(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】足用アーチサポーター
(51)【国際特許分類】
A61F 5/02 20060101AFI20240221BHJP
A61F 5/01 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
A61F5/02 N
A61F5/01 N
(21)【出願番号】P 2023190203
(22)【出願日】2023-11-07
【審査請求日】2023-11-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514163169
【氏名又は名称】株式会社P.O.イノベーション
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】見木 太郎
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-046742(JP,A)
【文献】米国特許第2358966(US,A)
【文献】特開2019-166281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/02
A61F 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の土踏まずを押し上げてアーチを形成する足用アーチサポーターであって、
伸縮性を有するとともに装着時に前記土踏まずから足甲部を覆う帯形状の本体部と、前記本体部に膨出して設けられ装着時に前記土踏まずを押し上げて前記足の内側の縦アーチを形成する内側縦アーチ用パッドと、前記本体部の一端に設けられ装着時に前記足甲部を覆い前記本体部に着脱可能に留められる甲用後バンドと、前記内側縦アーチ用パッドの端部に一端が接続され前記本体部に他端が着脱可能に留められるとともに装着時に前記足の外側を引き上げて外側の縦アーチを形成する外側縦アーチ用ストラップとを備えていることを特徴とする足用アーチサポーター。
【請求項2】
請求項1記載の足用アーチサポーターであって、
前記外側縦アーチ用ストラップは、前記甲用後バンドに重なって配置されていることを特徴とする足用アーチサポーター。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の足用アーチサポーターであって、
前記外側縦アーチ用ストラップは、先端部が前記甲用後バンドに固定され、
前記外側縦アーチ用ストラップの前記内側縦アーチ用パッドとの接続部から前記甲用後バンドとの固定部までの長さは、前記甲用後バンドの前記接続部から前記固定部までの長さよりも短いことを特徴とする足用アーチサポーター。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載の足用アーチサポーターであって、
前記外側縦アーチ用ストラップは、伸縮性を有することを特徴とする足用アーチサポーター。
【請求項5】
請求項4記載の足用アーチサポーターであって、
前記外側縦アーチ用ストラップの伸縮性は、前記甲用後バンドの伸縮性よりも小さいことを特徴とする足用アーチサポーター。
【請求項6】
請求項1又は請求項2記載の足用アーチサポーターであって、
前記外側縦アーチ用ストラップは、前記甲用後バンドと別体に構成され、前記内側縦アーチ用パッドの端部に一端のみが接続されていることを特徴とする足用アーチサポーター。
【請求項7】
請求項1又は請求項2記載の足用アーチサポーターであって、
前記甲用後バンド及び前記外側縦アーチ用ストラップは面ファスナーにより前記本体部に留められ、前記面ファスナーのせん断強度は2.6N/cm
2以上、8.3N/cm
2以下であり、前記面ファスナーの剥離強度は0.39N/cm以上、1.34N/cm以下であることを特徴とする足用アーチサポーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足の土踏まずを押し上げてアーチを形成する足用アーチサポーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人の足は体重を支えて衝撃を分散等するために、複数の骨がアーチ状に組み合わされ、足底のアーチに沿って足底筋膜が形成されている。詳細には、
図5(A)に示されるように、人の足には3つのアーチが形成されており、小指の付け根とかかとを結ぶ外側の縦アーチ64と、一般的に土踏まずと呼ばれる親指の付け根とかかとを結ぶ内側の縦アーチ65と、5本の指の付け根を結ぶ横アーチ66とがある。
【0003】
これらのアーチのうち、内側の縦アーチ65は、加齢に伴って筋力が落ち、かかとの骨が内側に倒れてくると落ち込んで、土踏まずの部分が地面についてしまう、いわゆる偏平足となる。偏平足になると足が疲れやすくなったり、足の障害が起きやすくなったりする。このような足底のアーチが落ち込みを防ぐために、土踏まずの部分にパッドを設けた各種のサポーターが提案されており、その一つとして特許文献1のサポーターが知られている。
【0004】
特許文献1のサポーターは、本体部、パッド、第1留具、第2留具を備えている。本体部は、足の周方向に巻着されるストラップであり、足裏に配置される足底部、足の甲に配置される足甲部、および足首に巻着される足首固定部を含んでいる。この足首固定部には第2留具が設けられ、足首固定部は第2留具において開放可能になっている。足首固定部は、サポーターが足に装着された際、足首の周方向に巻着される。パッドは、足底部および足底部に繋がる足甲部を含む伸縮性生地からなるサポーターに備えられ、足裏の足底アーチを支えるものであり、足底部に配置され、足裏の舟状骨に対応する部分に頂部を有する。
【0005】
ところで、人が歩く等の運動を行う際、足の土踏まずにあたる内側の縦アーチは、持ち上がった状態となったり、潰れた状態となったりするが、このとき内側の縦アーチだけでなく、外側の縦アーチも状態が変化し、この両方の状態にサポーターが追従することで、適切な足の補助を行うことができる。
【0006】
また、足の使い過ぎによる疾患や疲労による痛みの軽減等は、インソール等では内側の縦アーチに加えて外側の縦アーチの重要性が認識されている。インソールでは、表面のいわゆる土踏まずの部分に設置された外側の縦アーチ部分にパッドを設けたものもあるが、インソールの接地スペースの制限等から内側の縦アーチ部分に設けたパッドに較べて小さくピンポイントで配置されており、場合よっては外側の縦アーチ部分のパッドが適切な位置から外れて不快感や痛みを惹起することがある。このため、インソールではない、サポーターであっても、外側の縦アーチの形成を適切に補助することが好ましい
【0007】
しかし、特許文献1のサポーターは、足裏の舟状骨に対応する部分に頂部を有するパッドを備えているものの、このパッドが本体部に設けられているだけであり、足の土踏まずにあたる内側の縦アーチを常に押し上げているだけであり、状態の変化に追従するものではなく、さらには外側の縦アーチの形成を積極的に補助したり、状態の変化に追従したりするものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上の点に鑑み、外側の縦アーチを持ち上げてアーチ形成を積極的に補助するとともに、内側の縦アーチ及び外側の縦アーチが持ち上がった状態と潰れた状態の両方の状態に追従して適切な足の補助を行うことができるサポーターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施例によれば、足の土踏まずを押し上げてアーチを形成する足用アーチサポーターであって、
伸縮性を有するとともに装着時に前記土踏まずから足甲部を覆う帯形状の本体部と、前記本体部に膨出して設けられ装着時に前記土踏まずを押し上げて前記足の内側の縦アーチを形成する内側縦アーチ用パッドと、前記本体部の一端に設けられ装着時に前記足甲部を覆い前記本体部に着脱可能に留められる甲用後バンドと、前記内側縦アーチ用パッドの端部に一端が接続され前記本体部に他端が着脱可能に留められるとともに装着時に前記足の外側を引き上げて外側の縦アーチを形成する外側縦アーチ用ストラップとを備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の構成によれば、本体部に膨出して設けられ装着時に土踏まずを押し上げて足の内側の縦アーチを形成する内側縦アーチ用パッドを備えているので、下方から土踏まずを持ち上げて内側の縦アーチのアーチ形成を積極的に補助することができる。さらに、本体部の一端に設けられ装着時に足甲部を覆い本体部に着脱可能に留められる甲用後バンドを備えているので、甲用後バンドを締めて留めることで内側縦アーチ用パッドが持ち上げられる。
【0012】
さらに、内側縦アーチ用パッドの端部に一端が接続され本体部に他端が着脱可能に留められるとともに装着時に足の外側を引き上げて外側の縦アーチを形成する外側縦アーチ用ストラップを備えているので、外側縦アーチ用ストラップが内側縦アーチ用パッドごと足の外側を持ち上げて外側の縦アーチのアーチ形成を積極的に補助するとともに、伸縮性を有する本体部に内側縦アーチ用パッドの他端を留めることで、内側の縦アーチ及び外側の縦アーチが持ち上がった状態と潰れた状態の両方の状態に追従して適切な足の運動補助を行うことができる。
【0013】
好ましくは、前記外側縦アーチ用ストラップは、前記甲用後バンドに重なって配置されていることを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば、外側縦アーチ用ストラップは、甲用後バンドに重なって配置されているので、外側の縦アーチを形成するために持ち上げることが必要な足の外側部分を、甲用後バンド及び外側縦アーチ用ストラップの二重構造で持ち上げることができ、外側の縦アーチのアーチ形成をより積極的に補助することができる。
【0015】
好ましくは、前記外側縦アーチ用ストラップは、先端部が前記甲用後バンドに固定され、
前記外側縦アーチ用ストラップの前記内側縦アーチ用パッドとの接続部から前記甲用後バンドとの固定部までの長さは、前記甲用後バンドの前記接続部から前記固定部までの長さよりも短いことを特徴とする。
【0016】
かかる構成によれば、外側縦アーチ用ストラップの内側縦アーチ用パッドとの接続部から甲用後バンドとの固定部までの長さは、甲用後バンドの接続部から固定部までの長さよりも短いので、甲用後バンドよりも内側に配置された外側縦アーチ用ストラップが強い力で内側縦アーチ用パッドごと足の外側を持ち上げて外側の縦アーチのアーチ形成をより積極的に補助することができる。
【0017】
好ましくは、前記外側縦アーチ用ストラップは、伸縮性を有することを特徴とする。
【0018】
かかる構成によれば、外側縦アーチ用ストラップは、伸縮性を有するので、外側の縦アーチが持ち上がった状態と潰れた状態の両方の状態により柔軟に追従して適切な足の運動補助を行うことができる。
【0019】
好ましくは、前記外側縦アーチ用ストラップの伸縮性は、前記甲用後バンドの伸縮性よりも小さいことを特徴とする。
【0020】
かかる構成によれば、外側縦アーチ用ストラップの伸縮性は、甲用後バンドの伸縮性よりも小さいので、足に強い力が加わり外側の縦アーチが大きく潰れた状態に変形しようとするところを強い力で持ち上げて、外側の縦アーチの変形を適切な変形量に抑えることができる。
【0021】
好ましくは、前記外側縦アーチ用ストラップは、前記甲用後バンドと別体に構成され、前記内側縦アーチ用パッドの端部に一端のみが接続されていることを特徴とする。
【0022】
かかる構成によれば、外側縦アーチ用ストラップは、甲用後バンドと別体に構成され、内側縦アーチ用パッドの端部に一端のみが接続されているので、外側縦アーチ用ストラップを甲用後バンドとは別に独立して本体部に留めることで、足の外側を持ち上げる強さを自由に調整でき、外側の縦アーチを適切にアーチ形成することができる。
【0023】
好ましくは、前記甲用後バンド及び前記外側縦アーチ用ストラップは面ファスナーにより前記本体部に留められ、前記面ファスナーのせん断強度は2.6N/cm2以上、8.3N/cm2以下であり、前記面ファスナーの剥離強度は0.39N/cm以上、1.34N/cm以下であることを特徴とする。
【0024】
かかる構成によれば、甲用後バンド及び外側縦アーチ用ストラップを本体部に留める面ファスナーのせん断強度を2.6N/cm2以上、8.3N/cm2以下とし、面ファスナーの剥離強度を0.39N/cm以上、1.34N/cm以下とすることで、足を動かしても甲用後バンド及び外側縦アーチ用ストラップを最低限外れ難くすることができるとともに、足用アーチサポーターに強い負荷が掛かったときに甲用後バンド及び外側縦アーチ用ストラップが外れて破損を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0025】
外側の縦アーチを持ち上げてアーチ形成を積極的に補助するとともに、内側の縦アーチ及び外側の縦アーチが持ち上がった状態と潰れた状態の両方の状態に追従して適切な足の補助を行うことができるサポーターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係る足用アーチサポーターの広げた状態を説明する図である。
【
図2】(A)本発明に係る足用アーチサポーターを足に取り付けるように立体的にした状態の側面図である。(B)本発明に係る足用アーチサポーターを足に取り付けるように立体的にした状態の正面図である。
【
図3】(A)本発明に係る足用アーチサポーターの足への装着を説明する図である。(B)足に装着した足用アーチサポーターの前方から斜視図である。
【
図4】(A)足に装着した足用アーチサポーターの側面図である。(B)足に装着した足用アーチサポーターの側方からの斜視図である。
【
図5】(A)足の3つのアーチを説明する図である。(B)足の内側の縦アーチを説明する図である。(C)足の外側の縦アーチを説明する図である。
【
図6】(A)比較例に係る足用アーチサポーターの斜視図である。(B)比較例に係る足用アーチサポーターの作用図である。(C)比較例に係る足用アーチサポーターの内側の縦アーチ及び外側の縦アーチに対する作用を説明する図である。
【
図7】実施例に係る足用アーチサポーターの作用図である。
【
図8】(A)実施例1に係る足用アーチサポーターの要部断面図である。(B)実施例2に係る足用アーチサポーターの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、足用アーチサポーター10の図は構成の一例を示すものとする。
【実施例1】
【0028】
足のアーチについて説明する。
図5(A)に示されるように、人の足には、外側の縦アーチ64、内側の縦アーチ65、5本の指の付け根を結ぶ横アーチ66の3つのアーチが形成されている。
図5(B)に示されるように、内側の縦アーチ65は、かかとと親指の付け根とを結ぶアーチであり、土踏まず61を構成する部分のアーチである。
図5(C)に示されるように、外側の縦アーチ64は、かかとと小指の付け根とを結ぶアーチであり、体重がかかると外側に広がり、体重を支える。
【0029】
外側の縦アーチ64は、内側の縦アーチ65に比較して低いアーチとなっている。これらの3つのアーチが高くなったり低くなったりすることで歩行時の衝撃吸収や蹴り出しを円滑に行うことができる。このため、足用アーチサポーター10は、動かないときの足のアーチ形成を補助することに加え、歩行時などの足のアーチが高くなったり低くなったりする動きに追従したアーチ形成の補助もできることが好ましい。
【0030】
次に足用アーチサポーター10について説明する。
図1、
図2及び
図5に示されるように、足用アーチサポーター10は、足60に装着して土踏まず61を押し上げてアーチを形成するものである。足用アーチサポーター10は、伸縮性を有するとともに装着時に土踏まず61から足甲部62を覆う帯形状の本体部20と、本体部20に膨出して設けられ装着時に土踏まず61を押し上げて足60の内側の縦アーチ65を形成する内側縦アーチ用パッド21とを備えている。
【0031】
また、足用アーチサポーター10は、本体部20の一端に設けられ装着時に足甲部62の前側を覆い本体部20に着脱可能に留められる甲用前バンド30と、甲用前バンド30と間隔を空けて本体部20の一端に設けられ装着時に足甲部62の後側を覆い本体部20に着脱可能に留められる甲用後バンド40と、内側縦アーチ用パッド21の端部の接続部22に一端が接続され本体部20に他端が着脱可能に留められるとともに装着時に足60の外側を引き上げて外側の縦アーチ64を形成する外側縦アーチ用ストラップ42と、甲用後バンド40とは異なる位置で本体部20に設けられ装着時にかかと63を巻くように覆い本体部20に着脱可能に留められるかかと用バンド50と、を備えている。
【0032】
甲用前バンド30の先端部には、面ファスナー31が設けられている。甲用後バンド40の先端部には、面ファスナー41が設けられている。かかと用バンド50の先端部には、面ファスナー51が設けられている。甲用前バンド30、甲用後バンド40、外側縦アーチ用ストラップ42及びかかと用バンド50は面ファスナー31、41、51により本体部20に留められ、面ファスナー31、41、51のせん断強度は2.6N/cm2以上、8.3N/cm2以下であり、面ファスナー31、41、51の剥離強度は0.39N/cm以上、1.34N/cm以下である。
【0033】
足用アーチサポーター10では、本体部20、甲用前バンド30、甲用後バンド40及びかかと用バンド50は、一体的に形成されており、且つ、伸縮性を有する生地で構成されている。
【0034】
次に外側縦アーチ用ストラップ42について説明する。
足用アーチサポーター10は、外側の縦アーチ64を支持する外側縦アーチ用ストラップ42を備え、この外側縦アーチ用ストラップ42の幅は3mm以上である。外側縦アーチ用ストラップ42の幅を3mm未満にすると幅が狭すぎて足60に食い込みをおこして痛くなるおそれがあるが、外側縦アーチ用ストラップ42の幅は3mm以上とすることで、食い込みを回避して快適に使用することができる。
【0035】
外側縦アーチ用ストラップ42は、甲用後バンド30の内側に重なって配置されており、伸縮性を有する。外側縦アーチ用ストラップ42の伸縮性は、甲用後バンド40の伸縮性よりも小さく設定されている。なお、実施例では、外側縦アーチ用ストラップ42を甲用後バンド30の内側に重ねて配置したが、これに限定されず、外側縦アーチ用ストラップ42を甲用後バンド30の外側に重ねて配置してもよい。
【0036】
次に実施例1の外側縦アーチ用ストラップ42について説明する。
図1、
図2、
図5及び
図8(A)に示されるように、外側縦アーチ用ストラップ42は、基端部となる一端が内側縦アーチ用パッド21の端部の接続部22に接続され、先端部となる他端が甲用後バンド40の途中に固定されている。
【0037】
外側縦アーチ用ストラップ42の内側縦アーチ用パッド21との接続部22から甲用後バンド40との固定部までの長さは、甲用後バンド40の接続部22から固定部までの長さよりも短く設定されている。また、外側縦アーチ用ストラップ42の幅は、甲用後バンド40の幅よりも小さい。これにより、甲用後バンド40の内側に配置された外側縦アーチ用ストラップ42が、甲用後バンド40からはみ出すことなく保護されるので、靴を履いたときなどに靴との摩擦で擦れることがなく、適切な機能を発揮するとともに耐久性を向上させることができる。
【0038】
次に実施例2の外側縦アーチ用ストラップ42について説明する。
図1、
図2、
図5及び
図8(B)に示されるように、外側縦アーチ用ストラップ42は、甲用後バンド40と別体に構成され、内側縦アーチ用パッド21の端部である接続部22に基端部となる一端のみが接続され、その先は所謂フリー状態で自由に動かすことができる。
【0039】
次に実施例(実施例1、実施例2)の足用アーチサポーター10の装着について説明する。
図3(A)に示されるように、足用アーチサポーター10を広げた状態にし、土踏まず61に内側縦アーチ用パッド21を合せ、本体部20、甲用前バンド30及び甲用後バンド40を足60の巻いて適切な締め付けとなるように面ファスナー31、41で留める。また、かかと用ベルト50をかかと63の後方から巻いて面ファスナー51で留める。
【0040】
図3(B)、
図4に示されるように、足用アーチサポーター10が装着された状態となる。甲用前バンド30と甲用後バンド40をそれぞれ独立して留めることができるので、様々な足60の形や、足60の部分毎に必要な締め付け具合を調整することができる。また、かかと用バンド50により、歩行等による足用アーチサポーター10の足60に対する前後のずれを防止することができる。
【0041】
次に比較例の足用アーチサポーター100の作用について説明する。
図6(A)に示されるように、比較例の足用アーチサポーター100は、伸縮性を有する生地からなる本体部100の内側に、内方に膨出するようにパッド101が設けられており、土踏まずの位置にパッド101が合うように装着する。
【0042】
図6(B)に示されるように、比較例の足用アーチサポーター100では、パッド101が土踏まずを上方に持ち上げることで、外側の縦アーチ64、内側の縦アーチ65及び横アーチ66を形成しようとするものである。しかし、
図6(C)に示されるように、土踏まずの下方にパット101が配置されているだけのため、外側の縦アーチ64は矢印(1)のように斜め外方(図では左上方向)に力を受け、内側の縦アーチ65も矢印(2)のように斜め外方(図では右上方向)に力を受け、横方向にも押し広げられて適切なアーチ形成ができないことがある。特に、外側の縦アーチ64が横方向にも流れて形成されてしまう。
【0043】
次に実施例の足用アーチサポーター10の作用を説明する。
図7に示されるように、実施例の足用アーチサポーター10では、内側縦アーチ用パッド21により足60の土踏まずを矢印(3)のように上方に持ち上げて適切な内側の縦アーチを形成するだけでなく、外側縦アーチ用ストラップ42により足60の外側を矢印(4)のように外方(横方向)に膨らまないようにして下から持ち上げて、適切な外側の縦アーチ64(
図5参照)を形成することができる。
【0044】
次に以上に述べた実施例の足用アーチサポーター10の効果を説明する。
本発明の実施例では、本体部20に膨出して設けられ装着時に土踏まず61を押し上げて足の内側の縦アーチ65を形成する内側縦アーチ用パッド21を備えているので、下方から土踏まず61を持ち上げて内側の縦アーチ65のアーチ形成を積極的に補助することができる。さらに、本体部20の一端に設けられ装着時に足甲部62を覆い本体部20に着脱可能に留められる甲用後バンド40を備えているので、甲用後バンド40を締めて留めることで内側縦アーチ用パッド21が持ち上げられる。
【0045】
さらに、内側縦アーチ用パッド21の端部に一端が接続され本体部20に他端が着脱可能に留められるとともに装着時に足60の外側を引き上げて外側の縦アーチ64を形成する外側縦アーチ用ストラップ42を備えているので、外側縦アーチ用ストラップ42が内側縦アーチ用パッド21ごと足60の外側を持ち上げて外側の縦アーチ64のアーチ形成を積極的に補助するとともに、伸縮性を有する本体部20に内側縦アーチ用パッド21の他端を留めることで、内側の縦アーチ65及び外側の縦アーチ64が持ち上がった状態と潰れた状態の両方の状態に追従して適切な足60の運動補助を行うことができる。
【0046】
さらに、外側縦アーチ用ストラップ42は、甲用後バンド40の内側に重なって配置されているので、外側の縦アーチ64を形成するために持ち上げることが必要な足60の外側部分を、甲用後バンド40及び外側縦アーチ用ストラップ42の二重構造で持ち上げることができ、外側の縦アーチ64のアーチ形成をより積極的に補助することができる。
【0047】
さらに、外側縦アーチ用ストラップ42の内側縦アーチ用パッド21との接続部22から甲用後バンド40との固定部までの長さは、甲用後バンド40の接続部22から固定部までの長さよりも短いので、甲用後バンド40よりも内側に配置された外側縦アーチ用ストラップ42が強い力で内側縦アーチ用パッド21ごと足60の外側を持ち上げて外側の縦アーチ64のアーチ形成をより積極的に補助することができる。
【0048】
さらに、外側縦アーチ用ストラップ42は、伸縮性を有するので、外側の縦アーチ64が持ち上がった状態と潰れた状態の両方の状態により柔軟に追従して適切な足60の運動補助を行うことができる。
【0049】
さらに、外側縦アーチ用ストラップ42の伸縮性は、甲用後バンド40の伸縮性よりも小さいので、足60に強い力が加わり外側の縦アーチ64が大きく潰れた状態に変形しようとするところを強い力で持ち上げて、外側の縦アーチ64の変形を適切な変形量に抑えることができる。
【0050】
さらに、外側縦アーチ用ストラップ42は、甲用後バンド40と別体に構成され、内側縦アーチ用パッド21の端部に一端のみが接続されているので、外側縦アーチ用ストラップ42を甲用後バンド40とは別に独立して本体部20に留めることで、足60の外側を持ち上げる強さを自由に調整でき、外側の縦アーチ64を適切にアーチ形成することができる。
【0051】
さらに、甲用後バンド40及び外側縦アーチ用ストラップ42を本体部20に留める面ファスナー41、43のせん断強度を2.6N/cm2以上、8.3N/cm2以下とし、面ファスナー41、43の剥離強度を0.39N/cm以上、1.34N/cm以下とすることで、足60を動かしても甲用後バンド40及び外側縦アーチ用ストラップ42を最低限外れ難くすることができるとともに、足用アーチサポーター10に強い負荷が掛かったときに甲用後バンド40及び外側縦アーチ用ストラップ42が外れて破損を防ぐことができる。
【0052】
尚、実施例では、足用アーチサポーター10は、本体部20と、内側縦アーチ用パッド21と、甲用後バンド40、外側縦アーチ用ストラップ42とで構成したが、これに限定されず、足用アーチサポーター10を、本体部20と、内側縦アーチ用パッド21と、外側縦アーチ用ストラップ42とで構成し、内側縦アーチ用パッド21及び外側縦アーチ用ストラップ42で、外側の縦アーチ64と内側の縦アーチ65を支えるものとしてもよい。
【0053】
また、実施例1では、外側縦アーチ用ストラップ42の先端部を甲用後バンド40に固定したが、これに限定されず、外側縦アーチ用ストラップ42の先端部を本体部20に固定してもよい。
【0054】
また、実施例では、外側縦アーチ用ストラップ42は伸縮性を有する生地としたが、これに限定されず、外側縦アーチ用ストラップ42を伸縮性のない生地としてもよい。されには、実施例では外側縦アーチ用ストラップ42の幅を甲用後バンド40の幅よりも小さく設定したが、これに限定されず、外側縦アーチ用ストラップ42の幅を甲用後バンド40の幅と同等または甲用後バンド40の幅よりも大きくしてもよい
【0055】
即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の技術は、足用アーチサポーターは、足の土踏まずを押し上げてアーチを形成する足用アーチサポーターに好適である。
【符号の説明】
【0057】
10…足用アーチサポーター、20…本体部、21…内側縦アーチ用パッド、22…側面覆い部、30…甲用前バンド、40…甲用後バンド、42…外側縦アーチ用ストラップ、50…かかと用バンド、60…足、61…土踏まず(足底部)、62…足甲部、64…外側の縦アーチ、65…内側の縦アーチ、66…横アーチ。
【要約】
【課題】外側の縦アーチを持ち上げてアーチ形成を積極的に補助するとともに、内側の縦アーチ及び外側の縦アーチが持ち上がった状態と潰れた状態の両方の状態に追従して適切な足の補助を行うことができるサポーターを提供すること。
【解決手段】足用アーチサポーター10は、足に装着して土踏まずを押し上げてアーチを形成するものである。足用アーチサポーター10は、伸縮性を有するとともに装着時に土踏まずから足甲部を覆う帯形状の本体部20と、本体部20に膨出して設けられ装着時に土踏まずを押し上げて足の内側の縦アーチを形成する内側縦アーチ用パッド21とを備えている。
【選択図】
図1