(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】エフロ除去用薬液
(51)【国際特許分類】
E03F 9/00 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
E03F9/00
(21)【出願番号】P 2021073673
(22)【出願日】2021-03-09
【審査請求日】2023-08-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511200971
【氏名又は名称】有限会社第一化学工業所
(72)【発明者】
【氏名】青木 實
(72)【発明者】
【氏名】青木 栄一
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-155095(JP,A)
【文献】特開2020-152599(JP,A)
【文献】特開昭55-075982(JP,A)
【文献】特開平08-081289(JP,A)
【文献】特開2000-087089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気が十分になされない密閉に近い構造物の地下
空間にて、地下水等の排出水が滞った状態
となるべく竪管等の管内に固着したエフロを溶解除去する
と共に、溶解除去後の排水を非劇薬指定物の普通物として排水処理可能で、しかも可撓性チューブを介して管内のエフロ詰まり部位に所定の時間管内注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、管の内部に固着したエフロのエフロ詰まり部位を可撓性チューブの一端側近傍から徐々に溶解除去させて溶解除去部位を形成しつつエフロに貫通路を形成することで滞った地下水等の排出水を排出させる管内エフロの除去兼固着防止装置に用いられるエフロ除去用薬液が、所定量の水に対して塩酸が10重量%以下、グリコール酸が3.6重量%以下で混合
生成され
てエフロを除去するエフロ除去用薬液を構成してなり、しかも該エフロ除去用薬液が、所定量の水に対して塩酸が10重量%以下、グリコール酸が3.6重量%以下で混合生成された構成である場合において、乳酸
を5重量%以下で混合
すること
により、管内に滞った地下水等の排出水を介在させて塩酸及びグリコール酸が管内エフロを溶解除去する際に生じる塩酸の刺激臭を
5重量%以下で混合された乳酸を介して劇的に抑制すること
で、密閉に近い地下空間域でエフロ除去用薬液を用いた場合であっても作業者に不快感や体調不良等の不都合を生じさせないことを特徴とするエフロ除去用薬液。
【請求項2】
換気が十分になされない密閉に近い構造物の地下
空間にて、地下水等の排出水が滞った状態
となるべく竪管等の管内に固着したエフロを溶解除去する
と共に、溶解除去後の排水を非劇薬指定物の普通物として排水処理可能で、しかも管の内部に固着したエフロのエフロ詰まり部位を徐々に溶解除去させて溶解除去部位を形成しつつエフロに貫通路を形成することで滞った地下水等の排出水を排出させることが出来るエフロ除去用薬液が、所定量の水に対し
て塩酸が10重量%以下、グリコール酸が3.6重量%以下で混合
生成され
てエフロを除去するエフロ除去用薬液を構成してなり、しかも該エフロ除去用薬液が所定量の水に対して塩酸が10重量%以下、グリコール酸が3.6重量%以下で混合生成された構成である場合において、乳酸
を5重量%以下で混合
することにより
、管内に滞った地下水等の排出水を介在させて塩酸及びグリコール酸が管内エフロを溶解除去する際に生じる塩酸の刺激臭を
5重量%以下で混合された乳酸を介して劇的に抑制すること
で、密閉に近い地下空間域でエフロ除去用薬液を用いた場合であっても作業者に不快感や体調不良等の不都合を生じさせないことを特徴とするエフロ除去用薬液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エフロ除去用薬液であり、更に詳しくは構造物の地下等において、地下水等の排出を滞るべく竪管等の管内に固着したエフロを徐々に溶解除去すべく用いられるエフロ除去用薬液に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、構造物の地下等において、モルタル中の水酸化カルシウムが進入した雨水や地下水等に溶けてクラックや目地等から滲み出し、空気中の炭酸ガスと反応して炭酸カルシウムとなって出てきたエフロレッセンス(以下、エフロという)が地下水等の排出を促す竪管等の管の内部に固着することで、地下水等の排出水が滞った状態での竪管等の管内のエフロを除去する方法としては、超高圧洗浄機を使用しての管内洗浄や管ツールを用いての除去が一般的に知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記前者超高圧洗浄機を使用しての管内洗浄によりエフロを除去する場合には、洗浄作業のコストが極めて高くつくばかりか、洗浄による排水は産廃扱いとなり、よってその処理も極めて煩雑であり、ここでもコストが嵩むこととなる。更に上記後者管ツールを用いて管内のエフロを除去する場合には、該管ツールを介して管を痛める恐れがあるだけでなく、仮に痛めた場合には多額の管の交換工事に至ることともなり、従って、高いリスクを背負うのみならず、エフロの再発もあり得るばかりかエフロの固着状態によっては、管ツールを使用しても容易に貫通することが出来ないという数々の問題が生じていた。
【0004】
更に、上記前者及び後者の手段を用いてエフロを除去した場合において、滞っていた地下水等の排出水がエフロが瞬間的に除去又は貫通されたことで一気に排出される場合もあり、よって稀にではあるが竪管の下方の分岐ジョイント部に排出水が一気に押し寄せた際の水圧で分岐ジョイント部が破損するという問題も生じていた。
【0005】
よって、本願発明出願人は、上記課題を解決すべく特願2018-71929(特開2018-155095)を発明し、現場でのエフロ除去の作業の簡略化や経費節減を実現した経緯があるが、如何せん、エフロ除去の作業そのものの現場が、換気が十分になされない地下空間、即ち密閉に近い空間が主体であることから、そのエフロ除去の作業に用いる薬液には、エフロを効率良く溶解可能な塩酸が配合されつつも、その塩酸の刺激臭を抑えるための特殊な配合で用いられてはいるが、いまだ刺激臭を密閉に近い空間において劇的なぐらいにまで抑え込むまでには至っていないという問題が生じていた。
【0006】
更に、薬液にエフロを効率良く溶解可能な様に塩酸が配合されているが、塩酸を用いる場合において、日本では毒物及び劇物取締法により配合量が10%を超えると劇物指定物となり、よってエフロ溶解洗浄後の排水を地下等において簡単に処理することが出来なくなる可能性も生じるという新たな問題も生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は,上記課題を全て解決すべく以下の手段を講じたものであり、請求項1記載のエフロ除去用薬液は、換気が十分になされない密閉に近い構造物の地下空間にて、地下水等の排出水が滞った状態となるべく竪管等の管内に固着したエフロを溶解除去すると共に、溶解除去後の排水を非劇薬指定物の普通物として排水処理可能で、しかも可撓性チューブを介して管内のエフロ詰まり部位に所定の時間管内注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、管の内部に固着したエフロのエフロ詰まり部位を可撓性チューブの一端側近傍から徐々に溶解除去させて溶解除去部位を形成しつつエフロに貫通路を形成することで滞った地下水等の排出水を排出させる管内エフロの除去兼固着防止装置に用いられるエフロ除去用薬液が、所定量の水に対して塩酸が10重量%以下、グリコール酸が3.6重量%以下で混合生成されてエフロを除去するエフロ除去用薬液を構成してなり、しかも該エフロ除去用薬液が、所定量の水に対して塩酸が10重量%以下、グリコール酸が3.6重量%以下で混合生成された構成である場合において、乳酸を5重量%以下で混合したことにある。
【0008】
更に、請求項2記載のエフロ除去用薬液は、換気が十分になされない密閉に近い構造物の地下空間にて、地下水等の排出水が滞った状態となるべく竪管等の管内に固着したエフロを溶解除去すると共に、溶解除去後の排水を非劇薬指定物の普通物として排水処理可能で、しかも管の内部に固着したエフロのエフロ詰まり部位を徐々に溶解除去させて溶解除去部位を形成しつつエフロに貫通路を形成することで滞った地下水等の排出水を排出させるべく所定量の水に対して塩酸が10重量%以下、グリコール酸が3.6重量%以下で混合生成されてエフロを除去するエフロ除去用薬液を構成してなり、しかも該エフロ除去用薬液が、所定量の水に対して塩酸が10重量%以下、グリコール酸が3.6重量%以下で混合生成された構成である場合において、乳酸を5重量%以下で混合したことにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明におけるエフロ除去用薬液は、換気が十分になされない密閉に近い構造物の地下空間にて、地下水等の排出水が滞った状態となるべく竪管等の管内に固着したエフロを溶解除去すると共に、溶解除去後の排水を非劇薬指定物の普通物として排水処理可能で、しかも可撓性チューブを介して管内のエフロ詰まり部位に所定の時間管内注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、管の内部に固着したエフロのエフロ詰まり部位を可撓性チューブの一端側近傍から徐々に溶解除去させて溶解除去部位を形成しつつエフロに貫通路を形成することで滞った地下水等の排出水を排出させる管内エフロの除去兼固着防止装置に用いられるエフロ除去用薬液が、所定量の水に対して塩酸が10重量%以下、グリコール酸が3.6重量%以下で混合生成されてエフロを除去するエフロ除去用薬液を構成してなり、しかも該エフロ除去用薬液が、所定量の水に対して塩酸が10重量%以下、グリコール酸が3.6重量%以下で混合生成された構成である場合において、乳酸を5重量%以下で混合することにより、管内に滞った地下水等の排出水を介在させて塩酸及びグリコール酸が管内エフロを溶解除去する際に生じる塩酸の刺激臭を5重量%以下で混合された乳酸の働きにより塩酸の刺激臭を劇的に抑制することが可能となり、していはエフロ除去用薬液を換気が十分になされない地下空間、即ち密閉に近い空間域で用いた場合でも作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることなく快適な現場作業を提供することが可能になるという格別な効果を有する。
更に、エフロ除去用薬液が、所定量の水に対して塩酸が10重量%以下、グリコール酸が3.6重量%以下で混合生成されてエフロを除去するエフロ除去用薬液を構成してなる場合において、乳酸を5重量%以下で混合してなり、よってエフロを溶解すると共に反応泡を発生させる所定量のエフロ除去用薬液を所定の時間管内注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、可撓性チューブの一端側より管の内部に順次注入される所定量のエフロ除去用薬液及び反応泡の双方を介して排出水を滞らせるべく管の内部に固着したエフロのエフロ詰まり部位を可撓性チューブの一端側近傍
から徐々に溶解除去させて溶解除去部位を形成させつつ、最終には、エフロに貫通路を形成することで、滞った地下水等の排出水を確実に排出することが出来るものである。
従って、管の内部に固着して排出水を滞めるべく作用するエフロを可撓性チューブの一端側近傍のエフロ詰まり部位から徐々に溶解除去することで滞った地下水等の排出水を排出させることから、管の内部に固着して排出水を滞めるべく作用するエフロにエフロ除去用薬液が直接アプローチして徐々に溶解するだけでなく、エフロの溶解時に発生する反応泡が管内に滞った排出水の中を管の管口側へと向かうことで管内のあらゆる個所に固着したエフロをも徐々に溶解除去することで、滞った地下等の水を徐々に排出することが可能となり、しいては、滞っていた地下水等の排出水が一気に排出されて竪管の下方の分岐ジョイント部に排出水が一気に押し寄せた際の水圧で分岐ジョイント部が破損するという問題を完全に解消することが出来るという効果を奏するだけでなく、超高圧洗浄機も不用であることから煩雑且つ高額な洗浄作業をも不用にすることのみならずエフロも溶解により除去することで排出水も煩雑且つコストのかかる産廃扱いを行う必要がないという顕著な効果も有しつつ、更にエフロ除去時に管の内面部を痛めるという高いリスクをも背負う管ツールも一切不用になるという格別な効果を奏する。
【0010】
更に、本発明におけるエフロ除去用薬液が、所定量の水に対して、塩酸が10重量%以下、グリコール酸が3.6重量%以下で混合生成されてエフロを除去するエフロ除去用薬液を構成してなる場合において、乳酸を5重量%以下で混合した場合であっても、エフロ除去後の排水を劇物指定物ではなく普通物としてその場に貯留等している自然排出水や洗浄用注水に混ぜて地下現場であっても簡単に排水処理することが出来るという格別な効果を奏する。
【0011】
よって、エフロ除去時の塩酸の刺激臭を劇的に抑えつつエフロ除去後の排水も普通物として簡単に処理出来ることから作業者のみならず不特定多数の人々が集まる地下の駅構内やビル等の建築物の地下において地下水等の排出水を滞らせるべく竪管等の管内に固着したエフロを溶解除去するに最適なエフロ除去用薬液を市場提供することが出来るという格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】 本発明におけるエフロ除去用薬液を用いる管内エフロの除去兼固着防止装置の一実施形態を示し、同図(イ)は一部断面使用状態図、同図(イ)、(ロ)は要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のエフロ除去用薬液を、竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置に用いた場合の一実施形態を図面に従って説明する。
【0014】
先ず、
図1(イ)おいて、1は管内エフロの除去固着防止装置を示し、2は後述するエフロ10を溶解するエフロ除去用薬液4を有する薬剤容器3と接続ホース5を介して接続され、且つ該薬剤容器3が有するエフロ除去用薬液4を他端側6bが接続された撓性チューブ6の一端側6aから所定の時間管内に該撓性チューブ6が送り込まれた管7内に注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことが可能な注入装置を示す。
【0015】
尚、上記薬剤容器3内のエフロ除去用薬液4は、エフロ10を効率良く溶解すると共に反応泡を発生させつつ、エフロ10の溶解時には主に二酸化炭素、塩化カルシウムを発生させるものであり、エフロ10を効率良く溶解すべくその配合量が、所定量の水に対して、塩酸が10重量%以下、グリコール酸が3.6重量%以下で混合生成されてエフロを除去するエフロ除去用薬液を構成してなり、しかも該エフロ除去用薬液には、乳酸が5重量%以下で混合されてなるものである。
【0016】
よって、エフロ除去用液薬が、所定量の水に対して塩酸が10重量%以下、グリコール酸が3.6重量%以下で混合生成されてエフロを除去するエフロ除去用薬液を構成してなる場合において、乳酸を5重量%以下で混合した場合には、乳酸の働きにより塩酸の刺激臭を劇的に抑制することが可能となり、していはエフロ除去用薬液を換気が十分になされない地下空間、即ち密閉に近い空間域で用いた場合でも作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることなく快適な現場作業を提供することが可能になるばかりか、塩酸及びグリコール酸の配合量が、日本での毒物及び劇物取締法による数値として塩酸が10重量%を超えるものではなく、更にグリコール酸も3.6重量%を超えるものではないことから、エフロ除去後の排水を劇物指定物ではなく普通物としてその場に貯留等している自然排出水や洗浄用注水に混ぜて地下現場であっても簡単に排水処理することが出来るというものである。
【0017】
上記管内エフロの除去固着防止装置1を構成する注入装置2及び薬剤容器3は、例えば、駅構内等のコンクリート床8a面上に各々が有する脚部2b、3bを介して載置されるものである。
【0018】
7はコンクリート床8aの内部のコンクリート層8内に埋めこまれた、所謂竪管等の樹脂製の管を示し、9は管7の内面部7bに形成されたエフロ10のエフロ詰まり部位10aを介して排出が滞った地下水等の排出水を示すと共に、該排出水9は管7の内部及びコンクリート床8aに貯留している。
【0019】
本発明の一実施形態におけるエフロ除去用薬液を用いる管内エフロの除去兼固着防止装置1は上記構成からなり、次に係る装置1を用いての竪管等の管内エフロを除去する場合について説明するが、先ず、エフロ10の固着により地下水等の排出水9が滞った状態の竪管等の管7の管口7aから可撓性チューブ6の一端側6aを送り込む(矢印D)が、その際、該可撓性チューブ6の一端側6aの送り込みがエフロ10のエフロ詰まり部位10aを介して阻止されるところまで送り込んで停止させる。
【0020】
次に、同図(ロ)に示す様に、可撓性チューブ6の他端側6bより注入装置2を介してエフロ10を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量のエフロ除去用薬液4を所定の時間管内注入(矢印A)しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、可撓性チューブ6の一端側6aより管7の内部に順次注入される所定量のエフロ除去用薬液4及び反応泡の双方を介して排出水9を滞らせるべく管7の内部に固着したエフロ10のエフロ詰まり部位10aを可撓性チューブ6の一端側6a近傍から徐々に溶解除去させて溶解除去部位(B)を形成させつつ、最終には、同図(ハ)様に示す様に、エフロ10に貫通路11を形成することで、滞った地下水等の排出水9を確実に排出することが出来る。
【0021】
要は、管7の内部に固着して排出水9を滞めるべく作用するエフロ10を可撓性チューブ6の一端側6a近傍のエフロ詰まり部位10aから徐々に溶解除去することで滞った地下水等の排出水9を排出させることから、管の内部に固着して排出水9を滞めるべく作用するエフロ10にエフロ除去用薬液4が直接アプローチして徐々に溶解するだけでなく、エフロ10の溶解時に発生する反応泡が管内に滞った排出水9の中を管7の管口側7aへと向かうことで管内のあらゆる個所に固着したエフロ10をも徐々に溶解除去することで、滞った地下等の水9を徐々に排出することが可能となる。
【0022】
よって、滞っていた地下水等の排出水9が一気に排出されて竪管の下方の分岐ジョイント部(図示せず)に排出水9が一気に押し寄せた際の水圧で分岐ジョイント部が破損するという問題を完全に解消することが出来るという効果を奏するだけでなく、超高圧洗浄機も不用であることから煩雑且つ高額な洗浄作業をも不用にすることのみならずエフロ10も溶解により除去することで排出水9も煩雑且つコストのかかる産廃扱いを行う必要がないという顕著な効果も有しつつ、更にエフロ除去時に管7の内面部を痛めるという高いリスクをも背負う管ツールも一切不用になるという格別な効果がある。
【0023】
更に、本発明におけるエフロ除去用薬液4を管内エフロの除去固着防止装置1を用いて使用する場合において、例えば、竪管等の管7の管口7aから可撓性チューブ6の一端側6aを所定の長さで送り込み、その後該可撓性チューブ6の他端側6bよりエフロ10を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量のエフロ除去用薬液4を所定の時間管内注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、可撓性チューブ6の一端側6aより管7の内部に順次注入される所定量のエフロ除去用薬液4及び反応泡の双方を介して竪管等の管7の内部に付着したエフロ10を徐々に溶解除去する場合には、管内に固着したエフロ10を介して地下水等の排出水9が滞る前にエフロ10にエフロ除去用薬液4及び反応泡の夫々が直接アプローチして徐々に溶解することが出来、よって超高圧洗浄機も不用であることから煩雑且つ高額な洗浄作業をも不用にすることのみならずエフロ10も溶解により除去することで排出水9も煩雑且つコストのかかる産廃扱いを行う必要がないという顕著な効果も有しつつ、更にエフロ除去時に管7の内面部を痛めるという高いリスクをも背負う管ツールも不用になるという格別な効果がある。
【0024】
更に、本発明におけるエフロ除去用薬液4を管内エフロの除去固着防止装置1を用いて使用する場合において、例えば、竪管等の管7の管口7aから可撓性チューブ6の一端側6aを所定の長さで送り込み、その後該可撓性チューブ6の他端側6bよりエフロ10を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量のエフロ除去用薬液4を所定の時間管内注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、可撓性チューブ6の一端側6aより管7の内部に順次注入される所定量のエフロ除去用薬液4及び反応泡の双方を介して竪管等の管7の内部のエフロ10の固着を防止することから、地下水等の排出水9に適用される竪管等の管7に限らず、例えば、マンション等のビルの竪管等に所定の周期でアプローチすることであらゆる場所に使用される竪管等の管7をエフロ10の固着から開放することが出来るという格別な効果を奏する。
【0025】
更に、本発明におけるエフロ除去用薬液4を管内エフロの除去固着防止装置1を用いて使用する場合において、エフロ除去用薬液4の配合量が、所定量の水に対して、塩酸が10重量%以下、グリコール酸が3.6重量%以下、乳酸が5重量%以下で混合されてなる場合には、該エフロ除去用薬液4の比重を排出水9の比重より重く設定することが可能となり、よってエフロ除去用薬液4に所定の圧力をかけて管7の内部に注水させる加圧装置も一切必要なく、極めて安価な装置により所定量のエフロ除去用薬液4をエフロ10のエフロ詰まり部位10aの最深部位まで重力を用いて浸透させて、管内のエフロ10を効率よく除去することが出来るという格別な効果を奏する。
【0026】
更に、本発明におけるエフロ除去用薬液4を管内エフロの除去固着防止装置1を用いて使用する場合において、エフロ除去用薬液4が可撓性チューブ6の一端側6aよりミスト状で管7の内部に注入される場合には、エフロ除去用薬液4を竪管等の管7内の隅々まで効率よく充満させることが出来、よってエフロ詰まり部位10a以外に管7内に固着したエフロ10が管7を詰まらせる前に管7の隅々まで充満するエフロ除去用薬液4により除去することが可能になるという格別な効果を奏する。
【0027】
更に、本発明のエフロ除去用薬液4を用いる管内エフロの除去固着防止装置1が、薬剤容器3が有するエフロ除去用薬液4を可撓性チューブ6の一端側6aから所定の時間管内に注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことが可能な注入装置2とから構成されている場合には、作業員が現場にいる必要なく、自動でエフロ10の固着により地下水等の排出水9が滞った竪管等の管7の詰まりを除去することが出来るという効果を奏する。
【0028】
而して、本発明におけるエフロ除去用薬液4が、所定量の水に対して塩酸が10重量%以下、グリコール酸が3.6重量%以下で混合生成されてエフロを除去するエフロ除去用薬液を構成してなり、しかも該エフロ除去用薬液が、所定量の水に対して塩酸が10重量%以下、グリコール酸が3.6重量%以下で混合生成された構成である場合において、乳酸を5重量%以下で混合することにより、管内に滞った地下水等の排出水を介在させて塩酸及びグリコール酸が管内エフロを溶解除去する際に生じる塩酸の刺激臭を5重量%以下で混合された乳酸の働きにより塩酸の刺激臭を劇的に抑制することが可能となり、していはエフロ除去用薬液を換気が十分になされない地下空間、即ち密閉に近い空間域で用いた場合でも作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることなく快適な現場作業を提供することが可能になるという格別な効果を奏する。
【0029】
更に、エフロ除去用薬液4が、所定量の水に対して、塩酸が10重量%以下、グリコール酸が3.6重量%以下で混合生成されてエフロを除去するエフロ除去用薬液を構成してなる場合において、乳酸を5重量%以下で混合した場合には、エフロ除去後の排水を劇物指定物ではなく普通物としてその場に貯留等している自然排出水や洗浄用注水に混ぜて地下現場であっても簡単に排水処理することが出来るという格別な効果を奏する。
【0030】
従って、本発明のエフロ除去用薬液4によれば、エフロ除去時の塩酸の刺激臭を劇的に抑えつつエフロ除去後の排水も普通物として簡単に処理出来ることから作業者のみならず不特定多数の人々が集まる地下の駅構内やビル等の建築物の地下において地下水等の排出水を滞らせるべく竪管等の管内に固着したエフロを溶解除去するに最適なエフロ除去用薬液を市場提供することが出来るという格別な効果を奏するに至った。
【0031】
一実施形態において、本発明のエフロ除去用薬液4を管内エフロの除去固着防止装置1を用いて使用する場合において、竪管を対象にした場合を説明したが、例えば、分岐ジョイント部を介しての水平管に使用してもよく、要はエフロを除去又はエフロの固着を防止することを目的とする管であれば、係る発明を実施する管の具体的な材質、形状、配置、径、種類等も一切限定されないのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明におけるエフロ除去用薬液は、エフロが発生する場所に設置された全ての管に適用可能である。