(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】モータ及びモータの製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 1/278 20220101AFI20240220BHJP
H02K 15/03 20060101ALI20240220BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H02K1/278
H02K15/03 Z
H02K7/116
(21)【出願番号】P 2023017766
(22)【出願日】2023-02-08
(62)【分割の表示】P 2019153841の分割
【原出願日】2019-08-26
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】大堀 竜
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-026935(JP,A)
【文献】国際公開第2017/002869(WO,A1)
【文献】特開2019-022431(JP,A)
【文献】特開2006-087277(JP,A)
【文献】特開2002-315279(JP,A)
【文献】特開2015-204734(JP,A)
【文献】国際公開第2017/002873(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/278
H02K 15/03
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻線及び前記巻線が巻回されるステータコアを有するステータと、
回転軸の一端に取り付けられ前記ステータの磁界を受けて回転するロータと、を備え、
前記ロータは、
前記回転軸に固定されるコア基端部、及び前記コア基端部から径方向外側に向けて放射状に突出する複数のコア突出部を有し、前記回転軸と一体に回転するロータコアと、
前記コア基端部の外周面上に配置され、周方向に隣り合う前記コア突出部との間に配置されるマグネットと、
前記ロータコアにおける前記回転軸の軸方向の両端にそれぞれ装着され、前記マグネットにおける前記軸方向の移動を規制する2つのホルダと、
前記ロータコア、前記マグネット及び2つの前記ホルダを覆い、前記マグネットの外周面及び2つの前記ホルダに当接するマグネットカバーと、
を有し、
前記マグネットカバーに前記ロータコア、前記マグネット及び2つの前記ホルダが覆われた状態において、
前記ステータコアの前記軸方向の中心位置と、前記ロータコアの前記軸方向の中心位置と、前記マグネットの前記軸方向の中心位置と、がずれており、
前記ステータに前記ロータが配置された状態において、
前記2つのホルダの前記軸方向で対向する内壁面同士の間の長さをL1とし、前記マグネットの前記軸方向の長さをL2とし、前記ステータコアの前記軸方向の中心位置と前記ロータコアの前記軸方向の中心位置との間の長さをL3としたとき、
各前記長さL1,L2,L3は、
L1-L2<L3
を満たし、
かつ、前記ロータコアの一端面と、2つの前記ホルダのうちの一方の前記ホルダの前記内壁面との間の長さは、前記ロータコアの他端面と、2つの前記ホルダのうちの他方の前記ホルダの前記内壁面との間の長さと同一である
ことを特徴とするモータ。
【請求項2】
巻線及び前記巻線が巻回されるステータコアを有するステータと、
回転軸の一端に取り付けられ前記ステータの磁界を受けて回転するロータと、
を備え、
前記ロータは、
前記回転軸に固定されるコア基端部、及び前記コア基端部から径方向外側に向けて放射状に突出する複数のコア突出部を有し、前記回転軸と一体に回転するロータコアと、
前記コア基端部の外周面上に配置され、周方向に隣り合う前記コア突出部との間に配置されるマグネットと、
前記ロータコアにおける前記回転軸の軸方向の両端にそれぞれ装着され、前記マグネットにおける前記軸方向の移動を規制する2つのホルダと、
前記ロータコア、前記マグネット及び2つの前記ホルダを覆い、前記マグネットの外周面及び2つの前記ホルダに当接するマグネットカバーと、
を有し、
前記マグネットカバーに前記ロータコア、前記マグネット及び2つの前記ホルダが覆われた状態において、
前記ロータコアの一端面と2つの前記ホルダのうちの一方の前記ホルダにおける前記ロータコアの前記一端面と前記軸方向で対向する内壁面との間の長さは、前記ロータコアの他端面と2つの前記ホルダのうちの他方の前記ホルダにおける前記他端面と前記軸方向で対向する内壁面との間の長さと同一であり、
前記ステータに前記ロータが配置された状態において、
前記ステータコアの前記軸方向の中心位置と、前記ロータコアの前記軸方向の中心位置と、前記マグネットの前軸方向の中心位置と、がずれており、
前記ステータコアの前記軸方向の中心位置と前記ロータコアの前記軸方向の中心位置との間に、前記マグネットの前記軸方向の中心位置がある
ことを特徴とするモータ。
【請求項3】
前記マグネットは、前記ステータコアに対する前記ロータコアのずれ方向とは反対側の前記ホルダと当接している
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記ロータコアは、前記軸方向における中心位置が、前記マグネットの前記軸方向における中心位置よりも前記回転軸の他端寄りに有する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記ロータコアの比重は前記マグネットの比重より大きい
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のモータの製造方法において、
前記ロータコアの外周面上であって隣り合う前記コア突出部との間に前記マグネットを配置した状態で、前記マグネットの外周面、前記コア突出部及び前記ホルダを覆うマグネットカバーを圧入し、前記マグネットカバーの一端を前記ホルダに押し当てるマグネットカバー圧入工程と、
前記マグネットカバー圧入工程の後、前記マグネットカバーの他端を前記ホルダに当接させてかしめるマグネットカバー固定工程と、
を有する
ことを特徴とするモータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ及びモータの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばモータのなかには、ブラシレスモータとして、巻線が巻回されたステータと、ステータの径方向内側に回転自在に設けられたロータと、を有するいわゆるインナーロータ型のモータが知られている。この種のロータの外周部には、周方向に沿って逆極性の磁極が交互に並ぶように永久磁石(以下、マグネットという)が配置されている。一方、ステータは、ロータの周囲を取り囲む筒状のステータコアと、ステータコアから径方向内側に向かって突出する複数のティースと、ティースに巻回された巻線と、を備えている。
モータは、巻線に電力が供給されると、ステータに所定の磁界が形成され、この磁界を受けて、磁界とマグネットとの間で磁気的な吸引力や反発力が生じ、これにより、ロータが継続的に回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のロータの構造では、マグネットが回転軸の端面側に寄ってしまうと重心が回転軸(ロータ)の中心位置から離れていまい、わずかな振れで大きな動的アンバランスになる等のデメリットが存在していた。
また、マグネットの重心をロータの中心位置に寄せるようにした場合、ステータの軸中心位置に対してマグネットの中心位置がずれてしまい、マグネットの有効磁束が効果的にロータの回転トルクに寄与されず、モータ特性が低下してしまう可能性があった。
【0005】
そこで、本発明は、ロータの動的アンバランスを抑制でき、さらに、モータ特性の低下を抑制できるモータ及びモータの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係るモータは、巻線及び前記巻線が巻回されるステータコアを有するステータと、回転軸の一端に取り付けられ前記ステータの磁界を受けて回転するロータと、を備え、前記ロータは、前記回転軸に固定されるコア基端部、及び前記コア基端部から径方向外側に向けて放射状に突出する複数のコア突出部を有し、前記回転軸と一体に回転するロータコアと、前記コア基端部の外周面上に配置され、周方向に隣り合う前記コア突出部との間に配置されるマグネットと、前記ロータコアにおける前記回転軸の軸方向の両端にそれぞれ装着され、前記マグネットにおける前記軸方向の移動を規制する2つのホルダと、前記ロータコア、前記マグネット及び2つの前記ホルダを覆い、前記マグネットの外周面及び2つの前記ホルダに当接するマグネットカバーと、を有し、前記マグネットカバーに前記ロータコア、前記マグネット及び2つの前記ホルダが覆われた状態において、前記ステータコアの前記軸方向の中心位置と、前記ロータコアの前記軸方向の中心位置と、前記マグネットの前記軸方向の中心位置と、がずれており、前記ステータに前記ロータが配置された状態において、前記2つのホルダの前記軸方向で対向する内壁面同士の間の長さをL1とし、前記マグネットの前記軸方向の長さをL2とし、前記ステータコアの前記軸方向の中心位置と前記ロータコアの前記軸方向の中心位置との間の長さをL3としたとき、
各前記長さL1,L2,L3は、
L1-L2<L3
を満たし、かつ、前記ロータコアの一端面と、2つの前記ホルダのうちの一方の前記ホルダの前記内壁面との間の長さが同一であり、前記ロータコアの他端面と、2つの前記ホルダのうちの他方の前記ホルダの前記内壁面との間の長さが同一であることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るモータは、巻線及び前記巻線が巻回されるステータコアを有するステータと、回転軸の一端に取り付けられ前記ステータの磁界を受けて回転するロータと、を備え、前記ロータは、前記回転軸に固定されるコア基端部、及び前記コア基端部から径方向外側に向けて放射状に突出する複数のコア突出部を有し、前記回転軸と一体に回転するロータコアと、前記コア基端部の外周面上に配置され、周方向に隣り合う前記コア突出部との間に配置されるマグネットと、前記ロータコアにおける前記回転軸の軸方向の両端にそれぞれ装着され、前記マグネットにおける前記軸方向の移動を規制する2つのホルダと、前記ロータコア、前記マグネット及び2つの前記ホルダを覆い、前記マグネットの外周面及び2つの前記ホルダに当接するマグネットカバーと、を有し、前記マグネットカバーに前記ロータコア、前記マグネット及び2つの前記ホルダが覆われた状態において、前記ロータコアの一端面と2つの前記ホルダのうちの一方の前記ホルダにおける前記ロータコアの前記一端面と前記軸方向で対向する内壁面との間の長さが同一であり、前記ロータコアの他端面と2つの前記ホルダのうちの他方の前記ホルダにおける前記他端面と前記軸方向で対向する内壁面との間の長さが同一であり、前記ステータに前記ロータが配置された状態において、前記ステータコアの前記軸方向の中心位置と、前記ロータコアの前記軸方向の中心位置と、前記マグネットの前軸方向の中心位置と、がずれており、前記ステータコアの前記軸方向の中心位置と前記ロータコアの前記軸方向の中心位置との間に、前記マグネットの前記軸方向の中心位置があることを特徴とする。
【0008】
上記構成において、前記マグネットは、前記ステータコアに対する前記ロータコアのずれ方向とは反対側の前記ホルダと当接してもよい。
【0009】
上記構成において、前記ロータコアは、前記軸方向における中心位置が、前記マグネットの前記軸方向における中心位置よりも前記回転軸の他端寄りに有してもよい。
【0010】
上記構成において、前記ロータコアの比重は前記マグネットの比重より大きくてもよい。
【0011】
上記構成のモータの製造方法は、前記ロータコアの外周面上であって隣り合う前記コア突出部との間に前記マグネットを配置した状態で、前記マグネットの外周面、前記コア突出部及び前記ホルダを覆うマグネットカバーを圧入し、前記マグネットカバーの一端を前記ホルダに押し当てるマグネットカバー圧入工程と、前記マグネットカバー圧入工程の後、前記マグネットカバーの他端を前記ホルダに当接させてかしめるマグネットカバー固定工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ロータの動的アンバランスを抑制でき、さらに、モータ特性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態における減速機付モータの外観を示す斜視図。
【
図2】本発明の実施形態における減速機付モータを示す断面図。
【
図3】本発明の実施形態におけるモータ部を示す断面図。
【
図4】本発明の実施形態におけるロータを示す断面図。
【
図6】本発明の実施形態におけるロータの分解斜視図。
【
図7】本発明の実施形態におけるロータのマグネット及びロータコアを回転軸の軸方向から見た平面図。
【
図8】本発明の実施形態におけるロータの製造工程を説明する断面図であり、(a)から(c)は、各工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態のモータ及びモータの製造方法について図面を参照して説明をする。なお、実施形態においては、モータとして減速機付モータ1を例に説明するが、その他のモータに適用してもよい。
【0015】
<減速機付モータ>
図1は、減速機付モータ1の外観を示す斜視図である。
図1に示すように、減速機付モータ1は、例えば車両に搭載される電装品(例えば、ワイパ、パワーウインドウ、サンルーフ、電動シート等)の駆動源となるものである。具体的には、減速機付モータ1は、減速機付モータ1の外殻をなすハウジング10と、ハウジング10に設けられたモータ部20と、ハウジング10内に設けられ、モータ部20の回転を減速して出力する減速機部30と、を備えている。
【0016】
図2は、減速機付モータ1を示す断面図である。
図1、
図2に示すように、ハウジング10は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料に形成されている。ハウジング10は、モータ部20及び減速機部30を保持するハウジング本体11と、カバー12と、から構成されている。
【0017】
ハウジング本体11の一面側には、減速機部30を収容する減速機収容部13が形成されている。減速機収容部13は、ハウジング本体11の天面部11tから天面部11tに対向する背面部11bに向かって窪んだ有底状である。減速機収容部13は、背面部11b側に形成された底部13bと、底部13bの外周部から天面部11t側に立ち上がる周壁部13wと、に囲まれている。
【0018】
減速機収容部13には、後述するウォーム軸31を収容する軸収容溝14と、ウォームホイール32を収容するホイール収容凹部15と、が形成されている。減速機収容部13内には、軸収容溝14の軸線方向の両端部に、ウォーム軸31(回転軸27)を回転自在に支持する軸受部16A,16Bが形成されている。
【0019】
ハウジング本体11の外周部には、周壁部13wから外方に向かってウォーム軸31の軸線方向に沿って筒状に延びるモータ収容部17が一体に形成されている。モータ収容部17は、モータ部20の一部を収容する。モータ収容部17の内側には、周壁部13wを貫通し、前記の軸受部16Aに連通する軸挿通孔(図示無し)が形成されている。
また、ハウジング本体11には、背面部11bから、天面部11tとは反対側に突出するボス部19が一体に形成されている。ボス部19には、ホイール収容凹部15に連通する貫通孔(図示無し)が貫通形成されている。
【0020】
ハウジング本体11の天面部11t側において、減速機収容部13を塞ぐようにカバー12が設けられている。カバー12は、その外周部の複数個所において、不図示のボルトによってハウジング本体11に締結されている。カバー12には、このカバー12をハウジング本体11に取り付けた状態で、モータ収容部17に隣接してコネクタ受容部12cが形成されている。コネクタ受容部12cは筒状をなし、外部の電源供給コネクタが接続される。
【0021】
<モータ部>
図3は、モータ部20を示す断面図である。
図3に示すように、モータ部20は、モータ収容部17に取り付けられるモータカバー21と、モータ収容部17及びモータカバー21内に収納された円筒状のステータ22と、ステータ22の径方向内側に設けられ、ステータ22に対して回転自在に設けられたロータ23と、を備えている。
モータカバー21は、鉄等の金属からなる部材であって、例えば深絞りによるプレス加工等により有底円筒状に成形されている。モータカバー21の開口端には、径方向外側に張り出すフランジ21a(
図1も参照)が形成されている。フランジ21aに挿通されたボルト21bにより、モータ収容部17にモータカバー21が連結されている。
【0022】
ステータ22は、モータカバー21の内周面に沿って配置される。ステータ22は、略円筒状に形成されたステータコア24と、ステータコア24から径方向内側に向かって突出する複数のティース25と、ステータコア24に巻回される巻線26と、を備える。
ステータコア24は、複数の鋼板24pを積層して形成される。なお、ステータコア24は、複数の金属板を積層して形成する場合に限られるものではなく、例えば、軟磁性粉を加圧成形することにより形成してもよい。このように形成されたステータコア24の外周面が、モータカバー21の内周面に嵌合される。
【0023】
ティース25は、ステータコア24の径方向内側に沿って周方向に等間隔で形成されている。ティース25に、巻線26が巻回される。巻線26は、不図示のコントローラ基板から供給される電流によって、ロータ23を回転させるための磁束を発生する。
【0024】
図4は、ロータ23を示す断面図である。
図5は、ロータ23の斜視図である。
図4、
図5に示すように、ロータ23は、回転軸27と、回転軸27に嵌合固定されたロータ本体28と、を有する。なお、以下の説明では、回転軸27の軸方向を単に軸方向と称する。
【0025】
ロータ本体28は、回転軸27に圧入されるロータコア42と、ロータコア42に取り付けられるマグネット(「ロータマグネット」ともいう)43A,43Bと、マグネット43A,43Bを保持するための第1、第2のマグネットホルダ(ホルダ)44A,44B及びマグネットカバー45と、を備える。
第1、第2のマグネットホルダ44A,44Bは、マグネット43A,43Bを軸方向に挟むように配置されている。これにより、第1、第2のマグネットホルダ44A,44Bは、マグネット43A,43Bのロータコア42からの軸方向の脱落を防止する。
【0026】
<ロータコア>
図6は、ロータ23の分解斜視図である。
図5、
図6に示すように、回転軸27は、減速機部30を構成するウォーム軸31と一体成形されている(
図2も参照)。回転軸27のうち端面27a側の端部(一端)27b(
図3参照)に、ロータコア42が取り付けられている。ロータコア42は、回転軸27の外周に圧入されることにより回転軸27と一体に回転する。ロータコア42は、複数の金属板を軸方向に積層することにより形成されている。なお、ロータコア42は、複数の鋼板42pを軸方向に積層して形成する場合に限られるものではなく、例えば、軟磁性粉を加圧成形することにより形成してもよい。
【0027】
ロータコア42は、円筒状に形成されたコア基端部47と、コア基端部47から径方向外側に向けて放射状に突出する複数のコア突出部48と、を有する。コア基端部47の径方向中央には軸方向に貫通する貫通孔47aが形成されている。貫通孔47aに、回転軸27が圧入されている(
図3も参照)。なお、貫通孔47aに対して回転軸27を挿入とし、接着剤等を用いて回転軸27にロータコア42を外嵌固定してもよい。複数のコア突出部48は、例えば、周方向に90°の間隔をおいて等間隔に4個突出されている。
【0028】
<マグネット>
図7は、ロータ23のマグネット43A,43B及びロータコア42を軸方向から見た平面図である。
図6、
図7に示すように、周方向で隣接するコア突出部48の間に、マグネット43A,43Bが配置されている。マグネット43A,43Bは、軸方向断面が扇状のセグメント型のマグネットである。マグネット43A,43Bは、コア基端部47の外周面(外周部)47bに周方向に並べて円環状に4個配置されている。マグネット43A,43Bは、例えばフェライト磁石からなる。ここでは、マグネット43A,43Bは4個であるから、それぞれが中心角θ<90°の扇形に形成されている。
【0029】
マグネット43A,43Bは、共に円弧面よりなる内径面(内周面)43cから外径面(外周面)43dに向けて着磁されている。マグネット43A,43Bは、ロータコア42の外周面に円環状に並べて配置したとき、外径面43dの磁極が周方向に交互に逆極性で並ぶように設定されている。つまり、マグネット43A,43Bは、逆極性に着磁されたものが2種類用意されており、コア基端部47の外周面47bに周方向に沿って交互に配置されている。従って、マグネット43A,43Bの組立体を有するロータ本体28は、4極の磁極を持つ。
【0030】
マグネット43A,43Bは、内径面43cと外径面43dとが円弧面として形成されている。セグメント型のマグネット43A,43Bは、周方向で隣接するコア突出部48の間に配置された状態において、隣接するコア突出部48にマグネット43A,43Bの周方向の両端面43tが当接される。これにより、ロータ23の回転方向に対するマグネット43A,43Bの位置ずれを防ぐことができる。
また、マグネット43A,43Bは、ロータコア42及びステータコア24に対して軸方向の両側にオーバハングされている。オーバハングとは、ロータコア42の軸方向両側のコア端面42a,42bからマグネット43A,43Bの軸方向両端面が突出された状態をいう。
【0031】
<マグネットホルダ>
第1、第2のマグネットホルダ44A,44Bは、環状のマグネット保持部44cと、マグネット保持部44cに一体に形成されたコア保持部44dと、を備えている。第1、第2のマグネットホルダ44A,44Bの材料としては、例えば非磁性の樹脂材料が挙げられる。
マグネット保持部44cは、径方向中央の開口縁44eと外周縁44fとが円弧状に形成されることにより、平坦な環状に形成されている。マグネット保持部44cには、マグネット43A,43B側の面となる内壁面44i1、44i2に、コア保持部44dが一体に形成されている。コア保持部44dは、環状部44gと、環状部44gから径方向外側に延びる複数の突出部44hと、を有する。
【0032】
環状部44gは、マグネット保持部44cの内壁面44i1,44i2において、開口縁44eに倣って環状に形成されている。
複数の突出部44hは、環状部44gからマグネット保持部44cの内壁面44i1,44i2に沿って外周縁44fまで径方向外側へ放射状に延びている。複数の突出部44hは、例えば、周方向に90°の間隔をおいて等間隔に4個突出されている。
【0033】
環状部44gには、ロータコア42のコア基端部47の端面が当接される。突出部44hには、ロータコア42のコア突出部48の端面が当接される。具体的には、第1のマグネットホルダ44Aは、ロータコア42の両側のコア端面42a,42bのうち、回転軸27の端面27aの反対側のコア端面(端面)42aに当接している(
図4も参照)。また、第2のマグネットホルダ44Bは、ロータコア42の両側のコア端面42a,42bのうち、回転軸27の端面27a側のコア端面(端面)42bに当接している。
【0034】
すなわち、第1のマグネットホルダ44A及び第2のマグネットホルダ44Bは、ロータコア42を軸方向において挟持するように、ロータコア42の両側のコア端面42a,42bに配置されている。第1のマグネットホルダ44A及び第2のマグネットホルダ44Bの間に、マグネット43A,43Bが配置される。すなわち、マグネット43A,43Bは、第1、第2のマグネットホルダ44A,44Bによって軸方向に移動できるように、かつ所定以上の軸方向への移動が規制されるように保持されている。
【0035】
<マグネットカバー>
第1のマグネットホルダ44A、第2のマグネットホルダ44B、ロータコア42、及びマグネット43A,43Bの外周は、マグネットカバー45で覆われている。さらに、第1、第2のマグネットホルダ44A,44Bは、マグネットカバー45で保持されている。マグネットカバー45の材料としては、例えば、ステンレス等の非磁性材料が挙げられる。
【0036】
マグネットカバー45は、マグネットホルダ44A,44Bの外径面43dを覆う円筒部45aと、円筒部45aの軸方向両端に一体形成された第1のフランジ45b及び第2のフランジ45cと、を有する。円筒部45aは、中空の円筒状に形成されている。円筒部45aの内周面は、マグネット43A,43Bの外径面43dに当接されている。これにより、マグネット43A,43Bの両端面43tがロータコア42のコア突出部48に当接(密着)された状態において、マグネット43A,43Bが円筒部45aで保持(固定)保持される。
【0037】
円筒部45aのうち、回転軸27の端面27aの反対側の一端45dから径方向内側に第1のフランジ45b(
図4も参照)が張り出されている。第1のフランジ45bは、第1のマグネットホルダ44Aのマグネット保持部44cの表面に当接されている。
円筒部45aのうち、回転軸27の端面27a側の他端45eから径方向内側に第2のフランジ45cが張り出されている。第2のフランジ45cは、第2のマグネットホルダ44Bのマグネット保持部44cの表面に当接されている。
【0038】
このように、第1のマグネットホルダ44Aのマグネット保持部44cの表面に、第1のフランジ45bが当接される。また、第2のマグネットホルダ44Bのマグネット保持部44cの表面に、第2のフランジ45cが当接される。これにより、第1のマグネットホルダ44A及び第2のマグネットホルダ44Bが、マグネットカバー45によりロータコア42と一体に保持されている。
【0039】
すなわち、ロータ23は、例えば、回転軸27にロータコア42が固定された状態において、ロータコア42にマグネット43A,43Bがマグネットカバー45の円筒部45aにより固定されている。また、ロータコア42に第1、第2のマグネットホルダ44A,44Bがマグネットカバー45の第1のフランジ45b及び第2のフランジ45cにより固定されている。これにより、回転軸27、ロータコア42、マグネット43A,43B、第1、第2のマグネットホルダ44A,44B、及びマグネットカバー45により、ロータ23が一体に組み付けられている。
なお、実施形態においては、マグネット43A,43Bをマグネットカバー45で固定する例について説明するが、マグネット43A,43Bを接着剤で固定してもよい。
【0040】
<ロータコア、マグネット、及びステータコアの軸方向における位置関係>
以下、
図3、
図4に基づいて、ロータコア42、マグネット43A,43B、及びステータコア24の軸方向における位置関係を説明する。
図4に示すように、第1のマグネットホルダ44A及び第2のマグネットホルダ44Bの間にホルダ空間部46が形成されている。
【0041】
ここで、ホルダ空間部46の軸方向の長さ、つまり、各マグネットホルダ44A,44Bの軸方向で対向する内壁面44i1,44i2同士の間の長さをL1とし、マグネット43A,43Bの軸方向のマグネット長さをL2としたとき、各長さL1,L2は、
L1>L2 ・・・(1)
を満たしている。このため、第1のマグネットホルダ44A及び第2のマグネットホルダ44Bの間のホルダ空間部46においてマグネット43A,43Bを軸方向の任意の位置に保持することが可能である。
【0042】
実施形態においては、例えば、マグネット43A,43Bは、軸方向のマグネット端面43eが第2のマグネットホルダ44Bのマグネット保持部44cに当接されている。また、マグネット43A,43Bは、軸方向のマグネット端面43fが第1のマグネットホルダ44Aのマグネット保持部44cに対して軸方向に間隔をおいて配置されている。すなわち、マグネット端面43fとマグネット保持部44cとの間に空間長さLkの空間が形成される。空間長さLkは、
L1-L2=Lk ・・・(2)
を満たす。
実施形態においては、マグネット保持部44cにマグネット端面43eを当接させる例について説明するが、マグネット保持部44c寄りにマグネット端面43eを配置してもよい。
【0043】
また、ロータコア42のコア端面42aと第1のマグネットホルダ44Aにおけるマグネット保持部44cの内壁面44i1との間の第1ホルダ長さLh1と、ロータコア42のコア端面42bと第2のマグネットホルダ44Bにおけるマグネット保持部44cの内壁面44i2との間の第2ホルダ長さLh2とは、同一長さである。
【0044】
ここで、マグネット保持部44cにマグネット端面43eが当接され、マグネット端面43fとマグネット保持部44cとの間に空間長さLkの空間が形成されている。このため、マグネット43A,43Bは、軸方向においてマグネット中心位置C2がロータ中心位置C1に対して軸方向の端面27a側にずれている(オフセットされている)。換言すれば、ロータ中心位置C1が、マグネット中心位置C2よりも回転軸27の中心寄り(すなわち、
図3に示す回転軸27の端部(一端)27bの反対側の他端寄り)に配置されている。ここで、ロータコア42の比重は、一般的にマグネット43A,43Bの比重より大きい。
【0045】
図3に示すように、ステータ中心位置C3に対してロータ中心位置C1が回転軸27の軸方向の端面27aの反対側にずれている(オフセットされている)。ロータ中心位置C1とステータ中心位置C3との間のオフセット長さL3は、空間長さLkより大きい。換言すれば、空間長さLkが、オフセット長さL3より小さく設定されている。よって、オフセット長さL3は、ロータ中心位置C1に対するマグネット中心位置C2のオフセット長さL4より大きく設定されている。すなわち、各マグネットホルダ44A,44Bの軸方向で対向する内壁面44i1,44i2同士の間の長さL1、マグネット43A,43Bの軸方向のマグネット長さL2、及びオフセット長さL3は、
L1-L2<L3 ・・・(3)
を満たす。
【0046】
また、マグネット43A,43Bは、ステータ中心位置C3に対するロータ中心位置C1のオフセット方向とは反対側のマグネット保持部44cとマグネット端面43eが当接している。これにより、マグネット中心位置C2は、軸方向においてステータ中心位置C3とロータ中心位置C1との間に配置されている。すなわち、回転軸27の端面27aから離れる方向にステータ中心位置C3、マグネット中心位置C2、及びロータ中心位置C1の順に配置されている。換言すれば、ステータ中心位置C3とロータ中心位置C1との間に、マグネット中心位置C2がある。
【0047】
このように、上述のモータ部20は、ロータ中心位置(すなわち、ロータコア42の中心位置)C1が、ステータ中心位置C3に対して軸方向の端面27aの反対側(すなわち、ロータ23の回転軸27の中心位置側)にオフセット長さL4だけずらされている。このため、マグネット中心位置C2がロータ23の回転軸27の中心位置側に配置され、マグネット中心位置C2の重量が回転軸27の中心位置側に近づけられている。これにより、ロータ23の回転による振れが発生した場合に、ロータ23の動的アンバランスを抑制できる。
さらに、ロータコア42の比重は、一般的にマグネット43A,43Bの比重より大きい。加えて、ロータ中心位置C1がマグネット中心位置C2よりも回転軸27の中心寄りに配置されている。これにより、ロータ23の動的アンバランスを一層良好に抑制できる。
【0048】
また、各マグネットホルダ44A,44Bの軸方向で対向する内壁面44i1,44i2同士の間の長さL1、マグネット43A,43Bの軸方向のマグネット長さL2、及びオフセット長さL5は、上記式(3)を満たす。換言すれば、ステータ中心位置C3とロータ中心位置C1との間に、マグネット中心位置C2がある。このため、マグネット中心位置C2の重量をロータ23の回転軸27の中心位置側に近づけることができ、かつ、マグネット中心位置C2をステータ中心位置C3に近づけることができる。これにより、マグネット中心位置C2とステータ中心位置C3との不一致による磁束漏れを抑制でき、マグネット43A,43Bの有効磁束を効果的にロータ23の回転トルクに寄与させることができる。よって、モータ部20モータ特性が低下してしまうことを抑制できる。
【0049】
このように、減速機付モータ1では、第1のマグネットホルダ44A及び第2のマグネットホルダ44Bの間のホルダ空間部46においてマグネット43A,43Bを軸方向の任意の位置に保持できるようにした。よって、マグネット43A,43Bを第2のマグネットホルダ44B側に片寄せできる。これにより、ステータ中心位置C3、マグネット中心位置C2、ロータ中心位置C1を軸方向にオフセットさせて別々に配置し、各中心位置C3,C2,C1を最適位置に設定した。したがって、ロータ23による動的バランスと、モータ特性の両立を達成できる。
【0050】
<減速機部>
図2に示すように、減速機部30は、ウォーム軸31と、ウォーム軸31に噛合されるウォームホイール32と、により構成されている。
ウォーム軸31は、軸受部16A,16Bの中間部において、モータ部20の回転軸27の外周面に、螺旋状に連続するウォームギア部31gが形成されることで、回転軸27の一部として形成されている。
ウォームギア部31gは、その外径が、ウォーム軸31(回転軸27)の外径よりも大きくなるよう形成されている。このようなウォームギア部31gは、転造により形成されている。
なお、ウォーム軸31は、モータ部20の回転軸27とは別体として構成し、ウォーム軸31と回転軸27とを連結することで一体化してもよい。
【0051】
ウォームホイール32は、円盤状で、その外周面にウォーム軸31のウォームギア部31gに噛み合う外周ギア部32gを有している。ウォームホイール32は、ハウジング本体11の減速機収容部13のホイール収容凹部15に収容されている。
ウォームホイール32において、減速機収容部13の底部13bに対向する側には、このウォームホイール32の径方向中央から突出する出力軸33が設けられている。出力軸33は、ウォームホイール32の回転中心と同軸上に配置されている。出力軸33の先端部は、ハウジング本体11に形成されたボス部19の貫通孔を介してハウジング本体11の外部に突出している。出力軸33の先端部には、不図示の電装品と接続されるスプライン33aが形成されている。
【0052】
<減速機付モータの動作>
次に、減速機付モータ1の動作について説明する。
減速機付モータ1は、不図示のコントローラ部からモータ部20の各巻線26に電力が供給されると、ステータ22(ティース25)に所定の磁界が形成される。この磁界を受けて、磁界とロータ23のマグネット43A,43Bとの間で磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、ロータ23が継続的に回転する。ロータ23が回転すると、回転軸27と一体化されたウォーム軸31が回転し、さらにウォーム軸31に噛合されているウォームホイール32が回転する。そして、ウォームホイール32に連結された出力軸33が回転し、所望の電装品が駆動される。
【0053】
<モータの製造方法>
次に、
図3、
図4、
図8(a)から
図8(c)に基づいて、ロータ23の製造方法、具体的にはロータ23の製造工程を説明する。
図8は、ロータ23の製造工程を説明する断面図であり、(a)から(c)は、各工程を示す。
図8(a)に示すように、回転軸27にロータコア42が固定された状態において、ロータコア42のコア端面42aに第1のマグネットホルダ44Aが当接されている。また、ロータコア42のコア端面42bに第2のマグネットホルダ44Bが当接されている。さらに、第1のマグネットホルダ44A及び第2のマグネットホルダ44Bの間にマグネット43A,43Bが配置されている。さらに、マグネット43A,43Bは隣接するコア突出部48(
図7参照)の間に配置されている。
この状態において、マグネット43A,43Bは、第1のマグネットホルダ44A及び第2のマグネットホルダ44Bの間のホルダ空間部46において、軸方向に移自在に配置されている。
【0054】
このように組み付けられた回転軸27、ロータコア42、第1、第2のマグネットホルダ44A,44B、及びマグネット43A,43Bを載置台51に配置する。組み付けられた回転軸27、ロータコア42、第1、第2のマグネットホルダ44A,44B、及びマグネット43A,43Bの上方において、マグネットカバー45の一端45d側を押圧機52の把持部53に把持する。マグネットカバー45の他端45e側の第2のフランジ45cは、かしめられていない状態で径方向外側に傾斜状(末広がり状)に広げられている。
【0055】
図8(b)に示すように、押圧機52の把持部53でマグネットカバー45を下降する。マグネットカバー45を下降することにより、マグネットカバー45の第2のフランジ45cが第1のマグネットホルダ44Aを経てマグネット43A,43Bの外径面43dに矢印A方向へ嵌合する。これにより、マグネットカバー45の円筒部45aがマグネット43A,43Bの外径面43dに圧入した状態で嵌合する。
マグネット43A,43Bがマグネットカバー45の円筒部45aとともに、矢印A方向に移動する。これにより、マグネット43A,43Bのマグネット端面43eが第2のマグネットホルダ44Bのマグネット保持部44cに当接する。
すなわち、マグネット43A,43Bは、ロータコア42に対して回転軸27の端面27a側に軸方向へオフセットされた位置に移動する。
【0056】
図8(c)に示すように、マグネット43A,43Bの外径面43dに円筒部45aを圧入した状態に嵌合する。よって、マグネットカバー45の第1のフランジ45bを第1のマグネットホルダ44Aのマグネット保持部44cの表面に押し当てる(当接する)/(マグネットカバー圧入工程)。この状態において、マグネットカバー45の第2のフランジ45cが第2のマグネットホルダ44Bの下方に突出する。
【0057】
図4に示すように、突出したマグネットカバー45の第2のフランジ45cを径方向内側にかしめることにより、第2のフランジ45cが第2のマグネットホルダ44Bのマグネット保持部44cの表面に当接する(マグネットカバー固定工程)。これにより、
図3に示すように、回転軸27、ロータコア42、マグネット43A,43B、第1、第2のマグネットホルダ44A,44B、及びマグネットカバー45がロータ23に一体に組み付けられ、ロータ23の製造工程が完了する。
【0058】
以上説明したように、ロータ23の製造方法(すなわち、ロータ23の製造工程)によれば、第1のマグネットホルダ44A及び第2のマグネットホルダ44Bの間のホルダ空間部46においてマグネット43A,43Bが軸方向に移自在に配置されている。よって、マグネットカバー45の円筒部45aをマグネット43A,43Bの外径面43dに圧入することにより、マグネット43A,43Bをロータコア42に対して片寄せできる。
【0059】
具体的には、マグネット43A,43Bのマグネット中心位置C2を、ロータコア42のロータ中心位置C1に対して軸方向の端面27a側にL5だけオフセット(片寄せ)させた状態に固定できる。これにより、マグネット43A,43Bを片寄せさせたロータ23を簡単に製造できる。さらに、マグネット中心位置C2がステータ中心位置C3とロータ中心位置C1との間に配置された減速機付モータ1を容易に製造できる。
【0060】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、減速機付モータ1は、車両に搭載される電装品(例えば、ワイパ、パワーウインドウ、サンルーフ、電動シート等)の駆動源となるものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、さまざまな電気機器に減速機付モータ1を採用できる。また、さまざまな電気機器にモータ部20のみを採用することもできる。
【符号の説明】
【0061】
1…減速機付モータ(モータ)、20…モータ部(モータ)、22…ステータ、23…ロータ、24…ステータコア、27…回転軸、27a…回転軸の端面(一端)、27b…回転軸の端面側の端部(一端)、42…ロータコア、42a,42b…コア端面(ロータコアの端面)、43A,43B…マグネット、43d…マグネットの外径面(マグネットの外周面)、44A,44B…第1、第2のマグネットホルダ(ホルダ)、44c…マグネット保持部、44i1,44i2…内壁面、45…マグネットカバー、45d…マグネットカバーの一端、45e…マグネットカバーの他端、46…ホルダ空間部、47…コア基端部、47b…コア基端部の外周面(ロータコアの外周部)、48…コア突出部、C1…ロータ中心位置(ロータコアの軸方向の中心位置)、C2…マグネット中心位置(マグネットの軸方向の中心位置)、C3…ステータ中心位置(ステータコアの軸方向の中心位置)、L1…ホルダ空間長さ、L2…マグネット長さ、L3…オフセット長さ(ステータコアの軸方向の中心位置とロータコアの軸方向の中心位置との間の長さ)、Lk…空間長さ、Lh1…第1(ロータコアの端面とホルダの内壁面との間の長さ)、Lh2…第2のホルダ長さ(ロータコアの端面とホルダの内壁面との間の長さ)