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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】コンテンツ表示方法、及び放送システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/235 20110101AFI20240221BHJP
   H04N 21/435 20110101ALI20240221BHJP
   H04N 21/466 20110101ALI20240221BHJP
   H04H 60/07 20080101ALI20240221BHJP
   H04H 60/46 20080101ALI20240221BHJP
   H04H 60/65 20080101ALI20240221BHJP
   H04H 60/45 20080101ALI20240221BHJP
【FI】
H04N21/235
H04N21/435
H04N21/466
H04H60/07
H04H60/46
H04H60/65
H04H60/45
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019141486
(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公開番号】P2021027405
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】313000601
【氏名又は名称】日本テレビ放送網株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515223064
【氏名又は名称】株式会社LivePark
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【弁理士】
【氏名又は名称】宇高 克己
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 大吾
(74)【代理人】
【識別番号】100201341
【弁理士】
【氏名又は名称】畠山 順一
(72)【発明者】
【氏名】中曽根 貴良
(72)【発明者】
【氏名】品川 寛
(72)【発明者】
【氏名】森藤 大地
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-160818(JP,A)
【文献】特開2011-139480(JP,A)
【文献】国際公開第2017/183703(WO,A1)
【文献】特開2008-236794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
H04H 60/07
H04H 60/46
H04H 60/65
H04H 60/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送局の送信装置が、テレビ受信機に、前記テレビ受信機の視聴者の視聴履歴を取得させ、前記テレビ受信機の記憶装置に蓄積させる第1のプログラムを放送し、
前記放送局の送信装置が、前記テレビ受信機の記憶装置から視聴履歴を取得し、前記視聴履歴を用いて前記視聴者の視聴者属性又は嗜好を推定する第2のプログラムを、前記第1のプログラムの放送以降に放送し、
前記放送局の送信装置が、前記視聴者属性又は嗜好に対応した少なくとも一以上のコンテンツを放送し、
前記放送局の送信装置が、前記コンテンツのなかから、前記推定された視聴者属性又は嗜好に対応するコンテンツを表示する第3のプログラムを、前記第1のプログラムの放送以降に放送し、
前記テレビ受信機が、前記第1のプログラムを受信し、前記第1のプログラムに従って、前記視聴者の視聴履歴を取得し、前記記憶装置に蓄積し、
前記テレビ受信機が、前記第2のプログラムを受信し、前記第2のプログラムに従って、前記記憶装置から視聴履歴を取得し、前記視聴履歴を用いて前記視聴者の視聴者属性又は嗜好を推定し、
前記テレビ受信機が、前記コンテンツを受信して記憶し、
前記テレビ受信機が、前記第3のプログラムを受信し、前記第3のプログラムに従って、前記コンテンツのなかから、前記推定された視聴者属性又は嗜好に対応するコンテンツを表示し、
前記第2のプログラムは、前記テレビ受信機の視聴者の視聴履歴を入力とし、前記テレビ受信機の視聴者がターゲットとする視聴者属性又は嗜好を持つ確からしさを出力とする視聴推定モデルを含み、前記テレビ受信機に、記憶されている視聴履歴を前記視聴推定モデルに入力し、前記視聴者がターゲットとする視聴者属性又は嗜好を持つ確からしさを出力するものであり、
前記第3のプログラムは、前記確からしさが所定条件を満たす場合、前記ターゲットとする視聴者属性又は嗜好に対応するコンテンツを、本線映像に重畳して表示するプログラムであり、
前記第2のプログラム及び第3のプログラムは、前記ターゲットとする視聴者属性又は嗜好が異なる毎に放送される、
コンテンツ表示方法。
【請求項2】
前記第1、第2及び第3のプログラムと前記コンテンツとは、データ放送により、放送される
請求項1に記載のコンテンツ表示方法。
【請求項3】
前記第1のプログラムは、
特定視聴者の視聴者属性嗜好情報と前記特定視聴者の視聴履歴とを含む特定視聴者データの次元を削減して生成された、蓄積する視聴履歴データのテンプレートとなる視聴履歴テンプレートを含み、前記視聴履歴テンプレートを前記テレビ受信機に記憶させ、
前記テレビ受信機の視聴者の視聴履歴を取得し、取得した視聴履歴で、前記視聴履歴テンプレートに従って前記テレビ受信機の視聴履歴データを生成する
請求項2に記載のコンテンツ表示方法。
【請求項4】
前記視聴履歴データのデータ量が、前記テレビ受信機の記憶装置の容量以下となるように、前記視聴履歴テンプレートを決定する
請求項3に記載のコンテンツ表示方法。
【請求項5】
前記第2のプログラムは、
前記特定視聴者データを用いて生成された、前記テレビ受信機の視聴者の視聴履歴データを入力とし、前記テレビ受信機の視聴者がターゲットとする視聴者属性又は嗜好を持つ確からしさを出力とする視聴推定モデルを含み、
前記テレビ受信機に、記憶されている視聴履歴データを前記視聴推定モデルに入力し、
前記視聴者がターゲットとする視聴者属性又は嗜好を持つ確からしさを出力させる
請求項3又は請求項4に記載のコンテンツ表示方法。
【請求項6】
前記コンテンツが広告である
請求項1から請求項5のいずれかに記載のコンテンツ表示方法。
【請求項7】
放送局の送信装置が、テレビ受信機に、前記テレビ受信機の視聴者の視聴履歴を取得させ、前記テレビ受信機の記憶装置に蓄積させる第1のプログラムを放送し、
前記放送局の送信装置が、前記テレビ受信機の記憶装置から視聴履歴を取得し、前記視聴履歴を用いて前記視聴者の視聴者属性又は嗜好を推定する第2のプログラムを、前記第1のプログラムの放送以降に放送し、
前記放送局の送信装置が、前記視聴者属性又は嗜好に対応した少なくとも一以上のコンテンツを放送し、
前記放送局の送信装置が、前記コンテンツのなかから、前記推定された視聴者属性又は嗜好に対応するコンテンツを表示する第3のプログラムを、前記第1のプログラムの放送以降に放送し、
前記第2のプログラムは、前記テレビ受信機の視聴者の視聴履歴を入力とし、前記テレビ受信機の視聴者がターゲットとする視聴者属性又は嗜好を持つ確からしさを出力とする視聴推定モデルを含み、前記テレビ受信機に、記憶されている視聴履歴を前記視聴推定モデルに入力し、前記視聴者がターゲットとする視聴者属性又は嗜好を持つ確からしさを出力するものであり、
前記第3のプログラムは、前記確からしさが所定条件を満たす場合、前記ターゲットとする視聴者属性又は嗜好に対応するコンテンツを、本線映像に重畳して表示するプログラムであり、
前記第2のプログラム及び第3のプログラムは、前記ターゲットとする視聴者属性又は嗜好が異なる毎に放送される、
放送方法。
【請求項8】
テレビ受信機に、前記テレビ受信機の視聴者の視聴履歴を取得させ、前記テレビ受信機の記憶装置に蓄積させる第1のプログラムを放送する手段と、
前記テレビ受信機の記憶装置から視聴履歴を取得し、前記視聴履歴を用いて前記視聴者の視聴者属性又は嗜好を推定する第2のプログラムを、前記第1のプログラムの放送以降に放送する手段と、
前記視聴者属性又は嗜好に対応した少なくとも一以上のコンテンツを放送する手段と、
前記コンテンツのなかから、前記推定された前記視聴者属性又は嗜好に対応するコンテンツを表示する第3のプログラムを、前記第1のプログラムの放送以降に放送する手段と、
を備える放送局と、
前記第1のプログラムを受信し、前記第1のプログラムに従って、前記視聴者の視聴履歴を取得し、前記記憶装置に蓄積する手段と、
前記コンテンツを受信し、記憶する手段と、
前記第2のプログラムを受信し、前記第2のプログラムに従って、前記記憶装置から視聴履歴を取得し、前記視聴履歴を用いて前記視聴者の視聴者属性又は嗜好を推定する手段と、
前記第3のプログラムを受信し、前記第3のプログラムに従って、前記コンテンツのなかから、前記推定された視聴者属性又は嗜好に対応するコンテンツを表示する手段と、
を備えるテレビ受信機と、
を備え、
前記第2のプログラムは、前記テレビ受信機の視聴者の視聴履歴を入力とし、前記テレビ受信機の視聴者がターゲットとする視聴者属性又は嗜好を持つ確からしさを出力とする視聴推定モデルを含み、前記テレビ受信機に、記憶されている視聴履歴を前記視聴推定モデルに入力し、前記視聴者がターゲットとする視聴者属性又は嗜好を持つ確からしさを出力するものであり、
前記第3のプログラムは、前記確からしさが所定条件を満たす場合、前記ターゲットとする視聴者属性又は嗜好に対応するコンテンツを、本線映像に重畳して表示するプログラムであり、
前記第2のプログラム及び第3のプログラムは、前記ターゲットとする視聴者属性又は嗜好が異なる毎に放送される、
放送システム。
【請求項9】
テレビ受信機に、前記テレビ受信機の視聴者の視聴履歴を取得させ、前記テレビ受信機の記憶装置に蓄積させる第1のプログラムを放送する手段と、
前記テレビ受信機の記憶装置から視聴履歴を取得し、前記視聴履歴を用いて前記視聴者の視聴者属性又は嗜好を推定する第2のプログラムを、前記第1のプログラムの放送以降に放送する手段と、
前記視聴者属性又は嗜好に対応した少なくとも一以上のコンテンツを放送する手段と、
前記コンテンツのなかから、前記推定された前記視聴者属性又は嗜好に対応するコンテンツを表示する第3のプログラムを、前記第1のプログラムの放送以降に放送する手段と、
を備え、
前記第2のプログラムは、前記テレビ受信機の視聴者の視聴履歴を入力とし、前記テレビ受信機の視聴者がターゲットとする視聴者属性又は嗜好を持つ確からしさを出力とする視聴推定モデルを含み、前記テレビ受信機に、記憶されている視聴履歴を前記視聴推定モデルに入力し、前記視聴者がターゲットとする視聴者属性又は嗜好を持つ確からしさを出力するものであり、
前記第3のプログラムは、前記確からしさが所定条件を満たす場合、前記ターゲットとする視聴者属性又は嗜好に対応するコンテンツを、本線映像に重畳して表示するプログラムであり、
前記第2のプログラム及び第3のプログラムは、前記ターゲットとする視聴者属性又は嗜好が異なる毎に放送される、
放送局の送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、番組を視聴する際に視聴者の属性又は嗜好に合ったコンテンツを表示することができるコンテンツ表示方法及び放送システムである。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ受信機にもネットワーク接続の機能が設けられている。そして、テレビ受信機で取得した視聴履歴をサーバに送信し、視聴履歴を解析することによって、視聴者の属性や嗜好にあった広告が付されたコンテンツを配信する技術がある。
【0003】
しかし、視聴者の属性や視聴履歴は個人を特定する特定情報であり、視聴者の同意等が必要であり、手続きが煩雑である。また、多くのテレビ受信機にはネットワーク接続の機能が設けられているが、実際にネットワークに接続されているのは少数である。
【0004】
そこで、通信やネットワークを使わず、かつ、個人情報をコンテンツ提供者などのサーバに登録することなく、視聴者の属性情報に沿って広告情報を提供する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-219587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術は、テレビ受信機に登録された視聴者の属性情報と広告のメタデータとを比較することにより、視聴者に合致した広告を提供している。そして、視聴者の属性情報、例えば性別、年齢、職業、未既婚、趣味、嗜好などのプロファイル情報は、視聴者により、テレビ受信機に登録される(特許文献1の段落番号0021)。
【0007】
しかし、視聴者がテレビ受信機に、多くの属性情報を登録することは現実的ではない。
【0008】
そこで、通信を行うことなく、また、多くの属性情報をテレビ受信機に登録する必要もなく、視聴者の属性又は嗜好に合ったコンテンツを表示することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、テレビ受信機に、前記テレビ受信機の視聴者の視聴履歴を取得させ、前記テレビ受信機の記憶装置に蓄積させる第1のプログラムを放送し、前記テレビ受信機の記憶装置から視聴履歴を取得し、前記視聴履歴を用いて前記視聴者の視聴者属性又は嗜好を推定する第2のプログラムを放送し、前記視聴者属性又は嗜好に対応した少なくとも一以上のコンテンツを放送し、前記コンテンツのなかから、前記推定された視聴者属性又は嗜好に対応するコンテンツを表示する第3のプログラムを放送するコンテンツ表示方法である。
【0010】
本発明の一態様は、特定視聴者の視聴者属性嗜好情報と前記特定視聴者の視聴履歴とを含む特定視聴者データの次元を削減して生成された、蓄積する視聴履歴データのテンプレートとなる視聴履歴テンプレートを、放送し、テレビ受信機は、前記視聴履歴テンプレートを受信し、テレビ受信機は、前記視聴履歴テンプレートに従って、前記テレビ受信機の視聴者の視聴履歴を取得し、前記視聴者の視聴履歴により、前記視聴履歴データを更新し、前記特定視聴者データを用いて生成された、前記テレビ受信機の視聴者の視聴履歴データを入力とし、前記テレビ受信機の視聴者がターゲットとする視聴者属性又は嗜好を持つ確からしさを出力とする視聴推定モデルを、放送し、前記テレビ受信機は、前記視聴推定モデルを受信し、前記ターゲットとする視聴者属性又は嗜好に対応するコンテンツを放送し、前記テレビ受信機は、前記コンテンツを受信し、前記テレビ受信機は、記憶されている視聴履歴データを、前記視聴推定モデルに入力し、前記視聴者がターゲットとする視聴者属性又は嗜好を持つ確からしさを出力し、前記確からしさが所定条件を満たす場合、前記ターゲットとする視聴者属性又は嗜好に対応するコンテンツを、前記テレビ受信機に表示するコンテンツ表示方法である。
【0011】
本発明の一態様は、テレビ受信機に、前記テレビ受信機の視聴者の視聴履歴を取得させ、前記テレビ受信機の記憶装置に蓄積させる第1のプログラムを放送する手段と、前記テレビ受信機の記憶装置から視聴履歴を取得し、前記視聴履歴を用いて前記視聴者の視聴者属性又は嗜好を推定する第2のプログラムを放送する手段と、前記視聴者属性又は嗜好に対応した少なくとも一以上のコンテンツを放送する手段と、前記コンテンツのなかから、前記推定された前記視聴者属性又は嗜好に対応するコンテンツを表示する第3のプログラムを放送する手段とを有する放送システムである。
【発明の効果】
【0012】
通信を行うことなく、また、多くの属性情報をテレビ受信機に登録する必要もなく、視聴者の属性又は嗜好に合ったコンテンツを表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は本発明の実施の形態の概要を示すブロック図である。
図2図2は視聴履歴テンプレートの一例を示す図である。
図3図3は実施例のシーケンス図である。
図4図4は実施例のシーケンス図である。
図5図5は、視聴履歴テンプレートと、視聴履歴データを蓄積するプログラムとを、BML形式で記載した例である。
図6図6は、視聴履歴テンプレートと、視聴履歴データを蓄積するプログラムとを、BML形式で記載した例である。
図7図7は、視聴履歴テンプレートと、視聴履歴データを蓄積するプログラムとを、BML形式で記載した例である。
図8図8は各視聴者層(C層、T層、F1層、F2層、F3層、M1層、M2層、M3層)を推定する視聴推定モデル(関数の一例)を示した図である。
図9図9は各視聴者層(C層、T層、F1層、F2層、F3層、M1層、M2層、M3層)を推定する視聴推定モデル(関数の一例)を示した図である。
図10図10は第3のプログラムの一例である。
図11図11はテレビ受信機2の視聴者の視聴者層に合致したコンテンツが本線映像上に重畳されている例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1は本発明の実施の形態の概要を示すブロック図である。1は放送局、2はテレビ受信機、3はサーバ、4は通信ネットワークである。
【0016】
本発明の特徴は、放送局1からの放送波を受信するテレビ受信機2において、テレビ受信機2が通信ネットワーク4を介してサーバ3と通信を行うことなく、テレビ受信機2単体で、テレビ受信機2の視聴者の視聴者属性又は嗜好等の視聴者属性嗜好を推定し、推定した視聴者属性嗜好に対応するコンテンツを、テレビ受信機2に表示することにある。尚、視聴者属性嗜好は、直接的な視聴者の属性(性別、年齢、住所)、嗜好のみならず、視聴世帯、利用者、テレビ受信機の使い方、番組の見方、視聴者の行動や性格などの広く視聴者に関する情報を含むものとする。
【0017】
現状のテレビ受信機2の使用状況を鑑みると、視聴者の属性(性別、年齢、住所)や、嗜好に関する情報等は記録されていない。また、テレビ受信機2のデータの記憶容量及び処理能力を考慮すると、テレビ受信機2の視聴履歴を無制限に記録することもできず、また、大量のデータを処理して視聴者を推定することもできない。
【0018】
そこで、データ放送などを用いて、テレビ受信機2で動作させることが可能なプログラム(例えば、BML)を放送し、テレビ受信機2単独にて、視聴履歴の記録、視聴者属性の推定、コンテンツの選択表示の処理を行わせる。尚、放送には、マルチキャストのような一方向の通信も含む。
【0019】
テレビ局1から放送されるものは、第1、第2及び第3のプログラム、視聴者の視聴属性、嗜好に対応したコンテンツである。第1のプログラムは、テレビ受信機2に、視聴者の視聴履歴を、視聴履歴データとして蓄積させるプログラムである。第2のプログラムは、テレビ受信機2の記憶装置に蓄積されている視聴履歴データから、視聴者の属性、嗜好を推定するプログラムである。第3のプログラムは、推定した視聴者に対応したコンテンツを、テレビ受信機2に表示するものである。
【0020】
放送する順番であるが、テレビ受信機2に視聴者の視聴履歴データを蓄積する必要があるので、最初に放送する。第2のプログラム及び第3のプログラムは、少なくとも第2のプログラムの方が先に実行されるようにされていれば、同時でも良い。また、コンテンツは第3のプログラムとは別に、又は、含めて放送するようにしても良い。また、コンテンツのみ、通信から取得することも可能である。
【0021】
次に、第1、第2及び第3のプログラム、視聴者の視聴属性、嗜好に対応したコンテンツの詳細を説明する。
【0022】
第1のプログラムを説明する。
【0023】
まず、視聴履歴データを記録するためのテンプレートとなる視聴履歴テンプレートを作成する。この視聴履歴テンプレートは、ターゲットとする視聴者属性嗜好を持つ視聴者を推定することか可能なデータ粒度(視聴期履歴の記録内容)を持つ必要がある。一方、テレビ受信機2の記憶装置(NVRAM)に蓄積できるデータ量でなければならない。
【0024】
そこで、視聴者の視聴者属性及び嗜好情報と、それらと対応付けられた視聴履歴とを含む特定の視聴者のデータ(以下、特定視聴者データと記載する)を用意し、特定視聴者データの次元を削減(圧縮)し、ターゲットとする視聴者属性及び嗜好情報を推定するに必要な次元で、かつ、テレビ受信機2の記憶装置(NVRAM)に蓄積できるデータ量の視聴履歴テンプレートを生成する。
【0025】
ここで、特定視聴者データは、例えば、視聴者の同意を得て、ネットワーク4を介してサーバ3と通信を行うことができる一部のテレビ受信機2から視聴履歴を収集し、テレビ受信機2と連携した他の端末(例えば、スマートフォン)からテレビ受信機2の視聴者の視聴者属性(性別、年齢、住所)及び嗜好情報(例えば、アンケート等の回答により得られた情報)を収集し、それらの情報が対応付けられた情報である。
【0026】
視聴履歴テンプレートは、特定視聴者データの次元を、ターゲットとする視聴者属性嗜好を持つ視聴者を推定することか可能なまで削減し、テレビ受信機2の記憶装置(NVRAM)に蓄積する視聴履歴データのテンプレートであり、視聴履歴のデータ構造ともいえる。図2は視聴履歴テンプレートの一例を示す図である。図2の例では、月曜日から日曜日の各曜日を所定の時間帯に区分し、いずれかの時間帯に視聴者が番組を視聴した場合は、その視聴時間を蓄積する様なデータ構造がある。尚、視聴時間に限らず、視聴したことを示すフラグでも良い。また、特定の番組の視聴のみ記録するデータ構造でも良い。
【0027】
第1のプログラムは、視聴履歴テンプレートをテレビ受信機2の記憶装置(NVRAM)に記憶させる。そして、テレビ受信機2が視聴されると、視聴履歴を取得し、視聴履歴テンプレートを用いて視聴履歴データを記録、更新する。このような動作を、テレビ受信機2が視聴毎に行い、視聴履歴データを更新していくプログラムである。
【0028】
次に、第2のプログラムを説明する。
【0029】
第2のプログラムは、テレビ受信機2の記憶装置(NVRAM)の視聴履歴データから視聴者の視聴者属性嗜好を推定するプログラムである。これを実現するため、テレビ受信機2の記憶装置(NVRAM)の視聴履歴データから視聴者の視聴者属性嗜好を推定する視聴推定モデルを作成する。この視聴推定モデルは、特定視聴者データを教師データとして用い、テレビ受信機2の視聴者の視聴履歴データを入力とし、テレビ受信機2の視聴者がターゲットとする視聴者属性嗜好を持つ確からしさを出力とする視聴推定モデルである。
【0030】
ここで重要なのは、確からしさを出力する処理(視聴属性等を推定する処理)がテレビ受信機2の処理能力にあったものでなければならない。視聴推定モデルの例としては、行列演算、非線形演算などが考えられるが、最終的に一つ属性・嗜好データを決定するための関数であり、例えば、argmax(引数となるベクトル・行列の中で最も大きい値を持つインデックス=番号を返す)のような関数が含まれるケースが多く想定される。尚、視聴推定モデルは、ターゲットとする視聴者属性若しくは嗜好毎、又は、ひとつのモデルで、複数のターゲットとする視聴者属性若しくは嗜好を推定できるものでも良い。
【0031】
第2のプログラムは、この視聴推定モデルを用いて、テレビ受信機2に、テレビ受信機2の視聴者の属性がターゲットとする視聴者属性嗜好であるかを推定させるプログラムである。
【0032】
第3のプログラムを説明する。
【0033】
第3のプログラムは、第2のプログラムにより推定されたテレビ受信機2の視聴者属性に対応したコンテンツを選択し、テレビ受信機2に表示するものである。表示するコンテンツは、第3のプログラムに含めても良いし、第3のプログラムとは別に放送しても良い。尚、コンテンツには、対応する視聴者属性嗜好を識別する識別情報が付されている。
【0034】
コンテンツの代表的なものとしては、広告があるが、これに限られない。また、コンテンツは、テキスト、画像、映像など種類は問わない。また、コンテンツの取得方法も、放送に限られず、通信から取得することも可能である。
【0035】
第3のプログラムは、視聴推定モデルにより推定された視聴者属性嗜好に対応するコンテンツを選択し、選択したコンテンツを表示する。表示方法の態様の例としては、本線映像にコンテンツを重畳して表示する態様があるが、これに限られない。例えば、本線映像とコンテンツとを二画面で表示する方法などがある。
【0036】
次に、具体的な実施例を説明する。図3及び図4は、実施例のシーケンス図である。
【0037】
本例では、ターゲットとする視聴者属性を、視聴率調査で用いられる視聴者層の区分(C層(4-12歳の男女)、T層(13-19歳の男女)、F1層(20-34歳の女性)、F2層(35-49歳の女性)、F3層(50歳以上の女性)、M1層(20-34歳の男性)、M2層(35-49歳の男性)、M3層(50歳以上の男性))とする例を説明する。
【0038】
まず、サーバ3は、特定視聴者データを収集する。
【0039】
次に、特定視聴者データを次元削減し、ターゲットとする視聴者属性及び嗜好情報を推定するに必要な次元で、かつ、テレビ受信機2の記憶装置(NVRAM)に蓄積できるデータ量の視聴履歴テンプレートを生成する(Step1)。
【0040】
本例では、各視聴者層(C層、T層、F1層、F2層、F3層、M1層、M2層、M3層)を推定するに必要な視聴履歴テンプレートは、図2に示すように、月曜日から日曜日の各曜日を、3時間毎の時間帯に区分し、各曜日の時間帯には、その時間帯の視聴時間が記録される視聴履歴テンプレートである。尚、視聴履歴が記録される前の視聴履歴テンプレートの各時間帯の視聴時間は0である。
【0041】
また、テレビ受信機2に視聴履歴を取得させ、視聴履歴テンプレートに従って、その視聴履歴により視聴履歴データを更新するプログラムを作成する。
【0042】
そして、視聴履歴テンプレートと、視聴履歴テンプレートに従って視聴履歴データを更新・蓄積するプログラムとを含む第1のプログラムを作成する。図5図6及び図7は、視聴履歴テンプレートと、視聴履歴テンプレートに従った視聴履歴データの更新、蓄積するプログラムとを、BML形式で記載した例である。
【0043】
第1のプログラムは、放送局1からデータ放送により放送される(Step2)。第1のプログラムは、テレビ受信機2により受信される。テレビ受信機2は、視聴履歴テンプレートを記憶装置(NVRAM)に保存する(Step3)。
【0044】
視聴者がテレビ受信機2を視聴すると、テレビ受信機2では、第1のプログラムが起動され、視聴時間帯と視聴時間とを計測し、視聴履歴を取得する(Step4)。そして、その視聴履歴により、視聴履歴テンプレートに従って視聴履歴データを更新する(Step5)。更新された視聴履歴データは、記憶装置(NVRAM)に保存される(Step6)。
【0045】
次に、視聴推定モデルを作成する(Step7)。ここでは、視聴推定モデルは、テレビ受信機2の記憶装置に蓄積されている視聴履歴データを入力とし、各視聴者層(C層、T層、F1層、F2層、F3層、M1層、M2層、M3層)の確からしさを出力とする関数である。
【0046】
まず、特定視聴者データを用いて、ターゲットとする各視聴者層の視聴モデルを推定する。具体的には、特定視聴者データの視聴者属性(年齢、性別)と、その視聴履歴から、各層の視聴モデルを推定する。そして、各層の視聴モデルと比較する視聴履歴データとの相関性(類似性)を数値化する関数を作成する。この関数が視聴推定モデルとなる。
【0047】
図8及び図9は各視聴者層(C層、T層、F1層、F2層、F3層、M1層、M2層、M3層)を推定する視聴推定モデル(関数)であり、テレビ受信機2に記憶されている視聴履歴データの各値を変数とし、各視聴者層の相関値(類似値)が出力され、最大の出力値に対応する視聴者層を、テレビ受信機2の視聴者の視聴者属性と推定する例である。但し、最大の出力値が所定値を超えるものでない場合は、該当する視聴者層がないとする。これが第2のプログラムとなる。尚、図8に記載されている数値は、あくまでも一例にすぎない。
【0048】
放送局1は、第2のプログラムを放送する(Step8)。
【0049】
テレビ受信機2は、第2のプログラムを受信する。そして、テレビ受信機2は、第2のプログラムを実行し、記憶装置(NVRAM)から視聴履歴データを取得する(Step9)。
【0050】
続いて、テレビ受信機2は、取得した視聴履歴データを視聴推定モデルに入力し、各視聴者層の相関値を出力する(Step10)。そして、最大の出力値に対応する視聴者層を、テレビ受信機2の視聴者の視聴者層と推定する(Step11)。尚、最も大きい出力値が、所定の値を超えない場合は、いずれの視聴者層に属さないとする。
【0051】
続いて、放送局1は、第3のプログラムを放送する(Step12)。
【0052】
第3のプログラムは、第2のプログラムにより、推定された視聴者層(C層、T層、F1層、F2層、F3層、M1層、M2層、M3層)に対応するコンテンツを、本線映像に重畳して出力するプログラムである。本例では、各視聴者層のコンテンツも第3のプログラムに含まれている例を説明するが、各視聴者層のコンテンツは、別途、放送により送信しても良い。
【0053】
図10は第3のプログラムの一例である。図10の例では、C層のコンテンツは"小さなお子様に"、T層層のコンテンツは"学生生活の彩りに"、M1層のコンテンツは"休日もタフに"、M2層のコンテンツは"たまの休みに"、M3層のコンテンツは"いつまでも健康に"、F1層のコンテンツは"華やかさの中に"、F2層のコンテンツは"毎日の生活に"、F3層のコンテンツは"健康に美しく"、いずれの視聴者層にもあてはまらない場合のコンテンツは"元気いっぱい"であり、これらのコンテンツのうち、推定された視聴者層に対応するコンテンツを、本線映像上に重畳する例である。
【0054】
テレビ受信機2は、第3のプログラムを受信する。テレビ受信機2は、第3のプログラムを実行し、推定されたテレビ受信機2の視聴者の視聴者層に対応するコンテンツを選択する(Step13)。そして、選択したコンテンツを本線映像に重畳する(Step14)。
【0055】
図11はコンテンツを本線映像に重畳して表示した例を示すものであり、ひとつは、視聴者の視聴者層がC層の場合であり、他方はM3層の場合を示している。視聴者の視聴者層がC層と推定されたテレビ受信機2には本線映像にコンテンツ"小さなお子様に"が重畳されて表示されており、M3層と推定されたテレビ受信機2には本線映像にコンテンツ"いつまでも健康に"が重畳されて表示されている例を示している。
【0056】
このように、本実施の形態によれば、テレビ受信機が視聴履歴をサーバに送信することなく、また、視聴者自らが視聴者の属性等を登録する必要なく、テレビ受信機単体で、視聴者の視聴者属性や嗜好等を改定することができる。そして、視聴者の視聴者属性や嗜好等に適したコンテンツを、視聴者に提供することができる。
【0057】
実施の形態の変形例を説明する。
【0058】
(実施の形態の変形例1)
上述した実施の形態では、第1のプログラムは、テレビ受信機2に、視聴者の視聴履歴を、視聴履歴データとして蓄積させるプログラム、第2のプログラムは、テレビ受信機2の記憶装置に蓄積されている視聴履歴データから、視聴者の属性、嗜好を推定するプログラム、第3のプログラムは、推定した視聴者に対応したコンテンツを、テレビ受信機2に表示するプログラムとして説明した。
【0059】
しかし、視聴履歴テンプレートを別途送信し、第1のプログラムは視聴履歴テンプレートに従って視聴履歴データを更新するプログラムだけでも良く、また、第2のプログラムと第3のプログラムとをひとつのプログラムとして放送するようにしても良い。
【0060】
このように、プログラムの内容は、適時、変更しても良い。
【0061】
(実施の形態の変形例2)
視聴履歴データは、長期間に渡って視聴履歴を取得し、更新することにより、より正確な視聴者推定を行うことができると思われる。また、ひとつの視聴履歴データにより、様々な視聴者推定を行うことも可能である。
【0062】
従って、第1のプログラムの放送した後は、それぞれターゲットする視聴者属性又は嗜好毎に第2、第3のプログラムのみ放送するようにしても良い。
【0063】
(実施の形態の変形例3)
テレビ受信機2に記録された視聴履歴テンプレートに加えて、新たな視聴履歴テンプレートを追加し、又は変更することも可能である。例えば、上述した実施の形態では、視聴履歴テンプレートの一例として、月曜日から日曜日の各曜日を所定の時間帯に区分し、いずれかの時間帯に視聴者が番組を視聴した場合は、その視聴時間を蓄積する例を示したが、これに加えて、特別な嗜好を示す番組の視聴履歴を特徴的な視聴履歴として別途受像機の別領域に記録することも可能である。
【0064】
これらの視聴履歴は、特別な嗜好情報の推薦に有効な情報として扱うことができる。例えば、特定の歌手や俳優が出演している番組の視聴回数のみを記録することで、その特定の歌手や俳優に関心が高い視聴者とそうでない視聴者に、コンテンツの出し分けができる。尚、特定の番組を視聴したかを判別するには、既知の技術を用いることができるが、例えば、番組の放送とともにデータ放送により、イベントメッセージを送信する。視聴者がその番組を視聴すれば、イベントメッセージを受信することができるので、このイベントメッセージの受信により、その番組を視聴者が視聴したかを判別できる。
【0065】
また、ある特定の会社の広告の視聴回数を受像機に蓄積しておくことで、視聴回数に応じた異なる表現を提供することもできる。例えば、広告を視聴する度に、物語が進む、といった視聴者の視聴経験に応じたコンテンツを提供することができる。
【0066】
(実施の形態の変形例4)
第3のプログラムは、聴者属性嗜好にあったコンテンツを選択し、表示するものである。しかし、コンテンツを表示し、視聴者のそのコンテンツを視聴したという事実は視聴履歴として有用である。
【0067】
そこで、第3のプログラムが聴者属性嗜好にあったコンテンツを、テレビ受信機に表示した場合、そのコンテンツをテレビ受信機に表示したことを示す視聴履歴を記録するようにしても良い。そして、後日の視聴者推定の際に用いるようにする。
【0068】
(実施の形態の変形例5)
上述した実施の形態では、視聴履歴テンプレートや視聴推定モデルの生成に、特定視聴者データを用いる場合を説明した。
【0069】
しかし、近年の推定手法の発達により、視聴者の個人が特定されていない大量の非特定視聴者データを用いることにより、特定視聴者データのように、視聴者属性又は嗜好に対応する視聴傾向を推定することができる。
【0070】
従って、視聴履歴テンプレートや視聴推定モデルの生成に、特定視聴者データと特定視聴者データとの双方を用いることも可能である。更に、非特定視聴者データだけを用いて、視聴履歴テンプレートや視聴推定モデルの生成することも可能である。
【0071】
(実施の形態の変形例6)
上述した実施の形態では、テレビ受信機2が通信ネットワークに接続されていないことを前提に説明した。
【0072】
しかし、テレビ受信機2が通信ネットワークに接続されている場合、聴者属性嗜好にあったコンテンツをテレビ受信機に表示した場合、そのログを記録し、表示ログサーバに送信するように構成しても良い。
【0073】
このような構成にすることにより、各表示ログを集計して、どの聴者属性嗜好にどのようなコンテンツを表示したかの報告を、コンテンツのスポンサー等に報告することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 放送局
2 テレビ受信機
3 サーバ
4 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11