(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】流動検出システムおよび受信機
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240221BHJP
H04B 1/59 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
H04B1/59
(21)【出願番号】P 2020015858
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 敦
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 幸雄
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/041260(WO,A1)
【文献】特開平06-091492(JP,A)
【文献】特開2006-221385(JP,A)
【文献】特開2012-243037(JP,A)
【文献】国際公開第2009/41262(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/41265(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/37152(WO,A1)
【文献】特開2011-70606(JP,A)
【文献】特許第6498410(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
H04B 1/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造に係る複数の工程の所定位置に配置された
複数の無線送信機、または、工程間の滞留場所に配置された
複数の無線送信機から送信されたデータを受信
可能であり、
受信した前記データを通信方式を変換して後段に送信
し、互いに異なる位置に配置される複数の受信機と、
前記複数の受信機からそれぞれ送信されたデータを受信して後段に送信する中継器と、
前記中継器から送信されたデータを受信して記憶する情報処理装置と、
を備え、
前記受信機は、
電波の検知範囲を狭くする電波強度フィルタを用いて前記
複数の無線送信機
のうち一の無線送信機が送信する
前記データを
前記複数の受信機のうち1台の受信機
のみで受信
し、
受信した前記データの信号強度
と前記一の無線送信機の識別情報と前記1台の受信機を識別するIDとを含む情報を前記中継器に送信し、
前記情報処理装置は、
前記情報に基づき、当該
一の無線送信機が配置された一の工程または工程間の滞留場所を特定する、
ことを特徴とす
る流動検出システム。
【請求項2】
前記受信機は、各工程において前記無線送信機が配置される前記所定位置に隣接した箇所に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載
の流動検出システム。
【請求項3】
前記受信機は、前記無線送信機からデータを受信すると、通信方式変換後の無線送信を、即時もしくは極めて短いインターバル時間内に実行する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載
の流動検出システム。
【請求項4】
前記情報処理装置は、一の工程において前記無線送信機からの無信号期間が一定時間経過した場合、工程間滞留へ移動したと判断する、
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載
の流動検出システム。
【請求項5】
前記情報処理装置は、工程間滞留の滞留時間が長くなった場合に、警告を報知する、
ことを特徴とする請求項4に記載
の流動検出システム。
【請求項6】
前記無線送信機は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)ビーコンタグである、
ことを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載
の流動検出システム。
【請求項7】
前記無線送信機は、付帯情報を検出可能な検出センサを備えており、当該付帯情報を併せて前記受信機に送信する、
ことを特徴とする請求項1ないし6の何れか一項に記載
の流動検出システム。
【請求項8】
前記無線送信機は、前記付帯情報として機械の稼動状況情報を前記受信機に送信する、
ことを特徴とする請求項7に記載
の流動検出システム。
【請求項9】
製造に係る複数の工程の所定位置に配置された
複数の無線送信機、または、工程間の滞留場所に配置された
複数の無線送信機から送信されたデータを受信
可能であり、
受信した前記データを通信方式を変換して後段に送信
し、互いに異なる位置に配置される複数の受信機において、
電波の検知範囲を狭くする電波強度フィルタを用いて前記
複数の無線送信機
のうち一の無線送信機が送信する
前記データを
前記複数の受信機のうち1台の受信機
のみで受信
し、
受信した前記データの信号強度
と前記一の無線送信機の識別情報と前記1台の受信機を識別するIDとを含む情報を送信する、
ことを特徴とする受信機。
【請求項10】
前記受信機は、前記無線送信機からデータを受信すると、通信方式変換後の無線送信を、即時もしくは極めて短いインターバル時間内に実行する、
ことを特徴とする請求項9に記載の受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動検出システムおよび受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管理対象となる各物品のそれぞれにRFIDタグを付し、このRFIDタグをRFIDタグ読取装置にて読み取ることで、各物品の管理状況等を容易に把握し、各物品の管理の効率化を図ることが行われている。
【0003】
また、近年、管理対象となる工場内の部品にビーコンと呼ばれる無線送信機を付し、無線送信機から出力される信号を工場内の各所に設けられた受信機で受信することにより、工場内の部品の位置と量(投入量)をデータ化することで、滞留の見える化を実現し、品質管理を可能とする部品流動検出システムも開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術によれば、一台の無線送信機が送信する信号を、複数の受信機が同時受信すると、輻輳が発生し、データ到達率が下がる、という問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、受信機への送信データの輻輳を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、製造に係る複数の工程の所定位置に配置された複数の無線送信機、または、工程間の滞留場所に配置された複数の無線送信機から送信されたデータを受信可能であり、受信した前記データを通信方式を変換して後段に送信し、互いに異なる位置に配置される複数の受信機と、前記複数の受信機からそれぞれ送信されたデータを受信して後段に送信する中継器と、前記中継器から送信されたデータを受信して記憶する情報処理装置と、を備え、前記受信機は、電波の検知範囲を狭くする電波強度フィルタを用いて前記複数の無線送信機のうち一の無線送信機が送信する前記データを前記複数の受信機のうち1台の受信機のみで受信し、受信した前記データの信号強度と前記一の無線送信機の識別情報と前記1台の受信機を識別するIDとを含む情報を前記中継器に送信し、前記情報処理装置は、前記情報に基づき、当該一の無線送信機が配置された一の工程または工程間の滞留場所を特定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、受信機への送信データの輻輳を低減することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかる部品流動検出システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、ゲートウェイ(BS)の機能構成を例示したブロック図である。
【
図3】
図3は、サーバのハードウェア構成を示す図である。
【
図4】
図4は、サーバの機能ブロックの構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、状況認識部による状況認識処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、部品流動検出システムおよび受信機の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
図1は、実施の形態にかかる部品流動検出システム1の構成を概略的に示す図である。部品流動検出システム1は、例えば金属製品の製造工場内において、製造に係る複数の工程間における部品の滞留状態を検出するシステムである。
【0012】
図1に示すように、工場内には、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)ビーコンタグ10と、各種の受信機であるゲートウェイ20とが設けられている。
【0013】
BLEビーコンタグ10は、通信機能等を有しており、データを送信する無線送信機として機能している。BLEビーコンタグ10は、一定周期ごとに、BLEビーコンタグ10を識別する識別情報であるビーコンIDを含んだデータを電波として出力する。
【0014】
BLEビーコンタグ10は、ある種の製造物(例えば、金属製品)の製造に係る工程X1~X3、および工程間滞留場所X4~X5に移動自在に置かれるものであって、部品40に付帯される付帯部材(伝票、カゴなど)30に設けられている。
【0015】
ゲートウェイ20は、BLE通信、Sub-1GHz通信、WLAN通信、LTE(Long Term Evolution)通信の4つの無線方式を選択できる。選択した無線方式に応じた複数のゲートウェイ20は、工場内における互いに異なる予め定められた位置に配置される。ゲートウェイ20は、選択した無線方式に応じてゲートウェイ20A~20Cと表記する。なお、以下に示す例では、ゲートウェイ20A~20Cの各々に共通する構成については、ゲートウェイ20とも称している。
【0016】
詳細は後述するが、ゲートウェイ20は、BLEビーコンタグ10から受信したBLEビーコンタグ10に関する情報を、後段に送信する。BLEビーコンタグ10に関する情報は、例えば、ゲートウェイIDと、BLEビーコンタグ10を識別するビーコンIDと、平滑化処理された受信信号強度と、を対応付けた情報である。受信信号強度の値としては、例えばRSSI(Received Signal Strength Indicator)値が用いられる。RSSI値とは、受信機入力に入る受信信号の強度を示す数値であり、一般に受信信号強度として用いられる。
【0017】
BLEビーコンタグ10は、BLE通信にてデータを定期的にゲートウェイ(BS:BLE-SubG)20Aに送信する。
【0018】
ゲートウェイ(BS)20Aは、製造に係る工程X1~Xと、および工程間滞留場所X4~X5とに設けられている。前述したように、工程処理中は、BLEビーコンタグ10が設けられた付帯部材(伝票、カゴなど)30を、製造に係る工程X1~X3の近傍の所定位置に配置する。また、工程処理後は、BLEビーコンタグ10が設けられた付帯部材(伝票、カゴなど)30を、工程間滞留場所X4~X5に配置する。すなわち、製造に係る工程X1~X3、および工程間の滞留場所X4~X5では、BLEビーコンタグ10を付帯部材(伝票、カゴなど)30に付けたままとする。
【0019】
ゲートウェイ(BS)20Aの各々は、BLEビーコンタグ10からの無線信号を受信できる。そして、ゲートウェイ(BS)20Aの各々は、複数のゲートウェイ(BS)20Aが受信した無線信号の信号強度に応じてBLEビーコンタグ10の位置を特定することができる。
【0020】
本実施形態のゲートウェイ(BS)20Aは、BLEビーコンタグ10から受信した無線信号の信号強度について平滑化処理を行う。そして、ゲートウェイ(BS)20Aは、自装置を識別するゲートウェイIDと、BLEビーコンタグ10を識別するビーコンIDと、平滑化処理された受信信号強度と、を含むBLEビーコンタグ10から受信したデータを、受信したBLEビーコンタグ10に関する情報として、Sub-1GHz通信にてゲートウェイ(SW:SubG-WLAN)20Bへ送信する。
【0021】
なお、ゲートウェイ(BS)20Aにおいては、データを複数のゲートウェイ(BS)20A間でリレー式に送受信するマルチホップ(Multi-hop)機能を用いるようにしてもよい。
【0022】
ところで、ゲートウェイ(BS)20A間の境界付近にある1つのBLEビーコンタグ10の送信データを、複数のゲートウェイ(BS)20Aが同時に受信すると、輻輳が発生し、データ到達率が下がる、という問題がある。
【0023】
ここで、
図2はゲートウェイ(BS)20Aの機能構成を例示したブロック図である。
図2に示されるように、ゲートウェイ(BS)20Aは、受信処理部201と、平滑化処理部202と、送信処理部203と、を備えている。
【0024】
受信処理部201は、BLE通信機能を用いて、BLEビーコンタグ10から送信される無線信号(データ)を受信する。そして、受信処理部201は、無線信号に含まれていたビBLEビーコンタグ10を識別するビーコンIDを送信処理部203に出力し、無線信号の信号強度とビーコンIDとを平滑化処理部202に出力する。
【0025】
平滑化処理部202は、無線信号の信号強度の平滑化を行う。本実施形態の平滑化処理部202は、平滑化手法として、IIR(Infinite Impulse Response)フィルタを用いる。
【0026】
加えて、ゲートウェイ(BS)20Aは、電波の検知範囲を狭くする電波強度フィルタ204を受信処理部201に備える。ゲートウェイ(BS)20Aは、電波強度フィルタ204を用い、工程処理中のBLEビーコンタグ10の送信データを、1台のゲートウェイ(BS)20Aのみに受信させるようにする。
【0027】
また、ゲートウェイ(BS)20Aは、受信処理部201および送信処理部203により、BLEビーコンタグ10から信号を受信すると、通信方式変換後のゲートウェイ(SW)20Bへの無線送信を、即時もしくは極めて短いインターバル時間内に実行するようにしてもよい。このようにするのは、BLEビーコンタグ10からの信号の受信と、ゲートウェイ(SW)20Bへの信号の送信との間隔が短いほど、輻輳が生じにくくなるためである。
【0028】
図1に示すように、事務所内には、ゲートウェイ(SW)20Bと、ゲートウェイ(WL:WLAN-LTE)20Cと、が設けられている。ゲートウェイ(SW)20Bとゲートウェイ(WL)20Cとは、WLAN通信にて無線接続されている。
【0029】
ゲートウェイ(SW)20Bは、ゲートウェイ(BS)20Aから受信したデータを、WLAN通信にてゲートウェイ(WL)20Cへ送信する。
【0030】
ゲートウェイ(WL)20Cは、センターに設けられた情報処理装置であるサーバ50とLTE通信により接続される。
【0031】
ゲートウェイ(WL)20Cは、ゲートウェイ(SW)20Bから受信したデータを、LTE通信にてサーバ50へ送信する。
【0032】
サーバ50は、ゲートウェイ(WL)20Cから送信されたデータを記憶する。なお、本実施形態においては、サーバ50においてゲートウェイ(WL)20Cから送信されたデータを記憶するようにしたが、これに限るものではなく、各種の情報処理装置に記憶するものであってもよい。
【0033】
本実施形態の部品流動検出システム1によれば、上述したように、ある種の製造物(例えば、金属製品)の製造に係る各工程X1~X3、および工程間滞留場所(タグ置場)X4~X5に置かれたビーコンタグ10から送信されたデータが、各ゲートウェイ(BS)20Aおよび事務所内に置かれたゲートウェイ(SW)20Bとゲートウェイ(WL)20Cを通じて、サーバ50に送信・記録される。その際、ゲートウェイ(BS)20Aを識別するゲートウェイIDもサーバ50に記録されることにより、工程の状況も自動的に記録されることになる。
【0034】
なお、上述のように、BLE-SubGのゲートウェイ(BS)20A、SubG-WLANのゲートウェイ(SW)20B、BLEビーコンタグ10を用いるのは、金属の部品40による無線の減衰に対し、Sub-1GHzの通信距離(例えば、500m)およびマルチホップ機能が有効であるためである。
【0035】
次に、サーバ50について説明する。
【0036】
サーバ50は、ゲートウェイ(WL)20Cとネットワークを介して接続される情報処理装置である。例えば、サーバ50は、一般的なコンピュータまたはサーバであってよい。また、サーバ50は、1台のコンピュータであってもよいし、クラウドシステムのように複数台のコンピュータで構成されてもよい。以下においては、サーバ50は、1台のコンピュータで構成されているものとして説明する。
【0037】
図3は、サーバ50のハードウェア構成を示す図である。サーバ50は、通常のコンピュータと同様の構成している。すなわち、サーバは、CPU(Central Processing Unit)51と、ROM(Read Only Memory)52と、RAM(Random Access Memory)53と、記憶デバイス54と、ネットワークインターフェース(I/F)55とを有する。
【0038】
サーバ50は、さらに、ディスプレイ56と、表示I/F57と、入力デバイス58と、入力I/F59とを有する。CPU51、ROM52、RAM53、記憶デバイス54、ネットワークI/F55、表示I/F57及び入力I/F59は、バスにより接続されている。
【0039】
CPU51は、記憶デバイス54に記憶されたプログラムをRAM53に展開して実行し、各部を制御して入出力を行ったり、データの加工を行ったりする。ROM52には、オペレーティングシステムの起動用プログラムを記憶デバイス54からRAM53に読み出すスタートプログラムが記憶されている。
【0040】
記憶デバイス54は、例えば、ハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等である。記憶デバイス54は、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、及びデータを記憶している。これらのプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録メディアに記録して配布される。また、プログラムは、サーバからダウンロードすることにより配布されても良い。ネットワークI/F55は、例えばネットワークに接続するためのインターフェイス装置である。
【0041】
ディスプレイ56は、情報を表示するデバイスである。表示I/F57は、CPU51の制御に従ってディスプレイ56に画像信号を供給する。入力デバイス58は、キーボード、マウス、及びタッチパネル等であり、ユーザによる操作情報を取得する。入力I/F59は、CPU51の制御に従って、入力デバイス58が取得した情報をRAM53に記憶させる。
【0042】
本実施形態のサーバ50で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0043】
また、本実施形態のサーバ50で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のサーバ50で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。また、本実施形態のプログラムを、ROM52等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0044】
次に、サーバ50のCPU51がプログラムに従って実行する各種の演算処理のうち、本実施の形態の特長的な処理である部品流動検出処理について以下に説明する。
【0045】
図4は、サーバ50の機能ブロックの構成の一例を示す図である。
図4に示すように、サーバ50は、状況認識部501と、情報表示部502と、を備える。
【0046】
なお、サーバ50は、状況認識部501、情報表示部502の構成の一部又は全部をハードウェアにより実現しても良い。
【0047】
サーバ50の状況認識部501は、BLEビーコンタグ10に関する情報に含まれるゲートウェイ(BS)20Aを識別するゲートウェイIDに基づき、部品40に付帯される付帯部材30が製造に係る工程X1~X3のいずれにあるかを認識する。また、サーバ50の状況認識部501は、部品40に付帯される付帯部材30が工程間滞留場所(タグ置場)X4~X5へ移動したかを判別する。
【0048】
図5は、状況認識部501による状況認識処理の流れを示すフローチャートである。
図5に示すように、先ず、状況認識部501は、部品40を投入したことにより投入工程にかかるゲートウェイ(BS)20Aの変化を検出した場合(ステップS1のYes)、検出した投入工程に工程遷移処理を実行し(ステップS2)、ステップS3に進む。なお、ステップS2における工程遷移処理においては、工程における開始時刻、終了時刻、経過時間などが算出される。
【0049】
なお、状況認識部501は、部品40を投入した投入工程の変化を検出しない場合(ステップS1のNo)、そのままステップS3に進む。
【0050】
また、状況認識部501は、所定の工程に部品40を投入中の場合であって(ステップS3のYes)、投入工程にかかるゲートウェイ(BS)20Aから一定時間通信無しの場合(ステップS4のYes)、次の工程間滞留場所に工程遷移した後(ステップS5)、ステップS1に戻る。なお、ステップS5における工程遷移処理においては、工程間滞留場所における開始時刻、終了時刻、経過時間などが算出される。
【0051】
一方、状況認識部501は、所定の工程に部品40を投入中でない場合(ステップS3のNo)、所定の工程に部品40を投入中であって投入工程にかかるゲートウェイ(BS)20Aから一定時間通信が有る場合(ステップS3のYes、ステップS4のNo)、ステップS1に戻る。
【0052】
これにより、製造に係る複数の工程間における部品の滞留状態として、工程および工程間滞留場所ごとの開始時刻、終了時刻、経過時間などを認識することができる。
【0053】
なお、状況認識部501は、工程間滞留場所(タグ置場)X4~X5における滞留時間を計測し、滞留時間が長くなった場合に、警告を報知するようにしてもよい。
【0054】
サーバ50の情報表示部502は、ゲートウェイ(WL)20Cからデータを受信し、受信したデータに基づく製造に係る複数の工程間における部品の滞留状態をGUI(Graphic User Interface)60でディスプレイ56において可視化する。
【0055】
図6は、表示例を示す図である。
図6に示すように、GUI60には、製造に係る複数の工程間における部品の滞留状態として、工程および工程間滞留場所ごとの開始時刻、終了時刻、経過時間などが表示される。
【0056】
このように本実施形態によれば、電波強度フィルタによって電波の検知範囲を狭くすることにより、工程処理中のBLEビーコンタグ1からの送信データを、所定の受信機、すなわち1台のゲートウェイ(BS)20Aのみに受信させることが可能となり、輻輳を低減することができる。
【0057】
なお、本実施形態においては、BLEビーコンタグ10に関する情報として、ゲートウェイIDと、BLEビーコンタグ10を識別するビーコンIDと、平滑化処理された受信信号強度と、を対応付けた情報をゲートウェイ(BS)20Aから送信するようにしたが、これに限るものではない。例えば、BLEビーコンタグ10に関する情報に対する付帯情報として、加熱工程などにおける炉の温度情報などの機械の稼動状況情報も付与するようにしてもよい。例えば、温度情報は、定点観測したい場所のBLEビーコンタグ10に温度センサを備えて取得するようにすればよい。この場合、温度センサが、付帯情報を検出可能な検出センサである。
【0058】
なお、本実施形態においては、ビーコンタグ10とゲートウェイ(BS)20Aとの間をBLE通信機能で通信する例について説明したが、装置間で通信する通信機能を制限するものではない。
【0059】
上述の本発明の実施形態は、発明の範囲を限定するものではなく、発明の範囲に含まれる一例に過ぎない。本発明のある実施形態は、上述の実施形態に対して、例えば、具体的な用途、構造、形状、作用、及び効果の少なくとも一部について、発明の要旨を逸脱しない範囲において変更、省略、及び追加がされたものであっても良い。
【符号の説明】
【0060】
1 部品流動検出システム
10 無線送信機
20A 受信機
20B,20C 中継器
50 情報処理装置
204 電波強度フィルタ