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特許7440965浮遊ディスプレイ用の光学結像システム、装置及びアラウンドビューディスプレイ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】浮遊ディスプレイ用の光学結像システム、装置及びアラウンドビューディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/56 20200101AFI20240221BHJP
【FI】
G02B30/56
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022545127
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 CN2020138285
(87)【国際公開番号】W WO2021147594
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】202010076436.4
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522294453
【氏名又は名称】上海誉沛光▲電▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI YUPEI PHOTOELECTRIC TECHNOLOGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛磊
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-203731(JP,A)
【文献】特開2018-010223(JP,A)
【文献】特開2018-105966(JP,A)
【文献】特開2019-101055(JP,A)
【文献】特開平09-318911(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0009862(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/00 - 30/60
H04N 13/30 - 13/398
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その光軸に沿って被写体面、第1の像平面および第2の像平面を順に画定する光学結像システムであって、
光軸上において前記被写体面と前記第1の像平面との間に介在され、前記光軸にそれぞれ直交する第1の方向および第2の方向において異なる、光線を集光する能力を有する、少なくとも1つの結像ユニットと、
前記光軸上において、前記被写体面と前記第2の像平面との間に配置される前記第2の方向に沿って光を発散する主散乱スクリーンと、を備え、
前記結像ユニットは、前記被写体面上の点からの光ビームが、前記第1の像平面に前記第1の方向のライン像を形成し、前記被写体面上の点からのビームが、浮遊画像面である前記第2の像平面上に前記第2の方向のライン像を形成するように配置されたことを特徴とする浮遊ディスプレイ用の光学結像システム。
【請求項2】
前記第1の方向に沿って光を発散するために前記被写体面に設置された付加散乱スクリーンもさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の光学結像システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの結像ユニットは、前記第1の方向に光を集光するように配置された主結像ユニットを備えたことを特徴とする請求項1に記載の光学結像システム。
【請求項4】
前記主結像ユニットは、一次元再帰反射スクリーンであることを特徴とする請求項3に記載の光学結像システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの結像ユニットは、前記被写体面と前記主散乱スクリーンとの間に配置され、前記被写体面からの光線を前記第2の方向に拘束するための一次元開口絞りを含む補助結像ユニットをさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の光学結像システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの結像ユニットは、前記光学結像システムが光軸上で前記被写体面と前記主散乱スクリーンとの間に介在した1つ以上の中継像平面をさらに画定するようにした補助結像ユニットをさらに備え、前記光学結像システムは、前記第1の方向に沿って光を発散するために、前記1つ以上の中継像平面における特定の中継像平面の焦点深度内に設置された付加散乱スクリーンをさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の光学結像システム。
【請求項7】
前記補助結像ユニットは、前記被写体面上の点からの光ビームを、前記特定の中継像平面で前記第2の方向のライン像として形成するように配置されたことを特徴とする請求項6に記載の光学結像システム。
【請求項8】
前記主散乱スクリーンは、前記光軸に対して傾斜して配置されたことを特徴とする請求項1に記載の光学結像システム。
【請求項9】
光線を角度制御するためにルーバー遮光構造をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の光学結像システム。
【請求項10】
前記少なくともつの結像ユニットは、
第1の方向に光を集光するための一次元再帰反射スクリーンと、
光線を前記第1の方向と前記第2の方向に同時に変調するためのトーリックレンズと、
光を伝搬するための光導波路と、
一方の方向に直交するもう一方の方向の光線の伝搬を変えずに、前記一方の方向に光を集光するシリンドリカルレンズと、
光軸上で前記被写体面と前記第1の像平面との間に介在され、その間に光を伝搬するレンズ群と、のいずれ一つ以上を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光学結像システム。
【請求項11】
前記光学結像システムは、前記第2の方向で前記被写体面上の点からの光ビームを平行光に変換し、前記第1の像平面は前記少なくとも1つの結像ユニットと前記第2の像平面との間の位置にあることを特徴とする請求項1に記載の光学結像システム。
【請求項12】
前記主結像ユニットは光軸に沿って往復移動可能にし、又はクイックズーム機能を有することで、前記第2の像平面の光軸方向における位置を変更可能に構成することを特徴とする請求項3に記載の光学結像システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの結像ユニットは、光路上における前記被写体面と前記主結像ユニットとの間であって、前記主結像ユニットと前記主散乱スクリーンとの間に配置されたハーフミラーをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の光学結像システム。
【請求項14】
前記被写体面からの結像光は、前記ハーフミラーを介して前記主結像ユニットに入射し、前記主結像ユニットから出射された結像光は前記ハーフミラーを介して前記主散乱スクリーンに反射することを特徴とする請求項13に記載の光学結像システム。
【請求項15】
前記被写体面と前記主散乱スクリーンとが互いに平行に配置されることを特徴とする請求項1に記載の光学結像システム。
【請求項16】
前記光学結像システムの前記第1の方向での像の高さは、前記第1の方向の被写体の高さに等しいことを特徴とする請求項1に記載の光学結像システム。
【請求項17】
前記被写体面と前記第2の像平面とが正の結像関係にあることを特徴とする請求項1に記載の光学結像システム。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の光学結像システムと、
1つの画像を構成する光を前記光学結像システムの被写体面に向けて射出するように配置された画像表示ユニットと、を備えたことを特徴とする浮遊ディスプレイ装置。
【請求項19】
前記画像表示ユニットは直視型の表示源であり、前記画像表示ユニットの表示面を前記被写体面に配置し、又は
前記画像表示ユニットは投影型の表示源であり、前記画像表示ユニットの投影面を前記被写体面に配置することを特徴とする請求項18に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項20】
スプライス状に配置された、複数の請求項18または19に記載の浮遊ディスプレイ装置を備えたことを特徴とするアラウンドビューディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載された実施例は、総体的に光学ディスプレイの技術分野に関して、より具体的には、裸眼3D表示に用いられることができる、浮遊ディスプレイ用の光学結像システム、浮遊ディスプレイ装置およびアラウンドビューディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのディスプレイ技術の中で、空中浮遊ディスプレイ技術は画像を空中に浮かべることができ、見る者に強い視覚的衝撃と真か否かの触覚的な体験を与えることから、多くの研究者の注目を集めている。
【0003】
従来の浮遊ディスプレイ技術は、再帰反射スクリーン、レンズ群、または集積結像を使用して浮遊ディスプレイを実現する技術を含む。しかしながら、再帰反射スクリーンまたはレンズ群の方法では、ディスプレイシステムの体積は大きく、浮遊画像の増加に伴い、ディスプレイシステムの体積も増加する必要があり、集積結像の方式では、多くのマイクロディスプレイユニットが空中に浮遊画像を投射し形成する必要があり、高い解像度を実現するのが難しく、同時にスクリーンのコストが高すぎる。
したがって、本分野では、浮遊ディスプレイのための新しい技術方案が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の例示的な実施例は、単一方向の視差を有する浮遊ディスプレイを実現することができると同時に、より薄型で軽量かつ低コストの設計を可能にする浮遊ディスプレイ用の光学結像システムを提供することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
具体的には、本発明の例示的な実施例により、その光軸に沿って被写体面、第1の像平面および第2の像平面を順に画定する光学結像システムであって、光軸上において前記被写体面と前記第1の像平面との間に介在され、前記光軸にそれぞれ直交する第1の方向および第2の方向において異なる、光線を集光する能力を有する、少なくとも1つの結像ユニットと、第2の方向に沿って光を発散する主散乱スクリーンとを備え、前記被写体面上の点からの光ビームが、第1の像平面に前記第1の方向のライン像を形成し、前記被写体面上の点からのビームが、浮遊画像面である前記第2の像平面上に前記第2の方向のライン像を形成するように配置された浮遊ディスプレイ用の光学結像システムを提供する。
【0006】
本発明のもう一つの実施例により、上述したような光学結像システムと、1つの画像を構成する光を前記光学結像システムの被写体面に向けて射出するように配置された画像表示ユニットとを備える浮遊ディスプレイ装置を提供する。
【0007】
本発明のもう一つの実施例により、スプライス方式に配置された、上記記載の複数の浮遊ディスプレイ装置を備えたアラウンドビューディスプレイ装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、本発明の例示的な実施例について添付の図面を参照しながら説明することによって、本発明をよりよく理解されるであろう。添付の図面において、
図1A】本発明の実施例による浮遊ディスプレイ用の光学結像システム100の結像プロセスの原理概略図を示す。
図1B】本発明の実施例による浮遊ディスプレイ用の光学結像システム100のそれぞれ水平方向および垂直方向における光線伝搬の原理概略図を示す。
図2】本発明の実施例に係る被写体面上の一点の光線の光学結像システム100における結像の概略図を示す。
図3】選択可能な実施例による浮遊ディスプレイ用の光学結像システム200のそれぞれ第1の方向および第2の方向における光線伝搬の原理概略図を示す。
図4A】本発明の実施例による浮遊ディスプレイ用の光学結像システム300の結像プロセスの原理概略図を示す。
図4B】本発明の実施例による浮遊ディスプレイ用の光学結像システム300のそれぞれ第1の方向および第2の方向における光線伝搬の原理概略図を示す。
図5】本発明の実施例による浮遊ディスプレイ用の光学結像システム400のそれぞれ第1の方向および第2の方向における光線伝搬の原理概略図を示す。
図6】本発明の実施例による浮遊ディスプレイ用の光学結像システム500のそれぞれ第1の方向および第2の方向における光線伝搬の原理概略図を示す。
図7】本発明の実施例による浮遊ディスプレイ用の光学結像システム600のそれぞれ第1の方向および第2の方向における光線伝搬の原理概略図を示す。
図8】本発明の実施例による結像ユニットの素子例を示す。
図9】本発明の実施例に係る一次元再帰反射スクリーンの例を示す。
図10A】本発明の実施例による散乱スクリーンの例を示す。
図10B】本発明の実施例によるルーバー遮光構造の例を示す。
図11A】本発明の実施例による中継結像ユニットを追加する概略図を示す。
図11B】本発明の実施例による選択可能なアフォーカルシステムの概略図を示す。
図12A】本発明の第1例による浮遊ディスプレイ装置の概略図を示す。
図12B本発明の第1例による浮遊ディスプレイ装置の概略図を示す。
図12C本発明の第1例による浮遊ディスプレイ装置の概略図を示す。
図13】本発明の第2例による浮遊ディスプレイ装置の概略的側面図及び平面図を示す。
図14】本発明の第3例による浮遊ディスプレイ装置の概略図を示す。
図15A】本発明の第4例による浮遊ディスプレイ装置の概略的斜視図を示す。
図15B本発明の第4例による浮遊ディスプレイ装置の概略的側面図を示す。
図15C本発明の第4例による浮遊ディスプレイ装置の概略的平面図を示す。
図16】本発明の第5例による浮遊ディスプレイ装置の概略図を示す。
図17】本発明の第6例による浮遊ディスプレイ装置の概略図を示す。
図18】本発明の第7例による浮遊ディスプレイ装置の概略図を示す。
図19】本発明の第8例による浮遊ディスプレイ装置の概略図を示す。
図20A】本発明の実施例による環視表示装置2000の概略図を示す。
図20B本発明の実施例による環視表示装置2000の概略図を示す。
図20C本発明の実施例による環視表示装置2000の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の具体的な実施形態について説明するが、これらの実施形態の具体的な説明において、簡潔に説明するために、本明細書では、実際の実施形態の全ての特徴を完全に説明することは不可能であることに留意されたい。理解されるべきことは、いずれかの実施形態の実際に実施される過程において、いずれかのエンジニアリングプロジェクトまたは設計プロジェクトの過程において、開発者の具体的な目標を達成するために、システム関連または商業関連の制約を満たすために、様々な具体的な意思決定が行われることがよくあるように、これもある実施形態から別の実施形態へと変化することがある。また、理解できるのは、このような開発には複雑で冗長な努力が必要であるかもしれないが、本発明に開示した内容に関連する当業者にとっては、本開示で開示された技術内容を基に行われる設計、製造又は生産等の変更の一部は既存の技術的手段に過ぎず、本開示の内容が不十分であると理解すべきではない。
【0010】
別段の定義がない限り、特許請求の範囲及び明細書において使用される技術用語又は科学用語は、当該発明が属する技術分野において一般的な技能を有する者が理解する一般的な意味を有するものでなければならない。本発明特許出願の明細書及び特許請求の範囲において使用されている「第1」、「第2」及び類似の語句は、いかなる順序、数量又は重要性を示すものではなく、単に異なる構成部分を区別するために使用されている。「1つ」や「1」などの類似語は数量制限を示すものではなく、少なくとも1つ存在することを示している。「備える」又は「含む」等の類似の語句は、「備える」又は「含む」の前にある素子又は被写体が「備える」又は「含む」の後に列挙された素子又は被写体及びその均等な素子を包含することを意味しており、他の素子又は被写体を排除するものではない。「接続」や「つながる」などの類似の語句は物理的あるいは機械的な接続に限定するものではなく、直接的なものか間接的なものかに限定下するものでもない。
【0011】
図1Aは本発明の実施例による浮遊ディスプレイ用の光学結像システム100の結像プロセスの原理概略図を示す。図1Bは本発明の実施例による浮遊ディスプレイ用の光学結像システム100のそれぞれ水平方向および垂直方向における光線伝搬の原理の概略図を示す。
【0012】
図1Aの光線伝送斜視図を参照すると、本発明の実施例による浮遊ディスプレイ用の光学結像システム100は、その光軸に沿って、被写体面10、第1の像平面101および第2の像平面102を順に画定することができる。光学結像システムは、少なくとも1つの結像ユニット110と一次散乱スクリーン120とを備えることができる。少なくとも1つの結像ユニット110は、光軸上で前記被写体面と第1の像平面との間に介在し、第1の方向と第2の方向とにおいて異なる、光線を集光する能力を有する。第1の方向と第2の方向は、それぞれ光軸に直交する。主散乱スクリーン120は、光を第2の方向に発散する。光学結像システム100は、被写体面10上の点からの光ビームが第1の像平面101に第1の方向のライン像を形成し、被写体面10上の点からの光ビームが第2の像面102に第2の方向のライン像を形成するように配置されている。第2の像平面102は、浮遊画像面である。好ましくは、主散乱スクリーン120は、第1の像平面101の焦点深度(一般に被写界深度と呼んでもよい)内に配置されることができる。
【0013】
光学結像システム100の光ビーム伝搬は、第1の方向および第2の方向のそれぞれにおいて断面解析される。第1の方向は、第2の方向と実質的に直交し得る。例えば、第1の方向は水平方向であってもよく、第2の方向は垂直方向であってもよく、その逆であってもよい。図1Bを参照すると、第1の方向において、被写体面10上の被写体点a1、o、a2から発せられた光線は、より大きな発散角を有し、少なくとも1つの結像ユニット110(例えば、レンズ、再帰反射スクリーン、シリンドリカルミラーなど)を通って、第2の像平面102にa1'、o”、a2'として結像される。第2の方向において、被写体点b1、o、b2から発せられた光線は、少なくとも1つの結像ユニット110を通って第1の像平面101に結像され、像点b1'、o'、b2'を形成する。主散乱スクリーン120は、第1の像平面101の焦点深度内に配置され(例として、図では第1の像平面101に配置されていることを示す)、像点b1',o',b2'の光線は、散乱スクリーン120によって第2の方向に散乱されて、第2の方向に大きな視野角範囲が形成される。このように、被写体面10上の点が第1の方向に沿って主結像ユニット110によって結像された像側開き角(aperture angle)が、両眼視差条件を満足するように相対的に大きく(すなわち、20度以上、好ましくは30度以上)することで、第2の像平面102に、第1の方向の視差を有し第2の方向の視差を有しない浮遊画像が形成されることができる。
【0014】
図2は本発明の実施例による被写体面上の一点の光線の光学結像システム100における結像を示す概略図である。図2からわかるように、被写体面10上の1点pは、結像ユニット110を介して、第1の像平面101および第2の像平面102のそれぞれにライン像abおよびライン像cdを形成する。
【0015】
被写体面10は、自発光ディスプレイの表示面であってもよく、投影型ディスプレイによって生成された投影面であってもよく、ディスプレイ(すなわち、画像源)から射出される光線が光線発散角度の要求に従って設定されてもよい。特に、被写体面上の被写体点から射出された光線は、第1の方向に一定の被写体側開き角(例えば、30度から180度、具体的には、必要に応じて、像側開き角とラプラス不変量式との組み合わせによって決定される)を有する必要があり、これは光源(すなわち、画像源)の固有の特性によって、または光源(すなわち、画像源)からの光線を変調することによって実現されることができる。例えば、OLED等の自発光ディスプレイは、大きな発散角を有する光線を発することができるので、その表示面が上記光学結像システム100の被写体面に設置されることにより、浮遊ディスプレイの効果を実現することができる。
【0016】
あるいは、被写体面10上の被写体点から発せられた光線が第1の方向に大きな発散角を有しない場合には、第1の方向に光を発散するために被写体面10において付加散乱スクリーンを設けることで、この付加散乱スクリーンから射出された光が第1の方向に大きな発散角を有するようにしてもよい。
【0017】
以上のように、少なくとも1つの結像ユニット110は、第1の方向と第2の方向とで異なる、光線を集光する能力を有するように配置されている。レンズの場合、第1の方向と第2の方向とは異なる焦点距離fを有し、fは∞であってもよく、例えばシリンドリカルミラーは、第2の方向においてfは∞である。一次元再帰反射スクリーンはこのような効果を実現するためにも用いられることができる。結像ユニット110は、結像するための主結像ユニットと、光線を伝搬または変調するための1つ以上の補助結像ユニットまたは光学素子とを備えることができる。なお、少なくとも1つの結像ユニット110における各々は、1つの光学素子であってもよいし、複数の光学素子の組み合わせであってもよい。
【0018】
あるいは、いくつかの実施例では、少なくとも1つの結像ユニット110は、主結像ユニットおよび補助結像ユニットを備えることができる。主結像ユニットは、第1の方向に光線を集光するように配置されている。補助結像ユニットは、被写体面10と第1の像平面101との間の任意の位置に設置されることができる。補助結像ユニットは、第2の方向に被写体面10からの光線を拘束するための一次元開口絞りを備えることができる。一次元開口絞りは、例えばスリット格子であってもよい。一次元開口絞りは、第2の方向に相対的に大きな焦点深度が得られるように十分に小さく配置されることができる。補助結像ユニットは被写体面10からのより多くの光線が当該一次元開口絞りを通過して結像光強度を高めることができるように、第2の方向に光線を集光するために被写体面10と一次元開口絞りとの間に配置された光学要素を備えることができる。好ましくは、光学素子は、被写体面上の点からの光ビームを、光ビームが開口絞りを通過した後の光ビーム発散角が0に近づくように第2の方向に略平行光に変換することができる。例えば、光学素子は、レンズ又はレンズ群であってもよい。
【0019】
あるいは、少なくとも1つの結像ユニットは、図11Bに示すように、アフォーカルシステムの入射瞳からアフォーカルシステムへの異なる入射角度の第2の方向の平行ビームが、アフォーカルシステムを通過した後、その射出瞳での射出ビームが依然として異なる角度の第2の方向の平行ビームであるように、第2の方向にアフォーカルシステムを構成する複数の光学素子を備えることができる。
【0020】
図3は選択可能な実施例による浮遊ディスプレイ用の光学結像システム200のそれぞれ第1の方向および第2の方向における光線伝搬の原理概略図を示す。光学結像システム200のいくつかの詳細は、図1A~1Bに関して説明された光学結像システム100と同じであり、ここで説明を省略する。以下、主に光学結像システム200の相違点を説明する。
【0021】
光学結像システム200の光ビーム伝搬は、第1の方向および第2の方向のそれぞれにおいて断面解析される。図2を参照すると、第1の方向において、被写体面10上の被写体点a1、o、a2から発せられた光線は、より大きな発散角を有し、主結像ユニット211を通って、第2の像平面102にa1'、o“、a2'として結像される。第2の方向において、被写体点b1、o、b2から発せられた光線は、補助結像ユニット212(図2では光学素子2122とスリット絞り2121を示す)を通って第1の像平面101に結像され、像点b1'、o'、b2'を形成する。主散乱スクリーン220は、第1の像平面101の焦点深度内に配置され(例として、図では第1の像平面101に配置されていることを示す)、像点b1',o',b2'の光線は、散乱スクリーン220によって第2の方向に散乱されて、第2の方向に大きな視野角範囲が形成される。このように、被写体面10上の点が第1の方向に沿って主結像ユニット211によって結像された像側開き角が、両眼視差条件を満足するように相対的に大きく(すなわち、20度以上、好ましくは30度以上)することで、第2の像平面102に、第1の方向(例えば水平方向)の視差を有し第2の方向(例えば垂直方向)の視差を有しない浮遊画像が形成されることができる。
【0022】
上述の好ましい実施例において、補助結像ユニット212は、小孔結像するための一次元開口絞り2121のみ備えることができ、図2に示すような光学素子2122を備えることなく、光学結像システム200の浮遊ディスプレイ効果を実現することができる。しかしながら、光学効率および結像明瞭度を考慮して、光学結像システムは、結像効果を向上させるために光学素子2122(例えば、レンズまたはレンズ群)を含むことが好ましい。例えば、光学素子2122は、被写体面上の点からの光ビームを、光ビームが開口絞りを通過した後の光ビーム発散角が0に近づくように第2の方向に略平行光に変換することができる。なお、図3では、補助結像ユニット212が被写体面10と主結像ユニット211との間に介在していることを示しているが、当業者にとっては理解できるように、補助結像ユニット212が主結像ユニット211と第1の像平面101との間に設置されてもよく、或いは、補助結像ユニット212の一部の光学素子が被写体面10と主結像ユニット211との間に設置され、他の光学素子が主結像ユニット211と第1の像平面101との間に設置されてもよい。
【0023】
特に、一次元開口絞り2121が十分に小さく設定すれば、第2の方向において大きな被写界深度を得ることができる。このようにして、主散乱スクリーン220は、一次元開口絞り2121と第2の像平面102との間の任意の位置に配置されることができる。あるいは、被写体面10を光学素子2122の焦点面に配置することにより、第2の方向に略平行光ビームを得ることができる。光線伝送中、主結像ユニットは、光線の第2の方向においての発散角を変化させないので、被写体点から発せられた光は、主散乱スクリーンに照射され、第2の方向において平行光に近似される。ここの実施例では、被写体面10は、自発光ディスプレイの表示面であってもよく、投影型ディスプレイによって生成された投影面であってもよく、ディスプレイ(すなわち、画像源)から発せられた光線が光線発散角度の要求に従って設定されてもよい。
【0024】
あるいは、いくつかの実施例では、少なくとも1つの結像ユニット110は、主結像ユニットおよび補助結像ユニットを備えることができる。主結像ユニットは、第1の方向に光線を集光するように配置されている。補助結像ユニットは、光学結像システム100が、光軸上で前記被写体面と前記主散乱スクリーンとの間に介在する1つ以上の中継像平面をさらに画定するように配置されることができる。光学結像システム100は、第1の方向に沿って光を発散するために、1つ以上の中継像平面のうちの特定の中継像平面の焦点深度内に設置された付加散乱スクリーンをさらに備えることができる。補助結像ユニットは、被写体面10上の点からの光ビームを、前記特定の中継像平面で第2の方向のライン像として形成するように配置されることができる。
【0025】
図4Aは本発明の実施例による浮遊ディスプレイ用の光学結像システム300の結像プロセスの原理概略図を示す。図4Bは本発明の実施例による浮遊ディスプレイ用の光学結像システム300のそれぞれ第1の方向および第2の方向における光線伝搬の原理概略図を示す。光学結像システム300のいくつかの詳細は、図1A~3に関して説明された光学結像システム100または200と同じであり、ここで説明を省略する。以下、主に光学結像システム300の相違点を説明する。
【0026】
図4Aに示すように、光学結像システム300では、被写体面10上の被写体点から発せられた光ビームが、各像平面で以下のように結像される。光ビームが補助結像ユニット312を通過して、中継像平面103(すなわち、特定の中継像平面)にラインefとして結像される。付加散乱スクリーン330は、中継像平面103の焦点深度内に設置されて第1の方向にのみ光線を発散させ、第2の方向の光線の伝搬方向を変えないことができ、すなわち、中継像平面上のラインビームefを第1の方向に発散することができる。付加散乱スクリーンによって発散された光ビームは、主結像ユニット311を介して第1の方向に集光する。被写体面10上の被写体点から発せられた光ビームは、補助結像ユニット312を経て第1の像平面101において、efと実質的に直交しかつそれぞれ光学結像システム300の光軸と直交するラインabとして集光する。ラインビームabは主散乱スクリーン320によって第2の方向に散乱され、最終的に第2の像平面102にラインビームcdとして集光する。中継像平面103は、付加散乱スクリーン330の設定に関連しているので、本明細書では特定の中継像平面と呼ばれる。この例示的な光学結像システム300は、被写体面上の被写体点からの光ビームが、第1、第2、および中継像平面のいずれにおいても1点ではなく、1本の線として結像されることを特徴とする。具体的には、ラインefは被写体点oが中継像平面103に結像された像であり、ラインabは物点oが第1の像平面101上に結像された像であり、ラインcdは被写体点oが第の2像平面102上に結像された像である。
【0027】
光学結像システム300の光ビーム伝搬は、第1の方向および第2の方向のそれぞれにおいて断面解析される。図4Bを参照すると、第1の方向において、被写体面10上の被写体点a1、o、a2から発せられた光線は、補助結像ユニット312(例として、光学素子3122および開口絞り3121として示す)を通して、中継像平面303にa1'、o”、a2'として結像される。付加散乱スクリーン330は、中継像平面303の焦点深度内に配置され(例として、図には中継像平面303に配置されていることを示す)、像点a1'、o”、a2'の光線は、付加散乱スクリーン330によって第1の方向に散乱され、主結像ユニット311を通して第2の像平面102に結像されて像点a1”、o'''、a2”を形成する。第2の方向において、被写体点b1、o、b2から発せられた光線は、補助結像ユニット312を通って第1の像平面101に結像され、像点b1'、o'、b2'を形成する。主散乱スクリーン320は、第1の像平面101の焦点深度内に配置され(例として、図には第1の像平面101に配置されていることを示す)、像点b1'、o”、b2'の光線は、主散乱スクリーン320によって第2の方向に散乱され、第2の方向に比較的に大きい視野角範囲を形成する。このように、被写体面10上の点が第1の方向に沿って主結像ユニット311によって結像された像側開き角が、両眼視差条件を満足するように相対的に大きく(すなわち、20度以上、好ましくは30度以上)することで、第2の像平面102に、第1の方向の視差を有し第2の方向の視差を有しない浮遊画像を形成することができる。
【0028】
被写体面10上の被写体点は、中継像平面303、第1の像平面101および第2の像平面102上の1つの線分にそれぞれ対応し、光路は可逆的であるため、中継像平面303、第1の像平面101及び第2の像平面102上の1つの線分も被写体面上の1つの点に結像され、一定の規則的な写像関係を構成し、このような写像関係を本明細書では「光学共役」と呼ばれる。
【0029】
なお、図4では、補助結像ユニット312が被写体面10と主結像ユニット311との間に介在していることを示しているが、当業者にとっては理解できるように、補助結像ユニット312が主結像ユニット311と第1の像平面101との間に設置されてもよく、或いは、補助結像ユニット312の一部の光学素子が被写体面10と主結像ユニット311との間に設置され、他の光学素子が主結像ユニット311と第1の像平面101との間に設置されてもよい。
【0030】
本発明のいくつかの実施例では、補助結像ユニット312は必須的ではなく、光学結像システム300と協働する表示源(すなわち、光源)の性質に依存する。例えば、表示源がレーザ走査あるいは平行光源である場合には、補助結像部312を省略してもよい。または、本発明の他の実施例では、補助結像ユニット312は、表示源に集積可能であるため、光学結像システム300に含まれていない。
【0031】
図5は本発明の実施例による浮遊ディスプレイ用の光学結像システム400のそれぞれ第1の方向および第2の方向における光線伝搬を示す原理概略図である。光学結像システム400のいくつかの詳細は、図4A-4Bに関して説明された光学結像システム300と同じであり、ここで説明を省略する。以下、主に光学結像システム400の相違点を説明する。
【0032】
本発明の実施例による光学結像システム400は、投影によって使用されることができる。例えば、投影表示源の投影面を、この光学結像システム400の被写体面とすることができる。
【0033】
光学結像システム400は、補助結像ユニット412、付加散乱スクリーン430、主結像ユニット411、および主散乱スクリーン420を含むことができる。補助結像ユニット412は、開口絞り4121と光学素子4122(例えば、レンズ又はレンズ群)とを含んでもよく、被写体面10上の被写体点から発せられた光は、光学素子4122を経て略平行光としてコリメートされ、開口絞り4121によって、開口絞りが十分に小さく設定されている(例えば、200μm未満)。第1の方向において、被写体面上の被写体点a1、o、a2から発せられた光線は、光学素子4122及び開口絞り4121を通して中継像平面403にa1'、o'、a2'として結像される。付加散乱スクリーン430は中継像平面403に配置され、像点a1'、o'、a2'の光線は付加散乱スクリーン430によって第1の方向に散乱され、散乱光は一定の発散角(例えば、30度から180度)を有し、主結像ユニット411を通して第2の像平面102に結像されて像点a1”、o'''、a2cを形成する。第2の方向において、被写体点b1、o、b2から発せられた光線は、光学素子4122及び開口絞り4121を通って第1の像平面101に結像され、像点b1'、o”、b2'を形成する。この場合、補助結像ユニット412は、被写体点から発せられた光ビームを第2の方向に平行光とし、発散角が0に近いので、光線伝送中に、主結像ユニットは、光ビームの第2の方向における発散角を変化させないので、被写体点から発せられた光ビームが主散乱スクリーンに照射されたときに、第2の方向で平行光として近似される。光学結像システムは、第2の方向に無限の焦点深度を有し、第1の像平面101は、主結像ユニット411と第2の像平面102との間の任意の位置にあることができる。主散乱スクリーン420が第1の像平面101に配置され、像点b1'、o'、b2'の光線が主散乱スクリーン420によって第2の方向に散乱されて、第2の方向に広い視野角範囲が形成される。このように、被写体面10上の点が第1の方向に沿って主結像ユニット411によって結像された像側開き角が、両眼視差条件を満足するように相対的に大きく(すなわち、20度以上、好ましくは30度以上)することで、第2の像平面102に、第1の方向の視差を有し第2の方向視差を有しない浮遊画像が形成されることができる。
【0034】
あるいは、光学結像システム400では、被写体面10が光学素子4122の焦点面に設置され、被写体面10の異なる位置の被写体点から発せられた光が光学素子4122を経て異なる角度の平行光としてコリメートされ、開口絞り4121が光学素子4122の他方の焦点位置に設置され、異なる角度の平行光が焦点位置に集光して開口絞り4121を通過して散乱スクリーンに投射される。このように、被写体点ビームが散乱スクリーンに投射され画素点を形成するように、開口絞り4121のサイズを非常に小さくすることができる。この場合、中継像平面および第1の像平面は無限の焦点深度を有するため、主散乱スクリーンおよび付加散乱スクリーンは、対応する像平面の焦点深度内の任意の位置に配置されることができる。また、主散乱スクリーン及び付加散乱スクリーンは、光軸に対して一定の角度(例えば、90度ではない角度)となるように配置されてもよいため、浮遊画像が主散乱スクリーンに対して一定の角度を有するように結像される技術的効果を形成することができる。
【0035】
なお、補助結像ユニット412は、小孔結像するための開口絞り4121のみ備えることができ、図5に示すような光学素子4122を備えることなく、光学結像システム400の浮遊ディスプレイ効果を実現することができる。しかしながら、光学効率および結像明瞭度を考慮して、光学結像システムは、結像効果を向上させるためにレンズを含むことが好ましい。
【0036】
図6は本発明の実施例による浮遊ディスプレイ用の光学結像システム500のそれぞれ第1の方向および第2の方向における光線伝搬を示す原理概略図である。光学結像システム500のいくつかの詳細は、図4A~4Bに関して説明された光学結像システム300と同じであり、ここで説明を省略する。以下、主に光学結像システム400の相違点を説明する。
【0037】
本発明の実施例による光学結像システム500は、レーザ走査方式によって使用されることができる。光学結像システム500は、中継像平面503をさらに画定することができ、付加散乱スクリーン530と、主結像ユニット511と、主散乱スクリーン520とを備える。付加散乱スクリーン530は、中継像平面503に設置されることができる。レーザ光源からの光ビームは、二次元走査振動ミラーを介して光学結像システム500の中継像平面503を走査することができる。
【0038】
図6を参照すると、RGBレーザ光源から発せられた平行レーザビームは、二次元走査型振動ミラーを介して付加散乱スクリーン530に像点a1'、o'、a2'を形成し、像点a1'、o'、a2'は、付加散乱スクリーン530によって第1の方向にビームが発散された後、主結像ユニット511によって第2の像平面102に像a1”、o'''、a2”として集光される。第2の方向において、レーザビームは、二次元走査振動ミラーを通過して、主散乱スクリーン520に像点b1'、o'、b2'を形成し、そして、第2の方向で大きな視野角を有するように主散乱スクリーン520によって散乱される。光線伝送中、主結像ユニットは、光線の第2の方向においての発散角を変化させないので、被写体点から発せられた光は、主散乱スクリーンに照射され、第2の方向で平行光に近似される。特に、走査されたレーザビームの逆方向の延長線は、第1の方向においてa1、o、a2、第2の方向においてb1、o、b2の仮想被写体面10を形成していると考えることができる。このように、被写体面10上の点が第1の方向に沿って主結像ユニット511によって結像された像側開き角が、両眼視差条件を満足するように相対的に大きく(すなわち、20度以上、好ましくは30度以上)することで、第2の像平面102に、第1の方向の視差を有し第2の方向の視差を有しない浮遊画像が形成されることができる。
【0039】
図7は本発明の実施例による浮遊ディスプレイ用の光学結像システム600のそれぞれ第1の方向および第2の方向における光線伝搬を示す原理概略図である。光学結像システム600のいくつかの詳細は、図4A~4Bに関して説明された光学結像システム300と同じであり、ここで説明を省略する。以下、主に光学結像システム600の相違点を説明する。
【0040】
本発明の実施例による光学結像システム600は、平行光と協働して使用されることができる。図7を参照すると、平行光源は空間光変調器(被写体面10にあると見られる)に照射され、像要素a1、o、a2(被写体面10上の被写体点a1、o、a2と見られる)を形成する。図4A~6を参照して説明した結像原理と同様に、像要素a1、o、a2の中継像平面603で平行に投影された像点は、付加散乱スクリーン630によって第1の方向に散乱され、主結像ユニット611を経て第2の像平面102に結像され、対応する像点a1”、o'''、a2”を形成する像点a1'、o'、a2'である。空間光変調器における像要素b1、o、b2の第1の像平面101における像点は、第2の方向に大きな視野角を有するように主散乱スクリーン620によって第2の方向に散乱される像点b1'、o'、b2'である。光線伝送中、主結像ユニットは、光線の第2の方向においての発散角を変化させないので、被写体点から発せられた光は、主散乱スクリーンに照射され、第2の方向で平行光に近似される。このように、被写体面10上の点が第1の方向に沿って主結像ユニット611によって結像された像側開き角が、両眼視差条件を満足するように相対的に大きく(すなわち、20度以上、好ましくは30度以上)することで、同様に第2の像平面102に、第1の方向の視差を有し第2の方向の視差を有しない浮遊画像が形成されることができる。
【0041】
空間光変調器は光波の空間分布を変調する装置である。一般的に、空間光変調器は、空間的に一次元または二次元のアレイのように並べられた多数の独立したユニットから構成され、各ユニットは、独立して光学信号または電気信号の制御を受け、その信号によって自身の光学的性質を変化させることができるため、そこに照明された光波を変調することができる。
【0042】
図8を参照すると、上記の光学結像システムにおいて、主散乱スクリーンと付加散乱スクリーンとの間に介在した少なくとも1つの結像ユニット(特に主結像ユニット)は、第1方向の光線を調整するために、レンズ、フェースミラー、および/または一次元再帰反射スクリーン(そのV型溝角度は90度である)を備えることができる。光学結像システムは、レンズ/フェースミラーを使用する場合には、画像拡大効果を有し得るが、一次元再帰反射スクリーンのみ使用する場合には、画像拡大効果を有さない。
【0043】
図9を参照すると、本発明のいくつかの実施例では、一次元再帰反射スクリーンは、表面に反射層がコーティングされたマイクロプリズムアレイ構造とすることができ、マイクロプリズム間のV型溝の挟み角度は90度であり、一次元再帰反射スクリーンの原理は、一次元再帰反射スクリーンの表面に照射された任意の光線が、一方の方向において元の角度で反射され、もう一方の方向において鏡面反射される。または、本発明のその他の実施例では、一次元再帰反射スクリーンは、ホログラフィック構造のような他の構造を有してもよい。
【0044】
好ましくは、図10Aに示すように、散乱スクリーンは、散乱スクリーンから射出された光線の角度をより良く制御し表示品質を向上させるために、プリズムアレイとシリンドリカルミラーアレイとを組み合わせた指向性散乱スクリーンであってもよい。
【0045】
好ましくは、ルーバー遮光構造は、散乱スクリーンから射出された光線を角度制御するために散乱スクリーンの出光側に配置されることができる。例えば、図10Bを参照すると、散乱スクリーンの上方にルーバー構造の視野角制御フィルムを重ねて、散乱スクリーンから射出された光線を角度制御して、表示品質を向上させることができる。
【0046】
好ましくは、システムの薄型軽量設計をさらに改善するために、光学結像システム300または400のサイズを第2の方向に圧縮することができる。例えば、中継結像ユニットを第2の方向に追加することができる。図11Aを参照すると、例えば、上述した光学結像システム300の場合、被写体面10と第1の像平面101との間に光学素子3123、3124(例えばシリンドリカルレンズ対)を追加することにより、開口絞り3121、光学素子3123、3124は、第2の方向にアフォーカルシステム(望遠系)を構成し、開口絞り3121は、当該アフォーカルシステムの入射瞳位置であり、位置3125は当該アフォーカルシステムの射出瞳位置であり、アフォーカルシステムは、図11Bに示すように、開口絞りを通過した異なる入射角度の第2の方向における平行光ビームが、アフォーカルシステムを通過した後、射出瞳位置での射出光線が依然として異なる角度の第2の方向における平行光ビームであるように作用する。これにより、被写体点から発せられた光ビームは、主散乱スクリーン上に照射され、第2の方向で平行光として近似される。この設計により、非常に狭い空間内で第2の方向の光線を伝送することが可能となる。このように、光学結像システム300または400は、上述した焦点深度内に付加散乱スクリーンを設置するための特定の中継像平面に加えて、さらに多くの中継像平面を画定することができる。
【0047】
上記の光学結像システムと同様に、本発明は、対応する浮遊ディスプレイ装置も提供する。浮遊ディスプレイ装置は、上述したような光学結像システムと、光学結像システムの被写体面に対して1つの画像を構成する光を発するように配置された画像表示ユニットとを備える。
【0048】
好ましくは、浮遊ディスプレイ装置は、前記画像表示ユニットからの平行光を変調するために前記被写体面に設置された空間光変調器をさらに備える。
【0049】
画像表示ユニットは直視型の表示源であってもよく、前記画像表示ユニットの表示面が前記被写体面に配置されてもよい。或いは、画像表示ユニットは投影型の表示源であってもよく、前記画像表示ユニットの投影面が前記被写体面に配置されてもよい。
【0050】
以下、本発明の実施例による浮遊ディスプレイ装置のいくつかの例について説明する。
【0051】
第1例
図12A図12Cは、本発明の第1例による浮遊ディスプレイ装置の概略図を示しており、浮遊ディスプレイ用の光学結像システム1200は、レーザmems走査投影と協働して使用される。第1例による浮遊ディスプレイ装置における光学結像システムのいくつかの詳細は、図5または図6に関して説明した光学結像システム400または500と同じであり、ここで説明を省略する。以下、主に第1例の光学結像システム1200の相違点を説明する。
【0052】
この例では、光学結像システム1200は、補助結像ユニット、付加散乱スクリーン1230、主結像ユニット1211、および主散乱スクリーン1220を備えることができる。補助結像ユニット1212は、第1のレンズ12121と、第2のレンズ12122と、平面反射ミラー12123とを備えることができる。
【0053】
図12A図12Bに示すように、仮想被写体面10上の被写体点から発せられた光ビームが光学結像システム1200を経て結像されたプロセスは以下のようになる。レーザビームはレンズ12121を通過した後、水平方向x及び垂直方向yの伝搬が平行である。平行のレーザビームは、付加散乱スクリーン1230(すなわち、中継像平面1203において)によって水平方向xに発散される。光学素子12121と12122は第2の方向にアフォーカルシステム(望遠系)を構成し、位置12124はこのアフォーカルシステムの入射瞳位置(mems走査投影の振動ミラー位置)であり、位置12125は当該システムの射出瞳位置であり、アフォーカルシステムは、開口絞りを通過した異なる入射角度の第2の方向における平行光ビームが、アフォーカルシステムを通過した後、射出瞳位置での射出光線が依然として異なる角度の第2の方向における平行光ビームであるように作用するため、被写体点から発せられた光ビームは主散乱スクリーンに照射され、第2の方向では平行光として近似された。主散乱スクリーン1220(すなわち、第1の像平面101)は、x方向(光学システム1200の光軸に対して水平方向に対応する)の光線の伝送を変えずに、z方向(光学システム1200の光軸に対して垂直方向に対応する)のみ光線を散乱させる。水平方向に発散された光線は、一次元再帰反射スクリーン1211で反射された後、主散乱スクリーン1220を通過し、浮遊画像面(すなわち、第2の像平面102)に集光する。垂直方向に伝搬された光線は、第2のレンズ(すなわちシリンドリカルレンズ)を経て垂直方向yに集光した後、平面反射ミラー12123、一次元再帰反射スクリーン1211を経て反射されて主散乱スクリーン1220に向かって伝搬され、さらに主散乱スクリーン1220によって散乱されて、垂直方向yに大きな視野角を形成する。図12Cに示すように、仮想被写体点から発せられた光は、付加散乱スクリーン1230を経て水平方向xに散乱され、平面反射ミラー12123および一次元再帰反射スクリーン1211を経て反射され、第1の像平面101に水平方向に沿った直線abとして結像される。主散乱スクリーン1220において垂直方向に沿って散乱され、第2の像平面102において垂直方向に沿った直線cdとして結像される。このように、被写体面10上の点が第1の方向に沿って主結像ユニット1211によって結像された像側開き角が、両眼視差条件を満足するように相対的に大きく(すなわち、20度以上、好ましくは30度以上)することで、浮遊画像面(第2の像平面102)に、水平の視差を有し垂直の視差を有しない浮遊画像が形成されることができる。
【0054】
第2例
図13は、本発明の第2例による浮遊ディスプレイ装置の概略的側面図と平面図を示しており、浮遊ディスプレイ用の光学結像システム1300は、平行光投影と協働して使用される。第2例による浮遊ディスプレイ装置における光学結像システム1300のいくつかの詳細は、図7に関して説明した光学結像システム600と同じであり、ここで説明を省略する。以下、第2例の相違点を主に説明する。
【0055】
図13に示すように、浮遊ディスプレイ装置は平行光源、空間光変調器、および光学結像システム1300を備える。この例では、空間光変調器は、LCDのような透過型ディスプレイ画面であってもよい。空間光変調器が位置する面を被写体面10と見なすことができる。光学結像システム1300は、その光軸に沿って、付加散乱スクリーン1330、結像ユニット110、および主散乱スクリーン1320を備えることができる。結像ユニット110は、光軸で付加散乱スクリーン1330と主散乱スクリーン1320との間に設置された一次元再帰反射スクリーンを備えることができる。
【0056】
平行光源は空間光変調器に照射され、像要素a、o、b(被写体面上の被写体点a、o、bと見なすことができる)を形成する。平行光は、中継像平面1303において付加散乱スクリーン1330により光軸に直交する水平方向に散乱され、第1の像平面101へ照射されるように一次元再帰反射スクリーンによって転向され、主散乱スクリーン1320は、垂直方向に大きな視野角を有するように光軸に直交する垂直方向に光を散乱させる。このように、被写体面10上の点が第1の方向に沿って主結像ユニット110によって結像された像側開き角が、両眼視差条件を満足するように相対的に大きく(すなわち、20度以上、好ましくは30度以上)することで、第2の像平面102に、水平の視差を有し垂直の視差を有しない浮遊画像(a’,o’,b’)が形成されることができる。
【0057】
第3例
図14は本発明の第3例による付加散乱スクリーンと主散乱スクリーンとの間に導波路を用いて光線を伝送する浮遊ディスプレイ装置の概略図である。第3例による浮遊ディスプレイ装置における光学結像システム1400の結像プロセスのいくつかの詳細は、図4A-5に関して説明した結像プロセスと同じであり、ここで説明を省略する。以下、第3例の相違点を主に説明する。
【0058】
この例では、浮遊ディスプレイ装置は、浮遊ディスプレイ用の光学結像システム1400と、RGBレーザ光源と、RGBレーザ光源からの、一つの画像を構成する光を光学結像システム1400に導くように配置された走査振動ミラーとを備える。
【0059】
光学結像システム1400は、その光軸に沿って、被写体面10、中継像平面1403、第1の像平面101および第2の像平面102を画定することができる。光学結像システム1400は、光路上で被写体面10と第1の像平面101との間に設置された補助結像ユニットと、中継像平面1403に設置された付加散乱スクリーン1430と、光路上で被写体面10と第1の像平面101との間に設置された主結像ユニットと、第1の像平面101に設置された主散乱スクリーン2と、を備える。
【0060】
補助結像ユニットは、レンズ1(lens1)と、レンズ2(lens2)と、反射ミラーMRと、光導波路WGとを備えることができる。光導波路WGは、ガラスまたはPMMA材質の平板構造であり、光線は導波路内で常時に全反射伝送される。レンズlens2は、x、y両方向において異なる焦点距離を有するトーリックレンズであり、光導波路のs1、s2面は自由曲面である。主結像ユニット1411は、シリンドリカルフレネルレンズであるレンズ3(lens3)を備えることができる。付加散乱スクリーン1430は、光軸に直交する垂直方向の光線の伝搬方向を変えずに、光軸に直交する水平方向のみで光線を発散する。主散乱スクリーン1420は、垂直方向に光線を発散する反射散乱スクリーンである。
【0061】
具体的には、光学システム1400では光ビームの伝送方向は光軸方向であり、第1の方向及び第2の方向は、光軸に直交する2つの方向であり、第1の方向及び第2の方向は互いに直交している。
【0062】
RGBレーザ光源は、走査振動ミラーSGによって第1の方向、第2の方向に振動し、レーザビームを異なる角度に応じて投射し、まずレンズ1(lens1)を通して、第2の方向の異なる角度の光ビームを光軸に沿って伝送される平行光ビームに変調し、そして、第1の方向の焦点距離がf1であり、第2の方向の焦点距離がf2であり、トーリックレンズであるレンズ2(lens2)により、第1の方向の異なる角度の光ビームを光軸に沿って伝搬された平行光ビームに変調し、第2の方向の光ビームを再び集光し、反射ミラーMRにより光線の伝送角度を折り返して光導波路WGに入射する。レンズ2(lens2)は平凸レンズであり、好ましくは、付加散乱スクリーン1430はシリンドリカルレンズアレイであり、レンズ2(lens2)の平面に取り付けられ、走査ビームは散乱スクリーン1430に照射され、第1の方向に光線を発散し、第2の方向での光線の伝送を変化させずに、散乱スクリーン1430が位置する面は中継像平面1403である。 光導波路に射入した光線は、導波路WG内の自由曲面S1を経て面変調され、第2方向の光ビームを平行にコリメートし、第1方向の発散光ビームの伝送を変えずに導波路内を全反射伝送する。その後、自由曲面S2による変調を経て、第2の方向の光ビームは集光ビームに変換されたが、第1の方向の発散光ビームの伝送を変化させない。主結像ユニット1411(lens3)は、反射型シリンドリカルフレネルレンズであり、導波路から射出された第1の方向の発散光を再び集光する。主散乱スクリーン1420は、反射型シリンドリカル凹面鏡アレイであり、反射型シリンドリカルフレネル鏡で反射された集光は、主散乱スクリーン1420に照射され、主散乱スクリーン1420によって散乱され、第1の方向において空間的に集光して結像され、第2の像面102に浮遊画像を形成する。特に、光線を第2の方向に発散することにより、第2の方向の視野角が拡大される。
【0063】
光学素子lens1、lens2、S1、S2は、第2の方向にアフォーカルシステム(望遠系)を構成し、位置k1は、このアフォーカルシステムの入射瞳位置(mems走査投影の振動ミラー位置)であり、位置k2は当該システムの射出瞳位置であり、アフォーカルシステムは、開口絞りを通過した異なる入射角度の第2の方向における平行光ビームが、アフォーカルシステムを通過した後、射出瞳位置での射出光線が依然として異なる角度の第2の方向における平行光ビームであるように作用する。このため、被写体点から発せられた光線は、lens1、lens2、S1、S2を通して主散乱スクリーンに照射され、第2の方向で平行光として近似された。
【0064】
このように、被写体面10上の点が第1の方向において主結像ユニット1411によって結像された像側開き角が、両眼視差条件を満足するように相対的に大きく(すなわち、20度以上、好ましくは30度以上)することで、第2の像平面102(即ち浮遊画像面)に、水平の視差を有し垂直の視差を有しない浮遊画像が形成されることができる。また、光導波路を採用して光線を伝送するため、より軽量で薄型のオフアクシス設計を実現でき、より高い光学効率を有し、モジュール化生産に有利となる。
【0065】
第4例
図15A図15Cは、本発明の第4例による浮遊ディスプレイ装置の概略的斜視図、側面図、平面図であり、凹面鏡を用いて結像されたものである。第4例による浮遊ディスプレイ装置における光学結像システム1500の結像プロセスのいくつかの詳細は、第2例による浮遊ディスプレイ装置の光学結像システム1300と同じであり、ここで説明を省略する。以下、第4例の相違点を主に説明する。
【0066】
図に示すように、浮遊ディスプレイ装置は平行光源、空間光変調器(即ちディスプレイ画面)、および光学結像システム1500を備える。この例では、光学結像システムは、第1の散乱スクリーン1530と、少なくとも1つの結像ユニット1510と、第2の散乱スクリーン1520とを備えることができる。少なくとも1つの結像ユニット1510は、光路上で第2の散乱スクリーン1520と第1の散乱スクリーン1530との間に設置されたハーフミラー(すなわち、補助結像ユニット)1512と、シリンドリカルミラー(すなわち、主結像ユニット)1511とを備えることができる。
【0067】
光学システム1500では光ビームの伝送方向は光軸方向であり、第1の方向及び第2の方向は、光軸に直交する2つの方向であり、第1の方向及び第2の方向は互いに直交している。
【0068】
平行光源から発せられた光線がディスプレイ画面に照射されて表示画像が形成され、このとき表示画像が位置する面を被写体面10と見なすことができる。表示画像が位置する面から発せられた光は平行光であり、このとき平行投影結像であり、ディスプレイ画面の後ろの任意の位置が像面とされることができる。表示画像は、第1の方向に光線を発散し第2の方向の光線の伝送を変化させない第1の散乱スクリーン1530に平行に照射され、このとき、第1の散乱スクリーン1530の位置は中継像面であると考えられる。第1の散乱スクリーン1530を通過した光線の一部は、ハーフミラー1512を透過して、第1方向に光線を集光し第2方向の光線の伝送を変化させないシリンドリカルミラー1511に照射され、シリンドリカルミラー1511で反射された光線は、ハーフミラー1512で部分的に反射され、反射された光線は、第2の散乱スクリーン1520に照射される。第2の散乱スクリーン1520は、シリンドリカルマイクロレンズアレイであってもよいし、一次元ホログラフィック散乱スクリーンであってもよい。第2の散乱スクリーン1520は、第2の方向に光を散乱し、第2の方向の視野角を拡大し、第1の方向の光線が空間内に集光され浮遊画像102を形成する(すなわち、第2の像平面102において)。光線伝送中、主結像ユニットは、光線の第2の方向においての発散角を変化させないので、被写体点から発せられた光ビームは、主散乱スクリーンに照射され、第2の方向で平行光として近似される。
【0069】
このように、被写体面10上の点が第1の方向に沿って主結像ユニット1511によって結像された像側開き角が、両眼視差条件を満足するように相対的に大きく(すなわち、20度以上、好ましくは30度以上)することで、浮遊画像面(第2の像平面102)に、水平の視差を有し垂直の視差を有しない浮遊画像が形成されることができる。また、シリンドリカルミラーを採用しているため、水平の方向には画像を拡大し、垂直方向には画像を拡大しないことができる。
【0070】
第5例
図16は、本発明の第5例による浮遊ディスプレイ装置の概略図を示しており、浮遊ディスプレイ用の光学結像システム1600は、レーザmems走査投影と協働して使用される。第5例による浮遊ディスプレイ装置における光学結像システム1600のいくつかの詳細は、図12A~12Cに関して説明した光学結像システム1200と同じであり、ここで説明を省略する。以下、第5例の相違点を主に説明する。
【0071】
この例では、x、y方向の走査振動ミラーを別々に配置してもよい。x-振動ミラーは、レーザビームを、x方向の画像を走査するように制御でき、y-振動ミラーは、レーザビームを、y方向の画像を走査するように制御できる。V型溝微細構造はY振動ミラーに集積可能である。本例では平行光走査結像であり、主結像ユニットは、光線の第2の方向においての発散角を変化させないので、被写体点から発せられた光ビームは、主散乱スクリーンに照射され、第2の方向で平行光として近似される。この構造の利点は、光学システムの厚さを薄くすることが可能である。
【0072】
第6例
図17は、本発明の第6例による浮遊ディスプレイ装置の概略図を示しており、浮遊ディスプレイ用の光学結像システム1700は、レーザmems走査投影と協働して使用される。第3例による浮遊ディスプレイ装置の結像プロセスのいくつかの詳細は、図12A~12Cに関して説明した光学結像システム1200と同じであり、ここで説明を省略する。以下、第6例の相違点を主に説明する。
【0073】
本例では、光学結像システム1700は、光路上で被写体面10と第1の像平面101との間に設置された補助結像ユニットと、中継像平面1703に設置された付加散乱スクリーン1730と、光路上で被写体面10と第1の像平面101との間に設置された主結像ユニットと、第1の像平面101に設置された主散乱スクリーン1720と、を備える。図17を参照すると、第6例による光学結像システム1700における補助結像ユニットおよび主結像ユニットの配置方法を示している。具体的には、補助結像ユニットは、第1の偏光分光プリズムpbs1、第1のレンズlens1、複数の反射ミラーMR1、MR2、第1の偏光分光プリズムpbs2、第2のレンズlens2、第3の偏光分光プリズムpbs3、第3のレンズlens3等の光学素子を備えてもよい。レンズlens2は、x、y方向に異なる曲率半径を持つトーリックミラーであり、x、yの二つの方向の光線を同時に変調することができる。主結像ユニットは再帰反射スクリーン1711を備えてもよい。この例では、第1のレンズlens1、第2のレンズlens2、第3のレンズlens3はすべて平凸レンズであり、その平凸面に金属反射層がめっきされている。
【0074】
光学システム1700では光ビームの伝送方向は光軸方向であり、第1の方向及び第2の方向は、光軸に直交する2つの方向であり、第1の方向及び第2の方向は互いに直交している。
【0075】
RGBレーザ光源は、走査振動ミラーによって第1の方向、第2の方向に振動され、レーザビームを異なる角度に応じて投射する。第1の偏光分光プリズムpbs1の前面には、高偏光度のP状態レーザビーム(単にP光と呼ぶ)を得るためのライン状偏光板が設置されている。第1の偏光分光プリズムpbs1と第1のレンズlens1との間に1/4波長板が設置される。p光は、第1の偏光分光プリズムpbs1を通過し、1/4波長板を通過した後、円偏光に変換され、第1レンズlens1で反射され、再び1/4波長板を通過して、このとき、レーザビームはs状態偏光(単にs光と呼ぶ)となる。第1のレンズlens1は、第2の方向のレーザビームを集光し、第2の方向における光学システムの高さを制限するためのシリンドリカルミラーである。S光は、第1の偏光分光プリズムpbs1の分光界面で反射された後、第1の反射ミラーMR1で反射され、伝送路を変えられて第2の偏光分光プリズムpbs2に照射される。第2の偏光分光プリズムpbs2と第2のレンズlens2との間に1/4波長板が設けられ、S光は、第2の偏光分光プリズムpbs2の分光界面で反射された後、第2のレンズlens2で反射され、1/4波長板を2回通過してからp光に変換され、第2の偏光分光プリズムpbs2の分光界面を通過した後反射ミラーMR2に照射される。第2のレンズlens2は、第1の方向と第2の方向で異なる焦点距離を有するトーリックレンズであり、第1の方向と第2の方向で異なる角度のレーザビームを、第1の方向と第2の方向で光軸に沿って平行に伝送されるビームとしてコリメートするように作用する。反射ミラーMR2と第2の偏光分光プリズムpbs2との間に1/4波長板が設置され、反射ミラーMR2で反射された光線は1/4波長板を通過してからs光に変換され、第2の偏光分光プリズムpbs2の分光界面で反射されて第2の偏光分光プリズムpbs2から射出する。第2の偏光分光プリズムpbs2の出光面には中継像平面1703である付加散乱スクリーン1730が設けられ、仮想被写体面上の点から発せられた光が中継像平面1703で第2方向の線分像を形成する。付加散乱スクリーンは、第2の方向の光線の伝送を変えずに、散乱スクリーンに照射された光ビームを第1の方向で発散する。偏光分光プリズムpbs3と付加散乱スクリーンとの間に1/2波長板が設置され、付加散乱スクリーンから射出されたs光は、1/2波長板を通過してp光に変換された後、第3の偏光分光プリズムpbs3に入射し、第3の偏光分光プリズムpbs3の分光平面を通過してシリンドリカルミラーlens3に照射され、偏光分光プリズムpbs3とシリンドリカルミラーlens3との間に1/4波長板が設置され、シリンドリカルミラーlens3から反射されたp光は1/4波長板を二回通過してs光に変換され、分光界面で反射され、光軸が90度回転して一次元再帰反射スクリーンに照射され、この例では、一次元再帰反射スクリーンは、主結像ユニット1711であり、V型溝角度が90度であり表面に金属反射層がめっきされているV型溝アレイ構造である。一次元再帰反射スクリーンはX-Z平面に対して30度の角度となるように設置され、付加散乱スクリーンから射出された第1の方向の発散ビームは一次元再帰反射スクリーンによって反射され、第1方向で空間内に集光し、第2の像平面(すなわち、浮遊画像面)102に、X-Z平面との間の挟み角度が60度である浮遊画像が形成される。浮遊画像面102と一次元再帰反射スクリーンとの間に主散乱スクリーン1720がX-Z方向に沿って配置され、この位置が第1の像平面101の位置と見なされ、また、光ビームは第2の方向で平行光であり、無限の被写界深度を有するので、第1の像平面101及び主散乱スクリーン1720は、設計上の必要に応じて主結像ユニット1711と浮遊画像面102との間の任意の位置に設置されることができる。主散乱スクリーンは第2の方向で光線を発散し、第2の方向の視野角を拡大する。本例では、走査振動ミラーと主結像ユニット1711との間の光学素子がアフォーカルシステムを構成することにより、被写体点から発せられた光ビームが主散乱スクリーン上に照射され、第2の方向で平行光として近似される。
【0076】
このようにして、第2の像平面(すなわち、浮遊画像面)102に、水平の視差を有し垂直の視差を有しない浮遊画像が形成されることができる。また、全システムは反射型光学システムであるため、色差がなく、空間的に折り畳み可能であり、大型で軽量化の浮遊ディスプレイ装置を実現するのが容易になる。
好ましくは、本例の偏光分光プリズムpbsは、偏光反射板で代替してもよい。
【0077】
第7例
図18は、本発明の第7例による浮遊ディスプレイ装置の概略図を示しており、浮遊ディスプレイ用の光学結像システム1800は、平行光投影と協働して用いられ、レンズ群を採用して第1の方向の画像を結像する。第7例による浮遊ディスプレイ装置における光学結像システム1800のいくつかの詳細は、図7に関して説明した光学結像システム600と同じであり、ここで説明を省略する。以下、第7例の相違点を主に説明する。
【0078】
図に示すように、浮遊ディスプレイ装置は平行光画像源、および光学結像システム1800を備える。この例では、光学結像システムは、付加散乱スクリーン1830と、結像ユニット1811と、主散乱スクリーン1820とを備えることができる。結像ユニットは、図18に示すように、光路上で付加散乱スクリーン1830と主散乱スクリーン1820との間に設置された第1のレンズlens1、第2のレンズlens2、第3のレンズlens3、第1の反射ミラー、および第2の反射ミラーを備えることができ、また、lens1、lens2、lens3は主結像ユニットである。第1のレンズlens1、第2のレンズlens2及び第3のレンズlens3はシリンドリカルレンズであってもよい。レンズ群は、第1の方向の画像を拡大し、画像の像の差を補正するように作用する。第二の散乱スクリーン2は一定角度で傾けるように設置されている。
【0079】
本例では、平行画像源は、平行バックライト光源とLCDディスプレイから構成され、LCDディスプレイ面は被写体面10であり、LCDから発せられた平行光は、垂直方向の光線の伝送を変更せずに水平方向に光線を発散する付加散乱スクリーン1830に平行に投影される。付加散乱スクリーンが位置する面は中継像平面1803である。付加散乱スクリーンから発せられた光は、第1のレンズlens1、第2のレンズlens2、第3のレンズlens3を経て空間中に実像化され、浮遊画像面102を形成する。第1の反射ミラー及び第2の反射ミラーは、光線の伝送経路を変更するために用いられる。反射ミラー2で反射された光線は、斜めに設置された主散乱スクリーン1820に照射され、第2の方向で発散し、垂直方向の視野角を拡大する。
【0080】
このようにして、被写体面10上の第1の方向に沿った画像の結像面の第2の像面102における像側開き角が、相対的に大きく(すなわち、20度以上、好ましくは30度以上)することで、浮遊画像面に、水平の視差を有し垂直の視差を有しない第2の方向に拡大された浮遊画像が形成されることができる。
【0081】
本例では、レンズ群によって第1の方向の画像が拡大し、斜めに配置された主散乱スクリーンに平行光が照射されることにより第2の方向の画像が拡大され、この2つの方向は異なる倍率を有してもよく、第1および第2の方向の通常のスケールの浮遊画像を得るために、空間光変調器(LCDディスプレイ)の画素サイズは、2つの方向において異なるように設定され、すなわち、表示画素は正方形ではなく長方形であることが望ましい。
【0082】
第8例
図19は、本発明の第8例による浮遊ディスプレイ装置の概略図を示しており、浮遊ディスプレイ用の光学結像システム1900は、レーザmems走査投影と協働して使用される。第8例による浮遊ディスプレイ装置における光学結像システム1900の結像プロセスのいくつかの詳細は、第6例による光学結像システム1700と同じであり、ここで説明を省略する。以下、第8例の相違点を主に説明する。
【0083】
本例では、再帰反射スクリーンの代わりに第4のレンズlens4と反射ミラーを用い、図19に示すように配置する。第4のレンズlens4はY方向に沿って素早く機械的に移動することができる。結像公式より、像距離vはv=f/(1-f/u)を満たし、uは被写体距離であることが分かる。この例では、fは変化せず、uが増加すればvは減少する。浮遊画像面を光軸方向に前後的に移動させることが可能である。第4のレンズLens4は、移動周期の時間が0.1s未満になるようにY方向に沿って十分に速く移動し、各移動位置に現在必要な画像を表示することで、浮遊画像のダイナミックな効果を実現でき、各移動位置に3D画像の一つの切断面の画像を表示すると、多層3D表示の原理を利用して3D画像の効果を見ることができる。また、結像レンズが液体/液晶等のクイックズームレンズである場合には、結像レンズの焦点距離fを変化させることにより、浮遊画像の位置を変化させることも可能であり、ダイナミックな効果や3D効果を実現することができる。
【0084】
本発明は、上述した浮遊ディスプレイ装置と同様に、対応するアラウンドビューディスプレイ装置を提供する。
【0085】
図20Aは、本発明の実施例によるアラウンドビューディスプレイ装置2000の概略図を示しており、ここでは、スプライス(splice)方式を使用して、360度視認可能なアラウンドビューディスプレイ装置が実現されている。
【0086】
例では、アラウンドビューディスプレイ装置2000は、上述した8つのいずれか一つの浮遊ディスプレイ装置(例として、図20Bは浮遊ディスプレイ装置の可能な構成の1つを示している)から構成されている。図20Aでは、8つの浮遊ディスプレイ装置がそれぞれ2001~2008の符号で示されている。図20Cは、図20Bの例である浮遊ディスプレイ装置の平面図であり、図に示すように、浮遊ディスプレイ装置は、台形構造であり、図20Aの方式に応じてつなぎ合わせて設置されている。浮遊画像102が水平に対して45度~90度の挟み角度となることが好ましい。さらに、8つの浮遊ディスプレイ装置ユニットで形成された浮遊画像102の中心点であるO点を一致させるようにより正確に設定することができる。例えば、各組の浮遊画像の水平画角が45度であれば、8組の浮遊ディスプレイ装置が360度の全画角となるようにスプライスされることができる8組の浮遊ディスプレイ装置がそれぞれ3次元被写体の対応する8つの位置の画像を表示するために用いられる場合、このアラウンドビューディスプレイ装置は3D表示効果を有する。なお、8つの浮遊ディスプレイ装置を適用するためのスプライス方式の採用は、限定的ではなく単なる例として挙げられ、スプライスされた浮遊ディスプレイ装置の数は、2より大きい任意の整数であってもよく、いずれもアラウンドビュー/3D表示効果を達成できることが当業者には理解されるであろう。
【0087】
以上、本発明の例示的な実施例による浮遊ディスプレイ用の光学結像システム、当該光学結像システムを含む浮遊ディスプレイ装置及びアラウンドビューディスプレイ装置について詳細に説明した。本発明の光学結像システムは、被写体面上の点の光ビームが第1の方向に沿って結像ユニットによって結像された像側開き角が、両眼視差条件を満たすように比較的大きくすることで、画像の浮遊ディスプレイが実現可能であり、浮遊画像は単一の方向の視差のみ有するので、裸眼3D表示にさらに用いられることができる。
【0088】
上記の説明は、限定的ではなく概略的なものであることが理解されるべきである。例えば、上述の実施例(および/またはその様々な態様)は、互いに関連して使用されてもよい。さらに、本発明の範囲を逸脱することなく、特定の条件または材料を本発明の様々な実施形態の教示に適合させるために多くの修正を加えることができる。本明細書に記載された材料のサイズおよびタイプは、本発明の様々な実施例のパラメータを定義するために使用されるが、様々な実施例は限定的であることを意味するものではなく、例示的な実施例である。上記の説明を読んだ場合、他の多くの実施例は当業者にとって明白であろう。したがって、本発明の様々な実施例の範囲は、添付の請求項及びこれらの請求項で保護請求される均等な形態の全体的範囲を参照して決定されるべきであろう。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C