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特許7440841ラバーバンドの製造方法、ラバーバンドおよび人体装着用電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】ラバーバンドの製造方法、ラバーバンドおよび人体装着用電子機器
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/02 20060101AFI20240221BHJP
   A44C 5/00 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
A44C5/02 D
A44C5/02 E
A44C5/00 502C
A44C5/00 501Z
A44C5/00 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020519901
(86)(22)【出願日】2019-05-15
(86)【国際出願番号】 JP2019019385
(87)【国際公開番号】W WO2019221199
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-04-16
(31)【優先権主張番号】P 2018093970
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313001332
【氏名又は名称】積水ポリマテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】川口 亜星ウイリアム
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-329110(JP,A)
【文献】登録実用新案第3015368(JP,U)
【文献】実開昭58-114110(JP,U)
【文献】特開平04-338403(JP,A)
【文献】実開昭61-123723(JP,U)
【文献】特開平05-137608(JP,A)
【文献】特開2012-135659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/02
A44C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器本体に取付けられるとともに人体に装着されるバンド本体を有し、
前記バンド本体が、
複数の穴を有する樹脂板でなる樹脂部と、
前記樹脂部を被覆するゴム状弾性体でなる外皮部と、
前記樹脂部の前記複数の穴と前記外皮部とを貫通する複数のバンド長さ調整穴とを有するラバーバンドの製造方法において、
前記樹脂板が、
平板状の本体部と、
前記本体部の端部を巻き回して形成した筒状部と、
前記筒状部から伸長して前記本体部に積層する余長部とを有するものであり、
前記樹脂板と前記樹脂板の表面に配置される未硬化のゴム状弾性体とを第1の金型に挿入してから前記第1の金型を型締めして前記樹脂板の第1の面を覆う第1の外皮部を形成し、
次いで前記第1の外皮部を形成した前記樹脂板と該樹脂板の裏面に配置される未硬化のゴム状弾性体とを第2の金型に挿入してから前記第2の金型を型締めして前記樹脂板の第2の面を覆う第2の外皮部を形成し、
前記第1の外皮部又は前記第2の外皮部を形成する際に、前記筒状部の内周面を前記ゴム状弾性体で被覆することを特徴とするラバーバンドの製造方法。
【請求項2】
前記第1の外皮部又は前記第2の外皮部を形成する際に、前記複数の穴の内周面を前記ゴム状弾性体で被覆することで前記バンド長さ調整穴を形成する
請求項1記載のラバーバンドの製造方法。
【請求項3】
記第1の外皮部と前記第2の外皮部を形成する際に、それぞれ前記筒状部の外周面を部分的に被覆する
請求項1または請求項2記載のラバーバンドの製造方法。
【請求項4】
前記第1の金型と前記第2の金型は、前記未硬化のゴム状弾性体と前記樹脂部とを成形する
請求項1~請求項何れか1項記載のラバーバンドの製造方法。
【請求項5】
電子機器本体に取付けられるとともに人体に装着する第1のバンド本体を有するラバーバンドにおいて、
前記第1のバンド本体は、複数の穴を有する板状の樹脂部と、前記樹脂部を被覆するゴム状弾性体でなる外皮部とを有し、
前記外皮部は、前記樹脂部の第1の面を覆う外面部と、前記樹脂部の第2の面を覆い人体と接触する内面部とを有しており、
前記外面部と前記内面部とは、別々の成形体として形成されており、
前記樹脂部は、平板状の本体部と、前記本体部の端部を巻き回して形成した筒状部と、前記筒状部から伸長して前記本体部に積層する余長部とを有しており、
前記外皮部は、前記樹脂部の前記余長部と前記本体部とが重ならない非積層部分では、前記内面部の方が前記外面部よりも全長に渡り厚く形成されており、
前記外皮部は、前記筒状部の内周面の全体を被覆する筒内被覆部を有しており、
前記第1のバンド本体は、さらに前記第1のバンド本体とは異なる第2のバンド本体に有する前記第1のバンド本体に係止する係止部を挿入する複数のバンド長さ調整穴を有しており、
前記各バンド長さ調整穴は、前記複数の穴の内周面を前記外皮部で被覆したバンド調整穴内被覆部を有することを特徴とするラバーバンド。
【請求項6】
前記余長部と前記本体部との積層部分には、前記余長部と前記本体部とを固着する固着部が設けられている請求項記載のラバーバンド。
【請求項7】
前記筒状部の両面を前記外皮部で覆う請求項5又は請求項記載のラバーバンド。
【請求項8】
前記樹脂部は、二軸延伸フィルムである樹脂板で構成される請求項~請求項何れか1項記載のラバーバンド。
【請求項9】
電子機器本体と請求項~請求項何れか1項記載のラバーバンドとを備える人体装着用電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、腕や手首等の人体に巻き付けて固定するために用いられる電子機器に用いるラバーバンドと、その製造方法およびこのラバーバンドを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、腕や手首等の人体に巻き付けて固定するためのバンドを備えるものがある。バンドを備える電子機器には、例えば時計、携帯端末機器、医療用電子機器(脈拍計、血圧計等)、健康管理用電子機器(脈拍計、血圧計等)がある。これらの電子機器に用いるバンドには、金属製や樹脂製などのバンドが知られている。樹脂製のバンドは、例えば特開2011-72777号公報(特許文献1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-72777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属製や樹脂製など種々のバンドを備える電子機器のうち、医療用電子機器及び健康管理用電子機器については、脈拍や血圧などの正確な測定結果を人体から得る必要がある。ここで例えば電子機器としての時計の場合は人の好みによって緩く手首に巻く場合もある。これに対して、医療用電子機器や健康管理用電子機器(これらの機能を有する時計を含む。)の場合は、生体情報を測定するセンサ部を身体に接触させることが求められる。センサ部を身体に接触させるにはバンドを身体に対して締め付ける必要がある。そうした一方で電子機器の快適な装着感を得るためには、バンドを締め付けすぎないことも必要である。
【0005】
バンドには、手首に対する締め付けの強さを調整できるように多数のバンド長さ調整穴が設けており、どの穴にツク棒を挿入するかで装着時のセンサ部の身体に対する接触度合いを調整することができる。しかしながら、材質に伸張性が無い金属製及び樹脂製のバンドでは、バンド長さ調整穴と隣のバンド長さ調整穴との間の間部を小さくしても密着性と快適性とを実現することが難しい。一方、ラバーバンドでは、適度に伸びることができ、しかも肌触りが柔らかいため、密着性と快適性を両立することができる。しかしながら、ラバーバンドは、他の材質に比べて脆弱であるため、伸び易いという欠点と、切れ易いという欠点とがある。特に装着時の手首への接触度合いを調整し易くするために、ツク棒を通すバンド長さ調整穴とバンド長さ調整穴との間の間部を短くする場合には、その間部が切れ易くなる。また、正確な測定のため多少の伸縮性は要求されるが伸び過ぎてもセンサを人体に対して安定して接触させることができない。加えて、こうした電子機器は常に身につけることが望まれるため、バンドのデザインも優れたものが要求される。
【0006】
そこで本出願による開示は、電子機器を身体に装着するための改良されたラバーバンドの提案を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、以下のとおり構成される。即ち、本発明は、電子機器本体に取付けられるとともに人体に装着されるバンド本体を有し、前記バンド本体が、複数の穴を有する樹脂板でなる樹脂部と、前記樹脂部を被覆するゴム状弾性体でなる外皮部と、前記樹脂部の前記複数の穴と前記外皮部とを貫通する複数のバンド長さ調整穴とを有するラバーバンドの製造方法について、複数の穴(又は「樹脂穴」)を有する前記樹脂板を第1の金型に挿入して前記樹脂板の第1の面を覆う第1の外皮部を形成し、次いで前記第1の外皮部を形成した前記樹脂板を第2の金型に挿入して前記樹脂板の第2の面を覆う第2の外皮部を形成することを特徴とする。
【0008】
前記本発明では、複数の穴を有する前記樹脂板を第1の金型に挿入して前記樹脂板の第1の面を覆う第1の外皮部を形成し、次いで前記第1の外皮部を形成した前記樹脂板を第2の金型に挿入して前記樹脂板の第2の面を覆う第2の外皮部を形成する。このため、樹脂部を第1の外皮部と第2の外皮部の間に挿入し易く、また第1の外皮部と第2の外皮部の間の所望の位置に樹脂部を設け易い。そのため、本発明によれば、樹脂部がゴム状弾性体でなる第1の外皮部と第2の外皮部を補強することのできるラバーバンドとすることができる。
【0009】
外皮部(第1の外皮部と第2の外皮部)がゴム状弾性体で形成されている。したがって、ゴム状弾性体の柔らかさで皮膚に対する装着感を高めることができ、ゴム状弾性体の弾性によって身体に対する接触強さを変えてセンサ部を身体に固定することができるラバーバンドとすることができる。また、内部に樹脂部を有するラバーバンドとすることができるため、ゴム状弾性体の過度の伸びを防止し、切れや破れからゴム状弾性体を保護することができる。
【0010】
前記本発明は、前記第1の外皮部又は前記第2の外皮部を形成する際に、前記複数の穴の内周面を前記ゴム状弾性体で被覆することで、前記バンド長さ調整穴を形成するように構成できる。前記第1の外皮部又は前記第2の外皮部を形成する際に、前記複数の穴の内周面を前記ゴム状弾性体で被覆することで前記バンド長さ調整穴を形成するため、前記バンド長さ調整穴の周囲にはゴム状弾性体で被覆した樹脂部が設けられている。このためバンド長さ調整穴どうしの間の部分が、樹脂部で補強されているラバーバンドとすることができる。したがって、バンド長さ調整穴どうしの間が狭く形成されていてもバンド長さ調整穴が破れ難いラバーバンドとすることができる。また、バンド長さ調整穴では樹脂部が隠されるため、外観に優れたラバーバンドとすることができる。具体的なラバーバンドの製造方法の一例として、前記複数の穴の内周面には、前記第1の外皮部を形成する際と、前記第2の外皮部を形成する際とで、樹脂部の両面側から半分ずつ前記ゴム状弾性体で被覆することで前記バンド長さ調整穴を形成することも可能である。
【0011】
前記本発明は、前記樹脂板が、平板形状の本体部と、前記本体部の端部を巻き回して形成した筒状部と、前記筒状部から伸長して前記本体部に積層する余長部とを有するものであり、前記第1の外皮部と前記第2の外皮部を形成する際に、それぞれ前記筒状部の外周面を部分的に被覆するものとして構成できる。
【0012】
前記樹脂板は、平板状の本体部と、前記本体部の第1の端部を巻き回して形成した筒状部と、前記筒状部から伸長して前記本体部に積層する余長部とを有する。このため、バネ棒挿入穴の周囲を筒状部で補強することができる。そして、バネ棒挿入穴が切れ難いラバーバンドとすることができる。また、前記樹脂板では、筒状部を金型成形時の位置合わせ部とすることができる。さらに、前記樹脂板では余長部を設けたため、筒状部が安定して形成されることでバネ棒挿入穴の補強性に優れる。そして、前記第1の外皮部と前記第2の外皮部を形成する際に、それぞれ前記筒状部の外周面を部分的に被覆するものとして構成したため、筒状部の周囲、即ち、バネ棒挿入穴を形成する部分の外皮部を正確に成形することができる。そのため、外観に優れ、電子機器本体にラバーバンドを取り付けた際の電子機器本体との一体性に優れたラバーバンドとすることができる。
【0013】
前記本発明は、前記第1の外皮部又は前記第2の外皮部を形成する際に、前記筒状部の内周面を前記ゴム状弾性体で被覆するように構成できる。そのため、得られるラバーバンドはバネ棒挿入穴の内周をゴム状弾性体で被覆したものとすることができる。そのため、バネ棒挿入穴とバネ棒との間で適度な摩擦抵抗が生じて接触するため、電子機器本体に対して過度に緩まることがなく、電子機器本体とラバーバンドの両者に一体性のある電子機器とすることができる。
【0014】
前記本発明は、前記第1の金型と前記第2の金型が、未硬化のゴム状弾性体と前記樹脂部とを挿入して成形するように構成できる。本発明によれば、射出成形の場合と比べて溶融したゴム状弾性体の流入路と流出路とを検討する必要がなく、また第1の金型及び第2の金型の内部全体にゴム状弾性体が回り込み易く、液溜まりのような不良部分を生じ難い。
【0015】
前記目的を達成する本発明は、さらに、電子機器本体に取付けられるとともに人体に装着する第1のバンド本体を有するラバーバンドについて、前記第1のバンド本体は、複数の穴を有する板状の樹脂部と、前記樹脂部を被覆するゴム状弾性体でなる外皮部とを有し、前記外皮部は、前記樹脂部の第1の面を覆う外面部と、前記樹脂部の第2の面を覆い人体と接触する内面部とを有しており、前記外面部と前記内面部とは、別々の成形体として形成されており、前記第1のバンド本体は、さらに前記係止部を挿入する複数のバンド長さ調整穴を有しており、前記各バンド長さ調整穴は、前記複数の穴の内周面を前記外皮部で被覆したバンド調整穴内被覆部を有することを特徴とする。
【0016】
前記ラバーバンドは、ゴム状弾性体が樹脂部で補強され、切れ難いとともに、過度な伸びを抑制してデータの取得性に優れる。また、前記ラバーバンドは、樹脂部が第1の外皮部と第2の外皮部に覆われることで、身体への接触性に優れ、肌触りが良い。さらに、前記ラバーバンドは、樹脂部が外皮部によって隠れることで外観デザインが良い。
【0017】
前記ラバーバンドは、さらに、前記第1のバンド本体とは異なる第2のバンド本体とを有し、前記第2のバンド本体は、前記第1のバンド本体に係止する係止部を有するように構成できる。
【0018】
前記ラバーバンドは、第2のバンド本体に第1のバンド本体に係止する係止部を有する。このため係止部を通じて第1のバンド本体と第2のバンド本体とを繋ぐことができる。ここで第2のバンド本体は第1のバンド本体とは別体として備えることができるほか、第1のバンド本体と第2のバンド本体とが電子機器本体を跨いで繋がった一体のバンド本体であることとしてもよい。
【0019】
前記樹脂部は、平板状の本体部と、前記本体部の端部を巻き回して形成した筒状部と、前記筒状部から伸長して前記本体部に積層する余長部とを有するものとして構成できる。そのため、バネ棒挿入穴の周囲を筒状部で補強され、バネ棒挿入穴の部分が切れ難いラバーバンドとすることができる。また、余長部を有することで筒状部が安定して形成されるので破れ難いバネ棒挿入穴を有するラバーバンドである。
【0020】
前記外皮部は前記筒状部の内周面を被覆する筒内被覆部を有するものとして構成できる。そのため、バネ棒挿入穴の内周をゴム状弾性体で被覆したラバーバンドである。そして、筒内被覆部を有するためバネ棒挿入穴とバネ棒との間で適度な摩擦抵抗が生じる接触がなされることで、電子機器本体に対して過度に緩まることがなく、電子機器本体とラバーバンドの両者に一体性のある電子機器とすることができる。
【0021】
そして本発明は、電子機器本体と前記何れかのラバーバンドとを備える人体装着用電子機器として構成できる。そのため、長時間装着しても疲れ難く、人体に密着させることが可能で、データの取得性に優れ、耐久性があって、外観に優れる電子機器である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電子機器を身体に適度に接触させることができるラバーバンドを実現することができる。また、そのようなラバーバンドを備える電子機器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態のラバーバンドを電子機器本体に備え付けてなる電子機器の概略平面図である。
図2図1のラバーバンドの平面図である。
図3図1のラバーバンドの正面図である。
図4図1のラバーバンドのうち剣先側バンド本体の拡大断面図であり、図2のIV-IV線断面図である。
図5図4の樹脂部であり、分図(A)は図4相当断面図であり、分図(B)は平面図である。
図6図1のラバーバンドのうち尾錠側バンド本体の拡大断面図であり、図2のVI-VI線断面図である。
図7図6の樹脂部であり、分図(A)は図6相当断面図であり、分図(B)は平面図である。
図8図1のラバーバンドの製造方法の第1工程を説明する模式断面図である。
図9図1のラバーバンドの製造方法の第2工程を説明する模式断面図である。
図10図1のラバーバンドの製造方法における第1工程の樹脂穴近傍の部分拡大断面図である。
図11図1のラバーバンドの製造方法における第2工程の樹脂穴近傍の部分拡大断面図である。
図12図1のラバーバンドの樹脂穴近傍の部分拡大断面図である。
図13】第2実施形態のラバーバンドの概略平面図である。
図14】第3実施形態のラバーバンドの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施形態に即してさらに詳しく説明する。なお、各実施形態において同一の材質、組成、製法、作用、効果等については重複説明を省略する。本明細書及び特許請求の範囲に「第1」、「第2」と記載する場合、それらは発明の異なる構成要素を区別するために用いるものであり、特定の順序や優劣等を示すために用いるものではない。
【0025】
第1実施形態[図1図12
【0026】
本実施形態のラバーバンド10について説明する。図1にはラバーバンド10の付いた腕時計型の電子機器Eの平面図を示す。図2にはラバーバンド10の平面図、図3にはラバーバンド10の正面図をそれぞれ示す。
【0027】
図1で示す電子機器Eは、時計機能と心拍計や脈拍計など生体データを計測するセンサの付いた電子機器本体Mと、手首に巻いて保持するためのラバーバンド10とを有する。電子機器本体Mは、その表面に、時刻や生体データ等の情報を表示する情報表示部M1が設けられている。電子機器本体Mの裏面には、身体に接触して生体データを計測するセンサM2が設けられている。センサ部M2は、生体センサであり、透明な窓部を通じて光を照射して生体データを測定する。センサM2の窓部は、電子機器本体Mの筐体の裏面に面するように配置されており、窓部は身体に直接接触するように配置されている。
【0028】
電子機器Eから電子機器本体Mを取り外すと、図2図3で示すように、ラバーバンド10は、「第2のバンド本体」である尾錠側バンド本体4と、「第1のバンド本体」である剣先側バンド本体3との2部位から構成されるバンド本体3,4となる。なお、バンド本体3,4という場合は、剣先側バンド本体3と尾錠側バンド本体4の何れか又は双方を意味するものとする。剣先側バンド本体3は、電子機器本体Mのラグm1にバネ棒(図示せず)を通して取り付けるためのエンドピースであるバネ棒挿入穴31と、後述のツク棒43がはまり込む多数のバンド長さ調整穴32とを有している。また、尾錠側バンド本体4は、剣先側バンド本体3と同様にバネ棒挿入穴41と、尾錠42および前記バンド長さ調整穴32に対して係止する「係止部」であるツク棒43を有している。
【0029】
剣先側バンド本体3の断面図を図4に、尾錠側バンド本体4の断面図を図6にそれぞれ示す。これらの図で示すように、バンド本体3,4の内部は、その略中心に樹脂板からなる樹脂部5を有し、この樹脂部5はゴム状弾性体からなる外皮部6によって被覆されている。外皮部6は、樹脂部5を挟んで手首等の人体に接触する側となる「第2の外皮部」としての内面部6bと、それとは反対の表側となる「第1の外皮部」としての外面部6aとに区分することができる。「第1の外皮部」としての外面部6aは、樹脂部5(樹脂板)の「第1の面」としての樹脂部5の表面5Aに形成される。「第2の外皮部」としての内面部6bは、樹脂部5(樹脂板)の「第2の面」としての樹脂部5の裏面5Bに形成される。
【0030】
剣先側バンド本体3の内部に設けた樹脂部51を図5で示す。なお、樹脂部5については、剣先側バンド本体3側の樹脂部5を樹脂部51と表記し、後述のように尾錠側バンド本体4側の樹脂部5を樹脂部52とも表記するものとする。剣先側バンド本体3の内部に設けた樹脂部51は、剣先側バンド本体3の外周近傍まで及ぶ大きさとしている。バネ棒挿入穴31の部分には、樹脂板の一方側の端部を巻き回した「筒状部」としての第1の筒状部5a1が形成されている。第1の筒状部5a1から伸長する余長部5bは、第1の筒状部5aに繋がる樹脂板の平板形状の本体部5cと積層している。余長部5bと本体部5cとの積層部分には、好ましくは、熱圧着、超音波溶着、接着、両面テープ等による粘着等の手段によって、余長部5bと本体部5cとを固着する固着部7が設けられる。固着部7を設けることで第1の筒状部5a1の形状が固定され、また製造時に本体部5cと余長部5bとが重なる間にゴム状弾性体が入り込むのを防止することができる。一方、バンド長さ調整穴32に対応する部分では、樹脂部5にもバンド長さ調整穴32の数だけ「複数の穴」としての樹脂穴5dが空いており、その樹脂穴5dの穴径は長さ調整穴32の穴径よりも大きくしてある。
【0031】
剣先側バンド本体3の外皮部6は、内部に設けた樹脂部51の全体を覆っており、樹脂部51がラバーバンド10の外観に露出しないように形成されている。バネ棒挿入穴31の部分では第1の筒状部5a1の外周を覆う一方で、図4で示すように、第1の筒状部5a1の内周をも覆った筒内被覆部6dを形成している。一方、バンド長さ調整穴32に対応する樹脂穴5dの周囲も外皮部6の一部であるゴム状弾性体で覆ったバンド長さ調整穴内被覆部6cで覆われており、樹脂穴5dの側面が隠されて露出しないように形成されている。外面部6aと内面部6bのゴム状弾性体の厚みを比較すると、余長部5bが本体部5cよりも短いため、余長部5bと本体部5cとが重ならない非積層部分では、内面部6bの方が外面部6aよりも厚く形成されている。身体に接触する側の内面部6bのゴム状弾性体の厚みが厚いことで、樹脂部51を硬質の芯材として感じることを抑制しつつ柔軟な装着感をもって身体に装着することができる。即ち、非積層部分は、比較的軟質になり肌を締め付け過ぎないようにすることができる。さらに、非積層部分は、積層部分と比べて、樹脂部51の厚みが薄いので曲げ易く、身体(手首)に沿わせた装着感を向上することができる。
【0032】
尾錠側バンド本体4の内部に設けた樹脂部52を図7で示す。尾錠側バンド本体4の内部に設けた樹脂部52は、尾錠側バンド本体4の外周近傍まで及ぶ大きさとしている。エンドピースのバネ棒挿入穴41の部分では剣先側バンド本体3に設けたバネ棒挿入穴31と同様に、樹脂板の端部を巻き回した「筒状部」としての第2の筒状部5a2、第3の筒状部5a3が尾錠側バンド本体4に形成されている。第2の筒状部5a2は、樹脂板の幅方向の全長に亘る長さ形成されている。第3の筒状部5a3は、樹脂板の端部に形成した一対の突片を巻き回すことで第3の筒状部5a3の中央部分にツク棒43が入り込む切り欠き5eを設けている。第3の筒状部5a3は、切り欠き5eを有する点で、剣先側バンド本体3に設けた第1の筒状部5a1、第2の筒状部5a2とは異なる構成としている。なお、尾錠側バンド本体4にはバンド調整穴32が無いため、樹脂部52には樹脂穴5dを設けていない。
【0033】
尾錠側バンド本体4の外皮部6も内部に設けた樹脂部52の全体を覆っており、樹脂部52が露出しないように形成されている。バネ棒挿入穴41の部分でも第2の筒状部5a2、第3の筒状部5a3の外周面だけでなく、それらの内周面をも覆った筒内被覆部6dを形成している。外面部6aと内面部6bのゴム状弾性体の厚みを比較すると、余長部5bが本体部5cよりも短いため、余長部5bと本体部5cとが重ならない非積層部分では、内面部6bの方が外面部6aよりも厚く形成されている。身体に接触する側の内面部6bのゴム状弾性体の厚みが厚いことで、樹脂部52を硬質の芯材として感じることを抑制しつつ柔軟な装着感をもって身体に装着することができる。即ち、非積層部分は、比較的軟質になり肌を締め付け過ぎないようにすることができる。さらに、非積層部分は、積層部分と比べて、樹脂部52の厚みが薄いので曲げ易く、身体(手首)に沿わせた装着感を向上することができる。
【0034】
樹脂部5を構成する樹脂板は、ポリエステル(PET、PEN等)や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリウレア、ポリスチレン、ABS樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等を用いることができる。これらの樹脂は、耐熱性があり、伸び難く高強度であり、樹脂部5の材質として適しているためである。またこうした観点から二軸延伸フィルムであることが好ましい。
【0035】
樹脂部5となる樹脂板は、補強材を含むものであってもよい。補強材としてはガラス繊維やカーボン繊維、布、樹脂メッシュ、金網などを用いることができる。または、ガラス繊維やカーボン繊維、布、樹脂メッシュ、金網などから構成されるシート状物を、樹脂板の表面に積層させ固着させたものを用いることもできる。補強材はカップリング剤やプライマー等で表面処理したものを用いることとしてもよい。補強材を構成する繊維状物は、樹脂板の内部に組み込まれたり、樹脂板の表面に固着されたりするため、単なる布地のように緩んだり解れたりすることは起こり難い。補強材を構成する繊維同士が固着(融着、接着等)されたものを用いることも可能である。
【0036】
樹脂板の表面には各種の表面処理をすることができる。表面処理を施すことで外皮部6との密着性を高めることができる。表面処理には、コロナ処理やプラズマ処理、紫外線照射処理、エキシマ光照射処理、プライマー塗布、サンドブラスト処理、エンボスロール加工などが挙げられる。
【0037】
樹脂部5となる樹脂板の厚みは、50μm~500μmとすることが好ましく70μm~300μmとすることがより好ましい。樹脂板が50μmよりも薄ければ、外皮部6に対する補強効果が弱く、外皮部6が切れやすくなる場合がある。樹脂板が500μmを超えると、ラバーバンド10としての柔軟性が低減し、ラバーバンド10が屈曲し難くなる場合がある。即ち、樹脂板の厚みを50μm~500μmの範囲とすれば、樹脂板は曲がり易く、ラバーバンド10の屈曲性を悪化させることなく、ラバーバンド10を容易に曲げることができる。樹脂板の厚みを70μm~300μmとすることで切れ難く曲げ易くすることができる。
【0038】
剣先側バンド本体3のバンド長さ調整穴32に対応する部分では、樹脂部5にも穴が空いている必要があり、その樹脂穴5dの穴径は1.1mm~6mm、隣接する樹脂穴5dどうしの間隔は0.2mm~4.8mmとすることが好ましい。ラバーバンド10のバンド長さ調整穴32の穴径よりも樹脂部5の樹脂穴5dの穴径を大きくすることで、樹脂穴5dの内側にも外皮部6が形成されたバンド長さ調整穴内被覆部6cを形成し、樹脂穴5dの内周面が隠される。
【0039】
外皮部6を構成するゴム状弾性体には、シリコーンゴムやウレタンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム等の合成ゴムや、スチレン系熱可塑性エラストマーやオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーを用いることができる。なかでもシリコーンゴムは、耐熱性、耐候性、耐薬品性があり、低圧縮永久歪みであるためより好ましい。こうしたゴム状弾性体の硬度は、JISK6253に準拠したタイプAデュロメータによる測定値で30~80の範囲とすることが好ましく、より好ましくは40~60である。硬度がタイプAデュロメータで30より小さいと柔らかすぎて樹脂部5で補強されていない周囲や端部の切れ等を起こすおそれがある。他方、硬度がタイプAデュロメータで80よりも大きいと硬すぎて装着感が悪化するからである。
【0040】
このように、バネ棒挿入穴31,41の部分でも、樹脂からなる第1の筒状部5a1、第2の筒状部5a2、第3の筒状部5a3の両面を外皮部6で覆うことで、バネ棒挿入穴31,41が切れ難くなるだけでなく、バネ棒挿入穴31,41内外の摩擦抵抗を高め、外観を良くしている。また、第1の筒状部5a1、第2の筒状部5a2、第3の筒状部5a3は樹脂板が丸められた形状となって固定される。このため、製造時における外皮部6との一体成形の際に、樹脂板を成形金型内に収め易く(位置決め容易性)、樹脂板が部分的に外皮部6から突出して外に剥き出しになるような成形不良を起こし難くすることができる。
【0041】
ラバーバンド10の製造方法について説明する。ラバーバンド10は、樹脂部5を外皮部6の内側に配置させるが、一工程でラバーバンド10の中心に配置することは困難であるため、二段階の成形によって製造することが好ましい。樹脂部5と外皮部6との一体成形は、剣先側バンド本体3と尾錠側バンド本体4とでそれぞれ別々の金型(第1の金型、第2の金型)を使って成形する。しかし、金型の形状は異なるが製造工程は同様の工程であるため、以下の説明では剣先側バンド本体3の例を図8図12を参照して説明し、尾錠側バンド本体4の説明を省略する。
【0042】
まず樹脂部5を所定の形状に予め成形しておく。即ち、剣先側バンド本体3の樹脂部51となる樹脂板を図5で示すような所定の形状、大きさに裁断し、バンド長さ調整穴32に対応する部分に樹脂穴5dを開け、エンドピースとなる部分は端部を巻き回して第1の筒状部5a1を形成する。余長部5bと本体部5cとを重ね合わせた部分には必要に応じて固着部7を設ける。なお、尾錠側バンド本体4となる樹脂部52の形成においては、樹脂部52に第2の筒状部5a2と第3の筒状部5a3を設けるが、第3の筒状部5a3は、図7Bで示すように、ツク棒43の部分に切り欠き5eを形成するため、樹脂板の端部を予め凹状に裁断したものや四角形状や楕円形状に開口させたものを巻き回して第3の筒状部5a3を形成する必要がある。
【0043】
次に、樹脂部5と外皮部6とを一体成形する。このためには、最初に樹脂部5の一方面側、即ち外面部6a又は内面部6bのどちらか一方と樹脂部5とを一体成形する。内面部6bを先に成形することもできるが、ここでは、外面部6aを先に成形する例を説明する。なお、この例では外面部6aが第1の外皮部となり、内面部6bが第2の外皮部となるが、内面部6bを先に形成する場合は内面部6bが第1の外皮部となり外面部6aが第2の外皮部となる。
【0044】
図8で示すように、ラバーバンド10の外面部6aを成形する外面用金型8a内に、硬化すれば外面部6aとなる未硬化のゴム状弾性体と、樹脂板51とを挿入する。ゴム状弾性体は、樹脂板51の表面5Aに配置される。そして外面用金型8aと樹脂部51の裏面5Bを支持する裏金型8bとを型締めして、ゴム状弾性体でなる外面部6aを成形する。このとき、第1の筒状部5a1にはその穴径よりも直径の短い金属シャフトPを挿入し金型8a,8b内に配置する。この金属シャフトPは裏金型8bに樹脂部51を配置する際の位置合わせにも寄与する。こうした第1工程で、ゴム状弾性体からなる外面部6aと樹脂部5の表面5Aとが重ねられ一体化するが、第1の筒状部5a1の外周面5f1を被覆するように外面部6aが形成される。こうして樹脂部51の表面5Aにゴム状弾性体でなる外面部6aが形成された中間製造物Iが得られる(図9)。なお、この例では外面用金型8aと裏金型8bとが「第1の金型」となる。
【0045】
第2工程は、中間製造物Iに内面部6bを設ける工程である。先の裏金型8bに代えて、内面部6bを形成するための内面用金型8cを準備し、図9で示すように、この内面用金型8c内に、内面部6bの材料となる未硬化のゴム状弾性体と中間製造物Iを挿入し、外面用金型8aとの間で成形する。この第2工程でも第1工程と同様に未硬化のゴム状弾性体を挟んで成形する。そのため、ゴム状弾性体の外面部6a側への過度な流れ込みを防ぐことができる。また、この第2工程では、第1工程で形成されなかった樹脂部51の裏面5Bに内面部6bを形成するので、第1の筒状部5a1の外周面5f2を被覆するように内面部6bが形成される。こうして、樹脂部51が外面部6aと内面部6bとの間に挟まれるように一体化した剣先側バンド本体3を得る。同様にして尾錠側バンド本体4を製造することで、剣先側バンド本体3と尾錠側バンド本体4とからなるラバーバンド10を得る。なお、この例では外面用金型8aと内面用金型8cとが「第2の金型」となる。
【0046】
上記樹脂部51と外皮部6を一体成形した製造方法において、バンド長さ調整穴32の部分の成形について補足して説明する。図10では樹脂部51を金型8a,8bに入れて成形する際の一つの樹脂穴(又は単に「穴」)5d付近における拡大模式図を示す。まず、裏金型8bと外面用金型8aとの間に樹脂部51を挿入して樹脂部51と外面部6aとを一体成形する第1工程を行うが、樹脂部51の第1の筒状部5a1の部分で裏金型8bに対して位置合わせを行うと、図10で示すように、裏金型8bと樹脂穴51との間に隙間が形成される。そのため、この第1工程で樹脂穴5dの側面をゴム状弾性体が覆うバンド長さ調整穴内被覆部6cを形成できる。
【0047】
第1工程で得られた中間製造物Iと内面部6bを一体成形する第2工程では、外面用金型8aに中間製造物Iをはめ込むことができるので、図11で示すように、そのはめ込みによって位置合わせができる。裏金型8aに代えて内面用金型8cを用いて外面用金型8aとの間で型成形することで、樹脂穴5dの周囲がゴム状弾性体で覆われて被覆された図12で示すような剣先側バンド本体3が得られる。
【0048】
上記製造方法では、射出成形ではなく未硬化のゴム状弾性体を金型8(8a、8b、8c)に挿入することとしたため、樹脂板の上側に未硬化のゴム状弾性体を入れても金型8の中で過度に未硬化のゴム状弾性体が流動することはなく、第1の筒状部5a1、第2の筒状部5a2、第3の筒状部5a3の内周面5g中に入り込む未硬化のゴム状弾性体も樹脂板の上側半分にとどめることができる。そのため、第2工程で内面部6bを成形する際には、第1の筒状部5a1、第2の筒状部5a2、第3の筒状部5a3の内周面5g内の上側に未硬化のゴム状弾性体が入り込み、両工程で第1の筒状部5a1、第2の筒状部5a2、第3の筒状部5a3の内側に筒内被覆部6dを形成することができる。
【0049】
上記製造方法では、ラバーバンド10の内面部6bに対応する裏金型8bと内面用金型8cの2種類が必要となるが表金型8aは1種類で良いため、二段階の工程が必要であっても、金型にかかる負担は少なくてすむというメリットがある。
【0050】
こうして製造したラバーバンド10は、バンド本体3,4の大きさは、厚みが2mm~5mmとすることができ、剣先側バンド本体3のバンド長さ調整穴32の穴径は1mm~5mm、バンド長さ調整穴32とバンド長さ調整穴32の間の長さが0.5mm~5mmとすることができる。バンド長さ調整穴32とバンド長さ調整穴32の間の長さを短くしても樹脂板である樹脂部5が、バンド長さ調整穴32と隣接するバンド長さ調整穴32との間に配置されているため、バンド長さ調整穴32と隣接するバンド長さ調整穴32との間が補強され伸びたり、切れたりし難くなっている。
【0051】
また、ラバーバンド10は、樹脂板の側面およびバンド長さ調整穴32の内面もゴム状弾性体で被覆されているため、ラバーバンド10としての美観と表裏両面の柔軟性を与えることができる。またラバーバンド10は、電子機器本体Mを人体に接触させ易く、伸びや切れが発生し難くなり、電子機器本体Mを好ましい接触状態で身体に装着し続けることができる。さらに、ラバーバンド10は、バンド長さ調整穴32とバンド長さ調整穴32の間の部分にも樹脂部5が設けられているため、このバンド長さ調整穴32どうしの間が切れたり伸びたりすることが起こり難い。
【0052】
本実施形態における製造方法では、樹脂部5に対して内面部6bよりも外面部6aを先に一体化したため、内面部6bと外面部6aとで材質を変えて物理的特性を異なるものとすることができる。例えば、内面部6bは皮膚に接触する部位であり、柔らかく弾力性に富む材質が好ましい。外面部6aは、皮膚に触れない一方でぶつけたり落としたりする場合の傷付きにくさや堅牢性を有する必要がある。そのため、外面部6aの材質は内面部6bの材質より硬く強い材質がこのましい。したがって、硬く強い材質を先に成形し、柔らかい材質を後から成形することで、内面部6b側の柔らかいゴム状弾性体の型ずれを起こさず歩留まり良く製造することができる。
【0053】
上記製造方法では、バンド長さ調整穴32の部分の成形について、樹脂部51と外面部6aとを一体成形する第1工程において、樹脂穴5dの側面をゴム状弾性体が覆うバンド長さ調整穴内被覆部6cを形成したが、内面部6bと一体成形する第2工程において樹脂穴5dの側面をゴム状弾性体が覆うバンド長さ調整穴内被覆部6cを形成することとしてもよい。あるいは、第1工程と第2工程との一体成形においてそれぞれ樹脂部51の半分の深さまで覆うバンド長さ調整穴内被覆部6cを形成することとしてもよい。
【0054】
以上のようなラバーバンド10及びその製造方法によれば、電子機器本体Mを身体に適切に接触させることができるラバーバンド10とすることができる。また、肌触りが良く、切れ難く、外観デザインの良好なラバーバンド10とすることができる。
【0055】
第2実施形態[図13
【0056】
本実施形態のラバーバンド20の平面図を図13で示す。ラバーバンド20は、尾錠が無くボタン24で他方側バンド本体22(第2のバンド本体)を一方側バンド本体21(第1のバンド本体)と接続するタイプである。剣先側バンド本体3に相当する一方側バンド本体21にはバンド長さ調整穴32に代わる「バンド長さ調整穴」としてのボタン受け溝23が複数設けられている。また、尾錠側バンド本体4に相当する他方側バンド本体22には尾錠42やツク棒43に代わる「係止部」としてのボタン24が設けられている。電子機器本体Mに接続する側にはバネ棒挿入穴は設けていない。
【0057】
ラバーバンド20もまた、その内部の略中心に樹脂板からなる樹脂部5を有し、外側をゴム状弾性体からなる外皮部6で被覆しており、外皮部6は、樹脂部5を挟んで手首等に密着する側となる内面部6bと、それとは反対の表側となる外面部6aとからなる点はラバーバンド10と同じであり、ラバーバンド10と同様の方法で外皮部6と樹脂部5とを一体成形できる。
【0058】
ボタン受け溝23は、ラバーバンド20を貫通せず、内面部6bにボタン受け溝23が設けられ、外面部6aには溝が表出しないが、ボタン受け溝23の深さは一方側バンド本体21の半分以上とし、略中央にある樹脂部5をボタン受け溝23の近傍に位置させる点でラバーバンド10と同様である。一方側バンド本体21や他方側バンド本体22における電子機器本体Mとの接続部位は、接続する電子機器本体Mに設けたラバーバンド20の取付構造に応じた取付構造を採用することができる。こうした取付構造は、金属や樹脂等で形成されるボタン24と同様に、樹脂部5と外皮部6の一体成形後に一方側バンド本体21や他方側バンド本体22に取り付けることができる。
【0059】
第3実施形態[図14
【0060】
本実施形態のラバーバンド30の平面図を図14で示す。剣先側バンド本体3に相当する一方側バンド本体26にはバンド長さ調整穴28が二列になって設けられている。バンド長さ調整穴28に沿って、樹脂部5にも樹脂穴5dを二列に配置することが好ましい。
【0061】
上記実施形態は本発明の例示であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、実施形態の変更または公知技術の付加や、組合せ等を行い得るものであり、それらの技術もまた本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0062】
10 ラバーバンド(第1実施形態)
3 剣先側バンド本体(第1のバンド本体)
31 バネ棒挿入穴
32 バンド長さ調整穴
4 尾錠側バンド本体(第2のバンド本体)
41 バネ棒挿入穴
42 尾錠
43 ツク棒(係止部)
5 樹脂部(樹脂板)
5A 表面(第1の面)
5B 裏面(第2の面)
51 剣先側バンド本体の樹脂部
52 尾錠側バンド本体の樹脂部
5a1 第1の筒状部(筒状部)
5a2 第2の筒状部(筒状部)
5a3 第3の筒状部(筒状部)
5b 余長部
5c 本体部
5d 樹脂穴(穴)
5e 切り欠き
5f1,5f2 筒状部の外周面
5g 筒状部の内周面
6 外皮部
6a 外面部
6b 内面部
6c バンド長さ調整穴内被覆部
6d 筒内被覆部
7 固着部
8 金型
8a 外面用金型
8b 裏金型
8c 内面用金型
E 電子機器(人体装着用電子機器)
M 電子機器本体
m1 ラグ
I 中間製造物
P 金属シャフト
20 ラバーバンド(第2実施形態)
21 一方側バンド本体(第1のバンド本体)
22 他方側バンド本体(第2のバンド本体)
23 ボタン受け溝
24 ボタン(係止部)
25 ラグ取付部
30 ラバーバンド(第3実施形態)
26 一方側バンド本体(第1のバンド本体)
27 他方側バンド本体(第2のバンド本体)
28 バンド長さ調整穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14