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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20240221BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/1368
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019052629
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2019207397
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2018101624
(32)【優先日】2018-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520272868
【氏名又は名称】武漢天馬微電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】今野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】池野 英徳
(72)【発明者】
【氏名】杉本 光弘
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/012092(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0076725(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0069422(KR,A)
【文献】国際公開第2016/143686(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0078257(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0021396(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0206824(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0033666(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1343
G02F 1/136-1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子基板と、
前記素子基板に対向する対向基板と、
前記素子基板と前記対向基板との間に挟まれている液晶と、
前記素子基板の前記液晶に対向する面上に、前記液晶の画素領域それぞれに電界を印加する複数の電極セットと、を含み
前記複数の電極セットのそれぞれは、
前記液晶の配向軸に沿って延び、前記配向軸と垂直な第2軸に沿って離間して配列されている複数の第1電極と、
前記配向軸に沿って延び、前記第2軸に沿って前記複数の第1電極と交互に離間して配列された、複数の第2電極と、
前記第2軸に沿って延び、前記配向軸に沿って離間して配列されている複数の第3電極と、
前記第2軸に沿って延び、前記配向軸に沿って前記複数の第3電極と交互に離間して配列された、複数の第4電極と、を含み、
前記複数の第1電極及び前記複数の第3電極それぞれに、駆動電位が与えられ、
前記複数の第2電極及び前記複数の第4電極それぞれに、共通電位が与えられ、
前記複数の第3電極のそれぞれは、前記複数の第2電極よりも前記液晶の近い層に位置し、前記複数の第2電極それぞれと絶縁層を介して交差し、
前記複数の第4電極のそれぞれは、前記複数の第1電極よりも前記液晶の近い層に位置し、前記複数の第1電極それぞれと絶縁層を介して交差し、
前記複数の第3電極と前記複数の第2電極との交差部それぞれにおいて、前記第3電極の幅は一定であり、
前記複数の第4電極と前記複数の第1電極との交差部それぞれにおいて、前記第4電極の幅は一定であり、
前記複数の第1電極、前記複数の第2電極、前記複数の第3電極、及び前記複数の第4電極は、複数の区画を画定し、
前記複数の区画のそれぞれは、前記配向軸に沿って延びている対向2辺と、前記配向軸及び前記第2軸に傾斜して延びている対向2辺と、を含む、
液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示装置であって、
各第1電極及び各第3電極の少なくとも一方は、
各第1電極及び各第3電極の前記少なくとも一方が延びる第1方向に交互に配列された、複数の第1部と複数の第2部とを含み、
前記複数の第1部のそれぞれは、それぞれ前記配向軸及び前記第2軸に傾斜して延びている前記対向2辺の一つである4辺を含み、
前記複数の第2部のそれぞれは、前記第1方向に延びる一定幅の線状であり、
各第2電極及び各第4電極の少なくとも一方は、
各第2電極及び各第4電極の前記少なくとも一方が延びる第2方向に交互に配列された、複数の第3部と複数の第4部とを含み、
前記複数の第3部のそれぞれは、それぞれ前記配向軸及び前記第2軸に傾斜して延びている前記対向2辺の一つである4辺を含み、
前記複数の第4部のそれぞれは、前記第2方向に延びる一定幅の線状である、
液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液晶表示装置であって、
前記複数の第1電極のそれぞれは、一定幅の線状であり、
前記複数の第2電極のそれぞれは、一定幅の線状であり、
前記複数の第3電極のそれぞれは、
前記第2軸に沿って交互に配列された、複数の第1部と複数の第2部とを含み、
前記複数の第1部のそれぞれは、それぞれ前記配向軸及び前記第2軸に傾斜して延びている対向2辺の一つである4辺を含み、
前記複数の第2部のそれぞれは、前記第2軸に沿って延びる一定幅の線状であり、
前記複数の第4電極のそれぞれは、
前記第2軸に沿って交互に配列された、複数の第3部と複数の第4部とを含み、
前記複数の第3部のそれぞれは、それぞれ前記配向軸及び前記第2軸に傾斜して延びている対向2辺の一つである4辺を含み、
前記複数の第4部のそれぞれは、前記第2軸に沿って延びる一定幅の線状である、
液晶表示装置。
【請求項4】
素子基板と、
前記素子基板に対向する対向基板と、
前記素子基板と前記対向基板との間に挟まれている液晶と、
前記素子基板の前記液晶に対向する面上に、前記液晶の画素領域それぞれに電界を印加する複数の電極セットと、を含み
前記複数の電極セットのそれぞれは、
前記液晶の配向軸に沿って延び、前記配向軸と垂直な第2軸に沿って離間して配列されている複数の第1電極と、
前記配向軸に沿って延び、前記第2軸に沿って前記複数の第1電極と交互に離間して配列された、複数の第2電極と、
前記第2軸に沿って延び、前記配向軸に沿って離間して配列されている複数の第3電極と、
前記第2軸に沿って延び、前記配向軸に沿って前記複数の第3電極と交互に離間して配列された、複数の第4電極と、を含み、
前記複数の第1電極及び前記複数の第3電極それぞれに、駆動電位が与えられ、
前記複数の第2電極及び前記複数の第4電極それぞれに、共通電位が与えられ、
前記複数の第3電極のそれぞれは、前記複数の第2電極よりも前記液晶の近い層に位置し、前記複数の第2電極それぞれと絶縁層を介して交差し、
前記複数の第4電極のそれぞれは、前記複数の第1電極よりも前記液晶の近い層に位置し、前記複数の第1電極それぞれと絶縁層を介して交差し、
前記複数の第3電極と前記複数の第2電極との交差部それぞれにおいて、前記第3電極の幅は一定であり、
前記複数の第4電極と前記複数の第1電極との交差部それぞれにおいて、前記第4電極の幅は一定であり、
前記複数の第1電極の及び前記複数の第3電極は、同一層に位置し、
前記複数の第1電極のそれぞれは、前記複数の第3電極それぞれと交差部において連続している、
液晶表示装置。
【請求項5】
素子基板と、
前記素子基板に対向する対向基板と、
前記素子基板と前記対向基板との間に挟まれている液晶と、
前記素子基板の前記液晶に対向する面上に、前記液晶の画素領域それぞれに電界を印加する複数の電極セットと、を含み
前記複数の電極セットのそれぞれは、
前記液晶の配向軸に沿って延び、前記配向軸と垂直な第2軸に沿って離間して配列されている複数の第1電極と、
前記配向軸に沿って延び、前記第2軸に沿って前記複数の第1電極と交互に離間して配列された、複数の第2電極と、
前記第2軸に沿って延び、前記配向軸に沿って離間して配列されている複数の第3電極と、
前記第2軸に沿って延び、前記配向軸に沿って前記複数の第3電極と交互に離間して配列された、複数の第4電極と、を含み、
前記複数の第1電極及び前記複数の第3電極それぞれに、駆動電位が与えられ、
前記複数の第2電極及び前記複数の第4電極それぞれに、共通電位が与えられ、
前記複数の第3電極のそれぞれは、前記複数の第2電極よりも前記液晶の近い層に位置し、前記複数の第2電極それぞれと絶縁層を介して交差し、
前記複数の第4電極のそれぞれは、前記複数の第1電極よりも前記液晶の近い層に位置し、前記複数の第1電極それぞれと絶縁層を介して交差し、
前記複数の第3電極と前記複数の第2電極との交差部それぞれにおいて、前記第3電極の幅は一定であり、
前記複数の第4電極と前記複数の第1電極との交差部それぞれにおいて、前記第4電極の幅は一定であり、
前記複数の第3電極それぞれは、前記複数の第1電極よりも上層に位置する浮遊電極であり、
前記複数の第3電極それぞれが前記複数の第1電極それぞれと重なる面積は、前記複数の第3電極それぞれが前記複数の第2電極それぞれと重なる面積及び前記複数の第3電極それぞれが前記複数の第4電極それぞれと重なる面積よりも大きく、
前記複数の第3電極は、前記複数の第1電極を介して前記駆動電位が与えられる、
液晶表示装置。
【請求項6】
素子基板と、
前記素子基板に対向する対向基板と、
前記素子基板と前記対向基板との間に挟まれている液晶と、
前記素子基板の前記液晶に対向する面上に、前記液晶の画素領域それぞれに電界を印加する複数の電極セットと、を含み
前記複数の電極セットのそれぞれは、
前記液晶の配向軸に沿って延び、前記配向軸と垂直な第2軸に沿って離間して配列されている複数の第1電極と、
前記配向軸に沿って延び、前記第2軸に沿って前記複数の第1電極と交互に離間して配列された、複数の第2電極と、
前記第2軸に沿って延び、前記配向軸に沿って離間して配列されている複数の第3電極と、
前記第2軸に沿って延び、前記配向軸に沿って前記複数の第3電極と交互に離間して配列された、複数の第4電極と、を含み、
前記複数の第1電極及び前記複数の第3電極それぞれに、駆動電位が与えられ、
前記複数の第2電極及び前記複数の第4電極それぞれに、共通電位が与えられ、
前記複数の第3電極のそれぞれは、前記複数の第2電極よりも前記液晶の近い層に位置し、前記複数の第2電極それぞれと絶縁層を介して交差し、
前記複数の第4電極のそれぞれは、前記複数の第1電極よりも前記液晶の近い層に位置し、前記複数の第1電極それぞれと絶縁層を介して交差し、
前記複数の第3電極と前記複数の第2電極との交差部それぞれにおいて、前記第3電極の幅は一定であり、
前記複数の第4電極と前記複数の第1電極との交差部それぞれにおいて、前記第4電極の幅は一定であり、
前記複数の第3電極のそれぞれは、前記複数の第1電極の少なくとも一つとの交差部に形成された層間接続部を介して、前記複数の第1電極の少なくとも一つに物理的に接続されている、
液晶表示装置。
【請求項7】
素子基板と、
前記素子基板に対向する対向基板と、
前記素子基板と前記対向基板との間に挟まれている液晶と、
前記素子基板の前記液晶に対向する面上に、前記液晶の画素領域それぞれに電界を印加する複数の電極セットと、を含み
前記複数の電極セットのそれぞれは、
前記液晶の配向軸に沿って延び、前記配向軸と垂直な第2軸に沿って離間して配列されている複数の第1電極と、
前記配向軸に沿って延び、前記第2軸に沿って前記複数の第1電極と交互に離間して配列された、複数の第2電極と、
前記第2軸に沿って延び、前記配向軸に沿って離間して配列されている複数の第3電極と、
前記第2軸に沿って延び、前記配向軸に沿って前記複数の第3電極と交互に離間して配列された、複数の第4電極と、を含み、
前記複数の第1電極及び前記複数の第3電極それぞれに、駆動電位が与えられ、
前記複数の第2電極及び前記複数の第4電極それぞれに、共通電位が与えられ、
前記複数の第3電極のそれぞれは、前記複数の第2電極よりも前記液晶の近い層に位置し、前記複数の第2電極それぞれと絶縁層を介して交差し、
前記複数の第4電極のそれぞれは、前記複数の第1電極よりも前記液晶の近い層に位置し、前記複数の第1電極それぞれと絶縁層を介して交差し、
前記複数の第3電極と前記複数の第2電極との交差部それぞれにおいて、前記第3電極の幅は一定であり、
前記複数の第4電極と前記複数の第1電極との交差部それぞれにおいて、前記第4電極の幅は一定であり、
前記複数の第1電極のそれぞれは、一定幅の線状であり、
前記複数の第2電極のそれぞれは、一定幅の線状であり、
前記複数の第1電極及び前記複数の第2電極は、異なる層に配置されている、
液晶表示装置。
【請求項8】
液晶と、
1つの基板上に配置され、前記液晶の画素領域それぞれに電界を印加する複数の電極セット、を含み、
前記複数の電極セットのそれぞれは、
駆動電位が与えられる第1電極と、
絶縁層を介して前記第1電極と重畳して配置され、共通電位が与えられる第2電極と、
を含み、
前記第1電極は、
行列状に配列され、相互に離間して配列された複数の交差部と、
行方向に沿って離間して配列された2つの交差部を接続する行接続部と、
列方向に沿って離間して配列された2つの交差部を接続する列接続部と、
前記交差部と前記行接続部と前記列接続部とにより画定される開口部と、
を含み、
前記第2電極は、前記開口部に重畳する部分において、前記開口部の重心に形成された円形の複数の孔を有する、
液晶表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載の液晶表示装置であって、
前記第1電極は、複数の前記開口部を含み、
複数の開口部の各々は、
列方向において隣り合う、第1交差部と第2交差部と、
列方向において隣り合い、かつ、それぞれが第1、第2交差部と行方向において隣り合う第3交差部と第4交差部と、
前記第1、第2交差部を接続する第1列接続部と、
前記第3、第4交差部を接続する第2列接続部と、
前記第1、第3交差部を接続する第1行接続部と、
前記第2、第4交差部を接続する第2行接続部と、
により画定される、
液晶表示装置。
【請求項10】
液晶と、
1つの基板上に配置され、前記液晶の画素領域それぞれに電界を印加する複数の電極セット、を含み、
前記複数の電極セットのそれぞれは、
駆動電位が与えられる第1電極と、
絶縁層を介して前記第1電極と重畳して配置され、共通電位が与えられる第2電極と、
を含み、
前記第1電極は、
行列状に配列され、相互に離間して配列された複数の交差部と、
行方向に沿って離間して配列された2つの交差部を接続する行接続部と、
列方向に沿って離間して配列された2つの交差部を接続する列接続部と、
前記交差部と前記行接続部と前記列接続部とにより画定される開口部と、
を含み、
前記第2電極は、前記開口部に重畳する部分に形成された複数の孔を有し、
更に、前記第2電極の複数の孔と重畳して配置され、駆動電位が与えられる第3電極を含み、
前記第3電極は、前記第2電極よりも前記液晶に対して遠い層に位置する、
液晶表示装置。
【請求項11】
請求項10に記載の液晶表示装置であって、
前記第3電極は、行方向又は列方向に沿って伸びる、複数の櫛歯部を含み、
前記櫛歯部と、前記櫛歯部に沿って配列された複数の孔とが重畳する、
液晶表示装置。
【請求項12】
液晶と、
1つの基板上に配置され、前記液晶の画素領域それぞれに電界を印加する複数の電極セット、を含み、
前記複数の電極セットのそれぞれは、
駆動電位が与えられる第1電極と、
絶縁層を介して前記第1電極と重畳して配置され、共通電位が与えられる第2電極と、
を含み、
前記第1電極は、
行列状に配列され、相互に離間して配列された複数の交差部と、
行方向に沿って離間して配列された2つの交差部を接続する行接続部と、
列方向に沿って離間して配列された2つの交差部を接続する列接続部と、
前記交差部と前記行接続部と前記列接続部とにより画定される開口部と、
を含み、
前記第2電極は、前記開口部に重畳する部分において、前記開口部の重心に形成され、前記行方向及び前記列方向に対して傾斜した4辺からなる四角形の複数の孔を有する、
液晶表示装置。
【請求項13】
液晶と、
1つの基板上に配置され、前記液晶の画素領域それぞれに電界を印加する複数の電極セット、を含み、
前記複数の電極セットのそれぞれは、
駆動電位が与えられる第1電極と、
絶縁層を介して前記第1電極と重畳して配置され、共通電位が与えられる第2電極と、
を含み、
前記第1電極は、液晶の配向軸に平行な第1軸又は前記第1軸に対して垂直な第2軸に沿って伸び、相互に離間する複数の延伸部を含み、
前記複数の延伸部の各々は、前記第2軸において相互に離間して隣り合い、前記第1軸及び前記第2軸に対して傾いている辺を含む交差部と、前記相互に離間して隣り合う交差部を接続する接続部とを含み、
前記複数の延伸部に含まれる複数の第1種延伸部の各々の交差部は、前記第1軸に沿って直線上に配置され、
前記複数の延伸部に含まれる複数の第2種延伸部の各々の交差部は、前記第1軸に沿って直線上に配置され、
第1種延伸部の交差部の、前記第2軸における位置と、第2種延伸部の交差部の、前記第2軸における位置とが異なり、
第1種延伸部と第2種延伸部とは第1軸方向において隣り合う、
液晶表示装置。
【請求項14】
請求項13に記載の液晶表示装置であって、
複数の前記交差部は、第1軸に沿って直線上に配置され、前記直線上に配置され相互に離間して隣接する交差部が接続部を介して接続する、
液晶表示装置。
【請求項15】
請求項13に記載の液晶表示装置であって、
複数の前記交差部の少なくとも1つの交差部は、
前記第1軸の第1方向に伸び、前記第1方向において隣接する延伸部に含まれる接続部に接続しない第1凸部と、
前記第1軸の第1方向と逆方向の第2方向に伸び、前記第2方向において隣接する延伸部に含まれる接続部に接続しない第2凸部とを含む、
液晶表示装置。
【請求項16】
液晶と、
1つの基板上に配置され、前記液晶の画素領域それぞれに電界を印加する複数の電極セット、を含み、
前記複数の電極セットのそれぞれは、
駆動電位が与えられる第1電極と、
絶縁層を介して前記第1電極と重畳して配置され、共通電位が与えられる第2電極と、
駆動電位が与えられる第3電極と、を含み、
前記第1電極は、前記第2電極よりも前記液晶に対して近い層に位置し、
前記第1電極は、第2軸に沿って離間して配列され、第1軸に沿って延伸する波状の延伸部を複数含み、
前記第2電極は、前記第1軸に沿って離間して配列され、前記第2軸に沿う開口部を複数含み、
前記第3電極は、前記第2電極よりも前記液晶に対して遠い層に位置する、
液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄型・軽量という特徴から多くの分野において利用されている。中でも自動車の近年の電子化に伴い、1台当たりの採用枚数が増加してきている。表示装置に対して広視野角が求められている場合には、横方向電界型液晶表示装置が使用されることが多い。
【0003】
自動車が利用され得る環境温度は、非常に広い範囲にあるため、液晶表示装置に求められる動作温度範囲は、-30℃~80℃と非常に広い。最近、サイドミラーやバックミラーなどのへの液晶表示装置の適用が開始されつつある。液晶表示装置は、自動車の外部に設置したカメラからの映像を滑らかに表示する必要があるため、相応の応答速度がすべての温度範囲において要求される。
【0004】
液晶表示装置の応答速度は、温度の低下共に遅くなるが、液晶表示装置は、低温領域においても、動画を表示するための必要な応答速度が要求される。応答速度は、一般に、立ち上がり時間(τon)と立ち下り時間(τoff)の和(τon+τoff)で表わされる。したがって、立ち上がり時間及び立ち下り時間の双方の短縮が必要である。
【0005】
液晶材料の低粘度化や液晶層の狭ギャップ化により、応答速度を改善することができる。しかし、現状、これらのみで、十分な応答速度を得ることが困難である。液晶の応答速度は、画素電圧印加時(ON時)には、液晶の弾性エネルギとそれに対抗する電圧との関係で決まる。無電圧時(OFF時)、液晶の応答速度は、液晶の弾性エネルギによる状態の回復速度である。オーバードライブ駆動により、立ち上がり時間を短縮することが可能である。一方、立ち下がり速度は、弾性による自然な回復力のみで決まり、通常のセル構造は、回復速度を短縮することが困難である。
【0006】
OFF時の液晶の状態の回復の起点は、液晶層の上下に配置された配向膜により方向が固定されている液晶分子である。従って、液晶分子が初期状態に戻るための起点を増加させることで、OFF時に回復速度を改善し、応答速度を向上させることができる。このような観点において、例えば米国特許第6452657号は、特定のIPS(In Plane Switching)構造を開示する。この構造は、画素内において駆動電極と共通電極で囲まれた小区画における液相分子の回転方向が各々異なり、小区画境界の液晶分子が回転することなく安定し、疑似的に壁として作用することで、応答速度を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第6452657号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記構造は、液晶の初期配向方向と電極の突起部間にかかる電界方向とが直交するため、電界によって液晶分子が初期配向から回転する方向は、状況に応じて異なり、安定した配向を得ることができない。また、液晶に流動が発生した場合、設計された回転方向と異なる回転方向で液晶分子が固定されてしまう可能性がある。また、近年液晶パネルの表示面上に、指により指示位置に触れるポインティングデバイスが実装されることが多くなってきており、指により液晶表示パネルが押されることによる液晶の流動の発生の可能性が高くなっている。したがって、横電界方式の液晶表示パネルにおいて、液晶の配向の安定化が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一例は、素子基板と、前記素子基板に対向する対向基板と、前記素子基板と前記対向基板との間に挟まれている液晶と、前記素子基板の前記液晶に対向する面上に、前記液晶の画素領域それぞれに電界を印加する複数の電極セットと、を含み前記複数の電極セットのそれぞれは、前記液晶の配向軸に沿って延び、前記配向軸と垂直な第2軸に沿って離間して配列されている複数の第1電極と、前記配向軸に沿って延び、前記第2軸に沿って前記複数の第1電極と交互に離間して配列された、複数の第2電極と、前記第2軸に沿って延び、前記配向軸に沿って離間して配列されている複数の第3電極と、前記第2軸に沿って延び、前記配向軸に沿って前記複数の第3電極と交互に離間して配列された、複数の第4電極と、を含み、前記複数の第1電極及び前記複数の第3電極それぞれに、駆動電位が与えられ、前記複数の第2電極及び前記複数の第4電極それぞれに、共通電位が与えられ、前記複数の第3電極のそれぞれは、前記複数の第2電極よりも前記液晶の近い層に位置し、前記複数の第2電極それぞれと絶縁層を介して交差し、前記複数の第4電極のそれぞれは、前記複数の第1電極よりも前記液晶の近い層に位置し、前記複数の第1電極それぞれと絶縁層を介して交差し、前記複数の第3電極と前記複数の第2電極との交差部それぞれにおいて、前記第3電極の幅は一定であり、前記複数の第4電極と前記複数の第1電極との交差部それぞれにおいて、前記第4電極の幅は一定である。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様は、横電界方式の液晶表示パネルにおいて、液晶の配向の安定化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】液晶表示装置の構成例を模式的に示す。
図2】液晶表示装置の断面構造を模式的に示す。
図3A】一つの画素の画素回路の平面図である。
図3B】下層共通電極、下層駆動電極、上層共通電極及び上層駆動電極の構造の詳細を説明するための図である。
図3C】画素回路の電極構造の一部及び画素領域内で形成される電界を模式的に示す。
図3D図3CにおけるIIID-IIID切断線での断面図であり、
図3E図3CにおけるIIIE-IIIE切断線での断面図である。
図3F】画素電圧の印加により液晶分子が動かない部分を模式的に示す。
図4】実施形態2に係る電極構造を模式的に示す平面図である。
図5A】実施形態3に係る電極構造を模式的に示す平面図である。
図5B】下層共通電極、下層駆動電極、上層共通電極及び上層駆動電極の構造の詳細を説明するための図である。
図5C図5BのVC-VC切断線での断面図である。
図5D図5BのVD-VD切断線での断面図である。
図6A】実施形態4に係る電極構造を模式的に示す平面図である。
図6B図6AのVIB-VIB切断線での断面図である。
図6C図6AのVIC-VIC切断線での断面図である。
図7A】実施形態5に係る電極構造を模式的に示す平面図である。
図7B図7AのVIB-VIB切断線での断面図である。
図7C図7AのVIC-VIC切断線での断面図である。
図8A】実施形態6に係る電極構造を模式的に示す平面図である。
図8B】下層共通電極、下層駆動電極、上層共通電極及び上層駆動電極の構造の詳細を説明するための図である。
図8C図8BのVIIIC-VIIIC切断線での断面図である。
図8D図8BのVIIID-VIIID切断線での断面図である。
図9】実施形態7に係る電極構造を模式的に示す平面図である。
図10A】実施形態8に係る電極構造を模式的に示す平面図である。
図10B】下層共通電極、下層駆動電極、上層共通電極及び上層駆動電極の構造の詳細を説明するための図である。
図10C図10BのXC-XC切断線での断面図である。
図10D図10BのXD-XD切断線での断面図である。
図11】画素内電極構造の例を示す。
図12】画素内電極構造の例を示す。
図13】画素内電極構造の例を示す。
図14A】実施形態10に係る電極構造を模式的に示す平面図である。
図14B】上層駆動電極401、共通電極501の構造を詳細に説明する図である。
図14C図14BのXIVC-XIVC切断線での断面図である。
図14D図14BのXIVD-XIVD切断線での断面図である
図15A】実施形態11に係る電極構造を模式的に示す平面図である。
図15B】上層駆動電極、共通電極、下層駆動電極の形状、液晶分子の動作を詳細に説明する図である。
図15C図15BのXVC-XVC切断線での断面図である。
図15D図15BのXVD-XVD切断線での断面図である。
図16A】実施形態12に係る電極構造を模式的に示す平面図である。
図16B】上層駆動電極の形状、液晶分子の動作を詳細に説明する図である。
図16C図16BのXVIC-XVIC切断線での断面図である。
図16D図16BのXVID-XVID切断線での断面図である。
図17A】実施形態13に係る電極構造を模式的に示す平面図である。
図17B】上層駆動電極404の形状、液晶分子の動作を詳細に説明する図である。
図17C図17BのXVIIC-XVIIC切断線での断面図である。
図17D図17BのXVIID-XVIID切断線での断面図である。
図18A】実施形態14に係る電極構造を模式的に示す平面図である。
図18B】液晶分子の動作を詳細に説明する図である。
図18C図18BのXVIIC-XVIIC切断線での断面図である
図18D図18BのXVIID-XVIID切断線での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。本実施形態は本開示を実現するための一例に過ぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。
【0013】
<実施形態1>
図1は、液晶表示装置10の構成例を模式的に示す。液晶表示装置10は、液晶表示パネルと制御装置とを含む。液晶表示パネルは、薄膜トランジスタと液晶に電界を印加するための電極が形成されるTFT(Thin Film Transistor)基板100と、対向基板200と、TFT基板100と対向基板200とを接合するシール部150を含む。TFT基板100と対向基板200との間には、液晶材料が封入されている。
【0014】
TFT基板100の表示領域125の外側に、走査ドライバ131及びドライバIC134が配置されている。ドライバIC134は、FPC(Flexible Printed Circuit)135を介して外部のデバイスと接続される。走査ドライバ131及びドライバIC134は制御装置に含まれる。
【0015】
走査ドライバ131はTFT基板100の走査線を駆動する。ドライバIC134は、例えば、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を用いて実装される。ドライバIC134は、走査ドライバ131に電源及びタイミング信号(制御信号)を与え、さらに、データ線に映像データに対応する信号を与える。すなわち、ドライバIC134は、表示制御機能を有する。
【0016】
図2は、液晶表示装置10の断面構造を模式的に示す。図2は、液晶表示装置10の一部構成を示し、バックライトユニットを含む一部構成は省略されている。液晶表示パネルは、TFT100と、TFT基板100に対向する対向基板200と、を含む。TFT基板100と対向基板200との間には、液晶層111が挟まれている。液晶表示装置10はさらに不図示のバックライトユニットを含む。
【0017】
TFT基板100は、絶縁基板102を含む。絶縁基板102は、ガラス又は樹脂からなる絶縁性の透明基板である。絶縁基板102は、例えば矩形であり、その一つの主面が対向基板200の一つの主面と対向している。絶縁基板102の液晶層111と反対側の主面上に、偏光板101が取り付けられている。
【0018】
絶縁基板102の液晶層111に対する主面上には、液晶層111に電界を与えるための駆動電極(画素電極とも呼ばれる)103と共通電極(対向電極とも呼ばれる)104とが配列されている。駆動電極103と共通電極104との各ペアが、一つの画素の液晶に電界を与える。与えられえる電界によって、画素の透過光量が変化する。絶縁基板102上には、制御する画素を選択するための不図示のTFTアレイが形成されている。
【0019】
図2に示す構成例は、横電界制御型液晶表示装置である。横電界制御型液晶表示装置は、例えば、IPS(In-Plane Switching)型又はFFS(Fringe-Field Switching)型液晶表示装置である。図2においては、複数の画素のうちの一つ画素の駆動電極及び共通電極のみが、それぞれ符号103及び104で指示されている。
【0020】
駆動電極103と共通電極104を含む電極層を覆うように、配向膜105が積層されている。配向膜105は液晶層111と接触して、無電界時の液晶分子の配列状態(初期配向)を規定する。
【0021】
図2の構成例において、対向基板200は、カラーフィルタ(CF)を含むCF基板である。なお、対向基板200はカラーフィルタを含まなくてもよい。対向基板200は、ガラス又は樹脂からなる絶縁基板114を含む。絶縁基板114は、例えば矩形である。絶縁基板114の液晶層111と反対側の主面上に、偏光板142が取り付けられている。
【0022】
絶縁基板114の液晶層111の側の主面上に、画素を画定する格子状のブラックマトリックス124が積層されている。ブラックマトリックス124は、例えば、黒色樹脂又は、クロム系材料を用いた金属薄膜である。赤、緑、青のいずれかのカラーフィルタ123が、ブラックマトリックス124で囲まれている各画素の領域に形成されている。
【0023】
カラーフィルタ123上に、絶縁性のオーバコート層122が積層されている。オーバコート層122は省略されてもよい。オーバコート層122上に、配向膜121が積層されている。配向膜121は、液晶層111に接触し、無電界時の液晶分子の配列状態(初期配向)を規定する。
【0024】
不図示のバックライトユニットが、液晶表示パネルの背面(後側)に配置される。TFT基板100又は対向基板200の一方が、画像を視認するユーザが存在する前側であり、他方が後側である。つまり、バックライトユニットは、図2が示す液晶表示パネルのTFT基板100側又は対向基板200側に配置される。
【0025】
液晶層111は、各画素におけるバックライトユニットからの光の透過量を、駆動電極103と共通電極104との間の電界に応じて制御する。ドライバIC134は、各画素の駆動電極103と共通電極104それぞれの電位を制御する。ドライバIC134は、画像データに応じて、各画素の駆動電極103と共通電極104それぞれの電位を制御して、画素の透過光量を制御する。
【0026】
以下において、画素回路における電極構造の例を説明する。以下に説明する例は、横電界方式の画素回路であり、液晶層111に電界を与える電極は、TFT基板100に含まれている。図3A~3Fは、画素内の電極構造の一例を示す。
【0027】
図3Aは、一つの画素の画素回路の平面図である。画素回路300は、X軸に沿って延び、Y軸に沿って離間して配列された共通線304A、304B(の一部)、Y軸に沿って延びるデータ線301(の一部)、及びX軸に沿って延びるゲート線302(の一部)を含む。共通線304A、304B、データ線301及びデータ線301に隣接する不図示のデータ線が、画素領域を画定する。画素領域において、液晶層111に印加される電界によって光の透過量が変化する。
【0028】
画素回路300は、下層共通電極321A、321B及び321Cを含む。下層共通電極321A、321B及び321Cは、それぞれ、Y軸に沿って延び、X軸に沿って離間して配列されている。下層共通電極321A、321B及び321Cは、それぞれ、線状であり、その幅(X軸に沿った長さ)は一定である。下層共通電極321A、321B及び321Cの一端は、共通線304Bに繋がっている。
【0029】
共通線304B(の一部)並びに共通電極321A、321B及び321Cは、一つの櫛状電極を構成する。下層共通電極321A、321B及び321Cは、それぞれ、櫛状電極の歯に対応する。
【0030】
画素回路300は、下層駆動電極312A、312B及び312Cを含む。下層駆動電極312A、312B及び312Cは、それぞれ、Y軸に沿って延び、X軸に沿って離間して配列されている。下層駆動電極312A、312B及び312Cは、それぞれ、線状であり、その幅(X軸に沿った長さ)は一定である。
【0031】
下層駆動電極312A、312B及び312C並びに下層共通電極321A、321B及び321Cは、交互に離間してX軸に沿った方向に配列されている。具体的には、下層駆動電極312A、下層共通電極321A、下層駆動電極312B、下層共通電極321B、下層駆動電極312C、及び下層共通電極321Cの順で、図3Aにおける右から左に離間して配列されている。
【0032】
下層駆動電極312A、312B及び312Cの一端は、下層駆動電極根元部311に繋がっている。下層駆動電極根元部311は、X軸に沿った方向に延びている。下層駆動電極根元部311並びに下層駆動電極312A、312B及び312Cは、一つの櫛状電極を構成する。下層駆動電極312A、312B及び312Cは、それぞれ、櫛状電極の歯に対応する。
【0033】
下層駆動電極根元部311は、TFTのソース/ドレイン電極と繋がっており、当該ソース/ドレイン電極(の少なくとも一部)は、TFTのチャネル部303の平面視において重なっている。チャネル部303は、平面視において、ゲート線302に重なっている。TFTのもう一方のソース/ドレイン電極は、データ線301に繋がっている。
【0034】
画素回路300は、上層共通電極324A、324B及び324Cを含む。上層共通電極324A、324B及び324Cは、それぞれ、X軸に沿って延び、Y軸に沿って離間して配列されている。上層共通電極324A、324B及び324Cの一端は、Y軸に沿って延びる上層共通電極根元部323に繋がっている。上層共通電極根元部323は、コンタクト部(層間接続部)322によって、共通線304Aに物理的かつ電気的に接続されている。
【0035】
画素回路300は、上層駆動電極315A、315B及び315Cを含む。上層駆動電極315A、315B及び315Cは、それぞれ、X軸に沿って延び、Y軸に沿って離間して配列されている。上層駆動電極315A、315B及び315Cの一端は、Y軸に沿って延びる上層駆動電極根元部314に繋がっている。上層駆動電極根元部314は、コンタクト部(層間接続部)313によって、下層駆動電極根元部311に物理的かつ電気的に接続されている。
【0036】
上層駆動電極315A、315B及び315C並びに上層共通電極324A、324B及び324Cは、交互に離間して軸に沿った方向に配列されている。具体的には、上層駆動電極315A、上層共通電極324A、上層駆動電極315B、上層共通電極324B、上層駆動電極315C、及び上層共通電極324Cの順で、図3Aにおける上から下に離間して配列されている。初期配向方向361は、配向膜105、121による液晶層111の配向軸に沿った方向であって、Y軸に沿っている。
【0037】
図3Bは、下層共通電極、下層駆動電極、上層共通電極及び上層駆動電極の構造の詳細を説明するための図である。図3Bは、下層共通電極321A、321B、下層駆動電極312A、312B、312C、上層共通電極324A及び上層駆動電極315Bを例として示す。
【0038】
上層共通電極324Aは菱形部331A、331B及び線状部332A、332B、332Cを含む。菱形部331A、331B及び線状部332A、332B、332Cは、X軸に沿った方向において交互に配列されている。
【0039】
菱形部331A、331Bそれぞれの二つの角は、X軸に沿って対向し、他の二つの角はY軸に沿って対向している。平面視において、各菱形部と一つの下層共通電極とは、交差している。菱形部(の一部)は、平面視において、一つの下層共通電極(の一部)と重なっている。図3Bの例において、菱形部331Aは下層共通電極321Aと重なり、菱形部331Bは下層共通電極321Bと重なっている。
【0040】
線状部は一つ又は二つの菱形部の角に繋がっている。線状部の幅に対し、菱形部の最大の幅は2倍以上である。図3Bにおいて、線状部332B、332Cはそれぞれ二つの菱形部を連結している。線状部332Aは、一つの菱形部331Aのみに繋がっている。線状部の最小幅は2~3μm程度が好ましい。
【0041】
線状部332A、332B、332CはX軸に沿った方向の延びており、その幅(Y軸方向に沿った長さ)は一定である。したがって、線状部332A、332B、332Cの対向する2辺はX軸に沿って延びている。平面視において、一つの線状部と一つの下層駆動電極とは、交差している。一つの線状部(の一部)は、平面視において、一つの下層駆動電極と重なっている。図3Bの例において、線状部332Aは下層駆動電極312Aと重なり、線状部332Bは下層駆動電極312Bと重なり、線状部332Cは下層駆動電極312Cと重なっている。
【0042】
上層駆動電極315Bは菱形部335A、335B、335C及び線状部336A、336Bを含む。菱形部335A、335B、335C及び線状部336A、336Bは、X軸に沿った方向において交互に配列されている。
【0043】
菱形部335A、335B、335Cそれぞれの二つの角は、X軸に沿って対向し、他の二つの角はY軸に沿って対向している。平面視において、各菱形部と一つの下層駆動電極とは、交差している。菱形部(の一部)は、平面視において、一つの下層駆動電極(の一部)と重なっている。図3Bの例において、菱形部335Aは下層駆動電極312Aと重なり、菱形部335Bは下層駆動電極312Bと重なっている。
【0044】
線状部は一つ又は二つの菱形部の角に繋がっている。線状部の幅に対し、菱形部の最大の幅は2倍以上である。図3Bにおいて、線状部336A、336Bはそれぞれ二つの菱形部を連結している。線状部の幅は2~3μm程度が好ましい。線状部336A、336BはX軸に沿った方向の延びており、その幅(Y軸方向に沿った長さ)は一定である。したがって、線状部336A、336Bの対向する2辺はX軸に沿って延びている。
【0045】
平面視において、一つの線状部と一つの下層共通電極とは、交差している。一つの線状部(の一部)は、平面視において、一つの下層共通電極と重なっている。図3Bの例において、線状部336Aは下層共通電極321Aと重なり、線状部336Bは下層共通電極321Bと重なっている。
【0046】
画素領域は、下層共通電極、下層駆動電極、上層共通電極及び上層駆動電極によって複数の小区画に分割されている。図3Bの例において、二つの小区画が、符号347A及び347Bで指示されている。各小区画は、下層共通電極、下層駆動電極、上層共通電極及び上層駆動電極によって画定されている。
【0047】
例えば、小区画347Aは、下層共通電極321A、下層駆動電極312A、上層共通電極324A及び上層駆動電極315Bによって画定されている。小区画347Bは、下層共通電極321A、下層駆動電極312B、上層共通電極324A及び上層駆動電極315Bによって画定されている。
【0048】
各小区画は、Y軸(配向軸)に沿って延びている対向2辺と、Y軸及びY軸に垂直なX軸に傾斜して延びている対向2辺と、を含む。例えば、小区画347AのY軸に沿った対向する2辺は、下層駆動電極312A及び下層共通電極321Aの対向する2辺である。小区画347AのY軸及びX軸に傾斜して延びている対向2辺は、上層共通電極324Aの菱形部331Aの一辺と、上層駆動電極315Bの菱形部335Aの一辺である。
【0049】
小区画347BのY軸に沿った対向する2辺は、下層駆動電極312B及び下層共通電極321Aの対向する2辺である。小区画347BのY軸及びX軸に傾斜して延びている対向2辺は、上層共通電極324Aの菱形部331Aの一辺と、上層駆動電極315Bの菱形部335Bの一辺である。
【0050】
図3Cは、画素回路の電極構造の一部及び画素領域内で形成される電界を模式的に示す。図3Dは、図3CにおけるIIID-IIID切断線での断面図であり、図3Eは、図3CにおけるIIIE-IIIE切断線での断面図である。IIID-IIID切断線はX軸に沿っており、IIIE-IIIE切断線はY軸に沿っている。
【0051】
図3D及び3Eに示すように、下層駆動電極312A、312B、312C及び下層共通電極321A、321Bは、同一層に配置されており、絶縁層353上に配置されている。絶縁層351は、下層駆動電極312A、312B、312C及び下層共通電極321A、321Bを覆う。上層共通電極324A、324B及び上層駆動電極315B、315Cは同一層に配置されており、絶縁層351上に配置されている。同様の説明が、全ての上層駆動電極、上層共通電極、下層駆動電極及び下層共通電極に適用される。
【0052】
図3Aに戻って、例えば、データ線301は、上層共通電極及び上層駆動電極より上層に配置されている。チャネル部303は、下層駆動電極及び下層共通電極よりも下層に配置されている。ゲート線302及び共通線304Aは、チャネル部303より下層の同一層に配置されている。
【0053】
電極及び配線は金属で構成されている。例えば、駆動電極及び共通電極は、ITOやIZOのような透明導体で形成することができる。駆動電極、共通電極、ゲート線、データ線及び共通線は、例えば、クロム、モリブデン、アルミ及びチタンから選択した単一金属又は合金からなる単層構造を有することができる。これらは、積層構造を有し、各層が単一金属又は合金から形成されていてもよい。異なる金属層の間に絶縁層が配置されており、例えば、窒化シリコンや酸化シリコンで構成されている。画素回路の要素のため、設計に応じて適切な導体材料又は絶縁材料が選択される。
【0054】
図3Cに示すように、下層駆動電極、下層共通電極、上層駆動電極及び上層共通電極が画定する小区画内で、液晶分子341を回転させる電界(一部が符号342で指示)が生成されている。上述のように、上層駆動電極及び上層共通電極は、菱形部を含み、菱形部はX軸及びY軸に対して傾いている辺を含む。
【0055】
小区画を画定する辺は、Y軸に沿って延びる下層共通電極の辺及び下層駆動電極の辺、並びに、上層共通電極の菱形部の一辺と上層駆動電極の菱形部の一辺とを含む。Y軸に沿って延びる下層共通電極の辺とX軸及びY軸に対して傾いている上層駆動電極の辺とにより、X軸及びY軸に対して傾く広い斜め電界が形成される。また、Y軸に沿って延びる下層駆動電極の辺とX軸及びY軸に対して傾いている上層共通電極の辺とにより、X軸及びY軸に対して傾く広い斜め電界が形成される。斜め電界は、画素電圧印加時の応答速度を速める(応答時間を短縮する)ことができる。一例において、菱形部の辺とX軸及びY軸との間の角度は45度である。
【0056】
一方、下層共通電極と上層駆動電極の線状部との交差部は、Y軸(配向軸)に沿った電界(一部が符号343Aで指示)を形成する。同様に、下層駆動電極と上層共通電極の線状部との交差部は、Y軸(配向軸)に沿った電界(一部が符号343Bで指示)を形成する。このように、配向軸沿った電界は、液晶分子341の向きを初期配向方向361に固定する。
【0057】
図3Fは、画素電圧の印加により液晶分子341が動かない部分346を模式的に示す。部分346は格子形状を有している。部分346は、下層駆動電極又は下層共通電極の中心と重なりY軸に沿って延びX軸に沿って離間して配列される部分と、上層駆動電極又は上層共通電極の中心と重なりX軸に沿って延びY軸に沿って離間して配列される部分とで構成されている。部分346により画定されている矩形状の区画は、それぞれ、画素領域の小区画(例えば347A及び347B)を含む。
【0058】
上述のように、碁盤の目状に液晶分子が回転しない部分346が形成されることで、画素電圧のON/OFFに対する液晶分子の安定動作が得られる。
【0059】
上記例と異なり、下層駆動電極が菱形部と線状部を含み、上層駆動電極が線状であってもよく、下層共通電極が菱形部と線状部を含み、上層共通電極が線状であってもよい。上層駆動電極及び下層駆動電極の双方が線状、つまり、上層駆動電極及び下層駆動電極の双方がストライプ状であってもよい。上層共通電極及び下層共通電極の双方が線状、つまり、上層共通電極及び下層共通電極の双方がストライプ状であってもよい。これらの点は他の実施形態で同様である。
【0060】
<実施形態2>
図4は、実施形態2に係る電極構造を模式的に示す平面図である。以下において、実施形態1との相違点を主に説明する。図4に示すように、実施形態1の構成における駆動電極の根元部314及び共通電極の根元部323は省略されている。上層駆動電極315A、315B及び315Cは、いずれの導体からも離間し、絶縁体が囲まれ、電気的に浮いている(浮遊電極)。同様に、上層共通電極324A、324B及び324Cは、いずれの導体からも離間し、絶縁体が囲まれ、電気的に浮いている(浮遊電極)。
【0061】
上層駆動電極315A、315B及び315Cが下層共通電極321A、321B及び321Cと重なる面積よりも、上層駆動電極315A、315B及び315Cが下層駆動電極312A、312B及び312Cと重なる面積が大きい。上層駆動電極315A、315B及び315Cは、下層駆動電極312A、312B及び312Cに容量結合しており、下層駆動電極312A、312B及び312Cを介して駆動電位(画素電位)が与えられる。
【0062】
上層共通電極324A、324B及び324Cが下層駆動電極312A、312B及び312Cと重なる面積よりも、上層共通電極324A、324B及び324Cが下層共通電極321A、321B及び321Cと重なる面積が大きい。上層共通電極324A、324B及び324Cは、下層共通電極321A、321B及び321Cに容量結合しており、下層共通電極321A、321B及び321Cを介して共通電位が与えられる。
【0063】
本実施形態は、上層駆動電極が下層駆動電極と容量結合され、上層共通電極が下層共通電極と容量結合されているので、上層駆動電極と下層駆動電極とを導体で相互接続する構成が不要であり、上層共通電極と下層共通電極とを導体で相互接続する構成が不要である。なお、上層駆動電極又は上層共通電極の一方のみが容量結合により駆動電位又は共通電位を与えられてもよい。
【0064】
<実施形態3>
図5Aは、実施形態3に係る電極構造を模式的に示す平面図である。図5Bは、下層共通電極、下層駆動電極、上層共通電極及び上層駆動電極の構造の詳細を説明するための図である。図5C及び5Dは、それぞれ、図5BのVC-VC切断線での断面図及びVD-VD切断線での断面図である。以下においては、実施形態1との相違点を主に説明する。
【0065】
実施形態1の構成における駆動電極の根元部314及び共通電極の根元部323は省略されている。上層駆動電極315A、315B及び315Cは、下層駆動電極312A、312B及び312Cと、画素領域内のそれらとの交差部に形成されたコンタクト部(層間接続部)371により物理的かつ電気的に接続されている。図5A~5Dにおいて、一つのコンタクト部が例として符号371で指示されている。
【0066】
上層共通電極324A、324B及び324Cは、下層共通電極321A、321B及び321Cと、画素領域内のそれらとの交差部に形成されたコンタクト部(層間接続部)372により物理的かつ電気的に接続されている。図5A~5Dにおいて、一つのコンタクト部が例として符号372で指示されている。
【0067】
本実施形態の構成により、上層駆動電極及び上層共通電極それぞれに、駆動電位及び共通電位を与えることができる。なお、各上層駆動電極は、少なくとも一つの下層駆動電極とコンタクト部371により接続されていればよく、各上層共通電極は、少なくとも一つの下層共通電極とコンタクト部372により接続されていればよい。駆動電極又は共通電極の一方のみが、交差部のコンタクト部で同電位に維持されてもよい。他方は、例えば、容量結合されていてもよい。
【0068】
<実施形態4>
図6Aは、実施形態4に係る電極構造を模式的に示す平面図である。図6Bは、図6AのVIB-VIB切断線での断面図である。図6Cは、図6AのVIC-VIC切断線での断面図である。以下において、実施形態1又は実施形態2との相違点を主に説明する。
【0069】
下層共通電極321A、321B、及び321Cと、下層駆動電極312A、312B、及び312Cは、異なる層に配置されている。具体的には、下層駆動電極312A、312B、及び312Cは、下層共通電極321A、321B、及び321Cより上層に配置されている。下層駆動電極312A、312B、及び312Cと下層共通電極321A、321B、及び321Cとの間に絶縁層351が存在する。下層駆動電極312A、312B、及び312Cは、絶縁層351上に形成されている。
【0070】
絶縁層352は、下層駆動電極312A、312B、及び312Cと、上層駆動電極315A、315B、315C及び上層共通電極324A、324B、324Cとの間に配置されている。絶縁層352は、下層駆動電極312A、312B、及び312Cを覆っている。上層駆動電極315A、315B、315C及び上層共通電極324A、324B、324Cは、絶縁層352上に配置されている。
【0071】
本実施形態の構成により、下層駆動電極312A、312B、312Cと下層共通電極321A、321B、321Cのピッチを狭くしても、電極間ショートを確実に避けることができる。
【0072】
<実施形態5>
図7Aは、実施形態5に係る電極構造を模式的に示す平面図である。図7Bは、図7AのVIB-VIB切断線での断面図である。図7Cは、図7AのVIC-VIC切断線での断面図である。以下において、実施形態3との相違点を主に説明する。
【0073】
下層共通電極321A、321B、及び321Cと、下層駆動電極312A、312B、及び312Cは、異なる層に配置されている。具体的には、下層駆動電極312A、312B、及び312Cは、下層共通電極321A、321B、及び321Cより上層に配置されている。下層駆動電極312A、312B、及び312Cと下層共通電極321A、321B、及び321Cとの間に絶縁層351が存在する。下層駆動電極312A、312B、及び312Cは、絶縁層351上に形成されている。
【0074】
絶縁層352は、下層駆動電極312A、312B、及び312Cと、上層駆動電極315A、315B、315C及び上層共通電極324A、324B、324Cとの間に配置されている。絶縁層352は、下層駆動電極312A、312B、及び312Cを覆っている。上層駆動電極315A、315B、315C及び上層共通電極324A、324B、324Cは、絶縁層352上に配置されている。
【0075】
本実施形態の構成により、下層駆動電極312A、312B、312Cと下層共通電極321A、321B、321Cのピッチを狭くしても、電極間ショートを確実に避けることができる。
【0076】
<実施形態6>
図8Aは実施形態6に係る電極構造を模式的に示す平面図である。図8Bは、下層共通電極、下層駆動電極、上層共通電極及び上層駆動電極の構造の詳細を説明するための図である。図8Cは、図8BのVIIIC-VIIIC切断線での断面図である。図8Dは、図8BのVIIID-VIIID切断線での断面図である。以下において、実施形態1との相違点を主に説明する。
【0077】
実施形態1において二つの層に分離された駆動電極312A、312B、312C及び駆動電極315A、315B、315Cは、同層に配置されている。さらに、駆動電極312A、312B、312Cは、それぞれ、駆動電極315A、315B、315Cとの交差部において連続している。駆動電極の根元部314及びコンタクト部313は省略されている。駆動電極312A、312B、312C及び駆動電極315A、315B、315Cは、例えば、一つの金属膜をパターニングすることで同時に形成することができる。
【0078】
図8C及び8Dに示すように、駆動電極312A、312B、312C、315A、315B、315Cは、下層共通電極321A、321B、321Cと、上層共通電極324A、324B、324Cとの間に配置されている。絶縁層351は、駆動電極312A、312B、312C、315A、315B、315Cと、下層共通電極321A、321B、321Cと、の間に配置されている。絶縁層35は、駆動電極312A、312B、312C、315A、315B、315Cと、上層共通電極324A、324B、324Cと、の間に配置されている。
【0079】
X軸に沿っての延びる駆動電極315A、315B、315Cそれぞれの各線状部は、下層共通電極321A、321B、321Cの一つと絶縁層352を介して交差している。Xに沿って延びる上層共通電極324A、324B、324Cそれぞれの各線状部は、駆動電極312A、312B、312Cの一つと絶縁層351を介して交差している。
【0080】
本実施形態の電極構造は、実施形態1と同様の電界を形成することができる。本実施形態は、より効率的な製造を可能とする。なお、駆動電極と共通電極とを入れ替えてもよい。具体的には、全ての共通電極は、同層に配置され、X軸に沿って延びる共通電極それぞれが、Y軸に沿って延びる共通電極と交差部において連続する。共通電極は、絶縁層を介して、上層駆動電極と下層駆動電極に挟まれる。
【0081】
<実施形態7>
図9は実施形態7に係る電極構造を模式的に示す平面図である。以下において、実施形態6との相違点を主に説明する。上層共通電極の根元部323が省略されている。実施形態2のように、上層共通電極324A、324B及び324Cは、いずれの導体からも離間し、絶縁体が囲まれ、電気的に浮いている(浮遊電極)。
【0082】
上層共通電極324A、324B及び324Cが下層駆動電極312A、312B及び312Cと重なる面積よりも、上層共通電極324A、324B及び324Cが下層共通電極321A、321B及び321Cと重なる面積が大きい。上層共通電極324A、324B及び324Cは、下層共通電極321A、321B及び321Cに容量結合しており、下層共通電極321A、321B及び321Cを介して共通電位が与えられる。
【0083】
<実施形態8>
図10Aは、実施形態8に係る電極構造を模式的に示す平面図である。図10Bは、下層共通電極、下層駆動電極、上層共通電極及び上層駆動電極の構造の詳細を説明するための図である。図10C及び10Dは、それぞれ、図10BのXC-XC切断線での断面図及びXD-XD切断線での断面図である。
【0084】
以下において、実施形態6との相違点を主に説明する。上層共通電極の根元部323が省略されている。実施形態3のように、上層共通電極324A、324B及び324Cは、下層共通電極321A、321B及び321Cと、画素領域内のそれらとの交差部に形成されたコンタクト部372により物理的かつ電気的に接続されている。
【0085】
<実施形態9>
図11、12及び13は、それぞれ、異なる形状を有する画素内電極構造の例を示す。以下において、実施形態1との相違点を主に説明する。図11に示す例は、下層駆動電極312A、312B、312C、下層共通電極321A、321B、321C、上層駆動電極315A、315B、及び上層共通電極324A、324B、324Cを含む。
【0086】
上層駆動電極315A、315B、及び上層共通電極324A、324B、324Cは、実施形態1の菱形部に代えて、円状部を含む。円状部の一部の円弧は、画素領域の小区画を画定する辺に含まれ、X軸及びY軸に対して傾いた辺である。
【0087】
図12の例において、上層駆動電極315A、315B、及び上層共通電極324A、324B、324Cは、実施形態1の菱形部に代えて、中心に向かって凸の曲線(窪んだ曲線)の辺を含む部分を有する。この曲線の辺は、画素領域の小区画を画定する辺に含まれ、X軸及びY軸に対して傾いた辺である。
【0088】
図13の例において、上層駆動電極315A、315B、及び上層共通電極324A、324B、324Cは、実施形態1の菱形部に代えて、多角形部を含む。多角形部の下層共通電極又は下層駆動電極と交差する部分は、X軸に沿って延びる対向2辺を含む。多角形部は、菱形部の下層駆動電極又は下層共通電極と重なる角を面取りして得られる形状を有する。多角形部は、実施形態1の菱形部と同様に、画素領域の小区画を画定する辺に含まれ、X軸及びY軸に対して傾いた辺を含む。
【0089】
<実施形態10~実施形態14>
画素の開口部(開口領域)において電界的に分割された区画の数を多くするほど、又は、画素の開口部の数を多くするほど、駆動電極に印加した駆動電位をオフしたときに、液晶分子が初期配向方向に戻る時間が短くなる。そのため、同一の液晶材料を用いても応答速度が向上する。以下、実施形態10~14では、FFS方式の液晶表示装置において、液晶分子の応答速度の向上を実現する形状を有する駆動電極と共通電極とについて説明する。
【0090】
なお、実施形態10~14では、液晶表示パネル内の1つの画素の電極構造を例示している。液晶表示パネルは、液晶の画素領域それぞれに電界を印加する複数の電極セットを含み、複数の電極セットの各々は、少なくとも駆動電極と共通電極とを含む。以下の説明では、駆動電極には駆動電位が与えられ、共通電極には共通電位が与えられる。そして、共通電極は、駆動電極と重畳して配置される。
【0091】
<実施形態10>
図14Aは、実施形態10に係る電極構造を模式的に示す平面図である。以下において、実施形態1との相違点を主に説明する。画素回路300は、上層駆動電極401と、共通電極501とを有する。
【0092】
上層駆動電極401は、格子状の形状である。上層駆動電極401は、複数の交差部と、複数の行接続部と、複数の列接続部と、複数の開口部とを有する。図14Aでは、交差部が例として符号411Aで指示されている。交差部は、行列状に配列され、相互に離間して配列されている。すなわち、交差部は、X軸とY軸とに沿って離間して配列されている。交差部は、様々な形状、例えば菱形、5角形、6角形の形状でもよい。交差部が菱形の形状の場合、交差部は菱形部とも呼ばれる。交差部が菱形形状の場合、交差部はX軸及びY軸に対して傾いている辺を含む。なお、行方向は例えばX軸に沿う方向であり、列方向は例えばY軸に沿う方向である。
【0093】
図14Aでは、行接続部が例として符号421Aで指示されている。行接続部は、行方向に沿って離間して配列された2つの交差部を接続する。行接続部はX軸の線状部とも呼ばれる。図14Aでは、列接続部が例として符号431Aで指示されている。列接続部は、列方向に沿って離間して配列された2つの交差部を接続する。列接続部はY軸の線状部とも呼ばれる。
【0094】
図14Aでは、開口部が例として符号441Aで指示されている。複数の開口部の各々は、4つの交差部と2つの行接続部と2つの列接続部とにより画定される。
共通電極501は、単位画素である画素回路300内の一面に形成された電極である。すなわち、共通電極501は、画素回路300内にベタ状に形成されている。共通電極501は、複数の孔を有する。図14Aでは、孔が例として符号511Aで指示されている。孔は、行方向及び列方向において等間隔をおいて形成されている。孔は、図14Bで説明するように、開口部を4つに区分するために形成されている。
【0095】
なお、根元部451Aは、TFTのソース/ドレイン電極と繋がっており、このソース/ドレイン電極(の少なくとも一部)は、TFTのチャネル部303の平面視において重なっている。チャネル部303は、平面視において、ゲート線302に重なっている。
【0096】
次に、図14Bを参照して、開口部の形状、液晶分子の動作について詳細に説明する。図14Bは、上層駆動電極401、共通電極501の構造を詳細に説明する図である。図14Bでは、図14の開口部441A付近の構造を示している。以下においては、実施形態1との相違点を主に説明する。
【0097】
上層駆動電極401は、複数の開口部を有する。複数の開口部の各々は、第1~第4交差部と、第1、第2行接続部と、第1、第2列接続部とにより画定される。例えば、開口部441Aは、第1交差部411A~第4交差部411D、第1、第2行接続部421A、421B、第1、第2列接続部431A、431Bにより確定される。
【0098】
第1、第2交差部411A、411Bは、それぞれ列方向において相互に離間して隣り合う。第3、第4交差部411C、411Dは、列方向において相互に離間して隣り合う。さらに、第3、第4交差部411C、411Dの各々は、それぞれ、第1、第2交差部411A、411Bの各々と行方向において相互に離間して隣り合う。
【0099】
第1列接続部431Aは、第1、第2交差部411A、411Bを接続する。第2列接続部431Bは、第3、第4交差部411C、411Dを接続する。第1行接続部421Aは、第1、第3交差部411A、411Cを接続する。第2行接続部421Bは、第2、第4交差部411B、411Dを接続する。
【0100】
また、複数の列接続部はX軸方向において等間隔に配置されている。例えば、列接続部431A、431B、431DはX軸方向において等間隔に配置されている。また、複数の行接続部は、Y軸方向において等間隔に配置されている。例えば、行接続部421A、421BはY軸方向において等間隔に配置されている。
【0101】
次に、共通電極501について説明する。共通電極501は、複数の開口部の各々に重畳する孔を有する。例えば、共通電極501は、開口部441Aに重畳する孔511A、開口部441Bに重畳する孔511Bを有する。なお、孔の形状は、円形だけでなく、多角形など様々な形状であっても良い。
【0102】
例えば、孔511A、511Bは、行方向において相互に離間して隣接して配置されている。そして、孔511A、511Cは、列方向において相互に離間して隣接して配置されている。なお、開口部により画定される画素の部分は小区画とも呼ばれる。
【0103】
次に、電界及び液晶分子の動作について説明する。各小区画内で、液晶分子を回転させる電界が生成されている。図では、電界を実線の両矢印で示し、電界の一部が例えば符号601で指示されている。上層駆動電極401の菱形部の辺と共通電極501とにより、X軸及びY軸に対して傾く広い斜め電界(例えば、斜め電界601)が形成される。斜め電界601により、斜め電界601の周囲の液晶分子701の向きが斜めに変化する。行接続部と共通電極501とにより、Y軸(配向軸)に沿った電界(例えば、電界602)が形成される。配向軸に沿った電界は、周囲の液晶分子の向きを初期配向方向に固定する。
【0104】
開口部441Aにおける孔511Aの上部に位置する液晶分子702については、電界の影響を受けず初期配向方向に固定されている。この固定された液晶分子702はあたかも壁のように機能し、開口部441Aは電界的に4つに区画(分割)される。
【0105】
なあ、電界的に区画される4つの領域をなるべく等しい面積にするために、孔は、開口部の重心に形成されることが好ましい。
【0106】
次に、図14C、Dを参照して、断面構造を説明する。図14C及び図14Dは、それぞれ、図14BのXIVC-XIVC切断線での断面図及びXIVD-XIVD切断線での断面図である。
【0107】
上層駆動電極401の上層に図示しない液晶層が配置されている。上層駆動電極401と共通電極501とは絶縁層801を介して異なる層に配置されている。すなわち、上層駆動電極401は、共通電極501よりも液晶(図示しない)に対して近い層に位置している。なお、図14Cでは、上層駆動電極401の断面として、列接続部431D、431B、431Aの断面を示している。また、図14Dでは、上層駆動電極401の断面として、行接続部421A、421Bの断面を示している。
【0108】
図14C、Dにおける両矢印線は、上層駆動電極401と共通電極501とにより形成される電界を模式的に示す線である。図14C図14Dから明らかなように、孔511A~511Cの近辺では電界が形成されないので、孔の上部に位置する液晶分子は電界の影響を受けず初期配向方向に固定され実質的に壁として機能する。
【0109】
以上、実施形態10の電極構造によれば、画素の開口部(開口領域)において分割された区画の数を多くすることができる。すなわち、孔の上部に位置している液晶層の液晶分子は、画素電圧が印加されていても動かずあたかも壁のように機能する。碁盤の目状に形成されている孔により、液晶分子が回転しない部分が一画素において、碁盤の目状に形成される。
【0110】
具体的に説明すると、上層駆動電極の開口部と重畳する、共通電極に一部領域に、孔を形成することにより、開口部を電界的に4つに分割している。隣り合う2つの分割領域における液晶分子の配向方向が異なる。
【0111】
なお、この分割を具体的に説明すると、図14Aに示すように、一つの画素において9個の開口部(縦3個×横3個)を有するが、一つの画素において、電界的に36個(4個×9個)の区画に分割している。その結果、液晶の応答速度が向上する。
【0112】
<実施形態11>
図15Aは、実施形態11に係る電極構造を模式的に示す平面図である。以下において、実施形態11との相違点を主に説明する。実施形態11では、上層駆動電極と電気的に接続する下層駆動電極を追加し、液晶分子に作用する電界を増やす。
【0113】
図15Aにおいては、実施形態11の画素回路300は、実施形態10の画素回路300に下層駆動電極901を追加し、更に下層駆動電極901と上層駆動電極402とを電気的に接続するコンタクトホール851を有する。
【0114】
実施形態11の上層駆動電極402は、実施形態10の上層駆動電極401と類似の構造である。実施形態11の上層駆動電極402と実施形態10の上層駆動電極401との相違点は、下層駆動電極901の追加に伴い、一部の交差部の構造を変更している点である。
【0115】
例えば、実施形態10の上層駆動電極401の交差部411Aの形状を交差部412Aのように、5角形にしている。そして、交差部412Aは、コンタクトホール851を介して下層駆動電極901と電気的に接続する。また、実施形態10の上層駆動電極401の交差部411Bの形状を交差部412Bのように3角形にしている。
【0116】
実施形態11の共通電極502は、実施形態10の共通電極501と類似の構造である。実施形態11の共通電極502と実施形態10の共通電極501との相違点は、下層駆動電極901の追加に伴い、孔の形状を変更している点である。なお、孔は、実施形態10と同じく、行方向及び列方向において等間隔をおいて形成されている。実施形態11の512の孔の形状は例えば4角形である。図15Aでは、孔が例えば符号512A~512Cで指示されている。なお、孔の形状は、円形、多角形など様々な形状であっても良い。
【0117】
図15Aでは、孔の形状は正方形であり、2つの対角線の各々は、それぞれX軸及びY軸に平行である。
【0118】
下層駆動電極901は、共通電極502の複数の孔と重畳して配置され、駆動電位が与えられる。下層駆動電極901は、行方向又は列方向に沿って伸びる、複数の櫛歯部を有する。図15Aでは、櫛歯部が例えば符号911Aで指示されている。櫛歯部と、櫛歯部に沿って配列された複数の孔とが重畳する。なお、櫛歯部におけるY軸方向の幅は孔のY軸方向の対角線と同じである。
【0119】
次に、図15Bを参照して、開口部の形状、液晶分子の動作について詳細に説明する。図15Bは、上層駆動電極402、共通電極502、下層駆動電極901の形状、液晶分子の動作を詳細に説明する図である。図15Bでは、図15の開口部441A付近の構造を示している。以下においては、実施形態10、11との相違点を主に説明する。
【0120】
櫛歯部911Aと、櫛歯部911Aに沿って配列された複数の孔512A、512Bとが重畳する。また、櫛歯部911Bと、櫛歯部911Bに沿って配列された複数の孔512C、512Dとが重畳する。
【0121】
実施形態11では、電界601、602に加えて、共通電極50の孔の辺と下層駆動電極901とにより形成される電界(例えば、電界603)が形成される。なお、電界601、603がX軸及びY軸に対して傾く広い斜め電界であり、電界602がY軸(配向軸)に沿った電界である。斜め電界601、603により、斜め電界601、603の周囲の液晶分子701の向きが斜めに変化する。
【0122】
実施形態10で説明したように、共通電極50の孔512Aにより、開口部441A内は電界的に4つに区画(分割)される。この電界的に区画される4つの領域をなるべく等しい面積にするために、孔は、開口部の重心に形成されることが好ましい。
【0123】
次に、図15C、Dを参照して、断面構造を説明する。図15C及び図15Dは、それぞれ、図15BのXVC-XVC切断線での断面図及びXVD-XVD切断線での断面図である。
【0124】
上層駆動電極402の上層に図示しない液晶層が配置されている。共通電極502と上層駆動電極402とは絶縁層801を介して異なる層に配置されている。下層駆動電極901と共通電極502とは絶縁層802を介して異なる層に配置されている。すなわち、上層駆動電極402は、共通電極502よりも液晶(図示しない)に対して近い層に位置している。そして、下層駆動電極901は、共通電極502よりも液晶(図示しない)に対して遠い層に位置している。
【0125】
なお、図15Cでは、上層駆動電極401の断面として、列接続部431A、431B、431Dの断面を示している。図15Dは、上層駆動電極401の断面として、行接続部421A、421Bの断面を示し、下層駆動電極901の断面として、櫛歯部911A、911Bの断面を示す。
【0126】
図15C、Dにおける両矢印線は、下層駆動電極901と共通電極502とにより形成される電界、上層駆動電極402と共通電極502とにより形成される電界を模式的に示す線である。
【0127】
上層駆動電極の開口部と重畳する、共通電極に一部領域に、孔を形成することにより、開口部を電界的に4つに分割している。なお、隣り合う2つの分割領域における液晶分子の配向方向が異なる。
【0128】
この分割を具体的に説明すると、図15Aに示すように、一つの画素において9個の開口部(縦3個×横3個)を有するが、一つの画素において、電界的に36個(4個×9個)の区画に分割している。その結果、液晶の応答速度が向上する。
【0129】
<実施形態12>
実施形態12では、実施形態11とは異なり、共通電極に孔を形成することなく上層駆動電極の形状を工夫して、1画素内における、上層駆動電極の開口部の数を物理的に多くする。
【0130】
図16Aは、実施形態12に係る電極構造を模式的に示す平面図である。以下において、実施形態10との相違点を主に説明する。実施形態12の上層駆動電極403は、実施形態10の上層駆動電極401の開口部に菱形形状の交差部に追加した形状を有する。図16Aでは、この追加された交差部が例えば符号413Aで指示されている。
【0131】
上層駆動電極403は、X軸又はY軸に沿って伸び、相互に離間する複数の延伸部を有する。図16Aでは、X軸に沿って伸びる延伸部が符号461A~461Dで指示されている。
【0132】
複数の延伸部は、2種類の延伸部を含む。1種類目の延伸部を第1種延伸部と呼び、2種類目の延伸部を第2種延伸部と呼ぶ。図16Aでは、第1種延伸部が符号461A、461Cで指示され、第2種延伸部が符号461B、461Dで指示される。また、第1種延伸部と第2種延伸部とはY軸方向において相互に離間して隣り合う。例えば、第1種延伸部461Aと第2種延伸部461Bとが隣り合い、第2種延伸部461Bと第1種延伸部461Cとが隣り合い、第1種延伸部461Cと第2種延伸部461Dとが隣り合う。なお、以下の説明では、第1種延伸部、第2種延伸部を区別しない場合、延伸部と総称する。
【0133】
共通電極503は、単位画素である画素回路300内の一面に形成された電極である。すなわち、共通電極503は、画素回路300内にベタ状に形成されている。共通電極503は、実施形態10、11とは異なり孔を有しない。
【0134】
図16Bを参照して、上層駆動電極403の形状、液晶分子の動作について詳細に説明する。図16Bは、上層駆動電極403の形状、液晶分子の動作を詳細に説明する図である。
【0135】
複数の延伸部の各々は、X軸において相互に離間して隣り合う交差部と、X軸において相互に離間して隣り合う交差部を接続する接続部とを有する。
【0136】
例えば、第1種延伸部461Aは、X軸において相互に離間して隣り合う交差部413B、413Cと、これら交差部413B、413Cを接続する接続部(422A、431D、422B)を有する。交差部413Bは、行接続部422Bを介して列接続部431Dと接続し、更に、行接続部422Cを介して列接続部431Cと接続する。
【0137】
複数の第1種延伸部の各々の交差部の、X軸における位置は同じである。例えば、第1種延伸部461Aの交差部413Bと、第1種延伸部461Cの交差部413Aとの、X軸における位置は同じである。換言すれば、複数の第1種延伸部の各々の交差部は、Y軸に沿って直線上に配置され、接続している。例えば、交差部413Aと交差部413Bとは列接続部431Eにより接続されている。
【0138】
複数の第2種延伸部の各々の交差部の、X軸における位置は同じである。例えば、第2種延伸部461Bの交差部411Aと、第2種延伸部461Dの交差部411Bとの、X軸における位置は同じである。換言すれば、複数の第2種延伸部の各々の交差部は、Y軸に沿って直線上に配置され、接続している。例えば、交差部411Aと交差部411Bとは列接続部431Aにより接続されている。
【0139】
そして、第1種延伸部の交差部の、X軸における位置と、第2種延伸部の交差部の、X軸における位置とが異なる。例えば、第1種延伸部461Aの交差部413Bの、X軸における位置と、第2種延伸部461Bの交差部411A、411Cの、X軸における位置とが異なる。
【0140】
以上説明したように、複数の第1種延伸部の交差部と複数の第2種延伸部の交差部とは、X軸とY軸とに沿ってジグザグ状に配列されている。例えば、X軸に沿って、交差部413B、411C、413Cがジグザグ状に配列されている。また、例えば、Y軸に沿って、交差部413C、411C、413Dがジグザグ状に配列されている。
【0141】
次に、電界及び液晶分子の動作について説明する。各開口内で、液晶分子を回転させる電界が生成されている。例えば、図16Bの右下の開口部442Aにおける電界について説明する。開口部442Aは、第1種延伸部461Aの交差部413Bの辺と、この辺と対向する、第2種延伸部461Bの交差部411Aの辺と、列接続部431Eと、列接続部431Cにより画定される。そして、交差部411Aの辺と共通電極503とにより、X軸及びY軸に対して傾く広い斜め電界611Aが形成される。また、交差部413Bの辺と共通電極503とにより、X軸及びY軸に対して傾く広い斜め電界611Bが形成される。この斜め電界により斜め電界の周囲の液晶分子(例えば、液晶分子701)の向きが斜めに変化する。
【0142】
なお、複数の開口部の各々の辺を等しくして、複数の開口部の各々の面積を等しくすることが好ましい。
【0143】
次に、図16C、Dを参照して、断面構造を説明する。図16C及び図16Dは、それぞれ、図16BのXVIC-XVIC切断線での断面図及びXVID-XVID切断線での断面図である。上層駆動電極403の上層に図示しない液晶層が配置されている。
【0144】
上層駆動電極403と共通電極503とは絶縁層801を介して異なる層に配置されている。すなわち、上層駆動電極403は、共通電極503よりも液晶(図示しない)に対して近い層に位置している。
【0145】
なお、図16Cでは、上層駆動電極403の断面として、列接続部431D、交差部413D、列接続部431B、交差部413A、列接続部431Aの断面を示している。
【0146】
図16C、Dにおける両矢印線は、上層駆動電極403と共通電極503とにより形成される電界を模式的に示す線である。
【0147】
実施形態12では、上層駆動電極の形状を工夫して、1画素内における、上層駆動電極の開口部の数を物理的に多くしている。図16Aの例では、一つの画素において、一つの画素において36個の開口部(縦6個×横6個)を有する。このように開口部の数を多くすることで液晶の応答速度が向上する。
【0148】
<実施形態13>
実施形態1では、実施形態12と同様に、共通電極に孔を形成することなく上層駆動電極の形状を工夫して、1画素内における、上層駆動電極の開口部の数を物理的に多くする。
【0149】
図17Aは、実施形態13に係る電極構造を模式的に示す平面図である。以下において、実施形態12との相違点を主に説明する。実施形態13の上層駆動電極404は、一番左の列の複数の交差部及び一番右列の複数の交差部以外の複数の交差部(以下、変形交差部と呼ぶ)は、列方向において相互に接続していない。図17Aでは、変形交差部が例えば符号414Aで指示されている。なお、図17Aにおける、一番左の列の複数の交差部及び一番右列の複数の交差部は、図16Aの上層駆動電極403における、一番左の列の複数の交差部及び一番右列の複数の交差部と同様である。
【0150】
上層駆動電極404は、X軸又はY軸に沿って伸び、相互に離間する複数の延伸部を有する。図17Aでは、X軸に沿って伸びる延伸部が符号462A~462Dで指示されている。複数の延伸部は、実施形態12と同様に、第1種延伸部、第2種延伸部を含む。図17Aでは、第1種延伸部が符号46A、46Cで指示され、第2種延伸部が符号46B、46Dで指示される。また、第1種延伸部と第2種延伸部とはY軸方向において隣り合う。
【0151】
図17Bを参照して、上層駆動電極404の形状、液晶分子の動作について詳細に説明する。図17Bは、上層駆動電極404の形状、液晶分子の動作を詳細に説明する図である。
【0152】
上層駆動電極404は、複数の交差部を有し、複数の交差部は、例えば変形交差部414A~414Fを含む。なお、変形交差部を交差部と略記する場合がある。
【0153】
以下、変形交差部の形状について、変形交差部414Aを例示して説明する。変形交差部414Aは、X軸方向において隣の変形交差部414Bと行接続部423Aを介して接続する。以下、図中のY軸の矢印方向(図面では下方向)を第1方向と呼び、第1方向と逆方向(例えば、図面では上方向)を第2方向と呼ぶ。
【0154】
変形交差部414Aは、Y軸の第1方向に伸び、第1方向において隣接する延伸部462Bの接続部423Bと接続しない第1凸部414Adを有する。変形交差部414Aは、Y軸の第2方向に延び、第2方向において隣接する延伸部462Dの接続部423Cと接続しない第2凸部414Auを有する。
【0155】
以上説明したように、複数の第1種延伸部の交差部と複数の第2種延伸部の交差部とは、X軸とY軸とに沿ってジグザグ状に配列されている。例えば、X軸に沿って、交差部414A、414C、414B、414Dがジグザグ状に配列されている。また、例えば、Y軸に沿って、交差部414F、414A、414C、414Eがジグザグ状に配列されている。
【0156】
次に、電界及び液晶分子の動作について説明する。各開口内で、液晶分子を回転させる電界が生成されている。例えば、変形交差部414Aの近傍の開口部443Aにおける電界について説明する。開口部443Aは、第1種延伸部462Cの変形交差部414Aの辺と、変形交差部414Aの第2凸部414Auと、前記辺と対向する、第2種延伸部461Dの変形交差部414Cの辺と、変形交差部414Cの第1凸部414Cdと、行接続部423Aと、行接続部423Cにより画定される。そして、変形交差部414Aの辺と共通電極503とにより、X軸及びY軸に対して傾く広い斜め電界611Aが形成される。また、変形交差部414Cの辺と共通電極503とにより、X軸及びY軸に対して傾く広い斜め電界611Bが形成される。この斜め電界により斜め電界の周囲の液晶分子(例えば、液晶分子701)の向きが斜めに変化する。なお、変形交差部の第1凸部及び第2凸部の辺と共通電極503とによりY軸に沿って電界が形成される。
【0157】
なお、複数の開口部の各々の辺を等しくして、複数の開口部の各々の面積を等しくすることが好ましい。
【0158】
次に、図17C、Dを参照して、断面構造を説明する。図17C及び図17Dは、それぞれ、図17BのXVIIC-XVIIC切断線での断面図及びXVIID-XVIID切断線での断面図である。上層駆動電極404の上層に図示しない液晶層が配置されている。
【0159】
上層駆動電極404と共通電極503とは絶縁層801を介して異なる層に配置されている。上層駆動電極404の上層に図示しない液晶層が配置されている。なお、図17Cでは、上層駆動電極404の断面として、変形交差部414D、414Cの断面を示し、図17Dでは、上層駆動電極404の断面として、変形交差部414F、行接続部423A、変形交差部414C、行接続部423Dの断面を示している。
【0160】
図17C、Dにおける両矢印線は、上層駆動電極404と共通電極503とにより形成される電界を模式的に示す線である。
【0161】
実施形態13では、実施形態12と同じく、上層駆動電極の形状を工夫して、1画素内における、上層駆動電極の開口部の数を物理的に多くしている。このように開口部の数を多くすることで液晶の応答速度が向上する。
【0162】
<実施形態14>
図18Aは、実施形態14に係る電極構造を模式的に示す平面図である。以下において、実施形態11との相違点を主に説明する。
【0163】
上層駆動電極405は、X軸に沿って離間して配列され、Y軸に沿って延伸する波状の延伸部を複数有する。図18Aでは、波状の延伸部が符号415A~415Dで指示される。波状の延伸部415A~415Dの各々は、根元部451Aから第2方向(図面では上方向)に向かってY軸に沿って延伸している。そして、波状の延伸部415A~415Dの各々は、行接続部424Aに接続する。上層駆動電極405は、コンタクトホール851を介して下層駆動電極902と電気的に接続する。
【0164】
共通電極504は、単位画素である画素回路300内の一面に形成された電極である。すなわち、共通電極504は、画素回路300内にベタ状に形成されている。共通電極504は、Y軸に沿って離間して配列され、X軸に沿って開口している開口部を複数有する。開口部の長辺はX軸方向に沿い、開口部の短辺はY軸方向に沿う。図18Aでは、開口部が符号513A~513Eで指示される。開口部は一定の間隔でY軸に沿って離間して配列されている。
【0165】
下層駆動電極902は、単位画素である画素300内の一面に形成された電極である。すなわち、下層駆動電極902は、画素300内にベタ状に形成されている。図18では、開口部513A~513Eを介して下層駆動電極902の一部が露出している状態を模式的に示している。
【0166】
図18Bを参照して、液晶分子の動作について詳細に説明する。図18Bは、液晶分子の動作を詳細に説明する図である。例えば、波状の延伸部415Bの近傍の開口部443Aにおける電界について説明する。開口部443Aは、波状の延伸部415Bと、波状の延伸部415Cと、共通電極504の開口部513Bと、513Cとにより画定される。そして、波状の延伸部と共通電極504とにより、X軸及びY軸に対して傾く広い斜め電界が形成される。例えば、波状の延伸部415Bと共通電極504とにより斜め電界611Aが形成される。この斜め電界により斜め電界の周囲の液晶分子(例えば、液晶分子701)の向きが斜めに変化する。なお、共通電極504と下層駆動電極902とによりY軸にそって電界が形成される。
【0167】
次に、図18C、Dを参照して、断面構造を説明する。図18C及び図18Dは、それぞれ、図18BのXVIIC-XVIIC切断線での断面図及びXVIID-XVIID切断線での断面図である。上層駆動電極405の上層に図示しない液晶層が配置されている。
【0168】
共通電極504と上層駆動電極405とは絶縁層801を介して異なる層に配置されている。共通電極503と下層駆動電極902とは絶縁層802を介して異なる層に配置されている。すなわち、上層駆動電極405は、共通電極504よりも液晶(図示しない)に対して近い層に位置している。そして、下層駆動電極902は、共通電極504よりも液晶(図示しない)に対して遠い層に位置している。
【0169】
なお、図18Cでは、上層駆動電極405の断面として、波状の延伸部415D、415C、415Bの断面を示している。図18C、Dにおける両矢印線は、上層駆動電極405と共通電極504とにより形成される電界を模式的に示す線である。
【0170】
実施形態14では、上層駆動電極の形状を工夫して、1画素内における、上層駆動電極の開口部の数を物理的に多くしている。図18Aの例では、一つの画素において、一つの画素において18個の開口部(縦6個×横3個)を有する。このように開口部の数を多くすることで液晶の応答速度が向上する。
【0171】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本開示の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0172】
10 液晶表示装置、100 TFT基板、101 偏光板、102 絶縁基板、103 駆動電極、104 対向電極、105 配向膜、111 液晶層、121 配向膜、122 オーバコート層、123 カラーフィルタ、124 ブラックマトリックス、125 表示領域、131 走査ドライバ、114 絶縁基板、142 偏光板、150 シール部、200 対向基板、300 画素回路、301 データ線、302 ゲート線、303 チャネル部、304A、304B 共通線、311 根元部、312A、312B、312C 下層駆動電極、313 コンタクト部、314 根元、315A、315B、315C 上層駆動電極、321A、321B、321C 下層共通電極、322 コンタクト部、323 根元部、324A、324B、324C 上層共通電極、331A、331B 菱形部、332A、332B、332C 線状部、335A、335B 菱形部、336A、336B 線状部、341 液晶分子、342 電界、343A、343B 電界、346 液晶分子が動かない部分、347A、347B 小区画、351、352、353 絶縁層、361 初期配向方向、366A、366B 線状部、371、372 コンタクト部、401、402、403、404、405 上層駆動電極、411A 第1交差部、411B 第2交差部、411C 第3交差部、411D 第4交差部、412A、412B、413A、413B、413C、413D 交差部、414A 変形交差部、414Ad 第1凸部、414Au 第2凸部、414B 変形交差部、414C 変形交差部、414Cd 第1凸部、414D、414E、414F 変形交差部、415A、415B、415C、415D 延伸部、421A 第1行接続部、421B 第2行接続部、422B、422C 行接続部、423A、423B、423C、423D 行接続部、424A 行接続部、431A 第1列接続部、431B 第2列接続部、431C 列接続部、431D 列接続部、431E 列接続部、441A 開口部、441B 開口部、442A 開口部、443A 開口部、451A 根元部、461A 第1種延伸部、461B 第2種延伸部、461C 第1種延伸部、461D 第2種延伸部、462B 延伸部、462C 第1種延伸部、462D 延伸部、501 共通電極、502、503、504 共通電極、511A、511B、511C、512A、512B、512C、512D、 孔、513A、513B、513C、513D、513E、 開口部、601、602、603、611A、611B 電界、701、702 液晶分子、801、802 絶縁層、851 コンタクトホール、901、902 下層駆動電極、911A、911B 櫛歯部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A
図17B
図17C
図17D
図18A
図18B
図18C
図18D