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特許7440668光学材料としてのヒンダードアミン安定化UV活性有機パラジウム触媒ポリシクロオレフィン組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】光学材料としてのヒンダードアミン安定化UV活性有機パラジウム触媒ポリシクロオレフィン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 32/08 20060101AFI20240220BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C08F32/08
C08J5/18 CES
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022578891
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 US2021038800
(87)【国際公開番号】W WO2021262921
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】63/043,269
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】303043461
【氏名又は名称】プロメラス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100154449
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 征史
(72)【発明者】
【氏名】早川 瞬
(72)【発明者】
【氏名】デン, グオドン
(72)【発明者】
【氏名】ブルトヴィ, ルスラン
(72)【発明者】
【氏名】ラングスドルフ, リー
(72)【発明者】
【氏名】ローズ, ラリー エフ.
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-260916(JP,A)
【文献】特開2006-330117(JP,A)
【文献】特表2010-523766(JP,A)
【文献】国際公開第2018/155174(WO,A1)
【文献】特表2023-508493(JP,A)
【文献】特表2023-508492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00-246/00
C08F 4/00-4/58
C08F 4/72-4/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
a)式(V)で表される1つ以上のオレフィンモノマー
【化5】
ここで、
mは0、1または2の整数であり;
【化6】
は単一結合または二重結合であり;
13、R14、R15、およびR16は、同一または異なり、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル基またはハロヒドロカルビル基からなる群からそれぞれ独立して選択され、前記ヒドロカルビル基またはハロヒドロカルビル基は、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C16)アルキル、パーフルオロ(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、パーフルオロ(C-C10)アリール、パーフルオロ(C-C10)アリール(C-C)アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分枝の(C-C16)アルコキシ、エポキシ(C-C10)アルキル、エポキシ(C-C10)アルキルオキシ(C-C10)アルキル、エポキシ(C-C10)シクロアルキル、パーフルオロ(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C12)ビシクロアルコキシ、(C-C14)トリシクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ、(C-C10)アリール(C-C)アルコキシ、パーフルオロ(C-C10)アリールオキシ、パーフルオロ(C-C10)アリール(C-C)アルコキシ、
【化7】
から選択され、
ここで、Zは、O、CO、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、S、(CR1718、O(CR1718、(CR1718O、C(O)(CR1718、(CR1718C(O)、C(O)O(CR1718、(CR1718C(O)O、OC(O)(CR1718、(CR1718OC(O)、(CR1718OC(O)O、(CR1718OC(O)O(CR1718、OC(O)O(CR1718、S(CR1718、(CR1718S、(SiR1718、O(SiR1718、(SiR1718Oからなる群から選択され、
17およびR18は、同一または異なり、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルキル、置換もしくは未置換の(C-C14)アリール、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分枝の(C-C)アルキルオキシ、(C-C)アシル、(C-C)アシルオキシ、および置換もしくは未置換の(C-C14)アリールオキシからそれぞれ独立して選択され;および
bは1~12の整数であり;
Arylは、置換もしくは未置換のフェニル、置換もしくは未置換のビフェニル、置換もしくは未置換のナフチル、置換もしくは未置換のターフェニル、置換もしくは未置換のアントラセニル、置換もしくは未置換のフルオレニルからなる群から選択され、前記置換基は、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C)アルキル、パーフルオロ(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、パーフルオロ(C-C10)アリール、パーフルオロ(C-C10)アリール(C-C)アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分枝の(C-C16)アルコキシ、パーフルオロ(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ、(C-C10)アリール(C-C)アルコキシ、パーフルオロ(C-C10)アリールオキシ、およびパーフルオロ(C-C10)アリール(C-C)アルコキシからなる群から選択され;
kは1~12の整数であり;
23、R24、およびR25は、同一または異なり、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルキル、パーフルオロ(C-C12)アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、パーフルオロ(C-C10)アリール、およびパーフルオロ(C-C10)アリール(C-C)アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、あるいは、
23およびR24は、結合されている介在炭素原子と一緒になって置換もしくは未置換の(C-C14)環式、(C-C14)二環式、または(C-C14)三環式の環を形成し;Aryleneは、置換もしくは未置換の2価の(C-C14)アリーレンであり;または、
13およびR14のいずれか1つは、R15およびR16のいずれか1つと結合されている炭素原子と一緒になって置換もしくは未置換の(C-C14)環式、(C-C14)二環式、または(C-C14)三環式の環を形成する;
b)式(I)の化合物、式(IA)の化合物、および式(IB)の化合物からなる群から選択される有機パラジウム化合物:
【化1】
(ここで、
Lは、P(R)、P(OR)、O=P(R)、RCN、および置換もしくは未置換のピリジンからなる群から選択される配位子であり、Rは、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C16)アルキル、(C-C16)パーフルオロアルキル、(C-C10)シクロアルキル、(C-C10)アリール(C-C16)アルキル、および置換もしくは未置換の(C-C10)アリールからなる群から選択され、
それぞれのAは、独立して式(II)の二座モノアニオン配位子であり、
【化2】
ここで、
nは、0、1または2の整数であり、
XおよびYは、それぞれ独立してO、N、およびSから選択され;
、R、R、R、R、R、およびRは、同一または異なり、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C16)アルキル、(C-C16)パーフルオロアルキル、(C-C10)シクロアルキル、(C-C10)アリール(C-C16)アルキル、および置換もしくは未置換の(C-C10)アリールからなる群から選択され、
XまたはYのうちの1つがOまたはSの場合、RおよびRはそれぞれ存在しない);
c)下記からなる群から選択される光酸発生剤:
【化3】
(ここで、
aは0~5の整数であり;
Anは、Cl、Br、I、BF 、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、テトラキス(2-フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3-フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(4-フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,5-ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレート、メチルトリス(パーフルオロフェニル)ボレート、エチルトリス(パーフルオロフェニル)ボレート、フェニルトリス(パーフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(1,2,2-トリフルオロエチレニル)ボレート、テトラキス(4-トリ-1-プロピルシリルテトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(4-ジメチル-tert-ブチルシリルテトラフルオロフェニル)ボレート、(トリフェニルシロキシ)トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(オクチルオキシ)トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス[3,5-ビス[1-メトキシ-2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]フェニル]ボレート、テトラキス[3-[1-メトキシ-2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、およびテトラキス[3-[2,2,2-トリフルオロ-1-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1-(トリフルオロメチル)-エチル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、PF 、SbF 、n-CSO 、CFSO 、およびp-CH(C)-SO からなる群から選択され;
、R、R10、R11、およびR12は、同一または異なり、それぞれ独立してハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C20)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C12)ビシクロアルコキシ、(C-C14)トリシクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ(C-C)アルキル、(C-C10)アリールオキシ、(C-C10)チオアリール、(C-C)アルカノイル(C-C10)チオアリール、(C-C)アルコキシ(C-C10)アロイル(C-C)アルキル、および(C-C10)チオアリール-(C-C10)ジアリールスルホニウム塩からなる群から選択される);
d)下記からなる群から選択される化合物:
【化4-1】
【化4-2】
および
e)感光剤
を含む、組成物。
【請求項2】
前記組成物は、2種の互いに異なる式(V)のモノマーを1:99~99:1のモル比で含み、100センチポアズ未満の粘度を有する透明な液体状態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、適切な化学放射線で露光されると、実質的に透明なフィルムを形成し、前記実質的に透明なフィルムは、厚みが10~20μmである場合に可視光線の90%以上の透過率を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記二座モノアニオン配位子は、
【化8-1】
【化8-2】
からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記式(X)の化合物は、
【化9】
からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記式(XI)の化合物、前記式(XII)の化合物、前記式(XIII)の化合物、または前記式(XV)の化合物は、
【化10】
2,6-ジ-tert-ブチルピリジン(DBP);
4-メチル-2,6-ジ-tert-ブチルピリジン;
4-ジメチルアミノピリジン(DMAP);および
3-ブロモピリジン(BP)
からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
式(VI)のモノマーまたは式(VII)のモノマーから選択される1種以上のモノマーをさらに含み、
前記式(VI)のモノマーは、
【化11】
であり、ここで、
oは0~2の整数であり;
Dは、SiR293031、または
-(CH-O-SiR293031 (E);
-(CH-SiR293031 (F);および
-(SiR2930-O-SiR293031 (G)
から選択される基であり、
cは1~10の整数であり、1つ以上のCHは、(C-C10)アルキルまたは(C-C10)パーフルオロアルキルで置換されてもよく;
26、R27、およびR28は、同一または異なり、水素、ハロゲン、およびヒドロカルビルからそれぞれ独立して選択され、前記ヒドロカルビルは、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C12)ビシクロアルコキシ、(C-C14)トリシクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ(C-C)アルキルまたは(C-C10)アリールオキシから選択され;
29、R30、およびR31は、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C)アルキル、置換もしくは未置換の(C-C14)アリール、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分枝の(C-C)アルコキシまたは置換もしくは未置換の(C-C14)アリールオキシからそれぞれ独立して選択され;
前記式(VII)のモノマーは、
【化12】
であり、ここで、
は、置換もしくは未置換の(C-C12)アルキレン、-(CHO(CHおよび-(CH(SiR3839)(OSiR4041(CH -(ここで、d、e、およびfはそれぞれ独立して0~6の整数であり、R38、R39、R40、およびR41は、同一または異なり、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルキルからそれぞれ独立して選択される。)および、次から選択されるアリーレン、からなる群から選択され
【化13】
32、R33、R34、R35、R36、およびR37は、同一または異なり、水素、ハロゲン、およびヒドロカルビルからそれぞれ独立して選択され、前記ヒドロカルビルは、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C12)ビシクロアルコキシ、(C-C14)トリシクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ(C-C)アルキルまたは(C-C10)アリールオキシから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記式(V)のモノマーは、
【化14-1】
【化14-2】
【化14-3】
【化14-4】
【化14-5】
【化14-6】
【化14-7】
からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記式(VI)のモノマーまたは前記式(VII)のモノマーは、
【化15-1】
【化15-2】
【化15-3】
からなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記式(I)の有機パラジウム化合物または前記式(IA)の有機パラジウム化合物または前記式(IB)の有機パラジウム化合物は、
【化16-1】
【化16-2】
からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記式(III)の化合物または前記式(IV)の化合物は、
【化17-1】
【化17-2】
【化17-3】
【化17-4】
からそれぞれ選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記感光剤は、
式(VIII)の化合物または式(IX)の化合物であり:
【化18】
ここで、
44、R45、およびR46は、同一または異なり、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NO、NH、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C12)ビシクロアルコキシ、(C-C14)トリシクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ(C-C)アルキル、(C-C10)アリールオキシ、C(O)(C-C)アルキル、COOH、C(O)O(C-C)アルキル、SO(C-C10)アリールからなる群からそれぞれ独立して選択され;
47およびR48は、同一または異なり、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、および(C-C10)アリール(C-C)アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記式(VIII)の化合物または前記式(IX)の化合物は、
【化19-1】
【化19-2】
【化19-3】
からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)パラジウム(II)(Pd472)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、1,8-ビス(ジメチルアミノ)-ナフタレン、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)パラジウム(II)(Pd472)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、1,8-ビス(ジメチルアミノ)-ナフタレン、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、1,8-ビス(ジメチルアミノ)-ナフタレン、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、1,8-ビス(ジメチルアミノ)-ナフタレン、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)パラジウム(II)(Pd472)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(クリプタンド222)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(クリプタンド222)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン(DBP)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、3-ブロモピリジン(BP)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート(HALS-1)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PhNB)、5-ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(HexNB)、パラジウム(ヘキサフルオロアセチルアセトネート) トリ-イソプロピルホスフィン(Pd680)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート(HALS-1)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン(DBP)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート(HALS-1)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)ピペリジン-4-イル)セバケート(HALS-2)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-ヘキサデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(HexadecylNB)、5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)ピペリジン-4-イル)セバケート(HALS-2)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);および
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)、パラジウム(ヘキサフルオロアセチルアセトネート) トリ-イソプロピルホスフィン(Pd680)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)ピペリジン-4-イル)セバケート(HALS-2)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
実質的に透明なフィルムを形成するキットであって、ここで、前記実質的に透明なフィルムは、厚みが10~20μmである場合に可視光線の90%以上の透過率を有するフィルムであり、前記キットは、
a)前記式(V)の1つ以上のオレフィンモノマー:
【化20】
ここで、
mは0、1または2の整数であり;
【化21】
は単一結合または二重結合であり;
13、R14、R15、およびR16は、同一または異なり、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル基またはハロヒドロカルビル基からなる群からそれぞれ独立して選択され、前記ヒドロカルビル基またはハロヒドロカルビル基は、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C16)アルキル、パーフルオロ(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、パーフルオロ(C-C10)アリール、パーフルオロ(C-C10)アリール(C-C)アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分枝の(C-C16)アルコキシ、エポキシ(C-C10)アルキル、エポキシ(C-C10)アルキルオキシ(C-C10)アルキル、エポキシ(C-C10)シクロアルキル、パーフルオロ(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C12)ビシクロアルコキシ、(C-C14)トリシクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ、(C-C10)アリール(C-C)アルコキシ、パーフルオロ(C-C10)アリールオキシ、パーフルオロ(C-C10)アリール(C-C)アルコキシ、
【化22】
から選択され、
ここで、Zは、O、CO、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、S、(CR1718、O(CR1718、(CR1718O、C(O)(CR1718、(CR1718C(O)、C(O)O(CR1718、(CR1718C(O)O、OC(O)(CR1718、(CR1718OC(O)、(CR1718OC(O)O、(CR1718OC(O)O(CR1718、OC(O)O(CR1718、S(CR1718、(CR1718S、(SiR1718、O(SiR1718、(SiR1718Oからなる群から選択され、
17およびR18は、同一または異なり、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルキル、置換もしくは未置換の(C-C14)アリール、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分枝の(C-C)アルキルオキシ、(C-C)アシル、(C-C)アシルオキシ、および置換もしくは未置換の(C-C14)アリールオキシからそれぞれ独立して選択され;および
bは1~12の整数であり;
Arylは、置換もしくは未置換のフェニル、置換もしくは未置換のビフェニル、置換もしくは未置換のナフチル、置換もしくは未置換のターフェニル、置換もしくは未置換のアントラセニル、置換もしくは未置換のフルオレニルからなる群から選択され、前記置換基は、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C)アルキル、パーフルオロ(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、パーフルオロ(C-C10)アリール、パーフルオロ(C-C10)アリール(C-C)アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分枝の(C-C16)アルコキシ、パーフルオロ(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ、(C-C10)アリール(C-C)アルコキシ、パーフルオロ(C-C10)アリールオキシ、およびパーフルオロ(C-C10)アリール(C-C)アルコキシからなる群から選択され;
kは1~12の整数であり;
23、R24、およびR25は、同一または異なり、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルキル、パーフルオロ(C-C12)アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、パーフルオロ(C-C10)アリール、およびパーフルオロ(C-C10)アリール(C-C)アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、あるいは、
23およびR24は、結合されている介在炭素原子と一緒になって置換もしくは未置換の(C-C14)環式、(C-C14)二環式、または(C-C14)三環式の環を形成し;Aryleneは、置換もしくは未置換の2価の(C-C14)アリーレンであり;または、
13およびR14のいずれか1つは、R15およびR16のいずれか1つと結合されている炭素原子と一緒になって置換もしくは未置換の(C-C14)環式、(C-C14)二環式、または(C-C14)三環式の環を形成する);
b)式(I)の化合物、式(IA)の化合物、および式(IB)の化合物からなる群から選択される有機パラジウム化合物:
【化23】
(ここで、
Lは、P(R)、P(OR)、O=P(R)、RCN、および置換もしくは未置換のピリジンからなる群から選択される配位子であり、Rは、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C16)アルキル、(C-C16)パーフルオロアルキル、(C-C10)シクロアルキル、(C-C10)アリール(C-C16)アルキル、および置換もしくは未置換の(C-C10)アリールからなる群から選択され、
それぞれのAは、独立して式(II)の二座モノアニオン配位子であり、
【化24】
ここで、
nは、0、1または2の整数であり、
XおよびYは、それぞれ独立してO、N、およびSから選択され;
、R、R、R、R、R、およびRは、同一または異なり、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C16)アルキル、(C-C10)シクロアルキル、(C-C10)アリール(C-C16)アルキル、および置換もしくは未置換の(C-C10)アリールからなる群から選択され、
XまたはYのうちの1つがOまたはSの場合、RおよびRはそれぞれ存在しない);
c)下記からなる群から選択される光酸発生剤:
【化25】
(ここで、
aは0~5の整数であり;
Anは、Cl、Br、I、BF 、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、テトラキス(2-フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3-フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(4-フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,5-ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレート、メチルトリス(パーフルオロフェニル)ボレート、エチルトリス(パーフルオロフェニル)ボレート、フェニルトリス(パーフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(1,2,2-トリフルオロエチレニル)ボレート、テトラキス(4-トリ-1-プロピルシリルテトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(4-ジメチル-tert-ブチルシリルテトラフルオロフェニル)ボレート、(トリフェニルシロキシ)トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(オクチルオキシ)トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス[3,5-ビス[1-メトキシ-2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]フェニル]ボレート、テトラキス[3-[1-メトキシ-2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、およびテトラキス[3-[2,2,2-トリフルオロ-1-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1-(トリフルオロメチル)-エチル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、PF 、SbF 、n-CSO 、CFSO 、およびp-CH(C)-SO からなる群から選択され;
、R、R10、R11、およびR12は、同一または異なり、それぞれ独立してハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C20)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C12)ビシクロアルコキシ、(C-C14)トリシクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ(C-C)アルキル、(C-C10)アリールオキシ、(C-C10)チオアリール、(C-C)アルカノイル(C-C10)チオアリール、(C-C)アルコキシ(C-C10)アロイル(C-C)アルキル、および(C-C10)チオアリール-(C-C10)ジアリールスルホニウム塩からなる群から選択される);
d)下記からなる群から選択される化合物:
【化26-1】
【化26-2】
および
e)感光剤
を含む、キット。
【請求項16】
少なくとも2種の異なる式(V)の第1モノマーと第2モノマーとを含み、前記第1モノマーは、前記第2モノマーに完全に溶解されている、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)パラジウム(II)(Pd472)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、1,8-ビス(ジメチルアミノ)-ナフタレン、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)パラジウム(II)(Pd472)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、1,8-ビス(ジメチルアミノ)-ナフタレン、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、1,8-ビス(ジメチルアミノ)-ナフタレン、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、1,8-ビス(ジメチルアミノ)-ナフタレン、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)パラジウム(II)(Pd472)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(クリプタンド222)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(クリプタンド222)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン(DBP)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、3-ブロモピリジン(BP)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート(HALS-1)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PhNB)、5-ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(HexNB)、パラジウム(ヘキサフルオロアセチルアセトネート) トリ-イソプロピルホスフィン(Pd680)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート(HALS-1)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン(DBP)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート(HALS-1)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)ピペリジン-4-イル)セバケート(HALS-2)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-ヘキサデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(HexadecylNB)、5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)ピペリジン-4-イル)セバケート(HALS-2)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);および
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)、パラジウム(ヘキサフルオロアセチルアセトネート) トリ-イソプロピルホスフィン(Pd680)、ヨードニウム、ジフェニル-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)ピペリジン-4-イル)セバケート(HALS-2)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
からなる群から選択される、請求項15に記載のキット。
【請求項18】
請求項1に記載の組成物を含むフィルム。
【請求項19】
請求項1に記載の組成物を含む光電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互引用
本願は、2020年6月24日に出願され、本願に組み込まれた米国仮出願第63/043,269号の権利を主張している。
【0002】
本発明の実施態様は、通常、保存寿命が長く、安定した単一成分の塊重合性ポリシクロオレフィンモノマー組成物であって、優れた光透過性と適切な屈折率を有する組成物に関する。上記組成物の屈折率は、光学デバイスの中でも特に光学センサ、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)の層が有する屈折率と一致する。より具体的には、本発明は単一成分の組成物であり、ノルボルネン(NB)系オレフィンモノマーを含み、室温~約60℃の温度下で非常に安定的であり、有機パラジウム触媒の存在下で適合の放射線に露光させた場合にのみビニル付加塊重合を起こして光電子分野でカプセル化剤、コーティング、充填剤を含む様々な用途で使用される光学層を形成する組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
有機発光ダイオード(OLED)は、多様な用途、中でも特に平面TVをはじめとするフレキシブルディスプレイにおいて重要な位置を占める。しかしながら、既存のOLED、特に下部発光型OLEDは、生成された光子の約半分のみがガラス基板に入射し、そのうちの25%が大気中に放出されるというデメリットがある。光子の残りの半分は導波してOLEDスタックの内部で消散する。このような光子損失は、主に有機層(n=1.7~1.9)とガラス基板(n=1.5)の屈折率(n)が一致しないことに起因する。基板と有機層の屈折率(n=1.8)を一致させ、カソードまでの発光区域の距離を増やしてプラズモン損失を抑制すると、基板に入射する光子を80~90%に増やすことができる。一例として、G.Gaertner et al., Proc.Of SPIE, Vol.6999, 69992T pp1-12(2008)を参照されたい。
【0004】
また、OLEDは別の課題に直面している。OLEDを有機材料で構成する場合、一般的に湿気、酸素、温度、およびそれ以外の気候条件に非常に敏感になる。したがって、OLEDをこのような過酷な気候条件から保護することが重要となる。一例として、米国公開特許第2012/0009393号を参照されたい。
【0005】
当該分野が直面する問題をある程度解決するために、米国登録特許第8,263,235号は、有機発光材料と、芳香環を有さない脂肪族化合物の少なくとも1つから形成され、放出光の屈折率は1.4~1.6である発光層を使用する方法を開示している。該特許が記載する脂肪族化合物は、一般的にポリアルキルエーテル類などであり、該物質が高温で不安定であることは周知の事実である。一例として、Rodriguez et al.,I&EC Product Research and Development、Vol.1,No.3,206-210(1962)を参照されたい。
【0006】
米国登録特許第9,944,818号および第10,266,720号は、所望の屈折率に調整することができ、充填剤および保護コーティング材として適しており、各種のOLEDデバイスの製造に使用可能な2成分の塊重合性組成物を開示している。
【0007】
米国登録特許第10,626,198号は、熱で活性化し、所望の屈折率に調整することができ、充填剤および保護コーティング材として適しており、各種のOLEDデバイスの製造に使用可能な単一成分ビニル付加塊重合性組成物を開示している。
しかしながら、大気条件と各種のデバイスの温度条件など様々な温度環境で安定であり、大気温度または適合な上昇温度で適合な化学放射線で露光した場合にのみ急速な塊重合を起こす有機充填材料に対する需要は依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、当該分野が直面する問題点を克服することができる有機材料を提供することである。より具体的には、本発明の目的は、OLEDデバイスの製造条件下で適切な化学放射線で露光すると塊重合可能で、大気温度条件~最大60℃の高温で保管した際に安定性を保持する単一成分組成物を提供することである。本発明の他の目的は、安定した単一成分の塊重合性組成物であり、通常の保管条件あるいはそれ以下の条件において粘度変化を示さず、例えば、適切な化学放射線で露光した場合にのみ塊重合を起こす組成物を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、3D印刷、インクジェットコーティング、封止材などその他の様々な用途に有用な単一成分組成物を提供することである。
【0010】
本発明のその他の目的および用途の範囲に関しては、下記の詳細な説明で後述する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者らは、少量の特定のヒンダードアミン誘導体とその他の安定化化合物を含む単一成分組成物を採用することで、室温~最大60℃で該組成物を数日間安定化させることが可能になる一方、透明光学層としてこれまであまり得られにくかった性質、すなわち高い無色光透過性、通常10~20μmの範囲であるが、用途に応じて適合に調節することができるフィルム厚さ、OLEDスタック、特にカソード層(OLEDスタックの最上にある極薄層)との互換性、OLEDスタック上の剤形(formulation)重合との互換性(速い重合時間、大気製造条件における光分解処理の可否を含む)、OLEDスタックおよびガラスカバーに対する粘着性などの性質を有する各種のデバイス、例えば透明光学層を有するOLEDデバイスの製造に採択することができることを見出した。さらに、本発明の組成物は、一般に、低い粘度を求めるOLED層全般での均一な平滑化(leveling)効果を期待することができる。さらに、本発明の組成物は、剛性(rigid)のポリシクロオレフィン構造を含んでいるため、収縮率が非常に低い可能性が高い。また、本発明が開示する成分で高速塊状重合を実施すると、OLEDスタックに損傷を与え得る浮遊小分子(fugitive small molecules)を残さない。一般には、追加的な効果を得るために、その他の小分子添加剤を投入する必要がない。最も重要なことは、本発明の組成物は、大気条件(ambient atmospheric conditions)において、例えば数日から数週間、最大60℃の温度に露出する条件下で安定性を維持し(すなわち、粘度の変化がない)、適切な化学放射線で露光した場合にのみ塊重合を起こすということである。該組成物は、適切な化学放射線で露光すると、非常に速くビニル付加塊重合を起こして、数分以内に、例えば1~10分以内に、より一般的には1時間以内に固体オブジェクトとなる。
【発明の効果】
【0012】
したがって、本発明は、a)1つ以上のオレフィンモノマー、b)本願に記載の式(I)、(IA)または(IB)の有機パラジウム化合物、c)本願に記載の光酸発生剤、d)本願に記載の式(X)または(XV)の添加剤、e)感光剤を含む単一成分組成物を提供する。
本発明の他の態様では、本発明の組成物を含む3次元オブジェクト、例えば透明なフィルム形成用キットを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で使用される用語は、以下の意味を有する。
【0014】
冠詞「a」、「an」、「the」を使用した場合、明示的に1つの対象に限定されない限り、複数の対象までを含むものとみなす。
【0015】
本明細書および明細書に添付された特許請求の範囲に記載される成分、反応条件などの量を示す数字、数値および/または式は、その数字、数値および/または式を得るために実施された測定の不確定要素を反映しているので、別途の記載がない限り、すべて「約(about)」という表現を含むものとみなす。
【0016】
本明細書に数字の範囲が開示される場合、上記範囲は連続的であり、その範囲の最大値と最小値、さらに上記最大値と最小値との間のすべての値を含むものとみなす。上記範囲が整数を指す場合、範囲の最大値と最小値との間のすべての整数を含む。さらに、特徴または特性を説明する目的で複数の範囲を提示する場合、上記複数の範囲を組み合わせることも可能である。言い換えると、別途の指示がない限り、本明細書が開示するすべての範囲は、その範囲が含むすべての下位範囲を包含する。例えば、「1~10」という範囲を提示した場合、その範囲は、最小値の1から最大値の10までのすべての下位範囲を含むものとみなすべきである。1から10までの下位範囲の例としては、1~6.1、3.5~7.8、5.5~10などが挙げられるが、これに限定されない。
【0017】
本明細書における記号
【化1】
は、示された基の構造により、他の繰り返し単位、あるいは他の原子、分子、基、部分とともに結合を形成する位置を指す。
【0018】
本明細書における「ヒドロカルビル」は、炭素および水素原子を含む基を指し、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、アルケニルなどが挙げられるが、これに限定されない。「ハロヒドロカルビル」は、少なくとも1つの水素がハロゲンで置換されたヒドロカルビル基を示す。「パーハロカルビル」は、すべての水素がハロゲンで置換されたヒドロカルビル基である。
【0019】
本明細書における「(C-C)アルキル」は、メチル基およびエチル基、さらに、直鎖もしくは分枝のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基を含む。特にアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチルなどをいう。「(C-C)アルコキシ」、「(C-C)チオアルキル」、「(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル」、「ヒドロキシ(C-C)アルキル」、「(C-C)アルキルカルボニル」、「(C-C)アルコキシカルボニル(C-C)アルキル」、「(C-C)アルコキシカルボニル」、「ジフェニル(C-C)アルキル」、「フェニル(C-C)アルキル」、「フェニルカルボキシ(C-C)アルキル」、「フェノキシ(C-C)アルキル」などの派生表現も同様に解釈されるべきである。
本明細書における「シクロアルキル」は、周知の環状基をすべて含む。「シクロアルキル」の代表例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられるが、これに限定されない。「シクロアルコキシ」、「シクロアルキルアルキル」、「シクロアルキルアリール」、「シクロアルキルカルボニル」などの派生表現も同様に解釈されるべきである。
【0020】
本明細書における「(C-C)パーフルオロアルキル」は、該アルキル基中のすべての水素原子がフッ素原子で置換されたものをいう。例示としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、直鎖もしくは分枝のヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基などが挙げられる。「(C-C)パーフルオロアルコキシ」のような派生表現も同様に解釈されるべきである。さらに、本明細書に記載の一部のアルキル基、例えば「(C-C)アルキル」は、部分的にフッ素化されてもよい。すなわち、該アルキル基中の水素原子の一部のみがフッ素原子で置換されてもよいとの意味で、派生表現も同様に解釈されるべきである。
【0021】
本明細書における「(C-C10)アリール」は、置換もしくは未置換のフェニルまたはナフチルを示す。置換フェニルまたは置換ナフチルの具体的な例としては、o-、p-、m-トリル、1,2-、1,3-、1,4-シリル、1-メチルナフチル、2-メチルナフチルなどが挙げられる。また「置換フェニル」または「置換ナフチル」は、本明細書で定義され、または当該分野で周知のものから可能な置換基をすべて含むこととみなす。
【0022】
本明細書における「(C-C10)アリール(C-C)アルキル」は、本明細書で定義される(C-C10)アリールが本明細書で定義される(C-C)アルキルに結合しているものを示す。代表的な例としては、ベンジル、フェニルエチル、2-フェニルプロピル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチルなどが挙げられる。
【0023】
「ハロゲン」または「ハロ」は、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨウ素を意味する。
【0024】
広い意味で、「置換(substituted)」は、有機化合物の許容可能な置換基をすべて含むものと解釈できる。本明細書に開示された一部の特定の実施態様において、「置換」は、(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、(C-C)パーフルオロアルキル、フェニル、ヒドロキシ、-COH、エステル、アミド、(C-C)アルコキシ、(C-C)チオアルキル、(C-C)パーフルオロアルコキシからなる群から独立して選択された1つ以上の置換基で置換することをいう。しかしながら、この実施態様では当業者に知られている適切なその他の置換基を使用してもよい。
【0025】
本文、スキーム、実施例、表において、原子が原子価(valence)を満たさない場合、該原子価を満たす適切な数字の水素原子を有するものとみなすこととする。
【0026】
本明細書において、「由来(derived)」は、重合体の繰り返し単位を、例えば式(V)~(VII)による多環ノルボルネン型のモノマーから重合(形成)することを意味する。この場合、結果として得られた重合体は、以下のようにノルボルネン型のモノマーの2,3二重結合で形成される。
【化2】
【0027】
したがって、本発明の実施によると、単一成分組成物において、
組成物であって、
a)1つ以上のオレフィンモノマー;
b)式(I)の化合物、式(IA)の化合物、および式(IB)の化合物からなる群から選択される有機パラジウム化合物:
【化3】
ここで、
Lは、P(R)、P(OR)、O=P(R)、RCN、および置換もしくは未置換のピリジンからなる群から選択される配位子であり、Rは、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C16)アルキル、(C-C16)パーフルオロアルキル、(C-C10)シクロアルキル、(C-C10)アリール(C-C16)アルキル、および置換もしくは未置換の(C-C10)アリールからなる群から選択され、
それぞれのAは、独立して式(II)の二座モノアニオン配位子であり、
【化4】
ここで、
nは、0、1または2の整数であり、
XおよびYは、それぞれ独立してO、N、およびSから選択され;
、R、R、R、R、R、およびRは、同一または異なり、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C16)アルキル、(C-C16)パーフルオロアルキル、(C-C10)シクロアルキル、(C-C10)アリール(C-C16)アルキル、および置換もしくは未置換の(C-C10)アリールからなる群から選択され、
XまたはYのうちの1つがOまたはSの場合、RおよびRはそれぞれ存在しない);
c)下記からなる群から選択される光酸発生剤:
【化5】
(ここで、
aは0~5の整数であり;
Anは、Cl、Br、I、BF 、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、テトラキス(2-フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3-フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(4-フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,5-ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレート、メチルトリス(パーフルオロフェニル)ボレート、エチルトリス(パーフルオロフェニル)ボレート、フェニルトリス(パーフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(1,2,2-トリフルオロエチレニル)ボレート、テトラキス(4-トリ-1-プロピルシリルテトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(4-ジメチル-tert-ブチルシリルテトラフルオロフェニル)ボレート、(トリフェニルシロキシ)トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(オクチルオキシ)トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス[3,5-ビス[1-メトキシ-2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]フェニル]ボレート、テトラキス[3-[1-メトキシ-2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、およびテトラキス[3-[2,2,2-トリフルオロ-1-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1-(トリフルオロメチル)-エチル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、PF 、SbF 、n-CSO 、CFSO 、およびp-CH(C)-SO からなる群から選択され;
、R、R10、R11、およびR12は、同一または異なり、それぞれ独立してハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C20)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C12)ビシクロアルコキシ、(C-C14)トリシクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ(C-C)アルキル、(C-C10)アリールオキシ、(C-C10)チオアリール、(C-C)アルカノイル(C-C10)チオアリール、(C-C)アルコキシ(C-C10)アロイル(C-C)アルキル、および(C-C10)チオアリール-(C-C10)ジアリールスルホニウム塩からなる群から選択される);
d)下記からなる群から選択される化合物:
【化6-1】
【化6-2】
および
e)感光剤
を含む、組成物を提供する。
【0028】
式(IA)または(IB)で表される有機パラジウム化合物の配位子Lは、一般的にパラジウムに配位結合されたルイス塩基である。すなわち、ルイス塩基は非結合電子をすべて共有する方法でパラジウムと結合する。したがって、そのように機能する当該技術分野で周知のルイス塩基であれば、すべてこの目的に使用できる。発明者らは、下記に詳述する重合条件下で容易に解離可能なルイス塩基を使用することで、一般的に重合触媒、すなわち開始剤としてより適切な式(IA)または(IB)の化合物を提供することができることを見出した。したがって、本発明の一態様において、ルイス塩基(LB)を慎重に選択することで、本発明の化合物における触媒活性を調整することができる。
【0029】
適切なLBとしては、アルキルニトリル、アリールニトリル、またはアラルキルニトリルを含む置換および未置換のニトリル;置換および未置換のトリアルキルホスフィンオキシド、トリアリールホスフィンオキシド、トリアリールアルキルホスフィンオキシド、アルキル、アリールおよびアラルキルホスフィンオキシドの各種の組み合わせを含むホスフィンオキシド;置換および未置換のピラジン;置換および未置換のピリジン;置換および未置換のトリアルキルホスファイト、トリアリールホスファイト、トリアリルアルキルホスファイト、アルキル、アリールおよびアラルキルホスファイトの各種の組み合わせを含むホスファイト;置換および未置換のトリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、トリアリールアルキルホスフィン、アルキル、アリールおよびアラルキルホスフィンの各種の組み合わせを含むホスフィンなどを使用することができるが、これに限定されない。その他の使用可能なLBとしては、各種のエーテル、アルコール、ケトン、アミンおよびアニリン、アルシン、スチビンなどを含む。
【0030】
本願で使用されるルイス塩基の一部は、本明細書に記載の組成物の安定化剤としても作用することができる。したがって、一実施態様で使用されるルイス塩基は、本発明の組成物の安定化剤としてだけでなく、触媒の配位子としても機能する。本明細書に記載のように適切な量のルイス塩基(すなわち、L)を慎重に選択すると、本発明の組成物を安定化することはもちろん、後述するように適切な化学放射線に露出されるときにのみ触媒を活性化することが可能になる。
【0031】
本発明の一実施態様において、LBは、アセトニトリル、プロピオニトリル、n-ブチロニトリル、tert-ブチロニトリル、ベンゾニトリル(CCN)、2,4,6-トリメチルベンゾニトリル、フェニルアセトニトリル(CCHCN)、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジン、2,3-ジメチルピリジン、2,4-ジメチルピリジン、2,5-ジメチルピリジン、2,6-ジメチルピリジン、3,4-ジメチルピリジン、3,5-ジメチルピリジン、2,6-ジ-t-ブチルピリジン、2,4-ジ-t-ブチルピリジン、2-メトキシピリジン、3-メトキシピリジン、4-メトキシピリジン、ピラジン、2,3,5,6-テトラメチルピラジン、ジエチルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジベンジルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ベンゾフェノン、トリフェニルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフェート、または式PRのホスフィンまたはホスファイトから選択され、ここで、Rはメチル、エチル、(C-C)アルキル、置換および未置換の(C-C)シクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アラルキル、メトキシ、エトキシ、(C-C)アルコキシ、置換および未置換の(C-C)シクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシまたは(C-C10)アリールアルコキシから独立して選択される。PRの代表的な例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ-n-プロピルホスフィン、トリ-イソ-プロピルホスフィン、トリ-n-ブチルホスフィン、トリ-イソ-ブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリアリルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフルオロエチルホスファイト、トリ-n-プロピルホスファイト、トリ-イソ-プロピルホスファイト、トリ-n-ブチルホスファイト、トリ-イソ-ブチルホスファイト、トリ-tert-ブチルホスファイト、トリシクロペンチルホスファイト、トリアリルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、トリフェニルホスファイトが挙げられるが、これに限定されない。ただし、意図した活性を起こすことができる限り、その他の公知のLBも本発明の実施態様で使用することができる。
【0032】
驚くべきことに、式(X)~(XV)の添加剤の1種以上を少量添加することにより、本発明の組成物を安定化することができることも見出された。一般的に、組成物の保存寿命安定性は、式(X)~(XV)の添加剤を使用することにより0日~数日まで延長することができる。任意の添加剤を0.1モル部使用したところ、光酸発生剤を2~4モル部使用した場合に比べて室温で本発明の組成物の安定性を7~14日程度改善することができた。組成物の安定性がなぜ向上するかは明確ではないが、式(X)~(XV)の添加剤の1種以上を使用することで光酸発生剤を安定化することも可能であると推測される。さらに、式(X)~(XV)の添加剤は光酸発生剤が放出する任意の酸を中和して本願で使用されるオレフィンモノマーの早期重合を防止すると推定される。
【0033】
式(X)~(XV)の添加剤の量は、採択する添加剤の類型によって変わるので、本発明の組成物に使用される特定の添加剤によって量も変わる。また、式(X)~(XV)の同じ類型の添加剤の1種以上、または式(X)~(XV)の添加剤の1種以上の混合物を含む添加剤の混合物を使用してもよい。添加剤の一部は該当該技術分野で周知の物質であり、市中で容易に入手可能である。例えば、式(XII)および(XIII)の添加剤は、現在市販されているものである。例えば、式(XII)の化合物と式(XIII)の化合物の混合物は、TINUVIN(登録商標)292という製品名で市販されており、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケートとメチル1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イルセバケートの混合物に該当する。式(XI)の化合物の1,8-ビス(ジメチルアミノ)-ナフタリンは、製品名PROTON SPONGE(登録商標)として市販されている。同様に、本明細書に記載のその他の様々な式(X)~(XV)の化合物が市販されており、一般的に光安定化剤、特に紫外(UV)線光安定化剤として使用されている。具体的には、式(X)~(XV)の化合物は、露光されると、酸素と結合してUV保護剤として作用して、安定したニトロキシドラジカルを形成する。したがって、式(X)~(XV)の化合物は、本発明の組成物にさらなる利点を提供する。
【0034】
したがって、一実施態様において、本発明の組成物は、安定性を向上させて室温での保存寿命安定性を1週間から2週間以上に延長する式(X)の化合物の1種以上を含む。式(X)の化合物は一般にクリプタンドとして知られており、本発明の組成物の添加剤として適した各種のクリプタンドを以下に提示する。式(X)の化合物の量は、光酸発生剤の量が2~4モル部のとき、0.05モル部から0.5モル部の間である。その他の一実施態様において、式(X)の化合物の量は、光酸発生剤の量が2~4モル部のとき、0.5モル部を超えてもよく、例えば、1モル部であってもよい。
【0035】
一実施態様において、本発明の組成物は、安定性を向上させて室温での保存寿命安定性を1週間から5週間以上に延長する式(XI)の化合物の1種以上を含む。一実施態様において、本発明の組成物に添加剤として式(XI)の化合物を使用することにより、保存寿命安定性を最大4ヶ月まで延長することができる。式(XI)の化合物の量は、光酸発生剤の量が2~4モル部のとき、0.005モル部から0.5モル部の間である。その他の一実施態様において、式(XI)の化合物の量は、光酸発生剤の量が2~4モル部のとき、0.5モル部を超えてもよく、例えば、1モル部であってもよい。
【0036】
その他の一実施態様において、本発明の組成物は、安定性を向上させて室温での保存寿命安定性を7日間から80日間以上に延長する式(XII)の化合物の1種以上を含む。一実施態様において、本発明の組成物に添加剤として式(XII)の化合物を使用することにより、保存寿命安定性を最大8ヶ月まで延長することができる。式(XII)の化合物の量は、光酸発生剤の量が2~4モル部のとき、0.005モル部から1モル部の間である。その他の一実施態様において、式(XII)の化合物の量は、光酸発生剤の量が2~4モル部のとき、1モル部を超えてもよく、例えば、2モル部であってもよい。一実施態様において、式(XII)の化合物と式(XIII)の化合物の混合物を添加剤として使用する。
【0037】
一実施態様において、式(XIV)の化合物を本発明の組成物で添加剤として使用する。式(XIV)の例示的な化合物は、以下の通りである。
【化7】
【0038】
その他の一実施態様において、本発明の組成物は、安定性を向上させて室温での保存寿命安定性を7日間から8日間以上に延長する式(XV)の化合物の1種以上を含む。式(XV)の化合物の量は、光酸発生剤の量が2~4モル部のとき、0.005モル部から1モル部の間である。その他の一実施態様において、式(XV)の化合物の量は、光酸発生剤の量が2~4モル部のとき、1モル部を超えてもよく、例えば、2モル部であってもよい。
【0039】
式(X)の化合物の例としては、下記のものが挙げられるが、これに限定されない。
【化8】
【0040】
式(XI)の化合物の例としては、下記のものが挙げられるが、これに限定されない。
【化9】
【0041】
式(XII)の化合物の例としては、下記のものが挙げられるが、これに限定されない。
【化10】
【0042】
式(XIII)の化合物の例としては、下記のものが挙げられるが、これに限定されない。
【化11】
【0043】
式(XV)の化合物の例としては、下記のものが挙げられるが、これに限定されない。
2,6-ジ-tert-ブチルピリジン(DBP);
4-メチル-2,6-ジ-tert-ブチルピリジン;
4-ジメチルアミノピリジン(DMAP);および
3-ブロモピリジン(BP)。
【0044】
ビニル付加重合を起こす各種のオレフィンモノマーを本発明の組成物に採択することができる。上記オレフィンモノマーは、エチレン、プロピレン、ブチレン、スチレンなどの脂環族オレフィンを含んでもよいが、これに限定されない。その他のオレフィンモノマーとしては、シクロ-オレフィン、ビシクロ-オレフィンなどが挙げられる。
【0045】
本発明の一実施態様において、本発明の組成物に適切な上記オレフィンモノマーは、式(V)で表され:
【化12】
ここで、
mは0、1または2の整数であり;
【化13】
は単一結合または二重結合であり;
13、R14、R15、およびR16は、同一または異なり、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル基またはハロヒドロカルビル基からなる群からそれぞれ独立して選択され、前記ヒドロカルビル基またはハロヒドロカルビル基は、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C16)アルキル、パーフルオロ(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、パーフルオロ(C-C10)アリール、パーフルオロ(C-C10)アリール(C-C)アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分枝の(C-C16)アルコキシ、エポキシ(C-C10)アルキル、エポキシ(C-C10)アルキルオキシ(C-C10)アルキル、エポキシ(C-C10)シクロアルキル、パーフルオロ(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C12)ビシクロアルコキシ、(C-C14)トリシクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ、(C-C10)アリール(C-C)アルコキシ、パーフルオロ(C-C10)アリールオキシ、パーフルオロ(C-C10)アリール(C-C)アルコキシ、
【化14】
から選択され、
ここで、Zは、O、CO、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、S、(CR1718、O(CR1718、(CR1718O、C(O)(CR1718、(CR1718C(O)、C(O)O(CR1718、(CR1718C(O)O、OC(O)(CR1718、(CR1718OC(O)、(CR1718OC(O)O、(CR1718OC(O)O(CR1718、OC(O)O(CR1718、S(CR1718、(CR1718S、(SiR1718、O(SiR1718、(SiR1718Oからなる群から選択され、
17およびR18は、同一または異なり、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルキル、置換もしくは未置換の(C-C14)アリール、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分枝の(C-C)アルキルオキシ、(C-C)アシル、(C-C)アシルオキシ、および置換もしくは未置換の(C-C14)アリールオキシからそれぞれ独立して選択され;および
bは0~12の整数であり;
Arylは、置換もしくは未置換のフェニル、置換もしくは未置換のビフェニル、置換もしくは未置換のナフチル、置換もしくは未置換のターフェニル、置換もしくは未置換のアントラセニル、置換もしくは未置換のフルオレニルからなる群から選択され、前記置換基は、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C)アルキル、パーフルオロ(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、パーフルオロ(C-C10)アリール、パーフルオロ(C-C10)アリール(C-C)アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分枝の(C-C16)アルコキシ、パーフルオロ(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ、(C-C10)アリール(C-C)アルコキシ、パーフルオロ(C-C10)アリールオキシ、およびパーフルオロ(C-C10)アリール(C-C)アルコキシからなる群から選択され;
kは1~12の整数であり;
23、R24、およびR25は、同一または異なり、水素、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルキル、パーフルオロ(C-C12)アルキル、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、パーフルオロ(C-C10)アリール、およびパーフルオロ(C-C10)アリール(C-C)アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、あるいは、
23およびR24は、結合されている介在炭素原子と一緒になって置換もしくは未置換の(C-C14)環式、(C-C14)二環式、または(C-C14)三環式の環を形成し;Aryleneは、置換もしくは未置換の2価の(C-C14)アリールであり;または、
13およびR14のいずれか1つは、R15およびR16のいずれか1つと結合されている炭素原子と一緒になって置換もしくは未置換の(C-C14)環式、(C-C14)二環式、または(C-C14)三環式の環を形成する。
【0046】
より具体的には、本明細書で定義するArylは、
【化15】
であり、
各場合のRは、独立してメチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルキルまたは(C-C10)アリールから独立して選択される。
【0047】
本明細書に記載の式(V)のモノマーは、文献に公知であるか、または該モノマーまたは類似の類型のモノマーの製造を目的として業界に公知の任意の方法で製造することができる。
【0048】
さらに、本明細書に記載のモノマーは、容易にビニル付加塊重合できる。言い換えると、溶媒を一切使用していない純粋な(neat)形態であるとき、特定の遷移金属触媒、例えば本明細書に記載の有機パラジウム化合物を使用してビニル付加重合を起こすようになる。一例として、本出願に組み込まれた米国登録特許第7,442,800号および第7,759,439号を参照されたい。「塊重合」とは、当該分野において一般的に通用する概念を意味する。言い換えると、実質的に溶媒なしに進行される重合反応を示す。しかしながら、場合によっては、反応媒体内に溶媒が少量存在することもある。例えば、少量の溶媒を本明細書に記載の式(I)の有機パラジウム化合物、光酸発生剤または感光剤を溶解するか、または反応媒体に運搬するのに使用できるものである。一部の溶媒は、モノマーの粘度の低減に使用することもできる。反応媒体内に存在する溶媒の量は、モノマーの総重量に対して0~5重量%の範囲であってもよい。本発明では、式(I)の有機パラジウム化合物、光酸発生剤または感光剤および/またはモノマーを溶解することができるものであれば、溶媒の種類は限定されない。該溶媒の例としては、アルカン、シクロアルカン、トルエンなどの芳香族、エチルアセテートなどのエステル溶媒、THF、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどが挙げられる。
【0049】
発明者らは、1種以上のモノマーそれ自体を式(I)の有機パラジウム化合物、光酸発生剤または感光剤の溶解に使用して、溶媒を使用する手間を省けることを見出した。さらに、モノマーの1つが別のモノマーの溶媒として機能することにより、追加の溶媒を使用する必要性を排除することも可能である。例えば、式(V)の第1モノマーが室温で固体である場合、室温で液体である式(V)の第2モノマーを固体である式(V)の第1モノマーの溶媒として使用することができ、逆の場合も同様である。したがって、上記のような状況では、1種よりも多いモノマーを本発明の組成物に採択することができる。
【0050】
一実施態様において、式(V)のモノマーは、塊重合を実施して得た重合体フィルムに高い屈折率を付与する高屈折率材料として機能することを明らかにした。一般的に、本発明に適切な式(V)のモノマーは、少なくとも1.5の屈折率を有する。一実施態様において、式(V)のモノマーの屈折率は1.5よりも大きい。他の実施態様において、式(V)のモノマーの屈折率は約1.5~1.6の範囲である。他の実施態様において、式(V)のモノマーの屈折率は1.55よりも大きいか、1.6よりも大きいか、または1.65よりも大きい。他の実施態様においては、1.7よりも大きくてもよい。
【0051】
他の実施態様において、一般的に式(V)のモノマーを粘度改質剤として使用する方案を考慮できる。したがって、一般的に式(V)のモノマーは、室温で液体であり、固体または高粘度の液体である式(V)の他のモノマーとともに使用することが可能である。
【0052】
本発明の他の実施態様において、本発明の組成物は、式(V)で表される異なるモノマーを少なくとも2種含み、100センチポアズ未満の粘度を有する透明な液体状態である。一般的に、本発明の組成物は粘度が低く、100センチポアズ未満であってもよい。一実施態様において、本発明の組成物は、90センチポアズ未満の粘度を有する。さらに他の実施態様において、本発明の組成物は、約5~100センチポアズの範囲の粘度を有する。他の実施態様において、本発明の組成物は、80cP未満、60cP未満、40cP未満、20cP未満の粘度を有する。さらに他の実施態様においては、10cP未満、あるいは8cP未満であってもよい。
本発明の組成物が2種のモノマーを含む場合、それらは、意図した最終的な用途に応じて、屈折率の変更、粘度の変更、またはその両方、あるいはその他の好ましい特性のいずれかを含む、所望の効果が得られる好ましい量で存在し得る。したがって、式(V)の第1モノマーと式(V)の第2モノマーのモル比は、0:100~100:0の範囲となる。すなわち、特定の応用では、式(V)のモノマーを1種のみ使用できる。言い換えると、これらの2種のモノマー量は特に制限はない。一実施態様において、式(V)の第1モノマーと式(V)の第2モノマーのモル比は、1:99~99:1の範囲であり、他の実施態様においては、5:95~95:5の範囲であり、10:90~90:10、20:80~80:20、30:70~70:30、60:40~40:60、50:50などであってもよい。
【0053】
一般的に、本発明による組成物は、上記の式(V)で表されるモノマーを1種以上含み、後述するように様々な実施態様の組成物を選択して所望の用途に適合かつ適当な性質をその実施態様に付与することにより、各種の特定の用途に合わせてその実施態様を調整することができる。したがって、一実施態様において、本発明の組成物は、式(V)で表されるが、互いに異なるモノマーを2種以上含む。例えば、式(V)で表される異なるモノマーを3種または4種含んでもよい。
例えば、上述したように、式(V)で表される異なるモノマーを適切に組み合わせることで、所望の屈折率、粘度、光透過性を有するように組成物を調整することが可能である。さらに、後述するように、両立可能で最終の用途によって変わる好ましい光学的性質を提供するその他の重合体物質またはモノマー物質を含むことが好ましい場合がある。したがって、本発明の組成物は、所望の利点を創出できるその他の高屈折性の重合体物質をさらに含んでもよい。該重合体の例としては、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリ(ビニル-トルエン)、α-メチルスチレンとビニル-トルエンの共重合体などが挙げられるが、これに限定されない。
【0054】
発明者らの別の発見によると、本発明の組成物は、式(V)で表されるモノマーとは異なるモノマーをさらに含んでもよい。一実施態様において、本発明の組成物は、式(VI)または式(VII)で表されるモノマーから選択された1種以上のモノマーをさらに含んでもよい。
【0055】
式(VI)のモノマーは、
【化16】
であり、ここで、
oは0~2の整数であり;
Dは、SiR293031、または
-(CH-O-SiR293031 (E);
-(CH-SiR293031 (F);および
-(SiR2930-O-SiR293031 (G);
から選択される基であり、
cは1~10の整数であり、1つ以上のCHは、(C-C10)アルキルまたは(C-C10)パーフルオロアルキルで置換されてもよく;
26、R27、およびR28は、同一または異なり、水素、ハロゲン、およびヒドロカルビルからそれぞれ独立して選択され、上記ヒドロカルビルは、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C12)ビシクロアルコキシ、(C-C14)トリシクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ(C-C)アルキルまたは(C-C10)アリールオキシから選択され;および
29、R30、およびR31は、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C)アルキル、置換もしくは未置換の(C-C14)アリール、メトキシ、エトキシ、直鎖もしくは分枝の(C-C)アルコキシまたは置換もしくは未置換の(C-C14)アリールオキシからそれぞれ独立して選択される。
【0056】
本発明の上記態様において、発明者らは式(VI)のモノマーがさらなる利点を組成物に付与することを見出した。言い換えると、式(VI)のモノマーは、該モノマーの性質によって、組成物の屈折率を高めまたは低めて、用途に応じて屈折率を調整することができる。さらに、式(VI)のモノマーは、一般的に粘着性を向上させて、「粘着改質剤」として使用できる。最後に、式(VI)のモノマーは、その他に得られる利点の中でも特に潜在触媒および/または活性化剤に対して低粘度および優れた溶解性を示す。
【0057】
上記式(VII)のモノマーは、
【化17】
であり、ここで、
は、置換もしくは未置換の(C-C12)アルキレン、-(CHO(CHおよび-(CH(SiR3839)(OSiR4041(CH -(ここで、d、e、およびfはそれぞれ独立して0~6の整数であり、R38、R39、R40、およびR41は、同一または異なり、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルキルからそれぞれ独立して選択される。)および、次から選択されるアリーレン、からなる群から選択され
【化18】
32、R33、R34、R35、R36、およびR37は、同一または異なり、水素、ハロゲン、およびヒドロカルビルからそれぞれ独立して選択され、上記ヒドロカルビルは、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C12)ビシクロアルコキシ、(C-C14)トリシクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ(C-C)アルキルまたは(C-C10)アリールオキシから選択される。
【0058】
式(VII)のモノマーは二官能性モノマーであり、特にZがアリーレン基である場合、高い屈折率を示すことができる。本発明の組成物に式(VII)のモノマーを混入すると、一般的に組成物の屈折率が増加し、他の分子との架橋もまた増加することとなる。したがって、意図した用途に合わせて式(VII)のモノマーを本発明の組成物に混入することにより、その他の物質との相溶性を増加させて本発明の組成物の特性を向上させることが可能である。
【0059】
本発明の他の態様において、本発明の組成物は、式(V)、式(VI)または式(VII)のモノマーを1種のみ含んでもよい。すなわち、式(V)~(VII)のモノマーの1種のみでも本発明の組成物を形成するには十分である。他の実施態様において、本発明の組成物は、式(V)~(VII)で表されるモノマーの任意の2種を任意の好ましい割合で含む。他の実施態様において、本発明の組成物は任意の好ましい割合と任意の組み合わせで式(V)~(VII)で表されるモノマーの任意の3種を含む。本発明は、式(V)~(VII)で表されるモノマーで可能な順列および組み合わせをすべて包含する。
【0060】
したがって、式(V)で表されるモノマーの範疇に属するモノマーであれば、制限なしに本発明の組成物に採択され得る。式(V)のモノマーの代表的な例は以下の通りであるが、これに限定されない。
【化19-1】
【化19-2】
【化19-3】
【化19-4】
【化19-5】
【化19-6】
【化19-7】
【化19-8】
【化19-9】
【化19-10】
【化19-11】
【0061】
前述の式(V)のモノマーはいずれも、本発明の組成物に使用されるモノマーの組み合わせで1種以上のモノマーとして使用することができる。許容可能な組み合わせはすべて、本発明の一部である。
【0062】
次に、本発明の組成物を形成する式(VI)のモノマーについて検討する。本発明の組成物は、式(VI)のモノマーの範囲内に属する任意のモノマーを使用できる。このような類型のモノマーの例示は、以下の物質からなる群から選択することができるが、これに限定されない。
【化20-1】
【化20-2】
【化20-3】
【0063】
次に、本発明の組成物を形成する式(VII)のモノマーについて検討する。本発明の組成物は、式(VII)のモノマーの範囲内に属する任意のモノマーを使用できる。このような類型のモノマーの例示は、以下の物質からなる群から選択することができるが、これに限定されない。
【化21-1】
【化21-2】
【0064】
他の実施態様において、本発明の組成物は、式(V)のモノマーの1種以上と式(VI)のモノマーの少なくとも1種とを含む。
【0065】
さらに他の実施態様において、本発明の組成物は、式(VI)のモノマーの1種以上と式(VII)のモノマーの少なくとも1種とを含み、必要に応じて式(V)のモノマーの1種をさらに含む。
【0066】
さらに他の実施態様において、本発明の組成物は、式(V)のモノマーの少なくとも1種と式(VI)のモノマーの少なくとも1種とを含み、必要に応じて式(VII)のモノマーの1種をさらに含む。
【0067】
さらに他の実施態様において、本発明の組成物は、式(VI)のモノマーの1種を含み、式(V)または式(VII)のモノマーの1種以上を必要に応じてさらに含む。
【0068】
本発明の他の実施態様において、本発明の組成物は以下から選択される1つ以上のモノマーを含んでもよい。
【化22-1】
【化22-2】
【0069】
本発明の他の実施態様において、組成物は、本明細書に記載のような塊重合を起こす式(I)で表される任意の有機パラジウム化合物を含む。一般的に、式(I)の適切な有機パラジウム化合物は、下記の物質からなる群から選択される二座モノアニオン配位子を含む。
【化23-1】
【化23-2】
【0070】
本発明の組成物に使用するのに適切な式(I)の有機パラジウム化合物は、文献に公知であり、または当該分野に公知の任意の方法で容易に製造することができる。一例として、本出願に組み込まれた米国登録特許第7,442,800号および第7,759,439号を参照されたい。
【0071】
本発明の組成物に採択可能な式(I)の有機パラジウム化合物または式(IA)の有機パラジウム化合物の例示は、以下の通りであるが、これに限定されない。
【化24-1】
【化24-2】
【化24-3】
【0072】
本発明の組成物は、光酸発生剤をさらに含み、該光酸発生剤は、式(I)の有機パラジウム化合物および感光剤と組み合わせて本明細書に記載のような適切な放射線で露光する場合、含んだモノマーの塊重合を起こす。周知の光酸発生剤、例えば特定のハロニウム塩を本発明の組成物に使用することができる。
【0073】
一実施態様において、本発明の組成物として下記式(IV)の光酸発生剤を使用する。
Aryl-Hal-Aryl An (IV
【0074】
ここで、ArylおよびArylは、同一または異なり、置換もしくは未置換のフェニル、ビフェニル、ナフチルからなる群から独立して選択され;Halは、ヨウ素または臭素であり;Anは、カチオン錯体に弱配位された弱配位性アニオン(WCA)である。より具体的には、WCAアニオンは、カチオン錯体に対する安定化アニオンとして機能する。WCAアニオンは、非酸化性、非還元性、および非親核性であるので、相対的に不活性である。一般的にWCAは、ボレート、ホスフェート、アルセネート、アンチモネート、アルミネート、ボレートベンゼンアニオン、カルボラン、ハロカルボランアニオン、スルホンアミデート、スルホネートから選択することができる。
【0075】
式(IV)で表される化合物の代表的な例は、以下の通りである。
【化25】
【0076】
ここで、R11およびR12は、本明細書で定義した通りである。同様に、様々なスルホニウム塩を光酸発生剤として使用でき、これは、本明細書に記載のような式(III)の化合物を広範囲で含む。
【0077】
したがって、本発明の組成物に採択することができる式(III)の光酸発生剤の例示は下記の通りであるが、これに限定されない。
【化26-1】
【化26-2】
【化26-3】
【0078】
本発明の組成物に使用でき、式(IV)で表される適切な光酸発生剤の例示は以下の通りであるが、これに限定されない。
【化27-1】
【化27-2】
【化27-3】
【0079】
その他の本発明の組成物に適切なPAGの例としては、以下のものが挙げられる。
【化28-1】
【化28-2】
【0080】
ただし、適切な放射線で露光するとき、本出願で使用される式(I)の有機パラジウム化合物を活性化することができれば、その他の公知の光酸発生剤も本発明の組成物に使用することができる。本発明は、該化合物をすべて包含する。
【0081】
本発明の組成物は、本出願で使用される光酸発生剤の存在下で組成物を適切な放射線で露光したとき、活性触媒の形成をさらに促進する感光剤化合物をさらに含む。その目的のために、光酸発生剤および/または式(I)の有機パラジウム化合物を活性化する適切な増感剤化合物を本発明の組成物に採択することができる。適切な増感剤化合物の例としては、アントラセン、フェナントレン、クリセン、ベンゾピレン、フルオランテン、ルブレン、ピレン、キサントン、インダントレン、チオキサンテン-9-オン、これらの混合物が挙げられる。例示的な一実施態様において、適切な増感剤成分は、下記式(VIII)の化合物または式(IX)の化合物を含む。
【化29】
ここで、
44、R45、およびR46は、同一または異なり、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NO、NH、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C12)ビシクロアルコキシ、(C-C14)トリシクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ(C-C)アルキル、(C-C10)アリールオキシ、C(O)(C-C)アルキル、COOH、C(O)O(C-C)アルキル、SO(C-C10)アリールからなる群からそれぞれ独立して選択され;
47およびR48は、同一または異なり、メチル、エチル、直鎖もしくは分枝の(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、および(C-C10)アリール(C-C)アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される。
【0082】
式(VIII)の化合物または式(IX)の化合物の代表的な例は以下の通りであるが、これに限定されない。
【化30-1】
【化30-2】
【化30-3】
【0083】
その他の適切な感光剤化合物としては、置換もしくは未置換のフェノチアジン誘導体が挙げられ、例えば以下の通りである。
【化31】
【0084】
一般的に感光剤は、光源から照射したエネルギーを吸収して該エネルギーを所望の基板/反応物に移送する。本発明では、本発明の組成物に採択された光酸発生剤が上記の基板/反応物にあたる。一実施態様において、式(III)の化合物または式(IV)の化合物は、一般的に約240nm~410nmの範囲の電磁気放射線の特定の波長で活性化されることができる。したがって、該電磁気放射線で活性化される任意の化合物は、例えばOLEDまたは3D製法など、本発明の組成物を採択することができる様々な製法で安定的な組成物として活用可能である。一実施態様において、式(III)または(IV)の化合物を活性化するための放射線の波長は260nmである。他の実施態様において、式(V)の化合物を活性化するための放射線の波長は310nmである。他の実施態様において、式(V)の化合物を活性化するための放射線の波長は365nmである。他の実施態様において、式(V)の化合物を活性化するための放射線の波長は395nmである。
【0085】
本発明の組成物において所望の結果を得られるのであれば、式(I)の有機パラジウム化合物、式(III)または(IV)の光酸発生剤、式(VIII)または(IX)の感光剤の含有量に特に制限はない。一般的に式(V)のモノマーと式(I)の化合物のモル比は、25,000:1~5,000:1の範囲、またはそれ以下である。一実施態様において、式(V)のモノマーと式(I)の化合物のモル比は、10,000:1、15,000:1:1、20,000:1:1、または30,000:1以上である。本明細書に記載の式(V)のモノマーは、式(V)で表され、異なる1種以上のモノマーを含んでもよく、式(VI)または(VII)のモノマーの1種以上をさらに含んでもよい。したがって、上記モル比は、採択したモノマー全体のモル量を示す。同様に、式(I)の有機パラジウム化合物、式(III)または(IV)の光酸発生剤、式(VIII)または(IX)の感光剤のモル比は、1:1:0.5~1:2:2、1:2:1、1:4:1、1:2:4、1:1:2、1:4:2の範囲であってもよく、所望の結果を得られるのであれば、それ以外の範囲であっても構わない。
【0086】
発明者らは、適切な化学放射線(UV照射)で露光すると、本発明による組成物が実質的に透明なフィルムを形成することを見出した。言い換えると、本発明の組成物を特定の化学放射線で露光すると、モノマーは塊重合を起こして可視光線に対して実質的に透明なフィルムを形成する。すなわち、ほとんどの可視光線が該フィルムを透過する。一実施態様において、本発明の組成物から形成されたフィルムは、可視光線の透過率が90%以上であった。他の実施態様において、本発明の組成物から形成されたフィルムは、可視光線の透過率が95%以上であった。塊重合を実施するのに適切な化学放射線であれば、特別な制限なしに本発明に採択することができ、例えば200nm~400nmの波長を有する化学放射線で露光する。400nmを超える波長でもよい。一実施態様において採択される化学放射線の波長は、250nm、295nm、360nm、395nm、または400nm超である。
【0087】
他の実施態様において、本発明の組成物は、適切な化学放射線で露光して加熱すると塊重合を起こして実質的に透明なフィルムを形成する。他の実施態様において、本発明の組成物は、50℃~100℃の温度で適切なUV照射で露光すると塊重合を起こして実質的に透明なフィルムを形成する。
【0088】
したがって、本発明の組成物の例示は以下の通りであるが、これに限定されない。
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)パラジウム(II)(Pd472)、4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、1,8-ビス(ジメチルアミノ)-ナフタレン(PROTON SPONGE)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)パラジウム(II)(Pd472)、4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、1,8-ビス(ジメチルアミノ)-ナフタレン(PROTON SPONGE)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、1,8-ビス(ジメチルアミノ)-ナフタレン(PROTON SPONGE)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、1,8-ビス(ジメチルアミノ)-ナフタレン(PROTON SPONGE)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)パラジウム(II)(Pd472)、4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(クリプタンド222)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(クリプタンド222)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン(DBP)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、3-ブロモピリジン(BP)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート(HALS-1)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PhNB)、5-ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(HexNB)、パラジウム(ヘキサフルオロアセチルアセトネート) トリ-イソプロピルホスフィン(Pd680)、4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート(HALS-1)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン(DBP)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート(HALS-1)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)ピペリジン-4-イル)セバケート(HALS-2)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);
5-ヘキサデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(HexadecylNB)、5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Pd520)、4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)ピペリジン-4-イル)セバケート(HALS-2)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX);および
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)、パラジウム(ヘキサフルオロアセチルアセトネート) トリ-イソプロピルホスフィン(Pd680)、4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(PAG1)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)ピペリジン-4-イル)セバケート(HALS-2)、および2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(ITX)。
【0089】
本発明のさらに他の態様において、本発明は実質的に透明なフィルムを形成するキットを提供する。本発明の組成物は、当該キット内に分散される。したがって、一実施態様において、1つ以上のオレフィンモノマー、本明細書に記載の式(I)の有機パラジウム化合物、式(IA)の有機パラジウム化合物、または式(IB)の有機パラジウム化合物、本明細書に記載の式(III)または(IV)の光酸発生剤、式(VIII)または(IX)の感光剤、および安定化剤として機能する式(X)~(XV)の化合物の1種以上を分散させたキットを提供する。一実施態様において、本発明のキットは、所望の結果を得るために、または所望の目的を達成するために、式(V)のモノマーの1種以上を含み、必要に応じて式(VI)または(VII)のモノマーの1種以上と組み合わせることもある。
【0090】
一実施態様において、上記キットは、本明細書に記載された式(V)で表されるモノマーの1種以上と式(VI)または式(VII)で表されるモノマーの1種以上を含む。他の実施態様において、本発明のキットは、少なくとも2種のモノマーを含み、第1モノマーは第2モノマーの溶媒として機能する。本明細書に記載された式(V)~(VII)のモノマーであれば、いずれも本実施態様で使用することができる。本実施態様に含まれている2種のモノマーのモル比は固定されておらず、1:99~99:1、10:90~90:10、20:80~80:20、30:70~70:30、60:40~40:60、50:50、またはそれ以外の範囲であってもよい。他の実施態様において、キットは、式(V)のモノマーと式(VI)の他のモノマーにあたる2種のモノマーが分散している組成物を包含する。式(VI)のモノマーは、式(V)のモノマーに完全に溶解されて室温で透明な溶液を形成する。一実施態様において、モノマーの混合物は塊重合を起こす前にわずかに昇温した温度で、例えば30℃、40℃、または50℃で透明な溶液となる。
【0091】
本発明の該実施態様の他の態様において、本発明のキットは、十分な時間の間、適切な放射線で露光する場合にのみ、塊重合を起こして重合体フィルムを形成する。言い換えると、本発明の組成物をカプセル化すべき基板または表面に注ぎ、適切な化学放射線で露光すると、モノマーが重合を起こして透明フィルムの形態の固形の透明重合体を形成する。
【0092】
上述したように、重合は、一般的に様々な波長の化学放射線で起こり、波長の例示としては、265nm、315nm、365nm、395nmなどが挙げられる。加熱で塊重合をさらに促進することもでき、加熱は段階的に実施することもできる。例えば、40℃、50℃または60℃まで5分間加熱した後、必要に応じて70℃まで様々な時間の間、例えば5~15分間さらに加熱する。本発明を実施することで、上記基板上に実質的に透明なフィルムである重合体フィルムを形成することができる。本明細書において「実質的に透明なフィルム」とは、本発明の組成物から形成されたもので、可視光線で光学的に透明なフィルムを示す。したがって、本発明の一実施態様において当該フィルムは、少なくとも90パーセントの可視光線透過率を有し、さらに他の実施態様において、本発明の組成物から形成されたフィルムは少なくとも95パーセントの可視光線透過率を有する。
【0093】
本発明の一実施態様において、本明細書に記載のキットは、上述した式(III)のモノマーまたは式(IV)のモノマーから選択された1種以上のモノマーをさらに含む組成物を包含する。本明細書に記載のような式(III)または(IV)のモノマーであれば該実施態様で制限なしに使用することができ、含有量は所望の用途に応じて様々な量で使用することができる。
【0094】
一実施態様において、本明細書に記載のキットは、上述した各種の組成物の例示をすべて包含する。
【0095】
本発明の他の態様において、本発明は、光電子デバイスの製造に使用される実質的に透明なフィルムを形成する方法であり、必要に応じて式(VI)または(VII)のモノマーの1種以上と組み合わせてもよい式(V)のモノマーを1種以上、本明細書に記載の式(I)の有機パラジウム化合物、式(IA)の有機パラジウム化合物、または式(IB)の有機パラジウム化合物、本明細書に記載の式(III)または(IV)の光酸発生剤、式(VIII)または(IX)の感光剤、および式(X)~(XV)の化合物からなる群から選択された化合物の1種以上を含む、均一で透明な組成物を形成し、上記組成物で適切な基板をコーティングし、または適切な基板に上記組成物を注いでフィルムを形成し、該フィルムを適切な化学放射線で露光して上記モノマーの重合を促す方法を提供する。
【0096】
本発明の組成物で所望の基板をコーティングしてフィルムを製造する工程において、本明細書に記載され、または当該分野において当業者に周知のコーティング法、例えばスピンコーティング法でコーティングを実施することができる。その他の適切なコーティング法には、スプレーコーティング、ドクターブレード(doctor blading)、メニスカスコーティング(meniscus coating)、インクジェットコーティング、スロットコーティングが含まれるが、これに限定されない。混合物を基板上に注いでフィルムを形成することも可能である。適切な基板であれば特に制限はないが、電気デバイス、電子デバイスまたは光電子デバイスに使用される基板、例えば半導体基板、セラミックス基板、ガラス基板であってもよい。
【0097】
次に、コーティング基板をベークする。言い換えると、例えば50℃~100℃の温度で約1~60分間基板を加熱することで塊重合を促進する。例示外の適切な加熱温度および加熱時間を適用してもよい。一実施態様において、該基板を約60℃~約90℃の温度で2~10分間ベークする。他の実施態様において、該基板を約60℃~約90℃の温度で5~20分間ベークする。
【0098】
形成したフィルムの光学的性質を当該分野において周知の各種の方法で評価する。例えば、可視スペクトルにおけるフィルムの屈折率は、エリプソメトリーで測定することができる。フィルムの光学的品質は、目視観察で判定する。透過率は可視分光法で定量的で測定する。本発明により形成されたフィルムは、一般的に優れた光透過性を示し、本明細書に記載されたように所望の屈折率を有するように調整することができる。
【0099】
したがって、本発明の一実施態様において、本発明は、本明細書に記載された組成物の塊重合で得た光学的に透明なフィルムを提供する。他の実施態様において本発明は、本明細書に記載された本発明の透明フィルムを含む光電子デバイスを提供する。
【0100】
本発明の他の実施態様において、本発明の組成物を各種の光誘導ナノインプリントリソグラフィ(NIL)、例えばUV-NILで採択することができる。例えば、本発明の組成物は、各種の光硬化性インプリント技術に使用できる。一般的に、本発明の組成物を(コーティングまたは類似の手段で)基板上に適合に配置し、続いて適切なスタンプで覆って放射線で露光して本発明の組成物が固体になるまで硬化させる。次に、スタンプを取り除くと、ナノインプリントフィルムが得られる。該基板としては、マスターデジタルビデオディスク(DVD)が挙げられる。
【0101】
本発明のこのような態様において、必要に応じて式(VI)または(VII)のモノマーの1種以上と組み合わせてもよい式(V)のモノマー、本明細書に記載の式(I)の有機パラジウム化合物、式(IA)の有機パラジウム化合物、または式(IB)の有機パラジウム化合物、本明細書に記載の光酸発生剤、本明細書に記載の感光剤、および式(X)~(XV)の化合物の1種以上を慎重に選択することにより、独特の特性を有する本発明の組成物を形成することができる。これにより、本発明の態様による一実施態様において、保存安定性により優れ、大気温度または最大60℃の温度で最大4ヶ月以上まで保存期間を延長することができる組成物を形成することができた。本発明の該態様による組成物は、各種のコーティング法の中でもインクジェットコーティングを含む周知の手順の任意の方法を使用すれば、適切な基板にさらに容易に塗り広げることができ、したがって、インクジェットコーティングもはるかに容易になる。
【0102】
下記の実施例は、本発明の特定の化合物/モノマー、重合体、組成物の調製および利用方法を詳細に説明するものである。詳細な調製方法は、上述した一般的な調製方法の範疇に属し、またその例示にあたる。実施例は説明のみを目的としており、本発明を限定するものではない。実施例および本明細書において、モノマーと触媒の割合はモル比である。
【実施例
【0103】
次の略語は、本明細書において本発明の特定の実施態様を説明するために採択した一部の化合物、器具および/または方法を記述するのに使用される。
PENB-5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン;
PhNB-5-フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン;
DecNB-5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン;
ヘキサデシルNB-5-ヘキサデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン;
HexNB-5-ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン;
Pd472-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)パラジウム(II);
Pd520-パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトネート;
Pd680-パラジウム(ヘキサフルオロアセチルアセトネート) トリイソプロピルホスフィン;
Bluesil PI 2074-トリルクミリヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート;
PAG1-4,4’-ジ-C10-C13-アルキル誘導体、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート;
ITX-4-イソプロピルチオキサントン;
クリプタンド222-4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン;
HALS-1-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート;
HALS-2-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)ピペリジン-4-イル)セバケート;
HALS-3-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート;
PROTON SPONGE-1,8-ビス(ジメチルアミノ)-ナフタレン;
DBP-2,6-ジ-tert-ブチルピリジン;
DMAP-4-ジメチルアミノピリジン;
BP-3-ブロモピリジン;
cP-センチポイズ;
DSC-示差走査熱量測定;
TGA-熱重量分析。
【0104】
本明細書に記載の各種のモノマーは、市販されており、または米国登録特許第9,944,818号に記載の手順により容易に調製することができる。
【0105】
式(I)または式(IA)の各種の有機パラジウム化合物は、文献に公知であり、参考文献に記載の方式で容易に調製することができる。
【0106】
以下の実施例1~4は、本発明の組成物が、室温で少なくとも最大36日まで安定性を維持し、UV放射線で露光すると、迅速で容易に塊重合を起こすことを立証している。
【0107】
<実施例1~4>
〔Pd472およびPd520を使用したPENBの保存寿命安定性および塊重合〕
別のガラス瓶で、Pd472およびPd520(1モル部)をそれぞれPAG1(2モル部)、ITX(2モル部)、PROTON SPONGE(0.5モル部)と混合し、PENBまたはDecNB(5000モル部)に溶解して透明な溶液を形成した。次いで、溶液を室温でUV光で4秒間露光した(395nm、1J/cmまたは4J/cm)。DSCおよびTGAによって確認した結果、すべての溶液は数分内で固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。TGAテストで、組成物のUV露光後、等温TGA(100℃で1時間)での固形の残存率はいずれも>98%であった。Td5は、動的TGA(20℃/分)により判定した。UV-DSCによると、すべての組成物は、4秒間のUV露光後、発熱ピークを示し、これはUV露光後にも熱を放出し続けていることを意味する。5分間の反応時間におけるエンタルピー変化を測定して、各組成物の反応性を比較した。使用したモノマー、触媒、UV線量、Td5、および転換率を表1にまとめた。
【0108】
【表1】
【0109】
実施例1~4の組成物をそれぞれ室温で保管した。1日目、2日目、4日目、6日目、8日目、10日目、15日目、17日目、19日、および21日目の終わりに、各組成物から一部を採取してDSCで特性化した。
【0110】
【表2】
【0111】
観測されたデータを表2にまとめた。表2のデータによると、実施例3~4の組成物は、該期間中あるいは表2に記載したそれ以上の期間中に液体状態を維持し、かなり類似した発熱反応を示して、組成物が少なくとも10日までは安定性を維持したことを示唆している。実施例1および2の組成物は、それぞれ36日間および27日間液体状態を維持した。
【0112】
<実施例5~10>
〔PENBの塊重合におけるPROTON SPONGEの線量効果〕
別のガラス瓶で、Pd472およびPd520(1モル部)をそれぞれPAG1(2モル部)、ITX(2モル部)、PROTON SPONGE(0.5モル部、0.05モル部および0.005モル部)と混合し、PENB(5000モル部)に溶解して透明な溶液を形成した。次いで、溶液を室温でUV光で4秒間露光した(395nm、1J/cm)。DSCによって確認した結果、すべての溶液は数分内で固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。UV-DSCによると、すべての組成物は4秒間のUV露光後、発熱ピークを示し、これはUV露光後にも熱を放出し続けていることを意味する。5分間の反応時間におけるエンタルピー変化を測定して、各組成物の反応性を比較した。測定されたエンタルピーデータとゲル化時間を表3にまとめた。
【0113】
【表3】
【0114】
表3のデータによると、0.5モル部未満のPROTON SPONGEは長期保存寿命安定性に寄与できなかった。したがって、PROTON SPONGEの量を0.005モル部から0.05モル部に上げても大きな利点は得られなかった。しかしながら、PROTON SPONGEの量を0.05モル部から0.5モル部に上げると、相当の利得が得られた。実施例5の場合、保存寿命安定性が実施例6の1日から36日まで延長された。同様に、実施例8の組成物は、保存寿命安定性が実施例9の6日から10日に延長された。
【0115】
<実施例11~12>
〔クリプタンド222を使用したPENBの塊重合〕
別の2本のガラス瓶で、Pd472およびPd520(1モル部)をそれぞれPAG1(2モル部)、ITX(2モル部)と混合し、PENB(5000モル部)に溶解して透明な溶液を形成した。各溶液にクリプタンド222(0.5モル部)を添加した。次いで、溶液を室温でUV光で4秒間露光した(395nm、1J/cm)。溶液は露光中にすべてゲルに変わった。UV-DSCによると、組成物は4秒間のUV露光後、発熱ピークを示し、これはUV露光後にも熱を放出し続けていることを意味する。5分間の反応時間におけるエンタルピー変化を測定して、各組成物の反応性を比較した。測定されたエンタルピーデータとゲル化時間を表4にまとめた。データによると、溶液はすべて室温で最大14日まで安定性を維持した。
【0116】
【表4】
【0117】
<実施例13>
〔2,6-ジ-tert-ブチルピリジン(DBP)を安定化剤として使用したPENBの塊重合〕
ガラス瓶で、Pd520(1モル部)、DBP(1モル部)、PAG1(2モル部)、およびITX(1モル部)をPENB(5000モル部)に溶解して溶液を形成した。次いで、溶液を室温でUV光で4秒間露光した(1J/cm、395nm)。TGAで確認した結果、溶液は数分で固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。組成物のUV露光後の等温TGA(100℃で1時間)での固形残存率はすべて>98%であり、動的TGA(20℃/min)で測定したTd5(5%重量損失)は332℃であった。未露光溶液を複数の瓶に分けて室温で保管した。未露光溶液の粘度(室温)を周期的に測定し、その結果を表5にまとめた。UV-DSCにより、30℃でUV露光による5分間の重合熱で組成物の反応性を周期的に測定し(1J/cm、400nm)、その結果を表5にまとめた。データによると、溶液の粘度が56日が経過した後にも一定の水準を維持していた。UV-DSCによると、組成物はこの期間が経過した後にも活性状態を維持し、UV DSCで測定したエンタルピー値、すなわち重合熱にもほぼ変化を示さず、容易に重合された。
【0118】
【表5】
【0119】
<実施例14~15>
〔PENBの塊重合におけるDBPの変化量〕
実施例14~15は、DBPの量を変化させたこと(0.1モル部および0.5モル部)以外は実質的に実施例13の手順に従った。各組成物は、室温でUV光で4秒間露光した(1J/cm、395nm)。TGAおよびUV-DSCで確認した結果、すべての溶液は数分内で固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。実施例14~15で、組成物のUV露光後の等温TGA(100℃で1時間)での固形残存率はすべて~99%であった。UV-DSC(1J/cm、400nm、30℃)で測定した結果、すべての組成物は4秒間のUV露光後、発熱ピークを示した。未露光溶液を室温で保管して粘度変化を一定の間隔でモニタリングした。結果を表6にまとめた。DBPは、0.1モル部ほどの少量を添加するだけでも組成物の保存寿命を劇的に向上できた。
【0120】
【表6】
【0121】
<実施例16>
〔4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)を安定化剤として使用したPENBの塊重合〕
ガラス瓶で、Pd520(1モル部)、DMAP(1モル部)、PAG1(2モル部)、およびITX(1モル部)をPENB(5000モル部)に溶解して溶液を形成した。次いで、溶液を室温でUV光で4秒間露光した(1J/cm、395nm)。TGAによって確認した結果、溶液は、5分で硬い固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。組成物のUV露光後の等温TGA(100℃で1時間)での固形残存率は~97%であった。未露光溶液を室温で保管して粘度の経時変化を測定した。エンタルピーの経時変化は、UV-DSC(1J/cm、400nm、30℃)で記録した。結果を表7にまとめた。表7のデータによると、DMAPを添加した結果、組成物の保存寿命が大きく向上した。
【0122】
【表7】
【0123】
<実施例17~18>
〔PENBの塊重合におけるDMAPの変化量〕
実施例17~18は、DMAPの量を変化させたこと(0.1モル部および0.5モル部)以外は実質的に実施例16の手順に従った。各組成物は、室温でUV光で4秒間露光した(1J/cm、395nm)。TGAおよびUV-DSCによって確認した結果、溶液は数分内で固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。組成物のUV露光後の等温TGA(100℃で1時間)での固形残存率は、実施例17と実施例18のいずれも~97%であった。UV-DSC(1J/cm、400nm、30℃)によると、すべての組成物は、4秒間のUV露光後、発熱ピークを示した。未露光溶液を室温で保管して粘度変化を一定の間隔で測定した。結果を表8にまとめた。表8のデータによると、DMAPは、0.1モル部ほどの少量を添加するだけでも組成物の保存寿命安定性を向上させたが、期間は相対的に短かった。
【0124】
【表8】
【0125】
<実施例19>
〔3-ブロモピリジン(BP)を安定化剤として使用したPENBの塊重合〕
ガラス瓶で、Pd520(1モル部)、BP(1モル部)、PAG1(2モル部)、およびITX(1モル部)をPENB(5000モル部)に溶解して溶液を形成した。次いで、溶液を室温でUV光で4秒間露光した(1J/cm、395nm)。TGAによって確認した結果、溶液は、5分で硬い固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。未露光溶液を室温で保存して、粘度と反応性の経時変化を記録して表9にまとめた。データによると、BPを添加した結果、組成物の保存寿命が向上した。
【0126】
【表9】
【0127】
<実施例20>
〔ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート(HALS-1)を使用したPENBの塊重合〕
ガラス瓶で、Pd520(1モル部)、HALS-1(0.5モル部)、PAG1(2モル部)、およびITX(1モル部)をPENB(5000モル部)に溶解して溶液を形成した。次いで、溶液を室温でUV光で4秒間露光した(1J/cm、395nm)。TGAによって確認した結果、溶液は、5分で硬い固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。組成物のUV露光後の等温TGA(100℃で1時間)での固体残留率は~99%であった。未露光溶液を室温で保管して粘度の経時変化を測定した。エンタルピーの経時変化は、UV-DSC(1J/cm、400nm、30℃)で記録した。結果を表10にまとめた。データによると、溶液の粘度は、56日が経過した後にも~8cPと一定の水準を維持していた。UVで露光すると、溶液は5分で硬い固体に変わり、モノマーがその期間中に活性状態を維持し、UV DSCで測定したエンタルピー値、すなわち重合熱にもほぼ変化を示さず、容易に重合されたことを立証した。
【0128】
【表10】
【0129】
<実施例21>
実施例21では、HALS-1の量を0.1モル部に調整したこと以外は、実施例20の手順に従った。次いで、組成物を室温でUV光で4秒間露光した(1J/cm、395nm)。TGAおよびUV-DSCによって確認した結果、溶液は数分内で固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。組成物のUV露光後の等温TGA(100℃で1時間)での固体残存率は~99%であった。UV-DSC(1J/cm、400nm、30℃)によると、組成物は4秒間のUV露光後、発熱ピークを示した(339J/g)。未露光溶液を室温で保管して粘度を一定の間隔でモニタリングした。組成物は13日後にゲル化した。HALS-1は、0.1モル部ほどの少量を添加するだけでも組成物の保存寿命を劇的に向上させることが分かった。
【0130】
<実施例22>
〔HALS-1を使用した昇温下での保存寿命〕
ガラス瓶で、Pd520(1モル部)、HALS-1(1モル部)、PAG1(4モル部)、およびITX(2モル部)をPENB(5000モル部)に溶解して溶液を形成した。次いで、溶液を室温でUV光で4秒間露光した(1J/cm、395nm)。TGAおよびUV-DSCによって確認した結果、溶液は5分で硬い固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。組成物のUV露光後の等温TGA(100℃で1時間)での固体残存率は~99%であった。UV-DSC(1J/cm、400nm、30℃)によると、組成物は4秒間のUV露光後、発熱ピークを示した。露光溶液の一部を様々な温度で保管して粘度をモニタリングした。結果を表11にまとめた。データによると、HALS-1の添加は、40℃~60℃の温度で組成物の保存寿命を劇的に向上させた。
【0131】
【表11】
【0132】
<実施例23>
ガラス瓶で、Pd680(1モル部)、HALS-1(1モル部)、PAG1(4モル部)、およびITX(2モル部)をPENB(5000モル部)に溶解して溶液を形成した。次いで、溶液を室温でUV光で4秒間露光した(1J/cm、395nm)。TGAおよびUV-DSCで確認した結果、溶液は5分で固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。組成物のUV露光後の等温TGA(100℃で1時間)での固体残存率は~99%であった。UV-DSC(1J/cm、400nm、30℃)によると、組成物は4秒間のUV露光後、発熱ピークを示した。未露光溶液を60℃で保管して粘度を一定の間隔でモニタリングした。結果を表12にまとめた。データによると、組成物は60℃の温度で14日が経過した後にも安定性と反応性を維持した。
【0133】
【表12】
【0134】
<実施例24~26>
〔PENB/HexNB組成物の熱安定性/反応性〕
別のガラス瓶で、Pd680(1モル部)、HALS-1(0.1モル部、0.5モル部、および1モル部)、PAG1(2モル部)、およびITX(2モル部)をPENB/HexNB(80/20モル比、総10000モル部)に溶解して透明な溶液を形成した。UV-DSCにより、UV露光による5分間の重合熱で組成物の反応性を測定した(25℃、250mW/cm、UV光400nm、4秒)。熱安定性は、60℃で7日間コンディショニングした後、剤形の粘度(23℃)を測定して評価した。結果を表13にまとめた。
【0135】
【表13】
【0136】
データによると、HALS-1(0.1モル部)を少量添加することだけでも23℃での組成物の反応性に大きく影響を与えず、60℃での熱安定性を劇的に向上させることができた。
【0137】
<実施例27~29>
〔様々なヒンダードアミンを安定化剤として使用した場合の保存安定性〕
別のガラス瓶で、Pd520(1モル部)、安定化剤としての様々なヒンダードアミン(0.5モル部)、PAG1(4モル部)およびITX(2モル部)をPENB(5000モル部)に溶解して溶液を形成した。次いで、溶液を室温でUV光で4秒間露光した(1J/cm、395nm)。TGAおよびUV-DSCで確認した結果、溶液は5分で固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。組成物のUV露光後の等温TGA(100℃で1時間)での固体残存率は~99%であった。UV-DSC(1J/cm、400nm、30℃)によると、組成物は4秒間のUV露光後、発熱ピークを示した。未露光溶液の一部を室温で保管してゲル化時間を経時的に記録した。結果を表14にまとめた。データによると、実施例27のDBP、実施例28のHALS-1、実施例29のHALS-2を安定化剤として添加すると、組成物の安定性が劇的に向上された。また、HALS-2がDBPとHALS-1に比べて保存寿命安定性がはるかに長かった。
【0138】
【表14】
【0139】
<実施例30>
〔HALS-2を使用したDecNB組成物の保存寿命〕
ガラス瓶で、Pd520(1モル部)、HALS-2(1モル部)、PAG1(8モル部)、およびITX(2モル部)をDecNB(5000モル部)に溶解して溶液を形成した。次いで、溶液を室温でUV光で4秒間露光した(1J/cm、395nm)。溶液は、5分で硬い固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。組成物のUV露光後の等温TGA(100℃で1時間)での固体残存率は~99%であった。未露光溶液を2つの異なる温度、すなわち室温と40℃で保管して粘度を経時的に測定した。エンタルピーの経時変化を、UV-DSC(1J/cm、400nm、30℃)で記録した。結果を表15(室温)および表16(40℃)にまとめた。データによると、HALS-2を添加すると、高温(40℃)でも組成物の保存寿命が劇的に向上した。室温または40℃で90日保管した後にも、各組成物をUVで露光すると5分で硬い固体に変わり、組成物がこの期間中に活性状態を維持しており、UV DSCで測定したエンタルピー値、すなわち重合熱にほぼ変化を示さず、容易に重合されたことを立証した。
【0140】
【表15】
【0141】
【表16】
【0142】
<実施例31>
〔HexadecylNB/PENBの塊重合〕
ガラス瓶で、Pd520(1モル部)、HALS-2(1モル部)、PAG1(8モル部)、およびITX(2モル部)をHexadecylNB/PENBの混合物(70/30、5000モル部)に溶解して溶液を形成した。次いで、溶液を室温でUV光で4秒間露光した(1J/cm、395nm)。溶液は、5分で固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。組成物のUV露光後の等温TGA(100℃で1時間)での固体残存率は~99%であった。溶液の粘度は、室温で15cPであった。次に、未露光溶液を40℃で保存した。40℃で2ヶ月間保管した後にも、溶液は流動性を維持し、粘度は室温で19cPであった。これにより、HALS-2を添加すると、高温(40℃)でも組成物の保存寿命が延長することが立証された。組成物は、2ヶ月が経過した後にも、UVで露光すると5分で硬化して、組成物がこの期間中に活性状態を維持し、容易に重合することができることが分かった。
【0143】
<実施例32>
〔HALS-2およびPd680を使用したDecNBの塊重合〕
ガラス瓶で、Pd680(1モル部)、HALS-2(1モル部)、PAG1(8モル部)、およびITX(2モル部)をDecNB(5000モル部)に溶解して溶液を形成した。次いで、溶液を室温でUV光で4秒間露光した(4J/cm、395nm)。溶液は、5分で硬い固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。組成物のUV露光後の等温TGA(100℃で1時間)での固体残存率は~99%であった。未露光溶液を40℃で保管して、粘度の経時変化をモニタリングした。溶液の初期粘度は、室温で7.2cPであった。40℃で2ヶ月間保管した後にも、溶液は流動性を維持し、粘度は室温で7.5cPであった。これにより、HALS-2を添加すると、高温(40℃)でも組成物の保存寿命が延長することが立証された。組成物は、2ヶ月が経過した後にも、UVで露光すると5分で硬化して、組成物がこの期間中に活性状態を維持し、容易に重合することができることが分かった。
以下の比較例1~4は、PROTON SPONGEが存在しない場合、組成物の保存寿命安定性が非常に短いということを立証する。比較例1~4の場合、それぞれ1日しか持たなかった。
【0144】
<比較例1~4>
〔PROTON SPONGEを添加しないPENBまたはDecNBの塊重合〕
別のガラス瓶で、Pd472またはPd520(1モル部)をそれぞれPAG1(2モル部)、ITX(2モル部)と混合し、PENBまたはDecNB(5000モル部)に溶解して透明な溶液を形成した。次いで、溶液を室温でUV光で4秒間露光した(395nm、1J/cmまたは4J/cm)。DSCおよびTGAによっても確認した結果、すべての溶液は数分内で固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。TGAテストで、組成物のUV露光後の等温TGA(100℃で1時間)での固形残存率はいずれも>98%であった。UV-DSCによると、すべての組成物は4秒間のUV露光後、発熱ピークを示し、これはUV露光後にも熱を放出し続けていることを意味する。5分間の反応時間におけるエンタルピー変化を測定して、各組成物の反応性を比較した。定されたTGAおよびエンタルピーデータを表17にまとめた。比較例1~4の各組成物は、表17で示すように室温で保管して1日でゲル化した。
【0145】
【表17】
【0146】
以下の比較例5~8は、PROTON SPONGEまたはクリプタンドの代わりにN,N-ジメチルアニリンまたはクラウンエーテルなどの塩基を使用する場合、保存寿命安定性を期待することができないことを立証する。
【0147】
<比較例5~8>
〔PENBの塊重合におけるN,N-ジメチルアニリンおよびクラウンエーテルの使用〕
別のガラス瓶で、Pd472およびPd520(1モル部)をそれぞれPAG1(2モル部)、ITX(2モル部)と混合し、PENB(5000モル部)に溶解して透明な溶液を形成した。表18にまとめたように、添加剤としてN,N-ジメチルアニリン(0.5モル部)または15-クラウン-5(0.5モル部)を、溶液に添加した。次いで、溶液を室温でUV光で4秒間露光した(395nm、1J/cm)。N,N-ジメチルアニリンおよび15-クラウン-5を含む溶液は、数分で固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。測定されたエンタルピーデータとゲル化時間を表18にまとめた。
【0148】
【表18】
【0149】
<比較例9>
ガラス瓶で、Pd520(1モル部)、PAG1(4モル部)、およびITX(2モル部)をPENB(5000モル部)に溶解して溶液を形成した。次いで、溶液を室温でUV光で4秒間露光した(1J/cm、395nm)。TGAおよびUV-DSCで確認した結果、溶液は5分で固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。組成物のUV露光後の等温TGA(100℃で1時間)での固体残存率は~99%であった。UV-DSC(1J/cm、400nm、30℃)によると、すべての組成物は、4秒間のUV露光後、発熱ピークを示した。未露光溶液を分けて室温、40℃、60℃で保管すると、各サンプルはすべて4~6時間でゲル化した。
【0150】
<比較例10>
ガラス瓶で、Pd680(1モル部)、PAG1(4モル部)、およびITX(2モル部)をPENB(5000モル部)に溶解して溶液を形成した。次いで、溶液を室温でUV光で4秒間露光した(1J/cm、395nm)。TGAおよびUV-DSCで確認した結果、溶液は5分で固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。組成物のUV露光後の等温TGA(100℃で1時間)での固体残存率は~99%であった。UV-DSC(1J/cm、400nm、30℃)によると、すべての組成物は、4秒間のUV露光後、発熱ピークを示した。未露光溶液を60℃で保管すると、4日後にゲル化した。
【0151】
<比較例11~13>
比較例11はN,N-ジメチルアニリン(1モル部)、比較例12はフェノチアジン(1モル部)、比較例13はエチル-4-ジメチルアミノベンゾエート(1モル部)を添加剤として使用したこと以外は、比較例11~13は実質的に実施例13の手順に従った。各組成物を別のガラス瓶で調製し、室温でUV光で4秒間露光した(1J/cm、395nm)。溶液は、数分で固体に変わり、モノマーが重合を起こしたことを示唆した。未露光溶液を室温で保管して、ゲル化時間を時間ごとに記録して表19にまとめた。データによると、比較例の添加剤がこれらの剤形の保存寿命を延長することができなかったことが分かる。
【0152】
【表19】
【0153】
<比較例14>
比較例14では、HALS-3を安定化剤として使用したこと以外は、実質的に実施例27~29の手順に従った。組成物は、室温で保管して1日でゲル化した。
【0154】
<比較例15>
比較例15では、安定化剤を使用しなかったこと以外は、実質的に実施例27~29の手順に従った。組成物は、室温で保管して1日でゲル化した。
【0155】
上記の実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施例に限定されず、本明細書で上述した一般的な領域を総体的に包括している。本発明の趣旨から逸脱しない限り、種々の改良および実施形態をなすことも可能である。