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特許7441022直線運動案内機構とこれを用いた巻取の巻尻固定用テープの貼付装置
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  • 特許-直線運動案内機構とこれを用いた巻取の巻尻固定用テープの貼付装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】直線運動案内機構とこれを用いた巻取の巻尻固定用テープの貼付装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/06 20060101AFI20240221BHJP
   B65H 19/29 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
F16C29/06
B65H19/29
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019188606
(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公開番号】P2021063556
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-08-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】赤星 功
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-323331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 29/00-29/12
B65H 19/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直動ブロックと案内レールとが組み合わされて、前記直動ブロックに収容されている鋼球の転動により前記直動ブロックを前記案内レールに沿って直線運動させる直線運動案内機構において、
前記直動ブロックの下方に、前記直動ブロックから落下した前記鋼球を捕捉する受け取り皿を配していて、
前記直動ブロックの下方に保持板を設け、前記受け取り皿を前記保持板に前記案内レールの長手方向と平行な方向に挿抜自在に保持させたことを特徴とする直線運動案内機構。
【請求項2】
直動ブロックと案内レールとが組み合わされて、前記直動ブロックに収容されている鋼球の転動により前記直動ブロックを前記案内レールに沿って直線運動させる直線運動案内機構によって巻取の軸方向と平行な方向の往復直線移動が案内され、所望の位置において、前記巻取の巻尻端を下層の紙と接合させる巻尻固定用テープを貼付する巻取の巻尻固定用テープの貼付装置において、
前記直動ブロックの下方に、前記直動ブロックから落下した前記鋼球を捕捉する受け取り皿を配していて、
前記直動ブロックの下方に保持板を設け、前記受け取り皿を前記保持板に前記巻取の軸方向と平行な方向に挿抜自在に保持させたことを特徴とする巻取の巻尻固定用テープの貼付装置。
【請求項3】
前記貼付装置の移動方向の前面と後面の少なくとも一方には、防護板が着脱自在に設けられることを特徴とする請求項記載の巻取の巻尻固定用テープの貼付装置。
【請求項4】
前記貼付装置の移動方向の前面と後面の少なくとも一方に連繋させて、前記受け取り皿の挿抜域に対して進退自在に防護板が設けられることを特徴とする請求項記載の巻取の巻尻固定用テープの貼付装置。
【請求項5】
前記防護板に紙粉除去ブラシを取り付け、前記貼付装置の移動時に、この前記紙粉除去ブラシの先端が前記案内レールとその周辺部を擦過することを特徴とする請求項または請求項に記載の巻取の巻尻固定用テープの貼付装置。
【請求項6】
前記貼付装置には紙粉除去ブラシが着脱自在に取り付けられ、前記貼付装置の移動時に、前記紙粉除去ブラシの先端が前記案内レールとその周辺部を擦過することを特徴とする請求項から請求項までのいずれか一項に記載の巻取の巻尻固定用テープの貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種の機器・装置の直線運動を案内する直線運動案内機構とワインダ装置で小幅に巻き直された子巻取の巻尻が解けないように、前記直線運動案内機構を用いて巻尻固定用テープを貼付する巻取の巻尻固定用テープの貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、製紙工場では、製品として出荷される巻取が巻尻から解けないように、巻尻固定用テープを巻尻端に貼付することが行われており、このための装置として巻尻固定用テープの貼付装置がある。この巻尻固定用テープは、出荷用に小幅・小径に形成された巻取に貼付される。
この巻尻固定用テープを貼付するには、貼付装置が巻取の軸方向と平行に直線移動しながら行われ、この貼付装置の直線移動に直線運動案内機構(LMガイド(Linear Motion Guide))が用いられている。この直線運動案内機構は各種の機器・装置に用いられているものであるが、以下の説明では、巻尻固定用テープを巻取に貼付する貼付装置における直線運動案内機構を例示して説明する。
【0003】
ところで、製紙工場の抄紙機では、効率よく紙を製造するため、紙を紙シートとして製造し、該紙シートがマシンリールに巻き取られた状態で巻取として完成される。この巻取は、巻き取り長さが大きいために大径であり、また幅員も大きく、この巻取のままの状態では、例えば、新聞社や印刷工場において印刷機に供すること等、ユーザーにおいて使用することができない。このため、製紙工場では製造された巻取を親巻取として、その巻き取り長さを小さくして小径とし、印刷機等に供するのに適した小幅の子巻取に加工し直して出荷している。
【0004】
親巻取を子巻取に加工し直すための装置として、ワインダ装置がある。ワインダ装置では、アンワインダに支持された親巻取から巻き解かれて走行する親紙シートを、スリッターナイフに通して、小幅に切断して子紙シートとする。この小幅の子紙シートを、フロントドラムとリアドラムとに掛けて支持させたコアとなる紙管に、所望の長さで巻き取らせて子巻取を製造する。
【0005】
ワインダ装置で製造された子巻取は包装されて、または包装されずにユーザーに提供されるが、包装の有無に拘わらず、子巻取が巻尻から解けないようにすることを要する。このため、巻尻と下層の紙とに亘って接着テープを貼付したり、下層の紙の表面に両面接着テープを貼付しこの両面接着テープに巻尻を重ねたりして、巻尻を下層の紙と接合させる。この巻尻と下層の紙とを接合させる装置として、巻尻固定用テープの貼付装置がある。なお、貼付装置は、子巻取に対して貼付装置を適宜な位置へ移動させたり、貼付装置により巻尻固定用テープを貼付すべき位置に巻尻が位置するように子巻取の位置を調整したりする巻尻端処理装置に具備されている。
【0006】
この種の巻取の巻尻固定用テープの貼付装置として、例えば、特許文献1に開示された巻取ロールの巻端テープ貼り装置や特許文献2に開示された端末テープ貼り装置などが知られている。
【0007】
この種の貼付装置では、貼付装置を子巻取の軸方向に沿って走行させ、所定の位置で停止させて巻尻固定用テープを貼付する。一方、ワインダ装置では、親巻取をその幅方向の適宜な箇所をスリッターナイフで切断して子巻取を製造するから、製造された子巻取は複数本が軸方向に直列した状態となり、この状態で巻尻固定用テープが貼付される。このため、貼付装置は、親巻取の軸方向の長さ、すなわち幅員の長さに対応した範囲で往復直線移動をする。
【0008】
貼付装置の直線移動を案内する機構には、前述のように、直線運動案内機構(LMガイド(Linear Motion Guide))が用いられている。
この種の直線運動案内機構として、特許文献3に開示されたリニアガイド装置や特許文献4に開示された運動案内装置などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平11-208948号公報
【文献】特開2001-206623号公報
【文献】特開2008-175316号公報
【文献】国際公開第2007/023634号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
直線運動案内機構は、一般的に、直動ブロックと案内レールとが組み合わされて構成され、直動ブロックが案内レールに案内されて往復直線移動を行う。直動ブロックと案内レールのそれぞれには、互いに組み合わされることで断面形状が円形となる案内溝が設けられ、直動ブロックには断面形状が円形の循環案内孔が設けられている。そして、これら案内溝と循環案内孔とに案内されて多数の鋼球が転動しながら循環移動する。この循環移動のためには、案内溝と循環案内孔とが連通する必要があり、これらを連通させる方向転換孔が蓋体プレートに設けられ、この蓋体プレートが直動ブロックの両端に配されている。すなわち、多数の鋼球は、案内溝と一方の蓋体プレートに設けられた方向転換孔、循環案内孔、他方の蓋体プレートに設けられた方向転換孔を転動して、循環移動することとなる。そして、直動ブロックが案内レールに案内されて直線移動する際に、鋼球が案内溝内を転動することによって、直動ブロックが案内レールに案内されて円滑に直線移動することになる。
【0011】
巻尻固定用テープの貼付装置等の直線運動が要求される各種の機器・装置は、上述のような直線運動案内機構が用いられる場合には直動ブロックに取り付けられる。巻取の巻尻固定用テープの貼付装置においては、貼付装置は直動ブロックに取り付けられて案内レールに案内されて往復直線運動する。この案内レールは、前述したように、親巻取の幅に対応して設けられることにより、貼付装置はワインダ装置で製造された子巻取の全てについて巻尻固定用テープを貼付することができる。
【0012】
巻尻固定用テープを貼付する貼付装置が備えられた巻尻端処理装置には、ワインダ装置で製造された子巻取が供給されるため、ワインダ装置と巻尻端処理装置とは一体的に組み合わされて構成されている。このため、貼付装置はワインダ装置や巻尻端処理装置が発生する振動の影響を受けている。しかも、ワインダ装置では、紙シートを巻き取って子巻取を製造するため、子巻取が完成するまで、常に振動を発生している。このため、貼付装置が取り付けられた直動ブロックも同様に振動の影響を受けている。また、直動ブロックの案内レールに対する直線移動時にも走行に付随する振動が発生し、貼付装置によるテープの貼付動作によっても振動が発生する。
これらの振動によって、直動ブロックに配された蓋体プレートの固定が緩んでしまい、直動ブロックの両端から離脱してしまう虞がある。蓋体プレートが離脱してしまうと、方向転換孔を失ってしまうので、案内溝や循環案内孔から鋼球が脱落してしまう。この脱落した鋼球は、子巻取に落下し、子巻取を製造する紙層の間に入り込んでしまって、当該子巻取を不良品としてしまう。しかも、ワインダ装置には複数本の子巻取が直列して配されているから、直動ブロックの直線移動により、直列された複数本の子巻取の紙層間に入り込んでしまい、これら複数本の子巻取が不良品となってしまう。
他方、ワインダ装置と巻尻端処理装置とは連続して操業運転され、これらの運転中には作業員による点検が困難であるので、例えば、親巻取の全ての紙が子巻取の製造に供されて、親巻取をワインダ装置のアンワインダに供給する際等に点検することが可能となるが、親巻取がアンワインダに供された後には、作業員はワインダ装置への紙通し等の作業を行う必要があり、ワインダ装置の点検に十分な時間を確保できない。
このため、鋼球の脱落を、直動ブロックの移動時に発生する異音や、ワインダ装置を完全に停止する定期点検の際などに発見することとなって、それまでに多量の子巻取が製造されて、多量の不良品を生じてしまうことになる。
【0013】
例えば、巻尻固定用テープの貼付装置にワインダ装置の振動が伝わらないように、巻尻端処理装置をワインダ装置とは別個に設置することが考えられる。しかし、この巻尻端処理装置にも子巻取を支持して、子巻取を適宜に回動させる機構等を要することになり、大型の装置を増加させると共に、巻尻端処理装置の設置場所を確保する必要が生じる。
【0014】
そこで、この発明は、万一直動ブロックの蓋体プレートが離脱して鋼球が脱落することになった場合でも、脱落した鋼球が落下することを抑止する直線運動案内機構と、この直線運動案内機構を用いて鋼球が子巻取まで落下することを防止する巻取の巻尻固定用テープの貼付装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するための技術的手段として、この発明に係る直線運動案内機構は、直動ブロックと案内レールとが組み合わされて、鋼球の転動により直動ブロックを案内レールに沿って直線運動させる直線運動案内機構において、前記直動ブロックの下方に受け取り皿を配したことを特徴としている。
【0016】
直線運動案内機構の直動ブロックが破損等によって、保持されている鋼球が脱落した場合に、前記受け取り皿で捕捉して落下してしまうことを防止する。
【0017】
また、上述の発明に係る直線運動案内機構において、前記直動ブロックの下方に保持板を設け、前記受け取り皿を該保持板に案内レールの長手方向と平行な方向に挿抜自在に保持させることが好ましい。
【0018】
前記保持板を、直動ブロックの下方に配されるように直動ブロックに取り付けて、この保持板に受け取り皿を挿抜自在に保持させる。挿抜する方向は、直動ブロックの移動方向と平行な方向、すなわち受け取り皿の長手方向とする。
受け取り皿を保持板から抜去して、受け取り皿に落下した鋼球を回収したり、清掃したりすることができる。
【0019】
また、この発明に係る直線運動案内機構は、直動ブロックと案内レールとが組み合わされて、鋼球の転動により直動ブロックを案内レールに沿って直線運動させる直線運動案内機構において、直動ブロックの移動域の下方に、案内レールに沿って受け取り皿を配したことを特徴としている。
【0020】
直線運動案内機構の鋼球が落下することを防止する受け取り皿を、案内レールに沿って直動ブロックの移動域の下方に配したものである。すなわち、この受け取り皿は直動ブロックの直線移動によっても移動することがなく、定位置に設置されている。
【0021】
また、上述の発明に係る直線運動案内機構において、前記案内レールの下方に該案内レールに沿って保持板を設け、前記受け取り皿を該保持板に長手方向に挿抜自在に保持させることが好ましい。
【0022】
例えば、前記保持板は案内レールが取り付けられているレール架台板等に取り付けて、この保持板に受け取り皿を載置させて保持させる。
また、受け取り皿は保持板に挿抜自在に保持させる。
【0023】
また、直動ブロックの移動時に、受け取り皿の移動方向のいずれかの側から鋼球が脱落してしまう虞がある。この脱落を防止するために、直動ブロックの移動方向の前面と後面のいずれか一方または両方に、着脱自在に防護板を設けることが好ましい。
着脱自在とすることで、受け取り皿に落下した鋼球を回収する際に、直動ブロックから取り外せば、鋼球の回収を容易に行うことができる。
【0024】
また、前記防護板は、上述にように直動ブロックに設けることもできるが、保持板が設けられている場合には、この保持板に設けて、直動ブロックの移動方向の前面側と後面側とに連繋させることができる。この場合、保持板には受け取り皿が保持されるから、防護板はこの受け取り皿の保持板に対する挿抜域に対して進退自在に設けることが好ましく、受け取り皿の挿抜時には挿抜域から待避させることができるようにする。
【0025】
また、前述した目的を達成するための技術的手段として、この発明に係る巻取の巻尻固定用テープの貼付装置は、直動ブロックと案内レールとが組み合わされた直線運動案内機構によって巻取の軸方向と平行な方向の往復直線移動が案内され、所望の位置において、巻取の巻尻端を下層の紙と接合させる巻尻固定用テープを貼付する巻取の巻尻固定用テープの貼付装置において、前記直動ブロックの下方に受け取り皿を配したことを特徴としている。
【0026】
直線運動案内機構の直動ブロックが破損等によって、保持されている鋼球が脱落した場合に、前記受け取り皿で捕捉して子巻取まで落下してしまうことを防止する。
受け取り皿は、例えば貼付装置に取り付けて直動ブロックの下方に配されるようにする。したがって、受け取り皿は貼付装置と共に巻取の軸方向に移動する。
【0027】
また、上述の発明に係る巻取の巻尻固定用テープの貼付装置において、直動ブロックの下方に保持板を設け、前記受け取り皿を該保持板に巻取の軸方向と平行な方向に挿抜自在に保持させることが好ましい。
【0028】
前記保持板を例えば貼付装置に取り付けて、直動ブロックの下方に配されるようにして、この保持板に受け取り皿を挿抜自在に保持させる。挿抜する方向は、巻取の軸方向と平行な方向、すなわち受け取り皿の長手方向とする。
受け取り皿を保持板から抜去して、受け取り皿に落下した鋼球を回収したり、清掃したりすることができる。
【0029】
また、この発明に係る巻取の巻尻固定用テープの貼付装置は、直動ブロックと案内レールとが組み合わされた直線運動案内機構によって巻取の軸方向と平行な方向の往復直線移動が案内され、所望の位置において、巻取の巻尻端を下層の紙と接合させる巻尻固定用テープを貼付する巻取の巻尻固定用テープの貼付装置において、直動ブロックの移動域の下方に、案内レールに沿って受け取り皿を配したことを特徴としている。
【0030】
直線運動案内機構の鋼球が巻取まで落下することを防止する受け取り皿を、案内レールに沿って直動ブロックの移動域の下方に配したものである。すなわち、この受け取り皿は貼付装置の直線移動によっても移動することがなく、定位置に設置されている。
【0031】
また、上述の発明に係る巻取の巻尻固定用テープの貼付装置において、前記案内レールの下方に該案内レールに沿って保持板を設け、前記受け取り皿を該保持板に長手方向に挿抜自在に保持させてあることが好ましい。
【0032】
例えば、前記保持板は案内レールが取り付けられているレール架台板等に取り付けて、この保持板に受け取り皿を載置させて保持させる。
また、受け取り皿は保持板に挿抜自在に保持させる。
【0033】
また、上述の発明に係る巻取の巻尻固定用テープの貼付装置において、貼付装置の移動方向の前面と後面のいずれか一方または両方に防護板を設けることが好ましい。
【0034】
貼付装置の直線移動時に、受け取り皿から鋼球が脱落してしまう虞がある。このため、防護板を貼付装置に設けて鋼球の脱落を防止するものである。
また、この防護板は貼付装置に着脱自在として、受け取り皿に落下した鋼球を回収する際に、貼付装置から取り外せるようにすることが好ましい。
【0035】
また、上述の発明に係る巻取の巻尻固定用テープの貼付装置において、貼付装置の移動方向の前面側と後面側のいずれか一方または両方に連繋させて、前記受け取り皿の挿抜域に対して進退自在に防護板を設けることが好ましい。
【0036】
前記防護板は、上述のように貼付装置に設けることもできるが、保持板が設けられている場合にはこの保持板に設けて、貼付装置の前面側と後面側に連繋させる。また、受け取り皿の挿抜時には、挿抜域から外れて受け取り皿の挿抜を許容する。
【0037】
また、上述の発明に係る巻取の巻尻固定用テープの貼付装置において、前記防護板に紙粉除去ブラシを取り付け、貼付装置の移動時に、この紙粉除去ブラシの先端が案内レールと該案内レールの周辺部を擦過させることが好ましい。
【0038】
貼付装置の直線移動時に、前記紙粉除去ブラシの先端が案内レールと案内レールが取り付けられているレール架台板等の案内レールの周辺部を擦過することによって、これら案内レールや周辺部に付着した紙粉の清掃を行う。
【0039】
また、上述の発明に係る巻取の巻尻固定用テープの貼付装置において、貼付装置に紙粉除去ブラシを取り付け、貼付装置の移動時に、この紙粉除去ブラシの先端が案内レールと該案内レールの周辺部を擦過させることが好ましい。
【0040】
前述のように、紙粉除去ブラシは防護板に取り付けることができるが、案内レールや該案内レールの周辺部を擦過しながら移動できるものであればよいので、この移動を行う貼付装置に取り付けることもできる。
【0041】
また、製紙関連以外の機器・装置に用いられる直線運動案内機構の場合には、紙粉除去ブラシに代えて清掃用ブラシを防護板に取り付けることができる。清掃用ブラシは、紙粉除去ブラシと同様に、案内レールや該案内レールの周辺部を擦過しながら移動できるものであればよいので、この移動を行う直動ブロックや前記防護板を具備させる場合にはこの防護板に取り付けることもできる。なお、貼付装置の場合であっても、紙粉除去ブラシは直動ブロックに取り付けることもできる。
【発明の効果】
【0042】
この発明に係る直線運動案内機構によれば、直動ブロックから鋼球が脱落した場合、受け取り皿で捕捉されるから、受け取り皿より落下することがなく、この直線運動案内機構の下方に配されている機器・装置等に鋼球が侵入することがなく、機器・装置の運転等に支障を生じさせることがない。
【0043】
また、この発明に係る巻取の巻尻固定用テープの貼付装置によれば、貼付装置の直線移動を案内する直線運動案内機構の直動ブロックから鋼球が脱落した場合、受け取り皿で捕捉するから、子巻取に落下することがなく、不良な子巻取の製造を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】この発明に係る巻取の巻尻固定用テープの貼付装置を模式的に示す斜視図で、防護板や紙粉除去ブラシを省略して示している。
図2】この発明に係る巻取の巻尻固定用テープの貼付装置と貼付装置の直線移動を案内する案内レールとの関係を説明する概略図で、図1におけるA-A線に沿って示す図である。
図3】受け取り皿と可動式側板とを示す図である。
図4図2におけるB-B線に沿って示す図であり、可動式側板と直動ブロックとの関係を説明する図である。
図5】この発明に係る巻取の巻尻固定用テープの貼付装置の防護板と紙粉除去ブラシを説明する図で、図2に示す貼付装置に取り付けられる状態を示している。
図6】ワインダ装置と巻取の巻尻固定用テープの貼付装置とを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、図示した好ましい実施の形態に基づいて、この発明に係る直線運動案内を、この直線運動案内機構を備えた巻取の巻尻固定用テープの貼付装置と共に説明する。
【0046】
はじめに、子巻取を製造するワインダ装置1と製造された子巻取の巻尻と下層の紙とを接合させる巻尻固定用テープの貼付装置を備えた巻尻端処理装置2との概略を説明する。
図6は、ワインダ装置1と巻尻固定用テープの巻尻端処理装置2とを示す側面図である。図示しないアンワインダに抄紙機で製造された巻取が支持され、これを親巻取としてこの親巻取から巻き解いた紙シートを親紙シートSpとして走行させる。
親紙シートSpは走行途中でスリッターナイフ1aを通過して、幅方向の適宜な位置で切断されて小幅の子紙シートScに形成される。形成された子紙シートScはテンションロール1bを経由して回転自在に支持されたフロントドラム1cに巻回される。このフロントドラム1cに隣接してリアドラム1dが回転自在に支持されている。これらフロントドラム1cとリアドラム1dの軸方向に平行な方向を軸として紙管(図示せず)が支持されて、これらフロントドラム1cとリアドラム1dの上部に配されている。フロントドラム1cを巻回した子紙シートScはこの紙管に巻き取られて、直径が徐々に大きくなり、子巻取Uが製造される。なお、子紙シートScはテンションロール1bによる張力が付与されて、適宜に緊張されて走行する。また、紙管に巻き取られた子巻取Uの外周面にはライダーロール1eが接触して加圧されており、巻き強さが均一となるように調整されている。
【0047】
製造された子巻取Uは、傾斜板による搬送路3を転動することで搬送されて、巻尻端処理装置2に供される。子巻取Uは巻尻端処理装置2のフロントローラ2aとこのフロントローラ2aに隣接したリアローラ2bとに支持される。子巻取Uが供給されたならば、フロントローラ2aとリアローラ2bとを適宜に回転させて子巻取Uの巻尻端を検出し、巻尻を子巻取Uの上側に位置させる。
巻尻端処理装置2に供給された子巻取Uの上方には、昇降自在で子巻取Uの軸方向に往復直線移動自在に巻尻固定用テープの貼付装置4が配されている。この貼付装置4の昇降は、鉛直方向に起立させた案内柱2cに昇降ブロック2dが昇降自在に設けられ、貼付装置4がこの昇降ブロック2dに連繋させてあることによる。この昇降ブロック2dにはレール架台板4aが支持され、このレール架台板4aには子巻取Uの軸方向と平行な方向を長手方向とする案内レール4bが設けられている。なお、案内レール4bの表面には、鋼球の転動を案内する案内溝(図示せず)が設けられている。
【0048】
図1には、貼付装置4が矢標Pで示す子巻取Uの軸方向と平行な方向への往復直線移動を案内する構造を示してある。なお、貼付装置4にはチェーンやベルト等のような往復直線移動する図示しない直線移動帯を連繋させてあり、貼付装置4はこの直線移動帯が往復直線移動するのに伴われて往復直線移動する。
また、図1には3本の子巻取Uが直列した状態を示してある。なお、子巻取Uの本数はユーザー等の要求による子巻取Uの幅員によって異なる。
貼付装置4には、子巻取Uの巻尻を下層の紙と接合させる巻尻固定用テープTのテープ用巻取T1が保持されており、貼付装置4が直線移動し、テープ用巻取T1から巻尻固定用テープTを巻解きながら下層の紙面に巻尻固定用テープTを貼り付ける。
なお、このとき、巻尻固定用テープTは複数の所定の位置で所定の長さに貼付したり、子巻取Uの幅方向の全域に亘って貼付したりする。あるいは、巻尻固定用テープTを子巻取Uの周方向に適宜な長さで貼付する場合には、貼付すべき位置で貼付装置4を停止して、子巻取Uの巻尻から下層の紙に掛けて巻尻固定用テープTを貼付することになるので、所定位置毎に貼付装置4の停止と貼付とが行われる。
図1に示す貼付装置4では、巻尻固定用テープTに両面接着テープを用いているため、該巻尻固定用テープTの片面には剥離紙Rが貼付されており、巻尻固定用テープTから剥離された剥離紙Rが剥離紙用巻取T2に巻き取られる。他方、子巻取Uの周方向に巻尻固定用テープTを貼付して巻尻と下層の紙とを接合させる機構では、両面接着テープとする必要がないので、剥離紙を回収する必要がない。
なお、前述したように、巻尻固定用テープTを子巻取Uの紙面に貼付する際には、貼付装置4は下降して貼付位置に位置している。
【0049】
貼付装置4は、図1図2に示すように、直動ブロック41に取り付けられており、この直動ブロック41には案内レール4bが係合している。また、この直動ブロック41には、案内レール4bに形成された前述の案内溝と協働して断面円形となる案内溝と、循環案内孔が形成され、直動ブロック41に配される蓋体プレート(図示せず)には、方向転換孔が形成されている。
案内レール4bは、少なくとも、直列した子巻取Uに貼付すべき巻尻固定用テープTを貼付できる位置に貼付装置4を位置させる長さに設けられている。したがって、直動ブロック41は案内レール4bに案内されて、直列した子巻取Uの一端側の子巻取Uに対する貼付位置と他端側の子巻取Uの貼付位置の間を移動できる。なお、一端側の子巻取Uの外側端部と他端側の子巻取Uの外側端部との間を移動自在としてあれば、十分である。
案内レール4bはレール架台板4aに設けられており、このレール架台板4aが、図6に示す昇降ブロック2dに取り付けられて昇降する。
また、この実施形態では、図1図2に示すように、貼付装置4が取り付けられた直動ブロック41は貼付装置4の上下に一対が設けられており、また、図示省略したが、この上下一対の貼付装置4が左右にも設けられている。すなわち、貼付装置4は、上下左右の四カ所で直動ブロック41に支持されている。また、レール架台板4aと案内レール4bは上下に一対を配し、左右の上側の直動ブロック41に対して上側のレール架台板4aと案内レール4bとを共通とし、左右の下側の直動ブロック41に対して下側のレール架台板4aと案内レール4bとを共通としてある。なお、直動ブロック41は四カ所に限らず、例えば、貼付装置4の大きさ等に応じて必要数を設けるもので構わない。
【0050】
貼付装置4が取り付けられた上下の直動ブロック41のそれぞれの下方には、該貼付装置4に取り付けられて、保持板42が配されている。この保持板42は、断面形状がほぼL字形に形成されて、L字形の一方の脚部の先端が貼付装置4に固定され、他方の脚部の先端を上方に指向させて、レール架台板4aの近傍まで伸長させてある。
この保持板42に、受け取り皿43が子巻取Uの軸方向と平行な方向に摺動自在に保持されており、この摺動によって、後述する安定板案内部と摺動安定板とを介して受け取り皿43を保持板42に挿抜自在としてある。なお、この挿抜は、保持板42の一方の側の端部から行えるようにすることが好ましく、このため、保持板42の他方の側の端部には、挿入された受け取り皿43が当接して摺動を停止させるストッパ(図示せず)が設けられていることが好ましい。また、この挿抜方向は、貼付装置4の上下に配された直動ブロック41に対して同じ方向とすることが、操作の利便性にとって好ましい。
また、受け取り皿43は断面形状がほぼL字形に形成されて、保持板42のL字形の内側に収容される大きさとされている。また、受け取り皿43のレール架台板4a側の脚部は、上方を指向させて、案内レール4bの基端部の近傍まで伸長させてある。一方、受け取り皿43のL字形の脚部の貼付装置4側の端部には、可動式側板43aが取り付けられている。
【0051】
また、図2に想像線で示すように、受け取り皿43の端縁には側板43bが取り付けられて、受け取り皿43の端部がこの側板43bによって閉鎖されている。この側板43bのレール架台板4a側の端部は受け取り皿43のレール架台板4a側の脚部に重ねられて位置させられるが、貼付装置4側の端部は、図2に示すように、貼付装置4との間に間隙Gを設ける必要がある場合がある。例えば、間隙Gが対応する部分に貼付装置4に具備されている機器や部品等が存し、この機器等が受け取り皿43を保持板42に対して挿抜させる際の障害となる場合等である。このような場合には、可動式側板43aを、丁番43cを介して設けることが好ましい。すなわち、この丁番43cを介して可動式側板43aが、図3上で、実線で示す間隙Gを閉鎖する閉鎖位置と、間隙Gが臨む領域から待避した想像線で示す待避位置との間で揺動自在とされている。
貼付装置4の左右で一対の直動ブロック41が存する場合には、図4に示すように、この可動式側板43aは、左右の直動ブロック41の間にも配されることが好ましい。この場合には、直動ブロック41の下方に位置する部分では直動ブロック41を避ける小幅部43a1が形成され、左右の直動ブロック41の間部分には拡幅部43a2が形成される。また、可動式側板43aの端部であって、受け取り皿43を引き出す側の端部には、操作用ハンドル44を取り付けることで、可動式側板43aの閉鎖位置と待避位置との間を移動させる操作を容易に行うことができる。
なお、丁番43cに代えて捩りコイルバネにより復元力を付勢して、この復元力によって可動式側板43aを待避位置から閉鎖位置に復帰する構造とすることもできる。この場合には、待避位置に位置した状態の可動式側板43aを拘束できる係止手段を設けることが好ましい。
また、受け取り皿43の下面には摺動安定板43dが設けられている。他方、保持板42にはこの摺動安定板43dと係合する安定板案内部42aが設けられており、これら摺動安定板43dと安定板案内部42aとが係合して、受け取り皿43を保持板42に対して挿抜する際の摺動が案内される。
【0052】
保持板42の側面には、図5に示すような防護板5が配されている。すなわち、防護板5は貼付装置4に取り付けられた保持板42に設けられているものであり、貼付装置4と共に往復直線移動するよう、貼付装置4に連繋させて設けたものである。この防護板5は、軽量な板材、例えばアクリル板のような合成樹脂製板で形成されて、光透過性を備えていることが好ましい。
防護板5は、図5に示すように、二つのコ字形に加工された形状が上下に連続した一枚の板材からなり、コ字形の開放側がレール架台板4aを指向する姿勢で取り付けられる。また、コ字形の開放側から内側部に案内レール4bが位置するように配される。このコ字形の部分には、図5に示すように、清掃用ブラシである紙粉除去ブラシ6が取り付けられている。この紙粉除去ブラシ6は、コ字形に形成されており、先端部をコ字形の内側から開放側に向かって伸長させてある。すなわち、先端のブラシ端をレール架台板4aの表面と案内レール4bの表面に接触させてある。したがって、貼付装置4が直線移動する際には、この紙粉除去ブラシ6のブラシ端が案内レール4bとレール架台板4a、案内レール4bの周辺部のそれぞれ表面を擦過して、表面に付着した紙粉を除去する。
【0053】
上側の保持板42の側端面には、取付雌ネジ部(図示せず)が形成されており、図2に示すように、この取付雌ネジ部に蝶ボルト42bが螺合する。一方、防護板5にはこの取付雌ネジ部と対向する位置に挿通孔5aが設けられている。また、防護板5のコ字形の反開放側は、貼付装置4の側面にヒンジ5bを介して取り付けられていて、このヒンジ5bによって、防護板5が保持板42の側面と重なる位置と、該保持板42の側面から待避して保持板42に対する受け取り皿43の挿抜を可能とする位置との間を揺動することで、受け取り皿43の挿抜域に対して進退自在としてある。なお、貼付装置4の側面にはこのヒンジ5bを保持するヒンジ保持部4cが配されている。そして、保持板42の側面と重なった状態で取付雌ネジ部に挿通孔5aが合致し、挿通孔5aを通過した蝶ボルト42bを取付雌ネジ部に螺合させて締め付けることにより、防護板5が保持板42に固定される。
また、蝶ボルト42bと貼付装置4の側面との間には、落下防止ロープ42cが掛け渡されて、巻尻端処理装置2の振動等によって蝶ボルト42bが緩んで取付雌ネジ部から離脱した場合に、不用意に落下することが防止されている。
【0054】
以上により構成したこの発明に係る直線運動案内機構の作用を、この直線運動案内機構が取り付けられた巻取の巻尻固定用テープの貼付装置の作用と共に、以下に説明する。
【0055】
前述したように、製造された子巻取Uが搬送路3を転動して、ワインダ装置1から巻尻端処理装置2に移送されると、子巻取Uはフロントローラ2aとリアローラ2bとに保持される。フロントローラ2aを適宜に回転させて、フロントローラ2aとリアローラ2bで保持している子巻取Uを回転させ、この子巻取Uの巻尻端を上側に位置させる。
巻尻端が上側に位置した状態で、上昇していた昇降ブロック2dが下降して、貼付装置4による巻尻固定用テープTを、この子巻取Uに貼付できる位置に位置付ける。
【0056】
次いで、貼付装置4を子巻取Uの軸方向に移動させ、テープ用巻取T1から巻尻固定用テープTを巻解きながら、子巻取Uの巻尻が重なる下層の紙の表面に巻尻固定用テープTを貼付する。なお、巻尻固定用テープTの貼付に先立って、子巻取Uを適宜に逆回転させて巻尻の部分を巻解いて、巻尻固定用テープTが貼付される部分から巻尻の部分を待避させる。巻尻固定用テープTが貼付されたならば、子巻取Uを正回転させて、巻尻を巻尻固定用テープTに重ねて、巻尻と下層の紙とを接合する。
【0057】
ところで、子巻取Uを製造する際のワインダ装置1で発生する振動や貼付装置4の直線移動時に発生する振動等によって、直動ブロック41の前述した蓋体プレート(図示せず)が外れてしまうと、直動ブロック41に収容されていた鋼球(図示せず)が脱落してしまうことになる。このとき落下した鋼球は、直動ブロック41の下方に配されている受け取り皿43で捕捉されて、受け取り皿43に収容されることになる。このため、巻尻固定用テープの貼付のために巻尻端処理装置2に供されている子巻取Uに落下することがなく、子巻取Uの紙層の間に入り込むことが防止される。
【0058】
受け取り皿43に落下した鋼球は、受け取り皿43のL字形の端部が案内レール4bの近傍まで伸長しているので、この受け取り皿43から脱落することが防止される。また、受け取り皿43の端縁には側板43bが取り付けられているので、受け取り皿43の端部からの鋼球の脱落も防止される。また、この側板43bと貼付装置4との間に間隙Gが存在している場合には、可動式側板43aが配されているので、間隙Gからの鋼球の脱落も防止される。したがって、受け取り皿43に捕捉された鋼球は受け取り皿43に収容された状態が維持される。
【0059】
鋼球が直動ブロック41から脱落してしまうと、貼付装置4の直線移動の円滑性が失われ、異音の発生や巻尻固定用テープTの貼付状態に異常が発生したりすることになる。このような現象が生じた場合等に、ワインダ装置1と巻尻端処理装置2とを停止して、貼付装置4の直線移動等に関する点検が行われ、受け取り皿43に落下した鋼球を回収する。
【0060】
鋼球を回収する場合には、受け取り皿43を保持板42から抜去する。
蝶ボルト42bを緩めて外し、ヒンジ5bの軸を中心として防護板5を揺動させて、受け取り皿43の長手方向の延長上から待避させる。また、可動式側板43aを傾倒させて、図3において想像線で示す待避位置に位置させる。この状態で、受け取り皿43を保持板42から抜去して、受け取り皿43に収容された鋼球を回収する。また、受け取り皿43の保持板42に対する摺動は、安定板案内部42aと摺動安定板43dとの係合によって、円滑に、安定して行うことができ、受け取り皿43の姿勢が傾くことを防止して、収容された鋼球が不用意に落下することが防止される。
【0061】
鋼球の回収後には、摺動安定板43dと安定板案内部42aとを係合させ、受け取り皿43を保持板42に対して摺動させて、受け取り皿43を保持板42に保持させる。なお、受け取り皿43を摺動させる際には、可動式側板43aを待避位置に位置させた状態として、保持板42に対して受け取り皿43を押し込む。
受け取り皿43が保持板42に保持された状態で、可動式側板43aを閉鎖位置に復帰させる。また、防護板5を揺動させて受け取り皿43の端部に当接させ、蝶ボルト42bを保持板42の取付雌ネジ部に螺合させて締め付ける。
【0062】
そして、鋼球が脱落してしまった蓋体プレートが固定されている直動ブロック41を新たなものと交換して、貼付装置4を取り付ける。これにより、貼付装置4の円滑な往復直線移動を確保できて、貼付装置4の円滑な動作により、巻尻固定用テープTを円滑に貼付することができる。
なお、受け取り皿43は上下一対の直動ブロック41に対して設けられているから、上下いずれの直動ブロック41から鋼球が脱落したかを把握できるので、破損に係る直動ブロック41を容易に把握できる。
【0063】
ところで、貼付装置4の往復直線移動に伴われて、防護板5に取り付けられた紙粉除去ブラシ6も往復直線移動をする。往復直線移動時には、この紙粉除去ブラシ6の先端部が、レール架台板4aの表面や案内レール4bの表面、その他案内レール4bの周辺部の表面を擦過する。このため、案内レール4b等の表面に付着していた紙粉を除去して表面が清掃される。案内レール4bに形成された図示しない案内溝の表面も清掃されて、鋼球の円滑な転動を維持できる。鋼球の円滑な転動は、貼付装置4を円滑に動作させると共に、直線運動案内機構による振動の発生を抑制できるので、振動による直動ブロック41からの蓋体プレートの離脱を防止して、鋼球の脱落を防止できる。
【0064】
以上に説明した実施形態では、受け取り皿43を貼付装置4に取り付けた保持板42に保持させて設けた構造について説明したが、受け取り皿はレール架台板4aに設けることもできる。この場合、受け取り皿は直動ブロック41と共に移動することがないので、直動ブロック41の移動域の下方に配する。すなわち、案内レール4bの一端から他端に亘って、直動ブロック41の移動域の下方に、受け取り皿を配する。なお、レール架台板4aに保持板を取り付けて、この保持板に受け取り皿を保持させることもできる。
【0065】
また、紙粉除去ブラシ6を防護板5に取り付けた構造について説明したが、紙粉除去ブラシ6は案内レール4bに沿って直線移動すれば十分であり、例えば、貼付装置4に取り付ける構造とすることもできる。
【0066】
さらに、この実施形態では巻取の巻尻固定用テープの貼付装置に用いられている場合の直線運動案内機構について説明したが、巻尻固定用テープの貼付装置に限らず、直線運動案内機構が具備している鋼球が、製品等の上に落下してしまう虞がある場合には、保持板42や受け取り皿43等を具備させた直線運動案内機構を用いることができる。例えば、製紙工場では、前述したワインダ装置1に備えられているスリッターナイフ1aは、子巻取Uの幅員を所望の大きさとする際に、子巻取Uの軸方向と平行な方向に往復直線移動することを要するため、この往復直線移動に直線運動案内機構が用いられるから、このスリッターナイフ1aの移動を案内する直線運動案内機構に保持板42や受け取り皿43等を具備させることができる。また、巻取の軸方向と平行な方向に、各種のセンサーを移動させて、紙面の位置等に関して所望のデータを取得する場合に、このセンサーの移動を案内する直線運動案内機構に保持板42や受け取り皿43等を具備させて、鋼球を捕捉できる構造を採用することができる。
さらに、前記紙粉除去ブラシ6等の清掃用ブラシを具備させることもできる。
【0067】
この発明に係る直線運動案内機構とこれを用いた巻取の巻尻固定用テープの貼付装置によれば、直線運動案内機構が備えた鋼球が万一脱落してしまった場合であっても、受け取り皿で捕捉されて収容されるから、貼付装置により巻尻固定用テープが貼付される巻取の紙層間に入り込むことがなく、不良品となる巻取を発生させずに、安定した巻取の製造に寄与する。
【符号の説明】
【0068】
1 ワインダ装置
1a スリッターナイフ
1c フロントドラム
1d リアドラム
2 巻尻端処理装置
2a フロントローラ
2b リアローラ
2d 昇降ブロック
3 搬送路
4 貼付装置
4a レール架台板
4b 案内レール
4c ヒンジ保持部
41 直動ブロック
42 保持板
42a 安定板案内部
42b 蝶ボルト
43 受け取り皿
43a 可動式側板
43b 側板
43d 摺動安定板
5 防護板
6 紙粉除去ブラシ(清掃用ブラシ)
G 間隙
R 剥離紙
Sp 親紙シート
Sc 子紙シート
T 巻尻固定用テープ
T1 テープ用巻取
T2 剥離紙用巻取
U 子巻取
図1
図2
図3
図4
図5
図6