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特許7440736医療情報処理システム、医療情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】医療情報処理システム、医療情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20240221BHJP
【FI】
G16H20/10
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019179847
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021056812
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(72)【発明者】
【氏名】岡本 太一
(72)【発明者】
【氏名】初瀬川 満啓
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】地域精神保健福祉機構,薬の量を計算しましょう(CP換算値),2018年01月29日,[2023年10月25日検索]<URL: https://web.archive.org/web/20180129160243/https://www.comhbo.net/?page_id=4370>
【文献】高橋 賢成,薬剤師業務におけるリスクマネジメント-リスクマネジメントにおける薬剤師の役割,別冊・医学のあゆみ 医療リスクマネジメントに向けて,2003年08月05日,p.61-65
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に対応付けて入力される投薬情報に含まれる薬品識別情報が示す薬品のうち算出対象として予め設定された対象薬品の算出単位日数分の処方量と、前記対象薬品ごとに予め設定された等価換算値とに基づいて、特定成分を基準とする前記対象薬品各々の評価値を算出する算出処理部と、
前記算出処理部によって算出される前記対象薬品各々の評価値を合計した合計評価値に基づいて特定情報を出力する出力処理部と、
を備え
前記算出処理部は、前記投薬情報に含まれる前記対象薬品の前記薬品識別情報に対応付けて登録されている規格量を当該対象薬品の用量に乗じることにより当該対象薬品の前記処方量を算出し、当該処方量と前記等価換算値とに基づいて前記評価値を算出する、
医療情報処理システム。
【請求項2】
前記算出単位日数は、1日であり、
前記特定成分は、クロルプロマジンであり、
請求項1に記載の医療情報処理システム。
【請求項3】
前記算出処理部は、前記患者に対応する投薬情報として現在入力されている第1種別対象薬品を前記対象薬品として前記評価値を算出する、
請求項1又は2に記載の医療情報処理システム。
【請求項4】
前記算出処理部は、前記患者に対応する投薬情報として現在入力されている第1種別対象薬品と、前記患者に対応する過去の前記投薬情報に基づく処方期間が終了していない第2種別対象薬品とのそれぞれを前記対象薬品として前記評価値を算出する、
請求項3に記載の医療情報処理システム。
【請求項5】
前記算出処理部は、前記患者に対応する投薬情報として現在入力されている第1種別対象薬品と、前記患者に対応する過去の前記投薬情報に基づく処方期間が終了していない第2種別対象薬品と、前記医療情報処理システムで入力される前記投薬情報に基づいて前記患者に処方される薬品とは別に当該患者が服用する薬品として入力さており処方期間が終了していない第3種別対象薬品とのそれぞれを前記対象薬品として前記評価値を算出する、
請求項4に記載の医療情報処理システム。
【請求項6】
前記算出処理部は、前記患者に対応する投薬情報として現在入力されている第1種別対象薬品と、前記医療情報処理システムで入力される前記投薬情報に基づいて前記患者に処方される薬品とは別に当該患者が服用する薬品として入力さており処方期間が終了していない第3種別対象薬品とのそれぞれについて前記評価値を算出する、
請求項3に記載の医療情報処理システム。
【請求項7】
前記算出処理部は、前記第1種別対象薬品が前記第2種別対象薬品又は前記第3種別対象薬品と同じ薬品である場合には、当該第1種別対象薬品を前記評価値の算出対象から除外する、
請求項4~6のいずれかに記載の医療情報処理システム。
【請求項8】
前記出力処理部は、前記対象薬品各々の情報を当該対象薬品の種別が識別可能な態様で出力する、
請求項4~7のいずれかに記載の医療情報処理システム。
【請求項9】
前記合計評価値が予め設定された評価基準を満たす値となる前記第1種別対象薬品各々の処方量又は薬品種別を提示する提示処理部を備える、
請求項4~8のいずれかに記載の医療情報処理システム。
【請求項10】
前記出力処理部による前記合計評価値の出力後に前記第1種別対象薬品の処方量又は薬品種別の少なくとも一方を変更可能な変更処理部を備え、
前記算出処理部は、前記変更処理部による変更後の前記処方量又は前記薬品種別に基づいて前記対象薬品の前記評価値を再算出し、
前記出力処理部は、前記算出処理部による再算出後の前記合計評価値を出力する、
請求項4~9のいずれかに記載の医療情報処理システム。
【請求項11】
前記算出処理部は、前記対象薬品の処方期間における前記算出単位日数ごとの前記評価値を算出し、
前記出力処理部は、前記処方期間における前記算出単位日数ごとに前記合計評価値に基づく前記特定情報を出力する、
請求項3~10のいずれかに記載の医療情報処理システム。
【請求項12】
前記出力処理部は、前記投薬情報に基づいて発行される処方箋に、前記処方期間における前記算出単位日数ごとの前記合計評価値を前記特定情報として印刷する、
請求項11に記載の医療情報処理システム。
【請求項13】
前記合計評価値を予め設定された一又は複数の評価基準に基づいて評価する評価処理部を備え、
前記出力処理部は、前記評価処理部による評価結果を含む前記特定情報を出力する、
請求項1~12のいずれかに記載の医療情報処理システム。
【請求項14】
前記出力処理部は、前記患者の診療情報を入力するためのカルテ編集画面に前記評価結果を識別可能な判定結果識別情報を出力する、
請求項13に記載の医療情報処理システム。
【請求項15】
前記算出処理部は、ユーザー操作に応じて前記対象薬品のいずれか一つ又は複数を算出対象から除外する、
請求項1~14のいずれかに記載の医療情報処理システム。
【請求項16】
前記出力処理部は、前記対象薬品ごとの前記評価値を表示部に表示させるものである、
請求項1~15のいずれかに記載の医療情報処理システム。
【請求項17】
前記出力処理部は、前記特定情報として少なくとも前記合計評価値を出力する、
請求項1~16のいずれかに記載の医療情報処理システム。
【請求項18】
コンピュータに、
患者に対応付けて入力される投薬情報に含まれる薬品識別情報が示す薬品のうち算出対象として予め設定された対象薬品の算出単位日数分の処方量と、前記対象薬品ごとに予め設定された等価換算値とに基づいて、特定成分を基準とする前記対象薬品各々の評価値を算出する算出ステップと、
前記算出ステップによって算出される前記対象薬品各々の評価値を合計した合計評価値に基づいて特定情報を出力する出力ステップと、
を実行させるための医療情報処理プログラムであって、
前記算出ステップは、前記投薬情報に含まれる前記対象薬品の前記薬品識別情報に対応付けて登録されている規格量を当該対象薬品の用量に乗じることにより当該対象薬品の前記処方量を算出し、当該処方量と前記等価換算値とに基づいて前記評価値を算出する、
医療情報処理プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投薬情報などを含む診療情報を電子データ化して管理する医療情報処理システム及び医療情報処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院又は薬局などの医療関連施設では、患者の疾病情報、投薬情報、及び検査情報などを含む診療情報を管理するシステム(例えば特許文献1参照)が利用されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-174143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、患者の投薬情報をシステムに登録する際、その投薬情報に基づいて患者が複数の特定種別の薬品を服用することになる場合には、その複数の特定種別の薬品による特定症状の発現の可能性又は程度などを考慮する必要が生じることがある。例えば、患者が複数種類の向精神薬を服用することになる場合に、その向精神薬各々による凶暴性、被害妄想、せん妄などの特定症状(副作用)の発現の可能性又は程度を、クロルプロマジンを基準として評価するための評価値を算出し、その評価値を合計した合計評価値が、予め設定された評価基準を満たすか否かが判断されることがある。
【0005】
しかしながら、従来のシステムでは、患者に対応付けられている複数の特定種別の薬品による特定症状の発現について、予め定められた特定成分を基準として評価する作業を支援することができなかった。
【0006】
本発明の目的は、複数の特定種別の薬品に起因する特定症状の発現について、予め定められた特定成分を基準に評価するための作業を支援することが可能な医療情報処理システム及び医療情報処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る医療情報処理システムは、算出処理部及び出力処理部を備える。前記算出処理部は、患者に対応付けられている薬品のうち算出対象として予め設定された対象薬品の算出単位日数分の処方量と、前記対象薬品ごとに予め設定された等価換算値とに基づいて、特定成分を基準とする前記対象薬品各々の評価値を算出する。前記出力処理部は、前記算出処理部によって算出される前記対象薬品各々の評価値を合計した合計評価値に基づいて特定情報を出力する。
【0008】
本発明に係る医療情報処理プログラムは、コンピュータに、算出ステップ及び出力ステップを実行させるためのプログラムである。前記算出ステップは、患者に対応付けられている薬品のうち算出対象として予め設定された対象薬品の算出単位日数分の処方量と、前記対象薬品ごとに予め設定された等価換算値とに基づいて、特定成分を基準とする前記対象薬品各々の評価値を算出する。前記出力ステップは、前記算出ステップによって算出される前記対象薬品各々の評価値を合計した合計評価値に基づいて特定情報を出力する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の特定種別の薬品に起因する特定症状の発現について、予め定められた特定成分を基準に評価するための作業を支援することが可能な医療情報処理システム及び医療情報処理プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る医療情報処理システムの概略構成を示す模式図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る医療情報処理システムの詳細構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る医療情報処理システムで用いられる薬品マスターの一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る医療情報処理システムで用いられる向精神薬分類マスターの一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る医療情報処理システムで用いられるCP換算マスターの一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る医療情報処理システムで実行されるCPチェック処理の一例を示すフローチャート。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る医療情報処理システムで表示される画面の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施の形態に係る医療情報処理システムで表示される画面の一例を示す図である。
図9図9は、本発明の実施の形態に係る医療情報処理システムで印刷される処方箋の一部を示す図である。
図10図10は、本発明の実施の形態に係る医療情報処理システムで実行される向精神薬表示処理の一例を示すフローチャート。
図11図11は、本発明の実施の形態に係る医療情報処理システムで表示される画面の一例を示す図である。
図12図12は、本発明の実施の形態に係る医療情報処理システムで表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0012】
[医療情報処理システム1]
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る医療情報処理システム1は、医療情報処理装置10及び複数のクライアント端末20を備える。前記医療情報処理装置10及び前記クライアント端末20は、LAN又はインターネット等のネットワーク30を介して通信可能である。
【0013】
なお、本実施形態では、前記医療情報処理装置10単体が本発明に係る医療情報処理システムである場合を例に挙げて説明する。一方、前記医療情報処理装置10が実行する処理を前記医療情報処理装置10及び前記クライアント端末20が分散して実行することも考えられる。この場合、前記医療情報処理装置10及び前記クライアント端末20が前記医療情報処理システムを構成する。また、前記クライアント端末20単体が本発明に係る医療情報処理システムとして機能してもよい。例えば、前記クライアント端末20が、前記医療情報処理装置10から必要な情報を適宜取得して、当該医療情報処理装置10と同様の機能を実現することが考えられる。その他、前記医療情報処理システム1で用いられる各種の情報が、前記医療情報処理装置10又は前記クライアント端末20が前記ネットワーク30を介して通信可能な外部のサーバー装置などに記憶されていてもよい。この場合、前記医療情報処理装置10又は前記クライアント端末20は、前記外部のサーバー装置から各種の情報を読み出し、前記外部のサーバー装置に各種の情報を記憶させる。
【0014】
[医療情報処理装置10]
図2に示すように、前記医療情報処理装置10は、制御部11、記憶部12、表示部13、操作部14、通信IF15、及びドライブ装置16などを備えるコンピュータシステムであり、前記医療情報処理システム1のサーバーとして機能する。なお、前記医療情報処理装置10は、当該医療情報処理装置10が使用される病院又は薬局等の医療関連施設の内部又は外部に設けられる。
【0015】
本実施形態に係る前記医療情報処理装置10は、患者の疾病情報、投薬情報、及び検査情報などを含む診療情報(電子カルテ)を管理する電子カルテシステム、及び、患者の処方内容を示す処方データを管理する調剤支援システムとしての機能を有する。前記投薬情報は、患者に投与する薬品の薬品識別情報(一般名、YJコード、販売名など、以下同様)、用量、用法などの情報を含む。前記用法には、例えば「分3朝食後、7日分」のように患者が前記薬品を服用するタイミング及び期間を示す情報が含まれる。
【0016】
例えば、前記医療情報処理装置10では、前記クライアント端末20の操作に応じて診療情報が登録され、当該診療情報に含まれる前記投薬情報に基づいて処方データが発行される。前記処方データには、前記投薬情報と同様に薬品の薬品識別情報、用量、用法、及び処方日(発行日)などの情報が含まれる。また、前記診療情報には、前記医療関連施設における最初の診察時に患者が持参している持参薬に関する持参薬情報が含まれることがある。前記持参薬情報には、薬品の薬品識別情報、用量、用法、処方期間などの情報が含まれる。前記処方期間は、患者が前記持参薬を服用する期間を示す情報であり、当該期間の開始日及び服用日数の情報、又は、当該期間の終了日などの情報を示す情報である。これにより、前記医療情報処理装置10では、前記診療情報及び前記処方データに基づいて、患者に対応付けられており当該患者が現時点で服用することになる薬品の情報を特定することが可能である。なお、前記医療情報処理装置10とは別に前記調剤支援システムが外部の薬局などに設けられており、前記医療情報処理装置10から外部の前記調剤支援システムに前記処方データ又は前記持参薬情報などが送信されてもよい。
【0017】
前記制御部11は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROM(登録商標)などの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、前記制御部11は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
【0018】
前記記憶部12は、前記制御部11によって実行される各種の制御プログラム及び各種のデータが記憶されるハードディスク、SSD、又はフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部である。例えば、前記記憶部12は、プログラム領域121、データ領域122、マスター領域123などの記憶領域を有する。
【0019】
前記プログラム領域121には、前記制御部11に各種の処理を実行させるための医療情報処理プログラムが記憶される。なお、前記プログラム領域121には、オペレーティングシステム(OS)及びブラウザソフトなどのアプリケーションプログラムも記憶されている。
【0020】
前記データ領域122には、前記診療情報及び前記処方データなどが蓄積して記憶される。前記診療情報は、例えば前記クライアント端末20を用いたユーザー操作に応じて前記医療情報処理装置10に登録され又は編集される。
【0021】
前記マスター領域123には、薬品マスターD1、向精神薬分類マスターD2、及びCP換算マスターD3などの各種のマスター情報が記憶される。ここに、図3図5は、前記薬品マスターD1、前記向精神薬分類マスターD2、及び前記CP換算マスターD3の一例を示す図である。なお、他の実施形態として、前記向精神薬分類マスターD2又は前記CP換算マスターD3と同様の情報が前記薬品マスターD1に登録されており、当該薬品マスターD1に用いて各種の処理が実行されてもよい。
【0022】
図3に示されているように、前記薬品マスターD1には、薬品に関するデータとして、例えばYJコード、一般名(成分名)、販売名、規格量などの情報が登録されている。YJコードは、薬品を識別可能な12桁の個別医薬品コードであり、向精神薬については、YJコードのうち上7桁が、向精神薬の分類(抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬)を示している。なお、YJコードは、薬価基準収載医薬品コードをより細分化したコードである。本実施形態では、YJコードの上7桁により前記向精神薬の分類が特定されている場合について説明するが、他の実施形態として、前記薬価基準収載医薬品コードを用いて前記向精神薬の分類が特定されることも考えられる。
【0023】
図4に示されているように、前記向精神薬分類マスターD2には、向精神薬に分類される予め定められた薬品ごとに、YJコードの上7桁、一般名、及び分類などの情報が対応付けて登録される。即ち、前記向精神薬分類マスターD2では、薬品を識別するためのYJコード(薬品コード)に含まれる上7桁(特定桁数)の分類コードと予め定められた向精神薬の分類とが対応付けられている。前記制御部11は、前記医療情報処理装置10又は前記クライアント端末20に対するユーザー操作に応じて前記向精神薬分類マスターD2を編集可能である。また、前記向精神薬分類マスターD2は、前記ドライブ装置16でDVD等の記録媒体から読み取られる情報に基づいて前記制御部11によって更新されてもよい。
【0024】
例えば、YJコードの上7桁が「1124013」である薬品は「抗不安薬」に分類され、YJコードの上7桁が「1124007」である薬品は「睡眠薬」に分類される。また、YJコードの上7桁が「1179001」である薬品は「抗うつ薬」に分類され、YJコードの上7桁が「1179024」である薬品は「抗精神病薬」に分類される。従って、前記医療情報処理装置10では、前記制御部11が、前記向精神薬分類マスターD2に基づいて、前記薬品マスターD1に登録されている薬品各々が向精神薬に該当するか否かを判断することが可能である。また、前記制御部11は、前記向精神薬分類マスターD2に基づいて、前記向精神薬各々の分類が抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、及び抗精神病薬のいずれかであるかを判断することが可能である。このように、前記制御部11は、YJコードの全桁数未満の桁数である7桁のコードを用いて前記向精神薬の分類を判定することが可能である。
【0025】
図5に示されているように、前記CP換算マスターD3には、後述のCPチェック処理において、凶暴性、被害妄想、せん妄などの特定症状(副作用)についての評価が必要な薬品として予め設定された対象薬品ごとに、YJコード、販売名、及び等価換算値などの情報が対応付けて登録されている。なお、前記規格量の情報が前記CP換算マスターD3に含まれていてもよい。前記制御部11は、前記医療情報処理装置10又は前記クライアント端末20のユーザー操作に応じて前記CP換算マスターD3を編集可能である。また、前記制御部11は、前記ドライブ装置16でDVD等の記録媒体から読み取られる情報又は前記ネットワーク30を介してダウンロードされる情報に基づいて前記CP換算マスターD3を更新してもよい。
【0026】
前記等価換算値は、前記特定症状の発現の可能性又は程度を、予め定められた特定成分であるクロルプロマジンを基準に評価するために用いられる値である。本実施形態では、評価の基準となる前記特定成分がクロルプロマジンである場合を例に挙げて説明する。具体的に、前記等価換算値は、前記特定症状の発現の可能性又は程度が前記クロルプロマジンの「100mg」と同等になるときの前記対象薬品の主成分量を示す値である。例えば、図5に示される「チミペロン錠3mg」については前記等価換算値が「1.3」であり、前記クロルプロマジンに対して単位量当たりの前記特定症状の発現の可能性又は程度などが高いことがわかる。即ち、前記等価換算値が低い薬品ほど単位量あたりの前記特定症状の発現の可能性又は程度などが高く、前記等価換算値が高い薬品ほど単位量当たりの前記特定症状の発現の可能性又は程度などが低い。
【0027】
なお、本実施形態で用いられる前記CP換算マスターD3では、薬品の販売名ごとについて前記テーブル情報が登録されているため、当該薬品の薬品識別情報として12桁のYJコードが用いられる。一方、他の実施形態として、前記CP換算マスターD3において、薬品の一般名ごとについて前記等価換算値が登録されることが考えられ、この場合には、当該薬品の識別情報としてYJコードの上7桁の分類コードが用いられる。
【0028】
前記表示部13は、前記制御部11からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部である。前記操作部14は、前記医療情報処理装置10に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作される操作部である。具体的に、前記操作部14は、前記表示部13に表示される各種の操作画面における入力操作を受け付けるキーボード及びマウス(ポインティングデバイス)を含む。また、前記操作部14は、前記表示部13に表示される各種の操作画面に対するタッチ操作を受け付けるタッチパネル、又は音声認識により各種情報の入力を受け付ける音声入力装置を含むものであってもよい。
【0029】
前記通信IF15は、前記ネットワーク30を介して前記クライアント端末20などの外部機器との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行するネットワークカード等を有する通信インターフェースである。
【0030】
前記ドライブ装置16は、前記医療情報処理プログラムなどが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体161から前記医療情報処理プログラムなどの情報を読み取ることが可能である。前記記録媒体161は、CD、DVD、BD、又はUSBメモリなどであり、前記ドライブ装置16は、CDドライブ、DVDドライブ、BDドライブ、又はUSBポートなどである。そして、前記医療情報処理装置10では、前記制御部11により、前記ドライブ装置16を用いて前記記録媒体161から読み取られた前記医療情報処理プログラムが前記プログラム領域121に記憶される。
【0031】
ところで、患者の投薬情報をシステムに登録する際、その投薬情報に基づいて患者が複数の特定種別の薬品を服用することになる場合には、その複数の特定種別の薬品による特定症状の発現の可能性又は程度などを考慮する必要が生じることがある。例えば、患者が複数種類の向精神薬を服用することになる場合に、その向精神薬各々による凶暴性、被害妄想、せん妄などの特定症状の発現の可能性又は程度を、クロルプロマジンを基準として評価するための評価値を算出し、その評価値を合計した合計評価値が、予め設定された評価基準を満たすか否かが判断されることがある。しかしながら、従来のシステムでは、患者に対応付けられている複数の特定種別の薬品による特定症状の発現について、予め定められた特定成分を基準として評価する作業を支援することができなかった。これに対し、本実施形態に係る前記医療情報処理システム1では、複数の特定種別の薬品に起因する特定症状の発現について、予め定められた特定成分を基準に評価するための作業を支援することが可能である。
【0032】
具体的に、前記医療情報処理装置10では、前記制御部11が、算出処理部111、評価処理部112、出力処理部113、変更処理部114、提示処理部115を含む。具体的に、前記制御部11は、前記医療情報処理プログラムに従って各種の処理を実行することにより、各種の処理部として機能する。なお、前記制御部11が複数のプロセッサーを備える場合には、当該複数のプロセッサーによって前記医療情報処理プログラムに従った各種の処理が並行して実行されてもよい。
【0033】
前記算出処理部111は、患者に対応付けられている薬品のうち算出対象として予め設定された対象薬品の算出単位日数分の処方量と、前記対象薬品ごとに予め設定された前記等価換算値(図5参照)とに基づいて、クロルプロマジンを基準とする前記対象薬品各々のCP換算値を算出する。なお、前記CP換算値は、本発明に係る評価値の一例である。本実施形態では、前記算出単位日数が1日である場合について説明する。また、前記処方量は、前記対象薬品の用量に当該対象薬品の規格量を乗じることにより算出される値であり、当該対象薬品の主成分量を示す値である。前記用量は、例えば前記対象薬品の処方単位が1錠である場合には1日当たりの錠数を示す値である。なお、前記投薬情報として前記処方量が入力されている場合には、当該処方量が前記CP換算値の算出に用いられてもよい。
【0034】
具体的に、前記算出処理部111は、患者が服用する薬品として当該患者に対応付けられている薬品から、前記CP換算マスターD3に登録されている一又は複数の対象薬品を抽出する。そして、前記算出処理部111は、前記対象薬品各々について、当該対象薬品の1日分(算出単位日数分)の処方量を当該対象薬品の前記等価換算値で割った値に100を乗じることによって前記CP換算値を算出する(CP換算値=[処方量/等価換算値]×100)。
【0035】
特に、本実施形態において、前記算出処理部111は、患者に対応付けられている薬品として、第1種別対象薬品、第2種別対象薬品、第3種別対象薬品のそれぞれを前記対象薬品として抽出し、当該対象薬品各々について前記CP換算値を算出することが可能である。
【0036】
前記第1種別対象薬品は、前記患者に対応付けて現在入力されている前記投薬情報に含まれる薬品である。前記第2種別対象薬品は、前記患者に対応付けられている過去の前記投薬情報又は前記処方データに基づく処方期間が終了していない薬品である。前記第3種別対象薬品は、前記医療情報処理システム1で入力される前記投薬情報に基づいて前記患者に処方される薬品とは別に当該患者が服用する薬品として入力さている薬品であって、処方期間が終了していない薬品である。即ち、前記第3種別対象薬品は、前記持参薬として前記持参薬情報に含まれる薬品である。なお、前記医療情報処理システム1には、患者が問診票について情報を入力するための問診票端末が設けられることがあり、当該問診票端末に患者が自分の服用している薬品を入力した場合であって、当該薬品が前記CP換算マスターD3に登録されている場合に、当該薬品が前記第3種別対象薬品として処理されてもよい。
【0037】
なお、他の実施形態として、前記第1種別対象薬品及び前記第2種別対象薬品のみが前記対象薬品として前記CP換算値が算出されること、前記第1種別対象薬品及び前記第3種別対象薬品のみが前記対象薬品として前記CP換算値が算出されること、又は前記第1種別対象薬品のみが前記対象薬品として前記CP換算値が算出されることも考えられる。
【0038】
また、本実施形態では、前記算出単位日数が1日である場合を例に挙げて説明するが、他の実施形態では2日以上であってもよい。さらに、本実施形態では、前記CP換算マスターD3に登録されている薬品が前記対象薬品として抽出されるが、例えば予め設定されたYJコードの上7桁に基づいて前記対象薬品であるか否かが判断されてもよい。
【0039】
前記評価処理部112は、前記算出処理部111によって算出される前記対象薬品各々のCP換算値を合計したCP換算値合計を予め設定された一又は複数の評価基準に基づいて評価する。なお、前記CP換算値合計は、本発明に係る合計評価値の一例である。具体的に、前記評価処理部112は、前記評価基準として一の基準値のみが設定されている場合には、前記CP換算値合計が前記基準値未満である場合に前記評価基準を満たすと評価する。また、前記評価処理部112は、前記評価基準として複数の前記基準値が設定されている場合には、前記CP換算値合計が複数の前記基準値に対していずれの範囲に該当するかを評価し、前記CP換算値合計が予め設定されたいずれかの前記基準値未満である場合に当該評価基準を満たすと評価する。
【0040】
前記出力処理部113は、前記CP換算値合計に基づいて特定情報を出力する。例えば、前記特定情報は、前記CP換算値合計を示す値そのもの及び前記評価処理部112による前記CP換算値合計の評価結果のいずれか一方又は両方である。なお、前記出力処理部113は、前記特定情報と共に前記対象薬品各々の薬品識別情報である薬品の販売名、及び当該対象薬品各々のCP換算値などの情報を出力してもよい。本実施形態において、前記出力処理部113は、前記特定情報を前記クライアント端末20に表示させるための処理を実行する。即ち、前記出力処理部113による前記特定情報の出力態様は表示出力である。例えば、前記出力処理部113は、前記特定情報を表示するための表示データを前記クライアント端末20に送信することにより当該クライアント端末20に前記特定情報を表示させる。なお、前記出力処理部113は、プリンターを用いて前記特定情報を印刷出力するものであってもよい。
【0041】
前記変更処理部114は、前記出力処理部113による前記CP換算値合計の出力画面(後述の換算シミュレーション画面P2)などにおいて前記第1種別対象薬品の薬品種別又は処方量の変更を受け付けることが可能である。前記処方量の変更は、前記第1種別対象薬品の規格量又は用量の変更に応じて変更される。例えば、前記第1種別対象薬品の規格量の変更は、同種の薬品であって前記規格量の異なる前記第1種別対象薬品が選択されることによって行われる。なお、前記変更処理部114によって前記処方量が変更されると、その変更後の前記処方量に基づいて前記対象薬品の前記CP換算値が前記算出処理部111によって再算出され、前記算出処理部111による再算出後の前記CP換算値に基づいて再算出される前記CP換算値合計が前記出力処理部113によって出力される。これにより、ユーザーは、前記CP換算値合計を参照しながら、現在入力されている前記第1種別対象薬品の薬品種別又は処方量を前記CP換算値合計が前記評価基準を満たすように変更することが可能である。
【0042】
前記提示処理部115は、前記CP換算値合計が予め設定された評価基準を満たす値となる前記第1種別対象薬品各々の薬品種別又は処方量を提示する。具体的に、前記提示処理部115は、人工知能を用いて、過去に前記変更処理部114によって行われた前記処方量の調整の内容を学習し、その学習された学習済データに基づいて、前記CP換算値合計が予め設定された評価基準を満たす値となる前記第1種別対象薬品各々の薬品種別又は処方量を自動的に算出して提示する。なお、前記第1種別対象薬品の薬品種別が変更される場合には、当該第1種別対象薬品と効能が同じ他の前記第1種別対象薬品が選択される。また、前記学習済データは、前記医療情報処理システム1内で学習されたものに限らず、複数の前記医療情報処理システム1から収集されたビッグデータ等に基づいて生成されるものであってもよい。これにより、ユーザーは、前記提示処理部115による提示内容を参照して、前記第1種別対象薬品の薬品種別又は処方量を前記CP換算値合計が前記評価基準を満たすように容易に変更することが可能である。
【0043】
[クライアント端末20]
一方、図2に示すように、前記クライアント端末20は、制御部21、記憶部22、表示部23、操作部24、通信IF25、及びドライブ装置26などを備えるコンピュータである。前記クライアント端末20は、病院の診察室、調剤が行われる調剤室、患者が入院する病棟、及び会計窓口などに設けられ、医師、薬剤師、看護師、及び事務員などの医療従事者によって用いられる操作端末である。
【0044】
前記制御部21は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、前記制御部21は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
【0045】
前記記憶部22は、前記制御部21によって実行される各種の制御プログラム及び各種のデータが記憶されるハードディスク、SSD、又はフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部である。具体的に、前記記憶部22には、オペレーティングシステム(OS)及びブラウザソフトなどのアプリケーションプログラムが記憶される。前記ブラウザソフトは、前記ネットワーク30を介して前記医療情報処理装置10にアクセスすることにより当該医療情報処理装置10から送信される表示データに基づいて前記表示部23に各種の操作画面などを表示させると共に、前記操作画面における前記操作部24を用いた入力操作を前記医療情報処理装置10に伝達するためのアプリケーションソフトウェアである。例えば、前記制御部21は、前記ブラウザソフトにより表示される操作画面の所定位置に、前記医療情報処理装置10に対応するURL(Universal Resource Locator)などのアドレス情報が入力された場合に、該アドレス情報に基づいて前記医療情報処理装置10にアクセスする。
【0046】
前記表示部23は、前記制御部21からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部である。前記操作部24は、前記クライアント端末20に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作される操作部である。具体的に、前記操作部24は、前記表示部23に表示される各種の操作画面における入力操作を受け付けるキーボード及びマウス(ポインティングデバイス)を含む。また、前記操作部24は、前記表示部23に表示される各種の操作画面に対するタッチ操作を受け付けるタッチパネル、又は音声認識により各種情報の入力を受け付ける音声入力装置を含むものであってもよい。
【0047】
前記通信IF25は、前記ネットワーク30を介して前記医療情報処理装置10などの外部機器との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行するネットワークカード等を有する通信インターフェースである。
【0048】
前記ドライブ装置26は、前記OS又は前記ブラウザソフトなどが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体261から前記OS又は前記ブラウザソフトなどの情報を読み取ることが可能である。前記記録媒体261は、CD、DVD、BD、又はUSBメモリなどであり、前記ドライブ装置16は、CDドライブ、DVDドライブ、BDドライブ、又はUSBポートなどである。前記クライアント端末20では、前記制御部21により、前記ドライブ装置26を用いて前記記録媒体261から読み取られた前記OS又は前記ブラウザソフトなどが前記プログラム領域221に記憶される。
【0049】
そして、前記医療情報処理システム1では、前記医療情報処理装置10及び前記クライアント端末20によりサーバクライアントシステムが構成され、前記医療情報処理装置10が前記クライアント端末20のユーザー操作に応じて各種情報の表示、記録、及び印刷などの処理などを実行する。即ち、前記クライアント端末20は、前記医療情報処理装置10の操作端末として用いられるものであり、以下に説明する「表示」、「操作」、「選択」、及び「入力」などは、前記クライアント端末20の前記表示部23及び前記操作部24を用いて行われる。
【0050】
[CPチェック処理]
以下、図6を参照しつつ、前記制御部11によって実行されるCPチェック処理の一例について説明する。本発明は、前記制御部11のようなコンピュータによって前記CPチェック処理の一部又は全部が実行される医療情報処理方法の発明として捉えてもよい。なお、以下に説明する前記CPチェック処理は単なる一例であり、他の実施形態として、当該CPチェック処理の一部のステップが適宜省略されること又は他のステップが加えられることも考えられる。
【0051】
<ステップS1>
ステップS1において、前記制御部11は、当該CPチェック処理の開始操作が行われたか否かを判定する。そして、前記開始操作が行われたと判断されると(S1:Yes)、処理がステップS2に移行し、前記開始操作が行われるまでの間は(S1:No)、処理がステップS1で待機する。
【0052】
例えば、前記開始操作は、前記制御部11が、前記クライアント端末20のユーザー操作に応じて患者の診療情報(電子カルテ)を編集するためのカルテ編集画面P1が表示された状態で行われる。
【0053】
ここに、図7は、前記カルテ編集画面P1の一例を示す図である。図7に示されるように、前記カルテ編集画面P1には、過去の投薬情報などの診療情報が表示される過去カルテ領域D11、現在入力中の投薬情報(今回処方)などの診療情報が表示される現在カルテ領域D12、患者の基本情報が表示される患者情報領域D13、及び前記診療情報の編集操作に用いられるキーパッドが表示されるキーパッド領域D14が表示される。
【0054】
例えば、前記カルテ編集画面P1では、1回の診察に関する前記診療情報として、「S」、「O」、「A」、「P」、「指導」の各項目に分類されて各種の情報が記録される。なお、「S」は主観情報(Subjective Information)であって、患者が主観的に感じている症状などに関する情報である。「O」は客観情報(Objective Information)であって、医師の診療所見及び検査所見などに関する情報である。「A」は評価情報(Assessment Information)であって、医師の評価及び判断などに関する情報である。「P」は計画情報(Plan Information)であって、投薬及び治療計画などに関する情報である。「指導」は指導情報であって、患者への教育及び指導などに関する情報である。なお、前記制御部11は、当該CPチェック処理とは別に、前記カルテ編集画面P1を用いたユーザー操作に応じて患者の診療情報の登録処理及び編集処理などを実行するが、その詳細な説明は省略する。
【0055】
そして、前記制御部11は、図7に示されるように、前記カルテ編集画面P1に表示されている操作タブK1が操作されると、当該操作タブK1に予め対応付けられた操作内容の候補を領域A11に表示させ、当該操作内容の中から「CP換算チェック」に対応する操作部K11が選択された場合に、前記CPチェック処理の開始操作が行われたと判断する。また、前記制御部11は、前記操作部24として用いられるマウスの右クリック操作に応じて、図7に示されるように、操作内容の候補を含むウィンドウW1を表示させ、前記ウィンドウW1において「CP換算チェック」に対応する操作部K12が操作された場合に、前記CPチェック処理の開始操作が行われたと判断する。
【0056】
なお、前記制御部11は、前記キーパッド領域D14における所定の操作に応じて前記CPチェック処理の開始操作が行われたと判断してもよい。さらに、前記制御部11は、前記診療情報として前記投薬情報が入力されており、当該投薬情報に前記対象薬品が含まれる場合に、当該投薬情報を前記診療情報として登録するための登録操作に応じて自動的に前記CPチェック処理を実行すると判断してもよい。
【0057】
<ステップS2>
ステップS2において、前記制御部11は、前記カルテ編集画面P1で患者に対応付けて現在入力されている投薬情報に含まれる薬品のうち、前記CP換算マスターD3に登録されている前記対象薬品を、前記第1種別対象薬品として抽出する。例えば、図7に示される前記カルテ編集画面P1の例では、前記現在カルテ領域D12に「チミペロン錠3mg」、「ハロペリドール錠3mg」、「プロムペリドール錠3mg」、及び「ムコスタ錠100mg」の4種類の薬品が前記投薬情報として入力されている。これに対し、「チミペロン錠3mg」、「ハロペリドール錠3mg」、「プロムペリドール錠3mg」のみが前記CP換算マスターD3に登録されており、「ムコスタ錠100mg」が前記CP換算マスターD3に登録されていない場合には、前者の「チミペロン錠3mg」、「ハロペリドール錠3mg」、「プロムペリドール錠3mg」のみが前記第1種別対象薬品として抽出される。
【0058】
<ステップS3>
ステップS3において、前記制御部11は、前記患者に対応付けられている過去の前記投薬情報又は前記処方データに基づく処方期間が、現在の前記CP換算値の算出開始時点で終了していない薬品であって、前記CP換算マスターD3に登録されている前記対象薬品を前記第2種別対象薬品として抽出する。これにより、前記第1種別対象薬品と同日に患者が服用する可能性のある前記第2種別対象薬品についても、前記CP換算値の算出対象とすることが可能である。なお、前記第2種別対象薬品は、前記処方期間が前記現在カルテ領域D12に入力されている前記投薬情報に基づいて処方される薬品の服用開始日に終了していない薬品であって、前記CP換算マスターD3に登録されている前記対象薬品であってもよい。
【0059】
<ステップS4>
ステップS4において、前記制御部11は、前記医療情報処理システム1で入力される前記投薬情報に基づいて前記患者に処方される薬品とは別に当該患者が服用する薬品として前記持参薬情報に入力さており、処方期間が前記CP換算値の算出開始時点で終了していない薬品であって、前記CP換算マスターD3に登録されている前記対象薬品を第3種別対象薬品として抽出する。これにより、前記第1種別対象薬品と同日に患者が服用する可能性のある持参薬のような前記第3種別対象薬品についても、前記CP換算値の算出対象とすることが可能である。なお、前記第3種別対象薬品は、前記処方期間が前記現在カルテ領域D12に入力されている前記投薬情報に基づいて処方される薬品の服用開始日に終了していない薬品であって、前記持参薬情報及び前記CP換算マスターD3に登録されている前記対象薬品であってもよい。
【0060】
このように、本実施形態では、前記ステップS2~S4において、前記第1種別対象薬品、前記第2種別対象薬品、及び前記第3種別対象薬品が当該CPチェック処理における前記CP換算値の算出対象として抽出される。一方、他の実施形態として、前記ステップS3及びS4のいずれか一方又は両方が省略されてもよく、即ち前記第2種別対象薬品及び前記第3種別対象薬品のいずれか一方又は両方が前記CP換算値の算出対象から除外されてもよい。
【0061】
なお、前記ステップS2において前記第1種別対象薬品が抽出されなかった場合でも、前記第2種別対象薬品又は前記第3種別対象薬品が抽出された場合には、当該第2種別対象薬品又は前記第3種別対象薬品についての前記CP換算値及び前記CP換算値合計が算出されて後述の換算シミュレーション画面P2が表示されてもよい。これにより、前記第1種別対象薬品の入力前に前記第2種別対象薬品又は前記第3種別対象薬品などを対象に現在の前記CP換算値合計を把握することが可能である。
【0062】
<ステップS5>
ステップS5において、前記制御部11は、前記ステップS2~S4で抽出された前記対象薬品各々について、当該対象薬品の1日分の処方量と、当該対象薬品に対応付けて前記CP換算マスターD3に登録されている前記等価換算値とに基づいて、前記CP換算値を算出するための処理を実行する。前記ステップS5は、本発明に係る算出ステップの一例であり、前記制御部11の算出処理部111によって実行される。
【0063】
具体的に、前記制御部11は、前記対象薬品の規格量を、前記薬品マスターD1に基づいて特定し、前記対象薬品の用量を、前記投薬情報、前記処方データ、又は前記持参薬情報等に基づいて特定する。そして、前記制御部11は、前記対象薬品の規格量に前記用量を乗じた主成分量を前記処方量として算出する。続いて、前記制御部11は、前記対象薬品の前記処方量を当該対象薬品の前記等価換算値で割った値に100を乗じることによって前記CP換算値を算出する(CP換算値=[処方量/等価換算値]×100)。
【0064】
例えば、前記対象薬品の1日分の用量が3錠、当該対象薬品の規格量が3mg、前記等価換算値が1.3である場合には、当該対象薬品の処方量として「3錠」×「3mg」の「9mg」が算出され、前記処方量を前記等価換算値である「1.3」で割って100を乗じて得られる「692.31mg」が前記CP換算値として算出される。また、前記対象薬品の1日分の用量が3錠、当該対象薬品の規格量が3mg、前記等価換算値が2である場合には、前記処方量として「3錠」×「3mg」の「9mg」が算出され、前記処方量を前記等価換算値である「2」で割って100を乗じて得られる「450mg」が前記CP換算値として算出される。なお、前記対象薬品の主成分が前記CP換算値の基準であるクロルプロマジンである場合には、前記等価換算値が1であるため、1日分の用量が1錠であり、当該対象薬品の規格量が25mgである場合には、前記処方量として「1錠」×「25mg」の「25mg」が算出され、前記処方量を前記等価換算値である「1」で割って100を乗じて得られる「2500mg」が前記CP換算値として算出されることになる。
【0065】
なお、前記投薬情報に現在入力されている前記第1種別対象薬品のうち以前から患者が服用している薬品については、前記第2種別対象薬品又は前記第3種別対象薬品にも該当することがある。しかしながら、この場合、当該第1種別対象薬品と当該第2種別対象薬品又は当該第3種別対象薬品とは、重複して服用されず、当該第2種別対象薬品又は当該第3種別対象薬品が服用された後に当該第1種別対象薬品が服用されると考えられる。そのため、前記制御部11は、前記第1種別対象薬品のうち、前記第2種別対象薬品又は前記第3種別対象薬品と同じ薬品については、前記ステップS5における前記CP換算値の算出対象から除外する。これにより、無駄に前記CP換算値合計が過大となることが抑制され、ユーザーによる無駄な確認作業が抑制される。
【0066】
さらに、前記制御部11は、前記第2種別対象薬品又は前記第3種別対象薬品と同じ前記第1種別対象薬品を算出対象から除外するか否かを、初期設定などにおけるユーザー操作に応じて切り替えることが可能であってもよい。また、他の実施形態として、前記第1種別対象薬品と同じ前記第2種別対象薬品又は前記第3種別対象薬品を算出対象から除外してもよい。なお、他の実施形態として、ここで説明した前記第1種別対象薬品、前記第2種別対象薬品、又は前記第3種別対象薬品が、前記CP換算値の算出対象からの除外に代えて、後述のステップS6におけるCP換算値合計の算出対象から除外されてもよい。
【0067】
<ステップS6>
ステップS6において、前記制御部11は、前記ステップS5で算出された前記対象薬品各々の前記CP換算値を合計したCP換算値合計を算出するための処理を実行する。例えば、前記対象薬品が3種類ある場合には、当該3種類の前記対象薬品の前記CP換算値を足した値が前記CP換算値合計として算出される。
【0068】
<ステップS7>
ステップS7において、前記制御部11は、前記CP換算値合計と予め設定された前記評価基準とに基づいて当該CP換算値合計を評価するための処理を実行する。前記ステップS7は、前記制御部11の評価処理部112によって実行される。
【0069】
本実施形態では、前記評価基準として、第1基準値、前記第1基準値よりも小さい第2基準値が設定されているものとする。例えば、前記第1基準値の初期値は1000mgであり、前記第2基準値の初期値は600mgである。そして、前記制御部11は、前記CP換算値合計が前記第1基準値以上であるか、前記CP換算値合計が前記第1基準値未満で前記第2基準値以上であるか、及び前記CP換算値合計が前記第2基準値未満であるかを判定する。なお、前記制御部11は、前記医療情報処理装置10又は前記クライアント端末20のユーザー操作に応じて、前記評価基準である前記第1基準値及び前記第2基準値のいずれか一方又は両方を変更することが可能である。前記評価基準を変更するためのユーザー操作は、初期設定時に行われてもよく、後述の換算シミュレーション画面P2(図8)の表示中に行われてもよい。
【0070】
<ステップS8>
ステップS8において、前記制御部11は、前記ステップS6で算出された前記CP換算値合計に基づいて特定情報を出力する出力処理を実行する。前記ステップS8は、本発明に係る出力ステップの一例であり、前記制御部11の出力処理部113によって実行される。
【0071】
具体的に、前記制御部11は、前記特定情報として、前記CP換算値合計の値そのものと、前記ステップS7における前記CP換算値合計の評価結果とが前記特定情報として含まれる換算シミュレーション画面P2を前記クライアント端末20に表示する。なお、前記換算シミュレーション画面P2は、前記カルテ編集画面P1の上に重ねて表示され、又は、前記カルテ編集画面P1に代えて表示される。例えば、前記評価結果は、前記CP換算値合計の配色又は文字サイズなどの表示態様によって表示される。なお、前記制御部11は、前記換算シミュレーション画面P2を前記クライアント端末20の表示部23に表示させるための表示データを当該クライアント端末20に送信することにより当該表示部23に前記換算シミュレーション画面P2を表示させる。ここに、図8は、前記換算シミュレーション画面P2の一例が示されている。
【0072】
図8に示されるように、前記換算シミュレーション画面P2には、前記対象薬品各々の薬品識別情報である販売名と共に、当該対象薬品の用量、単位、CP換算値の算出式、及びCP換算値が表示されている。なお、前記単位は、前記対象薬品の処方単位を示す情報であり、例えば錠数単位で処方される場合には、当該単位として「T」が表示される。
【0073】
また、図8に示されるように、前記換算シミュレーション画面P2には、前記対象薬品各々の前記CP換算値の合計を示す前記CP換算値合計が表示されている。さらに、前記換算シミュレーション画面P2では、前記ステップS7における前記CP換算値合計の評価結果として、前記CP換算値合計が前記評価結果に対応する配色で表示される。具体的に、前記制御部11は、前記CP換算値合計が前記第1基準値未満である場合には、前記評価結果として処方量が適切な量である旨を示す黒字で前記CP換算値合計を表示し、前記CP換算値合計が前記第1基準値以上前記第2基準値未満である場合には、前記評価結果として処方量が適切な量を少し超えている可能性がある旨を示す黄色で前記CP換算値合計を表示し、前記CP換算値合計が前記第2基準値以上である場合には、前記評価結果として処方量が大量投与になっている可能性が強い旨を示す赤色で前記CP換算値合計を表示する。このように、前記換算シミュレーション画面P2では、前記CP換算値合計の評価結果に応じて当該CP換算値合計の配色などの表示態様が変更される。従って、ユーザーは、前記CP換算値合計の表示態様を参照することにより、当該CP換算値合計の評価結果を容易に把握することが可能である。なお、前記評価結果は、当該評価結果を示す文字又は画像などで表示されてもよい。
【0074】
なお、前記換算シミュレーション画面P2では、前記対象薬品各々の情報が、前記第1種別対象薬品、前記第2種別対象薬品、又は前記第3種別対象薬品のいずれに属するものであるかが識別可能な態様で表示される。例えば、前記第1種別対象薬品の情報は、前記第2種別対象薬品及び前記第3種別対象薬品よりも優先して最上段の領域A21に表示され、当該第1種別対象薬品の販売名は黒字で表示される。また、前記第2種別対象薬品の情報は、過去に投薬された薬品である旨を示すメッセージ「過去オーダー履歴(本日分と処方日が重複している医薬品)」の下段の領域A22に表示され、当該第2種別対象薬品の販売名は紫色で表示される。同様に、前記第3種別対象薬品の情報は、持参薬情報に入力された持参薬である旨を示すメッセージ「問診票(今飲んでいるお薬)」の下段の領域A23に表示され、当該第3種別対象薬品の販売名は緑色で表示される。
【0075】
なお、前記第3種別対象薬品については、前記持参薬情報に用量が登録されていない場合があり、その場合、前記制御部11は、当該第3種別対象薬品について前記CP換算値を算出することができないため、前記第3種別対象薬品に対応する用量の欄を赤色などの予め定められた配色で表示する。これにより、ユーザーは、前記第3種別対象薬品について注意するべきである旨を把握することができる。
【0076】
また、前記換算シミュレーション画面P2では、前記対象薬品各々に対応付けて、当該対象薬品を前記CP換算値の算出対象から除外するか否かを示す領域A26が表示されている。具体的に、本実施形態では、前記第1種別対象薬品に属する一又は複数の前記対象薬品のうち、前記ステップS5における前記CP換算値の算出対象から除外された前記対象薬品については、前記領域A26がチェック状態で表示され、算出対象となっている前記対象薬品については、前記領域A26が非チェック状態で表示される。これにより、ユーザーは、前記換算シミュレーション画面P2において前記領域A26がチェック状態で表示された前記対象薬品については、前記第2種別対象薬品又は前記第3種別対象薬品と重複していることにより算出対象から除外されていることを把握することが可能である。例えば、前記換算シミュレーション画面P2では、前記対象薬品各々に対応する表示欄の一部又は全部に対応する領域が、前記CP換算値の算出対象となる対象薬品と前記CP換算値の算出対象から除外される対象薬品とが識別可能な背景色又は文字色などの表示態様で表示されてもよい。具体的には、前記換算シミュレーション画面P2において、前記CP換算値の算出対象から除外される対象薬品の表示欄がグレーアウト表示されることが考えられる。
【0077】
なお、前記換算シミュレーション画面P2には、前記評価基準に関する情報が表示されてもよい。具体的に、図8に示されるように、前記換算シミュレーション画面P2では、領域A24に前記第1基準値が表示されており、領域A25に前記第2基準値が表示されている。なお、前記制御部11は、前記領域A24又は前記領域A25のユーザー操作に応じて、前記医療情報処理システム1で用いられる前記第1基準値又は前記第2基準値を変更することも可能である。
【0078】
<ステップS9>
ステップS9において、前記制御部11は、前記換算シミュレーション画面P2において、前記第1種別対象薬品として表示されている前記対象薬品の薬品種別、処方量、及び当該対象薬品の算出対象からの除外の有無などを変更するためのユーザー操作を受け付ける。また、他の実施形態として、前記制御部11は、前記ステップS9における前記対象薬品の薬品種別又は処方量の変更に応じて、前記カルテ編集画面P1の前記現在カルテ領域D12に入力されている前記投薬情報の内容を更新してもよい。前記ステップS9は、前記制御部11の変更処理部114によって実行される。なお、前記ステップS9で前記ユーザー操作が行われない場合は処理がステップS10に移行する。
【0079】
例えば、前記制御部11は、前記換算シミュレーション画面P2において、前記第1種別対象薬品のいずれかの薬品種別を示す販売名の欄が選択されることにより、前記CP換算マスターD3に登録されている前記対象薬品を任意に選択するための薬品リスト画面又は薬品検索画面などを表示する。そして、前記制御部11は、前記薬品リスト画面又は前記薬品検索画面などで選択された前記対象薬品を前記第1種別対象薬品として入力することにより前記第1種別対象薬品を変更する。
【0080】
また、前記対象薬品の処方量は、当該対象薬品の用量の変更によって変更される。例えば、前記制御部11は、前記換算シミュレーション画面P2において、前記第1種別対象薬品のいずれかの用量の欄が選択されることにより、当該用量を変更するための数値入力を受け付ける。
【0081】
さらに、前記制御部11は、前記換算シミュレーション画面P2において、前記第1種別対象薬品に対応して表示されている前記領域A26のユーザー操作に応じて、当該第1種別対象薬品を前記CP換算値の算出対象から除外するか否かを切り替える。
【0082】
なお、他の実施形態として、前記制御部11は、前記換算シミュレーション画面P2において、前記第1種別対象薬品のいずれかの薬品種別を示す販売名の欄が選択された場合に、当該第1種別対象薬品と同じ効能のある代替薬品として予め設定された一又は複数の特定の代替薬品を選択候補として優先的に表示すること、又は、一又は複数の前記特定の代替薬品のみを選択候補として表示することが考えられる。
【0083】
<ステップS10>
ステップS10において、前記制御部11は、前記CP換算値合計を再算出するための再算出操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、前記換算シミュレーション画面P2に表示されている操作部K21が操作された場合に、前記再算出操作が行われたと判断する。ここで、前記再算出操作が行われていないと判断されると(S10:No)、処理がステップS11に移行する。
【0084】
一方、前記再算出操作が行われたと判断されると(S10:Yes)、処理が前記ステップS5に戻されて前記CP換算値が再算出され、前記ステップS6で前記CP換算値合計が再算出された後、当該再算出後の前記CP換算値、前記CP換算値合計、及び当該CP換算値合計の評価結果などを含む前記特定情報が前記シミュレーション画面P2に表示される。なお、前記ステップS5における前記CP換算値の再算出時には、前記領域A26のユーザー操作により算出対象から除外する旨の設定がなされた前記対象薬品については、前記再算出時における前記CP換算値の算出対象から除外される。
【0085】
ところで、前記CPチェック処理において最初に前記ステップS5が実行される場合、前記第1種別対象薬品と、前記第2種別対象薬品又は前記第3種別対象薬品とが同じ薬品である場合に、当該第1種別対象薬品が前記CP換算値の算出対象から除外される。一方、前記ステップS10における前記再算出操作後の前記ステップS5における前記CP換算値の再算出時には、ユーザーが前記領域A26の操作によって、同じ薬品である前記第1種別対象薬品と前記第2種別対象薬品又は前記第3種別対象薬品とを共に前記CP換算値の算出対象として意図的に選択している可能性がある。そのため、前記領域A26が操作された後に前記操作部K21が操作され、2回目以降に前記ステップS5が実行される場合、前記制御部11は、前記第1種別対象薬品と、前記第2種別対象薬品又は前記第3種別対象薬品とが同じ薬品である場合でも、当該第1種別対象薬品を前記CP換算値の算出対象から除外しない。
【0086】
なお、前記CP換算値の再算出時には、前記第1種別対象薬品のみについて前記CP換算値が算出され、前記第2種別対象薬品及び前記第3種別対象薬品については前記CP換算値が再算出されなくてもよい。一方、前記第2種別対象薬品又は前記第3種別対象薬品に修正が必要な場合に、前記第2種別対象薬品又は前記第3種別対象薬品を変更することが可能な構成であってもよい。この場合には、前記第1種別対象薬品、前記第2種別対象薬品、及び前記第3種別対象薬品の全てについて前記CP換算値が再算出されてもよいが、前記換算シミュレーション画面P2において変更された種別のみについて前記CP換算値が再算出されてもよい。
【0087】
<ステップS11>
ステップS11において、前記制御部11は、前記CP換算値合計が前記評価基準を満たす値となる前記第1種別対象薬品各々の処方量が提示されるAI提示処理を要求するためのAI提示操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、前記換算シミュレーション画面P2に表示されている操作部K22が操作された場合に前記AI提示操作が行われたと判断する。ここで、前記AI提示操作が行われたと判断されると(S11:Yes)、処理がステップS12に移行し、前記AI提示操作が行われていないと判断されると(S11:No)、処理がステップS13に移行する。
【0088】
<ステップS12>
ステップS12において、前記制御部11は、前記CP換算値合計が前記評価基準を満たす値となる前記第1種別対象薬品各々の処方量又は薬品種別を提示するAI提示処理が実行される。前記ステップS12は、前記制御部11の提示処理部115によって実行される。
【0089】
本実施形態において、前記CP換算値合計が前記評価基準を満たす値となる場合とは、前記CP換算値合計が前記評価基準として設定された前記第2基準値未満になる場合である。なお、前記制御部11は、前述したように、例えば人工知能を用いて、過去に前記変更処理部114によって行われた前記処方量又は前記薬品種別の調整の内容を学習し、その学習された学習済データに基づいて、前記CP換算値合計が予め設定された評価基準を満たす値となる前記第1種別対象薬品各々の前記処方量又は前記薬品種別を自動的に算出して提示することが考えられる。さらに、前記制御部11は、ここで提示される前記第1種別対象薬品の処方量又は薬品種別を反映させるための反映操作などに応じて、前記シミュレーション画面P2に入力されている当該第1種別対象薬品の処方量を変更してもよい。
【0090】
具体的に、前記制御部11は、前記第1種別対象薬品各々の薬品種別を変更しない場合に、前記CP換算値合計が前記第2基準値未満となる前記第1種別対象薬品各々の用量を算出して提示することが考えられる。例えば、前記制御部11は、前記第1種別対象薬品各々の用量を同一割合で減少させることにより前記CP換算値合計が前記第2基準値未満となる前記第1種別対象薬品各々の用量を算出する。また、前記制御部11は、前記第1種別対象薬品各々のうち前記CP換算値が最も大きい薬品について用量を減少させてもよい。なお、前記制御部11は、前記CP換算値合計が前記第2基準値未満となる前記第1種別対象薬品各々の用量について複数の組み合わせを算出し、その複数の組み合わせを提示することが考えられる。また、前記制御部11は、前記第1種別対象薬品各々の用量を変更しない場合に、前記CP換算値合計が前記第2基準値未満となる前記第1種別対象薬品各々の薬品種別を提示してもよい。さらに、前記制御部11は、前記CP換算値合計が前記第2基準値未満となるように前記第1種別対象薬品各々について用量及び薬品種別のいずれか一方又は両方が変更された情報を提示してもよい。
【0091】
<ステップS13>
ステップS13において、前記制御部11は、前記CPチェック処理を終了するための終了操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記換算シミュレーション画面P2に表示されている操作部K23が操作された場合に前記終了操作が行われたと判断する。そして、前記終了操作が行われた判断されると(S13:Yes)、一連の前記CPチェック処理が終了して前記換算シミュレーション画面P2が閉じられた後、処理が前記ステップS1に戻され、次の前記CPチェック処理の開始を待ち受けることになる。なお、前記制御部11は、前記CPチェック処理が終了し、前記評価結果が得られた後は、当該判定結果が識別可能な情報を前記カルテ編集画面P2に表示させてもよい。一方、前記終了操作が行われていないと判断されると(S13:No)、処理が前記ステップS9に戻される。
【0092】
以上説明したように、前記医療情報処理システム1では、患者に対応付けられている薬品に一又は複数の前記対象薬品が含まれている場合に、当該対象薬品による前記特定症状の発現について、クロルプロマジンを基準として評価するための前記CP換算値合計に基づく前記特定情報が出力される。したがって、ユーザーは、前記特定情報を参照することにより、前記対象薬品の処方量の適否を容易に判断することができる。即ち、前記医療情報処理システム1によれば、複数種類の向精神薬の服用に起因する前記特定症状の発現について、クロルプロマジンを基準に評価するための作業を支援することが可能である。また、前記医療情報処理システム1により前記CP換算値合計を前記評価基準に基づいて評価した評価結果が出力されるため、ユーザーが前記評価結果を容易に把握することも可能である。
【0093】
ところで、本実施形態では、前記ステップS1において、前記CPチェック処理の開始操作が行われた場合に、前記ステップS2~S7が実行され、前記CP換算値合計が評価される場合について説明した。一方、他の実施形態として、前記制御部11が、前記カルテ編集画面P1において、前記現在カルテ領域D12に入力中の前記投薬情報に基づいて自動的に前記ステップS2~S7の処理を実行してもよい。そして、前記制御部11は、前記ステップS7における評価結果を識別可能な情報を前記カルテ編集画面P1に表示させる。
【0094】
具体的に、前記制御部11は、図7に示されるように、前記現在カルテ領域D12において、予め定められた位置にアイコンK2を表示させており、当該アイコンK2の表示態様を変更することが考えられる。即ち、前記カルテ編集画面P2の前記現在カルテ領域D12では、前記アイコンK2により前記評価結果が識別可能である。例えば、前記制御部11は、前記CP換算値合計が前記第1基準値以上である場合には、その旨を示す赤色で前記アイコンK2を表示させる。また、前記制御部11は、前記CP換算値合計が前記第2基準値以上で前記第1基準値未満である場合には、その旨を示す黄色で前記アイコンK2を表示させる。さらに、前記制御部11は、前記CP換算値合計が前記第2基準値未満である場合には、その旨を示す青色で前記アイコンK2を表示させる。なお、前記ステップS2で前記第1種別対象薬品が抽出されなかった場合には、前記アイコンK2をその旨を示す灰色で表示させる。これにより、ユーザーは、前記アイコンK2を参照することにより、現在入力中の前記投薬情報について前記CP換算値の評価結果を容易に把握することが可能である。なお、前記アイコンK2は、本発明に係る判定結果識別情報の一例であり、前記アイコンK2に代えて、前記判定結果がメッセージ等で表示されてもよい。
【0095】
さらに、前記制御部11は、前記アイコンK2が操作された場合には、前記換算シミュレーション画面P2を表示させてもよい。なお、前記制御部11は、前記現在カルテ領域D12において、前記投薬情報が入力された後、前記カルテ編集画面における操作対象を示すカーソルが前記現在カルテ領域D12から他の領域に移動した場合に前記アイコンK2の表示態様を前記評価結果に応じて変更してもよい。また、前記制御部11は、前記現在カルテ領域D12において、前記対象薬品各々が入力されるごとに、前記アイコンK2の表示態様を前記評価結果に応じて変更してもよい。
【0096】
また、前記ステップS8では、前記換算シミュレーション画面P2に前記CP換算値合計及び前記評価結果が表示される場合について説明した。一方、前記制御部11は、前記投薬情報に基づいて発行される処方箋が印刷される際に、前記換算シミュレーション画面P2と同様に前記CP換算値合計及び前記評価結果などを含む前記特定情報を、当該処方箋に印刷することが考えられる。さらに、前記制御部11は、前記投薬情報に基づいて発行される処方箋が印刷される際に、前記CP換算値合計及び前記評価結果などを含む前記特定情報が当該処方箋に印刷されるように、前記投薬情報に基づいて処方データを発行する際に、当該処方データの一部として前記特定情報を付加することが考えられる。これにより、前記処方データに基づいて処方箋が印刷される場合に、前記特定情報が印刷されることになり、薬剤師等は、前記特定情報を参照して前記CP換算値合計を評価することが可能である。
【0097】
また、他の実施形態として、前記制御部11が、前記対象薬品の処方期間における前記算出単位日数である1日ごとの前記CP換算値を算出し、その1日ごとの前記CP換算値合計に基づく前記特定情報を出力してもよい。具体的に、前記制御部11は、前記投薬情報に基づいて発行される処方箋に、前記処方期間における1日ごとの前記合計評価値に基づく前記特定情報を印刷してもよい。ここに、図9は、前記処方箋に印刷される前記特定情報の一例を示す図である。図9に示されるように、前記処方期間が7日間である場合、前記処方箋には、前記対象薬品ごとに当該対象薬品の用量と前記処方期間である7日間について1日ごとの前記CP換算値とが印刷されると共に、その1日ごとの前記CP換算値合計が印刷されている。また、前記CP換算値合計は、当該CP換算値合計についての前記評価結果に応じて異なる色などの印刷態様で印刷される。例えば、前記CP換算値合計のうち前記第1基準値以上であるCP換算値合計は赤色の文字又は背景で印刷される。
【0098】
[向精神薬表示処理]
次に、図10を参照しつつ、前記医療情報処理装置10の前記制御部11によって実行される向精神薬表示処理について説明する。
【0099】
<ステップS21>
ステップS21において、前記制御部11は、投薬指示の操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、前記カルテ編集画面P1が表示されている状態で、当該カルテ編集画面P1に表示されている前記領域A11において「投薬指示」に対応する操作部K13が操作された場合、又は、前記ウィンドウW1において「投薬指示」に対応する操作部K14が操作された場合などに、前記投薬指示の操作が行われたと判断する。そして、前記制御部11は、前記投薬指示の操作が行われたと判断すると(S21:Yes)、処理をステップS22に移行させ、前記投薬指示の操作が行われるまでの間は(S21:No)、処理を前記ステップS21で待機させる。
【0100】
<ステップS22>
ステップS22において、前記制御部11は、前記カルテ編集画面P1において現在入力されている前記投薬情報に含まれる一又は複数の薬品を前記ステップS22が実行される度に順に選択し、処理をステップS23に移行させる。以下、ここで選択された薬品を判定対象薬品と称する。
【0101】
<ステップS23>
ステップS23において、前記制御部11は、前記向精神薬分類マスターD2(図4参照)に基づいて前記ステップS22で選択された前記判定対象薬品の分類を特定する。例えば、図4に示す例では、前記判定対象薬品のYJコードの上7桁が「1124013」である場合には、前記判定対象薬品が一般名「オキサゾラム」の向精神薬であり、その分類が「抗不安薬」であると特定される。また、前記判定対象薬品のYJコードの上7桁が「1124007」である場合は、前記判定対象薬品が「トリアゾラム」の向精神薬であり、その分類が「睡眠薬」であると特定される。同様に、前記判定対象薬品のYJコードの上7桁が「1179001」である場合は、前記判定対象薬品が「アモキサピン」の向精神薬であり、その分類が「抗うつ薬」であると特定される。また、前記判定対象薬品のYJコードの上7桁が「1179024」である場合は、前記判定対象薬品が「ゾデピン」の向精神薬であり、その分類が「抗精神病薬」であると特定される。
【0102】
<ステップS24>
ステップS24において、前記制御部11は、前記ステップS23で特定された前記向精神薬の分類に基づいて、前記投薬情報に含まれる前記向精神薬の分類(抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬)ごとの数をカウントする。また、前記ステップS24では、分類が抗不安薬及び睡眠薬のいずれかに該当する数の合計もカウントする。
【0103】
なお、前記ステップS24でカウントされる前記向精神薬の分類ごとの数は、前記分類に属する薬品の一般名で計算する必要がある。そのため、前記制御部11は、前記ステップS24において、前記向精神薬の分類ごとの数をカウントする際、例えば前記投薬情報に一般名が同じ薬品が2種類存在する場合には、2カウントではなく1カウントとして処理する。
【0104】
<ステップS25>
ステップS25において、前記制御部11は、前記投薬情報の全ての判定対象薬品について前記分類の特定が行われたか否かを判断する。ここで、前記制御部11は、前記投薬情報の全ての判定対象薬品について前記分類の特定が行われたと判断した場合(S25:Yes)、処理をステップS26に移行する。一方、前記制御部11は、前記投薬情報の全ての判定対象薬品について前記分類の特定が行われていないと判断した場合(S25:No)、処理を前記ステップS22に移行させて同様の処理を繰り返す。
【0105】
<ステップS26>
ステップS26において、前記制御部11は、前記ステップS24においてカウントされた前記投薬情報に含まれる前記向精神薬の分類ごとの数に応じて、前記逓減条件が充足しているか否かを判定する。具体的に、前記制御部11は、前記投薬情報に、3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、4種類以上の抗うつ薬、又は4種類以上の抗精神病薬のいずれかが含まれている場合に前記逓減条件が充足していると判定する。また、前記制御部11は、分類が抗不安薬及び睡眠薬のいずれかである向精神薬の種類数の合計が3種類以上である場合も前記逓減条件が充足していると判定する。
【0106】
<ステップS27>
ステップS27において、前記制御部11は、前記投薬指示の操作に対応する投薬指示画面P3を表示させる。ここに、図11には、前記投薬指示画面P3の一例が示されている。なお、前記投薬指示画面P3は、前記カルテ編集画面P1の上に重ねて表示され、又は、前記カルテ編集画面P1に代えて表示される。
【0107】
図11に示されているように、前記投薬指示画面P3には、前記カルテ編集画面P1において前記投薬情報として現在入力されている内容が表示される処方表示領域A31と、前記投薬情報に含まれる向精神薬の分類ごとの数が表示される向精神薬領域A32とが表示される。
【0108】
特に、前記制御部11は、前記向精神薬領域A32において、前記ステップS26による前記逓減条件の充足の有無の判定結果と共に、前記ステップS22~S25で特定された前記分類ごとの前記向精神薬の数を表示させる。例えば、前記制御部11は、前記逓減条件を充足する場合には、その旨を示す赤字などの表示態様で前記向精神薬の数を表示することにより前記判定結果を表示する。これにより、ユーザーは、前記投薬情報について、前記向精神薬の数に起因する診療報酬点数の逓減対象となるか否か、及びその理由を容易に認識することができる。
【0109】
また、前記制御部11は、前記向精神薬領域A32において、前記処方表示領域A31に表示される前記向精神薬の分類ごとに対応する配色を表示する。そして、前記制御部11は、前記処方表示領域A31において、前記向精神薬各々を当該向精神薬の分類ごとに対応する配色で表示する。例えば、前記制御部11は、前記向精神薬各々の表示欄の背景色又は文字色を当該向精神薬の分類に対応する色で表示する。これにより、ユーザーは、前記処方表示領域A31及び前記向精神薬領域A32を参照し、前記投薬情報に含まれる前記向精神薬各々の分類を容易に把握することが可能である。
【0110】
なお、このように前記制御部11が、薬品が前記向精神薬である場合に当該向精神薬の分類を判定する機能を有しているため、当該制御部11は、前記向精神薬の情報が表示される他の状況でも当該向精神薬の分類を表示することが可能である。例えば、前記制御部11は、患者について前記投薬情報又は前記処方データなどに基づいて薬歴を表示する際には、当該薬歴の表示画面においても、前記投薬指示画面P3と同様の配色で前記向精神薬の販売名などの薬品識別情報を表示してもよい。また、前記薬歴の表示画面において、前記向精神薬の販売名などの薬品識別情報と共に、当該向精神薬の分類を文字で表示してもよい。さらに、前記制御部11は、前記薬歴の表示画面において、表示対象となる前記向精神薬の分類のうちユーザー操作によって選択される抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬のいずれかに限定して薬歴を表示することが可能であってもよい。
【0111】
[キープ患者切替機能]
ところで、前記カルテ編集画面P1では、一の患者についての診療情報についての編集が実行されるが、その途中で他の患者についての診療情報の編集又は参照が望まれることがある。これに対し、前記制御部11は、複数の患者に対応する診療情報を切り替えて編集又は参照することが可能なキープ患者切替機能を備えることが考えられ、以下、当該キープ患者切替機能について説明する。ここに、図12は、前記カルテ編集画面P1の他の例を示す図である。
【0112】
図12に示されるように、前記カルテ編集画面P1では、前記医療関連施設において診察を待っている患者のリストが表示される受診リスト領域D15と、編集中の一又は複数の患者の診療情報が表示されるキープ診療領域D16とが表示されている。
【0113】
前記受診リスト領域D15では、患者ごとに、受付時刻、待ち時間、患者ID、氏名、カナ、年齢、性別、状態などが表示される。前記状態には、前記患者の診察の状態を示す文字列が表示され、診察前である場合は「診察待ち」、診察中である場合は「診察中」、一時的に診療情報の編集を中断してキープされた状態である場合は「診察キープ中」などの文字列が表示される。
【0114】
前記制御部11は、前記カルテ編集画面P1において、前記受診リスト領域D15に表示されている患者リストから診察対象となる患者を選択するための操作が行われると、当該カルテ編集画面P1において、その選択された患者に対応する過去の診療情報及び今回の診療情報などが前記過去カルテ領域D11及び前記現在カルテ領域D12に表示する。
【0115】
そして、前記制御部11は、前記過去カルテ領域D11及び前記現在カルテ領域D12に患者(以下、第1患者と称する)の過去の診療情報及び今回の診療情報などが表示されている状態で、当該今回の診療情報の入力状態を保持した状態で他の患者の診療情報を表示させるための操作を受け付け可能である。
【0116】
具体的に、前記制御部11は、前記受診リスト領域D15において他の患者(以下、第2患者と称する)が選択され、前記カルテ編集画面P1に表示されている操作部K3が操作されると、現在表示されている前記第1患者の前記診療情報の編集状態を前記記憶部12等に一時記憶した状態で、前記第2患者に対応する過去の診療情報又は今回の診療情報などを前記カルテ編集画面P1に表示させる。
【0117】
また、前記制御部11は、前記操作部K3が操作された場合、前記第1患者の前記診療情報として一時記憶されている前記現在カルテ領域D12の状態を縮小したサムネイル画像を生成し、当該サムネイル画像を当該第1患者に対応するキープ画像D161として前記キープ診療領域D16に表示させる。その後、前記制御部11は、前記受診リスト領域D15における患者の選択及び前記操作部K3の操作に応じて、複数の前記キープ画像D161を前記キープ診療領域D16に表示させることも可能である。
【0118】
なお、前記キープ画像D161は、前記現在カルテ領域D12を含むものに限らず、前記過去カルテ領域D11及び前記現在カルテ領域D12の両方を含むサムネイル画像であってもよい。さらに、他の実施形態として、前記キープ画像D161として、前記サムネイル画像に代えて、予め設定されたアイコンなどが表示されてもよい。
【0119】
そして、前記制御部11は、前記キープ画像D161にカーソルが位置する状態(マウスオーバー)の状態になると、当該キープ画像D161に対応する前記第1患者の患者ID、氏名、カナ、年齢、性別などの詳細情報を示す領域D162をポップアップ表示させる。さらに、前記制御部11は、前記キープ診療領域D16において、前記キープ画像D161を表示するための操作(ダブルクリック操作、又は前記現在カルテ領域D12へのドラッグ&ドロップ操作など)が行われると、当該キープ画像D161に対応する前記第1患者の診療情報を前記カルテ編集画面P1に再表示させる。
【0120】
これにより、ユーザーは、複数の患者の診療情報を容易に切り替えながら編集することが可能である。また、前記キープ画像D161として前記サムネイル画像が表示されることにより、現在保留状態となっている患者の前記診療情報の概要を視覚的に把握することが可能である。
【符号の説明】
【0121】
1 :医療情報処理システム
10:医療情報処理装置
11:制御部
12:記憶部
13:表示部
14:操作部
15:通信IF
16:ドライブ装置
161:記録媒体
20:クライアント端末
21:制御部
22:記憶部
23:表示部
24:操作部
25:通信IF
26:ドライブ装置
261:記録媒体
30:ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12