IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シンフォニアテクノロジー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-振動搬送装置 図1
  • 特許-振動搬送装置 図2
  • 特許-振動搬送装置 図3
  • 特許-振動搬送装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】振動搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 27/08 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
B65G27/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020001169
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021109721
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130498
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 禎哉
(72)【発明者】
【氏名】田邉 喜文
(72)【発明者】
【氏名】犬井 智三
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-098904(JP,A)
【文献】特開2015-101430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動によってリニア搬送面上の搬送対象物を搬送させる振動搬送装置であり、
前記リニア搬送面を有する第1質量体と、
前記第1質量体に対して逆位相で振動する第2質量体と、
前記第1質量体と前記第2質量体を接続する第1弾性体と、
基台と前記第2質量体又は前記第1弾性体を接続する第2弾性体と
当該第2弾性体に対して相対的に固定位置を変更可能な弾性調整部材とを備え、
前記第2弾性体の水平方向の弾性係数と前記第2弾性体の鉛直方向の弾性係数に関して、前記第2弾性体の水平方向の領域における前記弾性調整部材の固定位置を変更することで、少なくとも前記第2弾性体の鉛直方向の弾性係数を独立して変更可能に構成していることを特徴とする振動搬送装置。
【請求項2】
前記第2弾性体の水平方向及び鉛直方向の各弾性係数を独立して変更可能に構成している請求項1に記載の振動搬送装置。
【請求項3】
前記第2弾性体は、鉛直方向の振動成分に対する弾性係数を調整可能な水平アーム部と、水平方向の振動成分に対する弾性係数を調整可能な鉛直アーム部との少なくとも一方を備えたものである請求項1又は2の何れかに記載の振動搬送装置。
【請求項4】
前記水平アーム部または前記鉛直アーム部の少なくとも何れか一方のアーム部を厚み方向に押さえる弾性調整部材を備え、前記弾性調整部材によって弾性変形不能に押さえる領域を調整することによって前記アーム部における有効長を変更可能に構成している請求項に記載の振動搬送装置。
【請求項5】
前記第2弾性体が前記水平アーム部及び前記鉛直アーム部を一体に有するL字型の板バネである請求項に記載の振動搬送装置。
【請求項6】
振動によってリニア搬送面上の搬送対象物を搬送させる振動搬送装置であり、
前記リニア搬送面を有する第1質量体と、
前記第1質量体に対して逆位相で振動する第2質量体と、
前記第1質量体と前記第2質量体を接続する第1弾性体と、
基台と前記第2質量体又は前記第1弾性体を接続する第2弾性体とを備え、
前記第2弾性体の水平方向の弾性係数と前記第2弾性体の鉛直方向の弾性係数に関して、少なくとも前記第2弾性体の鉛直方向の弾性係数を独立して変更可能に構成し、
前記第2弾性体の一端を前記第1弾性体の振動の節に取り付けていることを特徴とする振動搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を所定方向に搬送可能な振動搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワーク等の搬送対象物を振動により搬送路に沿って所定の搬送先へ搬送可能な振動搬送装置が知られている。振動搬送装置は、搬送路を有する可動部(第1質量体)と、固定部として機能する第2質量体と、第1質量体と第2質量体とを接続する板状の第1弾性体(駆動バネ)とを有し、可動部(第1質量体)が有する搬送路を水平方向に振動させることで搬送対象物を搬送方向下流側へ搬送可能に構成されている。また、振動搬送装置は、第1質量体、第2質量体及び第1弾性体を有する構造物を第2弾性体(防振バネ)で大地から支持するように構成されている。
【0003】
このような振動搬送装置において、振動時に第2弾性体で支持された構造物が振動搬送方向に回転する動き(首振りのような動き、以下「ピッチング」)が生じると、搬送路が均一に振動せず、特に搬送路の先端(搬送方向下流端)での振動が大きくなり、搬送対象物が暴れて搬送されたり、次工程との接続不良や搬送不良が生じたりするなど、円滑な搬送処理に悪影響を及ぼす。
【0004】
弾性体(駆動バネ)の取付角度で規定される弾性主軸と、第1質量体の重心と、第2質量体の重心とが完全に一致すればピッチングを防止または効果的に抑制することができる。しかしながら、上記条件を完全に満たす重心設計を実機に適用することは困難であるため、ピッチングを抑制するのは困難な課題である。
【0005】
そこで、防振バネである平板状のバネ(防振板バネ)の角度を変更することで、防振板バネの垂直方向のバネ定数を調整してピッチングを抑制する技術が案出されている(特許文献1、特許文献2)。防振バネとして平板状のバネ(防振板バネ)を適用した場合、防振板バネの垂直方向のバネ定数を調整することでピッチングを抑制する原理は以下の通りである。
【0006】
つまり、防振板バネで支持される構造体がピッチング(回転運動)をしている場合、このピッチングを抑制するには、防振板バネの垂直方向を固く(強く)して大地(安定した基台など)からの反力を構造体に伝えると、回転方向とは逆向きの力が構造体に働き、ピッチングが抑制される。ただし、防振板バネの垂直方向を固く(強く)すると、大地への反力が増えて搭載設備への影響を与えたり、防振板バネの水平方向が弱くなるため、設計指針としては、最適な重心設計を検討後、防振板バネによるピッチングを抑制することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-66931号公報(特許第5741993号公報)
【文献】特開2007-276963号公報(特許第5332080号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、防振機能(水平方向の防振性)とピッチング抑制機能(垂直方向の防振性)の2つの機能を1つの防振板バネで実現した構成であれば、防振板バネの角度で垂直方向のバネ定数を調整した場合に、防振板バネの水平方向のバネ定数も必ず変化し、防振板バネの傾斜角度を少し変化させただけでピッチングの程度が変化することになり、シビアな角度調整が要求される。
【0009】
また、防振板バネを基台と第2質量体の間に設置しているため、第2質量体は水平に大きく振動しており、防振板バネの水平方向のバネ定数を小さくする必要がある。その結果、防振板バネは水平方向に弱くなり、衝撃が加わると位置ズレが発生する。
【0010】
このように、平板状のバネで防振バネを構成した従来の振動搬送装置では、防振板バネの角度調整しかできないため、垂直方向と水平方向の調整がトレードオフの関係になり、垂直方向と水平方向のバネ定数を個別に調整することが不可能であった。
【0011】
本発明は、このような点に着目したものであって、主たる目的は、ピッチングを容易に調整可能な防振構造を有する振動搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち本発明は、振動によってリニア搬送面上の搬送対象物を搬送させる振動搬送装置に関するものである。ここで、搬送対象物としては、例えば微小サイズの電子部品(ワーク)や医療用部品等を挙げることができるが、本発明の振動搬送装置によって搬送可能なものであれば特に限定されない。
【0013】
そして、本発明に係る振動搬送装置は、リニア搬送面を有する第1質量体と、第1質量体に対して逆位相で振動する第2質量体と、第1質量体と第2質量体を接続する第1弾性体と、基台と第2質量体又は第1弾性体を接続する第2弾性体とを備え、第2弾性体の水平方向の弾性係数と第2弾性体の鉛直方向の弾性係数に関して、少なくとも第2弾性体の鉛直方向の弾性係数を独立して変更可能に構成していることを特徴としている。
【0014】
ここで、本発明における「第2弾性体の水平方向の弾性係数」は、「第2弾性体のうち水平成分の弾性係数」と同義であり、「第2弾性体の鉛直方向の弾性係数」は、「第2弾性体のうち鉛直成分の弾性係数」と同義である。また、本発明における「水平方向」は、第1弾性体の取付角度で規定される弾性主軸に沿う方向(弾性主軸に対して平行または略平行となる方向)を意味し、本発明における「鉛直方向」は、弾性主軸に対して直交または略直交する方向(弾性主軸に対する法線方向)を意味する。すなわち、本発明では、第1弾性体の弾性主軸を基準として第2弾性体の水平方向及び鉛直方向が決定され、「第2弾性体の水平方向の弾性係数」における水平方向が、地球の重力の方向と直角に交わる方向(物理学で定義される水平方向)と一致する場合もあれば、地球の重力の方向と直角に交わらない方向である場合もあり、同様に、「第2弾性体の鉛直方向の弾性係数」における鉛直方向が、地球の重力の方向(物理学で定義される鉛直方向)と一致する場合もあれば、地球の重力の方向と一致しない場合もある。本発明に係る振動搬送装置は、このような第2弾性体の水平方向の弾性係数と第2弾性体の鉛直方向の弾性係数に関して、少なくとも第2弾性体の鉛直方向の弾性係数を独立して変更可能な構成であればよく、第2弾性体の外観形状は特に限定されない。特に、本発明においては、振動搬送装置に第2弾性体に対して相対的に固定位置を変更可能な弾性調整部材設け、第2弾性体の水平方向の領域における弾性調整部材の固定位置を変更することで、少なくとも第2弾性体の鉛直方向の弾性係数を独立して変更可能となる。
【0015】
本発明に係る振動搬送装置であれば、第1質量体と第2質量体を接続する第1弾性体を適宜の加振手段によって駆動させて振動させると、第2質量体が固定部(カウンターウェイト)として機能し、第2弾性体が防振体として機能することで、第1質量体が振動し、リニア搬送面上の搬送対象物を所定の搬送方向に搬送することができる。さらに、本発明に係る振動搬送装置であれば、第2弾性体の水平方向の弾性係数と第2弾性体の鉛直方向の弾性係数に関して、少なくとも第2弾性体の鉛直方向の弾性係数を独立して変更可能に構成しているため、第2弾性体の水平方向の弾性係数に影響を与えることなく、第2弾性体の鉛直方向の弾性係数をピッチングの抑制可能な弾性係数に設定することができ、ピッチング調整がし易い装置を実現できる。したがって、予め第2弾性体の水平方向の弾性係数を大きく設定して、外部から衝撃が加わった場合にも位置ずれが生じ難い装置(衝撃に強い装置)に設定しておいた状態で、第2弾性体の水平方向の弾性係数に影響を与えることなく、第2弾性体の鉛直方向の弾性係数をピッチングの抑制可能な弾性係数に設定することも可能になる。
【0016】
特に、本発明に係る振動搬送装置が、第2弾性体の水平方向及び鉛直方向の各弾性係数を独立して変更可能に構成したものであれば、第2弾性体の水平方向の弾性係数を変更せずに第2弾性体の鉛直方向の弾性係数のみを調整することで、ピッチング調整がし易くなるとともに、第2弾性体の鉛直方向の弾性係数を変更せずに(例えばピッチングを抑制可能な弾性係数に維持したまま)第2弾性体の水平方向の弾性係数のみを調整することで、第2弾性体の水平方向の弾性係数を大きく設定することができ、外部から衝撃が加わった場合にも位置ずれが生じ難い装置(衝撃に強い装置)を実現できる。
【0017】
特に、本発明に係る振動搬送装置が、第2弾性体の一端を第1弾性体の振動の節に取り付けているものであれば、節は水平方向及び鉛直方向に変位しない(振動しない)部分であるため、この節に第2弾性体の一端を取り付けることで防振作用を奏し、これにより第2弾性体の水平方向の弾性係数を大きく設定することが可能になる。なお、節は点として特定可能なものであるが、本発明における「第1弾性体の節」は、第1弾性体のうち点として特定可能な節を含む所定領域を包含する概念である。
【0018】
なお、特開平11-91928号公報には、圧電駆動型搬送装置に関して、i)横方向にして配設する加振体の上面には慣性質量体を固定し、その下面には加振体取付け部材を固定する構成と、ii)加振体取付け部材と搬送体とを傾斜立設する第1連結部材を介して連結固定する構成と、iii)第1連結部材の長手方向中間部に連結部材支持片を固定し、連結部材支持片と基台とを第2連結部材を介して連結固定する構成が開示され、特に、iv)第2連結部材の一端を基台の両端部側面にねじ止め等の手段により固定し、第2連結部材の他端を連結部材支持片に固定し、連結部材支持片を第1連結部材の節となる部分に固定した構成によって、圧電駆動型搬送装置を支える基台からその設置面への振動を大幅に減少させることが可能である、と開示されている。ここで、同公報における「第1連結部材の節となる部分に固定した」パーツは、弾性体ではない連結部材支持片であり、この点において本願発明とは明確な差異がある。そして、同公報記載の構成であれば、ピッチングの抑制に寄与する鉛直方向の弾性係数の調整は一切できないことは容易に理解できる。
【0019】
本発明に係る振動搬送装置において、第2弾性体として、鉛直方向の振動成分に対する弾性係数を調整可能な水平アーム部と、水平方向の振動成分に対する弾性係数を調整可能な鉛直アーム部の少なくとも一方を備えたものを適用した場合には、単純な形状でありながら本願発明が目的とする構成を実現することができる。水平アーム部及び鉛直アーム部の両方を備えたもの、または何れか一方のアーム部のみを備えたものであってもよい。なお、第2弾性体の水平アーム部と鉛直アーム部は、必ずしも直交関係である必要はなく、直交しない関係(水平アーム部と鉛直アーム部が90度以外の角度で交わる関係)であってもよい。
【0020】
第2弾性体として水平アーム部及び鉛直アーム部を備えたものを適用した場合、水平アーム部または鉛直アーム部の少なくとも何れか一方のアーム部を厚み方向に押さえる弾性調整部材を備え、弾性調整部材によって弾性変形不能に押さえる領域を調整することによって調整対象のアーム部における有効長を変更可能に構成すれば、アーム部と、アーム部の接続対象パーツ(基台と第2質量体又は第1弾性体)との相対位置関係を適切な位置関係に維持したまま、アーム部の有効長を簡単に調整することができ、その結果、鉛直方向の振動成分に対する弾性係数または水平方向の振動成分に対する弾性係数のうち少なくとも何れか一方の弾性係数の調整を簡単に行うことができる。
【0021】
特に、第2弾性体が水平アーム部及び鉛直アーム部を一体に有するL字型の板バネ(一枚の平板状の板バネをL字状に屈曲させたもの)であれば、水平アーム部または鉛直アーム部の何れか一方の有効長、あるいは両方の有効長を適宜調節したり、変更することで、第2弾性体の鉛直方向の弾性係数(バネ定数)や水平方向の弾性係数(バネ定数)を個別に適宜の値に設定することができる。ここで、L字型の板バネの縦方向の有効長(鉛直アーム部の有効長)を調整すると水平方向のバネ定数が調整でき、L字型の板バネの横方向の有効長(水平アーム部の有効長)を調整すると垂直方向のバネ定数を調整することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、基台と第2質量体又は第1弾性体を接続する第2弾性体に着目し、第2弾性体の鉛直方向の弾性係数を第2弾性体の水平方向の弾性係数に影響を与えることなく独立して変更可能な構成とすることによって、ピッチングを容易に調整可能な防振構造を有する振動搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る振動搬送装置(リニアフィーダ)の全体を模式的に示す平面図。
図2】同実施形態に係る振動搬送装置の分解斜視図。
図3図2の要部拡大図。
図4図1における矢印A方向から見た振動搬送装置を一部省略して示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0025】
本実施形態に係る振動搬送装置Xは、図1に示すように、例えば電子部品等のワークKを搬送路14(後述するリニア搬送路14)上において振動により移動させながら所定の搬送先(供給先)に搬送する装置である。本実施形態の振動搬送装置Xは、ワークKを直線状の搬送路14(以下「リニア搬送路14」と称す)に沿って搬送先に搬送する装置である。なお、リニア搬送路14の上流端には、整列させながら搬送するボウルフィーダの搬送路(ボウル搬送路)の下流端が接続されている(図示省略)。したがって、リニアフィーダXは、ボウルフィーダに形成した搬送路(ボウル搬送路)を経由して搬送されたワークKを振動によってリニア搬送路14の終端まで搬送して所定の搬送先に供給可能なものである。このリニアフィーダXには、オーバーフロー時やワークKが所定の搬送姿勢ではないと判別した場合にその対象となるワークK(オーバーフローとなるワークKや所定搬送姿勢ではないと判別したワークK)をボウル搬送路に戻すリターン部(リターン用搬送路)を備えている。
【0026】
リニアフィーダXは、図1乃至図4に示すように、リニア搬送面を有する第1質量体1と、第1質量体1に対して逆位相で振動する第2質量体2と、第1質量体1及び第2質量体2を相互に接続する第1弾性体3と、基台4と、基台4及び第1弾性体3を相互に接続する第2弾性体5とを備えたものである。
【0027】
本実施形態では、搬送方向Tに沿って長尺な形態を有する基台4の上方に、第1質量体1のメインパーツである可動ウェイト11(可動部)を配置し、可動ウェイト11の上方に、第1弾性体3を介して第2質量体2のメインパーツであるカウンターウェイト21(固定部)を配置し、カウンターウェイト21の上方に側面連結板12を介して可動ウェイト11に連結したシュート台13を配置している。本実施形態では、図2に示すように、対をなす側面連結板12を介して可動ウェイト11及びシュート台13を相互に連結している。なお、図4では、対をなす側面連結板12のうち紙面手前側の側面連結板12を省略している。
【0028】
シュート台13の上面には、ボルト等の固定具を介して搬送路14を着脱自在に設け、搬送路14に振動が付与されることにより、ワークKが搬送路14に設けられたリニア搬送面(搬送溝)内を移動する。シュート台13は、可動ウェイト11の振動と同期した動きをするものであり、可動ウェイト11の振動を搬送路14に伝達する振動伝達部として機能する。
【0029】
以下の説明では、搬送路14に沿ったワークKの搬送方向Tを前後方向Tとし、搬送方向T上流側を後側とし、搬送方向T下流側を前側とする。また、搬送方向Tに対して水平面内で直交する方向を幅方向W(横断方向)とする(図1等参照)。
【0030】
図2及び図4に示すように、シュート台13の前端部分及び後端部分は、可動ウェイト11よりも前方及び後方にそれぞれ出っ張ったオーバーハング部分になっている。シュート台13の前方オーバーハング部分の下向き面に例えばサブ可動ウェイト(図示省略)を取り付けることもできる。側面連結板12、シュート台13及び搬送路14は、可動ウェイト11と同様に第1質量体1を構成するパーツである。
【0031】
本実施形態では、第1質量体1のメインパーツである可動ウェイト11と、第2質量体2のメインパーツであるカウンターウェイト21の搬送方向Tに沿った寸法(前後寸法)を略同一に設定し、これらカウンターウェイト21及び可動ウェイト11を高さ方向において対向する姿勢で配置している。
【0032】
本実施形態のリニアフィーダXでは、これら可動ウェイト11及びカウンターウェイト21の前端同士及び後端同士を接続する位置に第1弾性体3を配置している。
【0033】
第1弾性体3は、厚み方向を搬送方向Tに略一致させた平板状のバネ(板バネ)の形態を有するものである。第1弾性体3には、加振源として機能する圧電素子31を貼り付け、圧電素子31に電荷を付与することにより第1弾性体3が弾性変形して振動が生じ、第1質量体1及び第2質量体2が振動する。したがって、第1弾性体3は駆動バネとして機能する。本実施形態の第1弾性体3は、弾性変形していない通常姿勢が鉛直方向に起立した姿勢となるように設定している。第1弾性体3及び圧電素子31からなるバネ定数は、搬送する部品の重量、大きさ及び搬送路14(トラフ)の重量等によって定められる任意の共振周波数の条件に応じて適宜選択される。本実施形態では、第1質量体1及び第2質量体2を複数の第1弾性体3によって接続している。
【0034】
また、本実施形態では、可動ウェイト11及びカウンターウェイト21の前端と後端の間における所定の中途部分同士を接続する位置にも第1弾性体3を配置している。第1弾性体3は、それぞれの配置箇所(可動ウェイト11とカウンターウェイト21を接続する箇所)において前後方向Tに僅かな隙間を隔てて2枚1組で配置されている。本実施形態では、可動ウェイト11及びカウンターウェイト21の前端同士を接続する箇所と、可動ウェイト11及びカウンターウェイト21の後端同士を接続する箇所と、可動ウェイト11及びカウンターウェイト21の前端と後端の間における中途部分のうち前後方向T中央よりも前端側に所定距離寄った箇所と、可動ウェイト11及びカウンターウェイト21の前端と後端の間における中途部分のうち前後方向T中央よりも後端側に所定距離寄った箇所の4箇所に、それぞれ2枚の第1弾性体3を前後方向Tに並ぶ形態で配置した態様、すなわち全部で8枚の第1弾性体3を備えた態様を採用している。
【0035】
本実施形態に係るリニアフィーダXは、第1質量体1のメインパーツである可動ウェイト11、第2質量体2のメインパーツであるカウンターウェイト21、及び第1弾性体3を一体構造物(以下、この一体構造物を「メインフレームM」と称す)としている。これにより、第1質量体1と第1弾性体3の接続箇所、及び第2質量体2と第1弾性体3の接続箇所において摩擦が発生せず、粘性係数が減少するとともに、大振幅時でも固定条件(接続箇所における接続条件)が変化せず、バネの非線形性が低減される。
【0036】
また、第1弾性体3によって可動ウェイト11及びカウンターウェイト21を前後方向Tの両端と中途部分で支持しているため、可動ウェイト11及びカウンターウェイト21の撓み変化が少なくなり、特に、メインフレームMの可動ウェイト11と、側面連結板12との摩擦が少なくなり、粘性係数が減少する。さらに、第1弾性体3をボルト等の固定具で第1質量体1(可動ウェイト11)や第2質量体2(カウンターウェイト21)に固定する場合であれば、固定具の配置スペースを確保する必要があったが、本実施形態によれば、固定具の配置スペースを確保する必要がないため、第1質量体1の高さ寸法を大きく設定することができ、曲げ剛性を向上させることができ、その結果、第1質量体1(可動ウェイト11)がS字状に撓み難くなり、駆動周波数が高くなる。このように、本実施形態に係るリニアフィーダXによれば、構造体(メインフレームM)が振動する駆動周波数及び振幅を上げることができ、高い共振倍率を達成して大振幅を得ることができる。
【0037】
本実施形態のリニアフィーダXでは、第1質量体1(可動ウェイト11)及び第2質量体2(カウンターウェイト21)の前端と後端の間における中途部分に配置した第1弾性体3がリブとしての役割を果たし、これによっても第1質量体1及び第2質量体2がS字に撓み難くなる。
【0038】
本実施形態では、一塊の金属素材に対してワイヤカット加工を施すことによって、可動ウェイト11、カウンターウェイト21及び第1弾性体3を一体に有するメインフレームMを成形している。なお、ワイヤカット加工以外の加工処理によってメインフレームMを成形することも可能である。
【0039】
本実施形態に係るリニアフィーダXでは、例えば、メインフレームMとは別体のカウンターウェイト(サブカウンターウェイト)をカウンターウェイト21に一体的に取り付けることも可能である。サブカウンターウェイトの設置箇所としては、メインフレームMの内部空間MS、つまり、搬送方向Tに沿って隣り合う第1弾性体3同士の間に形成される比較的大きなスペースMS(2枚1組で近接配置される第1弾性体3同士のスペースは除く)を挙げることができる。この場合、メインフレームMの内部空間MSにサブカウンターウェイトを設けた状態で、サブカウンターウェイトが、カウンターウェイト21以外のパーツ(第1弾性体3、圧電素子31、可動ウェイト11、側面連結板12)に接触しないという条件を満たすことが肝要である。サブカウンターウェイトは、カウンターウェイト21と同様に第2質量体2を構成するパーツである。メインフレームMの内部空間MS(搬送方向Tに隣り合う第1弾性体3によって仕切られる比較的大きなスペースMS)のサイズは、図3及び4等に示すように相互に均等なサイズ(等分)であってもよし、不均等なサイズ(不等分)であってもよい。なお、図3図2の要部拡大図である。また、メインフレームMの内部空間MSは、第1弾性体3に圧電素子31を取り付けるためのアクセス空間としても利用できる。
【0040】
ここで、本実施形態の振動搬送装置Xは、可動部である第1質量体1のメインパーツである可動ウェイト11と、可動ウェイト11に対して固定部として機能する第2質量体2のメインパーツであるカウンターウェイト21と、第1弾性体3とを一体に有する構造物(メインフレームM)を備え、この構造物(メインフレームM)を第2弾性体5で大地(本実施形態では大地と見做すことができる基台4)から支持するように構成し、第2弾性体5を防振バネとして機能させている。
【0041】
本実施形態に係るリニアフィーダXは、図2乃至図4に示すように、第2弾性体5をメインフレームMの前方及び後方にそれぞれ配置し、各第2弾性体5によって、基台4とメインフレームMとを連結している。
【0042】
本実施形態では、鉛直方向に延伸する鉛直アーム部51と、水平方向に延伸する水平アーム部52とを一体に有する平板L字状の弾性部材(L字型バネ5A)を用いて第2弾性体5を構成している。図2等に示す第2弾性体5は、鉛直アーム部51の先端(上端)部分を第1弾性体3に固定し、水平アーム部52の先端(鉛直アーム部51が立ち上がっていない方の端部)部分を基台4に固定したものである。
【0043】
本実施形態では、第1弾性体3のうち、水平方向及び鉛直方向に変位しない節の部分に前方または後方に突出する突部32を設け、この突部32に鉛直アーム部51の先端部分を固定している。なお、第1弾性体3は、両端(上端、下端)を可動ウェイト11とカウンターウェイト21にそれぞれ固定したもの(両端固定持ち)であるため、節は長手方向中央部分である。ここで、第1弾性体3の節は、点として捉えることができるものであるが、第1弾性体3において突部32を設けた領域は、第1弾性体3の節を含む所定領域(節及び節の近傍領域)である。突部32には、幅方向Wに離間した2箇所に雌ネジ孔33が設けられている(図3参照)。鉛直アーム部51には、各雌ネジ孔33に連通するボルト挿通孔を形成し、ボルト挿通孔に挿通したボルトB1を雌ネジ孔33に螺合することで、第1弾性体3に第2弾性体5の鉛直アーム部51を固定することができる。ボルトB1の頭部と第2弾性体5の鉛直アーム部51との間に押さえ板を介在させている。
【0044】
基台4の前端部及び後端部には、幅方向Wに離間した2箇所に雌ネジ孔41が設けられている(図3参照)。水平アーム部52には、各雌ネジ孔41に連通する雌ボルト挿通孔を形成し、雌ボルト挿通孔に挿通したボルトB2を雌ネジ孔41に螺合することで、基台4に第2弾性体5の水平アーム部52を固定することができる。
【0045】
本実施形態に係るリニアフィーダXでは、搬送方向Tにおいて第1弾性体3と重複しない位置に第2弾性体5を配置し、第2弾性体5の上端部を第1弾性体3のうち高さ方向H略中央部分である節に取り付けているため、第1質量体1が振動した際に搬送路14の振動が安定し、その分だけより一層安定した部品搬送処理を実現することができる。
【0046】
ところで、より一層安定したワーク搬送処理を実施するためには、搬送路14にピッチング現象を発生させないようにする必要がある。
【0047】
本実施形態に係るリニアフィーダXでは、第1弾性体3の前後方向Tの傾斜角度を変更することなく、第2弾性体5の水平方向及び鉛直方向の各弾性係数を独立して調整することで、第1弾性体3の振動がピッチング現象を皆無か略皆無にする所望の振動となるように調節することができる。ここで、本実施形態における「第2弾性体の水平方向の弾性係数」は、「第2弾性体のうち水平成分の弾性係数」と同義であり、「第2弾性体の鉛直方向の弾性係数」は、「第2弾性体のうち鉛直成分の弾性係数」と同義である。また、本実施形態における「水平方向」は、第1弾性体3の取付角度で規定される弾性主軸に沿う方向(弾性主軸に対して平行または略平行となる方向)を意味し、本実施形態における「鉛直方向」は、弾性主軸に対して直交または略直交する方向(弾性主軸に対する法線方向)を意味する。本実施形態に係るリニアフィーダXでは、鉛直方向の振動成分に対する弾性係数を調整可能な水平アーム部52と、水平方向の振動成分に対する弾性係数を調整可能な鉛直アーム部51とを有する平板L字状の第2弾性体5を用いて、第2弾性体5の水平方向及び鉛直方向の各弾性係数を相互に悪影響を及ぼすことなく独立して調整可能な構成を実現している。
【0048】
本実施形態では、図3及び図4に示すように、第2弾性体5の水平部であるL字型板バネ5Aの水平アーム部52のうち先端部分を高さ方向Hに挟む位置に平板状の弾性調整部材6を配置し、これら弾性調整部材6及び水平アーム部52を共通のボルトB2で固定している。弾性調整部材6には、搬送方向T(前後方向T)に延伸する長孔61を形成し、この長孔61に挿入したボルトB2を水平アーム部52の雌ボルト挿通孔にも挿入して、基台4の雌ネジ孔41に螺合することで締め付けている。そして、ボルトB2による締付状態を少し緩めた状態で長孔61内にボルトB2を案内させて水平アーム部52に対する弾性調整部材6の固定位置を変更し、当該位置においてボルトB2を再度締め付けることで、第2弾性体5の水平アーム部52のうちフリーな領域(ボルトB2及び弾性調整部材6で締め付けられたり、押圧されていない領域)の大きさを変更することができ、その結果、第2弾性体5の水平アーム部52における有効長が変更し、第2弾性体5の鉛直方向の弾性係数(バネ定数)を調節することができる。
【0049】
このような調節作業を第2弾性体5毎に順に行うか、同時に行うかは、ピッチング現象の発生状態に応じて選択することができる。
【0050】
弾性調整部材6は、水平アーム部52を厚み方向に挟む位置に配置されたもの、すなわち1つの水平アーム部52に対して2つ配置されるものに限らず、1つの水平アーム部52に対して1つだけ配置されるものであってもよい。この場合、水平アーム部52を厚み方向に押圧する弾性調整部材を適用し、弾性調整部材によって弾性変形不能に押圧する領域を調整することによって水平アーム部52における有効長を変更可能に構成すればよい。弾性調整部材6をスペーサまたはワッシャとして機能させることも可能である。
【0051】
なお、本実施形態では、第2弾性体5の鉛直アーム部51であるL字型板バネ5Aの鉛直アーム部51については、フリーな領域(有効長)を調整できない構成を採用している。このような構成において、第2弾性体5の水平方向の弾性係数(バネ定数)の調整は、鉛直アーム部51のサイズ(鉛直方向の長さ、バネの厚みや幅、重ねる枚数)が異なる他の第2弾性体(図示省略)に取り替える(交換する)ことによって行うことができる。なお、第2弾性体5の鉛直アーム部51についても、水平アーム部52に準じた構成、すなわち、鉛直アーム部51の先端部分を搬送方向T(前後方向T)に挟む位置に平板状の弾性調整部材を配置して、弾性調整部材に高さ方向Hに延伸する長孔を形成し、長孔を利用して鉛直アーム部51に対する弾性調整部材の固定位置を変更することで、第2弾性体5の鉛直アーム部51のうちフリーな領域(ボルトB2及び弾性調整部材6で締め付けられたり、押圧されていない領域)の大きさを変更する構成を適用することが可能である。もちろん、水平アーム部52に関する弾性調整部材の変形例と同様に、1つの鉛直アーム部51に対して1つの弾性調整部材を配置する態様を採用することもできる。この場合、鉛直アーム部51を厚み方向に押圧する弾性調整部材を適用し、弾性調整部材によって弾性変形不能に押圧する領域を調整することによって鉛直アーム部51における有効長を変更可能に構成すればよい。
【0052】
本実施形態では、搬送方向Tに沿った前後2箇所に設けた第2弾性体5の弾性係数を個別に調節することができる。すなわち、前後2箇所の第2弾性体5の弾性係数を相互に異なる値に設定することが可能である。
【0053】
このように、本実施形態に係るリニアフィーダXによれば、第1質量体1と第2質量体2を接続する第1弾性体3を加振源(圧電素子31)によって駆動させて振動させると、第2質量体2が固定部(カウンターウェイト)として機能し、第2弾性体5が防振体として機能することで、第1質量体1が振動し、リニア搬送路14上の搬送対象物Kを所定の搬送方向Tに搬送することができる。さらに、本実施形態に係るリニアフィーダXによれば、第2弾性体5の水平方向及び鉛直方向の各弾性係数を独立して変更可能に構成しているため、第2弾性体5の水平方向の弾性係数を変更せずに第2弾性体5の鉛直方向の弾性係数のみを調整することで、ピッチング調整がし易くなるとともに、第2弾性体5の鉛直方向の弾性係数を変更せずに(例えばピッチングを抑制可能な弾性係数に維持したまま)第2弾性体5の水平方向の弾性係数のみを調整することで、第2弾性体5の水平方向の弾性係数を大きく設定することができ、外部から衝撃が加わった場合にも位置ずれが生じ難い装置(衝撃に強い装置)を実現できる。
【0054】
特に、本実施形態に係るリニアフィーダXでは、第2弾性体5の一端を第1弾性体3のうち振動時にも水平方向及び鉛直方向に変位しない(振動しない)節に取り付けているため、良好な防振作用を奏し、これにより第2弾性体5の水平方向の弾性係数を大きく設定することが可能になる。
【0055】
また、本実施形態に係る振動搬送装置Xは、第2弾性体5として、鉛直方向の振動成分に対する弾性係数を調整可能な水平アーム部52と、水平方向の振動成分に対する弾性係数を調整可能な鉛直アーム部51とを備えたものを適用しているため、単純な形状でありながら本願発明が目的とする構成を実現することができる。
【0056】
加えて、第2弾性体として平板状の水平アーム部52及び平板状の鉛直アーム部51を備えたものを適用し、水平アーム部52を厚み方向に押さえる弾性調整部材6を備え、弾性調整部材6によって弾性変形不能に押圧する領域を調整することによって調整対象のアーム部(水平アーム部52)における有効長を変更可能に構成しているため、アーム部(水平アーム部52)と、アーム部(水平アーム部52)の接続対象パーツである基台4や第1弾性体3との相対位置関係を適切な位置関係に維持したまま、アーム部(水平アーム部52)の有効長を簡単に調整することができ、その結果、鉛直方向の振動成分に対する弾性係数の調整を容易且つスムーズに行うことができる。
【0057】
特に、第2弾性体5が水平アーム部52及び鉛直アーム部51を一体に有するL字型の板バネ5Aであるため、水平アーム部52または鉛直アーム部51の何れか一方の有効長、あるいは両方の有効長を適宜調節したり、変更することで、第2弾性体5の鉛直方向の弾性係数(バネ定数)や水平方向の弾性係数(バネ定数)を個別に適宜の値に設定することができる。
【0058】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、第2弾性体であるL字型バネの弾性係数を調整する構成として、L字型バネのアーム部を厚み方向に挟む弾性調整部材を用いて、L字型バネのアーム部の有効長(フリーな領域の大きさ)を調整する構成を例示したが、これに限らず、L字型バネのアーム部を厚み方向に挟む弾性調整部材を用いずにL字型バネの弾性係数を調整する構成を採用することができる。一例として、L字型バネのアーム部に長孔を形成し、アーム部を固定する部分(上述の実施形態であれば基台4)に、長孔の長手方向に沿って所定ピッチで雌ネジを設定し、L字型バネ全体を長孔の長手方向に沿って移動させながらボルトを固定する雌ネジ孔を選択・変更することで、アーム部の有効長(フリーな領域の大きさ)を調整する構成を挙げることができる。この構成であれば、L字型バネで支持する構造体(メインフレーム)全体もL字型バネの移動量に応じて移動する場合がある。
【0059】
また、上述したように、鉛直アーム部や水平アーム部の長さ、面積、厚み等が異なる複数種類のL字型バネを予め用意しておき、それらの中から適宜のL字型バネを選択したり、交換することで、第2弾性体の水平方向及び鉛直方向の各弾性係数を変更する構成であってもよい。
【0060】
第2弾性体の数や基台に対する固定位置は適宜変更することができる。また、第2弾性体が、基台と第2質量体を接続するものであっても構わない。
【0061】
L字型バネ以外のバネ(例えばI字型のバネの基端同士を接続したバネやT字型バネ等)
や、バネ以外の弾性体(ゴム等)によって本発明における第2弾性体を構成することも可能である。
【0062】
第1弾性体の数や形状、第1質量体及び第2質量体に対する第1弾性体の接続位置も適宜変更することができる。例えば、搬送方向に所定角度傾斜した姿勢で第1弾性体を配置することも可能である。なお、上述の実施形態における第1弾性体も搬送方向に所定角度(2度程度)傾斜した姿勢で配置されている。上述の通り、本発明における「第2弾性体の水平方向の弾性係数」は、「第2弾性体のうち水平成分の弾性係数」と同義であり、「第2弾性体の鉛直方向の弾性係数」は、「第2弾性体のうち鉛直成分の弾性係数」と同義である。また、本発明における「水平方向」は、第1弾性体の取付角度で規定される弾性主軸に沿う方向(弾性主軸に対して平行または略平行となる方向)を意味し、本発明における「鉛直方向」は、弾性主軸に対して直交または略直交する方向(弾性主軸に対する法線方向)を意味する。すなわち、本発明では、第1弾性体の弾性主軸を基準として第2弾性体の水平方向及び鉛直方向が決定され、このような第2弾性体の水平方向の弾性係数と第2弾性体の鉛直方向の弾性係数に関して、少なくとも第2弾性体の鉛直方向の弾性係数を独立して変更可能な構成であればよく、第2弾性体の外観形状は特に限定されない。したがって、第2弾性体の水平アーム部と鉛直アーム部は、必ずしも直交する関係である必要はなく、例えば、互いに直交しない関係であってもよい。また、基台の高さ方向と第2弾性体の鉛直方向が一致する構成も本発明に包まれる。
【0063】
上述の実施形態では、可動ウェイト11(第1質量体1の一部)、カウンターウェイト21(第2質量体2の一部)及び第1弾性体3を一体に有する態様を例示したが、これらの全部または一部のみが別体である態様を採用してもよい。本発明の振動搬送装置は、第1弾性体を、第1質量体と第2質量体に対して各々直接接続した態様や、別の部材を介在することで間接的に接続した態様を含むものあり、同様に、第2弾性体を、基台と第2質量体又は第1弾性体に対して各々直接接続した態様や、別の部材を介在することで間接的に接続した態様を含むものである。
【0064】
第1質量体は、リニア搬送面を有するものであればよく、上述の搬送路(トラフ)を備えず、シュート台の上向き面にリニア搬送面を形成したものや、シュート台も備えず、可動ウェイトの上向き面にリニア搬送面を形成したもの、あるいは可動ウェイトに同期して振動するパーツ(シュート台に限定されず)にリニア搬送面を形成したものであっても構わない。
【0065】
また、第2質量体は、単一のカウンターウェイトのみからなるものであってもよいし、複数のカウンターウェイトを備えたものであってもよい。第2質量体の上方に第1質量体を配置する構成を採用することもできる。
【0066】
加振源が、圧電素子以外のものであっても構わない。
【0067】
また、搬送対象物は、LED等の各種LEDや、LED以外の電子部品、あるいは食品など電子部品以外のものであってもよい。
【0068】
また、本発明には、第2弾性体の水平方向の弾性係数と第2弾性体の鉛直方向の弾性係数に関して、第2弾性体の鉛直方向の弾性係数を独立して変更可能に構成し、第2弾性体の水平方向の弾性係数を独立して変更不能に構成した振動搬送装置も含まれる。
【0069】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1…第1質量体
1L…リニア搬送面
2…第2質量体
3…第1弾性体
4…基台
5…第2弾性体
51…鉛直アーム部
52…水平アーム部
5A…L字型の板バネ(L字型バネ)
K…搬送対象物
X…振動搬送装置(リニアフィーダ)
図1
図2
図3
図4