(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
G10L 15/22 20060101AFI20240221BHJP
G10L 15/10 20060101ALI20240221BHJP
G10L 15/00 20130101ALI20240221BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20240221BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20240221BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
G10L15/22 460Z
G10L15/10 200W
G10L15/00 200N
F24H1/00 C
G06F3/16 620
G06F3/16 630
G06F3/16 650
H04Q9/00 331A
H04Q9/00 311Q
H04Q9/00 301D
(21)【出願番号】P 2019232422
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山上 薫
(72)【発明者】
【氏名】福田 智也
【審査官】佐久 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-080183(JP,A)
【文献】特開2019-036103(JP,A)
【文献】特開2003-036096(JP,A)
【文献】特開2005-182357(JP,A)
【文献】特開2006-329580(JP,A)
【文献】特開2014-123878(JP,A)
【文献】特開2005-156091(JP,A)
【文献】特開2016-218852(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0198020(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L 15/00-15/34
F24H 15/00-15/493
G06F 3/16
H04Q 9/00- 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声認識機能を備えた給湯システムであって、
ユーザが音声を入力するための音声入力部と、
給湯運転モードをオンオフするための運転スイッチと、
前記音声認識機能の有効モード又は無効モードをユーザが選択するための設定部と、
前記音声認識機能の動作状態を示す複数の報知状態を切り替えて出力する報知部と、
前記運転スイッチ及び前記設定部に対するユーザ操作と、前記音声入力部に入力されたユーザ音声とに基づいて、前記報知部が出力する前記報知状態を制御する制御部とを備
え、
前記制御部は、前記運転スイッチがオフであるという第1の条件、及び、前記無効モードが選択されているという第2の条件の少なくとも1つが成立していると、前記報知部を第1報知状態に制御し、前記第1報知状態において、前記運転スイッチがオンされるとともに、前記有効モードが選択されると、前記報知部を第2報知状態へ遷移させ、
前記制御部は、前記報知部の前記第2報知状態において、予め定められたトリガワードが前記音声入力部から入力されたことを認識すると、前記報知部を第3報知状態へ遷移させる、給湯システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記報知部の前記第3報知状態において、予め登録された複数の登録ワードのうちのいずれかが前記音声入力部から入力されたことを認識すると、前記報知部を第4報知状態へ遷移させる、請求項
1記載の給湯システム。
【請求項3】
前記複数の登録ワードは、予め定められた特定ワードを含み、
前記制御部は、前記報知部の前記第2報知状態において、前記特定ワードが前記音声入力部から入力されたことを認識すると、前記報知部を前記第4報知状態へ遷移させる、請求項
2記載の給湯システム。
【請求項4】
前記報知部の周囲の人の存在を検知するための検知器を更に備え、
前記制御部は、前記第1の条件、前記第2の条件、及び、前記検知器によって人が検知されていないという第3の条件の少なくとも1つが成立していると、前記報知部を前記第1報知状態に制御し、前記第1報知状態において、前記運転スイッチがオンされ、前記有効モードが選択され、かつ、前記検知器が人を検知していると、前記報知部を前記第2報知状態へ遷移させる、請求項
1~3のいずれか1項に記載の給湯システム。
【請求項5】
前記報知部及び前記音声入力部は、給湯装置のリモコンに搭載される、請求項
1~4のいずれか1項に記載の給湯システム。
【請求項6】
前記報知部は、前記ユーザが視認可能な複数の表示状態を切り替えるように構成される、請求項
1~5のいずれか1項に記載の給湯システム。
【請求項7】
前記報知部は、発光ダイオードによって構成される、請求項
6記載の給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯システムに関し、より特定的には、音声認識機能を有する給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
音声認識機能を備えることにより、ユーザの発する音声に応じた給湯制御を行う給湯システムが、特許第4116965号公報(特許文献1)等に記載されている。これにより、ユーザは、給湯システムの音声操作が可能になる。
【0003】
又、音声で操作可能なリモコン装置に関して、特許第3683502号公報(特許文献2)には、リモコン装置に配置された複数の発光ダイオードの発光パターンを、音声認識手段の各種状態に応じて変える制御が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4116965号公報
【文献】特許第3683502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2のリモコン装置によれば、ユーザからの音声入力の認識結果に応じて発光ダイオードの表示が変化することにより、音声認識の現在の状態をユーザが視認することができる。
【0006】
一方で、給湯装置の音声操作では、音声認識機能の動作状態が給湯装置の設定状態等によっても変化するので、音声入力の認識結果のみに応じた表示制御では、ユーザに対して音声認識機能の現在の状態を正確に伝えられないことが懸念される。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、給湯システムの音声認識機能の現在の動作状態を正確にユーザに報知することで、音声操作のユーザ利便性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面によれば、音声認識機能を備えた給湯システムであって、ユーザが音声を入力するための音声入力部と、運転スイッチと、設定部と、報知部と、制御部とを備える。運転スイッチは、給湯運転モードをオンオフする。設定部は、音声認識機能の有効モード又は無効モードをユーザが選択するために設けられる。報知部は、音声認識機能の動作状態を示す複数の報知状態を切り替えて出力する。制御部は、運転スイッチ及び設定部に対するユーザ操作と、音声入力部に入力されたユーザ音声とに基づいて、報知部が出力する報知状態を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザ音声の認識結果のみでなく、給湯運転モード及び音声認識機能の有効及び無効に係るユーザ操作を反映して、報知部による報知内容を切り替えるので、音声認識機能の現在の動作状態を正確に表示することにより、音声操作のユーザ利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る給湯システムの電気的構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示された浴室リモコンの外観図である。
【
図3】本実施の形態に係る給湯システムにおける音声認識処理の動作状態表示を説明する状態遷移図である。
【
図4】
図3の第1表示状態における制御処理を説明するフローチャートである。
【
図5】
図3の第2表示状態における制御処理を説明するフローチャートである。
【
図6】本実施の形態に係る給湯システムにおける音声認識処理の動作状態表示の変形例を説明する状態遷移図である。
【
図8】
図6の第2表示状態における制御処理を説明するフローチャートである。
【
図9】本実施の形態に係る給湯システムの変形例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る給湯システムの電気的構成を示すブロック図である。以下の説明で明らかになる様に、本実施の形態に係る給湯システムは、浴室や台所において主に給湯を行うものであり、ユーザの発する音声を認識して、音声に応じて各種の給湯制御を行う、いわゆる音声認識機能を有している。
【0013】
図1を参照して、給湯システム5は、給湯装置10と、これを遠隔操作するための浴室リモコン20及び台所リモコン30とを備える。給湯装置10と、浴室リモコン20及び台所リモコン30との間は、2心通信線40を介して接続される。
【0014】
給湯装置10の本体は、例えば、住宅の屋外に設置される。給湯装置10は、給湯装置10の全体動作を制御する制御部11と、通信部14と、燃焼ユニット15とを含む。燃焼ユニット15は、給湯用、風呂追い焚き用、又は、温水暖房用の熱交換器(図示せず)と、各種燃焼器(図示せず)と、各種バルブ(図示せず)等とを有する。
【0015】
制御部11は、例えば、電子部品が搭載されたプリント基板によって構成される。制御部11は、マイクロコンピュータ12(以下、「本体側マイコン12」と称する)と、各種のデータを必要に応じて記憶する記憶部13とを有する。記憶部13は、例えば、再書き込み可能な不揮発性メモリによって構成される。
【0016】
本体側マイコン12は、給湯装置10の制御中枢となるものであり、図示しないROM(Read Only Memory)に記憶されている運転実行プログラム、浴室リモコン20及び台所リモコン30等から送られるコマンド信号、並びに、各種センサにおける検出信号等に基づいて、各種燃焼器の燃焼状態や各種バルブの開閉等を制御する。
【0017】
通信部14は、浴室リモコン20及び台所リモコン30との通信を行うためのものであり、所定の変復調方式に基づいた変復調回路によって構成されている。給湯装置10から浴室リモコン20および台所リモコン30に対しては、2心通信線40を介して、電源(例えば、DC15V)が供給される。上記通信部14において変調されたデータ信号は、電源電圧に重畳されて、浴室リモコン20及び台所リモコン30に伝達される。又、浴室リモコン20及び台所リモコン30から2心通信線40を介して伝達された操作信号としてのデータ信号は、上記通信部14において復調されて、本体側マイコン12に送られる。
【0018】
浴室リモコン20は、浴室内に設置される。浴室リモコン20は、制御部21、通信部22、表示部23、及び、A/D及びD/A変換部25を有する。制御部21は、マイクロコンピュータ26(以下、「浴室側マイコン26」とも称する)及び、記憶部27を有する。記憶部27についても、再書き込み可能な不揮発性メモリによって構成することができる。A/D及びD/A変換部25には、スピーカ25a及びマイクロフォン25bが接続される。
【0019】
浴室側マイコン26は、浴室リモコン20の制御を司るものであり、図示しないROMによって記憶されている実行プログラムや、ユーザによる操作部24の操作内容に基づいて、各部の動作制御やデータ処理を実行する。例えば、浴室側マイコン26は、給湯温度及び、風呂湯温等の設定温度、並びに、バーナの点火状況などを必要に応じて表示部23を用いて表示させることができる。或いは、浴室側マイコン26は、スピーカ25aから給湯運転に関する音声を出力させることができる。記憶部27は、各種のデータを記憶する。
【0020】
通信部22は、給湯装置10及び台所リモコン30との間で通信するためのものであり、所定の変復調方式に基づいた変復調回路によって構成されている。給湯装置10又は台所リモコン30から2心通信線40を介して伝達されたデータ信号は、この通信部22において復調され、浴室側マイコン26に送られる。又、通信部22において変調された信号は、2心通信線40を介して給湯装置10又は台所リモコン30へ伝達される。
【0021】
A/D及びD/A変換部25は、マイクロフォン25bを通じて入力されるアナログ信号としての音声を、デジタル信号としての所定の音声データに変換する。変換後のデジタル信号(音声データ)は、浴室側マイコン26に送られる。又、A/D及びD/A変換部25は、浴室側マイコン26から出力された、デジタル信号としての音声データをアナログ信号としての音声に変換してスピーカ25aから出力する。
【0022】
図2には、浴室リモコンの外観図が示されれる。
図2を参照して、浴室リモコン20は、防水機能が施されたケース29を備えており、給湯装置10を遠隔操作するものである。ケース29には、表示部23a及び操作部24を構成する複数の操作スイッチを露出するための開口部が適宜設けられている。マイクロフォン25bには、ケース29の外側から音声を入力可能に配置される。同様に、スピーカ25aは、ケース29の外側に対して音声を出力可能に配置される。又、ケース29の内部には、浴室内の人の有無を検知するための人検知センサ28が配置されてもよい。人検知センサ28は、代表的には、焦電センサによって構成することが可能である。
【0023】
表示部23は、画像及び文字等を表示するための表示部23aと、複数の表示状態を切り替えて出力する表示部23bとを含む。表示部23aは、例えば、多数の蛍光体をドットマトリクス状に配置した蛍光管、又は、液晶ディスプレイ装置等によって構成することができる。表示部23aの表示内容は、浴室側マイコン26からの指令によって制御される。
【0024】
表示部23bは、例えば、複数の表示色を切換え可能な発光ダイオード(フルカラーLED:Light Emitting Diode)によって構成される。即ち、表示部23bの表示状態(例えば、表示色)は、浴室側マイコン26によって制御される。以下では、表示部23bをLED23bとも称する。
【0025】
操作部24は、ユーザによって給湯運転指令を入力するために操作される。操作部24は、複数の照光式の操作スイッチを有する。例えば、操作スイッチとして、運転スイッチ24a、アップ・ダウンスイッチ24b、優先スイッチ24c、風呂自動スイッチ24d、追い焚きスイッチ24e、通話スイッチ24f、及び、設定スイッチ24gが設けられる。
【0026】
運転スイッチ24aは、給湯システム5の給湯運転モードを、運転オンモード及び運転オフモードの間で切り換えるための操作を受ける。アップ・ダウンスイッチ24bは、出湯温度及び湯張りの水位を変更設定するための操作を受ける。優先スイッチ24cは、浴室リモコン20及び台所リモコン30の間で、給湯温度調整の操作権を切り換えるための操作を受ける。風呂自動スイッチ24dは、自動で湯張り及び保温等を行うための風呂自動モードのオンオフ操作を受ける。追い焚きスイッチ24eは、追い焚き運転のオンオフ操作を受ける。通話スイッチ24fは、スピーカ25a及びマイクロフォン25bを用いた、台所リモコン30側との通話モードのオンオフ操作を受ける。設定スイッチ24gは、所定の操作に応じて各種の設定を行うための操作モードを切り換えるために設けられる。
【0027】
特に、本実施の形態に係る給湯システム5では、設定スイッチ24gの予め定められた操作によって、音声認識機能のオンオフ、即ち、音声入力の有効モード及び無効モードがユーザによって選択可能である。このように、設定スイッチ24gは、「設定部」の一実施例に対応する。
【0028】
ユーザによって、これらの操作スイッチが操作されると、その操作信号が浴室側マイコン26に送られる。又、これらの操作スイッチは、浴室側マイコン26によって必要に応じて点消滅される。
【0029】
再び
図1を参照して、浴室側マイコン26は、マイクロフォン25bを通じて入力される音声によって、ユーザによる音声を認識する音声認識機能を有している。給湯システム5は、認識された音声指令に従って給湯装置10を動作させる音声操作が可能に構成されている。即ち、マイクロフォン25bは「音声入力部」の一実施例に対応する。
【0030】
浴室側マイコン26は、予め記憶部27に格納された複数の登録ワードと、マイクロフォン25bを通じて入力された音声(以下、入力音声と称する)との比較照合によって、登録ワードがユーザによって入力されたことを認識する。
【0031】
例えば、浴室側マイコン26は、ニューラルネットワークによって音声認識を行うことができる。この場合には、複数の登録ワードの各々についてのニューラルネットワークを特定するためのデータ(例えば、ニューロン構造、及び、各ニューロンの重み係数)が記憶部27に格納されており、入力音声を上記ニューラルネットワークの入力データとすることにより、各登録ワードについて一致度を示す定量値を得ることができる。従って、当該定量値に基づいて、各登録ワードの入力を認識することができる。
【0032】
或いは、特許文献1と同様に、スペクトラム波形又は振幅波形の比較による一致度に基づいて、音声認識を実行することも可能である。この場合には、登録ワードのそれぞれについての、基準となるスペクトラム波形又は振幅波形を示すデータが記憶部27に格納され、入力音声と登録ワードとの間で、スペクトラム波形又は振幅波形の一致度を定量的に評価することで、各登録ワードの入力を認識することができる。
【0033】
本実施の形態に係る給湯システム5では、音声認識機能の動作状態を表示部23bを用いてユーザに報知することで、ユーザ利便性の向上が図られる。即ち、表示部23bは「報知部」の一実施例に対応する。
【0034】
図3は、本実施の形態に係る給湯システムにおける表示部23aによる音声認識処理の動作状態表示の状態遷移図である。
【0035】
図3を参照して、第1表示状態(表示♯1)は、音声認識機能のオフ状態を示している。例えば、第1表示状態では、LED23bは消灯している。
【0036】
音声認識機能のオフ時に、オン条件CD1が成立すると、音声認識機能がオンされる。これにより、LED23bは、第1表示状態から第2表示状態に遷移する。第2表示状態では、LED23bは、例えば、橙色に点灯する。
【0037】
本実施の形態に係る給湯システム5では、基本的には、音声操作は、予め定められたトリガワードの入力後に有効とされる。このため、第2表示状態は、音声認識機能がオンされて、トリガワードの入力を待機している状態(トリガワード待機状態)に対応する。
【0038】
第2表示状態において、ユーザによるトリガーワードの音声入力が認識されると、LED23bは、第3表示状態に遷移する。第3表示状態では、LED23bは、例えば、赤色に点灯する。第3表示状態は、トリガワードが受け付けられて、音声操作のための登録ワード(「操作ワード」とも称する)の入力を待機している状態を示している。
【0039】
第3表示状態において、ユーザによる操作ワードの音声入力が認識されると、LED23bは、第4表示状態に遷移する。第4表示状態では、LED23bは、例えば、青色に点灯する。第4表示状態は、音声操作のための音声入力が受け付けられて、操作ワードが認識された状態を示している。
【0040】
第3表示状態又は第4表示状態において、一定時間が経過すると、タイムアウトが検知されて、LED23bは、第2表示状態に戻される。即ち、タイムアウトに応じて、音声処理機能は、再び、トリガワードの入力を待機している状態に戻される。
【0041】
第2表示状態において、オフ条件CD2が成立すると、音声認識機能がオフされる。これにより、LED23bは、第2表示状態から第1表示状態に遷移する。これにより、例えば、LED23bは消灯される。又、図示は省略しているが、第3表示状態又は第4表示状態において、オフ条件CD2が成立すると、音声認識機能がオフされて、LED23bは、第1表示状態に遷移する。
【0042】
次に、
図4及び
図5を用いて、表示状態1(音声認識オフ状態)及び表示状態2(トリガワード待機状態)における浴室側マイコン26の制御処理を説明する。
【0043】
図4を参照して、浴室側マイコン26は、音声認識オフ状態では、S110~S130により、
図3でのオン条件CD1が成立しているか否かを判定する。
【0044】
浴室側マイコン26は、ステップ(以下、単に「S」と表記する)110では、運転スイッチ24aがオン、即ち、給湯システム5の給湯運転モードが運転オンモードであるか否かを確認する。更に、浴室側マイコン26は、S120により、設定スイッチ24gのユーザ操作により、現在音声入力が有効モードであるかを確認する。
【0045】
オン条件CD1は、S110及びS120の両方がYES判定であるときに成立する。一方で、S110及びS120の少なくとも一方がNO判定であると、オン条件CD1は不成立とされる。
【0046】
或いは、オン条件CD1は、S130を更に含めてもよい。浴室側マイコン26は、S130では、人検知センサ28の出力に基づき、浴室内に人が検知されているかを確認する。人検知センサ28は、表示部23bと同様に浴室リモコン20に設けられるため、人検知センサ28による、浴室内の人の有無の検知は、表示部23bの周囲の人の有無の検知と同等である。即ち、人検知センサ28は「検知器」の一実施例に相当する。
【0047】
S130がオン条件CD1に含まれる場合には、オン条件CD1は、S110~S130の全てがYES判定のときに成立する。一方で、S110~S130の少なくとも1つがNO判定のときに、オン条件CD1は不成立とされる。
【0048】
浴室側マイコン26は、音声認識オフ状態(第1表示状態)においてオン条件CD1が成立すると、S140により、音声認識機能の動作状態を、音声認識オフ状態からトリガワード待機状態に遷移させる。即ち、LED23bは、第1表示状態から第2表示状態に遷移する。
【0049】
これに対して、浴室側マイコン26は、音声認識オフ状態(第1表示状態)においてオン条件CD1の不成立時には、音声認識オフ状態を維持する(S150)。即ち、LED23bは、第1表示状態に維持される。この様な制御処理により、
図3に示された、第1表示状態からの状態遷移が実現できる。
【0050】
次に
図5を参照して、浴室側マイコン26は、表示状態2(トリガワード待機状態)では、S210~S230により、
図3でのオフ条件CD2が成立しているか否かを判定する。
【0051】
浴室側マイコン26は、S210では、運転スイッチ24aがオフ、即ち、給湯システム5の給湯運転モードが運転オフモードであるか否かを確認する。更に、浴室側マイコン26は、S220により、設定スイッチ24gのユーザ操作により、音声入力が無効モードであるかを確認する。
【0052】
オフ条件CD2は、S110及びS120の少なくとも一方がYES判定であるときに成立する。一方で、S110及びS120の両方がNO判定であると、オフ条件CD2は不成立とされる。
【0053】
或いは、オフ条件CD2は、S230を更に含めてもよい。浴室側マイコン26は、S230では、人検知センサ28の出力に基づき、浴室内(即ち、表示部23bの周囲)に人が検知されていないかを確認する。この場合には、オフ条件CD2は、S230のYES判定のときにも成立する。一方で、S210~S230の全てがNO判定のときには、オフ条件CD2は不成立とされる。
【0054】
浴室側マイコン26は、オフ条件CD2の不成立時には、S240により、トリガワードが認識されたか否かを判定する。オフ条件CD2が不成立で、かつ、トリガワードの入力が認識されると(S240のYES判定時)、浴室側マイコン26は、S250により、LED23bを第3表示状態に遷移させて、トリガワードが受付けられたことをユーザに報知する。このとき、音声認識機能は、上述のように、操作ワードの待機状態となる。この様な制御処理により、
図3に示された、第2表示状態からの状態遷移が実現できる。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態に係る給湯システムによれば、ユーザ音声の認識結果のみでなく、給湯運転モードのオンオフ操作、及び、音声認識機能の有効及び無効に係るユーザ操作を反映して、表示部23bの表示状態を切り替えることができる。これにより、音声認識機能の現在の動作状態を正確にユーザ報知することで、音声操作のユーザ利便性を向上することができる。
【0056】
又、人検知センサ28による検知結果を反映して、表示部23bの周囲に人が居ない場合には、第1表示状態(例えば、消灯状態)を維持することにより、無用な表示状態の切り替えが生じることを防止できる。
【0057】
次に、
図6~
図8を用いて、本実施の形態に係る給湯システム5での音声認識機能の変形例を説明する。
【0058】
図6を参照して、変形例では、登録ワードの一部が、トリガワードの入力無しで認識対象とされる特定ワードに指定される。即ち、音声認識機能がオンされた第2表示状態(トリガワード待機状態)において、予め定められた特定ワードが認識されると、当該特定ワードは、トリガワードの受付け後でなくても直接認識される。従って、第2表示状態において、特定ワードの入力が認識されると、LED23bは、第3表示状態を経ることなく、直接、第4表示状態へ遷移する。これにより、ユーザは、LED23bの表示状態から、特定ワードが受け付けられたことを認識できる。
【0059】
図7は、登録ワードの分類の一例を示す図表である。
図7を参照して、登録ワードには、上述の操作ワードと、特定ワードとに分類される。特定ワードには、見守り機能等によるリモコン側からの音声出力(呼びかけ)に対してユーザ(入浴者等)が応答するワード(例えば、「はい」、「いいえ」、「大丈夫」等)が含まれる。これらの特定ワードについては、ユーザが自発的に危険を知らせるためのワード(「助けて」等)を含めることも可能である。
【0060】
上述の見守り機能は、浴室リモコン20に内蔵された人検知センサ28(
図2)によって、入浴者が検知され、かつ、当該入浴者が一定時間を超えて浴槽内に止まっていることが検知されたときに、入浴者に対する安否確認の呼びかけを行うものであり、応答ワードには、当該呼びかけに対して想定されるユーザの音声が含まれる。
【0061】
一方で、操作ワードには、シャワーの温度を含む給湯温度の変更を指示するための「給湯温度上げて」及び「給湯温度下げて」等が含まれる。或いは、操作ワードには、給湯温度の音声出力を求める「給湯温度」、及び、現在時刻の音声出力を求める「今何時?」等が含まれてもよい。
【0062】
図8は、
図6の表示状態2(トリガワード待機状態)における浴室側マイコン26の制御処理を説明するフロチャートである。
【0063】
図8を参照して、浴室側マイコン26は、表示状態2(トリガワード待機状態)では、
図5と同様のS210~S270に加えて、S280及びS290の処理を実行する。浴室側マイコン26は、オフ条件CD2の不成立時には、S280により特定ワードが認識されたか否かを判定する。
【0064】
浴室側マイコン26は、特定ワードの入力が認識されると(S280のYES判定時)には、トリガワードの入力を伴わずに、直接、当該特定ワードを認識する。この結果、浴室側マイコン26は、S240~S270をスキップして、S290により、LED23bを第4表示状態に遷移させる。
【0065】
これに対して、特定ワードが認識されていない場合(S280のNO判定時)には、
図5と同様のS240~S260が実行されて、トリガワードが認識されたか否に応じて、LED23bの表示状態が制御される。又、オフ条件CD2の成立時にも、
図5と同様の処理が実行される。これにより、
図6に示された、第2表示状態からの状態遷移が実現できる。
【0066】
このように
図6~
図8に示した変形例によれば、特定ワードについてはユーザが簡易に入力できるように音声認識機能を構成した場合に、当該特定ワードが受け付けられたことをユーザに報知することができる。
【0067】
又、上述の実施の形態では、表示部23bによる複数の表示状態を、LEDの異なる複数の表示色として説明したが、表示色のみならず、点滅パターン(点滅有無、及び、点滅周期)の違いによって、或いは、表示色及び点滅パターンの組み合わせによって、複数の表示状態が構成されてもよい。
【0068】
上述の様に、本実施の形態では、表示部23b(LED23b)は「報知部」の一実施例に対応し、更に、第1表示状態~第4表示状態は「複数の報知状態」の一実施例に対応する。但し、LED以外にユーザに視覚情報を出力する装置(例えば、表示部23aの一部領域等)によって「報知部」を構成することも可能であり、視覚情報とは異なる情報(例えば、音声・メロディ等)をユーザに出力する装置によって「報知部」を構成することも可能である。
【0069】
又、本実施の形態では、表示部23b及びマイクロフォン25b等の音声認識機能に係る要素が浴室リモコン20に搭載される構成例を説明したが、台所リモコン30に同様の構成が搭載されてもよい。又、音声認識機能に係る要素の一部又は全部を、リモコン(浴室リモコン20及び台所リモコン30)とは別体に配置することも可能である。
【0070】
尚、本実施の形態に係る給湯システムは、インターネット接続を伴う遠隔監視及び遠隔操作に対応することも可能である。
【0071】
図9は、本実施の形態に係る給湯システムの変形例を示す概念図である。
図9を参照して、本実施の形態に係る給湯システム5は、ルータ45を介して、通信網に接続可能に構成することができる。ルータ45は、建物内(ここでは、宅内H10)に存在する機器を、外部通信網50を介してサーバ60に通信接続するための通信中継器である。例えば、ルータ45は、いわゆる、無線LAN(Local Area Network)ルータによって構成される。外部通信網50は、代表的には、インターネットである。
【0072】
サーバ60は、外部通信網50に接続されて、給湯システム5(給湯装置10)に対する遠隔制御(遠隔操作及び遠隔監視)を管理するための機能を有する。上述の様に、台所リモコン30と、給湯装置10及び浴室リモコン20とは、2心通信線40によって接続されている。従って、例えば、台所リモコン30が、無線通信によりルータ45に接続されることで、給湯装置10(本体側マイコン12)及び浴室リモコン20(浴室側マイコン26)は、ルータ45及び外部通信網50を介して、サーバ60と通信することができる。これにより、給湯システム5はサーバ60と通信接続される。
【0073】
更に、スマートフォン又はタブレット端末等の携帯端末装置90が宅内H10に存在する場合には、当該携帯端末装置90は、無線通信によりルータ45に接続されて、サーバ60と通信可能である。又、携帯端末装置90が宅外(H10の外部)にある場合、当該携帯端末装置90は、ルータ70又は基地局80を介して外部通信網50に接続することで、サーバ60と通信することができる。即ち、ユーザは、携帯端末装置90を用いて、宅内H10及び宅外のいずれからでも、給湯システム5に対する遠隔制御(遠隔操作及び遠隔監視)を行うことができる。
【0074】
図9の様に、本実施の形態に係る給湯システム5が外部通信網50(インターネット)に接続されることで、特に、上述の見守り機能の範囲を宅内H10から拡大することが可能となる。例えば、上記の安否確認のメッセージについて、浴室側マイコン26が単独で制御するのではなく、サーバ60によって統括的に制御することが可能である。更に、見守り機能に対する応答がユーザに異常が発生した可能性を含む内容であったときの異常メッセージの出力先に、上記の携帯端末装置90を含むことにより、当該見守り機能を高めることが可能となる。
【0075】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
5 給湯システム、10 給湯装置、11,21 制御部、12 本体側マイコン、15 燃焼ユニット、20 浴室リモコン、23b 表示部(LED)、24 操作部、24a 運転スイッチ、24g 設定スイッチ、25a スピーカ、25b マイクロフォン、26 浴室側マイコン、28 人検知センサ、30 台所リモコン、40 2心通信線、50 外部通信網、60 サーバ、80 基地局、90 携帯端末装置、H10 宅内。