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特許7440874導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサ
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/213 20060101AFI20240221BHJP
   H01P 1/208 20060101ALI20240221BHJP
   H01P 7/06 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
H01P1/213 D
H01P1/208
H01P7/06
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022143452
(22)【出願日】2022-09-09
(65)【公開番号】P2023101454
(43)【公開日】2023-07-21
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】10-2022-0003639
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520304734
【氏名又は名称】イランテック
【氏名又は名称原語表記】ERANGTEK
(73)【特許権者】
【識別番号】522359486
【氏名又は名称】イ,ジェ ボク
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【弁理士】
【氏名又は名称】金高 寿裕
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【弁理士】
【氏名又は名称】小磯 貴子
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジェ ボク
(72)【発明者】
【氏名】ジ,ヨン ナム
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0136295(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0109178(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/213
H01P 1/208
H01P 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF周波数帯域を受信してチューニング可能な帯域通過フィルタ;及び
少なくとも二つ以上の前記帯域通過フィルタの出力を結合してアンテナと整合する結合器;を含み、
前記結合器は、
少なくとも二つ以上の前記帯域通過フィルタの出力を信号連結壁体に連結して共用ポールで結合することを特徴とする、導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサ。
【請求項2】
前記RF周波数帯域は、
衛星周波数帯域であって、第1帯域として26.5ないし27.3GHz、第2帯域として27.3ないし28.1GHz、及び第3帯域として28.1ないし28.9GHzを用いることを特徴とする、請求項1に記載の導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサ。
【請求項3】
前記帯域通過フィルタは、
一つのモードまたは少なくとも二つ以上の異なるモードの共振器を連続的に結合してなることを特徴とする、請求項1に記載の導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサ。
【請求項4】
前記モードは、TE114モードを用いることを特徴とする、請求項3に記載の導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサ。
【請求項5】
前記モードは、TE011モードを用いることを特徴とする、請求項3に記載の導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサ。
【請求項6】
前記信号連結壁体は、
前記帯域通過フィルタと前記結合器を連結するベースと前記ベースの上端に位置した上側延長部からなることを特徴とする、請求項に記載の導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサ。
【請求項7】
前記チューニングは、
多数の前記帯域通過フィルタと一つの前記結合器で構成されたRFマルチプレクサの入出力値とチューニング深さに基づき人工知能学習モデルを利用した機械学習を行った結果に基づいて行うことを特徴とする、請求項1に記載の導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサ。
【請求項8】
前記人工知能学習モデルは、
入力層、隠れ層、及び出力層で構成され、前記RFマルチプレクサの入出力値とチューニング深さを前記入力層とし、目標特性を満たすようにチューニング深さ制御を前記出力層とすることを特徴とする、請求項に記載の導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサ。
【請求項9】
前記目標特性は、
周波数別の挿入損失、反射損失、入力間のアイソレーションのうち少なくともいずれか一つであることを特徴とする、請求項に記載の導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサ。
【請求項10】
前記機械学習は、
前記目標特性を満たす条件に基づきモンテカルロ学習の補償関数をアップデートすることを特徴とする、請求項に記載の導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサ。
【請求項11】
前記機械学習は、
前記目標特性を満たすためのチューニング深さ制御はタイムステップ別に直ちに補償関数をアップデートする時間差学習を行う一方、前記目標特性を満たす場合、これに基づきすべての状態に対して補償関数をアップデートするモンテカルロ学習を行うことを特徴とする、請求項に記載の導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサに関し、詳細には、多数の衛星周波数を用いる移動通信帯域通信システムの出力を相互結合するものである。すなわち、本発明は、隣接する周波数の5G移動通信帯域を効果的にフィルタリングしてフィルタのサイズを縮小することができる導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサに関する。
【背景技術】
【0002】
4次産業革命の核心戦略技術である5G通信技術は、地上網を越えて衛星網と統合する技術進歩が加速しており、特に、パンデミック以降、データ基盤のグローバル5G市場への投資拡大により、価格競争力から技術競争力市場へと再編されているデータ基盤技術を指向する産業生態系に直面している。
【0003】
韓国による世界初の5G商用化以降、海外のリーディングカンパニーも5G核心要素技術の先占と生態系組成のために、政府、民間、公共機関の技術競争の優位性を確保するべく多くの時間と予算を集中的に投じている。
【0004】
韓国が行った移動通信3社の5G共同構築をはじめとして、日本と中国、ドイツなどのグローバル市場において、インフラコストを節減するための移動通信会社間の5G共用化構築に向けた協力が本格化するものと見込まれ、これとは別に移動通信3社の共用化のためのマルチプレクサが開発されてきた。
【0005】
その一例として、韓国公開特許公報第10-2018-0064054号では、低域通過フィルタ及び高域通過フィルタを利用して広帯域ダイプレクサを具現し、PIMD(Passive Inter-Modulation Distortion)性能を改善するために接触非線形のPIMDの主な発生原因であるトンネル効果を最小化させることができる、PCB基板を空中に浮かせたサスペンド(suspended)構造を提案した。
【0006】
しかし、この場合、近接する周波数帯域の信号は結合し難く、特に、5G用28GHz衛星周波数では適用し難い短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許公報第10-2018-0064054号(2018.06.14.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、多数の衛星周波数を用いる移動通信帯域通信システムの出力を相互結合して挿入損失を抑え、PIMD性能を高める導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサを提供することにある。
【0009】
本発明のまた他の目的は、隣接する周波数の5G移動通信帯域をシングルまたは多重モードを用いて効果的にフィルタリングすることで、フィルタのサイズを縮小して軽量化することができる導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサは、RF周波数帯域を受信してチューニング可能な帯域通過フィルタ及び少なくとも二つ以上の帯域通過フィルタの出力を結合してアンテナと整合する結合器を含んでもよい。
【0011】
ここで、RF周波数帯域は、衛星周波数帯域であって、第1帯域として26.5ないし27.3GHz、第2帯域として27.3ないし28.1GHz、及び第3帯域として28.1ないし28.9GHzを用いてもよい。
【0012】
また、帯域通過フィルタは、一つのモードまたは少なくとも二つ以上の異なるモードの共振器を連続的に結合してなってもよい。
【0013】
ここで、モードは、TE114モードを用いてもよい。
【0014】
また、モードは、TE011モードを用いてもよい。
【0015】
ここで、結合器は、少なくとも二つ以上の帯域通過フィルタの出力を信号連結壁体に連結して共用ポールで結合してもよい。
【0016】
また、信号連結壁体は、帯域通過フィルタと結合器を連結するベースとベースの上端に位置した上側延長部からなっていてもよい。
【0017】
ここで、チューニングは、多数の帯域通過フィルタと一つの結合器で構成されたRFマルチプレクサの入出力値とチューニング深さに基づき人工知能学習モデルを利用した機械学習を行った結果に基づいて行ってもよい。
【0018】
また、人工知能学習モデルは、入力層、隠れ層、及び出力層で構成され、RFマルチプレクサの入出力値とチューニング深さを入力層とし、目標特性を満たすようにチューニング深さ制御を出力層としてもよい。
【0019】
ここで、目標特性は、周波数別の挿入損失、反射損失、入力間のアイソレーションのうち少なくともいずれか一つであることを特徴としてもよい。
【0020】
また、機械学習は、目標特性を満たす条件に基づきモンテカルロ学習の補償関数をアップデートしてもよい。
【0021】
ここで、機械学習は、目標特性を満たすためのチューニング深さ制御はタイムステップ別に直ちに補償関数をアップデートする時間差学習を行う一方、前記目標特性を満たす場合、これに基づきすべての状態に対して補償関数をアップデートするモンテカルロ学習を行ってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明による導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサは、多数の衛星周波数を用いる移動通信帯域通信システムの出力を相互結合して挿入損失を抑え、PIMD性能を高める長所がある。
【0023】
また、本発明による導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサは、隣接する周波数の5G移動通信帯域をシングルまたは多重モードを用いて効果的にフィルタリングすることで、フィルタのサイズを縮小して軽量化することができる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施例に係る導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサを示した構成図である。
図2図1のRFマルチプレクサを詳細に示したブロック図である。
図3図1の帯域通過フィルタに用いられるTE114モードの電場分布の現況を示した図面である。
図4図1の帯域通過フィルタに用いられるTE011モードの電場分布の現況を示した図面である。
図5図1の多数の帯域通過フィルタが結合器に結合される共用ポール構造を詳細に示した斜視図及び断面図である。
図6図1の帯域通過フィルタをチューニングするための人工知能学習モデルを詳細に示した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を実施するための具体的な実施例について、添付の図面を参照して説明する。
【0026】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施例を有することができるが、特定の実施例を図面に例示して詳細に説明することにする。これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとする意図ではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むことを理解されたい。
【0027】
以下、添付の図面を参照して本発明に係る導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサについて詳細に説明する。
【0028】
図1は本発明の一実施例に係る導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサを示した構成図であり、図2ないし図6図1を詳細に説明するための細部ブロック図、図面、断面図、及び概略構成図である。
【0029】
以下、図1ないし図6を参照して本発明の一実施例に係る導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサを説明する。
【0030】
まず、図1を参照すると、本発明の一実施例に係る導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサは、RF周波数帯域を受信してチューニング可能な帯域通過フィルタ110及び少なくとも二つ以上の帯域通過フィルタ110の出力を結合してアンテナと整合する結合器120からなる。
【0031】
ここで、RF周波数帯域は、衛星周波数帯域であって、第1帯域として26.5ないし27.3GHz、第2帯域として27.3ないし28.1GHz、及び第3帯域として28.1ないし28.9GHzを用いる。
【0032】
5G28GHz移動通信帯域は、KT:26.5~27.3GHz、LGU+:27.3~28.1GHz、SKT:28.1~28.9GHzで定義されている。かかる帯域に対してフィルタリングを行って各々アンテナを用いると、衛星体の重量が大きいので、これに対するアンテナ共用化が必須となる。
【0033】
この時、衛星体の場合、既存のRFマルチプレクサ100対比重量を減少させながら性能は高めなければならず、特に、高出力の送信に対してPIMD性能も優れていることが求められる。
【0034】
本発明によれば、このような要求に符合するように、サイズと性能を向上させたRFマルチプレクサ100を提供することができる。
【0035】
本発明の帯域通過フィルタ110は、TE114モードとTE011モードを直列結合してRFマルチプレクサ100のサイズと重量を減少させることができ、これについては、以下の図2ないし図4で詳細に説明する。また、結合器120は、PIMDの特性を改善して挿入損失性能を高めるために共用ポール結合を行ってもよく、これについては、図5で説明する。
【0036】
一方、帯域通過フィルタ110は、入力帯域に応じてチューニングを行わなければならないが、本発明では機械学習(machine learning)を導入してチューニング正確度を高めることができ、これについては、図6で詳細に説明する。
【0037】
図2図1のRFマルチプレクサ100を詳細に示したブロック図である。
【0038】
図2に示すように、帯域通過フィルタ110は、一つのモードまたは少なくとも二つ以上の異なるモードの共振器を連続的に結合して構成される。
【0039】
ここで、第1フィルタ111、第2フィルタ112ないし第Nフィルタ113は、一つのモードで用いられてもよく、少なくとも二つ以上の異なるモードを用いて結合してもよいが、これについては、以下の図3及び図4で詳細に説明する。
【0040】
図3図1の帯域通過フィルタ110に用いられるTE114モードの電場分布の現況を示した図面であって、図3に示すように、モードはTE114モードを用いたものである。
【0041】
TE114を構成する帯域通過フィルタ110は、TE114フィルタハウジング300と、TE114フィルタハウジング300内部の電場分布であるTE114フィルタ内部電場S300で形成されていてもよい。
【0042】
ここで、帯域通過フィルタ110を構成する第1フィルタ111、第2フィルタ112ないし第Nフィルタ113は、フィルタリングしたい周波数帯域の平坦度を改善して挿入損失を最小化することができるが、このため帯域通過フィルタ110は、適切な次数によって形成され、周波数帯域外に存在する信号に対する遮断(rejection)が必要となる。
【0043】
帯域通過フィルタ110の次数が高いほど広い帯域幅、効果的な遮断(sharp rejection)及び少ない群遅延(group delay)を有することができるが、反面、チャネルフィルタの次数が高いほどサイズが大きくなり、それにより重量が増加する問題が発生するので、帯域通過フィルタ110は、適切な次数によって形成されなければならない。
【0044】
一方、移動通信用衛星に用いられる部品は、サイズと重量が極めて重要な要素であって、当該衛星に求められる性能を維持しながら重量を最小化することができる方法が必要となる。このような要求条件を満たすために、既存には一般的にモードを発生させる円筒形空洞(cavity)を用いて帯域通過フィルタ110を構成した。この時、帯域通過フィルタ110は、モードを二重モードで具現して一つの空洞に二つの共振が発生するようにすることで帯域通過フィルタ110のサイズを最小化することができる。
【0045】
TE11mモードを用いると、帯域通過フィルタ110に対応する通過帯域中心における挿入損失がある程度決定され得る。この時、TE11mモードでmを増加させると、チャネルフィルタがフィルタリングしたい通過帯域端部における挿入損失が減少するが、その場合、通過帯域の平坦度が向上して通過帯域内における挿入損失を最小化することができる。
【0046】
しかし、モードでmが増加するほど帯域通過フィルタ110の長さが長くなり、重量、体積及び帯域通過フィルタ110が衛星搭載体のパネルに占める面積が大きくなる短所がある。そして、モードでmが5以上になると、挿入損失の側面における利点は極めて減る反面、長さは非常に長くなる。したがって、帯域通過フィルタ110は、概してモードでmは4になるようにすることで、挿入損失とサイズ/重量との間の均衡点を見出すことができる。
【0047】
次に、図4図1の帯域通過フィルタ110に用いられるTE011モードの電場分布の現況を示した図面であって、図4に示すように、モードはTE011モードを用いたものである。
【0048】
図3で言及した通り、帯域通過フィルタ110は、帯域通過フィルタ110のサイズと重量を減らすために、TE112モードやTE113モードを用いてもよいが、その場合、品質係数が劣り、通過帯域における挿入損失が増加することがあり、また、通過帯域端部における挿入損失はさらに増加し、電気的性能が劣化する問題が発生する。
【0049】
ところが、TE11mモードは、円筒形空洞を利用した共振モードのうち品質係数があまり高い方ではなく、TE01mモードのうちTE011モードが実質的に用いられる共振モードのうち最も高い品質係数を有している。
【0050】
したがって、本発明はこのような点を利用してTE114モードを発生させる円筒形空洞をTE011単一モードを発生させる円筒形空洞に代替して帯域通過フィルタ110の長さを減少させる方法を提供する。このように減少した長さを有する本発明の帯域通過フィルタ110を利用すると、帯域通過フィルタ110を固定するその他要素のサイズと重量も減少することができる効果がある。
【0051】
一方、TE011は、図4に示すように、帯域通過フィルタ110がTE011フィルタハウジング400内部の電場分布であるTE011フィルタ内部電場S400で構成されることが分かる。したがって、本発明では図3のTE114と図4のTE011を結合するために、電場分布に応じて直角で結合してもよい。
【0052】
図5図1の多数の帯域通過フィルタ110が結合器120に結合される共用ポール構造を詳細に示した斜視図及び断面図である。
【0053】
図5に示すように、結合器120は、少なくとも二つ以上の帯域通過フィルタ110の出力を信号連結壁体130に連結して共用ポールで結合する。また、信号連結壁体130は、帯域通過フィルタ110と結合器120を連結するベース131とベース131の上端に位置した上側延長部132で構成される。
【0054】
図5に示すように、本発明の共用ポール結合では、周波数帯域信号が帯域通過フィルタ110に流入され、信号連結壁体130で多数の周波数帯域信号が結合器120に結合してアンテナに出力されていてもよい。
【0055】
ここで、結合器120に連結されるために、帯域通過フィルタ110における末端フィルタ出力である第Nフィルタ113と、これを結合器120に連結するための信号連結壁体130を備え、また、信号連結壁体130は、第Nフィルタ113と結合器120を連結するベース131、ベース131の上側に延びて構成されて第Nフィルタ113及び結合器120と各々離隔形成されている上側延長部132からなっていてもよい。
【0056】
すなわち、信号連結壁体130は、図5の(a)に図示したように、信号連結壁体130の下側に形成されたベース131を通じて、その一側が結合器120と接続され、他側は各チャネルフィルタを構成する終端の空洞内側に延びて第Nフィルタ113と連結される。
【0057】
上記のような構成の信号連結壁体130は、図5の(b)のように、上側延長部132の高さ(H)及び幅(W)、そして離隔距離(d)に基づいて周波数帯域信号のインピーダンスマッチングを行ってもよく、したがって、上側延長部132の高さ(H)と幅(W)、そしてその離隔距離(d)を調節することで、送受信される周波数帯域との適切なインピーダンスマッチングがなされるように形成されるようになる。
【0058】
したがって、本発明によれば、多数の帯域通過フィルタ110を通過した多様な周波数帯域が信号連結壁体130によるインピーダンスマッチング後に結合器120と連結されるため、一つのアンテナを通じて高出力信号の送信が可能であり、また、アンテナを通じて受信される周波数も帯域通過フィルタ110を通じて接続ポートに出力されることができるようになる。
【0059】
また、かかる結合器120は、放射形態の信号連結壁体130の一部が終端の空洞内側に延びて収容されるため、空間活用性が極めて優れており、射出成形時に一体形成されることができる長所がある。
【0060】
以上のように、本発明によれば、各帯域通過フィルタ110を通じて結合器120に入力される周波数はコンバイン(combined)されて一つのアンテナを通じて送信され、また、アンテナを通じて受信される周波数は、結合器120を通じて各帯域通過フィルタ110に連結されることで、両方向送受信が可能な構造を有するようになる。
【0061】
一方、各帯域通過フィルタ110を通じて結合器120に送信されたり、またはアンテナに受信されて結合器120を通じて各帯域通過フィルタ110に連結される信号の損失を最小化するために、本発明では結合器120と信号連結壁体130の外側表面に対して導電性物質でめっきがなされていてもよい。
【0062】
かかるめっきは、好ましくは電導性に優れた銀めっきでなされていてもよく、銀めっきの厚さは、6μm~15μmの厚さを有するように形成されていてもよい。
【0063】
図6図1の帯域通過フィルタ110をチューニングするための人工知能学習モデルを詳細に示した概略構成図である。
【0064】
図6に示すように、本発明におけるチューニングは、多数の帯域通過フィルタ110と一つの結合器120で構成されたRFマルチプレクサ100の入出力値とチューニング深さに基づき人工知能学習モデル500を利用した機械学習を行った結果に基づいて行う。
【0065】
また、人工知能学習モデル500は、入力層510、隠れ層520、及び出力層530で構成され、RFマルチプレクサ100の入出力値とチューニング深さを入力層510とし、目標特性を満たすようにチューニング深さ制御を出力層530とする。
【0066】
ここで、目標特性は、周波数別の挿入損失、反射損失、入力間のアイソレーションのうち少なくともいずれか一つで設定してもよい。
【0067】
また、機械学習は、前記目標特性を満たす条件に基づきモンテカルロ学習(Monte-Carlo Learning;MCL)の補償関数をアップデートする方式からなっていてもよい。
【0068】
ここで、機械学習は、目標特性を満たすためのチューニング深さ制御は、タイムステップ別に直ちに補償関数をアップデートする時間差学習を行う一方、目標特性を満たす場合、これに基づきすべての状態に対して補償関数をアップデートするモンテカルロ学習を行う。
【0069】
図6のように、本発明の人工知能学習モデル500は、RFマルチプレクサ100の入出力値とチューニング深さを受信する入力層510、チューニング深さを制御する出力層530、及び入力層510と出力層530との間に連結されて入力層510と出力層530との連結関係を構成するようにディープニューラルネットワークからなる隠れ層520を含む。
【0070】
ここで、人工知能学習モデル500は、目標特性を満たす場合に基づきモンテカルロ学習の補償関数をアップデートし、この時、人工知能学習モデル500は、人工知能学習のためにモンテカルロ学習または時間差学習(Temporal Difference Learning;TDL)を同時に行ってもよい。
【0071】
モンテカルロ学習(Monte-Carlo Learning;MCL)と時間差学習(Temporal Difference Learning;TDL)は、マルコフ決定過程を基本とするが、試行錯誤を経た方式を通じて実際に経験した情報に基づき価値関数を順次アップデートする方法であって、すべての場合の数を問わず、サンプリングを平均して補償関数の値を推定する本発明の強化学習の一種である。
【0072】
モンテカルロ学習は、エピソード(episode)が終了した後、エピソードの間に経験していたすべての状態に対して補償関数をアップデートする反面、時間差学習は、エピソードが終了するまで待つ必要なく、タイムステップ別に直ちに補償関数をアップデートすることができる長所がある。
【0073】
したがって、本発明では目標特性を満たすためのチューニング深さ制御は、時間差学習を行う一方、目標特性を満たす場合、これに基づき補償値を差別化して補償関数をアップデートしてもよい。
【0074】
このように、本発明では機械学習をチューニング深さ制御に導入することで、正確かつ迅速なフィルタチューニングを行うことができる長所がある。
【0075】
以上のような本発明に係る導波管空洞Ka帯域活用基盤5Gミリメートル波低損失広帯域無線方式のハイブリッド型RFマルチプレクサは、多数の衛星周波数を用いる移動通信帯域通信システムの出力を相互結合して挿入損失を抑え、PIMD性能を高める長所があり、隣接する周波数の5G移動通信帯域をシングルまたは多重モードを用いて効果的にフィルタリングすることで、フィルタのサイズを縮小して軽量化することができる長所がある。
【0076】
前述したことは、一つ以上の実施例の実例を含む。もちろん、前述した実施例を説明する目的でコンポーネントまたは方法の可能なあらゆる組み合わせを記述できるものではなく、当業者は多様な実施例の多数の追加の組み合わせ及び置換が可能であることを認識することができる。したがって、説明した実施例は、添付の請求の範囲の真意及び範囲内にあるすべての代案、変形及び改造を含むものである。
図1
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図6