(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】電池パック、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240221BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240221BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20240221BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H01M10/44 P
H01M50/20
H02H7/18
(21)【出願番号】P 2020012883
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 享充
(72)【発明者】
【氏名】千島 悠輝
(72)【発明者】
【氏名】高岩 敢
(72)【発明者】
【氏名】永野 秀章
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-004631(JP,A)
【文献】特開2007-234264(JP,A)
【文献】特開2021-089824(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0191177(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H02H 7/00
H02H 7/10 - 7/20
H01M 10/42 -10/48
H01M 50/20 -50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器と接続可能な電池パックであって、
複数の正極端子と、
複数の負極端子と、
電池セルと、
前記電池パックに接続された前記電子機器に前記電池セルから流れる電流が最大電流値を超えた場合に、前記電池セルから前記電子機器に流れる電流を遮断する遮断手段と、
前記電池パックに接続された前記電子機器と通信し、前記電子機器と接続されている前記正極端子および前記負極端子の数を検出するための情報を前記電子機器から取得する通信手段と、
前記通信手段により取得された前記情報に基づいて前記電子機器と接続されている前記正極端子および前記負極端子の数を検出し、前記電子機器と接続されている前記正極端子および前記負極端子の
前記数に基づき、前記最大電流値を設定する制御手段と
を有することを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記電子機器と接続されている前記正極端子および前記負極端子の数が第1の数である場合、前記制御手段は、前記最大電流値を第1の電流値に設定し、
前記電子機器と接続されている前記正極端子および前記負極端子の数が前記第1の数よりも小さい第2の数である場合、前記制御手段は、前記最大電流値を前記第1の電流値よりも小さい第2の電流値に設定することを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記電池パックが前記電子機器と接続された状態である場合、前記制御手段は、前記最大電流値を前記第1の電流値以下の値に設定することを特徴とする請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記電池パックが前記電子機器から取り外された状態である場合、前記制御手段は、前記最大電流値を前記第2の電流値と同じ電流値または前記第2の電流値よりも低い電流値に設定することを特徴とする請求項2または3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記電子機器が有する電池パック収容部の蓋が開状態である場合、前記制御手段は、前記最大電流値を前記第2の電流値と同じ電流値または前記第2の電流値よりも低い電流値に設定することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項6】
電子機器と接続可能な電池パックの制御方法であって、前記電池パックは、電池セルと、複数の正極端子と、複数の負極端子とを有し、前記電池パックの制御方法は、
前記電池パックに接続された前記電子機器に前記電池セルから流れる電流が最大電流値を超えた場合に、前記電池セルから前記電子機器に流れる電流を遮断するように前記電池パックを制御するステップと、
前記電池パックに接続された前記電子機器と通信し、前記電子機器と接続されている前記正極端子および前記負極端子の数を検出するための情報を前記電子機器から取得するステップと、
前記取得するステップで取得された前記情報に基づいて前記電子機器と接続されている前記正極端子および前記負極端子の数を検出し、前記電子機器と接続されている前記正極端子および前記負極端子の
前記数に基づき、前記最大電流値を設定するステップと
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項7】
電池セルと、複数の正極端子と、複数の負極端子とを有し、電子機器と接続可能な電池パックのコンピュータに、
前記電池パックに接続された前記電子機器に前記電池セルから流れる電流が最大電流値を超えた場合に、前記電池セルから前記電子機器に流れる電流を遮断するように前記電池パックを制御するステップと、
前記電池パックに接続された前記電子機器と通信し、前記電子機器と接続されている前記正極端子および前記負極端子の数を検出するための情報を前記電子機器から取得するステップと、
前記取得するステップで取得された前記情報に基づいて前記電子機器と接続されている前記正極端子および前記負極端子の数を検出し、前記電子機器と接続されている前記正極端子および前記負極端子の
前記数に基づき、前記最大電流値を設定するステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックとその制御方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に電力を供給する電池パックには、電池パックの電池セルを過電流から保護するための保護回路が含まれている。保護回路は、電池セルに流れる電流が最大値を超えた場合には、スイッチ素子をオフ状態にすることで、電池セルに流れる電流を遮断することができる。
【0003】
特許文献1には、正極端子から電池セルに流れる電流を遮断するか否かを判定するための電流値が電池パックの温度、電圧または残容量に応じて変更されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された電池パックは、複数の正極端子と、複数の負極端子とを有する電池パックではない。そのため、特許文献1に記載された電池パックは、電子機器と接続されている場合に、電池セルから電子機器に流れる電流を遮断するか否かを判定するための電流値を、電子機器と接続されている正極および負極端子の数に基づいて変更することはできない。
【0006】
そこで、本発明は、電池セルから電子機器に流れる電流を遮断するか否かを判定するための電流値を、電子機器と接続されている正極および負極端子の数に基づいて変更できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電池パックは、電子機器と接続可能な電池パックであって、複数の正極端子と、複数の負極端子と、電池セルと、前記電池パックに接続された前記電子機器に前記電池セルから流れる電流が最大電流値を超えた場合に、前記電池セルから前記電子機器に流れる電流を遮断する遮断手段と、前記電池パックに接続された前記電子機器と通信し、前記電子機器と接続されている前記正極端子および前記負極端子の数を検出するための情報を前記電子機器から取得する通信手段と、前記通信手段により取得された前記情報に基づいて前記電子機器と接続されている前記正極端子および前記負極端子の数を検出し、前記電子機器と接続されている前記正極端子および前記負極端子の前記数に基づき、前記最大電流値を設定する制御手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電池セルから電子機器に流れる電流を遮断するか否かを判定するための電流値を、電子機器と接続されている正極および負極端子の数に基づいて変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】電池パック100の構成要素と、電池パック100と接続可能な電子機器200の構成要素とを説明するためのブロック図である。
【
図2】電池パック100の最大電流値を変更する第1の変更処理に関するフローチャートである。
【
図3】電池パック100の最大電流値を変更する第2の変更処理に関するフローチャートである。
【
図4】電池パック100の最大電流値を変更する第3の変更処理に関するフローチャートである。
【
図5】(a)は電子機器200の種類と端子数との対応関係の一例を示す図であり、(b)は端子数と最大電流値との対応関係の一例を示す図である。
【
図6】電池パック100の構成要素と、電池パック100と接続可能な電子機器200の構成要素とを説明するためのブロック図である。
【
図7】電池パック100の構成要素および電子機器200の構成要素の別の例を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
[実施形態1]
図1および
図6は、電池パック100の構成要素と、電池パック100と接続可能な電子機器200の構成要素とを説明するためのブロック図である。
【0012】
電池パック100は、電子機器200と接続可能な電池パックである。電池パック100は、電子機器200の電池パック収容部に収容されることで、電子機器200と接続される。電池パック100は、電池セル101、第1の正極端子102a、第1の負極端子102b、第2の正極端子103a、第2の負極端子103b、電流検出回路104、制御部105、FET部106、通信部107および通信端子108を有する。
【0013】
電池セル101は、リチウムイオン電池セルなどの充電可能な電池セルである。電池セル101は、1つまたは複数の電池セルを有する。
【0014】
第1の正極端子102aおよび第1の負極端子102bは、例えば5Aの電流に十分に耐えられる端子である。第2の正極端子103aおよび第2の負極端子103bも、例えば5Aの電流に十分に耐えられる端子である。電子機器200と接続されている正極および負極端子が第1の正極端子102aおよび第1の負極端子102bである場合、電池セル101は、例えば5Aまでの電流を電子機器200に供給可能である。電子機器200と接続されている正極および負極端子が第2の正極端子103aおよび第2の負極端子103bである場合も、電池セル101は、例えば5Aまでの電流を電子機器200に供給可能である。電子機器200と接続されている正極および負極端子が端子102a、102b、103aおよび103bである場合、電池セル101は、例えば10Aまでの電流を電子機器200に供給可能である。なお、電池パック100が第1の正極端子102a、第1の負極端子102b、第2の正極端子103aおよび第2の負極端子103bのうちのどの端子を介して電子機器200と接続されるかは、電子機器200の種類によって異なる。
【0015】
電流検出回路104は、電池セル101と、第1の負極端子102bおよび第2の負極端子103bとの間に設けられ、電池セル101から電子機器200に流れる電流または電子機器200から電池セル101に流れる電流を検出する。電流検出回路104は、例えば、電圧降下の大きさに基づき、電池セル101から電子機器200に流れる電流または電子機器200から電池セル101に流れる電流を検出する。電流検出回路104で検出された電流は、制御部105に通知される。これにより、制御部105は、電池セル101から電子機器200に流れる電流または電子機器200から電池セル101に流れる電流を知ることができる。
【0016】
FET部106は、充電FET106aおよび放電FET106bを有する。充電FET106aは、制御部105によってオン状態またはオフ状態に制御されるスイッチである。放電FET106bも、制御部105によってオン状態またはオフ状態に制御されるスイッチである。充電FET106aがオフ状態であり、放電FET106bがオン状態である場合、電池セル101から電子機器200に電流が流れる。この場合、電池セル101から電子機器200に流れる電流は、制御部105が放電FET106bをオフ状態にすることで遮断される。充電FET106aがオン状態であり、放電FET106bがオフ状態である場合、電子機器200から電池セル101に電流が流れる。この場合、電子機器200から電池セル101に流れる電流は、制御部105が充電FET106aをオフ状態にすることで遮断される。
【0017】
通信部107は、通信端子108および206を介して電子機器200の通信部205と通信する。通信部107は、電池パック100が電子機器200に接続されると、通信端子108および206を介して通信部205と電気的に接続される。
【0018】
制御部105は、電池セル101の放電を制御したり、電池セル101の充電を制御したり、電池セル101に関する情報(電池セル101の残量、劣化状態、温度など)を検出したりする。制御部105は、例えばメモリおよびプロセッサを有する。電池パック100の構成要素は、制御部105のプロセッサが制御部105のメモリに記憶されているプログラムを実行することにより制御される。制御部105は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のような集積回路で構成することができる。電池セル101に関する情報(電池セル101の残量、劣化状態、温度など)は、例えば、制御部105のプロセッサで検出され、制御部105のメモリに記憶される。
【0019】
制御部105は、通信部107の動作を制御することができる。制御部105は、通信部107の動作を制御することで、電子機器200の制御部204と通信することができる。制御部105は、通信端子108および通信部107を介して制御部204から受信した情報に基づき、電子機器200と接続されている正極および負極端子の数を検出することができる。
【0020】
制御部105は、充電FET106aおよび放電FET106bの動作を制御することができる。制御部105は、充電FET106aおよび放電FET106bの動作を制御することで、電池セル101から電子機器200に流れる電流または電子機器200から電池セル101に流れる電流を遮断する保護回路として動作することができる。例えば、制御部105は、電池セル101から電子機器200に流れる電流が電池パック100の最大電流値(所定の電流値)を超えたと判定した場合は、放電FET106bをオフ状態にすることで、電池セル101から電子機器200に流れる電流を遮断する。
【0021】
制御部105は、通信端子108の電圧を監視することができる。制御部105は、通信端子108の電圧が第1の電圧値を超えない期間が第1の所定時間を超えたか否かを判定する。そして、制御部105は、通信端子108の電圧が第1の電圧値を超えない期間が第1の所定時間を超えたと判定した場合は、電池パック100が電子機器200から取り外された状態であると判定する。制御部105は、通信端子108の電圧が第2の電圧値よりも大きい期間が第2の所定時間を超えたか否かを判定する。そして、制御部105は、通信端子108の電圧が第2の電圧値よりも大きい期間が第2の所定時間を超えたと判定した場合は、電池パック100が電子機器200に接続された状態であると判定する。ここで、第2の電圧値は、第1の電圧値以上の電圧値である。第2の所定時間は、第1の所定時間と同じまたは異なる時間である。第1の電圧値、第2の電圧値、第1の所定時間および第2の所定時間は、制御部105のメモリに記憶されている。
【0022】
電子機器200は、電池パック100と接続可能な電子機器である。電子機器200は、負荷回路201、第1の正極端子202aおよび第2の正極端子203aの少なくとも一つ、第1の負極端子202bおよび第2の負極端子203bの少なくとも一つ、制御部204、通信部205および通信端子206を有する。電子機器200が第1の正極端子202a、第1の負極端子202b、第2の正極端子203aおよび第2の負極端子203bのうちのどの端子を有するかは、電子機器200の種類によって異なる。例えば、
図1に示す電子機器200は、第1の正極端子202a、第1の負極端子202b、第2の正極端子203aおよび第2の負極端子203bを有する電子機器である。
図1に示す電子機器200は、第1の電流値(例えば10A)までの電流を第1の正極端子202a、第1の負極端子202b、第2の正極端子203aおよび第2の負極端子203bを介して電池パック100から受けることができる。例えば、
図6に示す電子機器200は、第1の正極端子202aおよび第1の負極端子202bを有さないが、第2の正極端子203aおよび第2の負極端子203bを有する電子機器である。
図6に示す電子機器200は、第2の電流値(例えば3A)までの電流を第2の正極端子203aおよび第2の負極端子203bを介して電池パック100から受けることができる。
【0023】
負荷回路201の構成は、電子機器200の種類に応じて異なる。例えば、電子機器200がデジタルカメラとして動作する電子機器である場合、負荷回路201は、電子機器200がデジタルカメラとして動作するための構成要素(撮像部、画像処理部、記録部、再生部、表示部などを含む)を有する。例えば、電子機器200が充電器として動作する電子機器である場合、負荷回路201は、電子機器200が充電器として動作するための構成要素(電圧変換部、充電部などを含む)を有する。
【0024】
第1の正極端子202aは、電池パック100の第1の正極端子102aと接続される端子であり、第1の負極端子202bは、電池パック100の第1の負極端子102bと接続される端子である。第2の正極端子203aは、電池パック100の第2の正極端子103aと接続される端子であり、第2の負極端子203bは、電池パック100の第2の負極端子103bと接続される端子である。第1の正極端子202aおよび第1の負極端子202bは、例えば5Aの電流に十分に耐えられる端子である。第2の正極端子203aおよび第2の負極端子203bも、例えば5Aの電流に十分に耐えられる端子である。通信端子206は、電池パック100の通信端子108と接続される端子である。
【0025】
通信部205は、通信端子108および206を介して電池パック100の通信部107と通信する。通信部205は、電池パック100が電子機器200に接続されると、通信端子108および206を介して通信部107と電気的に接続される。
【0026】
制御部204は、負荷回路201を制御したり、負荷回路201に関する情報を検出したりする。制御部204は、例えばメモリおよびプロセッサを有する。電子機器200の構成要素は、制御部204のプロセッサが制御部204のメモリに記憶されているプログラムを実行することにより制御される。制御部204は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のような集積回路で構成することができる。電子機器200の種類を示す情報(例えば、電子機器200のID情報)は、制御部204のメモリに記憶されている。
【0027】
制御部204は、通信部205の動作を制御することができる。制御部204は、通信部205の動作を制御することで、電池パック100の制御部105と通信することができる。制御部204は、電子機器200の種類を示す情報を通信部205および通信端子206を介して制御部105に送信する。
【0028】
制御部204は、第1の正極端子202aの電圧と第2の正極端子203aの電圧を監視することができる。制御部204は、第1の正極端子202aの電圧と第2の正極端子203aの電圧に基づき、電池パック100と接続されている正極および負極端子の数を検出することができる。制御部204は、電池パック100と接続されている正極および負極端子の数を検出した場合は、電池パック100と接続されている正極および負極端子の数を示す情報を通信部205および通信端子206を介して制御部105に送信する。
【0029】
電子機器200はさらに、電池パック100を収納するための電池パック収容部と、電池パック収容部の開口部付近に設置された蓋と、蓋が開状態であっても電池パック100と電子機器200との接続を維持するロック機構とを有する。制御部204は、電池パック収容部の蓋が開状態であるか閉状態であるかを検出することができるように構成されている。制御部204は、電池パック収容部の蓋が開状態であることを検出した場合は、電池パック収容部の蓋が開状態であることを示す情報を通信部205および通信端子206を介して制御部105に送信する。
【0030】
次に、
図2のフローチャートを参照して、電池パック100の最大電流値を変更する第1の変更処理を説明する。なお、第1の変更処理は、電池パック100が電子機器200に接続された状態であることを制御部105が検出した場合に開始される。
【0031】
ステップS201において、制御部105は、電池パック100の最大電流値を初期値に変更する。初期値は、最も安全性の高い電流値であり、第2の電流値(例えば3A)と同じ電流値または第2の電流値よりも低い電流値である。これにより、制御部105は、電池セル101から電子機器200に流れる電流が初期値を超えたと判定した場合は、放電FET106bをオフ状態にすることで、電池セル101から電子機器200に流れる電流を遮断することができる。このように、電池パック100の最大電流値を初期値に変更することで、電池セル101から電子機器200に流れる電流が初期値を超えることが防止される。その結果、制御部105は、電池セル101、第1の正極端子102a、第1の負極端子102b、第2の正極端子103aおよび第2の負極端子103bを過電流から保護することができる。
【0032】
ステップS202において、制御部105は、電子機器200と接続されている正極および負極端子の数を検出するための情報を通信端子108および通信部107を介して制御部204から受信する。電子機器200と接続されている正極および負極端子の数を検出するための情報は、電子機器200の種類を示す情報であっても、電池パック100と接続されている正極および負極端子の数を示す情報であってもよい。例えば、電子機器200と接続されている正極および負極端子の数を検出するための情報が、電子機器200の種類を示す情報である場合を説明する。この場合、制御部204は、制御部204のメモリに記憶されている、電子機器200の種類を示す情報を制御部105に送信する。例えば、電子機器200と接続されている正極および負極端子の数を検出するための情報が、電池パック100と接続されている正極および負極端子の数を示す情報である場合を説明する。この場合、制御部204は、電池パック100と接続されている正極および負極端子の数を所定の方法に基づいて検出し、検出した数を示す情報を制御部105に送信する。
【0033】
ステップS203において、制御部105は、ステップS202で受信された情報に基づき、電子機器200と接続されている正極および負極端子の数を検出する。例えば、ステップS202で受信された情報が、電子機器200の種類を示す情報である場合を説明する。この場合、制御部105は、電子機器200の種類と端子数との対応関係に基づき、電子機器200の種類に対応する端子数を、電子機器200と接続されている正極および負極端子の数として検出する。なお、電子機器200の種類と端子数との対応関係は、制御部105のメモリに予め記憶されている。例えば、ステップS202で受信された情報が、電池パック100と接続されている正極および負極端子の数を示す情報である場合を説明する。この場合、制御部105は、電池パック100と接続されている正極および負極端子の数を、電子機器200と接続されている正極および負極端子の数として検出する。
【0034】
図5(a)は、電子機器200の種類と端子数との対応関係の一例を示す。例えば、電子機器200の種類がカメラAまたは充電器であると制御部105が判定した場合、制御部105は、2を電子機器200と接続されている正極および負極端子の数として検出する。例えば、電子機器200の種類がカメラBまたはストロボ装置であると制御部105が判定した場合、制御部105は、4を電子機器200と接続されている正極および負極端子の数として検出する。
【0035】
ステップS204において、制御部105は、ステップS203で検出された数は正しいか否かを判定する。例えば、ステップS203で検出された数が第1の数(例えば4)および第2の数(例えば2)のいずれかと一致する場合、制御部105は、ステップS203で検出された数は正しいと判定する。ここで、第1の数および第2の数は、制御部105のメモリに予め記憶されている。ステップS203で検出された数が第1の数(例えば4)および第2の数(例えば2)のいずれにも一致しない場合、制御部105は、ステップS203で検出された数は正しくないと判定する。電子機器200と接続されている正極および負極端子の数をステップS203で検出できなかった場合も、制御部105は、ステップS203で検出された数は正しくないと判定する。ステップS203で検出された数は正しいと制御部105が判定した場合、制御部105はステップS205に進む。ステップS203で検出された数は正しくないと制御部105が判定した場合、
図2のフローチャートは、電池パック100の最大電流値が初期値である状態で終了する。なお、ステップS203で検出された数は正しくないと制御部105が判定した場合、制御部105は、電子機器200と接続されている正極および負極端子の数を正しく検出できなかったことを示すエラー情報を制御部204に送信してもよい。
【0036】
ステップS205において、制御部105は、ステップS203で検出された数と最大電流値との対応関係に基づき、電池パック100の最大電流値をステップS203で検出された数に対応する電流値(第1の電流値または第2の電流値)に変更する。なお、ステップS203で検出された数と最大電流値との対応関係は、制御部105のメモリに予め記憶されている。
図5(b)は、ステップS203で検出された数(検出数)と最大電流値との対応関係の一例を示す。
図5(b)に示すように、ステップS203で検出された数(検出数)が大きくなるほど、最大電流値も大きくなる。例えば、ステップS203で検出された数が第2の数(例えば2)である場合、制御部105は、電池パック100の最大電流値を第2の電流値(例えば3A)に変更する。例えば、ステップS203で検出された数が第1の数(例えば4)である場合、制御部105は、電池パック100の最大電流値を第1の電流値(例えば10A)に変更する。
【0037】
このようにすることで、制御部105は、電池パック100の最大電流値を電子機器200と接続されている正極および負極端子の数に対応する電流値(第1の電流値または第2の電流値)に変更することができる。これにより、電池パック100は、電池セル101、第1の正極端子102a、第1の負極端子102b、第2の正極端子103aおよび第2の負極端子103bを過電流から保護することができる。
【0038】
ステップS206において、制御部105は、ステップS203で検出された数(電子機器200と接続されている正極および負極端子の数に相当)を示す情報を通信部107および通信端子108を介して制御部204に送信する。制御部105はさらに、ステップS205で変更された最大電流値(ステップS203で検出された数に対応する電流値に相当)を示す情報を通信部107および通信端子108を介して制御部204に送信する。これにより、制御部204は、電子機器200と接続されている正極および負極端子の数と、電池パック100の最大電流値とを知ることができる。
【0039】
次に、
図3のフローチャートを参照して、電池パック100の最大電流値を変更する第2の変更処理を説明する。なお、第2の変更処理は、電池パック100が電子機器200に接続されている場合に開始される。
【0040】
ステップS301において、制御部105は、通信端子108の電圧が第1の電圧値を超えているか否かを判定する。通信端子108の電圧が第1の電圧値を超えていないと制御部105が判定した場合、制御部105はステップS302に進む。通信端子108の電圧が第1の電圧値を超えていると制御部105が判定した場合、制御部105はステップS301を繰り返す。
【0041】
ステップS302において、制御部105は、通信端子108の電圧が第1の電圧値を超えていない期間が第1の所定時間に達したか否かを判定する。通信端子108の電圧が第1の電圧値を超えていない期間が第1の所定時間に達したと制御部105が判定した場合、制御部105はステップS303に進む。通信端子108の電圧が第1の電圧値を超えていない期間が第1の所定時間に達していないと制御部105が判定した場合、制御部105はステップS301に戻る。
【0042】
ステップS303において、制御部105は、電池パック100が電子機器200から取り外された状態であると判定する。
【0043】
ステップS304において、制御部105は、電池パック100の最大電流値を上述の初期値に変更する。これにより、制御部105は、電池セル101から電子機器200に流れる電流が初期値を超えたと判定した場合は、放電FET106bをオフ状態にすることで、電池セル101から電子機器200に流れる電流を遮断することができる。このように、電池パック100の最大電流値を初期値に変更することで、電池セル101から電子機器200に流れる電流が初期値を超えることが防止される。その結果、制御部105は、電池セル101、第1の正極端子102a、第1の負極端子102b、第2の正極端子103aおよび第2の負極端子103bを過電流から保護することができる。
【0044】
次に、
図4のフローチャートを参照して、電池パック100の最大電流値を変更する第3の変更処理を説明する。なお、第3の変更処理は、電池パック100が電子機器200に接続されている場合に開始される。
【0045】
ステップS401において、制御部204は、電池パック収容部の蓋が開状態であるか閉状態であるかを検出する。電池パック収容部の蓋が開状態であることを制御部204が検出した場合、制御部204は、電池パック100が電子機器200から取り外される可能性が高い状況であると判定し、ステップS402に進む。電池パック収容部の蓋が閉状態であることを制御部204が検出した場合、制御部204は、電池パック100が電子機器200から取り外される可能性が高い状況でないと判定し、ステップS401を繰り返す。このように、制御部204は、電池パック収容部の蓋が開状態であるか閉状態であるかを検出することにより、電池パック100が電子機器200から取り外される可能性が高い状況であるか否かを判定する。なお、電池パック100が電子機器200から取り外される可能性が高い状況であるか否かは、別の方法で判定してもよい。例えば、制御部204は、電池パック100の取り外し前に行われる所定の操作が行われたか否かを検出することにより、電池パック100が電子機器200から取り外される可能性が高い状況であるか否かを判定してもよい。この場合、制御部204は、電池パック100の取り外し前に行われる所定の操作が行われたか否かを検出できるように構成される。
【0046】
ステップS402において、制御部204は、電池パック収容部の蓋が開状態であることを示す情報を通信部205および通信端子206を介して制御部105に送信する。制御部204はさらに、負荷回路201が行っている処理の一部を中断または終了させてもよい。例えば、制御部204は、消費電力が大きい処理を中断または終了させてもよい。例えば、制御部204は、電池パック100が電子機器200から取り外される前に終了すべき処理(画像データ、電子機器200の設定などを保存する処理)を終了させてもよい。
【0047】
ステップS403において、制御部105は、電池パック収容部の蓋が開状態であることを示す情報を通信端子108および通信部107を介して制御部204から受信する。
【0048】
ステップS404において、制御部105は、電池パック100の最大電流値を上述の初期値に変更する。これにより、制御部105は、電池セル101から電子機器200に流れる電流が初期値を超えたと判定した場合は、放電FET106bをオフ状態にすることで、電池セル101から電子機器200に流れる電流を遮断することができる。このように、電池パック100の最大電流値を初期値に変更することで、電池セル101から電子機器200に流れる電流が初期値を超えることが防止される。その結果、制御部105は、電池セル101、第1の正極端子102a、第1の負極端子102b、第2の正極端子103aおよび第2の負極端子103bを過電流から保護することができる。
【0049】
なお、電池パック収容部の蓋が開状態にされたものの、電池パック100が電子機器200から取り外されることなく蓋が閉状態にされた場合、制御部204は、電池パック収容部の蓋が閉状態であることを示す情報を通信部205および通信端子206を介して制御部105に送信してもよい。この場合、制御部105は、電池パック収容部の蓋が閉状態であることを示す情報を制御部204から受信した後に、
図2のステップS202以降の処理を行う。
図2のステップS202以降の処理を行うことで、電池パック100の最大電流値を電子機器200と接続されている正極および負極端子の数に対応する電流値に変更することができる。
【0050】
以上説明したように、実施形態1によれば、電池パック100は、電池パック100の最大電流値を電子機器200と接続されている正極および負極端子の数に対応する電流値(第1の電流値または第2の電流値)に変更することができる。これにより、電池パック100は、電池セル101、第1の正極端子102a、第1の負極端子102b、第2の正極端子103aおよび第2の負極端子103bを過電流から保護することができる。
【0051】
[実施形態1の変形例]
次に、実施形態1の変形例を説明する。
図7は、電池パック100の構成要素および電子機器200の構成要素の別の例を説明するためのブロック図である。なお、
図7に示す構成要素のうち、
図1に示す構成要素と同様の構成要素については、
図1に示す参照番号と同じ参照番号を付し、それらの詳細な説明を省略する。ただし、
図7に示す第1の正極端子102aおよび第1の負極端子102bは、
図1に示す第1の正極端子102aおよび第1の負極端子102bと異なり、例えば10Aの電流に十分に耐えられる端子である。
図7に示す制御部105は、
図1に示す制御部105と異なり、電子機器200と接続されている正極および負極端子の種類を検出することもできる。制御部105は、例えば、電子機器200と接続されている正極および負極端子の種類を検出するための情報に基づき、電子機器200と接続されている正極および負極端子の種類を検出することができる。電子機器200と接続されている正極および負極端子の種類を検出するための情報は、例えば、制御部204から制御部105に送信される情報である。電子機器200と接続されている正極および負極端子の種類を検出するための情報は、電子機器200の種類を示す情報であっても、電池パック100と接続されている正極および負極端子の種類を示す情報であってもよい。例えば、電子機器200と接続されている正極および負極端子の種類を検出するための情報が、電子機器200の種類を示す情報である場合を説明する。この場合、制御部204は、電子機器200の種類と正極および負極端子の種類との対応関係に基づき、電子機器200の種類に対応する正極および負極端子の種類を、電子機器200と接続されている正極および負極端子の種類として検出する。なお、電子機器200の種類と正極および負極端子の種類との対応関係は、制御部105のメモリに予め記憶されている。例えば、電子機器200と接続されている正極および負極端子の種類を検出するための情報が、電池パック100と接続されている正極および負極端子の種類を示す情報である場合を説明する。この場合、制御部204は、電池パック100と接続されている正極および負極端子の種類を所定の方法に基づいて検出し、検出した種類を示す情報を、電池パック100と接続されている正極および負極端子の数を示す情報と共に制御部105に送信する。制御部105は、電池パック100と接続されている正極および負極端子の種類を、電子機器200と接続されている正極および負極端子の種類として検出する。
【0052】
図7に示す電池パック100は、
図1に示す電池パック100と異なり、ヒューズ109を有する。ヒューズ109は、第2の正極端子103aとFET部106との間に設けられている。ヒューズ109は、電池セル101から第2の正極端子103aに流れる電流がある電流値(例えば6A)を超えた場合に溶融するように構成されている。なお、ヒューズ109が溶解する電流値は、第2の正極端子103aおよび第2の負極端子103bの性能に応じて設定される。第2の正極端子103aとFET部106との間にヒューズ109を設けることにより、何らかの理由で第2の正極端子103aおよび第2の負極端子103bに10Aの電流が流れたとしても、第2の正極端子103aおよび第2の負極端子103b並びに電池パック100および電子機器200を保護することができる。
【0053】
制御部105は、電子機器200と接続されている正極および負極端子の数が第2の数(例えば2)であることを検出した後、制御部204から受信した情報に基づき、電子機器200と接続されている正極および負極端子の種類を検出する。そして、制御部105は、電子機器200と接続されている正極および負極端子の種類と最大電流値との対応関係に基づき、電池パック100の最大電流値を第1の電流値または第2の電流値に変更する。なお、電子機器200と接続されている正極および負極端子の種類と最大電流値との対応関係は、制御部105のメモリに予め記憶されている。例えば、電子機器200と接続されている正極および負極端子が第1の正極端子102aおよび第1の負極端子102bである場合、制御部105は、電池パック100の最大電流値を第1の電流値(例えば10A)に変更する。例えば、電子機器200と接続されている正極および負極端子が第2の正極端子103aおよび第2の負極端子103bである場合、制御部105は、電池パック100の最大電流値を第2の電流値(例えば3A)に変更する。これにより、電子機器200と接続されている正極および負極端子が第1の正極端子102aおよび第1の負極端子102bである場合、電池セル101は、第1の電流値(例えば10A)までの電流を電子機器200に供給することができる。一方、電子機器200と接続されている正極および負極端子が第2の正極端子103aおよび第2の負極端子103bである場合、電池セル101は、第2の電流値(例えば3A)までの電流を電子機器200に供給することができる。なお、電子機器200と接続されている正極および負極端子が端子102a、102b、103aおよび103bである場合、電池セル101は、第1の電流値(例えば10A)までの電流を電子機器200に供給することができる。
【0054】
図7に示す電子機器200は、
図1に示す電子機器200と異なり、第2の正極端子203aおよび第2の負極端子203bを有さないが、第1の正極端子202aおよび第1の負極端子202bを有する電子機器である。上述したように、電子機器200と接続されている正極および負極端子が第1の正極端子102aおよび第1の負極端子102bである場合、制御部105は、電池パック100の最大電流値を第1の電流値(例えば10A)に変更する。これにより、電池セル101は、第1の電流値(例えば10A)までの電流を電子機器200に供給することができる。
図7に示す電子機器200は、第1の電流値(例えば10A)までの電流を第1の正極端子202aおよび第1の負極端子202bを介して電池パック100から受けることができる。
【0055】
[実施形態2]
実施形態1で説明した様々な機能、処理または方法は、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、CPU(central processing unit)またはプロセッサがプログラムを実行することによって実現することもできる。以下、実施形態2では、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、CPUまたはプロセッサを「コンピュータX」と呼ぶ。また、実施形態2では、コンピュータXを制御するためのプログラムであって、実施形態1で説明した様々な機能、処理または方法を実現するためのプログラムを「プログラムY」と呼ぶ。
【0056】
実施形態1で説明した様々な機能、処理または方法は、コンピュータXがプログラムYを実行することによって実現される。この場合において、プログラムYは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してコンピュータXに供給される。実施形態2におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、ハードディスク装置、磁気記憶装置、光記憶装置、光磁気記憶装置、メモリカード、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどの少なくとも1つを含む。実施形態2におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、non-transitoryな記憶媒体である。
【符号の説明】
【0057】
100…電池パック、102a…第1の正極端子、102b…第1の負極端子、103a…第2の正極端子、103b…第2の負極端子、104…電流検出部、105…制御部、106…FET部、107…通信部