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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】シャンプー組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20240221BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240221BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20240221BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/44
A61K8/39
A61Q5/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019217005
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021084902
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】植田 真三久
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-194172(JP,A)
【文献】特開2018-076268(JP,A)
【文献】特開2017-100999(JP,A)
【文献】特開2020-176062(JP,A)
【文献】特開2019-156727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースを0.2質量%以上、
(B)アミノ酸型界面活性剤のトリエタノールアミン塩、及び
(C)ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルを含み、
油性成分の含有量が0.3質量%以下であり、前記(A)成分の含有量に対する、前記(C)成分の含有量の質量比(C)/(A)が5以下であり、実質的に硫酸塩が付加されたアニオン性界面活性剤を含有しないシャンプー組成物。
【請求項2】
さらに(D)1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、及び主鎖が炭素数4未満の1価アルコールから選ばれる少なくとも一種の溶剤を含む請求項1に記載のシャンプー組成物。
【請求項3】
前記(A)成分の含有量に対する、前記(C)成分の含有量と前記(D)成分の含有量の合計の質量比(C+D)/(A)が20以下である請求項2に記載のシャンプー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のカチオン化ポリマー及び特定の界面活性剤を含有し、実質的に硫酸塩が付加されたアニオン性界面活性剤を含有しないシャンプー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、感触を向上させるためカチオン化ポリマー及び油性成分を配合したシャンプー組成物が知られている。例えば、従来より特許文献1に開示されるシャンプー組成物が知られている。特許文献1は、イオン性界面活性剤、カチオン化ポリマーとしてカチオン化セルロース、高分子シリコーン等を配合するシャンプー組成物について開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-120559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カチオン化ポリマーは含有量を増やすと濁りやすく、美観を向上させるために製剤の外観を透明化する場合、所定量カチオン化ポリマーを配合しながら低温及び常温での透明製剤の安定性を向上させることは困難であった。なお、ここでの透明製剤の安定性とは、製剤の透明状態の維持を指す。また、例えば界面活性剤の種類を選択することで透明製剤安定性を改良できたとしても、カチオン化ポリマーによる感触、泡質の効果を保持したまま透明製剤安定性を向上させることは難しく、透明製剤安定性と感触、泡質の両立を図ることは非常に困難であった。また、油性成分は、感触向上効果がカチオン化ポリマーに比べて弱く、また界面活性剤との併用により濁りやすいため、感触を向上させながら、製剤の外観を透明化することは困難であった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、透明製剤安定性と感触、泡質の両立を図ることができるシャンプー組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シャンプー組成物において特定のカチオン化ポリマーの他、アミノ酸型界面活性剤のトリエタノールアミン塩及びヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルを併用することにより、透明製剤安定性と感触、泡質を両立できることを見出したことに基づくものである。尚、成分の含有量を示す質量%の数値は、水等の可溶化剤を使用する場合、それらも含めた剤型中における数値である。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様のシャンプー組成物では、(A)塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースを0.2質量%以上、(B)アミノ酸型界面活性剤のトリエタノールアミン塩、及び(C)ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルを含み、油性成分の含有量が0.3質量%以下で、実質的に硫酸塩が付加されたアニオン性界面活性剤を含有しないことを特徴とする。
【0008】
前記シャンプー組成物において、さらに(D)1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、及び主鎖が炭素数4未満の1価アルコールから選ばれる少なくとも一種の溶剤を含んでもよい。
【0009】
前記シャンプー組成物において、前記(A)成分の含有量に対する、前記(C)成分の含有量と前記(D)成分の含有量の合計の質量比(C+D)/(A)が20以下であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、透明製剤安定性と感触、泡質の両立を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のシャンプー組成物を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態のシャンプー組成物は、少なくとも(A)塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、(B)アミノ酸型界面活性剤のトリエタノールアミン塩、及び(C)ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルを含有し、油性成分の含有量が0.3質量%以下である。さらに、例えば(D)1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、及び主鎖が炭素数4未満の1価アルコールから選ばれる少なくとも一種の溶剤を含有してもよい。
【0012】
(A)成分は、洗髪時の感触を向上させる。また、泡質を向上させる。(A)成分は、ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体である塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム-10(INCI名称))である。具体例としては、例えばレオガードG、同GP、同MLP(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、UCAREポリマーJR-125、同JR-400、同JR-30M、同LR-400、同LR-30M(ダウ・ケミカル社製)、セルコートSC-230M(アクゾノーベル社製)、カチナールLC200、同HC200、同LC-100、同HC-100(東邦化学工業社製)等が挙げられる。
【0013】
本実施形態のシャンプー組成物は、(A)成分以外のカチオン化ポリマーを併用してもよい。(A)成分以外のカチオン化ポリマーの具体例としては、例えば(A)成分以外のカチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム、カチオン化キトサン、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、4級化ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0014】
カチオン化セルロース誘導体の具体例としては、例えばヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド共重合体(ポリクオタニウム-4:例えばセルコートH-100、同L-200(アクゾノーベル社製))等が挙げられる。
【0015】
カチオン化グアーガムの具体例としては、例えばグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド等が挙げられる。カチオン化キトサンの具体例としては、例えばキトサンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド等が挙げられる。
【0016】
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体の具体例としては、例えばジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体(ポリ塩化ジメチルジメチレンピロリジニウム)(ポリクオタニウム-6:例えばマーコート100(ルーヴリゾール社製))、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム-22:例えばマーコート280(ルーヴリゾール社製))、アクリル酸/ジアリル第四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体等が挙げられる。
【0017】
4級化ポリビニルピロリドンの具体例としては、例えばビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体と硫酸ジエチルから得られる4級アンモニウム塩(ポリクオタニウム-11:例えばガフコート734、同755(アイエスピー・ジャパン社製))等が挙げられる。これらのカチオン化ポリマーは、一種のカチオン化ポリマーを単独で使用してもよく、二種以上のカチオン化ポリマーを組み合わせて使用してもよい。これらのカチオン化ポリマーの中で、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体液が好ましい。
【0018】
シャンプー組成物中における(A)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.25質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上である。(A)成分の含有量が0.2質量%以上であると、洗髪時の感触を向上させ、また、泡質を向上させる。
【0019】
シャンプー組成物中における(A)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。(A)成分の含有量が2質量%以下であると、透明製剤の安定性を向上させる。
【0020】
シャンプー組成物中における(A)成分以外のカチオン化ポリマーの含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上である。(A)成分以外のカチオン化ポリマーの含有量が0.05質量%以上であると、洗髪時の感触を向上させ、また、泡質を向上させる。
【0021】
シャンプー組成物中における(A)成分以外のカチオン化ポリマーの含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。(A)成分以外のカチオン化ポリマーの含有量が2質量%以下であると、洗髪時の感触を向上させ、また、泡質を向上させる。
【0022】
シャンプー組成物中において、(A)成分の他、(A)成分以外のカチオン化ポリマーを含む場合、シャンプー組成物中に含まれるカチオン化ポリマーの含有量の合計に対する(A)成分の含有量の質量比(A/カチオン化ポリマーの含有量の合計)の上限は、適宜設定されるが、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.6以下である。かかる質量比が0.8以下であると、透明製剤の安定性を向上させ、洗髪時における感触を向上させる。
【0023】
(B)成分は、透明製剤の安定性を向上させる。また、泡質を向上させる。(B)成分の具体例としては、例えばN-アシルアミノ酸型界面活性剤のトリエタノールアミン塩が挙げられる。N-アシルアミノ酸型界面活性剤は、飽和または不飽和のアシル基を有するアミノ酸の塩、及び同アミノ酸の類縁体の塩である。当該アミノ酸の具体例としては、例えばグルタミン酸、グリシン、アスパラギン酸、アラニン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、トリプトファン、バリン、セリン、N-メチルグリシン(サルコシン)、N-メチルアラニン等が挙げられる。当該アミノ酸の類縁体の具体例としては、例えば2-アミノエタンスルホン酸(タウリン)、N-メチルタウリン等が挙げられる。また、当該酸性アミノ酸及びその類縁体は、D体、L体、及びDL体のいずれであってもよい。アニオン基の対イオンとしては、トリエタノールアミンが適用される。
【0024】
N-アシルアミノ酸型界面活性剤のトリエタノールアミン塩の具体例としては、例えばココイルグルタミン酸トリエタノールアミン(ココイルグルタミン酸TEA)、ココイルメチルタウリントリエタノールアミン、ラウロイルメチルアラニントリエタノールアミン、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン(ラウロイルサルコシンTEA)、ラウロイルアスパラギン酸トリエタノールアミン、ラウロイルメチルタウリントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ミリストイルグルタミン酸トリエタノールアミン、パルミトイルプロリントリエタノールアミン等が挙げられる。(B)成分は、一種類の(B)成分を単独で使用してもよいし、又は二種以上の(B)成分を適宜組み合わせて使用してもよい。これらの中で、洗髪時における感触を改善する効果に優れる観点から、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミンが好ましく、透明製剤安定性の観点から、ラウロイルサルコシントリエタノールアミンが好ましく、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミンとラウロイルサルコシントリエタノールアミンを併用することがより好ましい。
【0025】
シャンプー組成物中における(B)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上である。(B)成分の含有量が1質量%以上であると、透明製剤の安定性を向上させる。また、泡質を向上させる。
【0026】
シャンプー組成物中における(B)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。(B)成分の含有量が15質量%以下であると、洗髪時における感触を向上させる。
【0027】
(C)成分は、特に低温時における透明製剤の安定性を向上させ、また洗髪時における感触を向上させる。
シャンプー組成物中における(C)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。(C)成分の含有量が0.05質量%以上であると、特に低温時における透明製剤の安定性を向上させ、また洗髪時における感触を向上させる。
【0028】
シャンプー組成物中における(C)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。(C)成分の含有量が5質量%以下であると、仕上がり時における感触を向上させる。
【0029】
シャンプー組成物において、(A)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比(C/A)の上限は、適宜設定されるが、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下である。かかる質量比が5以下であると、透明製剤の安定性を向上させ、洗髪時における感触を向上させる。また、泡質を向上させる。
【0030】
シャンプー組成物において、(A)成分の含有量に対する、(B)成分の含有量と(C)成分の含有量の合計の質量比(B+C)/(A)の下限は、適宜設定されるが、好ましくは10以上、より好ましくは15以上、さらに好ましくは20以上である。かかる質量比が10以上であると、透明製剤の安定性を向上させる。
【0031】
シャンプー組成物において、(A)成分の含有量に対する、(B)成分の含有量と(C)成分の含有量の合計の質量比(B+C)/(A)の上限は、適宜設定されるが、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、さらに好ましくは30以下である。かかる質量比が50以下であると、洗髪時の感触を向上させる。また、泡質を向上させる。
【0032】
(D)成分は、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、及び主鎖が炭素数4未満の1価アルコールから選ばれる少なくとも一種の溶剤である。(D)成分は、特に低温時における透明製剤の安定性を向上させる。そのためシャンプー組成物は、(D)成分を配合することが好ましい。(D)成分は、一種類の(D)成分を単独で使用してもよいし、又は二種以上の(D)成分を適宜組み合わせて使用してもよい。主鎖が炭素数4未満の1価アルコールの具体例としては、例えばエタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、tert-ブチルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール等が挙げられる。これらの主鎖が炭素数4未満の1価アルコールの中でも、エタノール、イソプロパノールが好ましい。また、これらの(D)成分の中でジプロピレングリコールが好ましい。
【0033】
シャンプー組成物中における(D)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。(D)成分の含有量が0.1質量%以上であると、特に低温時における透明製剤の安定性を向上させる。
【0034】
シャンプー組成物中における(D)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4.5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。(D)成分の含有量が5質量%以下であると、洗髪時の感触を向上させる。また、泡質を向上させる。
【0035】
シャンプー組成物において、(A)成分の含有量に対する、(C)成分の含有量と(D)成分の含有量の合計の質量比(C+D)/(A)の下限は、適宜設定されるが、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上である。かかる質量比が1以上であると、透明製剤の安定性を向上させる。
【0036】
シャンプー組成物において、(A)成分の含有量に対する、(C)成分の含有量と(D)成分の含有量の合計の質量比(C+D)/(A)の上限は、適宜設定されるが、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、さらに好ましくは16以下である。かかる質量比が20以下であると、洗髪時の感触を向上させる。また、泡質を向上させる。
【0037】
シャンプー組成物において、カチオン化ポリマーの含有量の合計に対する、(C)成分の含有量と(D)成分の含有量の合計の質量比(C+D)/(カチオン化ポリマーの含有量の合計)の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、さらに好ましくは1.5以上である。かかる質量比が0.5以上であると、透明製剤の安定性を向上させる。
【0038】
シャンプー組成物において、カチオン化ポリマーの含有量の合計に対する、(C)成分の含有量と(D)成分の含有量の合計の質量比(C+D)/(カチオン化ポリマーの含有量の合計)の上限は、適宜設定されるが、好ましくは10以下、より好ましくは9以下、さらに好ましくは8以下である。かかる質量比が10以下であると、洗髪時の感触を向上させる。また、泡質を向上させる。
【0039】
油性成分としては、例えば油脂、ロウ類、炭化水素、エステル油、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、シリコーン等のうち、水への溶解性がほとんどないものが挙げられる。
【0040】
油脂の具体例としては、例えばアルガニアスピノサ核油、オリーブ油(オリブ油)、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、月見草油、杏仁油、パーシック油、桃仁油、パーム油、卵黄油等が挙げられる。ロウ類の具体例としては、例えばラノリン、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油等が挙げられる。炭化水素の具体例としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマー、合成スクワラン等が挙げられる。
【0041】
エステル油の具体例としては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2-エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10~30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、2-エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0042】
高級アルコールの具体例としては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2-ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2-オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
【0043】
高級脂肪酸の具体例としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルの具体例としては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0044】
油性成分としてのシリコーンの具体例としては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、高重合シリコーン等が挙げられる。これらの油性成分は、一種の油性成分を単独で使用してもよいし、二種以上の油性成分を組み合わせて使用してもよい。
【0045】
シャンプー組成物中において、油性成分の含有量の上限は、0.3質量%以下、好ましくは0.1質量%以下であり、実質的に油性成分を含有しないことがより好ましい。油性成分の含有量が0.3質量%以下の場合、透明製剤安定性を向上できる。尚、本実施形態における「実質的に油性成分を含有しない」とは、「別途、油性成分を含有させることはしない」という意味であり、各配合成分に含まれる少量の油性成分まで除外するものではない。
【0046】
本実施形態のシャンプー組成物は、実質的に硫酸塩が付加されたアニオン性界面活性剤を含有しない。本実施形態における「実質的に硫酸塩が付加されたアニオン性界面活性剤を含有しない」とは、「別途、硫酸塩が付加されたアニオン性界面活性剤を含有させることはしない」という意味であり、各配合成分に含まれる少量の硫酸塩が付加されたアニオン性界面活性剤まで除外するものではない。より具体的には、硫酸塩が付加されたアニオン性界面活性剤の含有量が1質量%未満であるシャンプー組成物である。なお、シャンプー組成物中における硫酸塩が付加されたアニオン性界面活性剤の含有量は、0.5質量%未満でも、0.1質量%未満でもよく、配合量として0質量%でもよい。シャンプー組成物は、硫酸塩が付加されたアニオン性界面活性剤を実質的に含有しないため、感触を向上できる。
【0047】
シャンプー組成物は、必要に応じて、前述した成分以外の成分、例えば上記以外の可溶化剤、上記以外の水溶性ポリマー、無機物系高分子、上記以外の界面活性剤、pH調整剤、糖、防腐剤、安定剤、動植物又は微生物の抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、キレート化剤、アミノ酸、紫外線吸収剤、無機塩、酸性染料、染毛色材、痒み抑制剤、冷感剤等をさらに含有してもよい。
【0048】
可溶化剤により、シャンプー組成物を液状にする。使用される可溶化剤の例としては、例えば水及び有機溶媒(溶剤)が挙げられる。有機溶媒の具体例としては、例えばベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ-フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、アニスアルコール、p-メチルベンジルアルコール、α-ジメチルフェネチルアルコール、α-フェニルエタノール、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、フェノキシイソプロパノール、2-ベンジルオキシエタノール、N-アルキルピロリドン、炭酸アルキレン、アルキルエーテル等が挙げられる。これらの可溶化剤は、一種の可溶化剤を単独で使用してもよいし、二種以上の可溶化剤を組み合わせて使用してもよい。これらの中で、シャンプー組成物中のその他の成分を溶解する能力に優れることから水が好ましく適用される。溶媒として水が用いられる場合、シャンプー組成物中における水の含有量(使用時の含有量)は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。
【0049】
上記以外の水溶性ポリマーは、シャンプー組成物に適度な粘度を与える。そのため、シャンプー組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において水溶性ポリマーを含有してもよい。水溶性ポリマーとしては、例えば天然高分子、半合成高分子、合成高分子が挙げられる。天然高分子の具体例としては、例えばデンプン、グアーガム、ローカストビーンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、デキストリン、トリグルコ多糖(プルラン)等が挙げられる。
【0050】
半合成高分子の具体例としては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプンリン酸エステル、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸塩等が挙げられる。
【0051】
合成高分子の具体例としては、例えばトリイソステアリン酸PEG-120メチルグルコース、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン-酢酸ビニル(VP/VA)共重合、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニル重合体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキル共重合体、イタコン酸とポリオキシエチレン(以下、「POE」という)アルキルエーテルとの半エステル、又はメタクリル酸とPOEアルキルエーテルとのエステルと、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのアルキルエステルから選ばれる少なくとも一つの単量体と、からなる共重合体が挙げられる。これらの水溶性ポリマーは、一種の水溶性ポリマーを単独で使用してもよいし、二種以上の水溶性ポリマーを組み合わせて使用してもよい。
【0052】
無機物系高分子の具体例としては、例えばベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。これらの無機物系高分子は、一種の無機物系高分子を単独で使用してもよいし、二種以上の無機物系高分子を組み合わせて使用してもよい。
【0053】
上記以外の界面活性剤は、乳化剤又は各成分を可溶化させるための成分としてシャンプー組成物を使用時に乳化又は可溶化させ、粘度を調整したり、粘度安定性を向上させる。また、洗浄性、毛髪の感触を向上させる。そのため、シャンプー組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において上記以外の界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、上記以外のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び上記以外の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0054】
アニオン性界面活性剤の具体例としては、例えばオレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、上記以外のN-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル、上記以外のN-アルキロイルメチルタウリン塩、及びそれらの誘導体等が挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンの具体例としては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアミン等が挙げられる。スルホコハク酸エステルの具体例として、例えばスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム等が挙げられる。
【0055】
カチオン性界面活性剤の具体例としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、ベヘニルジメチルアミン、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリルジメチルアミン、パルミトキシプロピルジメチルアミン、ステアロキシプロピルジメチルアミン、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド等が挙げられる。塩化アルキルトリメチルアンモニウムの具体例としては、例えば塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0056】
両性界面活性剤の具体例としては、例えばココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ヒドロキシアルキル(C12-14)ヒドロキシエチルサルコシン等が挙げられる。
【0057】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えば脂肪酸アルカノールアミド系非イオン性界面活性剤、エーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤、アルキルグルコシド等が挙げられる。
【0058】
脂肪酸アルカノールアミド系非イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アルカノールアミド、ポリアルキレンオキサイド脂肪酸アルカノールアミド等が含まれる。脂肪酸アルカノールアミドの具体例としては、例えばラウリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド等が挙げられる。また、ポリアルキレンオキサイド脂肪酸アルカノールアミドの具体例としては、例えばPOEラウリン酸モノエタノールアミド、POEヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシプロピレンミリスチン酸モノエタノールアミド、ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド等が挙げられる。POEラウリン酸モノエタノールアミドの具体例としては、例えばPEG-3ラウラミド等が挙げられる。
【0059】
エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばPOEセトステアリルヒドロキシミリスチレンエーテル、POEセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、POEポリオキシプロピレンセチルエーテル、POEポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等が挙げられる。POEセトステアリルヒドロキシミリスチレンエーテルの具体例としては、例えばセテアレス-60ミリスチルグリコール等が挙げられる。
【0060】
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばモノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、上記以外のPOEヤシ油脂肪酸グリセリン、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸POEソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル(ラウリン酸ポリグリセリル-10)、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、POE還元ラノリン等が挙げられる。ジステアリン酸ポリエチレングリコールの具体例としては、例えばジステアリン酸PEG-150等が挙げられる。モノイソステアリン酸POEソルビタンの具体例としては、例えばイソステアリン酸PEG-20ソルビタン等が挙げられる。モノラウリン酸POEソルビタンの具体例としては、例えばラウリン酸PEG-80ソルビタン等が挙げられる。
【0061】
アルキルグルコシドの具体例として、例えばアルキル(炭素数8~16)グルコシド、POEメチルグルコシド、POEジオレイン酸メチルグルコシド等が挙げられる。これらの界面活性剤は、一種の界面活性剤を単独で使用してもよいし、二種以上の界面活性剤を組み合わされて使用してもよい。
【0062】
pH調整剤は、シャンプー組成物のpHを調整するために配合してもよい。pH調整剤としては、無機酸、有機酸、それらの塩等が挙げられる。無機酸の具体例としては、例えばリン酸、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸等が挙げられる。さらにリン酸の具体例としては、例えばオルトリン酸、ポリリン酸、ピロリン酸、メタリン酸等が含まれる。有機酸の具体例としては、例えばクエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ピロリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、安息香酸等が挙げられる。有機酸塩の具体例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。糖の具体例としては、例えばグルコース、ガラクトース等の単糖、マルトース、スクロース、フルクトース、トレハロース等の二糖、ソルビトール等の糖アルコール等が挙げられる。防腐剤の具体例としては、例えばパラベン、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。安定剤の具体例としては、例えばフェナセチン、8-ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等が挙げられる。動植物又は微生物の抽出物の具体例としては、例えばサピンヅストリホリアツス果実エキス、加水分解酵母エキス等が挙げられる。酸化防止剤の具体例としては、例えばアスコルビン酸類及び亜硫酸塩等が挙げられる。キレート化剤の具体例としては、例えばエデト酸(エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩類等が挙げられる。アミノ酸の具体例としては、例えばトレオニン、アルギニン、テアニン、タウリン等が挙げられる。無機塩として、例えば塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。痒み抑制剤としては、サリチル酸、その誘導体等が挙げられる。冷感剤としては、例えばl-メントール等が挙げられる。これらのその他成分は、一種のその他成分を単独で使用してもよく、二種以上のその他成分を組み合わせて使用してもよい。
【0063】
シャンプー組成物の25℃における剤型は、外観特性を向上させるため液状の透明製剤である。また、ノンエアゾール等とすることもでき、ノンエアゾールの場合、更にスクイズフォーマー式及びポンプフォーマー式等の種々の形態をとることができる。ここで透明製剤とは、例えば透明の4号規格ビン(約37mL容量)にシャンプー組成物を30mL入れ、目視にて外観観察を行った結果、規格瓶の後ろに置いた8ポイント文字が読み取れる場合を示す。
【0064】
本実施形態のシャンプー組成物の作用及び効果について説明する。
(1)本実施形態のシャンプー組成物は、(A)塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースを0.2質量%以上、(B)アミノ酸型界面活性剤のトリエタノールアミン塩、及び(C)ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルを含み、油性成分の含有量が0.3質量%以下で、実質的に硫酸塩が付加されたアニオン性界面活性剤を含有しない構成を有する。したがって、透明製剤安定性と感触、泡質の両立を図ることができる。
【0065】
(2)シャンプー組成物がさらに(D)成分の溶剤を含む場合、特に低温時における透明製剤の安定性を向上させる。
尚、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0066】
・上記実施形態のシャンプー組成物には、シャンプー組成物(ヘアシャンプー)の他、リンスインシャンプー、スキャルプシャンプー等が含まれるものとする。
・上記実施形態のシャンプー組成物は、保存時に(A)~(D)の各成分が混合して存在すればよく、その他の成分の一部を別剤として保存してもよい。
【実施例
【0067】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。尚、本発明は、実施例欄記載の構成に限定されるものではない。
表1,2に示す各成分を含有する、透明製剤としてのシャンプー組成物をそれぞれ調製した。表1,2における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。まず、ストレートなヒト毛髪ウィッグ(以下、単にウィッグという。)を準備し、そのウィッグを脱色剤(ホーユー社製、プロマスターEX LT)で1回脱色処理し、水洗した後、乾燥させた。この操作により脱色されたウィッグを評価用ウィッグとした。評価用ウィッグを用い、水に濡らしてから各処方のシャンプー組成物を全体に均等に塗布し、ウィッグを揉み込み泡立てた後、水洗いした。タオルドライ後、洗髪時の感触、洗髪時における泡質について、下記基準に従い評価を行った。また、シャンプー組成物について、透明性製剤の安定性を下記基準に従い評価を行った。尚、表中「A」,「B」,「C」,「D」の表記は、本願請求項記載の各(A),(B),(C),(D)成分に対応する化合物を示す。一方、表中「a」「b」「c」の表記は、本願請求項記載の成分(A)(B)(C)の対比化合物を示す。
【0068】
(透明製剤安定性)
透明製剤として調製したシャンプー組成物の安定性について、直径4cmの有底円筒状の透明ガラス容器内にシャンプー組成物を入れ、常温(25℃)で7日間放置した後、正面側から目視確認したときに、容器背面側の文字・図柄を視認にて確認した。同様の方法にて、低温(4℃)で7日間放置した場合においても、正面側から目視確認したときの容器背面側の文字・図柄を視認にて確認した。透明製剤安定性は、下記基準にて評価することにより判断した。
【0069】
常温において、濁りが全くなく、文字・図柄を容易に確認できるものを、優れる(5点)、濁りがほとんどなく、文字・図柄を確認できるものを、良好(4点)、濁りがやや見られるが、文字・図柄を確認できるものを、可(3点)、濁りがやや多く見られ、文字・図柄の確認が困難であるものを、やや不良(2点)、濁りが多く見られ、文字・図柄の確認が確認できないものを、不良(1点)の5段階で採点した。
【0070】
低温の評価は、常温における透明製剤安定性の評価と同様の判断基準にて行った。
各パネラーは、各例のシャンプー組成物のそれぞれについて常温の点数と低温の点数から平均点を求めた。
【0071】
各例のシャンプー組成物の採点結果について、各パネラーの平均値を算出し、平均値が4.1点以上を「◎」、3.1点以上4.1点未満を「〇」、2.1点以上3.1点未満を「△」、及び2.1点未満を「×」とし、評価結果とした。その結果を表1,2の「透明製剤安定性」欄に示した。
【0072】
(感触)
洗髪時の感触について、パネラー5名が以下の基準で判断した。きしみが全くなく感触が非常に良い場合は、優れる(5点)、きしみがなく感触が良い場合は、良好(4点)、きしみが少なく感触がやや良い場合は、可(3点)、きしみがやや強く感触がやや劣る場合は、やや不良(2点)、きしみが強く感触が悪い場合は、不良(1点)の5段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」、及び1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。その結果を表1,2の「感触」欄に示した。
【0073】
(泡質)
シャンプー組成物の泡質を、手で泡を触れた際の感覚及び見た目から判断されるモッチリ感として評価した。具体的には、25℃の条件下平らな板上に、各例のシャンプー組成物を約3g載せて、泡の形状及び手で触れた際の弾力をパネラー5名が観察(官能評価)し、下記基準にて評価した。泡の形状保持性・弾力性がともに非常に高いものを、優れる(5点)、形状保持性・弾力性ともに高いものを、良好(4点)、形状は保持しているが弾力性が高いとは言えないものを、可(3点)、形状保持性・弾力性ともにやや低いものを、やや不良(2点)、形状が保持されず弾力性が非常に低いものを、不良(1点)の5段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」、及び1.6点未満を「不良:1」とし、泡質評価1の結果とした。その結果を表1,2の「泡質」欄に示した。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
表1に示されるように、各実施例は、各評価項目について可以上の結果であることが確認された。
【0076】
表2に示されるように、(C)成分を含有しない比較例1は、各実施例に対して、特に感触の評価が劣ることが確認された。(C)成分の代わりに(c)ステアレス-2を含有する比較例2は、各実施例に対して、特に透明製剤安定性の評価が劣ることが確認された。(B)成分の代わりに(b)ラウロイルサルコシンNa及びココイルグルタミン酸Naを含有する比較例3は、各実施例に対して、透明製剤安定性と感触、泡質の両立ができていないことが確認された。(B)成分の代わりに(b)ラウロイルサルコシンNaを含有する比較例4は、各実施例に対して、透明製剤安定性と感触、泡質の両立ができていないことが確認された。(B)成分の代わりに(b)ココイルグルタミン酸Naを含有する比較例5は、各実施例に対して、透明製剤安定性と感触、泡質の両立ができていないことが確認された。硫酸塩が付加されたアニオン性界面活性剤を含有する比較例6は、各実施例に対して、感触の評価が劣ることが確認された。所定量の油性成分を含有する比較例7は、各実施例に対して、透明製剤安定性及び感触の評価が劣ることが確認された。(A)成分を含有しない比較例8は、各実施例に対して、特に感触及び泡質の評価が劣ることが確認された。(A)成分の含有量が0.2質量%未満である比較例9は、各実施例に対して、特に感触及び泡質の評価が劣ることが確認された。(A)成分の含有量が0.2質量%未満であり、(b)ラウロイルサルコシンNa及びココイルグルタミン酸Naを含有する比較例10は、各実施例に対して、透明製剤安定性と感触、泡質の両立ができていないことが確認された。