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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
A63F5/04 699
A63F5/04 603D
A63F5/04 611A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019226532
(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公開番号】P2021094144
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】長村 友和
(72)【発明者】
【氏名】下森 大輔
(72)【発明者】
【氏名】菅野 聡
(72)【発明者】
【氏名】瀬沼 太郎
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 隆義
(72)【発明者】
【氏名】北 正吾
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 秀明
(72)【発明者】
【氏名】小林 基澄
(72)【発明者】
【氏名】市原 聖之
(72)【発明者】
【氏名】和田 大亮
(72)【発明者】
【氏名】小島 尚之
(72)【発明者】
【氏名】位田 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】深堀 早太
【審査官】金子 和孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-214431(JP,A)
【文献】特開2017-099829(JP,A)
【文献】特開2005-152027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、
所定の役を含む役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、
前記複数のリールを遊技毎に回転させ、停止操作を契機として、前記内部抽選の結果に応じた態様でリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、
遊技の制御を行うメイン制御基板と、
演出の実行を制御する演出制御手段と、
複数種類の遊技状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態制御手段と、
照明手段と、
ベットボタンと、を備え、
前記遊技状態制御手段は、
通常状態においてボーナスが当選したことに基づいて遊技状態をボーナス内部中状態に移行させる処理と、前記ボーナス内部中状態において前記ボーナスが入賞したことに基づいて遊技状態をボーナス作動中状態に移行させる処理と、を実行し、
前記メイン制御基板は、
前記ベットボタンが押下されていない状態で電断が発生し、電断中に前記ベットボタンが押下され、前記ベットボタンが押下されている状態で電断から復帰して前記ベットボタンの操作が有効化される状態になったとしても、当該押下に基づく遊技価値のベットを行わず、
前記ベットボタンの操作が無効化されているエラー中に前記ベットボタンが押下され、前記ベットボタンが押下されている状態で前記ベットボタンの操作が有効化される状態になったとしても、当該押下に基づく遊技価値のベットを行わず、
前記ベットボタンの操作が無効化されている遊技価値の払出中に前記ベットボタンが押下され、前記ベットボタンが押下されている状態で前記ベットボタンの操作が有効化される状態になったとしても、当該押下に基づく遊技価値のベットを行わず、
前記演出制御手段は、
前記ボーナス作動中状態において電断し、電断から復帰した場合に、前記照明手段を所定の色で発光させる演出を実行可能であり、
当該演出は、管理者による所定の操作が必要な状態であることを示唆可能な演出である、ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から遊技機として、外周面に複数の図柄が配列されたリールを複数備えたスロットマシンが知られている。スロットマシンでは、遊技開始に伴ってリールが回転を開始するとともに、抽選テーブルを用いた内部抽選が行われる。また、リールが停止したときに内部抽選に当選した当選役に対応する図柄組合せが複数のリールによって表示されて、この当選役が入賞となると、入賞した当選役に対応する処理として、例えば、メダル(遊技価値)を払い出すメダル払出処理やメダルを新たに消費することなく再度の遊技を可能とする再遊技処理等が行われる。
【0003】
また、所定の役に当選した場合に、この所定役の入賞を補助する指示演出を実行する演出状態であるAT演出状態(アシストタイム演出状態:指示演出状態)を設けたスロットマシンが知られている。このようなスロットマシンでは、AT演出状態においては指示演出が行われることにより、遊技者が当該所定役を入賞させることが容易となり、メダルを獲得することが容易となったりする。この種の遊技機では、AT演出状態でのメダルの獲得性能を向上させるために、ボーナスの当選あるいは入賞に伴って移行する各遊技状態におけるメダルの獲得性能を調整することが知られている。例えば、特許文献1には、ボーナス状態の役物作動状態におけるメダルの獲得性能を抑えることで、AT演出状態におけるメダルの獲得性能を向上させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許5874145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、遊技機は、遊技者に遊技を避けられる可能性を減らすことが求められている。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、遊技者に遊技を避けられる可能性が低減された遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の遊技機は、
通常状態と、ボーナス成立状態と、ボーナス状態とを含む複数種類の遊技状態の間で遊技状態を移行させる制御を行う遊技状態制御手段と、
第1演出状態と第2演出状態とを含む複数種類の演出状態の間で、演出状態を移行させる制御を行う演出状態制御手段と、
演出に関する画像を表示する表示手段と、
前記表示手段を介しての演出を制御する演出制御手段と、を備え、
前記ボーナス状態は、所定の役の入賞を補助する指示機能に係る抽選が行われる頻度が前記ボーナス成立状態よりも低くなっている、または前記抽選が行われないようになっており、
前記第2演出状態は、前記指示機能に関する有利度合いが前記第1演出状態よりも高く、
前記演出制御手段は、
前記第2演出状態において遊技状態が前記ボーナス状態に移行すると、前記ボーナス状態であることを認識できる特定の画像を前記表示手段に表示させ、
前記第1演出状態において遊技状態が前記ボーナス状態に移行すると、前記特定の画像を前記表示手段に表示させない
ことを特徴とする。
【0008】
本発明では、ボーナス状態は、所定の役の入賞を補助する指示機能に係る抽選が行われる頻度が前記ボーナス成立状態よりも低くなっている、または前記抽選が行われないようになっており、第2演出状態は、前記指示機能に関する有利度合いが第1演出状態よりも高くなっており、演出制御手段は、第2演出状態において遊技状態がボーナス状態に移行すると、ボーナス状態であることを認識できる特定の画像を表示手段に表示させ、第1演出状態において遊技状態がボーナス状態に移行すると、特定の画像を表示手段に表示させない。第1演出状態である場合には、遊技状態がボーナス状態に移行しても、ボーナス状態(所定の役の入賞を補助する指示機能に係る抽選が行われる頻度が低い遊技状態)であることを認識できる特定の画像を表示させないため、遊技者が、当該ボーナス状態であると認識する可能性が低くなる。このため、遊技者が遊技機での遊技を止め、席を離れる可能性を低減できる。また、どの遊技機で遊技をするか検討している遊技者が、遊技機の表示を見て、当該遊技機での遊技を回避する可能性を低減できる。これにより、遊技者に遊技を避けられる可能性を減らすことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の遊技機によれば、遊技者に遊技を避けられる可能性を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る遊技機の一例を示す斜視図である。
図2】同、遊技機の概略的な構成を示すブロック図である。
図3】同、遊技機の精算ボタンの操作に基づいて実行される精算処理に関するブロッカーの位置、メイン制御基板(主制御手段)の制御状態、および、サブ制御基板(副制御手段)の制御状態のタイミングチャートである。
図4】同、遊技機の精算処理に係るメイン制御基板側での制御動作のフローチャートである。
図5】同、遊技機の精算処理に係るサブ制御基板側での制御動作のフローチャートである。
図6】同、遊技機の精算処理が行われている間およびその前後における処理を示すタイミングチャート(その1)である。
図7】同、遊技機の精算処理が行われている間およびその前後における処理を示すタイミングチャート(その2)である。
図8】同、遊技機のエラーの種類、エラーコード、および解除方法について示す図である。
図9】同、遊技機の精算処理が行われている間およびその前後における処理を示すタイミングチャート(その3)である。
図10】同、遊技機の精算処理が行われている間およびその前後における処理を示すタイミングチャート(その4)である。
図11】同、遊技機の精算処理が行われている間およびその前後における処理を示すタイミングチャート(その5)である。
図12】本発明の第2の実施の形態に係る遊技機の一例を示す斜視図である。
図13】同、前面扉を開いた状態を示す外観斜視図である。
図14】同、電気的構成を示すブロック図である。
図15】同、エッジ検出処理について説明するための図である。
図16】同、エッジ検出処理を示すフローチャートである。
図17】同、電断復帰時の更新処理を示すフローチャートである。
図18】同、電断が発生した場合における処理について説明するための図である。
図19】同、電断が発生した場合における処理の別の例について説明するための図である。
図20】同、電断復帰時の更新処理の別の例を示すフローチャートである。
図21】本発明の第1の実施の形態に係る遊技機の精算処理が行われている間およびその前後における処理を示すタイミングチャート(その6)である。
図22】本発明の第3の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、その斜視図である。
図23】同、遊技機の概略的な構成を示すブロック図である。
図24】同、内部抽選テーブルを説明するための図である。
図25】同、打順ベルの正解打順を説明するための図である。
図26】同、遊技状態の状態遷移図である。
図27】同、遊技区間および演出状態の状態遷移図である。
図28】同、各遊技状態のメダルの獲得性能を説明するための図である。
図29】同、ボーナス状態において表示される表示の一例を示す図である。
図30】同、第2演出状態において表示される表示の一例を示す図である。
図31】同、第1演出状態において表示される表示の一例を示す図である。
図32】同、レイヤ構造について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施の形態について説明する。本実施の形態は本発明を遊技機の一つであるスロットマシンに適用した場合を例にとって説明するが、本発明は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機等のその他の遊技機に適用されてもよい。また、以下の説明において、基本的に、「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
【0012】
まず、発明が適用されるスロットマシンMの概略構成について説明する。
図1はスロットマシンMを示す斜視図である。
このスロットマシンMは、筐体1を備えており、この筐体1は、底板、左右の側板、天板および背板を備え、当該筐体1の正面側に開口する正面開口部を有する箱形に形成されている。なお、底板の上面には、各部品に電力を供給するための電源装置を内蔵した電源ユニット、遊技媒体(遊技価値)としてのメダルを貯留するとともにメダルを払い出す払い出し装置としてのホッパー装置150(図2参照)等が設けられている。
【0013】
また、筐体1の正面には、筐体1の正面開口部を開閉可能に閉塞する前扉3が設けられており、この前扉3は、前記開口部の上部を開閉可能に閉塞する上扉30と、前記開口部の下部を開閉可能に閉塞する下扉40とを備えている。
筐体1内には、図示しない交換ユニットが着脱可能に設けられている。この交換ユニットは、略直方体状に組まれた金属枠である枠体と、枠体に支持されたリールユニットと、枠体に固定された基板ユニットとを備えている。
【0014】
前記リールユニットは、枠体に設けられた3個のステッピングモータと、各々のステッピングモータの出力軸に固定された3個の回転リール100a,100b,100c(図2参照;図1には示されない)とを備えている。また、前記基板ユニットは、CPU、ROM、RAM、I/O等の電子部品を備えた基板を、基板ケースに収納したものである。そして、前記基板ユニットは、スロットマシンMの遊技を制御するための遊技制御装置として機能する。
【0015】
図1に示すように、上扉30の下部には表示窓31が設けられている。この表示窓31は上側ほど後側に向かうように水平面に対して傾斜して設けられ、この表示窓31の奥には、3個の前記回転リールが横一列に設けられている。各回転リールの外周面には複数種類の図柄が配列されており、回転リールが停止すると表示窓31を通して1リール当たり3個の図柄が表示される。スロットマシンMでは、横3本と斜め2本とからなる計5本の入賞有効ラインが設定されている。
そして、3個の回転リールが停止したときに入賞有効ライン上に停止した図柄の組み合わせによって当選役が入賞したか否かが表示される。
【0016】
また、上扉30の上部には、表示窓31よりも大きい表示窓32がほぼ鉛直に設けられている。この表示窓32は上扉30に設けられた画像表示装置の表示面を見るために設けられたものである。画像表示装置は液晶表示パネルを有し、画像表示装置では、その表示面に遊技機における演出用の画像が表示されるようになっている。また、表示窓32よりも上側に位置される上扉30の左右両側部位には、各種演出音(音楽、効果音、音声等)を出力するスピーカ14が設けられる。
【0017】
また、上扉30の表示窓32の上側中央部には、ロゴシートの表示を遊技者に見せるようになっている横長のトップレンズ33が表示部として設けられている。
また、表示窓32と表示窓31との間には報知や演出などを行なうための横長の照明装置34,35,34が左右に隣接して設けられている。
【0018】
また、表示窓31の左右両側には報知や演出などを行なうための演出用パネル61が設けられ、右側の演出用パネル61には演出ボタン62が設けられている。演出ボタン62は、遊技者によって押下操作されるものであり、押下されることで例えば表示窓32を通して見える画像表示装置に表示される演出画像の態様を変化させ、遊技者に対して遊技への参加意識を高めるとともに、興趣を高めるようにしたものである。例えば、演出ボタン62の操作に連動して画像表示装置に表示される演出画像を選択することができる。なお、演出ボタン62の配置は、これに限定されるものではなく、遊技者が押下操作可能な位置に設けられていればよい。
さらに、上扉30の左右両側にはそれぞれ報知や演出などを行なうための照明装置37が設けられている。
【0019】
また、上扉30は、筐体1内に設けられた前記交換ユニットにヒンジを介して回動可能に連結されることで、筐体1の開口上部を開閉するようになっている。また、下扉40は筐体1にヒンジを介して回動可能に連結されることで、筐体1の開口下部を開閉するようになっている。
【0020】
なお、このスロットマシンMは、分離型筐体タイプの構造を有するものであり、遊技店における機種の交換時に、上扉30が回動自在に取り付けられた交換ユニットを交換するようになっており、機種の交換時に筐体1、下扉40および筐体1内の電源ユニットやホッパー装置150(図2参照)等は、遊技店の島設備に取り付けられたままで、交換されないようになっている。また、スロットマシンMは、分離型筐体タイプに限られるものではなく、機種交換時にスロットマシン全体を交換するものであってもよい。この場合に、前扉3を上扉30と下扉40とに分けない一体の構造としてもよい。また、上扉30と下扉40とに分ける場合に、上扉30を、筐体1の側板にヒンジを介して回動自在に取り付けてもよい。
【0021】
また、上扉30の下端部には、下扉40の前面より後方側で下扉40の上端より下側に突出する係合部が設けられ、下扉40が閉じた状態で、上扉30を開放することができない構造になっている。
【0022】
また、下扉40の下部には、スロットマシンMの内部よりメダルを排出するためのメダル払い出し口と、メダル払い出し口から排出されたメダルを溜めておくためのメダル受け皿43とが形成されている。また、下扉40の上部にはスロットマシンMを操作するための操作部50が設けられており、この操作部50とメダル受け皿43との間には液晶表示パネル45が取り付けられている。また、この液晶表示パネル45の左右両側にはそれぞれ報知や演出などを行なうための照明装置33dが設けられている。
【0023】
操作部50には、メダルを払い出す精算処理を指示するための精算操作部としての精算ボタン52が設けられる。この場合、精算ボタン52の操作に基づく精算処理では、ベットまたはクレジットのうちの少なくとも一方に設定されているメダルが払い出される。すなわち、本実施の形態における精算ボタン52の操作に基づく精算の対象は、クレジットに設定されているメダルのみならず、ベットに設定されているメダルも含む。ここで、ベットおよびクレジットの双方にメダルが設定されている場合の精算ボタン52の操作による精算パターンとしては、例えば、1回目の精算ボタン52の操作によってベットに設定されているメダルおよびクレジットに設定されているメダルの双方が一括して払い出される精算パターンや、1回目の精算ボタン52の操作によってベットに設定されているメダルのみが払い出され、ベットに設定されているメダルの清算後の2回目の精算ボタン52の操作によってクレジットに設定されているメダルが払い出される精算パターンなどを挙げることができる。
また、操作部50には、さらに、遊技を開始させるためのスタートレバー53、3個の回転リールそれぞれの回転を停止させるための3個のストップボタン54、メダルを投入するためのメダル投入口42、メダル投入口42の下方のメダル通路内で発生したメダル詰まりを解消するリジェクトボタン55、最大数の3枚のメダルをベットするときに操作されるMAXベットボタン56(ベットボタン:ベット操作部)等が設けられる他、遊技の演出等を選択するための操作盤57や、表示ユニット58も設けられている。操作盤57は操作部50の幅方向(左右方向)の略中央部に配置され、メダル投入口42およびリジェクトボタン55を挟んで、右側に表示ユニット58が配置されている。なお、操作盤57は、演出等の選択用の十字キー、決定ボタン、キャンセルボタン等を有している。
【0024】
MAXベットボタン56は、上方を向くように配置されており、上方から下方に向かって押し込まれるように形成されている。MAXベットボタン56を動作させるために必要な力(以下、操作力という)は、約1.0Nとなっている。また、MAXベットボタン56は、押圧部と弾性部材とを備えている。押圧部は、遊技者の指等によって押し込み操作される部材であり、樹脂等で形成されている。また、押圧部は、弾性部材によって上方に付勢されている。弾性部材は、押圧部を付勢するとともに、押圧部が押し込み操作された場合には付勢力に抗して弾性変形するように形成されている部材であり、ばね等が用いられている。
また、ストップボタン54は、前方を向くように配置されており、前方から後方に向かって押し込まれるように形成されている。ストップボタン54の操作力は、約0.7Nとなっている。すなわち、ストップボタン54の操作力は、MAXベットボタン56の操作力よりも小さくなっている。
【0025】
また、前述した演出ボタン62は、前方を向くように配置されており、前方から後方に向かって押し込まれるように形成されている。演出ボタン62の操作力は、MAXベットボタン56の操作力よりも大きいか、あるいは同等のものとなっている。演出ボタン62の操作力は、例えば、約3.0Nとなっている。
また、ストップボタン54および演出ボタン62は、MAXベットボタン56と同様に、押圧部と弾性部材とを備えており、ストップボタン54および演出ボタン62の押圧部は、弾性部材によって前方に付勢されている。
また、既述のとおり、MAXベットボタン56の操作力は約1.0Nとなっている。すなわち、押圧部を押し込んで弾性部材を弾性変形させ、MAXベットボタン56が備えるセンサからスイッチON信号(ボタンが押された旨の信号)が出力される位置まで押圧部を移動させるのに必要な荷重(センサ検知荷重)が約1.0Nとなっている。なお、本実施の形態の遊技機においては、センサには、フォトセンサが用いられているが、押圧部の押し込みを検知できるものであればその他のセンサを用いてもよい。フォトセンサは、例えば、押圧部の押し込みによって動く検出物体によって、発光素子から受光素子に向かう光が変化したことを検知すると、スイッチON信号を出力するようになっている。押圧部は、センサ検知荷重より大きな荷重が加えられると、弾性部材を弾性変形させながらさらに移動し、メカストッパーに当接して停止するようになっている。MAXベットボタン56の押圧部の初期位置からメカストッパーに当接するまでの移動距離(フルストローク)は、約2.0mmであり、ONストロークの約2倍となっている。また、MAXベットボタン56の押圧部を初期位置からメカストッパーに当接するまで移動させるために必要な荷重(最大荷重)は、約2.0Nであり、センサ検知荷重(操作力)の約2倍となっている。
ストップボタン54(操作力約0.7N)についても同様の構成となっている。また、ストップボタン54のONストロークは約1.0mmであり、フルストロークはその約2倍の約2.0mmとなっている。また、ストップボタン54のセンサ検知荷重(操作力)は約0.7Nであり、最大荷重はその約2倍の約1.4Nとなっている。
なお、以上の説明で操作力、荷重、ストロークに関して使用される「約」なる用語は、設計誤差や組み付け誤差に伴う±10%程度のばらつきを含む意味である。
【0026】
ここで、本実施の形態の遊技機における基本的な遊技の流れを説明する。遊技者がMAXベットボタン56を押下すると、クレジットされたメダルが投入(ベット)され、遊技を開始することが可能な状態となる。そして、遊技者が遊技を開始する操作としてスタートレバー53を押下する操作を行なうと、回転リールが回転を始め、回転リールの回転速度が所定の速度まで上昇するとストップボタン54の押下操作が有効な状態となる。その後、遊技者が任意のタイミングでストップボタン54を押下していくと、各回転リールが停止する。そして、すべての回転リールが停止すると、遊技の結果に応じて、メダルを払い出す処理や、メダルを新たに消費することなく再度遊技を開始可能な状態とする処理等が行なわれ、1回の遊技が終了する。
【0027】
また、演出ボタン62は、例えば、ボーナスに当たったことや、遊技者にとって有利な状態に移行することが決定したこと等の、遊技者にとって喜ばしいことを遊技者に報知する場合や、遊技者にとっての勝負所等の所定のタイミングで、演出の態様を変化させるための押下操作が有効な状態となる。そして、当該押下操作が有効な状態で、演出ボタン62が押下されると、画像表示装置に表示される演出画像の態様が変化したり、可動役物が動いたりして、演出の態様が変化する。
【0028】
上記から明らかなように、ストップボタン54は、遊技毎に回転リールの数に応じた複数個押下する必要がある。このとき、ストップボタン54の操作力が、MAXベットボタン56および演出ボタン62の操作力よりも小さく設定されていることにより、遊技者は、ストップボタン54の操作に関して軽くて心地よい操作フィーリングを得ることができるとともに、テンポよくすべてのストップボタン54を押下することが可能となる。したがって、遊技者は快適に遊技を行なうことが可能となり、遊技性が向上する。また、このように使用頻度の高いストップボタン54の操作力が小さく設定されていることにより、遊技者の疲労の蓄積が軽減され、遊技性が向上する。
【0029】
また、MAXベットボタン56は、遊技を開始するための操作に用いられることや、上から叩くようにして操作することが可能であることから、強い力で操作されることも多いが、ストップボタン54よりも操作力が大きく設定されていることにより、遊技者は適度に押しごたえのある操作フィーリングを得ることができ、遊技性が向上する。
【0030】
また、演出ボタン62は、ストップボタン54やMAXベットボタン56よりも操作頻度が低い。また、演出ボタン62は、上記のように遊技者にとって喜ばしいことを遊技者に報知する場合や、遊技者にとっての勝負所等で、演出の態様を変化させるための押下操作が有効な状態となるので、気分が高揚した状態の遊技者によって強い力で操作される傾向がある。このような演出ボタン62の操作力が、ストップボタン54の操作力より大きく、かつMAXベットボタン56の操作力以上となるように設定されているので、遊技者は重くてずっしりとした操作フィーリングを得ることができ、遊技性が向上する。
【0031】
図2に示すように、スロットマシンMの内部には、遊技に関するコマンドを決定して該コマンドを送信する主制御手段としてのメイン制御基板70と、メイン制御基板70から前記コマンドを受信してその受信したコマンドに対応する処理を実行する副制御手段としてのサブ制御基板72とが設けられている。メイン制御基板70は、MAXベットボタンを含むベットボタン56、スタートレバー53、ストップボタン54、メダル投入口42から投入されるメダルの通過を検知する通過検知センサ89、精算ボタン52等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行ない、演算結果に基づいてリールユニット(リール100a,100b,100c)、ホッパー装置150等の出力手段の制御を行なう。また、サブ制御基板72は、メイン制御基板70から送られてくる信号(コマンド)を受けて、演出を実行するための各種の演算を行ない、演算結果に基づいて、表示窓32に対応して上扉30に設けられた前述の液晶表示パネルやその他の液晶表示パネル45を含む画像表示装置の液晶ディスプレイDおよびスピーカ14等の演出用の装置の制御を行なう。
【0032】
また、メイン制御基板70とサブ制御基板72とは電気的に接続されており、メイン制御基板70からサブ制御基板72へは遊技状態を示す情報など各種情報(コマンド信号)の送信が可能となっているが、サブ制御基板72からメイン制御基板70へは情報を送信できないようになっている。
また、メイン制御基板70やサブ制御基板72等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0033】
メイン制御基板70は、後述するメダルセレクタ92(図2参照)の動作を制御するセレクタ制御手段93と、投入受付手段80と、乱数発生手段81と、当選役抽選を行なって役の当否を決定する当選役抽選手段82と、リールの回転を制御するリール制御手段83と、全てのリールが停止したときに当選役が入賞したか否かを判定する入賞判定手段84と、遊技状態制御手段85と、各種情報(コマンド信号)を送信するための情報送信手段86と、記憶手段90と、払出制御手段91と、精算制御手段95とを備える。
また、サブ制御基板72は、各種の演出を制御する演出制御手段73と、当選役判定処理を行なう当選役判定手段74と、当選した役が正しくない(エラー)と当選役判定手段74が判定した場合にサブ制御基板72をリセットして初期化する初期化手段75と、演出に関するデータを記憶するサブ側記憶手段76とを備える。
【0034】
メイン制御基板70の投入受付手段80は、遊技ごとにメダルの投入を受け付けて、規定枚数のメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバー53に対する遊技開始操作を有効化する処理を行なう。具体的には、メダル投入口42にメダルが投入されると、通過検知センサ89がメダルの通過を検知することに伴って、投入受付手段80が、3枚を限度として、投入されたメダルを投入状態(ベット状態)に設定する。また、投入受付手段80は、メダルがクレジットされた状態でベットボタン56が押下されると、3枚を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。なお、本実施形態の遊技機では、3枚のメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバー53に対する最初の押下操作が、遊技開始操作として受け付けられ、当該操作を契機としてリール100a~100cの回転が開始されるとともに、当選役抽選等の抽選が行われる。
【0035】
また、メイン制御基板70の投入受付手段80は、リプレイが入賞した遊技の次回の遊技では遊技者の所有するメダルを新たに投入状態に設定しないように制御する。具体的には、前回の遊技でリプレイが入賞した場合には、メダルの投入を受け付けている状態でメダル投入口42にメダルが投入されても投入されたメダルを投入状態に設定することなく、クレジット上限枚数(例えば、50枚)を限度として、投入されたメダルをクレジットする。また、メダルの投入を受け付けている状態においてベットボタン56に対する操作を受け付けないようにして、ベットボタン56が押下されてもクレジットされたメダルを投入状態に設定しないようにする。
【0036】
メイン制御基板70の乱数発生手段81は、抽選用の乱数値を発生させるものである。乱数値は、例えばインクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0037】
メイン制御基板70の当選役抽選手段82は、有効化されたスタートレバー53が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に基づいて当選役抽選テーブルを用いた当選役抽選を行なう。当選役抽選テーブルは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、小役、リプレイおよびボーナスを含む各種の当選役やハズレ(不当選)が対応付けられたものであり、記憶手段90のROMに設けられた当選役抽選テーブル記憶領域に複数格納されている。当選役抽選では、乱数発生手段81から抽選用の乱数値を取得し、この乱数値を当選役抽選テーブルに照合して当選役に当選したか否かを判定し、当該乱数値に対応付けられた当選役が当選となる。
【0038】
メイン制御基板70のリール制御手段83は、メイン制御基板70による制御のもと有効化されたスタートレバー53が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に伴って各リール100a,100b,100cの回転を開始させるとともに、有効化されたストップボタン54が操作されると、操作されたストップボタン54に対応するリールの停止制御を行なう。
【0039】
すなわち、リール制御手段83は、ストップボタン54の各ボタンが操作される毎に、第一リール100a~第三リール100cのうち、操作されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行なう。したがって、3つあるストップボタン54の操作順序(打順)によって、第一リール100a~第三リール100cの停止順序が変化する。
【0040】
メイン制御基板70の入賞判定手段84は、リール100a~100cの回転が停止されると作動され、リール100a~100cの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する。具体的には、リール100a~100cが停止することによって有効ライン上に表示(停止表示)された図柄組合せを、記憶手段90のROMに記憶されている入賞判定テーブル(図示せず)に照合する。入賞判定テーブルには、各当選役のそれぞれの入賞形態(停止表示された場合に入賞となる図柄組合せ)が記憶されており、前述した照合により、入賞の有無や入賞した当選役の種類が判明する。メイン制御基板70は、当選役が入賞した場合、入賞した当選役に対応する入賞処理を実行する。
【0041】
メイン制御基板70の遊技状態制御手段85は、複数の状態間、例えば、通常状態、CBB成立状態(第1ボーナス成立状態)、CBB状態(第1ボーナス状態)、RBB成立状態(第2ボーナス成立状態)、RBB状態(第2ボーナス状態)、RB1成立状態(特定ボーナス成立状態)、およびRB1状態(特定ボーナス状態)の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行なう。
【0042】
メイン制御基板70の情報送信手段86は、当選した役を通知する信号、当該役が当選した当選役抽選時の遊技状態を通知する信号、現在の遊技状態を通知する信号などの他、後述するメダル精算に関連するコマンド信号もサブ制御基板72に送信する。
【0043】
また、メイン制御基板70の払出制御手段91は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払い出し制御処理を行なう。具体的には、例えば小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払い出し数を決定し、決定された払い出し数に相当するメダルをホッパー装置150に払い出させる制御を行なう。
また、メイン制御基板70のセレクタ制御手段93は、前述したように、後述するメダルセレクタ92の動作を制御するようになっている。具体的には、セレクタ制御手段93は、メダルセレクタ92を構成する前述した通過検知センサ89を含む各種のセンサから信号を受け、メダルセレクタ92を構成するブロッカー99の動作を制御する。なお、セレクタ制御手段93を別個に設けることなく、セレクタ制御手段93が投入受付手段80等によって兼ねられてもよい。
【0044】
また、メイン制御基板70の精算制御手段95は、精算ボタン52の操作に基づいて、貯留されているメダル、すなわち、クレジットおよび/またはベットに設定されているメダルをホッパー装置150を通じて払い出す精算処理の実行を制御する。なお、精算制御手段95は、精算ボタン52の操作に基づく精算処理の実行を制御するだけでなく、後述するように、精算処理の完了後に通過検知センサ89による検知を伴うメダルの受け付けを所定期間にわたって許容しないようにブロッカー99の動作を制御してもよい。そのような制御形態の場合には、ブロッカー99を備えるメダルセレクタ92の動作を制御する前述のセレクタ制御手段93が精算制御手段95によって兼ねられてもよい。
【0045】
一方、サブ制御基板72の演出制御手段73は、サブ側記憶手段76のROMに設けられた演出データ記憶領域に記憶されている演出データに基づいて、サブ側記憶手段76のRAMと協働して、液晶ディスプレイD、スピーカ14、および、照明装置33d,34,35,37等の演出用の装置を制御し、演出を行なう。具体的には、メダルの投入やベットボタン56、精算ボタン52、スタートレバー53、ストップボタン54に対する操作、遊技状態の変動等に応じて、液晶ディスプレイDの表示内容を変化させたり、スピーカ14から音を出力させたりすることにより、遊技の進行状況に応じて、遊技を盛り上げたり、遊技を補助するための演出の実行制御を行なう。特に、本実施の形態において、演出制御手段73は、後述するように、精算ボタン52の操作に基づいて、具体的には後述する精算実行中状態および精算終了中状態において、それらの状態を報知する演出音、演出光、および、演出画像を出力するべく、液晶ディスプレイD(45)、スピーカ14、および、照明装置33d,34,35,37等の演出用の装置を制御するようになっている。
【0046】
また、本実施の形態のスロットマシンMには、メダル通路からメダルを排除可能なブロッカー99によってメダル投入口42を通じて投入されるメダルをメダル払い出し口側または通過検知センサ89側へと選択的に導くメダルセレクタ92(図2参照)が設けられており、メダル投入が可能な投入許容期間以外の期間に投入されたメダルや規格外のメダルは、メダル受け付け不許可状態をもたらす不許可位置にある作動状態のブロッカー99によりメダル払い出し口へと導かれるとともに、投入許容期間内に投入された規格内のメダルは、メダル受け付け許可状態をもたらす許可位置にある作動解除状態のブロッカー99により通過検知センサ89へと導かれてメダル投入が検出されるようになっている。
具体的に、メダルセレクタ92は、メダル投入口42から続くメダル通路に、メダル投入口42の近傍に位置される投入検知センサ130(第1のセンサ:図2参照)と、ブロッカー99の下流側に位置される通過検知センサ89(第2のセンサ:図2参照)とを有する。
この場合、投入検知センサ130は、ブロッカー99よりも下流側にある通過検知センサ89とは異なり、ブロッカー99よりも上流側にあるセンサであり、メダル投入口42を通じたメダルの投入を検知してその検知信号をメイン制御基板70へ送る。メイン制御基板70は、投入検知センサ130のON状態が一定時間(例えば0.6秒)以上経過すると、例えば異物が不正にメダル投入口42からメダル通路に挿入されたことなどに起因する異常であると判定するようになっている。
また、通過検知センサ89は、ブロッカー99によってメダル通路から排除されることなく流下する投入許容期間内に投入された規格内のメダルの通過を検知して、その検知信号をメイン制御基板70へ送る。通過検知センサ89は、例えば、メダル通路を挟んで対向する発光部と受光部とにより構成されるフォトインタラプタタイプの赤外線センサから成り、発光部から照射されて受光部に入射する赤外光がメダル通路を流下してきたメダルによって遮られることによりメダルの通過を検知する。通過検知センサ89によってメダルの通過が検知されると、そのメダルによって遊技が可能となる。すなわち、そのメダルのベットまたはクレジットが加算可能となる。
また、通過検知センサ89の上流側に位置してメダルセレクタ92を構成するブロッカー99は、例えばソレノイドに連動して作動してもよい。その場合、例えば、ソレノイドが非励磁状態のときにブロッカー99がコイルバネの付勢力を受けて作動状態となり、ブロッカー99によってメダル通路からメダルを排除できる。一方、ソレノイドが励磁状態のときには、コイルバネの付勢力に抗してブロッカーが移動されて作動解除状態となり、メダルが通過検知センサ89側へと導かれてメダル投入が検出される。なお、このようなメダルセレクタ92の動作は、前述したようにメイン制御基板70のセレクタ制御手段93によって制御される。
なお、ブロッカー99の位置が不許可位置に移動するように制御されている状態にも拘わらず、不正行為等によりブロッカー99の位置を許可位置に移動させてメダルを通過検知センサ89に検知させた場合には、そのメダルの受け付けが許容されず、ベットまたはクレジットが加算されることなくエラー処理が実行される。ただし、必ずしもこのような構成にする必要は無い。すなわち、通過検知センサ89による検知を伴うメダルの受付を許容しないメダル受け付け不許可状態は、例えばブロッカー99の位置を不許可位置にすることによって実現可能であるが、このようなメダル受け付け不許可状態において誤動作あるいは不正等によって、通過検知センサ89をメダルが通過してしまう場合に、通過検知センサ89がメダルを検知しメダルがベットまたはクレジットされる構成としてもよく、通過検知センサ89がメダルを検知しエラー処理が実行される構成としてもよく、通過検知センサ89がメダルを検知しない(反応しない)構成としてもよい。
【0047】
そして、さらに、本実施の形態のスロットマシンMでは、精算ボタン52の押下操作に基づく精算処理の完了後に、精算が終了した旨の音声等の精算終了演出音、すなわち、精算処理完了を報知する演出音が出力されるとともに、通過検知センサ89による検知を伴うメダルの受け付けを所定期間にわたって許容しない精算終了中状態を伴うようになっている。以下、これについて詳しく説明する。
なお、ここで、「通過検知センサ89による検知」とは、適正なメダルの通過検知および異常なメダルの通過検知の双方を含む。また、「通過検知センサ89による検知を伴うメダル(遊技媒体)の受け付け」とは、通過検知センサ89により適正にメダルの通過を検知してベットまたはクレジットがされることを指す。さらに、「通過検知センサ89による検知を伴うメダル(遊技媒体)の受け付けを所定期間にわたって許容しない精算終了中状態」とは、通過検知センサ89によるメダルの通過検知自体がブロッカー99によって阻止されるというハード的な意味と、通過検知センサ89によって異常なメダルの通過検知がなされた場合であってもベットまたはクレジットがされないというソフト的な意味とを含む概念である。
【0048】
図3には、精算ボタン52の操作に基づいて実行される精算処理に関するブロッカー99の位置、メイン制御基板70の制御状態、および、サブ制御基板72の制御状態のタイミングチャートが示されている。また、図4には、精算処理に係るメイン制御基板70側での制御動作のフローチャートが示され、図5には、精算処理に係るサブ制御基板72側での制御動作のフローチャートが示されている。
図3に示されるように、所定の遊技の終了時には、スロットマシンMは、通常、ブロッカー99が許可位置に設定されたメダル受け付け許可状態Aにある。このとき、メイン制御基板70が精算ボタン52の押下操作に基づく精算処理を伴わない非精算中状態C1にあるとして(図4のステップS1)、以下、話を進める。
この非精算中状態C1はメイン制御基板70の制御によってもたらされる。この非精算中状態C1では、前述したようにメダルセレクタ92のブロッカー99が許可位置にあるため、メダル投入口42を通じて投入されたメダルは、通過検知センサ89へと導かれて検出され、ベットまたはクレジットされる。また、このメダル受け付け許可状態Aにおいて、サブ制御基板72は、非精算中演出状態C1’をもたらす制御を行ない(図5のステップS10)、それにより、液晶ディスプレイDおよびスピーカ14を通じて通常演出や通常演出から移行するデモ演出が実行される。
【0049】
また、このようなメダル受け付け許可状態Aで、精算ボタン52が押下操作されると、スロットマシンMがメダル受け付け不許可状態Bとなる(図3参照)。具体的には、特定期間(例えば1秒)を超える精算ボタン52の押下操作に基づいて、メイン制御基板70の制御により、特に本実施の形態ではセレクタ制御手段93を兼ねてもよい精算制御手段95による制御によって、前述したメダルセレクタ92のブロッカー99が不許可位置に移動する。したがって、メダル投入口42を通じてメダルが投入されても、そのメダルは、不許可位置にある作動状態のブロッカー99によりメダル払い出し口へと導かれてメダル受け皿43へと排出される。なお、このように特定期間(例えば1秒)を超える精算ボタン52の押下操作に伴って精算処理が開始される場合、ブロッカー99が不許可位置に移動するタイミングは、精算ボタン52の押下操作と同時であってもよい。このように、精算処理が開始される前に予めブロッカー99を不許可位置に移動させておくと、精算処理とベットまたはクレジットの加算処理とが同時期に実行されてしまうという処理負担を発生させないようにすることができる。
また、メイン制御基板70(精算制御手段95)は、このように精算ボタン52が押下操作される(図4のステップS2においてYESの場合)と、情報送信手段86を介して精算開始コマンドをサブ制御基板72へ送信する(図4のステップS3)とともに、ホッパー装置150を作動させて、貯留されているメダル、すなわち、クレジットおよび/またはベットに設定されているメダルがメダル払い出し口からメダル受け皿43へ排出される精算実行中状態C2をもたらす制御を行なう(図4のステップS4)。
【0050】
なお、この精算を開始させるための特定期間を超える精算ボタン52の押下操作に関し、メイン制御基板70は、精算ボタン52が押下操作されている当該特定期間中にベットボタン56が押下操作されても、クレジットされたメダルを投入状態に設定する処理(ベット処理)を行わないこととしてもよい。すなわち、特定期間中は、ベットボタン56の押下操作に基づくメダルのベットが行われないようにしてもよい。このような構成によれば、ベットと精算という相反する処理の両立を防止することができる。なお、このように構成する場合、特定期間中に押下されたベットボタン56が、精算ボタン52の押下操作が解除されるまで、または精算処理が終了するまで、押下され続けたとしても、メダルのベットが行われないようにしてもよい。また、ベットボタン56が押下されている状態において、精算ボタン52が押下され、特定期間を超える精算ボタン52の押下操作がされたとしても、精算処理が行われないようにしてもよい。
また、この精算を開始させるための特定期間を超える精算ボタン52の押下操作に関し、メイン制御基板70は、精算ボタン52が押下操作されている当該特定期間中にベットボタン56が押下操作された場合に、クレジットされたメダルを投入状態に設定する処理(ベット処理)を行うこととしてもよい。このような構成によれば、相反する処理を両立させることができる。
【0051】
一方、サブ制御基板72は、メイン制御基板70から精算開始コマンドを受ける(図5のステップS11においてYESの場合)と、液晶ディスプレイD(45)を通じて精算実行中である旨を報知する演出画像を表示し、スピーカ14を通じてブザー音を鳴らすなどして精算実行中である旨を報知する第1の演出音(精算実行中演出音)を出力するとともに、照明装置33d、34,35,37のうちの少なくとも1つを通じて精算実行中である旨を報知する演出光を出力する精算実行中演出状態C2’をもたらす制御を行なう(図5のステップS12)。なお、図3には、精算実行中状態C2の期間および精算実行中演出状態C2’の期間が共にP1で示されている。
【0052】
そして、ホッパー装置150の動作に伴ってメダルをメダル受け皿43へ排出させる精算処理が完全に終了する(図4のステップS5においてYESの場合)と、メイン制御基板70(精算制御手段95)は、情報送信手段86を介して精算終了コマンドをサブ制御基板72へ送信する(図4のステップS6)とともに、通過検知センサ89による検知を伴うメダルの受け付けを所定期間にわたって許容しない精算終了中状態C3をもたらす制御を行なう(図4のステップS7)。すなわち、メイン制御基板70の精算制御手段95は、メダルセレクタ92のブロッカー99を依然として不許可位置のまま維持し、そのため、スロットマシンMはメダル受け付け不許可状態Bに保たれる。したがって、メダル投入口42を通じてメダルが投入されても、そのメダルは、不許可位置にあるブロッカー99によりメダル払い出し口へと導かれてメダル受け皿43へと排出される。このことは、無論、前述した精算実行中状態C2においても当てはまる。すなわち、精算実行中状態C2においても、通過検知センサ89による検知を伴うメダルの受け付けが許容されない。
【0053】
一方、サブ制御基板72は、メイン制御基板70から精算終了コマンドを受ける(図5のステップS13においてYESの場合)と、液晶ディスプレイDを通じた精算実行中である旨を報知する前述した演出画像の表示と照明装置33d、34,35,37のうちの少なくとも1つを通じた精算実行中である旨を報知する前述した演出光の出力とを維持しつつ、例えば約2秒程度にわたって前述した第1の演出音とは異なる精算処理完了を報知する第2の演出音(精算終了演出音)、具体的には本実施の形態では、精算処理完了を報知する音声(例えば「精算終了しました」などという音声)をスピーカ14を通じて出力する精算終了中演出状態C3’をもたらす制御を行なう(図5のステップS14)。
なお、第2の演出音は、精算処理の時間(メダルの払い出しにかかった時間)に関わらず、報知の時間(音の出力期間)が一定となっている。一方、第1の演出音は、精算処理の時間(メダルの払い出しにかかる時間)に応じて、報知の時間(音の出力期間)が異なるようになっている。
【0054】
ここで、本実施の形態では、精算終了中状態C3の期間P2(図3参照)内に第2の演出音の出力が終了するようになっている。すなわち、精算終了中演出状態C3’は、精算終了中状態C3の期間P2と同じ期間P2にわたる一方で、第2の演出音を出力している期間P3と、第2の演出音を出力していない無音の期間P4とを有する。言い換えると、精算終了中状態C3の期間P2が第2の演出音を出力している精算終了中演出状態C3’の期間P3よりも長く設定されている。そして、本実施の形態では、さらに、第2の演出音の出力の終了(精算終了中演出状態C3’の期間P3の終了)時から精算終了中状態C3の期間P2の終了時までの時間(期間)P4、すなわち、第2の演出音を出力していない無音の期間P4は、メダルがメダル投入口42から投入されて通過検知センサ89によって検知されるまでの時間、すなわち、第2の演出音の出力中にメダル投入口42から投入されたメダルがメダル投入口42から通過検知センサ89へと至るメダル通路に残っている可能性がある期間よりも長く設定されている。本実施の形態の場合、メダルがメダル投入口42から投入されて通過検知センサ89によって検知されるまでの時間が約0.1秒~0.65秒、例えば約0.3秒に設定され、あるいは、変形例では、メダルが投入検知センサ130により検知されてから通過検知センサ89によって検知されるまでの時間が約0.1秒~0.65秒、例えば約0.3秒に設定されるため、期間P4は例えば約0.7秒に設定される。
【0055】
具体的には、制御動作の流れとして、メイン制御基板70の精算制御手段95は、図4に示されるように、精算終了中状態C3になった後、所定時間が経過したか否かを判断する(図4のステップS8)。無論、この場合の「所定時間」(精算終了中状態C3の期間P2)は、前述したように、精算終了中演出状態C3’の期間P3よりも長い期間であり、本実施の形態では、精算終了中演出状態C3’の期間P3よりもさらに、メダルがメダル投入口42から投入されて通過検知センサ89によって検知されるまでの時間を超える時間、例えば約2.7秒にわたる。そして、メイン制御基板70の精算制御手段95は、精算終了中状態C3になった後、所定時間が経過する(図4のステップS8においてYESの場合)と、情報送信手段86を介して精算終了中状態終了コマンドをサブ制御基板72へ送信して(図4のステップS9)、前述した非精算中状態C1に戻るように制御を行なう(図4のステップS1)。したがって、スロットマシンMはメダル受け付け許可状態Aとなる。
【0056】
一方、サブ制御基板72は、第2の演出音を出力する精算終了中演出状態C3’の期間P3に入った後、図5に示されるように、所定時間が経過したか否かを判断する(図5のステップS15)。無論、この場合の「所定時間」(精算終了中演出状態C3’の期間P3)は、前述したように、精算終了中状態C3の期間P2よりも短い期間である。そして、サブ制御基板72は、精算終了中演出状態C3’の期間P3に入った後、所定時間が経過する(図5のステップS15においてYESの場合)と、第2の演出音の出力を終了し(図5のステップS16)、前述した非精算中演出状態C1’に戻るように制御を行なう(図5のステップS10)。
【0057】
ここで、精算終了中状態C3の終了時にメイン制御基板70からサブ制御基板72へ送信される精算終了中状態終了コマンドは、サブ制御基板72側での動作のための何らかのトリガ信号として作用してもよい。例えば、サブ制御基板72は、第2の演出音の出力終了後、メイン制御基板70から精算終了中状態終了コマンドを受けるまでの間、すなわち、期間P4の間、液晶ディスプレイDや照明装置等を通じてメダル受け付け不許可状態Bを報知する何らかの演出を実行し、その後、精算終了中状態終了コマンドを受信した時点で、非精算中演出状態に対応する演出(例えばデモ演出)を実行してもよい。無論、精算終了中状態C3の終了時にメイン制御基板70からサブ制御基板72へ精算終了中状態終了コマンドが送信されなくてもよい。また、この実施の形態では、ステップS15における所定時間の経過がサブ制御基板72自体により管理されているが、ステップS15における所定時間の経過は、メイン制御基板70によって管理されてもよく、例えばメイン制御基板70からのコマンド信号によってステップS16における第2の演出音の出力の終了がなされてもよい。
【0058】
なお、以上のような制御動中、特に第2の演出音の出力中に、停電、瞬断を含めて電断(電源遮断)/電断復帰が生じた場合、メイン制御基板70側で、精算終了中状態C3の途中から復帰する動きになると、すなわち、電断時の精算終了中状態経過時間から残存時間の計測を再開すると、電断前に経過した時間分だけ復帰後の精算終了中状態C3の期間が短くなる。そのため、その状態で、サブ制御基板72側が第2の演出音を再び出力してしまうと、精算終了中演出状態C3’の期間P3が復帰後の精算終了中状態C3の期間よりも長くなってしまう虞がある。したがって、本実施の形態では、電断復帰後、サブ制御基板72が第2の演出音を出力させないようにする一方で、演出光および演出画像は初期状態で復帰するようにすることが好ましい。これは、第2の演出音の途中から再開されてしまうと、遊技者に適切な情報の報知ができないからである。
あるいは、そのような電断対策の他の例として、精算実行中状態C2の途中で電断/電断復帰(停電、瞬断を含む)した場合、メダルの精算処理は、電断前に既に精算されたメダルを除く残りのメダルの精算から再開されるとともに、精算実行中演出状態C2’における演出は、第1の演出音(効果音やブザー音)の出力から再開され、精算実行中である旨を報知する演出光(例えば赤点灯)の点灯も再開されるが、演出画像は初期状態であるデモ演出で復帰するようにしてもよい。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態においては、精算実行中状態C2の後、すなわち、精算ボタン52の操作に基づく精算処理の完了後、その精算処理完了を報知する第2の演出音が出力される状況で、通過検知センサ89による検知を伴うメダルの受け付けを許容しない精算終了中状態C3となるため、一般にメダル受け付け不許可状態であると遊技者に認識され易い第2の演出音の出力中に、スロットマシンM側でメダル受け付け不許可状態Bにすることが可能となり、したがって、メダルの投入受け付けの可否に関して遊技者の認識とスロットマシンMの実際の状態との間にずれを生じさせないようにすることができる。すなわち、遊技者がメダル受け付け不許可状態であると認識しているような状況でメダルをスロットマシンM側で受け付けないようにすることができ、したがって、前述したような誤認に伴う不測の不利益を遊技者に与えないで済む。
【0060】
また、本実施の形態では、精算終了中状態C3の期間P2内に(すなわち、期間P3の終了時に)サブ制御基板72の制御によって第2の演出音の出力が終了するため、第2の演出音の出力中にメダル受け付け許可状態になることを確実に防止することができ、前述した作用効果を確実ならしめることができる。
【0061】
さらに、本実施の形態において、第2の演出音の出力の終了(精算終了中演出状態C3’の期間P3の終了)時から精算終了中状態C3の期間P2の終了時までの時間P4は、メダルがメダル投入口42から投入されて通過検知センサ89によって検知されるまでの時間よりも長く設定されている。サブ制御基板72による第2の演出音の出力の終了(精算終了中演出状態C3’の期間P3の終了)時から精算終了中状態C3の期間P2の終了時までの時間が、メダル投入口42から投入されるメダルを通過検知センサ89によって検知するまでの時間よりも短い場合には、第2の演出音の出力中に投入されたメダルが通過検知センサ89を通過するまでに精算終了中状態C3の期間が終了してそのメダルが通過検知センサ89によって検知される場合もあり得るため、結果として、第2の演出音の出力中のメダルの投入受け付けを可能にしてしまうが、本実施の形態のようにサブ制御基板72による第2の演出音の出力の終了時から精算終了中状態C3の期間P2の終了時までの時間P4を、メダルがメダル投入口42から投入されて通過検知センサ89によって検知されるまでの時間よりも長く設定すれば、第2の演出音の出力中に投入されたメダルを受け付けることなく完全に無効にすることができ、メダルの投入受け付けの可否に関して遊技者の認識とスロットマシンMの実際の状態との間で生じ得るずれを確実に回避できる。さらに、変形例としては、前述のように、第2の演出音の出力の終了時から精算終了中状態C3の期間P2の終了時までの時間P4を、メダルが投入検知センサ130により検知されてから通過検知センサ89によって検知されるまでの時間よりも長く設定することが考えられる。このような変形例によっても、メダルの投入受け付けの可否に関して遊技者の認識とスロットマシンMの実際の状態との間で生じ得るずれを回避できる。また、このような変形例によれば、時間P4の長さを、投入検知センサ130から通過検知センサ89までのメダルの通過時間に基づいて規定できるので、メダル投入口42の形状等に関らず、投入検知センサ130と通過検知センサ89との間隔に基づいて画一的に時間P4の長さを決定することができ、設計が容易となる。
【0062】
なお、精算終了中状態C3であって、第2の演出音の出力が終了した後においても(すなわち、期間P4においても)、サブ制御基板72は、液晶ディスプレイDを通じた演出画像の表示または/および照明装置33d,34,35,37のうちの少なくとも1つを通じた演出光の出力により、精算終了中状態C3であることを報知することとしてもよい。すなわち、例えば精算終了中状態C3(精算終了中演出状態C3’)であって、第2の演出音の出力中(期間P3)において、照明装置33d,34,35,37を赤く光らせることにより精算終了中状態C3であることを報知とともに、精算終了中状態C3(精算終了中演出状態C3’)であって、第2の演出音の出力が終了した後(期間P4)においても、照明装置33d,34,35,37を赤く光らせることにより精算終了中状態C3であることを報知することとしてもよい。これにより、精算が完了し、その旨を報知する第2の演出音の出力も終了したが、未だ精算終了中状態C3であり、メダル受け付け不許可状態(通過検知センサ89によるメダルの検知がされない状態)であることを遊技者が認識可能となる。換言すると、サブ制御基板72は、精算終了中状態C3において、演出音の報知中と、前記演出音の報知の終了時から前記精算終了中状態の終了時までの間とで、同様の演出光が発せられるようにする制御を行うようにしてもよい。また、このような液晶ディスプレイDあるいは照明装置33d,34,35,37を通じた精算終了中状態であることの報知は、精算終了中状態C3(精算終了中演出状態C3’)の終了(すなわち、期間P4の終了)とほぼ同時に終了するようにしてもよい。
【0063】
なお、このような精算終了中状態C3であることを報知する演出光または演出画像は、精算実行中状態C2であることを報知する演出光または演出画像(実際にメダルを払い出している時の演出光または演出画像)と同様であってもよく、異なっていてもよい。例えば、前者の演出光を照明装置33d,34,35,37の赤色点灯とした場合に、後者の演出光を照明装置33d,34,35,37の赤色点灯(同系統色の点灯)としてもよく、白色点灯(異系統色の点灯)としてもよい。すなわち、精算終了中状態C3であることを報知する演出光または演出画像とは、精算に係る後処理を実行中であり、まだメダル受け付け不許可状態であること遊技者が認識可能なものであればよい。
【0064】
一般に、精算処理に関連する音声等の演出音を出力する場合、とりわけ、遊技者にとってメダル投入を意識し易い精算処理終了時に精算を終了した旨の精算終了演出音を出力する場合には、メダル投入受け付けの可否に関して遊技者の認識とスロットマシン側の実際のメダル投入受け付け状態との間にずれを生じさせる場合がある。スロットマシンには、メダル通路からメダルを排除可能なブロッカーによってメダル投入口を通じて投入されるメダルを、メダル払い出し口側または通過検知センサ側へと選択的に導くメダルセレクタが設けられており、メダル投入が可能な投入許容期間以外の期間に投入されたメダルや規格外のメダルは、作動状態のブロッカーによりメダル払い出し口へと導かれる(メダル(遊技媒体)受け付け不許可状態とも称する)とともに、投入許容期間内に投入された規格内のメダルは、作動解除状態のブロッカーにより通過検知センサへと導かれてメダル投入が検出される(メダル(遊技媒体)受け付け許可状態とも称する)ようになっているが、精算処理終了後に精算終了演出音を出力すると、一般にこの精算終了演出音出力中は(精算終了演出音が止むまで)メダル受け付け不許可状態であると遊技者に認識され易く、したがって、この精算終了演出音出力中にスロットマシンM側でメダル受け付け許可状態になっている場合には、メダル受け付け許可状態になっていると認識できない遊技者と実際にメダル受け付け許可状態となっているスロットマシンMとの間でメダル投入受け付けの可否に関して一致しない時間帯が発生し得る。
このように遊技者がメダル受け付け不許可状態であると認識しているような状況で遊技機がメダルを受け付けると、遊技者に不測の不利益を生じさせる虞がある。例えば、精算終了演出音が出力されている最中に遊技者がメダルを投入してしまったような場合、遊技機側ではその投入されたメダルが受け付けられてベットされているにもかかわらず、精算終了演出音出力中はメダル受け付け不許可状態であると認識している遊技者は、その投入したメダルがブロッカーによってメダル払い出し口側から下皿へと返却されているものだと誤認してしまい、精算ボタンの操作によって投入したメダルを払い出すことなく遊技を終了してしまう場合がある。そのような事態は遊技者の利益を損ない、望ましくない。
【0065】
本実施の形態に係るスロットマシンMにあっては、遊技媒体の投入受け付けの可否に関して遊技者の認識と実際の遊技機状態との間にずれを生じさせない。すなわち、精算操作部(精算ボタン52)の操作に基づく精算処理の完了後、その精算処理完了を報知する演出音が出力される状況で、通過検知センサ89による検知を伴う遊技媒体の受け付けを許容しない精算終了中状態となるため、一般に遊技媒体受け付け不許可状態であると遊技者に認識され易い前記演出音の出力中に、遊技機側で遊技媒体受け付け不許可状態にすることが可能となり、したがって、遊技媒体の投入受け付けの可否に関して遊技者の認識と実際の遊技機状態との間にずれを生じさせないようにすることができる。すなわち、遊技者が遊技媒体受け付け不許可状態であると認識しているような状況で遊技媒体を遊技機側で受け付けないようにすることができ、したがって、前述したような誤認に伴う不測の不利益を遊技者に与えないで済む。なお、上記構成において、「貯留されている遊技媒体」とは、遊技に関連して少なくとも電子的に遊技機に貯められている遊技媒体を指す。
【0066】
また、副制御手段(サブ制御基板72)による演出音の出力は、精算終了中状態の期間内に終了することが好ましい。これによれば、演出音出力中に遊技媒体受け付け許可状態になることを確実に防止することができる。ここで、「精算終了中状態の期間内に副制御手段による演出音の出力が終了する」とは、精算終了中状態の期間の終了と同時に副制御手段による演出音の出力が終了することも含む。
【0067】
また、前記演出音の出力の終了時から精算終了中状態の終了時までの時間は、遊技媒体が第1のセンサ(投入検知センサ130)によって検知されてから第2のセンサ(通過検知センサ89)によって検知されるまでの時間よりも長くされていることが好ましい。副制御手段(サブ制御基板72)による演出音の出力の終了時から精算終了中状態の終了時までの時間が、遊技媒体が第1のセンサ(投入検知センサ130)によって検知されてから第2のセンサ(通過検知センサ89)によって検知されるまでの時間よりも短い場合には、演出音出力中に投入された遊技媒体が第1のセンサを通過した後、第2のセンサによって検知されるまでの間に精算終了中状態の期間が終了してその遊技媒体が第2のセンサによって検知される場合もあり得るため、結果として、演出音出力中の遊技媒体の投入受け付けを可能にしてしまうが、副制御手段(サブ制御基板72)による演出音の出力の終了時から精算終了中状態の終了時までの時間を、遊技媒体が第1のセンサによって検知されてから第2のセンサによって検知されるまでの時間よりも長く設定すれば、演出音出力中に投入された遊技媒体を受け付けることなく無効にすることができ、遊技媒体の投入受け付けの可否に関して遊技者の認識と実際の遊技機状態との間で生じ得るずれを回避できる。
【0068】
図1で示したように、スロットマシンMにおける演出用パネル61には、演出に用いられる演出操作部(演出に関する操作に用いられる第1の演出操作部)としての演出ボタン62が設けられている。この演出ボタン62は、例えば操作部50等に設けられていてもよい。また、演出ボタン62の押圧部は、円形状に限らず、四角形状等であってもよい。また、本実施の形態では、演出操作部を演出ボタン62としているが、演出操作部を、例えば、傾動操作が可能なレバーや、タッチ(指等の接触)を検出可能なタッチパネル、物体による遮光等を検出可能な光電センサ等としてもよい。
【0069】
以下、3停止とは、その遊技で、ストップボタン54のうちいずれか2つのストップボタンが押下操作された状態において、ストップボタン54のうちいずれか有効なボタンを押下する操作をいう。本実施の形態では、例えば、遊技者にとって勝負所等のタイミングである場合、3停止以降に、サブ制御基板72が、演出ボタン62を、押下操作を受け付け可能な状態(すなわち押下操作が有効化された状態)とする。このとき、サブ制御基板72は、その旨を示す画面を液晶ディスプレイDに表示するとともに、演出ボタン62を点灯させる。
【0070】
また、以下、図1で示した操作盤57を、演出設定操作部(演出に関する操作に用いられる第2の演出操作部)としての十字ボタン57とする。十字ボタン57は、演出の設定を含む操作に用いられる。演出の設定としては、例えば、音量の調整、キャラクターの選択等がある。
十字ボタン57は、少なくとも、中央に配置されたメインボタンと、メインボタンの周囲に配置された選択ボタン(方向操作ボタン)とを備えている。選択ボタンには、上ボタン、左ボタン、下ボタンおよび右ボタンがある。なお、選択ボタンは、複数からなるもの(上下左右が独立しているもの)であっても、一体となっているものでもよい。また、演出設定操作部は、十字ボタン(十字キー)に限らず、例えば、少なくとも2つのボタンを備えたものや、メインボタンとジョグダイヤルとを備えたもの、あるいはタッチ(指等の接触)を検出可能なタッチパネル等であってもよい。非遊技中に、十字ボタン57(例えばメインボタン)が押下されると、サブ制御基板72は、メニュー画面を液晶ディスプレイDに表示する。換言すると、十字ボタン57は、メニュー画面突入ボタンとしての機能を果たす。また、非遊技中に、十字ボタン57(例えば左右ボタン)が押下されると、サブ制御基板72は、音量変更画面を液晶ディスプレイDに表示する。換言すると、十字ボタン57は、音量変更画面突入ボタンとしての機能を果たす。
なお、メニュー画面からは、演出態様の設定(例えば、演出にメインで登場するキャラクターの設定や、役またはボーナス等の当選の報知態様の設定)、遊技履歴の参照やユーザー端末(遊技者のスマートフォン等)への転送、役の表示態様の確認等が可能となっている。また、メニュー画面から音量の設定や照明装置の発光強度の設定等が可能となっていてもよい。すなわち、メニュー画面が音量変更画面を兼ねていてもよい。
【0071】
メイン制御基板70は、精算ボタン52が押下操作されたことを検出すると、精算開始コマンドをサブ制御基板72に送信するとともに、精算処理(払出処理)を開始(実行)する。
サブ制御基板(制御手段)72は、精算開始コマンドをメイン制御基板70から受信すると、精算処理(精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出し)の実行を報知する。サブ制御基板72は、精算処理の実行の報知として、精算中である旨を報知する画面(以下、精算中報知画面という)を液晶ディスプレイDに表示するとともに、精算中である旨を報知する演出音(以下、精算中報知音という:例えば効果音やブザー音)を、スピーカ14を介して出力する。また、サブ制御基板72は、精算中である旨を報知する演出光(以下、精算中ランプという:例えば赤色)を、照明装置33d、34,35,37のうちの少なくとも1つを通じて出力(点灯)する。
【0072】
メイン制御基板70は、精算処理が終了すると、精算終了コマンドをサブ制御基板72に送信する。サブ制御基板72は、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、精算処理の実行の報知を停止し、精算処理の完了(精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出しの完了)の報知を行う。サブ制御基板72は、精算処理の完了の報知として、精算処理の完了を報知する演出音(以下、精算完了音声という)を、スピーカ14を介して出力する。精算完了音声としては、例えば「精算しました」というものがある。なお、本実施の形態では、サブ制御基板72は、精算処理の完了の報知として、精算中報知画面の表示および精算中ランプの点灯を行う。精算処理の完了の報知をしている間の画面(精算の完了を示す画面)は、精算中の画面(精算中を示す画面)と同じものであっても異なるものであってもよい。
【0073】
以下、精算処理の実行が報知されている間(期間)を「精算報知中」という。精算報知中は、サブ制御基板72が、精算開始コマンドを受信してから精算終了コマンドを受信するまでの間を指す。この精算報知中は、精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出し中ともいえる。
また、精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出しの完了が報知されている間、すなわち精算処理の完了が報知されている間(期間)を「精算完了報知中」という。精算完了報知中は、精算終了コマンドを受信してから精算完了音声の出力が終了するまでの間を指す。なお、精算完了報知中には、精算処理終了後(サブ制御基板72が精算終了コマンドを受信した後)、精算完了音声の最初の1音(例えば「せ」)が出力されるまでの間も含まれる。また、精算完了報知中には、図3で示した無音の期間P4が含まれるものとしてもよい。
【0074】
次に、図6に示すタイミングチャートを用いて、精算処理が行われている間およびその前後における処理の構成例を説明する。以下、演出ボタン62、十字ボタン57、精算ボタン52等の「押下操作」を単に「押下」または「操作」ということがある。
(A5、A6)3停止以降、サブ制御基板72は、演出ボタン62を、押下を受け付け可能な状態(すなわち操作が有効な状態)とし、演出ボタン62を押下可能である旨を示す画面(操作指示画面)を液晶ディスプレイDに表示する。このときの演出ボタン62の押下は、演出を進行させる契機となるもので、演出ボタン62が押下されると、遊技の結果が遊技者に報知される。具体的には、例えばボーナスの当選(いわゆる疑似ボーナス(AT演出状態への移行)の当選も含む))を期待させる演出中、すなわち遊技者にとって有利な状態に移行することを期待させる演出中に、演出ボタン62の押下が有効となり操作指示画面が表示され、演出ボタン62が押下されると、有利な状態に移行するか否かが報知される。
(A4)このタイミングチャートの開始時点は遊技中であるため、十字ボタン57は無効となっている。
【0075】
(A1、A2)精算ボタン52が押下されると、メイン制御基板70は、精算開始コマンドをサブ制御基板72に送信するとともに、精算処理(払出処理)を開始する。
(A2、A3)メイン制御基板70は、精算処理の終了に伴い、精算終了コマンドをサブ制御基板72に送信し、サブ制御基板72は、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、精算完了音声の出力を開始する。
【0076】
(A4)サブ制御基板72は、精算報知中および精算完了報知中に、十字ボタン57の操作を無効とする。すなわち、サブ制御基板72は、精算報知中および精算完了報知中は、十字ボタン57が押下されても、当該押下を受け付けないように制御する。換言すると、精算報知中および精算完了報知中に十字ボタン57を押下しても、液晶ディスプレイDにはメニュー画面や音量変更画面は表示されない(メニュー画面や音量変更画面に移行しない)。サブ制御基板72は、精算完了音声の出力(精算完了報知中)の終了に伴い、十字ボタン57の操作を有効とする。
【0077】
このように、精算報知中に十字ボタン57の操作を無効とすることで、精算処理の実行の報知が、十字ボタン57の操作によって遮られ(妨げられ)精算中であることを把握できなくなることや、例えば、メニュー画面と精算中を示す画面とが同時に表示され、メニュー画面は情報量(文字数)が多いことから、精算中であることが把握しにくくなるという問題が回避される。これにより、遊技者は確実に精算処理の実行の報知を把握でき、遊技者による誤認(例えば精算が中断されたかのように認識することを含む)を防止できる。また、精算報知中にメニュー画面が開くと、精算報知中であることが周囲にわかりにくくなってしまい、これを利用した不正等が行われる虞があるが、そのような問題を回避することができる。
また、精算完了報知中に十字ボタン57の操作を無効とすることで、精算処理の完了の報知が、十字ボタン57の操作によって遮られ(妨げられ)精算完了の報知を把握できなくなることや、例えば、メニュー画面と精算の完了を示す画面とが同時に表示され、メニュー画面は情報量(文字数)が多いことから、精算完了を示す画面が把握しにくくなるという問題が回避される。これにより、遊技者は確実に精算処理の完了の報知を把握でき、遊技者による誤認(例えば精算が中断されたかのように認識することを含む)を防止できる。また、精算完了報知中にメニュー画面が開くと、精算完了報知中であることが周囲にわかりにくくなってしまい、これを利用した不正等が行われる虞があるが、そのような問題を回避することができる。
【0078】
(A5、A6)精算ボタン52が押下され、精算報知中および精算完了報知中となっても、サブ制御基板72は、演出ボタン62を押下可能である旨を示す画面を液晶ディスプレイDに表示しつつ、演出ボタン62を有効のままとする。換言すると、サブ制御基板72は、精算報知中または精算完了報知中に演出ボタン62が押下された場合、当該押下を受け付ける。また、精算完了報知が終了した後も演出ボタン62は有効となっている。すなわち、3停止を契機として演出ボタン62が有効化されると、精算処理に移行し精算が終了しても、演出ボタン62の有効化が解除されないようになっている。
なお、精算報知中または精算完了報知中において演出ボタン62が押下された場合、演出が進行するが、この間も、液晶ディスプレイDには、精算の実行中あるいは精算の完了を報知する表示がなされる。このとき、精算に係る表示を優先し、精算に係る表示によって、遊技に係る演出の一部が隠された状態となる。
【0079】
このように、演出ボタン62の操作については精算報知中に無効とせずに有効とすることで、遊技者は演出ボタン62を押下して演出を進めることができる。このため、遊技者は、精算報知中に演出ボタン62を押下できないことによる不満を抱くことがない。例えば、演出ボタン62の押下指示画面が表示されている場合、遊技者は演出ボタン62を押下し、遊技の結果を見てから席を立ちたいと思うこともあるが、精算報知中であっても演出ボタン62が有効となっていることで、精算報知中に演出を進め、結果を見てから席を立つということがスムーズに行えるようになる。なお、押下指示画面は、メニュー画面のように情報量(文字数)が多いものではないため、精算中を示すが画面と同時に表示しても遊技者が誤認することはない。
また、精算完了報知中に演出ボタン62の操作を無効とせず有効とすることで、遊技者は演出ボタン62を押下して演出を進めることができる。このため、遊技者は、精算完了報知中に演出ボタン62を押下できないことによる不満を抱くことがない。例えば、演出ボタン62の押下指示画面が表示されている場合、遊技者は演出ボタン62を押下し、遊技の結果を見てから席を立ちたいと思うこともあるが、精算完了報知中であっても演出ボタン62が有効となっていることで、精算完了報知中に演出を進め、結果を見てから席を立つということがスムーズに行えるようになる。なお、押下指示画面は、メニュー画面のように情報量(文字数)が多いものではないため、精算完了を示す画面と同時に表示しても遊技者が誤認することはない。
【0080】
なお、サブ制御基板72は、精算報知中または精算完了報知中において、演出ボタン62の操作を有効としつつ、演出ボタン62を消灯させている。すなわち、演出ボタン62を点灯させ、操作の有効を積極的には報知はしないが、押下された場合にはその押下を受け付けるようになっている。このようにすることで、基本的には精算報知中または精算完了報知中に演出を進めさせることを推奨しないが、仮に演出ボタン62を押下された場合には、遊技者の意思を優先し、演出を進めることが可能となる。なお、サブ制御基板72は、精算報知中または精算完了報知中に、演出ボタン62の操作を有効としつつ、演出ボタン62を点灯させてもよい。
【0081】
図6では、演出ボタン62が押下されていない状態で精算ボタン52が押下された場合を示した。図7では、3停止以降に、有効となった演出ボタン62が押下され、演出ボタン62の押下に基づく演出が実行されている間に、精算ボタン52が押下された場合の構成例について説明する。
【0082】
(B4、B5)サブ制御基板72は、演出ボタン62を押下可能である旨を示す画面を液晶ディスプレイDに表示するとともに、演出ボタン62を有効とする。
(B6、B7、B8)有効化された演出ボタン62が押下されると、サブ制御基板72は、演出ボタン62の押下に基づく(対応する)液晶演出および音声演出の出力を開始する。具体的には、サブ制御基板72は、演出ボタン62の押下に基づく演出画像を液晶ディスプレイDに表示するとともに、演出ボタン62の押下に基づく音声演出(BGM、セリフ、効果音等)を、スピーカ14を介して出力する。なお、サブ制御基板72は、演出ボタン62の押下に基づく演出光を、照明装置33d、34,35,37のうちの少なくとも1つを通じて出力してもよい。
【0083】
(B1、B2)精算ボタン52が押下されると、メイン制御基板70は、精算開始コマンドをサブ制御基板72に送信するとともに、精算処理を開始する。
(B1、B7、B8)演出ボタン62の押下に基づく液晶演出および音声演出の出力中に、精算ボタン52が押下されると、サブ制御基板72は、精算開始コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、音声演出の出力を停止する。ただし、サブ制御基板72は、精算開始コマンドを受信しても、液晶演出の出力は停止しない(継続する)。
【0084】
(B2、B3)メイン制御基板70は、精算処理の終了に伴い、精算終了コマンドをサブ制御基板72に送信し、サブ制御基板72は、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、精算完了音声の出力を開始する。
【0085】
(B8)サブ制御基板72は、精算完了音声の出力の終了に伴い(精算完了音声の出力の終了を待って)、音声演出(演出ボタン62の押下に基づく音声演出)の出力を開始する。なお、サブ制御基板72は、音声演出の出力を停止している間、音を外部に出力せずに、精算完了音声の出力の裏(精算完了音声の裏のレイヤ)では音声演出を実行している。すなわち、サブ制御基板72は、演出ボタン62の押下に基づく音声演出の出力中に精算開始コマンドを受信すると、音声演出を実行しているが音は出力しない状態とし、精算完了音声の出力が終了すると、再び音声演出の音を出力するように制御する。これは、音声演出が飛ぶようになっているともいえる。
【0086】
このように、演出ボタン62の押下に基づく音声演出が出力されている際に精算処理が実行された場合、音声演出の出力を停止し、精算に関する報知(精算中報知音および精算完了音声)の出力を優先させることで、遊技者は音を介して精算処理が実行されていることを把握できる。ただし、精算中報知音および精算完了音声が出力されている間であっても、演出ボタン62の押下に基づく液晶演出は継続されるため、遊技者は、視覚的に演出が進行していることを把握できる。
【0087】
図7では、有効となった演出ボタン62が押下され、演出ボタン62の押下に基づく演出が実行されている間に、精算ボタン52が押下された場合を示した。図21では、先に精算ボタン52が押下され、精算処理が実行されている間に演出ボタン62が押下された場合を示す。
【0088】
(G4、G5)サブ制御基板72は、演出ボタン62を押下可能である旨を示す画面を液晶ディスプレイDに表示するとともに、演出ボタン62を有効とする。
(G1、G2)精算ボタン52が押下されると、メイン制御基板70は、精算開始コマンドをサブ制御基板72に送信するとともに、精算処理を開始する。
【0089】
(G6、G7、G8)精算処理が実行されている間に、有効状態の演出ボタン62が押下されると、サブ制御基板72は、その旨の情報(信号)の受信に基づき、演出ボタン62の押下に基づく液晶演出の出力を開始する。このとき、サブ制御基板72は、演出ボタン62の押下に基づく音声演出を出力しない。この「音声演出を出力しない」は「音声演出の出力を停止する」に含まれる。換言すると、サブ制御基板72は、精算に関する報知(精算報知中および精算完了報知中)を実行している間に、演出ボタン62が押下された旨の情報(信号)を受信しても、音声演出を出力しない。すなわち、精算に関する報知を演出ボタン62の押下に基づく音声演出よりも優先させる。
【0090】
(G2、G3)メイン制御基板70は、精算処理の終了に伴い、精算終了コマンドをサブ制御基板72に送信し、サブ制御基板72は、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、精算完了音声の出力を開始する。
(G8)サブ制御基板72は、精算完了音声の出力の終了に伴い(精算完了音声の出力の終了を待って)、音声演出の出力を開始する。なお、サブ制御基板72は、音声演出の出力を停止している間、音を外部に出力せずに、精算完了音声の出力の裏(精算完了音声の裏のレイヤ)では音声演出を実行している。すなわち、サブ制御基板72は、精算に関する報知を実行している間、演出ボタン62が押下された旨の信号を受信しても、精算完了音声の出力が終了するまでは音声演出を実行するが音は出力しない状態とし、精算完了音声の出力が終了すると、音声演出の音を出力するように制御する。
【0091】
なお、図7および図21の例において、精算完了音声を音声演出の音声に「優先させる」には、音声演出の音声を無音にする場合だけでなく、音声演出の音声を精算完了音声に比べ小さくして出力(流す)ことが含まれる。
【0092】
次に、「精算中」にエラーが発生した場合について説明する。
まず、メイン制御基板70が検出(検知)する各エラーについて説明する。なお、図示は省略しているが、メイン制御基板70は、エラー検出手段とエラー管理手段とを備えている。エラー検出手段は、各種センサの信号状態等に基づいて、逆流エラー、エンプティエラー、払出詰まりエラー、払出異常エラー、オーバーエラー、滞留エラー、バックアップエラー、ドア開放エラー、投入異常エラー、表示判定異常エラー、RAM異常エラー、設定値異常エラーを検出する。
【0093】
(1)逆流エラーは、メダルが流路において逆流していることに起因するエラーである。
(2)エンプティエラーは、ホッパー装置150に貯蔵されているメダルがなくなったことに起因するエラーである。具体的には、メダルの払い出しが行われている状況において、払出センサの信号状態がオフ状態(払い出されるメダルが検知されていない状態)で一定期間(約2100ms)以上継続した場合に検出されるエラーである。
(3)払出詰まりエラーは、ホッパー装置150において払い出されるべきメダルが詰まって排出されていないことに起因するエラーである。具体的には、メダルの払い出しが行われている状況において、払出センサ(払出メダルスイッチ)の信号状態がオン状態(払い出されるメダルが検知されている状態)で一定期間(約172ms)以上継続した場合に検出されるエラーである。
【0094】
(4)払出異常エラーは、メダルの払い出しを行うべきではない状況でメダルの払い出しがあったことに起因するエラーである。具体的には、メダルの払い出しが行われていない状況において、払出センサ(払出メダルスイッチ)の信号状態がオン状態で一定期間(約6ms)以上継続した場合に検出されるエラーである。
(5)オーバーエラーは、キャッシュボックスに貯蔵されている余剰メダルが所定量を超えたことに起因するエラーである。具体的には、オーバーフローセンサの信号状態がオン状態(余剰メダルが所定量を超えたこと示す信号状態)で一定期間(約100ms)以上継続した場合に検出されるエラーである。
(6)滞留エラーは、メダルセレクタ92内でメダルが詰まっていることに起因するエラーである。具体的には、投入検知センサ130の下流であり、ブロッカー99よりも上流にある第一メダル通過センサまたは第二メダル通過センサの信号状態がオン状態(メダルの存在を検知していることを示す信号状態)で一定期間(約113ms)以上継続した場合に検出されるエラーである。
【0095】
(7)バックアップエラーは、RWMのバックアップに不具合が生じたことに起因するエラーである。具体的には、電源投入時において、RWMのバックアップ異常を検出した場合に検出されるエラーである。あるいは、電源投入時において、スタックポインタの保存値が特定の範囲でない場合に検出されるエラーである。
(8)ドア開放エラーは、下扉40(前扉3)が開いていることに起因するエラーである。具体的には、下扉40が開くことによって作動するドア開閉スイッチの信号状態がオン状態(下扉40が開いていることを示す信号状態)で一定期間(約48ms)以上継続した場合に検出されるエラーである。
【0096】
(9)投入異常エラーは、ブロッカー99を作動させてメダルシュートへの流路を閉塞したことによってメダルの流路が切り替えられたにも関わらずに、メダルが正規の流路(ここではメダル払出口に返却される流路)とは異なる流路を通過していることに起因するエラーである。具体的には、ブロッカー99の作動後に第二メダル通過センサによってメダルセレクタ92を通過してメダルシュートへ向かって流れるメダルを検知した場合に検出されるエラーである。本実施形態の遊技機では、ブロッカー99が閉塞してから一定期間(約250ms)以上経過後に、第二メダル通過センサがON状態となった場合に、エラーを検出する。
また、投入異常エラーには、シュートエラーがある。シュートエラーは、メダルセレクタ92を通過したメダルの数とメダルシュートを通過したメダルの数とに一定以上の差が生じたことに起因するエラーである。具体的には、投入されたメダルが第一メダル通過センサおよび第二メダル通過センサを正しい順序で通過してから一定期間を経過するまでの間に、第一メダル通過センサおよび第二メダル通過センサを正しい順序で通過したと検知されたメダルの数と、シュートセンサの信号状態がオン状態(メダルの存在を検知している信号状態)となった回数との差が、所定範囲に収まっていない場合、または投入されたメダルが第一メダル通過センサおよび第二メダル通過センサを正しい順序で通過してから一定期間を経過した時点において、第一メダル通過センサおよび第二メダル通過センサを正しい順序で通過したと検知されたメダルの数と、シュートセンサの信号状態がオン状態(メダルの存在を検知している信号状態)となった回数との差が、所定数以上となった場合に検出されるエラーである。
また、投入異常エラーには投入検知エラーがある。投入検知エラーは、メダル投入口42付近でメダルが詰まっていることに起因するエラーである。具体的には、メダルセレクタ92内の投入検知センサ130がオン状態(メダルの存在を検知している信号状態)で一定期間(約602ms)以上継続した場合に検出されるエラーである。
【0097】
(10)表示判定異常エラーは、当選役でない図柄が表示された場合に検出されるエラーである。
(11)RAM異常エラーは、RAMの読み書きが正常に行われなかった場合に検出されるエラーである。
(12)設定値異常エラーは、内部抽選時において、設定値が許容範囲外の場合に検出されるエラーである。
【0098】
各エラーには、図8に示すように、エラーの種類に応じてE1~ECまでのエラーコードが割り当てられている。エラー管理手段は、エラー検出手段によってエラーが検出されると、検出されたエラーを、液晶ディスプレイDやメイン表示器(図1の表示ユニット58)を介して報知する処理を実行する。具体的には、エラー管理手段は、検出されたエラーの種類に対応したエラーコードを設定して、設定されたエラーコードを、液晶ディスプレイDやメイン表示器(図1の表示ユニット58)に表示させる。
【0099】
また、エラー管理手段は、所定の解除操作(エラー解除操作)が行われたことに基づいてエラー検出フラグ等をクリアする解除処理を行う。所定の解除操作(エラー解除操作)としては、例えば、ドアキーシリンダにドアキーを挿入し、ドアキーを反時計回りに回転させる(捻る)という操作と、設定変更ボタンを押下するという操作とがある。図8に示すように、エラーの種類(エラーコードE1~EC)ごとに、エラー解除操作が設定されている。エラー管理手段は、エラー解除操作によって設定変更ボタンまたはドアセンサから信号が入力されると、エラー解除操作が行われたと判断し、エラー検出フラグやタイマの計時情報等のエラーに関連する情報をクリア(消去)する解除処理を行う。
【0100】
メイン制御基板70は、エラーを検出すると、エラーが発生した旨を示すコマンド(エラーコマンド)をサブ制御基板72に送信する。サブ制御基板72は、エラーコマンドを主制御装置70から受信すると、エラーの発生内容に対応する画像(以下、エラー画面という)を液晶ディスプレイDに表示する制御や、エラー発生に対応する警告音(以下、エラー音という)を、スピーカ14を介して出力する制御等を行う。
【0101】
図9に示すタイミングチャートを用いて、精算報知中にエラーが発生した場合の処理の構成例を説明する。なお、以下ではエラーとして逆流エラーが発生した場合について説明するが、他のエラーであってもよい。
(C1、C2)精算ボタン52が押下されると、メイン制御基板70は、精算開始コマンドをサブ制御基板72に送信するとともに、精算処理を開始する。
(C4)メイン制御基板70は、逆流エラーを検出すると(逆流エラーの条件を満たすと)、逆流エラーが発生した旨を示すコマンド(逆流エラーコマンド)をサブ制御基板72に送信する。
【0102】
(C2、C5)サブ制御基板72は、精算開始コマンドを受信し、かつ、エラーコマンド(逆流エラーコマンド)を受信しても、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信するまでは、逆流エラーコマンドの受信に基づく処理を実行しない。
サブ制御基板72は、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、逆流エラーコマンドの受信に基づく処理を実行する。サブ制御基板72は、逆流エラーコマンドの受信に基づく処理として、逆流エラーの報知を行う。サブ制御基板72は、逆流エラーの報知として、逆流エラーに対応する画面(逆流エラー画面)を液晶ディスプレイDに表示し、逆流エラーに対応する警告音(エラー音)を、スピーカ14を介して出力し、エラー中である旨を報知する演出光(以下、エラーランプという:例えば赤色)を、照明装置33d、34,35,37のうちの少なくとも1つを通じて出力(点灯)する。
【0103】
このようにサブ制御基板72は、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信しても、エラーコマンドを先に受信している場合には、当該エラーコマンドに基づく処理(エラー報知)を優先して行う。そして、以下に示すように、サブ制御基板72は、エラーが解除されてから、精算終了コマンドに基づく処理(精算完了音声の出力)を行う。
【0104】
(C6)作業者等により、逆流エラーに対応するエラー解除動作(エラー復帰処理)が入力(実行)されると、メイン制御基板70は、逆流エラーが解除された旨を示すコマンド(逆流エラー解除コマンド)をサブ制御基板72に送信する。
(C3、C5)サブ制御基板72は、逆流エラー解除コマンドの受信に基づき、逆流エラーの報知を停止するとともに、精算完了音声(「精算しました」)の出力を開始する。サブ制御基板72は、逆流エラーの報知の停止として、液晶ディスプレイDの表示をエラー画面から通常画面に移行させ、エラー音の出力を停止し、エラーランプを消灯する。なお、サブ制御基板72は、精算完了音声を出力している間(精算完了報知中)に、精算の完了を示す画面を表示させ、その後、通常画面を表示させてもよい。また、サブ制御基板72は、エラーランプを消灯するとともに、精算完了報知中に精算中ランプを点灯させてもよい。その場合、例えば、エラーランプと精算中ランプの点灯パターン(点灯色)が同一である場合には、見た目上の変化はない。
【0105】
なお、C3、C5、C6について、エラー解除の立上りエッジでエラー報知を停止し、精算完了音声の出力を開始しているが、これらをエラー解除の立下りエッジに基づき行うものとしてもよい。
【0106】
このように、精算報知中にエラー(例えば逆流エラー)が発生した場合、精算処理が終了するのを待ってからエラーの発生を報知するため、遊技者が、精算が終了したことを確実に把握できる。換言すると、遊技者が、誤認する(例えば精算が中断されたかのような認識を抱くこと)のを防止できる。一方で、エラーの発生の報知を精算完了音声の出力よりは優先させているため、エラー発生からエラーが報知されるまでの時間をより短縮でき、エラーに対して早期に処置を施すことができる。また、精算報知中にエラー発生を報知する構成とする場合には処理が複雑となるが、上述の構成とすれば、そのような処理の複雑化を招くことはない。
【0107】
なお、精算処理の終了後にエラーの発生を報知し、その後精算完了音声を出力するための処理は、上述の処理に限られない。例えば、上述の例では、サブ制御基板72は、エラーコマンドを受信しても、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信するまでは、エラーコマンドの受信に基づく処理を実行しないこととしたが、精算処理中にエラーが発生した場合、メイン制御基板70は精算処理が終了してから、エラーコマンドをサブ制御基板72に送信することとしてもよい。また、メイン制御基板70は、エラーの解除後(エラー解除コマンドの送信後)に、精算終了コマンドをサブ制御基板72に送信することとしてもよい。
【0108】
次に、図10に示すタイミングチャートを用いて、精算完了報知中にエラーが発生した場合の処理の構成例を説明する。
(D1、D2)精算ボタン52が押下されると、メイン制御基板70は、精算開始コマンドをサブ制御基板72に送信するとともに、精算処理を開始する。
(D7)サブ制御基板72は、精算開始コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、液晶ディスプレイDの表示を通常画面から精算中報知画面に移行させる。
【0109】
(D2、D3)メイン制御基板70は、精算処理の終了に伴い、精算終了コマンドをサブ制御基板72に送信し、サブ制御基板72は、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、精算完了音声の出力を開始する。
【0110】
(D4)メイン制御基板70は、逆流エラーを検出すると、逆流エラーコマンドをサブ制御基板72に送信する。
(D3、D5)サブ制御基板72は、精算完了音声の出力を実行している間(すなわち精算完了報知中)に、逆流エラーコマンドをメイン制御基板70から受信した場合、当該受信に基づき、精算完了音声(「精算しました」)の出力を停止(キャンセル)して(例えば「精算し」で止めて)、逆流エラーの報知を行う。具体的には、サブ制御基板72は、逆流エラー画面を液晶ディスプレイDに表示し、エラー音を出力し、エラーランプを点灯させる。
【0111】
(D6)作業者等により、逆流エラーに対応するエラー解除動作が入力(実行)されると、メイン制御基板70は、逆流エラー解除コマンドをサブ制御基板72に送信する。
(D5、D7)サブ制御基板72は、逆流エラー解除コマンドの受信に基づき、逆流エラーの報知を停止し(エラー音の出力を停止して、エラーランプを消灯し)、液晶ディスプレイDの表示をエラー画面から通常画面に移行させる。
(D3)なお、本例では、サブ制御基板72は、エラーから復帰しても(逆流エラー解除コマンドを受信しても)、逆流エラーコマンドの受信に従い停止した精算完了音声の出力を、再開(出力)することはしない。ただし、サブ制御基板72は、エラーの復帰(通常画面への移行)とともに、精算完了音声を出力することとしてもよい。その場合、サブ制御基板72は、停止した箇所からではなくもう一度最初から精算完了音声を出力することとしてもよい。
【0112】
なお、D5、D6において、エラー解除の立上りエッジでエラー報知が停止するものとしているが、エラー解除の立下りエッジでエラー報知が停止するものとしてもよい。
また、D6、D7において、エラー解除の立下りエッジで通常画面に移行するものとしているが、エラー解除の立上りエッジで通常画面に移行するものとしてもよい。
【0113】
このように、精算完了報知中にエラー(例えば逆流エラー)が発生した場合、精算完了音声の出力が終了するのを待たずに(精算完了音声の出力の途中でも)、エラーの発生の報知を優先する。すなわち、より優先度(緊急度)の高いエラーの報知が精算完了音声よりも優先して出力される。これにより、エラーに対して早期に対策を施すことができる。すなわち、エラーに対する処理が遅れるのを防止できる。
【0114】
なお、D3およびD4では、精算完了音声が出力されている間にエラーが発生した場合を示したが、精算処理終了後(精算終了コマンドの受信後)、精算完了音声の最初の1音(例えば「せ」)が出力される前にエラーが発生する場合がある。そのような場合でも、サブ制御基板72は、精算完了音声の出力をせず(出力を停止し)、エラーの報知を実行する。すなわち、サブ制御基板72は、精算完了音声の出力よりもエラーの報知を優先する。
【0115】
次に、図11に示すタイミングチャートを用いて、精算完了報知中に十字ボタン57が押下された場合の処理の構成例を説明する。
(F1、F2)精算ボタン52が押下されると、メイン制御基板70は、精算開始コマンドをサブ制御基板72に送信するとともに、精算処理を開始する。
(F4、F7)サブ制御基板72は、精算開始コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、遊技中のランプの点灯(例えば白色)を停止し、精算中ランプの点灯(例えば赤色)を開始する。なお、本実施の形態では、精算中ランプの点灯とエラーランプの点灯とは、同パターンとなっている。
【0116】
(F2、F3)メイン制御基板70は、精算処理の終了に伴い、精算終了コマンドをサブ制御基板72に送信し、サブ制御基板72は、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、精算完了音声の出力を開始する。
【0117】
(F3、F5)サブ制御基板72は、精算完了音声の出力を実行している間(すなわち精算完了報知中)に、十字ボタン57が操作(押下)されると当該操作(押下)を受け付ける。本例では、サブ制御基板72は、精算完了報知中(すなわち精算終了コマンドを受信してから精算完了音声の出力が終了するまでの間)に、十字ボタン57の操作を有効な状態としている。そして、サブ制御基板72は、精算完了音声の出力を実行している間に、十字ボタン57が押下された旨を示す情報(信号)(コマンド)を受信すると、当該受信に基づき、精算完了音声の出力を停止する(例えば「精算しま」で止める)。
【0118】
(F5、F6、F7)また、サブ制御基板72は、精算完了音声の出力を実行している間に、十字ボタン57が押下された旨を示す情報(信号)(コマンド)を受信すると、当該受信に基づき、精算中ランプを消灯して遊技中ランプを点灯させ、液晶ディスプレイDの表示を、精算中報知画面からメニュー画面(なお音量変更画面でもよい)に移行させる。すなわち、サブ制御基板72は、精算完了音声の出力を実行している間に、十字ボタン57が押下された旨を示す情報を受信すると、当該受信に基づき、十字ボタン57の押下に基づく処理を行う。
【0119】
なお、F3およびF5では、精算完了音声が出力されている間に十字ボタン57が押下された場合を示したが、精算処理終了後、精算完了音声の最初の1音(例えば「せ」)が出力される前に十字ボタン57が押下される場合がある。そのような場合でも、サブ制御基板72は、精算完了音声の出力をせず(出力を停止し)、十字ボタン57の押下に基づく処理を実行する。すなわち、サブ制御基板72は、精算完了音声の出力よりも十字ボタン57の押下に基づく処理を優先する。
【0120】
また、F5およびF6について、十字ボタン57の立下りエッジでメニュー画面に移行するものとしているが、十字ボタン57の立上りエッジでメニュー画面に移行するようにしてもよい。
【0121】
このように、精算完了報知中に十字ボタン57が操作された場合、精算完了音声の出力が終了するのを待たずに(精算完了音声の出力の途中でも)、十字ボタン57の操作を受け付け(十字ボタン57の操作が優先され)、当該操作に基づく処理(メニュー画面への移行等)が実行されるため、例えば、遊技者は、精算完了音声を最後まで聞かずにメニュー画面を早く開いて所望の設定を行うことができる。すなわち、精算完了音声の出力が終わるのを待たなければ十字ボタン57を操作できないことによって、遊技者が不満を抱く(ストレスを感じる)のを防止できる。
【0122】
ここで、図11のF4における破線部Zについて説明する。破線部Zは、本来実行される予定であった精算中ランプの点灯を示している。ここで、仮に、精算完了音声出力中に十字ボタン57が押下されなかった場合を考える。その場合、精算完了音声(「精算しました」)の出力が終了した後であっても、精算中ランプの点灯が一定時間継続するようになっている。換言すると、サブ制御基板72は、精算処理の完了の報知である、精算完了音声の出力および精算中ランプの点灯を行うが、前者(精算完了音声の出力)が終了した後も後者(精算中ランプの点灯)を一定時間継続させる。なお、サブ制御基板72は、画面(液晶ディスプレイD)については、精算完了音声出力の終了とともに通常画面へ移行させている。このように、精算中ランプの点灯を、精算完了音声の出力よりも長くすることで、精算処理が終わった後、一定時間の間、精算処理が終了したことを認識できる。すなわち、精算処理が終わった後、一定時間の間、精算処理が終了したことが周囲に報知されるため、例えば、ホールスタッフ等が認識しやすくなる。
【0123】
(第2の実施の形態)
次に、図面を参照しながら本発明の第2の実施の形態について説明する。以下、第1実施形態で説明した構成と同一または相当する機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0124】
図12は、第2の実施の形態に係るスロットマシン(遊技機)100の外観斜視図である。図12に示すように、スロットマシン100は、遊技者側を向く面である前面側が開口された箱状の筐体111と、当該筐体111の前面側開口を開閉する前面扉112とを備えている。
筐体111には、回転自在なリール120a、リール120bおよびリール120cがユニット化されたリールユニットと、メダルの払い出しを行うホッパー装置等が収納されている。また、前面扉112は、上扉112aと下扉112bとに分割されており、上扉112aおよび下扉112bはそれぞれ筐体111に対して開閉自在となっている。
図13は、上扉112aおよび下扉112bを開いた状態を示す外観斜視図である。
【0125】
以下、「前後」とは、スロットマシン100の前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシン100の上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシン100を遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
【0126】
上扉112aには、液晶ディスプレイ113、スピーカ114等の演出装置、および、表示窓116が設けられている。液晶ディスプレイ113には、各種演出用の画像(動画、静止画)が表示される。また、スピーカ114からは、各種演出用の音(音楽、効果音、音声等)が出力される。なお、演出装置としては、液晶ディスプレイ113、スピーカ114の他に、ランプ(LED)等の電飾装置、アクチュエータ等で動作可能な可動役物等を備えていてもよい。
【0127】
図13に示すように、リールユニットは、その一部が表示窓116の外から視認可能となるように表示窓116の奥に配置されている。各リール120a~120cの外周面には、複数種類の図柄が一列に配置されている。各リール120a~120cが停止している状態では、表示窓116を介して1リール当たり3個の図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)が視認可能となる。表示窓116には、各リール120a~120cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、各リール120a~120cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。
【0128】
スロットマシン100では、1回の遊技(1遊技)を開始するために必要な遊技媒体(メダル)の数(規定数)が、設定されている。本実施の形態では、規定数を3とする。スロットマシン100に規定数のメダルが投入されると、有効ラインが有効化される。なお、規定数を超える枚数のメダルが投入された場合、規定数を超えた分のメダルは、所定の値(例えば50とする)を上限とし、スロットマシン100の内部(図14に示すメインRAM203)に電気的に貯留される。
【0129】
スロットマシン100では、遊技開始に伴って各リール120a~120cが回転を開始するとともに、当選役抽選が実行されて当選役のいずれかの当選または不当選が決定される。次いで、各リール120a~120cが停止したときに、当選役抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
【0130】
下扉112bには、メダルを投入するためのメダル投入口122、貯留(クレジット)されているメダルをベットするためのベットボタン123、遊技を開始する際に操作されるスタートレバー124、回転しているリール120a,120b,120cを停止させるためのストップボタン126a,126b,126c、ホッパー装置によりメダルを払い出す払い出し口127、払い出し口127から払い出されたメダルを受けるメダル受け皿128が設けられている。また、メダル投入口122の奥には、メダル投入口122から投入されたメダルの通過を検知するためのメダルセンサ129(図2参照)が設けられている。
ベットボタン123、スタートレバー124、ストップボタン126a~126cは、操作を検出すると、操作されたことを示す信号を出力する。また、メダルセンサ129は、メダルの投入を検出すると、メダルが投入されたことを示す信号を出力する。なお、ベットボタン123には、1ベットボタンとMAXベットボタンとがある。1ベットボタンは、貯留されているメダルから1枚のメダルをベットする際に押下されるボタンである。MAXベットボタンは、貯留されているメダルから規定数のメダルをベットする際に押下されるボタンである。以下、ベットボタン123という場合、1ベットボタンまたはMAXベットボタンのいずれかを指すものとする。
【0131】
ここで、1遊技について説明する。
スロットマシン100では、メダル投入口122を介してのメダルの投入、または、ベットボタン123の操作による規定数のメダルのベットを受け付けると、ベットボタン123の操作が無効化され、スタートレバー124の操作が有効化される。
次に、スロットマシン100は、有効化されたスタートレバー124の操作を受け付けると、遊技を開始する(すなわち各リール120a~120cの回転を開始する)とともに、当選役抽選を行う。
次に、スロットマシン100は、各リール120a~120cの回転速度が一定速度に到達して定常回転となると、ストップボタン126a~126cの操作を有効化する。
次に、スロットマシン100は、有効化されたストップボタン126a~126cの操作を受け付けると、操作されたストップボタン126a~126cに対応する各リール200a~200cの回転を停止する。
次に、スロットマシン100は、各リール120a~120cの回転が停止したときに、当選役抽選で当選した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたかを判定する。
【0132】
スロットマシン100は、当選役抽選で当選した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたと判定した場合、入賞処理(例えば、メダルの払い出し処理)を実行し、1遊技を終了する。
一方、スロットマシン100は、当選役抽選の結果が不当選であった場合、または、当選役抽選で当選した当選役に入賞しなかったと判定した場合、各リール120a~120cが停止したことをもって1遊技を終了する。1遊技が終了すると、ベットボタン123の操作が有効化される。
【0133】
また、図13に示すように、筐体111の内部には、スロットマシン100の電源をON/OFFするための電源スイッチ500が設けられている。電源スイッチ500は、スロットマシン100を管理する管理者等が操作し、電源のOFF状態(電断状態)と電源のON状態の2つの状態を切り換えるために用いられる。電源スイッチ500は、電源をONにするための操作を受け付けると、電源ON信号を出力する。また、電源スイッチ500は、電源をOFFにするための操作を受け付けると、電源OFF信号を出力する。
【0134】
図14は、スロットマシン100の電気的構成を示すためのブロック図である。
筐体111の内部には、メイン制御基板(主制御装置)200と、サブ制御基板(副制御装置)300とが設けられている。メイン制御基板200は、ベットボタン123、スタートレバー124、ストップボタン126a~126c、メダルセンサ129、電源スイッチ500等から出力される信号を取得し、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット、ホッパー装置等の制御を行う。
【0135】
サブ制御基板300は、メイン制御基板200から取得した信号に基づき演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて液晶ディスプレイ113およびスピーカ114等の演出装置の制御を行う。
【0136】
メイン制御基板200とサブ制御基板300とは電気的に接続されており、メイン制御基板200からサブ制御基板300へは遊技状態を示す情報等各種情報(信号)の送信が可能となっているが、サブ制御基板300からメイン制御基板200へは情報を送信できないようになっている。メイン制御基板200やサブ制御基板300等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0137】
図14に示すように、本実施の形態では、メイン制御基板200は、中央処理装置であるメインCPU201、プログラム等が格納されたメインROM202、ワークエリアとして機能するメインRAM203(主記憶部)等を含む各種半導体集積回路を有している。メインRAM203(内蔵RAM)にはバックアップ電源(不図示)が接続されていて、電源がOFF状態となった場合でも、設定変更が行われてメインRAM203の初期化処理が実行されない限り、記憶されたデータは消去されることなく保持される。なお、メインRAM203を内蔵RAMと外付けRAMとにより構成し、外付けRAMのバックアップ領域にバックアップデータが記憶されるようにしてもよい。この場合、外付けRAMにバックアップ電源(不図示)が接続される。電源がOFF状態となった後、電断から復帰する際に、内蔵RAMは、外付けRAMのバックアップ領域に記憶されたバックアップデータを読み出し、電断前の状態に復帰する。
【0138】
メイン制御基板200は、メインCPU201が、メインROM202に格納されたプログラムに基づきメインRAM203と協働することで機能する機能部を有している。機能部には、後述するベット制御部210等がある。
【0139】
また、図14に示すように、本実施の形態では、サブ制御基板300は、中央処理装置であるサブCPU301、プログラム等が格納されたサブROM302、ワークエリアとして機能するサブRAM303(副記憶部)等を含む各種半導体集積回路を有している。また、メインRAM203と同様に、サブRAM303にもバックアップ電源(不図示)が接続されていて、電源が切断された場合でも、データが消去されることなく保持される。
【0140】
サブ制御基板300は、サブCPU301が、サブROM302に格納されたプログラムに基づき、サブRAM303と協働することで機能する。
【0141】
次に、メイン制御基板200のベット制御部210について説明する。
ベット制御部210は、遊技ごとに、規定数のメダルがベットされたことに基づき、ベットボタン123の操作が無効化される処理を行い、スタートレバー124に対する遊技開始操作が有効化される処理を行う。
【0142】
また、ベット制御部210は、ベットボタン123が押下操作された場合、規定数を限度として、貯留されているメダルを投入状態(ベット状態)に設定する。以下、メダルをベット状態に設定することを、単にメダルをベットするという。
【0143】
メイン制御基板200は、電源ON状態で、ベットボタン123が押下されたことを示す信号(ベット操作情報)を取得すると、メインRAM203の入力現在状態を「ON状態」とする。入力現在状態とは、現在のベットボタン123の操作状態、すなわち現在ベットボタン123が操作されている状態であるか否かを示す情報である。現在ベットボタン123が押下状態である場合、入力現在状態は「ON状態」となる。一方、現在ベットボタン123が非押下状態である場合、すなわち、メイン制御基板200がベット操作情報を取得していない場合、入力現在状態は「OFF状態」となる。入力現在状態は、後述するエッジ検出処理で用いられる情報である。
【0144】
図14に示すように、ベット制御部210は、エッジ検出部211、ベット設定部212、情報制御部213等を備えている。
エッジ検出部211は、ベットボタン123の操作が有効化されてから、ベットボタン123の操作が無効化されるまでの間(ベット受付期間)、一定間隔(例えば、1.49ms)毎に、定期処理(タイマー割込み)であるエッジ検出処理を行う。
【0145】
エッジ検出処理では、ベットボタン123の操作状態を示す情報が所定の条件に該当する場合にONエッジを検出する。具体的には、後述する入力前回状態と、入力現在状態とを比較し、図15(a)の太線枠に示すように、入力前回状態が「OFF状態」であり、かつ、入力現在状態が「ON状態」である場合(ONエッジ検出条件に該当する場合)に、ONエッジ(立ち上がりエッジ)を検出する。なお、エッジ検出処理には、後述する更新処理が含まれる。
【0146】
また、図15(a)に示すように、入力前回状態が「OFF状態」であり、かつ、入力現在状態が「OFF状態」である場合(ONエッジ検出条件に非該当である場合)、ONエッジは検出されない。また、入力前回状態が「ON状態」であり、かつ、入力現在状態が「OFF状態」である場合(ONエッジ検出条件に非該当である場合)、ONエッジは検出されない。また、入力前回状態が「ON状態」であり、かつ、入力現在状態が「ON状態」である場合(ONエッジ検出条件に非該当である場合)、ONエッジは検出されない。
【0147】
ベット設定部212は、エッジ検出部211が行うエッジ検出処理でONエッジが検出されると、メダルをベットする。具体的には、ベット設定部212は、1ベットボタンの押下に基づくONエッジが検出された場合には1枚のメダルをベットし、MAXベットボタンの押下に基づくONエッジが検出された場合には規定数(3枚)のメダルをベットする。
【0148】
情報制御部213は、更新処理を行う。更新処理には、次回のエッジ検出処理で用いられる情報を決定する処理が含まれる。情報制御部213は、更新処理を行い、メインRAM203に記憶されている入力現在状態が示す情報を、次回のエッジ検出処理に用いられる入力前回状態として設定する。入力前回状態は、入力現在状態と同様に、メインRAM203に記憶される。
【0149】
図15(b)はエッジ検出処理について説明するための図である。図15(b)中に矢印で示すように、情報制御部213は、n-1回目(nは2以上の整数)の入力現在状態が示す情報を、n回目の入力前回状態として設定する。換言すると、n回目の入力前回状態は、n-1回目の入力現在状態である。入力前回状態は、前回のエッジ検出処理のときのベットボタン123の操作状態に基づいて決定され、現在のエッジ検出処理で用いられる情報ともいえる。
【0150】
次に、図16に示すフローチャートを用いてエッジ検出処理について説明する。
まず、エッジ検出部211は、入力現在状態をメインRAM203から取得する(ステップST1)。次に、エッジ検出部211は、入力前回状態をメインRAM203から取得する(ステップST2)。
【0151】
次に、エッジ検出部211は、入力前回状態が「OFF状態」であり、かつ、入力現在状態が「ON状態」であるか、すなわち、ONエッジ検出条件に該当するか判定する(ステップST3)。
ステップST3において、エッジ検出部211は、ONエッジ検出条件に該当すると判定した場合(ステップST3:YES)、ONエッジを検出する(ステップST4)。ステップST4においてONエッジが検出されると、ベット設定部212は、メダルをベットする。
【0152】
一方、ステップST3において、エッジ検出部211は、ONエッジ検出条件に該当しないと判定した場合(ステップST3:NO)、ステップST5の処理に進む。
【0153】
次に、情報制御部213は、更新処理を行う(ステップST5)。すなわち、情報制御部213は、メインRAM203に記憶されている入力現在状態が示す情報を、次回の入力前回状態として設定する。ステップST5の処理が終了すると、再びステップST1の処理に戻る。なお、図5においてステップST5の処理はステップST3の処理の前に行うものとしてもよい。
【0154】
次に、図15(b)で示したエッジ検出処理の2回目と3回目との間に、電断が発生した場合について説明する。以下、ベットボタン123が非押下状態(OFF状態)で当該電断が発生し、その後、ベットボタン123が押下状態(ON状態)で当該電断から復帰した場合について説明する。当該ベットボタン123の押下操作は、遊技者によるメダルのベットを意図するものではないため、3回目のエッジ検出処理でONエッジが検出されるのは好ましくない。
【0155】
メイン制御基板200は、電源スイッチ500から電源ON信号を取得した際(電断から復帰する際)に復帰処理を行う。復帰処理には、メインRAM203の状態を、バックアップされているデータに基づいて電断前の状態に戻す処理が含まれる。
【0156】
意図しないONエッジの検出を防ぐための対策を施さなかった場合、電断後における3回目のエッジ検出処理で用いられる入力前回状態は、電断が発生しなかった場合と同様に、2回目の入力現在状態である「OFF状態」となっている。また、電断後の3回目のエッジ検出処理で用いられる入力現在状態は、ベットボタン123が押下されているため「ON状態」となっている。このため、3回目のエッジ検出処理で意図しないONエッジが検出されてしまうこととなる。
【0157】
本実施の形態に係るメイン制御基板200は、上記のような意図しないONエッジの検出を防ぐために、電断から復帰する際に更新処理(電断復帰時の更新処理という)を行う。
【0158】
なお、電断からの復帰は、電源スイッチ500のON操作に起因するものだけではなく、停電の発生等によってスロットマシン10の電源が一旦OFFとなり、その後電源が再び供給されて復帰する場合等がある。
【0159】
図17に示すフローチャートを用いて、電断復帰時の更新処理について説明する。図17のフローチャートの開始時点において、メイン制御基板200は、電源スイッチ500から電源ON信号を取得しているものとする。また、メインRAM203は、電断前の状態に復帰しているものとする。
【0160】
情報制御部213は、入力現在状態をメインRAM203から取得する(ステップST11)。次に、情報制御部213は、メインRAM203の入力前回状態を、ステップST11で取得した入力現在状態が示す情報で書き換える(ステップST12)。換言すると、情報制御部213は、入力前回状態を、電断から復帰する際の実際のベットボタン123の操作状態で書き換える。これは、入力現在状態が示す情報を入力前回状態として設定するともいえる。具体的には、入力現在状態が「ON状態」である場合には入力前回状態を「ON状態」とし、入力現在状態が「OFF状態」である場合には入力前回状態を「OFF状態」とする。入力現在状態が示す情報で書き換えられた入力前回状態は、メインRAM203に記憶される。ステップST12の処理が終わると、電断復帰時の更新処理は終了する。
【0161】
また、上記では、ステップST11でメインRAM203から入力現在状態を取得するものとしたが、情報制御部213は、ベットボタン123が操作されたことを示す情報(ベット操作情報)を直接ベットボタン123から取得するようにしてもよい。この場合、ステップST12において、情報制御部213は、当該ベット操作情報に基づいてメインRAM203の入力前回状態を書き換える。具体的には、ベット操作情報が「ON状態」を示す場合には入力前回状態を「ON状態」とし、ベット操作情報が「OFF状態」を示す場合には入力前回情報を「OFF状態」とする。
【0162】
図18は、エッジ検出処理の2回目と3回目との間に、ベットボタン123が非押下状態(OFF状態)で電断が発生し、その後、ベットボタン23が押下状態(ON状態)で電断から復帰し、かつ電断復帰時の更新処理が行われた場合について説明する図である。電断から復帰する際にベットボタン123の操作状態が「ON状態」であるため、図18中に矢印Fで示すように、情報制御部213は、メインRAM203における3回目の入力前回状態を「ON状態」に設定する。
【0163】
電断復帰時の更新処理後に、エッジ検出処理(3回目)が実行される。エッジ検出処理(3回目)は、例えば、電断復帰から1.49ms後に実行される。エッジ検出処理(3回目)において、エッジ検出部211は、メインRAM203から入力現在状態「ON状態」を取得する。次に、エッジ検出部211は、メインRAM203から入力前回状態「ON状態」を取得する。次に、エッジ検出部211は、入力前回状態が「ON状態」であり、かつ、入力現在状態が「ON状態」であるため、ONエッジ検出条件に該当しないと判定する。よって、電断を跨いだ、意図しないONエッジが検出されることはない。
【0164】
また、図示は省略するが、電断から復帰する際にベットボタン123の操作状態が「OFF状態」である場合には、情報制御部213が、メインRAM203の入力前回状態を「OFF」とする。このため、エッジ検出処理(3回目)において、エッジ検出部211は、メインRAM203から入力現在状態「OFF状態」を取得する。次に、エッジ検出部211は、メインRAM203から入力前回状態「OFF状態」を取得する。次に、エッジ検出部211は、入力前回状態が「OFF状態」であり、かつ、入力現在状態が「OFF状態」であるため、ONエッジ検出条件に該当しないと判定する。
【0165】
また、図16のステップST1は、メインCPU201が、ベットボタン123の操作が有効化されてから、ベットボタン123の操作が無効化されるまでの間、一定間隔(例えば、1.49ms)毎に、定期処理(タイマー割込み)を行い、入力現在状態の検出、すなわちベットボタン123の操作状態がOFF状態であるかON状態であるかを検出しているといえる。以下、当該検出を定期処理という。また、図16のステップST1~ステップST4は、メインCPU201が、定期処理において、n-1回目の定期処理タイミング(第1定期処理タイミングとする)でベットボタン23の「OFF状態」を検出し、第1定期処理タイミングの後のn回目の定期処理タイミング(第2定期処理タイミングとする)でベットボタン23の「ON状態」を検出した場合に、この「OFF状態」から「ON状態」への変化に基づきONエッジを検出するといえる。例えば、メインCPU201は、2回目(第1定期処理タイミング)の操作状態が「OFF状態」であり、3回目(第2定期処理タイミング)の操作状態が「ON状態」である場合、この「OFF状態」から「ON状態」への変化に基づきONエッジを検出する。メインCPU201は、ONエッジを検出した場合に、メダルのベットを行う。
【0166】
また、図18で示した内容は、メインCPU201が、第1定期処理タイミングで「OFF状態」を検出した後、電断が発生し、ベットボタン123が押下されている状態で電断から復帰して、電断復帰後の第2定期処理タイミングで「ON状態」を検出した場合には、第1定期処理タイミングにおける「OFF状態」を「ON状態」に更新することで、ONエッジを検出しないということができる。このため、電断を跨いでの、遊技者が意図しない操作によるONエッジが検出されることはない。
【0167】
なお、図17では、ステップST12において、電断前の状態に復帰したメインRAM203の入力前回状態を入力現在状態が示す情報で書き換える場合について説明した。ただし、当該入力前回状態は必ずしもバックアップされていることを要するものではなく、仮に入力前回状態がバックアップされていない(復帰できない)場合には、電断から復帰する際に取得した入力現在状態が示す情報を入力前回状態に代入する(書き込む)ようにしてもよい。この場合でも、書き換えを行った場合と同様に、意図しないONエッジの検出を防ぐことができる。
【0168】
次に、ベットボタン123が「ON状態」で電断が発生し、その後、ベットボタン23が「OFF状態」で当該電断から復帰した場合について説明する。
図19は、2回目のエッジ検出処理で入力前回状態および入力現在状態が「ON状態」であった後、電断が発生し、その後ベットボタン123が「OFF状態」で電断から復帰して、電断復帰時の更新処理が行われた場合について説明する図である。図19に示すように、電断から復帰する際のベットボタン23の操作状態(入力現在状態)は「OFF状態」となっている。このため、電断復帰時の更新処理が行われ、3回目の入力前回状態に「OFF状態」が設定される。これにより、3回目のエッジ検出処理において、入力前回状態および入力現在状態がともに「OFF状態」であるため、例えば、OFFエッジ(立ち下がりエッジ)の意図しない検出を防ぐことができる。なお、実際には、OFFエッジの検出を行わない構成であってもよい。
【0169】
また、図17では、ステップST12において、入力現在状態が「ON状態」であるか「OFF状態」であるかを問わず入力前回状態を入力現在状態で書き換えるものとしたが、電断復帰時の更新処理の別の例として、入力現在状態が「ON状態」である場合にのみ、当該書き換えを行うようにしてもよい。図10に示すフローチャートを用いて当該別の例について説明する。
まず、情報制御部213は、入力現在状態をメインRAM203から取得する(ステップST21)。次に、情報制御部213は、メインRAM203の入力現在状態が「ON状態」であるか判定する(ステップST22)。
【0170】
ステップST22において、情報制御部213は、メインRAM203の入力現在状態が「ON状態」であると判定した場合(ステップST22:YES)、情報制御部213は、メインRAM203の入力前回状態を、入力現在状態「ON状態」で書き換える(ステップST23)。すなわち、入力現在状態が示す情報を入力前回状態として設定する。ステップST23によって、「OFF状態」であった入力前回状態が「ON状態」に書き換えられることとなる。ステップST23の処理が終わると、電断復帰時の更新処理を終了する。
一方、ステップST22において、情報制御部213は、メインRAM203の入力現在状態が「ON状態」でないと判定した場合(ステップST22:NO)、電断復帰時の更新処理を終了する。
【0171】
また、電断復帰時の更新処理において、入力現在状態が「ON状態」であるか「OFF状態」であるかに関わらず、入力前回状態を「ON状態」に設定することとしてもよい。このような構成でも、意図しないONエッジの検出を防ぐことができる。
【0172】
以上のように、本実施の形態によれば、遊技の制御を行うメイン制御基板200と、遊技媒体をベットするためのベットボタン123とを備え、メイン制御基板200は、ベットボタン123が押下されている状態で電断から復帰した場合に、当該押下に基づく遊技媒体のベットを行わない。このため、ベットボタン123が押下されていない状態で電断し、その後、ベットボタン123が押下された状態で電源が投入された場合に、遊技者の意図しないメダルのベットが実行されるのを防ぐことができる。
【0173】
また、メイン制御基板200は、一定間隔毎にベットボタン123の操作状態がOFF状態であるかON状態であるかを検出する定期処理を実行し、定期処理において、第1定期処理タイミングでOFF状態を検出し、第1定期処理タイミングの後の第2定期処理タイミングでON状態を検出した場合は、このOFF状態からON状態への変化に基づきONエッジを検出可能であり、ONエッジを検出した場合に遊技媒体のベットを行い、第1定期処理タイミングでOFF状態を検出した後、電断が発生し、ベットボタン23が押下されている状態で電断から復帰して、電断復帰後の第2定期処理タイミングでON状態を検出した場合には、ONエッジを検出しない。このため、処理負荷の大きな増大を招くことなく意図しないONエッジの検出を防ぐことができる。これにより、遊技者の意図しないメダルのベットが実行されるのを防ぐことができる。
【0174】
また、メイン制御基板200は、ベットボタン123の操作状態を示す情報が所定の条件に該当する場合にONエッジを検出するエッジ検出処理を、一定間隔毎に行うエッジ検出部211と、エッジ検出処理でONエッジが検出された場合に、遊技媒体のベットを行うベット設定部212と、エッジ検出処理で用いられる情報を制御する情報制御部213とを備え、エッジ検出部211は、前回のエッジ検出処理のときのベットボタン123の操作状態に基づいて決定され、現在の前記エッジ検出処理で用いられる入力前回状態と、現在のベットボタン123の操作状態に基づいて決定される入力現在状態とを比較し、入力前回状態が、ベットボタン123が非押下状態であることを示すOFF状態であり、かつ入力現在状態が、ベットボタンが押下状態であることを示すON状態である場合にONエッジを検出し、情報制御部213は、ベットボタン123が押下されている状態で電断から復帰した場合に、当該復帰後のエッジ検出処理で用いられる入力前回状態をON状態に設定することを特徴とする。このため、処理負荷の大きな増大を招くことなく、意図しないONエッジの検出を防ぐことができる。
【0175】
なお、図17で示した更新処理は、1遊技の終了時(または1遊技の開始時)にも行われる。このため、ベットボタン123の操作が有効化される前から、ベットボタン123が押下操作されていた場合でも、当該押下操作に基づくメダルのベットは行われない。換言すると、ベットボタン123の押下操作が、ベットボタン123の操作が無効化されている期間に開始され、ベットボタン123が押下操作され続けた状態でベットボタン123の操作が有効化された状態になったとしても、当該押下操作に基づくメダルのベットは行われない。「ベットボタン123の操作が有効化された状態」とは、ベットボタン123の操作が有効化されるまでの時間が経過した状態のことをいう。
例えば、ベットボタン123の操作が無効化される期間であるメダルの払い出し期間中(メダル払出中)にベットボタン123の押下操作を開始し、そのままの状態でベットボタン123の操作が有効化された場合であっても(メダルの払出の処理が終了しても)、当該押下操作に基づくメダルのベットは行われない。
また、図17で示した更新処理は、エラーからの復帰時に実行されるようにしてもよい。この場合、ベットボタン123の操作が無効化される期間であるエラー期間中(エラー中)にベットボタン123の押下操作を開始し、そのままの状態でベットボタン123の操作が有効化された場合であっても(エラーが終了しても)(エラーが解除されても)、当該押下操作に基づくメダルのベットは行われない。
【0176】
本実施の形態では、スロットマシン100として遊技媒体(メダル)を使用するものを示したが、スロットマシン100は、遊技媒体を使用せずに遊技を行うことが可能な遊技機(いわゆるメダルレス遊技機)であってもよい。このメダルレス遊技機では、メダル等の遊技媒体が、電子化された情報(電子情報)によって管理され、この電子情報によってベットや払い出しが行われる。すなわち、メダル等の遊技媒体を使用せずに遊技を行うことが可能である。本実施の形態では、メダル等の遊技媒体と、遊技媒体が電子化された電子情報とを含む概念を、遊技価値とする。
【0177】
上述では、メダル払出中(当選役抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示された場合)にベットボタン123が押下され、ベットボタン123が押下されている状態でメダル払出の処理が終了しても、当該押下に基づくメダルのベットは行われないとした。
ここで、精算処理について説明する。図12に示す前面扉112には、精算ボタン(精算操作部)152が設けられている。この精算ボタン152は、押下操作可能に形成されており、メダルを払い出す精算処理の実行に用いられる。精算ボタン152の操作に基づく精算処理では、ベットまたはクレジットのうちの少なくとも一方に設定されているメダルが払い出される。すなわち、本実施の形態における精算ボタン152の操作に基づく精算の対象は、クレジットに設定されているメダルのみならず、ベットに設定されているメダルも含む。ベットおよびクレジットの双方にメダルが設定されている場合の精算ボタン152の操作による精算パターンとしては、例えば2つのパターンがある。
1つ目のパターンは、1回の精算ボタン152の操作によってベットに設定されているメダルおよびクレジットに設定されているメダルの双方が一括して払い出される精算パターンである。
2つ目のパターンは、1回目の精算ボタン152の操作によってベットに設定されているメダルのみが払い出され、ベットに設定されているメダルの精算後の2回目の精算ボタン152の操作によってクレジットに設定されているメダルが払い出される精算パターンである。
【0178】
本実施の形態では、メダル精算中(遊技価値精算中)にベットボタン123の押下を開始し、そのままの状態でメダルの精算の処理が終了しても、当該ベットボタン123の押下に基づくメダルのベットは行われない。すなわち、メイン制御基板200は、メダル精算中にベットボタン123が押下され、ベットボタン123が押下されている状態でメダルの精算の処理が終了しても、当該ベットボタン123の押下に基づくメダルのベットを行わないように制御する。これにより、メダル精算中にメダルがベットされるという、相反する煩雑な処理が実行されないようにすることができる。
「メダル精算中」とは、精算ボタン152の押下に基づき、ブロッカーが不許可位置に移動してから、精算処理が完了し、所定の期間経過後に、ブロッカーが許可位置に移動するまでの間(図3に示すP1およびP2の期間)をいう。なお、精算ボタン152の押下が開始されてから(またはブロッカーが不許可位置に移動してから)、精算の完了を報知する音声(精算完了音声)(例えば「精算しました」)の出力が終了するまでの間(図3に示すP1およびP3の期間)をメダル精算中としてもよい。また、精算完了音声の出力後、一定時間の無音期間を設け、その無音期間が経過するまでの間をメダル精算中としてもよい(図3に示すP1、P2およびP3の期間)。
【0179】
また、メイン制御基板200は、精算ボタン152の押下中にベットボタン123が押下され、ベットボタン123が押下されている状態で精算ボタン152の押下が終了しても、当該ベットボタン123の押下に基づくメダルのベットを行わないように制御する。精算ボタン152の押下が終了するとは、精算ボタン152の押下が開放されることをいう。
「精算ボタン152の操作中」とは、精算ボタン152が押下されている間であるが、所定期間(1秒)経過前に精算ボタン152の押下を開放したことにより精算処理が開始されなかった場合と、精算処理の終了後も精算ボタン152を押下し続けた後に精算ボタン152の押下を開放した場合とを含む。これにより、メダルを精算しようという操作中にメダルがベットされるという、相反する煩雑な処理が実行されないようにできる。
【0180】
ここで、メイン制御基板200が検出(検知)するエラーは、第1の実施の形態と同様に、逆流エラー、エンプティエラー、払出詰まりエラー、払出異常エラー、オーバーエラー、滞留エラー、バックアップエラー、ドア開放エラー、投入異常エラー、表示判定異常エラー、RAM異常エラー、設定値異常エラーがある。また、エラー解除操作としては、例えば、ドアキーシリンダ(図12の符号153)にドアキーを挿入し、ドアキーを反時計回りに回転させる(ひねる)という操作と、設定変更ボタンを押下するという操作とがある。
【0181】
メイン制御基板200は、エラーを検出すると、エラーが発生した旨を示すコマンド(エラーコマンド)をサブ制御基板300に送信する。サブ制御基板300は、エラーコマンドをメイン制御基板200から受信すると、エラーの発生内容に対応する画像(エラー画面)を液晶ディスプレイDに表示する制御や、エラー発生に対応する警告音(エラー音)を、スピーカ114を介して出力する制御等を行う。
【0182】
なお、メイン制御基板200が検出するエラーには、上述以外のエラーがあってもよい。本実施の形態では、ドア開放エラーを第1エラーとし、ドア開放エラー以外の所定のエラーを第2エラーとする。メイン制御基板200が検出可能なエラーには、第1エラーと第2エラーとを含む複数のエラーがある。
上述では、エラー中にベットボタン123の押下を開始し、そのままの状態でエラーが終了しても(エラーが解除されても)、当該ベットボタン123の押下に基づくメダルのベットは行われないとしたが、これをエラーが所定のエラーである場合に行うようにしてもよい。すなわち、メイン制御基板200は、第2エラー中にベットボタン123が押下され、ベットボタン123が押下されている状態で第2エラーが終了しても(第2エラーが解除されても)、当該ベットボタン123の押下に基づくメダルのベットを行わないように制御する。これにより、第2エラー中のベットボタン123の押下に基づいてメダルがベットされるのを防止できる。なお、メイン制御基板200は、第1エラー中にベットボタン123が押下され、ベットボタン123が押下されている状態で第1エラーが解消すると、当該ベットボタン123の押下に基づいてメダルのベットを行うように制御する。
【0183】
また、エラー解除操作には、ドアキー操作(ドアキーシリンダにドアキーを挿入し、例えばドアキーを反時計回りに回転させる)がある。メイン制御基板200は、エラー中にベットボタン123が押下され、そのベットボタン123が押下されている状態でエラーが終了しても(エラーが解消されても)、当該ベットボタン123の押下に基づくメダルのベットを行わないが、エラーが発生した後そのエラーの解除を行うためのドアキー操作中にベットボタン123が押下されると、当該ベットボタン123の押下に基づくメダルのベットを行うように制御する。ドアキー操作中とは、ドアキーシリンダに挿入したドアキーを回転させる(ひねる)ことにより、ドアキーONが検出されている間をいう。これにより、ドアキーOFF(すなわち、ドアキーを反時計回りにひねる操作を終了した状態)を検知することなくベットが可能な遊技状態に移行できるので容量の削減に繋がる。
【0184】
(第3の実施の形態)
次に、図面を参照しながら本発明の第3の実施の形態について説明する。
図22に示すように、本発明のスロットマシン(遊技機)10は、遊技者側を向く面である前面側が開口された箱状の筐体11と、当該筐体11の前面側開口を開閉する前面扉12とを備えている。筐体11には、回転自在な第1リール20a、第2リール20bおよび第3リール20cがユニット化されたリールユニットと、メダル(遊技価値)の払い出しを行うホッパー装置等が収納されている。また、前面扉12は、上扉12aと下扉12bとに分割されており、これら上扉12aおよび下扉12bはそれぞれ筐体11に対して開閉自在となっている。
【0185】
上扉12aには、液晶ディスプレイ(表示手段)13、スピーカ14などの演出用の装置、および、表示窓16が設けられている。液晶ディスプレイ13は、各種演出用の画像(動画、静止画)を表示する。また、スピーカ14は、各種演出用の音(音楽、効果音、音声等)を出力する。なお、演出用の装置としては、液晶ディスプレイ13やスピーカ14の他にランプ(LED)などの電飾装置、アクチュエータ等で動作可能な可動役物などを設けても良い。
【0186】
表示窓16の奥には、リールユニットが、その一部を表示窓16の外から視認可能に配置されている。各リール20a~20cの外周面には、複数種類の図柄が一列に配置されており、各リール20a~20cが停止すると表示窓16を通して1リール当たり3個の図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)が表示される。また、表示窓16には、各リール20a~20cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、各リール20a~20cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。なお、本実施形態の遊技機では、第1リール20aの中段と、第2リール20bの中段と、第3リール20cの上段とによって有効ラインが構成されている。また、本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数)が、3枚に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、有効ラインが有効化される。
【0187】
スロットマシン10では、遊技開始に伴って各リール20a~20cが回転を開始するとともに内部抽選が実行されて当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。次いで、リール20a~20cが停止したときに、内部抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
【0188】
表示窓16の下方には、遊技情報表示部17および有利区間表示器18が設けられている。遊技情報表示部17は、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、エラー情報等の各種遊技情報が表示される。また、有利区間表示器18はLEDを有しており、このLEDの点灯および消灯により、有利区間に滞在しているか否かが報知されるようになっている。
【0189】
下扉12bには、メダルを投入するメダル投入口22、クレジットされたメダルをベットするためのベットボタン23、遊技を開始する際に操作されるスタートレバー(遊技開始操作手段)24、回転しているリールを停止させるためのストップボタン(停止操作手段)26a,26b,26c、ホッパー装置によりメダルを払い出す払い出し口27、払い出し口27から払い出されたメダルを受けるメダル受け皿28が設けられている。また、メダル投入口22の奥には、メダル投入口22から投入されたメダルの通過を検知するメダルセンサ29(図23参照)が設けられている。
【0190】
スロットマシン10では、メダル投入口22にメダルが投入、または、ベットボタン23が操作され規定枚数のメダルがベットされることで、スタートレバー24の操作が有効化される。また、有効化されたスタートレバー24が操作されると遊技が開始される。遊技が開始されると、各リール20a~20cが回転を開始し、各リール20a~20cの回転速度が一定速度に到達して定常回転となるとストップボタン26a~26cの操作が有効化される。また、有効化されたストップボタン26a~26cが操作されると、操作されたストップボタン26a~26cに対応する各リール20a~20cを停止する。
【0191】
図23に示すように、スロットマシン10の内部には、メイン制御基板(主制御装置)31と、サブ制御基板(副制御装置)32とが設けられている。メイン制御基板31は、ベットボタン23、スタートレバー24、ストップボタン26a~26c、メダルセンサ29等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニットや、ホッパー装置等の出力手段の制御を行う。また、サブ制御基板32は、メイン制御基板31から送られてくる信号を受けて、演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて液晶ディスプレイ13およびスピーカ14等の演出用の装置の制御を行う。
【0192】
また、メイン制御基板31とサブ制御基板32とは電気的に接続されており、メイン制御基板31からサブ制御基板32へは遊技状態を示す情報など各種情報(信号)の送信が可能となっているが、サブ制御基板32からメイン制御基板31へは情報を送信できないようになっている。
また、メイン制御基板31やサブ制御基板32等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0193】
メイン制御基板31は、投入受付手段40と、乱数発生手段41と、内部抽選を行って役の当否を決定する内部抽選手段42と、リールの回転を制御するリール制御手段43と、全てのリールが停止したときに当選役が入賞したか否かを判定する入賞判定手段44と、払出制御手段45と、リプレイ制御手段46と、設定変更手段47と、初期化手段48と、遊技状態制御手段49と、指示機能制御手段51と、演出メイン制御手段52と、記憶手段60と、を備えている。また、記憶手段60は、ROMとRAMとを備えている。
また、サブ制御基板32は、演出サブ制御手段70と、サブ側記憶手段72と、を備えている。また、サブ側記憶手段72は、ROMとRAMとを備えている。
【0194】
また、演出メイン制御手段52と演出サブ制御手段70とによって、演出制御手段100が構成されている。演出メイン制御手段52は、遊技状態や演出状態等に基づき演出サブ制御手段70へ指示を出す。また、演出サブ制御手段70は、演出メイン制御手段52から送信される遊技状態、演出状態に関する情報、あるいは指示演出を行うか否かの情報に基づき、サブ側記憶手段72に記憶された演出用データを用いて、演出用の装置の制御を行う。なお、本実施形態において説明する演出メイン制御手段52で行う制御は、演出サブ制御手段70で行ってもよく、演出サブ制御手段70で行う制御は、演出メイン制御手段52で行ってもよい。また、本実施形態において説明する演出制御手段100で行う制御は、指示機能制御手段51で行ってもよく、指示機能制御手段51で行う制御は演出制御手段100で行っても良い。
【0195】
投入受付手段40は、遊技ごとにメダルの投入を受け付けて、規定数のメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバー24に対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。具体的には、メダル投入口22にメダルが投入されると、メダルセンサ29がメダルを検知することに伴って、投入受付手段40が、規定数を限度として、投入されたメダルを投入状態(ベット状態)に設定する。また、投入受付手段40は、メダルがクレジットされた状態でベットボタン23が押下されると、規定数を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。なお、本実施形態の遊技機では、規定数のメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバー24に対する最初の押下操作が、遊技開始操作として受け付けられ、当該操作を契機としてリール20a~20cの回転が開始されるとともに、内部抽選等の抽選が行われる。
【0196】
また、投入受付手段40は、リプレイが入賞した遊技の次回の遊技では遊技者の所有するメダルを新たに投入状態に設定しないように制御する。具体的には、前回の遊技でリプレイが入賞した場合には、メダルの投入を受け付けている状態でメダル投入口22にメダルが投入されても投入されたメダルを投入状態に設定することなく、クレジット上限数(例えば、50枚)を限度として、投入されたメダルをクレジットする。また、メダルの投入を受け付けている状態においてベットボタン23に対する操作を受け付けないようにして、ベットボタン23が押下されてもクレジットされたメダルを投入状態に設定しないようにする。
【0197】
乱数発生手段41は、抽選用の乱数値を発生させるものである。乱数値は、例えばインクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお、本実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0198】
内部抽選手段42は、有効化されたスタートレバー24が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に基づいて内部抽選テーブルを用いた内部抽選を行う。
内部抽選テーブルは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、小役、リプレイおよびボーナスを含む各種の当選役やハズレ(不当選)が対応付けられたものであり、記憶手段60のROMに設けられた内部抽選テーブル記憶領域61に複数格納されている。本実施形態の遊技機では、後述するように、遊技状態として、一般中状態、RBB内部中状態、RBB作動中の一般中状態、RBB作動中のRB内部中状態およびRBB作動中のRB作動中状態が設定可能とされ、設定値として、設定1~設定6までの6つの設定値が設定可能とされており、内部抽選手段42は、遊技状態および設定値に応じて内部抽選テーブルを選択して内部抽選を行う。
なお、小役とは、入賞することにより、入賞した小役に応じた所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、リプレイとは、入賞することにより、メダルを新たに消費することなく、再度遊技を行うことができる役である。リプレイが入賞すると、遊技者のメダルを使うことなくスタートレバー24の操作が有効化され、スタートレバー24の操作により遊技を開始することが可能な状態となる。
【0199】
内部抽選では、乱数発生手段41から抽選用の乱数値を取得し、この乱数値を内部抽選テーブルに照合して当選役に当選したか否かを判定し、当該乱数値に対応付けられた当選役が当選となる。具体的には、内部抽選テーブルには、図24に示すような複数の当選エリアが設けられており、乱数発生手段41から取得される乱数値のそれぞれがいずれかの当選エリアに対応付けられている。また、当選エリアには、1または複数の当選役が含まれる(当選役が対応付けられた)当選エリアと、いずれの当選役も含まれない(ハズレが対応付けられた)当選エリアとがある。また、各当選エリア同士は、含まれる当選役の組み合わせが異なっている。そして、乱数発生手段41から取得された乱数値に対応付けられた当選エリアに属する全ての当選役が、内部抽選の結果として当選となるようになっている。以下では、内部抽選において、当選エリアに属する役が当選することを「当選エリアが当選」ともいうこととする。また、いずれの役にも当選しない場合を「当選エリア「不当選」が当選」ともいうこととする。
【0200】
図24に示すように、本実施形態の遊技機では、小役として、小役1~小役39が用意されている。また、小役が含まれる当選エリアとして「10枚ALL」、「1枚ALL」、「打順ベル1A」~「打順ベル6A」、「打順ベル1B」~「打順ベル6B」、「打順ベル1C」~「打順ベル6C」および「打順ベル1D」~「打順ベル6D」が用意されている。また、小役1~小役6は入賞すると10枚のメダルが払い出される10枚役(特定役の一例)となっており、小役7~小役39は入賞すると1枚のメダルが払い出される1枚役となっている。
なお、以下では、当選エリア「打順ベル1A」~「打順ベル6A」を打順ベルAといい、当選エリア「打順ベル1B」~「打順ベル6B」を打順ベルBといい、当選エリア「打順ベル1C」~「打順ベル6C」を打順ベルCといい、当選エリア「打順ベル1D」~「打順ベル6D」を打順ベルDといい、打順ベルA、B、C、Dをまとめて打順ベルということとする。
【0201】
当選エリア「10枚ALL」は、全ての10枚役(小役1~小役6)と複数の1枚役(小役8~39)とが重複して当選する当選エリアとなっている。また、当選エリア「1枚ALL」は、全ての1枚役(小役7~小役39)が重複して当選する当選エリアとなっている。また、当選エリア「打順ベル1A~6A」、「打順ベル1B」~「打順ベル6B」、「打順ベル1C」~「打順ベル6C」、「打順ベル1D」~「打順ベル6D」は、10枚役のうちいずれか1種類と、1枚役とが重複して当選する当選エリアとなっている。
【0202】
また、本実施形態の遊技機では、リプレイとして、リプレイ1~リプレイ16が用意されている。また、リプレイが含まれる当選エリアとして「リプレイ1」~「リプレイ4」、「弱チェリー1」、「弱チェリー2」、「強チェリー」、「チャンス目」、「スイカ」および「スイカハズレ」が用意されている。
【0203】
当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」、「弱チェリー1」、「弱チェリー2」、「強チェリー」、「チャンス目」、「スイカ」および「スイカハズレ」は、複数のリプレイが重複して当選する当選エリアとなっている。
【0204】
また、本実施形態の遊技機では、ボーナスとして、ビッグボーナス(RBB:特別役の一例)とレギュラーボーナス(RB:シフト役の一例)(第1レギュラーボーナス(RB1)~第4レギュラーボーナス(RB4))が用意されている。また、ボーナスが対応付けられた当選エリアとして、ビックボーナス(RBB)が単独で当選する当選エリア「RBB」と、第1レギュラーボーナス(RB1)~第4レギュラーボーナス(RB4)がそれぞれ単独で当選する当選エリア「RB1」~「RB4」とが設けられている。
なお、本実施形態の遊技機では、ビッグボーナス(RBB)としていわゆる第一種特別役物に係る役物連続作動装置を想定しており、レギュラーボーナス(RB)としていわゆる第一種特別役物を想定しているが、これ以外のボーナスを用いてもよい。また、他のボーナスも併せて搭載することとしてもよい。また、搭載するボーナスは、それぞれ単独で当選するように設定されていてもよく、リプレイや小役と重複して当選するように設定されていても良い。
【0205】
また、ハズレが対応付けられた当選エリアとして「不当選」が用意されている。
【0206】
各当選エリアは、遊技状態に応じて当選する場合としない場合とが設定されている。換言すると、内部抽選手段42は、遊技状態に応じて内部抽選テーブルを選択して内部抽選を行うようになっており、これにより当選し得る役が変化するようになっている。さらに換言すると、各遊技状態においては、各遊技状態において当選し得る当選エリアが抽選対象に含まれる内部抽選テーブルを用いて内部抽選が行われる。各内部抽選テーブルでは、各当選エリアについて値数(置数ともいう)が定められている。ここで、値数とは乱数値の全範囲(例えば、65535)に対して当選となる範囲を示す数値である。換言すると、値数とは、各当選エリアに対応付けられている乱数の数を示すものである。例えば、図24に示すように、一般中状態における当選エリア「打順ベル1A」の値数は、3082となっており、当選エリア「打順ベル1A」に約4.7%(=3082/65536)の確率で当選することがわかる。
【0207】
各遊技状態において値数が割り当てられている各当選エリア(値数が1以上である当選エリア)は、その遊技状態において当選し得る当選エリアである。すなわち、当選エリア「不当選」は、遊技状態がRBB内部中状態の場合に当選し、それ以外の遊技状態では当選しないようになっている。また、当選エリア「10枚ALL」および「1枚ALL」は、遊技状態がRBB作動中のRB作動中状態の場合に当選し、それ以外の遊技状態では当選しないようになっている。また、当選エリア「打順ベル1A」~「打順ベル6A」、「打順ベル1B」~「打順ベル6B」、「打順ベル1C」~「打順ベル6C」および「打順ベル1D」~「打順ベル6D」は、遊技状態が一般中状態、RBB内部中状態、RBB作動中の一般中状態またはRBB作動中のRB内部中状態の場合に当選し、RBB作動中のRB作動中状態では当選しないようになっている。また、当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」は、遊技状態が一般中状態、RBB内部中状態またはRBB作動中のRB内部中状態の場合に当選し、RBB作動中の一般中状態またはRBB作動中のRB作動中状態では当選しないようになっている。また、当選エリア「弱チェリー1」、「弱チェリー2」、「強チェリー」、「チャンス目」、「スイカ」および「スイカハズレ」は、遊技状態が一般中状態またはRBB内部中状態の場合に当選し、RBB作動中状態では当選しないようになっている。また、当選エリア「RB1」~「RB4」は、遊技状態がRBB作動中の一般中状態の場合に当選し、それ以外の遊技状態では当選しないようになっている。また、当選エリア「RBB」は、遊技状態が一般中状態の場合に当選し、それ以外の遊技状態では当選しないようになっている。
【0208】
また、一般中状態、RBB内部中状態、RBB作動中の一般中状態およびRBB作動中のRB内部中状態において、当選エリア「打順ベル1A」~「打順ベル6A」または「打順ベル1B」~「打順ベル6B」のそれぞれの値数は、3082であるのに対し、当選エリア「打順ベル1C」~「打順ベル6C」または「打順ベル1D」~「打順ベル6D」のそれぞれの値数は、490となっている。換言すると、これらの各遊技状態において、打順ベルAと打順ベルBとの値数の合計値(3082×12=36984)は、打順ベルCと打順ベルDとの値数の合計値(490×12=5880)よりも大きくなっている。さらに換言すると、これらの各遊技状態において、打順ベルAまたは打順ベルBのいずれかに当選する確率(36984/65536=56.4%)は、打順ベルCまたは打順ベルDのいずれかに当選する確率(5880/65536=9.0%)よりも大きくなっている。
【0209】
また、RBB作動中の一般中状態における当選エリア「RB1」~「RB4」のそれぞれの値数は5668であるのに対し、RBB作動中のRB内部中状態における当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」のそれぞれの値数は5668となっている。換言すると、RBB作動中の一般中状態における当選エリア「RB1」~「RB4」の値数の合計値(5668×4=22672)は、RBB作動中のRB内部中状態における当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」の値数の合計値(5668×4=22672)と等しくなっている。さらに換言すると、RBB作動中の一般中状態において、当選エリア「RB1」~「RB4」のいずれかに当選する確率(22672/65536=34.6%)は、RBB作動中のRB内部中状態において、当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」のいずれかに当選する確率(22672/65536=34.6%)と等しくなっている。すなわち、RBB作動中の一般中状態においてレギュラーボーナス(RB)に当選する確率は、RBB作動中のRB内部中状態においてリプレイに当選する確率と等しくなっている。なお、本実施形態の遊技機では、一般中状態とRBB内部中状態とでリプレイの当選確率が同一となっている。また、RBB作動中状態の一般中状態ではリプレイに当選しないようになっている。また、RBB作動中のRB内部中状態は、他の遊技状態に比べ、リプレイの当選確率が高くなっている。
【0210】
各当選エリアには、それぞれに異なる当選エリア番号が付されている。そして、当選エリア番号によって各当選エリアが識別可能となっている。
【0211】
内部抽選手段42は、内部抽選の結果当選した役に対応する当選フラグを非当選状態(オフ状態)から当選状態(オン状態)に設定する。また、複数の当選役が重複して当選した場合には、重複して当選したそれぞれの役に対応する当選フラグを非当選状態から当選状態に設定する。また、当選フラグの設定情報は、記憶手段60のRAMに設けられた当選フラグ記憶領域62に格納される。
【0212】
また、当選フラグには、入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な当選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態が持ち越されず、非当選状態にリセットされる当選フラグ(持越不可フラグ)とがある。持越可能フラグが対応づけられる役としては、ボーナス(ビッグボーナス(RBB)およびレギュラーボーナス(RB))がある。また、持越不可フラグが対応づけられる役としては、小役、およびリプレイがある。例えば、内部抽選手段42は、内部抽選でボーナスに当選すると、ボーナスの当選フラグの当選状態を、ボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき内部抽選手段42は、ボーナスの当選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、小役およびリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち、ボーナスの当選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているボーナスの当選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの当選フラグとの、2種類以上の役に対応する当選フラグを当選状態に設定する。
【0213】
また、スロットマシン10は、設定1~設定6までの6つの設定値について、設定値の違いによって、役の当選確率が異なるようになっている。具体的には、設定が変わると、遊技状態に応じて選択される複数の内部抽選テーブルからなる内部抽選テーブル群が、各設定に対応付けられた内部抽選テーブル群に変更されるようになっており、設定によって小役、リプレイ、ボーナスの当選確率が異なる内部抽選テーブル群に変わるようになっている。
【0214】
設定変更手段47は、記憶手段60のRAMに設けられた設定値記憶領域63に記憶されている設定値を変更する制御を行う。具体的には、スロットマシン10の内部に設けられた設定変更キーシリンダに設定変更キーが挿入され、設定変更キー(設定変更キーシリンダ)が初期位置から時計回りに90度回された状態でスロットマシン10の電源が投入されると、設定変更手段47は、スロットマシン10を設定変更モードで起動する。設定値は、設定1~設定6までの6段階の設定値の中から選択できるようになっており、設定1から設定6に向かって順番に出玉率の期待値が高くなるように内部抽選の当選確率が変動するようになっている。設定変更手段47は、設定変更モードにおいてスロットマシン10の内部に設けられた設定変更ボタンが押下される毎に、設定1→設定2→・・・設定6→設定1→・・・の順序で設定値を変更し、スタートレバー24が押下されると、設定値を確定させて、確定された設定値を設定値記憶領域63に記憶させる。また、設定変更キーシリンダに挿入された設定変更キーを初期位置に戻すことによって設定変更モードから遊技モードへ移行させることができるようになっている。
なお、本実施形態では、設定1<設定2<設定3<設定4<設定5<設定6の順で設定値の高低を表現する。
【0215】
また、設定変更キーシリンダが初期位置にある状態で電源が投入されると、スロットマシン10を遊技モードで起動する。本実施形態の遊技機では、遊技モードでは遊技を行うことができるが、設定値の変更を行うことはできず、設定変更モードでは設定値の変更を行うことはできるが、遊技を行うことはできないようになっている。
【0216】
初期化手段48は、設定値が変更されると記憶手段60のRAMに記憶されている情報の少なくとも一部を初期化する初期化処理を行う。具体的には、設定値が変更されると初期化手段48は、後述する遊技状態、遊技区間および演出状態を初期状態に戻す処理を行う。すなわち、設定値が変更されると、遊技状態が一般中状態となり、遊技区間が非有利区間となり、演出状態が通常演出状態となり、これらの状態が工場出荷後最初に電源を入れたときと同様の状態となる。また、初期化手段48は、初期化処理において、他にも記憶手段60のRAMに記憶された演出に関する情報等を初期化する。また、サブ制御基板32も初期化手段(図示せず)を備えており、設定値が変更されたことを知らせる信号がメイン制御基板31から送信されると、サブ制御基板32の初期化手段はサブ側記憶手段51のRAMに記憶された演出に関する情報を初期化する。
なお、設定値が変更されても、遊技状態や遊技区間や演出状態が初期状態に戻らないようにしてもよい。
【0217】
リール制御手段43は、メイン制御基板31による制御のもと有効化されたスタートレバー24が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に伴って各リール20a~20cの回転を開始させるとともに、有効化されたストップボタン26a~26cが操作されると、操作されたストップボタンに対応するリールの停止制御を行う。
【0218】
すなわち、リール制御手段43は、ストップボタン26a~26cの各ボタンが操作される毎に、第1リール20a~第3リール20cのうち、操作されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行う。スロットマシン10では、ストップボタン26aが操作されると、第1リール20aの回転が停止され、ストップボタン26bが操作されると、第2リール20bの回転が停止され、ストップボタン26cが操作されると、第3リール20cの回転が停止される。したがって、ストップボタン26a~26cの操作順序(打順)によって、第1リール20a~第3リール20cの停止順序が変化する。
【0219】
なお、以下では、停止操作の順序(ストップボタン26a~26cの操作順序)について、ストップボタン26a~26cのうちの全てのストップボタンを操作する1まとまりの停止操作の順序を「打順」とする。また打順を構成する各停止操作のうち、最初に行う停止操作を「第1停止操作」、2番目に行う停止操作を「第2停止操作」、3番目に行う停止操作を「第3停止操作」とする。
【0220】
また、以下では、第1リール20a、第2リール20b、第3リール20cの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順1」とし、第1リール20a、第3リール20c、第2リール20bの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順2」とし、第2リール20b、第1リール20a、第3リール20cの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順3」とし、第2リール20b、第3リール20c、第1リール20aの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順4」とし、第3リール20c、第1リール20a、第2リール20bの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順5」とし、第3リール20c、第2リール20b、第1リール20aの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順6」とする。
【0221】
ストップボタン26a~26cが操作された際の停止制御において、リール制御手段43は、当選フラグが当選状態に設定されている当選役が入賞するように、各リール20a~20cを停止させる。具体的には、1つの当選役の当選フラグが当選状態に設定されている状態では、この当選役が入賞するように各リール20a~20cの停止制御を行う。また、複数の当選役の当選フラグが重複して当選状態に設定されている状態では、役毎に定められた優先順位に従って、所定の当選役が入賞するように、各リール20a~20cを停止させる。本実施形態の遊技機においては、当該優先順位は、「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で定められている。そして、リール制御手段43は、優先順位の高い役の入賞形態を構成する図柄が、優先順位が低い役の入賞形態を構成する図柄に優先して有効ライン上に表示されるように、リール20a~20cを停止させる。
【0222】
本実施形態の遊技機では、ビッグボーナス(RBB)の当選フラグが当選状態に設定されている状況において、内部抽選で当選エリア「不当選」が当選した場合、リール制御手段43は、ビッグボーナス(RBB)の入賞形態を構成する図柄が優先して有効ライン上に表示されるように停止制御を行う。したがって、ビッグボーナス(RBB)の当選フラグが当選状態に設定されている状況において、当選エリア「不当選」が当選すると、ビッグボーナス(RBB)の入賞形態を示す図柄組合せを有効ライン上に表示させることが可能となっている。
【0223】
また、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補についての優先順位は、有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先順位を求める場合と、小役について予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先順位を求める場合とが存在する。有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合には、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数が多くなる停止位置ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先順位を求める。メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合には、有効ライン上の表示位置に表示されている図柄に対応する小役の配当に基づくメダルの払出数が多くなる停止位置(配当が多い小役を入賞させることができる停止位置)ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先順位を求める。ただし、メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補についての優先順位はそれぞれ同一のものとして扱われる。
【0224】
打順ベルには、それぞれ正解打順と不正解打順とが設定されている。具体的には、図25に示すように、いずれかの打順ベルが当選した場合に、正解打順で操作がされると10枚役が入賞し、不正解打順で操作がされると1枚役が入賞し得る(10枚役が入賞しない)ようになっている。なお、図25における括弧書きの内容は、その打順で停止操作が行われた場合における、1枚役の入賞率を示している。例えば、「1枚役(1/4)」という表記は、停止操作のタイミングがランダムであることを前提として、1/4の確率で1枚役が入賞し、3/4の確率で1枚役を取りこぼす(1枚役が入賞しない)ことを示している。また、括弧書きがされていない部分に関しては、停止操作のタイミングに関らず必ず表記されている役(10枚役あるいは1枚役)が入賞するようになっている。例えば、一般中状態において当選エリア「打順ベル1A」に当選した場合、打順1で停止操作がされると10枚役が入賞し、打順2で停止操作がされると1枚役が入賞し、打順3~6のいずれかで停止操作がされると、1/4の確率で1枚役が入賞し3/4の確率で1役を取りこぼすようになっている。
【0225】
そして、いずれかの打順ベルが当選した場合に、正解打順でストップボタン26a~26cが押下されると、小役1~6を入賞させることができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められ、不正解打順でストップボタン26a~26cが押下されると、小役8~小役39を入賞させることができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められる。
【0226】
なお、打順ベルに当選し、不正解打順で停止操作がされた場合であって、1枚役を取りこぼすタイミングで停止操作がされた場合に、ビッグボーナス(RBB)の当選フラグが当選状態に設定されていれば、ビッグボーナス(RBB)が入賞し得るようになっていてもよい。
【0227】
また、打順ベルは、遊技状態に応じて正解打順が変化するものと、変化しないものとが存在する。具体的には、打順ベルAおよび打順ベルBは、遊技状態に関わらず、正解打順は1通り(1種類)に定められており、他の5通り(5種類)の打順は不正解打順とされている。また、打順ベルAのそれぞれは、互いに異なる打順が正解打順に設定されており、打順Bのそれぞれは、互いに異なる打順が正解打順に設定されている。
【0228】
一方、打順ベルCおよび打順ベルDは、遊技状態に応じて正解打順の個数が変化するようになっている。具体的には、打順ベルCおよび打順ベルDは、遊技状態が一般中状態、RBB内部中状態またはRBB作動中の一般中状態である場合には、正解打順は1通りに定められており、他の5通りの打順は不正解打順とされている。また、遊技状態が一般中状態、RBB内部中状態またはRBB作動中の一般中状態である場合には、打順ベルCのそれぞれは、互いに異なる打順が正解打順に設定されており、打順Dのそれぞれは、互いに異なる打順が正解打順に設定されている。また、打順ベルCおよび打順ベルDは、遊技状態がRBB作動中のRB内部中状態である場合には、6通りの打順全てが正解打順に定められている。換言すると、打順ベルCおよび打順ベルDは、遊技状態が特定の遊技状態(RBB作動中のRB内部中状態)である場合には、他の遊技状態に比べて、正解打順の個数が多くなっている。さらに換言すると、特定の遊技状態においては、正解打順と不正解打順との区別が無くなっている。
【0229】
すなわち、一般中状態、RBB内部中状態およびRBB作動中の一般中状態においては、打順ベルA、打順ベルB、打順ベルCおよび打順ベルDは、いずれも6択(1/6の確率)で10枚役が払い出される当選エリアとなっているが、RBB作動中のRB内部中状態においては、打順ベルAおよび打順ベルBは、6択(1/6の確率)で10枚役が払い出される当選エリアとなっている一方、打順ベルCおよび打順ベルDは、100%の確率で10枚役が払い出される当選エリアとなっている。
【0230】
入賞判定手段44は、リール20a~20cの回転が停止されると作動され、リール20a~20cの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する。具体的には、リール20a~20cが停止することによって有効ライン上に表示(停止表示)された図柄組合せを、記憶手段60のROMに記憶されている入賞判定テーブルに照合する。入賞判定テーブルには、各当選役のそれぞれの入賞形態(停止表示された場合に入賞となる図柄組合せ)が記憶されており、前述した照合により、入賞の有無や入賞した当選役の種類が判明する。メイン制御基板31は、当選役が入賞した場合、入賞した当選役に対応する入賞処理を実行する。入賞処理としては、具体的には、小役が入賞した場合には払出処理を行い、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理(再遊技処理)を行い、ボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる処理(遊技状態移行制御処理)を行う。
【0231】
ここで、払出処理は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいて決定された枚数のメダルを払い出す処理であり、払出制御手段45が行う。払出制御手段45は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいてメダルの払出数を決定し、決定された払出数のメダルをホッパー装置に払い出させる。なお、クレジットが許可されている場合には、ホッパー装置によって実際にメダルを払い出す代わりに、記憶手段60のRAMに設けられたクレジット記憶領域に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して、払出数を加算するクレジット加算処理を行って、仮想的にメダルを払い出す。
【0232】
本実施形態の遊技機では、小役1~小役6に入賞すると10枚のメダルが払い出され、小役7~小役39に入賞すると1枚のメダルが払い出されるようになっている。
【0233】
また、リプレイ処理は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ遊技開始待機状態に設定する処理であり、リプレイ制御手段46が行う。リプレイが入賞した場合には、前回の遊技(当該リプレイが入賞した遊技)において投入状態に設定された枚数と同じ枚数分のメダルを、遊技者の手持ちのメダル(クレジットされたメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、自動投入処理によって投入されたメダルの数に対応する有効ラインを設定した状態で次回のスタートレバー24に対する遊技開始操作を待機する。また、自動投入処理が行なわれた場合、メダルを追加投入することはできないようになっている。
【0234】
遊技状態制御手段49は、図26に示すように、一般中状態(通常状態の一例)、RBB内部中状態(ボーナス成立状態)およびRBB作動中状態(ボーナス状態:特別状態の一例)の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行う。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したことに基づいて遊技状態を移行させてもよく、複数の予め定められた条件の複数あるいは全てが成立したことに基づいて、遊技状態を移行させてもよい。
【0235】
遊技状態は、初期状態においては、一般中状態となっている。一般中状態においては、打順ベル、当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」、「弱チェリー1」、「弱チェリー2」、「強チェリー」、「チャンス目」、「スイカ」、「スイカハズレ」および「RBB」が抽選対象に設定された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。また、一般中状態からはRBB内部中状態への移行が可能となっている。遊技状態制御手段49は、一般中状態においてビッグボーナス(RBB)が当選した場合に、遊技状態をRBB内部中状態へ移行させる。
【0236】
RBB内部中状態は、内部抽選でビッグボーナス(RBB)に当選したことを契機として移行する遊技状態である。RBB内部中状態では、当選エリア「不当選」、打順ベル、当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」、「弱チェリー1」、「弱チェリー2」、「強チェリー」、「チャンス目」、「スイカ」および「スイカハズレ」が抽選対象に設定された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。換言すると、RBB内部中状態では、ビッグボーナス(RBB)が抽選対象から除外された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。また、RBB内部中状態では、ビッグボーナス(RBB)が入賞するまでビッグボーナス(RBB)に対応する当選フラグが当選状態に維持され、ビッグボーナス(RBB)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されると、遊技状態制御手段49は、遊技状態をRBB内部中状態からRBB作動中状態へ移行させる。
【0237】
RBB作動中状態は、ビッグボーナス(RBB)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。RBB作動中状態では、ビッグボーナス(RBB)が抽選対象から除外された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。遊技状態制御手段49は、図26に示すように、RBB作動中状態において、RBB作動中の一般中状態(第1遊技状態の一例)、RBB作動中のRB内部中状態(第2遊技状態の一例)およびRBB作動中のRB作動中状態(第3遊技状態の一例)の間で遊技状態を移行させる処理を行う。
【0238】
RBB作動中の一般中状態は、ビッグボーナス(RBB)の入賞によってRBB作動中状態が開始される際に設定される遊技状態となっている。RBB作動中の一般中状態においては、打順ベルおよび当選エリア「RB1」~「RB4」が抽選対象に設定された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。また、RBB作動中の一般中状態からはRBB作動中のRB内部中状態への移行が可能となっている。遊技状態制御手段49は、RBB作動中の一般中状態において第1レギュラーボーナス(RB1)~第4レギュラーボーナス(RB4)のいずれかが当選した場合に、遊技状態をRBB作動中のRB内部中状態へ移行させる。
【0239】
RBB作動中のRB内部中状態は、RBB作動中状態における内部抽選でレギュラーボーナス(RB)に当選したことを契機として移行する遊技状態である。RBB作動中のRB内部中状態では、打順ベルおよび当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」が抽選対象に設定された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。換言すると、RBB作動中のRB内部中状態では、レギュラーボーナス(RB)が抽選対象から除外された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。また、RBB作動中のRB内部中状態では、レギュラーボーナス(RB)が入賞するまでレギュラーボーナス(RB)に対応する当選フラグが当選状態に維持され、レギュラーボーナス(RB)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されると、遊技状態制御手段49は、遊技状態をRBB作動中のRB内部中状態からRBB作動中のRB作動中状態へ移行させる。
【0240】
RBB作動中のRB作動中状態は、RBB作動中状態においてレギュラーボーナス(RB)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。RBB作動中のRB作動中状態では、当選エリア「10枚ALL」および「1枚ALL」が抽選対象に設定された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。換言すると、RBB作動中のRB作動中状態では、レギュラーボーナス(RB)が抽選対象から除外された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。
【0241】
また、RBB作動中のRB作動中状態では、小役の入賞回数と遊技回数とによってRB作動中状態の終了条件が成立したか否かが判断される。具体的には、小役の入賞回数が8回に達するか、遊技回数が12回に達するとRB作動中状態の終了条件が成立したと判断される。遊技状態制御手段49は、RB作動中状態の終了条件が成立した際にRBB作動中状態の終了条件が成立していなければ、遊技状態をRBB作動中のRB作動中状態からRBB作動中の一般中状態へ移行させる。
【0242】
またRBB作動中状態では、RBB作動中状態での遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、予め定められた所定枚数(例えば、200枚)を超えるメダルが払い出されると、遊技状態制御手段49は、RBB作動中状態を終了させて、遊技状態を一般中状態へ復帰させる制御を行う。なお本実施形態では、RBB作動中状態における払出数についてのカウント情報は記憶手段60に記憶される。また本実施形態では、RBB作動中状態の終了時においてレギュラーボーナス(RB)の当選フラグが当選状態に設定されていても、RBB作動中状態の終了に伴ってレギュラーボーナス(RB)の当選フラグは非当選状態にリセットされる。
【0243】
指示機能制御手段51は、遊技区間制御手段80と、演出状態制御手段81と、特典付与手段82とを備えている。指示機能制御手段51は、有利区間において所定の役の入賞を補助する指示機能の作動に係る処理を行う。具体的には、指示機能制御手段51は、所定の役が当選した場合に、この役の入賞を補助する指示演出を行うか否かを決定する。より具体的には、指示機能制御手段51は、打順ベルが当選した場合に、正解打順を報知して10枚役の入賞を補助する指示演出(打順ナビ演出)を行うか否かを決定する。そして、この決定に基づいて、演出制御手段100が、打順ナビ演出を液晶ディスプレイ13に実行させるようになっている。
【0244】
遊技区間制御手段80は、図27に示すように、遊技の進行状況に応じて、非有利区間と有利区間との間で遊技区間を移行させる遊技区間移行制御処理を行う。非有利区間は、複数種類の遊技区間の中で初期状態に相当する遊技区間となっている。非有利区間においては、特典付与手段82が有利区間移行抽選を行い、有利区間移行抽選に当選すると、遊技区間制御手段80が遊技区間を有利区間へ移行させる。また、有利区間は、遊技を行うことが可能な回数に上限値(ここでは、1500回とする)が設けられた遊技区間となっている。また、遊技区間が非有利区間に設定されている状態では指示演出を行うことができず、有利区間に設定されている場合に限り指示演出を行うことができるようになっている。遊技区間制御手段80は、有利区間において遊技を行った回数が上限値である1500回に達すると有利区間を終了させ、遊技区間を非有利区間へ移行させる。
【0245】
特典付与手段82は、非有利区間においては、所定契機で有利区間への移行の可否を決定する抽選(有利区間移行抽選)を行う。具体的には、特典付与手段82は、所定の役(例えば、当選エリア「スイカ」、「弱チェリー1」、「弱チェリー2」、「強チェリー」、「チャンス目」等:以下、これらの当選エリアをレア役と呼ぶ)の当選に基づいて、有利区間への移行の可否を決定する抽選(有利区間移行抽選)を行う。そして、有利区間移行抽選に当選すると、遊技区間制御手段80は、遊技区間を非有利区間から有利区間へ移行させる。
【0246】
また、遊技区間制御手段80は、有利区間において1回の遊技が行われる毎に、スタートレバー24に対する遊技開始操作を契機として、記憶手段60のRAMに設けられた有利区間遊技数カウンタ65の記憶値に一回分の遊技に相当する値として「1」を加算するインクリメント処理を行う。なお、遊技区間制御手段80は、非有利区間においては、有利区間遊技数カウンタ65への加算を行わない。また、非有利区間から有利区間へ移行した時点においては、有利区間遊技数カウンタ65の記憶値は「0」となっている。そして、遊技区間制御手段80は、有利区間遊技数カウンタ65の記憶値がしきい値(上限値)「1500」に達すると、有利区間の終了条件が成立したとして、遊技区間を有利区間から非有利区間へ移行させる。すなわち、有利区間における遊技回数は、上限値が1500回に設定されており、有利区間において1500回を超える遊技が連続して行なわれないようになっている。
【0247】
また、遊技区間制御手段80は、有利区間において、記憶手段60のRAMに設けられた差枚数カウンタ64の記憶値をメダルの差枚数によって更新し、メダルの払出数に相当する値(例えば、10枚のメダルの払い出しがあった場合には「10」とし、いずれの役も入賞せずに払い出しがなかった場合には「0」とする)から遊技に使用されたメダルの投入数に相当する値(例えば、3枚の投入があった場合には「3」とする)を減算して当該遊技における差枚数の演算結果を求めて、この演算結果を差枚数カウンタ64の記憶値に加算する更新処理を行う。なお、遊技区間制御手段80は、非有利区間においては、差枚数カウンタ64への加算を行わない。また、非有利区間から有利区間へ移行した時点においては、差枚数カウンタ64の記憶値は「0」となっている。そして、遊技区間制御手段80は、差枚数カウンタ64の記憶値がしきい値(例えば、「2400」)を超えた場合に有利区間の終了条件が成立したとして、遊技区間を有利区間から非有利区間へ移行させる。なお、差枚数カウンタ64の記憶値は初期値「0」を下回らないように制御され、例えば、遊技開始時における差枚数カウンタ64の記憶値が「2」であり、遊技を行った結果、いずれの役も入賞せずにメダルの払い出しがなかった場合には、その遊技における差枚数の演算結果が「-3」となり、差枚数カウンタ64の記憶値に差枚数の演算結果を加算すると初期値「0」を下回ってしまうが、更新後の差枚数カウンタの記憶値は初期値「0」を下限値としてカウントストップされるようになっている。すなわち、有利区間において獲得可能なメダル数には、上限値が設定されており、有利区間においてメダルが最も減少したときを基準「0」として、当該基準からのメダルの増加数が2400枚を超えた場合に有利区間が終了するようになっている。また、遊技においてリプレイの入賞があった場合には、リプレイの入賞した遊技で当該遊技の規定投入数に相当するメダルの払い出しがあったものとして取り扱って差枚数を求め、リプレイの入賞によって無償で提供される次回の遊技については実際のメダルの投入は行われていなくても当該遊技の規定投入数に相当するメダルの投入が行われたものとして扱い、差枚数を求めることとしてもよい。
【0248】
また、有利区間表示器18は、非有利区間において消灯し、有利区間において点灯するようになっている。
なお、有利区間表示器18は、有利区間に移行すると同時に点灯させる必要はなく、最初の指示演出を行うまでに点灯させればよい。また、一度点灯させると、有利区間が終了するまでは、消灯しないようになっている。
【0249】
演出状態制御手段81は、図27に示すように、通常演出状態、非AT演出状態、チャンス演出状態、AT演出状態(指示演出状態)、低期待値演出状態および特別演出状態を含む複数種類の演出状態の間で演出状態を移行させる演出状態移行制御処理を行う。演出状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したことによって演出状態を移行させてもよく、複数の予め定められた条件の複数あるいは全てが成立したことに基づいて、演出状態を移行させてもよい。
【0250】
通常演出状態は、複数種類の演出状態の中で初期状態に相当する演出状態である。非有利区間においては、演出状態制御手段81は、演出状態を通常演出状態に設定している。通常演出状態(非有利区間)においては、上述のように特典抽選手段が有利区間移行抽選を行っており、有利区間移行抽選において有利区間への移行が決定されると、演出状態制御手段81は、演出状態を非AT演出状態に移行させる。
【0251】
非AT演出状態は、有利区間が開始される際に基本的に移行する演出状態であり、有利区間の開始時については、非AT演出状態に移行する確率が他の演出状態に移行する確率よりも高く設定されている。非AT演出状態においては、特典付与手段82は、チャンス演出状態への移行の可否を決定する抽選(CZ抽選)を行う。具体的には、特典付与手段82は、非AT演出状態においてレア役に当選した場合に、CZ抽選を行う。そして、CZ抽選に基づいてチャンス演出状態への移行が決定されると、演出状態制御手段81は、演出状態をチャンス演出状態へ移行させる。
【0252】
チャンス演出状態においては、特典付与手段82は、AT演出状態への移行の可否を決定する抽選(AT抽選)を行う。具体的には、特典付与手段82は、チャンス演出状態においてレア役に当選した場合に、AT抽選を行う。そして、AT抽選に基づいてAT演出状態への移行が決定されると演出状態制御手段81は演出状態をAT演出状態へ移行させる。具体的には、AT抽選に当選し、演出状態をAT演出状態へ移行することが決定された場合、特典付与手段82は、記憶手段60のRAMに設けられたATセット数カウンタ67の記憶値にAT演出状態の1セットに相当する値「1」を設定し、AT演出状態へ移行する権利を付与する。なお、AT抽選の当選によって付与されるセット数は1セットに限らず2セット以上であってもよく、複数種類のセット数からAT抽選の当選時に選択される等としてもよい。
【0253】
演出状態制御手段81は、チャンス演出状態においてATセット数カウンタ67の値が「1」以上の場合に、演出状態をAT演出状態に移行させる。また、演出状態制御手段81は、AT演出状態を開始する際に、ATセット数カウンタ67の記憶値から「1」を減算する処理を行う。また、演出状態制御手段81は、AT演出状態を開始する際に、記憶手段60のRAMに設けられたナビ回数カウンタ66に、AT演出状態1セット分の打順ナビの回数に相当する所定値を設定する。なお、ここで設定される打順ナビの回数は複数種類の回数から選択されるものであってもよく、本実施形態の遊技機においては、「10」、「20」、「30」、「50」または「100」の中から所定契機で決定されるようになっている。
【0254】
また、AT演出状態においては、特典付与手段82は、所定契機で(例えばレア役に当選した場合に)、AT演出状態のセット数を増加させるか否か決定する(AT演出状態の継続期間を増加させるか否か決定する)抽選(上乗せ抽選)を行い、当該抽選結果に基づいてセット数の増加が決定された場合に、所定のセット数に相当する値をATセット数カウンタ67に加算する。
【0255】
指示機能制御手段51は、AT演出状態において打順ベルが当選すると、正解打順を報知する打順ナビ演出の実行を決定する。また、打順ナビ演出の実行が決定されると演出制御手段100は、液晶ディスプレイ13に正解打順を表示させる。また、指示機能制御手段51は、打順ナビ演出が実行される毎に、ナビ回数カウンタ66の記憶値から「1」を減算する処理を行う。そして、ナビ回数カウンタ66の記憶値がしきい値「0」に達すると、AT演出状態の1セットの終了条件が成立したとして、演出状態制御手段81は、AT演出状態の1セットを終了させる。
【0256】
演出状態制御手段81は、AT演出状態の1セットの終了条件が成立すると、演出状態を低期待値演出状態に移行させる。低期待値演出状態においては、特典付与手段82は、所定契機で(例えばレア役に当選した場合に)、AT演出状態のセット数を増加させるか否か決定する抽選を行い、当該抽選結果に基づいてセット数の増加が決定された場合に、所定のセット数に相当する値をATセット数カウンタ67に加算する。
【0257】
低期待値演出状態においては、打順ベルに当選しても正解打順を報知する打順ナビ演出が行われず、遊技を行うほどメダルが減るようになっている。一方、AT演出状態では、打順ベルの当選時に正解打順を報知する打順ナビ演出が行われるので、遊技者は打順ナビ演出に従って停止操作を行うことでメダルを増やすことが可能となっている。換言すると、低期待値演出状態は、メダルの増加数に関する期待値がAT演出状態よりも低くなっている。
なお、低期待値演出状態においても、打順ナビ演出を行うこととしてもよいが、打順ナビ演出の発生頻度はAT演出状態よりも低く設定することが好ましい。
【0258】
また、低期待値演出状態では、所定回数の遊技が実行されるようになっている。ここで、低期待値演出状態での遊技回数は、抽選や所定の条件に基づいて定められるようになっていてもよい。そして、所定回数の遊技の終了時に、ATセット数カウンタ67の記憶値が「1」以上であれば、演出状態制御手段81は、演出状態をAT演出状態へ移行させるとともに、ATセット数カウンタ67の記憶値から「1」を減算する。一方、所定回数の遊技の終了時に、ATセット数カウンタ67の記憶値が「0」であれば、演出状態制御手段81は、演出状態を通常演出状態へ移行させる。また、演出状態が通常演出状態へ移行する場合、遊技区間制御手段80は、遊技区間を有利区間から非有利区間へ移行させる。
【0259】
また、演出状態制御手段81は、有利区間において所定の条件が成立すると、演出状態を特別演出状態へ移行させる。具体的には、特典付与手段82は、有利区間において特別演出状態への移行の可否を決定する抽選を行う。そして、当該抽選に基づき特別演出状態への移行が決定されると、演出状態制御手段81は、演出状態を特別演出状態へ移行させる。
【0260】
特別演出状態では、特典付与手段82は、所定契機で、AT演出状態のセット数を増加させるか否か決定し、セット数の増加が決定された場合に、所定のセット数に相当する値をATセット数カウンタ67に加算する。また、特別演出状態は、AT演出状態のセット数の増加に対する期待値が、非AT演出状態やチャンス演出状態やAT演出状態や低期待値演出状態よりも高く設定されている。
【0261】
また、特別演出状態に移行すると、特典付与手段82は、ATセット数カウンタ67の記憶値を必ず1以上増加させるようになっている。そして、演出状態制御手段81は、特別演出状態が終了すると、演出状態をAT演出状態に移行させる。
【0262】
なお、通常演出状態からチャンス演出状態やAT演出状態へ直接移行することがあるようにしてもよい。例えば、有利区間移行抽選において、単に有利区間(非AT演出状態)への移行の可否を決定するのではなく、演出状態をAT演出状態に移行させるか、チャンス演出状態に移行させるか、非AT演出状態に移行させるか、それとも通常演出状態のまま移行させないか抽選することとしてもよい。換言すると、CZ抽選を非AT演出状態以外の演出状態(例えば、通常演出状態)において行ってもよく、AT抽選をチャンス演出状態以外の演出状態(例えば、通常演出状態や非AT演出状態)において行ってもよい。
【0263】
なお、チャンス演出状態は、AT演出状態への移行確率が通常演出状態や非AT演出状態よりも高く、通常演出状態や非AT演出状態よりも遊技者にとって有利な演出状態となっている。また、チャンス演出状態は、打順ナビ演出が行われる頻度がAT演出状態よりも低く、打順ナビ演出がほぼ行われないか、あるいは全く行われないようになっている。また、非AT演出状態は、打順ナビ演出が行われる頻度がチャンス演出状態よりも低く、打順ナビ演出がほぼ行われないか、あるいは全く行われないようになっている。
【0264】
また、AT抽選に当選し、チャンス演出状態からAT演出状態に移行する場合等、ある演出状態から他の演出状態に移行する際に、別の演出状態を経由してから移行するようにしてもよい。例えば、AT抽選に当選した場合に、即座にAT演出状態を開始するのではなく、チャンス演出状態からAT演出状態の準備状態(AT準備演出状態)へ移行させ、その後AT演出状態へ移行させるものとしてもよい
【0265】
また、AT演出状態は、ボーナスの当選あるいは入賞に基づいて移行する遊技状態に応じて設定されるものであってもよい。例えば、遊技状態が一般中状態やRBB内部中状態である場合にAT演出状態への移行を可能とし、RBB作動中状態においてはAT演出状態への移行を不可能としてもよい。換言すると、RBB作動中状態においては、例えば、AT抽選に当選したとしてもAT演出状態に移行させないこととしてもよく、また、AT抽選を行わないようにしてもよい。すなわち、RBB作動中状態においては、指示機能に係る処理(指示機能に係る抽選等)を行わないこととしてもよい。なお、RBB作動中状態において指示機能に係る処理を完全に行わないこととしなくてもよく、一般中状態やRBB内部中状態に比べ処理が行われる頻度を低下させることとしてもよい。あるいは、RBB作動中状態において実行される指示機能に係る処理を、一般中状態やRBB内部中状態において実行される指示機能に係る処理に比べ、遊技者にとっての有利度合いが低いものとしてもよい(例えばAT抽選においてAT演出状態を獲得できる確率を低いものとする等)。
【0266】
また、演出状態がAT演出状態であって遊技状態がRBB内部中状態であるときにボーナスに入賞した場合、このボーナスの入賞により移行するRBB作動中状態の終了後に一般中状態を経由して再びRBB内部中状態に移行するまでの間、AT演出状態を中断することとしてもよい。すなわち、ボーナスに入賞すると指示機能に係る処理(打順ナビ演出等)を止め、再びRBB内部中状態に移行すると指示機能に係る処理を再開させるようにしてもよい。
【0267】
指示機能制御手段51は、有利区間が終了し、遊技区間が通常区間に移行する際に、指示機能に係る情報として記憶手段60のRAMに記憶されている情報を初期化する指示機能情報初期化処理を行う。具体的には、指示機能制御手段51は、有利区間遊技数カウンタ65の記憶値、差枚数カウンタ64の記憶値、指示機能に係る抽選に関するフラグ(抽選結果)、ATセット数カウンタ67の記憶値およびナビ回数カウンタ66の記憶値等を初期化する。すなわち、指示機能に係る情報は、複数の有利区間を跨いで持ち越されることがないようになっている。また、初期化手段48が、設定値が変更された際に行う上述の初期化処理を行うと、ここで示した指示演出に係る情報も初期化されるようになっている。
【0268】
演出制御手段100は、演出状態がAT演出状態である場合に、打順ベルが当選すると、正解打順を報知して10枚役の入賞を補助する指示演出(ナビ演出)を液晶ディスプレイ13およびスピーカ14等の演出装置に実行させる制御を行う。打順ベルが当選し、指示演出で報知された正解打順に沿ってストップボタン26a~26cが押下されると必ず10枚役が入賞して10枚のメダルを獲得することができるようになっている。
なお、指示演出を行う場合には、遊技情報表示部17の7セグメント表示器にも正解打順を示す情報が表示される。
【0269】
(遊技価値の獲得性能)
本実施形態では、RBB作動中状態においてレギュラーボーナスが入賞したことによって移行するRBB作動中のRB作動中状態における出玉率(メダルの投入数に対する払出数の比率)の期待値を下げることによって指示演出による(AT演出状態での)メダルの獲得性能を向上させる手法を採用している。
【0270】
具体的に説明すると、本実施形態では、遊技状態として、一般中状態と、RBB内部中状態と、RBB作動中状態(RBB作動中の一般中状態、RBB作動中のRB内部中状態、RBB作動中のRB作動中状態)とが設定可能となっているが、その中で一般中状態、RBB内部中状態、RBB作動中の一般中状態およびRBB作動中のRB内部中状態では、小役の抽選態様が同一であり、RBB作動中のRB作動中状態では他の遊技状態とは小役の抽選態様が異なっている。これはRBB作動中のRB作動中状態が技術上の規格に定められた第一種特別役物が作動している遊技状態であるからであって、それ以外の遊技状態では役物が作動していないため小役の抽選態様を変更することができないことに起因するものである。
【0271】
そして、本実施形態では、RBB作動中のRB作動中状態において10枚小役の抽選態様を工夫することで、第一種特別役物が作動している状況であっても出玉率の期待値を低くすることができるようになっており、一般中状態、RBB内部中状態、RBB作動中の一般中状態およびRBB作動中のRB内部中状態では、小役1~小役6の6種類の10枚役が打順ベルの各当選態様において互いに重複せずに当選するようになっている一方で、RBB作動中のRB作動中状態では、当選エリア「10枚ALL」において6種類の10枚役を重複して当選させ、当選エリア「10枚ALL」を得る確率が、他の遊技状態においていずれかの打順ベルの当選エリアを得る確率よりも低くなっている。これによりRBB作動中のRB内部中状態において10枚役を入賞させる機会が他の遊技状態より減少するため、第一種特別役物が作動している状況であっても出玉率の期待値を低くすることができるようになっている。
【0272】
ここで、本実施形態のようなスロットマシンと称される遊技機では、メダルの獲得性能によって射倖性が著しく高まることを防止するべく、技術上の規格において出玉率の期待値が所定範囲内に収まるように設計するべきことが定められている。この点について、本実施形態のような指示演出を行わせる遊技仕様では、役物が作動している遊技の出玉率の期待値を低くすることによって、役物が作動していない状況で行われる指示演出に基づくメダルの獲得性能の向上を図ることにより技術上の規格で定められた出玉率の上限規制を満たすことができる。
【0273】
すなわち、指示演出を実行する遊技仕様では、役物が作動している遊技の出玉率の期待値を下げるほど指示演出に基づくメダルの獲得性能を向上させることができる。しかし、そこで問題となってくるのが、上記の技術上の規格で定められた出玉率の制限における下限規制の部分である。
【0274】
具体的に説明すると、本実施形態におけるレギュラーボーナスが該当する第一種特別役物は小役の抽選態様を変更することでメダルの獲得性能を上げることを本来の目的とするものであるから、第一種特別役物が作動している遊技での出玉率の期待値が、一般中状態の遊技での出玉率の期待値を下回るような設計を行うことが認められていない。このため、役物が作動している遊技での出玉率の期待値を下げすぎてしまうと、一般中状態の遊技での出玉率をそれ以上に下げることになってしまうため、その結果、技術上の規格で定められた出玉率に関する下限規制を満たすことが困難になってしまっていた。
【0275】
そこで本実施形態では、RBB作動中のRB内部中状態で、一般中状態やRBB内部中状態とは停止制御の態様を異ならせることで出玉率の期待値を高める手法を採用している。
【0276】
具体的に説明すると、一般中状態、RBB内部中状態、RBB作動中の一般中状態およびRBB作動中のRB内部中状態では、10枚役を入賞可能とする当選エリアとして、打順ベルAと打順ベルBと打順ベルCと打順ベルDとが設けられており、このうち、RBB作動中のRB内部中状態では、打順ベルCまたは打順ベルDに属する当選エリアに関して停止制御の態様が変更され、一般中状態、RBB内部中状態およびRBB作動中の一般中状態では、打順ベルCまたは打順ベルDに属する各当選エリアの正解打順が1種類であるのに対して、RBB作動中のRB内部中状態では打順ベルCまたは打順ベルDに属する各当選エリアの正解打順が6種類(全打順)に増加するようになっている(図25参照)。
【0277】
そして本実施形態では、打順ベルCまたは打順ベルDに属する当選エリアに関する停止制御の変更によってRBB作動中のRB内部中状態において10枚役の入賞率を上げることで小役の抽選態様が変更できない状況であっても一般中状態やRBB内部中状態よりも出玉率の期待値を向上させることを可能としている。
【0278】
また、本実施形態では、RBB作動中の一般中状態において、当選エリア「RB1」~「RB4」に割り当てられていた乱数値の範囲を、RBB作動中のRB内部中状態においては、当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」に割り当てることで、RBB作動中のRB内部中状態におけるリプレイの当選確率を上昇させており、これにより出玉率の期待値を向上させている。
【0279】
ここで、図28は、本実施形態の手法を適用した各遊技状態の設計例を示すものである。本実施形態においては、一般中状態およびRBB内部中状態の出玉率の期待値を約50%に設定している。また、RBB作動中の一般中状態の出玉率の期待値を約65%に設定している。また、RBB作動中のRB作動中状態の出玉率の期待値を約60%に設定している。そして、RBB作動中のRB内部中状態の出玉率の期待値を100%以上(約103%)に設定することで、RBB作動中状態全体を通しての出玉率の期待値を約100%に引き上げるとともに、全ての遊技を通じての出玉率の期待値を60%以上に引き上げている。すなわち、一般中状態およびRBB内部中状態での出玉率の期待値を、技術上の規格で定められた下限規制(60%)を下回るように設定しても、RBB作動中のRB内部中状態を利用することで全ての遊技を通じての出玉率の期待値を引き上げ、下限規制を満たすような設計を実現可能としている。
【0280】
なお、本実施形態では、RBB作動中のRB内部中状態においてのみ、打順ベルCまたは打順ベルDに属する当選エリアの停止制御を変更し(正解打順の種類を増やし)、10枚役の入賞率を上げることとしているが、RBB作動中の一般中状態においても同様に打順ベルCまたは打順ベルDに属する当選エリアの停止制御を変更し(正解打順の種類を増やし)、10枚役の入賞率を上げることとしてもよい。この場合に、RBB作動中のRB内部中状態の方がRBB作動中の一般中状態よりも10枚役の入賞率が高くなるように、RBB作動中の一般中状態ではRBB作動中のRB内部中状態よりも打順ベルCまたは打順ベルDに属する当選エリアの正解打順の種類が少なくなるよう(例えば、4種類)にしてもよく、RBB作動中の一般中状態では打順ベルCまたは打順ベルDのいずれか一方についてのみ停止制御を変更する(正解打順の種類を増やす)こととしてもよい。
【0281】
また、本実施形態では、RBB作動中のRB内部中状態の滞在率を高める手法の一例として、RBB作動中の一般中状態において4種類のレギュラーボーナス(RB1~RB4)を抽選対象としてRBB作動中のRB内部中状態でレギュラーボーナスの入賞に関して選択要素を発生させている。このように本実施の形態では、RBB作動中のRB作動中状態への移行難易度を高めることによって、RBB作動中のRB内部中状態の滞在率を高めている。また、RBB作動中の一般中状態の滞在率を低くすることで対応することも可能であり、例えば、RBB作動中の一般中状態のレギュラーボーナスの当選確率を高めることによりRBB作動中のRB内部中状態に移行しやすくすることで、RBB作動中状態において一般中状態に滞在しにくくすることの結果としてRBB作動中のRB内部中状態の滞在率を高めることもできる。
【0282】
また、本実施形態では、RBB作動中のRB内部中状態において内部抽選でハズレ(当選エリア「不当選」の当選)が発生しないようになっているが、RBB作動中のRB内部中状態でハズレが発生し得るようにしてもよい。
【0283】
なお、本実施形態では、一般中状態とRBB内部中状態とにおいてリプレイの当選確率を同一としたが、RBB内部中状態では、一般中状態よりもリプレイの当選確率が高くなっていてもよい。また、本実施形態では、RBB作動中の一般中状態においてリプレイを抽選対象から除外しているが、RBB作動中の一般中状態においてもリプレイを抽選対象とした内部抽選が行われるようにしてもよい。
【0284】
本実施形態の遊技機は、ビッグボーナス(特別役)を抽選対象とした内部抽選が行われる一般中状態(通常状態)と、ビッグボーナスが入賞したことに基づいて移行するRBB作動中状態(特別状態)と含む複数種類の遊技状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態制御手段49と、指示演出に係る制御をする指示機能制御手段51と、を備え、遊技状態制御手段49は、RBB作動中状態において、レギュラーボーナス(シフト役)を抽選対象とした内部抽選が行われるRBB作動中の一般中状態(第1遊技状態)と、レギュラーボーナスが当選した状態をレギュラーボーナスが入賞するまで維持するRBB作動中のRB内部中状態(第2遊技状態)と、レギュラーボーナスが入賞したことに基づいて移行するRBB作動中のRB作動中状態(第3遊技状態)との間で遊技状態をさせることが可能であり、RBB作動中の一般中状態からRBB作動中のRB内部中状態へ移行すると遊技価値の獲得性能が上昇し、RBB作動中のRB内部中状態からRBB作動中のRB作動中状態へ移行すると遊技価値の獲得性能が低下し、内部抽選手段42は、入賞した場合に1遊技に対しベットされる遊技価値よりも多数の遊技価値を獲得できる10枚役(特定役:小役1~小役6)を含む複数の小役が重複して当選する当選態様として、打順ベルAおよび打順ベルB(第1当選態様)と打順ベルCおよび打順ベルD(第2当選態様)とが存在するように内部抽選を行い、RBB作動中のRB内部中状態において打順ベルCまたは打順ベルDが当選した場合に10枚役が入賞する確率は、一般中状態において打順ベルCまたは打順ベルDが当選した場合に10枚役が入賞する確率よりも高くなっているとともに、RBB作動中のRB内部中状態において打順ベルAまたは打順ベルBが当選した場合に10枚役が入賞する確率よりも高くなっている。また、RBB作動中のRB内部中状態における内部抽選は、打順ベルAまたは打順ベルBが当選する確率が、打順ベルCまたは打順ベルDが当選する確率よりも高くなっている。ここで、RBB作動中状態や、RBB作動中のRB内部中状態におけるメダルの獲得性能が大きくなりすぎてしまうと、遊技に攻略性が生まれてしまうおそれがある。しかし、本実施形態の遊技機においては、RBB作動中のRB内部中状態における、打順ベルCおよび打順ベルDの値数の合計値(490×12=5880)を、打順ベルAおよび打順ベルBの値数の合計値(3082×12=36984)よりも小さくしたことで、打順ベルCおよび打順ベルDの当選確率を適切な範囲に抑えることができ、メダルの獲得性能を適切にすることができる。
【0285】
表示装置13は、その表示面に演出画像を表示させることにより、演出を実行する。また、表示装置13に表示される演出画像は、描画素材(素材画像)が配置された複数のレイヤを重ね合せて形成された合成画像となっている。図32は、各演出に対応する描画素材が配置されるレイヤの概念を示す図である。
【0286】
表示装置13に表示される演出画面は、例えば1秒間が30コマ(以下、フレームという)で構成されている(いわゆる30fpsのフレームレート)。したがって、例えば1分間の長さを持った演出パターンの場合、その演出画面は全体で60秒×30フレームの計1800フレームにより成り立っている。図32には、その最小単位に当たる1つのフレームを構成するレイヤ構造が示されている。
【0287】
1つのフレームを描画する際には、優先度の低い描画素材から1つずつ順に相応のレイヤに描画される。例えば、1つのフレームが5個の描画素材で構成される場合には、まず優先度が最も低い(優先順位5位の)描画素材が最も下位のレイヤに配されて所定の位置に描画される。次に優先度が2番目に低い(優先順位4位の)描画素材が、優先順位5位の描画素材が描画されたレイヤよりも上位のレイヤに配されて所定の位置に描画される。このようにして優先度に従い描画素材が次々と描画されていき、最後に優先度が最も高い(優先順位1位の)描画素材が優先順位2位の描画素材が描画されたレイヤよりも上位のレイヤに配されて所定の位置に描画される。全ての描画素材を各レイヤに描画し終えた段階で、これらのレイヤを上位側(前面側)からみた合成画像が、そのフレームに対応する合成画像として表示装置13に表示される。換言すると、合成画像を表示装置13で見た場合、下位のレイヤに配置された描画素材は、上位のレイヤに配置された描画素材に覆われた状態となる。さらに換言すると、上位側のレイヤほど、表示装置13における表示上の優先度が高いといえる。本実施形態の遊技機においては、各フレームにはレイヤ1~レイヤNのN枚のレイヤが存在し、番号の小さいレイヤほど表示上の優先度が低く、番号の大きいレイヤほど表示上の優先度が高くなっている。
【0288】
なお、各合成画像の描画処理は、サブ側記憶手段72のVRAM内の1領域であるフレームバッファを用いて実行される。新たな描画素材を上位のレイヤに描画することは、新たな描画素材をフレームバッファにバッファされた画像の上に重ねて描画することを意味する。あるフレームを構成する描画素材を優先度の低い方から順にフレームバッファに描画していき、全ての描画素材を描画し終えると、フレームバッファ上に完成した合成画像が当該フレームの画像として表示装置13に表示されることとなる。なお、描画素材は、サブ側記憶手段72の描画素材記憶領域(ROM)に記憶されている。
【0289】
なお、レイヤの数に特に限定はなく、例えば数十~数百のレイヤが規定されてもよい。また、各合成画像は、必ずしも全てのレイヤに描画素材が配置されて構成されるとは限らず、不使用のレイヤが適宜発生し得る。また、本実施形態では、優先度の低い描画素材は、その上から優先度のより高い描画素材が重ねて描画されると、その重なった部分が視認できないものとするが、各描画素材には透明度の設定が可能であり、上位に重ねられる描画素材に設定された透明度が0(完全に不透明)でない場合はこの限りではなく、透明度の度合いに応じてその下位側に隠れた描画素材の存在をフレーム画像で視認できる場合もある。
【0290】
ここで、近い位置に配置された複数のレイヤー(複数の描画素材の集合体)を1つのまとまりとして捉えることにより、1つのフレームは、N枚のレイヤで構成されていると同時に、複数のレイヤ群で構成されているとみることもできる。例えば、図32に示すフレームは、3つのレイヤ群で構成されており、一番下(表示装置13で見た場合の最も背面側)に配置されたレイヤ群LG1にレイヤ群LG2が重ねられ、一番上(表示装置13で見た場合の最も前面側)にレイヤ群LG3が配置されることにより、1つのフレーム画像が完成している。
【0291】
演出画面を構成する画像は、例えば、背景画像、報知情報、重要情報等に分けられ、画像の種類毎に各レイヤ群LG1~LG3に配置される。各画像の優先度は概して重要情報が最も高く、ここから報知情報、背景画像の順に低く設定されている。1フレームの描画は優先度の低い方から順に行われ、背景画像の上に報知情報を示す画像が、さらにその上に重要情報を示す画像が重ねられて1つのフレーム画像が合成される。なお、ここで示した優先度はあくまで主要な例であり、この順番とは異なるケースも存在する。
【0292】
例えば、一番下に位置するレイヤ群LG1には、優先度が最も低い背景画像が描画される。この背景画像は全体が1個の描画素材ではなく、複数の描画素材が各々優先度の低い方から順に重ね合わされて1つの背景画像を成している。以下に説明する他のレイヤ群LG2,LG3に配置される画像についても、これと同様に構成されている。
【0293】
レイヤ群LG1の上には、レイヤ群LG2が重ねられている。レイヤ群LG2には、報知情報を構成する複数の描画素材が描画される。具体的には、例えば、カウンタ表示の画像、打順ナビ表示の画像等が配置される。
【0294】
レイヤ群LG2の上には、レイヤ群LG3が重ねられている。レイヤ群LG3には、重要な情報を示す複数の描画素材が描画される。重要な情報とは、例えば、のめり込み防止を報知する情報や、システムメッセージ(エラーメッセージ)等のことを指す。これらの情報は、遊技上特に重要であるため優先度が高く設定されており、他の画像に隠れてしまうことなく確実に視認できるよう最も上側のレイヤ群LG3に描画される。
【0295】
本実施形態の遊技機では、演出状態制御手段81は、図27に示すように、通常演出状態、非AT演出状態、チャンス演出状態、AT演出状態、低期待値演出状態および特別演出状態を含む複数種類の演出状態の間で、演出状態を移行させる演出状態移行制御処理を行う。ここで、通常演出状態または非AT演出状態を第1演出状態とし、AT演出状態を第2演出状態とする。第2演出状態は、指示機能に係る特典(例えば、AT演出状態のセット数の増加等)が付与される確率が第1演出状態よりも高い。なお、第2演出状態は、指示機能に関する有利度合いが第1演出状態よりも高いものであればよい。例えば、第2演出状態を、AT演出状態への移行確率が通常演出状態や非AT演出状態よりも高いチャンス演出状態としてもよい。以下、第1演出状態を通常演出状態とし、第2演出状態をAT演出状態とする場合について説明する。
【0296】
演出制御手段100は、ビッグボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示された遊技の第3停止操作を契機として、所定の演出を、演出装置(表示装置13等)に実行させる。具体的には、演出制御手段100は、前記第3停止操作を契機として、RBB作動中状態であることを示す表示(以下、RBB作動中表示)を、表示装置13に表示させる。RBB作動中表示は、ボーナス状態における所定の演出(ボーナス状態であることを認識できる特定の画像の表示)である。RBB作動中表示が表示装置13に表示されることで、現在RBB作動中状態であることを、遊技者が認識できるようになっている。図29は、RBB作動中表示の一例を示すもので、キャラクタの紹介画像が表示装置13に表示されている。なお、本実施形態の遊技機では、RBB作動中状態以外の遊技状態では、このRBB作動中表示がされない(当該キャラクタの紹介画像が表示されない)ようになっている。図29に示すRBB作動中表示の例では、所定のカウンタ表示(記憶手段60のクレジット記憶領域に記憶されている貯留数や、小役が入賞した場合のメダルの払出数を示す表示)が表示されている。
【0297】
ここで、RBB作動中状態での遊技について説明する。本実施形態の遊技機では、遊技状態が一般中状態あるいはRBB内部中状態である場合には、所定のレア役に当選することがあり(図24参照)、特典付与手段82がそのレア役の当選を契機とし、指示機能に係る抽選を行う。一方で、遊技状態がRBB作動中状態である場合には、所定のレア役に当選することはなく(図24参照)、指示機能に係る抽選は行われない。なお、RBB作動中状態において、所定の契機で、指示機能に係る抽選が行われることとしてもよいが、指示機能に係る抽選が実行される頻度は、一般中状態あるいはRBB内部中状態に比べて低いものとする。したがって、遊技状態がRBB作動中状態である場合、一般中状態やRBB内部中状態に比べて、指示機能に係る抽選が行われる頻度が低い(全く行われない場合を含む)。換言すると、RBB作動中状態は、一般中状態やRBB内部中状態に比べて、指示機能に関する有利度合いが低くなっている(指示機能に関して不利な状態となっている)。このため、RBB作動中状態では、遊技者は、指示機能に係る抽選が行われる頻度が低い状態で、RBB作動中状態が終了するまで所定の回数の遊技を行わなければならない。
【0298】
本実施形態の遊技機は、AT演出状態において打順ナビ演出が実行される毎にナビ回数カウンタ66の記憶値から「1」が減算され、ナビ回数カウンタ66の記憶値がしきい値「0」に達すると、AT演出状態の1セットの終了条件が成立する。ただし、これに限らず、次のようにしてもよい。すなわち、AT演出状態での遊技の回数を記憶するカウンタ(AT遊技数カウンタ)を設け、AT演出状態において遊技が行われる毎にAT遊技数カウンタの記憶値から「1」が減算され、AT遊技数カウンタの記憶値がしきい値「0」に達すると、AT演出状態の1セットの終了条件が成立するようにしてもよい。換言すると、AT演出状態の終了条件を打順ナビ演出の回数に基づいて管理するのではなく、AT演出状態での遊技の回数に基づいて管理することとしてもよい。
【0299】
本実施形態の遊技機は、RBB作動中状態のAT演出状態では、以下の所定の指示機能に係る処理が行われないか、行われたとしても当該処理が行われる頻度は一般中状態やRBB内部中状態よりも低くなっている。
【0300】
RBB作動中状態のAT演出状態では、打順ナビ演出が行われない。打順ナビ演出が行われないという場合、演出制御手段100による打順ナビの表示に係る処理が行われないものとしてもよいが、後述するように、打順ナビ表示の画像(正解打順を報知する画像)が下位レイヤに配置されるとともに、それよりも上位のレイヤにRBB作動中表示の画像が表示され、打順ナビ表示の画像が覆われる(隠される)ようにしてもよい。
【0301】
また、RBB作動中状態のAT演出状態では、演出制御手段100(指示機能制御手段51)が指示機能に係る所定のカウンタの記憶値を変化させない。本実施形態の遊技機では、ナビ回数カウンタ66およびAT遊技数カウンタの記憶値を変化させない。換言すると、RBB作動中状態のAT演出状態では打順ナビ演出が行われないので、ナビ回数カウンタ66の記憶値が変化しない。ただし、RBB作動中状態のAT演出状態であっても、有利区間遊技数カウンタ65や差枚数カウンタ64の記憶値は変化させる。
【0302】
また、RBB作動中状態のAT演出状態では、演出状態制御手段81が演出状態を、低期待値演出状態や特別演出状態へ移行させない。換言すると、RBB作動中状態のAT演出状態では、AT演出状態の終了条件が満たされないので(打順ナビ演出が行われないので)、AT演出状態が終了しない。
【0303】
図30は、演出状態がAT演出状態(第2演出状態の1つ)である場合に、演出制御手段100が表示装置13に表示させる表示(これをAT中表示とする)の一例を示している。なお、AT中表示とは、遊技者がAT演出状態に滞在していることを認識できる表示であって、打順ナビ演出が行われ得る状態での表示をいう。換言すると、AT中表示とは、AT演出状態において通常表示される表示(遊技状態が一般中状態あるいはRBB内部中状態であるときに表示される表示)であって、打順ベルの当選時には正解打順の報知をする表示をいう。
【0304】
図30に示すAT中表示の例では、AT演出状態に係る所定のカウンタ表示が表示されている。AT演出状態に係る所定のカウンタ表示には、AT演出状態での打順ナビ演出の回数に関する表示と、AT演出状態のセット数に関する表示と、AT演出状態でのメダルの獲得数に関する表示とが含まれている。
【0305】
演出状態がAT演出状態であり、AT中表示が表示されている状態で、遊技状態がRBB作動中状態に移行することが決定した場合、演出制御手段100は、ビッグボーナスに入賞した遊技の第3停止操作を契機として、RBB作動中表示を表示させる。具体的には、演出制御手段100は、RBB作動中表示の素材画像(画像)を、AT中表示の画像が配置されているレイヤよりも優先度の高い上位のレイヤ(例えばレイヤ群LG2のいずれかのレイヤ)に配置させる。より具体的には、AT中表示に係る画像としては、背景画像、打順ナビ表示の画像、およびAT演出状態に係る所定のカウンタ表示の画像等があって、それらは優先度に基づき適宜各レイヤに配置されるが、RBB作動中表示の画像は、それらの画像が配置されているレイヤよりもさらに上位のレイヤに配置される。これにより、図29に示すRBB作動中表示が表示されて、図30に示すAT中表示は隠れた状態(視認できない状態)となる。
なお、RBB作動中表示の素材画像は、AT中表示に係る画像のうち少なくとも背景画像が配置されるよりも上位のレイヤに配置すればよい。すなわち、RBB作動中状態において打順ナビ表示の画像をいずれのレイヤにも配置しないのであれば、他の状態において打順ナビ表示の画像が配置されるレイヤよりも下位のレイヤにRBB作動中表示の素材画像を配置してもよい。
【0306】
AT演出状態において遊技状態がRBB作動中状態に移行することが決定すると、演出制御手段100は、RBB作動中表示(図29)を表示させる。すなわち、遊技状態がRBB作動中状態であることが報知される。よって、遊技者は、AT演出状態が実行されている間に、遊技状態がRBB作動中状態に移行したことを認識できる。
【0307】
RBB作動中状態の終了条件が成立すると、演出制御手段100は、RBB作動中状態における最後の遊技の第3停止操作を契機として、RBB作動中表示を非表示にし(すなわちRBB作動中表示を視認できない状態とし)、再びAT中表示を表示させる。本実施形態の遊技機では、RBB作動中表示の画像をAT中表示の画像が配置されているレイヤよりも上位のレイヤに配置させ、RBB作動中表示が表示されている間、その下位のレイヤではAT中表示の表示が継続されている。ただし、RBB作動中表示が表示されている間は、AT中表示の表示が中断される(すなわちAT中表示の画像がレイヤに配置(描画)されない)ようにしてもよい。
【0308】
また、演出状態がAT演出状態である場合には、演出制御手段100は、AT演出状態における態様での発光(AT中発光)を照明装置に実行させる。その状態において遊技状態がRBB作動中状態に移行することが決定すると、演出制御手段100は、ビッグボーナスに入賞した遊技の第3停止操作を契機として、AT中発光よりも優先度の高い、RBB作動中状態における態様での発光(RBB作動中発光)を照明装置に実行させる。すなわち、RBB作動中状態への移行に伴い照明装置の発光態様を変化させる。照明装置の発光態様の変化のさせ方としては、演出制御手段100は、AT中発光に加えて、RBB作動中発光(例えばAT中発光とは色が異なる)を実行させ、照明装置の発光色を変化させてもよい。また、演出制御手段100は、AT中発光を停止させ、RBB作動中発光(AT中発光とは色が異なる)のみを実行させてもよい。また、その場合に、RBB作動中発光とは、照明装置を消灯させることであってもよい。
【0309】
RBB作動中状態の終了条件が成立すると、演出制御手段100は、RBB作動中状態における最後の遊技の第3停止操作を契機として、RBB作動中発光を停止させ、再びAT発光を照明装置に実行させる。
【0310】
RBB作動中表示が表示されることに加え、RBB作動中発光が行われることで、遊技者は、遊技状態がRBB作動中状態(特殊な状態)に移行したことを、より認識しやすくなる。
【0311】
なお、RBB作動中発光は、上述のRBB作動中表示が行われることに伴って行われるものである。遊技状態がRBB作動中状態に移行してもRBB作動中表示が行われない場合(詳細は後述する)があるが、その場合にはRBB作動中発光も行われないようになっている。
【0312】
本実施形態の遊技機は、演出状態がAT演出状態であっても、遊技状態がRBB作動中状態である場合と、遊技状態が一般中状態またはRBB内部中状態である場合とで、照明装置の発光態様が異なっている。
【0313】
また、演出状態がAT演出状態である場合に、演出制御手段100は、AT演出状態における態様での音(音楽)(AT音)の出力をスピーカに実行させる。その状態において遊技状態がRBB作動中状態に移行することが決定すると、演出制御手段100は、ビッグボーナスに入賞した遊技の第3停止操作を契機として、所定の音以外の音がスピーカから出力されないように制御する(RBB作動中の音声出力とする)。
【0314】
なお、所定の音とは、ストップボタン26a~26cを停止操作した際に出力される効果音(停止音)や、メダルが払い出される際に出力される効果音(払出音)等である。本実施形態の遊技機では、出力する音を音の種類ごとに複数のトラックのそれぞれに割り当て、複数の種類の音を複数のトラックにおいて並行して出力することができるようになっている。すなわち、例えば、停止音と払出音とAT演出状態におけるBGM(遊技を盛り上げるための演出音)とを別々のトラックに割り当て、並行して出力できるようになっている。また、トラックごとに音量を調整することが可能となっている。演出制御手段100は、所定の音以外の音のトラックについて、それらの音量を「0」(最小の音量:無音状態)とする。例えば、AT演出状態におけるBGMのトラックの音量を「0」とする。この場合、当該BGMが音量「0」で流れていることとなる。
【0315】
RBB作動中状態の終了条件が成立すると、演出制御手段100は、RBB作動中状態における最後の遊技の第3停止操作を契機として、所定の音以外の音がスピーカを介して出力されるように制御する。すなわち、所定の音以外の音のトラックについて、それらの音量を元の音量(RBB作動中状態に移行する前と同じ音量)とする。なお、本実施形態では、トラックの音量を制御するようにしているため、すなわち、RBB作動中状態においてトラックの音量を「0」として音の出力は継続させているため、AT演出状態の再開にあたり、演出を再構築(再設定)する必要がない。
【0316】
RBB作動中表示が表示されることに加え、RBB作動中の音声出力となることで、遊技者は、遊技状態がRBB作動中状態に移行したことを、より認識しやすくなる。
【0317】
なお、RBB作動中の音声出力は、上述のRBB作動中表示が行われることに伴って実行されるものである。遊技状態がRBB作動中状態に移行してもRBB作動中表示が行われない場合(詳細は後述する)があるが、その場合にはRBB作動中の音声出力も実行されないようになっている。
【0318】
本実施形態の遊技機は、演出状態がAT演出状態であっても、遊技状態がRBB作動中状態である場合と、遊技状態が一般中状態またはRBB内部中状態である場合とで、音声の出力態様が異なっている。
【0319】
AT演出状態において遊技状態がRBB作動中状態に移行することが決定すると、RBB作動中状態での所定の回数の遊技が行われ、かつRBB作動中状態における演出(表示、照明および音)が実行されるが、その間、AT演出状態での打順ナビ演出は行われない(ナビ回数カウンタ66の記憶値が減算されない)。すなわち、RBB作動中状態に移行すると、AT演出状態の打順ナビ演出が実行されない状態となり、RBB作動中状態の終了後に、AT演出状態の打順ナビ演出が実行される(実行可能な)状態となる。なお、AT演出状態の終了を打順ナビ演出の回数ではなくAT演出状態での遊技の回数で管理している場合には、RBB作動中状態への移行に伴いAT遊技数カウンタ68の記憶値が減算されない状態となり、RBB作動中状態の終了後に、AT遊技数カウンタ68の記憶値が減算される(減算可能な)状態となる。
【0320】
なお、AT演出状態の実行中にRBB作動中状態に移行した場合に、仮に、RBB作動中状態が終了するよりも前にAT演出状態が終了したとする場合、AT演出状態が終了してもRBB作動中状態が終了するまで、RBB作動中状態の演出を継続させるようにしてもよい。
【0321】
図31は、演出状態が通常演出状態(第1演出状態の1つ)である場合に、演出制御手段100が表示装置13に表示させる表示(これを通常中表示(通常中の演出)とする)の一例を示している。上述の説明では、AT演出状態において遊技状態がRBB作動中状態に移行することが決定すると、演出制御手段100は、RBB作動中表示(図29)を表示させるとしたが、本実施形態の遊技機は、通常演出状態において遊技状態がRBB作動中状態に移行しても、演出制御手段100は、RBB作動中表示を表示させない。換言すると、演出制御手段100は、通常演出状態において遊技状態がRBB作動中状態に移行しても、RBB作動中表示を表示させずに通常中表示を表示させる(一般中状態あるいはRBB内部中状態における表示を継続させる)。
【0322】
ただし、RBB作動中状態に表示させる通常中表示は、所定の位置(例えば表示装置13における表示面の右上の位置)に表示されるカウンタ表示が、遊技が行われても変化しないようになっている。このカウンタ表示は、所定期間において実行された遊技の回数(例えば、通常演出状態が開始されてから実行された遊技の回数)を示すもので、遊技が行われる毎に通常遊技数カウンタ69の記憶値が「1」ずつ増えることに伴い、数字部が「1」ずつ繰り上がるものである。なお、通常遊技数カウンタ69は、例えば通常演出状態が開始されてからの遊技の回数を記憶するもので、通常遊技数カウンタ69の記憶値は、所定の契機で(例えばAT演出状態への移行を契機とし)、リセットされて「0」となる。
【0323】
本実施形態の遊技機は、通常演出状態においてRBB作動中状態に移行すると、演出制御手段100(指示機能制御手段51)が通常遊技数カウンタ69の記憶値を変化させない(増加させない)ようになっている。よって、通常中表示におけるカウンタ表示が、遊技が行われても変化しない。すなわち、遊技が行われても、カウンタ表示の数字部が一定値(例えば「0」)のままとなる。さらに換言すると、RBB作動中状態における通常中表示は、カウンタ表示が変化しない。
【0324】
RBB作動中状態は、一般中状態やRBB内部中状態に比べて、指示機能に関する有利度合いが低くなっている。すなわち、所定の役の入賞を補助する指示機能に係る抽選が行われる頻度が一般中状態やRBB内部中状態に比べて低くなっている。そのため、通常演出状態において遊技状態がRBB作動中状態に移行することが決定したことに基づき、RBB作動中表示が表示されると、遊技者は遊技状態がRBB作動中状態であると認識しやすく、スロットマシンでの遊技を止め、席を離れるおそれがある。また、RBB作動中表示が表示されたままの状態となっていると、その表示を見た遊技者が、遊技状態がRBB作動中状態であると認識し、そのスロットマシンでの遊技を回避する可能性が高い。
【0325】
本実施形態の遊技機は、第1演出状態(通常演出状態または非AT演出状態)において遊技状態がRBB作動中状態(ボーナス状態)に移行した場合、RBB作動中状態であることを認識できる特定の画像(RBB作動中表示)を表示装置13に表示させない。具体的には、RBB作動中表示の画像が、通常中表示の画像が配置されているレイヤよりも上位レイヤに重ねて配置されることがなく、通常中表示の表示が継続される。
【0326】
このため、遊技者が、遊技状態がRBB作動中状態であると認識する可能性が低くなり、スロットマシン10での遊技を止め、席を離れる可能性を低減できる。また、どのスロットマシンで遊技をするか検討している遊技者が、スロットマシン10の表示装置13の表示を見て、スロットマシン10での遊技を回避する可能性を低減できる。
【0327】
また、本実施形態の遊技機は、指示機能に関する有利度合いが第1演出状態よりも高い第2演出状態(例えばAT演出状態)において、遊技状態がRBB作動中状態(ボーナス状態)に移行した場合、RBB作動中状態であることを認識できる特定の画像(RBB作動中表示)を表示装置13に表示させる。具体的には、RBB作動中表示の画像が、AT中表示の画像が配置されているレイヤよりも上位レイヤに重ねて配置され、RBB作動中表示が表示される。
【0328】
メダルを増加させることが可能なAT演出状態においては、その途中でRBB作動中状態への移行が報知されても、遊技者がそのスロットマシンでの遊技を止める可能性は低い。このようにAT演出状態においてRBB作動中表示を表示させることで、遊技者は、遊技状態がRBB作動中状態に移行したことを把握できる。
【0329】
なお、RBB作動中状態における通常中表示では、カウンタ表示の数字が変化しないため、遊技者は、実際に遊技を行うと遊技状態がRBB作動中状態であると認識する場合がある。ただし、遊技を開始する前の状態では(見た目だけでは)、遊技状態がRBB作動中状態であることに気付くのは不可能であるため、遊技者が、スロットマシン10での遊技を回避する可能性を低減できる。すなわち、遊技者がスロットマシン10で遊技を行う確率を高くすることができる。
【0330】
また、遊技状態がRBB作動中状態である場合に電源遮断(電断)がされる場合がある。この状態で電断復帰すると、復帰処理によって電断前の状態に戻り、RBB作動中表示または通常中表示(カウンタ表示が変化しない)のいずれかが表示される。この場合、遊技者が、遊技状態がRBB作動中状態であると認識し、その表示がされているスロットマシン10での遊技を回避するおそれがある。
【0331】
そこで、本実施形態の遊技機は、遊技状態がRBB作動中状態である場合に電断し、その電断から復帰した場合には、電断復帰時から所定の期間(例えば約5分)、演出制御手段100が、一部または全部の照明装置を所定の色(例えば赤色)で発光させる。これは、遊技状態がRBB作動中状態で電断復帰したことの報知であり、遊技場の店員に、所定の処理を促すものである。所定の処理としては、設定変更操作がある。設定変更操作がされると、設定変更手段47が設定値を変更し、それに伴い初期化手段48が遊技状態を初期状態(一般中状態)に戻す。これにより、遊技状態がRBB作動中状態ではなくなり、RBB作動中状態における表示が表示されなくなる。したがって、遊技者によってスロットマシン10での遊技を回避される可能性を低減できる。なお、上記の所定の操作は、所定回数の遊技の実行であってもよい。所定の回数の遊技を行うことで、RBB作動中状態の終了条件が成立し、RBB作動中状態における表示が表示されなくなる。
【0332】
また、本実施形態の遊技機では、演出状態が第1演出状態では、遊技状態がRBB作動中状態に移行しても、RBB作動中表示は表示されない。一方で、演出状態が第2演出状態(例えばAT演出状態)である場合には、遊技状態がRBB作動中状態に移行すると、RBB作動中表示が表示される。したがって、RBB作動中表示は、演出状態が第2演出状態(例えばAT演出状態)である場合にのみ表示される。このため、そのことを知っている遊技者にとっては、RBB作動中表示が、演出状態が第2演出状態(有利な状態)であることの報知となる。
【0333】
本実施の形態では、ボーナスとしてビッグボーナス(RBB:第一種特別役物に係る役物連続作動装置)を採用した場合を例に説明したが、このボーナスを例えばレギュラーボーナス(RB:第一種特別役物)として読み替えてもよい。すなわち、遊技状態制御手段49が、一般中状態、RB内部中状態(ボーナス成立状態)およびRB作動中状態(ボーナス状態)の間で、遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行うようにし、演出状態が第1演出状態であるか第2演出状態であるかに応じてRB作動中状態において上述のRBB作動中表示(RB作動中表示)をするか否かを異ならせることとしてもよい。遊技状態がRB作動中状態である場合、一般中状態やRB内部中状態に比べて、所定の役の入賞を補助する指示機能に係る抽選が行われる頻度が少ない。
【0334】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、スロットマシンの遊技制御形態および構成等は前述した実施の形態のそれに限定されない。また、前述した制御動作は、スロットマシンに限らず、パチンコ遊技機、メダルレス遊技機等の他の遊技機にも適用できる。本発明は、遊技機に適用でき、遊技機には、スロットマシン、パチンコ遊技機、メダルレス遊技機等が含まれる。
【0335】
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0336】
49 遊技状態制御手段
81 演出状態制御手段
13 表示装置(表示手段)
100 演出制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
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図28
図29
図30
図31
図32