(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/58 20060101AFI20240221BHJP
B68G 7/05 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
B60N2/58
B68G7/05 C
(21)【出願番号】P 2020029787
(22)【出願日】2020-02-25
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000109738
【氏名又は名称】デルタ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】野口 知葉
(72)【発明者】
【氏名】大谷 義信
【審査官】五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-252780(JP,A)
【文献】特開2002-274238(JP,A)
【文献】特開2019-131057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/58
B68G 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッドと、
前記パッドの表面を覆う皮革製の表皮と、
前記表皮における前記パッドに対向する面に固着された基布と、
を備え、
前記基布は、所定方向に沿って延びる複数の第1線状部と、前記所定方向と交差する方向に沿って延びる複数の第2線状部とから構成され、
前記基布の面が前記第1線状部および前記第2線状部によって形成される多角形の空間部によって面内充填されるように、前記第1線状部および前記第2線状部が
それぞれジグザグに曲がった状態
となって連結されている、
シート。
【請求項2】
前記多角形の空間部は、前記第1線状部における2つ以上の角を含む部分と前記第2線状部における2つ以上の角を含む部分とによって形成され
た5角形以上の多角形の空間部を含む、
請求項1に記載のシート。
【請求項3】
前記多角形の空間部は、6角形の空間である、
請求項1または2に記載のシート。
【請求項4】
前記多角形の空間部は、6つの辺を有し、前記基布が引っ張られたときに6角形に変形可能な空間である、
請求項1または2に記載のシート。
【請求項5】
前記多角形の空間部は、8角形の空間および4角形の空間を組み合わせた空間である、
請求項1または2に記載のシート。
【請求項6】
前記第1線状部同士または前記第2線状部同士は、互いにねじった状態で結合される、
請求項1~5のいずれか1項に記載のシート。
【請求項7】
前記基布は、前記第1線状部同士または前記第2線状部同士を間隔をあけて結合する結合部材をさらに有している、
請求項1~5のいずれか1項に記載のシート。
【請求項8】
前記第1線状部の延びる方向と前記第2線状部の延びる方向とは直交している、
請求項1~7のいずれか1項に記載のシート。
【請求項9】
前記第1線状部および前記第2線状部は、それぞれ糸から構成され、
前記基布は、複数の前記第1線状部および複数の前記第2線状部を含む織物であり、
前記基布の面が前記第1線状部および前記第2線状部によって形成される多角形の空間部によって面内充填されるように、前記第1線状部および前記第2線状部がジグザグに曲がった状態で織られている、
請求項1~8のいずれか1項に記載のシート。
【請求項10】
前記基布は、複数の前記第1線状部および複数の前記第2線状部を含むように少なくとも1本の糸によって編まれた編物であり、
前記基布の面が前記第1線状部および前記第2線状部によって形成される多角形の空間部によって面内充填されるように、前記第1線状部および前記第2線状部がジグザグに曲がった状態で連結されている前記編物が形成されている、
請求項1~5または請求項8のいずれか1項に記載のシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮革製の表皮を備えたシートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、乗物用シートのパッド表面を覆う表皮として、天然皮革などの皮革製の表皮が使用されたシートが増えてきている。
【0003】
皮革製の表皮は、合成樹脂製の表皮などと比較して伸縮しにくいので、立体形状のパッドの表面に張られる際に、皺やたるみが生じやすい。
【0004】
そこで、特許文献1記載のように皮革製の表皮の裏面に基布を貼り付けて、表皮の皺やたるみの低減が図られている。特許文献1に記載された基布は、合成樹脂などからなる直線的に延びる縦糸および横糸を互いに直交させて格子状に織られた織物であり、多数の矩形形状の空間部が形成されている。
【0005】
皮革製の表皮の裏面に基布が貼り付けられている場合には、基布の縦糸および横糸の張力によって表皮が所定の曲面形状に保持されるため、基布が貼り付けられていない場合と比較して、表皮の皺やたるみが低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の基布は、直線的に延びる縦糸および横糸を直交させて格子状に織られた形態であるので、縦糸または横糸に沿った方向に伸びにくい。そのため、基布が貼り付けられた皮革製の表皮の柔軟性(とくに、表皮の面外方向への柔軟性)が損なわれやすく、表皮の皺やたるみの低減と柔軟性確保との両立が難しいという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、皮革製の表皮の柔軟性を維持したまま皺やたるみを低減することが可能なシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明のシートは、パッドと、前記パッドの表面を覆う皮革製の表皮と、前記表皮における前記パッドに対向する面に固着された基布と、を備え、前記基布は、所定方向に沿って延びる複数の第1線状部と、前記所定方向と交差する方向に沿って延びる複数の第2線状部とから構成され、前記基布の面が前記第1線状部および前記第2線状部によって形成される多角形の空間部によって面内充填されるように、前記第1線状部および前記第2線状部がそれぞれジグザグに曲がった状態となって連結されていることを特徴とする。
【0010】
かかる構成では、皮革製の表皮に固着される基布は、多角形の空間部が形成された構造である。そのため、基布がいずれの方向に引っ張られた場合でも、多角形の空間部を形成するジグザグに曲がっている第1線状部および第2線状部の一方が伸びながら第1線状部および第2線状部の他方が縮められる。または、多角形の空間部を形成するジグザグに曲がっている第1線状部および第2線状部の両方の一部が伸びながら第1線状部および第2線状部の両方の他の部分が縮められる。これにより、基布が固着されている皮革製の表皮の柔軟性(とくに、表皮の面外方向への柔軟性)を維持したまま、表皮の皺やたるみを低減することが可能である。
【0011】
上記のシートにおいて、前記多角形の空間部は、前記第1線状部における2つ以上の角を含む部分と前記第2線状部における2つ以上の角を含む部分とによって形成された5角形以上の多角形の空間部を含むのが好ましい。
【0012】
かかる構成によれば、ジグザグに曲がっている第1線状部および第2線状部の2つ以上の角を含む部分を組み合わせることにより、6角形や8角形などの種々の形状の多角形の空間部を形成することが可能であり、皮革製の表皮の柔軟性の維持および皺やたるみの低減の効果により適した基布を製造することが可能である。
【0013】
上記のシートにおいて、前記多角形の空間部は、6角形の空間であるのが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、基布が3つの方向、すなわち、第1線状部が延びる方向、第2線状部が延びる方向、および前記第1線状部および第2線状部の両方に交差する方向のいずれの方向に引っ張られても、6角形の空間部を形成するジグザグに曲がっている第1線状部および第2線状部の一方または両方の一部が伸びながら第1線状部および第2線状部の他方または両方の他の部分が良好に縮められる。これにより、基布が固着されている皮革製の表皮の柔軟性を維持したまま皺やたるみを確実に低減することが可能である。
【0015】
上記のシートにおいて、前記多角形の空間部は、6つの辺を有し、前記基布が引っ張られたときに6角形に変形可能な空間であるのが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、基布が3つの方向、すなわち、第1線状部が延びる方向、第2線状部が延びる方向、および前記第1線状部および第2線状部の両方に交差する方向のいずれの方向に引っ張られても、6つの辺を有する空間部が6角形に変形しながらジグザグに曲がっている第1線状部および第2線状部の一方または両方の一部が伸びながら第1線状部および第2線状部の他方または両方の他の部分が良好に縮められる。これにより、基布が固着されている皮革製の表皮の柔軟性を維持したまま皺やたるみを確実に低減することが可能である。
【0017】
上記のシートにおいて、前記多角形の空間部は、8角形の空間および4角形の空間を組み合わせた空間であるのが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、基布が3つの方向、すなわち、第1線状部が延びる方向、第2線状部が延びる方向、および前記第1線状部および第2線状部の両方に交差する方向のいずれの方向に引っ張られても、8角形の空間および4角形の空間を組み合わせた空間部を形成するジグザグに曲がっている第1線状部および第2線状部の一方または両方の一部が伸びながら第1線状部および第2線状部の他方または両方の他の部分が良好に縮められる。これにより、基布が固着されている皮革製の表皮の柔軟性を維持したまま皺やたるみを確実に低減することが可能である。
【0019】
上記のシートにおいて、前記第1線状部同士または前記第2線状部同士は、互いにねじった状態で結合されるのが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、前記第1線状部同士または前記第2線状部同士を互いに強固に結合することが可能であり、しかも、部品点数の増加を抑えることが可能である。
【0021】
上記のシートにおいて、前記基布は、前記第1線状部同士または前記第2線状部同士を間隔をあけて結合する結合部材をさらに有しているのが好ましい。
【0022】
かかる構成によれば、第1線状部同士または第2線状部同士は、隣接する2つの第1線状部または第2線状部が結合部材を介して間隔をあけて結合されているので、第1線状部同士または第2線状部同士を任意の間隔で結合することが可能である。その結果、基布における多角形の空間部の形状および配置を任意に変更することが可能になり、基布の設計自由度が拡大する。
【0023】
上記のシートにおいて、前記第1線状部の延びる方向と前記第2線状部の延びる方向とは直交しているのが好ましい。
【0024】
かかる構成では、基布がいずれの方向に引っ張られた場合でも、多角形の空間部を形成するジグザグに曲がっている第1線状部および第2線状部が互いに直交しているので、第1線状部および第2線状部の一方または両方の一部の伸びに応じて、第1線状部および第2線状部の他方または両方の他の部分が確実に縮められる。これにより、基布が固着されている皮革製の表皮の柔軟性を維持したまま皺やたるみを確実に低減することが可能である。
【0025】
上記のシートにおいて、前記第1線状部および前記第2線状部は、それぞれ糸から構成され、前記基布は、複数の前記第1線状部および複数の前記第2線状部を含む織物であり、前記基布の面が前記第1線状部および前記第2線状部によって形成される多角形の空間部によって面内充填されるように、前記第1線状部および前記第2線状部がジグザグに曲がった状態で織られているのが好ましい。
【0026】
かかる構成では、皮革製の表皮に固着される基布は、糸から構成された第1線状部および第2線状部がジグザグに曲がった状態で織られることにより多角形の空間部が織り込まれた織物である。そのため、基布がいずれの方向に引っ張られた場合でも、多角形の空間部を形成するジグザグに曲がっている糸から構成された第1線状部および第2線状部の一方が伸びながら第1線状部および第2線状部の他方が縮められる。または、多角形の空間部を形成するジグザグに曲がっている第1線状部および第2線状部の両方の一部が伸びながら第1線状部および第2線状部の両方の他の部分が縮められる。これにより、基布が固着されている皮革製の表皮の柔軟性(とくに、表皮の面外方向への柔軟性)を維持したまま、表皮の皺やたるみを低減することが可能である。
【0027】
上記のシートにおいて、前記基布は、複数の前記第1線状部および複数の前記第2線状部を含むように少なくとも1本の糸によって編まれた編物であり、前記基布の面が前記第1線状部および前記第2線状部によって形成される多角形の空間部によって面内充填されるように、前記第1線状部および前記第2線状部がジグザグに曲がった状態で連結されている前記編物が形成されているのが好ましい。
【0028】
かかる構成では、皮革製の表皮に固着される基布は、第1線状部および第2線状部がジグザグに曲がった状態で連結されている多角形の空間部が編み込まれた編物である。そのため、基布がいずれの方向に引っ張られた場合でも、多角形の空間部を形成するジグザグに曲がっている編物を構成する第1線状部および第2線状部の一方が伸びながら第1線状部および第2線状部の他方が縮められる。または、多角形の空間部を形成するジグザグに曲がっている第1線状部および第2線状部の両方の一部が伸びながら第1線状部および第2線状部の両方の他の部分が縮められる。これにより、基布が固着されている皮革製の表皮の柔軟性(とくに、表皮の面外方向への柔軟性)を維持したまま、表皮の皺やたるみを低減することが可能である。
【発明の効果】
【0029】
本発明のシートによれば、皮革製の表皮の柔軟性を維持したまま皺やたるみを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態に係るシートの全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1のシートにおける立体形状のパッドの表面を覆う皮革製の表皮および基布を示す一部切欠分解斜視図である。
【
図4】(a)は
図3の基布の6角形の空間部を有する構造の拡大図、(b)は(a)のA部分における拡大図であって2本の第2糸がねじった状態で結合された構造を示す図、(c)は(a)のA部分に対応する他の構造であって、2本の第1糸がリング状の結合部材を介して結合された構造を示す図である。
【
図5】(a)および(b)は、
図3の第1糸および第2糸のそれぞれを引っ張った場合の6角形の空間部が変形する状態をそれぞれ示す説明図である。
【
図6】
図2における基布が貼り付けられた皮革製の表皮が立体形状のパッドに模した試験体を覆った状態において、表皮に皺やたるみが形成されていないことを示す図である。
【
図7】多角形の空間部を横方向に引っ張ったときの引張率RSと圧縮率RPとの関係を示すグラフであって、Iは比較例としての横向きの正方形の空間部、IIは本発明に含まれる斜め向きの正方形の空間部、IIIは本実施形態に係る正六角形の空間部の場合を示すグラフである。
【
図8】(a)は本発明の変形例に係るジグザグに曲がる第1糸および第2糸によって向きの異なる矩形の空間部が平面充填された基布の構造を示す平面説明図、(b)は(a)の矩形の空間部が6つの辺を有することを示す拡大図、(c)は基布が方向D1に引っ張られたときに矩形の空間部が6角形に変形することを示す説明図である。
【
図9】本発明の他の変形例に係るジグザグに曲がる第1糸および第2糸によって8角形の空間および4角形の空間を組み合わせた多角形の空間部が平面充填された基布の構造を示す平面説明図である。
【
図10】本発明のさらに他の変形例に係るジグザグに曲がる第1糸および第2糸によって5角形の空間部が4個組み合わされることにより6角形の集合空間部が形成され、その集合空間部が平面充填された基布の構造を示す平面説明図である。
【
図11】本発明のさらに変形例に係るジグザグに曲がる第1糸および第2糸によって多数の矩形の空間部が互いに方向D1およびD2にずれた形で平面充填された基布の構造を示す平面説明図である。
【
図12】本発明のさらに変形例に係るジグザグに曲がる第1線状部および第2線状部がジグザグに曲がった状態になるように編まれた編物から構成された基布の構造を示す平面説明図である。
【
図13】
図5に対する比較例として、直線状の第1糸および第2糸が直交して織られた格子状の基布の構造を示す平面図である。
【
図14】
図6に対する比較例として、 基布が貼り付けられていない状態の皮革製の表皮が立体形状のパッドに模した試験体を覆った状態において、表皮に皺やたるみが形成されていることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照しながら本発明のシートの実施形態について詳述する。
【0032】
本発明のシートの一実施形態である自動車用シート1は、
図1に示されるように、着座者の臀部を支持するシートクッション2と、シートクッション2の後方側において起立した状態で設けられ、着座者の背中を支持するシートバック3と、シートバック3の上部に設けられ、着座者の頭部を支持するヘッドレスト4とを備えている。
【0033】
シートクッション2およびシートバック3は、
図2に示されるように、基材であるパッド5と、パッド5の表面を覆う皮革製の表皮6と、表皮6におけるパッド5に対向する面に固着された基布7とを備えている。パッド5は、シートクッション2およびシートバック3の部位に応じて立体的な形状をしており、その結果、パッド5の表面は、複雑な3次元的な曲面によって構成されている。
【0034】
皮革製の表皮6は、主として天然皮革によって構成され、牛などの動物の表皮6を平面的に加工したものが用いられる。なお、表皮6は、人工皮革であってもよい。
【0035】
基布7は、
図2に示されるように、表皮6におけるパッド5に対向する面に接着などによって固着されている。
【0036】
図3に示されるように、基布7は、所定方向D1に沿って延びる複数の第1線状部としての第1糸8と、所定方向D1と交差する方向D2に沿って延びる複数の第2線状部としての第2糸9とから構成された織物である。第1糸8および第2糸9は、例えば、合成繊維や天然繊維などのある程度の引張強度を有する材料からなり、具体的には、ポリエステルやポリアミドなどの合成樹脂からなる繊維などで製造され得る。
【0037】
基布7には、多角形の空間部の一例として6角形の空間部10が織り込まれている。具体的には、基布7の面が第1糸8および第2糸9によって形成される6角形の空間部10によって面内充填されるように、第1糸8および第2糸9がジグザグに曲がった状態で織られることによって連結されている。これにより、6角形の空間部10が基布7に織り込まれる。
【0038】
上記の多角形の空間部10は、ジグザグに曲がった第1糸8および第2糸9によって形成されるものであり、具体的には、第1糸8における2つ以上の角を含む部分と第2糸9における2つ以上の角を含む部分とによって形成される。このような多角形の空間部10は、5角形以上の多角形の空間部であって、基布7の面が面内充填可能な形状であればよく、
図3に示されるように6角形の空間部10に限定されない。多角形の空間部の種々の変形例については、後段でまとめて詳述する。
【0039】
図3に示される基布7では、複数の第1糸8は、所定方向D1(例えば、横方向)に延びながら、方向D1に直交する方向D2(例えば、縦方向)にジグザグに曲がっている。一方、複数の第2糸9は、方向D2に延びながら、方向D1にジグザグに曲がっている。
【0040】
上記のような多角形(6角形)の空間部10が平面充填された基布7は、例えば、
図4(b)に示されるように、第2糸9同士(または第1糸8同士)が互いにねじった状態で結合されることによって形成される。
図4(b)では、隣接する第2糸9a、9b同士をねじり合わされたねじり部11が形成され、ねじり部11の両端が第2糸9a、9b同士を結んだ結び目12によって拘束されている。
【0041】
または、基布7は、
図4(c)に示されるように、第1糸8同士(または第2糸9同士)が間隔をあけて結合部材13を介して結合されることによって形成されてもよい。結合部材13は、たとえば、糸で作られた輪などからなり、この輪に隣接する第1糸8a、8bを通すことによって、第1糸8a、8b同士が間隔をあけて結合されている。
【0042】
(本実施形態の特徴)
(1)
上記のように、本実施形態のシート1は、
図2~3に示されるように、パッド5と、パッド5の表面を覆う皮革製の表皮6と、表皮6におけるパッド5に対向する面に固着された基布7とを備えている。基布7は、所定方向D1に沿って延びる複数の第1線状部としての第1糸8と、所定方向D1と交差する方向D2に沿って延びる複数の第2線状部としての第2糸9とから構成された織物である。基布7の面が第1糸8および第2糸9によって形成される多角形(上記実施形態では、6角形)の空間部10によって面内充填されるように、第1糸8および第2糸9が
それぞれジグザグに曲がった状態
となって織られることによって連結されている。
【0043】
この構成では、皮革製の表皮6に固着される基布7は、多角形の空間部10が形成された構造である。そのため、基布7がいずれの方向(例えば、
図5(a)、(b)に示される方向D1またはD2)に引っ張られた場合でも、多角形の空間部10を形成するジグザグに曲がっている第1糸8および第2糸9の一方または両方の一部が伸びながら第1糸8および第2糸9の他方または両方の他の部分が縮められる。
【0044】
具体的には、
図5(a)に示されるように、第1糸8が延びる方向D1に基布7を両側から引っ張った場合には、ジグザグに曲がる第1糸8は方向D1に伸ばされるとともに直線状に近づくように変形することにより、空間部10は方向D1に直交する方向D2に縮められる。これにより、
図3に示される第1糸8に直交する第2糸9は、方向D2に縮められることになる。一方、
図5(b)に示されるように、第2糸9が延びる方向D2に基布7を両側から引っ張った場合には、ジグザグに曲がる第2糸9は方向D2に伸ばされるとともに直線状に近づくように変形することにより、空間部10は方向D2に直交する方向D1に縮められる。これにより、
図3に示される第2糸9に直交する第1糸8は、方向D1に縮められることになる。
【0045】
また、
図3に示される基布7を上記の方向D1およびD2のいずれにも交差する方向(例えば、右斜め方向)に引っ張った場合には、ジグザグに曲がっている第1糸8および第2糸9の両方の一部(例えば、右斜め方向に広がる領域の部分)が伸びながら第1糸8および第2糸9の両方の他の部分(左斜め方向に広がる領域の部分)が縮められる。
【0046】
上記のような基布7の構造により、基布7が固着されている皮革製の表皮6の柔軟性(とくに、表皮6の面外方向(パッド5に近づくまたは遠ざかる方向)への柔軟性)や可撓性などの特性を維持したまま、表皮6の皺やたるみを低減することが可能である。
【0047】
(2)
別の言い方をすれば、本実施形態のシート1では、
図3に示される本実施形態の基布7のように、ジグザグに曲がっている第1糸8および第2糸9によって形成された多角形(6角形)の空間部10が平面充填された構造であるので、第1糸8および第2糸9の引っ張りおよび圧縮が同時に発生して基布7の内部では引っ張り力と圧縮力が混在した状態になる。これにより、本実施形態のシート1では、皮革製の表皮6の柔軟性を維持したまま、表皮6の皺やたるみを低減することが可能である。
【0048】
一方、
図13に示される比較例のように、従来の基布70の構造、すなわち、直線状の第1糸71および第2糸72が直交して織られた格子状の基布70の構造では、基布70を方向D1、D2のいずれに引っ張った場合でも、第1糸71および第2糸72のいずれかの単独の引っ張りが発生するにすぎず、基布70の内部では引っ張り力と圧縮力が混在した状態にはならない。したがって、
図13に示される比較例では、皮革製の表皮の柔軟性を維持したまま、表皮の皺やたるみを低減することは不可能である。
【0049】
(3)
また、
図6に示される本実施形態のシート1を模したモデル、すなわち、
図2における基布7が貼り付けられた皮革製の表皮6が立体形状のパッド5に模した試験体Tを覆ったモデルを見た場合、表皮6は試験体Tの半楕円回転体の曲面の型に沿って滑らかに張られており、表皮6に皺やたるみが形成されていないことがわかる。一方、
図14に示される比較例のシートを模したモデルとして、基布7が貼り付けられていない状態の皮革製の表皮6が立体形状のパッド5に模した試験体Tを覆ったモデルでは、表皮6の外周縁において皺やたるみなどの欠陥部分Fが形成されていることが目視確認される。
【0050】
(4)
本実施形態のシート1では、多角形の空間部10は、第1糸8における2つ以上の角を含む部分と第2糸9における2つ以上の角を含む部分とによって形成された5角形以上の多角形の空間部を含む。この構成によれば、ジグザグに曲がっている第1糸8および第2糸9の2つ以上の角を含む部分を組み合わせることにより、6角形や8角形などの種々の形状の多角形の空間部10を形成することが可能であり、皮革製の表皮6の柔軟性の維持および皺やたるみの低減の効果により適した基布7を製造することが可能である。
【0051】
(5)
本実施形態のシートでは、多角形の空間部10は、
図3に示されるように、6角形の空間である。この構成によれば、基布7が3つの方向、すなわち、第1糸8が延びる方向D1、第2糸9が延びる方向D2、および第1糸8および第2糸9の両方に交差する方向のいずれの方向に引っ張られても、6角形の空間部10を形成するジグザグに曲がっている第1糸8および第2糸9の一方または両方の一部が伸びながら第1糸8および第2糸9の他方または両方の他の部分が良好に縮められる。これにより、基布7が固着されている皮革製の表皮6の柔軟性を維持したまま皺やたるみを確実に低減することが可能である。
【0052】
ここで、
図7のグラフを参照しながら、本実施形態に係る6角形の空間部10における変形の特性を、他の形状の空間部の変形の特性と比較検討する。
図7は、多角形の空間部を横方向(例えば
図3の方向D1)に引っ張ったときの引張率RSと圧縮率RPとの関係を示すグラフであって、Iは比較例としての横向きの正方形(すなわち、4つの辺が上下左右に位置する正方形)の空間部、IIは本発明に含まれる斜め向きの正方形(すなわち、4つの角が上下左右に位置する正方形)の空間部、IIIは本実施形態に係る正六角形の空間部10の場合を示すグラフである。ここで、引張率RSは、基布7の引張方向における空間部の長さの増加割合を示し、圧縮率RPは、基布7の引張方向と直交する方向における空間部の長さの減少割合を示す。
【0053】
この
図7のグラフを見れば、比較例としての横向きの正方形の空間部を横方向に引っ張った場合の変形特性を示す線Iでは、引張率RSの増加の幅が小さく、しかも、引張率RSの増加にかかわらず圧縮率RPは0を維持している。一方、本発明に含まれる斜め向きの正方形の空間部における変形特性を示す線II、および本実施形態に係る正六角形の空間部10における変形特性を示す線IIIでは、引張率RSの増加の幅が上記の線Iよりも4~5倍程度大きく、しかも、引張率RSの増加にともなって圧縮率RPが増加する。この
図7のグラフを見れば、本発明に含まれる斜め向きの正方形の空間部(線II)、および本実施形態に係る正六角形の空間部10(線III)のいずれの場合も、基布7に引張力が加わったときには十分な圧縮力が発生するので、基布7が固着した表皮6に過度なつっぱりやたるみが生じなくなり、その結果、表皮6の柔軟性(とくに面外方向への柔軟性)を維持しながら表皮6の皺やたるみを低減することが可能であることがわかる。
【0054】
なお、皮革製の表皮6に固着された基布7では、引張率RSは10%以下(
図7の領域Bの範囲内)に収まるので、正六角形の空間部10(線III)であっても、斜め向きの正方形の空間部(線II)と比べて実用上の変形特性において大きな差はないと考えられる。
【0055】
(6)
本実施形態のシート1では、
図4(b)に示されるように、第1糸8同士または第2糸9同士は、互いにねじった状態で結合されることによって基布7を形成することが可能である。この場合、第1糸8同士または第2糸9同士を互いに強固に結合することが可能であり、しかも、部品点数の増加を抑えることが可能である。
【0056】
(7)
本実施形態のシート1では、基布7は、
図4(c)に示されるように、第1糸8同士または第2糸9同士を間隔をあけて結合する結合部材13をさらに有していてもよい。この構成では、第1糸8同士または第2糸9同士は、隣接する2つの第1糸8または第2糸9が結合部材13を介して間隔をあけて結合されるので、第1糸8同士または第2糸9同士を任意の間隔で結合することが可能である。その結果、基布7における多角形の空間部10の形状および配置を任意に変更することが可能になり、基布7の設計自由度が拡大する。
【0057】
(8)
本実施形態のシート1では、
図3に示されるように、第1糸8の延びる方向D1と第2糸9の延びる方向D2とは直交している。この構成では、基布7が方向D1またはD2のいずれの方向に引っ張られた場合でも、多角形(6角形)の空間部10を形成するジグザグに曲がっている第1糸8および第2糸9が互いに直交しているので、第1糸8および第2糸9の一方または両方の一部の伸びに応じて、第1糸8および第2糸9の他方または両方の他の部分が確実に縮められる。これにより、基布7が固着されている皮革製の表皮6の柔軟性を維持したまま皺やたるみを確実に低減することが可能である。
【0058】
(9)
本実施形態のシート1は、
図2~3に示されるように、第1線状部としての第1糸8および第2線状部としての第2糸9は、それぞれ糸から構成されている。基布7は、複数の第1糸8および複数の第2糸9を含む織物である。基布7の面が第1糸8および第2糸9によって形成される多角形(上記実施形態では、6角形)の空間部10によって面内充填されるように、第1糸8および第2糸9がジグザグに曲がった状態で織られている。
【0059】
この構成では、皮革製の表皮6に固着される基布7は、糸から構成された第1線状部および第2線状部、すなわち、第1糸8および第2糸9がジグザグに曲がった状態で織られることにより多角形の空間部10が織り込まれた織物である。そのため、基布7がいずれの方向(例えば、
図5(a)、(b)に示される方向D1またはD2)に引っ張られた場合でも、多角形の空間部10を形成するジグザグに曲がっている糸から構成された第1糸8および第2糸9の一方が伸びながら第1糸8および第2糸9の他方が縮められる。または、多角形の空間部10を形成するジグザグに曲がっている第1糸8および第2糸9の両方の一部が伸びながら第1糸8および第2糸9の両方の他の部分が縮められる。これにより、基布7が固着されている皮革製の表皮6の柔軟性(とくに、表皮6の面外方向への柔軟性)を維持したまま、表皮6の皺やたるみを低減することが可能である。
【0060】
(変形例)
(A)
上記実施形態では、多角形の空間部10が平面充填された基布7の例として、6角形の空間部10が平面充填された基布7を例に挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0061】
本発明のシートの変形例として、
図8(a)~(c)に示されるように、多角形の空間部20は、6つの辺20a~20fを有し、基布7が方向D1またはD2のいずれかの方向に引っ張られたときに
図8(c)に示されるように6角形に変形可能な空間であってもよい。
【0062】
具体的には、
図8(a)に示される基布7は、向きの異なる矩形の空間部20が基布7に織り込まれている。すなわち、基布7の面が向きの異なる矩形の空間部20によって面内充填されるように、第1糸8および第2糸9がジグザグに曲がって延びて向きの異なる矩形の空間部20が形成されている。
【0063】
図8(b)に示されるように、それぞれの矩形の空間部20は、6つの辺20a~20fを有する形態をしている。したがって、
図8(c)に示されるように、基布7が例えば、方向D1に引っ張られたときには、当該矩形の空間部20に対して方向D1の引張力とともに方向D1に直交する方向D2からの圧縮力が加わることにより、6つの辺20a~20fが移動して矩形の空間部20が6角形に変形することが可能である。
【0064】
したがって、
図8(a)~(c)に示される変形例では、基布7が3つの方向、すなわち、第1糸8が延びる方向、第2糸9が延びる方向、および第1糸8および第2糸9の両方に交差する方向のいずれの方向に引っ張られても、6つの辺20a~20fを有する空間部20が6角形に変形しながらジグザグに曲がっている第1糸8および第2糸9の一方または両方の一部が伸びながら第1糸8および第2糸9の他方または両方の他の部分が良好に縮められる。これにより、基布7が固着されている皮革製の表皮6の柔軟性を維持したまま皺やたるみを確実に低減することが可能である。
【0065】
(B)
また、多角形の空間部が平面充填された基布7の他の変形例として、
図9に示される多角形の空間部30のように、8角形の空間30aおよび4角形の空間30bを組み合わせた空間であってもよい。
【0066】
すなわち、
図9に示される本発明の変形例の基布7は、ジグザグに曲がる第1糸8および第2糸9によって8角形の空間30aおよび4角形の空間30bを組み合わせた多角形の空間部30が平面充填された構造を有する。
【0067】
この
図9に示される変形例によれば、基布7が3つの方向、すなわち、第1糸8が延びる方向D1、第2糸9が延びる方向D2、および第1糸8および第2糸9の両方に交差する方向のいずれの方向に引っ張られても、8角形の空間30aおよび4角形の空間30bを組み合わせた空間部30を形成するジグザグに曲がっている第1糸8および第2糸9の一方または両方の一部が伸びながら第1糸8および第2糸9の他方または両方の他の部分が良好に縮められる。これにより、基布7が固着されている皮革製の表皮6の柔軟性を維持したまま皺やたるみを確実に低減することが可能である。
【0068】
(C)
また、多角形の空間部が平面充填された基布7のさらに他の変形例として、
図10に示される基布7のように、ジグザグに曲がる第1糸8および第2糸9によって5角形の空間部40が4個組み合わされることにより6角形の集合空間部41が形成され、その集合空間部41が平面充填された構造を有していてもよい。この構成においても、基布7が3つの方向、すなわち、第1糸8が延びる方向D1、第2糸9が延びる方向D2、および第1糸8および第2糸9の両方に交差する方向のいずれの方向に引っ張られても、5角形の空間部40およびそれらを組み合わせた6角形の集合空間部41を形成するジグザグに曲がっている第1糸8および第2糸9の一方または両方の一部が伸びながら第1糸8および第2糸9の他方または両方の他の部分が良好に縮められる。これにより、基布7が固着されている皮革製の表皮6の柔軟性を維持したまま皺やたるみを確実に低減することが可能である。
【0069】
(D)
また、多角形の空間部が平面充填された基布7のさらに他の変形例として、
図11に示される基布7のように、ジグザグに曲がる第1糸8および第2糸9によって多数の矩形の空間部50が互いに方向D1およびD2にずれた形で平面充填された構造を有していてもよい。
【0070】
この
図11に示される矩形の空間部50も、上記の
図8(a)~(c)に示される矩形の空間部20と同様に、6つの辺50a~50fを有する形態をしている。したがって、基布7が例えば、方向D1に引っ張られたときには、当該矩形の空間部50に対して方向D1の引張力とともに方向D1に直交する方向D2からの圧縮力が加わることにより、6つの辺50a~50fが移動して矩形の空間部50が6角形に変形することが可能である。
【0071】
したがって、
図11に示される変形例においても、基布7が3つの方向、すなわち、第1糸8が延びる方向、第2糸9が延びる方向、および第1糸8および第2糸9の両方に交差する方向のいずれの方向に引っ張られても、6つの辺50a~50fを有する空間部50が6角形に変形しながらジグザグに曲がっている第1糸8および第2糸9の一方または両方の一部が伸びながら第1糸8および第2糸9の他方または両方の他の部分が良好に縮められる。これにより、基布7が固着されている皮革製の表皮6の柔軟性を維持したまま皺やたるみを確実に低減することが可能である。
【0072】
(E)
なお、上記実施形態ならびに変形例(A)~(D)では、基布が互いに交差する複数の第1糸および複数の第2糸を有し、第1糸および第2糸を用いて織られた織物である例が示されているが、第1糸および第2糸のいずれにも交差する方向にジグザグに曲がって延びる第3糸を追加してもよい。その場合も、基布の面が多角形の空間部によって面内充填されるように、第1糸、第2糸および第3糸がジグザグに曲がって延びて多角形の空間部が形成されることにより、多角形の空間部が基布に織り込まれていればよい。
【0073】
(F)
上記実施形態では、糸から構成された第1線状部および第2線状部、すなわち、第1糸8および第2糸9がジグザグに曲がった状態で織られることにより多角形の空間部10が織り込まれた織物である例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、基布7が編物である場合にも、上記実施形態の作用(具体的には、(本実施形態の特徴)の(1)~(5)および(8))を奏することが可能である。
【0074】
具体的には、
図12に示される変形例では、基布61は、編物によって構成されている。すなわち、この基布61は、複数の第1線状部62および複数の第2線状部63を含むように少なくとも1本の糸65によって編まれた編物であり、基布61の面が第1線状部62および第2線状部63によって形成される多角形の空間部64によって面内充填されるように、第1線状部62および第2線状部63がジグザグに曲がった状態で連結されている編物が形成されている。なお、第1線状部62および複数の第2線状部63を含む編物は、かぎ編みなど従来公知の種々の編み方で編むことが可能である。
【0075】
この構成では、皮革製の表皮6(
図2参照)に固着される基布7は、第1線状部62および第2線状部63がジグザグに曲がった状態で連結されている多角形の空間部64が編み込まれた編物である。そのため、基布61が方向D1またはD2のいずれの方向に引っ張られた場合でも、多角形の空間部64を形成するジグザグに曲がっている第1線状部62および第2線状部63の一方が伸びながら第1線状部62および第2線状部63の他方が縮められる。または、多角形の空間部64を形成するジグザグに曲がっている第1線状部62および第2線状部63の両方の一部が伸びながら第1線状部62および第2線状部63の両方の他の部分が縮められる。これにより、基布61が固着されている皮革製の表皮6の柔軟性(とくに、表皮6の面外方向への柔軟性)を維持したまま、表皮6の皺やたるみを低減することが可能である。
【0076】
(G)
上記の実施形態では、本発明のシートの一例として、自動車用シートを例に挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、パッド表面を皮革製の表皮が覆う構造を有するシートであれば本発明のシートを広く適用することが可能である。本発明の変形例として、飛行機や鉄道などの乗り物に設置されるシート、または建物や家屋内に設置される革張りのソファやチェアなども本発明におけるシートに含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1 シート
5 パッド
6 皮革製の表皮
7、61 基布
8 第1糸(第1線状部)
9 第2糸(第2線状部)
10、20、30、40、50、64 空間部
11 ねじり部
13 結合部材
20a~20c、50a~50c 辺
30a 8角形の空間
30b 4角形の空間
41 集合空間部
62 第1線状部
63 第2線状部