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特許7440985電気インピーダンスイメージング方法、システム、記憶媒体および電子機器
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  • 特許-電気インピーダンスイメージング方法、システム、記憶媒体および電子機器 図1
  • 特許-電気インピーダンスイメージング方法、システム、記憶媒体および電子機器 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】電気インピーダンスイメージング方法、システム、記憶媒体および電子機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0536 20210101AFI20240221BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
A61B5/0536
A61B5/08
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023524710
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 CN2021113160
(87)【国際公開番号】W WO2022083258
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】202011145265.2
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521441032
【氏名又は名称】北京華睿博視医学影像技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING HUARUI BOSHI MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 10, 2nd Floor, Room 213 No.9 Tianfu Street, Daxing District Beijing 102609 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 可
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲キン▼
(72)【発明者】
【氏名】管 明涛
(72)【発明者】
【氏名】王 誼冰
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-016625(JP,A)
【文献】特表2016-531618(JP,A)
【文献】特表2010-529870(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109758149(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111067521(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0150458(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05ー5/0538
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気インピーダンスイメージング方法であって、
測定された人体領域の複数の測定時点での電気インピーダンス測定信号を取得する段階と、
各測定時点での電気インピーダンス測定信号について、前記電気インピーダンス測定信号に基づいて、対応する瞬時微分画像を構築する段階と、
複数の測定時点での瞬時微分画像に基づいて、画像行列を構築し、ここで、前記画像行列中の各列は、一つの瞬時微分画像に対応するベクトルである段階と、
前記画像行列に基づいて、前記画像行列に対応する共分散行列を決定する段階と、
前記共分散行列に従って、当該共分散行列の重みベクトルを獲得する段階と、
前記共分散行列および前記重みベクトルに基づいて、前記測定された人体領域の電気インピーダンス状態画像を獲得する段階とを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記測定された人体領域の複数の測定時点での電気インピーダンス測定信号を取得する段階は、
測定された人体領域の周囲に電極アレイを固定し、前記電極アレイは、複数の電極を含む段階と、
前記電極アレイを介して測定された人体領域を励起し、これによって生成される応答を測定する段階とをさらに含むことを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記画像行列は、
【数1】
であり、
ここで、Iは、画像行列であり、a(t)は、最初の測定時点での瞬時微分画像に対応するベクトルであり、a(t)は、2番目の測定時点での瞬時微分画像に対応するベクトルであり、a(t)は、N番目の測定時点での瞬時微分画像に対応するベクトルであることを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記画像行列に基づいて、前記画像行列に対応する共分散行列を決定する段階は、
前記画像行列に基づいて、第1の予め設定された計算式を用いて、前記画像行列に対応する共分散行列を計算する段階とをさらに含み、ここで、前記第1の予め設定された計算式は、
【数2】
であり、
ここで、Cは、共分散行列であり、Iは、画像行列であり、Tは、行列の転置行列であり、Iは、M*Nサイズの時間平均行列であり、当該時間平均行列中の各列は、すべて
【数3】
であり、ここで、Mは、各フレームの瞬時微分画像中のピクセルの数であり、Nは、測定時点での数であり、a(t)は、i番目の測定時点に対応する瞬時微分画像のベクトルであることを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記共分散行列に従って、当該共分散行列の重みベクトルを獲得する段階は、
前記共分散行列に従って、第2の予め設定された計算式を用いて、当該共分散行列の重みベクトルを計算する段階をさらに含み、ここで、前記第2の予め設定された計算式は、
【数4】
であり、
ここで、wは、重みベクトルであり、wは、M*1サイズの列ベクトルであり、当該列ベクトル中の要素は、1または-1の値を取り、Tは、行列の転置行列であり、Cは、共分散行列であることを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記共分散行列および前記重みベクトルに基づいて、前記測定された人体領域の電気インピーダンス状態画像を獲得する段階は、
前記共分散行列および前記重みベクトルに基づいて、第3の予め設定された計算式を用いて、前記測定された人体領域の電気インピーダンス状態画像を計算する段階をさらに含み、ここで、前記第3の予め設定された計算式は、
【数5】
であり、
ここで、aは、電気インピーダンス状態画像であり、Cは、共分散行列であり、wは、重みベクトルであることを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記各測定時点での電気インピーダンス測定信号について、前記電気インピーダンス測定信号に基づいて、対応する瞬時微分画像を構築する段階は、
各測定時点での電気インピーダンス測定信号について、当該電気インピーダンス測定信号から予め設定された周波数範囲の信号を抽出する段階と、
各抽出された予め設定された周波数範囲内の信号について、抽出された予め設定された周波数範囲内の信号に基づいて、画像再構成アルゴリズムを使用して、対応する瞬時微分画像を構築する段階とをさらに含むことを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
フィルターを使用して、電気インピーダンス測定信号から予め設定された周波数範囲内の信号を抽出することを特徴とする
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
抽出された信号は、換気関連信号または血液灌流関連信号であることを特徴とする
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記画像再構成アルゴリズムは、線形最小二乗法を含むことを特徴とする
請求項7に記載の方法。
【請求項11】
電気インピーダンスイメージングシステムであって、
測定された人体領域の複数の測定時点での電気インピーダンス測定信号を取得するように構成される取得モジュールと、
各測定時点での電気インピーダンス測定信号について、前記電気インピーダンス測定信号に基づいて、対応する瞬時微分画像を構築するように構成される画像構築モジュールと、
複数の測定時点での瞬時微分画像に基づいて、画像行列を構築し、ここで、前記画像行列中の各列は、一つの瞬時微分画像に対応するベクトルであるように構成される行列構築モジュールと、
前記画像行列に基づいて、前記画像行列に対応する共分散行列を決定するように構成される共分散行列計算モジュールと、
前記共分散行列に従って、当該共分散行列の重みベクトルを獲得するように構成される重みベクトル計算モジュールと、
前記共分散行列および前記重みベクトルに基づいて、前記測定された人体領域の電気インピーダンス状態画像を獲得するように構成される状態画像構築モジュールとを含むことを特徴とする、電気インピーダンスイメージングシステム。
【請求項12】
記憶媒体であって、
前記記憶媒体には、プログラムコードが格納され、前記プログラムコードがプロセッサによって実行される場合、請求項1~10のいずれか1項に記載の電気インピーダンスイメージング方法を実現することを特徴とする、前記記憶媒体。
【請求項13】
電子機器であって、
前記電子機器は、メモリおよびプロセッサを含み、前記メモリには、前記プロセッサ上で動作できるプログラムコードが格納され、前記プログラムコードが前記プロセッサによって実行される場合、請求項1~10のいずれか1項に記載の電気インピーダンスイメージング方法を実現することを特徴とする、前記電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年10月23日に出願された「電気インピーダンスイメージング方法、システム、記憶媒体および電子機器」という名称の中国特許出願CN202011145265.2の優先権を主張し、その内容全体は、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、電気インピーダンスイメージングの技術分野に属し、特に電気インピーダンスイメージング方法、システム、記憶媒体および電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
現在の電気インピーダンスイメージング技術は、瞬間的な換気または血液灌流によって引き起こされる電気インピーダンス変化画像しか生成できない。しかし、血液灌流画像のような瞬間的な電気インピーダンス変化画像は、表示されると急速に変化し、観察者が画像に対する理解に役立たない。また、瞬間的な電気インピーダンス変化画像は、異なる人間の生理学的サイクル(例えば、心周期)で大きな違いを示すことが多く、従って、観察者が測定された人体領域の機能(例えば、換気または血液灌流)の一定期間内の全体的な状態を理解することを困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、瞬間的な電気インピーダンス変化画像が測定された人体の全体的な状態を反映することが困難であるという技術的問題に基づいて、電気インピーダンスイメージング方法、システム、記憶媒体および電子機器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様において、本開示は、測定された人体領域の複数の測定時点での電気インピーダンス測定信号を取得する段階と、各測定時点での電気インピーダンス測定信号について、当該電気インピーダンス測定信号に基づいて、対応する瞬時微分画像を構築する段階と、複数の測定時点での瞬時微分画像に基づいて、画像行列を構築し、当該画像行列中の各列は、一つの瞬時微分画像に対応するベクトルである段階と、画像行列に基づいて、当該画像行列に対応する共分散行列を決定する段階と、共分散行列に従って、当該共分散行列の重みベクトルを獲得する段階と、共分散行列および重みベクトル基づいて、測定された人体領域の電気インピーダンス状態画像を獲得する段階とを含む、電気インピーダンスイメージング方法を提供する。
【0006】
選択可能に、画像行列は、
【数1】

であり、ここで、Iは、画像行列であり、a(t)は、最初の測定時点での瞬時微分画像に対応するベクトルであり、a(t)は、2番目の測定時点での瞬時微分画像に対応するベクトルであり、a(t)は、N番目の測定時点での瞬時微分画像に対応するベクトルである。
【0007】
選択可能に、前記画像行列に基づいて、画像行列に対応する共分散行列を決定する段階は、画像行列に基づいて、第1の予め設定計算式を用いて、画像行列に対応する共分散行列を計算する段階をさらに含み、第1の予め設定計算式は、
【数2】

であり、ここで、Cは、共分散行列であり、Iは、画像行列であり、Tは、行列の転置行列であり、Iは、M*Nサイズの時間平均行列であり、当該時間平均行列中の各列の要素は、
【数3】

であり、ここで、Mは、各フレームの瞬時微分画像中のピクセルの数であり、Nは、測定時点での数であり、a(t)は、i番目の測定時点に対応する瞬時微分画像のベクトルである。
【0008】
選択可能に、前記共分散行列に従って、当該共分散行列の重みベクトルを獲得する段階は、共分散行列に従って、第2の予め設定計算式を用いて、当該共分散行列の重みベクトルを計算する段階をさらに含み、第2の予め設定計算式は、
【数4】

であり、ここで、wは、重みベクトルであり、wは、M*1サイズの列ベクトルであり、当該列ベクトル中の要素は、1または-1の値を取り、Tは、行列の転置行列であり、Cは、共分散行列である。
【0009】
選択可能に、前記共分散行列および重みベクトル基づいて、測定された人体領域の電気インピーダンス状態画像を獲得する段階は、共分散行列および重みベクトル基づいて、第3の予め設定計算式を用いて、測定された人体領域の電気インピーダンス状態画像を計算する段階をさらに含み、第3の予め設定計算式は、
【数5】

であり、ここで、aは、電気インピーダンス状態画像であり、Cは、共分散行列であり、wは、重みベクトルである。
【0010】
選択可能に、前記各測定時点での電気インピーダンス測定信号について、電気インピーダンス測定信号に基づいて、対応する瞬時微分画像を構築する段階は、各測定時点での電気インピーダンス測定信号について、当該電気インピーダンス測定信号から予め設定周波数範囲の信号を抽出する段階と、および各抽出された予め設定周波数範囲内の信号について、抽出された予め設定周波数範囲内の信号に基づいて、画像再構成アルゴリズムを使用して、対応する瞬時微分画像を構築する段階とをさらに含む。
【0011】
選択可能に、画像再構成アルゴリズムは、線形最小二乗法を含む。
【0012】
第2の態様において、本開示は、測定された人体領域の複数の測定時点での電気インピーダンス測定信号を取得するように構成される取得モジュールと、各測定時点での電気インピーダンス測定信号について、当該電気インピーダンス測定信号に基づいて、対応する瞬時微分画像を構築するように構成される画像構築モジュールと、複数の測定時点での瞬時微分画像に基づいて、画像行列を構築し、当該画像行列中の各列は、一つの瞬時微分画像に対応するベクトルであるように構成される行列構築モジュールと、画像行列に基づいて、当該画像行列に対応する共分散行列を決定するように構成される共分散行列計算モジュールと、共分散行列に従って、当該共分散行列の重みベクトルを獲得するように構成される重みベクトル計算モジュールと、および共分散行列および重みベクトル基づいて、測定された人体領域の電気インピーダンス状態画像を獲得するように構成される状態画像構築モジュールとを含む、電気インピーダンスイメージングシステムを提供する。
【0013】
第3の態様において、本開示は、記憶媒体を提供し、当該記憶媒体には、プログラムコードが格納され、当該プログラムコードがプロセッサによって実行される場合、上記の実施例のいずれか1項に記載の電気インピーダンスイメージング方法を実現する。
【0014】
第4の態様において、本開示は、電子機器を提供し、当該電子機器は、メモリおよびプロセッサを含み、メモリには、プロセッサで動作できるプログラムコードが格納され、当該プログラムコードがプロセッサによって実行される場合、上記の実施例のいずれか1項に記載の電気インピーダンスイメージング方法を実現する。
【発明の効果】
【0015】
本開示によって提供される電気インピーダンスイメージング方法、システム、記憶媒体および電子機器において、測定された人体領域の複数の測定時点での電気インピーダンス測定信号を介して、測定された人体機能の一定期間内の全体的な状態を反映できる電気インピーダンス状態画像を再構築する。本開示によって提供される電気インピーダンスイメージング方法を使用して、測定された人体機能の一定期間内の全体的な状態を反映する電気インピーダンス状態画像を獲得することができ、従って、観察者が画像を理解し、且つ測定された全体的な人体機能を把握するのに便利であり、測定された人体機能の後続の定性的および定量的分析を容易にすることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
添付の図面と併せて以下の例示的な実施例の詳細な説明を読むことにより、本開示の範囲をより良く理解することができる。ここで、含まれる添付の図面は、次のとおりである。
図1】本開示の実施例1で提案される電気インピーダンスイメージング方法のフロー概略図を示す。
図2】人間の胸部の3次元血液灌流の電気インピーダンス状態画像の効果図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の目的、技術的解決策および利点をより明確にするために、以下、添付の図面および実施例と併せて、本開示の実施方法を詳細に説明し、このようにして、本開示が技術的手段を適用して技術的問題を解決し、技術的効果を達成する実現プロセスを完全に理解し、且つそれに応じて実施することができる。
【0018】
以下の説明では、本開示を完全に理解するために多くの具体的な詳細を説明するが、本開示は、ここに説明されるものとは異なる他の方法で実施することができ、従って、本開示の保護範囲は、以下に開示される具体的な実施例によって限定されない。
【0019】
(実施例1)
本開示の実施例は、電気インピーダンスイメージング方法を提供し、図1は、実施例1で提案される電気インピーダンスイメージング方法のフロー概略図を示す。図1に示されるように、当該電気インピーダンスイメージング方法は、次のような段階S110~段階S160を含むことができる。
【0020】
段階S110では、測定された人体領域の複数の測定時点での電気インピーダンス測定信号を取得する。
【0021】
ここで、電気インピーダンス測定では、まず測定された人体領域の周囲に電極アレイを固定する必要があり、電極アレイは、複数の電極を含み、次に電極アレイによって測定される人体領域を励起し、且つこれによって生成される応答を測定する。例えば、電極に電流励起を順番に印加し、他の電極でこれによって生成される電圧信号を測定することにより、電気インピーダンス測定信号を獲得する。
【0022】
複数の測定時点とは、連続した期間内に、測定される人体領域に対して電気インピーダンス測定を複数回実行することにより、複数の測定時点での電気インピーダンス測定信号を獲得することを指す。
【0023】
段階S120では、各測定時点での電気インピーダンス測定信号について、当該電気インピーダンス測定信号に基づいて、対応する瞬時微分画像を構築する。
【0024】
ここで、電気インピーダンス測定信号を獲得した後、電気インピーダンス測定信号に基づいて、対応する瞬時微分画像を構築することができる。五つの測定時点がある場合、五つの測定時点に対応する瞬時微分画像をそれぞれ獲得することができる。
【0025】
瞬時微分画像は、瞬時微分画像を再構築する測定時点で参照瞬間(例えば、呼気の終わりに対応する瞬間)に対する測定された人体領域の電気インピーダンス変化を反映することである。
【0026】
選択可能な実施形態において、段階S120における各測定時点での電気インピーダンス測定信号について、電気インピーダンス測定信号に基づいて、対応する瞬時微分画像を構築する段階は、次のような段階S121~段階S122を含む。
【0027】
段階S121では、各測定時点での電気インピーダンス測定信号について、当該電気インピーダンス測定信号から予め設定周波数範囲の信号を抽出する。
【0028】
段階S122では、各抽出された予め設定周波数範囲内の信号について、抽出された予め設定周波数範囲内の信号に基づいて、画像再構成アルゴリズムを使用して、対応する瞬時微分画像を構築する。
【0029】
ここで、段階S121において、信号の時間-周波数特性に従って、電気インピーダンス測定信号から予め設定周波数範囲内の信号を抽出し、当該予め設定周波数の範囲が換気周波数の範囲内の信号であり得る場合、抽出された信号は、換気関連信号であるか、または血液灌流周波数の範囲内の信号であり得る場合、抽出された信号は、血液灌流関連信号である。具体的には、フィルターを使用して、電気インピーダンス測定信号から予め設定周波数範囲内の信号を抽出することができる。
【0030】
予め設定周波数範囲内の信号を抽出した後、抽出された予め設定周波数範囲内の信号を使用して、画像再構成アルゴリズムによって、瞬時微分画像を構築する。画像再構成アルゴリズムは、線形最小二乗法等の微分再構築アルゴリズムであり得る。
【0031】
本実施形態では、線形最小二乗法を画像再構成アルゴリズムとして使用して、瞬時微分画像を再構築するが、当業者は、本開示では他の画像再構成アルゴリズムを使用することもできることを理解されたい。
【0032】
胸部血液灌流の瞬時微分画像再構築を例にすると、その再構築プロセスは、次のとおりであり得る。電気インピーダンス測定信号から予め設定周波数範囲内の信号、即ち、血液灌流関連信号を抽出し、次に当該血液灌流関連信号に基づいて、画像再構成アルゴリズムを用いて画像再構成を実行して、血液灌流画像を獲得する。
【0033】
段階S130では、複数の測定時点に対応する瞬時微分画像に基づいて、画像行列を構築し、当該画像行列中の各列は、一つの瞬時微分画像に対応するベクトルである。
【0034】
ここで、複数の測定時点に対応する瞬時微分画像を獲得した後、複数の測定時点に対応する瞬時微分画像を使用して、画像行列を構築する。当該画像行列は、
【数6】

であり、ここで、Iは、画像行列であり、a(t)は、最初の測定時点での瞬時微分画像に対応するベクトルであり、a(t)は、2番目の測定時点での瞬時微分画像に対応するベクトルであり、a(t)は、N番目の測定時点での瞬時微分画像に対応するベクトルである。
【0035】
段階S140では、画像行列に基づいて、当該画像行列に対応する共分散行列を決定する。
【0036】
ここで、画像行列を構築した後、即ち、当該画像行列の共分散行列を計算することができる。
【0037】
選択可能な実施形態において、前記画像行列に基づいて、画像行列に対応する共分散行列を決定する段階は、次のようなプロセスをさらに含む。
【0038】
画像行列に基づいて、第1の予め設定計算式を用いて、画像行列に対応する共分散行列を計算し、当該第1の予め設定計算式は、
【数7】

であり、ここで、Cは、共分散行列であり、Iは、画像行列であり、Tは、行列の転置行列であり、Iは、M*Nサイズの時間平均行列であり、当該時間平均行列中の各列の要素は、
【数8】

であり、ここで、Mは、各フレームの瞬時微分画像中のピクセルの数であり、Nは、測定時点での数であり、a(t)は、i番目の測定時点に対応する瞬時微分画像のベクトルである。
【0039】
ここで、各瞬時微分画像は、列ベクトルa(t)として表されることができ、ここで、tは、i番目の測定時点であり、i=1,2,…,N、Nは、測定時点での数である。ベクトルa(t)中の各要素は、画像中の一つのピクセル値を表す。当該画像行列は、
【数9】

であり、時間平均行列は、M*Nサイズの行列であり、当該行列中の各列の要素は、aである。第1の予め設定計算式によって、画像行列の共分散行列を計算することができる。
【0040】
段階S150では、共分散行列に従って、当該共分散行列の重みベクトルを獲得する。
【0041】
選択可能な実施形態において、前記共分散行列に従って当該共分散行列の重みベクトルを獲得する段階は、次のようなプロセスをさらに含む。
【0042】
共分散行列に従って、第2の予め設定計算式を用いて、当該共分散行列の重みベクトルを計算し、第2の予め設定計算式は、
【数10】

であり、ここで、wは、重みベクトルであり、wは、M*1サイズの列ベクトルであり、当該列ベクトル中の要素は、1または-1の値を取り、Tは、行列の転置行列であり、Cは、共分散行列である。
【0043】
ここで、重みベクトルwの解は、実際には0-1二次計画問題を解くことである。ここで、Mは、画像のピクセルの総数である。
【0044】
段階S160では、共分散行列および重みベクトルに基づいて、測定された人体領域の電気インピーダンス状態画像を獲得する。
【0045】
選択可能な実施形態において、前記共分散行列および重みベクトルに基づいて、測定された人体領域の電気インピーダンス状態画像を獲得する段階は、次のようなプロセスをさらに含む。
【0046】
共分散行列および重みベクトル基づいて、第3の予め設定計算式を用いて、測定された人体領域的電気インピーダンス状態画像を計算し、第3の予め設定計算式は、
【数11】

であり、ここで、aは、電気インピーダンス状態画像であり、Cは、共分散行列であり、wは、重みベクトルである。
【0047】
ここで、電気インピーダンス状態画像は、測定された人体領域の一定期間内の全体的な状態を反映できるため、観察者が画像を理解し、且つ測定された全体的な人体機能を把握するのに便利であり、測定された人体機能の後続の定性的および定量的分析を容易にする。
【0048】
図2は、人間の胸部の3次元血液灌流の電気インピーダンス状態画像の効果図を示す。図2に示されるように、当該電気インピーダンス状態画像は、一定期間内の人間の胸部の3次元血液灌流の電気インピーダンス状態画像を反映し、当該画像に基づいて、観察者が画像を理解し、且つ測定された人体血液灌流の全体的な状況を把握するのに便利であり、測定された人体機能の後続の定性的および定量的分析を容易にする。
【0049】
(実施例2)
本開示の実施例は、取得モジュール、画像構築モジュール、行列構築モジュール、共分散行列計算モジュール、重みベクトル計算モジュールおよび状態画像構築モジュールを含む、電気インピーダンスイメージングシステムをされに提供する。
【0050】
取得モジュールは、測定された人体領域の複数の測定時点での電気インピーダンス測定信号を取得するように構成される。
【0051】
画像構築モジュールは、各測定時点での電気インピーダンス測定信号について、当該電気インピーダンス測定信号に基づいて、対応する瞬時微分画像を構築するように構成される。
【0052】
行列構築モジュールは、複数の測定時点での瞬時微分画像に基づいて、画像行列を構築し、当該画像行列中の各列は、一つの瞬時微分画像に対応するベクトルであるように構成される。
【0053】
共分散行列計算モジュールは、画像行列に基づいて、当該画像行列に対応する共分散行列を決定するように構成される。
【0054】
重みベクトル計算モジュールは、共分散行列に従って、当該共分散行列の重みベクトルを獲得するように構成される。
【0055】
状態画像構築モジュールは、共分散行列および重みベクトル基づいて、測定された人体領域の電気インピーダンス状態画像を獲得するように構成される。
【0056】
(実施例3)
本開示の実施例は、記憶媒体をさらに提供し、当該記憶媒体には、プログラムコードが格納され、当該プログラムコードがプロセッサによって実行される場合、上記の実施例のいずれか1項に記載の電気インピーダンスイメージング方法を実現する。
【0057】
(実施例4)
本開示の実施例は、電子機器をさらに提供し、当該電子機器は、メモリおよびプロセッサを含み、メモリには、プロセッサで動作できるプログラムコードが格納され、当該プログラムコードがプロセッサによって実行される場合、上記の実施例のいずれか1項に記載の電気インピーダンスイメージング方法を実現する。
【0058】
以上、添付の図面と併せて本開示の技術的解決策を詳細に説明するが、関連技術では、瞬間的な電気インピーダンス変化画像が測定された人体の全体的な状態を反映することは困難である。そのため、本開示は、電気インピーダンスイメージング方法、システム、記憶媒体および電子機器を提供し、測定された人体領域の複数の測定時点での電気インピーダンス測定信号を介して、測定された人体機能の一定期間内の全体的な状態を反映できる電気インピーダンス状態画像を再構築する。本開示の実施例によって提供される電気インピーダンスイメージング方法を使用することによって、測定された人体機能の一定期間内の全体的な状態を反映する電気インピーダンス状態画像を獲得することができ、従って、観察者が画像を理解し、且つ測定された全体的な人体機能を把握するのに便利であり、測定された人体機能の後続の定性的および定量的分析を容易にすることが分かる。
【0059】
本出願によって提供されるいくつかの実施例において、開示された装置および方法は、他の方法で実現されることができることを理解されたい。例えば、上記で説明される装置の実施例は、例示にすぎず、例えば、ユニットの分割は、論理的な機能の分割のみにすぎず、実際の実現の場合、別の分割方法が存在する可能性があり、例えば、複数のユニットまたはコンポーネントを別のシステムに結合もしくは統合することができるか、または一部の機能を省略するか、もしくは実行しないことができる。
【0060】
分離されたコンポーネントとして説明されるユニットは、物理的に分離されているか、または分離されていない場合があり、ユニットとして表示されるコンポーネントは、物理的なユニットである場合もそうでない場合もあり、即ち、1か所に配置されることができるか、または複数のネットワークユニットに分布されることができる。実際の必要性に従って、そのうちの部分または全部を選択して、本開示の実施例の目的を実現することができる。
【0061】
さらに、本開示の各実施例における各機能ユニットは、一つの処理ユニットに統合されてもよく、各ユニットが物理的に別々に存在してもよく、または二つもしくはそれ以上のユニットが一つのユニットに統合される。上記の統合されたユニットは、ハードウェアの形で、またはソフトウェア機能ユニットの形で実現されることができる。
【0062】
統合されたユニットがソフトウェア機能ユニットの形で実現され、独立した製品として販売または使用される場合、一つのコンピュータ可読記憶媒体に格納されることができる。このような理解に基づいて、本開示の技術的解決策は、本質的にまたは先行技術への貢献の一部であるか、または当該技術的解決策の全部もしくは一部をソフトウェア製品の形態で具現化することができ、当該コンピュータソフトウェア製品が一つの記憶媒体に格納され、いくつかの命令が含まれて、電子機器(パソコン、サーバー、ネットワーク機器等であり得る)に本開示の各実施例における方法の段階のすべてもしくは一部を実行させる。前述の記憶媒体は、Uディスク、モバイルハードディスク、読み取り専用メモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、磁気ディスクまたは光ディスク等のプログラムコードを格納できる様々な媒体を含む。
【0063】
本開示で開示される実施形態は、上記のとおりであるが、前記内容は、本開示の理解を容易にするための例示であり、本開示を限定するものではない。本開示が属する技術分野の当業者は、本開示に開示される精神および範囲から逸脱することなく、実施の形態および詳細に任意に修正および変更を加えることができるが、本開示の保護範囲は、依然として添付の特許請求の範囲によって定義されなければならない。
図1
図2