(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】圧電振動素子、振動発生装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H10N 30/87 20230101AFI20240221BHJP
B06B 1/06 20060101ALI20240221BHJP
H02N 2/04 20060101ALI20240221BHJP
H04R 7/04 20060101ALI20240221BHJP
H04R 17/00 20060101ALI20240221BHJP
H10N 30/072 20230101ALI20240221BHJP
H10N 30/20 20230101ALI20240221BHJP
H10N 30/50 20230101ALI20240221BHJP
【FI】
H10N30/87
B06B1/06 Z
H02N2/04
H04R7/04
H04R17/00
H10N30/072
H10N30/20
H10N30/50
(21)【出願番号】P 2019221978
(22)【出願日】2019-12-09
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】石井 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】原田 智宏
(72)【発明者】
【氏名】清水 寛之
(72)【発明者】
【氏名】岸本 純明
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-036450(JP,A)
【文献】特開2015-162592(JP,A)
【文献】特開2015-109415(JP,A)
【文献】特開2019-009414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 30/87
H04R 17/00
H04R 7/04
H02N 2/04
B06B 1/06
H10N 30/20
H10N 30/50
H10N 30/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電材料からなり、第1の主面と、前記第1の主面とは反対側の第2の主面と、前記第1の主面の周縁と前記第2の主面の周縁の間の面である
4つの側面とを有する圧電体と、
前記
圧電体の内部に設けられ、前記
4つの側面
のうち第1の側面に露出する端面を有する正極内部電極と、
前記
圧電体の内部に設けられ、前記
4つの側面
のうち第2の側面に露出する端面を有し、前記正極内部電極と対向する負極内部電極と、
前記正極内部電極に導通する正極外部電極と、
前記負極内部電極に導通する負極外部電極と
を具備し、
前記第1の主面
と前記4つの側面のうち前記第1の側面のみとの間に凹状の第1の段差が形成され、前記正極外部電極は
、前記第1の主面上に形成された正極主面電極部と、前記第1の段差の内部から前記
第1の側面にわたって形成され
た正極側面電極部とを含み、前記第2の主面には形成されず、前記
第1の側面に露出する前記正極内部電極の端面に接し、
前記第2の主面
と前記4つの側面のうち前記第2の側面のみとの間に凹状の第2の段差が形成され、前記負極外部電極は
、前記第2の主面上に形成された負極主面電極部と、前記第2の段差の内部から前記
第2の側面にわたって形成され
た負極側面電極部とを含み、前記第1の主面には形成されず、前記
第2の側面に露出する前記負極内部電極の端面に接する
圧電振動素子。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電振動素子であって、
前記
4つの側面は、
前記第1の側面と、前記第1の側面とは反対側の
前記第2の側面
と、を含
む
圧電振動素子。
【請求項3】
請求項
1または2に記載の圧電振動素子であって、
前記第1の主面上の前記正極外部電極の表面は前記第1の主面に平行な平坦面であり、
前記第2の主面上の前記負極外部電極の表面は前記第2の主面に平行な平坦面である
圧電振動素子。
【請求項4】
圧電材料からなり、第1の主面と、前記第1の主面とは反対側の第2の主面と、前記第1の主面の周縁と前記第2の主面の周縁の間の面である
4つの側面とを有する圧電体と、前記
圧電体の内部に設けられ、前記
4つの側面
のうち第1の側面に露出する端面を有する正極内部電極と、前記
圧電体の内部に設けられ、前記
4つの側面
のうち第2の側面に露出する端面を有し、前記正極内部電極と対向する負極内部電極と、前記正極内部電極に導通する正極外部電極と、前記負極内部電極に導通する負極外部電極とを備え、前記第1の主面
と前記4つの側面のうち前記第1の側面のみとの間に凹状の第1の段差が形成され、前記正極外部電極は
、前記第1の主面上に形成された正極主面電極部と、前記第1の段差の内部から前記
第1の側面にわたって形成され
た正極側面電極部とを含み、前記第2の主面には形成されず、前記
第1の側面に露出する前記正極内部電極の端面に接し、前記第2の主面
と前記4つの側面のうち前記第2の側面のみとの間に凹状の第2の段差が形成され、前記負極外部電極は
、前記第2の主面上に形成された負極主面電極部と、前記第2の段差の内部から前記
第2の側面にわたって形成され
た負極側面電極部とを含み、前記第1の主面には形成されず、前記
第2の側面に露出する前記負極内部電極の端面に接する圧電振動素子と、
前記第1の主面又は前記第2の主面が接着される振動体と
を具備する振動発生装置。
【請求項5】
圧電材料からなり、第1の主面と、前記第1の主面とは反対側の第2の主面と、前記第1の主面の周縁と前記第2の主面の周縁の間の面である
4つの側面とを有する圧電体と、前記
圧電体の内部に設けられ、前記
4つの側面
のうち第1の側面に露出する端面を有する正極内部電極と、前記
圧電体の内部に設けられ、前記
4つの側面
のうち第2の側面に露出する端面を有し、前記正極内部電極と対向する負極内部電極と、前記正極内部電極に導通する正極外部電極と、前記負極内部電極に導通する負極外部電極とを備え、前記第1の主面
と前記4つの側面のうち前記第1の側面のみとの間に凹状の第1の段差が形成され、前記正極外部電極は
、前記第1の主面上に形成された正極主面電極部と、前記第1の段差の内部から前記
第1の側面にわたって形成され
た正極側面電極部とを含み、前記第2の主面には形成されず、前記
第1の側面に露出する前記正極内部電極の端面に接し、前記第2の主面
と前記4つの側面のうち前記第2の側面のみとの間に凹状の第2の段差が形成され、前記負極外部電極は
、前記第2の主面上に形成された負極主面電極部と、前記第2の段差の内部から前記
第2の側面にわたって形成され
た負極側面電極部とを含み、前記第1の主面には形成されず、前記
第2の側面に露出する前記負極内部電極の端面に接する圧電振動素子と、前記第1の主面又は前記第2の主面が接着される振動体とを備える振動発生装置
を具備する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆圧電効果により振動を発生させる圧電振動素子、振動発生装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザに触覚を提示する触覚機能デバイスには様々なアクチュエータが用いられている。例えば、通知機能には偏心モータやリニア共振アクチュータ等の電磁式アクチュエータが用いられている。また、フォースフィードバック機能にはこれらの電磁式アクチュエータに加え、圧電式アクチュエータも用いられている。
【0003】
圧電式アクチュエータとして利用することが可能な圧電振動素子は、圧電体の内部に複数の内部電極が対向して設けられた構造を有し、内部電極間に電圧を印加すると、逆圧電効果により振動を生じる。内部電極は素子の側面に露出する端面を有し、側面上に設けられた外部電極に導通する。外部電極は、圧電振動素子の短手端部の全体に形成される構造が一般的である(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、圧電振動素子は、ガラスパネル等の振動体に貼付されることにより実装されるが、外部電極が短手端部の全体に形成され、素子の角が外部電極によって被覆されると、素子の振動体側の辺が非平行となり、実装が不安定となる。さらに、振動体側の辺が部分的に振動体から離間し、振動伝達のロスも発生する。さらに、素子の角を回り込む外部電極が薄くなり、内部電極と外部電極の接続信頼性が低下する。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、内部電極と外部電極の接続信頼性が高く、振動体への実装に適した圧電振動素子、振動発生装置及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る圧電振動素子は、圧電体と、正極内部電極と、負極内部電極と、正極外部電極と、負極外部電極とを具備する。
上記圧電体は、圧電材料からなり、第1の主面と、上記第1の主面とは反対側の第2の主面と、上記第1の主面の周縁と上記第2の主面の周縁の間の面である4つの側面とを有する。
上記正極内部電極は、上記圧電体の内部に設けられ、上記4つの側面のうち第1の側面に露出する端面を有する。
上記負極内部電極は、上記圧電体の内部に設けられ、上記4つの側面のうち第2の側面に露出する端面を有し、上記正極内部電極と対向する。
上記正極外部電極は、上記正極内部電極に導通する。
上記負極外部電極は、上記負極内部電極に導通する。
上記第1の主面と上記4つの側面のうち上記第1の側面のみとの間に凹状の第1の段差が形成され、上記正極外部電極は、上記第1の主面上に形成された正極主面電極部と、上記第1の段差の内部から上記第1の側面にわたって形成された正極側面電極部とを含み、上記第2の主面には形成されず、上記第1の側面に露出する前記正極内部電極の端面に接する。
上記第2の主面と上記4つの側面のうち上記第2の側面のみとの間に凹状の第2の段差が形成され、上記負極外部電極は、上記第2の主面上に形成された負極主面電極部と、上記第2の段差の内部から上記第2の側面にわたって形成された負極側面電極部とを含み、上記第1の主面には形成されず、上記第2の側面に露出する上記負極内部電極の端面に接する。
【0008】
この構成によれば、第1の主面の周縁に形成された第1の段差の内部から側面にわたって正極外部電極が形成され、側面に露出する正極内部電極と接続されている。また、第2の主面の周縁に形成された第2の段差の内部から側面にわたって負極外部電極が形成され、側面に露出する負極内部電極と接続されている。第1の段差及び第2の段差を設けることにより、第1の主面及び第2の主面において正極外部電極及び負極外部電電極の突出を防止しつつ、側面上での正極外部電極及び負極外部電電極の厚みを大きくすることが可能となり、内部電極と外部電極の接続信頼性を高くすることができると共に、振動体への実装に適した圧電振動素子とすることができる。
【0009】
上記4つの側面は、上記第1の側面と、上記第1の側面とは反対側の上記第2の側面と、を含んでもよい。
【0010】
上記第1の主面上の上記正極外部電極の表面は上記第1の主面に平行な平坦面であり、
上記第2の主面上の上記負極外部電極の表面は上記第2の主面に平行な平坦面であってもよい。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る振動発生装置は、圧電振動素子と、振動体とを具備する。
上記圧電振動素子は、圧電材料からなり、第1の主面と、上記第1の主面とは反対側の第2の主面と、上記第1の主面の周縁と上記第2の主面の周縁の間の面である4つの側面とを有する圧電体と、上記圧電体の内部に設けられ、上記4つの側面のうち第1の側面に露出する端面を有する正極内部電極と、上記圧電体の内部に設けられ、上記4つの側面のうち第2の側面に露出する端面を有し、上記正極内部電極と対向する負極内部電極と、上記正極内部電極に導通する正極外部電極と、上記負極内部電極に導通する負極外部電極とを備え、上記第1の主面と上記4つの側面のうち上記第1の側面のみとの間に凹状の第1の段差が形成され、上記正極外部電極は、上記第1の主面上に形成された正極主面電極部と、上記第1の段差の内部から上記第1の側面にわたって形成された正極側面電極部とを含み、上記第2の主面には形成されず、上記第1の側面に露出する上記正極内部電極の端面に接し、上記第2の主面と上記4つの側面のうち上記第2の側面のみとの間に凹状の第2の段差が形成され、上記負極外部電極は、上記第2の主面上に形成された負極主面電極部と、上記第2の段差の内部から上記第2の側面にわたって形成された負極側面電極部とを含み、上記第1の主面には形成されず、上記第2の側面に露出する上記負極内部電極の端面に接する。
上記振動体は、上記第1の主面又は前上記第2の主面が接着される。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る電子機器は、振動発生装置を具備する。
上記振動発生装置は、圧電材料からなり、第1の主面と、上記第1の主面とは反対側の第2の主面と、上記第1の主面の周縁と上記第2の主面の周縁の間の面である4つの側面とを有する圧電体と、上記圧電体の内部に設けられ、上記4つの側面のうち第1の側面に露出する端面を有する正極内部電極と、上記圧電体の内部に設けられ、上記4つの側面のうち第2の側面に露出する端面を有し、上記正極内部電極と対向する負極内部電極と、上記正極内部電極に導通する正極外部電極と、上記負極内部電極に導通する負極外部電極とを備え、上記第1の主面と上記4つの側面のうち上記第1の側面のみとの間に凹状の第1の段差が形成され、上記正極外部電極は、上記第1の主面上に形成された正極主面電極部と、上記第1の段差の内部から上記第1の側面にわたって形成された正極側面電極部とを含み、上記第2の主面には形成されず、上記第1の側面に露出する上記正極内部電極の端面に接し、上記第2の主面と上記4つの側面のうち上記第2の側面のみとの間に凹状の第2の段差が形成され、上記負極外部電極は、上記第2の主面上に形成された負極主面電極部と、上記第2の段差の内部から上記第2の側面にわたって形成された負極側面電極部とを含み、上記第1の主面には形成されず、上記第2の側面に露出する上記負極内部電極の端面に接する圧電振動素子と、上記第1の主面又は前上記第2の主面が接着される振動体とを備える。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、内部電極と外部電極の接続信頼性が高く、振動体への実装に適した圧電振動素子、振動発生装置及び電子機器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る振動発生装置の平面図である。
【
図3】上記振動発生装置が備える圧電振動素子の斜視図である。
【
図6】上記圧電振動素子の一部構成の断面図である。
【
図7】上記圧電振動素子が備える圧電体の斜視図である。
【
図11】上記圧電振動素子における正極内部電極を示す平面図である。
【
図12】上記圧電振動素子における正極内部電極を示す斜視図である。
【
図13】上記圧電振動素子における負極内部電極を示す平面図である。
【
図14】上記圧電振動素子における負極内部電極を示す斜視図である。
【
図15】上記圧電振動素子における正極外部電極を示す斜視図である。
【
図16】上記圧電振動素子における負極外部電極を示す斜視図である。
【
図17】上記圧電振動素子の一部構成の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る振動発生装置について説明する。なお、以下の各図においてX方向、Y方向及びZ方向を相互に直交する3方向とする。
【0016】
[振動発生装置の構成]
図1は本実施形態に係る振動発生装置100の平面図であり、
図2は振動発生装置100の側面図である。これらの図に示すように、振動発生装置100は、振動体101及び圧電振動素子102を備える。
【0017】
振動体101は、圧電振動素子102によって振動する部材である。振動体101は、ガラス又はプラスチック等の材料からなる板状の部材とすることができ、例えば、液晶パネルや電子機器の筐体、イヤフォンに内蔵されるツイータ用振動板等である。振動体101は振動体101の形状やサイズは特に限定されない。
【0018】
圧電振動素子102は、振動体101に実装され、振動体101を振動をさせるアクチュエータとして機能する。圧電振動素子102は
図1に示すように、振動体101に1つのみが実装されてもよく、複数が実装されてもよい。
【0019】
振動発生装置100は、スマートフォンやイヤフォン、触覚機能デバイス等の各種電子機器に搭載することが可能である。
【0020】
[圧電振動素子の構成]
図3及び
図4は圧電振動素子102の斜視図であり、
図4は
図3に示す圧電振動素子102を裏面側から見た図である。
図5は圧電振動素子102断面図であり、
図3及び
図4のA-A線での断面図である。
図6は圧電振動素子102の一部構成の断面図であり、
図5から一部構成を省略した図である。
【0021】
これらの図に示すように、圧電振動素子102は、圧電体111、正極内部電極112、負極内部電極113、正極外部電極114及び負極外部電極115を備える。
【0022】
圧電体111は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)又はチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO3-PbTiO3)等の圧電材料からなる。
【0023】
図7及び
図8は、圧電体111の斜視図であり、
図8は
図7に示す圧電体111を裏面側から見た図である。これらの図に示すように、圧電体111は平板状の形状を有するものとすることができる。以下、圧電体111の一方の主面を第1の主面111aとし、第1の主面111aの反対側の主面を第2の主面111bとする。また、第1の主面111aの周縁と第2の主面111bの周面の間の面、即ち圧電体111の側面のうち一面を第1の側面111cとし、その反対側の側面を第2の側面111dとする。
【0024】
図9は、圧電体111の拡大図である。同図に示すように、第1の主面111aの周縁のうち第1の側面111cに連続する辺には、第1の段差111eが設けられている。第1の段差111eは、第1の主面111aから凹状に掘り下げられて形成されている。
【0025】
図10は、圧電体111の拡大図である。同図に示すように、第2の主面111bの周縁のうち第2の側面111dに連続する辺には、第2の段差111fが設けられている。第2の段差111fは、第2の主面111bから凹状に掘り下げられて形成されている。
【0026】
正極内部電極112は、Ni、Cu又はNi合金等の金属材料からなり、平板状形状を有し、圧電体111の内部において第1の主面111a及び第2の主面111bに平行に配設されている。正極内部電極112は、
図5に示すように複数が設けられてもよく、1つのみが設けられてもよい。
【0027】
図11は、正極内部電極112の形状および圧電体111における配置を示す平面図である。同図に示すように、正極内部電極112は、一端が第1の側面111cに面し、他端は第2の側面111dから離間するように設けられている。
図12は、第1の側面111cにおける正極内部電極112を示す斜視図である。同図に示すように第1の側面111cには正極内部電極112の端面112aが露出する。
【0028】
なお、
図11では正極内部電極112の一辺の一部が第1の側面111cに向かって突出する形状に形成されているが、正極内部電極112は矩形状であって、一辺の全体が第1の側面111cに露出するように形成されてもよい。
【0029】
負極内部電極113は、Ni、Cu又はNi合金等の金属材料からなり、平板状形状を有し、圧電体111の内部において第1の主面111a及び第2の主面111bに平行に配設されている。負極内部電極113は、
図5に示すように複数が設けられてもよく、1つのみが設けられてもよい。
【0030】
図13は、負極内部電極113の形状および圧電体111における配置を示す平面図である。同図に示すように、負極内部電極113は、一端が第2の側面111dに面し、他端は第1の側面111cから離間するように設けられている。
図14は、第2の側面111dにおける負極内部電極113を示す斜視図である。同図に示すように第2の側面111dには負極内部電極113の端面113aが露出する。
【0031】
なお、
図13では負極内部電極113の一辺の一部が第2の側面111dに向かって突出する形状に形成されているが、負極内部電極113は矩形状であって、一辺の全体が第2の側面111dに露出するように形成されてもよい。
【0032】
正極外部電極114は、Ni、Cu又はNi合金等の金属材料からなり、正極内部電極112に導通する。正極外部電極114は
図5に示すように、正極側面電極部114a及び正極主面電極部114bからなる。
【0033】
図15は、正極外部電極114を拡大して示す斜視図である。同図に示すように、正極側面電極部114aは、第1の段差111e(
図12参照)の内部から第1の側面111cにわたって形成され、正極内部電極112の端面112aに接する。
【0034】
正極主面電極部114bは、第1の主面111a上に形成され、正極側面電極部114aに連続して形成されている。正極主面電極部114bは、正極側面電極部114aを介して正極内部電極112に導通し、圧電振動素子102の正極端子として機能する。
【0035】
第1の主面111a上の正極側面電極部114aと正極主面電極部114bの表面は、
図5に示すように、第1の主面111aに平行な平坦面を形成する。なお、正極主面電極部114bは必ずしも設けられなくてもよく、その場合、正極側面電極部114aの表面は第1の主面111aに連続する平坦面を形成するものとすることができる。
【0036】
負極外部電極115は、Ni、Cu又はNi合金等の金属材料からなり、負極内部電極113に導通する。負極外部電極115は
図5に示すように、負極側面電極部115a及び負極主面電極部115bからなる。
【0037】
図16は、負極外部電極115を拡大して示す斜視図である。同図に示すように、負極側面電極部115aは、第2の段差111f(
図14参照)の内部から第2の側面111dにわたって形成され、負極内部電極113の端面113aに接する。
【0038】
負極主面電極部115bは、第2の主面111b上に形成され、負極側面電極部115aに連続して形成されている。負極主面電極部115bは、負極側面電極部115aを介して負極内部電極113に導通し、圧電振動素子102の負極端子として機能する。
【0039】
第2の主面111b上の負極側面電極部115aと負極主面電極部115bの表面は、
図5に示すように、第2の主面111bに平行な平坦面を形成する。なお、負極主面電極部115bは必ずしも設けられなくてもよい。その場合、負極側面電極部115aの表面は第2の主面111bに連続する平坦面を形成するものとすることができる。
【0040】
圧電振動素子102は以上のような構成を有する。なお、第1の段差111e及び第2の段差111fはより深く形成されてもよい。
図17は、より深く形成された第1の段差111e及び第2の段差111fを備える圧電振動素子102の断面図である。同図に示すように、第1の段差111eは、第1の主面111aに最も接近する正極内部電極112が露出する深さを有し、第2の段差111fは、第2の主面111bに最も接近する負極内部電極113が露出する深さを有してもよい。
【0041】
[圧電振動素子による効果]
圧電振動素子102では、上記のように、正極外部電極114の正極側面電極部114aは第1の段差111e内から第1の側面111cにわたって形成される。このため、第1の主面111aから突出することなく、正極側面電極部114aの厚みを大きくすることができ、素子角部における正極側面電極部114aの断裂を防止することが可能であり、かつ正極内部電極112の端面112aを正極側面電極部114aによって十分に被覆することができる。これにより、正極外部電極114と正極内部電極112の接続信頼性を向上させることが可能である。
【0042】
また、負極外部電極115についても同様に、負極側面電極部115aは第2の段差111f内から第2の側面111dにわたって形成される。このため、第2の主面111bから突出することなく、負極側面電極部115aの厚みを大きくすることができ、素子角部における負極側面電極部115aの断裂を防止することが可能であり、かつ負極内部電極113の端面113aを負極側面電極部115aによって十分に被覆することができる。これにより、負極外部電極115と負極内部電極113の接続信頼性を向上させることが可能である。
【0043】
さらに正極側面電極部114aが第1の主面111aから突出せず、負極側面電極部115aも第2の主面111bから突出しないため、第1の主面111a及び第2の主面111bを平坦面とすることができる。
図2に示すように、圧電振動素子102は第1の主面111aと第2の主面111bのいずれか一方の面が振動体101に接着されることにより実装されるが、第1の主面111a及び第2の主面111bを平坦面とすることにより、接着時の平行度が保たれ、密着性を向上させることが可能となる。
【0044】
また、密着性の向上により、接着剤における気泡の混入等も防止され、圧電振動素子102と振動体101の接着の改善効果が得られる。さらに、圧電振動素子102と振動体101の間での振動伝達の強度及び振動体101の変形量の向上が実現可能である。
【0045】
[製造方法]
圧電振動素子102は、圧電セラミック材料からなるセラミックシートを複数枚積層し、静水圧プレスの後、焼結することにより形成することが可能である。正極内部電極112及び負極内部電極113はセラミックシート状に電極材料ペーストを塗布することにより形成することが可能である。
【0046】
第1の段差111e及び第2の段差111fは、圧電振動素子102の最上層及び最下層となるセラミックシートに孔を設けることにより形成することができる。側面電極部14a及び負極側面電極部115aは転写により形成することができる。
【符号の説明】
【0047】
100…振動発生装置
101…振動体
102…圧電振動素子
111…圧電体
111a…第1の主面
111b…第2の主面
111c…第1の側面
111d…第2の側面
111e…第1の段差
111f…第2の段差
112…正極内部電極
113…負極内部電極
114…正極外部電極
114a…正極側面電極部
114b…正極主面電極部
115…負極外部電極
115a…負極側面電極部
115b…負極主面電極部