(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】シュリンクフィルム
(51)【国際特許分類】
B65D 65/28 20060101AFI20240221BHJP
B65D 65/30 20060101ALI20240221BHJP
B65D 75/62 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
B65D65/28
B65D65/30
B65D75/62 B
B65D75/62 A
(21)【出願番号】P 2019234754
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2022-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2018247730
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.納品日 平成31年 2月 5日 納品した場所 サントリーロジスティクス株式会社 神奈川支店(長津田倉庫)(住所:神奈川県横浜市緑区長津田町4243-1) 公開者 サントリーロジスティクス株式会社 2.納品日 平成31年 3月 5日 納品した場所 サントリーロジスティクス株式会社 神奈川支店(長津田倉庫)(住所:神奈川県横浜市緑区長津田町4243-1) 公開者 サントリーロジスティクス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】西山 優範
(72)【発明者】
【氏名】泊 一朗
(72)【発明者】
【氏名】西田 素子
(72)【発明者】
【氏名】西山 卓伸
(72)【発明者】
【氏名】藤井 仁史
(72)【発明者】
【氏名】半田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】西田 裕
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-327271(JP,A)
【文献】特開2009-128753(JP,A)
【文献】特開2015-003739(JP,A)
【文献】実開平05-000664(JP,U)
【文献】特開昭62-251329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/28
B65D 65/30
B65D 75/62
B65D 71/08-10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状の製品の周面である四面をフィルム材から構成された筒状体によって一体的に覆った状態で熱収縮させることによって、前記四面以外の二面に前記筒状体の開口が位置する製品パケットとするシュリンクフィルムであって、
所定の間隔をあけて互いに平行に備えられた一対のミシン目と、
前記一対のミシン目同士の間であって前記一対のミシン目に重ならない位置に備えられた開封口とを有し、
前記開封口は、前記一対のミシン目と平行な方向に10~65mmの幅を有
し、
前記製品は一列に並べられた複数の製品から構成され、前記一対のミシン目は各製品の並列方向に沿って設けられ、
前記開封口は、前記各製品のうち隣り合う製品間の位置とは重ならない位置に備えられているシュリンクフィルム。
【請求項2】
前記開封口は、前記一対のミシン目の設けられている方向とは直交する方向に沿って長軸を有する略楕円形状の開口から構成されている請求項1に記載のシュリンクフィルム。
【請求項3】
前記開封口は、前記一対のミシン目の設けられている方向と平行な方向に沿って長軸を有する略楕円形状の開口から構成されている請求項1に記載のシュリンクフィルム。
【請求項4】
前記開封口は、略四角形状の開口から構成されている請求項1に記載のシュリンクフィルム。
【請求項5】
前記開封口は、前記一対のミシン目の設けられている方向とは直交する方向に沿って長手方向幅を有する略長方形状の開口から構成されている請求項4に記載のシュリンクフィルム。
【請求項6】
前記シュリンクフィルムは、一対のフィルム材の両側縁をヒートシールすることによって得られた前記筒状体から構成され、前記一対のミシン目及び前記開封口は、前記ヒートシールと交差しない位置に備えられている請求項1から5のいずれか一項に記載のシュリンクフィルム。
【請求項7】
前記一対のミシン目及び前記開封口は前記製品パケットの天面に設けられている請求項1から
6のいずれか一項に記載のシュリンクフィルム。
【請求項8】
前記一対のミシン目は40~80mmの間隔をあけて備えられ、
前記一対のミシン目の設けられている方向とは直交する方向における前記各ミシン目と前記開封口との最短距離は7.5mm以上22.5mm以下である請求項1から
7のいずれか一項に記載のシュリンクフィルム。
【請求項9】
前記開封口は、前記一対のミシン目の設けられている方向とは直交する方向において前記一対のミシン目同士の中間に中心を有する請求項1から
8のいずれか一項に記載のシュリンクフィルム。
【請求項10】
前記開封口は、前記一対のミシン目の設けられている方向における両端部の中央に中心を有する請求項1から
9のいずれか一項に記載のシュリンクフィルム。
【請求項11】
前記一対のミシン目は、前記シュリンクフィルムにおいて前記一対のミシン目の設けられている方向における両端部から10~150mmを除いて備えられている請求項1から
10のいずれか一項に記載のシュリンクフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の周面を一体的に覆った状態で熱収縮させることによって、製品パケットとするシュリンクフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラスチックフィルムに少なくとも一対のミシン目が形成され、プラスチックフィルムがその幅方向にヒートシール及びカットされ、その一対のミシン目間の部分はヒートシールされず、プラスチックフィルムのヒートシールされていない部分に開封口が形成された製品が開示されている。
【0003】
このようなプラスチックフィルムにおいては、開封口に指先を入れてシュリンクフィルムを把持し、ここを起点としてプラスチックフィルムをミシン目に沿って破くことによって開封がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、開封口を形成するために、ヒートシールをしない部分があるため、該製品の輸送時に作用する振動や衝撃によって、開封口を起点としてミシン目が意図せず破れてしまう虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、製品の輸送時において意図せず破れてしまう虞を低減しながらも開封性のよい製品パケット用のシュリンクフィルムを提供することを目的とする。
【0007】
上述の目的を達成するための本発明に係るシュリンクフィルムの特徴構成は、直方体形状の製品の周面である四面をフィルム材から構成された筒状体によって一体的に覆った状態で熱収縮させることによって、前記四面以外の二面に前記筒状体の開口が位置する製品パケットとするシュリンクフィルムであって、所定の間隔をあけて互いに平行に備えられた一対のミシン目と、前記一対のミシン目同士の間であって前記一対のミシン目に重ならない位置に備えられた開封口とを有し、前記開封口は、前記一対のミシン目と平行な方向に10~65mmの幅を有し、前記製品は一列に並べられた複数の製品から構成され、前記一対のミシン目は各製品の並列方向に沿って設けられ、前記開封口は、前記各製品のうち隣り合う製品間の位置とは重ならない位置に備えられている点にある。
【0008】
上述の構成によると、シュリンクフィルムは、所定の間隔をあけて、一対のミシン目を備え、さらに、一対のミシン目同士の間であって、一対のミシン目に重ならない位置に開封口を備えることによって、開封口から指先を入れてシュリンクフィルムを把持し、ここを起点としてシュリンクフィルムをミシン目に沿って破くことが容易となる。開封口がミシン目に重なる位置に備えられていると、製品パケットの輸送時に作用する振動や衝撃によって、開封口を起点としてミシン目が意図せず破れてしまう虞がある。しかし、開封口を、一対のミシン目に重ならない位置に備えているため、そのような虞が低減されている。また、上述の構成によると、一対のミシン目は各製品の並列方向に沿って備えられているため、シュリンクフィルムは各製品の並列方向に沿って破られ切り開かれることとなる。したがって、一度の開封作業によってすべての製品をシュリンクフィルムから取り出すことができる。さらに、本発明においては、前記開封口は、前記各製品のうち隣り合う製品間の位置とは重ならない位置に備えられている。開封口は、シュリンクフィルムを破る起点となることから、シュリンクフィルムは開封口の設けられている部分において弱い。製品パケットに含まれる複数の製品間の位置においては、隣り合う製品同士の振動や衝撃がシュリンクフィルムにかかるため、開封口は設けるべきではない。上述の構成によると、このような位置を避けて開封口が備えられているため、隣り合う製品同士の振動や衝撃に起因するシュリンクフィルムの破れの虞が低減される。
【0009】
本発明においては、前記開封口は、前記一対のミシン目の設けられている方向とは直交する方向に沿って長軸を有する略楕円形状の開口から構成されていると好適である。
【0010】
上述の構成によると、開封口から指先を入れた際に、一対のミシン目に挟まれた部分のシュリンクフィルムを把持することができ、そのままシュリンクフィルムを一対のミシン目に沿って破ることができるため開封性が良い。また、開封口が角を有しない形状であることから、応力集中によってシュリンクフィルムが意図せず破れてしまう虞が低減されている。
【0011】
本発明においては、前記開封口は、前記一対のミシン目の設けられている方向と平行な方向に沿って長軸を有する略楕円形状の開口から構成されていると好適である。
【0012】
上述の構成によると、開封口から指先を入れた際に、一対のミシン目に挟まれた部分のシュリンクフィルムを容易に把持することができ、そのままシュリンクフィルムを一対のミシン目に沿って破ることができるため開封性がとても良い。また、開封口が角を有しない形状であることから、応力集中によってシュリンクフィルムが意図せず破れてしまう虞が低減されている。
【0013】
本発明においては、前記開封口は、略四角形状の開口から構成されていると好適である。
【0014】
上述の構成によると、開封口が略四角形状であることから開封口が略楕円形状である場合に比べて開口面積を確保しやすいため指先を入れやすい。また、略四角形状の開封口は、略楕円形状の開封口に比べて、その位置を視認しやすい。
【0015】
本発明においては、前記開封口は、前記一対のミシン目の設けられている方向とは直交する方向に沿って長手方向幅を有する略長方形状の開口から構成されていると好適である。
【0016】
上述の構成によると、開封口が略長方形状であることから開封口が略楕円形状である場合に比べて開口面積を確保しやすいため指先を入れやすい。また、略長方形状の開封口は、略楕円形状の開封口に比べて、その位置を視認しやすい。
【0017】
本発明においては、前記シュリンクフィルムは、一対のフィルム材の両側縁をヒートシールすることによって得られた筒状体から構成され、前記一対のミシン目及び前記開封口は、前記ヒートシールと交差しない位置に備えられていると好適である。
【0018】
ヒートシールされている部分においては、二枚のフィルム材が溶け合わさっているため破りにくい。このような部分にミシン目が交差するように備えられているとシュリンクフィルムは破りにくくなる。上述の構成によると、そのような虞がない。
【0023】
本発明においては、前記一対のミシン目及び前記開封口は前記製品パケットの天面に設けられていると好適である。
【0024】
上述の構成によると、ミシン目及び開封口は製品パケットの天面に設けられていることから、ミシン目及び開封口が製品パケットの側面や底面に設けられている場合に比べて、開封作業時におけるミシン目や開封口の視認性及び作業性がよい。
【0025】
本発明においては、前記一対のミシン目の設けられている方向とは直交する方向における前記各ミシン目と前記開封口との距離は7.5mm以上22.5mm以下であると好適である。
【0026】
発明者らの鋭意研究の結果、一対のミシン目の設けられている方向とは直交する方向における各ミシン目と開封口との距離は7.5mm以上22.5mm以下であるときに、製品の輸送時において意図せず破れてしまう虞を十分に低減しながらも開封性をよりよくすることができるという知見が得られた。
【0027】
本発明においては、前記開封口は、前記一対のミシン目の設けられている方向とは直交する方向において前記一対のミシン目同士の中間に中心を有すると好適である。
【0028】
開封口が、一対のミシン目の一方に近く、他方から遠い位置に設けられているような場合は、開封する際に、開封口から近いほうのミシン目は破れるが、開封口から遠いほうのミシン目がうまく破れない虞がある。また、開封口から近いほうのミシン目は、開封口から長いほうのミシン目に比べて、製品の輸送時において意図せず破れやすいという問題があった。上述の構成によると、開封口から両ミシン目までの距離を等しくすることができるので、そのような虞がない。
【0029】
本発明においては、前記一対のミシン目は40~80mmの間隔をあけて備えられ、前記開封口は、10~65mmの長手方向幅と、5~25mmの短手方向幅を有する開口から構成されていると好適である。
【0030】
一対のミシン目は具体的には40~80mmの間隔をあけて備えられていることが好ましく、このような場合に片手での開封性が良い。これ以上狭い場合には、指先で把持すべきシュリンクフィルムが狭くなり、これ以上広い場合には開封口からのシュリンクフィルムの破れがミシン目に到達しにくくなるため開封性が悪くなるからである。
【0031】
開封口は、シュリンクフィルムの熱収縮によって形成される開口によって構成される。その際、形成された開口が、例えば長手方向幅として一対のミシン目の設けられている方向とは直交する方向に10~65mm、好ましくは20~65mmの長軸を有し、短手方向幅として一対のミシン目の設けられている方向に沿った方向に5~25mm、好ましくは10~25mmの短軸を有する略楕円形状や略長方形状であると、開封口へ指先を良好に差し入れることができる。これより開口の寸法が大きいとシュリンクフィルムが弱くなり、これより開口の寸法が小さいと指入れ性が悪くなるからである。
【0032】
本発明においては、前記開封口は、前記一対のミシン目の設けられている方向における両端部の中央に中心を有すると好適である。
【0033】
開封口は、前記一対のミシン目の設けられている方向における両端部の一方の端部に近い位置に設けられている場合は、他方の端部側に位置する製品まで長い距離に亘ってミシン目を破る必要がある。上述の構成によると、開封口は、一対のミシン目の設けられている方向における両端部の中央に中心を有すると、開封時に破るべきミシン目の距離を短くすることができる。なお、一対のミシン目の設けられている方向における両端部の中央とは、厳密に両端部の中央である場合に限らず、大凡中央であればよい。
【0034】
本発明においては、前記一対のミシン目は、前記シュリンクフィルムにおいて前記一対のミシン目の設けられている方向における両端部から10~150mmを除いて備えられていると好適である。
【0035】
ミシン目が、シュリンクフィルムの端部まで備えられていると、製品パケットの輸送時に作用する振動や衝撃によって、このミシン目の端部を起点としてミシン目が意図せず破れてしまう虞がある。上述の構成によると、ミシン目は、シュリンクフィルムの端部から10~150mmの領域には備えられていないため、上記のような虞が低減される。これ以上狭い場合には、このミシン目の端部を起点としてミシン目が意図せず破れてしまう虞を十分に低減させることができず、これ以上広い場合には開封時に破るべきシュリンクフィルムの領域が広いため開封性が悪くなるからである。なお、このように一対のミシン目が、シュリンクフィルムにおいて一対のミシン目の設けられている方向における両端部から10~150mmを除いて備えられている構成においては、特に開封口が、一対のミシン目の設けられている方向における両端部の中央に中心を有することが好ましい。開封口が、一対のミシン目の設けられている方向における両端部の一方に中心を有する構成であると、端部までの距離が近いほうを開封する際に、ミシン目が短すぎるため、指によって加える力の方向が定まらず開封性が悪いという問題があるからである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明に係るシュリンクフィルムによって包装された製品パケットの概略図
【
図2】本発明に係るシュリンクフィルムによって包装された製品パケットの概略図
【
図3】製造過程におけるシュリンクフィルムの概略図
【
図4】製品を包装する前のシュリンクフィルムの概略図
【
図5】別実施形態における、製品を包装する前のシュリンクフィルムの概略図
【
図6】別実施形態におけるシュリンクフィルムによって包装された製品パケットの概略図
【
図7】別実施形態におけるシュリンクフィルムによって包装された製品パケットの概略図
【
図8】別実施形態におけるシュリンクフィルムによって包装された製品パケットの概略図
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、本発明に係るシュリンクフィルムの実施形態について、図面を参照しながら説明をする。
【0038】
図1に示すように、シュリンクフィルム10は、一列に並べられた複数の製品1,1,1の周面を一体的に覆った状態で熱収縮させることによって、製品パケット2を得るために用いられる。
【0039】
本実施形態においては、製品1は、約7.8Lの飲料水が封入されたバッグインボックスであり、直方体形状の幅、奥行き、高さの寸法が、それぞれ約18.8cm、約25cm、約23.1cmである。本実施形態においては、製品パケット2は、3個の製品1が共通のトレイ3に載置された状態でシュリンクフィルム10に包装されて構成される。
【0040】
図3及び
図4に示すように、シュリンクフィルム10は、上下二枚の熱収縮性のフィルム材11,12を、フィルム材11の四辺11A、11B、11C、11D及びフィルム材12の四辺12A、12B、12C、12Dのうち、辺11A及び辺12A同士、並びに辺11C及び辺12C同士をヒートシール13することによって得られる筒状体から構成されている。
【0041】
フィルム材11においては、辺11A及び辺11Cに直交する方向が短手方向であり、辺11B及び辺11Dに直交する方向が長手方向であり、フィルム材12においては、辺12A及び辺12Cに直交する方向が短手方向であり、辺12B及び辺12Dに直交する方向が長手方向である。
【0042】
上下のフィルム材11,12は、それぞれPE(ポリエチレン)製で帯状のものが、ロール状に巻かれた状態でロールスタンドに支持されており、このロールスタンドから引き出され所定の長さとなる位置で切断されることによって得られる。なお、フィルム材11,12の材質は、PE(ポリエチレン)に限らずPVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PO(ポリオレフィン)、OPS(二軸延伸ポリスチレンシート)等の樹脂であってもよい。
【0043】
上側のフィルム材11には、短手方向の中央に、フィルム材11の長手方向に沿い、かつ所定の間隔をあけて互いに平行に一対のミシン目14,14が形成されている。ミシン目は、60mmのピッチで並んだ25mmの複数の破線から構成されている。一対のミシン目14,14は40~80mmの間隔、好ましくは50~70mmの間隔、本実施形態においては約60mmの間隔をあけて備えられている。
【0044】
また、一対のミシン目14,14の中間であって、フィルム材11の長手方向の一方の辺11Bから所定位置に、フィルム材11の短手方向に沿った方向に10~65mm、好ましくは20~65mm、本実施形態においては約25mmの切り込み15が備えられている。
【0045】
切り込み15は、シュリンクフィルム10を熱収縮させたときに、切り込み15まわりのフィルム材11の熱収縮に伴って広がり、開口16となる。
【0046】
この開口16は、フィルム材11の短手方向に沿った方向に約25mmの長軸を有し、長手方向に沿った方向に、熱収縮の程度に応じて、5~25mm、好ましくは10~25mmの短軸を有する略楕円形状となる(
図1参照)。
【0047】
すなわち、略楕円形状の開口16は、製品パケット2において、各製品1の並列方向と直交する方向に沿って長軸を有し、各製品1の並列方向に沿った方向に沿って短軸を有することとなる。なお、楕円形状とは、幾何学的に定義される楕円のみを意味するのではなく、切り込み15が広がることによって形成される大凡の形状を意味し、例えば円形や、オーバル形や、角の丸まった菱形のような形状も含む。
【0048】
開口16が、シュリンクフィルム10の開封口(以下、開封口16と記す。)を構成する。切り込み15は、一対のミシン目14,14とは重ならない位置に形成されていることから、開封口16は一対のミシン目14,14とは重ならない位置に備えられる。
【0049】
共通のトレイ3に載置された各製品1,1、は、上述のように構成された上下一対のフィルム材11,12から構成された筒状体によって一体的に覆われた後、該フィルム材11,12を熱収縮させる例えばシュリンカーに搬入され、その全体が所定の温度で所定の時間加熱される。加熱されることにより筒状のフィルム材11,12は熱収縮して各製品1の周面に密着する。これによって、製品パケット2が得られる。
【0050】
なお、開封口16は、フィルム材11,12から構成されるシュリンクフィルム10が複数の製品を覆った状態で熱収縮させられたときに、一対のミシン目14,14の設けられている方向における両端部の中央に中心を有するように構成されている。したがって、開封口16は、並列させられている各製品1,1,1間の位置とは重ならない位置に備えられることとなる。
【0051】
一対のミシン目14,14及び開封口16は、上側のフィルム材11に備えられていることから、一対のミシン目14,14及び開封口16は製品パケット2の天面に設けられることとなる。また、一対のミシン目14,14及び開封口16はヒートシール13と交差しない位置に備えられることとなる。
【0052】
下側のフィルム材12は、上側のフィルム材11よりも短手方向の寸法が短いものが用いられる。したがって、シュリンクフィルム10において、ヒートシール13は、高さ方向の中央より下側に配置されることとなる。
【0053】
以上のように構成された製品パケット2においては、指を開封口16に引っ掛けてシュリンクフィルム10を把持し、そのままシュリンクフィルム10を引っ張ることによって、シュリンクフィルム10は一対のミシン目14,14に沿って破られ、製品パケット2は容易に開封される。
【0054】
なお、上述した実施形態においては、開封口16は中央に位置する製品1の天面の中央に対応する位置に設けられる場合について説明したが、これに限らない。並列させられた三つの製品1,1,1の一方の端部に位置する製品1の天面に対応する位置に開封口16が設けられていてもよい。
【0055】
上述の実施形態においては、シュリンクフィルム10は、製品1として約7.8Lの飲料水が封入されたバッグインボックスを3個一体的に包装するために用いられたが、これに限らない。すなわち、
図2に示すように、製品4は約10Lの飲料水が封入されたバッグインボックスであってもよい。この場合、製品4は、直方体形状の幅、奥行き、高さの寸法が、それぞれ約24.7cm、約22.4cm、約24.6cmである。本実施形態においては、製品パケット5は、2個の製品4,4が共通のトレイ6に載置された状態でシュリンクフィルム10に包装されて構成される。
【0056】
シュリンクフィルム10に備えられた開封口16は、隣り合う製品4,4間の位置と重なる位置に設けられることとなる。しかし、7.8Lのバッグインボックスである製品1を3個包装する場合に比べて、開封口16が製品4,4うち一方の製品4の端面に近づくが、シュリンクフィルム10によって包装される各製品4,4の合計重量は軽いため、製品パケット5の輸送時に作用する振動や衝撃によって、開封口16を起点としてミシン目14が意図せず破れてしまう虞は低い。
【0057】
また、上述のいずれの実施形態においても、一対のミシン目14,14は、シュリンクフィルム10を構成するフィルム材11の長手方向においける両端部まで形成されていたが、これに限らない。
図5に示すように、一対のミシン目14,14は、フィルム材11の辺11B、11Dからミシン目14を構成する切れ込みのピッチより大きな距離を除いて、例えば10~150mmを除いて、好ましくは50~150mmを除いて備えられていてもよい。このようなフィルム材11から構成されたシュリンクフィルム10によって製品1,1,1を包装したときは、ミシン目14の端部を起点としてミシン目が意図せず破れてしまう虞を低減させることができる。
【0058】
上述したいずれの実施形態においても、開封口16は一対のミシン目14,14の間に一つだけ設けられる場合について説明したが、これに限らない。各製品1,4の天面に対応する位置ごとに開封口16が設けられていてもよい。
【0059】
上述したいずれの実施形態においても、開封口16は、一対のミシン目14,14の設けられている方向とは直交する方向に沿って長軸を有する略楕円形状の開口16から構成されている場合について説明したが、これに限らない。開封口16は、指先を入れやすい形状であればよい。
【0060】
例えば、
図7に示すように、開封口16は、一対のミシン目の設けられている方向と平行な方向に沿って長軸を有する略楕円形状の開口16から構成されていてもよい。この場合は、シュリンクフィルム10を構成するフィルム材11に、一対のミシン目14,14の中間であって、フィルム材11の長手方向の一方の辺11Bから所定位置に、一対のミシン目14,14と平行な方向に10~65mm、好ましくは20~65mm、本実施形態においては約25mmの切り込み15を備えておけばよい。シュリンクフィルム10を熱収縮させたときに、切り込み15まわりのフィルム材11の熱収縮に伴って広がり、一対のミシン目の設けられている方向と平行な方向に沿って長軸を有する略楕円形状の開口16となる。
【0061】
また、開封口16は略四角形状の開口から構成されてもよい。なお、略四角形状とは、幾何学的に定義される四角形のみを意味するのではなく、切り込み15が広がることによって形成される大凡の形状を意味し、例えば角が丸まった長方形や正方形や、対向する一対の辺が湾曲した樽形、鼓形のような形状も含む。したがって、
図8に示すように、開封口16は、例えば、一対のミシン目の設けられている方向と平行な方向とは直交する方向に沿って長手方向幅を有する略長方形状の開口16から構成されてもよい。
【0062】
上述したいずれの実施形態においても、開封口16が、一対のミシン目14,14の設けられている方向における両端部の中央に中心を有するように構成されていたが、これに限らない。開封口16は、一対のミシン目14,14の設けられている方向における両端部のうちいずれか一方の端部に近い位置に中心を有するように構成されていてもよい。
【0063】
上述したいずれの実施形態においてもシュリンクフィルム10は、一対のフィルム材11,12の両側縁をヒートシール13することによって得られた筒状体から構成される場合について説明したが、これに限らない。シュリンクフィルム10は、一枚のフィルム材の両端をヒートシール13することによって得られた筒状体から構成されていてもよい。
【0064】
上述したいずれの実施形態においてもシュリンクフィルム10は、一列に並べられた複数の製品1,4を包装するために用いられたが、これに限らない。シュリンクフィルム10は単一の製品1,4を包装するために用いられてもよい。
【0065】
上述したいずれの実施形態においても、一対のミシン目14,14及び開封口16が製品パケット2の天面に設けられる場合について説明したが、これに限らない。一対のミシン目14,14及び開封口16は製品パケット2の側面や底面に設けられてもよい。
【0066】
上述したいずれの実施形態においても、シュリンクフィルム10によって包装される製品1,4が飲料水のバッグインボックスであったが、これに限らない。例えば、食品、調味料、化粧品等が充填された容器であってもよく、その際容器の形状は直方体ではなくてもよい。
【0067】
上述した実施形態は、いずれも本発明の一例であり、当該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲において適宜変更設計可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 :製品
2 :製品パケット
4 :製品
5 :製品パケット
10 :シュリンクフィルム
13 :ヒートシール
14 :ミシン目
16 :開封口(開口)