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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】超純水供給システムおよび制御装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/10 20060101AFI20240220BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20240220BHJP
   C02F 1/42 20230101ALI20240220BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240220BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20240220BHJP
   C02F 1/38 20230101ALI20240220BHJP
   B08B 3/14 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B08B3/10 Z
C02F1/00 S
C02F1/00 X
C02F1/42 A
H01L21/304 648K
H01L21/304 648G
H01L21/304 647Z
C02F1/44 A
C02F1/38
B08B3/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022550425
(86)(22)【出願日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 JP2021030749
(87)【国際公開番号】W WO2022059430
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2020154530
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】蔦野 恭平
(72)【発明者】
【氏名】中居 巧
(72)【発明者】
【氏名】菅原 広
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-134457(JP,A)
【文献】特開2010-249651(JP,A)
【文献】特開2018-111058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/10
C02F 1/00
C02F 1/42
H01L 21/304
C02F 1/44
C02F 1/38
B08B 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超純水製造設備から洗浄装置へ超純水を流す第1の流通管と、
前記第1の流通管上に設置され、前記超純水を処理する処理ユニットと、
前記超純水製造設備と前記処理ユニットとの間で前記第1の流通管から分岐し、前記洗浄装置へ超純水を流す第2の流通管と、
前記第1の流通管から前記第2の流通管が分岐する第1の分岐部に設けられた第1の水量制御部と、
前記第2の流通管から前記洗浄装置へ流す超純水を制御する第2の水量制御部と、
前記処理ユニットで処理された超純水に含まれる不純物の量である第1の量と、前記処理ユニットで処理されていない超純水に含まれる不純物の量である第2の量とを比較する比較部と、
前記比較部における比較の結果に基づいて、前記第1の水量制御部と前記第2の水量制御部とを制御する流路制御部とを有する超純水供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載の超純水供給システムにおいて、
前記第2の流通管から前記超純水製造設備へ超純水を戻す第3の流通管と、前記第2の流通管から前記洗浄装置へ超純水を流す第4の流通管とに分岐する第2の分岐部を有し、
前記第2の水量制御部は、前記第2の分岐部に設けられる超純水供給システム。
【請求項3】
請求項2に記載の超純水供給システムにおいて、
前記第1の水量制御部は、前記第1の流通管から前記処理ユニットへ流れる水量を調整する第1のバルブと、前記第1の流通管から前記第2の流通管へ流れる水量を調整する第2のバルブとを有し、
前記第2の水量制御部は、前記第2の流通管から前記第3の流通管へ流れる水量を調整する第3のバルブと、前記第2の流通管から前記第4の流通管へ流れる水量を調整する第4のバルブとを有し、
前記流路制御部は、前記第1のバルブ、前記第2のバルブ、前記第3のバルブおよび前記第4のバルブそれぞれの開閉を制御する超純水供給システム。
【請求項4】
請求項3に記載の超純水供給システムにおいて、
前記流路制御部は、前記第1の量が前記第2の量よりも少なく、且つ前記第1の量と前記第2の量との差分が所定の値以上である場合、前記第1のバルブ、前記第2のバルブおよび前記第3のバルブを開状態とし、前記第4のバルブを閉状態とし、それ以外の場合、前記第1のバルブおよび前記第3のバルブを閉状態とし、前記第2のバルブおよび前記第4のバルブを開状態とする超純水供給システム。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載の超純水供給ユニットにおいて、
前記第1の量が測定される第1の量測定ポイントと、前記第4の流通管と前記第1の流通管との合流点との間で、前記第1の流通管から分岐し、超純水を前記超純水製造設備へ流す第5の流通管と、
前記第1の流通管から前記第5の流通管へ流れる水量を調整する第5のバルブとを有する超純水供給システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の超純水供給システムにおいて、
前記第1の量を測定する第1の測定部と、
前記第2の量を測定する第2の測定部とを有し、
前記第1の測定部および前記第2の測定部は、前記不純物を捕捉するイオン交換体を含む超純水供給システム。
【請求項7】
請求項6に記載の超純水供給システムにおいて、
前記イオン交換体は、モノリス状イオン交換体である超純水供給システム。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか1項に記載の超純水供給システムにおいて、
前記第1の量を測定する第1の測定部と、
前記第2の量を測定する第2の測定部とを有し、
前記第1の測定部および前記第2の測定部は、前記不純物として直径10nm以上の微粒子を捕捉できるろ過膜と遠心ろ過機構とを含む超純水供給システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の超純水供給システムにおいて、
前記処理ユニットは、
当該処理ユニットに流入する前記超純水から前記不純物を除去する、互いに並列に接続された複数の除去部材と、
前記複数の除去部材のいずれか1つの除去部材に前記超純水を流通させる第6のバルブとを有する超純水供給システム。
【請求項10】
請求項9に記載の超純水供給システムにおいて、
前記流路制御部は、前記比較部における前記第1の量と前記第2の量との比較の結果に基づいて、前記超純水を流通させる除去部材を切り替えるように前記第6のバルブを制御する超純水供給システム。
【請求項11】
超純水製造設備から洗浄装置へ超純水を流す第1の流通管から、前記超純水製造設備と前記第1の流通管上に設置され、前記超純水を処理する処理ユニットとの間で前記第1の流通管から分岐し、前記洗浄装置へ超純水を流す第2の流通管が分岐する第1の分岐部に設けられた第1の水量制御部と、
前記第2の流通管から前記洗浄装置へ流す超純水を制御する第2の水量制御部と、
前記処理ユニットを通過した第1のポイントにおける前記超純水に含まれる不純物の量である第1の量と、前記超純水製造設備から流され、前記処理ユニットで処理されていない超純水に含まれる不純物の量である第2の量とを比較する比較部と、
前記比較部における比較の結果に基づいて、前記第1の水量制御部と前記第2の水量制御部とを制御する流路制御部とを有する制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超純水供給システム、制御装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、超純水製造設備からユースポイント(例えば、半導体洗浄装置内の使用箇所)に供給される超純水の水質は、所定の基準を満たしている。しかしながら、供給配管からのイオン性金属不純物の溶出等を起因として、超純水製造設備からユースポイントに供給される超純水の水質が、その基準を満たさないケースもある。そのような場合に備えて、超純水製造設備とユースポイントとの間に超純水に含まれる不純物を除去する処理ユニットを設置する技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/045975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1では、超純水製造設備からユースポイントに供給される超純水の水質が所定の基準を満たしている場合でも、超純水製造設備から供給される水をユースポイントに供給する前に処理ユニットが処理している。そのため、超純水を供給するシステムを効率的に利用できていないという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、超純水を供給するシステムを効率的に利用することができる超純水供給システムおよび制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、超純水製造設備から洗浄装置へ超純水を流す第1の流通管と、
前記第1の流通管上に設置され、前記超純水を処理する処理ユニットと、
前記超純水製造設備と前記処理ユニットとの間で前記第1の流通管から分岐し、前記洗浄装置へ超純水を流す第2の流通管と、
前記第1の流通管から前記第2の流通管が分岐する第1の分岐部に設けられた第1の水量制御部と、
前記第2の流通管から前記洗浄装置へ流す超純水を制御する第2の水量制御部と、
前記処理ユニットで処理された超純水に含まれる不純物の量である第1の量と、前記処理ユニットで処理されていない超純水に含まれる不純物の量である第2の量とを比較する比較部と、
前記比較部における比較の結果に基づいて、前記第1の水量制御部と前記第2の水量制御部とを制御する流路制御部とを有する超純水供給システムである。
【0007】
また、本発明は、超純水製造設備から洗浄装置へ超純水を流す第1の流通管から、前記超純水製造設備と前記第1の流通管上に設置され、前記超純水を処理する処理ユニットとの間で前記第1の流通管から分岐し、前記洗浄装置へ超純水を流す第2の流通管が分岐する第1の分岐部に設けられた第1の水量制御部と、
前記第2の流通管から前記洗浄装置へ流す超純水を制御する第2の水量制御部と、
前記処理ユニットを通過した第1のポイントにおける前記超純水に含まれる不純物の量である第1の量と、前記超純水製造設備から流され、前記処理ユニットで処理されていない超純水に含まれる不純物の量である第2の量とを比較する比較部と、
前記比較部における比較の結果に基づいて、前記第1の水量制御部と前記第2の水量制御部とを制御する流路制御部とを有する制御装置である。
【0008】
また、本発明は、コンピュータに、
超純水製造設備から洗浄装置へ超純水を流す第1の流通管上に設置され、前記超純水を処理する処理ユニットを通過した第1のポイントにおける前記超純水に含まれる不純物の量である第1の量と、前記超純水製造設備から流され、前記処理ユニットで処理されていない超純水に含まれる不純物の量である第2の量とを比較する手順と、
前記比較の結果に基づいて、前記第1の流通管に流す超純水と前記第2の流通管に流す超純水とを制御する手順とを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、超純水を供給するシステムを効率的に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の超純水供給システムの第1の実施の形態を示す図である。
図2図1に示した第1の水量制御部の内部構成の一例を示す図である。
図3図1に示した第2の水量制御部の内部構成の一例を示す図である。
図4図1に示した流路制御部が行うバルブの制御方法の一例を示す図である。
図5図1に示した超純水供給システムにおける超純水供給方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図6図1に示した処理ユニットの第1の内部構成例を示す図である。
図7図1に示した処理ユニットの第2の内部構成例を示す図である。
図8図1に示した処理ユニットの第3の内部構成例を示す図である。
図9】本発明の超純水供給システムの第2の実施の形態を示す図である。
図10図9に示した第3の水量制御部の内部構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0012】
図1は、本発明の超純水供給システムの第1の実施の形態を示す図である。本形態における超純水供給システムは図1に示すように、処理ユニット110と、流通管210,220,230,240と、水量制御部310,320と、測定部410,420と、比較部510と、流路制御部520とを有する。
【0013】
処理ユニット110は、超純水製造設備100からユースポイント(本実施形態では、対象物を洗浄する洗浄装置120)へ超純水を流す流通管210上に設置される装置である。この超純水は、半導体デバイス製造工場などにおいて用いられる水である。処理ユニット110は、流通管210上を流れてきた超純水から不純物を除去するユニットである。処理ユニット110は、例えば、イオン交換体または精密ろ過膜(MF)や限外ろ過膜(UF)等を用いて超純水から不純物を除去する。このイオン交換体は、イオン除去またはイオン吸着機能(例えば、イオン吸着膜またはモノリス、イオン交換樹脂)を有する。イオン交換体が除去または吸着する対象物はイオン性金属不純物である。また、イオン交換体は、静電的な効果で微粒子も吸着する。処理ユニット110は、処理した超純水の不純物の量(第1の量)を、例えば濃度に換算して1pptよりも低い値とする構造を有する。処理ユニット110は、これらの不純物除去に用いるフィルタ等を単独で有しても良い。また、処理ユニット110は、これらの不純物除去に用いるフィルタ等の組み合わせを有しても良い。処理ユニット110内は、構成するフィルタ等が交換可能なように、冗長構成を有しても良い。また、昇圧用のポンプおよび熱交換器が処理ユニット110の前段に設けられていても良い。
【0014】
処理ユニット110に充填される部材としては、イオン交換体または精密ろ過膜(MF)や限外ろ過膜(UF)等が挙げられ得る。これらの部材をそれぞれ単独で使用しても良い。また、これらの部材を任意の組み合わせで使用しても良い。
処理ユニット110の構成の具体的な例として、
・アニオンモノリス
・カチオンモノリス
・アニオンモノリスとカチオンモノリスの組み合わせ
が挙げられる。ここで、モノリス状有機多孔質体をモノリスと称する。また、これらそれぞれの前段または後段に、イオン交換樹脂、イオン交換樹脂と精密ろ過膜(MF)の組み合わせ、イオン吸着膜、イオン吸着膜と精密ろ過膜(MF)との組み合わせまたは複数の精密ろ過膜(MF)の組合せを設けても良い。さらに、処理ユニット110の構成は、
・アニオン交換樹脂
・カチオン交換樹脂
・アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との組み合わせ(積層または混床)
であっても良い。また、これらそれぞれの前段または後段に、イオン吸着膜、イオン吸着膜と精密ろ過膜(MF)との組み合わせまたは複数の精密ろ過膜(MF)の組合せを設けても良い。さらに、処理ユニット110の構成は、
・イオン吸着膜
・イオン吸着膜と精密ろ過膜(MF)との組み合わせ
・精密ろ過膜(MF)
・限外ろ過膜(UF)
であっても良い。また、上述したようなモノリスとイオン交換樹脂とを組み合わせたものや、モノリスとイオン吸着膜とを組み合わせたものであっても良い。
【0015】
超純水製造設備100は、洗浄装置120へ供給するための超純水を製造する設備である。超純水を製造するための構成は一般的なもので良い。超純水製造設備100は、例えば、前処理システムと、一次純水システムと、二次純水システム(サブシステム)とを備えている。一次純水システムは、前処理システムの後段に設置されたシステムである。二次純水システム(サブシステム)は、一次純水システムの後段に設置されたシステムである。超純水は、一般に、原水(河川水、地下水、工業用水等)を、前処理システム、一次純水システムおよび二次純水システムが順次処理することにより製造されている。二次純水システムには、例えば、一次純水システムで製造された純水が貯留される一次純水槽と、熱交換器(HE:Heat Exchanger)と、紫外線酸化装置(UVox:UltraViolet oxidizer)と、非再生型イオン交換装置(CP:Cartridge Polisher)と、溶存ガスを除去する膜脱気装置(MD:Membrane Degassifier)と、限外ろ過装置(UF:UltraFiltration membrane)とがこの順番で設けられている。一次純水槽からポンプを用いて供給された純水が順次処理されて超純水が製造される。
【0016】
洗浄装置120は、供給された超純水を用いて、ウエハやガラス基板、プリント基板、金属基板等の洗浄を行う装置である。
【0017】
流通管210は、超純水製造設備100から洗浄装置120へ超純水を流す第1の流通管である。流通管220は、超純水製造設備100と処理ユニット110との間の流通管210から分岐し、洗浄装置120へ超純水を流す(厳密には、後述する流通管240を介して洗浄装置120へ超純水が流れる)第2の流通管である。流通管230は、流通管220から超純水製造設備100へ超純水を戻す第3の流通管である。なお、流通管230は、流通管220からの超純水を排水槽・回収槽(不図示)へ流すためのものであっても良い。流通管240は、流通管220から洗浄装置120へ超純水を流す第4の流通管である。流通管210から流通管220が分岐する分岐点を第1の分岐部とする。また、流通管220が流通管230と流通管240とに分岐する分岐点を第2の分岐部とする。水量制御部310は、第1の分岐部に設けられた第1の水量制御部である。水量制御部320は、第2の分岐部に設けられた第2の水量制御部である。水量制御部320は、流通管220から洗浄装置120へ流す超純水の流量を制御する測定部410は、処理ユニット110で処理された超純水の第1のポイント(第1の量測定ポイント)における不純物の第1の量を測定する第1の測定部である。測定部420は、流通管220上の第2のポイントにおける不純物の第2の量を測定する第2の測定部である。測定部420は、処理ユニット110で処理されていない超純水に含まれる不純物の量である第2の量を測定することができる位置に配置されれば良い。例えば、測定部420は、流通管210上に設けられていても良い。また、測定部420は、図1に示すように流通管220上に設けられていても良い。なお、流通管240は、第1のポイントと洗浄装置120との間で、流通管210に合流する。
【0018】
図2は、図1に示した水量制御部310の内部構成の一例を示す図である。図1に示した水量制御部310は図2に示すように、バルブ610と、バルブ620とを有する。バルブ610は、処理ユニット110へ流れる水量を調整する第1のバルブ(開閉弁)である。バルブ620は、流通管220へ流れる水量を調整する第2のバルブ(開閉弁)である。
【0019】
図3は、図1に示した水量制御部320の内部構成の一例を示す図である。図1に示した水量制御部320は図3に示すように、測定部420と、バルブ630と、バルブ640とを有する。バルブ630は、流通管220から流通管230へ流れる水量を調整する第3のバルブ(開閉弁)である。バルブ640は、流通管220から流通管240へ流れる水量を調整する第4のバルブ(開閉弁)である。
【0020】
測定部410,420は、不純物を捕捉するろ過式サンプリング機構を具備する。このろ過式サンプリング機構は、イオン交換体を含む。この場合のイオン交換体は、イオン交換機能を有する材料であれば良い。このイオン交換体は、モノリス状イオン交換体であることが好ましい。また、測定部410,420が捕捉する対象物が直径10nm以上の微粒子であっても良い。また、測定部410,420が具備する、不純物を捕捉するろ過式サンプリング機構が、直径10nm以上の微粒子を捕捉できるろ過膜と遠心ろ過膜とを含む。この場合、直径10nm以上の微粒子を捕捉できるろ過膜は、AAO(Anodic Aluminum Oxide)膜である。
【0021】
ここで、測定部410,420における不純物の分析手法・分析評価について説明する。測定部410,420での超純水のイオン性金属不純物分析は特開2001‐153855号公報に開示されている濃縮法を用いることが好ましい。この手法は、具体的には、超純水製造設備100で製造された超純水を測定部410,420に備えられたイオン交換体に通液して、超純水に含まれるイオン性不純物をイオン交換体に捕捉させる。続いて、超純水に含まれるイオン性不純物を捕捉させたイオン交換体に溶離液を通液する。そして、イオン交換体から溶離した超純水に含まれるイオン性不純物を含有する回収溶離液を取得し、回収溶離液中の各イオン性不純物の濃度を測定する方法である。濃縮法を用いることで0.1ng/L以下の金属を測定することが可能である。
【0022】
このような測定部410,420における不純物の分析手法・分析評価は、イオン交換体として、モノリスイオン交換体を使用した濃縮法を用いる。ここで用いるモノリスイオン交換体の構造例としては、特開2002-306976号公報や特開2009-62512号公報に開示されている連続気泡構造や、特開2009-67982号公報に開示されている共連続構造や、特開2009-7550号公報に開示されている粒子凝集型構造や、特開2009-108294号公報に開示されている粒子複合型構造等が挙げられる。また、イオン交換体の構造や材料、性質については、特開2019-195763号公報に開示されているようなものが挙げられる。また、モノリスイオン交換体において、導入されているイオン交換基や、モノリス状有機多孔質カチオン交換体(以下、モノリスカチオン交換体と称する。)に導入されているカチオン交換基、モノリス状有機多孔質アニオン交換体(以下、モノリスアニオン交換体と称する。)に導入されているアニオン交換基は、特開2019-195763号公報に開示されているようなものが挙げられる。
【0023】
また、測定部410,420での超純水中の微粒子分析として、膜ろ過により捕捉した粒子をSEM(Scanning Electron Microscope)を用いて観察する直検法を用いることが好ましい。一般的には、液中パーティクルカウンタを用いて分析を行うケースが多い。しかしながら、液中パーティクルカウンタを用いた分析では粒径が20nmよりも大きな粒子しか検出することができず、検出効率が低い。直検法を用いることで、微粒子の組成分析が可能となり、微粒子発生源を特定することができる。超純水の水質を分析評価するために測定部410,420に設置されるろ過式サンプリング機構は、常時設置されたものでなくても良い。測定部410,420に設置されるろ過式サンプリング機構は、任意のタイミングや定期的なタイミングでサンプリングできるものが好ましい。測定部410,420に設置されるろ過式サンプリング機構は、不純物を捕捉(濃縮)した部分(例えば、キット、モジュール、ホルダー等。以下、試料と称する)が測定部410,420から脱着可能であるものが好ましい。また、不純物を捕捉(濃縮)して測定部410,420から取り外された試料は、コンタミを避けて、分析に供される。測定部410,420にてサンプリングが行われ、測定部410,420から取り外された試料は、必ずしもサンプリングの都度、分析される必要はない。測定部410,420から取り外された試料は、コンタミを避けて保管しておき、必要な時にまとめてまたは一部のみ分析しても良い。
【0024】
比較部510は、測定部410が測定した第1の量と、測定部420が測定した第2の量とを比較する。例えば、比較部510は、測定部410が測定した第1の量が濃度換算された値(以下、第1の濃度と称する。)と、測定部420が測定した第2の量が濃度換算された値(以下、第2の濃度と称する。)とを比較しても良い。流路制御部520は、比較部510における比較の結果に基づいて、水量制御部310と水量制御部320とを制御する。具体的には、流路制御部520は、比較部510における比較の結果に基づいて、バルブ610,620,630,640それぞれの開閉を制御する。さらに具体的には、流路制御部520は、第1の量が第2の量よりも少ない場合、バルブ610,620,630を開状態とし、バルブ640を閉状態とする。流路制御部520は、それ以外の場合、バルブ610,630を閉状態とし、バルブ620,640を開状態とする。
【0025】
図4は、図1に示した流路制御部520が行うバルブ610,620,630,640の制御方法の一例を示す図である。図4に示した例は、比較部510が第1の濃度と第2の濃度とを比較する場合に用いられる対応付けの一例である。図4に示すように、流路制御部520は、測定部410が測定した第1の量が濃度換算された第1の濃度と測定部420が測定した第2の量が濃度換算された第2の濃度との大小関係と、バルブ610,620,630,640の開閉制御の内容とが対応付けられている。流路制御部520は、比較部510における比較の結果と、この対応付けとを参照して、バルブ610,620,630,640それぞれの開閉を制御する。例えば、比較部510における比較の結果が、流路制御部520へ送信され、第1の濃度が第2の濃度よりも低い場合、流路制御部520は、この対応付けで第1の濃度が第2の濃度よりも低い場合と対応付けられている方法でバルブ610,620,630,640を制御する。図4に示した例では、この場合、流路制御部520は、バルブ610、バルブ620およびバルブ630を開状態に制御し、バルブ640を閉状態に制御する。また、比較部510における比較の結果が、流路制御部520へ送信され、第1の濃度と第2の濃度とが等しい場合、流路制御部520は、この対応付けで第1の濃度と第2の濃度とが等しい場合と対応付けられている方法でバルブ610,620,630,640を制御する。図4に示した例では、この場合、流路制御部520は、バルブ610およびバルブ630を閉状態に制御し、バルブ620およびバルブ640を開状態に制御する。この対応付けは、流路制御部520に記憶されていても良い。また、この対応付けは、流路制御部520がアクセス可能な外部の記憶媒体に記憶されていても良い。
【0026】
また、この比較の結果に、ある程度のマージンを持たせても良い。例えば、図4に示した対応付けを用いると、測定部410が測定した濃度が、測定部420が測定した濃度よりも低い状態から、それらの濃度が互いに等しい状態になったときに、流路制御部520は、バルブ610,630を閉状態に制御し、バルブ620,640を開状態に制御する。例えば、測定部410が測定した濃度が、測定部420が測定した濃度よりも低い状態から、それらの濃度が互いに等しい値に近くなったときに、流路制御部520は、バルブ610,630を閉状態に制御し、バルブ620,640を開状態に制御しても良い。このマージンはあらかじめ設定されているものであっても良いし、その濃度に基づいて算出されるものであっても良い。このようなマージンを用いれば、例えば、測定部410が測定した第1の濃度が、測定部420が測定した第2の濃度よりも低く、且つ第1の濃度と第2の濃度との差分が所定の値(マージン値)以上であれば、流路制御部520は、バルブ610,620,630を開状態に制御し、バルブ640を閉状態に制御する。また、これ以外の場合は、流路制御部520は、バルブ610,630を閉状態に制御し、バルブ620,640を開状態に制御する。
【0027】
以下に、図1に示した超純水供給システムにおける超純水供給方法について説明する。図5は、図1に示した超純水供給システムにおける超純水供給方法の一例を説明するためのフローチャートである。ここでは、比較部510が第1の濃度と第2の濃度とを比較する場合の処理を例に挙げて説明する。まず、流通管210に処理ユニット110が取り付けられる(ステップS1)。その後、流路制御部520は、超純水製造設備100から供給される超純水が、流通管210および処理ユニット110を介して洗浄装置120へ流れるように、バルブ610,620,630,640の開閉を制御する(ステップS2)。このとき、流路制御部520は、超純水製造設備100から供給される超純水が、測定部420へも流れるように、バルブ610,620,630,640の開閉を制御する。具体的には、流路制御部520は、バルブ610,620,630を開状態とし、バルブ640を閉状態とする。続いて、超純水製造設備100が、超純水の供給を開始する(ステップS3)。その後、比較部510が、測定部410における測定結果(例えば、不純物の濃度または微粒子数)と測定部420における測定結果(不純物の濃度)とを比較する。比較部510は、比較の結果に基づいて、それぞれ測定された不純物の濃度が互いに等しいかどうかを流路制御部520が判定する(ステップS4)。測定部410,420それぞれで測定された不純物の濃度が互いに等しい場合、流路制御部520は、超純水製造設備100から供給される超純水が、流通管220を介して洗浄装置120へ流れるように、バルブ610,620,630,640の開閉を制御する(ステップS5)。具体的には、流路制御部520は、バルブ610,630を閉状態とし、バルブ620,640を開状態とする。
【0028】
流路制御部520が上述したようにバルブ610,620,630,640の開閉を制御することで、超純水製造設備100の立ち上げ直後等、超純水製造設備100から流れてくる超純水の不純物の濃度が規定値よりも高い場合、超純水製造設備100からの超純水を、処理ユニット110を通して洗浄装置120へ供給し、その後、超純水製造設備100から流れてくる超純水の不純物の濃度が規定値以下となった場合は、超純水製造設備100からの超純水を、処理ユニット110を通さずに洗浄装置120へ供給する。なお、超純水製造設備100からの超純水を処理ユニット110を通さずに洗浄装置120へ供給した後、再度、超純水製造設備100から流れてくる超純水に含まれる不純物の濃度が規定値よりも高くなった場合には、再度、超純水製造設備100からの超純水を処理ユニット110を通して洗浄装置120へ供給するようにしても良い。超純水製造設備100からの超純水を、処理ユニット110を通さずに洗浄装置120へ供給するように制御されているときは、処理ユニット110には超純水は流れない。そのため、処理ユニット110を流通管210から取り外すことができる。また、処理ユニット110を流通管210から取り外した場合、流路制御部520は、バルブ610,630を閉状態に制御し、バルブ620,640を開状態に制御しても良い。また、流路制御部520は、バルブ610,620,640を開状態に制御し、バルブ630を閉状態に制御しても良い。
【0029】
流路制御部520がバルブ610,620,630,640の開閉を制御するタイミングは、所望の流通管への超純水の流入および遮断を切り替えられるタイミングである。例えば、超純水を洗浄装置120へ流す経路を、流通管210から流通管220,240を通る経路へ切り替える場合、流路制御部520は、バルブ610,630を閉状態にするタイミングと同じタイミングで、バルブ620,640を開状態にする。この同じタイミングとは、互いに完全に一致するものが好ましい。この同じタイミングとは、互いに完全に一致するものでなくても、これらの互いのタイミングの差が所定の範囲にあるものであっても良い。バルブ610を閉状態にするタイミングとバルブ630を閉状態にするタイミングとについても同じである。バルブ620を開状態にするタイミングとバルブ640を開状態にするタイミングとについても同じである。例えば、流路制御部520は、バルブ610,630を閉状態に制御してから所定の時間内にバルブ620,640を開状態にするものであっても良い。
【0030】
なお、上述した水量制御部310,320と、バルブ610,620,630,640と、比較部510と、流路制御部520とで制御装置を構成する。
【0031】
以下に、図1に示した処理ユニット110の内部構成の例について説明する。図6は、図1に示した処理ユニット110の第1の内部構成例を示す図である。図6に示した例では、図1に示した処理ユニット110は、2つの除去部材1100,1101と、4つのバルブ1110~1113とを具備する。除去部材1100とバルブ1110,1111とが上流からバルブ1110、除去部材1100、バルブ1111の順で直列に接続された系列と、除去部材1101とバルブ1112,1113とが上流からバルブ1112、除去部材1101、バルブ1113の順で直列に接続された系列とが、互いに並列に接続されている。バルブ1110~1113は、流通管210から流入される超純水が2つの除去部材1100,1101のいずれか一方に流通するように制御される第6のバルブである。比較部510における第1の量と第2の量との比較の結果に基づいて、流路制御部520がバルブ1110~1113の開閉を制御する。このとき、第1の量が、第2の量よりも少ないが第2の量に近付いた場合(例えば、第1の量が第2の量から所定の値を差し引いた値になった場合)、超純水が流通する除去部材を他方の除去部材に切り替えるように流路制御部520がバルブ1110~1113の開閉を制御する。また、第2の量よりも少ない値を許容量としてあらかじめ設定しておき、第1の量が許容量となった場合、超純水が流通する除去部材を他方の除去部材に切り替えるように流路制御部520がバルブ1110~1113の開閉を制御しても良い。
【0032】
図7は、図1に示した処理ユニット110の第2の内部構成例を示す図である。図7に示した例では、図1に示した処理ユニット110は、3つの除去部材1120,1121,1122と、6つのバルブ1130~1135とを具備する。除去部材1120とバルブ1130,1131とが上流からバルブ1130、除去部材1120、バルブ1131の順で直列に接続された系列と、除去部材1121とバルブ1132,1133とが上流からバルブ1132、除去部材1121、バルブ1133の順で直列に接続された系列と、除去部材1122とバルブ1134,1135とが上流からバルブ1134、除去部材1122、バルブ1135の順で直列に接続された系列とが、互いに並列に接続されている。バルブ1130~1135は、流通管210から流入される超純水が3つの除去部材1120,1121,1122のいずれか1つに流通するように制御される第6のバルブである。比較部510における第1の量と第2の量との比較の結果に基づいて、流路制御部520がバルブ1130~1135の開閉を制御する。このとき、第1の量が、第2の量よりも少ないが第2の量に近付いた場合(例えば、第1の量が第2の量から所定の値を差し引いた値になった場合)、超純水が流通する除去部材を他の除去部材に切り替えるように流路制御部520がバルブ1130~1135の開閉を制御する。また、第2の量よりも少ない値を許容量としてあらかじめ設定しておき、第1の量が許容量となった場合、超純水が流通する除去部材を他の除去部材に切り替えるように流路制御部520がバルブ1130~1135の開閉を制御しても良い。
【0033】
図8は、図1に示した処理ユニット110の第3の内部構成例を示す図である。図8に示した例では、図1に示した処理ユニット110は、4つの除去部材1140,1141,1142,1143と、4つのバルブ1150~1153とを具備する。除去部材1140,1141とバルブ1150,1151とが上流からバルブ1150、除去部材1140、除去部材1141、バルブ1151の順で直列に接続された系列と、除去部材1142,1143とバルブ1152,1153とが上流からバルブ1152、除去部材1142、除去部材1143、バルブ1153の順で直列に接続された系列とが、互いに並列に接続されている。バルブ1150~1153は、流通管210から流入される超純水が2つの系列のいずれか一方に流通するように制御される第6のバルブである。比較部510における第1の量と第2の量との比較の結果に基づいて、流路制御部520がバルブ1150~1153の開閉を制御する。このとき、第1の量が、第2の量よりも少ないが第2の量に近付いた場合(例えば、第1の量が第2の量から所定の値を差し引いた値になった場合)、超純水が流通する系列を他方の系列に切り替えるように流路制御部520がバルブ1150~1153の開閉を制御する。また、第2の量よりも少ない値を許容量としてあらかじめ設定しておき、第1の量が許容量となった場合、超純水が流通する系列を他方の系列に切り替えるように流路制御部520がバルブ1150~1153の開閉を制御しても良い。また、除去部材1140と除去部材1141との間や、除去部材1142と除去部材1143との間にも、流路制御部520によって同様に制御されるバルブが設けられていても良い。
【0034】
このように、処理ユニット110が複数の除去部材を具備し、その除去部材が冗長構成を持つ。そして、除去部材を流通した超純水に含まれる不純物の量に応じて、流路制御部520が第6のバルブを用いて、超純水が流通する除去部材を切り替える。これにより、洗浄装置120への超純水の供給を連続して行うことができる。なお、処理ユニット110内にポンプを設け、そのポンプを用いて超純水を供給しても良い。ポンプの設置位置は、例えば、除去部材の前段である。処理ユニット110内の除去部材の具体的な冗長構成は、図6~8に示したものに限らない。また、上記説明は、本発明から1つの除去部材のみを具備する処理ユニット110を除外するものではない。なお、図6~8に示した除去部材1100,1101,1120~1122,1140~1143それぞれは、例えば、イオン交換体または精密ろ過膜(MF)や限外ろ過膜(UF)等であって、処理ユニット110に充填される部材として上述したものである。
【0035】
本形態においては、上述したように、超純水製造設備100の立ち上げ時には、超純水製造設備100からの超純水を処理ユニット110に通水してから洗浄装置120へ供給する。超純水製造設備100から処理ユニット110を介さずに洗浄装置120へ供給される流通管における超純水の不純物の量(濃度)と、処理ユニット110を介した超純水の不純物の量(濃度)との比較の結果に基づいて、洗浄装置120へ供給する超純水の経路を、処理ユニット110を介さないものへ切り替える。このような方法により、早期に超純水製造設備100の立上げができるとともに、処理ユニット110を構成するイオン交換フィルタの運用が最適化される。そのため、超純水を供給するシステムを効率的に利用することができる。
(第2の実施の形態)
【0036】
図9は、本発明の超純水供給システムの第2の実施の形態を示す図である。本形態における超純水供給システムは図9に示すように、処理ユニット110と、流通管210,220,230,240,250と、水量制御部310,320,330と、測定部410と、比較部510と、流路制御部521とを有する。処理ユニット110、流通管210,220,230,240、水量制御部310,320、測定部410,420および比較部510は、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0037】
流通管250は、測定部410が設置されているポイントと、流通管240と流通管210との合流点との間の第3の分岐部で、流通管210から分岐し、超純水を超純水製造設備100へ流す第5の流通管である。なお、流通管250は、流通管210からの超純水を排水槽・回収槽(不図示)へ流すためのものでも良い。水量制御部330は、第3の分岐部に設けられた第3の水量制御部である。
【0038】
図10は、図9に示した水量制御部330の内部構成の一例を示す図である。図9に示した水量制御部330は図10に示すように、バルブ650と、バルブ660とを有する。バルブ650は、流通管250へ流れる水量を調整する第5のバルブ(開閉弁)である。バルブ660は、洗浄装置120へ流れる水量を調整する第6のバルブ(開閉弁)である。例えば、処理ユニット110を流通管210から取り外した後、流通管210のブローを行うために、流路制御部521は、バルブ610,650を開状態に制御し、バルブ660を閉状態に制御する。こうすることで、処理ユニット110を取り外した後、超純水製造設備100からの超純水は、流通管210,220,240を介して洗浄装置120へ流れ、流通管210,250を介して超純水製造設備100へ戻る。また、流通管230のブローを行うために、流路制御部521は、バルブ620,630を開状態に制御する。なお、流路制御部521は、バルブ610,620,630,640,650,660の開閉状態を全開または全閉の状態に制御するだけではなく、流通管210,220,230,240,250それぞれに必要な水量の超純水が流れるように開閉状態を制御する。
【0039】
なお、上述した水量制御部310,320、330と、測定部410,420と、バルブ610,620,630,640,650,660と、比較部510と、流路制御部521とで制御装置を構成する。
【0040】
本形態においては、上述したように、超純水製造設備100の立ち上げ時には、超純水製造設備100からの超純水を処理ユニット110に通水してから洗浄装置120へ供給する。超純水製造設備100から処理ユニット110を介さずに洗浄装置120へ供給される流通管における超純水の不純物の量(濃度)と、処理ユニット110を介した超純水の不純物の量(濃度)との比較の結果に基づいて、洗浄装置120へ供給する超純水の経路を、処理ユニット110を介さないものへ切り替える。このような方法により、早期に超純水製造設備100の立上げができるとともに、処理ユニット110を構成するイオン交換体、精密ろ過膜(MF)、限外ろ過膜(UF)等の運用が最適化される。そのため、超純水を供給するシステムを効率的に利用することができる。さらに、流通管210を流れる超純水を回収槽または排水槽へ戻す流通管250を設ける。これにより、例えば、処理ユニット110を流通管210から取り外した場合に流通管210のブローを行うように超純水を流しておくことができる。そして、例えば、超純水製造設備100においてメンテナンスの実施や、超純水水質の悪化が生じた際に、処理ユニット110を流通管210に再び設置して、超純水製造設備100から供給された超純水を処理ユニット110が設置された流通管210を介して供給する。これにより、立上げ時間を短縮し、また洗浄装置120の運転を停止することなく、超純水を供給することができる。
【0041】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。また、各実施の形態を組み合わせたものであっても良い。また、バルブ610,620,630,640,650,660の開閉状態の制御は、上述したように流路制御部520,521が行うもののほか、システムを管理する管理者が行うものも考えられる。
【0042】
上述した測定部410,420、比較部510および流路制御部520,521が行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を、測定部410,420、比較部510および流路制御部520,521が具備された制御装置にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを制御装置に読み込ませ、実行するものであっても良い。制御装置にて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、Blu-ray(登録商標) Disc、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの移設可能な記録媒体の他、制御装置に内蔵されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリやHDD(Hard Disc Drive)等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、制御装置に設けられたCPUにて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作する。
【0043】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0044】
この出願は、2020年9月15日に出願された日本出願特願2020-154530を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10