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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】埋設配管の検査装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 23/24 20060101AFI20240221BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240221BHJP
   B23K 9/00 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
G02B23/24 B
G01N21/88
B23K9/00 501P
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020002982
(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公開番号】P2021110846
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2023-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】599087888
【氏名又は名称】株式会社サンフロイント
(74)【代理人】
【識別番号】100103148
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 輝美
(72)【発明者】
【氏名】上野 秀雄
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-202218(JP,A)
【文献】特開平06-063787(JP,A)
【文献】特開2017-124850(JP,A)
【文献】登録実用新案第3140465(JP,U)
【文献】登録実用新案第3159268(JP,U)
【文献】特開平04-300500(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0069762(US,A1)
【文献】中国実用新案第205608286(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 23/00-23/22
G01N 21/88
B23K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオスコープと、該ビデオスコープで撮像した撮像画像を処理する処理手段と、前記撮像画像を表示するモニタと、前記撮像画像を記録すると共に予め測定した正常配管のスタンダードサンプル画像を記録する記録手段と、マイクによって集音された前記撮像画像に対応した情報を前記記録手段に記録するマイク入力処理手段と、を備え、
前記ビデオスコープをガソリンスタンドに設置された埋設配管に挿入し、前記モニタに表示される撮像画像に基づいてコントローラを操作し、前記埋設配管内の亀裂及び腐食の欠陥を検査する埋設配管の検査装置であって、
更に前記ビデオスコープの先端にはアーク溶接部が設置され、前記埋設配管内の前記欠陥を検出した際、前記アーク溶接部にセラミック金属線材を供給し、セラミックのアーク溶射を行い、前記欠陥に一定の厚さのセラミック層を形成して修復する埋設配管の検査装置であって、
前記配管内の欠陥を修復する際、前記記録手段に予め記録された前記スタンダードサンプル画像と、測定画像を比較して行うと共に、前記マイク入力処理手段を使用して前記記録手段に記録された前記マイクからの検査対象位置における前記撮像画像に対応した情報を参考に修復することを特徴とする埋設配管の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古くなった埋設タンクの亀裂、孔食、及び腐食箇所の検査を行う配管の内部健全度調査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、埋設タンクや地上タンク、縦置き型タンク等の各種タンクが使用されており、これらのタンクと給油口、又は給出口とを配管で接続している。特にタンクが地下に埋設されている場合、タンクに亀裂、孔食、及び腐食等の欠陥が生じると、タンクから油が漏れ出し、問題となる。例えば、ガソリンスタンドで使用される地下タンクにガソリンを注油する場合注油管が使用され、また地下タンクから地上(自動車)に給油する場合給油管が使用されている。
【0003】
この場合、埋設タンクは、古くなると亀裂等が生じ、油漏れの原因になる。このような問題を解決する方法として、例えば特許文献1が提案されている。この発明は、被検査物に超音波を照射して上記被検査物の不連続部を検出する超音波検査方法であり、被検査物の欠陥検査範囲を設定し、一定のピッチで欠陥検査を行う発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-115605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の方法においては、地下に埋設されたタンクの配管の検査を行うことは困難である。一方、ファイバースコープを使用した各種検査や治療が広く行われている。
【0006】
そこで、本発明は地下に埋設したタンクの検査を可能とし、土壌汚染等の原因となる油漏れを防止し、埋設タンクの亀裂、孔食、及び腐食を検査する配管の内部健全度調査装置を提供するものであり、特に被検査物の撮像画像を拡大し、また記録し、更に遠隔操作によって遠方から配管欠陥検査を可能とする配管の内部健全度調査装置を提供するものである
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は本発明によれば、ビデオスコープと、該ビデオスコープで撮像した撮像画像を処理する処理手段と、前記撮像画像を表示するモニタと、前記撮像画像を記録すると共に予め測定した正常配管のスタンダードサンプル画像を記録する記録手段と、マイクによって集音された前記撮像画像に対応した情報を前記記録手段に記録するマイク入力処理手段と、を備え、前記ビデオスコープをガソリンスタンドに設置された埋設配管に挿入し、前記モニタに表示される撮像画像に基づいてコントローラを操作し、前記埋設配管内の亀裂及び腐食の欠陥を検査する埋設配管の検査装置であって、更に前記ビデオスコープの先端にはアーク溶接部が設置され、前記埋設配管内の前記欠陥を検出した際、前記アーク溶接部にセラミック金属線材を供給し、セラミックのアーク溶射を行い、前記欠陥に一定の厚さのセラミック層を形成して修復する埋設配管の検査装置であって、前記配管内の欠陥を修復する際、前記記録手段に予め記録された前記スタンダードサンプル画像と、測定画像を比較して行うと共に、前記マイク入力処理手段を使用して前記記録手段に記録された前記マイクからの検査対象位置における前記撮像画像に対応した情報を参考に修復する埋設配管の検査装置を提供することによって達成できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、モニタには撮像画像の拡大表示を行うことができ、また記憶手段に撮像画像の情報を記録することができ、確実にタンクに生じた亀裂、孔食、及び腐食等の欠陥を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の内部健全度調査装置の外観図である。
図2】内部健全度調査装置のシステム構成を説明する図である。
図3】ビデオスコープの先端部の動きを示す図である。
図4】内部健全度調査装置を配管検査に使用する例を示す図である。
図5】ビデオスコープを注油口から注油管内に挿入する様子を示す図である。
図6】本発明の内部健全度調査装置をネットワークに接続した状態を示す図である。
図7】アーク溶射機による注油管の内周面へのアーク溶射の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の配管の内部健全度調査装置の外観図である。同図において、内部健全度調査装置1は光学アダプタを着脱自在に構成したビデオスコープ2と、このビデオスコープ2を収納する本体3と、内部健全度調査装置1の制御を行うコントローラ4と、各種表示を行うモニタ5と、電源供給部6で構成されている。
【0015】
図2は、上記内部健全度調査装置1のシステム構成を説明する図である。同図に示すように、内部健全度調査装置1には、制御ユニット7が接続されている。この制御ユニット7は、例えは同図に示すように本体3に取り付けられている。
【0016】
また、ビデオスコープ2は、撮影時に必要な照明光を得るための光源装置と、ビデオスコープ2を電気的に自在に湾曲させるための湾曲装置を有する。また、ビデオスコープ2の先端の撮像素子からの撮像画像は、本体3内の制御回路に供給される。
【0017】
本体3の回路構成は、撮像画像処理部8、CPU9、ROM10、RAM11、LANインターフェイス(以下、LANドI/Fで示す)12、USBインターフェイス(以下、USBI/Fで示す)13、入力インターフェイス(以下、入力I/Fで示す)14、マイク入力処理部15、アーク溶接制御部16、及び操作入力部17(コントローラ4)で構成されている。
【0018】
また、上記入力I/F14には、制御ユニット7、及びバスを介して前述のコントローラ4が接続されている。コントローラ4は、ビデオスコープ2の駆動制御を行う。
【0019】
尚、USBI/F13は、USBメモリを装着し、内部健全度調査装置1によって取得した撮像画像のデータをUSBメモリに記憶する際のインターフェイスである。また、LANドI/F12はパーソナルコンピュータ(PC)を接続する際のインターフェイスである。
【0020】
撮像画像処理部8は、ビデオスコープ2から供給された撮像画像の処理を行い、モニタ5に表示するために必要な処理を行い、更に処理された撮像画像に対して信号線を介して前述のUSBメモリに記録する。また、マイク入力処理部15は、マイクにより集音された情報をUSBメモリに記録する為の処理部であり、撮像画像に対応して音声情報をUSBメモリに記録させる構成である。尚、アーク溶接制御部16は、配管の欠陥を検出した場合、補修を行う為の後述するアーク溶接機を制御する。
【0021】
尚、CPU9は上記ROM10に記憶されたプログラムに従って処理を行い、RAM11をワークエリアとして使用して内部健全度調査装置1の駆動を行う。また、上記ROM10には予め測定した正常配管(スタンダードサンプル)の画像データが記憶されており、後述する様にスタンダードサンプルの画像データは、測定データとの比較に使用される。また、上記スタンダードサンプルの画像データをUSBメモリ等に記憶する構成としてもよい。
【0022】
また、図3は上記ビデオスコープ2の先端部31の動きを示す図であり、コントローラ4を使用した操作者の指示によって4方向に湾曲可能な構成である。尚、コントローラ4からの操作信号は操作入力部17、入力I/F14、ユニット7を介してビデオスコープ2に通知される。
【0023】
以上の構成において、以下に本例の内部健全度調査装置1を使用して欠陥検査を行う例を説明する。
図4は、本例の内部健全度調査装置1を地下タンクにガソリンを貯蔵する際の配管に適用する例である。同図において、地下タンク21にはガソリンを入れる注油管22、地下タンク21からガソリンを吸引する給油管23、地下タンク21の通気を行う通気管24、及び地下タンク21に貯蔵されたガソリンの液面高を計測する液面計25が設けられている。また、地下タンク21は地表から所定の深さに埋設され、地下タンク21上には不図示のコンクリートが施設されている。
【0024】
また、注油管22には地表に注油口26が設けられ、注油口26からガソリンの注油を行う。また、給油管23には地表に計量器、ポンプ等の機器類27が設けられ、地下タンク21からガソリンを吸引し、吸引するガソリンの計量を行う。また、上記注油管22にはバルブ28が設けられ、給油管23にはバルブ29が設けられ、地下タンク21の補修/改修作業の際、このバルブ28及び29を閉鎖して行う。尚、通気管24には通気口30が設けられ、地下タンク21内で発生するガスを排出する。
【0025】
図5は、上述の注油管22の拡大図である。尚、本例では、上記図1に示すようにマンホールは形成されておらず、注油管(埋設配管)22の欠陥検出のためには、上記コンクリートを壊し、穴を掘る必要があった。しかし、本例の場合、以下のようにして注油管22の欠陥を検出する。
【0026】
先ず、ビデオスコープ2による調査前、加圧又は減圧のプレッシャテストを行い、健全度及び異常個所の特定の為に併用する。次に、図5に示すようにビデオスコープ2を注油口26から注油管22内に挿入する。
【0027】
その後、作業者は前述のコントローラ4を操作しながら注油管22内の亀裂、孔食、及び腐食を検査する。この場合、ビデオスコープ2の先端には、図3に示すように発光部31aが設けられ、注油管22の内部を照明しており、注油管22の内部は前述のモニタ5に映し出されている。したがって、作業者はモニタ5を見ながらコントローラ4を操作し、注油管22内に生じた亀裂、孔食、及び腐食を確認する。
【0028】
この際、前述の図3に示すように、ビデオスコープ2の先端は4方向に湾曲可能であり、作業者はモニタ5を見ながらコントローラ4を操作し、注油管22の注油口26近傍から順次、注油管22の内壁の亀裂等の確認してゆく。尚、注油管22には折曲部32、33を有するが、ビデオスコープ2はフレキシブルに構成されており、注油管22の形状に従って湾曲し、注油管22の終端に設けられたバルブ28の位置まで確実に検査を行うことができる。
【0029】
またこの間、ビデオスコープ2による撮像画像はモニタ5に順次表示されると共に、前述のUSBメモリにも記録される。したがって、検査終了後において、USBメモリに記録された撮像画像を精査し、微小な亀裂等も確認することができる。
【0030】
具体的には、前述のようにROM10やUSBメモリに予め記憶したスタンダードサンプルと、例えばUSBメモリに記録された撮像画像の比較を行い、埋設配管内部の亀裂、孔食、及び腐食箇所を特定する。また、亀裂、又は孔食、又は腐食が発生している場合、埋設配管の入口から発生箇所までの距離、及び大きさを特定する。
また、亀裂、孔食、及び腐食の特定は、埋設年数、周囲環境、経年変化等を考慮して決定する。
【0031】
また、制御ユニット3には撮像画像を拡大する機能も有しており、作業者は必要に応じて注油管22の内壁の拡大画像をモニタ5に表示し、またUSBメモリに記録することができ、更に微小な亀裂等も確認することができる。
【0032】
さらに、マイクを介して作業者は検査対象位置におけるコメント等の音声情報を記録することができ、後に亀裂等を検討する際の参考にすることができる。
【0033】
一方、図6に示すように、本例の配管欠陥検査装置1がLANI/F12を介してネットワークに接続する例であり、このように構成することにより、本例の配管欠陥検査装置1の出力を通信ネットワークを介してサーバに送信することができる。この場合、例えば撮像画像を専門機関に送信し、亀裂等の検証を行うことも可能となる。さらに、上記通信ネットワークを使用することによって、作業者自身がビデオスコープ2を遠隔操作し、遠く離れた場所からでも配管検査を行うことが可能となる。
【0034】
次に、上記方法によって欠陥が検出された配管の補修方法を説明する。
本例においては、セラミックコーティングによって配管の補修を行う。セラミックコーティングは、例えばアーク溶射によって行われる。ここで、セラミック層の形成は、具体的には2本の金属ワイヤ間でアーク放電を発生させ、この放電エネルギーによりワイヤを溶融させ、溶融金属を微粉化し、配管の内周面に吹き付け、所定の厚さのセラミック層を形成する。
【0035】
図7はアーク溶射機36による注油管22の内周面へのアーク溶射の一例を示す図である。このアーク溶射機36は前述のビデオスコープ2の先端に取り付けられ、同図に示すようにアーク溶射機36のヘッド部を注油管22の内周面に対面させ、注油管22の内周面の欠陥部2aにセラミックコーティングを行なう。この為、アーク溶射機36を使用する場合、ビデオスコープ2内に後述する金属線材、及び圧縮空気を送る経路が確保され、不図示の欠陥修理ユニットを内部健全度調査装置1にセットし実行する。
【0036】
アーク溶射機36には、陽極が印加されたセラミック金属線材38と、陰極が印加された金属線材39が使用され、セラミック金属線材38はノズル41を通してアーク形成部40まで伸び、金属線材39はノズル42を通してアーク形成部40まで伸び、アーク形成部40において電気スパークを発生させ、両線材38、39が溶融される。また、アーク形成部40にはノズルdを通して圧縮空気が送られ、溶融したセラミック金属を微細化し、注油管22の内周面の欠陥部2aに溶射する。
【0037】
さらに、アーク溶射機36は図7に示す矢印a及びb方向に回動可能であり、注油管22の内周面の欠陥部に均一な厚さ(例えば、厚さ2mm)のセラミック層を溶射する。
【0038】
アーク溶射機36は前述の内部健全度調査装置1の制御によって駆動が制御され、例えばアーク溶射機36の移動速度や移動方向は、予め記憶された情報に基づいて行われ、注油管22の内周面の欠陥部2aに均一なセラミック層を溶射する。具体的には、CPU9の制御によって、ROM10に記憶されたプログラムをRAM11に読み出して実行することにより、アーク溶射制御部16の制御を行い、アーク溶射機36によるセラミック溶射の駆動制御を行う。尚、撮像画像処理部8は、モニタ5にアーク溶射の際の溶射状態の画像出力を行う。
【0039】
このように制御することによって、検出された注油管22の欠陥はセラミックコーティングによって補修することができる。
【0040】
尚、上記本例の説明では、セラミックコーティングを使用したが、亜鉛コーティング等の他のコーチィング処理によって注油管22の欠陥部を補修するようにしてもよい。また、上記例は注油管22について説明したが、給油管23についても同様に欠陥検査を行い、欠陥検出部を補修するようにしてもよい。さらに、ガソリンスタンドの埋設配管に限らず、ガソリン、軽油、重油等を流す埋設配管一般についても、同様に本例の配管欠陥検査装置1によって欠陥検査、及び補修処理を行うことができる。
【符号の説明】
【0041】
1・・・内部健全度調査装置
2・・・ビデオスコープ
3・・・制御ユニット
4・・・コントローラ
5・・・モニタ
6・・・電源供給部
7・・・制御ユニット
8・・・撮像画像処理部
9・・・CPU
10・・ROM
11・・RAM
12・・LANドI/F
13・・USBI/F
14・・入力I/F
15・・マイク入力処理部
16・・アーク溶接制御部
17・・操作入力部
21・・地下タンク
22・・注油管
23・・給油管
24・・通気管
25・・液面計
26・・注油口
27・・機器類
28、29・・バルブ
30・・通気口
31・・ビデオスコープの先端部
31a・・発光部
32、33・・折曲部
36・・アーク溶射機
38・・セラミック金属線材
39・・金属線材
40・・アーク形成部
41、42・・ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7