(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】複合材料および放熱部品
(51)【国際特許分類】
H01L 23/373 20060101AFI20240221BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20240221BHJP
C22C 26/00 20060101ALI20240221BHJP
C22C 29/06 20060101ALI20240221BHJP
C22C 5/06 20060101ALI20240221BHJP
C22C 5/08 20060101ALI20240221BHJP
C22C 9/01 20060101ALI20240221BHJP
C22C 9/00 20060101ALI20240221BHJP
C22C 21/06 20060101ALI20240221BHJP
C22C 21/12 20060101ALI20240221BHJP
C22C 21/00 20060101ALI20240221BHJP
C22C 23/00 20060101ALI20240221BHJP
C22C 23/02 20060101ALI20240221BHJP
C22C 30/00 20060101ALI20240221BHJP
C22C 30/02 20060101ALI20240221BHJP
B32B 15/01 20060101ALI20240221BHJP
C22C 27/04 20060101ALN20240221BHJP
【FI】
H01L23/36 M
H01L23/36 Z
C22C26/00 Z
C22C29/06 Z
C22C5/06 Z
C22C5/08
C22C9/01
C22C9/00
C22C21/06
C22C21/12
C22C21/00 N
C22C23/00
C22C23/02
C22C30/00
C22C30/02
B32B15/01 H
C22C27/04 102
(21)【出願番号】P 2022069318
(22)【出願日】2022-04-20
【審査請求日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0074429
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517262106
【氏名又は名称】ザ グッドシステム コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ミョン-ファン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ソク-ウ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン-ソク
【審査官】金田 孝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-111883(JP,A)
【文献】国際公開第2016/035796(WO,A1)
【文献】特開平09-312362(JP,A)
【文献】特開2017-095766(JP,A)
【文献】特開2005-175006(JP,A)
【文献】特開平11-067991(JP,A)
【文献】国際公開第2019/163721(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34-23/473
C22C 26/00
C22C 29/06
C22C 5/06
C22C 5/08
C22C 9/01
C22C 9/00
C22C 21/06
C22C 21/12
C22C 21/00
C22C 23/00
C22C 23/02
C22C 30/00
C22C 30/02
B32B 15/01
C22C 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基地と、前記金属基地の内部に熱伝導性粒子が分散した組織を有する複合材料であって、
前記金属基地は、C
uまたは
Cu合金からなり、
前記熱伝導性粒子は、ダイヤモン
ドを含み、
前記熱伝導性粒子は、粒子サイズが300μm以上であり、
前記熱伝導性粒子を体積比で15%~80%含み、
前記複合材料の微細組織において、いずれか一つの熱伝導性粒子の中心とこの熱伝導性粒子に最も隣接する熱伝導性粒子の中心間の距離が200μm以上であり、
前記いずれか一つの熱伝導性粒子と最も隣接する熱伝導性粒子は、互いに当接せず、それらの間には、金属基地が介在されており、
前記複合材料を前記金属基地の融点より20~30%低い温度
(摂氏温度)で加熱した後に測定した熱伝導度が、加熱する前の熱伝導度に比べて熱伝導度低下率が5%以下であ
り、
前記複合材料を前記金属基地の融点より20~30%低い温度(摂氏温度)で加熱し、常温に冷却する過程を3回実施した後に測定した熱伝導度が、最初に加熱する前の熱伝導度に比べて熱伝導度低下率が5%以下である、複合材料。
【請求項2】
前記複合材料は、板(plate)形状からなり
、
前記板の平面から見るとき、いずれか一つの熱伝導性粒子の中心とこの熱伝導性粒子に最も隣接する熱伝導性粒子の中心間の距離は、前記板が平面から観察されるすべての熱伝導性粒子の中心と最も隣接する熱伝導性粒子の中心間の距離の中央値から±20%以内の数値を有する、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記複合材料は、積層板材の内部に埋め込まれており、
前記積層板材は、銅(Cu)または銅(Cu)合金からなる第1層と、前記第1層上に形成され、銅(Cu)とモリブデン(Mo)を含む合金からなる第2層と、前記第2層上に形成され、銅(Cu)または銅(Cu)合金からなる第3層と、前記第3層上に形成され、銅(Cu)とモリブデン(Mo)を含む合金からなる第4層と、前記第4層上に形成され、銅(Cu)または銅(Cu)合金からなる第5層と、を含む、請求項1
または2に記載の複合材料。
【請求項4】
前記複合材料は、板(plate)形状からなり
、
前記板形状の複合材料の上・下面には、銅(Cu)とモリブデン(Mo)を含む合金からなる第1層がそれぞれ形成され、前記第1層の外面には、銅(Cu)または銅(Cu)合金からなる第2層がそれぞれ形成される、請求項1
または2に記載の複合材料。
【請求項5】
前記複合材料は、板(plate)形状からなり、
前記板形状の面に沿って、前記熱伝導性粒子は、実質的に所定間隔をもって規則的に配列された形状を有する、請求項1
または2に記載の複合材料。
【請求項6】
前記熱伝導性粒子は、ダイヤモンド粒子であり、
前記金属基地とダイヤモンド粒子との界面には、金属炭化物層が形成されている、請求項1
または2に記載の複合材料。
【請求項7】
前記金属炭化物は、TiCである、請求項
6に記載の複合材料。
【請求項8】
前記いずれか一つの熱伝導性粒子の中心とこの熱伝導性粒子に最も隣接する熱伝導性粒子の中心間の距離が400μm以上である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項9】
前記複合材料は、板(plate)形状からなり
、
前記熱伝導性粒子は、ダイヤモンド粒子であり、
前記板形状の厚さ方向への熱伝導度は、4
50W/mK以上であり、
前記板形状の面方向への熱膨張係数は、25℃~200℃において3×10
-6/K~13×10
-6/Kである、請求項1
または2に記載の複合材料。
【請求項10】
請求項1
または2に記載の複合材料を含む放熱部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属と非金属の複合材料と、この複合材料で構成された放熱部品に関する。より詳細には、金属基地内にダイヤモンドや炭化シリコン(SiC)のように熱伝導性に優れた物質からなる粒子を均一に分散させたものであり、特に加熱と冷却による熱サイクルが繰り返し加えられても、熱伝導度の低下を防止できる複合材料と、この複合材料からなる放熱部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の高出力化に伴い、電子機器に備える半導体素子の作動時の発熱量が次第に増加する傾向にある。これによって、半導体素子に放熱部品を設置し、半導体素子から発生する熱を外部に放出している。このような放熱部品は、高い熱伝導度とともに、熱膨張係数において半導体素子との差異が小さいことが要求される。
【0003】
熱伝導度を高め、半導体素子との熱膨張係数を低く維持するために、銅(Cu)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)のような金属基地にダイヤモンドや炭化シリコン(SiC)のような熱伝導性に優れた粒子を分散させて複合化した複合材料で製作された放熱部品が広く用いられている。このような複合材料としては、Cu-ダイヤモンド複合材料、Ag-ダイヤモンド複合材料、Al-ダイヤモンド複合材料、Mg-SiC複合材料、Al-SiC複合材料など多様な組み合わせが知られている。
【0004】
一方、放熱部品に要求される熱伝導度と熱膨張係数は、適用される製品によって多様であるから、前記複合材料を構成する金属と熱伝導性粒子の組み合わせまたは熱伝導性粒子の体積比の調節が必要である。
【0005】
ところが、前記複合材料の場合、高い温度で加熱した後には、加熱する前に比べて熱伝導度の劣化が生じるため、実際使用時に最初設計したままの熱伝導度が具現されない問題点がある。
【0006】
これと関連して、下記特許文献には、複合材料に含まれる酸素含有量を少なくし、緻密化することによって、800℃で加熱した後の熱伝導度の劣化を5%以内に抑制する方法が開示されている。しかしながら、特許文献1の技術を適用しても、2回、3回以上熱サイクルが繰り返される場合には、熱伝導度の急激な劣化が発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】日本国特許公開第2018-111883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一目的は、熱サイクルが加えられても、熱伝導度の劣化が急激に起こることなく、半導体素子に要求される優れた熱伝導度と制御された熱膨張係数を有する複合材料を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、上記した複合材料を用いた放熱部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一目的を達成するための本発明の一態様は、金属基地と、前記金属基地の内部に熱伝導性粒子が分散した組織を有する複合材料であって、前記金属基地は、Cu、Ag、Al、Mgまたはこれらの合金からなり、前記熱伝導性粒子は、ダイヤモンドまたはSiCを含み、前記熱伝導性粒子を体積比で15%~80%含み、前記複合材料の微細組織において、いずれか一つの熱伝導性粒子の中心とこの熱伝導性粒子に最も隣接する熱伝導性粒子の中心間の距離が200μm以上であり、前記複合材料を前記金属基地の融点より20~30%低い温度で加熱した後に測定した熱伝導度が、加熱する前の熱伝導度に対する低下率が5%以下である、複合材料を提供する。
【0011】
本発明の一目的を達成するための本発明の他の態様は、金属基地と、前記金属基地の内部に熱伝導性粒子が分散した組織を有する複合材料であって、前記金属基地は、Cu、Ag、Al、Mgまたはこれらの合金からなり、前記熱伝導性粒子は、ダイヤモンドまたはSiCを含み、前記熱伝導性粒子を体積比で15%~80%含み、前記複合材料の微細組織において、前記熱伝導性粒子は、粒子サイズの差異が150μm以上である大粒子と小粒子を含み、前記大粒子を第1粒子といい、相対的に小粒子を第2粒子というとき、前記第1粒子の中心とこの第1粒子に最も隣接する第1粒子または第2粒子の中心間の距離が200μm以上であり、前記複合材料を前記金属基地の融点より20~30%低い温度で加熱した後に測定した熱伝導度が、加熱する前の熱伝導度に対する低下率が5%以下である、複合材料を提供する。
【0012】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、前記本発明の一態様または他の態様による複合材料で構成された放熱部品を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明による複合材料は、多様な熱伝導度とともに、半導体素子など使用目的に合う熱膨張係数の具現が可能であり、特に加熱と冷却による熱サイクルが繰り返し加えられても、熱伝導度の低下を抑制することができ、信頼性が高い放熱特性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態による複合材料の断面において、いずれか一つの熱伝導性粒子の中心とこの熱伝導性粒子に最も隣接する熱伝導性粒子の中心間の距離を求める過程を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の第2実施形態による複合材料の断面において、第1粒子の中心とこの第1粒子に最も隣接する第1粒子または第2粒子の中心間の距離を求める過程を概略的に示す図である。
【
図3】本発明の第2実施形態による板形状からなる複合材料の厚さ方向の断面組織を説明するための概略図である。
【
図4】本発明の第3実施形態による複合材料の平面図と断面図である。
【
図5】本発明の第3実施形態による複合材料において放熱部品におけるセラミック接合部分とチップ実装部分を示す図である。
【
図6】本発明の第4実施形態による複合材料の断面構造と、この構造によって製造された複合材料からなる板材の断面を示す顕微鏡写真である。
【
図7】本発明の第5実施形態による複合材料板材の平面を示す顕微鏡写真である。
【
図8】本発明の実施例の範囲に属する3個の例(実施例1-1~1-3)と、実施例の範囲に属しない1個の例(比較例1)の断面組織を示す図である。
【
図9】実施例1-1~1-3と比較例1によって製造された複合材料に対して850℃まで加熱する熱サイクルを加えた後、加熱する前の熱伝導度と加熱後の熱伝導度を比較した図である。
【
図10】実施例1-4および比較例2によって製造された複合材料を平断面から観察したイメージである。
【
図11】実施例1-4および比較例2によって製造された複合材料を平断面から観察したダイヤモンド粒子の中心間の距離の分布を測定した結果を示す図である。
【
図12】実施例1-4および比較例2によって製造された複合材料に対して常温から850℃まで加熱する熱を加えた後、加熱する前の熱伝導度と加熱後の熱伝導度を比較した図である。
【
図13】本発明の実施例2によって製造された複合板材の厚さ方向の断面を示す写真である。
【
図14】同じサイズのダイヤモンド粒子を規則的に配列したものと、実施例2によってダイヤモンド傾斜組織で配列したもののダイヤモンド体積比による熱伝導度の差異を示す図である。
【
図15】本発明の実施例2によって製造されたダイヤモンド粒子が厚さの中心を基準として対称的に配列された複合板材と、ダイヤモンド粒子が無作為で分散した複合板材の加熱後の反り状態を比較した図である。
【
図16】本発明の実施例3によって製造されたCu/Cu-Mo/Cu/Cu-Mo/Cu積層板材の内部に銅-ダイヤモンド複合材料が埋め込まれた構造の積層板材の断面を示すイメージである。
【
図17】本発明の実施例3によって製造された銅-ダイヤモンド複合材料が埋め込まれた積層板材と、Cu/Cu-Mo/Cu/Cu-Mo/Cu積層板材と、銅-ダイヤモンド複合材料の温度による熱膨張係数を測定した結果を示す図である。
【
図18】本発明の実施例4~10によって製造された複合材料板材の断面を示すイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照してその構成および作用を説明することとする。下記において、本発明を説明するに際して、関連した公知機能または構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明にすることができると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、任意の部分がどんな構成要素を「含む」というとき、これは、特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0016】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による複合材料は、金属基地と、前記金属基地の内部に熱伝導性粒子が均一に分散した組織を有し、前記金属基地は、Cu、Ag、Al、Mgまたはこれらの合金からなり、前記熱伝導性粒子は、ダイヤモンドまたはSiCを含み、前記熱伝導性粒子を体積比で15%~80%含み、前記複合材料の微細組織においていずれか一つの熱伝導性粒子の中心とこの熱伝導性粒子に最も隣接する熱伝導性粒子の中心間の距離が200μm以上であり、前記複合材料を前記金属基地の融点より20~30%低い温度で加熱した後に測定した熱伝導度が、加熱する前の熱伝導度に対する低下率が5%以下である。
【0017】
前記「これらの合金」は、Cu合金、Ag合金、Al合金、Mg合金を意味し、それぞれの合金は、主元素であるCu、Ag、AlまたはMgを80重量%以上、好ましくは、90重量%以上、より好ましくは、95重量%以上含み、合金成分としては、前記主元素に合金可能な公知のすべての元素を含んでもよく、熱伝導度の低下を最小化できる元素を含むことが好ましい。
【0018】
前記熱伝導性粒子を体積比で15%未満で含む場合、熱伝導性が劣り、熱膨張係数をマッチしにくく、80%超過して含む場合、熱伝導性に優れているが、熱伝導性粒子を結合させることが容易でなく、熱膨張係数が極めて低いため、好ましくない。生産性と特性の観点から、熱伝導性粒子の体積比が15~60%であることがさらに好ましく、30~50%であることが最も好ましい。
【0019】
本発明において、前記「熱伝導性粒子の中心」とは、粒子の形状が円形である場合、その中心であり、断面上、不規則な形状を有する粒子の場合、粒子内部に描くことができる最大直径を有する内接円の中心を意味する。また、前記「断面」は、板状でない任意の形状である場合、任意の断面とし、板状からなる複合材料の場合、面に平行な方向の断面または厚さに平行な断面を基準とする。
【0020】
また、「熱伝導度低下率」は、下記[式1]によって計算する。
【0021】
[式1]
熱伝導度低下率(%)=(加熱前の熱伝導度-加熱後の熱伝導度)/(加熱前の熱伝導度)×100
図1に示されたように、熱伝導性粒子の体積分率が15%以上であり、同時にいずれか一つの熱伝導性粒子の中心とこの熱伝導性粒子に最も隣接する熱伝導性粒子の中心間の距離D1が200μm以上を維持することになると、前記複合材料を前記金属基地の融点より20~30%低い温度で加熱した後に測定した熱伝導度が、加熱する前の熱伝導度に比べて熱伝導度低下率が5%以下に維持することができる。これによって、本発明による複合材料で構成された放熱部品の製造過程または放熱部品の実装過程または放熱部品の使用時に加えられる熱サイクルによって熱伝導度が急激に低下するのを防止することができる。
【0022】
いずれか一つの熱伝導性粒子の中心とこの熱伝導性粒子に最も隣接する熱伝導性粒子の中心間の距離D1は、300μm以上が好ましく、400μm以上がさらに好ましく、500μm以上が最も好ましい。すなわち、粒子の中心間の距離が遠くなるほど熱サイクルに対する熱伝導度の低下に対する抵抗性が大きくなるが、熱伝導性粒子間の距離を大きくする場合、半導体素子などに要求される熱伝導度を具現できないので、熱伝導性粒子の体積分率は、15%以上にならなければならない。
【0023】
また、本発明による複合材料は、前記金属基地の融点より20~30%低い温度で加熱し、常温に冷却する過程を3回実施した後に測定した熱伝導度が、最初に加熱する前の熱伝導度に比べて熱伝導度低下率が5%以下でありうる。
【0024】
従来の放熱部品に用いられた複合材料の場合、1回の熱サイクルでは、熱伝導度の低下が多くないが、繰り返される熱サイクルでは、熱伝導度の低下が急激に行われる場合(特に、銅-ダイヤモンド複合材料の場合)が多いが、本発明による複合材料は、このような点を防止することができ、放熱部品の信頼性を大きく向上させることができる。
【0025】
前記熱伝導性粒子のサイズは、熱伝導性の改善および熱サイクルに対する熱伝導度の劣化に対する抵抗性向上を考慮して、300μm以上であることが好ましく、400μm以上であることがさらに好ましく、500μm以上であることが最も好ましい。
【0026】
また、前記複合材料は、板(plate)形状からなり、前記熱伝導性粒子は、粒子サイズが300μm以上であり、前記板の平面から見て、いずれか一つの熱伝導性粒子の中心とこの熱伝導性粒子に最も隣接する熱伝導性粒子の中心間の距離は、前記板が平面から観察されるすべての熱伝導性粒子の中心と最も隣接する熱伝導性粒子の中心間の距離の中央値から±20%以内(さらに好ましくは、±20%以内)の数値を有していてもよい。上記したサイズのダイヤモンド粒子が単層で配置された場合、前記板の平面から見て、上記のような構造でダイヤモンド粒子が配置されるとき、熱サイクルが繰り返し加えられても、熱伝導度の劣化に対する抵抗性が向上することができるためである。
【0027】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による複合材料は、金属基地と、前記金属基地の内部に熱伝導性粒子が分散した組織を有し、前記金属基地は、Cu、Ag、Al、Mgまたはこれらの合金からなり、前記熱伝導性粒子は、ダイヤモンドまたはSiCを含み、前記熱伝導性粒子を体積比で15%~80%含み、前記複合材料の微細組織において前記熱伝導性粒子は、粒子サイズの差異が150μm以上である大粒子と小粒子を含み、前記大粒子を第1粒子といい、相対的に小粒子を第2粒子というとき、前記第1粒子の中心とこの第1粒子に最も隣接する第1粒子または第2粒子の中心間の距離が200μm以上であり、前記複合材料を前記金属基地の融点より20~30%低い温度で加熱した後に測定した熱伝導度が、加熱する前の熱伝導度に比べて熱伝導度低下率が5%以下である。
【0028】
また、前記熱伝導性粒子は、多様なサイズのものが混合されて用いられるが、熱伝導性の改善および熱サイクルに対する熱伝導度の劣化に対する抵抗性向上を考慮して、前記第1粒子の好ましいサイズは、300μm以上、400μm以上がさらに好ましく、500μm以上が最も好ましい。また、前記第1粒子が全体熱伝導性粒子に占める体積分率は、30%以上が好ましく、40%以上がさらに好ましく、50%以上であることが最も好ましい。
【0029】
また、前記第2粒子は、単一の粒度分布からなるものであってもよく、平均粒度が異なるものが混合されたものであってもよい。これによって、前記第2実施形態による複合材料に含まれる熱伝導性粒子のサイズ分布は、双峰分布(bimodal distribution)または多峰分布(multimodal distribution)を成すことができる。
【0030】
図2に示された前記第1粒子の中心とこの第1粒子に最も隣接する第1粒子または第2粒子の中心間の距離D1が200μm以上にならない場合、熱サイクルによる熱伝導度の低下を5%以下に低く維持できないので、前記範囲を維持することが好ましい。
【0031】
前記第1粒子の中心とこの第1粒子に最も隣接する第1粒子または第2粒子の中心間の距離は、250μm以上が好ましく、300μm以上がさらに好ましい。
【0032】
本発明の第2実施形態において、前記複合材料は、板(plate)形状からなり、厚さ方向の断面において、前記第1粒子は、前記板の厚さの中心領域に配置され、前記第2粒子は、前記板の表面領域に近く配置されて、厚さの中心領域から表面に行くほど前記熱伝導性粒子のサイズが小さくなる形状からなり得る。
【0033】
本発明において、「厚さ方向」とは、複合材料が板形状に作られたとき、板の厚さに平行な方向であり、「面方向」とは、板の面に平行な方向を意味する。
【0034】
ここで、前記第1粒子は、前記板の厚さの中心領域で厚さに垂直な方向に沿って所定間隔をもって配列された形状であってもよい。
【0035】
図3に示されたように、サイズが最も大きい第1粒子(D1)が厚さ方向の断面の中心に沿って図面で水平方向に層を成して配列されており、この第1粒子(D1)の層を中心として第2粒子(D2)が配置され、粒子のサイズが最も小さい第3粒子(D3)が表面に最も近接するように配置される対称構造を成す場合、金属基地内に熱伝導性粒子の体積分率を高めることができ、熱伝導度の向上に有利である。
【0036】
さらに、上記した対称構造は、熱伝導性粒子が無作為で配列されたり、サイズの差異が150μm以上となる大粒子が一定の間隔をもって規則的に配列されても、上記した対称構造を成していない場合に比べて板状の厚さ方向の熱伝導性が向上し、板の反りを防止するなどの効果を得ることができる。
【0037】
一方、前記第1実施形態において説明されたことのうち、第2実施形態において説明されないことは、第1実施形態と同一に解すべきであり、以下の実施形態も同一である。
【0038】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による複合材料は、第1実施形態または第2実施形態による複合材料の金属基地がCuまたはCu合金からなり、前記複合材料が積層板材の内部に埋め込まれているものであり、前記積層板材は、銅(Cu)または銅(Cu)合金からなる第1層と、前記第1層上に形成され、銅(Cu)とモリブデン(Mo)を含む合金からなる第2層と、前記第2層上に形成され、銅(Cu)または銅(Cu)合金からなる第3層と、前記第3層上に形成され、銅(Cu)とモリブデン(Mo)を含む合金からなる第4層と、前記第4層上に形成され、銅(Cu)または銅(Cu)合金からなる第5層と、を含む。
【0039】
前記第1層、第3層および第5層は、銅(Cu)99.9重量%以上の純銅(Cu)はもちろん、多様な合金元素を0.1重量%以上含む銅(Cu)合金からなってもよく、銅(Cu)合金の場合、放熱特性を考慮して、銅(Cu)を80重量%以上、好ましくは、90重量%以上、より好ましくは、95重量%以上含んでもよい。
【0040】
前記第2層および第4層は、銅(Cu)とモリブデン(Mo)を含む合金からなるが、この合金は、銅(Cu):5~40重量%、モリブデン(Mo):60~95重量%含むことが好ましいが、これは、銅(Cu)の含有量が5重量%未満なら、銅(Cu)層との結合力を良好に維持しにくく、厚さ方向への熱伝導度が減少し、40重量%超過なら、面方向の熱膨張係数を低く維持しにくいためである。
【0041】
前記第1層、第3層および第5層の厚さは、10~1000μmの範囲を維持する場合、放熱板材の面方向の熱膨張係数をセラミック素材と類似した7~12×10-6/Kの範囲に維持し、厚さ方向の熱伝導度を300W/mK以上に具現することができるので、前記範囲に維持することが好ましい。前記第2層および第4層の厚さは、10μm未満の場合、面方向の熱膨張係数を7~12×10-6/Kの範囲に維持しにくく、60μm超過の場合、厚さ方向の熱伝導度を300W/mK以上に維持しにくいので、10~60μmの範囲に維持することが好ましい。前記第2層および第4層の厚さは、10μm未満の場合、面方向の熱膨張係数を7~12×10-6/Kの範囲に維持しにくく、60μm超過の場合、厚さ方向の熱伝導度を300W/mK以上に維持しにくいので、10~60μmの範囲に維持することが好ましい。
【0042】
図4に示されたように、第3実施形態による複合材料は、CuまたはCu合金基地にダイヤモンド粒子が複合化された複合材料(中心に斜め線の入った部分)をCu/Cu-Mo/Cu/Cu-Mo/Cuからなる積層板材の内部に挿入した構造である。ここで、
図4に示されたように、半導体チップが実装される部分は、Cu-ダイヤモンド複合材料の上・下面にCu層だけが存在し、複合材料を除いた残りの部分は、Cu/Cu-Mo/Cu/Cu-Mo/Cuからなることが好ましい。この構造は、
図5に示されたように、セラミックが接合される部分は、Cu/Cu-Mo/Cu/Cu-Mo/Cuの積層構造からなるので、セラミックとの熱膨張係数をマッチすることが容易であり、半導体チップと当接する部分は、熱伝導度を高めることができる構造である。
【0043】
また、第3実施形態による複合材料は、加熱温度の変化(例えば、0℃から800℃まで加熱する間)にも、熱膨張係数の差異が殆どないため、温度による熱膨張係数の差異が顕著な素材に比べて多様な工程温度に対応することができるという利点がある。
【0044】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による複合材料は、第1実施形態または第2実施形態による複合材料が板(plate)形状からなり、前記金属基地がCuまたはCu合金からなり、前記板形状の複合材料の上・下面には、銅(Cu)とモリブデン(Mo)を含む合金からなる第1層がそれぞれ形成され、前記第1層の外側には、銅(Cu)または銅(Cu)合金からなる第2層がそれぞれ形成されている。
【0045】
図6に示されたような積層構造を有する第4実施形態による複合材料において、前記第1層は、銅(Cu)とモリブデン(Mo)を含む合金からなるが、この合金は、銅(Cu):5~40重量%、モリブデン(Mo):60~95重量%含むことが好ましい。これは、銅(Cu)の含有量が5重量%未満なら、銅(Cu)層との結合力を良好に維持しにくく、厚さ方向への熱伝導度が減少し、40重量%超過なら、面方向の熱膨張係数を低く維持しにくいためである。
【0046】
前記第2層は、銅(Cu)99.9重量%以上の純銅(Cu)はもちろん、多様な合金元素を0.1重量%以上含む銅(Cu)合金からなってもよく、銅(Cu)合金の場合、放熱特性を考慮して、銅(Cu)を80重量%以上、好ましくは、90重量%以上、より好ましくは、95重量%以上含んでもよい。
【0047】
前記第1層の厚さは、10μm未満の場合、面方向の熱膨張係数を7~12×10-6/Kの範囲に維持しにくく、60μm超過の場合、厚さ方向の熱伝導度を300W/mK以上に維持しにくいので、10~60μmの範囲に維持することが好ましい。前記第2層および第4層の厚さは、10μm未満の場合、面方向の熱膨張係数を7~12×10-6/Kの範囲に維持しにくく、60μm超過の場合、厚さ方向の熱伝導度を300W/mK以上に維持しにくいので、10~60μmの範囲に維持することが好ましい。
【0048】
前記第2層の厚さは、10~1000μmの範囲を維持する場合、放熱板材の面方向の熱膨張係数を12×10-6/Kの範囲に維持し、厚さ方向の熱伝導度を300W/mK以上に具現することができるので、前記範囲に維持することが好ましい。
【0049】
第4実施形態による複合材料は、第3実施形態と同様に、加熱温度の変化(例えば、0℃から800℃まで加熱する間)にも、熱膨張係数の差異が殆どないので、温度による熱膨張係数の差異が顕著なものに比べて多様な工程温度に対応することができ、好ましい。
【0050】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による複合材料は、第1実施形態~第4実施形態による複合材料において前記複合材料が板(plate)形状からなり、前記板形状の面において前記熱伝導性粒子が所定の間隔をもって規則的に配列された形状を有するものである。
【0051】
図7に示されたように、板材の面に対して縦横に所定の間隔をもって配列されるようなパターン(
図7で灰色粒子がダイヤモンド粒子)を形成することができる場合、複合材料からなる板のうち、選択的な熱膨張係数の調節と熱伝導度の調節が可能になる。また、熱伝導性粒子を規則的に配列する場合、無作為で配列するものに比べて、ダイヤモンドのような高価な熱伝導性粒子の使用量を減らしながらも、無作為で配列したものに比べて同等以上の特性具現が可能になる。
【0052】
熱伝導性粒子を規則的に配列する組織の場合、熱伝導性粒子のサイズが均一であることが好ましい。例えば、粒子サイズの差異が中心値を基準として±20%以内であってもよく、±10%以内であることが好ましい。
【0053】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態による複合材料は、第1実施形態~第5実施形態による複合材料において、前記熱伝導性粒子は、ダイヤモンド粒子であり、前記金属基地とダイヤモンド粒子との界面には、金属炭化物層が形成されている。
【0054】
金属とダイヤモンド粒子は、濡れ性が低くて、界面に気孔や亀裂のような欠陥が生じることがあり、このような気孔や亀裂は、熱伝導性を顕著に低下させることができるので、最大限抑制することが好ましい。このために、前記金属基地とダイヤモンド粒子との間に濡れ性を向上させることができる金属炭化物層を形成することが好ましい。金属炭化物層は、例えばダイヤモンドの表面に金属をコーティングした後、熱処理または複合化過程に加えられる熱を通じて金属の一部を炭化させる方法で形成されることができるが、必ずこれに限定されるものではなく、金属炭化物層を形成できる公知の方法があれば、適用することができる。
【0055】
前記金属炭化物層は、好ましくは、周期律表において4族金属であるTi、ZrおよびHfの中から選ばれた1種以上の炭化物であってもよく、より好ましくは、TiCであってもよく、この際、Tiが一部残存して、金属基地/Ti/TiC/ダイヤモンド形態の界面構造を形成することもできる。
【0056】
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態による複合材料は、第1実施形態~第6実施形態による複合材料において、前記複合材料は、板(plate)形状からなり、前記金属基地は、銅または銅合金からなり、前記熱伝導性粒子は、ダイヤモンド粒子であり、前記板形状の厚さ方向への熱伝導度は、450W/mK以上であり、前記板形状の面方向への熱膨張係数は、25℃~200℃において3×10-6/K~13×10-6/Kである。
【0057】
[第8実施形態]
本発明の第8実施形態による複合材料は、第1実施形態~第6実施形態による複合材料において、前記複合材料は、板(plate)形状からなり、前記金属基地は、銀または銀合金からなり、前記熱伝導性粒子は、ダイヤモンド粒子であり、前記板形状の厚さ方向への熱伝導度は、600W/mK以上であり、前記板形状の面方向への熱膨張係数は、25℃~200℃において3×10-6/K~13×10-6/Kである。
【0058】
[第9実施形態]
本発明の第9実施形態による複合材料は、第1実施形態~第6実施形態による複合材料において、前記複合材料は、板(plate)形状からなり、前記金属基地は、銅または銅合金からなり、前記熱伝導性粒子は、SiC粒子であり、前記板形状の厚さ方向への熱伝導度は、300W/mK以上であり、前記板形状の面方向への熱膨張係数は、25℃~200℃において3×10-6/K~13×10-6/Kである。
【0059】
[第10実施形態]
本発明の第10実施形態による複合材料は、第1実施形態~第6実施形態による複合材料において、前記複合材料は、板(plate)形状からなり、前記金属基地は、マグネシウムまたはマグネシウム合金からなり、前記熱伝導性粒子は、ダイヤモンド粒子および/またはSiC粒子であり、前記板形状の厚さ方向への熱伝導度は、200W/mK以上であり、前記板形状の面方向への熱膨張係数は、25℃~200℃において5×10-6/K~15×10-6/Kである。
【0060】
[第11実施形態]
本発明の第11実施形態による複合材料は、第1実施形態~第6実施形態による複合材料において、前記複合材料は、板(plate)形状からなり、前記金属基地は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、前記熱伝導性粒子は、ダイヤモンド粒子および/またはSiC粒子であり、前記板形状の厚さ方向への熱伝導度は、150W/mK以上であり、前記板形状の面方向への熱膨張係数は、25℃~200℃において5×10-6/K~15×10-6/Kである。
【0061】
第1実施形態~第11実施形態による複合材料は、次のような多様な方法で製造することができる。
【0062】
例えば、熱伝導性粒子の表面に電気化学的方法である無電解メッキや、スパッタリング法またはボールミリングのような物理的な方法などの公知のコーティング法を用いて所定厚さの金属コーティング層を形成することによって、金属-熱伝導性複合粒子を製造する。次いで、製造された複合粒子を粒子最大サイズの1.1~1.3倍の厚さとなるようにプレス成形して、厚さ方向に2個以上の粒子が積もらないように単層で作成した後、SPS焼結法を用いて熱伝導性粒子が単層に配列された複合シート(sheet)を製作する。このように熱伝導性粒子が単層に配列された複合シートを多数個積層して焼結することによって、厚さ方向にも熱伝導性粒子が配列された複合構造を形成する。
【0063】
また、他の方法として、所定のパターンまたは孔(hole)が形成された金属シート(sheet)にサンドブラスト、プレス、静電気、真空などの手段を用いてシートのパターンまたは孔を活用して所定位置に熱伝導性粒子を均一に分散配置した後、焼結法を通じて金属シートと熱伝導性粒子を結合させて、熱伝導性粒子が単層からなる複合シートを製作する。ここで、前記金属シートの厚さは、好ましくは、熱伝導性粒子の最大サイズの1.1~1.3倍となるようにする。このように製作された複合シートを積層して、厚さ方向にも粒子が配列された構造を形成する。
【実施例】
【0064】
<実施例1>
実施例1では、銅(Cu)基地(matrix)にダイヤモンド粒子が均一に分散して複合化された複合材料を製造した。
【0065】
まず、粒子のサイズが50μm、150μm、200μm、700μm、800μmであるダイヤモンド粉末を準備した。粉末を構成する粒子のサイズは、前記代表値(平均)の±20%以内(さらに好ましくは、±10%以内)のサイズを有する均一なサイズのダイヤモンド粒子を用いた。
【0066】
ダイヤモンド粒子の表面に、PVD(Physical vapor deposition)法を用いてチタン(Ti)をコーティングし、ここで、ダイヤモンドとチタン(Ti)との界面には、ダイヤモンドを構成する炭素(C)とチタン(Ti)の一部が反応して、炭化チタン(TiC)が形成された。前記チタン(Ti)層は、一種の結合層(bonding layer)であり、濡れ性が良くないダイヤモンドと銅(Cu)間の濡れ性を向上させて、複合化したとき、良好な結合力を有するようにするためのものである。
【0067】
次に、チタン(Ti)がコーティングされたダイヤモンド粒子の表面に無電解メッキ法を用いて銅(Cu)コーティング層を形成した。ここで、銅(Cu)コーティング層の厚さは、約50~100μmとなるようにした。
【0068】
次いで、ダイヤモンド粒子がこわれない圧力範囲内でダイヤモンド粒子の最大サイズの1.1~1.3倍の厚さとなるようにプレス成形した。ここで、プレスの成形圧は、200MPaに設定した。
【0069】
このようなプレス成形を通じてダイヤモンド粒子が単層を形成した成形体を得た。得られた成形体を放電プラズマ焼結(spark plasma sintering)法を用いて1,000℃で焼結することによって、Cu-ダイヤモンド複合シートを製作した。このように製作した複合シートを2層、3層、4層、5層など多様な層数で積層した後、さらに焼結して接合させる方法を通じて、所定厚さを有し、ダイヤモンド粒子の体積比を15%~80%程度で含み、同時にいずれか一つのダイヤモンド粒子の中心とこのダイヤモンド粒子に最も隣接するダイヤモンド粒子の中心間の距離が、200μm以上で離隔するようにすると同時に、ダイヤモンド粒子と粒子の間には、必ず金属基地である銅(Cu)が配置された組織を有する複合シート(放熱器板)を製作することができた。
【0070】
一方、本発明の実施例1では、複合シートを放熱基板に用いる例を提示したが、前記複合シートの間に銅(Cu)シートや銅-モリブデン(Cu-Mo)合金シートを積層し、3層、5層、7層など多様な積層構造を有する放熱基板を製作することもできる。
【0071】
実施例1によって製作した基板のうち、ダイヤモンド体積比が約35%であり、厚さ約1,600μmで製作された放熱基板の場合、XY方向(基板の面方向)とZ方向(厚さ方向)の熱伝導度は、約600W/mKであり、200℃でXY方向(基板の面方向)の熱膨張係数は、10×10-6/Kの値を示した。
【0072】
図8は、実施例1の方法で製造されたものであり、本発明において請求する微細組織の範囲に属する3個の例(実施例1-1~1-3)と、本発明において請求する微細組織の範囲に属しない1個の例(比較例1)の断面組織を示す図である。
図8の断面組織において、いずれか一つのダイヤモンド粒子の中心とこのダイヤモンド粒子に最も隣接するダイヤモンド粒子の中心間の距離D1について測定した結果は、
図8に示した数値と同一であった。すなわち、本発明の実施例1-1~1-3の場合、体積比が17.5%~40%でダイヤモンド粒子を相当量含むと同時に、いずれか一つのダイヤモンド粒子と最も隣接するダイヤモンド粒子の中心間の距離D1を200μm以上となるように維持されているのに対し、比較例1の場合、ダイヤモンド粒子の体積比は、40%であるが、いずれか一つのダイヤモンド粒子の中心とこのダイヤモンド粒子に最も隣接するダイヤモンド粒子の中心間の距離D1が、約150μm水準であり、本発明の実施例に比べて近く形成されている。
【0073】
図9は、実施例1-1~1-3と比較例1によって製造された複合材料に対して850℃まで加熱する熱を加えた後、加熱する前の熱伝導度と加熱後の熱伝導度を比較した図である。
図9に示されたように、2回~3回の繰り返しの熱サイクルを加えた後にも、実施例1-3の場合、若干の熱伝導度(TC)の低下があったが、実施例1-1と1-2は、実質的に差異がなかった。
【0074】
これに対し、比較例1の場合、ダイヤモンドの体積比が40%相当含まれていて、1回熱サイクルが加えられたときには、熱伝導度が600W/mK程度と高く維持されたが、2回および3回熱サイクルが繰り返された後には、熱伝導度が約300W/mK水準に劣化して、Cu-ダイヤモンド複合材に要求される高い放熱特性が、熱サイクルが加えられるほど維持されない傾向を示した。
【0075】
図10は、実施例1-4および比較例2によって製造された複合材料を平断面から観察したイメージである。
【0076】
実施例1-4および比較例2は、ダイヤモンド粒子の体積比を同一に70%にして製造された。
図10に示されたように、実施例1-4は、粒子が平面で互いに当接していない状態で均一に分散した状態を示すが、比較例2は、互いに当接する粒子が存在し、実施例1-4に比べて均一性が劣る組織を有する。
【0077】
図11は、実施例1-4および比較例2によって製造された複合材料を平断面から観察したダイヤモンド粒子の中心間の距離の分布を測定した結果を示す図である。
【0078】
図11から定量的に確認されるように、実施例1-4の場合、任意のダイヤモンド粒子とこの粒子に最も隣接する粒子の中心間の距離は、中心値900μmを基準として±10%以内に存在するのに対し、比較例2の場合、任意のダイヤモンド粒子とこの粒子に最も隣接する粒子の中心間の距離は、広い分布を示す。
【0079】
図12は、実施例1-4および比較例2によって製造された複合材料に対して常温から850℃まで加熱する熱を加えた後、加熱する前の熱伝導度と加熱後の熱伝導度を比較した図である。
図12に示されたように、実施例1-4の場合、2回~3回の繰り返しの熱サイクルを加えた後にも、熱伝導度(TC)の低下が殆どなかったが、比較例2の場合、熱伝導度に顕著な差異が発生した。これから、本発明の実施例1-4による組織からなる複合材料が、複数回の熱サイクルが加えられても、熱伝導度特性の低下を防止するのに有利であることが分かる。
【0080】
<実施例2>
実施例2では、銅(Cu)基地にサイズの異なる3種のダイヤモンド粒子を複合化した板状複合材料を製造した。
【0081】
3種のダイヤモンド粒子は、500μm粒子、200μm粒子、100μm粒子をそれぞれ用い、複合材料板材の厚さ方向の断面組織において、中心に沿って500μm粒子が略水平に配列されるようにし、中心から若干外れた領域には、200μm粒子が略水平に配列され、表面の付近には、100μm粒子が略水平に配列されるようにした。
【0082】
実施例2による板状複合材料は、実施例1と同じ方法を用いてまず500μm粒子の単層からなるCu-ダイヤモンド複合シートと、200μm粒子の単層からなるCu-ダイヤモンド複合シートと、100μm粒子の単層からなるCu-ダイヤモンド複合シートを製造する。
【0083】
次に、500μm粒子の単層からなるCu-ダイヤモンド複合シートを中間に配置し、その両側に200μm粒子の単層からなるCu-ダイヤモンド複合シート2個を積層配置し、200μm粒子の単層からなるCu-ダイヤモンド複合シートの外側に100μm粒子の単層からなるCu-ダイヤモンド複合シートを積層配置する。
【0084】
最後に、積層体を放電プラズマ焼結(spark plasma sintering)法を用いて1,000℃で焼結することによって、実施例2によるCu-ダイヤモンド複合シートを製作した。
【0085】
実施例2によって製作した基板のうち、ダイヤモンド体積比が約55%であり、厚さ約1,600μmで製作された放熱基板の場合、XY方向(基板の面方向)とZ方向(厚さ方向)の熱伝導度は、約750W/mKであり、200℃でXY方向(基板の面方向)の熱膨張係数は、8×10-6/Kの値を示した。
【0086】
図13は、実施例2による方法で製造した複合板材の厚さ方向の断面写真である。
図13から確認されるように、実施例2によって製造された複合板材は、厚さ方向の断面において中心には最も大粒子が配置され、表面に行くほど粒子のサイズが小さくなる、ダイヤモンド粒子サイズに差異がある傾斜組織を有する。
【0087】
図14は、同じサイズのダイヤモンド粒子を規則的に配列したものと、実施例2によってダイヤモンド傾斜組織で配列したもののダイヤモンド体積比による厚さ方向の熱伝導度の差異を示す図である。
【0088】
図14から確認されるように、ダイヤモンド粒子の体積比が同一であっても、粒子のサイズが大きいものが、熱伝導度の観点から顕著な差異を示すことが分かる。したがって、熱伝導性粒子に用いられるダイヤモンド粒子の少なくとも50%以上は、サイズが300μm以上であることが好ましく、400μm以上であることがさらに好ましく、500μm以上であることが最も好ましい。
【0089】
特に、300μm以上の大粒子と200μm以下の小粒子を実施例2のような傾斜組織で配列ことが、ダイヤモンドの体積比を高めて熱伝導度を向上させることができ、さらに好ましい。また、実施例1と同一に、実施例2による複合素材も、2回~3回の繰り返しの熱サイクルを加えた後にも、熱伝導度(TC)の低下が殆どなかった。
【0090】
図15は、本発明の実施例2によってダイヤモンド粒子が対称的に配列された複合板材と、ダイヤモンド粒子が無作為で分散した複合板材の加熱後の反り状態を比較したものである。
図15から確認されるように、ダイヤモンド粒子が対称的(または規則的)に配列される場合、加熱後に反りがほとんど発生しないが、無作為で分散した複合板材の場合、板材に反りが発生する場合が多かった。
【0091】
<実施例3>
実施例3では、Cu/Cu-Mo/Cu/Cu-Mo/Cu積層板材の内部に銅-ダイヤモンド複合材料が埋め込まれた構造の複合板材を製造した。
【0092】
まず、銅(Cu)板材と銅-モリブデン(Cu-Mo)板材をCu/Cu-Mo/Cu/Cu-Mo/Cuの順に積層した後、放電プラズマ焼結(spark plasma sintering)法を用いて1,000℃で焼結することによって、厚さ900μmのCu/Cu-Mo/Cu/Cu-Mo/Cu積層板材を製作した。前記積層板材を構成する各層の厚さは、外郭Cu層200μm、Cu-Mo層200μm、中央Cu層100μmにした。
【0093】
前記積層板材の中心部分を放電ワイヤー加工、ミリング、ウォータージェット、レーザー加工のような公知の加工法を用いて面取りする方式を通じて中心部にウィンドウ(window)部を形成する。
【0094】
実施例1の方法を通じてCu-ダイヤモンド複合板材を製作した後、前記ウィンドウ部に挿入されることができるほどの公差を有するようにコイン(coin)形状に切断加工する。
【0095】
コイン(coin)形状のCu-ダイヤモンド複合板材を前記積層板材のウィンドウ(window)部に挿入した後、外郭Cu層のための厚さ200μmのCu板を両側に位置させ、放電プラズマ焼結(spark plasma sintering)法を用いて1,000℃で焼結することによって、実施例3による複合板材を製作した。
【0096】
実施例3によって製作されたダイヤモンド体積比35%Cu-Diamondコイン構造の場合、Z方向(厚さ方向)とXY方向(面方向)の熱伝導度は、約600W/mkと高く現れた。また、
図16から確認されるように、200℃で熱膨張係数は、8.6×10
-6/Kの値を示し、800℃で熱膨張係数も、セラミックの7.7×10
-6/Kと非常に類似した7.6×10
-6/Kの値を示す。このような特性は、半導体パッケージの製作時に800℃でセラミックと接合するとき、類似した熱膨張特性で曲がりがなく、接着特性に優れた安定した特性を具現することができるようにする。
【0097】
このような構造の複合板材は、半導体チップが実装される中心部は、熱伝導度が顕著に優れたCu-ダイヤモンドの複合材料と当接することになり、周辺部は、セラミック素材との熱膨張係数の差異が殆どないCu-Mo/Cu/Cu-Mo/Cu積層構造と当接することになって、高価な材料であるダイヤモンドの使用量を減らすことができるだけでなく、セラミック素材との熱膨張係数の差異も顕著に低減できるので、接合時に不良を防止すると同時に、半導体チップから発生する熱を迅速に除去することができるという利点がある。
【0098】
それだけでなく、
図17に示されたように、この構造の積層板材は、Cu-Mo/Cu/Cu-Mo/Cu積層板材が加熱される温度による熱膨張係数の差異が顕著であることに比べて、0℃から800℃の範囲まで熱膨張係数の差異が殆どないため、多様な温度領域に適用することもできるという利点がある。
【0099】
<実施例4>
実施例1によって製作したCu/Ti/TiC/ダイヤモンド複合粒子とマグネシウム(Mg)粒子を撹拌器を用いて混合した。ここで、Cu/Ti/TiC/ダイヤモンド複合粒子のダイヤモンド粒子のサイズは、500μmを用い、マグネシウム(Mg)粒子は、平均サイズが100μmであるものを用いた。前記Cu/Ti/TiC/ダイヤモンド複合粒子の代わりに、同じ粒子サイズのTi/TiC/ダイヤモンド複合粒子を用いることもできる。
【0100】
実施例1と同一に混合した粒子をダイヤモンド粒子の最大サイズの1.1~1.3倍の厚さとなるようにプレス成形して、ダイヤモンド粒子が単層に配列された成形体を製作した。最後に、実施例1と同じ条件で成形体を焼結して、Mg-Cu-ダイヤモンド複合シートを製作した。
【0101】
Mg-Cu-ダイヤモンド複合シートは、このシートを2層、3層、4層など多様な層数で積層して、所定厚さを有する放熱基板を製作することができる。また、マグネシウムシートと積層して、3層、5層、7層など多様な形態の放熱基板を製作することができる。
【0102】
実施例4によってダイヤモンド単一層が配列された複合シート2個と複合シートの間と複合シートの外側にそれぞれマグネシウムシートを積層配列した後、SPC焼結して、最終的にダイヤモンド体積比35%、厚さ1,500μmであり、
図18に示した組織を有する放熱基板を製作した。実施例4による放熱基板の場合、Z方向(厚さ方向)とXY方向(面方向)の熱伝導度は、約500W/mkであり、200℃でXY方向(面方向)の熱膨張係数は、13×10
-6/Kの値を示した。
【0103】
実施例4によって製造された複合材料に対して500℃まで加熱する熱サイクルを加えた後、加熱する前の熱伝導度と加熱後の熱伝導度を比較した結果、3回の繰り返しの熱サイクルを加えた後にも、熱伝導度低下率が5%以下であった。
【0104】
<実施例5>
実施例1によって製作したCu/Ti/TiC/ダイヤモンド複合粒子と銀(Ag)粒子を撹拌器を用いて混合した。ここで、Cu/Ti/TiC/ダイヤモンド複合粒子のダイヤモンド粒子のサイズは、200μmを用い、銀(Ag)粒子は、平均サイズが100μmであるものを用いた。前記Cu/Ti/TiC/ダイヤモンド複合粒子の代わりに、同じ粒子サイズのTi/TiC/ダイヤモンド複合粒子を用いることもできる。
【0105】
実施例1と同一に混合した粒子をダイヤモンド粒子の最大サイズの1.1~1.3倍の厚さとなるようにプレス成形して、ダイヤモンド粒子が単層に配列された成形体を製作した。最後に、実施例1と同じ条件で成形体を焼結して、Ag-Cu-ダイヤモンド複合シートを製作した。
【0106】
Ag-Cu-ダイヤモンド複合シートは、実施例4と同一にこのシートを2層、3層、4層など多様な層数で積層して、所定厚さを有する放熱基板を製作することができる。また、銀(Ag)シートと積層して、3層、5層、7層など多様な形態の放熱基板を製作することができる。
【0107】
実施例5によってダイヤモンド単一層が配列された複合シート6個を積層配列した後、SPC焼結して、最終的にダイヤモンド体積比35%、厚さ1,500μmであり、
図18に示した組織を有する放熱基板を製作した。実施例5による放熱基板の場合、Z方向(厚さ方向)とXY方向(面方向)の熱伝導度は、約600W/mkであり、200℃でXY方向(面方向)の熱膨張係数は、13×10
-6/Kの値を示した。
【0108】
実施例5によって製造された複合材料に対して900℃まで加熱する熱サイクルを加えた後、加熱する前の熱伝導度と加熱後の熱伝導度を比較した結果、3回の繰り返しの熱サイクルを加えた後にも、熱伝導度低下率が5%以下であった。
【0109】
<実施例6>
実施例1によって製作したCu/Ti/TiC/ダイヤモンド複合粒子とアルミニウム(Al)粒子を撹拌器を用いて混合した。ここで、Cu/Ti/TiC/ダイヤモンド複合粒子のダイヤモンド粒子のサイズは、200μmを用い、アルミニウム(Al)粒子は、平均サイズが100μmであるものを用いた。前記Cu/Ti/TiC/ダイヤモンド複合粒子の代わりに、同じ粒子サイズのTi/TiC/ダイヤモンド複合粒子を用いることもできる。
【0110】
実施例1と同一に混合した粒子をダイヤモンド粒子の最大サイズの1.1~1.3倍の厚さとなるようにプレス成形して、ダイヤモンド粒子が単層に配列された成形体を製作した。最後に、実施例1と同じ条件で成形体を焼結して、Al-Cu-ダイヤモンド複合シートを製作した。
【0111】
Al-Cu-ダイヤモンド複合シートは、実施例4と同一に、このシートを2層、3層、4層など多様な層数で積層して、所定厚さを有する放熱基板を製作することができる。また、アルミニウム(Al)シートと積層して、3層、5層、7層など多様な形態の放熱基板を製作することができる。
【0112】
実施例6によってダイヤモンド単一層が配列された複合シート6個を積層配列した後、SPC焼結して、最終的にダイヤモンド体積比35%、厚さ1,600μmであり、
図18に示した組織を有する放熱基板を製作した。実施例6による放熱基板の場合、Z方向(厚さ方向)とXY方向(面方向)の熱伝導度は、約500W/mkであり、200℃でXY方向(面方向)の熱膨張係数は、13×10
-6/Kの値を示した。
【0113】
実施例6によって製造された複合材料に対して500℃まで加熱する熱サイクルを加えた後、加熱する前の熱伝導度と加熱後の熱伝導度を比較した結果、3回の繰り返しの熱サイクルを加えた後にも、熱伝導度低下率が5%以下であった。
【0114】
<実施例7>
実施例7では、銅(Cu)基地(matrix)にSiC粒子が均一に分散して複合化された複合材料を製造した。
【0115】
まず、粒子のサイズが500μmであるSiC粉末を準備した。粉末を構成する粒子のサイズは、前記代表値の±20%以内(好ましくは、±10%以内)のサイズを有する均一なサイズのSiC粒子を用いた。
【0116】
ボールミル法を用いて、銅粒子とSiC粒子を強く混合して、SiC粒子の表面に銅粒子が付着した状態になるようにした。
【0117】
次いで、SiC粒子がこわれない圧力範囲内でSiC粒子の最大サイズの1.1~1.3倍の厚さとなるようにプレス成形した。成形圧は、100MPaに設定した。
【0118】
このようなプレス成形を通じてSiC粒子が単層に配列された成形体を得た。得られた成形体を放電プラズマ焼結(spark plasma sintering)法を用いて1,000℃で焼結することによって、Cu-SiC複合シートを製作した。このように製作した複合シートを2層、3層、4層、5層など多様な層数で積層した後、さらに焼結して接合させる方法を通じて、所定厚さを有し、ダイヤモンド粒子の体積比を15%~80%程度で含み、同時にいずれか一つのSiC粒子の中心とこのSiC粒子に最も隣接するSiC粒子の中心間の距離が200μm以上で離隔するようにする組織を有する複合シート(放熱基板)を製作した。
【0119】
また、SiC粒子が単層に配列された複合シートと銅(Cu)シートまたは銅-モリブデン(Cu-Mo)シートを積層して、3層、5層、7層など多様な積層構造を有する放熱基板を製作することもできる。
【0120】
実施例7によってSiC単一層が配列された複合シート4個を積層配列した後、SPC焼結して、最終的に、SiC体積比45%、厚さ2,500μmであり、
図18に示した組織を有する放熱基板を製作した。実施例7による放熱基板の場合、Z方向(厚さ方向)とXY方向(面方向)の熱伝導度は、約350W/mkであり、200℃でXY方向(面方向)の熱膨張係数は、12×10
-6/Kの値を示した。
【0121】
実施例7によって製造された複合材料に対して850℃まで加熱する熱サイクルを加えた後、加熱する前の熱伝導度と加熱後の熱伝導度を比較した結果、3回の繰り返しの熱サイクルを加えた後にも熱伝導度低下率が5%以下であった。
【0122】
<実施例8>
実施例7による方法と同じ方法でSiC粒子とマグネシウム(Mg)粒子の複合シートを製作した。ここで、用いられたSiC粒子とマグネシウム(Mg)粒子のサイズと体積比は、同一にした。ただし、プレス成形圧は、100MPaにし、SPC焼結温度は、550℃にした。
【0123】
実施例8によってSiC単一層が配列された複合シート4個を積層配列した後、SPC焼結して、最終的に、SiC体積比45%、厚さ2,500μmであり、
図18に示した組織を有する放熱基板を製作した。実施例8による放熱基板の場合、Z方向(厚さ方向)とXY方向(面方向)の熱伝導度は、約250W/mkであり、200℃でXY方向(面方向)の熱膨張係数は、13×10
-6/Kの値を示した。
【0124】
実施例8によって製造された複合材料に対して500℃まで加熱する熱サイクルを加えた後、加熱する前の熱伝導度と加熱後の熱伝導度を比較した結果、3回の繰り返しの熱サイクルを加えた後にも、熱伝導度低下率が5%以下であった。
【0125】
<実施例9>
実施例7による方法と同じ方法でSiC粒子と銀(Ag)粒子の複合シートを製作した。ここで、用いられたSiC粒子と銀(Ag)粒子のサイズと体積比は、同一にした。ただし、プレス成形圧は、100MPaにし、SPC焼結温度は、900℃にした。
【0126】
実施例9によってSiC単一層が配列された複合シート4個を積層配列した後、SPC焼結して、最終的に、SiC体積比45%、厚さ2,500μmであり、
図18に示した組織を有する放熱基板を製作した。実施例9による放熱基板の場合、Z方向(厚さ方向)とXY方向(面方向)の熱伝導度は、約350W/mkであり、200℃でXY方向(面方向)の熱膨張係数は、13×10
-6/Kの値を示した。
【0127】
実施例9によって製造された複合材料に対して850℃まで加熱する熱サイクルを加えた後、加熱する前の熱伝導度と加熱後の熱伝導度を比較した結果、3回の繰り返しの熱サイクルを加えた後にも、熱伝導度低下率が5%以下であった。
【0128】
<実施例10>
実施例7による方法と同じ方法でSiC粒子とアルミニウム(Al)粒子の複合シートを製作した。ここで、用いられたSiC粒子とアルミニウム(Al)粒子のサイズと体積比は、同一にした。ただし、プレス成形圧は、100MPaにし、SPC焼結温度は、550℃にした。
【0129】
実施例10によってSiC単一層が配列された複合シート4個を積層配列した後、SPC焼結して、最終的に、SiC体積比45%、厚さ2,500μmであり、
図18に示した組織を有する放熱基板を製作した。実施例10による放熱基板の場合、Z方向(厚さ方向)とXY方向(面方向)の熱伝導度は、約200W/mkであり、200℃でXY方向(面方向)の熱膨張係数は、13×10
-6/Kの値を示した。
【0130】
実施例10によって製造された複合材料に対して500℃まで加熱する熱サイクルを加えた後、加熱する前の熱伝導度と加熱後の熱伝導度を比較した結果、3回の繰り返しの熱サイクルを加えた後にも、熱伝導度低下率が5%以下であった。