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特許7440903回路遮断器の操作装置、回路遮断器ユニット及び分電盤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】回路遮断器の操作装置、回路遮断器ユニット及び分電盤
(51)【国際特許分類】
   H01H 71/70 20060101AFI20240221BHJP
   H02B 1/42 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
H01H71/70
H02B1/42
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020106477
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022002174
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000150198
【氏名又は名称】株式会社ヘキサリンク
(74)【代理人】
【識別番号】110003122
【氏名又は名称】弁理士法人タナベ・パートナーズ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071320
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 敏郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126756
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵
(72)【発明者】
【氏名】石舘 宏
(72)【発明者】
【氏名】青木 優
(72)【発明者】
【氏名】山田 淳
(72)【発明者】
【氏名】福崎 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 侑平
(72)【発明者】
【氏名】星野 幸久
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-085766(JP,A)
【文献】特開平04-095327(JP,A)
【文献】特開2014-225454(JP,A)
【文献】特開2006-185879(JP,A)
【文献】実開昭54-024676(JP,U)
【文献】特開昭60-172121(JP,A)
【文献】特開2002-190245(JP,A)
【文献】特開2012-221868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 71/70
H02B 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面板、前記前面板の裏面から後方向に垂直に延設される平板状の基板、前記基板上方において水平に延設される平板状の支持板、前記基板に取り付けられてなる回路遮断器を有し、
前記支持板上方に位置するとともに、その先端部が前記前面板のガイド穴に挿通され、かつ前記前面板に対して前後移動可能な板状体からなるスライドバーと、前記スライドバーの前後移動と連動する回転板とを有し、
前記スライドバーには、前方側にピン移動孔が配設され、後方側に回路遮断器の投入及び遮断を行うレバーを挿入するためのレバー移動孔が配設されてなり、
前記回転板には前記スライドバーのピン移動孔に対応する位置にピンが配設されてなり、
前記回転板の一方向の回転に伴い前記ピンが前記ピン移動孔の外周縁に当接して前記スライドバーを後方側にスライドさせることにより前記レバー移動孔の外周縁に当接されるレバーを後方側に押すように形成され、
前記回転板がさらに同方向に回転することに伴い前記ピンが前記ピン移動孔の外周縁に当接して前記スライドバーを前方側へスライドさせることにより前記レバー移動孔の外周縁に当接する前記レバーを前方側に引くように形成されてなることを特徴とする回路遮断器の操作装置。
【請求項2】
前記回転板を回転駆動させるモーターと、前記モーターへの電力供給を制御するリミットスイッチを有し、
前記モーターの始動信号が入力されると前記モーターが前記回転板の停止位置から前記回転板を一方向に回転させることに伴い前記ピンが前記ピン移動孔の外周縁に当接して前記スライドバーを後方側にスライドさせることにより前記レバー移動孔の外周縁に当接する前記レバーを投入終了位置まで後方側に押すように形成され、
リミットスイッチが外れることにより前記モーターへの電力供給が断たれ前記回転板が惰性で回転停止位置まで回転し、
前記モーターの始動信号が再び入力されると前記モーターが前記回転板をさらに同方向に回転させることに伴い前記ピンが前記ピン移動孔の外周縁に当接して前記スライドバーを前方側へスライドさせることにより前記レバー移動孔の外周縁に当接する前記レバーを遮断終了位置まで前方側に引くように形成されてなることを特徴とする請求項1記載の回路遮断器の操作装置。
【請求項3】
前面板、前記前面板の裏面から後方向に垂直に延設される平板状の基板、前記基板上方において水平に延設される平板状の支持板、前記基板に取り付けられてなる回路遮断器を有し、
前記支持板上方に位置するとともに、その先端部が前記前面板のガイド穴に挿通され、かつ前記前面板に対して前後移動可能な板状体からなるスライドバーと、前記スライドバーの前後移動と連動する回転板とを有し、
記スライドバーには、前方側にピン移動孔が配設され、後方側に前記回路遮断器の投入及び遮断を行うレバーが挿入されてなるレバー移動孔が配設されてなり、
前記回転板には前記スライドバーのピン移動孔に対応する位置にピンが配設されてなり、
前記回転板の一方向の回転に伴い前記ピンが前記ピン移動孔の外周縁に当接して前記スライドバーを後方側にスライドさせることにより前記レバー移動孔の外周縁に当接する前記レバーを後方側に押して回路遮断器の投入を完了し、
前記回転板がさらに同方向に回転することに伴い前記ピンが前記ピン移動孔の外周縁に当接して前記スライドバーを前方側へスライドさせることにより前記レバー移動孔の外周縁に当接する前記レバーを前方側に引いて前記回路遮断器の遮断を完了することを特徴とする回路遮断器ユニット。
【請求項4】
前記回転板を回転駆動させるモーターと、前記モーターへの電力供給を制御するリミットスイッチを有し、
前記モーターの始動信号が入力されると前記モーターが前記回転板の停止位置から前記回転板を一方向回転させことに伴い投入が開始され前記スライドバーが前記レバーを投入終了位置まで後方側に押して投入を完了し、
リミットスイッチが外れることにより前記モーターへの電力供給が断たれ前記回転板が惰性で回転停止位置まで回転し、
前記モーターの始動信号が再び入力されると前記モーターが前記回転板をさらに同方向に回転させることに伴い前記スライドバーが前記レバーを遮断終了位置まで前方側に引いて遮断を完了することを特徴とする請求項3記載の回路遮断器ユニット。
【請求項5】
前面板、前記前面板の裏面から後方向に垂直に延設される平板状の基板、前記基板上方において水平に延設される平板状の支持板、前記基板に取り付けられてなる回路遮断器を有し、
前記支持板上方に位置するとともに、その先端部が前記前面板のガイド穴に挿通され、かつ前記前面板に対して前後移動可能な板状体からなるスライドバーと、前記スライドバーの前後移動と連動する回転板とを有し、
記スライドバーには、前方側にピン移動孔が配設され、後方側に回路遮断器の投入及び遮断をするレバーが挿入されてなるレバー移動孔が配設されてなり、
転板駆動手段により回転される前記回転板には前記スライドバーのピン移動孔に対応する位置にピンが配設されてなり、
前記回転板の一方向の回転に伴い前記ピンが前記ピン移動孔の外周縁に当接して前記スライドバーを後方側にスライドさせることにより前記レバー移動孔の外周縁に当接する前記レバーを後方側に押して投入を完了し、
前記回転板がさらに同方向に回転することに伴い前記ピンが前記ピン移動孔の外周縁に当接して前記スライドバーを前方側へスライドさせることにより前記レバー移動孔の外周縁に当接する前記レバーを前方側に引いて遮断を完了する回路遮断器ユニットを、幅方向に複数併設してなることを特徴とする分電盤。
【請求項6】
前記回転板を回転駆動させるモーターと、前記モーターへの電力供給を制御するリミットスイッチを有し、
前記モーターの始動信号が入力されると前記モーターが前記回転板の停止位置から前記回転板を一方向回転させことに伴い投入が開始され前記スライドバーが前記レバーを投入終了位置まで後方側に押して投入を完了し、
リミットスイッチが外れることにより前記モーターへの電力供給が断たれ前記回転板が惰性で回転停止位置まで回転し、
前記モーターの始動信号が再び入力されると前記モーターが前記回転板をさらに同方向に回転させることに伴い前記スライドバーが前記レバーを遮断終了位置まで前方側に引いて遮断を完了する回路遮断器ユニットを、幅方向に複数併設してなることを特徴とする請求項5記載の分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過電流が流れた場合に通電を遮断する回路遮断器の投入及び遮断を手動と遠隔操作との両方で行うことができる遮断器の電気開閉機構を備えた回路遮断器の操作装置、回路遮断器ユニット及び分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーキットプロテクタなど回路遮断器に併設して装着され、手動による投入及び遮断だけでなく、遠隔で投入及び遮断を行うことができる電動操作装置9が知られている。図7乃至10に示すように一般的にサーキットプロテクタ100の電動操作装置9は、1極のサーキットプロテクタと同じサイズである。この電動操作装置9の内部では、オネジ91をモーター92で正転逆転させてアーム93を動かしている。正転もしくは逆転の信号でアーム駆動部ベース94が最上部もしくは最下部に来るとアーム移動金具981がバネ982、位置決め金983の作用で反転してリミットスイッチ97のドグ96で停止する(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
データセンターやその他の施設で用いられる通信機器用に設置されるヒューズやサーキットプロテクタを具備しラック101に設置される分電盤には多くの種類があるが、分電盤筐体10の幅は限られている。そのため、回路遮断器の配置幅Wには制限があり、これに接続される装置はできる限り幅を小さく構成する必要があった(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭60-172121号公報
【文献】特開2002-190245号公報
【文献】特開2012-221868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、通信機器用にラック内に設置される分電盤では、回路遮断器による遮断操作を分電盤前面で行い、配線を背面側で行う。また上記の通り分電盤筐体の幅には制限がある。したがって分電盤における分岐数を増やすためには電気操作装置の幅を小さくする必要があった。
【0006】
また、上記従来の電動操作装置では、モーターを複数のギヤを介してオネジに連結するとともに、モーターを正転逆転させてアーム駆動ベースをオネジの軸方向に沿って移動させることでアームを動かしていた。そのため、アーム駆動に係る駆動機構及び駆動制御が複雑であった。また、モーターを正転逆転させるためモーターへの負荷が大きくなり、モーターの寿命に問題があった。
【0007】
更に、サーキットプロテクタにはロックカバーが用意されているが、電気操作装置を装着したサーキットプロテクタにはロックカバーが取り付けられないので、上記従来の電動操作装置では、落下物で誤遮断することがあった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、限られた分電盤筐体の幅を有効活用し、且つ簡易な駆動機構及び駆動制御により回路遮断器への投入及び遮断を行うことが可能な回路遮断器ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る回路遮断器の操作装置は、
前面板、前記前面板の裏面から後方向に垂直に延設される平板状の基板、前記基板上方において水平に延設される平板状の支持板、前記基板に取り付けられてなる回路遮断器を有し、
前記支持板上方に位置するとともに、その先端部が前記前面板のガイド穴に挿通され、かつ前記前面板に対して前後移動可能な板状体からなるスライドバーと、前記スライドバーの前後移動と連動する回転板とを有し、
スライドバーと、回転板とを有し、
前記スライドバーには、前方側にピン移動孔が配設され、後方側に回路遮断器の投入及び遮断を行うレバーを挿入するためのレバー移動孔が配設されてなり、
前記回転板には前記スライドバーのピン移動孔に対応する位置にピンが配設されてなり、
前記回転板の一方向の回転に伴い前記ピンが前記ピン移動孔の外周縁に当接して前記スライドバーを後方側にスライドさせることにより前記レバー移動孔の外周縁に当接されるレバーを後方側に押すように形成され、
前記回転板がさらに同方向に回転することに伴い前記ピンが前記ピン移動孔の外周縁に当接して前記スライドバーを前方側へスライドさせることにより前記レバー移動孔の外周縁に当接する前記レバーを前方側に引くように形成されてなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る回路遮断器の操作装置は、
前記回転板を回転駆動させるモーターと、前記モーターへの電力供給を制御するリミットスイッチを有し、
前記モーターの始動信号が入力されると前記モーターが前記回転板の停止位置から前記回転板を一方向に回転させることに伴い前記ピンが前記ピン移動孔の外周縁に当接して前記スライドバーを後方側にスライドさせることにより前記レバー移動孔の外周縁に当接する前記レバーを投入終了位置まで後方側に押すように形成され、
リミットスイッチが外れることにより前記モーターへの電力供給が断たれ前記回転板が惰性で回転停止位置まで回転し、
前記モーターの始動信号が再び入力されると前記モーターが前記回転板をさらに同方向に回転させることに伴い前記ピンが前記ピン移動孔の外周縁に当接して前記スライドバーを前方側へスライドさせることにより前記レバー移動孔の外周縁に当接する前記レバーを遮断終了位置まで前方側に引くように形成されてなることを特徴とする。
【0011】
また、上記の目的を達成するために、本発明の他の形態に係る回路遮断器ユニットは、
前面板、前記前面板の裏面から後方向に垂直に延設される平板状の基板、前記基板上方において水平に延設される平板状の支持板、前記基板に取り付けられてなる回路遮断器を有し、
前記支持板上方に位置するとともに、その先端部が前記前面板のガイド穴に挿通され、かつ前記前面板に対して前後移動可能な板状体からなるスライドバーと、前記スライドバーの前後移動と連動する回転板とを有し、
記スライドバーには、前方側にピン移動孔が配設され、後方側に前記回路遮断器の投入及び遮断を行うレバーが挿入されてなるレバー移動孔が配設されてなり、
前記回転板には前記スライドバーのピン移動孔に対応する位置にピンが配設されてなり、
前記回転板の一方向の回転に伴い前記ピンが前記ピン移動孔の外周縁に当接して前記スライドバーを後方側にスライドさせることにより前記レバー移動孔の外周縁に当接する前記レバーを後方側に押して回路遮断器の投入を完了し、
前記回転板がさらに同方向に回転することに伴い前記ピンが前記ピン移動孔の外周縁に当接して前記スライドバーを前方側へスライドさせることにより前記レバー移動孔の外周縁に当接する前記レバーを前方側に引いて前記回路遮断器の遮断を完了することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の回路遮断器ユニットは、
前記回転板を回転させるモーターと、前記モーターへの電力供給を制御するリミットスイッチを有し、
前記モーターの始動信号が入力されると前記モーターが前記回転板の停止位置から前記回転板を一方向回転させことに伴い投入が開始され前記スライドバーが前記レバーを投入終了位置まで後方側に押して投入を完了し、
リミットスイッチが外れることにより前記モーターへの電力供給が断たれ前記回転板が惰性で回転停止位置まで回転し、
前記モーターの始動信号が再び入力されると前記モーターが前記回転板をさらに同方向に回転させることに伴い前記スライドバーが前記レバーを遮断終了位置まで前方側に引いて遮断を完了することを特徴とする。
【0013】
さらに、上記の目的を達成するために、本発明に係る分電盤は、
前面板、前記前面板の裏面から後方向に垂直に延設される平板状の基板、前記基板上方において水平に延設される平板状の支持板、前記基板に取り付けられてなる回路遮断器を有し、
前記支持板上方に位置するとともに、その先端部が前記前面板のガイド穴に挿通され、かつ前記前面板に対して前後移動可能な板状体からなるスライドバーと、前記スライドバーの前後移動と連動する回転板とを有し、
記スライドバーには、前方側にピン移動孔が配設され、後方側に回路断器の投入及び遮断をするレバーが挿入されてなるレバー移動孔が配設されてなり、
回転板駆動手段により回転される前記回転板には前記スライドバーのピン移動孔に対応する位置にピンが配設されてなり、
前記回転板の一方向の回転に伴い前記ピンが前記ピン移動孔の外周縁に当接して前記スライドバーを後方側にスライドさせることにより前記レバー移動孔の外周縁に当接する前記レバーを後方側に押して投入を完了し、
前記回転板がさらに同方向に回転することに伴い前記ピンが前記ピン移動孔の外周縁に当接して前記スライドバーを前方側へスライドさせることにより前記レバー移動孔の外周縁に当接する前記レバーを前方側に引いて遮断を完了する回路遮断器ユニットを、幅方向に複数併設してなることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の分電盤は、
本発明の前記回転板駆動手段を構成するモーターと、前記モーターへの電力供給を制御するリミットスイッチを有し、
前記モーターの始動信号が入力されると前記モーターが前記回転板の停止位置から前記回転板を一方向回転させことに伴い投入が開始され前記スライドバーが前記レバーを投入終了位置まで後方側に押して投入を完了し、
リミットスイッチが外れることにより前記モーターへの電力供給が断たれ前記回転板が惰性で回転停止位置まで回転し、
前記モーターの始動信号が再び入力されると前記モーターが前記回転板をさらに同方向に回転させることに伴い前記スライドバーが前記レバーを遮断終了位置まで前方側に引いて遮断を完了する回路遮断器ユニットを、幅方向に複数併設してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、限られた分電盤筐体の幅を有効活用し、且つ簡易な駆動機構及び駆動制御により回路遮断器への投入及び遮断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る回路遮断器ユニットを備えた分電盤の構成を示す概略斜視図である。
図2】本実施形態に係る回路遮断器ユニットの構成例を示す図である。
図3】本実施形態に係る回路遮断器ユニットの動作例を説明する図である。
図4】本実施形態に係る回路遮断器ユニットの動作例を説明する側面図である。
図5】本実施形態に係るモーターの駆動回路の一例を示す図である。
図6】本実施形態に係る回路遮断器ユニットを分電盤に搭載した状態の斜視図を示す図である。
図7】従来の並列に電動操作装置と回路遮断器が併設されている構成例を示す斜視図である。
図8】従来の電動操作装置の内部構成例を示す分解平面図である。
図9】従来の電動操作装置の内部構成例を示す分解背面図である。
図10】従来の電動操作装置のアーム駆動ベースを示す図である。
図11】分電盤を設置したラックの構成例を示す正面図である。
図12図11に示す分電盤の正面図である
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
[回路遮断器ユニットを備えた分電盤の構成]
図1は、本実施形態に係る回路遮断器ユニットを備えた分電盤の構成を示す概略斜視図である。
【0019】
図1に示すように、分電盤筐体10には複数の回路遮断器ユニット1が幅方向に並設される。各々の回路遮断器ユニット1は、過電流が流れた場合に通電を遮断する回路遮断機構とこの回路遮断機構への投入及び遮断を行う回路遮断器の操作機構とを併せ備える。各機構の詳細については図2図3を用いて後述する。
【0020】
なお、上記の通り、従来の電動操作装置は1極の回路遮断器と同じサイズであった。つまり、分電盤筐体10に一つの回路遮断器を配設する場合、同じ幅の電動操作装置を配設するためのスペースを更に必要としていた。これに対し、本実施形態に係る回路遮断器ユニット1は、分電盤筐体10の前後方向のスペースを利用して回路遮断機構と電動操作機構とを併せ備えた構成としている。そのため、幅方向に制約が多く前後方向に制約が少ない分電盤筐体10の限られた幅を有効活用することができる。
【0021】
[回路遮断器ユニットの構成例]
図2は、本実施形態に係る回路遮断器ユニットの構成例を示す図である。図2(a)は、回路遮断器ユニット1の正面図である。図2(b)は、回路遮断器ユニット1の右側面図である。図2(c)は、回路遮断器ユニット1の上面図である。
【0022】
図2に示す回路遮断器ユニット1は、縦長長方形状の前面板2、前面板2の裏面から後方向に垂直に延設される平板状の基板3、基板3上方において幅方向に水平に延設される平板状の支持板4、基板3に取り付けられて過電流が流れると通電を遮断する回路遮断器としての回路遮断部5、回路遮断部5による回路遮断動作等を行う回路遮断器の操作装置としての電動操作部6等を備える。
【0023】
前面板2には、図2(a)に示すように、ロータリーコードスイッチ21、電圧計測端子22a、22b、表示灯23、ヒューズホルダ24等の各種機器が配設される。また、前面板2の上部中央には、後述するスライドバー61が前後に挿通可能な横長のガイド穴2aが形成されている。
【0024】
基板3には、図2(b)、(c)に示すように、スライドバー61よりもやや下の位置において、平板状の支持板4が前面板2の幅方向に水平に延設される。
【0025】
回路遮断部5は、側面視矩形状の本体部51と、本体部51の上部において上向きに付装されるレバー52とから構成される例えばサーキットプロテクタである。この回路遮断部5は、回路遮断器ユニット1の後方上部に配設される。なお、レバー52が回路遮断器ユニット1の上方において前後方向に倒動可能な態様に配設される。
【0026】
本体部51は、定格値以下の電流が通電している場合にはレバー52をONの位置、図2(b)に示す例では右側に倒れた位置に配置された状態で通電を行うとともに、過電流が通電するとレバー52をOFFの位置、図2(b)に示す例では左側に倒れた位置に移動させて通電を遮断する回路遮断機構を内蔵した本体部分である。内蔵される回路遮断機構については既知のものであるため、ここでは説明を省略する。レバー52は、回路遮断器ユニット1の前後方向に倒動させることによって本体部51内部の回路遮断機構のON・OFFを切り替え可能な操作レバーである。
【0027】
電動操作部6は、スライドバー61、モーター62、回転板63、リミットスイッチ64、ガイドピン65等とから構成される。この電動操作部6は、回路遮断部5の投入及び遮断を手動と遠隔操作との両方で行うものである。
【0028】
スライドバー61は、先端部611が前面板2のガイド穴2aに挿通され、前面板2に対して垂直方向に前後移動可能な板状体である。図2(c)に示すように、先端部611はガイド穴2aを通る程度の幅長L1で形成されている。先端部611より後方では幅長L1よりもやや長い幅長L2であり、特にモーター62の直上部612近傍では、幅長L2よりも長い幅長L3で幅方向に一側辺が延出して形成されている。
【0029】
直上部612には、上下に貫通するピン移動孔612aが形成されている。このピン移動孔612aは、回転板63の回転に伴い回転板63が備えるピン63aが回転する際に、当該ピン移動孔612aの外周縁に当接してスライドバー61を前後方向に移動させるためのものである。このピン移動孔612aは、点対称に配置された二つの四角形形状の貫通孔を組み合わせた態様で形成される。またスライドバー61の後端部613には、上下に貫通するレバー移動穴613a及びガイドピン移動孔613bが形成されている。レバー移動孔613aは、レバー52が挿通されてレバー52の前後移動を可能とするものである。ガイドピン移動孔613bは、前後方向に延びる態様で形成された貫通穴であり、ガイドピン65が挿通されてスライドバー61を固定するものである。
【0030】
モーター62は、回路遮断器ユニット1の前方であって支持板4の裏面に配設され、回転板63を回転させる減速機付きモーターである。このモーター62は、不図示の遠隔装置からの駆動開始指示等に基づいて駆動し、一方向(例えば正回転方向)にのみ回転駆動する。このモーター62の駆動回路例については図5を用いて後述する。
【0031】
回転板63は、一対の短径の扇形部と一対の長径の扇形部とが円周方向に交互に組み合わされて形成された板状体である。この回転板63は支持板4の上面に配設され、モーター62に駆動されて回転する。また長径の扇形部において、突起物である一本のピン63aが短径の長さの半径位置に固設される。
【0032】
リミットスイッチ64は、回転板63の回転位置を検知するための電気スイッチである。ガイドピン65は、ガイドピン移動孔613bに挿通されてレバー52を押し引きするためのピンである。
【0033】
以上に示すように、本実施形態に係る回路遮断器ユニット1は、過電流が流れた場合に通電を遮断する回路遮断部5とこの回路遮断部5への投入及び遮断を行う電動操作部6とを併せ備えた構成である。
【0034】
[回路遮断器ユニットの動作例]
図3は、本実施形態に係る回路遮断器ユニットの動作例を説明するための図である。また、図4図3の動作例に対応する回路遮断器ユニットの動作例を示す構成図であり、スライドバー61と、レバー52を実線、それらの動作軌跡を破線で表している。
【0035】
図3を用いて回路遮断器5の投入から遮断までの電動操作部6の動作を説明する。なお、説明の便宜上、図3(a)~(f)の各図ではスライドバー61を上面から見た図を示している。
【0036】
図3(a)では、回路遮断部5が通電を遮断した状態、すなわちレバー52が前方(同図では下方)に倒れた状態を示している。このとき、スライドバー61の先端部611は前面板2より前方(図3(a)では下方)に突き出た状態となる。回転板63は、ピン63aが先端部611側に配置され且つ一対の長径の円径部分がスライドバー61の軸方向に配置される。
【0037】
図3(a)に示す状態において、モーター62(図3では不図示)に駆動始動信号を入れると、モーター62及びモーター62に取り付けられた回転板63が時計回りに回転開始し、図3(b)に示す状態に移行する。
【0038】
図3(b)では、回路遮断部5が投入を開始する状態を示している。図3(a)と同様に、レバー52が前方に倒れ、スライドバー61の先端部611が前面板2より前方に突き出た状態である。一方、回転板63に設けられたピン63aがピン移動孔612aの側縁に当接し、さらに回転した場合にはスライドバー61を後方向に押し上げ始める。その後、図3(c)に示す状態に移行する。
【0039】
図3(c)では、回路遮断部5が投入を終了した状態を示している。このとき、レバー52は後方に倒れ、スライドバー61の先端部611は前面板2より少しだけ前方に突き出ておりこれ以上押し込めない状態である。ピン63aは、図3(b)で当接したピン移動孔612aの側縁の右端に移動する。その後リミットスイッチ64が外れることでモーター62への電力供給が絶たれ、さらに回転板63は惰性で回転して図3(d)に示す状態に移行する。
【0040】
図3(d)では、回路遮断部5の投入終了後に回転板63が停止した状態を示している。図3(c)と同様に、レバー52が後方に倒れ、スライドバー61の先端部611が前面板より少しだけ前方に突き出ておりこれ以上押し込めない状態である。なお、回転板63は、ピン63aが後端部613側に配置され且つ一対の長径の円径部分がスライドバー61の軸方向に配置される。
【0041】
図3(d)に示す状態において、更にモーター62(図3では不図示)に駆動始動信号を入れると、モーター62及びモーター62に取り付けられた回転板63が時計回りに回転開始し、図3(e)に示す状態に移行する。
【0042】
図3(e)では、回路遮断部5が遮断を開始する状態を示している。図3(d)と同様に、レバー52が後方に倒れ、スライドバー61の先端部611が前面板より少しだけ前方に突き出ておりこれ以上押し込めない状態である。一方、回転板63に設けられたピン63aがピン移動孔612aの側縁(図3(b)で説明した側縁と点対称な位置の側縁)に当接し、さらに回転した場合にはスライドバー61を前方向に押し下げ始める。その後、図3(f)に示す状態に移行する。
【0043】
図3(f)では、回路遮断部5が遮断を終了した状態を示している。このとき、レバー52は前方に倒れ、スライドバー61の先端部611は前面板2から前方に突き出た状態である。回転板63に設けられたピン63aは、図3(e)で当接した側縁の左端に移動する。その後リミットスイッチ64が外れることでモーター62への電力供給が絶たれ、さらに回転板63は惰性で回転して図3(a)に示す状態に移行する。
【0044】
[モーターの駆動回路例]
図5は、本実施形態に係るモーターの駆動回路の一例を示す図である。
【0045】
図5に示すようにモーター62周りの駆動回路7は、始動スイッチ71、リレー72、73、電源69、リミットスイッチ64、モーター62を有する構成である。
【0046】
不図示の遠隔装置からの駆動開始指示等に基づいて始動スイッチ71が瞬時押されると、リレー73により自己保持されモーター62が回転を開始し、その後リミットスイッチ64が押され再度解放されるまで回転を継続し、停止する。
【0047】
以上図3乃至図5を用いて説明してきたように、本実施形態に係る回路遮断器ユニット1では、電動操作部6が備えるモーター62の同一方向への回転に基づいて、回路遮断部5の投入及び遮断を切り替えている。これにより、モーター62を正転逆転させる場合に比してモーター62への負荷が小さくなり、モーター62の寿命を延ばすことができる。
【0048】
また、回転板63に設けられたピン63aが、モーター62の一方向への回転に基づいてスライドバー61を前後方向に移動させ、且つ、スライドバー61にレバー移動穴613aを介して連結されたレバー52を前後方向に倒動させる簡易な駆動機構により、回路遮断部5への投入及び遮断を行うことができる。また、図3で説明したように同一信号にて投入及び遮断を繰り返すことができるため、簡易な駆動制御により回路遮断部5への投入及び遮断を行うことができる。
【0049】
また、図6に示すように、回路遮断器ユニット1において、回路遮断器の操作装置としての電動操作部6と回路遮断器としての回路遮断部5を奥行き方向に配設して、回転板63の回転駆動をスライドバー61の前後方向の運動に変えて回路遮断器5のレバー52を操作することにより、幅方向に制約が多く前後方向に制約が少ない分電盤筐体10の限られた幅を有効活用することができる。
【0050】
さらに、本実施形態に係る回路遮断器ユニット1では、回路遮断部5のレバー52が外部に露出せず、前面板2に対してスライドバー61を押し引きすることでレバー52を前後方向に倒動させることが可能である。そのため、従来のように誤遮断防止用のロックカバーを用意する必要がなく、落下物で誤遮断することを防止することができる。
【0051】
なお、上記図3に係る説明において、図3(a)、(d)に示す状態において手動でスライドバー61を操作してもよい。これにより、手動で回路遮断部5への投入及び遮断を行うことができる。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものであり、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0053】
1 回路遮断器ユニット
2 前面板
5 回路遮断部(回路遮断器)
6 電動操作部(回路遮断器の操作装置)
7 駆動回路
52 レバー
61 スライドバー
62 モーター
63 回転板
64 リミットスイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12