(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】電子モジュールの製造方法、光学モジュールの製造方法、電子モジュール、光学モジュール及び機器
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240221BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20240221BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20240221BHJP
H01L 25/04 20230101ALI20240221BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20240221BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20240221BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G02B7/02 Z
G02F1/1333
G09F9/00 338
H01L25/04 Z
H04N23/57
H05K1/14 G
(21)【出願番号】P 2019199241
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚野 純
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-191013(JP,A)
【文献】特開平11-126033(JP,A)
【文献】特開2012-208297(JP,A)
【文献】特開2009-075515(JP,A)
【文献】特開2009-239651(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0356628(US,A1)
【文献】特開2006-126800(JP,A)
【文献】特開2007-049369(JP,A)
【文献】特開2013-240043(JP,A)
【文献】特開2009-098551(JP,A)
【文献】特開2009-218720(JP,A)
【文献】特開平10-179521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B7/02-7/16
G02F1/133-1/1334
1/1339-1/1341
1/1347
G03B21/00-21/10
21/12-21/13
21/134-21/30
33/00-33/16
G09F9/00
H01L25/00-25/07
25/10-25/11
25/16-25/18
H04N5/222-5/257
H05K1/14
3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板と第二基板とが接合した電子デバイスを準備する工程と、前記電子デバイスとパッケージ部材とを結合する工程と、を含む電子モジュールの製造方法であって、
前記第一基板は
、前記第二基板の側の表面と、前記表面とは反対側の裏面と、前記表面の縁部と前記裏面の縁部との間の第一側面と、を有し、
前記第二基板は、前記第一基板の側の第一主面と、前記第一主面とは反対側の第二主面と、前記第一主面の縁部と前記第二主面の縁部との間の第二側面とを有し、
前記パッケージ部材は、開口を有する第一部分と、前記開口に重ならない位置に設けられた第二部分とを有し、
前記第一基板の前記表面には電子素子が形成されており、
前記結合する工程は、
前記第一部分と前記第一基板との間に前記第二基板が位置した状態で、前記電子素子が形成された前記第一基板の前記第一側面を前記第二部分に当接させる工程と、
前記第一側面が前記第二部分に当接し、かつ前記第二側面が前記パッケージ部材から離間するように、前記電子デバイスを前記パッケージ部材に固定する工程と、を有することを特徴とする電子モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記電子デバイスを準備する工程は、前記第一基板に対応する部分を有する第一ウエハを準備する工程と、前記第二基板に対応する部分を有する第二ウエハを準備する工程と、前記第一ウエハと前記第二ウエハとを接合する工程と、前記接合する工程の後に、前記第一ウエハと前記第二ウエハとを分割する工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記電子デバイスを準備する工程は、前記第一基板に対応する部分を有するウエハを準備する工程と、前記第一基板を形成するために前記ウエハを分割する工程と、前記分割する工程の後に、前記第一基板と前記第二基板を接合する工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項4】
分割する工程は、前記第一基板に対応する部分を有する前記ウエハにダイシング工法を用いて切れ込みを入れる工程と、前記切れ込みを入れる工程の後に、前記ウエハを外力によって分割する工程と、を含むことを特徴とする請求項3に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記パッケージ部材は前記第一部分から延びる壁部を有し、前記固定する工程では、前記第一側面および/または第二側面と前記壁部との間に接着剤を供給して前記壁部と前記電子デバイスとを固定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記壁部は前記電子デバイスの前記第一側面および/または第二側面に対向する位置に凹部を有し、前記接着剤は前記凹部の中に前記接着剤が供給されることを特徴とする請求項5に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記第一側面の表面粗さの最大高さは、前記第二側面の表面粗さの最大高さよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項8】
前記第一側面はシリコン基板の側面であり、前記第二側面はガラス基板の側面であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記第一基板は矩形状であり、前記当接させる工程は、前記第一側面の一辺の側で前記第一側面を前記第二部分と当接させることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項10】
前記パッケージ部材の前記第一部分と前記第二部分とは一体成型により製造されたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電子モジュールの製造方法で製造された電子モジュールと、光学部材と、位置決め部材を準備する工程と、
前記位置決め部材に前記パッケージ部材と前記光学部材とを当接させた状態で、前記光学部材を前記パッケージ部材に固定する工程と、を含むことを特徴とする光学モジュールの製造方法。
【請求項12】
第一基板と第二基板とが接合した電子デバイスと、パッケージ部材と、を含む電子モジュールであって、
前記第一基板は
、前記第二基板の側の表面と、前記表面とは反対側の裏面と、前記表面の縁部と前記裏面の縁部との間の側面と、を有し、
前記第二基板は、前記第一基板の側の第一主面と、前記第一主面とは反対側の第二主面と前記第一主面の縁部と前記第二主面の縁部との間の側面と、を有し、
前記パッケージ部材は、開口を有する第一部分と、前記開口に重ならない位置に設けられた第二部分と、を有し、
前記第一基板の前記表面には電子素子が形成されており、
前記第二基板の一部は、前記開口と前記第一基板の第一領域との間に位置し、
前記第二基板の他の一部は、前記第一部分と前記第一基板の第二領域との間に位置し、
前記電子素子が形成された前記第一基板の前記側面が前記第二部分に当接し、
前記第二基板の前記側面が前記パッケージ部材から離間している、
ことを特徴とする電子モジュール。
【請求項13】
第一基板の前記側面の表面粗さの最大高さは、前記第二基板の前記側面の表面粗さの最大高さよりも小さいことを特徴とする請求項12に記載の電子モジュール。
【請求項14】
前記第一基板は矩形状であり、前記第一基板の前記側面の一辺の側で前記第一基板の前記側面が前記第二部分と当接していることを特徴とする請求項12又は13に記載の電子モジュール。
【請求項15】
シリコン基板とガラス基板とを含む電子デバイスと、パッケージ部材と、を含む電子モジュールであって、
前記シリコン基板は、複数の電子素子が設けられた表面と、前記表面とは反対側の裏面と、前記表面の縁部と前記裏面の縁部との間の側面と、を有し、
前記パッケージ部材は、開口を有する第一部分と、前記開口に重ならない位置に設けられた第二部分と、を有し、
前記シリコン基板の第一領域は前記開口に重なり、
前記シリコン基板の第二領域は前記第一部分に重なり、
前記表面と前記第一部分との間の距離は前記裏面と前記第一部分との間の距離よりも小さく、
前記シリコン基板の前記側面が前記第二部分に当接し
、
前記ガラス基板は、前記表面の側の第一主面と、前記第一主面の反対側の第二主面と、前記第一主面の縁部と前記第二主面の縁部との間の側面と、を有し、
前記ガラス基板の前記側面は前記パッケージ部材から離間している、
ことを特徴とする電子モジュール。
【請求項16】
前記シリコン基板は矩形状であり、前記側面の一辺の側で前記側面が前記第二部分と当接していることを特徴とする請求項15に記載の電子モジュール。
【請求項17】
前記パッケージ部材は前記第一部分と前記第二部分とを含むワンピース構造であることを特徴とする請求項12乃至
16のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項18】
前記パッケージ部材は、前記電子デバイスの側面に対向する壁部を有し、
前記第二部分は前記壁部のうちで、前記表面の縁部と前記裏面の縁部との間の前記側面へ向かって突出した凸部であり、
前記電子デバイスと前記壁部との間に接着剤が介在していることを特徴とする請求項12乃至
17のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項19】
前記パッケージ部材は前記表面の縁部と前記裏面の縁部との間の前記側面に対向する壁部を有し、前記裏面を水平方向に延ばした仮想平面が前記壁部と交差しないことを特徴とする請求項12乃至
18のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項20】
前記電子デバイスには、光電変換素子又は有機EL素子のいずれかが配されていることを特徴とする請求項12乃至
19のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項21】
請求項12乃至
20のいずれか1項に記載の電子モジュールと、光学部材と、を含む光学モジュールであって、
前記光学部材と前記電子デバイスとの間に前記開口が位置
し、前記光学部材が前記パッケージ部材に固定されていることを特徴とする光学モジュール。
【請求項22】
前記光学部材がプリズムであることを特徴とする請求項
21に記載の光学モジュール。
【請求項23】
請求項12乃至
20のいずれか1項に記載の電子モジュールと、
前記電子デバイスに接続された回路装置と、
を備える機器。
【請求項24】
請求項21または
22に記載の光学モジュールと、
撮像デバイスと、
光学センサと、を備える機器であって、
前記電子デバイスは前記撮像デバイスによって得られた画像を表示する表示デバイスであり、
前記表示デバイスに表示された画像を、前記光学部材を介して前記機器のユーザーが観察可能であり、
前記光学センサは前記光学部材を介して、前記ユーザーの眼を検出することを特徴とする機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子モジュールの製造方法、光学モジュールの製造方法、電子モジュール、光学モジュール及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置や表示装置等に使用される電子モジュールは、一般に電子素子等が形成された素子基板と素子基板を保護する対向基板とを備えた電子デバイスと、電子デバイスを収容するためのパッケージ部材とを備えている。
【0003】
特許文献1では、保持枠を構成するスペーサー部の上に、一対のパネル材を貼り合わせて構成された表示パネルを搭載することが開示されている。このとき保持枠の保持壁に、スペーサー部と当接するパネル材のみを当接させることにより、保持壁が削れることにより異物が発生することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
撮像装置や表示装置ではその筐体に対して電子モジュールを高精度に設置したい場合がある。高精度に設置するためには、電子モジュールを収容するパッケージ部材に対して電子デバイスを精度よく設置することが求められる。本発明の目的は、電子デバイスをパッケージ部材に精度よく取り付けるのに有利な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子モジュールの製造方法は、第一基板と第二基板とが接合した電子デバイスを準備する工程と、前記電子デバイスとパッケージ部材とを結合する工程と、を含む電子モジュールの製造方法であって、前記第一基板は、前記第二基板の側の表面と、前記表面とは反対側の裏面と、前記表面の縁部と前記裏面の縁部との間の第一側面と、を有し、前記第二基板は、前記第一基板の側の第一主面と、前記第一主面とは反対側の第二主面と、前記第一主面の縁部と前記第二主面の縁部との間の第二側面とを有し、前記パッケージ部材は、開口を有する第一部分と、前記開口に重ならない位置に設けられた第二部分とを有し、前記第一基板の前記表面には電子素子が形成されており、前記結合する工程は、前記第一部分と前記第一基板との間に前記第二基板が位置した状態で、前記電子素子が形成された前記第一基板の前記第一側面を前記第二部分に当接させる工程と、前記第一側面が前記第二部分に当接し、かつ前記第二側面が前記パッケージ部材から離間するように、前記電子デバイスを前記パッケージ部材に固定する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子デバイスをパッケージ部材に精度よく取り付けるのに有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係るパッケージ部材及び電子モジュールを示す模式図。
【
図3】本発明に係る電子モジュールの製造方法を示す図。
【
図5】本発明に係る電子モジュールの製造方法を示す図。
【
図9】本発明の光学モジュールを適用した光学装置の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。なお、各部材については、第L部材と称することができ、各部の構成については、第N部分や第M部と称することができる。ここで、L、M、Nは自然数である。
【0010】
[第1実施形態]
本発明に係る電子モジュールについて、
図1を用いて説明する。
図1(a)は電子デバイスを搭載するためのパッケージ部材200の斜視図である。
図1(b)はパッケージ部部材200に電子デバイス500を搭載した電子モジュール600の斜視図である。電子モジュール600は、電子デバイスを搭載するためのパッケージ部材200と電子デバイス500を有する。
【0011】
パッケージ部材200の材料は、変性PPE(ポリフェニレンエーテル)、液晶ポリマー、ポリアミド等でありうる。パッケージ部材200は、開口210を有する枠状の部材である。開口210を設けることでパッケージ部材200を軽量化できる。パッケージ部材200は、開口210を有する基部220と、基部220に対して、開口210を貫く方向に突出した壁部200fとを有する。基部220は、開口210を貫く方向からの平面視において壁部200fよりも内側(開口210側)に位置する内側枠部200dを含む。内側枠部200dの内面が開口210を画定する。基部220は、開口210を貫く方向からの平面視において壁部200fよりも外側(開口210側とは反対側)に位置する外側枠部200eを含む。壁部200fは開口210に重ならない位置であって、基部220に重なる位置に設けられている。パッケージ部材200は、壁部200fと、内側枠部200dと、外側枠部200eとが一体成型された部材でありうる。壁部200fは、パッケージ部材200の内側(開口210側)に突出した内側凸部200aを有する。壁部200fは、パッケージ部材200の内側(開口210側)において窪んだ内側凹部200cを有する。壁部200fは、パッケージ部材200の外側(開口210側とは反対側)において突出した外側凸部200bを有する。
【0012】
図1(b)に示す電子モジュール600において、パッケージ部材200の内側に突出している内側凸部200aが電子デバイス500と当接することで、内側凸部200aは電子デバイス500の位置を決める位置決め部として機能する。電子モジュールが搭載される筐体と当接されるパッケージ部材200の外側に突出している外側凸部200bを有する。さらに、パッケージ部材200は、電子デバイスとパッケージ部材を接着するために接着剤を供給する内側凹部200cを壁部200fに設けていてもよい。また、パッケージ部材200は、電子デバイス500を支持するための支持部として機能する内側枠部200dを有する。
【0013】
内側枠部200dはパッケージ部材200の底部の一部を形成している。内側枠部200dは電子デバイス500が搭載される側の面とその反対側の面とを有する。内側凸部200aは内側枠部200dから延びる壁部200fに設けられている。内側凸部200aは、壁部200fの内面側に、内側枠部200dの、電子デバイス500が搭載される面から所定の距離だけ離れて設けられる。外側凸部200bは壁部200fの外面側に設けられている。電子デバイス500は壁部200fに囲まれるように収容されて内側枠部200dで支持される。パッケージ部材200の開口210は壁部200fに囲まれた位置に開口210を有する。内側凹部200cは、壁部200fのうちの電子デバイス500の側面45、65に対向する内面において、他の部分よりも窪んだ部分である。内側凹部200cは、壁部200fの、内側枠部200dと反対側の上面から下面の内側枠部200dの方へ向けて形成された溝状の凹部であってもよい。パッケージ部材200と電子デバイス500とを結合するときは、内側凹部200に接着剤を供給して固定するとよい。また、図に示すように、壁部200fからパッケージ部材200の外側に広がる枠部200eが設けられている。
【0014】
電子モジュール600では
図1(b)に示すように、電子デバイス500がパッケージ部材200の壁部200fで囲まれるように収容されている。収容された状態では、電子デバイス500の一面が内側枠部200dに支持され、電子デバイス500の側面の一部が内側凸部200aに当接されて電子デバイス500の位置がパッケージ200に対して決定される。電子デバイス500はバンプや異方性導電フィルム、異方性導電ペーストを介してフレキシブル基板やガラスエポキシ基板等に電気的に接続され、外部の回路との間で給電や信号の送受信を行うことができるように構成されている。図に示すように、電子デバイス500に配線を接続するために、壁部200fはパッケージ部材の全周に渡って設けなくてもよい。
【0015】
図2(a)は
図1の電子モジュールの線A-A’での断面図である。固定部材400により、電子デバイス500とパッケージ部材200とが固定されている。固定部材400は樹脂等の液体の接着剤を硬化したものでありうる。
【0016】
電子デバイス500はシリコン等の半導体やガラス等の絶縁体で形成された基体10と基体10の一方の主面(表面50)に電子素子が形成された第一基板100を備える。電子デバイス500はさらに、第一基板100の一方の主面と対向するように形成した第二基板300とを備える。第二基板300は例えば、第一基板100を保護するための保護基板でありうるし、第一基板100を支持するための支持基板や電子デバイス500の強度を補強する補強基板でありうる。第二基板300が保護基板や支持基板である場合には第二基板300には電子素子が形成されていなくてもよい。典型的に第二基板300はガラスや水晶、樹脂などの絶縁体からなる。第一基板100が画素領域を有する場合、画素領域から発せられる光あるいは画素領域へ入る光を透過させるために、第二基板300は光透過性を有する材料から成る透光基板でありうる。パッケージ部材200の開口210は、は電子デバイス500で扱われる光が通過する光路を提供しうる。第二基板300に電子素子が形成されていてもよく、電子デバイス500は、第一基板100と第二基板300の双方に電子素子を形成した基板積層型の電子デバイスであってもよい。基体10がシリコンである場合、第一基板100をシリコン基板と称することができる。第一基板100は、ガラス等の絶縁体の基体10の上に薄膜の電子素子が形成されたものであってもよい。
【0017】
第一基板100において、開口210に重なる領域を中央領域20と称し、中央領域20の周辺の領域を周辺領域と称する。第一基板100に表示素子や光電変換素子を設ける場合には、中央領域20が画素領域になることが典型的である。周辺領域には、中央領域20の電子素子に接続された回路(周辺回路)が配されることが典型的であるが、周辺領域には何の電子素子を配置しなくてもよい。第二基板300のうち、第一基板100の中央領域20に対向する部分を中央部分と称し、第一基板100の周辺領域に対向する部分を周辺部分と称する。第二基板300の中央部分は、開口210と第一基板100の中央領域20との間に位置する。第二基板300の周辺部分は、基部220(内側枠部200d)と第一基板100の周辺領域との間に位置する。電子デバイス500が表示デバイスや撮像デバイスである場合において、画素領域を第二基板300の中央部分に配置することもできる。
【0018】
第一基板100と第二基板300とは接合部材30の介在により接合される。第一基板100には、電子素子が形成された、第二基板300と接合する側の表面50と、その反対側の裏面40を有する。第一基板100は裏面40の縁部と表面50の縁部との間に第一側面45を有する。第二基板300は第一基板と接合する側の第一主面70と、その反対側の第二主面60とを有する。第二基板300は第二主面60の縁部と第一主面70の縁部との間に第二側面65を有する。表面50と基部220(内側枠部200d)との間の距離は裏面40と基部220(内側枠部200d)との間の距離よりも小さい。つまり、電子素子が形成された表面50が裏面40よりも基部220の近くに配置される向きで第一基板100が配置される。第一基板100の配置のこのような向きは、第二基板300(および接合部材30)を削除した電子デバイス500をパッケージ部材200に載置する場合も同様である。
【0019】
電子デバイス500の第一基板100の第一側面45がパッケージ部材200の第一位置決め部としての内側凸部200aと当接する。基部220と内側凸部200aとの間には空隙200kが設けられている。この空隙200kにより、第二基板300の第二側面65が壁部200fに当接することを抑制できる。壁部200fの1辺には2つ以上の内側凸部200aを設けることが好ましい。
【0020】
図2(b)は
図1(b)を電子デバイス500の第一基板100の、第二基板300と接合する表面50と反対側の裏面40と直交する矢印Bの方向から見たときの電子モジュール600の平面図である。電子デバイス500を内側凸部200aに当接させた状態で、内側凹部200cに供給した固定部材400で電子デバイス500を固定することができる。また電子デバイス500とパッケージ部材200との接着力を向上させたい場合は、さらに接着剤を電子デバイス500と内側凸部200aの間に配してもよい。
【0021】
電子デバイス500をパッケージ部材200に対して平面的(2次元)に位置決めをする場合、第1位置決め部としての内側凸部200aをパッケージ部材200の壁部200fの1辺だけではなく、壁部200fの隣接する2辺に設けてもよい。本例では、
図2(b)に示す様に、上辺に2つの内側凸部200aを設け、右辺に1つの内側凸部200aを設けている。また、外側凸部200bも異なる方向に複数設けてもよい。内側凸部200a及び外側凸部200bが異なる方向で位置決めをできるようにすることにより、平面的及び立体的な位置決め精度を向上できる。
図2(c)は
図2(b)の線C-C’での断面図である。また
図2(d)は
図2(b)の線D-D’での断面図である。
図2(c)及び
図2(d)では電子デバイスの第一基板100の裏面40を水平方向に延ばした仮想平面が内側凸部200a及び壁部200fの上面と略同一平面となっている。本実施形態では、配線を通すためにパッケージ部材200の一部には
図2(c)に示すように壁部200fは設けられていない。
【0022】
仮想平面が内側凸部200aや壁部200fと交差しないような位置関係にした場合、第一基板100の裏面に対して放熱シートを当接しやすい。このために良好な放熱特性を得ることが出来る。但しこの場合電子デバイス500の一部が内側凸部200a及び壁部200fよりも上に突出するため、組立工程で第一基板100の破損が懸念される。従って、第一基板100が脆弱な場合や破損を避けたい場合には、仮想平面が突出部の側面と交差するような高さにすることで第一基板100の破損を防止することができる。交差する構造を実現するためには、壁部200fの高さを電子デバイス500の厚さよりも高くする。
図2に示すように第一基板100の裏面40は他の部材で覆われていない。
【0023】
次に本発明の電子モジュール600の製造方法について、
図3を用いて説明する。まず、
図3(a)に示すように、シリコンやガラス等の基体10上に液晶素子や有機EL素子等の電子素子や外部接続端子が配された第一基板100を準備する。なお、ここでは外部接続端子は図示を省略している。電子素子は、トランジスタ等の電子素子に加えて、液晶素子や有機EL素子等の表示素子やフォトダイオード等の光電変換素子、圧電素子であってもよい。第一基板100は、電子素子が形成されたシリコン基体を有するシリコン基板であってもよい。
【0024】
次に
図3(b)に示すように、準備した第二基板300を、接合部材30を介在させて第一基板100に貼り合わせる。接合部材30は接着剤でもよい。接着剤を用いる場合は、第一基板に接着剤を塗布した後に、第二基板と第一基板とを貼り合わせても、第二基板に接着剤を塗布した後に、第一基板と第二基板とを貼り合わせてもよい。接着剤をどちらか一方の基板に塗布して貼り合わせるか、あるいは両方に塗布して貼り合わせてもよい。次に
図3(c)に示すように電子デバイス500の第二基板300の、表面50と反対側の第二主面60を内側枠部200dに当接させながら、
図3(d)に示すように電子デバイス500をパッケージ部材200に載置する。その際に位置を高精度に設置したい基板の側面を、電子デバイスの内側凸部200aに当接させる。電子デバイスが光電変換素子や表示素子を有する場合は、撮像素子の撮像部や表示素子の表示部と開口との対応を精度よく決めることができる。このとき内側凸部200aと当接しない基板の側面は壁部200fに接しないで、離間されていてもよい。本実施形態では第2基板300は壁部200fから空間を挟んで、離間して載置されている。
【0025】
図4は
図3(b)の矢印Eの方向から平面視した電子デバイス500の平面図の模式図である。第一基板100が、電子素子が形成されたシリコン基板で、第二基板300がガラスの構成の場合、シリコンの切断面の方がガラスよりも凹凸が小さいため、内側凸部200aへは第一基板の第一側面45を当接した方が精度よく設置ができる。
【0026】
高精度に位置決めするために、基板の側面の表面粗さの最大高さRzがより小さい方の側面に内側凸部200aを当接させる方がより適切である。これにより電子デバイスも取り付け位置の精度を向上させることができる。第一基板100が内側凸部200aに当接したとき、
図3(d)のように電子デバイス500を内側枠部200dに載置した状態で、内側凹部200cに固定部材400としての接着剤を供給する。電子デバイス500とパッケージ部材200とを結合するときは、固定部材400により固定する。接着剤は任意の接着剤を用いることができるが耐熱性が低い電子デバイスの場合、UV硬化接着剤が使用しうる。
【0027】
本発明の電子モジュールは、高精度に位置決めしたい基板の側面にパッケージ部材200の内側凸部200aが当接するため、電子デバイスを高精度に設置することができる。その際、第二基板300の主面を内側枠部200dの一部に載せながら第一基板100の裏面40を上にした状態で第一基板100の第一側面を内側凸部200aに当接することができるため、取付けが容易になるとともに取付け精度も向上する。
【0028】
更に電子デバイス500の第一基板100の、第二基板300と接合する面と反対側の、接着部材が設けられていない裏面40が露出された状態であるため、外枠部品が不要であり、部品点数削減によって低コスト化が可能である。また、電子デバイス500に対して直接放熱シートを当接することができるので電子デバイスの放熱性が向上し、高寿命化、高出力化が可能となる。
【0029】
上記の説明では第一基板100と、第二基板300とを接着して電子デバイス500を形成した。しかし、複数の第一基板100が形成されたウエハと複数の第二基板を有する第3基板とを準備し、両者を接着部剤で接合した後で接合したままダイシングブレードにより切断して分割し、電子デバイス500を準備してもよい。
【0030】
[第2実施形態]
本実施形態による電子モジュールについて、
図5を用いて説明する。
図5は本発明に係る電子部品の第二の構造を説明するための断面模式図である。第1実施形態と異なるのは、第二基板300が第一基板よりも一回り小さいサイズということである。第二基板300を第一基板よりも一回り小さくすることで、貼り合わせの際にはみ出した接合部材30が第一基板100の側面に回り込むことを抑制することができる。接合部材30は接着剤でもよい。接着剤を用いる場合は、第一基板に接着剤を塗布した後に、第二基板と第一基板とを貼り合わせても、第二基板に接着剤を塗布した後に、第一基板と第二基板とを貼り合わせてもよい。接着剤をどちらの基板に塗布しても、あるいは両方に塗布して貼り合わせてもよい。第一基板100を内側凸部200aに当接させて製造する工程は第1実施形態と同じである。
【0031】
本実施形態では、高精度に位置決めしたい第一基板100の側面にパッケージ部材の内側凸部200aを当接するため、電子デバイス600を高精度に設置することができる。その際、第二基板300の主面をパッケージ部材の内側枠部200dに載せ第一基板100の裏面40を上にした状態で第一基板の第一側面45を内側凸部200aに当接するため、取付けが容易になるとともに取付け精度も向上する。また第一基板100と第二基板300とを接合するときに、第一基板の側面への接合部材30のはみ出しが抑制される。
【0032】
[第3実施形態]
本実施形態に係る電子モジュールについて、
図6を用いて説明する。
図6は、本発明に係る電子モジュールの第三の構造を説明するための断面模式図である。第1実施形態と異なるのは、第一基板100の裏面と直交する第一側面に段差がある二つの面から構成されている点である。
【0033】
基板を分割するダイシング工法には、ダイシングブレードだけで完全に分割する工法の他に、ダイシングブレードで切りこみを形成した後に、最終的には外力を加えることで分割する工法もある。切断された側面の粗さは、ダイシングブレードで分割した方が小さくできる。
【0034】
以下、外力で基板を分割して電子デバイスを作成する工法について説明する。第一基板100を有するウエハを準備する。ウエハを分割する工程で、ダイシングブレードと外力を組み合わせた工法を用いる。まずウエハの一面にダイシングブレードを用いて切り込みを入れる。ダイシングブレードの切り込み部分は第一基板100の側面101となる。次に外力によってウエハを分割することで側面105を得る。こうして側面101と側面105との2つの側面を有する第一基板が形成される。この第一基板100を第二基板300と貼り合わせて電子デバイス500を形成する。外力によって切り離された側面105はダイシングブレードを用いて切断処理された側面101と比べると、表面が粗い。従って、電子デバイス500を高精度に電子デバイス位置決め用の内側凸部200aに当接させるためには、ダイシングブレードで切断した側面101と内側凸部200aとを当接させたほうが位置の精度が向上しうる。
【0035】
外力を使って分割する方法には第一基板100に対応する部分を有するウエハと第二基板300に対応する部分を有するウエハを準備し、それらを貼り合わせた後に分割する方法もある。第一基板100に対応する部分を有するウエハと第二基板300に対応する部分を有するウエハとを貼り合わせる。貼り合わせは接着剤を使うことができる。接着剤を用いる場合は、どちらかのウエハに塗布して貼り合わせても、あるいは両方に塗布して貼り合わせてもよい。貼り合わせた後にダイシングブレードで第1基板に対応する部分を有するウエハに切込みを入れる。切込みの深さはウエハを分離するよりは浅くてよい。その後、ウエハを外力で分割して第1基板と第2基板とが接合された電子デバイスを得るようにするとよい。この場合もダイシングブレードで切込みをいれた部分を側面101として内側凸部200aに当接するとよい。
【0036】
以上述べたようにして電子モジュール500が完成する。本実施形態に係る電子モジュール500は、高精度に位置決めしたい第一基板100の側面に製造上の理由で粗さの異なる段差が生じる場合に関する。第一基板の平滑な側面101とパッケージ部材の内側凸部200aとを当接させるため、電子デバイス500をパッケージ部材200に高精度に設置することができる。その際、第二基板の第二主面60を内側枠部200dに載せ第一基板100の裏面40を上にした状態で第一基板100の側面101を内側凸部200aに当接することができるため、取付けが容易になるとともに取付け精度も向上する。
【0037】
次に上記実施形態1~3で形成された電子モジュール600と外部の回路との接続方法について
図7により説明する。第一基板100の上には配線構造130が形成されている。第一基板100の一端部に外部との配線を行えるように、配線構造130の端部に電気端子131を設ける。例えばガラス等で形成された第二基板300の一部を第一基板100の配線構造が露出するように形成して電気端子131を設ける。第一基板100の電気端子131に対して導電部材120を介して配線部材110をつないで外部との接続ができるようにする。外部との接続に用いられる導電部材120としては、異方性導電性フィルム(ACF)が好適であるが、はんだを用いてもよい。配線部材110としては、フレキシブルプリント配線板(FPC)が好適であるが、パラレルケーブルやリジッド配線板でもよい。
【0038】
[第4実施形態]
本発明に係る電子モジュール600を使った光学モジュール1100について、
図8により説明する。
図8(a)は、
図1(a)に示したパッケージ部材200を
図2(b)のC-C‘線と平行な方向に沿って切断した場合のパッケージ部材200の斜視図である。
図8(a)において切断面にはハッチングを付している。
図8に示す様に、基部220は、内側枠部200dとの間に段差200gを有する。段差200gを設けることによって、電子デバイス500から発せられた光が基部220で蹴られることを抑制できる。また、基部220は、外側枠部200eとの間に段差200gを有する。段差200gを設けることによって、段差200gと外側枠部200eとで形成された凹部に配線部材110の一部を位置せしめることができるため、配線部材110の引き回しの自由度を高めることができる。
【0039】
図8(b)は、電子モジュール600に光学部材900を接着した光学モジュール1100を示している。光学モジュール1100は例えば、カメラのビューファインダーに用いられる部品であってもよい。あるいは、ウェアラブルディスプレイのディスプレイに用いられる部品であってもよい。あるいは、各種機器のカメラに用いられる部品であってもよい。光学モジュール1100は、電子モジュール600と、光学部材900と、の接着部材800とを備える。接着部材800は、光学部材900を電子モジュール600のパッケージ部材200に固定するために、パッケージ200の基部220(外側枠部200e)と光学部材900との間に配置されている。接着部材800は液体の接着剤を硬化させた部材でもよいが、電子デバイス500や光学部材900の接着剤による汚損を抑制する上では、両面テープが好適である。電子モジュール600の底部の、電子デバイス500が載置される面と反対側の面は平面を有しており、光学部材900は外側枠部200eや内側枠部200dを含む基部220により保持されうる。本例では、光学部材900は基部220で保持されるものの、内側枠部200dには保持されず、主に外側枠部200eで保持される。電子デバイス500と光学部材900との重量や形状を考慮すると、
図8(a)から理解されるように、外側枠部200eの幅は内側枠部200dの幅よりも大きいことが好ましく、外側枠部200eの厚さは内側枠部200dの厚さよりも大きいことが好ましい。光学部材900は例えばミラーあるいはレンズ、フィルタ、カバーである。光学部材900はプリズムであってもよく、とりわけビームスプリッタであってもよい。ダイクロイックプリズムはビームスプリッタとして好適である。
【0040】
被写体を表示あるいは撮影する電子デバイス500と光学部材900の取り付けの位置決め精度が、画質の精度を左右する。本実施形態の電子モジュール600は電子デバイスの位置決め用の内側凸部200aに加えて位置決め部材700を用いた光学部材900の位置決めをするための外側凸部200bが一体である。光学部材900の位置決めは次の様にして行うことができる。すなわち、治具である位置決め部材700に、パッケージ部材200(本例では外側凸部200b)を当接させ、また、光学部材900を当接させる。これにより、位置決め部材700に対して、パッケージ部材200と光学部材900とが位置決めされたことになる。位置決め部材700にパッケージ部材200および光学部材900の双方が当接した状態で、光学部材900をパッケージ部材200に接着部材800で接着する。
このため、電子デバイス500の位置決め用の突出部である内側凸部200aに対して電子デバイス500が精度よく配置される。また、突出した外側凸部200bに対して位置決め部材700が当接し、さらに、位置決め部材700に光学部材900が当接することで、パッケージ部材200に対して光学部材900が精度よく配置される。そのため、光学部材900と電子デバイス500とが互いに精度よく位置決めされる。外側凸部200bをパッケージ部材200の異なる面に複数設けて、筐体に対して複数個所で位置決めをするようにしてもよい。このように、外側凸部200bにより電子デバイス500と光学部材900とを精度よく位置決めすることができる。
【0041】
[第5実施形態]
次に、本発明に係る光学モジュールをカメラ1000の視線検知用のファインダーに適用した例について
図9により説明する。カメラ1000は撮影レンズ1を含みうるが、レンズ交換式カメラの場合には、カメラ1000は撮影レンズ1を含まなくてもよい。撮影レンズ1は、本実施形態では便宜上1a、1bの二枚のレンズで示したが、実際はさらに多数のレンズで構成されうる。撮影レンズ1内には、絞り111、絞り駆動部112、レンズ駆動モーター113、駆動ギヤ等からなるレンズ駆動部材114が設けられている。フォトカプラー115はレンズ駆動部材114に連動するパルス板116の回転を検知して、レンズ焦点調節回路118に伝えている。レンズ焦点調節回路118は、この情報とカメラ側からのレンズ駆動量の情報にもとづいてレンズ駆動モーター113を所定量駆動させ、撮影レンズ1aを合焦点位置に移動させるようになっている。マウント接点117は、カメラボディと撮影レンズ1とのインターフェイスである。CMOSイメージセンサーなどの撮像デバイス2は、カメラ1000の撮影レンズ1の予定結像面に配置されている。
【0042】
カメラ1000には、カメラ全体を制御するCPU3、撮像デバイス2にて撮像された画像を記録するメモリ部4が内包される。また、撮像された画像を表示するための有機EL素子等で構成される表示デバイスである電子デバイス500と、電子デバイス500を駆動する回路装置11、電子デバイス500に表示された被写体像を観察するための接眼レンズ102が配置されている。光源103a、103bは、典型的には赤外発光ダイオードなどからなる赤外光源で、接眼レンズ102の周りに配置されている。光源103a、103bは、角膜反射による反射象と瞳孔の関係から視線方向を検出するための撮影者であるユーザーの眼2000を照明する。照明された眼球像と光源103a、103bの角膜反射による像は接眼レンズ102を透過し、光学部材900で反射され、受光レンズ106によって赤外イメージセンサーなどで構成された光学センサ107上に結像される。
【0043】
この例では光学部材900としてプリズムによる光分割器(ビームスプリッタ)を使用し、表示素子を備えた電子デバイス500を有する電子モジュール600を配置している。受光レンズ106は2300の瞳孔と光学センサ107を共役な結像関係に位置付けている。電子デバイス500に表示された画像を、光学部材900を介してカメラのユーザーが観察可能であり、光学センサ107は光学部材900を介して、撮影者であるユーザーの眼2000を検出することができる。光学センサ107は光学部材900の側面から出る光を受光することができる。光学センサ107上に結像された眼球と光源103a~103bの角膜反射による像の位置関係から所定のアルゴリズムで視線方向を検出する。光学部材900と接眼レンズ102と光学センサ107の位置関係は、パッケージ部材200の位置決め部となる外側凸部200b、位置決め部材700及び光学部材900の構造や種類に応じて適宜配置を変更することができる。
【0044】
レンズ部1からの光は撮像デバイス2で電気信号に変換され、CPU3で処理される。処理されて得られた画像信号はメモリ部4に記憶されうる。また、画像信号はリアルタイムで駆動回路11からフレキシブルプリント配線板などの配線部材110を介して表示素子を備える電子デバイス500へ送られて表示される。表示された画像はプリズムなどの光学部材900を介して撮影者が見ることができる。このとき撮影者の視線は眼2000の眼球像として、光学センサ107で検出されうる。検出された視線の位置に応じて、カメラ1000に入力を行うことができる。検出された視線を視線入力では撮影者の注視する箇所を精度よく認識することが重要である。被写体を表示する電子デバイス500と光学部材900の取り付けの位置決め精度が、認識の精度を左右する。本実施形態では、第4実施形態で説明したように、パッケージ部材200の位置決め部を用いることにより、電子デバイス500と光学部材900とを精度よく位置決めすることができる。
【0045】
ここでは、電子モジュール600と、電子デバイス600に接続された回路装置と、を備える機器として、カメラ1000を例示したが、電子モジュール600は、カメラに限らず様々な機器に適用が可能である。機器の回路装置は、電子デバイス600を駆動するものに限らず、電子デバイス600に入力する信号や電子デバイス600から出力する信号を処理する回路装置であってもよい。あるいは、機器の回路装置は、記憶装置であってもよい。機器は、撮影機能を有する情報端末(例えばスマートフォンやウエアラブル端末)やカメラ(例えばレンズ交換式カメラ、コンパクトカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ)などの電子機器でありうる。また、機器は、車両や船舶、飛行体、人工衛星などの輸送機器(移動体)でありうる。輸送機器における機械装置は移動装置として用いられうる。輸送機器としての機器は、電子デバイス500を輸送するものや、撮影機能により運転(操縦)の補助および/または自動化を行うものに好適である。運転(操縦)の補助および/または自動化のための回路装置は、電子デバイス500に接続され、電子デバイス500で得られた情報に基づいて移動装置としての機械装置を操作するための処理を行うことができる。また、電子モジュール600を備えた機器は、CTやX線、内視鏡などの医療機器、測距センサなどの計測機器、電子顕微鏡のような分析機器、複写機などの事務機器であってもよい。
【0046】
本実施形態による電子モジュール600は、その設計者、製造者、販売者、購入者および/または使用者に、高い価値(精度)を提供することができる。そのため、電子モジュール600を機器に搭載すれば、機器の価値も高めることができる。よって、機器の製造、販売を行う上で、本実施形態の電子モジュール600の機器への搭載を決定することは、機器への価値を高める上で有利である。
【0047】
上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。本明細書中の各用語は、本発明を説明する目的で用いられたものに過ぎず、その均等物をも含み得、本発明は、その用語の厳密な意味に限定されるものでない。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。なお、本明細書の開示内容は、本明細書に記載したことのみならず、本明細書および本明細書に添付した図面から把握可能な全ての事項を含む。また本明細書の開示内容は、本明細書に記載した概念の補集合を含んでいる。すなわち、本明細書に例えば「AはBである」旨の記載があれば、「AはBでない」旨の記載を省略しても、本明細書は「AはBでない」旨を開示していると云える。なぜなら、「AはBである」旨を記載している場合には、「AはBでない」場合を考慮していることが前提だからである。
【符号の説明】
【0048】
100…第一基板、50…表面、40…裏面、45…第一側面、200…パッケージ部材、200a…内側凸部、200b…外側凸部、200c…内側凹部、200d…内側枠部、300…第2基板、60…第二主面、70…第一主面、65…第二側面、500…電子デバイス、600…電子モジュール