では、本発明は、約10mg/mL~約50mg/mLのウルソデオキシコール酸、より好ましくは約15mg/mL~約40mg/mLのウルソデオキシコール酸、最も好ましくは約25mg/mLのウルソデオキシコール酸を含む注射用医薬組成物を提供する。
【0022】
さらなる実施形態では、本発明は、約100mg/mL~約300mg/mLのスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、より好ましくは約150mg/mL~約250mg/mLのスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンを含む注射用医薬組成物を提供する。
【0023】
別の実施形態では、本発明は、(a)約10mg/mL~約50mg/mLのウルソデオキシコール酸、及び(b)約150mg/mL~約250mg/mLのスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンを含む注射用医薬組成物を提供する。
【0024】
さらにさらなる実施形態では、本発明は、(a)約10mg/mL~約50mg/mLのウルソデオキシコール酸および(b)約150mg/mL~約250mg/mLのスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンを含む注射用医薬組成物を提供するが、かかる組成物はウルソデオキシコール酸に対して化学量論的に等しい量で存在する強塩基(好ましくは水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム)を多量には含有しない。
【0025】
本発明の実施形態では、本発明は、(a)約10mg/mL~約50mg/mLのウルソデオキシコール酸、(b)ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン及びスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンからなる群から選択される約150mg/mL~約250mg/mLのシクロデキストリン誘導体、及び任意の緩衝剤を含む注射用医薬組成物が提供される。
【0026】
本発明のさらなる実施形態では、本発明は、本質的に(a)約10mg/mL~約50mg/mLのウルソデオキシコール酸、(b)ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン及びスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンからなる群から選択される約100mg/mL~約300mg/mLのシクロデキストリン誘導体、及び任意の緩衝剤からなる安定した注射用医薬組成物を提供する。
【0027】
本発明のさらに別の実施形態では、本発明は、本質的に約25mg/mLのウルソデオキシコール酸と、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン及びスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンからなる群から選択される約150mg/mL~約250mg/mLのシクロデキストリン誘導体とからなる安定した注射用医薬組成物を提供する。
【0028】
本発明の別の実施形態では、本質的に、肝性胆汁うっ滞、原発性胆汁性肝硬変および非アルコール性脂肪肝炎(NASH)などの肝臓の種々の病的状態の治療に使用されるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンとスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンからなる群から選択される約25mg/mLのウルソデオキシコール酸および約150mg/mL~約250mg/mLのシクロデキストリン誘導体からなる安定した注射用医薬組成物が提供される。
【0029】
本発明の別の実施形態では、ウルソデオキシコール酸、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン及びスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンからなる群より選択されるシクロデキストリン誘導体、任意にpH調整剤及び水を含む安定した注射用医薬組成物が提供される。
【0030】
本発明の注射用医薬組成物は、任意に、さらにpH調整剤を含有する。本発明で使用されるpH調整剤は、水酸化ナトリウムおよび塩酸からなる群から選択される。本発明の注射用組成物のpHは、約2.0~約8.0である。本発明で好ましく用いられる注射用組成物のpHは、約2.0~約4.0である。
【0031】
さらにさらなる実施形態では、本発明は、ウルソデオキシコール酸、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンからなる群から選択されるシクロデキストリン誘導体、任意にpH調整剤、および水を含む注射用医薬組成物を提供し、組成物のpHが約2.0~約8.0であることを特徴としている。
【0032】
別の実施形態では、本発明は、(a)ウルソデオキシコール酸、(b)スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、(c)水、及び(d)任意にpH調整剤を含む注射用医薬組成物を提供する。
【0033】
さらなる実施形態において、本発明は、(a)約10mg/mL~約50mg/mLのウルソデオキシコール酸、(b)約150mg/mL~250mg/mLのスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、(c)水、及び(d)任意にpH調整剤を含む注射用医薬組成物を提供する。
【0034】
別の実施形態では、本発明は、(a)約10mg/mL~約50mg/mLのウルソデオキシコール酸、(b)約150mg/mL~約250mg/mLのスルホブチルエーテル-βシクロデキストリン及び(c)水からなり、該組成物のpHが約2.0~約4.0である注射用医薬組成物を提供する。
【0035】
組成物の浸透圧は、凝固点降下法によって決定することができるが、任意の他の適切な方法を使用することもできる。一実施形態によれば、本発明の組成物の浸透圧は、約180mOs/Kg~約900mOs/Kg、好ましくは約600mOs/Kg~約800mOs/Kgの範囲である。
【0036】
本発明はさらに、(a)約10mg/mL~約50mg/mLのウルソデオキシコール酸、(b)約150mg/mL~約250mg/mLのスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、および(c)水からなる注射用医薬組成物を提供し、該組成物のpHは約2.0~約4.0、該組成物の浸透圧は約600mO/Kg~約800mO/Kgである。
【0037】
本発明の別の態様によれば、本発明は、肝性胆汁うっ滞、原発性胆汁性肝硬変および非アルコール性脂肪肝炎(NASH)などの肝臓の病的状態の治療に適した注射製剤の調製のためのウルソデオキシコール酸の使用に関するものである。
【0038】
本発明の実施形態において、本発明は、静脈内投与、特に緩速灌流による投与のためのウルソデオキシコール酸の注射用製剤に関連する。本発明のさらなる実施形態では、ウルソデオキシコール酸の注射用製剤は、緩速灌流によって投与するために、静脈内灌流用の溶液で希釈される。静脈内灌流用の特に有利な溶液は、従来の等張液(塩化ナトリウムを0.9%含む)である。
【0039】
本発明の主題を形成する製剤によって好ましくは投与されるウルソデオキシコール酸の緩速な静脈内灌流を含む治療の期間は、治療すべき病的状態によって変化する。一般に、その期間は、1~30日、有利には3~10日、好ましくは5~7日と変化する。必要であれば、数回の治療サイクルを実施することができる。
【0040】
一般に、本発明に従って投与されるべきウルソデオキシコール酸の1日の投与量は、体重当たり2~30mg/kg、有利的には4~20mg/kg、好ましくは8~15mg/kgである。正常な体質の成人の場合、1日の投与量は500から2000mgの間である。
【0041】
したがって、単位用量は、100から2000mgのウルソデオキシコール酸を含むことができる。好ましい一態様によれば、単位用量は、それぞれ10ml、20mlおよび25mlの体積で250mg、500mgまたは625mgのウルソデオキシコール酸を含む。
【0042】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供される。しかしながら、本発明は、以下の実施例に記載された特定の条件または詳細に限定されるものではないことが理解される。実施例は、単に本発明及びその様々な態様の理解及び実践に有用な特定の方法論を提供するものであるため、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明を開示する目的で、本発明の特定の好ましい実施形態及び代替的な実施形態を示したが、開示された実施形態に対する変更は、当業者には起こり得る。
【0043】
実施例1:ウルソデオキシコール酸の注射用組成物
【表1】
【0044】
準備のためのプロセス
【0045】
スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンを必要量の注射用水に溶解し、さらにウルソデオキシコール酸を溶解し、水酸化ナトリウムでpHを7.3~7.5に調整して最終溶液とし、これをろ過して無菌ろ過やオートクレーブを用いて滅菌する。
【0046】
実施例1で調製した注射用医薬組成物を40℃/75%RHで約半年間保存し、pH、浸透圧、アッセイ及び関連物質を表-1に示した。
【表2】
【0047】
実施例2:ウルソデオキシコール酸の注射用組成物
【表3】
【0048】
準備のためのプロセス
【0049】
ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを必要量の注射用水に溶解し、さらにウルソデオキシコール酸を溶解し、水酸化ナトリウムでpHを7.3~7.5に調整した最終溶液をろ過し、無菌ろ過やオートクレーブを用いて滅菌する。
【0050】
実施例3:スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBECD)に対するウルソデオキシコール酸の溶解性
【0051】
ウルソデオキシコール酸とスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンを水中で混合し、得られた溶液を0.22μmのフィルタでろ過し、透明なろ液をHPLCで分析した。ウルソデオキシコール酸のアッセイを表-2に示す。
【表4】
【0052】
実施例4:ウルソデオキシコール酸の注射用組成物
【表5】
【0053】
準備のためのプロセス
【0054】
スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンを必要量の注射用水に溶解し、さらにウルソデオキシコール酸を溶解し、水酸化ナトリウムまたは塩酸でpHを2.5~4.0に調整して最終溶液とし、これをろ過してガラスバイアル瓶の中で無菌ろ過またはオートクレーブにより滅菌し、最終溶液25 mL(UDCA625 mg含有)をそれぞれガラスバイアル瓶に収容する。
【0055】
実施例4で調製した注射用医薬組成物を40℃/75%RHで約3ヶ月間保存し、pH、浸透圧、アッセイ及び関連物質を表-3に示した。
【表6】