(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】多軸椎弓根スクリューシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A61B17/70
(21)【出願番号】P 2022546065
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 US2020015864
(87)【国際公開番号】W WO2021154257
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】519309902
【氏名又は名称】ネクスト オーソサージカル,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100207217
【氏名又は名称】樋口 智夫
(72)【発明者】
【氏名】ザッタ, ダニエル
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-516474(JP,A)
【文献】特開2014-000403(JP,A)
【文献】特表2004-524887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多軸椎弓根スクリューシステムであって、
スクリュー本体であって、ねじ山を備え、前記ねじ山が前記スクリュー本体の外径を画定する、スクリュー本体と、
前記スクリュー本体に挿入されるように構成されたスクリュー用インサートであって、球状ヘッドを含み、前記球状ヘッドがヘッド直径を有する、スクリュー用インサートと、
ヘッド組立体であって、
軸方向ボア
および第1の係合構成要素を有するヘッド構成要素であって、前記軸方向ボアは、前記ヘッド構成要素内に前記軸方向ボアのボア直径を画定する内面を形成し、前記内面は、前記ヘッド構成要素の第1の端部における前記軸方向ボアの前記ボア直径の最も狭い部分を画定し、前記内面は、前記スクリュー用インサートの前記球状ヘッドが配置される、前記ヘッド構成要素内の空間体積を限定する、ヘッド構成要素を備えるヘッド組立体と、を備え、
前記ヘッド直径は、前記球状ヘッドが前記軸方向ボアの前記ボア直径の前記最も狭い部分を通過することを防止して、前記球状ヘッドが前記ヘッド構成要素の前記第1の端部における、前記軸方向ボアの前記ボア直径の前記最も狭い部分の前記内面に着座するように、前記軸方向ボアの前記ボア直径の前記最も狭い部分よりも大きく、
前記スクリュー本体の前記外径は、前記軸方向ボアの前記ボア直径の前記最も狭い部分よりも大き
く、
前記ヘッド組立体は、さらに、
前記ヘッド構成要素の第2の端部から前記軸方向ボア内に挿入されるように構成されたブッシングであって、前記ヘッド構成要素の前記第1の係合構成要素と位置合わせするための第2の係合構成要素を含み、前記第1の係合構成要素に圧縮力を加えることによって、前記第1の係合構成要素と前記第2の係合構成要素とは互いに係合する、ブッシング
を備える、
多軸椎弓根スクリューシステム。
【請求項2】
前記ブッシングの挿入
により、前記ブッシングは、前記内面と前記球状ヘッドとの間に摩擦係合し、前記軸方向ボアの前記ボア直径の前記最も狭い部分において、前記球状ヘッドの着座部を前記内面に対して維持する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ヘッド構成要素が椎弓根スクリューチューリップである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記椎弓根スクリューチューリップが一体構造である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ヘッド直径が、前記球状ヘッドの最大直径である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記スクリュー本体が、前記スクリュー本体の端部に開口部を有し、前記スクリュー本体の中間部分に終端部を有する内部ボアを更に含み、前記スクリュー用インサートが、前記スクリュー本体の前記内部ボアに挿入される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記スクリュー用インサートは、
カラーを形成する第1のシャフト部と、
第2のシャフト部と、
テーパ状端部を含む第3のシャフト部とを更に備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2のシャフト部及び前記第3のシャフト部は、前記スクリュー本体の前記内部ボアに挿入され、前記カラーを形成する前記第1のシャフト
部は、前記内部ボアの前記開口部よりも幅広である、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記スクリュー用インサートは、前記球状ヘッド内に駆動インタフェース部を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記外径が、8ミリメートル以上、11ミリメートル以下の範囲である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記軸方向ボアの前記ボア直径の前記最も狭い部分が、8ミリメートル未満である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ヘッド直径が8ミリメートル以上である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記スクリュー用インサートは、前記スクリュー本体に挿入され、ねじ係合、溶接、圧入嵌合、又は接着剤のうちの、1つ又はそれ以上によって固定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
多軸医療用スクリューを組み立てる方法であって、
挿入方向に沿って、ヘッド構成要素を介してスクリュー用インサートを挿入するステップであって、前記スクリュー用インサートは、球状ヘッド及びシャフトを含み、前記球状ヘッドは、ヘッド直径を有し、前記ヘッド構成要素は、
第1の係合構成要素、および、前記ヘッド構成要素内に内面を形成する軸方向ボアを有し、前記内面は、前記軸方向ボアのボア直径を画定し、前記内面は、前記ヘッド構成要素の第1の端部における前記軸方向ボアの前記ボア直径の最も狭い部分を画定し、前記ヘッド直径は、前記球状ヘッドが前記軸方向ボアの前記ボア直径の前記最も狭い部分を通過することを防止して、前記ヘッド構成要素の前記第1の端部における前記軸方向ボアの前記ボア直径の前記最も狭い部分で、前記内面に対して前記球状ヘッドを着座させるように、前記軸方向ボアの前記ボア直径の前記最も狭い部分よりも大きいステップと、
前記挿入方向に沿って、前記ヘッド構成要素の第2の端部から前記軸方向ボア内にブッシングを挿入するステップであって、
前記ブッシングは、第2の係合構成要素を含み、前記ブッシングの挿入は、前記球状ヘッド
の着座部を前記軸方向ボアの前記ボア直径の最も狭い部分において、前記内面に対して維持するために、前記ブッシングを前記内面と前記球状ヘッドとの間で摩擦係合させるステップと、
前記挿入方向に沿って、前記スクリュー用インサートの前記シャフトをスクリュー本体に挿入するステップであって、前記スクリュー本体は、1つ又はそれ以上のねじ山を有し、前記1つ又はそれ以上のねじ山は、前記スクリュー本体の外径を画定し、前記スクリュー本体の前記外径は、前記軸方向ボアの前記ボア直径の前記最も狭い部分よりも大きいステップと、
前記第1の係合構成要素に圧縮力を加えることによって、前記第1の係合構成要素と前記第2の係合構成要素とを互いに係合させるステップと、
を含む方法。
【請求項15】
前記スクリュー本体が、前記スクリュー本体の端部に開口部を有し、前記スクリュー本体の中間部分に終端部を有する内部ボアを更に含み、前記スクリュー用インサートの前記シャフトが、前記スクリュー本体の前記内部ボアに挿入される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ヘッド構成要素が椎弓根スクリューチューリップである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記外径が、8ミリメートル以上、11ミリメートル以下の範囲である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記軸方向ボアの前記ボア直径の前記最も狭い部分が、8ミリメートル未満である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ヘッド直径が8ミリメートル以上である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ねじ係合、溶接、圧入嵌合、又は接着のうちの1つ又はそれ以上によって、前記スクリュー用インサートを前記スクリュー本体に固定するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多軸椎弓根スクリューに関する。
【背景技術】
【0002】
骨セグメントを固定するための、様々な装置及びシステムがある。装置の1つのタイプは、椎弓根スクリューである。椎弓根スクリューは、脊椎セグメントを把持する技術を提供する。従来の椎弓根スクリューは、ロッド受容装置及びロッドと組み合わせて使用される。ロッド受容装置は、椎弓根スクリューに結合し、ロッドを取り付ける。ロッド受容装置は、「チューリップ」と呼ばれることが多い。
【0003】
椎弓根スクリューシステムは、多軸又は一軸であり得る。一軸椎弓根スクリューシステムは、固定的に取り付けられた、又はスクリュー自体の一部として形成されたチューリップを有し得る。一軸椎弓根スクリューシステムでは、スクリューに対してチューリップを回転させない。多軸スクリューシステムは、複数の部品で形成することができる。すなわち、チューリップ及び椎弓根スクリューは、チューリップがスクリューに対して回転できるように互いに取り付けられる、別個の部品であり得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様は、多軸椎弓根スクリューシステムに関する。従来の多軸椎弓根スクリューは、チューリップにスクリューを取り付ける必要があるため、その外径(例えば、スクリューのねじ山の外径)が制限される場合がある。例えば、トップローディング式の椎弓根スクリューシステムでは、スクリューの頭部をチューリップ内に着座させることができるように、椎弓根スクリューがチューリップのボア又は通路を通過する必要があり得る。したがって、スクリューの外径は、スクリューのねじ部が貫通してチューリップ内に頭部を着座させることができるように、チューリップのボアの直径に制限され得る。このシステムの1つ又はそれ以上の実施態様は、従来の椎弓根スクリューに関連する問題の、1つ又はそれ以上を解決するように構成することができる。
【0005】
このシステムは、スクリュー本体、スクリュー用インサート(screw insert)、ヘッド組立体、及び/又は他の構成要素の、1つ又はそれ以上を備えることができる。
【0006】
スクリュー本体は、1つ又はそれ以上のねじ山を備えることができる。1つ又はそれ以上のねじ山は、スクリュー本体の外径を画定することができる。
【0007】
スクリュー用インサートは、スクリュー本体に挿入されるように構成することができる。スクリュー用インサートは、球状ヘッド及び/又は他の構成要素を含むことができる。球状ヘッドは、ヘッド直径を有することができる。
【0008】
ヘッド組立体は、ヘッド構成要素、ブッシング、及び/又は他の構成要素のうち、1つ又はそれ以上を含むことができる。ヘッド構成要素は、椎弓根スクリューチューリップであってもよい。ヘッド構成要素は、軸方向ボアを有することができる。軸方向ボアは、軸方向ボアのボア直径を画定する内面を、ヘッド構成要素内に形成することができる。この内面は、ヘッド構成要素の第1の端部における、軸方向ボアのボア直径の、最も狭い部分を画定することができる。この内面は、組立て時にスクリュー用インサートの球状ヘッドが配置され得る、ヘッド構成要素内の空間体積を限定することができる。球状ヘッドは、ヘッド構成要素の第1の端部において、軸方向ボアのボア直径の最も狭い部分で、内面に着座することができる。
【0009】
ブッシングは、第1の端部の反対側にある、ヘッド構成要素の第2の端部から、軸方向ボアに挿入されるように構成することができる。多軸椎弓根スクリューシステムの組立て状態でブッシングを挿入することで、ブッシングがヘッド構成要素の内面と球面ヘッドとの間に摩擦係合して、球面ヘッドの座部を軸方向ボアのボア直径の最も狭い部分の内面に対して維持することができる。
【0010】
上記の構成要素及び構成では、スクリュー用インサートの球状ヘッドのヘッド直径は、球状ヘッドが軸方向ボアのボア直径の最も狭い部分を通過することを防止できるように、軸方向ボアのボア直径の最も狭い部分よりも大きくすることができる。スクリュー本体の外径は、軸方向ボアのボア直径の最も狭い部分よりも大きくてもよい。スクリュー本体の外径が、軸方向ボアのボア直径の最も狭い部分よりも大きくてもよいため、従来のトップローディングねじよりも大きい外径を有する、交換可能なスクリュー本体を利用することが達成され得る。
【0011】
本明細書で開示されるシステム及び/又は方法のこれら及び他の目的、特徴、及び特性、並びに構造の関連要素の動作方法及び機能、並びに部品の組合せ及び製造の経済性は、添付の図面を参照して、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を考慮することでより明らかになり、それらのすべてが本明細書の一部を形成する。ここで、同様の参照番号は様々な図の対応する部分を示す。しかしながら、各図面は例示及び説明のみを目的とするものであり、本発明の限定を定義することを意図しないことを、明確に理解されたい。本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】1つ又はそれ以上の実施態様による多軸椎弓根スクリューシステムを示す図である。
【0013】
【
図2】1つ又はそれ以上の実施態様による、多軸椎弓根スクリューシステムのスクリュー本体の断面図である。
【0014】
【
図3】1つ又はそれ以上の実施態様による、多軸椎弓根スクリューシステムの、スクリュー本体の端部の拡大図である。
【0015】
【
図4】1つ又はそれ以上の実施態様による、多軸椎弓根スクリューシステムの、スクリュー本体の端部の断面図である。
【0016】
【
図5】1つ又はそれ以上の実施態様による、多軸椎弓根スクリューシステムの、スクリュー用インサートを示す図である。
【0017】
【
図6】1つ又はそれ以上の実施態様による、多軸椎弓根スクリューシステムの、ヘッド構成要素の図である。
【0018】
【
図7】1つ又はそれ以上の実施態様による、多軸椎弓根スクリューシステムの、ヘッド構成要素の別の図である。
【0019】
【
図8】1つ又はそれ以上の実施態様による、多軸椎弓根スクリューシステムの、ヘッド構成要素の断面図である。
【0020】
【
図9】1つ又はそれ以上の実施態様による、多軸椎弓根スクリューシステムの、ブッシングの図である。
【0021】
【
図10】1つ又はそれ以上の実施態様による、多軸椎弓根スクリューシステムの、ブッシングの別の図である。
【0022】
【
図11】1つ又はそれ以上の実施態様による、多軸椎弓根スクリューシステムの、ブッシングの更に別の図である。
【0023】
【
図12】1つ又はそれ以上の実施態様による、多軸椎弓根スクリューシステムの、組立て状態の断面図である。
【0024】
【
図13】1つ又はそれ以上の実施態様による、多軸椎弓根スクリューシステムの、組立て状態を示す図である。
【0025】
【
図14】1つ又はそれ以上の実施態様による、多軸椎弓根スクリューシステムの、組立て方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、1つ又はそれ以上の実施態様による、多軸椎弓根スクリューシステム100を示す。
図1及び付随する説明は、
図2~
図11で提供されるシステム100の、個々の構成要素の詳細な説明と共に、システム100の大まかな概要を示す。加えて、システム100の組立図が
図12及び
図13に示されており、本明細書でより詳細に説明される。
【0027】
システム100は、スクリュー本体200、スクリュー用インサート(screw insert)300、ヘッド組立体、及び/又は他の構成要素のうちの、1つ又はそれ以上を含むことが出来る。ヘッド組立体は、ヘッド構成要素400、ブッシング500、及び/又は他の構成要素のうちの、1つ又はそれ以上を備えることができる。システム100の1つ又はそれ以上の構成要素は、様々な構成要素を組立て方向「D」に沿って、他の構成要素に挿入することによって組み立てることができる。組立て方向Dは、スクリュー本体200を対象となる椎骨の椎弓根に挿入する方向(
図1には図示せず)に則することができる。システム100の1つ又はそれ以上の構成要素は、プラスチック、金属、及び/又は他の材料のうちの、1つ又はそれ以上を含む、1つ又はそれ以上の材料から形成することができる。非限定的な例示として、システム100の1つ又はそれ以上の構成要素は、チタンから形成されてもよい。
【0028】
図1では、スクリュー本体200は、第1の端部202、第1の端部202の反対側にある第2の端部204、ねじ山206を含む1つ又はそれ以上の雄ねじ、溝208を含む1つ又はそれ以上の溝、及び/又は他の構成要素のうちの、1つ又はそれ以上を含むことができる。1つ又はそれ以上のねじ山は、(
図2に示され、本明細書に記載される)スクリュー本体200の外径を画定することができる。第2の端部204には、対象となる椎骨の椎弓根に挿入され得るスクリュー本体200の先端を構成することができる。組立て方向Dは、スクリュー本体200の第1の端部202から第2の端部204まで延びる方向で構成することができる。いくつかの実施態様では、第1の端部202から第2の端部204までのスクリュー本体の全長は、30~150ミリメートルの範囲、及び/又は他の長さであってもよい。
【0029】
スクリュー用インサート300は、ヘッド構成要素400、スクリュー本体200、及び/又はシステム100の他の構成要素のうちの、1つ又はそれ以上に挿入されるように構成することができる。スクリュー用インサート300には、球状ヘッド302、シャフト、及び/又は他の構成要素のうちの、1つ又はそれ以上を含むことができる。このシャフトには、第1のシャフト部304、第2のシャフト部306、第3のシャフト部308、及び/又は他の部分のうちの、1つ又はそれ以上を含むことができる。球状ヘッド302は、(
図5に示され、本明細書に記載される)ヘッド直径及び駆動インタフェース部を有することができる。
【0030】
ヘッド組立体には、ヘッド構成要素400、ブッシング500、及び/又は他の構成要素のうちの、1つ又はそれ以上を含むことができる。ヘッド構成要素400は、椎弓根スクリューチューリップ、及び/又は他の装置であってもよい。ヘッド構成要素400は、第1の端部402、第1の端部402の反対側にある第2の端部404、外面406、内面410、及び/又は他の構成要素のうちの、1つ又はそれ以上を有することができる。ヘッド構成要素400は、軸方向ボア408を有することができる。軸方向ボア408は、第1の端部402の開口部から第2の端部404の開口部まで延びる通路を備えることができる。軸方向ボア408は、ヘッド構成要素400の長手方向軸と位置合わせすることができる。軸方向ボア408は、ヘッド構成要素400内に内面410を形成することができる。内面410は、軸方向ボア408のボア直径を画定することができる。
【0031】
内面410は、(
図8に示され、本明細書で説明される)ヘッド構成要素400の第1の端部402における、軸方向ボア408のボア直径の最も狭い部分を画定することができる。内面410は、ヘッド構成要素400内に空間体積を限定することができる。組立て時には、スクリュー用インサート300の球状ヘッド302は、(
図12に示され、本明細書で説明される)空間体積内に配置することができる。組立て時には、球状ヘッド302は、ヘッド構成要素400の第1の端部402における、軸方向ボア408のボア直径の最も狭い部分で、内面310に対して着座することができる。
【0032】
ブッシング500は、ヘッド構成要素400の第2の端部404から挿入方向Dに沿って、軸方向ボア408に挿入されるように構成することができる。多軸椎弓根スクリューシステム100の組立て時における、(
図12及び
図13に示され、本明細書に記載される)ブッシング500の挿入により、ブッシング500をヘッド構成要素400の内面410と球状ヘッド302との間に摩擦係合させて、軸方向ボア408のボア直径の最も狭い部分で、球状ヘッド302の着座部を内面410に対して維持することができる。
【0033】
上記の構成要素及び/又は構成では、スクリュー用インサート300の球状ヘッド302のヘッド直径は、軸方向ボア408のボア直径の最も狭い部分よりも大きくすることができる。球状ヘッド302が、軸方向ボア408のボア直径の最も狭い部分を通過することを防止することができる。スクリュー本体200の外径は、軸方向ボア408のボア直径の最も狭い部分よりも大きくすることができる。
【0034】
図2は、1つ又はそれ以上の実施態様による、スクリュー本体200の長手方向断面図を示す。スクリュー本体200は、スクリュー本体200の外径「M」、スクリュー本体200の内径「m」、及び/又は他の機構のうちの、1つ又はそれ以上を画定することができる、ねじ山206を含む。
【0035】
スクリュー本体400は、内部ボア210を含むことができる。内部ボア210は、スクリュー本体200の第1の端部202に、開口部212を形成することができる。内部ボア210は、終端部214を有することができる。終端部214は、スクリュー本体200の中間部分にあってもよい。内部ボア210は、スクリュー本体400内に内面211を形成することができる。内面211は、スクリュー本体200の長手方向軸と位置合わせすることができる、スクリュー本体400内に延びる通路を画定することができる。内面211は、内部ボア210のボア直径を画定することができる。スクリュー用インサートのシャフト(
図2には図示せず)は、スクリュー本体200の内部ボア210に挿入することができる。開口部212から終端部214まで延在する内部ボア210の長さ「L1」は、スクリュー用インサートのシャフトの長さに基づいて選択することができる。内部ボア210の幅「W1」(例えば、ボア210の直径)は、スクリュー用インサートのシャフトの幅(例えば、直径)に基づいて選択することができる。いくつかの実施態様では、内部ボア210の幅W1は、内部ボア210によって形成されたスクリュー本体の壁厚「T」が、スクリュー本体200が特定のトルク下で破損することを防止するのに十分であるように選択することができる。
【0036】
図3は、スクリュー本体200の第2の端部204の拡大図を示す。スクリュー本体200は、溝208を含む1つ又はそれ以上の溝を含むことができる。1つ又はそれ以上の溝には、スクリュー本体200の第2の端部204に機械加工することで、1つ又はそれ以上の切り刃先を、設けることができる。1つ又はそれ以上の溝により、スクリュー本体200をセルフタッピングさせることができる。
図4は、
図3の断面AAから見た、スクリュー本体200の第2の端部204の断面図を示す。
図4には、溝208及び溝208に対向する第2の溝209が示されている。溝208は、第1の切り刃先216を提供することができる。第2の溝209は、第2の切り刃先218を提供することができる。
【0037】
図5は、スクリュー用インサート300の図を示す。スクリュー用インサート300は、球状ヘッド302、第1のシャフト部304、第2のシャフト部306、第3のシャフト部308、駆動インタフェース部310(破線で示す)、及び/又は他の構成要素のうちの、1つ又はそれ以上を備えることができる。第3のシャフト部308には、スクリュー用インサート300のテーパ状端部を備えることができる。第1のシャフト部304は、第2のシャフト部306よりも幅広にすることができる。第1のシャフト部304には、カラーを形成してもよい。第1のシャフト部304の幅は、(
図12に図示され、本明細書で説明される)シャフト本体200の内部ボア210の開口部212よりも幅広にすることができる。第2のシャフト部306及び第3のシャフト部308は、(
図12に図示され、本明細書で説明される)スクリュー本体200の内部ボア210に挿入することができる。挿入時に、第1のシャフト部304によって形成されたカラーは、シャフト本体200の第1の端部202における、内部ボアの開口部212の周りで接合することができる。
【0038】
第2のシャフト部306は、幅W2(例えば、第2のシャフト部306の直径)を有することができる。いくつかの実装形態では、第2のシャフト部306の幅W2は、シャフト本体200の内部ボア210へのスクリュー用インサート300の圧入嵌合(又は摩擦嵌合)を達成するために、シャフト本体200の内部ボア210の幅W1(
図2)よりも大きく形成することができる。いくつかの実施態様では、W2は、3~6ミリメートルの範囲内の値、及び/又は他の値にすることができる。
【0039】
球状ヘッド302のヘッド直径「H」は、球状ヘッド302の最大直径として測定することができる。球状ヘッド302は、図示のように駆動インタフェース部310において切り取られ得るため、球状ヘッド302は完全な球体を形成しない。
【0040】
駆動インタフェース部310は、組み立てられたシステム100を、骨セグメント内に前進させる、又は除去するための駆動ツールを受け入れるように構成することができる。非限定的な例示として、駆動インタフェース部310は、システム100を骨内に前進させる、又は除去するための駆動ツールを受け入れるように構成された、六角形駆動インタフェース、プラスねじ頭インタフェース、平頭インタフェース、及び/又は他の駆動インタフェースのうちの、1つ又はそれ以上を備えることができる。
【0041】
図6は、ヘッド構成要素400の図を示す。ヘッド構成要素400には、椎弓根スクリューチューリップを含むことができる。ヘッド構成要素400は、一体構造にすることができる。すなわち、ヘッド構成要素400を形成するための、他の部品が不要となり得る。非限定的な例示として、ヘッド構成要素400は、単一の材料片からフライス加工することができる。
図6に示すように、ヘッド構成要素400は、U字形ロッド受容溝414を含むことができる。溝414は、骨セグメントを互いに固定する術中使用の間に、ロッド(
図6には図示せず)をヘッド構成要素400に結合するために使用することができる。
図7は、多軸椎弓根スクリューシステム100のヘッド構成要素400の別の図を示す。
【0042】
図8は、
図7の切断面BBから見たヘッド構成要素400の断面図を示す。ヘッド構成要素400は、第1の係合構成要素412及び/又は第2の係合構成要素413を含む、1つ又はそれ以上の係合構成要素を含むことができる。第1の係合構成要素412は、第2の係合構成要素413に対向して配置することができる。第1の係合構成要素412及び/又は第2の係合構成要素413は、ブッシング500の相補的な係合構成要素(本明細書に記載の
図9及び
図12に示す)と、位置合わせするように構成することができる。位置合わせされると、圧着ツール(図示せず)を第1の係合構成要素412及び/又は第2の係合構成要素413に挿入し、ツールに加圧することができる。この加圧により、第1の係合構成要素412及び/又は第2の係合構成要素413を形成するヘッド構成要素400の材料を内側に(例えば、軸方向ボア408内に)変形させることができる。変形した材料は、ブッシング500の位置合わせされた相補的な係合構成要素内に突出し、ヘッド構成要素400及びブッシング500を互いに係合させることができる。いくつかの実施態様では、ヘッド構成要素400の1つ又はそれ以上の係合構成要素及びブッシング500の1つ又はそれ以上の相補的な係合構成要素は、わずかな空隙を含むことができる。
【0043】
図8には、軸方向ボア408がより明確に示されている。軸方向ボア408は、第2の端部404の開口部から第1の端部402の開口部まで延在する通路を備えることができる。軸方向ボア408は、ヘッド構成要素400内に内面410を形成することができる。内面410は、軸方向ボア408のボア直径418を画定することができる。内面410は、ヘッド構成要素400の第1の端部402において軸方向ボア408のボア直径418の最も狭い部分420を更に画定することができる。いくつかの実装態様では、軸方向ボア408のボア直径418の最も狭い部分420は、ヘッド構成要素400の第1の端部402で、ボア直径418にテーパをつけることによって形成することができる。いくつかの実装態様では、このテーパは、第1の端部402の開口部から開始して、1~2ミリメートルとすることができる。いくつかの実装態様では、軸方向ボア408のボア直径418の最も狭い部分420は、第1の端部402における軸方向ボア408の開口部に配置される、内側に突出するフランジ又は隆起部によって形成されてもよい。
【0044】
いくつかの実装態様では、ボア直径418は、第2の端部404の開口部から最も狭い部分420まで、直径が均一であってもよい。いくつかの実装態様では、第2の端部404における内面410に、1つ又はそれ以上の雌ねじ416が形成されてもよい。1つ又はそれ以上の雌ねじ416は、ロッド(図示せず)をU字形溝414に固定するためのキャップ(
図8には図示せず)を受け入れるように構成することができる。
【0045】
最も狭い部分420の直径は、球状ヘッドのヘッド直径H(
図5)よりも小さくすることができる。ボア直径418は、球状ヘッドのヘッド直径H(
図5)に等しくする、かつ/又はそれより大きくすることができる。軸方向ボア408により、ヘッド構成要素400の第1の端部402において、球状ヘッド302が軸方向ボア408のボア直径418の最も狭い部分420で着座するまで、軸方向ボア408にスクリュー用インサート300を挿入することが可能となる。
【0046】
図9は、ヘッド構成要素400の軸方向ボア408に挿入されるように構成された、ブッシング500の図を示す。ブッシング500は、ヘッド構成要素400の軸方向ボア408内に摩擦係合して、スクリュー用インサート300の球状ヘッド302の座部をヘッド構成要素400内に維持するために使用される、円筒形ライニングにすることができる。ブッシング500は、第1の端部502、第1の端部502の反対側にある第2の端部504、U字形ロッド受容溝506、第3の係合構成要素508及び/又は第3の係合構成要素508の反対側にある第4の係合構成要素509(
図9には図示せず)を含む1つ又はそれ以上の相補的な係合構成要素、1つ又はそれ以上のシム510、及び/又は他の構成要素のうちの、1つ又はそれ以上を含むことができる。組立て時には、溝506は、ヘッド構成要素400の溝414と位置合わせすることができる。溝506は、ヘッド構成要素400の溝414を介したヘッド構成要素400へのロッドの結合に対応することができる。
【0047】
1つ又はそれ以上のシム510には、組立て時に、(
図12に示され、本明細書で説明される)ヘッド構成要素400の内面410とスクリュー用インサート300の球状ヘッド302との間に摩擦係合するように構成された、ブッシング500の第2の端部504に配置された、関節運動可能な構成要素を含むことができる。
図10及び
図11は、ブッシング500の他の図を示す。
【0048】
図12は、1つ又はそれ以上の実施態様による、多軸椎弓根スクリューシステム100の組立て状態の断面図を示す。図示のように、軸方向ボア408のボア直径の最も狭い部分420において、球状ヘッド302が内面410に着座するまで、スクリュー用インサート300をヘッド構成要素400の軸方向ボア408に挿入することができる。ブッシング500は、ヘッド構成要素400の第2の端部404から挿入することができる。球状ヘッド302の着座を維持するために、軸方向ボア408のボア直径の最も狭い部分420において、球状ヘッド302と内面410との間に、1つ又はそれ以上のシム510を押し込むことができる。ヘッド構成要素400のU字形溝414は、ロッドを収容するためにブッシング500のU字形溝506と位置合わせすることができる。
【0049】
球状ヘッド302が最も狭い部分420を通過することを防止して、球状ヘッド302を軸方向ボア408のボア直径の最も狭い部分420で内面410に着座させることができる。いくつかの実装態様では、ヘッド直径Hは8ミリメートル以上であってもよい。いくつかの実施態様では、軸方向ボア408のボア直径の最も狭い部分420は、8ミリメートル未満であってもよい。いくつかの実施態様では、外径Mは、8ミリメートル以上、11ミリメートル以下の範囲内であってもよい。いくつかの実施態様では、外径Mは11ミリメートル以上でもよい。
【0050】
ヘッド構成要素400の第1の係合構成要素412及び第2の係合構成要素413は、ブッシング500の相補的な第3の係合構成要素508及び第4の係合構成要素509と、位置合わせすることができる。位置合わせされると、圧着ツール(図示せず)を第1の係合構成要素412及び/又は第2の係合構成要素413に挿入することができ、(破線で示す)圧縮力「C」を内側に加えることができる。この圧縮は、第1の係合構成要素412及び/又は第2の係合構成要素413の内側にある、ヘッド構成要素400の材料を、内側に(例えば、軸方向ボア408内に)変形させ得る。変形された材料が、ブッシング500の位置合わせされた相補的な第3の係合構成要素508及び第4の係合構成要素509内に突出することで、ヘッド構成要素400及びブッシング500を互いに係合させ、それによって球状ヘッド302をその着座位置に係合することができる。
【0051】
スクリュー用インサート300は、シャフト本体200の内部ボア210に挿入することができる。第2のシャフト部306及び第3のシャフト部308は、スクリュー本体200の内部ボア210に挿入することができる。第3のシャフト部308を最初に挿入して、ボア210の終端部214に向かって前進させることができる。第1のシャフト部304の幅(例えば、直径)は、シャフト本体200の内部ボア210の開口部212より幅広でもよい。挿入時に、第1のシャフト部304によって形成されたカラーは、シャフト本体200の第1の端部202における、内部ボアの開口部212の周りで接合することができる。いくつかの実施態様では、スクリュー用インサート300は、接着剤、溶接、ねじ係合、及び/又は他の技法のうちの、1つ又はそれ以上によって、スクリュー本体200に固定的に取り付けることができる。非限定的な例示として、第1のシャフト部304は、シャフト本体200の第1の端部において、202の内部ボアの開口部212との界面に溶接されてもよく、又は接着剤が塗布されてもよい。いくつかの実装態様では、第2のシャフト部306に雄ねじを含んでもよく、並びに、シャフト本体200の内部ボアによって形成された内面に雌ねじ(図示せず)を含んでもよい。
【0052】
図13は、スクリュー本体200、スクリュー用インサート300、ヘッド構成要素400、及びブッシング500を含む多軸椎弓根スクリューシステム100の組立て状態を示す。
【0053】
図14は、多軸椎弓根スクリューシステムの組立て方法1400を示す。以下に提示される方法1400の操作は、例示を意図するものである。いくつかの実施態様では、方法1400は、説明されていない1つ又はそれ以上の追加の操作によって、及び/又は説明された操作のうちの1つ又はそれ以上がなくても達成され得る。更に、
図14に示され、以下に説明される方法1400の操作順序は、限定することを意図するものではない。いくつかの実施態様では、方法1400は、(
図1~
図13に示され、本明細書に記載される)多軸椎弓根スクリューシステム100と同じ、又は同様の多軸椎弓根スクリューシステムを使用して実施することができる。
【0054】
操作1402において、スクリュー用インサートは、ヘッド構成要素を介して、挿入方向に沿って挿入することができる。スクリュー用インサートには、球状ヘッド及びシャフトを含むことができる。球状ヘッドは、ヘッド直径を有することができる。ヘッド構成要素は、軸方向ボアを有することができる。軸方向ボアは、軸方向ボアのボア直径を画定する内面を、ヘッド構成要素内に形成することができる。この内面は、ヘッド構成要素の第1の端部における、軸方向ボアのボア直径の、最も狭い部分を画定することができる。この内面は、スクリュー用インサートの球状ヘッドが配置され得る、ヘッド構成要素内の空間体積を限定することができる。ヘッド直径は、球状ヘッドが軸方向ボアのボア直径の最も狭い部分を通過することを防止して、ヘッド構成要素の第1の端部における、軸方向ボアのボア直径の最も狭い部分の内面に球状ヘッドを着座させるように、軸方向ボアのボア直径の最も狭い部分よりも大きくてもよい。いくつかの実施態様では、操作1402は、(
図1に示され、本明細書に記載される)スクリュー用インサート300及びヘッド構成要素400とそれぞれ同じ、又は同様のスクリュー用インサート及びヘッド構成要素を使用して実行することができる。
【0055】
操作1404において、ブッシングを、ヘッド構成要素の第2の端部から軸方向ボア内に、挿入方向に沿って挿入することができる。このブッシングの挿入により、ブッシングが内面と球状ヘッドとの間に摩擦係合させて、軸方向ボアのボア直径の最も狭い部分で、球状ヘッドの着座部を内面に対して維持することができる。いくつかの実施態様では、操作1404は、(
図1に示され、本明細書に記載される)ブッシング500と同じ、又は同様のブッシングを使用して実行することができる。
【0056】
操作1406において、スクリュー用インサートのシャフトを、挿入方向に沿ってスクリュー本体に挿入することができる。スクリュー本体は、1つ又はそれ以上のねじ山を有することができる。1つ又はそれ以上のねじ山は、スクリュー本体の外径を画定することができる。スクリュー本体の外径は、軸方向ボアのボア直径の最も狭い部分よりも大きくてもよい。いくつかの実装態様では、操作1406は、(
図1に示され、本明細書に記載される)スクリュー本体200と同じ、又は同様のスクリュー本体を使用して実行することができる。
【0057】
現在最も実用的で好ましいと考えられる実施態様に基づいて、本技術を例示の目的で詳細に説明してきた。しかし、そのような詳細は例示のみを目的とするものであり、本技術は開示された実施態様に限定されず、それどころか、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内にある修正及び同等の構成を、網羅することを意図していることを理解されたい。例えば、本技術は、可能な限り、任意の実施態様の1つ又はそれ以上の特徴を、任意の他の実施態様の1つ又はそれ以上の特徴と、組み合わせられることを企図していると理解されたい。