(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】定置式コードリーダの設置支援装置、設置支援方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20240221BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240221BHJP
【FI】
G06K7/10 412
G03B15/00 U
(21)【出願番号】P 2020049506
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田近 太一
(72)【発明者】
【氏名】永田 英純
(72)【発明者】
【氏名】平野 高志
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-136860(JP,A)
【文献】特開2017-094388(JP,A)
【文献】特開2014-157519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B15/00-15/035
15/06-15/16
G06K 7/00-7/14
17/00-19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン上を搬送されているワークに付されたコードを読み取る定置式コードリーダの設置を支援する定置式コードリーダの設置支援装置であって、
前記コードリーダのカメラパラメータを含むカメラ情報と、読み取り対象のコード情報と、読み取り環境を示す環境情報とを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記環境情報に基づいて、当該環境情報により指定された環境下で、コードの読み取りに必要となる前記コードリーダの必要視野及び深度を決定し、前記カメラ情報と前記コード情報とに基づいて前記必要視野及び深度を満たすことができる前記コードリーダの推奨設置位置
及び当該推奨設置位置における姿勢である設置パターンを決定する演算手段とを備える定置式コードリーダの設置支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の定置式コードリーダの設置支援装置であって、
前記演算手段が決定した前記設置パターンを出力する出力手段を備えている定置式コードリーダの設置支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の定置式コードリーダの設置支援装置であって、
前記取得手段は、前記コードリーダの仮定の設置位置と姿勢を取得し、
前記演算手段は、前記取得手段により取得された前記仮定の設置位置と姿勢における視野及び深度が前記必要視野及び深度を満たすか否かの判定を行う定置式コードリーダの設置支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の定置式コードリーダの設置支援装置であって、
前記演算手段は、前記取得手段により取得された前記仮定の設置位置と姿勢における視野及び深度が前記必要視野及び深度を満たさない場合、前記仮定の設置位置と姿勢の少なくとも一方を変更する変更処理を実行し、変更処理後の仮定の設置位置と姿勢で前記判定を行い、前記変更処理及び前記判定を繰り返して前記設置パターンを決定する定置式コードリーダの設置支援装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1つに記載の定置式コードリーダの設置支援装置であって、
前記コードリーダの仮定の設置位置と姿勢の型を示す複数種のテンプレートを記憶する記憶部を備え、
前記取得手段は、前記記憶部に記憶されている複数種の前記テンプレートの中から任意のテンプレートを取得可能に構成されている定置式コードリーダの設置支援装置。
【請求項6】
請求項5に記載の定置式コードリーダの設置支援装置であって、
前記テンプレートには、基準面に対する前記コードリーダの取付角度情報が含まれており、
前記出力手段は、前記コードリーダの取付角度情報を出力する定置式コードリーダの設置支援装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の定置式コードリーダの設置支援装置であって、
前記テンプレートは、前記ワークの読み取り対象となる面情報が含まれており、
前記出力手段は、前記面情報を出力する定置式コードリーダの設置支援装置。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1つに記載の定置式コードリーダの設置支援装置であって、
前記出力手段は、コードリーダの機種によって異なる機種情報を出力する定置式コードリーダの設置支援装置。
【請求項9】
請求項2から8のいずれか1つに記載の定置式コードリーダの設置支援装置であって、
前記取得手段は、前記環境情報として、前記ラインの幅に関する情報及び前記ワークの高さに関する情報のユーザからの入力を受け付け、
前記演算手段は、前記ラインの搬送速度と、前記ラインの幅に関する情報及び前記ワークの高さに関する情報とに基づいて、前記コードリーダの必要視野及び深度を演算し、決定する定置式コードリーダの設置支援装置。
【請求項10】
請求項2から9のいずれか1つに記載の定置式コードリーダの設置支援装置であって、
前記演算手段は前記設置パターンを複数決定し、
前記出力手段は複数の前記設置パターンを出力する定置式コードリーダの設置支援装置。
【請求項11】
請求項2から10のいずれか1つに記載の定置式コードリーダの設置支援装置であって、
前記設置パターンを示す図を表示する表示部を備えている定置式コードリーダの設置支援装置。
【請求項12】
請求項2から11のいずれか1つに記載の定置式コードリーダの設置支援装置であって、
前記出力手段は、前記設置パターンを実現するために必要な部品情報とその部品の必要個数を示す部品表を出力する定置式コードリーダの設置支援装置。
【請求項13】
請求項2から12のいずれか1つに記載の定置式コードリーダの設置支援装置であって、
前記出力手段は、前記演算手段が決定した前記設置パターンをCADファイルとして出力する定置式コードリーダの設置支援装置。
【請求項14】
ライン上を搬送されているワークに付されたコードを読み取る定置式コードリーダの設置を支援する定置式コードリーダの設置支援方法であって、
前記コードリーダのカメラパラメータを含むカメラ情報と、読み取り対象のコード情報と、読み取り環境を示す環境情報とを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得された前記環境情報に基づいて、当該環境情報により指定された環境下で、コードの読み取りに必要となる前記コードリーダの必要視野及び深度を決定し、前記カメラ情報と前記コード情報とに基づいて前記必要視野及び深度を満たすことができる前記コードリーダの推奨設置位
置及び
当該推奨設置位置における姿勢である設置パターンを決定する演算ステップとを備える定置式コードリーダの設置支援方法。
【請求項15】
ライン上を搬送されているワークに付されたコードを読み取る定置式コードリーダの設置を支援する定置式コードリーダの設置支援装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、
前記コードリーダのカメラパラメータを含むカメラ情報と、読み取り対象のコード情報と、読み取り環境を示す環境情報とを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得された前記環境情報に基づいて、当該環境情報により指定された環境下で、コードの読み取りに必要となる前記コードリーダの必要視野及び深度を決定し、前記カメラ情報と前記コード情報とに基づいて前記必要視野及び深度を満たすことができる前記コードリーダの推奨設置位
置及び
当該推奨設置位置における姿勢である設置パターンを決定する演算ステップとを前記設置支援装置に実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを撮像することによって生成された読み取り画像に含まれている情報を読み取る定置式コードリーダの設置支援装置、設置支援方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、コードリーダは、ワークに付されたバーコードや二次元コード等のコードをカメラによって撮像し、得られた画像に含まれるコードを画像処理によって切り出して二値化し、デコード処理して情報を読み取ることができるように構成されている(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1の光学読取装置は、ワークの移動速度と、コードを構成しているセルサイズとに基づいてコードを読み取るための露光時間の上限値を定め、コードを含む複数の画像を取得して解析することで、露光時間を上記上限値以内で自動設定するように構成されている。
【0004】
特許文献2の光学読取装置は、撮像部に撮像処理を実行させるとともに、取得された画像データを共有メモリに転送する第1コアと、当該第1コアからのデコード処理要求に基づいて、共有メモリ内から画像データを読み出してデコード処理を実行する第2コアとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-136860号公報
【文献】特開2012-64178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の装置は、ラインの搬送速度や読み取り対象コードのセルサイズを入力すると、露光時間上限だけでなく、撮像部からコードまでの距離、即ち設置条件を提案することができるが、この装置は、ワークをある一面から撮影することを前提としており、またユーザに対して設置条件の提案が行えるのはあくまでも撮像部からコードまでの推奨距離のみであるため、提案内容として不十分な場合がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、定置式コードリーダの推奨設置位置及び姿勢をユーザに提案可能にしてユーザによるコードリーダの設置作業を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示では、ライン上を搬送されているワークに付されたコードを読み取る定置式コードリーダの設置を支援する定置式コードリーダの設置支援装置を前提とすることができる。設置支援装置は、前記コードリーダのカメラパラメータを含むカメラ情報と、読み取り対象のコード情報と、読み取り環境を示す環境情報とを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記環境情報に基づいて、当該環境情報により指定された環境下で、コードの読み取りに必要となる前記コードリーダの必要視野及び深度を決定し、前記カメラ情報と前記コード情報とに基づいて前記必要視野及び深度を満たすことができる前記コードリーダの推奨設置位置である設置パターンを決定する演算手段とを備えている。
【0009】
前記取得手段を実現する取得ステップと、前記演算手段を実現する演算ステップとを備えた定置式コードリーダの設置支援方法も本開示に含まれる。
【0010】
前記取得手段を実現する取得ステップと、前記演算手段を実現する演算ステップとを前記設置支援装置に実行させるコンピュータプログラムも本開示に含まれる。
【0011】
この構成によれば、演算手段によってコードリーダの推奨設置位置だけでなく、当該推奨設置位置におけるコードリーダの姿勢も決定することができる。これにより、ユーザはコードリーダの設置前に位置または姿勢の両方を確認することができる。また、ユーザは、決定された推奨設置位置にコードリーダを設置する際に、決定された姿勢となるようにコードリーダを設置すればよいので、設置作業が容易になる。
【0012】
第2の開示では、前記演算手段が決定した前記設置パターンを出力する出力手段を備えているので、コードリーダの推奨設置位置及び姿勢をユーザに提示することができる。
【0013】
第3の開示では、前記取得手段は、前記コードリーダの仮定の設置位置と姿勢を取得し、前記演算手段は、前記取得手段により取得された前記仮定の設置位置と姿勢における視野及び深度が前記必要視野及び深度を満たすか否かの判定を行うことができる。
【0014】
この構成によれば、コードリーダの推奨設置位置及び姿勢が決定される前に、コードリーダの仮定の設置位置と姿勢を取得手段によって取得することができる。演算手段は、取得された仮定の設置位置と姿勢における視野及び深度が必要視野及び深度を満たすか否か判定でき、満たす場合には仮定の設置位置と姿勢を推奨設置位置及び姿勢とすることができる。満たさない場合には仮定の設置位置と姿勢を推奨設置位置及び姿勢とせずに、満たさないことをユーザに提示してもよい。
【0015】
第4の開示では、前記演算手段は、前記取得手段により取得された前記仮定の設置位置と姿勢における視野及び深度が前記必要視野及び深度を満たさない場合、前記仮定の設置位置と姿勢の少なくとも一方を変更する変更処理を実行し、変更処理後の仮定の設置位置と姿勢で前記判定を行い、前記変更処理及び前記判定を繰り返して前記設置パターンを決定する。
【0016】
この構成によれば、取得された仮定の設置位置と姿勢における視野及び深度が必要視野及び深度を満たさない場合には、演算手段が、仮定の設置位置と姿勢の少なくとも一方を変更する変更処理を実行する。変更処理後の仮定の設置位置と姿勢で再び判定を行い、必要視野及び深度を満たせば、変更処理後の仮定の設置位置と姿勢を推奨設置位置及び姿勢とすることができる。2度目の判定でも必要視野及び深度を満たさなければ、再び変更処理を実行し、変更処理後の仮定の設置位置と姿勢で判定を行うことができる。これを繰り返すことで、コードリーダの推奨設置位置及び姿勢を決定できる。
【0017】
第5の開示では、前記コードリーダの仮定の設置位置と姿勢の型を示す複数種のテンプレートを記憶する記憶部を備え、前記取得手段は、前記記憶部に記憶されている複数種の前記テンプレートの中から任意のテンプレートを取得可能に構成されている。
【0018】
この構成によれば、仮定の設置位置と姿勢の少なくとも一方が異なる複数種のテンプレートを予め作成して記憶部に記憶させておくことができる。記憶部に記憶されている複数種のテンプレートの中から任意のテンプレートを取得できるので、仮定の設置位置と姿勢を簡単に取得できる。
【0019】
第6の開示では、前記テンプレートには、基準面に対する前記コードリーダの取付角度情報が含まれており、前記出力手段は、前記コードリーダの取付角度情報を出力する。
【0020】
この構成によれば、コードリーダを設置する際に基準となる基準面に対するコードリーダの取付角度を示すことができるので、設置作業がより一層容易になる。基準面は、例えば水平面、鉛直面、搬送方向に延びる面、搬送方向に直交する面、ライン上の面等のいずれであってもよい。
【0021】
第7の開示では、前記テンプレートは、前記ワークの読み取り対象となる面情報が含まれており、前記出力手段は、前記面情報を出力する。
【0022】
この構成によれば、例えばワークの側面にコードが付されている場合には、ワークの側面を読み取ることができるコードリーダの位置及び姿勢を推奨することができ、また、ワークの上面にコードが付されている場合には、ワークの上面を読み取ることができるコードリーダの位置及び姿勢を推奨することができる。コードリーダの位置及び姿勢の出力と共に、ワークの面情報を出力することで、ユーザにとって把握しやすい提案が可能になる。
【0023】
第8の開示では、前記出力手段は、コードリーダの機種によって異なる機種情報を出力する。
【0024】
すなわち、コードリーダの機種によって視野及び深度が異なるが、コードリーダの機種情報を出力することで、ユーザに対して要求を満たすコードリーダの機種を提示することができる。
【0025】
第9の開示では、前記取得手段は、前記環境情報として、前記ラインの幅に関する情報及び前記ワークの高さに関する情報のユーザからの入力を受け付け、前記演算手段は、前記ラインの搬送速度と、前記ラインの幅に関する情報及び前記ワークの高さに関する情報とに基づいて、前記コードリーダの必要視野及び深度を演算し、決定する。
【0026】
ラインの幅やワークの高さに関する情報も利用してコードリーダの必要視野及び深度を演算するので、実際の使用現場に近い環境条件に基づいて設置パターンを提案することができる。
【0027】
第10の開示では、前記演算手段は前記設置パターンを複数決定し、前記出力手段は複数の前記設置パターンを出力する。
【0028】
これによれば、複数の設置パターンをユーザに提示することができる。複数の設置パターンをユーザに提示する際、最も適した設置パターンとそれ以外の設置パターンとを提示してもよい。また、例えば最も安価な設置パターンを提示することや、コードリーダの数が最も少ない設置パターンを提示することもできる。
【0029】
第11の開示では、前記設置パターンを示す図を表示する表示部を備えているので、推奨される設置パターンを示す図を表示部に表示させることによってユーザに提示できる。これにより、ユーザが設置パターンを直感的に把握し易くなる。
【0030】
第12の開示では、前記出力手段は、前記設置パターンを実現するために必要な部品情報とその部品の必要個数を示す部品表を出力するので、ユーザは提示された設置パターンを実現するための部品やその個数を把握できる。
【0031】
第13の開示では、設置パターンをCADファイルとして出力することができる。CADファイルは、設置パターンを示す2次元CADファイルであってもよいし、3次元CADファイルであってもよい。ユーザに対してCADファイルで提供することができるので、ユーザ側で設計図にそのまま落とし込んで利用することができ、利便性が高い。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、本開示によれば、環境情報により指定された環境下で、コードの読み取りに必要となるコードリーダの必要視野及び深度を決定し、カメラ情報とコード情報とに基づいて必要視野及び深度を満たすことができるコードリーダの推奨設置位置及び姿勢をユーザに提案することができるので、ユーザによるコードリーダの設置作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る定置式コードリーダの運用時を説明する図である。
【
図2】
図2は、定置式コードリーダの設置支援装置のブロック図である。
【
図3】
図3は、定置式コードリーダのブロック図である。
【
図4】
図4は、定置式コードリーダの正面図である。
【
図5】
図5は、定置式コードリーダを操作ボタン側から見た図である。
【
図6】
図6は、定置式コードリーダを端子側から見た図である。
【
図7】
図7は、設置支援の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、コンベア情報入力用ユーザインターフェース画面の例を示す図である。
【
図9】
図9は、クリアランス設置用ユーザインターフェース画面の例を示す図である。
【
図10】
図10は、ワーク情報入力用ユーザインターフェース画面の例を示す図である。
【
図11】
図11は、コード貼り付け位置設定用ユーザインターフェース画面の例を示す図である。
【
図12】
図12は、詳細設定用ユーザインターフェース画面の例を示す図である。
【
図13】
図13は、コード情報入力用ユーザインターフェース画面の例を示す図である。
【
図14】
図14は、コード位置・向き入力用ユーザインターフェース画面の例を示す図である。
【
図15】
図15は、コードリーダが1つの場合の設置パターン例を示す図である。
【
図16】
図16は、コードリーダが複数の場合の設置パターン例を示す図である。
【
図17】
図17は、コードリーダの取付パターン例を示す図である。
【
図18】
図18は、コードリーダの別の取付パターン例を示す図である。
【
図19】
図19は、コードリーダの実力算出手順を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、設置支援装置による設置支援を行う際に表示するユーザインターフェース画面の例を示し、バンクタブが選択された場合の図である。
【
図21】
図21は、設置支援装置による設置支援を行う際に表示するユーザインターフェース画面の例を示し、読み取りタブが選択された場合の図である。
【
図24】
図24は、天面視点でのワーク及び読み取り可能範囲の表示例を示す図である。
【
図25】
図25は、側面視点でのワーク及び読み取り可能範囲の表示例を示す図である。
【
図28】
図28は、レポートの接続図が記載された頁の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0035】
図1は、本発明の実施形態に係る定置式コードリーダ1の運用時を模式的に示す図であり、この定置式コードリーダ1の設置支援装置Aの一部を構成するコンピュータ100や表示部42等も示している。
【0036】
図1に示す例では、複数のワークWが搬送用ベルトコンベアBの上面に載置された状態で
図1における矢印Yの方向へ搬送されており、そのワークWから上方へ離れた所に、実施形態に係るコードリーダ1が設置されている。ワークWは、搬送用ベルトコンベアBの上面の幅方向中央部だけでなく、幅方向にオフセットした状態で一方側及び他方側を流れることもあり、ワークWが常に一定の位置を通過するとは限らない。
【0037】
コードリーダ1は、例えば物流配送センター等で使用することができる。物流配送センターに設置されている搬送用ベルトコンベアB上には、サイズや形状が様々な搬送物(ワークW)が高速で搬送されている。また、ワークW同士の搬送方向の間隔も狭く設定されている。さらに、ワークWには、複数のコード(図示せず)が付されている場合があるが、1つだけ付されている場合もある。コードは1次元コードであってもよいし、2次元コードであってもよい。
【0038】
図1に示すように、コードリーダ1は、ワークWに付されたコードを光学的に読み取る装置であり、具体的には、ワークWに付されているコードを撮像して読み取り画像を生成し、生成された読み取り画像に含まれるコードをデコード処理してデコード結果を出力することができるように構成されている。
【0039】
コードリーダ1は、その運用時に動かないようにブラケット等(図示せず)に固定して使用されるが、ロボット(図示せず)や使用者等が把持して動かしながら運用してもよい。また、静止状態にあるワークWのコードをコードリーダ1によって読み取るようにしてもよい。運用時とは、搬送用ベルトコンベアBによって順次搬送されるワークWのコードを読み取る動作を行っている時である。この実施形態のコードリーダ1は、位置が変動するワークWに付されたコードを読み取りたい場面に適しているが、これに限らず、位置が変動しないワークWに付されたコードを読み取る場合にも使用することもできる。
【0040】
図1に示すように、コードリーダ1は、外部制御装置及び設置支援装置の一部を構成するコンピュータ100及びプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)101にそれぞれ信号線101aによって有線接続されているが、これに限らず、コードリーダ1、コンピュータ100及びPLC101に通信モジュールを内蔵し、コードリーダ1と、コンピュータ100及びPLC101とを無線接続するようにしてもよい。PLC101は、搬送用ベルトコンベアB及びコードリーダ1をシーケンス制御するための制御装置であり、汎用のPLCを利用することができる。
【0041】
コンピュータ100は、汎用あるいは専用の電子計算機や携帯型端末等を利用することができる。本例では、いわゆるパーソナルコンピュータを使用しており、
図2に示すように、制御部40と、記憶装置41と、通信部44とを備えている。コードリーダ1を小型化することで、コードリーダ1の表示部7やボタン8、9等(
図3に示す)だけでは、コードリーダ1の全ての設定を行うことが困難になるので、コードリーダ1とは別にコンピュータ100を用意し、コンピュータ100でコードリーダ1の各種設定を行って設定情報をコードリーダ1に転送するようにしてもよい。
【0042】
また、コンピュータ100が通信部44を備えているので、コンピュータ100とコードリーダ1とを双方向通信可能に接続して、上述したコードリーダ1の処理の一部をコンピュータ100で行うようにしてもよい。この場合、コンピュータ100の一部がコードリーダ1の構成要素の一部になる。
【0043】
また、コードリーダ1は、その運用時において、PLC101から信号線101aを介して、コードの読取の開始タイミングを規定する読取開始トリガ信号を受信する。そして、コードリーダ1は、この読取開始トリガ信号に基づいてワークWの撮像やデコード処理を行う。その後、デコード処理によって得られたデコード結果は、信号線101aを介してPLC101へ送信される。このように、コードリーダ1の運用時には、コードリーダ1とPLC101等の外部制御装置との間で、信号線101aを介して読取開始トリガ信号の入力とデコード結果の出力が繰り返し行われる。なお、読取開始トリガ信号の入力やデコード結果の出力は、上述したように、コードリーダ1とPLC101との間の信号線101aを介して行ってもよいし、それ以外の図示しない信号線を介して行ってもよい。例えば、ワークWが所定位置に到着したことを検知するためのセンサとコードリーダ1とを直接的に接続し、そのセンサからコードリーダ1へ読取開始トリガ信号を入力するようにしてもよい。また、デコード結果や画像、各種設定情報は、PLC101以外の機器、例えばコンピュータ100へ出力することもできる。
【0044】
[コードリーダ1の全体構成]
図4~
図6に示すように、コードリーダ1は、筐体2と、フロントカバー3とを備えている。
図5に示すように、筐体2の正面には、照明部4と、撮像部5と、エイマー6とが設けられている。照明部4及び撮像部5の構成については後述する。エイマー6は、例えば発光ダイオード(Light Emitting Diode)等の発光体で構成されている。このエイマー6は、コードリーダ1の前方へ向けて光を照射することによって撮像部5による撮像範囲や照明部4の光軸の目安を示すためのものである。使用者は、エイマー6から照射される光を参照してコードリーダ1を設置することもできる。
【0045】
また、
図5に示すように、筐体2の一端面には、表示部7と、セレクトボタン8と、エンターボタン9と、インジケータ10とが設けられている。表示部7の構成については後述する。セレクトボタン8及びエンターボタン9は、コードリーダ1の設定等で使用されるボタンであり、制御ユニット20に接続されている。制御ユニット20はセレクトボタン8及びエンターボタン9の操作状態を検出可能になっている。セレクトボタン8は、表示部7に表示された複数の選択肢の中から1つを選択する際に操作するボタンである。エンターボタン9は、セレクトボタン8で選択した結果を確定する際に操作するボタンである。インジケータ10は、制御ユニット20に接続されていて、たとえば発光ダイオード等の発光体で構成することができる。コードリーダ1の作動状態をインジケータ10の点灯状態によって外部に報知することができる。
【0046】
また、
図6に示すように、筐体2の他端面には、電源コネクタ11と、ネットワークコネクタ12と、シリアルコネクタ13と、USBコネクタ14とが設けられている。また、筐体2の背面には、リヤケースとなるヒートシンク15が設けられている。電源コネクタ11には、コードリーダ1に電力を供給するための電力配線が接続される。シリアルコネクタ13は、コンピュータ100及びPLC101に接続される信号線100a、101aであり、ネットワークコネクタ12は、Ethernetコネクタである。尚、Ethernet規格は一例であり、Ethernet規格以外の規格の信号線を利用することもできる。
【0047】
さらに、筐体2の内部には、
図3に示す制御ユニット20や記憶装置50、出力部60等が設けられている。これらについては後述する。
【0048】
この実施形態の説明では、コードリーダ1の正面及び背面を上述のように定義するが、これは説明の便宜を図るためだけであり、コードリーダ1の使用時における向きを限定するものではない。すなわち、
図1に示すように、コードリーダ1の正面がほぼ下に向くように設置して使用することや、コードリーダ1の正面が上に向くように設置して使用すること、あるいはコードリーダ1の正面が下に向きかつ傾斜した状態となるように設置して使用すること、コードリーダ1の正面が鉛直面に沿うように設置して使用すること等が可能である。
【0049】
[照明部4の構成]
図1に破線で示すように、照明部4は、搬送用ベルトコンベアBで搬送されるワークWの通過する領域に向けて光を照射するための部材である。照明部4から照射された光により、少なくとも搬送用ベルトコンベアBによる搬送方向の所定範囲が照明される。この所定範囲は、運用時に搬送が想定される最も大きなワークWの同方向の寸法よりも広い範囲である。照明部4により、搬送用ベルトコンベアBで搬送されるワークWに付されている第1のコードCD1及び第2のコードCD2が照明される。
【0050】
照明部4は、例えば発光ダイオード等からなる発光体4aを備えており、発光体4aは1つであってもよいし、複数あってもよい。本例では、複数の発光体4aを備えており、発光体4aの間から撮像部5が外部に臨んでいる。また、発光体4aの間からエイマー6の光が照射される。照明部4は、制御ユニット20の撮像制御部22に電気的に接続されていて制御ユニット20により制御され、任意のタイミングで点灯及び消灯させることができるようになっている。
【0051】
本例では、照明部4と撮像部5とが1つの筐体2に搭載されて一体化されているが、照明部4と撮像部5とは別体に構成されていてもよい。この場合、照明部4と撮像部5とを有線または無線接続することができる。また、後述する制御ユニット20は、照明部4に内蔵されていてもよいし、撮像部5に内蔵されていてもよい。筐体2に搭載された照明部4を内部照明と呼び、筐体2とは別体とされた照明部4を外部照明と呼ぶことにする。内部照明及び外部照明の両方を使用してワークWを照明することも可能である。
【0052】
[撮像部5の構成]
図3はコードリーダ1の構成を示すブロック図である。撮像部5は、照明部4から照射され、ワークWの通過する領域から反射された光を受光し、当該ワークWの通過する領域を撮像した読み取り画像を生成するための部材である。撮像部5としては、画素が縦横(X方向及びY方向)に並んだエリアカメラを用いることができ、これにより、2次元コードの読み取りに対応できるとともに、搬送中の1つのワークWを複数回撮像することが可能になる。
【0053】
図3に示すように、撮像部5は、少なくともワークWにおけるコードが付された部分を撮像可能な撮像素子5aと、レンズ等を有する光学系5bと、オートフォーカス機構(AF機構)5cとを備えている。光学系5bには、少なくともワークWにおけるコードが付された部分から反射した光が入射するようになっている。撮像素子5aは、光学系5bを通して得られたコードを含む画像を電気信号に変換するCCD(charge-coupled device)やCMOS(complementary metal oxide semiconductor)等の受光素子からなるイメージセンサである。
【0054】
AF機構5cは、光学系5bを構成するレンズのうち、合焦用レンズの位置や屈折率を変更することによってピント合わせを行う機構である。AF機構5cは制御ユニット20に接続され、制御ユニット20のAF制御部21により制御される。
【0055】
撮像素子5aは制御ユニット20の撮像制御部22に接続されている。撮像素子5aは、撮像制御部22によって制御され、予め設定された一定の時間間隔ごとにワークWの通過する領域を撮像することや、時間間隔を変化させた任意のタイミングでワークWの通過する領域を撮像することが可能に構成されている。撮像部5は、読み取り画像の連続生成を継続する、いわゆる無限バースト撮像の実行が可能に構成されている。これにより、高速で移動しているワークWのコードを逃がさずに読み取り画像に取り込むことができるとともに、搬送中の1つのワークWを複数回撮像して複数の読み取り画像を生成することが可能になる。尚、撮像制御部22は、撮像部5に内蔵されていてもよい。
【0056】
撮像素子5aの受光面で受光した光の強さは、撮像素子5aによって電気信号に変換され、撮像素子5aによって変換された電気信号は、読み取り画像を構成する画像データとして制御ユニット20の処理部23に転送される。
【0057】
[表示部7の構成]
表示部7は、たとえば有機ELディスプレイや液晶ディスプレイ等からなるものである。表示部7は、
図3に示すように制御ユニット20に接続されている。表示部7には、たとえば撮像部5で撮像されたコード、コードのデコード結果である文字列、読み取り成功率、マッチングレベル(読み取り余裕度)等を表示させることができる。読み取り成功率とは、複数回読み取り処理を実行したときの平均読み取り成功率である。マッチングレベルとは、デコードが成功したコードの読み取りやすさを示す読取余裕度である。これはデコード時に発生した誤り訂正の数等から求めることができ、たとえば数値で表すことができる。誤り訂正が少なければ少ないほどマッチングレベル(読取余裕度)が高くなり、一方、誤り訂正が多ければ多いほどマッチングレベル(読取余裕度)が低くなる。
【0058】
[記憶装置50の構成]
記憶装置50は、各種メモリやハードディスク、SSD等で構成されている。記憶装置35には、デコード結果記憶部51と、画像データ記憶部52と、パラメータセット記憶部53とが設けられている。デコード結果記憶部51は、処理部23によりデコード処理が実行された結果であるデコード結果を記憶する部分である。画像データ記憶部52は、撮像部5によって撮像された画像を記憶する部分である。パラメータセット記憶部53は、コンピュータ100によって設定された設定情報やセレクトボタン8及びエンターボタン9によって設定された設定情報、チューニグ実行部24がチューニングを実行した結果、得られた設定情報(読み取りパラメータ)等を記憶する部分である。このパラメータセット記憶部53には、撮像部5の撮像条件(ゲイン、照明部4の光量、露光時間等)と、処理部23における画像処理条件(画像処理フィルタの種類等)とを構成する複数のパラメータを含むパラメータセットを複数記憶することができる。
【0059】
[出力部60の構成]
コードリーダ1は出力部60を有している。出力部60は、後述する処理部23がデコード処理したデコード結果を出力する部分である。具体的に、処理部23は、デコード処理が完了すると、デコード結果を出力部60に送信する。出力部60は、処理部23から受け取ったデコード結果に関するデータを例えばコンピュータ100及びPLC101に送信する通信部で構成することができる。出力部60は、コンピュータ100及びPLC101と接続されるI/O部、RS232C等のシリアル通信部、無線LANや有線LAN等のネットワーク通信部を有していてもよい。
【0060】
[制御ユニット20の構成]
図3に示す制御ユニット20は、コードリーダ1の各部を制御するためのユニットであり、CPUやMPU、システムLSI、DSPや専用ハードウエア等で構成することができる。制御ユニット20は、後述するように様々な機能を搭載しているが、これらは論理回路によって実現されていてもよいし、ソフトウエアを実行することによって実現されていてもよい。
【0061】
制御ユニット20は、AF制御部21と、撮像制御部22と、処理部23と、チューニング実行部24と、UI管理部25とを有している。AF制御部21は、従来から周知のコントラストAFや位相差AFによって上記光学系5bのピント合わせを行う部分である。AF制御部21は、撮像部5に含まれていてもよい。
【0062】
[撮像制御部22の構成]
撮像制御部22は、撮像部5を制御する他、照明部4も制御する部分である。すなわち、撮像制御部22は、撮像素子5aのゲインを調整したり、照明部4の光量を制御したり、撮像素子5aの露光時間(シャッタースピード)を制御するユニットで構成されている。ゲイン、照明部4の光量、露光時間等は、撮像部5の撮像条件に含まれる。
【0063】
[処理部23の構成]
処理部23は、撮像部5で生成された読み取り画像においてコードの候補領域を抽出し、当該決定された領域のデコード処理を実行し、デコード結果を生成する部分である。コードの候補領域を抽出する手法や、デコード処理の手法は従来から周知であるため、説明を省略する。
【0064】
[定置式コードリーダの設置支援装置Aの構成]
図1に示す設置支援装置Aは、コードリーダ1を実際の現場に設置する前にコードリーダ1の設置を支援するための装置である。コードリーダ1を使用する者(予定者を含む)や、コードリーダ1の設置を提案する者、コードリーダ1を販売する者等(これらを合わせてユーザと呼ぶ)が設置支援装置Aを使用することができる。
【0065】
設置支援装置Aは、コンピュータ100の他に、表示部42と、入力部43と、プリンタ45とを備えているが、プリンタ45は省略してもよい。表示部42は、例えば液晶ディスプレイ等で構成されている。入力部43は、キーボード43aやマウス43b、タッチセンサ(図示せず)等で構成されている。詳細は後述するが、入力部43は、読み取り対象のコード情報の入力及び読み取り環境を示す環境情報の入力を行うことができる。読み取り環境を示す環境情報の一例は、ラインの搬送速度であるが、ラインの搬送速度に限られるものではなく、例えば単位時間当たりに移動するワークWの距離やワークWのサイズが上記環境情報に含まれていてもよい。
【0066】
図2にも示すように、コンピュータ100は、制御部40と、記憶装置41と、通信部44とを備えている。制御部40は、設置支援装置Aの各部を制御するためのユニットであり、CPUやMPU、システムLSI、DSPや専用ハードウエア等で構成することができる。制御部40は、後述するように様々な機能を搭載しているが、これらは論理回路によって実現されていてもよいし、ソフトウエアを実行することによって実現されていてもよい。記憶装置41は、各種メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等で構成されている。通信部44は、コードリーダ1と通信を行う部分である。通信部44は、コードリーダ1と接続されるI/O部、RS232C等のシリアル通信部、無線LANや有線LAN等のネットワーク通信部を有していてもよい。
【0067】
制御部40は、記憶装置41に記憶されているプログラムに基づいてコンピュータ100が備えている各部を制御する部分であり、情報取得部40a、UI管理部40b、演算部(演算手段の一例)40c及び出力部(出力手段の一例)40dを有している。各部分についての詳細は後述するが、概略は次のとおりである。情報取得部40aは、入力部43により入力された各種情報や、記憶装置41に予め記憶されている各種情報を取得する取得手段であり、少なくともコードリーダ1のカメラパラメータを含むカメラ情報と、読み取り対象のコード情報と、ラインの搬送速度を含む環境情報とを取得可能な部分である。この情報取得部40aによって取得ステップが実行される。
【0068】
UI管理部40bは、各種ユーザインターフェース画面を生成したり、入力部43によるユーザの入力操作を受け付けたりする部分である。演算部40cは、情報取得部40aにより取得された環境情報に基づいて、当該環境情報により指定された環境下で、コードの読み取りに必要となるコードリーダ1の必要視野及び深度を決定する部分である。さらに、演算部40cは、情報取得部40aにより取得されたカメラ情報とコード情報とに基づいて、前記決定した必要視野及び深度を満たすことができるコードリーダ1の推奨設置位置及び姿勢である設置パターンを決定することができる。演算部40cによって演算ステップを実行することができる。出力部40dは、演算部40cが決定した設置パターンを、ユーザインターフェース画面を介して表示部42に出力したり、レポート形式でプリンタ45に出力する部分である。
【0069】
以下、
図7に示すフローチャートに従って、設置支援装置Aの処理の流れについて説明する。ステップSA1では、情報取得部40aがカメラパラメータを取得する。カメラパラメータは、コードリーダ1が有する撮像部5の情報、即ちカメラ情報に含まれる情報である。情報取得部40aがカメラパラメータをコードリーダ1から直接読み込んでもよいし、カメラパラメータを記憶装置41に予め記憶させておき、記憶装置41からカメラパラメータを読み込んで取得してもよい。また、情報取得部40aは、入力部43により入力されたカメラパラメータを取得してもよい。カメラパラメータには、撮像素子5aの画素数、光学系5bの画角及び絞りが含まれているが、これら以外にも撮像部5に固有の情報が含まれていてもよい。カメラパラメータは、撮像部5ごとに決まった固定値であるため、ユーザによる変更ができない。
【0070】
コードリーダ1は、撮像部5や照明部4が異なる複数の機種が用意されており、各機種を使用することができる。コードリーダ1の機種によってカメラパラメータ等が異なっているので、各機種のカメラパラメータを情報取得部40aが取得する。カメラパラメータや機種の型式等は、コードリーダ1の機種情報である。
【0071】
ステップSA2では、情報取得部40aがコード情報を取得する。コード情報は、読取対象となるコードの種別を特定するための情報である。コード情報には、1次元コードまたは2次元コード等のコード種、NB幅(ナローバー幅)、最大コード長等が含まれている。コード情報は、ユーザが入力部43を操作することによって入力する情報である。また、コード情報は、読取対象となるコードを撮像することで取得してもよい。
【0072】
ステップSA3では、情報取得部40aがワーク情報及びコンベア情報を取得する。ワーク情報及びコンベア情報は、ユーザが入力部43を操作することによって入力する情報である。ワーク情報には、搬送用ベルトコンベアBによって搬送される最小のワークWのサイズ及び最大のワークWのサイズと、搬送用ベルトコンベアBによって搬送されるワークWの最小間隔、ワークWにおけるコードが付されている面、ワークWにおけるコードの位置、搬送用ベルトコンベアBにおけるワークWの位置等が含まれている。
【0073】
ワークWのサイズは、ワークWの幅、奥行き、高さの各寸法で特定できる。ワークWの最小サイズ及び最大サイズは、要求視野深度の参照値として用いることができる。ワークWに対するコードの位置情報は、コードの位置が限定されている場合に入力すればよく、この情報を取得することで、要求視野深度を緩和できる。ワークWの最小間隔は、次のワークWが来るまでの間隔であり、読み取りタイミングや要求視野の算出に関係する値である。搬送用ベルトコンベアBにおけるワークWの位置情報は、例えばワークWがコンベア上の幅方向中央に位置するか、幅方向一方側に変位しているかを示す情報であり、この情報を取得することで、要求視野深度を緩和できる。つまりワーク情報によって、コードが通過する領域を絞ることができ、ワーク情報を入力することで要求視野深度の算出に用いることができる。
【0074】
また、コンベア情報には、搬送用ベルトコンベアBの搬送面の高さ、幅、搬送速度、長さ等が含まれている。搬送面の高さは、コードリーダ1の設置距離の算出に用いることができる。搬送面の幅は、要求視野の計算に用いることができる。搬送速度は、コードリーダ1の読み取り可能回数の算出に用いることができる。搬送面の長さは、縦視野の参照値として用いることができる。つまり、コンベア情報は要求視野の算出及びコードリーダ1の設置距離の算出に用いることができる。
【0075】
また、ラインの搬送速度を使うことでコンベア移動方向の必要視野を計算することができるが、ラインの搬送速度に限らず、単位時間当たりに移動するワークWの距離やワークWのサイズを使ってコンベア移動方向の必要視野を計算することもできる。すなわち、ワークWが移動する方向に関する寸法情報を入力値として持っておけばよい。
【0076】
次に、ワーク情報及びコンベア情報の入力要領の一例について説明する。
図8は、ステップSA3で表示されるコンベア情報入力用ユーザインターフェース画面200の例を示す図である。UI管理部40bはコンベア情報入力用ユーザインターフェース画面200を生成して表示部42に表示させる。コンベア情報入力用ユーザインターフェース画面200には、進行状況表示領域200aと、イメージ表示領域200bと、コンベア情報入力領域200cと、クリアランス設定開始ボタン200dとが設けられている。進行状況表示領域200aには、コンベア情報(コンベア条件)の入力ステップ、ワーク情報(ワーク条件)の入力ステップ、コード情報(コード条件)の入力ステップの3つのステップが入力順に並んで表示されている。イメージ表示領域200bには、搬送用ベルトコンベアBによって搬送される様子のワークWが図示されている。
【0077】
コンベア情報及びワーク情報に含まれる各情報が入力される都度、コンベアやワークを描画し直して各ユーザインターフェース画面に表示することができる。これにより、ユーザは視覚によって現場の状況を仮想的に把握することができる。
【0078】
コンベア情報入力領域200cには、搬送用ベルトコンベアBの搬送面の幅(コンベア幅)、搬送用ベルトコンベアBの搬送面の高さ(コンベア高さ)、搬送用ベルトコンベアBの搬送速度(コンベアの速度)の3項目について入力可能になっている。各項目に対する入力操作は、入力部43によって行うことができる。入力値は記憶装置41に設けられているコンベア情報記憶部41aに記憶される。
【0079】
UI管理部40bは、クリアランス設定開始ボタン200dが操作されたことを検出すると、
図9に示すクリアランス設定用ユーザインターフェース画面201を生成して表示部42に表示させる。クリアランス設定用ユーザインターフェース画面201には、イメージ表示領域201aと、高さ方向クリアランス設定領域201bと、幅方向クリアランス設定領域201cと、奥行き方向クリアランス設定領域201dとが設けられている。イメージ表示領域201aには、搬送用ベルトコンベアBによって搬送される様子のワークWと共に各クリアランス設定領域201b、201c、201dで設定するクリアランスを矢印で図示している。高さ方向クリアランス設定領域201bでは、コンベア上方と下方のクリアランスを設定できる。幅方向クリアランス設定領域201cでは、ワークWの進行方向右側と左側のクリアランスをそれぞれ設定できる。奥行き方向クリアランス設定領域201dでは、搬送用ベルトコンベアBの搬送方向のクリアランスを設定できる。各項目に対する入力操作は、入力部43によって行うことができる。クリアランス設定用ユーザインターフェース画面201の「OK」ボタンを操作すると、入力値がコンベア情報記憶部41aに記憶されるとともに、
図8に示すコンベア情報入力用ユーザインターフェース画面200に戻る。
図9に示すクリアランス設定用ユーザインターフェース画面201の「キャンセル」ボタンを操作すると、入力値が記憶されずに、
図8に示すコンベア情報入力用ユーザインターフェース画面200に戻る。
【0080】
UI管理部40bは、
図8に示すコンベア情報入力用ユーザインターフェース画面200の「次へ」ボタンの操作を検出すると、
図10に示すワーク情報入力用ユーザインターフェース画面202を生成して表示部42に表示させる。ワーク情報入力用ユーザインターフェース画面202もステップSA3で表示される。ワーク情報入力用ユーザインターフェース画面202にも進行状況表示領域202aとイメージ表示領域202bとが設けられている。さらに、ワーク情報入力用ユーザインターフェース画面202には、ワーク情報を入力するためのワーク情報入力領域202cと、コード貼り付け位置設定開始ボタン202dと、詳細設定開始ボタン202eとが設けられている。
【0081】
ワーク情報入力領域202cには、搬送用ベルトコンベアBによって搬送される最小のワークW1のサイズ及び最大のワークW2のサイズと、搬送用ベルトコンベアBによって搬送されるワークWの最小間隔とをそれぞれ入力部43によって入力することができる。UI管理部40bは、コード貼り付け位置設定開始ボタン202dの操作を検出すると、
図11に示すコード貼り付け用ユーザインターフェース画面203を生成して表示部42に表示させる。コード貼り付け用ユーザインターフェース画面203には、イメージ表示領域203aと、貼り付け面指定領域203bと、貼り付け位置指定領域203cとが設けられている。貼り付け面指定領域203bでは、ワークWのどの面にコードが付されているのかを入力部43によって指定することができ、例えば、天面、左右の側面等、複数の選択枝の中からユーザが選択することで面指定を行うことができる。この面に関する情報は、ワークWの読み取り対象となる面情報である。貼り付け位置指定領域203cには、貼り付け面指定領域203bで指定した面のどこにコードが存在しているのかを寸法で指定することができる。貼り付け位置指定が困難なワークWの場合、入力しなくてもよい。イメージ表示領域203aでは、貼り付け面指定領域203bで指定した面や、貼り付け位置指定領域203cで入力する各寸法を図示することができる。
【0082】
コード貼り付け用ユーザインターフェース画面203の「OK」ボタンを操作すると、入力値が記憶装置41に設けられているワーク情報記憶部41bに記憶されるとともに、
図10に示すワーク情報入力用ユーザインターフェース画面202に戻る。
図11に示すコード貼り付け用ユーザインターフェース画面203の「キャンセル」ボタンを操作すると、入力値が記憶されずに、
図10に示すワーク情報入力用ユーザインターフェース画面202に戻る。
【0083】
UI管理部40bは、
図10に示す詳細設定ボタン202eの操作を検出すると、
図12に示す詳細設定用ユーザインターフェース画面204を生成して表示部42に表示させる。詳細設定用ユーザインターフェース画面204には、イメージ表示領域204aと、ワークの形状・回転指定領域204bと、幅寄せ指定領域204cと、フィルム有無指定領域204dとが設けられている。ワークの形状・回転指定領域204bでは、ワークWが回転する場合があるか否かの指定と、ワークWが円柱状であるか否かの指定を入力部43によって行うことができる。幅寄せ指定領域204cでは、ワークWが円柱状であるか否かの指定を入力部43によって行うことができる。フィルム有無指定領域204dでは、ワークWの表面にフィルムが有るか否かの指定を入力部43によって行うことができる。
【0084】
詳細設定用ユーザインターフェース画面204の「OK」ボタンを操作すると、入力値が記憶装置41に設けられているワーク情報記憶部41bに記憶されるとともに、
図10に示すワーク情報入力用ユーザインターフェース画面202に戻る。
図12に示す詳細設定用ユーザインターフェース画面204の「キャンセル」ボタンを操作すると、入力値が記憶されずに、
図10に示すワーク情報入力用ユーザインターフェース画面202に戻る。
【0085】
UI管理部40bは、
図10に示すワーク情報入力用ユーザインターフェース画面202の「次へ」ボタンの操作を検出すると、
図13に示すコード情報入力用ユーザインターフェース画面205を生成して表示部42に表示させる。コード情報入力用ユーザインターフェース画面205は
図7に示すフローチャートのステップSA2で表示される。コード情報入力用ユーザインターフェース画面205にも進行状況表示領域205aとイメージ表示領域205bとが設けられている。さらに、コード情報入力用ユーザインターフェース画面205には、コードの貼り付け位置及びコードの種類を表示するコード位置・種類表示欄205cと、コード情報入力領域205dとが設けられている。コード情報入力領域205dでは、コード種、NB幅、最大コード長等を入力部43の操作によって入力することができる。
【0086】
コード情報入力領域205dには設定ボタン205eが設けられている。UI管理部40bは、設定ボタン205eの操作を検出すると、
図14に示すコード位置・向き入力用ユーザインターフェース画面206を生成して表示部42に表示させる。コード位置・向き入力用ユーザインターフェース画面206では、コード位置をワークWの天面、側面、前面、後面、底面等の中から入力部43の操作によって入力することができる。コード位置・向き入力用ユーザインターフェース画面206の「OK」ボタンを操作すると、入力値が記憶装置41に設けられているコード情報記憶部41cに記憶されるとともに、
図13に示すコード情報入力用ユーザインターフェース画面205に戻る。
図14に示すコード位置・向き入力用ユーザインターフェース画面206の「キャンセル」ボタンを操作すると、入力値が記憶されずに、
図13に示すコード情報入力用ユーザインターフェース画面205に戻る。以上が
図7に示すフローチャートのステップSA2及びSA3におけるユーザによる入力操作の一例であるが、入力順や画面表示形態等は変更することもできる。
【0087】
図7に示すフローチャートのステップSA4及びSA5では、第1設置パターンと第1取付パターンを入力部43の操作によってユーザが入力する。まず、設置パターンについて説明する。設置パターンは、ワークWに対するコードリーダ1の相対的な位置関係を示すパターンであり、
図15に示すようにコードリーダ1が1つの場合の設置パターンが複数通り存在し、
図16に示すようにコードリーダ1が複数の場合の設置パターンが複数通り存在する。
図15に示す設置パターンには、ワークWの天面のコードを読み取る位置にコードリーダ1を設置する設置パターンや、ワークWの前後の面や側面(基準面)に対して角度を持ってコードリーダ1を設置する設置パターンや、ワークWの側面のコードを読み取る位置にコードリーダ1を設置する設置パターン等が含まれている。また、
図16に示す設置パターンには、ワークWに対して4方向からコードを読み取るようにコードリーダ1を設置する設置パターンや、コードリーダ1をワークWの側方と斜め上方にそれぞれ設置する設置パターン等が含まれている。基準面(読取対象となるコードが付されており、撮像対象となる面)に対して角度を持ってコードリーダ1を設置する設置パターンには、基準面に対するコードリーダ1の取付角度情報として、例えば基準面に対するコードリーダ1の撮像面の傾斜角度情報(例えば、15゜、30゜等)が含まれている。
【0088】
図15及び
図16に示す各設置パターンの図やパターン名称等をUI管理部40bが表示部42に表示させることができる。各設置パターンの図やパターン名称等は、コードリーダ1の設置位置と姿勢の型を示すテンプレートとして記憶装置41に設けられているテンプレート記憶部41cに記憶させておくことができる。ユーザは入力部43を操作して表示部42上で任意の設置パターンを選択し、第1設置パターンとして入力することができる。設置パターンには、ワークWの読み取り対象となる面情報が含まれている。
【0089】
次に取付パターンについて説明する。
図17及び
図18に示すように、取付パターンもワークWに対するコードリーダ1の位置を変化させた複数のパターンや、コードリーダ1の数を変えた複数のパターンが存在している。
図17及び
図18に示す各取付パターンの図やパターン名称等をUI管理部40bが表示部42に表示させることができる。各取付パターンの図やパターン名称等は、テンプレートとして記憶装置41に設けられているテンプレート記憶部41cに記憶させておくことができる。ユーザは入力部43を操作して表示部42上で任意の取付パターンを選択し、第1取付パターンとして入力することができる。取付パターンにも、ワークWの読み取り対象となる面情報が含まれている。
【0090】
設置パターン及び取付パターンにより、ワークWの上下左右前後のどの面を読み取るか、コンベアに対してコードリーダ1の撮像面がどの程度傾斜しているか、コードリーダがコンベアに対して垂直または水平等の設定が可能になる。入力部43で入力された設置パターン及び取付パターンは、
図7にステップSA4及びSA5で第1設置パターン及び第1取付パターンとして情報取得部41cが取得する。この段階で取得した第1設置パターン及び第1取付パターンは、推奨すべきパターンか否か判定されていないので、コードリーダ1の仮定の設置位置と姿勢として記憶装置41に記憶しておく。第1設置パターン及び第1取付パターンを取得することで、コードの傾きに対応する範囲やコードリーダ1の設置角度等も取得できる。
【0091】
例えば、ワークWの周囲を4台のコードリーダ1でカバーすることができる場合があるが、この場合、1台のコードリーダ1でワークWの周囲の約90゜の範囲をカバーすることになり、ワークWの面に対する撮像部5の傾き角度が大きくなり、NB幅によってはコードの取得に制限を受けるおそれがある。この制限を無くすために、コードリーダ1の数を例えば6台に増やすことを提案できる。
【0092】
図7に符号300で示すように、カメラパラメータ、コード情報、ワーク情報は、上記ステップSA1~SA3とは別に追加で入力することもできる。この場合、符号301で示すように、第1設置パターン及び第1取付パターンとは異なる第2設置パターン及び第2取付パターンをユーザが入力することができる。入力された第2設置パターン及び第2取付パターンは、情報取得部41cが取得し、コードリーダ1の仮定の設置位置と姿勢として記憶する。このようにして、図示しないが、第3設置パターン及び第3取付パターン、第4設置パターン及び第4取付パターン、…をユーザが入力可能であり、これらも情報取得部41cがコードリーダ1の仮定の設置位置と姿勢として記憶装置41に記憶する。つまり、仮定の設置位置と姿勢を複数記憶しておき、後から取得することができる。
【0093】
図7に示すフローチャートのステップSA6では、演算部40cがコードリーダ1の実力算出を実行する。コードリーダ1の実力算出手順を
図19に示すフローチャートに基づいて説明する。ステップSB1では、フォーカス条件を仮定する。フォーカス条件を仮定した後、深度を計算し、必要な深度を満たすか確認することを繰り返すことで、条件を満たすフォーカス条件の幅を算出することも可能である。
【0094】
フォーカス条件は、AF機構5cによる合焦用レンズの調整量である。ステップSB2では、情報取得部40aが取得したカメラパラメータを読み込む。ステップSB3では、撮像部5が撮像した読み取り画像の中から探索によって見つかったコードを読み込む。
【0095】
ステップSB4では、合焦用レンズによる合焦が完了したときにおけるAF機構5cによる合焦用レンズの調整量と、撮像部5からコードまでの距離との対応関係とに基づいて、撮像部5からコードまでの距離(mm)を得る。これが現時点での設置距離になる。尚、撮像部5からコードまでの距離を使用者がスケール等を用いて測定し、その実測値を設置距離として入力するようにしてもよい。
【0096】
ステップSB5では予め記憶されている光学系5bの画角(rad)を読み込む。ステップSB6では撮像素子5aの画素数(ピクセル)を、たとえば縦1280×横768画素の形式で読み込む。撮像素子5aの画素数は既知であり、予め記憶装置41に記憶させておけばよい。ステップSB7では光学系5bの絞りと焦点距離に関する情報を読み込む。光学系5bの現在の絞り及び焦点距離が演算部40cに出力されるようにしておけばよい。
【0097】
ステップSB8ではPPC(ピクセル/セル)を算出する。ステップSB9ではコードの座標を読み込む。コードの座標は、たとえばコードの中心部を推定し、その中心部のX座標とY座標を求めることで得られるが、コードの端部の座標であってもよい。
【0098】
ステップSB10では撮像部5の視野範囲を算出する。視野範囲hは式(1)から算出可能である。
【0099】
h=2d・tan(θ/2)・・・・・(1)
ここで、dは現時点での設置距離であり、θは光学系5bの画角である。
【0100】
ステップSB11では分解能r、即ち画像データを構成している1ピクセルが表す実寸長さを算出する。分解能rは式(2)から算出可能である。
【0101】
分解能(r)=h/n・・・・・・・・・・・・・・(2)
ここで、nは撮像素子5aの横方向の画素数である。
【0102】
ステップSB12ではコードの大きさ(コードサイズ)を算出する。コードサイズCS(mm)は式(2)から算出された分解能rを、コードの横方向のピクセル数に乗じることで得ることができる。コードの横方向のピクセル数は画像データから得ることができる。
【0103】
ステップSB13ではセルの大きさ(セルサイズ)を算出する。セルは、コードを構成する最小単位のことである。セルサイズpは式(2)から算出された分解能rを、セルの横方向のピクセル数に乗じることで得ることができる。セルの横方向のピクセル数は画像データから得ることができる。セルサイズpはセルサイズ設定部30により算出する。
【0104】
ステップSB14では許容錯乱円径(mm)を設定する。許容錯乱円径は、移動は考慮せず、レンズによって生じるピンボケの許容度合を示している。許容錯乱円径は、コードを構成しているセルの個数で表現することもできる。また、最大許容ブレ量は、予め求められており、記憶装置41に記憶しておくことができる。
【0105】
ステップSB15では前方被写界深度(mm)を式(3)から算出し、後方被写界深度(mm)を式(4)から算出する。
【0106】
前方被写界深度Df=(δFd2)/(f2+δFd)・・・・・(3)
後方被写界深度Db=(δFd2)/(f2-δFd)・・・・・(4)
ここで、Fは光学系5bの絞り、fは光学系5bの焦点距離である。また、δは許容錯乱円径である。以上のようにして、コードリーダ1の実力視野及び実力深度を演算部40cが決定することができる。
【0107】
図7に示すフローチャートのステップSA9では、ステップSA3で取得したワーク情報及びコンベア情報に基づいてコードの読み取りを行うのに必要な視野の算出を、コンベア座標を基準にして実行する。必要な視野の情報には、コンベア幅方向の必要領域、ワークの移動方向の必要領域、ワークの高さ方向の必要領域等が含まれる。
【0108】
ステップSA10では、ステップSA4及びSA5で取得した設置パターン及び取付パターンに基づいてコードの読み取りを行うのに必要な視野・深度の算出を、コードリーダ1の座標を基準にして実行する。必要な視野・深度の情報には、縦方向の視野、必要深度等が含まれる。以上のようして、ステップSA9、SA10において、情報取得部40aにより取得された環境情報に基づいて、当該環境情報により指定された環境下で、コードの読み取りに必要となるコードリーダ1の必要視野及び深度を演算部40cが決定することができる。
【0109】
ステップSA7では、ステップSA6で算出したコードリーダ1の実力視野及び実力深度がステップSA9、SA10で算出した必要視野及び深度を満たすことができるか否かを判定する。ステップSA7でコードリーダ1の実力視野及び実力深度が必要視野及び深度を満たすと判定される場合には、ステップSA8に進んでコードリーダ1の設置可能範囲を算出する。コードリーダ1の設置可能範囲には、最小設置距離、最大設置距離、推奨設置距離等が含まれる。また、ステップSA7でコードリーダ1の実力視野及び実力深度が必要視野及び深度を満たさないと判定される場合にも同様にコードリーダ1の設置可能範囲を算出してもよい。ステップSA7における判定結果は記憶しておく。
【0110】
また、ステップSA7では、テンプレート記憶部41cに記憶されている全てのテンプレートまたは任意の複数のテンプレートの設置パターン及び取付パターンについて判定してもよい。つまり、全てのテンプレートに対して総当たり形式でステップSA7の判定を行うことで、それらパターンの中から、コードリーダ1の推奨設置位置及び姿勢である設置パターンを特定することができる。
【0111】
ステップSA11では、ステップSA7でコードリーダ1の実力視野及び実力深度が必要視野及び深度を満たすと判定された場合、第1設置パターン及び第1取付パターンが、必要視野及び深度を満たすことができるコードリーダ1の推奨設置位置及び姿勢であるとして決定する。また、ステップSA7でコードリーダ1の実力視野及び実力深度が必要視野及び深度を満たさないと判定された場合、第1設置パターン及び第1取付パターンが、必要視野及び深度を満たすことができないパターンであると決定する。このステップは演算部40cが実行する。
【0112】
また、
図7の符号302で示す処理は、ステップSA6~SA10と同じであり、符号302で示す処理においてコードリーダ1の実力視野及び実力深度が必要視野及び深度を満たすと判定された場合、符号303のステップに進み、第2設置パターン及び第2取付パターンが、必要視野及び深度を満たすことができるコードリーダ1の推奨設置位置及び姿勢であると決定する。また、符号302で示す処理においてコードリーダ1の実力視野及び実力深度が必要視野及び深度を満たさないと判定された場合、符号303のステップにおいて第2設置パターン及び第2取付パターンが、必要視野及び深度を満たすことができないパターンであると決定する。同様に、第3設置パターン及び第3取付パターン、第4設置パターン及び第4取付パターン等についても決定できる。
【0113】
ステップSA12では、複数の設置パターン及び取付パターンの中から最善のパターンを選択する。すなわち、演算部40cは、情報取得部40aにより取得された仮定の設置位置と姿勢における視野及び深度が必要視野及び深度を満たさない場合、仮定の設置位置と姿勢の少なくとも一方を変更する変更処理を実行し、変更処理後の仮定の設置位置と姿勢で前記判定を行い、変更処理及び判定を繰り返してコードリーダの推奨設置位置及び姿勢である設置パターンを決定する。例えば、第1設置パターン及び第1取付パターンが必要視野及び深度を満たさない場合、第2設置パターン及び第2取付パターンに変更し、第2設置パターン及び第2取付パターンが必要視野及び深度を満たすか否か判定する。このとき、コードリーダ1の設置位置と姿勢の一方のみ変更して必要視野及び深度を満たすか否か判定することができる。
【0114】
ステップSA12で最善のパターンを選択することなく、コードリーダ1の推奨設置位置及び姿勢を複数通り提示しておき、ユーザが入力部43を操作することによって任意のパターンを選択可能にしてもよい。このとき、コードリーダ1の推奨設置位置及び姿勢と判定されなかったパターンをユーザに提示してもよい。
【0115】
また、ステップSA12における最善のパターンの選択基準を変更できるようにしてもよい。例えばコードリーダ1の台数が最も少ないパターンを最善のパターンとすることや、使用機材のトータルコストが最も低いパターンを最善のパターンとすることもできる。
【0116】
その後、ステップSA13に進んで読み取りパラメータの最適化(チューニング)を実行した後、ステップSA14で読み取りテストを実行する。最後にステップSA15に進んでレポートを出力することができる。ステップSA13~SA15は必要に応じて実行すればよく、省略してもよい。ステップSA13~SA15の詳細については後述する。
【0117】
[パラメータセット(バンク)]
図20は、設置支援装置Aによる設置支援を行う際に表示するユーザインターフェース画面400の例を示す図である。ユーザインターフェース画面400は、UI管理部40bが生成して表示部42に表示させることができる。ユーザインターフェース画像400の上部には、複数のタブ401、402、403が設けられており、複数のタブ401、402、403の中から任意の1つを選択することが可能になっている。
【0118】
図20では、バンクタブ402が選択された場合を示している。1つのパラメータセットを「バンク」と呼ぶことにする。
図20に示す例では、バンク1及びバンク2のみ表示しているが、バンクの数は任意に設定することができる。
【0119】
各バンクには、共通設定項目として、デコード処理のタイムアウト時間を示す「デコードタイムアウト値」、読み取り画像の白黒を反転させる「白黒反転」、筐体2に搭載された照明部4で構成された内部照明の点灯、消灯を切り替える「内部照明」、筐体2とは別体とされた照明部4で構成された外部照明の点灯、消灯を切り替える「外部照明」、コード種別を切り替える「コード詳細設定」等が設けられている。また、各バンクには、読み取り設定項目として、撮像部5による露光時間を示す「露光時間」、撮像部5のゲインを示す「ゲイン」、読み取り画像のコントラストの調整方法を示す「コントラスト調整方式」、適用する画像フィルタの種別及び順番を選択する「1番目画像フィルタ」、「2番目画像フィルタ」等が設けられている。
【0120】
このコードリーダ1では、パラメータセット記憶部53に記憶されている複数のバンクの中から、コードリーダ1の運用時に使用するバンクをユーザが選択可能になっている。すなわち、ユーザは、
図20に示すユーザインターフェース画像400を見ながら入力部43を操作し、ユーザインターフェース画像400上で任意のバンクを選択できる。
【0121】
[設置支援時におけるユーザインターフェース画面]
図21は、ユーザインターフェース画面400の読み取りタブ401が選択された場合を示しており、設置支援時に表示することができる。
図21に示すユーザインターフェース画面400には、撮像部5が撮像した読み取り画像を表示する読み取り画像表示領域404と、チューニング結果を表示するチューニング結果表示領域405とが設けられている。チューニング結果表示領域405には、例えば読み取りやすさと明るさとの関係を示すグラフ等が表示される。さらに、提案書作成ボタン400a、モニタ開始ボタン400b、オートフォーカスボタン400c、チューニング開始ボタン400d、読み取り率ボタン400e及びレポート出力ボタン400fも設けられている。
【0122】
UI管理部40bは、提案書作成ボタン400aが操作されたことを検出すると、設置支援に必要な情報の入力をユーザに促すためのユーザインターフェース画面200~206(
図8~
図14にそれぞれ示す)を上述した順番で表示する。これにより、各情報を情報取得部40aで取得することができる。また、
図15~
図18に示す取付パターンについてもユーザの入力を促し、情報として情報取得部40aで取得する。
【0123】
UI管理部40bは、モニタ開始ボタン400bが操作されたことを検出すると、撮像部5に読み取り画像の生成処理を実行させる。生成された読み取り画像は、読み取り画像表示領域404に表示される。
【0124】
UI管理部40bは、オートフォーカスボタン400cが操作されたことを検出すると、AF制御部21によりAF機構5cを制御してピント合わせを実行する。この例では、ワークWに1次元コードCDが付されている様子を示しているが、2次元コードであってもよい。読み取り画像表示領域404には、コードCDが存在する可能性の高い領域を囲む枠線410も表示される。尚、コードCDがワークWに2以上付されている場合には、読み取り画像表示領域404にコードCDが2以上表示されることもある。
【0125】
その後、UI管理部40bは、チューニング開始ボタン400dが操作されたことを検出すると、
図2に示すチューニング実行部24に対して、読み取りパラメータの最適化処理を実行させる。この処理は
図7のステップSA13に相当する。
【0126】
チューニング実行部24は、例えば明るさ(露光時間、ゲイン、照明部4の光量等)を変化させながら複数の読み取り画像を撮像部5に取得させ、各読み取り画像に対して処理部32によるデコード処理を実行させる。その結果、チューニング実行部24は、
図21に示すチューニング結果表示領域405に示すような読み取り画像の明るさと読み取りやすさとを示すグラフを取得することができる。読み取りやすさは例えば上記読取余裕度から求めることができる。これにより、最適な読み取りパラメータを取得することができる。最適な読み取りパラメータは、
図20に示すバンクにパラメータセットとして記憶されるとともに、表示部42に表示されてユーザが確認できる。
【0127】
UI管理部40bは、読み取り率ボタン400eが操作されたことを検出すると、撮像部5にチューニング結果を反映させて新たな読み取り画像を生成させ、生成された読み取り画像に対して処理部32によるデコード処理を実行させる。これが読み取りの安定性をテストする読み取りテストモードであり、
図7に示すステップSA14の処理に相当する。例えば10回の読み取りを試行し、その結果をチューニング結果表示領域405に表示することができる。
【0128】
読み取りテストモードには、タスクテストモード、深度テストモード及び速度テストモードが含まれている。タスクテストモードは、読み取り時間を測定するモードであり、現状の読み取り時間、最長の読み取り時間、最短の読み取り時間を表示部42に表示する。
【0129】
深度テストモードは、読み取り可能な最大の深度を測定するモードであり、例えばコードリーダ1と読み取り可能なコードとの相対的な位置関係を描画して表示部42に表示することができる。コードリーダ1と読み取り可能なコードとの最短距離、最長距離を表示部42に表示することができる。
【0130】
速度テストモードは、移動するワークWの読み取りを連続で実施し、コードの読み取り回数及び位置からワークWの速度を算出し、表示部42に表示する。ワークWの速度は、ほぼリアルタイムに算出して表示することができる。ワークWの速度は、数値で表示してもよいし、バー形式で表示してもよい。
【0131】
[ユーザへの提示形態例]
図22は、ユーザへの提示形態例を示す図である。この図に示す提示用ユーザインターフェース画面220をUI管理部40bが生成し、表示部42に表示させることができる。提示用ユーザインターフェース画面220を構成する各情報は、演算部40cの演算結果や情報取得部40aで取得された情報等であり、これらは出力部40dからUI管理部40bに出力され、UI管理部40bが各情報に基づいて提示用ユーザインターフェース画面220を生成することができる。
【0132】
提示用ユーザインターフェース画面220には、一覧表示ボタン220a、フレームオプション選択領域220b、コードリーダ選択領域220c、機種選択領域220d、距離調整領域220e、総合結果表示領域220f、配置プレビュー領域220g、第1配置図表示領域220h、第2配置図表示領域220i等が設けられている。
【0133】
UI管理部40bは、一覧表示ボタン220aが操作されたことを検出すると、
図23に示すような使用機器一覧表を生成して表示部42に表示させる。使用機器一覧表には、コードリーダ1を推奨設置位置及び姿勢で設置する場合に必要な機器の名称と、その型式と、個数とが表示されている。すなわち、出力部40dは、推奨設置位置及び姿勢を示す設置パターンを実現するために必要な部品情報とその部品の必要個数を示す部品表を出力することができる。提示された部品を変更することもできる。
【0134】
フレームオプション選択領域220bは、フレームオプションの提案をするかしないかを切り替えるための領域である。フレームオプションの提案をする場合には、フレーム制限を考慮して提案するが、フレームオプションの提案をしない場合には、フレーム制限なしで提案する。
【0135】
コードリーダ選択領域220cは、コードリーダ1を複数台設置する設置パターンの場合に、任意のコードリーダ1を選択するための領域である。機種選択領域220dは、最適な機種を自動提案した場合にその機種の形式等、即ち機種情報を表示する領域である。機種選択領域220dでは、ユーザが任意の機種を選択することもでき、選択された機種で適否を判定できる。距離調整領域220eは、ユーザがコードリーダ1の設置位置を微調整する場合に操作する領域である。調整結果の適否を判定できる。総合結果表示領域220fは、コードリーダ選択領域220c、機種選択領域220d、距離調整領域220e等に表示されている情報の場合に読み取りが可能であるか否かを表示する領域である。読み取りが不可能である場合には、要求に対してどの程度不足しているかを総合結果表示領域220fに表示することもできる。
【0136】
配置プレビュー領域220gは、コードリーダ1、ワークW及びコンベアの相対的な位置関係や各部の寸法等を図面で表示する領域である。また、コードリーダ1の取付角度情報や、ワークWにおける読み取り面(面情報)も含まれている。視点を360゜変えながら、俯瞰プレビュー画像を生成して配置プレビュー領域220gに表示できる。視点の変更は入力部43で行うことができる。第1配置図表示領域220hは、例えばコードリーダ1、ワークW及びコンベアの相対的な位置関係や各部の寸法等を示す図を正面視点で表示する領域である。また、第2配置図表示領域220iは、コードリーダ1、ワークW及びコンベアの相対的な位置関係や各部の寸法等を示す図を側面視点で表示する領域である。
【0137】
第1配置図表示領域220hまたは第2配置図表示領域220iには、
図24に示すように天面視点でのワークW及び読み取り可能範囲600を表示することもできる。第1配置図表示領域220hまたは第2配置図表示領域220iには、
図25に示すように側面視点でのワーク及び読み取り可能範囲601を表示することもできる。第1配置図表示領域220hまたは第2配置図表示領域220iには、
図26に示すように取付金具603の詳細を表示させることもできる。取付金具603の詳細情報には、コードリーダ1の取付角度情報が含まれている。
【0138】
[レポート出力]
コードリーダ1の推奨設置パターンのユーザへの提示形態としては、上述したようにユーザインターフェース画面を表示部42に表示させる形態以外にも、レポートで提示する形態であってもよい。レポートは電子データで提示してもよいし、
図2に示すプリンタ45で印刷した紙媒体で提示してもよい。
【0139】
以下、レポートについて説明する。UI管理部40bは、
図21に示すユーザインターフェース画面400のレポート出力ボタン400fが操作されたことを検出すると、
図7に示すフローチャートのステップSA15を実行する。このステップでは、まず、レポートを構成する各情報を準備する。レポートを構成する各情報は、演算部40cの演算結果や情報取得部40aで取得された情報等である。
【0140】
出力部40dが出力するレポートの構造について、
図27に基づいて説明する。レポートとして出力される内容には、大別すると、プロジェクト一般情報、提案概要、使用機器一覧、読取り領域、設置図、接続図、読み取り結果が含まれているが、これら全てが含まれていなくてもよい。
【0141】
レポートのプロジェクト一般情報には、ユーザのプロジェクト名の他、そのプロジェクトで要求されている要求情報として、ワーク情報、コード情報、クリアランス設定情報、コードの貼り付け場所に関する情報が含まれている。ワーク情報は、
図10に示すワーク情報入力用ユーザインターフェース画面上で入力された情報で構成される。コード情報は、
図13に示すコード情報入力用ユーザインターフェース画面上で入力された情報で構成される。クリアランス設定情報は、
図9に示すクリアランス設置用ユーザインターフェース画面上で入力された情報で構成される。コードの貼り付け場所に関する情報は、
図11に示すコード貼り付け位置設定用ユーザインターフェース画面上で入力された情報で構成される。
【0142】
レポートの提案概要には、
図22に示す提示用ユーザインターフェース画面220の配置プレビュー領域220gに表示された図面等が含まれる。つまり、提案概要は、コードリーダ1、ワークW及びコンベアの相対的な位置関係を、ユーザが大まかに把握可能な情報である。
【0143】
レポートの使用機器一覧は、例えば
図23に示す使用機器一覧表の形式を用いて、コードリーダ1を推奨設置位置及び姿勢で設置する場合に必要な機器の名称と、その型式と、個数とをユーザに提示することが可能である。
【0144】
レポートの読取り領域には、正面視点での読取り図や斜面視点での読取り図等が表示される。これら図面上では読み取り可能な領域を色分け等によって示すことができる。また、複数台のコードリーダを設置する場合、各コードリーダの読み取り可能な領域を色分け等によって示しても良い。
【0145】
レポートの設置図には、
図22に示す提示用ユーザインターフェース画面220の第1配置図表示領域220hに表示されている正面視点の設置図や、第2配置図表示領域220iに表示されている側面視点の設置図、上面図等が表示される。
【0146】
レポートの接続図は、
図28に示すようなコードリーダ1の接続図を挙げることができる。この接続図では、エンコーダ等との接続、上位ホストとの接続、電源との接続の各形態が示されるとともに、ターミナルボックスを介しての上位システムとの接続形態も示されている。
【0147】
また、レポートには、機種情報や露光時間等のチューニング条件と、内部照明及び外部照明の使用、不使用に関する情報、明るさと読み取りやすさとの関係を示す読み取り情報、読み取り画像、チューニング結果(パラメータセット等)を載せることができる。チューニング結果は、コードリーダ1にインポートして利用することができるように、電子データで提供してもよい。
【0148】
レポートの読み取り結果には、読み取り画像、読み取り率テスト結果、タクトテスト結果、深度テスト結果、速度テスト結果等が含まれている。読み取り率テスト結果には、読み取りデータの他、読み取り率(%)、バンク番号、コード種、ナローバー幅等が含まれている。タクトテスト結果には、読み取りデータの他、バンク番号、読み取りに要した時間(タクト)等が含まれている。深度テスト結果には、読み取り深度の他、焦点距離、読み取り可能な最短距離における深度及び視野、読み取り可能な最長距離における深度及び視野等が含まれている。速度テスト結果には、上記速度テストモードで算出されたワークWの速度が含まされている。
【0149】
[ユーザへの提示形態の変形例]
コードリーダ1の推奨設置パターンのユーザへの提示形態としては、例えば、推奨設置パターンを図面化した2次元CADデータまたは3次元CADデータ(CADファイル)を出力部40dから出力可能にしてもよい。推奨設置パターンを示す図は、例えば
図22に示す提示用ユーザインターフェース画面220の配置プレビュー領域220gに表示する図と同様な図を使用することができる。推奨設置パターンのCADデータをユーザに提供することで、ユーザ側の設計工数を削減できる。
【0150】
また、演算部40cは、コンベアの搬送速度やコードリーダ1の配置を把握できるので、コードの読み取りタイミングを計算によって取得することができる。この読み取りタイミングもユーザに提示できる。また、時間情報を距離情報に変換することでユーザにとって直感的に分かりやすい提示もできる。
【0151】
また、透明フィルム等で覆われたワークWの場合、偏光板を撮像部5の前に取り付けることができる。偏光板を取り付けると撮像部5における明るさが減少することなるが、その明るさの減少分を、コードリーダ1をワークWに近づけることで対処することができる。偏光板による明るさの減少分を予め取得しておくことで、偏光板を取り付けた場合のコードリーダ1の設置位置を算出し、ユーザに提示することができる。
【0152】
[コンピュータプログラム]
上述した各機能、特に、カメラ情報と環境情報とを取得する取得ステップと、コードリーダ1の推奨設置位置及び姿勢である設置パターンを決定する演算ステップとを設置支援装置Aに実行させるのは、設置支援装置Aにインストールされているコンピュータプログラムである。コンピュータプログラムは記憶装置41に記憶させておくことができる。また、コンピュータプログラムは、例えば光ディスク等の各種記憶媒体に記憶させておき、市場に流通させることができる他、サーバに記憶させておき、ユーザがインターネット経由でダウンロードしてコンピュータにインストールして使用することもできる。このプログラムがインストールされたコンピュータは、設置支援装置Aとなり得る。
【0153】
[実施形態の作用効果]
以上説明したように、この実施形態によれば、設置支援装置Aの演算部40cによってコードリーダ1の推奨設置位置だけでなく、当該推奨設置位置におけるコードリーダ1の姿勢も決定されるので、ユーザはコードリーダ1の設置前に位置及び姿勢の両方を確認することができる。また、ユーザは、決定された推奨設置位置にコードリーダ1を設置する際に、決定された姿勢となるようにコードリーダ1を設置すればよいので、設置作業が容易になる。
【0154】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0155】
以上説明したように、本発明に係る定置式コードリーダの設置支援装置は、コードリーダの設置前にコードリーダの設置位置や姿勢を提示する場合に使用することができる。
【符号の説明】
【0156】
1 コードリーダ
4 照明部
5 撮像部
40a 情報取得部(取得手段の一例)
40c 演算部(演算手段の一例)
40d 出力部(出力手段の一例)
41 記憶装置
A 定置式コードリーダの設置支援装置