(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】超音波物体検出装置
(51)【国際特許分類】
B60J 5/00 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
B60J5/00 Z
B60J5/00 K
(21)【出願番号】P 2023500735
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 JP2022004645
(87)【国際公開番号】W WO2022176669
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2021025559
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】徳留 哲夫
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-067425(JP,A)
【文献】特開2007-016412(JP,A)
【文献】特開2017-031803(JP,A)
【文献】特開2011-208378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の開口部を開閉するドアの外側において、車長方向に延びるように配置された樹脂製の振動板と、
前記振動板の内面に配置され、超音波を送受信可能な超音波センサと、
前記振動板の内面を前記超音波センサを含めて覆うように配置された超音波吸収材と
を備える、超音波物体検出装置。
【請求項2】
前記振動板は前記ドアの下部に配置され、
前記超音波センサの下側の部分の前記振動板の内面に配置された第1制振部材をさらに備える、請求項1に記載の超音波物体検出装置。
【請求項3】
前記振動板に対向する部分の前記ドアのアウターパネルに配置された第2制振部材をさらに備える、請求項1又は2に記載の超音波物体検出装置。
【請求項4】
前記第2制振部材は前記アウターパネルの外面に配置されている、請求項3に記載の超音波物体検出装置。
【請求項5】
前記第2制振部材は前記アウターパネルの内面に配置されている、請求項3に記載の超音波物体検出装置。
【請求項6】
前記振動板はサイドモールの一部である、請求項1から5のいずれかに記載の超音波物体検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドアが開放動作時に障害物と衝突するのを回避するための、超音波物体検出装置が知られている。この超音波物体検出装置は、超音波の送受信が可能な超音波センサを備える。超音波センサによる超音波の発信から、物体で反射された超音波が超音波センサで受信されるまでの時間を測定し、それに基づいて、障害物の有無と障害物までの距離が検出される。
【0003】
特許文献1には、ドアに開口を設けることなく、ドアのパネルの内側にセンサを配置することで、車両の意匠性が向上された超音波センサアセンブリが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように開口を設けることなく超音波センサを車両のドア内に配置した場合、ドアのアウターパネル(一般に鋼板製)が発信された超音波の一部を遮り、横波がアウターパネルに残留する。超音波センサは、アウターパネルに残留する横波を減衰するまで感知し続ける。その結果、障害物で反射されて戻ってくる縦波と、アウターパネルに残留する横波とを超音波センサが識別できず、障害物の検出が困難な場合がある。
【0006】
特許文献1に記載の超音波センサアセンブリでは、アウターパネルに残留する横波を減衰させるために制振部材(damping material)が設けられている。その結果、アウターパネルに横波が残留することが抑制され、受信の感度が向上され得る。しかし、十分な受信の感度を得るためには制振部材が必要であり、超音波センサアセンブリの構成が複雑になっている。
【0007】
本発明は、構成を簡素化しつつ、物体を確実に検出できる超音波物体検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車体の開口部を開閉するドアの外側において、車長方向に延びるように配置された樹脂製の振動板と、前記振動板の内面に配置され、超音波を送受信可能な超音波センサと、前記振動板の内面を前記超音波センサを含めて覆うように配置された超音波吸収材とを備える、超音波物体検出装置を提供する。
【0009】
一般的に樹脂製の材料には、横波が残留し難い。そのため、振動板に例えば制振部材を設けない場合であっても、振動板に到達した反射波(縦波)と振動板に残留する横波との干渉が抑制ないし防止され、超音波センサは確実に反射波を受信できる。また、超音波吸収材が振動板の内面に設けられていることで、振動板が振動することで発生する超音波のうち、振動板の内側(ドア側)に向かって進行する超音波が、ドアに反射して振動板で受信されることを防止できる。すなわち、誤検知が防止され得る。以上より、振動板における横波の減衰のための制振材を設けることなく、つまり超音波物体検出装置の構成を簡素化しつつ、車両の周囲の物体を確実に検出できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の超音波物体検出装置によれば、構成を簡素化しつつ、物体を確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る超音波物体検出装置を備える自動車の側面図。
【
図2】第1実施形態に係る超音波物体検出装置のブロック図。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る超音波物体検出装置を備える自動車の側面図。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る超音波物体検出装置の
図6の部分IXの拡大図。
【
図11】本発明の第3実施形態の変形例を示す
図10と同様の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る超音波物体検出装置1(以下、単に物体検出装置1と呼ぶ)を備える、車両の一例である自動車2を示す。本実施形態では、自動車2は、車体3の開口部3aを開閉するいずれも旋回式の4枚のドア、つまり左右のフロントサイドドア4と、同じく左右のリアサイドドア5を備える。
図3及び
図5を併せて参照すると、フロントサイドドア4は車外側のアウターパネル21Aと、車内側のインナーパネル22Aとを備える。アウターパネル21Aとインナーパネル22Aの上端にはサイドウインドガラス23の昇降のための開口24が設けられている。本実施形態では、フロントサイドドア4のアウターパネル21Aとインナーパネル22Aはいずれも鋼板製である。同様に、リアサイドドア5も鋼板製のアウターパネル21Bとインナーパネル22Bを備える。
【0013】
本実施形態では、自動車2は、右側のフロントサイドドア4及びリアサイドドア5用の物体検出装置1と、左側のフロントサイドドア4及びリアサイドドア5用の物体検出装置1を備える。本実施形態では、右側用と左側用の物体検出装置1の構成は同一である。以下の説明では、右側用のフロントサイドドア4及びリアサイドドア5用の物体検出装置1について説明する。
【0014】
図2を併せて参照すると、物体検出装置1は、6個の超音波センサ6A~6Fと、これら超音波センサ6A~6Fを制御する制御部8(例えばECU)を備える。超音波センサ6A~6Fは、いずれも超音波の発信と、発信した超音波の反射波の受信とが可能である。超音波センサ6A~6Cは、フロントサイドドア4の周囲の物体の検出に使用され、超音波センサ6D~6Fは、リアサイドドア5の周囲の物体の検出に使用される。後述するように、超音波センサ6A~6Fは、車体3の外側に取り付けられたサイドモール11A,11Bに組み込まれている。超音波センサ6A~6Fは、
図4に図示する信号線6aを介して、制御部8に電気的に接続されている。
【0015】
制御部8は、超音波センサ6A~6Cに超音波を発信させ、物体で反射された超音波が超音波センサ6A~6Cで受信される。制御部8は、超音波センサ6A~6Cによる超音波の受信の有無に基づいてフロントサイドドア4の周囲の物体の有無を検出する。また、制御部8は超音波センサ6A~6Cによる超音波の発信から、物体で反射された超音波が超音波センサ6A~6Cで受信されるまでの時間を測定し、それに基づいて、物体までの距離を検出する。同様に、制御部8は、超音波センサ6D~6Fに超音波を発信させ、超音波センサ6D~6Fによる超音波の受信の有無に基づいてリアサイドドア5の周囲の物体の有無を検出する。また、制御部8は、超音波センサ6D~6Fによる超音波の発信から超音波センサ6D~6Fによる反射波の受信までの時間に基づいて物体までの距離を検出する。
【0016】
図2を参照すると、制御部8は、フロントサイドドア4及びリアサイドドア5用のドア開閉駆動装置9を制御する。制御部8は、ドア開閉駆動装置9によるフロントサイドドア4及びリアサイドドア5の開放動作の際に超音波センサ6A~6Fを制御して物体の有無を検出してもよい。
【0017】
図1、
図3、
図4、及び
図5を参照すると、物体検出装置1は、フロントサイドドア4の外側において、車長方向に延びるように配置された樹脂製の振動板12Aを有するサイドモール11Aを備える。すなわち、振動板12Aはサイドモール11Aの一部である。また、サイドモール11Aは、フロントサイドドア4の下部に配置され、アウターパネル21Aの外面21aに取り付けられている。
【0018】
図4に示すように、振動板12Aは、アウターパネル21Aに概ね平行な板状部材、すなわち、車体側部に面する板状部材である。また、振動板12Aの内面12aは、アウターパネル21Aの外面21aから離間して設けられている。
図3に示すように、サイドモール11Aは、振動板12Aの上端と下端とからアウターパネル21Aの外面21aに向かって延び、先端が外面21aに当接している側壁14a,14bを備える。また、
図5に示すように、サイドモール11Aは、振動板12Aの車長方向の前端と後端とからアウターパネル21Aの外面21aに向かって延び、先端が外面21aに当接している側壁14c,14dを備える。従って、アウターパネル21Aの外面21aとサイドモール11Aの内面11aとによって、空間13Aが画定されている。空間13A内には後述の超音波センサ6A~6C、超音波吸収材25A、及び第1制振部材31Aが配置されている。信号線6aは、フロントサイドドア4に設けられた第1孔21cを介して空間13Aからフロントサイドドア4内部に延びている。
【0019】
同様に、
図1及び
図5を参照すると、物体検出装置1は、リアサイドドア5の外側の下部に、車長方向に延びるように配置された樹脂製の振動板12Bを有するサイドモール11Bを備える。また、アウターパネル21Bの外面21aとサイドモール11Bの内面11aとによって空間13Bが画定され、空間13B内には超音波センサ6D~6F、超音波吸収材25B、及び第1制振部材31Bが配置されている。
【0020】
以下、フロントサイドドア4に配置されている超音波センサ6A~6C、超音波吸収材25A、及び第1制振部材31Aについて説明する。リアサイドドア5に配置されている超音波センサ6D~6F、超音波吸収材25B、及び第1制振部材31Bについても同様である。
【0021】
図4を参照すると、超音波センサ6A~6Cは、振動板12Aの車内側の面、つまり内面12aに密着して配置されている。超音波センサ6A~6Cは、超音波を送受信可能である。すなわち、超音波センサ6A~6Cがそれぞれ、超音波を送信し、物体で反射された超音波を受信する。
【0022】
引き続き
図4を参照すると、本実施形態では、超音波吸収材25Aは、サイドモール11Aの内面11a全体を超音波センサ6A~6Cを含めて覆うように配置されている。換言すると、超音波吸収材25Aは、振動板12Aの内面12a全体を超音波センサ6A~6Cを含めて覆うように配置されている。超音波吸収材25Aは第2孔25aを有している。第2孔25aに信号線6aを通し、超音波吸収材25Aが超音波センサ6A~6Cの表面に接するように、超音波吸収材25Aは配置されている。また、超音波吸収材25Aは、後述の第1制振部材31Aの表面に接して配置されている。また、超音波吸収材25Aは、超音波センサ6A~6Cと後述の第1制振部材31Aとがサイドモール11Aに接する部分を除いたサイドモール11Aの内面11a全体に接するように配置されている。超音波吸収材25Aの例としては、不織布のような布、皮、樹脂、シリコーンゴムのようなゴム、ウレタン、スポンジ、防音塗料、防音材、吸音材がある。超音波吸収材25Aは、例えば超音波センサ6A~6Cの表面、第1制振部材31Aの表面、及び振動板12Aの内面12a、すなわちサイドモール11Aの内面11aの一部のみを覆うように配置されていてもよい。
【0023】
引き続き
図4を参照すると、本実施形態では、サイドモール11Aに第1制振部材31Aが設けられている。第1制振部材31Aは、振動板12Aと超音波吸収材25Aとの間に配置されている。また、第1制振部材31Aは、超音波センサ6A~6Cの下側の部分の振動板12Aの内面12aに密着して配置されている。
図1に示されるように、第1制振部材31Aは、サイドモール11Aの車長方向の長さ全体にわたって設けられている。第1制振部材31Aは、サイドモール11Aの内面11aに密着して固定されている粘弾性体32(例えばブチルゴム製)と、粘弾性体32の表面に配置された薄厚の金属板33(例えばアルミニウム製)とを備える。
【0024】
以下、物体検出装置1による超音波の発信と受信を、フロントサイドドア4について説明する。リアサイドドア5についても、同様の態様で、物体検出装置1による超音波の発信と受信とが実行される。
【0025】
制御部8によって駆動された超音波センサ6A~6Cが発信した超音波は、振動板12Aを介してフロントサイドドア4の周囲に放射される。この放射された超音波が物体で反射されると、反射波は振動板12Aに入射し、超音波センサ6A~6Cにより受信される。前述のように、制御部8は、超音波センサ6A~6Cによる超音波の受信の有無に基づいてフロントサイドドア4の周囲の物体の有無を検出する。また、制御部8は、超音波センサ6A~6Cによる超音波の発信から、物体で反射された超音波が超音波センサ6A~6Cで受信されるまでの時間を測定し、それに基づいて、物体までの距離を検出する。
【0026】
物体検出装置1は、フロントサイドドア4用の超音波センサ6A~6Cに関して以下の特徴を有する。
【0027】
一般的に樹脂製の材料には、横波が残留し難い。本実施形態では、超音波センサ6A~6Cは樹脂製の振動板12Aに取り付けられているので、超音波センサ6A~6Cが発信する超音波の横波が、振動板12Aに残留し難い。そのため、振動板12Aに到達した反射波(縦波)と振動板12Aに残留する横波との干渉が抑制ないし防止され、超音波センサ6A~6Cは確実に反射波を受信できる。
【0028】
また、超音波吸収材25Aが振動板12Aの内面12aに設けられていることで、振動板12Aが振動することで発生する超音波のうち、振動板12Aの内側(ドア側)に向かって進行する超音波が、フロントサイドドア4に反射して振動板12Aで受信されることを防止できる。すなわち、誤検知が防止され得る。以上より、振動板12Aにおける横波の減衰のための制振部材を設けることなく、つまり超音波物体検出装置の構成を簡素化しつつ、車両の周囲の物体を確実に検出できる。
【0029】
また、振動板の超音波センサ6A~6Cが取り付けられた箇所に入射した反射波が超音波センサ6A~6Cで受信される。また、振動板の超音波センサ6A~6Cが取り付けられた箇所以外の部分に入射した反射波も振動板を伝播して超音波センサ6A~6Cに到達し、超音波センサ6A~6Cによって受信される。つまり、反射波を振動板の全体で受信することができるため、反射波の受信感度を向上できる。
【0030】
また、超音波センサ6A~6Cが振動板12Aを介して超音波を発信する際、第1制振部材31Aによって振動板12Aの下部の振動が抑制され、超音波が下側に向かって進行することが抑制され得る。また、超音波が障害物に反射し、振動板12Aを介して超音波センサ6A~6Cで受信される際、振動板12Aの下側で受信された超音波による振動が第1制振部材31Aで抑制され得る。以上より、フロントサイドドア4の下側に例えば縁石等の障害物があった場合に、超音波センサ6A~6Cがその障害物を誤検知することが回避され得る。
【0031】
超音波センサ6A~6Cは、振動板12Aの内面12aに取り付けられており、外部から見えない。そのため、自動車の外観ないしデザイン性を損なうことなく、超音波による物体の検出が可能である。また、振動板12Aはサイドモール11Aの一部であるため、サイドモール11Aが標準装備されている車両の場合、フロントサイドドア4に新たに振動板12Aを設けることなく、超音波センサ6A~6Cを設置できる。
【0032】
以上のように、本実施形態の超音波物体検出装置によれば、構成を簡素化しつつ、物体を確実に検出できる。
【0033】
以上の特徴は、リアサイドドア5用の超音波センサ6D~6Fについても該当する。
【0034】
(第2実施形態)
図6から
図8は、本発明の第2実施形態を示す。この第2実施形態において、特に言及しない点については、第1実施形態と同様である。
【0035】
第2実施形態に係る物体検出装置1では、フロントサイドドア4のアウターパネル21Aの外面21aに取り付けられたサイドモール11Aが、フロントサイドドア4の車高方向の略中央部に設けられている。また、フロントサイドドア4の物体検出装置1には第1制振部材31Aが設けられていない。同様に、第1制振部材31Bが設けられていないサイドモール11Bが、リアサイドドア5の車高方向の略中央部に設けられている。
【0036】
物体検出装置1は、フロントサイドドア4用の超音波センサ6A~6Cに関して以下の特徴を有する。
【0037】
第2実施形態に係る物体検出装置1では、サイドモール11Aがフロントサイドドア4の車高方向の略中央部に設けられている。そのため、フロントサイドドア4の下側に例えば縁石等の障害物がある場合であっても、サイドモール11Aと障害物との距離が十分に確保されていることから、障害物を誤検知する恐れがない。
【0038】
以上より、第2実施形態に係る物体検出装置1では、物体検出装置1の構成を一層簡素化できる。
【0039】
以上の特徴は、リアサイドドア5用の超音波センサ6D~6Fについても該当する。
【0040】
(第3実施形態)
図9及び
図10は、本発明の第3実施形態を示す。この第3実施形態において、特に言及しない点については、第2実施形態と同様である。
【0041】
第3実施形態に係る物体検出装置1は、振動板12Aに対向する部分のフロントサイドドア4のアウターパネル21Aに配置された環状の第2制振部材35Aをさらに備える。具体的には、第2制振部材35Aは、アウターパネル21Aの内面21bに配置されている。
【0042】
フロントサイドドア4と同様に、リアサイドドア5のアウターパネル21Bの内面21bに、環状の第2制振部材35Bが設けられている。以下、フロントサイドドア4の超音波センサ6A~6Cを例に、第3実施形態をさらに説明するが、リアサイドドア5についても同様の構成である。
【0043】
第2制振部材35Aは、フロントサイドドア4のアウターパネル21Aの内面21bに、平面視において第2制振部材35Aの略中心に超音波センサ6Aが位置するように配置されている。また、アウターパネル21Aの平面視において、第2制振部材35Aは、間隔をあけて超音波センサ6Aを取り囲むようにアウターパネルに配置されている。同様に、超音波センサ6B,6Cのそれぞれに対して第2制振部材35Aが配置されている。すなわち、アウターパネル21Aに対して、3つの第2制振部材35Aが設けられている。
【0044】
第2制振部材35Aは、粘弾性体36(例えばブチルゴム製)と、粘弾性体36の表面に配置された薄厚の金属板37(例えばアルミニウム製)とを備える。第2制振部材35Aの粘弾性体36は、アウターパネル21Aの内面21bに密着して固定されている。第2制振部材35Aは、矩形であってもよい。
【0045】
物体検出装置1は、フロントサイドドア4用の超音波センサ6A~6Cに関して以下の特徴を有する。
【0046】
第3実施形態では、超音波センサ6A~6Cが発信した超音波によって、振動板12Aが振動し、その振動が振動板12Aとフロントサイドドア4のアウターパネル21Aとの接続部を介してフロントサイドドア4のアウターパネル21Aに伝導した際のアウターパネル21Aの振動が抑制され得る。具体的には、環状の第2制振部材35Aが配置されている領域と、その内側の領域において、アウターパネル21Aの振動が抑制され得る。そのため、アウターパネル21Aが振動することによる超音波の発生を抑制でき、超音波センサ6A~6Cがアウターパネル21Aで発生した超音波を受信することを抑制できる。従って、超音波センサ6A~6Cの障害物検出精度が向上し得る。
【0047】
また、第2制振部材35Aがアウターパネル21Aの内面21bに配置されているため、振動板12Aとアウターパネル21Aの外面21aとの間隔が狭い場合であっても第2制振部材35Aを取り付けることができる。
【0048】
以上の特徴は、リアサイドドア5用の超音波センサ6D~6Fについても該当する。
【0049】
図11に示すように、第3実施形態の変形例では、第2制振部材は、アウターパネル21Aの外面21aに配置されている。
【0050】
アウターパネル21Aの外面21aに第2制振部材35Aを設けることで、サイドモール11Aをフロントサイドドア4に取り付ける際に、第2制振部材35Aを同時に取り付けることができる。
【0051】
旋回式のサイドドアを例に本発明を説明したが、本発明は、ガルウィング式のような旋回式以外のドアにも適用可能であり、リアドアのようなサイドドア以外のドアにも適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 超音波物体検出装置
2 自動車
3 車体
3a 開口部
4 フロントサイドドア
5 リアサイドドア
6A,6B,6C,6D,6E,6F 超音波センサ
6a 信号線
8 制御部
9 ドア開閉駆動装置
11A,11B サイドモール
11a 内面
12A,12B 振動板
12a 内面
13A,13B 空間
14a,14b,14c,14d 側壁
21A,21B アウターパネル
21a 外面
21b 内面
21c 第1孔
22A,22B インナーパネル
23 サイドウインドガラス
24 開口
25A,25B 超音波吸収材
25a 第2孔
31A,31B 第1制振部材
32 粘弾性体
33 金属板
35A,35B 第2制振部材
36 粘弾性体
37 金属板