(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】情報処理システムとその制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/14 20120101AFI20240221BHJP
G06F 3/04817 20220101ALI20240221BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20240221BHJP
【FI】
G06Q20/14
G06F3/04817
G06F3/0481
(21)【出願番号】P 2022010672
(22)【出願日】2022-01-27
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390002761
【氏名又は名称】キヤノンマーケティングジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189751
【氏名又は名称】木村 友輔
(72)【発明者】
【氏名】内尾 裕一
(72)【発明者】
【氏名】村上 新
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-233757(JP,A)
【文献】特開2016-139183(JP,A)
【文献】特開2005-317039(JP,A)
【文献】特開2009-087197(JP,A)
【文献】特開2004-070684(JP,A)
【文献】特開2006-107272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 3/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
請求書に関連付けられた信用情報に基づく信用を確認する確認処理を行うように制御する制御手段と、
第1の請求元からの第1の請求書についての前記確認処理の結果と、第2の請求元からの第2の請求書についての前記確認処理の結果とを、特定の画面に共に表示するように制御する表示制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求書に関連付けられた信用情報に基づく信用を確認する確認処理を行うように制御する制御手段と、
第1の請求元からの第1の請求書についての前記確認処理を行った最新の日と、第2の請求元からの第2の請求書についての前記確認処理を行った最新の日とを、特定の画面に共に表示するように制御する表示制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求書に関連付けられた信用情報に基づく信用を確認する確認処理を行うように制御する制御手段と、
第1の請求元からの第1の請求書についての前記確認処理を行った最新の日からの経過日数と、第2の請求元からの第2の請求書についての前記確認処理を行った最新の日からの経過日数とを、特定の画面に共に表示するように制御する表示制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
前記特定の画面は、複数の請求書に関する情報の一覧が表示された一覧表示画面であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
請求書に関連付けられた信用情報に基づく信用を確認する確認処理を行うように制御する制御手段と、
第1の請求元からの第1の請求書と第2の請求元からの第2の請求書とを含む複数の請求書に関する情報を一覧で表示した
特定の画面を表示し、当該
特定の画面に、前記確認処理の実行を指示するための指示アイテムを表示するように制御する
表示制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
前記
特定の画面において、前記確認処理の対象とする請求書の選択を受け付ける受付手段をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
請求書に関連付けられた信用情報に基づく信用を確認する確認処理を行うように制御する制御手段と、
第1の請求元からの第1の請求書と第2の請求元からの第2の請求書とを含む複数の請求書に関する情報を一覧で表示した
特定の画面を表示し、当該
特定の画面に、前記確認処理の結果、信用が確認されなかった請求書について、支払うことができない旨の返信を指示するための指示アイテムを表示するように制御する
表示制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
前記表示制御手段は、更に、前記
特定の画面に、前記一覧に表示された複数の請求書に関する情報のうち、選択された請求書に関して支払いを指示するための指示アイテムを表示するように制御することを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記制御手段は、前記確認処理の実行済みの請求書について、前記確認処理の結果を更新するために再度確認処理を行うように制御可能であり、
前記表示制御手段は、当該請求書に関する前記確認処理の結果を、前記更新するために行った確認処理の結果に基づいて更新して表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記表示制御手段は、更に、前記第1の請求書と前記第2の請求書の過去の支払履歴を前記特定の画面に表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記特定の画面は、前記第1の請求書と前記第2の請求書は表示されない画面であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記表示制御手段は、前記特定の画面に表示された表示アイテムであって、前記第1の請求書に対応する第1の表示アイテムが操作されたことに応じて前記第1の請求書を表示するように制御し、前記特定の画面に表示された表示アイテムであって、前記第2の請求書に対応する第2の表示アイテムが操作されたことに応じて前記第2の請求書を表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記第1の請求書及び前記第2の請求書はPDFファイルであり、前記信用情報は少なくとも時刻情報と請求元の信用に関する情報を含むことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記信用情報は、前記請求書の請求元とも請求先とも異なる外部機関によって付与された情報であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記確認処理は、インターネット通信を行い、インターネット上のサーバに記憶された情報と、前記信用情報の少なくとも一部の内容と、を比較する処理を含むことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記第1の請求書の信用情報についての前記確認処理で通信する通信先と、前記第2の請求書の信用情報についての前記確認処理で通信する通信先とが異なることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項17】
前記制御手段は、請求書毎の信用情報に応じた通信先と通信して前記確認処理を行うように制御することを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項18】
前記制御手段は、請求書毎の信用情報に含まれる、通信先にアクセスするための情報を用いて、通信先と通信して前記確認処理を行うように制御することを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項19】
前記制御手段及び前記表示制御手段は、公的機関のインターネットサイトからダウンロードされたプログラムに基づいた制御を行うことを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項20】
請求書に関連付けられた信用情報に基づく信用を確認する確認処理を行うように制御する制御ステップと、
第1の請求元からの第1の請求書の信用情報についての前記確認処理の結果と、第2の請求元からの第2の請求書の信用情報についての前記確認処理の結果とを、特定の画面に共に表示するように制御する表示制御ステップと、
を有することを特徴とする情報処理システムの制御方法。
【請求項21】
少なくとも1つのコンピュータを、請求項1乃至19のいずれか1項に記載された情報処理システムの各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理システムとその制御方法、及びプログラムに関し、特に、データの信頼性を保証する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルデータは、まったく同質なコピーを容易に生成でき、編集処理も容易に実行できるため、デジタルデータの原本性を保証することは重要である。そこで、電子署名などによって原本性・信頼性を保証・確認できる技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、原データを変更する際に、その変更に関する変更情報を記憶媒体に記憶し、その変更情報が原本であることを保証するための変更保証情報を作成する情報処理装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、請求書の電子化については、その信頼性の担保が課題となっており、更に、請求書の受領側では大量の請求書について、効率よく信頼性の確認処理を行う必要がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み、電子的に作成された請求書の信頼性を効率よく確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の情報処理システムは、
請求書に関連付けられた信用情報に基づく信用を確認する確認処理を行うように制御する制御手段と、
第1の請求元からの第1の請求書についての前記確認処理の結果と、第2の請求元からの第2の請求書についての前記確認処理の結果とを、特定の画面に共に表示するように制御する表示制御手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子的に作成された請求書の信頼性を効率よく確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】(a)請求元端末100のハードウェアブロック図である。(b)請求先端末200のハードウェアブロック図である。
【
図3】請求元端末100における請求書出力処理のフローチャートである。
【
図4】(a)請求書データ一覧の表示例である。(b)請求書のPDFファイルを用紙に印刷して出力した場合の印刷物の例である。
【
図5】請求先端末200における信用情報確認処理のフローチャートである。
【
図11】信用情報確認処理における、信用情報を持つPDFファイルの表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0011】
図1(a)に、本実施形態のシステム構成図を示す。本実施形態ではA社で帳票の一種である請求書を作成し、B社に送付する例を説明する。すなわち、A社が請求元であり、B社が請求先である。帳票は書類の一種である。B社も、請求書を電子データで管理しているものとする。A社は、電子メールその他の方法でB社に請求書を送信する。B社では、電子で受け取った請求書を社内で管理・保存し、これに基づいて請求元への支払い処理や、決算や納税に関する業務を行う。
【0012】
A社における情報処理システムは、LAN(Local Area Network)に接続された請求元端末100、印刷装置180、サーバ装置170を含む。A社では、サーバ装置170に保存された請求データに基づいて、請求元端末100を操作して請求書の電子データ作成を行う。本実施形態では請求書の電子データの形式はPDF(Portable Document Format)であるものとして説明するが、フォーマットはPDFに限るものではない。PDFでの請求書を作成すると、インターネットを介してA社の社外(外部機関)である信用情報付与機関400に対して、信用情報の付与を依頼する。付与を依頼する信用情報は、作成された請求書のPDFは確かにA社が作成したものであり、内容が原本と同一である(すなわち、改竄が無い)ことを保証するための信用情報である。
【0013】
信用情報の付与を依頼された信用情報付与機関400では、サーバ装置などの情報処理装置を用いて、依頼を受けた請求書のPDFに対して信用情報を付与する処理を行う。信用情報を付与したPDFを、依頼元のA社に送信する。
【0014】
信用情報が付与された請求書のPDFを信用情報付与機関400から受信した請求元端末100は、信用情報が付与された請求書のPDFを、A社の社外からアクセス可能なサーバ装置300に保存し、電子データの請求書190を生成する。この請求書190を、電子メールその他の手段で、B社に送付する。なお、サーバ装置300は請求書190の送付先であるB社からアクセス可能な記憶装置であればよく、A社の社外にあることは必須ではない。従ってA社内に設置するものとしてもよい。これらのA社における処理の詳細は
図3を用いて後述する。
【0015】
B社は請求書190を電子データとして受け取る。そして、この請求書190に付加されたアクセス情報を用いて、B社側で請求先端末200で、サーバ装置300に保存された、信用情報が付与された請求書のPDFへアクセスする。サーバ装置300は、保存されたPDFの信用情報と請求先端末200から送信された信用情報とを比較して一致すれば信用有(OK)一致しなければ信用無(NG)の結果を請求先端末200に送信する。このようにして、信用情報が付与された請求書190が信用できる書類であることを確認することができる。これらのB社における処理の詳細は
図5を用いて後述する。
【0016】
図2(a)に、請求元端末100のハードウェアブロック図を示す。請求元端末100は、パーソナルコンピュータ(以下、PC)やスマートフォン、タブレット端末などの電子機器(情報処理装置)を用いて構成可能なものである。
【0017】
図2(a)において、内部バス150に対してCPU101、メモリ102、不揮発性メモリ103、画像処理部104、ディスプレイ105、操作部106、記録媒体I/F107、外部I/F109、通信I/F110、カメラ部112が接続されている。内部バス150に接続される各部は、内部バス150を介して互いにデータのやりとりを行うことができるようにされている。
【0018】
メモリ102は、例えばRAM(半導体素子を利用した揮発性のメモリなど)からなる。CPU101は、例えば不揮発性メモリ103に格納されるプログラムに従い、メモリ102をワークメモリとして用いて、請求元端末100の各部を制御する。不揮発性メモリ103には、画像データや音声データ、その他のデータ、CPU101が動作するための各種プログラムなどが格納される。不揮発性メモリ103は例えばハードディスク(HD)やROMなどで構成される。
【0019】
画像処理部104は、CPU101の制御に基づいて、不揮発性メモリ103や記録媒体108に格納された画像や、外部I/F109を介して取得した映像信号、通信I/F110を介して取得した画像、撮像された画像などに対して各種画像処理を施す。画像処理部104が行う画像処理には、A/D変換処理、D/A変換処理、画像データの符号化処理、圧縮処理、デコード処理、拡大/縮小処理(リサイズ)、ノイズ低減処理、色変換処理、PDFデータの作成・編集処理などが含まれる。画像処理部104は特定の画像処理を施すための専用の回路ブロックで構成しても良い。また、画像処理の種別によっては画像処理部104を用いずにCPU101がプログラムに従って画像処理を施すことも可能である。
【0020】
ディスプレイ105は、CPU101の制御に基づいて、画像やGUI(Graphical User Interface)を構成するGUI画面などを表示する。CPU101は、プログラムに従い表示制御信号を生成し、ディスプレイ105に表示するための映像信号を生成してディスプレイ105に出力するように請求元端末100の各部を制御する。ディスプレイ105は出力された映像信号に基づいて映像を表示する。なお、請求元端末100自体が備える構成としてはディスプレイ105に表示させるための映像信号を出力するためのインターフェースまでとし、ディスプレイ105は外付けのモニタ(テレビなど)で構成してもよい。
【0021】
操作部106は、キーボードなどの文字情報入力デバイスや、マウスやタッチパネルといったポインティングデバイス、ボタン、ダイヤル、ジョイスティック、タッチセンサ、タッチパッドなどを含む、ユーザー操作を受け付けるための入力デバイスである。なお、タッチパネルは、ディスプレイ105に重ね合わせて平面的に構成され、接触された位置に応じた座標情報が出力されるようにした入力デバイスである。
【0022】
記録媒体I/F107は、メモリーカードやCD、DVDといった記録媒体108が装着可能とされ、CPU101の制御に基づき、装着された記録媒体108からのデータの読み出しや、当該記録媒体108に対するデータの書き込みを行う。外部I/F109は、外部機器と有線ケーブルや無線によって接続し、映像信号や音声信号の入出力を行うためのインターフェースである。通信I/F110は、外部機器やインターネット111などと通信して、ファイルやコマンドなどの各種データの送受信を行うためのインターフェースである。
【0023】
カメラ部112は、光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像素子(撮像センサー)等で構成されるカメラユニットである。カメラ部112には、ズームレンズやフォーカスレンズを含むレンズ群(撮影レンズ)、絞り機能を備えるシャッター、撮像素子、撮像素子から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、撮像系を覆って汚れや破損を防止するバリアを含む。画像処理部104は、カメラ部112で撮像して取得したデータに対し所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。画像処理部104により得られた演算結果に基づいてCPU101が露光制御、測距制御、AWB(オートホワイトバランス)処理を行う。カメラ部112で撮像され、画像処理部104で画像処理された表示用の画像データはディスプレイ105により表示される。カメラ部112で撮像され、A/D変換器によって一度A/D変換されメモリ102に蓄積されたデジタル信号をD/A変換器でアナログ変換し、ディスプレイ105に逐次転送して表示することで、ライブビュー表示(LV表示)を行える。ライブビューは、静止画の撮影待機状態、動画の撮影待機状態、動画の記録時に表示可能であり、撮像された被写体像がほぼリアルタイムに表示される。CPU101は、操作部106で行われたユーザー操作に基づく撮影準備指示に応じて、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB処理等の動作を開始するように、カメラ部112、画像処理部104を制御する。CPU101は、撮影指示に応じて、本露光して撮像部素子からの信号を読み出し、撮像された画像を画像処理部104で画像処理して画像ファイルを生成し、記録媒体108に記録するまでの一連の撮影処理(本撮影)の動作を開始ように制御する。撮影指示は、操作部106に対するユーザー操作によって行うことができる。カメラ部112は、静止画及び動画の撮影が可能である。
【0024】
図2(b)に、請求先端末200のハードウェアブロック図を示す。請求先端末200は、パーソナルコンピュータ(以下、PC)やスマートフォン、タブレット端末などの電子機器(情報処理装置)を用いて構成可能なものである。
図2(b)において、内部バス250に対してCPU201、メモリ202、不揮発性メモリ203、画像処理部204、ディスプレイ205、操作部206、記録媒体I/F207、外部I/F209、通信I/F210、カメラ212が接続されている。これらはそれぞれ、
図2(a)で説明した同名のブロック(参照符号の下二桁が同一のブロック)と同様であるため説明を省略する。
【0025】
図3に、請求元端末100における請求書出力処理のフローチャートを示す。この処理は、A社において請求書のPDFを生成し、信用情報を付与して印刷するまでの処理を説明するものである。この処理は、不揮発性メモリ103に記録されたプログラムをメモリ102に展開してCPU101が実行することで実現する。A社の請求書の作成担当者が請求書の作成業務を行うために、請求元端末100を起動し、請求書の作成を行うソフトウェアを実行すると
図3の処理が開始されるものとする。例えば月末締めで請求書を1か月分まとめて出力する際などにこの処理を行う。
【0026】
S301は、CPU101は、記録媒体を含む記憶装置であるサーバ装置170から請求書データを取得して表示する。
【0027】
図4(a)に、S301でディスプレイ105に表示される請求書データ一覧の表示例を示す。表401は、請求書データの一覧である。各行が1つの請求書を作成するための1つの請求書データに対応する。請求書データは、例えば、営業担当者が請求先と売買契約を締結して売り上げを確定した際などに営業担当者が入力しておいたデータである。請求書を作成すべき事案が複数あった場合には、複数の請求書に対応する請求書データがサーバ装置170に蓄積されており、表401示すように複数の請求書データが一覧で表示される。
【0028】
請求書データの一覧である表401には、請求書番号、請求確定日、請求金額、信用情報、送信指定、印刷指定、出力対象、出力済請求書、発行日の情報を表示する列が含まれる。請求書番号は1つの請求書に1つ付与される番号であり、A社で作成する他の請求書と重複のないユニークな識別番号(識別情報)である。例えばA社において請求書データが生成された順の通し番号となる。請求金額は、1つの請求書で請求する請求額の合計金額である。請求先は請求書を送付する先を示している。
【0029】
信用情報の列は、各行の請求書データに基づいて作成する請求書のPDFに信用情報を付与するかどうかを表すチェックボックスである。本実施形態では、チェックありとチェック無しの2値のいずれかである。チェックありの請求書データに基づくPDFを作成する場合には、後述する処理で説明する通り、信用情報が付与される。各行における信用情報の列をマウスでクリックすることにより、1行単位でチェックを付けたり外したりすることができる。また、操作アイコンである一括指定ボタン404がクリックされると、すべての行の信用情報に一括でチェックが付与される。全ての行の信用情報にチェックが入っている状態で一括指定ボタン404がクリック(操作)されると、全ての行の信用情報のチェックが一括で外される。
【0030】
送信指定の列は、各行の請求書データに基づいて作成する請求書のPDFを、電子データで請求先に自動送信するか否かを表すチェックボックスである。本実施形態では、チェックありとチェック無しの2値のいずれかである。チェックありの請求書データに基づくPDFを作成すると、後述する処理で説明する通り、請求先に対応付けて記憶された送信先に作成されたPDFが自動送信される。各行における送信指定の列をマウスでクリックすることにより、1行単位でチェックを付けたり外したりすることができる。また、操作アイコンである一括指定ボタン405がクリックされると、すべての行の送信指定に一括でチェックが付与される。全ての行の送信指定にチェックが入っている状態で一括指定ボタン405がクリックされると、全ての行の送信指定のチェックが一括で外される。
【0031】
印刷指定の列は、各行の請求書データに基づいて作成する請求書のPDFを印刷するか否かを表すチェックボックスである。本実施形態では、チェックありとチェック無しの2値のいずれかである。チェックありの請求書データに基づくPDFを作成すると、後述する処理で説明する通り、作成されたPDFが印刷装置で印刷され、紙媒体の請求書が作成される。各行における印刷指定の列をマウスでクリックすることにより、1行単位でチェックを付けたり外したりすることができる。また、操作アイコンである一括指定ボタン406がクリックされると、すべての行の印刷指定に一括でチェックが付与される。全ての行の印刷指定にチェックが入っている状態で一括指定ボタン406がクリックされると、全ての行の印刷指定のチェックが一括で外される。
【0032】
出力対象の列は、各行の請求書データを、操作アイコンである出力ボタン409がクリックされたことに応じて生成する請求書の対象とするか否かを表すチェックボックスである。本実施形態では、チェックありとチェック無しの2値のいずれかである。出力ボタン409がクリックされると、出力対象の列でチェックありの請求書データに基づくPDFが作成・出力され、チェックの無い行の請求書データに基づくPDFは作成(出力)されない。各行における印刷指定の列をマウスでクリックすることにより、1行単位でチェックを付けたり外したりすることができる。また、操作アイコンである未出力一括指定ボタン407がクリックされると、未出力の請求書データ(出力済み請求書の列が空欄の請求書データ)に一括でチェックが付与される。操作アイコンである全一括指定ボタン408がクリックされると、未出力であるか否かにかかわらず、すべての行の出力対象に一括でチェックが付与される。全ての行の出力対象にチェックが入っている状態で全一括指定ボタン408がクリックされると、全ての行の出力対象のチェックが一括で外される。
【0033】
操作アイコンである詳細/編集ボタン402がクリックされると、クリックされた詳細/編集ボタン402の位置する行の請求書データの詳細画面(不図示)が表示される。詳細画面には、請求金額の内訳(各品目の品番、名称、単価、数量、金額など)や、請求先の詳細情報(住所、電話番号、正式名称など)、送信指定した場合に用いる送信先情報(メールアドレスなど)、振込先情報、等が表示される。振込先情報は、請求書で請求する金額を請求先に振り込んでもらうための銀行口座(銀行名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義人)の情報を含む。銀行口座への振り込みとは異なる送金方法(電子マネーや暗号通貨を含む)での請求をする場合は、送金するために必要となる送金先を特定する情報(A社で受け取るための受取人情報)である。詳細画面を表示した状態でユーザーからの内容の加筆・修正の操作があったことに応じて、CPU101は、操作に応じて請求書データを修正して記憶するように制御する。
【0034】
追加ボタン403は、新たな請求書データを追加するための操作アイコンであり、クリックされると表401に新規の行が追加され、ユーザーからの新しい請求書データの入力を受け付ける。
図3の説明に戻る。
【0035】
S302では、CPU101は、信用情報の付与対象に設定する操作あるいは非対象とする操作があったか否かを判定する。信用情報の付与対象に設定する操作あるいは非対象とする操作(各行の信用情報の列への操作、あるいは一括指定ボタン404への操作)があると(すなわち信用情報の付与対象とする指示操作の受付に応じて)S303に進み、そうでない場合はS304に進む。S303では、CPU101は、操作に応じて各行の請求書データの信用情報の列にチェックの付与または削除を行う。そして、CPU101は、チェックを付与された請求書データは信用情報の付与対象であることを示す情報をサーバ装置170に記憶し、チェックを外された請求書データは信用情報の付与の非対象であることを示す情報をサーバ装置170に記憶する。
【0036】
S304では、CPU101は、送信指定の指定対象に設定する操作あるいは非対象とする操作があったか否かを判定する。送信指定の指定対象に設定する操作あるいは非対象とする操作(各行の送信指定の列への操作、あるいは一括指定ボタン405への操作)があるとS305に進み、そうでない場合はS306に進む。S305では、CPU101は、操作に応じて各行の請求書データの送信指定の列にチェックの付与または削除を行う。そして、CPU101は、チェックを付与された請求書データは送信指定の対象であることを示す情報をサーバ装置170に記憶し、チェックを外された請求書データは送信指定の非対象であることを示す情報をサーバ装置170に記憶する。
【0037】
S306では、CPU101は、印刷指定の指定対象に設定する操作あるいは非対象とする操作があったか否かを判定する。印刷指定の指定対象に設定する操作あるいは非対象とする操作(各行の印刷指定の列への操作、あるいは一括指定ボタン406への操作)があるとS307に進み、そうでない場合はS308に進む。S307では、CPU101は、操作に応じて各行の請求書データの印刷指定の列にチェックの付与または削除を行う。そして、CPU101は、チェックを付与された請求書データは印刷指定の対象であることを示す情報をサーバ装置170に記憶し、チェックを外された請求書データは印刷指定の非対象であることを示す情報をサーバ装置170に記憶する。
【0038】
S308では、CPU101は、出力対象に設定する操作あるいは非対象とする操作があったか否かを判定する。出力対象に設定する操作あるいは非対象とする操作(各行の出力対象の列への操作、あるいは未出力一括指定ボタン407または全一括指定ボタン408への操作)があるとS309に進み、そうでない場合はS310に進む。S309では、CPU101は、操作に応じて各行の請求書データの出力対象の列にチェックの付与または削除を行う。そして、CPU101は、チェックを付与された請求書データは出力対象であることを示す情報をサーバ装置170に記憶し、チェックを外された請求書データは出力の非対象であることを示す情報をサーバ装置170に記憶する。
【0039】
S310では、CPU101は、追加ボタン403が操作されたか否かを判定する。追加ボタン403が操作された場合はS311に進み、表401に新規の行を追加し、ユーザーからの新しい請求書データの入力を受け付ける。そうでない場合はS312に進む。
【0040】
S312では、CPU101は、請求書データの編集をする操作があったか否かを判定する。操作アイコンである詳細/編集ボタン402がクリックされると、S313に進み、そうでない場合はS314に進む。S313では、CPU101は、クリックされた詳細/編集ボタン402の位置する行の請求書データの詳細画面(不図示)を表示する。詳細画面を表示した状態でユーザーからの内容の加筆・修正の操作があったことに応じて、CPU101は、操作に応じて請求書データを修正して記憶するように制御する。
【0041】
S314では、CPU101は、請求書の出力を指示する操作があったか否かを判定する。具体的には、出力ボタン409がクリックされた場合にS315に進み、そうでない場合にはS327へ進む。
【0042】
S315では、CPU101は、請求書データのうち、出力対象であることを示す情報が関連付けて記憶された請求書データ(出力対象の列にチェックの入ったもの)をリストアップ(抽出)する。続いて、リストアップした出力対象の請求書テータを順番に特定するための変数Nを1(最初のデータを特定する番号)にセットしてメモリ102に記憶する。
【0043】
S316では出力対象の請求書データのうち、N番目の請求書データを用いて、請求書のPDFデータ(PDFファイル)を作成する。この時点では、後述する
図6(b)に示す請求書のうち、アクセス情報430を除く部分が生成される。
【0044】
S317では、CPU101は、サーバ装置170を参照し、N番目の請求書データが信用情報の付与対象であるか否かを判定する。具体的には、N番目の請求書データが、S303で設定された、信用情報の付与対象であることを示す情報が関連づけて記憶された請求書データであるか否かを判定する。信用情報の付与対象である場合にはS318に進み、そうでない場合にはS321に進む。
【0045】
S318では、CPU101は、S316で生成したN番目の請求書のPDFファイル(信用情報の付与対象である対象書類、対象帳票)をサーバ装置300に保存する。これによって、N番目の請求書のPDFファイルのサーバ装置300における保存場所が確定する。
【0046】
S319では、CPU101は、N番目の請求書のPDFファイルのサーバ装置300における保存場所にアクセスするためのアクセス情報を、N番目のPDFファイルに印刷可能に付加して上書き保存する。これによって生成されるPDFファイルを印刷した場合の印刷物の例を
図4(b)に示す。詳細は後述する。
【0047】
S320では、CPU101は、S319で保存したN番目の請求書のPDFファイル(アクセス情報の付加されたもの)に信用情報を付与するように制御する。具体的には、S319でサーバ装置300上に保存したN番目の請求書のPDFファイルを、信用情報付与機関400に送信し、信用情報の付与を依頼する。信用情報付与機関400では、依頼に基づき、受信したN番目の請求書のPDFファイルに信用情報(電子証明)を付与して請求元端末100に送り返す。信用情報は、付与されたPDFファイルは確かにA社が作成したものであり、この時点からの変更(編集や改竄など)が無いことを証明する情報である。CPU101は、信用情報付与機関400から受信した信用情報付与済みのN番目の請求書のPDFファイルで、サーバ装置300上のN番目の請求書のPDFファイルを上書きする。すなわち、PDFファイルに付加したアクセス情報が示す通りの保存場所に、信用情報付与済みのPDFファイルを保存するように制御する。
【0048】
S321では、CPU101は、サーバ装置170を参照し、N番目の請求書データに送信指定がされいるか否かを判定する。具体的には、N番目の請求書データが、S305で設定された、送信指定の対象であることを示す情報が関連づけて記憶された請求書データであるか否かを判定する。送信指定の対象である場合にはS322に進み、そうでない場合にはS323に進む。
【0049】
S322では、CPU101は、生成したN番目の請求書のPDFファイルを、指定送信先(請求書データに記憶された送信先情報が示す送信先)に送信する。具体的には、
N番目の請求書データが信用情報の付与対象ではない場合にはS316で生成されたN番目の請求書データの請求書のPDFファイルを送信する。また、N番目の請求書データが信用情報の付与対象である場合にはS320で生成されたN番目の請求書データの請求書のPDFファイルを送信する。このように、印刷するものに限らず(印刷するか否かにかかわらず)、送信する請求書のPDFについても、信用情報が付与されている場合にはアクセス情報430が付加されたPDFファイルが送信される。このようにすることで、A社としては、請求書の送付の方法(印刷物郵送か電子データでの送信か)に応じて生成するPDFファイルを変えなくてよいので、業務フローが効率的となる。また、請求先としては、電子データで受信した請求書を、その後印刷して扱う場合にも信用情報を確認できるようになるため、汎用性の高い運用が可能となる。
【0050】
S323では、CPU101は、サーバ装置170を参照し、N番目の請求書データに印刷指定がされいるか否かを判定する。具体的には、N番目の請求書データが、S307で設定された、印刷指定の対象であることを示す情報が関連づけて記憶された請求書データであるか否かを判定する。印刷指定の対象である場合にはS324に進み、そうでない場合にはS325に進む。
【0051】
S324では、CPU101は、生成したN番目の請求書のPDFファイルを、印刷するべく、印刷データを生成し、印刷装置180に送信して、印刷装置180から印刷させる。すなわち印刷制御を行う。N番目の請求書データが信用情報の付与対象ではない場合にはS316で生成されたN番目の請求書データの請求書のPDFファイルを印刷するように制御する。また、N番目の請求書データが信用情報の付与対象である場合にはS320で生成されたN番目の請求書データの請求書のPDFファイルを印刷するように制御する。この処理によって、信用情報の付与対象である請求書データの請求書のPDFファイルを印刷した場合の印刷物の例を
図4(b)に示す。詳細は後述する。
【0052】
S325では、CPU101は、変数NがNmax(S315でリストアップ(抽出)された出力対象の請求書テータの最後のデータを特定する番号)であるか否かを判定する。変数NがNmaxである場合にはS327に進み、そうでない場合には、S326で変数Nを1つインクリメントしてS316に進み、次の請求書データについて処理を行う。
【0053】
S327では、CPU101は、請求書出力処理を終了する終了イベントがあったか否かを判定する。請求書出力処理を終了させる操作や、電源オフなどの終了イベントが無かった場合にはS302に進んで処理を繰り返す。終了イベントがあった場合には
図3の請求書出力処理を終了する。
【0054】
図4(b)に、S319で生成された請求書のPDFファイルを用紙に印刷して出力した場合の印刷物の例として請求書190を示す。請求書190には、対応する請求書データに基づいた各種情報が印字されている。例えば、請求書番号、請求先の住所、名称、請求元の住所、名称、ロゴまたは印影421、連絡先(電話番号、メールアドレス)、請求金額、請求金額の内訳(各品目の品番、品名、単価、数量、金額)、小計、税額、合計金額、振込先情報、等が印字されている。振込先情報422(送金先情報)は、請求書で請求する金額を請求先に振り込んでもらうための銀行口座(銀行名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義人)の情報を含む。銀行口座への振り込みとは異なる送金方法での請求をする場合は、送金するために必要となる送金先を特定する情報となる。
【0055】
図4(b)の請求書190には、さらに、アクセス情報430が印字されている。すなわち、S319で付加したアクセス情報は、PDFファイルのメタデータとしてではなく、印刷されるデータとして本体部分に付加される。また、アクセス情報430は請求書(帳票)の一部として印刷されている。すなわち、ブラウザの機能によって単に印刷対象のファイルのURLを印刷対象の電子データの内容とは異なる情報として印刷したものではない。アクセス情報430には、URL431、QRコード432(QRコードは商標)、文字列433が含まれる。
【0056】
URL431は、請求書のPDFファイルのサーバ装置300における保存場所にアクセスするためWEBサイトのアドレスである。本実施形態では、URL431はWEBサイトのアドレス(リンク)であり、WEBサイトにアクセスした後に請求書番号を入力するものとする。しかしこれに限るものではなく、URL431を、サーバ装置300上の請求書のPDFファイルに直接アクセスするアドレス情報の記載としてもよい。
【0057】
QRコード432は、サーバ装置300上の請求書のPDFファイルに直接アクセスするアドレス情報をコード化した2次元コードである。本実施形態では、QRコード432は直接PDFファイルを開くことができるアドレス情報であり、対象の電子データのファイル種別がPDFであることを特定可能な情報であるものとする(すなわち、末尾の拡張子が「.pdf」である情報である)。スマートフォンなどでこのQRコードを読み込むことで、簡単にサーバ装置300上の請求書のPDFファイルを開くことができる。なおこれに限るものではなく、QRコード432は、前述のURL431のように請求書のPDFファイルのサーバ装置300における保存場所にアクセスするためWEBサイトのアドレスをコード化したものとしてもよい。また、QRコードに限るものではなく、バーコードやカメレオンコード(商標)などの他のコード情報(1次元コード、2次元コード)を用いてもよい。
【0058】
文字列433は、URL431やQRコード432を用いて信用情報(電子証明書)が付与された書類の電子データ(PDF)を閲覧可能である旨、及び、閲覧の仕方をガイドするガイダンスである。これによって、請求書の受取人は、URL431やQRコード432を用いて信用情報付きの電子データを閲覧して信用情報を確認可能であることがわかる。
【0059】
なお、本実施形態ではアクセス情報430にURL431、QRコード432、文字列433を含ませた例を説明したが、これに限るものでは無く、URL431とQRコード432はいずれかの情報だけとしてもよい。また、文字列433は無くても良い。
【0060】
なお、前述の
図3の処理では、信用情報の付与対象となった請求書にはS319で一律にアクセス情報を印刷可能に付加する例を説明したが、これに限るものではない。電子データのやり取りが可能な場合にはアクセス情報は不要と考えて、印刷する請求書にのみアクセス情報を付加するようにしてもよい。この場合、S317でYesと判定された後、S318の処理の後に、S319の処理をすることなく320に進み、アクセス情報が付加されていないPDFファイルに信用情報を付与する。こうすると、S322で送信される請求書の電子データはアクセス情報が付加されていないものとなる。このケースはS318の処理を省いてもよい(すなわち請求書の電子データをサーバ装置300に保存しなくともよい)。そして、印刷が指示された請求書の電子データについて、請求書の電子データをサーバ装置300に保存し、アクセス情報を印刷可能に付加して、改めて信用情報を付与する。それを印刷するようにしてもよい。すなわち、S324で印刷の指示がされえた請求書に対し、S317と同様に信用情報の付与対象かを判定し、信用情報の付与対象であった場合に、(未保存ならS318、)S319、S320と同様の処理を行ってから、印刷するようにしてもよい。
【0061】
図1(b)に本実施形態の更なる全体構成図を示す。先の説明の請求先B社には、A社以外に例えばC社、D社といった請求元からの請求書もA社からと同様の態様で送付されるものとする。C社からの請求書はサーバ装置300と同様の機能を有するサーバ装置310に、D社からの請求書は同じくサーバ装置320に保存される。請求先B社の端末200からは、サーバ装置300、310、320に対して、後述のアプリケーションソフトを用いてアクセスされる。そのソフトは、政府系機関500のサーバ装置に記憶され、請求先端末200からダウンロードできるようになっている。政府系機関のサーバからダウンロードさせるのは、このソフトが改ざんされ、不正に使用されるのを抑止するためである。
【0062】
図5に、請求先端末200における信用情報確認処理のフローチャートを示す。この処理は、電子データの請求書190を受け取ったB社側の担当者が、請求書190の原本性(原本との同一性、原本からの変更の有無、信用性、信頼性、信憑性)を確認するために実行させることを想定した処理である。この処理は、政府系機関500のサーバ装置からダウンロードされ、不揮発性メモリ203に記録された、信用情報確認のためのアプリケーションソフトウエア(以下「確認アプリ」という)のプログラムをメモリ202に展開してCPU101が実行することで実現する。
【0063】
S501では、CPU201は、電子メール等で受信し、メモリ202に記憶された請求書190のデータに基づき、請求書データをディスプレイ205に表示する(
図6)。
【0064】
図6において、401は選択指示のためのチェックボックスで、請求書毎に選択することを可能とする。402は受信した請求書190のユニークなIDを示す請求番号の表示、403は請求書190をB社が受領した受領日の表示である。404はその請求書に記載の請求金額の表示であり、請求金額は、受領した請求書(PDF)の所定の領域をAI等で認識して自動抽出することができる。405は請求元の表示であり、この例ではA社、C社、D社からの請求の場合を示す。請求元情報も、受領した請求書(PDF)の所定の領域をAI等で認識して自動抽出することができる。406は請求書190の信用情報であるeシールがPDFに付加されているかどうかの情報を示す表示である。eシールは、例えば、PDFのAATLを用いて、時刻やPDFの作成主体を証明する機能を有する。本実施の形態では、C社からの請求書にはeシールが付加されておらず、A社、D社からの請求書には付加されていることが一目瞭然に確認できる。
【0065】
407は過去の支払履歴であり、メモリ202に保存された過去に受領した請求書190の中に同一の請求元への支払があったかどうかを示す。支払履歴「有」の場合には、太字のリンクをクリックすることにより、
図10に示されるような、A社についての過去の支払履歴を表示する。この例では、A社からは、7月、8月に請求を受け、支払を行っている。また、8月の請求書については、信用情報の確認を行い、OKとの結果がでていることがわかる。
【0066】
408は信用情報の最新の確認日であり、後述の信用情報の確認が過去になされていれば、その最新の日付を表す。409は信用情報の最新の確認日から
図6が表示される現在までの経過日数を示す。この経過日数を請求元毎に表示することにより、例えばA社についての信用情報の確認からはまだ30日しかたっていないので、信用情報の信頼性が高いことをB社の担当者が認識することができる。また、C社については、経過日数が365日となっているので、過去に請求書を処理した際の信用情報確認の信頼性がA社の場合よりは高くないことを示す。したがって、この経過日数409と過去の支払履歴407を参照することにより、支払履歴があり経過日数が少ないものは信用情報確認の必要性が少ないと判断し、信用情報確認の選択401から外すことができる。
【0067】
410は信用情報の確認を指示する信用確認ボタンであり、チェックボックス401でチェックした請求書について、信用情報の確認処理が行われる。411は信用情報の一括確認ボタンであり、このボタンを押すことで、チェックボックス401は自動的に全て選択され、表示された全ての請求書についての信用情報確認が行われる。本実施形態では、
図7に示されるように、A社、C社は過去の支払履歴があるので、請求番号65432のみ信用確認を行うことにする。412、413、414はそれぞれ、請求番号12345、請求番号54321、請求番号65432の請求書のPDFのアイコンである。このアイコンをクリックすることにより、受領したPDFを視認可能に表示させることができる。このPDFの表示例は後述の
図11を用いて説明する。
【0068】
S502では、信用確認ボタン410若しくは一括確認ボタン411が押され、信用確認が指示されたかどうかを判断し、指示されていない場合には、ステップS511でのその他の処理のために表示を継続する。指示された場合には、S503で選択された請求書の信用確認を順次行う。
【0069】
請求書190はPDFの形式で作成されており、信用情報であるeシールが付加されている。eシールには例えばPDFのAATLを用いて、(1)請求書が発行された時刻情報、(2)請求書の発行主体(請求元)の情報を含ませることができる。また、eシールには、対象PDFを保管する、インターネット上のサーバ装置300、310、320へアクセスするためのURLの情報を含む。例えば、請求番号12345の信用情報を確認するためには、eシールを用いて、その請求書が記憶されているサーバ装置300にアクセスし、その請求書のeシールの情報と比較することにより、その請求書の信頼性を判断することができる。eシールの情報が一致する場合には、信頼性有(OK)、一部でも不一致の場合には信頼性無(NG)とする。
【0070】
S504では、S503の確認が選択された全ての請求書について完了したかどうかを判断し、完了するまで、S503の処理を繰り返す。完了すると確認結果表示S505へ進む。
【0071】
S505では、
図8に示されるように確認結果430の欄に確認結果がOKである旨表示される。
【0072】
図8の431は支払指示ボタンであり、チェックボックス401で選択された請求書について支払を指示する機能を有する。また、432は表示された全ての請求書について、一括支払指示を行うボタンであり、このボタンを押すことで、請求書が全て選択され、支払が指示される。また、433はNG返信ボタンであり、チェックボックス401で選択された請求書について、支払できない旨を請求元に連絡するNG送信を指示する。434は一括返信ボタンであり、表示された全ての請求書について、支払できない旨を請求元にNG送信を指示する。
【0073】
S506では支払指示があったかどうかを判断し、指示があった場合には、S507で銀行に対する支払手続を行う。S508ではNG通知の指示があったかどうかを判断し、指示があった場合には、S509で請求元に対するNG通知を行う。
【0074】
S510では、以上の処理結果について
図9に示される表示を行う。
【0075】
以上の処理が終わった時点でS511で待機状態となり、一定時間何等かの指示がなければ、プログラム終了とする。
【0076】
S512では、CPU201は、PDFビューワーの機能を用いて、読み込んだPDFファイルに信用情報が付与されているか否かを判定する。信用情報が付与されていると判定した場合にはS515に進み、そうでない場合にはS513に進む。
【0077】
なお、
図7乃至
図10において、
図6と同じ項目、ボタンについては説明を省略したが、同じ役割・機能を有するものとする。
【0078】
図11(a)は、ディスプレイ205における、有効な信用情報を持つPDFファイルの表示例である。PDFビューワーの表示ウインドウ601のプレビュー領域に、読み込んだPDFファイルの本体部602が表示される。本体部602は請求書の画像であり、印刷された場合に印刷物に印刷される部分である(印刷可能な領域である)。
【0079】
信用情報の表示領域604は、PDFファイルのメタデータ(属性情報)としての信用情報が付与されているか否か、有効であるか否かを示す表示アイテムである信用情報アイテムを表示する領域である。この情報はPDFファイルのうち印刷対象の本体部とは異なるメタデータに関する表示であるため、本体部602を表示するためのプレビュー領域とはことなる領域に表示する。
図11(a)の例では、「信用情報付与済みであり、すべての信用情報が有効です」と表示されている。すなわち、信用情報が付与されていること、及び、有効であることを示している。本実施形態では文字列で信用情報の付与状態と有効性を表示したが、これに限るものではなく、アイコンやマークなどで表示するようにしてもよい。
【0080】
ボタン605は、付与されている信用情報についての詳細情報を表示するための信用情報パネルを表示する指示を受け付けるための操作ボタンである。ボタン605に対する操作があったことで、信用情報の確認指示を受け付ける。
【0081】
広告欄606には、広告を表示する。このように広告欄606を設けて広告を表示することにより、広告主からの収入を得ることができる。本実施形態では請求書190の電子データ(PDFファイル)をサーバ装置300に保存する運用であるため、サーバ装置300の保守・運用に関する経費が発生する。広告欄606を表示して広告主からの収入を得ることで、請求先に費用負担をかけずに、サーバ装置に関する経費などを削減した運用が可能となる。
【0082】
また、信用情報は付与されているが無効であることを示す信用情報アイテム(項目)を、信用情報の表示領域604に表示する。その他の部分は
図11(a)で説明した表示例と同様である。
【0083】
図11(b)は、ディスプレイ205における、有効な信用情報を持つPDFファイルと、信用情報の詳細情報の表示例である。この例は、
図11(a)におけるボタン605が押下されると表示される画面である。ボタン605は、
図11(a)と異なる表示形態であり、ボタンダウン状態を示す表示状態となっている。これによって、信用情報パネル610が表示された状態であることがわかる。
【0084】
信用情報パネル610にはPDFファイルに付与された信用情報の詳細情報が表示される。信用情報の詳細情報には、信用情報を付与した者(付与者、付与の依頼主)、あるは表示しているPDFを作成した作成者の情報を含む。本実施形態では、「A社により信用情報付与済み」との表示、及び「信頼ソース取得元」に関する情報の表示、「新世情報の付与者のIDは有効です」との表示、「付与者」に関する表示がされている。これによって、この請求書の発行元が確かにA社であるこということが確認できる。
【0085】
また、表示される信用情報の詳細情報には、信用情報が有効であるか否かの情報を含む。本実施形態では、「信用情報は有効です」との表示、最終チェック日時の表示、有効期限の表示、付与者に関する表示、「発行者」(信用情報付与機関400の運営者、信用情報の発行者)に関する表示がされている。これらにより、信用情報が有効であること、信用できる機関により発行された信用情報であることを確認することができる。また、信用情報が無効である場合にも、その理由(単に有効期限を過ぎたからなのか、チェックができなかったからなのか)を確認することもできる。
【0086】
また、表示される信用情報の詳細情報には、表示しているPDFファイルに変更があったか否かを示す情報を含む。本実施形態では、「文書は、この信用情報が適用されてから変更されていません」との表示がされており、信用情報の付与後には表示されているPDFファイルの内容に変更や改竄がないことを確認することができる。
【0087】
また、表示される信用情報の詳細情報には、関連帳票へリンク(アクセスするための表示アイテム)を含む。表示された請求書には、その請求の元となった検収書、注文請書、注文書、見積書などの前工程で発行された帳票が存在し、サーバ装置300などの保存領域に保存されている。これらの帳票にアクセスするためのリンク先情報(アドレス情報)がPDFファイルのメタデータに付与されていた場合には、このリンク先にアクセスするための表示アイテムを表示するとよい。「検収書」、「注文請書」、「注文書」、「見積書」と表示された部分にはリンク情報が対応付けられており、これらの部分がクリックまたはタッチされると、対応するリンク情報が示すリンク先にアクセスする。これによってユーザー(例えばB社の担当者)は、表示された請求書の内容が前工程で発行された帳票と整合するか否かなどを簡単に確認することができる。
【0088】
なお、上述した信用情報の詳細情報は例であって、これらに限るものではない。例示した情報の少なくとも一部が無くてもよいし、例示していない情報を含んでいてもよい。
【0089】
以上のように本実施形態によれば、
図6に示される、受領した請求書「65432」(請求番号402)の第一の請求元に関する情報「D社」(請求元405)と、該第一の請求元の信用に関する情報「有」(eシール406)とを処理する第一の処理手段(
図2(b)CPU201)と、受領した請求書「12345」(請求番号402)の第二の請求元に関する情報「A社」(請求元405)と、該第二の請求元の信用に関する情報「有」(eシール406)とを処理する第二の処理手段(
図2(b)CPU201)と、前記第一、第二の処理手段の出力を同一の画面に同時に表示する制御を行う表示制御手段(
図2(b)CPU201)とを有することにより、大量の請求書があってもその信頼性を効率よく確認することができる。本実施の形態では、信用情報としてeシールを用いたが、これに限らず、例えば、公的機関が発行する請求元組織・人に関する信用情報を示すIDであってもよい。また、請求元は自然人・法人のいずれであってもよい。また、第一、第二の処理手段をCPUのソフトウェアで実現したが、専用のハードウェアで実現してもよい。
【0090】
また、本実施の形態によれば、上記第一の請求元の信用に関する情報を更新する第三の処理手段(
図5のステップS503)を有することにより、請求先が有する請求元の信用情報(
図8の信用情報440「OK」)を必要に応じて簡易に更新ことができる。
【0091】
また、本実施の形態によれば、上記第一、第二の請求元の過去の支払履歴「有」(
図6の支払履歴407)を同一の画面に同時に表示させることにより、請求元毎の支払状況から請求元の信頼性と、信用情報の更新の必要性を効率良く確認することができる。
【0092】
また、本実施の形態によれば、支払履歴の有無の表示(
図6の407)からのリンクで上記第二の請求元の過去の支払履歴を同一の画面に同時に表示させることにより(
図10)、請求元毎の過去の支払状況から請求元の信用性を効率良く確認することができる。
【0093】
また、本実施の形態によれば、上記第二の請求元の信用情報の最終確認からの経過時間「30日」(
図6の経過日数409)を同一の画面に同時に表示させることにより、前回確認からの長さを用いて、信用情報の更新の必要性を認識しやすくなる。「経過時間」は日数に限らず、年数や月数など他の単位での表示としても良い。
【0094】
また、本実施の形態によれば、上記第一、第二の請求元からの請求書のアイコンを同一の画面に同時に表示させることにより、請求書の全体を確認したい場合に、そのアクセスが良好となり、作業効率が向上する。
【0095】
また、本実施の形態によれば、上記第一、第二の請求元から請求書の少なくとも一つについての信用情報の確認を指示するための指示手段(
図6のチェックボックス401と信用確認ボタン410)を同一の画面に同時に表示させることにより、信用確認処理の効率化を図ることができる。更に、表示された請求書の全ての確認を指示するための一括確認ボタン411を有することにより、個別確認と一括確認を選択的に用いて、更なる生産性向上を図ることができる。
【0096】
また、本実施の形態によれば、上記第一、第二の請求元から請求書の少なくとも一つについて支払を指示するための指示手段(
図8の支払指示ボタン431)を同一の画面に同時に表示させることにより、信用情報の確認後の支払処理を効率よく指示することができる。更に、表示された請求書の全ての支払を指示するための一括指示ボタン432を有することにより、個別支払指示と一括支払指示を選択的に用いて、更なる生産性向上を図ることができる。
【0097】
また、本実施の形態によれば、上記第一、第二の請求元から請求書の少なくとも一つについて支払うことができない旨の返信を指示するための指示手段(
図8のNG返信ボタン433)を同一の画面に同時に表示させることにより、支払できない場合の請求元への連絡を効率良く指示することができる。更に、表示された請求書の全てについて支払ができない旨の連絡を行う一括返信ボタン434を有することにより、個別NG連絡指示と一括NG連絡指示を選択的に用いて、更なる生産性向上を図ることができる。
【0098】
また、本実施の形態によれば、請求書をPDFで構成することにより、PDFの機能を用いて、時刻情報や請求元の信用に関する情報を含ませることができ、請求書の信頼性を高めることができる。
【0099】
また、本実施の形態によれば、アプリケーションソフトウエアのプログラムとして、コンピュータに機能を提供できるので、既存のネットワークとコンピュータという資源を効率よく活用して、本発明の機能を実現することができる。
【0100】
また、本実施の形態によれば、上記プログラムを、国税庁や経済産業省、内閣府などの公的機関のインターネットサイトからダウンロードされるようにすることにより、不正プログラムによる本発明の機能の不正利用を抑制することができる。
【0101】
また、本実施の形態によれば、上記プログラムが、インストール先のコンピュータを複数の信用情報確認機関のサーバ装置にアクセス可能とすることにより、信用情報確認機関が複数あった場合であっても、別々のアプリケーションを立ち上げることなく、効率よく信用確認を行うことができる。
【0102】
また、本実施の形態によれば、上記プログラムが上記複数の信用情報確認機関へのアクセス情報を含まず、請求書に添付されたeシールの情報からアクセス情報を抽出して確認処理を行うことで、アクセス情報を不正に書き換えるなどの不正の余地をなくすことができ、信頼性の高いアプリケーションソフトウエアを提供することができる。
【0103】
以上説明した例では、請求先には電子データでPDFが送付されるものとしたが、請求先が電子データを受領できない環境の場合には、
図3で説明したように、PDFから印刷された書類についても信用情報を確認することができる。より詳しくは、受領した印刷された請求書に記載されたアクセス情報を用いて、サーバ装置300、310、320に記憶された請求書の電子データ(PDFファイル)にアクセスし、そのPDFをダウンロードすることで、その請求書の信用情報を確認できるとともに、請求先端末200において、請求書データ一覧を作成することができる。以上のようにして、ユーザー(例えばB社の担当者)は簡単に信用情報を確認することができとともに、請求書データ一覧を用いた確認を行うとができる。特に、QRコードを用いた場合にはURLやパスの入力の手間も省けるため少ない操作手数で確認することができる。仮に請求書の電子データを閲覧するソフトウェア(上述の例ではPDFビューワー)がインストールされていなくとも、自動的にダウンロードサイトにアクセスするため、わかりやすく確実に電子データを確認でき、操作手数も削減できる。
【0104】
なお、CPU101またはCPU201が行うものとして説明した上述の各種制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェア(例えば、複数のプロセッサーや回路)が処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0105】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能であ
【0106】
(他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。